画像処理装置、方法及びプログラム
【課題】画像のノイズを効果的に除去することにある。
【解決手段】一実施形態の画像処理装置は、参照画像生成部、相違度算出部、重み算出部、及び画素値算出部を備える。参照画像生成部は、対象画像の信号成分が含まれる第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び対象画像のノイズ成分が含まれる第2の周波数帯域のパワーを下げることの少なくとも一方を行うことにより、対象画像から参照画像を生成する。相違度算出部は、参照画像内の第1領域と、参照画像内の複数の第2領域のそれぞれとの間の相違度を算出する。重み算出部は、前記相違度が小さいほど大きくなる重みを前記複数の第2領域のそれぞれについて算出する。画素値算出部は、参照画像で算出された重みを対象画像に適用して、対象画像内で画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出する。
【解決手段】一実施形態の画像処理装置は、参照画像生成部、相違度算出部、重み算出部、及び画素値算出部を備える。参照画像生成部は、対象画像の信号成分が含まれる第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び対象画像のノイズ成分が含まれる第2の周波数帯域のパワーを下げることの少なくとも一方を行うことにより、対象画像から参照画像を生成する。相違度算出部は、参照画像内の第1領域と、参照画像内の複数の第2領域のそれぞれとの間の相違度を算出する。重み算出部は、前記相違度が小さいほど大きくなる重みを前記複数の第2領域のそれぞれについて算出する。画素値算出部は、参照画像で算出された重みを対象画像に適用して、対象画像内で画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの撮像装置で取得された画像にランダムに発生するノイズを低減する画像処理技術として、Non−local Means法と呼ばれるアルゴリズムが知られている。Non−local Means法は、処理対象の画素(以下、注目画素と呼ぶ)を中心とするブロック(以下、注目ブロックという)と、注目画素の周辺にある画素(以下、周辺画素という)を中心とするブロック(以下、周辺ブロックという)との間の相違度に応じた重みにより、周辺画素の画素値を加重平均し、注目画素の画素値を加重平均の結果得られた画素値に置き換える(非特許文献1参照)。しかしながら、Non−local Means法では、ノイズが重畳している画像で相違度を算出するので、ノイズの影響を受けて相違度が正しく算出されないことがある。その結果、ノイズ除去後の画像に過剰な平滑化やアーチファクト(artifact)が発生することがある。
【0003】
さらに、ノイズを除去する画像(対象画像)とは別に撮影したノイズの少ない画像(参照画像)で相違度を算出する手法が開示されている(非特許文献2参照)。この手法では、低照度の環境において通常のカメラでフラッシュを焚かずに撮影した画像を対象画像として用い、同じシーンを近赤外線カメラで撮影した画像を参照画像として用いる。ノイズの少ない参照画像で相違度を算出するので、相違度を正しく算出することができ、その結果、対象画像から効果的にノイズを除去することができる。しかしながら、対象画像とは別に特殊な撮像装置を用いて参照画像を撮影する必要があるという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】A. Buades, B. Coll, and J. M. Morel, ”A Non Local Algorithm for Image Denoising” Proc. IEEE Int. Conf. on Computer Vision and Pattern Recognition, vol.2, pp.60-65, 2005.
【非特許文献2】Sousuke Matsui, Takahiro Okabe, Mihoko Shimano, Yoichi Sato, “Image Enhancement of Low-Light Scenes with Near-Infrared Flash Images”, IPSJ Trans., vol.2, pp.215-223, 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像処理技術においては、対象画像と同じシーンを撮影した参照画像を必要とすることなく、1枚の対象画像からノイズを効果的に除去できることが求められている。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、1枚の画像からノイズを効果的に低減することができる画像処理装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る画像処理装置は、参照画像生成部、相違度算出部、重み算出部、及び画素値算出部を備える。参照画像生成部は、入力された対象画像の信号成分が含まれる第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び該対象画像のノイズ成分が含まれる第2の周波数帯域のパワーを下げることの少なくとも一方を行うことにより、該対象画像から参照画像を生成する。相違度算出部は、前記参照画像内の第1領域と、前記参照画像内の複数の第2領域のそれぞれとの間の相違度を算出する。前記第1領域は第1画素を含み、前記複数の第2領域は複数の第2画素をそれぞれ1つ含む。重み算出部は、前記相違度が小さいほど大きくなる重みを前記複数の第2領域のそれぞれについて算出し、該重みを前記複数の第2画素のそれぞれに割り当てる。画素値算出部は、複数の前記重みを、前記複数の第2画素のそれぞれと同じ位置にある前記対象画像内の複数の第3画素にそれぞれ適用して、該複数の第3画素の画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る画像処理装置を概略的に示すブロック図。
【図2】図1に示した相違度算出部が相違度を算出する方法を説明する図。
【図3】図1に示した画像処理装置の動作例を示すフローチャート。
【図4】第2の実施形態に係る画像処理装置を概略的に示すブロック図。
【図5】図1に示した参照画像生成部が用いるバンドパスフィルタが平滑化フィルタである場合において、このバンドパスフィルタの周波数応答を概略的に示すグラフ。
【図6】図1に示した参照画像生成部が用いるバンドパスフィルタが強調フィルタである場合において、このバンドパスフィルタの周波数応答を概略的に示すグラフ。
【図7】図4に示した画像処理装置の動作例を示すフローチャート。
【図8】第3の実施形態に係る画像処理装置を概略的に示すブロック図。
【図9】図8に示した探索領域設定部が探索領域を設定する方法を説明する図。
【図10】図8に示した画像処理装置の動作例を示すフローチャート。
【図11】第4の実施形態に係る画像処理装置を概略的に示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、必要に応じて図面を参照しながら、実施形態に係る画像処理装置、方法及びプログラムを説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る画像処理装置100を概略的に示している。この画像処理装置100は、図1に示されるように、参照画像生成部101、相違度算出部102、重み算出部103、及び画素値算出部104を備える。画像処理装置100において、処理すべき画像150は、参照画像生成部101及び画素値算出部104へ入力される。ここでは、処理すべき画像150を対象画像と呼ぶ。本実施形態では、説明を簡単にするために、対象画像150を構成する複数の画素の各々が1つの画素値を保持すると仮定する。なお、カラー画像のように各画素が複数の画素値(例えば、赤色、緑色及び青色の画素値)を保持する画像にも本実施形態を適用できることは明らかである。
【0011】
参照画像生成部101は、対象画像150から、この対象画像150に重畳しているノイズを低減した参照画像151を生成する。相違度算出部102は、参照画像151内の第1画素を含む第1領域と参照画像151内の第2画素を含む第2領域との間の相違度を算出する。相違度を示す相違度情報152は、重み算出部103へ送られる。重み算出部103は、相違度に応じて、第2画素に割り当てる重みを算出する。第2画素に割り当てられた重みを示す重み情報153は、画素値算出部104へ送られる。画素値算出部104は、第2画素の重みを用いて、対象画像150内で第2画素と同じ位置にある画素が保持する画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出する。画素値算出部104は、第1画素と同じ位置にある対象画像150内の画素の画素値を算出した出力画素値に置き換えた出力画像154を生成する。
【0012】
次に、画像処理装置100内の各部をより詳細に説明する。
参照画像生成部101は、対象画像150のノイズを低減した参照画像151を生成する。具体的には、参照画像生成部101は、ノイズを低減するために、(1)対象画像150の信号成分が含まれる周波数帯域のパワーを上げること、及び(2)対象画像150のノイズ成分が含まれる周波数帯域のパワーを下げること、の少なくとも一方を対象画像150に対して行う。このノイズ低減処理は、例えば、以下に例示するバンドパスフィルタを用いて対象画像150をフィルタリングすることで実行される。本実施形態では、対象画像150の信号成分が含まれる周波数帯域を第1の周波数帯域と呼び、対象画像150のノイズ成分が含まれる周波数帯域を第2の周波数帯域と呼ぶ。なお、第1の周波数帯域にノイズ成分が含まれることもあり、また、第2の周波数帯域に信号成分が含まれることもあることに留意されたい。
【0013】
一例では、バンドパスフィルタは、第1の周波数帯域のパワーを上げ、且つ、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタである。ここで、周波数帯域のパワーを下げるとは、この周波数帯域のパワーをより低い値にすることを意味し、この周波数帯域中の全部又は一部の帯域のパワーをゼロにすることを含む。このバンドパスフィルタは、例えば、平滑化フィルタと強調フィルタとを組み合わせて用いることにより実現することができる。平滑化フィルタとしては、ガウシアンフィルタ、移動平均フィルタ、バイラテラルフィルタ、εフィルタなどを利用することができる。ガウシアンフィルタは、異方性を有するものであってもよい。強調フィルタとしては、鮮鋭化フィルタ、アンシャープマスクなどを利用することができる。なお、バンドパスフィルタは、平滑化フィルタと強調フィルタとの組み合わせて用いる例に限らず、フーリエ変換又はウェーブレット変換などの変換手法により対象画像150を周波数変換し、第1の周波数帯域のパワーを上げて、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタであってもよい。
【0014】
