説明

画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体

【課題】本発明は、画像処理の設定内容を分かりやすく再利用可能とした画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関する。
【解決手段】複合装置1は、複数の画像処理項目からなる画像処理内容の画像処理をスキャナ画像処理部3で実行した処理済み画像データと該画像処理内容を関連付けてコントローラ5の画像記憶部に記憶し、該画像記憶部の記憶する所定の画像処理内容を選択する任意の画像処理項目が操作表示部25から指定されると、該画像処理項目を含む画像処理内容と該画像処理内容に関連付けている処理済み画像データの画像を操作表示部のディスプレイに表示し、表示されている画像のうち任意の画像が操作表示部の操作で指定されると、指定された画像の処理済み画像データに関連付けられている画像処理内容の画像処理を画像記憶部から読み出して入力画像データに対して実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関し、詳細には、画像処理の設定内容を分かりやすく再利用可能とした画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ装置、複写装置、ファクシミリ装置、複合装置等の画像処理装置においては、読み取り画像等の画像データに対して画像処理を施して、目的とする画像処理後の画像データをプリント出力、ファクシミリ出力、表示出力、転送出力等に利用しているが、この画像データに施す画像処理の内容(例えば、カラー指定、原稿種類、濃度調整等)については、画像処理の複数の項目についてそれぞれの処理内容を操作表示部の操作によって指定している。したがって、複雑でかつ細かい画像処理内容を指定する設定操作を、入力画像データ毎に行う必要があり、設定操作が面倒である。
【0003】
そして、従来、画像データと画像データに対して行われる処理に関するデータとを関連付けて記憶手段に記憶させることで、記憶手段に記憶した画像データを再利用する際の再利用性の向上を図った技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2007−104639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術にあっては、画像データと該画像データに対して行われる処理に関するデータとを単に関連付けて記憶しているのみであるため、蓄積画像データに対応して記憶されている処理内容のデータは、その蓄積画像データに対しては再利用することができるが、該蓄積画像データ以外の新しい画像データに対しては、記憶されている処理内容のデータを再利用することができず、新たに入力される画像データに対しては、画像処理内容の設定操作を行う必要があり、利用性を向上させる上で、改良の必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、過去に画像処理した画像に基づいて該画像に対して設定されている画像処理内容を利用して画像処理内容を設定して、画像処理内容の設定を容易にかつ適切に行うことのできる画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、設定された複数の画像処理項目からなる画像処理内容の画像処理を実行して、該画像処理された処理済み画像データと該画像処理内容を関連付けて画像記憶手段に記憶し、該画像記憶手段の記憶する所定の画像処理内容を選択する任意の画像処理項目が指定されると、該画像処理項目を含む画像処理内容と該画像処理内容に関連付けられている処理済み画像データの画像を表示手段に表示し、該表示されている画像のうち任意の画像が指定されると、指定された画像の処理済み画像データに関連付けられている画像処理内容の画像処理を入力画像データに対して実行することを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、前記表示手段に表示されている画像のうち指定された画像の処理済み画像データに関連付けられている前記画像処理内容が変更されると、変更された画像処理内容を、入力画像データに対して実行する画像処理内容とすることを特徴としてもよい。
【0009】
さらに、本発明は、画像処理内容が変更されると、該変更対象の画像処理内容に関連付けられている前記処理済み画像データを該変更後の画像処理内容で画像処理した画像を、変更前の該画像処理内容で画像処理された処理済み画像データの画像とともに前記表示手段に表示することを特徴としてもよい。
