説明

画像処理装置、画像処理システムおよび画像処理プログラム

【課題】
付加情報となるドット画像が原稿画像と重畳的に合成されても、重なって読み取り不可とならないようにドット画像を生成し、原稿画像に付加情報が埋め込まれた合成画像を生成する画像処理装置、画像処理システムおよび画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】
付加情報受付部20で受け付けた付加情報に基づくドット画像を合成画像生成部30にで生成し、そのドット画像と原稿画像取得部10で取得した原稿画像とが合成された合成画像において抽出できないドットの位置を合成画像生成部30が変更して、変更されたドット画像と原稿画像とが合成されて合成画像が生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システムおよび画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、処理対象画像を取得する画像取得ステップと、埋め込み対象の情報である重畳情報を取得する情報取得ステップと、前記重畳情報を埋め込む位置を決定する埋め込み位置決定ステップと、埋め込みが可能か否かを判定する埋込判定ステップと、埋込判定ステップの結果に応じて画像処理を制御する画像処理制御ステップとを備える、画像処理方法および画像処理装置および画像処理プログラムおよび記録媒体方法が提供されている。 この発明によれば、画像もしくは印刷物への情報埋込について、前記重畳情報が前記処理対象画像の情報と重なり、前記重畳情報が読み出せないと判断されたときには、前記重畳情報の埋め込みが中止される。
【0003】
また、特許文献2には、付加情報を埋め込むセルを生成する2値化セル生成部101と、付加情報を埋め込むセルの諧調値および付加情報のコード値に応じて付加情報を埋め込むセルを2値化するセル2値化部102とを備え、入力された多値の電子画像から、付加情報を埋め込むセルのみが適切な2値化を施された付加情報が埋め込まれた電子画像を得る画像形成装置が提案されている。
【特許文献1】特開2006−345017号公報
【特許文献2】特開2002−135556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、原稿画像の情報に重畳して合成されることにより抽出できなかったドット画像の抽出が行うことができる画像処理装置、画像処理システムおよび画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する為に、請求項1の発明の画像処理装置は、原稿画像を受け付ける原稿受付手段と、前記原稿画像に付与する付加情報に基づいて、1つ以上の画素で構成されるドットが複数配置されたドット画像を生成するドット画像生成手段と、前記ドット画像生成手段で生成されたドット画像と前記原稿画像のそれぞれに対応する位置関係から前記ドット画像のドットが抽出できないときは、前記抽出できないドットの状態を変更する状態変更手段と、前記状態変更手段によりドットの状態を変更したドット画像と前記原稿画像とを重畳して合成画像を生成する合成画像生成手段とを備えるように構成される。
【0006】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記状態変更手段は、前記ドット画像のドットの変更先の位置を記憶する変更位置記憶手段を有し、前記抽出できないときに、前記抽出できないドットの位置を、前記変更位置記憶手段に記憶した前記変更先の位置に変更するように構成される。
【0007】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記変更位置記憶手段は、前記ドットの変更先の位置を画素単位で予め定められた順番に複数記憶しておき、前記状態変更手段は、前記ドットの抽出ができるようになるまで、該ドットの位置を前記順番に基づき変更するように構成される。
【0008】
また、請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記ドットの周辺位置における前記原稿画像の濃度分布を把握する濃度分布把握手段を更に備え、前記状態変更手段は、前記濃度分布把握手段によって把握され前記濃度分布に基づき濃度の低い位置に前記抽出できないドットの位置を移動させるように構成される。
【0009】
また、請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記状態変更手段は、線上の複数のドットの位置を平行移動させるように構成される。
【0010】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記状態変更手段は、前記原稿画像に対して横の線上の複数のドットを前記原稿画像に対する縦方向に移動或いは、前記原稿画像に対して縦の線上の複数のドットを前記原稿画像に対する横方向に移動させるように構成される。
【0011】
また、請求項7の発明は、請求項1の発明において、前記状態変更手段は、前記抽出できないときに、前記抽出できないドットの色を変更する色変更手段を有するように構成される。
【0012】
また、請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記ドット画像生成手段で生成されるドットの色は黒色であり、前記色変更手段は、前記抽出できないドットの色を白色に変更するように構成される。
【0013】
また、請求項9の発明は、請求項1の発明において、前記状態変更手段は、前記抽出できないときに、前記ドットの形状を変更する形状変更手段を有するように構成される。
【0014】
また、請求項10の発明の画像処理システムは、原稿画像を受け付ける原稿受付装置と、ドット生成装置と、判定装置と、画像合成装置とを有し、前記原稿受付装置は、受け付けた原稿画像をドット生成装置に送信する原稿画像送信手段を備え、前記ドット生成装置は、前記原稿画像送信手段で送信された原稿画像に付与する付加情報に基づいて1つ以上の画素で構成されるドットが複数配置されたドット画像を生成するドット画像生成手段を備え、前記判定装置は、前記原稿画像と前記ドット画像のそれぞれに対応する位置関係から前記ドット画像のドットが抽出できるか否かを判定する判定手段を備え、前記ドット生成装置は、前記判定手段で抽出できないと判定されたドットの状態を変更する状態変更手段を更に備え、前記画像合成装置は、前記状態変更手段によりドットの状態を変更したドット画像と前記原稿画像とを重畳して合成画像を生成する合成画像生成手段を備えるように構成される。
【0015】
また、請求項11の発明は、請求項10の発明において、前記合成画像生成手段によって生成された合成画像を印刷する印刷装置を更に備えるように構成される。
【0016】
また、請求項12の発明の画像処理プログラムは、コンピュータを、原稿画像を受け付ける原稿受付手段、前記原稿画像に付与する付加情報に基づいてドット画像を生成するドット画像生成手段、前記ドット画像生成手段で生成されたドット画像と前記原稿画像のそれぞれに対応する位置関係から前記ドット画像のドットが抽出できないときは、該ドットの状態を変更する状態変更手段、前記状態変更手段によりドットの状態を変更したドット画像と前記原稿画像とを重畳して合成画像を生成する合成画像生成手段として機能させるように構成される。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明は、原稿画像の情報に重畳して合成されることにより抽出できなかったドット画像の抽出が行うことができる。
【0018】
