説明

画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム

【課題】入力画像の中の興味領域の推定精度の向上を図る。
【解決手段】画像処理装置10は、画像解析部121、構図決定部122、領域推定部123および出力制御部129を有する。画像解析部121は、入力画像を解析して少なくとも1つの特徴パターンを検出する。構図決定部122は、各構図と特徴パターンとの間の関連度を評価値として算出し、前記評価値に基づいて入力画像の構図を決定する。領域推定部123は、当該決定された構図を使用して入力画像中の興味領域を推定する。出力制御部129は、当該推定された興味領域の局所画像を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一画像の中の興味領域を推定し、この興味領域の画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ付き携帯電話機などの小型機器の搭載ディスプレイに撮像画像などの高解像度画像が表示される場合、搭載ディスプレイの有効表示領域の解像度が低いため、ユーザは、高解像度画像の中の、自己に関心のある興味領域を見つけ出すのに非常に時間と手間がかかるという問題があった。ユーザはその興味領域を見つけ出すために、たとえば、小型機器を操作して高解像度画像をディスプレイに縮小表示させ、その縮小表示画像の中のおおまかな位置を指定し、その指定位置における局所画像をディスプレイに拡大表示させる。その後、ユーザは、方向キーを押下してその拡大画像の表示位置を数画素単位で移動(スクロール)させつつ、その表示位置を興味領域に移動させる。しかしながら、画像サイズが大きくなる程に、表示位置が興味領域に達するまでに多くの操作時間を要していた。
【0003】
このような問題を解決するために、高解像度画像の中の興味領域を自動的に推定し、その興味領域の局所画像をディスプレイに拡大表示してユーザに提示し得る技術が存在する。たとえば、特許文献1(特開2006−277038号公報)、特許文献2(特開2006−261711号公報)、特許文献3(特開2003−44511号公報)、特許文献4(特開平11−345340号公報)および特許文献5(特表2004−520735号公報)には、興味領域を推定、検索または分類する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−277038号公報
【特許文献2】特開2006−261711号公報
【特許文献3】特開2003−44511号公報
【特許文献4】特開平11−345340号公報
【特許文献5】特表2004−520735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1〜5に開示された従来技術では、推定された興味領域がユーザが視覚的に確認したい領域と一致しない場合があり、興味領域の推定精度が低いという問題がある。
【0005】
たとえば、特許文献1,2には、画像の中に現れている顔の画像をオブジェクトとして検出し、検出されたオブジェクトに対して重要度を設定し、高い重要度が設定されたオブジェクトを表示する技術が開示されている。しかしながら、人の顔に限らず、車両の画像などのオブジェクトを表示する画像領域が常に興味領域に関係するとは限らない。このため、多数の人が集まる競技場などの場所を撮像した場合には、撮像画像中の判別不能な多数のオブジェクトの中から特定のオブジェクトを選択しこれに対して重要度を設定することが難しい。
【0006】
上記に鑑みて、本発明の目的は、撮像画像などの入力画像の中の興味領域を高い精度で推定し得る画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、入力画像を解析して前記入力画像から少なくとも1つの特徴パターンを検出する画像解析部と、予め用意された複数の構図の各々と前記特徴パターンとの間の関連度を評価値として算出し、前記評価値に基づいて前記入力画像の構図を決定する構図決定部と、当該決定された構図を使用して前記入力画像中の興味領域を推定する領域推定部と、当該推定された興味領域の局所画像を出力する出力制御部と、を備えた画像処理装置が提供される。
【0008】