他の例では、バンドパスフィルタは、第1の周波数帯域のパワーを上げるフィルタである。このバンドパスフィルタは、強調フィルタにより実現することができる。強調フィルタとしては、鮮鋭化フィルタ、アンシャープマスクなどを利用することができる。或いは、バンドパスフィルタは、フーリエ変換又はウェーブレット変換などの変換手法により対象画像150を周波数変換し、第1の周波数帯域のパワーを上げるフィルタであってもよい。
【0015】
さらに他の例では、バンドパスフィルタは、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタである。このバンドパスフィルタは、例えば、平滑化フィルタにより実現することができる。或いは、バンドパスフィルタは、フーリエ変換又はウェーブレット変換などの変換手法により対象画像150を周波数変換し、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタであってもよい。
【0016】
参照画像生成部101では、対象画像150の信号成分が含まれる第1の周波数帯域のパワーを上げ、且つ、対象画像150のノイズ成分が含まれる第2の周波数帯域のパワーを下げるバンドパスフィルタを用いる場合、対象画像150の構造を維持しつつノイズを効果的に低減した参照画像151を生成することができる。また、第1の周波数帯域のパワーを上げるバンドパスフィルタを用いる場合、対象画像150の構造を強調し、ノイズを相対的に低減した参照画像151を生成することができる。また、第2の周波数帯域のパワーを下げるバンドパスフィルタを用いる場合、ノイズを効果的に低減した参照画像151を生成することができる。上記のいずれの場合にも、1枚の対象画像150から、対象画像150よりもノイズが低減している参照画像151を得ることができる。
【0017】
相違度算出部102は、参照画像151内の第1画素を含む第1領域と参照画像151内の第2画素を含む第2領域との間の相違度を算出する。相違度算出部102は、ノイズの少ない参照画像151を用いて領域間の相違度を算出するので、ノイズの影響を受けることなく、第1領域と第2領域との間の相違度を正しく算出することができる。第1領域と第2領域との間の相違度は、例えば下記数式(1)に従って算出される。
【0018】
【数1】
【0019】
ここで、xは第1画素の位置を表す位置ベクトルであり、yは第2画素の位置を表す位置ベクトルであり、ω(x)は第1領域内の画素の位置を表す位置ベクトルの集合である。また、D(x,y)は第1領域と第2領域との間の相違度を表し、IR(z)は位置ベクトルzで特定される参照画像151内の画素が保持している画素値を表す。さらに、aは設計者が適宜に設定する定数である。
【0020】
図2を参照して相違度を算出する方法を具体的に説明する。ここでは、対象画像150内のある画素が処理対象になっている場合を説明する。この処理対象の画素を注目画素と呼ぶ。図2に示される参照画像151内の画素210は、対象画像150内の注目画素と同じ座標に位置する画素である。この画素210を第1画素と呼ぶ。参照画像151には、例えば第1画素210の位置(座標)に応じて、探索領域230が設定される。図2では、探索領域230は、第1画素210を中心とする矩形領域(画素ブロックともいう)である。さらに、相違度算出部102は、探索領域230から1つの画素220を順次に選択して処理する。探索領域230から選択された画素を第2画素と呼ぶ。なお、探索領域230内に第1画素210が含まれる場合、第1画素210を除いた探索領域230から第2画素220が選択されてもよい。本実施形態では、第1領域は、第1画素210を中心とする矩形領域211であり、第2領域は、第2画素220を中心とする矩形領域221である。
【0021】
探索領域230には複数の画素が含まれているので、相違度算出部102は、第1領域211と複数の第2領域221のそれぞれとの間の相違度を算出する。具体的には、相違度算出部102は、探索領域230から1つの画素を第2画素220として選択し、第1領域211と第2画素220を中心とする第2領域221との間の相違度を算出する処理を繰り返し実行する。
【0022】
なお、参照画像151に設定される探索領域230は、図2に示される第1画素210を中心とする矩形領域である例に限定されない。例えば、探索領域230の中心に第1画素210が位置していなくてもよく、或いは、探索領域230内に第1画素210が含まれていなくてもよい。さらに、探索領域230のサイズ及び形状は適宜に設定することができる。或いは、探索領域230は、参照画像151全体であってもよい。
【0023】
さらに、第1領域211は、図2に示される第1画素210を中心とする矩形領域である例に限定されない。例えば、第1領域211の中心に第1画素210が位置していなくてもよい。さらに、第1領域211のサイズ及び形状は適宜に設定することができる。同様に、第2領域221は、図2に示される第2画素220を中心とする矩形領域である例に限定されない。典型的には、第2領域221は、第1領域211と同じ方法で設定される。例えば、第1画素210を中心とする縦9画素及び横9画素の画素ブロックを第1領域と設定する場合、第2画素220を中心とする縦9画素及び横9画素の画素ブロックを第2領域と設定する。
【0024】
第1領域211と第2領域221との相違度D(x,y)は、例えば上記数式(1)のように、第1領域211内の各画素の画素値と第2領域221内の対応する画素の画素値との差に基づいて算出される。相違度D(x,y)は、第1領域211の画像構造がどのくらい第2領域221の画像構造と相違しているかを表す。第1領域211の画像構造が第2領域221の画像構造と相違しているほど、相違度D(x,y)は、より大きい値になる。言い換えると、第1領域211の画像構造が第2領域221の画像構造と類似しているほど、相違度D(x,y)は、より小さい値になる。
【0025】
なお、相違度D(x,y)は、数式(1)に限らず、下記の数式(2)、数式(3)又は数式(4)などに従って算出されてもよい。
【0026】
【数2】
【0027】
【数3】
【0028】
【数4】
【0029】
重み算出部103は、相違度が小さいほど重みがより大きい値になるように、第2画素220に割り当てる重みを決定する。一例では、第2画素220に割り当てる重みw(x,y)は、下記数式(5)に従って算出される。
【0030】
【数5】
【0031】
ここで、hは設計者が適宜に設定する定数である。さらに、Z(x)は下記数式(6)に従って算出される。
【0032】
【数6】
【0033】
数式(6)において、Ω(x)は、探索領域230内の第2画素220の位置を表す位置ベクトルの集合である。
【0034】
このように、第2領域221の画像構造が第1領域211の画像構造と相違しているほど、その第2領域221内の所定位置(例えば、中心)の第2画素220に小さな重みが割り当てられる。即ち、第2領域221の画像構造が第1領域211の画像構造と類似しているほど、その第2領域221内の所定位置の第2画素220に大きな重みが割り当てられる。
【0035】
画素値算出部104は、第2画素220に割り当てられた重みを、対象画像150内で第2画素220と同じ位置にある画素(第3画素ともいう)に適用して、第3画素の画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出する。例えば、出力画素値は、下記数式(7)に従って算出される。
【0036】
【数7】
【0037】
ここで、I(y)は、位置ベクトルyで特定される対象画像150内の画素の画素値であり、I0(x)は、位置ベクトルxで特定される出力画像154内の画素の画素値である。
【0038】
上記構成を備える画像処理装置100は、対象画像150からノイズの少ない参照画像151を生成し、この参照画像151を用いて領域間の相違度を算出する。これにより、ノイズの影響が抑制され、領域間の相違度を正しく算出することができる。この結果、画像処理装置100は、対象画像150に対し平滑化を適切に行うことができるようになり、対象画像150からノイズを効果的に除去若しくは低減することができる。
【0039】
なお、第1画素210又は第2画素220が参照画像151の端部に(例えば、左上の隅に)位置する画素である場合、第1領域211又は第2領域221は、参照画像151の外側の領域を含む。参照画像151の外側の領域には、画素が配置されていないので、第1領域211又は第2領域221は、参照画像151の外側の領域に対応する画素位置に画素値を持たない。このような場合、参照画像151の外側の領域が参照画像151の端部と連続していると仮定し、参照画像151の外側の領域に参照画像151の端部の画素値を割り当ててもよい。或いは、参照画像151の鏡像を用いて、参照画像151の外側の領域に画素値を割り当ててもよい。さらに或いは、第1領域211又は第2領域221が参照画像151内に収まるように、第1領域211又は第2領域221を変形してもよい。さらに、第1領域211又は第2領域221が参照画像151内に収まるように、参照画像151の端部の画素をノイズ除去処理の対象から除外してもよい。
【0040】
次に、画像処理装置100の動作について説明する。
図3は、画像処理装置100が実行する画像処理の手順を概略的に示している。対象画像150が参照画像生成部101及び画素値算出部104に入力されると、図3に示される画像処理が開始する。
【0041】
ステップS301では、参照画像生成部101は、対象画像150のノイズを低減した参照画像151を生成する。具体的には、参照画像生成部101は、(1)対象画像150の信号成分が含まれる第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び(2)対象画像150のノイズ成分が含まれる第2の周波数帯域のパワーを下げること、のうちの少なくとも一方を行うことにより、対象画像150から参照画像151を生成する。
【0042】
ステップS302では、相違度算出部102は、参照画像151内の第1画素210を含む第1領域211と参照画像151内の第2画素220を含む第2領域221との間の相違度を算出する。具体的には、まず、対象画像150から1つの画素が注目画素として選択される。続いて、注目画素と同じ位置にある参照画像151内の画素210が第1画素として選択され、参照画像151内の探索領域230から1つの画素が第2画素220として選択される。続いて、第1画素210を中心とする第1領域211と第2画素220を中心とする第2領域221との間の相違度D(x,y)が、例えば上記数式(1)に従って算出される。
【0043】
ステップS303では、重み算出部103は、ステップS302で算出された相違度から重みを算出する。具体的には、重みw(x,y)は、上記数式(5)に従って算出される。算出された重みは、第2領域221の中心に位置する第2画素220に割り当てられる。
【0044】
ステップS304では、探索領域230内の全ての画素を処理したか否かが判断される。未処理の画素が残っている場合、ステップS302に戻る。ステップS302に戻ると、探索領域230から1つの未処理の画素が第2画素220として選択される。そして、ステップS302の処理及びステップS303の処理が実行される。このようにして、探索領域230内の全ての画素が処理されるまで、ステップS302の処理及びステップS303の処理が繰り返し実行される。探索領域230内の全ての画素を処理し終えると、ステップS305に進む。
