説明

画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム

【課題】フレームデータ内から特定の種別の画素データを抽出する際に、精度良く画素データを取得すること
【解決手段】システム制御部110は、フレームデータをラスタースキャン形式で供給する。システム制御部110は、フレームデータ内の各画素データの有効/無効を示すデータイネーブル信号を同時に供給する。ラインバッファ120は、フレームデータに含まれる画素データを逐次保持する。有効データ検出部130は、データイネーブル信号に基づいて、フレームデータの有効データ区間を検出する。比較部140は、有効データ検出部130が検出した有効データ区間と、予め指定された表示サイズと、を比較する。画素データ取得部150は、比較部140による比較結果に基づき、ラインバッファ120から画素データを取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネル(好適にはLCD(Liquid Crystal Display)パネルであり、以下LCDパネルを例として説明する。)を用いた映像表示機器が広く利用されている。これらの映像表示機器は、LCDパネルにより解像度の高い画面が表示できる。これらの映像表示機器(液晶テレビ等)では、製品毎に画像処理部と、LCDパネルを実装したLCDモジュールと、が実装されている。この画像処理部と、LCDモジュールと、の間でのデータ通信は、特定のプロトコルを用いて行われていた。多くの映像表示機器は、画像処理部から出力する画像データの画質を改善する半導体集積回路(以下、画質改善チップと記載する。)を、画像処理部とLCDモジュールとの間に設けている。この画質改善チップが画質を改善することにより、高画質化を実現し、製品の付加価値を向上させていた。
【0003】
しかしながら、画像処理部とLCDモジュールとの間でのデータ通信において用いられるプロトコルは、製品毎に異なるケースが多い、すなわち製品に依存している。そのため、画質改善チップを開発する場合、各プロトコルに依存した設計、詳細にはフレームデータから画像データを抽出する設計をプロトコル毎に行う必要が生じ、開発コストの増加等の問題が生じていた。そのため、プロトコルに依存せず、フレームデータから画像データを正確に抽出する技術が必要となっていた。
【0004】
ここで、フレームデータから画像データを抽出する技術の開示する文献として特許文献1が挙げられる。以下、特許文献1に記載の映像データ受信装置について説明する。
【0005】
図16は、当該映像データ受信装置(受信モジュール)を備えた映像データ送受信システムの構成を示すブロック図である。映像データ送受信システム300は、映像データ送信モジュール310(以下、送信モジュール310と記載する。)と、映像データ受信モジュール320(以下、受信モジュール320と記載する)と、を備える。送信モジュール310は、インターフェイス信号を受信モジュール320に供給する。インターフェイス信号は、クロック信号、映像データ信号、水平同期信号、垂直同期信号、フィールドインデックス信号から構成される。なお、これらの信号は、重畳して送信されてもよい。
【0006】
図17は、インターフェイス信号の一般的なプロトコルを示す図である。送信モジュール310は、映像データ信号を受信モジュール320に供給する。映像データ信号は、図17に示す各フレーム(ここではフィールド)の映像データを形成する各画素を、クロック信号に同期し、左上隅から水平方向に1画素毎にラスタースキャンすることにより生成される。ラスタースキャンとは、1番上のラインの左端から開始してひとつずつ右に移動し、右端に到達したら、2番目のラインの左端から右端に移動し、同様にして1番下のラインまで順番に移動するスキャン方式である。
【0007】
各フィールドの先頭では垂直同期信号(VSYNC)がアサートされ、各ラインの先頭では、水平同期信号(HSYNC)がアサートされる。同期信号の周期は、映像フォーマットにより定まる。そのため、正常な信号が伝送される限り、受信モジュール320は、水平同期信号及び垂直同期信号を検出することにより映像フォーマットが特定できる。
【0008】
図17に示すように、各映像データの各フィールドは、実際に表示対象となる映像(画像)である領域(画像領域)と、この画像領域以外の領域と、から構成される。この画像領域の判別は、ENABLE_IN信号により判別する。
【0009】
図18は、特許文献1に記載の受信モジュール320の構成を示すブロック図である。受信モジュール320は、同期検出ブロック321と、有効データ領域情報検出ブロック322と、有効データ判定ブロック323と、有効データ抽出ブロック324と、を有する。
【0010】
同期検出ブロック321には、クロック信号、水平同期信号、垂直同期信号、フィールドインデックス信号、及び映像データ信号が入力される。なお、水平同期信号、垂直同期信号、フィールドインデック信号を同期信号とも呼称する。同期検出ブロック321は、映像データと同期して入力される各同期信号(あるいは映像データ信号内に重畳された同期情報)から水平、垂直、フィールドの情報を検出する。そして、同期検出ブロック321は、検出した情報を基に、処理中のフィールドの情報、及び当該フィールド内での(座標)位置情報である画素位置情報を算出する。同期検出ブロック321は、検出した画素位置情報を有効データ領域情報検出ブロック322と、有効データ判定ブロック323と、に供給する。
【0011】
有効データ領域情報検出ブロック322には、映像データ信号も入力される。なお、クロック信号は、図18に示す全てのブロックに供給される。
【0012】
ここで、受信モジュール320が処理対象とするフィールドデータの一例を図19に示す。図示するように、このフィールドデータ400は、有効データ領域情報410と、有効データ領域420と、ブランキング領域430と、から構成される。有効データ領域420は、表示対象となる領域、すなわち映像データを示す領域である。有効データ領域情報410は、ブランキング領域430内に設けられ、この映像データの規格、仕様等を表す情報である。有効データ領域情報410は、例えば図19における有効データ領域420の始点P1、終点P2の情報を含む情報である。図示するように、有効データ領域情報410は、有効データ領域420よりも時間的に先に読み込まれるように配置される(座標が設定される)。
【0013】
再び、図18を参照する。有効データ領域情報検出ブロック322は、有効データ領域情報410を検出し、検出した有効データ領域情報410を有効データ判定ブロック323に供給する。ここで、有効データ領域情報検出ブロック322は、有効データ領域情報410が入力されるタイミング(座標)を事前に把握している。
【0014】
有効データ判定ブロック323には、処理対象となる画素の画素位置情報と、有効データ領域情報と、が入力される。有効データ判定ブロック323は、処理対象となっている画素が有効データ領域410内の画素であるか否かを判定し、判定結果を有効データフラグ情報として有効データ抽出ブロック324に供給する。
【0015】
有効データ抽出ブロック324は、有効データフラグ情報が有効データ領域410内の画素であることを示す値である場合にのみ、当該画素データを抽出する。有効データ抽出ブロック324は、抽出した画素データを任意の映像処理モジュールや、メモリ等の記憶装置に供給する。この画素データは、図示しない表示装置での表示に用いられる。なお、図18において、映像データの流れを太い点線にて示している。