また、請求項2の発明は、ドット画像の抽出ができる位置にドット画像が変更できる。
【0019】
また、請求項3の発明は、本発明の構成を有しない場合と比較して、効率良くドット画像の抽出ができる位置にドット画像が変更できる。
【0020】
また、請求項4の発明は、本発明の構成を有しない場合と比較して、効率良くドット画像の抽出ができる位置にドット画像が変更できる。
【0021】
また、請求項5の発明は、本発明の構成を有しない場合と比較して、効率良くドット画像の抽出ができる位置にドット画像が変更できる。
【0022】
また、請求項6の発明は、本発明の構成を有しない場合と比較して、効率良くドット画像の抽出ができる位置にドット画像が変更できる。
【0023】
また、請求項7の発明は、ドット画像の抽出ができる色にドット画像が変更できる。
【0024】
また、請求項8の発明は、ドット画像の抽出ができる色にドット画像が変更できる。
【0025】
また、請求項9の発明は、ドット画像の抽出ができる形状にドット画像が変更できる。 また、請求項10の発明は、原稿画像の情報に重畳して合成されることにより抽出できなかったドット画像の抽出を行うことができる。
【0026】
また、請求項11の発明は、原稿画像の情報に重畳して合成されることにより抽出できなかったドット画像の抽出を行うことができる。
【0027】
また、請求項12の発明は、原稿画像の情報に重畳されることにより抽出できなかったドット画像の抽出が行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
まず、合成画像を生成する各部の構成について図1を参照して説明する。
【0030】
図1は、合成画像処理装置としてのパーソナルコンピュータ、画像形成装置などに搭載される合成画像を生成する各部の構成を示したブロック図である。
【0031】
図1に示すように、合成画像を生成する為の構成部として、原稿画像取得部10、付加情報受付部20、合成画像生成部30、ドット抽出部40が存在する。
【0032】
尚、本発明に係わる合成画像処理装置は、合成画像生成部30を有する。
【0033】
原稿画像取得部10は、付加情報が埋め込まれる基となる原稿画像を取得する。
【0034】
原稿画像取得部10は、画像データを取得するスキャナにより構成されたり、また、画像データを記憶する各種記憶装置によって構成されてもよい。
【0035】
原稿画像取得部10がスキャナにより構成される場合には、セットされた原稿より画像データである原稿画像が原稿画像取得部10に取得される。
【0036】
付加情報受付部20は、原稿画像に付与する付加情報を受け付ける機能を備え、パーソナルコンピュータの入力装置であるキーボードや、画像形成装置の入力装置である入力キー202などによって構成される。
【0037】
合成画像生成部30は、原稿画像取得部10により取得される原稿画像と付加情報受付部20により入力される付加情報とに基づいて、付加情報よりドット画像生成して、ドット画像と原稿画像とが重畳的に合成される合成画像を生成する。
【0038】
付加情報より生成されるドット画像は、複数のドット(黒丸)によって構成される画像であり、付加情報が複数のドットの並びで表現される画像である。
【0039】
ドット抽出部40は、原稿画像にドットが合成された画像からドットを抽出する処理を行う。
【0040】
また、ドット抽出部40は、抽出したドットから付加情報の読み出しも行う。
【0041】
例えば、図2(a)に示すように、スキャナ203とパーソナルコンピュータ204によるシステムでは、スキャナ203が原稿画像取得部10の機能を担い、パーソナルコンピュータ204の入力装置であるキーボードが付加情報受付部20の機能を担い、パーソナルコンピュータ204のCPU(Central Processing Unit)と記憶装置が合成画像生成部30とドット抽出部40の機能を担う。そして、画像処理プログラムは、パーソナルコンピュータ204の記憶装置に記憶され、パーソナルコンピュータ204が画像処理装置となる。
【0042】
スキャナ203とパーソナルコンピュータ204によるシステムでは、ユーザは、スキャナ203に所望の原稿をセットし、パーソナルコンピュータ204のキーボードより所望の付加情報を入力する。 それにより、パーソナルコンピュータ204は、入力された付加情報よりドット画像を作成し、原稿画像とそのドット画像との合成画像を生成する。
【0043】
また、例えば、図2(b)に示すように、パーソナルコンピュータ205だけによるシステムでは、パーソナルコンピュータ205の画像データを記憶する記憶装置が原稿画像取得部10の機能を担い、パーソナルコンピュータ205の入力装置であるキーボードが付加情報受付部20の機能を担い、パーソナルコンピュータ205のCPUと記憶装置が合成画像生成部30とドット抽出部40の機能を担う。そして、画像処理プログラムは、パーソナルコンピュータ205の記憶装置に記憶され、パーソナルコンピュータ205が画像処理装置となる。
【0044】
パーソナルコンピュータ205だけによるシステムでは、ユーザは、パーソナルコンピュータ205の記憶装置に記憶される画像データ(画像ファイルや文書ファイルであってよい)より、付加情報が付加される所望の原稿画像を選択し、キーボードより付加情報を入力する。 それにより、パーソナルコンピュータ205は、入力された付加情報よりドット画像を作成し、原稿画像とそのドット画像との合成画像を生成する。
【0045】
また、例えば、図2(c)に示すように、画像形成装置によるシステムでは、画像形成装置のスキャナ201が原稿画像取得部10の機能を担い、画像形成装置の入力装置である入力キー202が付加情報受付部20の機能を担い、画像形成装置のCPUと記憶装置が合成画像生成部30とドット抽出部40の機能を担う。そして、画像処理プログラムは、画像形成装置の記憶装置に記憶され、画像形成装置が画像処理装置となる。
【0046】
このような画像形成装置によるシステムでは、ユーザは、付加情報が付加される所望の原稿を画像形成装置のスキャナ201にセットし、入力キー202より所望の付加情報を入力する。 それにより、画像形成装置は、スキャナ201にセットされた原稿を読み取って、入力された付加情報よりドット画像を作成し、原稿画像とそのドット画像との合成画像を生成し、その合成画像を用紙に印刷する。
【0047】
以下、合成画像生成部30が有するドット状態変更部308の機能と構成の違いをふまえて、各実施例で説明を行う。
【0048】
ドット状態変更部308、308−1、308−2は、ドット画像生成部302で生成されたドット画像中のドットの状態を変更する機能を有する。
【0049】
そして、第1実施例では、ドット状態変更部308を有する合成画像生成部30について説明する。 ドット状態変更部308は、ドットの状態変更として、ドットの位置を移動させる変更を行う。
【0050】
また、第2実施例では、ドット状態変更部308−1を有する合成画像生成部30について説明する。 ドット状態変更部308−1は、ドットの状態変更として、ドットの色の変更を行う。
【0051】
また、第3実施例では、ドット状態変更部308−2を有する合成画像生成部30について説明する。 ドット状態変更部308−2は、ドットの状態変更として、ドットの形状の変更を行う。
【実施例1】
【0052】
次に、合成画像生成部30の機能について、図3を参照して説明する。
【0053】
図3は、合成画像生成部30の機能について示したブロック図である。
【0054】