【0010】
また、本発明は、画像処理が未処理の入力画像データをも前記画像記憶手段に記憶し、変更された画像処理内容による画像処理を該未処理の入力画像データに対して行うことを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、過去に画像処理した画像に基づいて該画像に対して設定されている画像処理内容を利用して画像処理内容を設定することができ、画像処理内容の設定を容易にかつ適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0013】
図1〜図13は、本発明の画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の一実施例を適用した複合装置1の要部ブロック構成図である。
【0014】
図1において、複合装置1は、スキャナ部2、スキャナ画像処理部3、縮小処理部4、コントローラ5、プリンタ画像処理部6及びプリンタ部7等を備えている。
【0015】
スキャナ部2は、例えば、CCD(Charge Coupled Device )を利用したカラーイメージスキャナ等が利用されており、原稿を主走査及び副走査して、原稿の画像を所定の解像度で読み取ってRGBのカラー画像信号をスキャナ画像処理部3及び縮小処理部4に出力する。
【0016】
スキャナ画像処理部(画像処理手段)3は、図2に示すように、地肌除去部11、フィルタ処理部12及び色補正処理部13等を備えており、スキャナ画像処理部3は、スキャナ部2で読み取られた原稿の画像データに対して画像処理を行ってコントローラ5に出力する。
【0017】
地肌除去部11は、スキャナ部2からの画像データに対して、操作表示部25(図3参照)で設定された画像処理内容に応じた自動濃度処理及び地肌調整処理を行って、フィルタ処理部12に出力し、フィルタ処理部12は、地肌除去部11からの画像データに対して、操作表示部25で設定された画像処理内容に応じたシャープネス調整を行って色補正処理部13に出力する。
【0018】
色補正処理部13は、フィルタ処理部12からの画像データに対して、操作表示部25で設定された画像処理内容に応じて、濃度調整、カラーバランス調整、アンダーカラーカラー変換、カラー消去の処理を行って、コントローラ5に出力する。
【0019】
縮小処理部(縮小処理手段)4は、スキャナ部2の読み取った原稿の画像データが該スキャナ部2から入力され、スキャナ画像処理部3で画像処理を施す前の画像データ(未処理画像データ)を所定の縮小倍率で縮小処理して、コントローラ5に出力する。
【0020】
コントローラ5は、図3に示すように、画像記憶部21、CPU(Central Processing Unit )22、ROM(Read Only Memory)23、RAM(Random Access Memory)24及び操作表示部25等を備えており、各部は、バス26により接続されている。
【0021】
ROM23は、複合装置1としての基本プログラムや後述する本発明の画像処理プログラム等のプログラム及び必要なデータを格納しており、CPU(制御手段)22は、ROM23のプログラムに基づいて、RAM24をワークメモリとして利用しつつ、複合装置1の各部を制御して、複合装置1としての基本処理を実行するとともに、後述する本発明の画像処理を実行する。すなわち、複合装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Video Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の画像処理方法を実行する画像処理プログラムを読み込んでROM23等に導入することで、後述する画像処理内容の指定を容易かつ適切に行って画像処理する画像処理方法を実行する画像処理装置として構築されている。この画像処理プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0022】
操作表示部(設定手段、画像処理項目指定手段、画像指定手段)25は、テンキー、スタートキー、複数の画像処理項目からなる画像処理内容を設定指定する操作キー等の各種操作キーを備えるとともに、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)を備えている。操作表示部25は、操作キーからは、送信操作、コピー操作、スキャナ操作等の複合装置1の備えている各種機能の動作を指示する各種命令操作が行われ、ディスプレイ(表示手段)には、操作キーから入力された命令内容や複合装置1からユーザに通知する各種情報が表示される。この操作表示部25のディスプレイとしては、液晶ディスプレイ上にタッチパネルが配置されていて、該液晶ディスプレイ上に各種画像処理内容の設定情報等の各種設定情報とともに機能操作キーを表示し、該機能操作キーに対応するタッチパネル上の位置がタッチ操作されることで、各種操作、特に、入力画像データに対する画像処理内容の設定操作を行う構成となっている。