【0016】
受信モジュール320は、上述の構成を持つことにより、有効な映像データをリアルタイムで取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2009−164812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
特許文献1に記載の有効データ領域情報検出ブロック322は、有効データ領域情報410が入力されるタイミングを事前に把握していることを前提としている。しかしながら、上述したように、送信モジュール310から受信モジュール320に送信されるデータは、様々なプロトコルを用いて転送される。そのため、実際には、有効データ領域情報検出ブロック322が、有効データ領域情報410が入力されるタイミングを事前に把握することは困難である。すなわち、特許文献1に手法は、実際には適応が困難な構成である。
【0019】
次に、ENABLE_IN信号を用いた画像データの抽出について検討する。前述のENABLE_IN信号は、有効データ領域情報410及び有効データ領域420に対応する画素に対して有効値(1)となる。そのため、ENABLE_IN信号の値を参照して画像データを抽出する場合、画像データではない有効データ領域情報410等の画素も画像データと判断してしまう。
【0020】
画像データではない有効データ領域410を画像として取得した場合、表示部(図示せず)が適切な画像表示を行うことができない。また、画像領域よりも大きな領域を画像領域として検出する恐れがある。
【0021】
すなわち、上記した技術では、フレームデータ内から特定の種別の画素データを抽出する際に、画素データの種別を誤って抽出してしまうという恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明にかかる画像処理装置の一態様は、
各画素データの有効/無効を示すデータイネーブル信号と同期して入力されるフレームデータをラスタースキャン形式で処理する画像処理装置であって、
前記フレームデータに含まれる画素データを逐次保持するバッファ部と、
前記データイネーブル信号に基づいて、前記フレームデータの有効データ区間を検出する有効データ検出部と、
前記有効データ検出部が検出した有効データ区間と、予め指定された表示サイズと、を比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づき、前記バッファ部から画素データを取得する画素データ取得部と、を備える、ものである。
【0023】
本発明にかかる画像処理方法の一態様は、
各画素データの有効/無効を示すデータイネーブル信号と同期して入力されるフレームデータをラスタースキャン形式で処理する画像処理方法であって、
前記データイネーブル信号に基づいて、前記フレームデータの有効データ区間を検出し、
検出した前記有効データ区間と、予め指定された表示サイズと、を比較し、
比較結果に基づき、前記フレームデータに含まれる画素データを取得する、ものである。
【0024】
本発明にかかる画像処理プログラムの一態様は、
上述の画像処理方法をコンピュータに行わせるためのものである。
【0025】
本発明では、有効データ期間を検出し、この有効データ区間と表示サイズを比較することにより、有効データ区間に含まれる画素データが表示に適するデータであるか否かを判定することができる。これにより、画素データの種別を誤ることなく、精度良く画素データを取得することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、フレームデータ内から特定の種別の画素データを抽出する際に、精度良く画素データを取得できる画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置の1ライン処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置の1ライン処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置の処理を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態2にかかる画像処理装置の1ライン処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2にかかる画像処理装置の1ライン処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2にかかる画像処理装置の処理を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施の形態3にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態3にかかる画像処理装置の1ライン処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態3にかかる画像処理装置の処理を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の実施の形態4にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施の形態4にかかる画像処理装置の処理を示すタイミングチャートである。
【図14】本発明の他の実施の形態にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明にかかる画像処理装置を実現するためのコンピュータシステムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図16】特許文献1に記載の映像データ送受信システムの構成を示すブロック図である。
【図17】インターフェイス信号の一般的なプロトコルを示す概念図である。
【図18】特許文献1に記載の受信モジュールの構成を示すブロック図である。
【図19】フレームデータの一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0029】
図1は、本実施の形態にかかる画像処理装置100の構成を示すブロック図である。画像処理装置100は、システム制御部110と、ラインバッファ120と、有効データ検出部130と、比較部140と、画素データ取得部150と、画像処理部160と、LCDパネル部170と、を備える。
【0030】
システム制御部110は、画像領域を含むフレームデータを生成し、同期信号(VS、HS)やデータイネーブル信号と共に後段処理部に供給する処理部である。なお、フレームデータは、他の処理部が生成し、システム制御部110が当該フレームデータを取得しても良い。システム制御部110が生成するフレームデータは、たとえば図19に示す形式のデータである。すなわち、フレームデータは、有効データ(DE信号が1となる座標の画素データ)として画像データ及び画像データ以外のデータ(たとえば符号データ、図19では有効データ領域情報410)を含むことができる構成である。
【0031】
システム制御部110は、フレームデータをラスタースキャン方式で読み出して、読み出した画素データをラインバッファ120に書き込む。システム制御部110は、この画素データの書き込みに加え、VS信号(垂直同期信号、Vertical Synchronization Signal)、HS信号(水平同期信号、Horizontal Synchronization Signal)及びDE信号(データイネーブル信号、Data Enable Signal)をラインバッファ120に書き込む。これと同時に、システム制御部110は、DE信号を有効データ検出部130内のエッジ検出部131に供給する。