【0045】
なお、上記数式(6)に示される値Z(x)は、探索領域230内の全ての画素について相違度を算出し終えた後に算出することができるものである。このため、実際の計算では、例えば、初めは数式(5)のZ(x)を1としておき、探索領域230内の全ての画素について相違度及び重みを算出し、それらを逐次加算することで値Z(x)を算出する。その後に、既に算出されている重みをZ(x)で割ることで、加算平均の際に用いる重みを得る。或いは、探索領域230内の全ての画素について相違度を算出した後に、加算平均の際に用いる重みを数式(5)に従って算出するようにしてもよい。
【0046】
ステップS305では、画素値算出部104は、複数の第2画素のそれぞれに割り当てられた重みを、複数の第2画素のそれぞれと同じ位置にある対象画像150内の複数の第3画素にそれぞれ適用して、複数の第3画素の画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出する。出力画素値は、例えば上記数式(7)に従って算出される。
【0047】
ステップS306では、対象画像150内の全ての画素を処理したか否かが判断される。未処理の画素が残っている場合、ステップS302に戻る。ステップS302に戻ると、対象画像150内の未処理の画素が新たな注目画素として選択され、この注目画素と同じ位置にある参照画像151内の画素が新たな第1画素210として選択される。その後、ステップS302からステップS305の処理が実行される。対象画像150内の全ての画素を処理し終えると、画像処理は終了する。
【0048】
このようにして、画像処理装置100においては、対象画像150とは別に撮影された参照画像を必要とせず、1台の撮像装置(例えば、デジタルカメラなど)で撮影した1枚の対象画像150から、ノイズを効果的に除去若しくは低減することができる。
【0049】
以上のように、第1の実施形態に係る画像処理装置100は、(1)対象画像の信号成分を含む第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び(2)対象画像のノイズ成分を含む第2の周波数帯域のパワーを下げること、の少なくとも一方を対象画像に対して行うことにより、対象画像よりもノイズの少ない参照画像を生成し、この参照画像を用いて領域間の相違度を算出している。これにより、ノイズの影響が抑制され、領域間の相違度を正しく算出することができる。その結果、画像処理装置100は、対象画像150に対し平滑化を適切に行うことができるようになり、1枚の対象画像からノイズを効果的に除去若しくは低減することができる。
【0050】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る画像処理装置400を概略的に示している。この画像処理装置400は、図4に示されるように、参照画像生成部401、相違度算出部102、重み算出部103、画素値算出部104、及び周波数帯域設定部402を備える。図4において、図1に示した符号と同様の符号を同一部分、同一箇所に付してその説明を省略する。また、図4の参照画像生成部401は図1の参照画像生成部101にほとんど同じ動作を行うので、参照画像生成部401については参照画像生成部101と異なる動作を中心に説明する。
【0051】
周波数帯域設定部402には、対象画像150に含まれる周期的な繰り返し構造を示す構造情報451が供給される。構造情報451は、対象画像150の周期パターンに関する情報、例えば、周期的な繰り返し構造における繰り返し単位の大きさ及び繰り返し周期などの情報を含むことができる。周波数帯域設定部402は、構造情報451に従って、対象画像150の周期的な繰り返し構造が含まれる周波数帯域を決定する。決定された周波数帯域を示す周波数帯域情報450は、参照画像生成部401へ送られる。
【0052】
参照画像生成部401は、周波数帯域情報450に従って、対象画像150のノイズを低減した参照画像151を生成する。具体的には、参照画像生成部401は、ノイズを低減するために、(1)周波数帯域情報450により指定される周波数帯域のパワーを上げること、及び(2)周波数帯域情報450により指定される周波数帯域とは異なる周波数帯域のパワーを下げること、の少なくとも一方を対象画像150に対して行う。このノイズ低減処理は、例えば、以下に例示するバンドパスフィルタを用いて対象画像150をフィルタリングすることで実行される。以下では、周波数帯域情報450により指定される周波数帯域、即ち、対象画像150の周期的な繰り返し構造が含まれる周波数帯域を第1の周波数帯域と呼び、第1の周波数帯域と異なる周波数帯域を第2の周波数帯域と呼ぶ。一例では、第2の周波数帯域は、第1の周波数帯域より高い周波数帯域である。
【0053】
一例では、バンドパスフィルタは、第1の周波数帯域のパワーを上げ、且つ、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタである。このバンドパスフィルタは、例えば、平滑化フィルタと強調フィルタとを組み合わせて用いることにより実現することができる。平滑化フィルタとしては、ガウシアンフィルタ、移動平均フィルタ、バイラテラルフィルタ、εフィルタなどを利用することができる。ガウシアンフィルタは、異方性を有するものであってもよい。平滑化フィルタは、周波数応答を設定するためのパラメータを有する。このパラメータを調整することにより、第2の周波数帯域のパワーを下げる周波数応答を持つフィルタを設計することができる。例えば、平滑化フィルタとしてガウシアンフィルタを使用する場合、ガウス関数の標準偏差を調整することにより所望の周波数応答を得ることができる。
強調フィルタとしては、鮮鋭化フィルタ、アンシャープマスクなどを利用することができる。強調フィルタは、周波数応答を設定するためのパラメータを有する。このパラメータを調整することにより、第1の周波数帯域のパワーを上げる周波数応答を有するフィルタを設計することができる。例えば、強調フィルタとして鮮鋭化フィルタを使用する場合、フィルタ係数の乗数を調整することにより所望の周波数応答を得ることができる。
なお、バンドパスフィルタは、平滑化フィルタと強調フィルタとの組み合わせて用いる例に限らず、フーリエ変換又はウェーブレット変換などの変換手法により対象画像150を周波数変換し、第1の周波数帯域のパワーを上げて、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタであってもよい。
【0054】
他の例では、バンドパスフィルタは、第1の周波数帯域のパワーを上げるフィルタである。このバンドパスフィルタは、上述のような強調フィルタにより実現することができる。或いは、バンドパスフィルタは、フーリエ変換又はウェーブレット変換などの変換手法により対象画像150を周波数変換し、第1の周波数帯域のパワーを上げるフィルタであってもよい。
【0055】
さらに他の例では、バンドパスフィルタは、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタである。このバンドパスフィルタは、上述のような平滑化フィルタにより実現することができる。或いは、バンドパスフィルタは、フーリエ変換又はウェーブレット変換などの変換手法により対象画像150を周波数変換し、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタであってもよい。
【0056】
バンドパスフィルタとして平滑化フィルタを用いる例について具体的に説明する。説明を簡単にするために、対象画像150が1次元の画像であると仮定する。図5は、1次元の画像である対象画像150のパワースペクトルを概略的に示している。図5では、横軸を周波数とし、縦軸をパワーとしている。対象画像150のパワースペクトルは実線で示され、平滑化後の対象画像150(即ち、参照画像151)のパワースペクトルは一点鎖線で示され、平滑化フィルタの周波数応答は破線で示されている。
【0057】
周波数帯域情報450から対象画像150の画像構造が含まれる第1の周波数帯域がわかるので、この第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域を、ノイズ成分を主に含む周波数帯域と見なすことができる。この例では、周波数帯域情報450により指定される第1の周波数帯域は、0Hz以上、F1Hz以下の周波数帯域であり、第2の周波数帯域は、F1Hzより高い周波数帯域である。図5に示されるような、第2の周波数帯域のパワーを下げる周波数応答を持つ平滑化フィルタを用いて対象画像150をフィルタリングすることにより、対象画像150の構造を維持しつつノイズを効果的に低減した参照画像151を生成することができる。
【0058】
さらに、バンドパスフィルタとして強調フィルタを用いる他の例について具体的に説明する。説明を簡単にするために、対象画像150が1次元の画像であると仮定する。図6は、1次元の画像である対象画像150のパワースペクトルを概略的に示している。図6では、横軸を周波数とし、縦軸をパワーとしている。さらに、対象画像150のパワースペクトルは実線で示され、強調後の対象画像150(即ち、参照画像151)のパワースペクトルは一点鎖線で示され、強調フィルタの周波数応答は破線で示されている。この例では、周波数帯域情報450により指定される第1の周波数帯域は、0Hz以上、F2Hz以下の周波数帯域であり、第2の周波数帯域は、F2Hzより高い周波数帯域である。図6に示されるような、第1の周波数帯域の周波数成分を強調する周波数応答を持つ強調フィルタを用いて対象画像150をフィルタリングすることにより、対象画像150の構造を強調し、ノイズを相対的に低減した参照画像151を生成することができる。
【0059】
次に、画像処理装置400の動作について説明する。
図7は、画像処理装置400が実行する画像処理の手順を概略的に示している。図7のステップS701では、周波数帯域設定部402は、対象画像150に含まれる周期的な繰り返し構造を示す構造情報451に従って、第1の周波数帯域を設定する。なお、構造情報451は、対象画像150に含まれる周期的な繰り返し構造を示す情報である例に限らず、周期的な繰り返し構造が含まれる第1の周波数帯域そのものを示す情報であってもよい。
【0060】
ステップS702では、参照画像生成部401は、周波数帯域情報450に従って、対象画像150のノイズを低減した参照画像151を生成する。具体的には、参照画像生成部401は、(1)周波数帯域情報450により指定される第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び(2)第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域のパワーを下げること、のうちの少なくとも一方を行うことにより、対象画像150から参照画像151を生成する。
【0061】
ステップS702の後に続くステップS703〜S707は、それぞれ図3のステップS302〜S306と同一であるので、ステップS703〜S707についての説明は省略する。
【0062】