【0023】
画像記憶部(画像記憶手段)21は、大容量のRAMやハードディスク等の不揮発性メモリが用いられ、CPU22の制御下で、スキャナ画像処理部3で画像処理された画像データと縮小処理部4で縮小された画像データ(縮小未処理画像データ)及び該画像データに対して操作表示部25で設定された画像処理内容とを関連付けて記憶し、また、記憶している画像データの画像及び画像処理内容を読み出して操作表示部25に表示し、さらに、記憶している画像データを読み出して、プリンタ画像処理部6に出力する。画像記憶部21は、図4に示すように、画像データと該画像データに対して操作表示部25の操作で行った画像処理内容を対応させて記憶する。
【0024】
プリンタ画像処理部6は、図5に示すように、γ補正処理部31及び階調処理部32等を備えており、γ補正処理部31には、コントローラ5の画像記憶部21から読み出された画像データが入力される。γ補正処理部31は、YCMKの色材を使用するプリンタ部7に画像データを出力する場合、YCMKの4色分のテーブルを用いて、プリンタ部7の画像濃度特性に合わせて、コントローラ5から入力される画像データのグレーまたはカラーバランスを補正して階調処理部32に出力する。階調処理部22は、γ補正処理部31から入力される画像データに対して、画像の階調性を保持するための処理、ディザマトリクスによる2値ディザ処理や多値ディザ処理等を行ってプリンタ部7に出力する。
【0025】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の複合装置1は、操作表示部25での画像処理内容の設定操作に応じて画像処理した画像データを画像記憶部21に記憶するとともに該画像データに施した画像処理内容を関連付けて記憶し、該画像処理内容と少なくとも画像処理後の画像を表示して、同様の画像処理内容の画像処理設定を容易に行えるようにしている。
【0026】
すなわち、複合装置1は、原稿の画像をスキャナ部2で読み取ってスキャナ画像処理部3で画像処理を行った後にコントローラ5の画像記憶部21に保管するが、このとき、操作表示部25の操作によって設定指定された画像処理内容に応じた画像処理内容の画像処理をスキャナ画像処理部3で施して、コントローラ5の画像記憶部21に保管する。画像処理内容としては、例えば、図6及び図7に示すような内容が操作表示部25で設定されてスキャナ画像処理部3で画像処理が施される。複数の画像処理項目からなる画像処理内容として、図6では、カラー指定(カラー、白黒、自動選択、2色、単色等)、原稿種類(文字、写真、文字・写真、複写原稿、淡い原稿等)、自動濃度(OFF、ON)、濃度調整、シャープネス調整、コントラスト調整、地肌調整が示されており、図7では、カラー調整(イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、ブルー、グリーン)、カラーバランス調整(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)、アンダーカラー(なし、あり)、カラー変換(なし、あり)及びカラー消去(なし、あり)が示されている。このような画像処理内容のうち、操作表示部25で設定操作されてスキャナ部2で読み取った画像データに対してスキャナ画像処理部3で施した画像処理内容と画像処理前の縮小画像データ(未処理画像データ)及び画像処理後の画像データを、図4に示したように関連付けてコントローラ5の画像記憶部21に保管する。また、このとき、画像処理前の画像データに対しては、画像記憶部21に保管する画像データの容量を削減して画像記憶部21を有効利用するために、画像処理前の画像データ(未処理画像データ)を縮小処理部4で縮小処理して画像記憶部21に保管する。複合装置1は、画像記憶部21に保管した画像データを適時のタイミングに読み出して、プリンタ画像処理部6で必要な画像処理を施してプリンタ部7で用紙に記録出力したり、図示しないネットワークI/Fを介して該ネットワークI/Fに接続されているネットワークNW上の他端末へデータ送信したり、また、図示しないファクシミリ通信部によってファクシミリ送信する出力処理を行う。
【0027】