【0032】
さらに、システム制御部110は、システム全体の制御も行い、後述のLCDパネル部170の水平パネルサイズの情報を保持する。システム制御部110は、比較部140に対して水平パネルサイズの情報を供給する。
【0033】
ラインバッファ120は、システム制御部110から供給されたフレームデータの画素データ及び各信号(VS信号、HS信号、DE信号)の値を順次保持する記憶部である。
【0034】
有効データ検出部130は、エッジ検出部131と、有効データ開始位置保持部132と、有効データ終了位置保持部133と、有効データ区間計測部134と、を備える。有効データ検出部130は、DE信号に基づいて、フレームデータの有効データが転送されている区間(以下、有効データ区間とも記載する。)を検出する処理部である。以下、有効データ検出部130内の各処理部の詳細を説明する。
【0035】
エッジ検出部131には、DE信号が供給される。エッジ検出部131は、DE信号のエッジ(立ち上りエッジ、または立下りエッジ)を検出する。立ち上りエッジを検出した場合、エッジ検出部131は、検出信号を有効データ開始位置保持部132に供給する。立下りエッジを検出した場合、エッジ検出部131は、検出信号を有効データ終了位置保持部133に供給する。
【0036】
有効データ開始位置保持部132は、検出信号が入力された際に処理している画素の座標位置(エッジ検出時の座標位置)を保持するとともに、当該座標位置を有効データ区間計測部134と、画像データ抽出部151と、出力切替部152と、に供給する。なお、以降の記載では、当該座標位置を有効データ開始位置とも記載する。
【0037】
有効データ終了位置保持部133は、検出信号が入力された際に処理している画素の座標位置(エッジ検出時の座標位置)を保持するとともに、当該座標位置を有効データ区間計測部134と、画像データ抽出部151と、出力切替部152と、に供給する。なお、以降の記載では、当該座標位置を有効データ終了位置とも記載する。
【0038】
なお、有効データ開始位置保持部132及び有効データ終了位置保持部133は、検出信号が入力された時刻情報を保持しても良い。DE信号は、クロック信号と同期して供給される。同様にフレームデータは、クロック信号と同期してラスタースキャンにより読み出されてラインバッファ120に書き出される。そのため、時刻情報は、座標位置情報と適宜変換可能である。
【0039】
有効データ区間計測部134は、有効データ区間を計測する処理部である。例えば、有効データ開始位置のx座標としてX1、有効データ終了位置のx座標としてX2が入力された場合、有効データ区間計測部134は、X1〜X2の区間を有効データ区間として取得する。有効データ区間計測部134は、取得した有効データ区間を比較部140に供給する。
【0040】
比較部140は、入力された有効データ区間が、水平パネルサイズと一致するか否かを判定する処理部である。すなわち、比較部140は、入力された有効データが画像データであるか否かを判定する。一致する場合(画像データである場合)、比較部140は、比較結果信号として一致信号を画像データ抽出部151及び出力切替部152に供給する。
【0041】
なお、比較部140は、一致時にのみ(一致)信号を出力しても良く、比較結果信号を常時供給し、比較結果信号として1を出力する場合には一致、0を出力する場合には不一致を表すものとしてもよい。以下の説明では、比較部140は、比較結果信号を常時供給する。
【0042】
画素データ取得部150は、画像データ抽出部151と、出力切替部152と、を備える。
【0043】
画像データ抽出部151には、有効データ開始位置、有効データ終了位置、及び比較結果信号が入力される。比較結果信号が一致を示す信号である場合、画像データ抽出部151は、有効データ開始位置から有効データ終了位置までに含まれる画素データを画像データと判断し、この画素データをラインバッファ120から取得する。以下の説明では、この画像データの画素が含まれる区間を画像データ転送区間とも記載する。画像データ抽出部151は、取得した画像データを画像処理部160に供給する。
【0044】
画像処理部160は、画像データ抽出部151が抽出した画像データに対して、画質改善等の処理を行い、処理後の画像データを出力切替部152に供給する。
【0045】
出力切替部152には、有効データ開始位置、有効データ終了位置、及び比較結果信号が供給される。出力切替部152は、比較結果信号として一致信号が入力された場合、同時に入力された有効データ開始位置及び有効データ終了位置を保持する。すなわち、出力切替部152は、画像データ転送区間を記憶する。
【0046】
出力切替部152は、有効データ検出部130及び比較部140の1ラインの処理が終わった後に、画素データをLCDパネル部170に供給する。詳細には、出力切替部152は、画像データ転送区間では、画像処理部160から取得した画素データを供給する。なお、画素データの供給と共に、出力切替部152は、当該画素データに対応するVS信号、HS信号、及びDE信号をラインバッファ120から読み出して、読み出した信号をLCDパネル部170に供給する。
【0047】
一方、出力切替部152は、画像データ転送区間ではない区間では、ラインバッファ120から読み出した画素データをそのままLCDパネル部170に供給する。また、画素データの供給と共に、出力切替部152は、当該画素データに対応するVS信号、HS信号、及びDE信号をLCDパネル部170に供給する。
【0048】
LCDパネル部170は、一般的な液晶パネル及び当該パネルの制御部であり、供給された画素データ、VS信号、HS信号、DE信号に応じて、表示画面に画像データを表示する。
【0049】
続いて、図2及び図3を参照して、本実施の形態にかかる画像処理装置100の水平1ライン処理の流れについて説明する。図2及び図3は、画像処理装置100による水平1ライン処理の流れを示すフローチャートである。
【0050】
はじめに、システム制御部110は、1画素毎に画素データ及び各信号(VS信号、HS信号、DE信号)をラインバッファ120に格納するとともに、DE信号をエッジ検出部131に供給する。
【0051】
エッジ検出部131は、供給されたDE信号のエッジ(立ち上りエッジ、立下りエッジ)を検出する。立ち上りエッジを検出した場合(S1:Yes)、エッジ検出部131は、検出信号を有効データ開始位置保持部132に供給する(S2)。有効データ開始位置保持部132は、検出信号が入力された際に処理していた画素の座標位置を保持するとともに、当該座標位置(有効データ開始位置)を各処理部に供給する(S2)。
【0052】
立下りエッジを検出した場合(S1:No、S3:Yes)、エッジ検出部131は、検出信号を有効データ終了位置保持部133に供給する(S4)。有効データ終了位置保持部133は、検出信号が入力された際に処理していた画素の座標位置を保持するとともに、当該座標位置(有効データ終了位置)を各処理部に供給する(S4)。
【0053】
比較部140は、立下りエッジが検出された場合に、有効データ区間計測部134から供給された有効データ区間が水平パネルサイズと一致するか否か、すなわち当該有効データ区間が画像データ転送区間であるか否かを判定する(S5)。一致する場合(S5:Yes)、比較部140は、比較結果信号(一致信号)を画像データ抽出部151及び出力切替部152に供給する。