以上のように、第2の実施形態に係る画像処理装置400は、対象画像の構造を示す構造情報に従って対象画像の画像構造を含む第1の周波数帯域を設定し、(1)第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び(2)第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域のパワーを下げること、の少なくとも一方を行うことにより、対象画像150から参照画像を生成している。これにより、ノイズがより少ない参照画像を生成することができ、領域間の相違度をより正しく算出することができる。その結果、出力画像を第1の実施形態よりも高画質化することができる。
【0063】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係る画像処理装置800を概略的に示している。この画像処理装置800は、図8に示されるように、参照画像生成部101、相違度算出部802、重み算出部103、画素値算出部104、及び探索領域設定部801を備える。図8において、図1に示した符号と同様の符号を同一部分、同一箇所に付してその説明を省略する。また、図8の相違度算出部802は図1の相違度算出部102とほとんど同じ動作を行うので、相違度算出部802については相違度算出部102と異なる動作を中心に説明する。
【0064】
探索領域設定部801には、対象画像150に含まれる周期的な繰り返し構造を示す構造情報451が供給される。構造情報451は、前述したように、対象画像150の周期パターンに関する情報、例えば、対象画像150の周期的な繰り返し構造における繰り返し単位の大きさ及び繰り返し周期などを含む。さらに、探索領域設定部801には、第1画素210及び第1領域211の少なくとも一方の位置(座標)を示す位置情報852が相違度算出部802から与えられる。探索領域設定部801は、構造情報451を参照して、第1領域211と同一の構造又は似た構造を持つ領域を探索領域として設定する。設定した探索領域を示す探索領域情報851は、相違度算出部802へ与えられる。相違度算出部802は、探索領域情報851に従って、参照画像151に探索領域を定める。
【0065】
図9を参照して、探索領域設定部801が探索領域を設定する方法を具体的に説明する。
図9は、対象画像150が周期的な繰り返し構造を持つ場合において、探索領域を設定する方法を例示している。図9の対象画像150は、横方向に長い領域901が縦方向に周期的に並んだ構造を有する。注目画素902は、参照画像151内の第1画素210に対応し、局所領域903は、参照画像151の第1領域211に対応する。注目画素902が領域901内の画素である場合、領域901と同一の構造又は似た構造を持つ領域904が探索領域として設定される。図9では、領域904は斜線を施されている。探索領域は、図9に示される領域904である例に限定されない。探索領域は、図9の領域904を横方向に拡大した領域であってもよく、上下方向に位置する他の領域901に設定されてもよい。
【0066】
なお、周期的な繰り返し構造は、図9に示される横長の領域901が縦方向に並んだ構造に限定されず、周期的な繰り返しを定義可能な構造であればいかなるものであってもよい。例えば、周期的な繰り返し構造は、縦長の領域が横方向に並んだ構造であってもよく、縦長の領域と横長の領域とが格子状に交差している構造であってもよい。或いは、周期的な繰り返し構造は、渦巻き状の構造又は同心円状の構造であってもよい。
【0067】
次に、画像処理装置800の動作について説明する。
【0068】
図10は、画像処理装置800が実行する画像処理の手順を概略的に示している。図10のステップS1001では、参照画像生成部101は、対象画像150のノイズを低減した参照画像151を生成する。ステップS1001の処理は、図3のステップS301の処理と同じなので、詳細な説明を省略する。
【0069】
ステップS1002では、探索領域設定部801は、構造情報451に従って探索領域を設定する。具体的には、まず、対象画像150から1つの画素902が注目画素として選択される。探索領域設定部801は、上述したように、注目画素902を含む領域903と同一の構造又は似た構造を持つ領域904を探索領域として定め、この探索領域904の位置を示す探索領域情報851を相違度算出部802に送る。
【0070】
ステップS1003では、相違度算出部102は、参照画像151内の第1領域211と参照画像151内の第2領域221との間の相違度を算出する。具体的には、まず、注目画素902と同じ位置にある参照画像151内の画素210が第1画素として選択される。続いて、相違度算出部102は、探索領域設定部801から受け取った探索領域情報851に従って、参照画像151に探索領域230を設定する。設定された探索領域230から1つの画素が第2画素220として選択される。その後に、第1画素210を中心とする第1領域211と第2画素220を中心とする第2領域221との間の相違度D(x,y)が、例えば上記数式(1)に従って算出される。
【0071】
ステップS1003に後に続くステップS1004〜S1007は、それぞれ図3のステップS303〜S306と同一であるので、ステップS1004〜S1007についての説明は省略する。
【0072】
以上のように、第3の実施形態に係る画像処理装置800は、対象画像の構造を示す構造情報に従って探索領域を設定することにより、第1領域と画像構造が同一又は似ている領域を効率的に探索することができる。これにより、探索領域に含まれる画素の数が低減されるので、相違度及び出力画素値を計算するコストを低減することができる。さらに、探索領域を第1領域と画像構造が同一又は似ている領域に限定することができるので、ノイズの影響をより効果的に抑制することができ、その結果、出力画像を第1の実施形態よりも高画質化することができる。
【0073】
(第4の実施形態)
第2及び第3の実施形態に係る画像処理装置では、装置外部から構造情報が供給される。これに対し、第4の実施形態に係る画像処理装置は、対象画像に基づいて構造情報を取得する。
【0074】
図11は、第4の実施形態に係る画像処理装置1100を概略的に示している。図11の画像処理装置1100は、図4の画像処理装置400の構成に追加して、構造情報取得部1101及び構造情報記憶部1102を備える。図11において、図4に示した符号と同様の符号を同一部分、同一箇所に付してその説明を省略する。
【0075】
構造情報記憶部1102は、予め用意される複数の学習画像を、これら学習画像に含まれる周期的な繰り返し構造をそれぞれ示す参照構造情報とともに記憶している。構造情報取得部1101は、対象画像150で構造情報記憶部1102を参照して、対象画像150に対応する学習画像を選定し、選定した学習画像に対応付けられている参照構造情報1150を取得する。構造情報取得部1101は、取得した参照構造情報1150を構造情報451として出力する。
【0076】
このようにして、第4の実施形態に係る画像処理装置1100は、対象画像150から、この対象画像150に含まれる周期的な繰り返し構造を示す構造情報451を取得することができる。なお、第4の実施形態では、構造情報取得部1101及び構造情報記憶部1102を第2の実施形態に係る画像処理装置400に追加した例を説明したが、第3の実施形態に係る画像処理装置800に、これら構造情報取得部1101及び構造情報記憶部1102が設けられてもよい。
【0077】
上述した実施形態の各々に係る画像処理装置は、例えば、汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることで実現することも可能である。即ち、参照画像生成部、相違度算出部、重み算出部、画素値算出部、周波数帯域設定部、探索領域設定部、及び構造情報取得部は、上記のコンピュータ装置に搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現することができる。このとき、画像処理装置は、上記のプログラムをコンピュータ装置に予めインストールすることで実現してもよいし、CD−ROMなどの記憶媒体に記憶して或いはネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータ装置に適宜インストールすることで実現してもよい。また。構造情報記憶部は、上記のコンピュータ装置に内蔵或いは外付けされたメモリ、ハードディスクドライブ若しくはCD−R、CD−RW、DVD−RAM、DVD−Rなどの記憶媒体などを適宜利用して実現することができる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
100…画像処理装置、101…参照画像生成部、102…相違度算出部、103…重み算出部、104…画素値算出部、150…対象画像(入力画像)、151…参照画像、154…出力画像、210…第1画素、211…第1領域、220…第2画素、221…第2領域、230…探索領域、400…画像処理装置、401…参照画像生成部、402…周波数帯域設定部、450…構造情報、800…画像処理装置、801…探索領域設定部、802…相違度算出部、1100…画像処理装置、1101…構造情報取得部、1102…構造情報記憶部。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの撮像装置で取得された画像にランダムに発生するノイズを低減する画像処理技術として、Non−local Means法と呼ばれるアルゴリズムが知られている。Non−local Means法は、処理対象の画素(以下、注目画素と呼ぶ)を中心とするブロック(以下、注目ブロックという)と、注目画素の周辺にある画素(以下、周辺画素という)を中心とするブロック(以下、周辺ブロックという)との間の相違度に応じた重みにより、周辺画素の画素値を加重平均し、注目画素の画素値を加重平均の結果得られた画素値に置き換える(非特許文献1参照)。しかしながら、Non−local Means法では、ノイズが重畳している画像で相違度を算出するので、ノイズの影響を受けて相違度が正しく算出されないことがある。その結果、ノイズ除去後の画像に過剰な平滑化やアーチファクト(artifact)が発生することがある。
【0003】
さらに、ノイズを除去する画像(対象画像)とは別に撮影したノイズの少ない画像(参照画像)で相違度を算出する手法が開示されている(非特許文献2参照)。この手法では、低照度の環境において通常のカメラでフラッシュを焚かずに撮影した画像を対象画像として用い、同じシーンを近赤外線カメラで撮影した画像を参照画像として用いる。ノイズの少ない参照画像で相違度を算出するので、相違度を正しく算出することができ、その結果、対象画像から効果的にノイズを除去することができる。しかしながら、対象画像とは別に特殊な撮像装置を用いて参照画像を撮影する必要があるという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】A. Buades, B. Coll, and J. M. Morel, ”A Non Local Algorithm for Image Denoising” Proc. IEEE Int. Conf. on Computer Vision and Pattern Recognition, vol.2, pp.60-65, 2005.