そして、複合装置1は、画像処理前後の画像データと画像処理内容を関連付けて画像記憶部21に保管している状態で、新たにスキャナ部2で原稿の読み取りを行ったり、既に画像記憶部21に保管されている画像データに対して再度スキャナ画像処理部3で画像処理して出力処理を行う場合、図8に示すように、該画像データに対して施す画像処理内容を設定する画像処理内容設定処理を行って、容易にかつ適切に画像処理内容の設定を可能としている。
【0028】
すなわち、複合装置1は、画像処理内容設定において、既にコントローラ5の画像記憶部21に記憶されている画像データの画像処理内容を参照して画像処理内容設定を行うモードが操作表示部25のキー操作等で指定されると、CPU22は、まず、図9に示すような文書選択条件入力画面G1を操作表示部25のディスプレイに表示する。次に、CPU22は、該文書選択条件入力画面G1で画像処理項目(文書選択条件)が指定されて、「条件に合う文書を表示」(文書表示キー)が操作されて文書検索が指示操作されると(ステップS101)、指定された文書選択条件に基づいて画像記憶部21のデータを検索して、検索結果のデータ(文書)を、図10に示すような文書選択画面G2として、操作表示部25のディスプレイに表示する(ステップS102)。なお、図9では、カラー指定で、「カラー」が、原稿種類で、「文字・写真」が、選択されている状態が示されている。CPU22は、上記検索結果表示として、例えば、図10の文書選択画面G2に示すように、文書名と1ページ目の縮小画像等の文書情報(DOC_0001〜DOC_0006)及び検索条件(図10では、カラー指定が、「カラー」、原稿種類が、「文字・写真」)、決定キー等を表示する。なお、図10では、DOC_0002が選択されている状態を示している。
【0029】
CPU22は、文書選択画面G2で、目的とする画像処理内容に対応する文書の選択が行われて、文書選択画面G2の「決定」キーが操作されると(ステップS103)、選択された画像の画像データに関連付けられて画像記憶部21に記憶されている画像処理内容を画像記憶部21から読み出して操作表示部25のディスプレイに、図11に示すような画像処理内容画面G3を表示する(ステップS104)。すなわち、文書選択画面G2で選択された画像(文書)の画像データに対して関連付けられている画像処理内容を読み出して表示し、該画像処理内容に対して画像処理内容画面G3で必要な変更(修正)が行われると、該変更(修正)を画像処理内容に反映させて(ステップS105)、画像表示を行うかどうか、すなわち、図11に示した画像処理内容画面G3で「画像表示」キーが操作されたかチェックする(ステップS106)。なお、図11では、選択文書が、DOC_0002であって、画像処理項目として、カラー指定で、「カラー」が、原稿種類で、「文字・写真」が、自動濃度で、「ON」が、濃度調整で、1つ濃く側に、シャープネス調整で、2つソフト側に、コントラスト調整で、2つ強い側に、地肌調整で、1通ステッピング側に設定されている状態が示されており、「画面表示」キー及び「決定」キーが表示されている。
【0030】
ステップS106で、画像表示を行わないときには、CPU22は、設定完了(修正完了)か、すなわち、画像処理内容の設定(修正)が完了したかチェックし(ステップS107)、設定完了でないときには、ステップS104に戻って、画像処理内容画面G3を操作表示部25のディスプレイに表示する画像処理内容表示から上記同様に処理する(ステップS104〜S107)。
【0031】
ステップS107で、設定完了(修正完了)のときには、すなわち、図11の画像処理内容画面G3で、「決定」キーが操作されたときには、CPU22は、設定後(変更後)の画像処理内容の設定に応じてスキャナ部2で原稿を読み取って、読み取った画像データに対して設定された画像処理内容の画像処理をスキャナ画像処理部3で施すとともに、縮小処理部4で読み取り画像データの縮小を行い、該処理後の画像データと画像処理内容を関連付けて画像記憶部21に保管する(ステップS108)。
【0032】
ステップS106で、画像表示を行うときには、CPU22は、修正があったかチェック、すなわち、画像処理内容の設定の変更(修正)が画像処理内容画面G3で行われたかチェックし(ステップS109)、変更(修正)がないときには、選択画像(選択文書)の画像処理後の画像データを画像記憶部21から読み出して操作表示部25のディスプレイに、選択画像(選択文書)の画像を操作表示部25のディスプレイに表示して(ステップS110)、ステップS107に移行して、設定完了かチェックする(ステップS107)。CPU22は、この画像表示において、画像記憶部21に保管されているスキャナ画像処理部3で画像処理された画像データを、操作表示部25のディスプレイに表示するのに適切な画像サイズに縮小処理した表示形態で表示する。また、この場合、CPU22は、該画像処理後の画像と、スキャナ部2で読み取られて縮小処理部4で縮小された画像データによる画像と、を同時にディスプレイに表示してもよい。このようにすると、選択画像(選択文書)の画像データに対する画像処理内容による画像処理結果を適切かつ容易に確認することができる。