【0054】
比較結果信号(一致信号)が供給された場合(S5:一致)、画像データ抽出部151は、有効データ開始位置から有効データ終了位置までの区間に含まれる画素データをラインバッファ120から取得する(S6)。画像処理部160は、画像データ抽出部151が取得した画素データに対して画質改善等の処理を行い、処理後の画素データを出力切替部152に供給する(S7)。
【0055】
出力切替部152は、比較結果信号(一致信号)が入力された場合に、当該信号に対応する区間を保持する。すなわち、出力切替部152は、当該信号が入力された場合に、有効データ開始位置保持部132及び有効データ終了位置保持部133から供給された位置に挟まれる区間が画像データ転送区間であると記憶する。
【0056】
なお、処理対象とする画素においてエッジを検出しなかった場合(S1:No、かつ、S3:No)、及びS5の比較が一致しなかった場合(S5:No)、S6及びS7の処理は行われない。
【0057】
出力切替部152は、1画素の処理が終了した際に、1ラインの処理が終了したか否かを判定する(S8)。1ラインの処理が終了していない場合(S8:No)、次の画素を対象にS1〜S7の処理が実行される。
【0058】
1ラインの処理が終了した場合(S8:Yes)、出力切替部152は、パネル水平サイズと一致する区間があるか、すなわち画像データ転送区間があるか否かを確認する(S9)。画像データ転送区間が無い場合(S9:不一致)、出力切替部152は、処理対象とする1ラインの全ての画素データ及び各信号(VS信号、HS信号、DE信号)をラインバッファ120から読み出して、そのままLCDパネル部170に供給する(S13)。
【0059】
画像データ転送区間がある場合(S9:一致)、出力切替部152は、当該区間の直前までの画素データ及び各信号(VS信号、HS信号、DE信号)をラインバッファ120から読み出して、そのままLCDパネル部170に供給する(S10)。そして、出力切替部152は、画像データ転送区間に対応する画素データを画像処理部160から取得して、LCDパネル部170に供給する(S11)。この際、出力切替部152は、当該画像データ転送区間のVS信号、HS信号、DE信号についてはラインバッファ120から読み出してそのままLCDパネル部170に供給する。そして、出力切替部152は、画像データ転送区間の終了位置の直後の位置から画素データ及び各信号(VS信号、HS信号、DE信号)をラインバッファ120から読み出して、そのままLCDパネル部170に供給する(S12)。
【0060】
画像処理装置100は、上記した流れで1ラインの処理を行う。画像処理装置100は、フレームデータに含まれるライン数と同数(垂直ライン数)だけ上述の処理を行うことにより、フレームデータの処理を行う。
【0061】
続いて、本実施の形態にかかる画像処理装置100による処理を図4のタイミングチャートを参照して説明する。図4は、画像処理装置100の各処理と、各信号の様子と、の対応を示すタイミングチャートである。
【0062】
HS信号のエッジが立ち下がったタイミングに、Nラインの最初の画素データがラインバッファ120に入力される。すなわち、1ラインは、HS信号に同期して処理される。HS信号の立下りタイミングT0において、1ラインの最初(左隅)の画素データがラインバッファ120に格納される。
【0063】
有効値を持つ画素データが入力されたタイミングであるT1に、DE信号のエッジが立ち上がる。エッジ検出部131は、このエッジ立ち上りを検出し、T1に読み出している画素データの座標位置を有効データ開始位置保持部132に供給する。これと同時に、この座標位置は、有効データ区間計測部134等に供給される。有効値を持つ画素データの入力が終了するタイミングであるT2に、DE信号のエッジが立ち下がる。エッジ検出部131は、このエッジ立下りを検出し、T2に読み出している画素データの座標位置を有効データ終了位置保持部133に供給する。これと同時に、この座標位置は、有効データ区間計測部134等に供給される。
【0064】
T2において、有効データ区間計測部134は、T1に対応する画素の座標位置からT2に対応する画素の座標位置の区間(画素数)を計測する。そして、タイミングT2において、比較部140は、有効データ区間計測部134が計測した区間(画素数)と、水平パネルサイズと、を比較し、両者が一致するかを判定する。
【0065】
本例では、T1〜T2の区間W11の画素数は、水平パネルサイズと不一致と判定される。すなわち、比較部140は、区間W11には画像データを転送していないと判断する。そのため、区間W11に含まれる画素データは、画像処理の対象とされない。T2では、1ラインの処理が終了していないため、1ラインの処理が継続される。
【0066】
同様に、タイミングT3に、エッジ検出部131は、このエッジ立ち上りを検出し、T3に読み出している画素データの座標位置を有効データ開始位置保持部132に供給する。これと同時に、この座標位置は、有効データ区間計測部134等に供給される。タイミングT4に、DE信号のエッジが立ち下がる。エッジ検出部131は、このエッジ立下りを検出し、T4に読み出している画素データの座標位置を有効データ終了位置保持部133に供給する。これと同時に、この座標位置は、有効データ区間計測部134等に供給される。
【0067】
タイミングT4において、有効データ区間計測部134は、T3に対応する画素データの座標位置からT4に対応する画素データの座標位置の区間(画素数)を計測する。そして、タイミングT4において、比較部140は、有効データ区間計測部134が計測した区間(画素数)と、水平パネルサイズと、を比較し、両者が一致するかを判定する。
【0068】
本例では、T3〜T4の区間W12の画素数は、水平パネルサイズと一致される。すなわち、比較部140は、区間W12が画像データ転送区間であると判断する。そこで、区間W12に含まれる画素データは、画像処理の対象とされる。画像処理部160は、これらの画素データに対して画質改善の処理を行い、画質改善後の画素データを出力切替部152に供給する。また、出力切替部152は、比較部140から比較結果信号(一致信号)が入力されることにより、区間W12を画像データ転送区間として記憶する。
【0069】
タイミングT5において、1ラインの処理が終了する。タイミングT5において、出力切替部152は、比較結果信号の通知により、T3〜T4の区間では画像データが転送されていたと判断する。切替部152は、T1〜T3の区間に対応する画素データとして、ラインバッファ120から読み出した画素データそのままLCDパネル部170に供給する。切替部152は、T3〜T4の区間に対応する画素データとして、画像処理部160から供給された画素データをLCDパネル部170に供給する。切替部152は、T4〜T5の区間に対応する画素データとして、ラインバッファ120から読み出した画素データそのままLCDパネル部170に供給する。
【0070】
以上で、Nラインの画像処理は終了し、N+1ラインの画像処理が続いて行われる。
【0071】