【非特許文献2】Sousuke Matsui, Takahiro Okabe, Mihoko Shimano, Yoichi Sato, “Image Enhancement of Low-Light Scenes with Near-Infrared Flash Images”, IPSJ Trans., vol.2, pp.215-223, 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像処理技術においては、対象画像と同じシーンを撮影した参照画像を必要とすることなく、1枚の対象画像からノイズを効果的に除去できることが求められている。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、1枚の画像からノイズを効果的に低減することができる画像処理装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る画像処理装置は、参照画像生成部、相違度算出部、重み算出部、及び画素値算出部を備える。参照画像生成部は、入力された対象画像の信号成分が含まれる第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び該対象画像のノイズ成分が含まれる第2の周波数帯域のパワーを下げることの少なくとも一方を行うことにより、該対象画像から参照画像を生成する。相違度算出部は、前記参照画像内の第1領域と、前記参照画像内の複数の第2領域のそれぞれとの間の相違度を算出する。前記第1領域は第1画素を含み、前記複数の第2領域は複数の第2画素をそれぞれ1つ含む。重み算出部は、前記相違度が小さいほど大きくなる重みを前記複数の第2領域のそれぞれについて算出し、該重みを前記複数の第2画素のそれぞれに割り当てる。画素値算出部は、複数の前記重みを、前記複数の第2画素のそれぞれと同じ位置にある前記対象画像内の複数の第3画素にそれぞれ適用して、該複数の第3画素の画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る画像処理装置を概略的に示すブロック図。
【図2】図1に示した相違度算出部が相違度を算出する方法を説明する図。
【図3】図1に示した画像処理装置の動作例を示すフローチャート。
【図4】第2の実施形態に係る画像処理装置を概略的に示すブロック図。
【図5】図1に示した参照画像生成部が用いるバンドパスフィルタが平滑化フィルタである場合において、このバンドパスフィルタの周波数応答を概略的に示すグラフ。
【図6】図1に示した参照画像生成部が用いるバンドパスフィルタが強調フィルタである場合において、このバンドパスフィルタの周波数応答を概略的に示すグラフ。
【図7】図4に示した画像処理装置の動作例を示すフローチャート。
【図8】第3の実施形態に係る画像処理装置を概略的に示すブロック図。
【図9】図8に示した探索領域設定部が探索領域を設定する方法を説明する図。
【図10】図8に示した画像処理装置の動作例を示すフローチャート。
【図11】第4の実施形態に係る画像処理装置を概略的に示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、必要に応じて図面を参照しながら、実施形態に係る画像処理装置、方法及びプログラムを説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る画像処理装置100を概略的に示している。この画像処理装置100は、図1に示されるように、参照画像生成部101、相違度算出部102、重み算出部103、及び画素値算出部104を備える。画像処理装置100において、処理すべき画像150は、参照画像生成部101及び画素値算出部104へ入力される。ここでは、処理すべき画像150を対象画像と呼ぶ。本実施形態では、説明を簡単にするために、対象画像150を構成する複数の画素の各々が1つの画素値を保持すると仮定する。なお、カラー画像のように各画素が複数の画素値(例えば、赤色、緑色及び青色の画素値)を保持する画像にも本実施形態を適用できることは明らかである。
【0011】
参照画像生成部101は、対象画像150から、この対象画像150に重畳しているノイズを低減した参照画像151を生成する。相違度算出部102は、参照画像151内の第1画素を含む第1領域と参照画像151内の第2画素を含む第2領域との間の相違度を算出する。相違度を示す相違度情報152は、重み算出部103へ送られる。重み算出部103は、相違度に応じて、第2画素に割り当てる重みを算出する。第2画素に割り当てられた重みを示す重み情報153は、画素値算出部104へ送られる。画素値算出部104は、第2画素の重みを用いて、対象画像150内で第2画素と同じ位置にある画素が保持する画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出する。画素値算出部104は、第1画素と同じ位置にある対象画像150内の画素の画素値を算出した出力画素値に置き換えた出力画像154を生成する。
【0012】
次に、画像処理装置100内の各部をより詳細に説明する。
参照画像生成部101は、対象画像150のノイズを低減した参照画像151を生成する。具体的には、参照画像生成部101は、ノイズを低減するために、(1)対象画像150の信号成分が含まれる周波数帯域のパワーを上げること、及び(2)対象画像150のノイズ成分が含まれる周波数帯域のパワーを下げること、の少なくとも一方を対象画像150に対して行う。このノイズ低減処理は、例えば、以下に例示するバンドパスフィルタを用いて対象画像150をフィルタリングすることで実行される。本実施形態では、対象画像150の信号成分が含まれる周波数帯域を第1の周波数帯域と呼び、対象画像150のノイズ成分が含まれる周波数帯域を第2の周波数帯域と呼ぶ。なお、第1の周波数帯域にノイズ成分が含まれることもあり、また、第2の周波数帯域に信号成分が含まれることもあることに留意されたい。
【0013】
一例では、バンドパスフィルタは、第1の周波数帯域のパワーを上げ、且つ、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタである。ここで、周波数帯域のパワーを下げるとは、この周波数帯域のパワーをより低い値にすることを意味し、この周波数帯域中の全部又は一部の帯域のパワーをゼロにすることを含む。このバンドパスフィルタは、例えば、平滑化フィルタと強調フィルタとを組み合わせて用いることにより実現することができる。平滑化フィルタとしては、ガウシアンフィルタ、移動平均フィルタ、バイラテラルフィルタ、εフィルタなどを利用することができる。ガウシアンフィルタは、異方性を有するものであってもよい。強調フィルタとしては、鮮鋭化フィルタ、アンシャープマスクなどを利用することができる。なお、バンドパスフィルタは、平滑化フィルタと強調フィルタとの組み合わせて用いる例に限らず、フーリエ変換又はウェーブレット変換などの変換手法により対象画像150を周波数変換し、第1の周波数帯域のパワーを上げて、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタであってもよい。
【0014】
他の例では、バンドパスフィルタは、第1の周波数帯域のパワーを上げるフィルタである。このバンドパスフィルタは、強調フィルタにより実現することができる。強調フィルタとしては、鮮鋭化フィルタ、アンシャープマスクなどを利用することができる。或いは、バンドパスフィルタは、フーリエ変換又はウェーブレット変換などの変換手法により対象画像150を周波数変換し、第1の周波数帯域のパワーを上げるフィルタであってもよい。
【0015】
さらに他の例では、バンドパスフィルタは、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタである。このバンドパスフィルタは、例えば、平滑化フィルタにより実現することができる。或いは、バンドパスフィルタは、フーリエ変換又はウェーブレット変換などの変換手法により対象画像150を周波数変換し、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタであってもよい。
【0016】
参照画像生成部101では、対象画像150の信号成分が含まれる第1の周波数帯域のパワーを上げ、且つ、対象画像150のノイズ成分が含まれる第2の周波数帯域のパワーを下げるバンドパスフィルタを用いる場合、対象画像150の構造を維持しつつノイズを効果的に低減した参照画像151を生成することができる。また、第1の周波数帯域のパワーを上げるバンドパスフィルタを用いる場合、対象画像150の構造を強調し、ノイズを相対的に低減した参照画像151を生成することができる。また、第2の周波数帯域のパワーを下げるバンドパスフィルタを用いる場合、ノイズを効果的に低減した参照画像151を生成することができる。上記のいずれの場合にも、1枚の対象画像150から、対象画像150よりもノイズが低減している参照画像151を得ることができる。
【0017】
相違度算出部102は、参照画像151内の第1画素を含む第1領域と参照画像151内の第2画素を含む第2領域との間の相違度を算出する。相違度算出部102は、ノイズの少ない参照画像151を用いて領域間の相違度を算出するので、ノイズの影響を受けることなく、第1領域と第2領域との間の相違度を正しく算出することができる。第1領域と第2領域との間の相違度は、例えば下記数式(1)に従って算出される。
【0018】
【数1】
【0019】
ここで、xは第1画素の位置を表す位置ベクトルであり、yは第2画素の位置を表す位置ベクトルであり、ω(x)は第1領域内の画素の位置を表す位置ベクトルの集合である。また、D(x,y)は第1領域と第2領域との間の相違度を表し、IR(z)は位置ベクトルzで特定される参照画像151内の画素が保持している画素値を表す。さらに、aは設計者が適宜に設定する定数である。
【0020】
図2を参照して相違度を算出する方法を具体的に説明する。ここでは、対象画像150内のある画素が処理対象になっている場合を説明する。この処理対象の画素を注目画素と呼ぶ。図2に示される参照画像151内の画素210は、対象画像150内の注目画素と同じ座標に位置する画素である。この画素210を第1画素と呼ぶ。参照画像151には、例えば第1画素210の位置(座標)に応じて、探索領域230が設定される。図2では、探索領域230は、第1画素210を中心とする矩形領域(画素ブロックともいう)である。さらに、相違度算出部102は、探索領域230から1つの画素220を順次に選択して処理する。探索領域230から選択された画素を第2画素と呼ぶ。なお、探索領域230内に第1画素210が含まれる場合、第1画素210を除いた探索領域230から第2画素220が選択されてもよい。本実施形態では、第1領域は、第1画素210を中心とする矩形領域211であり、第2領域は、第2画素220を中心とする矩形領域221である。
【0021】
探索領域230には複数の画素が含まれているので、相違度算出部102は、第1領域211と複数の第2領域221のそれぞれとの間の相違度を算出する。具体的には、相違度算出部102は、探索領域230から1つの画素を第2画素220として選択し、第1領域211と第2画素220を中心とする第2領域221との間の相違度を算出する処理を繰り返し実行する。
【0022】
なお、参照画像151に設定される探索領域230は、図2に示される第1画素210を中心とする矩形領域である例に限定されない。例えば、探索領域230の中心に第1画素210が位置していなくてもよく、或いは、探索領域230内に第1画素210が含まれていなくてもよい。さらに、探索領域230のサイズ及び形状は適宜に設定することができる。或いは、探索領域230は、参照画像151全体であってもよい。
【0023】
さらに、第1領域211は、図2に示される第1画素210を中心とする矩形領域である例に限定されない。例えば、第1領域211の中心に第1画素210が位置していなくてもよい。さらに、第1領域211のサイズ及び形状は適宜に設定することができる。同様に、第2領域221は、図2に示される第2画素220を中心とする矩形領域である例に限定されない。典型的には、第2領域221は、第1領域211と同じ方法で設定される。例えば、第1画素210を中心とする縦9画素及び横9画素の画素ブロックを第1領域と設定する場合、第2画素220を中心とする縦9画素及び横9画素の画素ブロックを第2領域と設定する。
【0024】