合成画像生成部30は、図3に示すように、原稿画像受付部301、ドット画像生成部302、ドット再配置部303、確定ドット記憶部304、ドット検証部305、画像合成部307、ドット状態変更部308、移動パターン記憶部309、原稿濃度把握部310、ドットライン変更部311を有する。
【0055】
原稿画像受付部301は、原稿画像取得部10より原稿画像を取得する。
【0056】
ドット画像生成部302は、付加情報受付部20より受け付けた付加情報よりドット画像を生成する。
【0057】
ドット再配置部303は、ドット状態変更部308によりドットの位置が変更されたドット画像を記憶する。
【0058】
確定ドット記憶部304は、ドット状態変更部308によりドットの位置の変更が完了したドット画像をドット再配置部303より取得し、画像合成部307に送る。
【0059】
ドット検証部305は、原稿画像とドット画像とが合成されてできる原稿画像上のドットが抽出可能か否かを検証する機能を有し、ドットが配置されている原稿画像をドット抽出部40に送り、ドット抽出部40によって該ドットが抽出可能か否かを検証する。
【0060】
また、ドット検証部305は、ドット状態変更部308によって位置が変更されたドットが、位置変更によって抽出可能なドットになったか否かを検証する機能を有し、位置変更されたドットが原稿画像上に配置された画像データをドット抽出部40に送り、ドット抽出部40によって当該ドットが抽出可能か否かを検証する。
【0061】
ドット検証部305がドットが抽出可能か否かを検証する他のやり方として、ドット画像中のドットの位置情報と原稿画像とがドット検証部305よりドット位置関係判断部50に送られて、ドット位置関係判断部50でドット画像中のドットと原稿画像とのそれぞれの位置関係を対応させてドット抽出が可能か否かが判断されて、その結果をドット検証部305が取得して検証結果が得られるやり方もある。 ドット位置関係判断部50は、合成画像生成部30には含まれず、合成画像を生成する為の構成部として、合成画像生成部30を有する合成画像処理装置に備えられる。
【0062】
次にドット位置関係判断部50の機能について図4を参照して説明を行う。
【0063】
図4は、ドット位置関係判断部50がドット抽出か可能か否かを判断する様子について示す模式図であり、図4(a)はドット画像におけるドットの位置を示す模式図であり、図4(b)は原稿画像におけるドットの対応位置を示す模式図である。
【0064】
図4(a)に示すように、ドット位置関係判断部50により、ドットの位置が把握される。
【0065】
ドットの位置は、ドット画像の左上端点を基準となる原点として、XY平面における画素単位の座標値によって把握される。
【0066】
例えば、図4(a)に示すように、あるドットは座標値(3,2)で示され、あるドットは座標値(7,3)で示される。
【0067】
そして、ドット画像におけるドットの座標値が把握されると、図4(b)に示すように原稿画像の左上端点を基準となる原点とした単位が画素となるXY平面において、把握されたドットの座標値の上に原稿画像が配置されているか否かが確認される。
【0068】
ドットの座標値の上に原稿画像が配置されているとそのドットは原稿画像と重なる為、抽出不可能と判断される。
【0069】
また、ドットは複数の画素で構成される場合もあるから、ドットの中心点の座標値が把握されて、その座標値から半径n画素以内(nはドットの大きさや形状によって予め決められた数)に原稿画像が配置されている場合にそのドットは抽出不可能と判断されるように構成してもよい。
【0070】
そして、図3を参照した説明に戻り、ドット抽出部40は、合成画像からドットを抽出する。
【0071】
ドット状態変更部308は、ドット検証部305によって抽出できなかったドットの位置を変更する機能を有し、移動パターン記憶部309、原稿濃度把握部310、ドットライン変更部311を有す。
【0072】
移動パターン記憶部309は、ドットの位置を変更する際の移動パターンを記憶する。 移動パターンは、図6(a)に示すように、最初のドットの位置を中心にした移動先の画素の位置を順番に示している(詳しくは、後で図6を参照して説明する。)。
【0073】
原稿濃度把握部310は、ドット画像生成部302で生成されたドット画像が原稿画像に合成された場合の、各ドットが配置された位置の周辺の原稿画像の濃度分布を把握する機能を有する(詳しくは、後で図6、図7を参照して説明する。)。
【0074】
ドットライン変更部311は、ドット画像生成部302で生成されたドット画像のある列に含まれるドットを移動させる機能を有する。
【0075】
このように構成される合成画像生成部30は、原稿画像取得部10から原稿画像を取得し、付加情報受付部20より受け付けた付加情報に基づいて等間隔にドットが配置されるドット画像がドット画像生成部302より生成される。
【0076】
そして、原稿画像とドット画像生成部302で生成されたドット画像とドット再配置部303で合成されて、合成された画像データ上のドットがドット検証部305により検証されて、検証された結果抽出不可能なドットについては、ドット状態変更部308によりその状態(第1実施例では位置)が変更される。
【0077】
状態変更(第1実施例では位置変更)されたドットはドット再配置部303でドット画像として再配置される。
【0078】
ドット画像生成部302で生成されたドット画像のドットの検証がドット検証部305で終わると、検証が終了した時点でドット再配置部303に再配置されたドット画像が最終的なドット画像として確定ドット記憶部304に送られる。
【0079】
そして、画像合成部307で、原稿画像受付部301が取得した原稿画像と、確定ドット記憶部304に送られたドット画像とが合成されて、合成画像が生成される。
【0080】
次に、原稿画像とドット画像とが合成される様子について、図5を参照して説明する。
【0081】
図5は、原稿画像とドット画像とが合成される様子を示した模式図である。
【0082】
図5に示すように、付加情報受付部20より受け付けられた付加情報が、デジタル情報に変換されて「0」、「1」が画像データ上に敷き詰められる(参照番号502)。
【0083】
そして、「1」に相当する場所にドットが配置されて、複数のドットによって構成されるドット画像が生成される(参照番号503)。
【0084】
ドットは、図1を参照して説明する個所で説明したように、黒い丸(円)である。そして、ドットは、デジタル画像の構成単位である画素を意味するものではない。
【0085】
そして、ドットは、1画素で構成された黒丸でもよいし、複数の画素で構成されたものであってもよい。
【0086】
このようなドットが複数配置されて、参照番号503に示すようなドット画像が生成される。
【0087】
付加情報よりドット画像が生成される処理は、ドット画像生成部302で行われる。
【0088】
そして生成されたドット画像は、合成画像生成部30でドットの位置変更が行われ、最終的に決定されたドット画像(確定ドット記憶部304に送られる画像データ、参照番号504)と原稿画像(参照番号501)とが合成されて合成画像(参照番号505)が生成される。
【0089】
次に、ドットの位置が変更される際の処理について、図6乃至図9を参照して説明する。
【0090】
まず、ドット状態変更部308の移動パターン記憶部309に記憶される移動パターンに基づいてドットの位置が変更される処理について図6を参照して説明を行う。
【0091】
図6は、移動パターン記憶部309に記憶される移動パターンに基づいて、ドットの位置が変更される処理について示した模式図であり、図6(a)は該移動パターンの一例を示した模式図であり、図6(b)はドット検証部305によって抽出されないと判断された原稿画像上のドットを示す模式図であり、図6(c)は抽出されないと判断されたドットが図6(a)に示す移動パターンに基づいて移動したドットを示す模式図である。