【0033】
ステップS109で、変更(修正)があるときには、CPU22は、選択画像(選択文書)の画像処理内容変更(修正)前の画像と画像処理内容変更(修正)後の画像を操作表示部25のディスプレイに表示する(ステップS111)。この場合、CPU22は、選択画像(選択文書)の画像処理内容修正前の画像データを、画像記憶部21から読み出して操作表示部25のディスプレイに表示するのに適切な縮小処理を施して、ディスプレイに表示させるとともに、該読み出した画像処理内容修正前の画像データに対して、修正後の画像処理内容に基づいて画像処理して該画像処理後の画像を縮小処理して操作表示部25のディスプレイに表示させる。例えば、図12に示すように、修正前の選択文書DOC_0002の縮小全体画像と、修正後の選択文書DOC_0002の縮小全体画像を、修正前後全体画像表示画面G4として操作表示部25のディスプレイに表示したり、図13に示すように、選択文書DOC_0002の縮小した修正前部分拡大画像と、選択文書DOC_0002の縮小した修正後部分拡大画像を、修正前後部分拡大画像表示画面G5として操作表示部25のディスプレイに表示する。
【0034】
この場合、表示形態として、変更対象(修正対象)の画像データに対する画像処理内容修正前後の全体画像を表示するか、修正前後の部分拡大画像を表示するかについては、操作表示部25の操作によって適宜選択可能としてもよいし、CPU22が、修正された画像処理内容の種類によって自動的に選択するようにしてもよい。例えば、濃度調整やカラー調整等のように画像の全体を修正前後で比較する方が修正による画像処理結果を適切に確認できる場合には、修正前後全体画像表示画面G4を表示し、シャープネス調整等のように、画像の部分を拡大して修正前後の画像の部分拡大画像を比較する方が修正による画像処理結果を適切に確認できる場合には、修正前後部分拡大画像表示画面G5を表示する。
【0035】
そして、複合装置1は、画像処理内容の変更(修正)が行われると、CPU22が、画像記憶部21に保管されている該選択画像(選択文書)の画像データに修正後の画像処理内容に基づいて画像処理を施す。この場合、CPU22は、該選択文書の画像データに対して、変更後(修正後)の画像処理内容で画像処理する対象の画像データとして、画像処理部3で画像処理して画像記憶部21に保管されている画像処理済みの画像データではなく、スキャナ部2が読み取って縮小処理部4で縮小されただけの該選択文書の画像データ(未画像処理の縮小画像データ)を用いて、修正後の画像処理内容で画像処理する。このようにすると、画像処理内容の変更(修正)による画像処理結果をより正確に反映させた画像処理を行って表示することができる。また、縮小画像データを画像記憶部21に保管することで、データ量を削減して画像記憶部21の有効利用を図ることができるとともに、縮小画像データを処理対象とすることで、変更後(修正後)の画像処理内容で画像処理した画像の生成に必要な処理時間を短縮することができる。
【0036】
上記修正前後全体画像表示画面G4または修正前後拡大画像表示画面G5で、「終了」キーが操作されると、CPU22は、図11に示した画像処理内容画面G3を操作表示部25のディスプレイに表示して、設定完了かチェック、すなわち、「決定」キーが操作されたかチェックし(ステップS107)、設定完了でないときには、ステップS104に戻って、上記同様に処理する(ステップS104〜107、S109〜S111)。
【0037】
ステップS107で、修正完了のときには、CPU22は、修正後(設定後)の画像処理内容設定に応じてスキャナ部2で原稿を読み取って、読み取った画像データ(入力画像データ)に対して設定された画像処理内容の画像処理をスキャナ画像処理部3で施すとともに、縮小処理部4で読み取り画像データの縮小を行い、該処理後の画像データと縮小画像データ及び画像処理内容を関連付けて画像記憶部21に保管する(ステップS108)。
【0038】