第1領域211と第2領域221との相違度D(x,y)は、例えば上記数式(1)のように、第1領域211内の各画素の画素値と第2領域221内の対応する画素の画素値との差に基づいて算出される。相違度D(x,y)は、第1領域211の画像構造がどのくらい第2領域221の画像構造と相違しているかを表す。第1領域211の画像構造が第2領域221の画像構造と相違しているほど、相違度D(x,y)は、より大きい値になる。言い換えると、第1領域211の画像構造が第2領域221の画像構造と類似しているほど、相違度D(x,y)は、より小さい値になる。
【0025】
なお、相違度D(x,y)は、数式(1)に限らず、下記の数式(2)、数式(3)又は数式(4)などに従って算出されてもよい。
【0026】
【数2】
【0027】
【数3】
【0028】
【数4】
【0029】
重み算出部103は、相違度が小さいほど重みがより大きい値になるように、第2画素220に割り当てる重みを決定する。一例では、第2画素220に割り当てる重みw(x,y)は、下記数式(5)に従って算出される。
【0030】
【数5】
【0031】
ここで、hは設計者が適宜に設定する定数である。さらに、Z(x)は下記数式(6)に従って算出される。
【0032】
【数6】
【0033】
数式(6)において、Ω(x)は、探索領域230内の第2画素220の位置を表す位置ベクトルの集合である。
【0034】
このように、第2領域221の画像構造が第1領域211の画像構造と相違しているほど、その第2領域221内の所定位置(例えば、中心)の第2画素220に小さな重みが割り当てられる。即ち、第2領域221の画像構造が第1領域211の画像構造と類似しているほど、その第2領域221内の所定位置の第2画素220に大きな重みが割り当てられる。
【0035】
画素値算出部104は、第2画素220に割り当てられた重みを、対象画像150内で第2画素220と同じ位置にある画素(第3画素ともいう)に適用して、第3画素の画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出する。例えば、出力画素値は、下記数式(7)に従って算出される。
【0036】
【数7】
【0037】
ここで、I(y)は、位置ベクトルyで特定される対象画像150内の画素の画素値であり、I0(x)は、位置ベクトルxで特定される出力画像154内の画素の画素値である。
【0038】
上記構成を備える画像処理装置100は、対象画像150からノイズの少ない参照画像151を生成し、この参照画像151を用いて領域間の相違度を算出する。これにより、ノイズの影響が抑制され、領域間の相違度を正しく算出することができる。この結果、画像処理装置100は、対象画像150に対し平滑化を適切に行うことができるようになり、対象画像150からノイズを効果的に除去若しくは低減することができる。
【0039】
なお、第1画素210又は第2画素220が参照画像151の端部に(例えば、左上の隅に)位置する画素である場合、第1領域211又は第2領域221は、参照画像151の外側の領域を含む。参照画像151の外側の領域には、画素が配置されていないので、第1領域211又は第2領域221は、参照画像151の外側の領域に対応する画素位置に画素値を持たない。このような場合、参照画像151の外側の領域が参照画像151の端部と連続していると仮定し、参照画像151の外側の領域に参照画像151の端部の画素値を割り当ててもよい。或いは、参照画像151の鏡像を用いて、参照画像151の外側の領域に画素値を割り当ててもよい。さらに或いは、第1領域211又は第2領域221が参照画像151内に収まるように、第1領域211又は第2領域221を変形してもよい。さらに、第1領域211又は第2領域221が参照画像151内に収まるように、参照画像151の端部の画素をノイズ除去処理の対象から除外してもよい。
【0040】
次に、画像処理装置100の動作について説明する。
図3は、画像処理装置100が実行する画像処理の手順を概略的に示している。対象画像150が参照画像生成部101及び画素値算出部104に入力されると、図3に示される画像処理が開始する。
【0041】
ステップS301では、参照画像生成部101は、対象画像150のノイズを低減した参照画像151を生成する。具体的には、参照画像生成部101は、(1)対象画像150の信号成分が含まれる第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び(2)対象画像150のノイズ成分が含まれる第2の周波数帯域のパワーを下げること、のうちの少なくとも一方を行うことにより、対象画像150から参照画像151を生成する。
【0042】
ステップS302では、相違度算出部102は、参照画像151内の第1画素210を含む第1領域211と参照画像151内の第2画素220を含む第2領域221との間の相違度を算出する。具体的には、まず、対象画像150から1つの画素が注目画素として選択される。続いて、注目画素と同じ位置にある参照画像151内の画素210が第1画素として選択され、参照画像151内の探索領域230から1つの画素が第2画素220として選択される。続いて、第1画素210を中心とする第1領域211と第2画素220を中心とする第2領域221との間の相違度D(x,y)が、例えば上記数式(1)に従って算出される。
【0043】
ステップS303では、重み算出部103は、ステップS302で算出された相違度から重みを算出する。具体的には、重みw(x,y)は、上記数式(5)に従って算出される。算出された重みは、第2領域221の中心に位置する第2画素220に割り当てられる。
【0044】
ステップS304では、探索領域230内の全ての画素を処理したか否かが判断される。未処理の画素が残っている場合、ステップS302に戻る。ステップS302に戻ると、探索領域230から1つの未処理の画素が第2画素220として選択される。そして、ステップS302の処理及びステップS303の処理が実行される。このようにして、探索領域230内の全ての画素が処理されるまで、ステップS302の処理及びステップS303の処理が繰り返し実行される。探索領域230内の全ての画素を処理し終えると、ステップS305に進む。
【0045】
なお、上記数式(6)に示される値Z(x)は、探索領域230内の全ての画素について相違度を算出し終えた後に算出することができるものである。このため、実際の計算では、例えば、初めは数式(5)のZ(x)を1としておき、探索領域230内の全ての画素について相違度及び重みを算出し、それらを逐次加算することで値Z(x)を算出する。その後に、既に算出されている重みをZ(x)で割ることで、加算平均の際に用いる重みを得る。或いは、探索領域230内の全ての画素について相違度を算出した後に、加算平均の際に用いる重みを数式(5)に従って算出するようにしてもよい。
【0046】
ステップS305では、画素値算出部104は、複数の第2画素のそれぞれに割り当てられた重みを、複数の第2画素のそれぞれと同じ位置にある対象画像150内の複数の第3画素にそれぞれ適用して、複数の第3画素の画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出する。出力画素値は、例えば上記数式(7)に従って算出される。
【0047】
ステップS306では、対象画像150内の全ての画素を処理したか否かが判断される。未処理の画素が残っている場合、ステップS302に戻る。ステップS302に戻ると、対象画像150内の未処理の画素が新たな注目画素として選択され、この注目画素と同じ位置にある参照画像151内の画素が新たな第1画素210として選択される。その後、ステップS302からステップS305の処理が実行される。対象画像150内の全ての画素を処理し終えると、画像処理は終了する。
【0048】
このようにして、画像処理装置100においては、対象画像150とは別に撮影された参照画像を必要とせず、1台の撮像装置(例えば、デジタルカメラなど)で撮影した1枚の対象画像150から、ノイズを効果的に除去若しくは低減することができる。
【0049】
以上のように、第1の実施形態に係る画像処理装置100は、(1)対象画像の信号成分を含む第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び(2)対象画像のノイズ成分を含む第2の周波数帯域のパワーを下げること、の少なくとも一方を対象画像に対して行うことにより、対象画像よりもノイズの少ない参照画像を生成し、この参照画像を用いて領域間の相違度を算出している。これにより、ノイズの影響が抑制され、領域間の相違度を正しく算出することができる。その結果、画像処理装置100は、対象画像150に対し平滑化を適切に行うことができるようになり、1枚の対象画像からノイズを効果的に除去若しくは低減することができる。
【0050】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る画像処理装置400を概略的に示している。この画像処理装置400は、図4に示されるように、参照画像生成部401、相違度算出部102、重み算出部103、画素値算出部104、及び周波数帯域設定部402を備える。図4において、図1に示した符号と同様の符号を同一部分、同一箇所に付してその説明を省略する。また、図4の参照画像生成部401は図1の参照画像生成部101にほとんど同じ動作を行うので、参照画像生成部401については参照画像生成部101と異なる動作を中心に説明する。
【0051】
周波数帯域設定部402には、対象画像150に含まれる周期的な繰り返し構造を示す構造情報451が供給される。構造情報451は、対象画像150の周期パターンに関する情報、例えば、周期的な繰り返し構造における繰り返し単位の大きさ及び繰り返し周期などの情報を含むことができる。周波数帯域設定部402は、構造情報451に従って、対象画像150の周期的な繰り返し構造が含まれる周波数帯域を決定する。決定された周波数帯域を示す周波数帯域情報450は、参照画像生成部401へ送られる。
【0052】
参照画像生成部401は、周波数帯域情報450に従って、対象画像150のノイズを低減した参照画像151を生成する。具体的には、参照画像生成部401は、ノイズを低減するために、(1)周波数帯域情報450により指定される周波数帯域のパワーを上げること、及び(2)周波数帯域情報450により指定される周波数帯域とは異なる周波数帯域のパワーを下げること、の少なくとも一方を対象画像150に対して行う。このノイズ低減処理は、例えば、以下に例示するバンドパスフィルタを用いて対象画像150をフィルタリングすることで実行される。以下では、周波数帯域情報450により指定される周波数帯域、即ち、対象画像150の周期的な繰り返し構造が含まれる周波数帯域を第1の周波数帯域と呼び、第1の周波数帯域と異なる周波数帯域を第2の周波数帯域と呼ぶ。一例では、第2の周波数帯域は、第1の周波数帯域より高い周波数帯域である。
【0053】
一例では、バンドパスフィルタは、第1の周波数帯域のパワーを上げ、且つ、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタである。このバンドパスフィルタは、例えば、平滑化フィルタと強調フィルタとを組み合わせて用いることにより実現することができる。平滑化フィルタとしては、ガウシアンフィルタ、移動平均フィルタ、バイラテラルフィルタ、εフィルタなどを利用することができる。ガウシアンフィルタは、異方性を有するものであってもよい。平滑化フィルタは、周波数応答を設定するためのパラメータを有する。このパラメータを調整することにより、第2の周波数帯域のパワーを下げる周波数応答を持つフィルタを設計することができる。例えば、平滑化フィルタとしてガウシアンフィルタを使用する場合、ガウス関数の標準偏差を調整することにより所望の周波数応答を得ることができる。
強調フィルタとしては、鮮鋭化フィルタ、アンシャープマスクなどを利用することができる。強調フィルタは、周波数応答を設定するためのパラメータを有する。このパラメータを調整することにより、第1の周波数帯域のパワーを上げる周波数応答を有するフィルタを設計することができる。例えば、強調フィルタとして鮮鋭化フィルタを使用する場合、フィルタ係数の乗数を調整することにより所望の周波数応答を得ることができる。