【0092】
移動パターン記憶部309には、図6(a)に示すように、ドットの移動パターンが移動順の番号が表示されている。
【0093】
例えば、1番目に移動する場合には、「0」と書かれた画素から「1」と書かれた画素へ右に1画素だけ移動する。 移動の単位は、1画素でなくてもよく、移動パターンで示される移動順の数字の間隔が2画素や3画素であってもよい。 つまり、「0」から「1」への移動が右へ2画素移動や右へ3画素移動であってもよい。
【0094】
また、図6(a)には、5×5の画素サイズの移動パターンを示したが、そのサイズに限定されるものではない。
【0095】
この移動パターンに基づいてドットが移動されて、ドット検証部305で抽出とされる位置が探し求められる。
【0096】
例えば、図6(b)に示すように、原稿画像に示される画像データ(参照番号601)と、ドット画像生成部302によって配置されたドット(参照番号602)とが重なる部分が多くてドット検証部305によってドット(参照番号602)の抽出ができないとされた場合には、図6(a)の移動パターンに基づいてドットの移動が行われる。
【0097】
移動パターンに基づいて移動した結果、7番目に移動した移動先が、ドット検証部305によってドット抽出可能と判断されて、その場所がドットの移動先として確定される(図6(c)参照番号603)。
【0098】
次に、原稿濃度把握部310に把握される原稿画像の濃度に基づいて、ドットの移動が行われる処理について図7を参照して説明する。
【0099】
図7は、原稿濃度把握部310に把握される原稿画像の濃度に基づいてドットの移動が行われる処理を示した模式図であり、図7(a)はドットの移動が行われる前の原稿画像に配置されたドットを示した模式図であり、図7(b)は原稿濃度把握部310で把握されたドット付近の原稿画像の濃度を示した模式図であり、図7(c)は原稿画像の濃度に基づいて移動された移動後のドットを示した模式図である。
【0100】
例えば、図7(a)に示すように、原稿画像(参照番号701)とドット画像(参照番号702)が重なってドット検証部305でドットが抽出されないとされた場合には、ドット状態変更部308の原稿濃度把握部310によって、抽出されないドット付近の原稿画像の原稿濃度が把握される。
【0101】
原稿濃度が把握される原稿画像は、抽出されないドットと重なる領域と、該ドットの周辺部分である。
【0102】
把握された原稿濃度は図7(b)に示すように、画素毎に濃度が表示されており、その把握された原稿濃度の濃度の薄い場所がドット状態変更部308によって決定されて、その場所への方向へ(図7(b)の矢印)ドットが移動される(図7(c))。
【0103】
そして、ドットが移動された場所が記憶されて、ドット再配置部303で新しいドット画像に、移動されたドットが再配置される。
【0104】
なお、図7(b)で示す原稿画像の濃度が把握される場所は、ドットと重なる領域と該ドットの周辺部分だけではなく、ドットと重なる領域だけであってもよい。
【0105】
次に、ドットライン変更部311によりドットが列単位で移動される処理について図8を参照して説明を行う。
【0106】
図8は、ドットライン変更部311によりドットが列単位で移動される処理を示した模式図である。
【0107】
ドットライン変更部311は、移動パターン記憶部309に記憶される移動パターンによるドット移動、或いは、原稿濃度把握部310による原稿濃度の把握によるドット移動によってはドットが抽出される位置にドット移動ができない場合に、ドットの位置変更を列単位で行う。
【0108】
図8(a)に示すように列701のドットが原稿画像と重なって抽出されない位置に位置しており、移動パターン記憶部309や原稿濃度把握部310によるドット移動によってはドットが抽出される位置に移動できない場合に、ドットライン変更部311により列単位でドットの移動が行われる。
【0109】
図8(a)に示す列801のドットが、ドットライン変更部311による列単位のドット移動により、図8(b)に示すように列802の位置にドットの列の移動が行われる。
【0110】
次に、このようなドット状態変更部308によるドット位置変更の処理を含んだ合成画像生成の処理を図9を参照して説明する。
【0111】
図9は、合成画像が生成される処理を示したフローチャートである。
【0112】
付加情報受付部20より付加情報が取得されると(ステップ901)、ドット画像生成部302が該付加情報に基づいてドット画像を生成する。
【0113】
付加情報よりドット画像を生成する処理は、図4で示したように、付加情報をデジタル的に0と1に処理し、その0と1に処理された付加情報が用紙上に描画され(参照番号502)、1に相当する用紙上の場所にドットが描画されるようにしてドット画像(参照番号503)が生成される。
【0114】
このようにしてドット画像が生成されると(ステップ902)、そのドット画像は原稿画像受付部301より取得された原稿画像と合成され、原稿画像と合成されたドット画像のドットが抽出可能か否かが、ドット検証部305によって1つのドットずつ確認される(ステップ903)。
【0115】
描画されたドットは、原稿画像と合成されることで、原稿画像のベタ部分や、文字の一部と重なることで、抽出不可能になる場合も想定される。
【0116】
ドット検証部305により抽出可能か否かが確認されて、抽出可能である場合には(ステップ904でYES)、そのドットの位置はドット画像生成部302によって生成された位置のままであって変更されない(ステップ906)。
【0117】
しかし、ドット検証部305により抽出不可能と確認された場合には(ステップ904でNO)、抽出不可能と判断されたドットは、ドット状態変更部308によりドット位置の変更が行われる(ステップ905)。
【0118】
そして、ドット位置の変更の際に、移動パターン記憶部309、原稿濃度把握部310による抽出可能なドット位置変更が行われない場合には、ドット画像に描画されたドットが列単位で位置変更されるドットライン変更部311による位置変更が行われる。
【0119】
このようにして、ドット画像生成部302で生成されたドット画像中のドットに対して、原稿画像との重なりにより抽出されないドットに対しては位置変更が行われて、ドット画像と原稿画像とが合成される合成画像が生成される。
【0120】
次に、ドット画像と原稿画像とが合成された合成画像から付加情報が抽出される処理について図10を参照して説明を行う。
【0121】
図10は、合成画像より付加情報が抽出される処理を示した模式図である。
【0122】
合成画像がドット抽出部40に送られて(参照番号1001)、ドット抽出部40より合成画像よりドットが抽出される(参照番号1002)。
【0123】
抽出されたドット画像は、縦方向、横用法にドットの数が投影されて(参照番号1003)、投影された形の重心に線が引かれ、ドットが配置される格子線が求められる(参照番号1004)。
【0124】
格子線が求められると、格子線の交点近辺のドットあり/なしで、付加情報が抽出される(参照番号1005、1006)。
【0125】
すなわち、交点近辺にドットがある場合には「1」をその場所にあたえ、また、交点近辺にドットがない場合には「0」をその場所に与える。
【0126】
そのようにして、格子線が形成された画像中に「1」と「0」のデータが形成され、その「1」と「0」の情報が付加情報として抽出される。
【0127】