このように、本実施例の複合装置1は、設定された複数の画像処理項目からなる画像処理内容の画像処理を実行して、該画像処理された処理済み画像データと該画像処理内容を関連付けて画像記憶部21に記憶し、画像記憶部21の記憶する所定の画像処理内容を選択する任意の画像処理項目が操作表示部25から指定されると、該画像処理項目を含む画像処理内容と該画像処理内容に関連付けている処理済み画像データの画像を操作表示部25のディスプレイに表示して、該表示されている画像のうち任意の画像が操作表示部25の操作で指定されると、指定された画像の処理済み画像データに関連付けられている画像処理内容の画像処理を画像記憶部21から読み出して入力画像データに対して実行している。
【0039】
したがって、過去に画像処理した画像に基づいて該画像に対して設定されている画像処理内容を有効活用して画像処理内容を設定することができ、画像処理内容の設定を簡単かつ適切に行うことができる。
【0040】
また、本実施例の複合装置1は、操作表示部25のディスプレイに表示されている画像のうち、操作表示部25の操作で指定された画像の処理済み画像データに関連付けられている画像処理内容が操作表示部25の操作で変更されると、該変更された画像処理内容の画像処理を入力画像データに対して実行している。
【0041】
したがって、入力画像データに対して施す画像処理の画像処理内容をより一層適切な内容に簡単に設定することができ、利用性をより一層向上させることができる。
【0042】
さらに、本実施例の複合装置1は、操作表示部25で画像処理内容が変更されると、CPU22が、該変更対象の画像処理内容に関連付けられている処理済み画像データを該変更後の画像処理内容で画像処理した画像を、変更前の該画像処理内容で画像処理された処理済み画像データの画像とともに操作表示部25のディスプレイに表示させている。
【0043】
したがって、操作表示部25のディスプレイへの変更前後の画像処理内容で画像処理した画像の表示に基づいて入力画像データに対して実行させる画像処理内容を選択することができ、入力画像データに対して施す画像処理の画像処理内容をより一層適切な内容に簡単に設定することができる。
【0044】
また、本実施例の複合装置1は、CPU22が、操作表示部25のディスプレイへの画像の表示形態として複数の表示形態を有し、操作表示部25による画像処理内容の変更内容(修正内容)に応じて該複数の表示形態から適宜の表示形態を選択してディスプレイに変更前後(修正前後)の画像処理内容で画像処理された画像データの画像を表示させている。
【0045】
したがって、画像処理内容の変更内容に応じて適切な表示形態で、画像処理内容の変更前後の画像を表示させることができ、入力画像データに対して施す画像処理の画像処理内容をより一層適切な内容に簡単に設定することができる。
【0046】
さらに、本実施例の複合装置1は、CPU22が、操作表示部25のディスプレイへの画像の表示形態として、画像処理内容の変更前後(修正前後)における画像データの所定ページ全体の画像を表示する全体表示形態と、該変更前後における画像データの所定ページのうち同じ所定領域部分での画像を拡大して表示する拡大表示形態と、を切り替えて表示する。
【0047】
したがって、画像処理内容の変更内容に応じて適切な表示形態で、画像処理内容の変更前後の画像を表示させることができ、入力画像データに対して施す画像処理の画像処理内容をより一層適切な内容に簡単に設定することができる。
【0048】
また、本実施例の複合装置1は、画像記憶部21が、スキャナ画像処理部3での画像処理が未処理の入力画像データをも記憶し、CPU22が、操作表示部25で変更された画像処理内容による画像処理を該未処理の入力画像データに対して行っている。
【0049】
したがって、変更された画像処理内容をより一層適切に実施した画像を表示することができ、入力画像データに対して施す画像処理の画像処理内容をより一層適切な画像処理内容に簡単に設定することができるとともに、未処理の画像データを処理対象とすることでえ、変更後の画像処理内容による画像の生成に必要な処理時間を短縮することができる。

【0050】
さらに、本実施例の複合装置1は、入力画像データを縮小処理する縮小処理部4を備えており、画像記憶部21が、該縮小処理部4で縮小処理された入力画像データを未処理入力画像データとして記憶している。
【0051】
したがって、画像データの容量を削減して画像記憶部21を有効利用することができるとともに、縮小画像データを処理対象とすることで、変更後の画像処理内容による画像の生成に必要な処理時間を短縮することができる。
【0052】
なお、上記説明では、スキャナ部2で読み取った未処理の画像データを縮小処理部4で縮小して未処理画像データとして画像記憶部21に記憶しているが、スキャナ部2で読み取った画像データをそのまま未処理画像データとして画像記憶部21に記憶してもよい。