なお、バンドパスフィルタは、平滑化フィルタと強調フィルタとの組み合わせて用いる例に限らず、フーリエ変換又はウェーブレット変換などの変換手法により対象画像150を周波数変換し、第1の周波数帯域のパワーを上げて、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタであってもよい。
【0054】
他の例では、バンドパスフィルタは、第1の周波数帯域のパワーを上げるフィルタである。このバンドパスフィルタは、上述のような強調フィルタにより実現することができる。或いは、バンドパスフィルタは、フーリエ変換又はウェーブレット変換などの変換手法により対象画像150を周波数変換し、第1の周波数帯域のパワーを上げるフィルタであってもよい。
【0055】
さらに他の例では、バンドパスフィルタは、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタである。このバンドパスフィルタは、上述のような平滑化フィルタにより実現することができる。或いは、バンドパスフィルタは、フーリエ変換又はウェーブレット変換などの変換手法により対象画像150を周波数変換し、第2の周波数帯域のパワーを下げるフィルタであってもよい。
【0056】
バンドパスフィルタとして平滑化フィルタを用いる例について具体的に説明する。説明を簡単にするために、対象画像150が1次元の画像であると仮定する。図5は、1次元の画像である対象画像150のパワースペクトルを概略的に示している。図5では、横軸を周波数とし、縦軸をパワーとしている。対象画像150のパワースペクトルは実線で示され、平滑化後の対象画像150(即ち、参照画像151)のパワースペクトルは一点鎖線で示され、平滑化フィルタの周波数応答は破線で示されている。
【0057】
周波数帯域情報450から対象画像150の画像構造が含まれる第1の周波数帯域がわかるので、この第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域を、ノイズ成分を主に含む周波数帯域と見なすことができる。この例では、周波数帯域情報450により指定される第1の周波数帯域は、0Hz以上、F1Hz以下の周波数帯域であり、第2の周波数帯域は、F1Hzより高い周波数帯域である。図5に示されるような、第2の周波数帯域のパワーを下げる周波数応答を持つ平滑化フィルタを用いて対象画像150をフィルタリングすることにより、対象画像150の構造を維持しつつノイズを効果的に低減した参照画像151を生成することができる。
【0058】
さらに、バンドパスフィルタとして強調フィルタを用いる他の例について具体的に説明する。説明を簡単にするために、対象画像150が1次元の画像であると仮定する。図6は、1次元の画像である対象画像150のパワースペクトルを概略的に示している。図6では、横軸を周波数とし、縦軸をパワーとしている。さらに、対象画像150のパワースペクトルは実線で示され、強調後の対象画像150(即ち、参照画像151)のパワースペクトルは一点鎖線で示され、強調フィルタの周波数応答は破線で示されている。この例では、周波数帯域情報450により指定される第1の周波数帯域は、0Hz以上、F2Hz以下の周波数帯域であり、第2の周波数帯域は、F2Hzより高い周波数帯域である。図6に示されるような、第1の周波数帯域の周波数成分を強調する周波数応答を持つ強調フィルタを用いて対象画像150をフィルタリングすることにより、対象画像150の構造を強調し、ノイズを相対的に低減した参照画像151を生成することができる。
【0059】
次に、画像処理装置400の動作について説明する。
図7は、画像処理装置400が実行する画像処理の手順を概略的に示している。図7のステップS701では、周波数帯域設定部402は、対象画像150に含まれる周期的な繰り返し構造を示す構造情報451に従って、第1の周波数帯域を設定する。なお、構造情報451は、対象画像150に含まれる周期的な繰り返し構造を示す情報である例に限らず、周期的な繰り返し構造が含まれる第1の周波数帯域そのものを示す情報であってもよい。
【0060】
ステップS702では、参照画像生成部401は、周波数帯域情報450に従って、対象画像150のノイズを低減した参照画像151を生成する。具体的には、参照画像生成部401は、(1)周波数帯域情報450により指定される第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び(2)第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域のパワーを下げること、のうちの少なくとも一方を行うことにより、対象画像150から参照画像151を生成する。
【0061】
ステップS702の後に続くステップS703〜S707は、それぞれ図3のステップS302〜S306と同一であるので、ステップS703〜S707についての説明は省略する。
【0062】
以上のように、第2の実施形態に係る画像処理装置400は、対象画像の構造を示す構造情報に従って対象画像の画像構造を含む第1の周波数帯域を設定し、(1)第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び(2)第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域のパワーを下げること、の少なくとも一方を行うことにより、対象画像150から参照画像を生成している。これにより、ノイズがより少ない参照画像を生成することができ、領域間の相違度をより正しく算出することができる。その結果、出力画像を第1の実施形態よりも高画質化することができる。
【0063】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係る画像処理装置800を概略的に示している。この画像処理装置800は、図8に示されるように、参照画像生成部101、相違度算出部802、重み算出部103、画素値算出部104、及び探索領域設定部801を備える。図8において、図1に示した符号と同様の符号を同一部分、同一箇所に付してその説明を省略する。また、図8の相違度算出部802は図1の相違度算出部102とほとんど同じ動作を行うので、相違度算出部802については相違度算出部102と異なる動作を中心に説明する。
【0064】
探索領域設定部801には、対象画像150に含まれる周期的な繰り返し構造を示す構造情報451が供給される。構造情報451は、前述したように、対象画像150の周期パターンに関する情報、例えば、対象画像150の周期的な繰り返し構造における繰り返し単位の大きさ及び繰り返し周期などを含む。さらに、探索領域設定部801には、第1画素210及び第1領域211の少なくとも一方の位置(座標)を示す位置情報852が相違度算出部802から与えられる。探索領域設定部801は、構造情報451を参照して、第1領域211と同一の構造又は似た構造を持つ領域を探索領域として設定する。設定した探索領域を示す探索領域情報851は、相違度算出部802へ与えられる。相違度算出部802は、探索領域情報851に従って、参照画像151に探索領域を定める。
【0065】
図9を参照して、探索領域設定部801が探索領域を設定する方法を具体的に説明する。
図9は、対象画像150が周期的な繰り返し構造を持つ場合において、探索領域を設定する方法を例示している。図9の対象画像150は、横方向に長い領域901が縦方向に周期的に並んだ構造を有する。注目画素902は、参照画像151内の第1画素210に対応し、局所領域903は、参照画像151の第1領域211に対応する。注目画素902が領域901内の画素である場合、領域901と同一の構造又は似た構造を持つ領域904が探索領域として設定される。図9では、領域904は斜線を施されている。探索領域は、図9に示される領域904である例に限定されない。探索領域は、図9の領域904を横方向に拡大した領域であってもよく、上下方向に位置する他の領域901に設定されてもよい。
【0066】
なお、周期的な繰り返し構造は、図9に示される横長の領域901が縦方向に並んだ構造に限定されず、周期的な繰り返しを定義可能な構造であればいかなるものであってもよい。例えば、周期的な繰り返し構造は、縦長の領域が横方向に並んだ構造であってもよく、縦長の領域と横長の領域とが格子状に交差している構造であってもよい。或いは、周期的な繰り返し構造は、渦巻き状の構造又は同心円状の構造であってもよい。
【0067】
次に、画像処理装置800の動作について説明する。
【0068】
図10は、画像処理装置800が実行する画像処理の手順を概略的に示している。図10のステップS1001では、参照画像生成部101は、対象画像150のノイズを低減した参照画像151を生成する。ステップS1001の処理は、図3のステップS301の処理と同じなので、詳細な説明を省略する。
【0069】
ステップS1002では、探索領域設定部801は、構造情報451に従って探索領域を設定する。具体的には、まず、対象画像150から1つの画素902が注目画素として選択される。探索領域設定部801は、上述したように、注目画素902を含む領域903と同一の構造又は似た構造を持つ領域904を探索領域として定め、この探索領域904の位置を示す探索領域情報851を相違度算出部802に送る。
【0070】
ステップS1003では、相違度算出部102は、参照画像151内の第1領域211と参照画像151内の第2領域221との間の相違度を算出する。具体的には、まず、注目画素902と同じ位置にある参照画像151内の画素210が第1画素として選択される。続いて、相違度算出部102は、探索領域設定部801から受け取った探索領域情報851に従って、参照画像151に探索領域230を設定する。設定された探索領域230から1つの画素が第2画素220として選択される。その後に、第1画素210を中心とする第1領域211と第2画素220を中心とする第2領域221との間の相違度D(x,y)が、例えば上記数式(1)に従って算出される。
【0071】
ステップS1003に後に続くステップS1004〜S1007は、それぞれ図3のステップS303〜S306と同一であるので、ステップS1004〜S1007についての説明は省略する。
【0072】
以上のように、第3の実施形態に係る画像処理装置800は、対象画像の構造を示す構造情報に従って探索領域を設定することにより、第1領域と画像構造が同一又は似ている領域を効率的に探索することができる。これにより、探索領域に含まれる画素の数が低減されるので、相違度及び出力画素値を計算するコストを低減することができる。さらに、探索領域を第1領域と画像構造が同一又は似ている領域に限定することができるので、ノイズの影響をより効果的に抑制することができ、その結果、出力画像を第1の実施形態よりも高画質化することができる。
【0073】
(第4の実施形態)
第2及び第3の実施形態に係る画像処理装置では、装置外部から構造情報が供給される。これに対し、第4の実施形態に係る画像処理装置は、対象画像に基づいて構造情報を取得する。
【0074】
図11は、第4の実施形態に係る画像処理装置1100を概略的に示している。図11の画像処理装置1100は、図4の画像処理装置400の構成に追加して、構造情報取得部1101及び構造情報記憶部1102を備える。図11において、図4に示した符号と同様の符号を同一部分、同一箇所に付してその説明を省略する。
【0075】
構造情報記憶部1102は、予め用意される複数の学習画像を、これら学習画像に含まれる周期的な繰り返し構造をそれぞれ示す参照構造情報とともに記憶している。構造情報取得部1101は、対象画像150で構造情報記憶部1102を参照して、対象画像150に対応する学習画像を選定し、選定した学習画像に対応付けられている参照構造情報1150を取得する。構造情報取得部1101は、取得した参照構造情報1150を構造情報451として出力する。
【0076】
このようにして、第4の実施形態に係る画像処理装置1100は、対象画像150から、この対象画像150に含まれる周期的な繰り返し構造を示す構造情報451を取得することができる。なお、第4の実施形態では、構造情報取得部1101及び構造情報記憶部1102を第2の実施形態に係る画像処理装置400に追加した例を説明したが、第3の実施形態に係る画像処理装置800に、これら構造情報取得部1101及び構造情報記憶部1102が設けられてもよい。
【0077】