なお、ドット画像生成部302で生成されたドット画像中に抽出されないドットがある場合には、ドット状態変更部308で、そのドット画像を拡大、縮小するようにして、ドット抽出が可能なドット画像に変更するように処理されて、処理されたドット画像と原稿画像とが合成されて合成画像が生成されてもよい。
【0128】
なお、ドット検証部305が、ドット画像中のドットの位置情報と原稿画像とをドット位置関係判断部50に送ってドット抽出が可能か否かの判断結果を取得するように説明したが、ドット位置関係判断部50が行う位置関係を対応させて抽出可否を判断する機能をドット検証部305が具備するように構成してもよい。
【0129】
なお、原稿画像取得部10、ドット抽出部40、ドット位置関係判断部50、画像合成部307等の構成部であって、ドット変更部308とは異なる機能を有する構成部が、ドット変更部308を有する画像処理装置とは別の装置に備えられて通信回線で画像処理装置と接続されるような構成であってもよい。
【0130】
次に、原稿画像取得部10、ドット抽出部40、ドット位置関係判断部50、画像合成部307が有する機能がそれぞれネットワークで接続される装置に備えられる画像処理システムについて図11を参照して説明を行う。
【0131】
図11は、原稿画像取得部10、ドット抽出部40、ドット位置関係判断部50、画像合成部307が有する機能がそれぞれネットワークで接続される装置に備えられる画像処理システム1160を示す模式図である。
【0132】
図11に示すように、画像処理システム1160は、画像受付装置1110、ドット生成装置1120、抽出判断装置1130、画像合成装置1140、印刷装置1150とが通信回線1170によって接続されている。
【0133】
画像受付装置1110は、原稿画像を取得するスキャナで構成され、原稿画像送信部1111を有する。
【0134】
原稿画像送信部1111は、抽出判断装置1130に原稿画像を送信する。
【0135】
ドット生成装置1120は、付加情報受付部20、ドット画像生成部302、ドット再配置部303、ドット状態変更部308、インタフェース1121を備える。
【0136】
付加情報受付部20は、キーボードで構成され、ユーザによって入力される付加情報を受け付ける。
【0137】
ドット画像生成部302、付加情報受付部20より受け付けた付加情報を基にドット画像を生成する。
【0138】
ドット画像については既に説明したので、説明は省略する。
【0139】
ドット再配置部303は、ドット状態変更部308によってドットの状態が変更されたドット画像を生成する処理を行う。
【0140】
ドット状態変更部308は、抽出判断装置1130によって、原稿画像とドット画像との合成画像より抽出できないと判断されたドットの状態を変更する。
【0141】
そして、ドット状態変更部308は、既に説明したように、移動パターン記憶部309、原稿濃度把握部310、ドットライン変更部311を有し、これらの構成部によってドットの状態を変更する。
【0142】
インタフェース1121は、通信回線1170を介して抽出判断装置1130と情報の授受を行うインタフェースであり、ドット再配置部303によって再配置されたドット画像を抽出判断装置1130に送信し、また、抽出判断装置1130から抽出不可能と判断されたドット画像と抽出できなかったドットの位置が明確になる情報とを受信する。
【0143】
抽出判断装置1130は、インタフェース1131、RAM(Random Access Memory)1132、抽出判断部1133を備える。
【0144】
インタフェース1131は、通信回線1170を介してドット生成装置1120、画像合成装置1140と情報の授受を行うインタフェースである。
【0145】
そして、インタフェース1131は、ドット生成装置1120からドット画像を受信し、ドット生成装置1120に抽出不可能と判断したドット画像と抽出できなかったドットの位置が明確になる情報とを送信し、また、合成画像装置1140に抽出可能と判断したドット画像と原稿画像を送信する。
【0146】
RAM1132は、書き換え可能な画像メモリであり、インタフェース1131で送受信される画像データ等を一時記憶する。
【0147】
抽出判断部1133は、ドット生成装置1120から送信されたドット画像と原稿受付装置1110から送信された原稿画像とが合成されてできる合成画像上よりドットが抽出できるか否かを判断する機能を有する。
【0148】
抽出判断部1133は、実際に、ドット画像と原稿画像とを重畳的に合成して合成画像を生成し、その合成画像よりドットを抽出してみて、抽出可否を判断するように構成される。
【0149】
或いは、抽出判断部1133は、図4を参照して説明したように、ドット画像と原稿画像とのそれぞれの位置関係を対応させてドット抽出が可能か否かを判断するように構成されてもよい。
【0150】
画像合成装置1140は、インタフェース1141、RAM1142、画像合成部1143を有する。
【0151】
インタフェース1141は、通信回線1170を介して画像受付装置1110、印刷装置1150と情報の授受を行う。
【0152】
インタフェース1141は、抽出判断装置1130より原稿画像とドット画像を受信し、また、原稿画像とドット画像を合成した合成画像を送信する。
【0153】
RAM1142は、書き換え可能な画像メモリであり、インタフェース1141で送受信する画像データの一時記憶を行う。
【0154】
画像合成部1143は、原稿画像とドット画像と重畳的に合成して合成画像を生成する。
【0155】
印刷装置1150は、通信回線1170に接続された印刷装置であり、画像合成装置1140より送られた合成画像の印刷を行う。
【0156】
このように構成される画像処理システム1160では、ユーザは、原稿を画像受付装置1110にセットして、ドット画像生成装置の付加情報受付部20より原稿に付与する付加情報を入力する。
【0157】
すると、原稿画像が抽出判定装置1130に送られる。
【0158】
そして、ドット生成装置1120で付加情報に基づいてドット画像が生成され、そのドット画像も抽出判定装置1130に送られる。
【0159】
抽出判定装置1130では、受信する原稿画像とドット画像を基に、重畳的に合成した画像よりドットが抽出できるか否かを判断する。
【0160】
抽出できなかった場合には、ドット生成装置のドット状態変更部308でドットの状態が変更されたドット画像が再度生成され、抽出判定装置1130に送られる。
【0161】
そして、抽出判断が抽出判断装置1130で行われ、抽出が可能と判断されるまで、ドット生成装置1120でドット画像の生成が行われる。
【0162】
その結果、抽出判断装置1130で抽出可能と判断されたドット画像と原稿画像は、画像合成装置1140に送られて、そこで重畳的に合成される。
【0163】
画像合成装置1140で生成された合成画像は、印刷装置1150に送信されて、印刷される。
【実施例2】
【0164】
次に、図1を参照して説明した合成画像生成部30が、ドットの色を変更する機能を有するドット状態変更部308−1を備える場合について、第2実施例で説明する。
【0165】
第2実施例においても、図2を参照して説明した、スキャナ203とパーソナルコンピュータ204によるシステムや、パーソナルコンピュータ205だけによるシステムや、画像形成装置によるシステムが有する合成画像生成部30により合成画像が生成される。
【0166】
合成画像生成部30は、第1実施例で説明された場合と異なり、ドットの位置を変更するドット状態変更部308ではなく、ドットの位置変更機能に加えてドットの色を変更する機能を有するドット状態変更部308−1を備える。