続いて、本実施の形態にかかる画像処理装置100の効果について説明する。上記したように、比較部140は、水平パネルサイズと、有効データ区間を比較することにより、この有効データ区間が画像データを転送していた区間(画像データ転送区間)であるか否かを判定する。すなわち、比較部140は、システム制御部110からLCDパネル部170へのデータ転送において、どのようなプロトコルを用いているかを把握することなく、画像データ転送区間を算出することができる。換言すると、上記した構成を持つことにより、画像処理装置100は、画像データを特定する情報(たとえば図19に示す有効データ領域情報410)を解釈することなく、正しく画像データを識別することができる。なお、画像処理装置100は、画像データを特定する情報(たとえば図19に示す有効データ領域情報410)がフレームデータ内に挿入されていない場合であっても正確に画像データを識別することができる。これにより、画素データ取得部150は、所望の画素データのみを適切に取得することができる。
【0072】
なお、画像データ転送区間は、ノイズが挿入されている区間や他の符号データが挿入されている区間と比べて非常に長い。そのため、比較部140は、水平パネルを用いた比較を行うことにより、正確に画像が転送されている区間のみを検出することができる。
【0073】
画像データ転送区間を正確に検出することにより、画質改善等の画像処理が正確に出来るとともに、画像データではない有効データである符号データを未加工のまま後段処理部(図1ではLCDパネル部170)に供給することができる。すなわち、画像データではない符号データに対して誤って画像処理を行うことが回避できる。
【0074】
なお、上述の比較部140は、水平パネルサイズとの比較を行う際に、ノイズを考慮してマージンを設けて比較を行っても良い。例えば、比較部140は、水平パネルサイズが1920ピクセル(1920画素)である場合に、有効データ区間に含まれる画素が1917〜1923画素までである場合には当該区間が画像データ転送区間と判定しても良い。これにより、画像データ転送区間の前後の画素がノイズの影響を受けている場合にも対応が可能になる。
【0075】
さらにまた、上記のようにマージンを設けた場合、比較部140は、両者の差分量を画像処理部160に通知しても良い。画像処理部160は、例えば2画素分の差分があることを通知された場合(水平パネルサイズが1920画素であるのに対し、画像データ転送区間が1922画素である場合)、2画素分のノイズがあると判定し、当該ノイズを除去(または無視)するような画像処理等を行っても良い。すなわち、画像処理部160は、上述の比較における画素数の差分に応じて、実行する画像処理を適宜調整しても良い。
【0076】
<実施の形態2>
フレームデータ内において、画像データと画像データ以外の有効データ(たとえば符号データ)が時間的に連続、すなわち左右に隣接するように配置される場合がある。本実施の形態にかかる画像処理装置100は、このような配置を持つフレームデータを適切に処理できることを特徴とする。本実施の形態では、符号データ、画像データの順序で有効データが連続していることを想定する。本実施の形態にかかる画像処理装置100について、実施の形態1にかかる画像処理装置100との違いを中心に説明する。
【0077】
図5は、本実施の形態にかかる画像処理装置100の構成を示すブロック図である。この画像処理装置100は、図1に示す構成に加え、有効データ検出部130内に画像開始位置計算部135と、画像開始位置保持部136と、を備える。さらに、比較部140の処理が異なる。以下、詳細に説明する。
【0078】
有効データ開始位置保持部132は、DE信号のエッジ立ち上りの検出時に、有効データ開始位置を有効データ区間計測部134に供給する。
【0079】
有効データ終了位置保持部133は、DE信号のエッジ立下りの検出時に、有効データ終了位置を有効データ区間計測部134と、画像開始位置計算部135と、画像データ抽出部151と、出力切替部152と、に供給する。
【0080】
比較部140は、有効データ区間計測部134から供給された有効データ区間と、水平パネルサイズと、を比較する。比較部140は、有効データ区間が水平パネルサイズよりも大きい場合、比較結果信号として計測サイズ大信号(有効データ区間が水平パネルサイズよりも大きいことを示す値を持つ信号)を画像データ抽出部151及び出力切替部152に供給する。
【0081】
画像開始位置計算部135には、水平パネルサイズと、有効データ終了位置と、が入力される。画像開始位置計算部135は、以下の式を用いて、画像データ転送区間の開始位置を計算する。
画像開始位置 = 有効データ終了位置 − 水平パネルサイズ
【0082】
画像開始位置計算部135は、算出した画像データ転送区間の開始位置(以下、画像開始位置と記載する。)を画像開始位置保持部136に供給する。
【0083】
画像開始位置保持部136は、供給された画像開始位置を保持するとともに、供給された画像開始位置を画像データ抽出部151及び出力切替部152に供給する。
【0084】
画像データ抽出部151には、画像開始位置、有効データ終了位置、及び比較結果信号が供給される。比較結果信号として計測サイズ大信号が供給された場合、画像データ抽出部151は、画像開始位置から有効データ終了位置までの区間を画像データ転送区間と認識する。そして、画像データ抽出部151は、画像データ転送区間に含まれる画素データ、すなわち画像データをラインバッファ120から取得する。画像データ抽出部151は、取得した画像データを画像処理部160に供給する。
【0085】
出力切替部152には、画像開始位置、有効データ終了位置、及び比較結果信号が供給される。比較結果信号として計測サイズ大信号が供給された場合、出力切替部152は、同時に入力された画像開始位置及び有効データ終了位置を保持する。これにより、出力切替部152は、画像開始位置及び有効データ終了位置に挟まれる区間を画像データ転送区間と記憶する。
【0086】
上記の処理部のその他の処理、及び言及しなかった処理部の処理は、実施の形態1と同様である。
【0087】
次に、図6及び図7を参照して、本実施の形態にかかる画像処理装置100の水平1ライン処理の流れについて説明する。以下に、図2及び図3と異なる処理のみを説明する。
【0088】
比較部140は、図2のS5、図3のS9に代わり、入力された有効データ区間が、水平パネルサイズよりも大きいか否かを比較する(S14、S16)。
【0089】
DE信号のエッジ立下り時に、比較部140は、入力された有効データ区間と、水平パネルサイズを比較し、有効データ区間が水平パネルサイズよりも大きい場合に当該区間が画像データ転送区間と判定する(S14:大きい)。
【0090】
有効データ区間が水平パネルサイズよりも大きい場合(S14:大きい)、画像開始位置計算部135は、上述の式を用いて画像データ転送区間の開始位置を算出する(S15)。なお、図5を参照した説明では、画像開始位置計算部135は、水平パネルサイズと有効データ区間との比較結果によらず、常に画像開始位置を計算していたが、このように比較部140の比較結果に応じて画像開始位置を計算してもよい。その後、画像データの抽出(S6)、画像データに対する画像処理(S7)を行う。
【0091】
1ラインの処理が終了した後に(S8:Yes)、出力切替部152は、水平パネルサイズよりも大きい有効データ区間があるか、すなわち画像データ転送区間があるか否かを確認する(S16)。それ以降の処理は、図3の処理と同様である。
【0092】
次に、本実施の形態にかかる画像処理装置100による処理を図8のタイミングチャートを参照して説明する。本タイミングチャートの要点を以下に説明する。
【0093】