本発明によれば、入力画像を解析して前記入力画像から少なくとも1つの特徴パターンを検出するステップと、予め用意された複数の構図の各々と前記特徴パターンとの間の関連度を評価値として算出し、前記評価値に基づいて前記入力画像の構図を決定するステップと、当該決定された構図を使用して前記入力画像中の興味領域を推定するステップと、当該推定された興味領域の局所画像を出力するステップと、を備えた画像処理方法が提供される。
【0009】
本発明によれば、入力画像を解析して前記入力画像から少なくとも1つの特徴パターンを検出する画像解析処理と、予め用意された複数の構図の各々と前記特徴パターンとの間の関連度を評価値として算出し、前記評価値に基づいて前記入力画像の構図を決定する構図決定処理と、当該決定された構図を使用して前記入力画像中の興味領域を推定する領域推定処理と、当該推定された興味領域の局所画像を出力する出力制御処理と、をコンピュータに実行させる画像処理プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明による画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムは、予め用意された構図の各々と、入力画像から検出された特徴パターンとを比較して各構図と特徴パターンとの間の関連度を算出する。この関連度に基づいて入力画像の構図が決定されるので、当該決定された構図を使用して入力画像中の興味領域を高い精度で検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の種々の実施形態を図面を参照しつつ説明する。なお、全ての図面において、同一機能を有する構成要素には同一符号が付されており、その詳細な説明を適宜省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置10の概略構成を示す機能ブロック図である。図1に示されるように、この画像処理装置10は、撮像部110、データ処理部120、データ記憶部130およびディスプレイ140を有している。データ処理部120は、画像解析部121、構図決定部122、領域推定部123および表示制御部(出力制御部)129を含む。
【0013】
画像解析部121は、入力画像を解析してこの入力画像から少なくとも1つの特徴パターンgを検出する機能を有している。構図決定部122は、予め用意された複数の構図C,C,…,C(pは3以上の整数)の各々と特徴パターンgとの間の関連度(または一致度)E,E,…,Eを評価値として算出し、これら評価値に基づいて入力画像の構図を決定する機能を有している。領域推定部123は、画像解析部121によって決定された構図を使用して入力画像中の興味領域を推定する機能を有している。そして、表示制御部129は、領域推定部123によって推定された興味領域の局所画像を出力する機能を有している。
【0014】
データ記憶部130は、構図記憶部131と構図係数記憶部132を含む。構図記憶部131は、参照用の構図C,C,…,Cを表すデータセット(以下、構図データセットと呼ぶ。)を格納している。後述するように、構図決定部122は、構図記憶部131から構図データセットを取得しこれを評価値E,E,…,Eを算出するために使用する。構図係数記憶部132は、予め用意された構図C,C,…,Cにそれぞれ対応する構図係数λ,λ,…,λを記憶している。後述するようにこれら構図係数λ,λ,…,λは、それぞれ対応する構図C,C,…,Cに対する重み係数である。ユーザは、画像処理装置10の入力操作部(図示せず)を操作して、これら構図係数λ,λ,…,λの値を所定の数値範囲内の任意の値に設定することができる。
【0015】
なお、「画像の構図」とは、視覚的に安定した美観を与え得る、一画像の全体構成を表すものである。このため、一画像の中に現れる顔画像などのオブジェクトは、必ずしも画像の全体構成を表現するものではなく、構図であるとはいえない。後述する第2〜第4の実施形態においても同様である。
【0016】
各構図は、所定数の画素単位で重みが設定された1画面に相当する多階調パターンである。構図記憶部131には構図C,C,…,Cをそれぞれ表す構図データセットが格納されている。基本構図としては、たとえば、三分割構図(画面の縦方向と横方向とをそれぞれ三分割する基準線に重みが集中した構図)、日の丸構図(画面中央に重みが集中した構図)、三角構図(三角形の基準線または基準体に重みが集中した構図)、対象構図(画面の左右方向または上下方向に対称に配置された基準線または基準体に重みが集中した構図)、曲線構図(所定の曲線上に重みが集中した構図)、水平構図(画面内に配置された水平方向の基準線に重みが集中した構図)、放射線構図(画面内に放射状に分布する基準線または基準体に重みが集中した構図)および色面構図(画面に含まれる1つ以上の色面に重みが設定された構図)が挙げられる。図2(A)に三分割構図の典型例を、図2(B)に日の丸構図の典型例を、図2(C)に三角構図の典型例を、図2(D)に対称構図の典型例を、図2(E)に曲線構図の典型例を、図2(F)に水平構図の典型例を、図2(G)に放射線構図の典型例を、それぞれ示す。構図記憶部131に記憶される構図は、この種の基本構図、あるいは2以上の基本構図を重ね合わせて得られる合成構図であればよい。