【0167】
なお、第2実施例において第1実施例と同じ参照番号が付られたものは、基本的に同じ機能、同じ構成を備えるとし、その説明は省略する。 但し、第2実施例における合成画像生成部30は、第1実施例におけるドット状態変更部308を備える合成画像生成部30とは異なり、ドット状態変更部308−1を備える。
【0168】
また、第2実施例においても、ドット検証部305は、第1実施例と同様に、ドットの抽出可否を検証するやり方として、ドット抽出部40にドットが配置されている原稿画像を送って抽出可否を検証するやり方と、ドット位置関係判断部50にドット画像中のドットの位置情報と原稿画像とを送ってドット位置関係判断部50でそれぞれの位置関係が対応させられてドット抽出可否が検証されるやり方のどちらのやり方を有するように構成されてもよい。
【0169】
まず、合成画像生成部30が備えるドット状態変更部308−1について説明する。
【0170】
ドット状態変更部308−1は、ドット状態変更部308と同じく、ドット画像生成部302によって生成されたドットが抽出できない場合にドットを変更するものであるが、ドット状態変更部308とは異なり、ドットの色を変更する機能を有する。
【0171】
図12を参照してドット状態変更部308−1について説明する。
【0172】
図12に示すように、ドット状態変更部308−1は、移動パターン記憶部309、原稿濃度把握部310に加えて、ドット色変更部312を備える。
【0173】
ドット色変更部312は、ドットの色を変更する機能を有する。
【0174】
ドット画像生成部302で生成されるドットは黒色で構成されるが、ドット色変更部312は、予め定められた条件が満たされるドットを白色に変更してドットの抽出を可能にさせる。 ドット検証部305によって抽出されなかったドットは原稿画像と重なりあって抽出されないので、ドットの色を黒から白に変更すれば、白抜きのドットが形成され、原稿画像との重なりに関係なく白抜きドットの抽出が行われる。
【0175】
次に、ドット状態変更部308−1を有する合成画像生成部30による合成画像生成の処理について図13を参照して説明を行う。
【0176】
図13は、ドット状態変更部308−1を有する合成画像生成部30による合成画像生成の処理について示したフローチャートである。
【0177】
付加情報受付部20より付加情報が取得されると(ステップ1301)、ドット画像生成部302が該付加情報に基づいてドット画像を生成する。
【0178】
付加情報よりドット画像を生成する処理は、第1実施例で図5を参照して説明したように、付加情報をデジタル的に「0」と「1」で表現されるように処理し、そのデジタル処理された付加情報が用紙上に描画され(参照番号502)、「1」に相当する用紙上の場所にドットが描画されるようにしてドット画像(参照番号503)が生成される。 その際、生成されるドット画像のドットは、黒色のドットである。
【0179】
このようにしてドット画像が生成されると(ステップ1302)、そのドット画像の各々のドットについて以下の処理が行われる(ステップ1303)。
【0180】
すなわち、ドット画像と合成された場合に原稿画像にドットが描画される位置の原稿濃度が、予め定められた閾値と、原稿濃度比較部313によって比較される(ステップ1304)。
【0181】
ドットが描画される位置の原稿濃度が、予め定められた閾値よりも低かった場合には(ステップ1304で濃度≦閾値)、そのドット描画される位置に原稿画像と合成された画像より当該ドットが抽出できるか否かをドット検証部305が確認する(ステップ1305)。
【0182】
ドット検証部305によって抽出できると確認された場合には(ステップ1305でYES)、そのドットはドット画像生成部302によって生成された状態のままであって変更されない(ステップ1306)。
【0183】
また、ステップ1305でドット検証部305によって抽出可能だと確認された場合には(ステップ1305でNO)、移動パターン記憶部309、原稿濃度把握部310によってドットの位置が抽出可能な位置に移動される(ステップ1307)。
【0184】
また、ステップ1304で原稿濃度が予め定められた閾値よりも高かった場合には(ステップ1304で閾値≦濃度)、そのドットの色がドット色変更部312によって白色に変更されて、白色のドットが原稿画像との重なったときに抽出可能か否かがドット検証部305によって確認される(ステップ1308)。
【0185】
白色のドットが抽出可能であった場合には(ステップ1308でYES)、そのドットは色が白色に変更された状態でドット再配置部303で記憶される。
【0186】
また、白色のドットが抽出不可能であった場合には(ステップ1308でNO)、そのドットは、白色のままで移動パターン記憶部309、原稿濃度把握部310による位置の移動が行われる(ステップ1309)。
【0187】
原稿濃度把握部310による白色ドットの位置の移動は、原稿濃度把握部310によってドットが描画される位置近辺の原稿濃度が把握されて、黒ドットとは異なり原稿濃度の濃い場所に白色ドットが移動されるように処理される。
【0188】
このように、ドット画像生成部302で生成されたドット画像のドットに対して、ドット状態変更部308−1による処理が行われる(ステップ1303)。
【0189】
そうして、処理が行われると、処理が行われてドット再配置部303に記憶されたドット画像が確定ドット記憶部304に送られて、画像合成部307で、処理されたドット画像と原稿画像との合成がされて合成画像の生成が行われる。
【0190】
次に、合成画像より付加情報が抽出される処理について図14を参照して説明を行う。
【0191】
図14は、ドット状態変更部308−1を有する合成画像生成部30による処理によって生成された合成画像から、付加情報の抽出が行われる処理について示したフローチャートである。
【0192】
まず、合成画像から黒ドットの抽出が行われる(ステップ1401)。
【0193】
そして、次に、合成画像から白抜きのドット、つまり、白ドットの抽出が行われる(ステップ1402)。
【0194】
黒ドット、白ドットの抽出が行われると、抽出されたドットの黒、白の違いは考慮されないで、抽出されたドットに対して、画像の縦方向、横方向にドットの数が投影される。 そして、第1実施例で説明したように、投影された形の重心に線が引かれて、画像に格子線が引かれる。
【0195】
格子線が求められると、格子線の交点近辺のドットあり/なしにより、その交点に「1」と「0」が設定されて、画像中に「1」と「0」のデジタルデータが形成される(ステップ1403)。 このデータが付加情報として抽出される(ステップ1404)。
【0196】
なお、第2実施例では、ドット色変更部308−1によって黒色から白色に変更されるように説明したが、白色への変更ではなく他の色への変更であってももちろんよい。
【0197】
なお、第2実施例では、ドット画像生成部302は黒色のドットを生成するように説明したが、他の色であってももちろんよい。
【0198】
なお、ドット状態変更部308−1は、ドットライン変更部311を備えて、ドットを列単位で移動させるような処理が行われても良い。
【0199】
なお、原稿画像取得部10、ドット抽出部40、ドット位置関係判断部50、画像合成部307等の構成部であって、ドット変更部308−1とは異なる機能を有する構成部が、ドット変更部308−1を有する画像処理装置とは別の装置に備えられて通信回線で画像処理装置と接続されるような構成であってもよい。 その際には、第1実施例で説明した画像処理システム1160の構成を有することになるが、その際の画像処理システム1160のドット状態変更部308はドット状態変更部308−1となる。