【0053】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、設定に応じた画像処理を施すスキャナ装置、複写装置、ファクシミリ装置、複合装置等の画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施例を適用した複合装置の要部ブロック構成図。
【図2】スキャナ画像処理部のブロック構成図。
【図3】コントローラのブロック構成図。
【図4】画像記憶部の画像データと画像処理内容の記憶状態の説明図。
【図5】プリンタ画像処理部のブロック構成図。
【図6】画像処理内容の一例を示す図。
【図7】図6の画像処理内容の続きを示す図。
【図8】画像処理内容設定処理を示すフローチャート。
【図9】文書選択条件入力画面の一例を示す図。
【図10】文書選択画面の一例を示す図。
【図11】画像処理内容画面の一例を示す。
【図12】修正前後全体画像表示画面の一例を示す図。
【図13】修正前後部分拡大画像表示画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0056】
1 複合装置
2 スキャナ部
3 スキャナ画像処理部
4 縮小処理部
5 コントローラ
6 プリンタ画像処理部
7 プリンタ部
11 地肌除去部
12 フィルタ処理部
13 色補正処理部
21 画像記憶部
22 CPU
23 ROM
24 RAM
25 操作表示部
26 バス
31 γ補正処理部
32 階調処理部
G1 文書選択条件入力画面
G2 文書選択画面
G3 画像処理内容画面
G4 修正前後全体画像表示画面
G5 修正前後部分拡大画像表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像処理項目からなる画像処理内容を設定する設定手段と、入力画像データに対して該設定手段で設定された画像処理内容の画像処理を実行する画像処理手段と、該画像処理手段で画像処理された処理済み画像データと該設定手段で設定された画像処理内容を関連付けて記憶する画像記憶手段と、該画像記憶手段の記憶する所定の画像処理内容を選択する任意の画像処理項目を指定する画像処理項目指定手段と、該画像記憶手段に記憶され該画像処理項目指定手段で指定された画像処理項目を含む画像処理内容と該画像処理内容に関連付けられている処理済み画像データの画像を表示する表示手段と、該表示手段に表示されている画像のうち任意の画像を指定する画像指定手段と、該画像指定手段で指定された画像の処理済み画像データに関連付けられている画像処理内容の画像処理を入力画像データに対して該画像処理手段に実行させる制御手段と、を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、前記表示手段に表示され前記画像指定手段で指定された画像の処理済み画像データに関連付けられている前記画像処理内容を変更する変更手段を備えており、前記制御手段は、該変更手段で変更された画像処理内容の画像処理を入力画像データに対して前記画像処理手段で実行させる画像処理内容とすることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記変更手段で画像処理内容が変更されると、該変更対象の画像処理内容に関連付けられている前記処理済み画像データを該変更後の画像処理内容で画像処理した画像を、変更前の該画像処理内容で画像処理された処理済み画像データの画像とともに前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記表示手段への画像の表示形態として複数の表示形態を有し、前記変更手段による画像処理内容の変更内容に応じて該複数の表示形態から適宜の表示形態を選択して該表示手段に前記変更前後の画像処理内容で画像処理された画像データの画像を表示させることを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記表示形態として、前記変更前後における画像データの所定ページ全体の画像を表示する全体表示形態と、該変更前後における画像データの所定ページのうち同じ所定領域部分の画像を拡大して表示する拡大表示形態と、を有していることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像記憶手段は、前記画像処理手段での画像処理が未処理の入力画像データをも記憶し、前記制御手段は、前記変更手段で変更された画像処理内容による画像処理を該未処理の入力画像データに対して行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理装置は、前記入力画像データを縮小処理する縮小処理手段を備え、前記画像記憶手段は、該縮小処理手段で縮小処理された入力画像データを前記未処理入力画像データとして記憶することを特徴とする請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