【0017】
データ記憶部130は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリなどの記録媒体(たとえば、半導体メモリや磁気記録媒体)と、この記録媒体に対してデータの書込と読出を行うための回路またはプログラムとで構成することができる。構図記憶部131と構図係数記憶部132は、予め記録媒体の所定の記憶領域上に構成されていてもよいし、あるいは、画像処理装置10の動作時に割り当てられる適当な記憶領域上に構成されてもよい。
【0018】
画像解析部121は、撮像部110から入力された撮像画像の色相や空間周波数を解析してこの撮像画像の特徴パターンを検出することができる。特徴パターンとしては、たとえば、顔や車両などのオブジェクトの位置または分布を示す多階調パターン、あるいは、オブジェクトのエッジを示す多階調パターンが挙げられる。撮像部110は、CCD撮像素子またはCMOS撮像素子などの固体撮像素子と、この固体撮像素子に被写体からの入射光を集光させるフォーカスシステムと、固体撮像素子の出力に画像処理を施す信号処理部とを有する。
【0019】
構図決定部122は、構図記憶部131から構図データセットを取得するとともに、各構図C,C,…,Cにそれぞれ対応する構図係数λ,λ,…,λを構図係数記憶部132から取得する。画像解析部121でm個の特徴パターンg〜gが検出されたとき、構図決定部122は、参照用の構図C,C,…,Cの各々と特徴パターンg〜gとの間の関連度E,E,…,Eを評価値として算出する。具体的には、次の第1の評価式に従って評価値E,E,…,Eを算出することができる。
【0020】
【数1】

【0021】
ここで、C(i,j),C(i,j),…,C(i,j)は、それぞれ、画面上i行j列目の画素位置における構図C,C,…,Cを表す値であり、g(i,j),g(i,j),…,g(i,j)は、それぞれ、画面上i行j列目の画素位置における特徴パターンg,g,…,gの画素値(たとえば、所定の色空間上の輝度値または色差値に相当する値)である。上記評価式中、C(i,j),C(i,j),…,C(i,j)には、それぞれ対応する構図係数λ,λ,…,λが重み付けされている。
【0022】
構図決定部122は、算出された評価値E,E,…,Eに基づいて撮像画像の構図を決定する。決定される構図の数は、1個もしくは複数個となり得る。たとえば、算出された評価値E,E,…,Eのうちの最も高い値を有する構図を撮像画像の構図として決定してもよいし、あるいは、算出された評価値E,E,…,Eのうち閾値以上の値を有する2個以上の構図を撮像画像の構図として決定してもよい。
【0023】
領域推定部123は、決定された構図を使用して撮像画像中の興味領域を推定し、その推定結果を表示制御部129に与える。領域推定部123は、当該決定された構図の多階調パターンのうちの比較的大きな値を有する領域に対応する画像領域を興味領域として選択することができる。より好ましくは、興味領域を抽出するために、次の第2の評価式に従って各画素につき評価値F(i,j)を算出すればよい。
【0024】
【数2】

【0025】
この評価値F(i,j)は、決定された構図Cについての評価値である。領域推定部123は、評価値F(i,j)の1画面中の2次元分布(評価パターン)に基づいて興味領域を推定できる。たとえば、評価パターンのうち比較的大きな値を有する領域に対応する画像領域を興味領域として推定すればよい。
【0026】
構図決定部122が複数の構図を決定したときは、領域推定部123は、これら構図にそれぞれ対応する複数の評価値に基づいて各画素につき1つの全体評価値を算出することができる。領域推定部123は、全体評価値の1画面中の2次元分布(評価パターン)に基づいて興味領域を推定すればよい。たとえば、構図決定部122が撮像画像の構図として3個の構図C,C,Cを決定したとき、評価値F(i,j),F(i,j),F(i,j)の加算値または平均値を全体評価値としてもよいし、あるいは、複数の評価値分布にフィルタリングを施して1つの評価パターンを生成してもよい。