【実施例3】
【0200】
次に、図1を参照して説明した合成画像生成部30が、ドットの形状を変更する機能を有するドット状態変更部308−2を備える場合について、第3実施例で説明する。
【0201】
第3実施例においても、図2を参照して説明した、スキャナ203とパーソナルコンピュータ204によるシステムや、パーソナルコンピュータ205だけによるシステムや、画像形成装置によるシステムが有する合成画像生成部30により合成画像が生成される。
【0202】
合成画像生成部30は、第1実施例で説明された場合と異なり、ドットの位置を変更するドット状態変更部308ではなく、ドットの形状を変更する機能を有するドット状態変更部308−2を備える。
【0203】
なお、第3実施例において第1実施例と同じ参照番号が付られたものは、基本的に同じ機能、同じ構成を備えるとし、その説明は省略する。 但し、第3実施例における合成画像生成部30は、第1実施例におけるドット状態変更部308を備える合成画像生成部30とは異なり、ドット状態変更部308−2を備える。
【0204】
また、第3実施例においても、ドット検証部305は、第1実施例と同様に、ドットの抽出可否を検証するやり方として、ドット抽出部40にドットが配置されている原稿画像を送って抽出可否を検証するやり方と、ドット位置関係判断部50にドット画像中のドットの位置情報と原稿画像とを送ってドット位置関係判断部50でそれぞれの位置関係が対応させられてドット抽出可否が検証されるやり方のどちらのやり方を有するように構成されてもよい。
【0205】
まず、合成画像生成部30が備えるドット状態変更部308−2について説明する。
【0206】
ドット状態変更部308−2は、ドット状態変更部308と同じく、ドット画像生成部302で生成されたドットが原稿画像と重なったときに抽出されないドットを変更して抽出されるようにするものであるが、ドット状態変更部308と異なり、ドットの形状を変更する機能を備える。
【0207】
図15を参照してドット状態変更部308−2について説明する。
【0208】
図15に示すように、ドット状態変更部308−2は、ドット作成部314、各種ドット記憶部315を備える。
【0209】
ドット作成部314は、ドットの形状を新しく作成する機能を有する。
【0210】
各種ドット記憶部315は、種々の形状のドットを記憶する。
【0211】
次に、ドット状態変更部308−2を有する合成画像生成部30による合成画像生成の処理について図16を参照して説明を行う。
【0212】
図16に示すように、付加情報受付部20より付加情報が取得されると(ステップ1601)、ドット画像生成部302が該付加情報に基づいてドット画像を生成する。
【0213】
付加情報よりドット画像を生成する処理は、第1実施例で図5を参照して説明したように、付加情報がデジタル的に「0」と「1」で表現されるように処理し、そのデジタル処理された付加情報が用紙上に描画され(参照番号502)、「1」に相当する用紙上の場所にドットが描画されるようにしてドット画像(参照番号503)が生成される。
【0214】
このようにしてドット画像が生成されると(ステップ1602)、そのドット画像の各々のドットについて以下の処理が行われる(ステップ1603)。
【0215】
すなわち、まず、処理対象の1つのドットが原稿画像と合成されて、その合成された画像より処理対象のドットが抽出されるか否かがドット検証部305により確認される(ステップ1604)。
【0216】
ドット検証部305によりドットが抽出されるとされた場合は(ステップ1604でYES)、そのドットはドット画像生成部302によって生成された状態のままであって変更されない(ステップ1605)。
【0217】
また、ステップ1604で、ドット検証部305によりドットが抽出されない場合には(ステップ1604でNO)、そのドットはドット状態変更部308−2により処理される。
【0218】
すなわち、ドット作成部314或いは各種ドット記憶部315によって形状の異なるドットが決定され(ステップ1606)、その決定された形状の異なるドットが描画されるようにドット再配置部303に記憶される(ステップ1607)。
【0219】
また、ドット作成部314の処理について説明すると、ドット画像上の対象となるドットと原稿画像との重なりに着目して、重なった状態でもドットの抽出が行われるようにドットの大きさを倍にした形状のドットを作成したり、重なっている部分を除外して重なっていない部分だけで構成されるドットを作成したりする処理が行われる。
【0220】
また、各種ドット記憶部315には、数種類の形状をしたドットが記憶されている。
【0221】
例えば、星型、四角型、三角型などの形状のドットである。
【0222】
それらのドットをそれぞれ、対象となるドットが配置される位置に配置して、原稿画像と重なっても抽出される形状のドットが選択される。
【0223】
このように、ドット画像生成部302で生成されたドット画像のドットに対して、ドット状態変更部308−2による処理が行われる(ステップ1603)。
【0224】
そうして、処理が行われると、処理が行われてドット再配置部303に記憶されたドット画像が確定ドット記憶部304に送られて、画像合成部307で、処理されたドット画像と原稿画像との合成がされて合成画像の生成が行われる。
【0225】
次に、合成画像より付加情報が抽出される処理について図17を参照して説明を行う。
【0226】
図17は、ドット状態変更部308−2を有する合成画像生成部30による処理によって生成された合成画像から、付加情報の抽出が行われる処理について示したフローチャートである。
【0227】
まず、ドット状態変更部308−2によって決定された形状の異なるドットでない、ドット画像生成部302で生成された黒ドットの抽出が、合成画像より行われる(ステップ1701)。
【0228】
そして、ドット抽出部40は、合成画像より形状の異なるドットの抽出を行う(ステップ1702)。
【0229】
ステップ1701で抽出した黒ドットとステップ1702で抽出した形状の異なるドットとによる格子線が形成されるのであるが、抽出された黒ドット、形状の異なるドットの違いは考慮されないで、抽出されたドットに対して格子線の形成が行われる。
【0230】
すなわち、ステップ1701抽出した黒ドットと、ステップ1702で抽出して形状が黒ドットに戻されたドットとの数が、ドット画像より縦方向、横方向に投影される。
【0231】
投影された形の重心に線が引かれて、ドットが配置される格子線が求められる。
【0232】
格子線が求められると、格子線の交点近辺のドットあり/なしに基づいて、付加情報の抽出が行われる(ステップ1703、1704)。
【0233】
なお、原稿画像取得部10、ドット抽出部40、ドット位置関係判断部50、画像合成部307等の構成部であって、ドット変更部308−2とは異なる機能を有する構成部が、ドット変更部308−2を有する画像処理装置とは別の装置に備えられて通信回線で画像処理装置と接続されるような構成であってもよい。 その際には、第1実施例で説明した画像処理システム1160の構成を有することになるが、その際の画像処理システム1160のドット状態変更部308はドット状態変更部308−2となる。
【産業上の利用可能性】
【0234】
この発明は、画像処理装置、画像処理システムおよび画像処理プログラムについて利用可能である。
【0235】