図示するように、フレームデータ内に符号データと、画像データと、が連続して配置されている。そのため、符号データの入力が終了するタイミングT2と、画像データの入力が開始するタイミングT3が同一タイミングとなる。これにより、有効区間計測部134が計測する有効データ区間W21は、水平パネルサイズよりも大きくなる。
【0094】
有効データ区間が水平パネルサイズよりも大きい場合、画像開始位置計算部135は、有効データの終了位置から水平パネルサイズを減算することにより、画像データの開始位置を算出する。これにより、画像データ転送区間S21を算出する。
【0095】
続いて、本実施の形態にかかる画像処理装置100の効果について説明する。上述のように、フレームデータには、有効データである符号データに続いて画像データが配置され得る。しかしながら、本実施の形態にかかる有効データ検出部130内の画像開始位置計算部135は、符号データに続いて画像データが配置される場合であっても、正確に画像データの開始位置を算出することができる。これにより、画像データをはじめとする有効データを適切に取得することができる。
【0096】
<実施の形態3>
本実施の形態にかかる画像処理装置は、画像データ、符号データの順序で有効データが連続しているフレームデータを適切に扱えることを特徴とする。以下、本実施の形態にかかる画像処理装置100について、実施の形態1、2と異なる点を説明する。
【0097】
図9は、本実施の形態にかかる画像処理装置100の構成を示すブロック図である。この画像処理装置100は、図1に示す構成に加え、有効データ検出部130内に画像終了位置計算部137と、画像終了位置保持部138と、を備える。
【0098】
有効データ開始位置保持部132は、DE信号のエッジ立ち上りの検出時に、有効データ開始位置を有効データ区間計測部134、画像終了位置計算部137、画像データ抽出部151、及び出力切替部152に供給する。
【0099】
有効データ終了位置保持部133は、DE信号のエッジ立下りの検出時に、有効データ終了位置を有効データ区間計測部134に供給する。
【0100】
画像終了位置計算部137には、水平パネルサイズと、有効データ開始位置と、が供給される。画像開始終了計算部137は、以下の式を用いて、画像データ転送区間の終了位置を計算する。
画像終了位置 = 有効データ開始位置 + 水平パネルサイズ
【0101】
画像終了位置計算部137は、算出した画像データ転送区間の終了位置(以下、画像終了位置と記載する。)を画像終了位置保持部138に供給する。
【0102】
画像終了位置保持部138は、供給された画像終了位置を保持するとともに、供給された画像終了位置を画像データ抽出部151及び出力切替部152に供給する。
【0103】
上記の処理部のその他の処理、及び言及しなかった処理部の処理は、実施の形態2と同様である。
【0104】
次に、図10を参照して、本実施の形態にかかる画像処理装置100の水平1ライン処理の流れについて説明する。図10は、本実施の形態にかかる画像処理装置100による水平1ライン処理の流れを示すフローチャートである。なお、図10は、図中の(A)以降の処理の流れを記載していないが、(A)以降の処理の流れは、図7と全く同一であるため、図示を省略し、その説明も省略する。また、図10について図6と異なる処理のみを説明する。
【0105】
DE信号のエッジ立下り時に、比較部140は、入力された有効データ区間と、水平パネルサイズを比較する。有効データ区間が水平パネルサイズよりも大きい場合(S13:大きい)、画像終了位置計算部137は、水平パネルサイズと、有効データ開始位置と、を用いて画像終了位置を算出する(S17)。S17の後の処理は、図6と略同一であるため説明を省略する。
【0106】
次に、本実施の形態にかかる画像処理装置100による処理を図11のタイミングチャートを参照して説明する。本タイミングチャートの要点を以下に説明する。
【0107】
図示するように、フレームデータ内に画像データと、符号データと、が連続して配置されている。そのため、画像データの入力が終了するタイミングT2と、符号データの入力が開始するタイミングT3が同一タイミングとなる。これにより、有効区間計測部134が計測する有効データ区間W31は、水平パネルサイズよりも大きくなる。
【0108】
画像終了位置計算部137は、有効データ開始位置に水平パネルサイズを加算することにより、画像終了位置を算出できる。これにより、画像データ転送区間S31を算出する。
【0109】
続いて、本実施の形態にかかる画像処理装置100の効果について説明する。画像データ終了位置計算部137は、有効データ開始位置と水平パネルサイズを用いて画像開始位置を特定している。これにより画像処理装置100は、フレームデータ内に画像データ、符号データの順に連続して画素データが配置されている場合であっても正確に画像データ転送区間を算出することができる。これにより、画像データをはじめとする有効データを適切に扱うことができる。
【0110】
<実施の形態4>
本実施の形態にかかる画像処理装置100は、符号データ、画像データ、符号データの順序で有効データが連続しているフレームデータを適切に扱えることを特徴とする。以下、本実施の形態にかかる画像処理装置100について、実施の形態1、2、3と異なる点を説明する。
【0111】
図12は、本実施の形態にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。画像処理装置100は、有効データ検出部130内に画像開始位置計算部135、画像開始位置保持部136、画像終了位置計算部137、及び画像終了位置保持部138を有する。
【0112】
有効データ開始位置保持部132は、DE信号のエッジ立ち上りの検出時に、有効データ開始位置を有効データ区間計測部134、及び画像開始位置計算部135に供給する。
【0113】
有効データ終了位置保持部133は、DE信号のエッジ立下りの検出時に、有効データ終了位置を有効データ区間計測部134、及び画像終了位置計算部137に供給する。
【0114】
システム制御部110は、水平パネルサイズに加え、フレームデータ内に含まれる符号データのデータ長(符号データ長)を画像開始位置計算部135、画像終了位置計算部137、及び比較部140に供給する。システム制御部110は、例えばフレームデータの生成時に、フレームデータに挿入した符号データのデータ長を記憶しておき、このデータ長を供給すればよい。本実施例では、符号データ、画像データ、符号データの順序で連続してデータが配置されている。以下の説明では、システム制御部110は、画像データの前に位置する符号データのデータ長、及び画像データの後に位置する符号データのデータ長を通知するものとする。
【0115】
画像開始位置計算部135には、水平パネルサイズ、符号データ長、及び有効データ開始位置が供給される。画像開始位置計算部135は、以下の式を用いて画像開始位置を算出する。
画像開始位置 = 有効データ開始位置 + (画像データの前に位置する)符号データのデータ長
【0116】
画像終了位置計算部137には、水平パネルサイズ、符号データ長、及び有効データ終了位置が供給される。画像終了位置計算部137は、以下の式を用いて画像終了位置を算出する。
画像終了位置 = 有効データ終了位置 − (画像データの後に位置する)符号データのデータ長
【0117】
上記の処理部のその他の処理、及び言及しなかった処理部の処理は、実施の形態2と同様である。なお、本実施の形態にかかる画像処理装置100の処理の流れは、上述の画像データ転送区間の開始/終了位置の算出を並列して行うこと以外には図6、図7に示す処理の流れと相違点が無い。そのため、フローチャートを用いた説明は省略する。