複数の画像処理項目からなる画像処理内容を設定する設定処理ステップと、入力画像データに対して該設定処理ステップで設定された画像処理内容の画像処理を実行する画像処理実行処理ステップと、該画像処理実行処理ステップで画像処理された処理済み画像データと該設定処理ステップで設定された画像処理内容を関連付けて画像記憶手段に記憶する記憶処理ステップと、該画像記憶手段の記憶する所定の画像処理内容を選択する任意の画像処理項目を指定する画像処理項目指定処理ステップと、該画像記憶手段に記憶され該画像処理項目指定処理ステップで指定された画像処理項目を含む画像処理内容と該画像処理内容に関連付けている処理済み画像データの画像を表示手段に表示する表示処理ステップと、該表示手段に表示されている画像のうち任意の画像を指定する画像指定処理ステップと、該画像指定処理ステップで指定された画像の処理済み画像データに関連付けられている画像処理内容の画像処理を入力画像データに対して該画像処理実行処理ステップで実行させる制御処理ステップと、を有していることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
前記画像処理方法は、前記表示手段に表示され前記画像指定処理ステップで指定された画像の処理済み画像データに関連付けられている前記画像処理内容を変更する変更処理ステップを有しており、前記制御処理ステップは、該変更処理ステップで変更された画像処理内容の画像処理を入力画像データに対して前記画像処理実行処理ステップで実行させる画像処理内容とすることを特徴とする請求項8記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記制御処理ステップは、前記変更処理ステップで画像処理内容が変更されると、該変更対象の画像処理内容に関連付けられている前記処理済み画像データを該変更後の画像処理内容で画像処理した画像を、変更前の該画像処理内容で画像処理された前記処理済み画像データの画像とともに前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項9記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記記憶処理ステップは、前記画像処理実行処理ステップにおける画像処理が未処理の入力画像データをも前記画像記憶手段に記憶し、前記制御処理ステップは、前記変更処理ステップで変更された画像処理内容による画像処理を該未処理の入力画像データに対して行うことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、複数の画像処理項目からなる画像処理内容を設定する設定処理と、入力画像データに対して該設定処理で設定された画像処理内容の画像処理を実行する画像処理実行処理と、該画像処理実行処理で画像処理された処理済み画像データと該設定処理で設定された画像処理内容を関連付けて画像記憶手段に記憶する記憶処理と、該画像記憶手段の記憶する所定の画像処理内容を選択する任意の画像処理項目を指定する画像処理項目指定処理と、該画像記憶手段に記憶され該画像処理項目指定処理で指定された画像処理項目を含む画像処理内容と該画像処理内容に関連付けられている処理済み画像データの画像を表示手段に表示する表示処理と、該表示手段に表示されている画像のうち任意の画像を指定する画像指定処理と、該画像指定処理で指定された画像の処理済み画像データに関連付けられている画像処理内容の画像処理を入力画像データに対して該画像処理実行処理で実行させる制御処理と、を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項13】
請求項12記載の画像処理プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−154359(P2010−154359A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331529(P2008−331529)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】