本発明の画像処理プログラムを通信手段で提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に記録して提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0236】
【図1】合成画像を生成する各部を示すブロック図。
【図2】合成画像が生成されるシステムの例を示す模式図。
【図3】ドット状態変更部308を有する合成画像生成部30のブロック図。
【図4】ドット位置関係判断部50によって行われる処理を示した模式図。
【図5】原稿画像とドット画像とが合成される様子を示す模式図。
【図6】移動パターン記憶部309によりドットの位置変更が行われる処理を示した模式図。
【図7】原稿濃度把握部310によりドットの位置変更が行われる処理を示した模式図。
【図8】ドットライン変更部311によりドットが列単位で位置変更される処理を示した模式図。
【図9】第1実施例における合成画像が生成される処理を示したフローチャート。
【図10】合成画像より付加情報が抽出される処理を示した模式図。
【図11】画像処理システム1160を示す模式図。
【図12】ドット状態変更部308−1の構成を示したブロック図。
【図13】第2実施例における合成画像が生成される処理を示したフローチャート。
【図14】第2実施例において生成された合成画像より付加情報が抽出される処理を示したフローチャート。
【図15】ドット状態変更部308−2の構成を示したブロック図。
【図16】第3実施例における合成画像が生成される処理を示したフローチャート。
【図17】第3実施例において生成された合成画像より付加情報が抽出される処理を示したフローチャート。
【符号の説明】
【0237】
10 原稿画像取得部
20 付加情報受付部
30 合成画像生成部
40 ドット抽出部
201 スキャナ
203 スキャナ
204 パーソナルコンピュータ
205 パーソナルコンピュータ
301 原稿画像受付部
302 ドット画像生成部
303 ドット再配置部
304 確定ドット記憶部
305 ドット検証部
307 画像合成部
308、308−1、308−2 ドット状態変更部
309 移動パターン記憶部
310 原稿濃度把握部
311 ドットライン変更部
312 ドット色変更部
313 原稿濃度比較部
314 ドット作成部
315 各種ドット記憶部
1110 画像受付装置
1111 原稿画像送信部
1120 ドット生成装置
1130 抽出判断装置
1133 抽出判断部
1140 画像合成装置
1143 画像合成部
1150 印刷装置
1160 画像処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像を受け付ける原稿受付手段と、
前記原稿画像に付与する付加情報に基づいて、1つ以上の画素で構成されるドットが複数配置されたドット画像を生成するドット画像生成手段と、
前記ドット画像生成手段で生成されたドット画像と前記原稿画像のそれぞれに対応する位置関係から前記ドット画像のドットが抽出できないときは、前記抽出できないドットの状態を変更する状態変更手段と、
前記状態変更手段によりドットの状態を変更したドット画像と前記原稿画像とを重畳して合成画像を生成する合成画像生成手段と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記状態変更手段は、
前記ドット画像のドットの変更先の位置を記憶する変更位置記憶手段
を有し、
前記抽出できないときに、前記抽出できないドットの位置を、前記変更位置記憶手段に記憶した前記変更先の位置に変更する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記変更位置記憶手段は、
前記ドットの変更先の位置を画素単位で予め定められた順番に複数記憶しておき、
前記状態変更手段は、
前記ドットの抽出ができるようになるまで、該ドットの位置を前記順番に基づき変更する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ドットの周辺位置における前記原稿画像の濃度分布を把握する濃度分布把握手段
を更に備え、
前記状態変更手段は、
前記濃度分布把握手段によって把握され前記濃度分布に基づき濃度の低い位置に前記抽出できないドットの位置を移動させる請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記状態変更手段は、
線上の複数のドットの位置を平行移動させる請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記状態変更手段は、
前記原稿画像に対して横の線上の複数のドットを前記原稿画像に対する縦方向に移動或いは、前記原稿画像に対して縦の線上の複数のドットを前記原稿画像に対する横方向に移動させる
請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記状態変更手段は、
前記抽出できないときに、前記抽出できないドットの色を変更する色変更手段を
有する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記ドット画像生成手段で生成されるドットの色は黒色であり、
前記色変更手段は、
前記抽出できないドットの色を白色に変更する
請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記状態変更手段は、
前記抽出できないときに、前記ドットの形状を変更する形状変更手段を
有する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項10】
原稿画像を受け付ける原稿受付装置と、ドット生成装置と、判定装置と、画像合成装置とを有し、
前記原稿受付装置は、
受け付けた原稿画像をドット生成装置に送信する原稿画像送信手段
を備え、
前記ドット生成装置は、
前記原稿画像送信手段で送信された原稿画像に付与する付加情報に基づいて1つ以上の画素で構成されるドットが複数配置されたドット画像を生成するドット画像生成手段
を備え、
前記判定装置は、
前記原稿画像と前記ドット画像のそれぞれに対応する位置関係から前記ドット画像のドットが抽出できるか否かを判定する判定手段
を備え、
前記ドット生成装置は、
前記判定手段で抽出できないと判定されたドットの状態を変更する状態変更手段を
更に備え、
前記画像合成装置は、
前記状態変更手段によりドットの状態を変更したドット画像と前記原稿画像とを重畳して合成画像を生成する合成画像生成手段
を備える画像処理システム。
【請求項11】
前記合成画像生成手段によって生成された合成画像を印刷する印刷装置を
更に備える
請求項10記載の画像処理システム。
【請求項12】
コンピュータを、
原稿画像を受け付ける原稿受付手段、
前記原稿画像に付与する付加情報に基づいてドット画像を生成するドット画像生成手段、
前記ドット画像生成手段で生成されたドット画像と前記原稿画像のそれぞれに対応する位置関係から前記ドット画像のドットが抽出できないときは、該ドットの状態を変更する状態変更手段、
前記状態変更手段によりドットの状態を変更したドット画像と前記原稿画像とを重畳して合成画像を生成する合成画像生成手段
として機能させる画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−68214(P2010−68214A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232252(P2008−232252)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】