【0118】
次に、本実施の形態にかかる画像処理装置100による処理を図13のタイミングチャートを参照して説明する。本タイミングチャートの要点を以下に説明する。
【0119】
図示するように、フレームデータ内に符号データ、画像データ、符号データの順序で連続してデータが配置されている。そのため、符号データの入力が終了するタイミングT2と、画像データの入力が開始するタイミングT3が同一タイミングとなる。また、画像データの入力が終了するタイミングT4と、符号データの入力が開始するタイミングT5が同一タイミングとなる。これにより、有効区間計測部134が計測する有効データ区間W41は、水平パネルサイズよりも大きくなる。
【0120】
有効データ区間が水平パネルサイズよりも大きい場合、画像開始位置計算部135は、符号長W42を用いて、画像開始位置を算出する。同様に、画像終了位置計算部137は、符号長W43を用いて、画像終了位置を算出する。これにより、画像データ転送区間S41を算出する。
【0121】
続いて、本実施の形態にかかる画像処理装置100の効果について説明する。上記したように、画像開始位置計算部135及び画像終了位置計算部137は、水平パネルサイズと、符号データのデータ長を用いて、画像開始位置及び画像終了位置を算出できる。これにより画像処理装置100は、フレームデータ内に符号データ、画像データ、符号データの順に連続して画素データが配置されている場合であっても正確に画像データ転送区間を算出することができる。これにより、画像データをはじめとする有効データを適切に扱うことができる。
【0122】
なお、上述の説明では、システム制御部110は、画像データの前後に位置する符号データの符号長を通知する例を説明したが、必ずしもこれに限られず、少なくとも一方の符号データを通知すればよい。以下、システム制御部110が、画像データの前に位置する符号データのデータ長のみを通知した場合について説明する。
【0123】
画像開始位置計算部135は、以下の式を用いて画像データ開始位置を算出する。
画像開始位置 = 有効データ開始位置 + (画像データの前に位置する)符号データのデータ長
【0124】
画像開始位置計算部135は、算出した画像開始位置を画像終了位置計算部137に通知する。画像終了位置計算部137は、以下の式を用いて画像データ終了位置を算出すればよい。
画像終了位置 = 画像開始位置 + 水平パネルサイズ
【0125】
このように、システム制御部110の通知する符号データ長が画像データの前または後に位置する符号データ1つに関するもののみであっても、画像データ転送区間を算出することができる。
【0126】
<その他の実施形態>
本発明の他の実施の形態として、画像処理装置100は、図14に示す構成とすることもできる。図14に示す構成の概略を以下に説明する。ラインバッファ120は、VS信号、HS信号、DE信号を保持する領域の他に、複数の領域を有し、この複数の領域には、DE信号が有効(1)となっている各区間の画素データが格納される。
【0127】
有効データ検出部130は、DE信号のエッジではなく、DE信号の値(0であるか、1であるか)を参照し、有効値(1)を持つ期間をそれぞれ有効データ区間として検出する。有効データ検出部130は、有効データ区間を検出する毎にラインバッファ120内の画素データの格納領域を変更し、比較部140に有効データ区間を通知し、有効データ開始位置及び有効データ終了位置を画素データ取得部150(画像データ抽出部151、出力切替部152)に通知する。
【0128】
比較部140は、各有効データ区間と水平パネルサイズを比較して、画像データ転送区間を特定する。比較部140は、特定した画像データ転送区間を比較結果信号として通知する。
【0129】
画素データ取得部150内の各処理部は、比較部140による比較結果、すなわち画像データ転送区間を元に、ラインバッファ120から画素データを取得する。
【0130】
上記の構成では、DE信号のエッジの検出を行わず、各処理部(有効データ検出部130、比較部140、画素データ取得部150、画像データ処理部160)の処理を任意のコンピュータ内で動作するプログラムとして実現することが可能である。プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0131】
画像データ処理装置100の各処理部をプログラムとして動作させるシステムのハードウェア構成の一例を図15に示す。例えば、このハードウェア構成では、中央処理装置(CPU)201とメモリ202とを含んでいる。CPU201とメモリ202とは、バスを介して補助記憶装置としてのハードディスク装置(HDD)203に接続される。このシステムは、典型的には、ユーザ・インターフェース・ハードウェアを備える。ユーザ・インターフェース・ハードウェアとしては、例えば、入力をするためのポインティング・デバイス(マウス、ジョイスティック等)やキーボード等の入力装置204や、視覚データをユーザに提示するための液晶ディスプレイなどの表示装置205がある。ハードディスク装置203等の記憶媒体にはオペレーティングシステムと協働してCPU201等に命令を与え、画像処理装置100の各部の機能を実施するためのコンピュータ・プログラムを記憶することができる。すなわち、プログラムがメモリ202上に展開され、CPU201がプログラムに従って処理を行い、他のハードウェア構成と協働することによって、画像処理装置100の各処理部が構成されている。そして、画像処理装置100による各処理は、CPU201において所定のプログラムが実行されることで実現されている。
【0132】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施形態では、画像処理部160は、画像データを抽出し、当該画像データに対して画質改善の処理を行ったが、必ずしもこれに限られず、他の任意の処理を行ってもよい。
【0133】
画像処理装置100は、フレームデータから画像データを抽出するものであればよく、例えばテレビ受像機、ディスプレイ装置、工業用光学顕微鏡、デジタルスチールカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話(PDA機能を有するものを含む)、プロジェクタ等が該当する。さらに、画像処理装置100内に表示部(LCDパネル部170)が一体化されている必要はなく、各処理部(ラインバッファ120、有効データ検出部130、比較部140、画素データ取得部150)を備え、表示部とハードウェア的に分離された画像処理装置を構成しても良い。すなわち、画像処理装置100は、各処理部(ラインバッファ120、有効データ検出部130、比較部140、画素データ取得部150、及び必要に応じて画像処理部160)のみを備え、表示部を持つ装置に埋め込み可能な画質改善チップ等のチップ(半導体集積回路)として構成することも可能である。
【0134】
さらに、上述の実施の形態では、フレームデータから画像データを抽出することを想定したが必ずしもこれに限られない。例えば、符号データ(有効データであって画像データ以外のデータ)を取得し、符号データを用いた処理を行ってもよい。すなわち、画像データ抽出部151にかわり、符号データの抽出部を設けても良い。この場合、この抽出部は、比較部140の比較結果信号が不一致である場合に、ラインバッファ120から有効データを取得すればよい。
【0135】
上述の実施の形態1〜4では、以下のフレームデータの形式を扱った。