上述した実施形態の各々に係る画像処理装置は、例えば、汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることで実現することも可能である。即ち、参照画像生成部、相違度算出部、重み算出部、画素値算出部、周波数帯域設定部、探索領域設定部、及び構造情報取得部は、上記のコンピュータ装置に搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現することができる。このとき、画像処理装置は、上記のプログラムをコンピュータ装置に予めインストールすることで実現してもよいし、CD−ROMなどの記憶媒体に記憶して或いはネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータ装置に適宜インストールすることで実現してもよい。また。構造情報記憶部は、上記のコンピュータ装置に内蔵或いは外付けされたメモリ、ハードディスクドライブ若しくはCD−R、CD−RW、DVD−RAM、DVD−Rなどの記憶媒体などを適宜利用して実現することができる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
100…画像処理装置、101…参照画像生成部、102…相違度算出部、103…重み算出部、104…画素値算出部、150…対象画像(入力画像)、151…参照画像、154…出力画像、210…第1画素、211…第1領域、220…第2画素、221…第2領域、230…探索領域、400…画像処理装置、401…参照画像生成部、402…周波数帯域設定部、450…構造情報、800…画像処理装置、801…探索領域設定部、802…相違度算出部、1100…画像処理装置、1101…構造情報取得部、1102…構造情報記憶部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された対象画像の信号成分が含まれる第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び該対象画像のノイズ成分が含まれる第2の周波数帯域のパワーを下げることの少なくとも一方を行うことにより、該対象画像から参照画像を生成する参照画像生成部と、
前記参照画像内の第1領域と、前記参照画像内の複数の第2領域のそれぞれとの間の相違度を算出し、前記第1領域は第1画素を含み、前記複数の第2領域は複数の第2画素をそれぞれ1つ含む、相違度算出部と、
前記相違度が小さいほど大きくなる重みを前記複数の第2領域のそれぞれについて算出し、該重みを前記複数の第2画素のそれぞれに割り当てる重み算出部と、
複数の前記重みを、前記複数の第2画素のそれぞれと同じ位置にある前記対象画像内の複数の第3画素にそれぞれ適用して、該複数の第3画素の画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出する画素値算出部と、
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記対象画像に含まれる周期的な繰り返し構造を表す構造情報によって指定される周波数帯域を前記第1の周波数帯域として設定する周波数帯域設定部をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
予め用意される複数の学習画像から前記対象画像に対応する学習画像を選定し、該選定した学習画像に対応付けられている構造情報を請求項2に記載の構造情報として取得する構造情報取得部をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記周波数帯域設定部は、前記第1の周波数帯域より高い周波数帯域を前記第2の周波数帯域に設定する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記対象画像の構造を表す構造情報に従って、前記第1領域の画像構造と同一の構造を持つ探索領域を設定する探索領域設定部をさらに具備し、
前記複数の第2画素は、前記探索領域に含まれる画素である、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記参照画像生成部は、前記第1の周波数帯域のパワーを上げ、且つ、前記第2の周波数帯域のパワーを下げるために、平滑化フィルタと強調フィルタを組み合わせて使用する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記参照画像生成部は、前記第1の周波数帯域のパワーを上げるために強調フィルタを使用する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1画素は、前記第1領域の中心に位置し、前記複数の第2画素はそれぞれ、前記複数の第2領域の中心に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
入力された対象画像の信号成分が含まれる第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び該対象画像のノイズ成分が含まれる第2の周波数帯域のパワーを下げることの少なくとも一方を行うことにより、該対象画像から参照画像を生成することと、
前記参照画像内の第1領域と、前記参照画像内の複数の第2領域のそれぞれとの間の相違度を算出することと、前記第1領域は第1画素を含み、前記複数の第2領域は複数の第2画素をそれぞれ1つ含み、
前記相違度が小さいほど大きくなる重みを前記複数の第2領域のそれぞれについて算出し、該重みを前記複数の第2画素のそれぞれに割り当てることと、
複数の前記重みを、前記複数の第2画素のそれぞれと同じ位置にある前記対象画像内の複数の第3画素にそれぞれ適用して、該複数の第3画素の画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出することと、
を具備することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
入力された対象画像の信号成分が含まれる第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び該対象画像のノイズ成分が含まれる第2の周波数帯域のパワーを下げることの少なくとも一方を行うことにより、該対象画像から参照画像を生成する参照画像生成手段と、
前記参照画像内の第1領域と、前記参照画像内の複数の第2領域のそれぞれとの間の相違度を算出し、前記第1領域は第1画素を含み、前記複数の第2領域は複数の第2画素をそれぞれ1つ含む、相違度算出手段と、
前記相違度が小さいほど大きくなる重みを前記複数の第2領域のそれぞれについて算出し、該重みを前記複数の第2画素のそれぞれに割り当てる重み算出手段と、
複数の前記重みを、前記複数の第2画素のそれぞれと同じ位置にある前記対象画像内の複数の第3画素にそれぞれ適用して、該複数の第3画素の画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出する画素値算出手段として機能させるための画像処理プログラム。
【請求項1】
入力された対象画像の信号成分が含まれる第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び該対象画像のノイズ成分が含まれる第2の周波数帯域のパワーを下げることの少なくとも一方を行うことにより、該対象画像から参照画像を生成する参照画像生成部と、
前記参照画像内の第1領域と、前記参照画像内の複数の第2領域のそれぞれとの間の相違度を算出し、前記第1領域は第1画素を含み、前記複数の第2領域は複数の第2画素をそれぞれ1つ含む、相違度算出部と、
前記相違度が小さいほど大きくなる重みを前記複数の第2領域のそれぞれについて算出し、該重みを前記複数の第2画素のそれぞれに割り当てる重み算出部と、
複数の前記重みを、前記複数の第2画素のそれぞれと同じ位置にある前記対象画像内の複数の第3画素にそれぞれ適用して、該複数の第3画素の画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出する画素値算出部と、
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記対象画像に含まれる周期的な繰り返し構造を表す構造情報によって指定される周波数帯域を前記第1の周波数帯域として設定する周波数帯域設定部をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
予め用意される複数の学習画像から前記対象画像に対応する学習画像を選定し、該選定した学習画像に対応付けられている構造情報を請求項2に記載の構造情報として取得する構造情報取得部をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記周波数帯域設定部は、前記第1の周波数帯域より高い周波数帯域を前記第2の周波数帯域に設定する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記対象画像の構造を表す構造情報に従って、前記第1領域の画像構造と同一の構造を持つ探索領域を設定する探索領域設定部をさらに具備し、
前記複数の第2画素は、前記探索領域に含まれる画素である、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記参照画像生成部は、前記第1の周波数帯域のパワーを上げ、且つ、前記第2の周波数帯域のパワーを下げるために、平滑化フィルタと強調フィルタを組み合わせて使用する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記参照画像生成部は、前記第1の周波数帯域のパワーを上げるために強調フィルタを使用する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1画素は、前記第1領域の中心に位置し、前記複数の第2画素はそれぞれ、前記複数の第2領域の中心に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
入力された対象画像の信号成分が含まれる第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び該対象画像のノイズ成分が含まれる第2の周波数帯域のパワーを下げることの少なくとも一方を行うことにより、該対象画像から参照画像を生成することと、
前記参照画像内の第1領域と、前記参照画像内の複数の第2領域のそれぞれとの間の相違度を算出することと、前記第1領域は第1画素を含み、前記複数の第2領域は複数の第2画素をそれぞれ1つ含み、
前記相違度が小さいほど大きくなる重みを前記複数の第2領域のそれぞれについて算出し、該重みを前記複数の第2画素のそれぞれに割り当てることと、
複数の前記重みを、前記複数の第2画素のそれぞれと同じ位置にある前記対象画像内の複数の第3画素にそれぞれ適用して、該複数の第3画素の画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出することと、
を具備することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
入力された対象画像の信号成分が含まれる第1の周波数帯域のパワーを上げること、及び該対象画像のノイズ成分が含まれる第2の周波数帯域のパワーを下げることの少なくとも一方を行うことにより、該対象画像から参照画像を生成する参照画像生成手段と、
前記参照画像内の第1領域と、前記参照画像内の複数の第2領域のそれぞれとの間の相違度を算出し、前記第1領域は第1画素を含み、前記複数の第2領域は複数の第2画素をそれぞれ1つ含む、相違度算出手段と、
前記相違度が小さいほど大きくなる重みを前記複数の第2領域のそれぞれについて算出し、該重みを前記複数の第2画素のそれぞれに割り当てる重み算出手段と、
複数の前記重みを、前記複数の第2画素のそれぞれと同じ位置にある前記対象画像内の複数の第3画素にそれぞれ適用して、該複数の第3画素の画素値を加重平均することにより、出力画素値を算出する画素値算出手段として機能させるための画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−115697(P2013−115697A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261649(P2011−261649)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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