(1)画像データと符号データが連続して配置されない場合(実施の形態1)
(2)符号データ、画像データの順序により有効データが連続して配置される場合(実施の形態2)
(3)画像データ、符号データの順序により有効データが連続して配置される場合(実施の形態3)
(4)符号データ、画像データ、符号データの順序により有効データが連続して配置される場合(実施の形態4)
【0136】
一般に、システム制御部110の構成と、LCDパネル部170の構成と、が定まれば、フレームデータの形式も一つに定まる。しかしながら、仮に上述の形式(1)〜(4)のフレームデータがランダムに入力される場合であっても、本発明を拡張して対応することは可能である。例えば、システム制御部110は、どのような形式のデータを出力するかを逐次的に比較部140及び有効データ検出部130に通知し、必要に応じて符号データのサイズを比較部140に供給する。比較部140は、データ形式の通知に応じて、比較手法(パネル水平サイズと有効データ区間が一致するかを判定する、パネル水平サイズよりも有効データ区間が大きいかを判定する)を変更する。有効データ検出部130に含まれる位置計算部(画像開始位置計算部135、画像終了位置計算部137)は、通知されたデータ形式に応じて、上記した手法で画像データの端点(画像開始位置、画像終了位置)を算出すればよい。
【0137】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0138】
100 画像処理装置
110 システム制御部
120 ラインバッファ
130 有効データ検出部
131 エッジ検出部
132 有効データ開始位置保持部
133 有効データ終了位置保持部
134 有効データ区間計測部
135 画像開始位置計算部
136 画像開始位置保持部
137 画像終了位置計算部
138 画像終了位置保持部
140 比較部
150 画素データ取得部
151 画像データ抽出部
152 出力切替部
160 画像処理部
170 LCDパネル部
201 CPU
202 メモリ
203 HDD
204 入力装置
205 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各画素データの有効/無効を示すデータイネーブル信号と同期して入力されるフレームデータをラスタースキャン形式で処理する画像処理装置であって、
前記フレームデータに含まれる画素データを逐次保持するバッファ部と、
前記データイネーブル信号に基づいて、前記フレームデータの有効データ区間を検出する有効データ検出部と、
前記有効データ検出部が検出した有効データ区間と、予め指定された表示サイズと、を比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づき、前記バッファ部から画素データを取得する画素データ取得部と、を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記有効データ検出部は、前記データイネーブル信号の立ち上がりエッジの検出時に前記有効データ区間が開始したことを検出し、前記データイネーブル信号の立下りエッジの検出時に前記有効データ区間が終了したことを検出する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記比較部は、前記有効データ区間と、前記表示サイズを比較し、両者が一致した場合に、前記有効データ区間は、画像が転送されている区間である画像データ転送区間と判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記比較部は、前記有効データ区間が前記表示サイズよりも大きい場合に、前記有効データ区間は、画像が転送されている区間である画像データ転送区間を含むと判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記有効データ区間、及び前記表示サイズに基づいて、前記画像データ転送区間の開始位置または終了位置を算出する位置計算部を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記位置計算部は、前記有効データ区間、及び前記表示サイズに加え、画像以外の有効データのデータ長に基づいて、前記画像データ転送区間の開始位置または終了位置を算出することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記位置算出部は、前記有効データ区間の終端位置から前記表示サイズを減算することにより、前記画像データ伝送区間の開始位置を算出することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記位置算出部は、前記有効データ区間の開始位置に前記表示サイズを加算することにより、前記画像データ伝送区間の終了位置を算出することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像にかかる画素データに対して画像処理を行う画像処理部を更に備え、
前記画素データ取得部は、
前記画像データ転送区間の画素データを前記バッファ部から取得し、取得した画素データを前記画像処理部に供給する画像データ取得部と、前記画像データ転送区間では前記画像処理部から出力された画像処理済みの画素データを出力し、それ以外の区間では前記バッファ部から読み出した画素データをそのまま出力する出力切替部と、を備える、
ことを特徴とする請求項3乃至請求項8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画素データ取得部が取得した画素データを用いて表示画面情報を生成する表示部を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記比較部は、前記有効データ区間と、前記表示サイズとの比較において、両者の差が所定値以下である場合には、両者が一致したとみなすことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記比較部は、前記有効データ区間と、前記表示サイズとの比較において、両者の差が所定値以下であり、完全一致ではない場合に、両者が一致したとみなすとともに、その差分を前記画像処理部に通知し、
前記画像処理部は、前記差分に基づいて、前記画像処理を行うことを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項13】
各画素データの有効/無効を示すデータイネーブル信号と同期して入力されるフレームデータをラスタースキャン形式で処理する画像処理方法であって、
前記データイネーブル信号に基づいて、前記フレームデータの有効データ区間を検出し、
検出した前記有効データ区間と、予め指定された表示サイズと、を比較し、
比較結果に基づき、前記フレームデータに含まれる画素データを取得する、画像処理方法。
【請求項14】
請求項13に記載の画像処理方法をコンピュータに行わせるための画像処理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2013−54097(P2013−54097A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190523(P2011−190523)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】