【0027】
表示制御部129は、領域推定部123によって推定された興味領域の局所画像を抽出し、この局所画像をディスプレイ140に出力する。このとき、表示制御部129は、ユーザが視覚的に確認しやすいように、抽出された局所画像の解像度をより大きな解像度に変換することができる。あるいは、表示制御部129は、興味領域の局所画像と他の画像との合成画像をディスプレイ140に出力してもよい。
【0028】
複数の興味領域が推定された場合、表示制御部129は、これら興味領域の局所画像を拡大した画像を、高い評価値を有する画像から順番にディスプレイ140に表示させてもよいし、あるいは、これら興味領域の局所画像を低解像度のサムネイル画像に変換し、これらサムネイル画像の一覧をディスプレイ140に表示させてもよい。
【0029】
上記構成を有する画像処理装置10の動作例を図3を参照しつつ以下に説明する。図3は、画像処理装置10による興味領域抽出の処理手順を概略的に示すフローチャートである。
【0030】
ユーザが押しボタンやスイッチなどの入力操作部(図示せず)を操作すると、これに応じて撮像部110は、被写体を撮像して高解像度の撮像画像をデータ処理部120に出力する(ステップS10)。
【0031】
画像解析部121は、上記の通り、入力された撮像画像を解析して複数の特徴パターンg〜gを検出する(ステップS11)。次に、構図決定部122は、構図記憶部131から構図データセットを取得するとともに、構図係数記憶部132から構図データセットに対応する構図係数λ〜λを取得する(ステップS12)。そして、構図決定部122は、構図データセットと構図係数λ〜λとを用いて、構図C,C,…,Cの各々と特徴パターンg〜gとの間の関連度を表す評価値E,E,…,Eを算出して撮像画像の構図を決定する(ステップS13)。
【0032】
図4(A),(B)および(C)は、それぞれ、参照用の三分割構図C、日の丸構図Cおよび三角構図Cを概略的に例示する図である。三分割構図Cでは、1画面を縦方向と横方向とにそれぞれ三分割する4本の基準線BL,BL,BL,BLに重みが設定されており、これら基準線の交点CPには、さらに大きな重みが設定されている。日の丸構図Cでは、画面中央の点A1に一番大きな重みが設定され、この中央の点A1を囲む領域A2に点A1よりも小さな重みが設定され、この領域A2を囲む領域A3に領域A2よりも小さな重みが設定されている。三角構図Cでは、逆V字状の基準線BL1に重みが設定され、この基準線BL1に隣接する基準線BL2に基準線BL1よりも小さな重みが設定されている。
【0033】
図5は、撮像画像の一例を概略的に示す図である。画像解析部121が図5の撮像画像を解析したとき、図6(A)〜(F)に示される特徴パターンg〜gを検出できる。図6(A)〜(D)の特徴パターンg,g,g,gは、撮像画像の中から同一色または同一輝度の領域を抽出して得たもの、図6(E)の特徴パターンgは、画像のエッジ成分を抽出して得たもの、そして、図6(F)は、花画像のオブジェクトを抽出して得たものである。
【0034】
構図決定部122は、上記第1の評価式に従って、図4(A)〜(C)の構図C〜Cの各々と図6の特徴パターンg〜gとの間の関連度E〜Eを算出することができる。条件を適当に設定すれば、三分割構図Cに対する評価値Eを170、日の丸構図Cに対する評価値Eを120、構図Cに対する評価値Eを50としてそれぞれ算出することができる。この場合、構図決定部122は、最も高い評価値Eを有する三分割構図Cを撮像画像の構図として決定することができる(ステップS13)。
【0035】
撮像画像の構図決定(ステップS13)の後は、領域推定部123は、上記第2の評価式に従い、当該決定された構図を使用して興味領域を推定する(ステップS14)。ここで、構図係数λ,λ,…,λについては、比較的高い頻度で使用される構図に対しては大きな重み係数(たとえば、0.8の値)を、比較的低い頻度で使用される構図に対しては小さな重み係数(たとえば、0.2の値)を、それぞれ設定することができる。あるいは、ユーザにとって比較的高い重要度を有する構図に対しては大きな重み係数を、ユーザにとって比較的低い重要度を有する構図に対しては小さな重み係数を、それぞれ設定してもよい。
【0036】
前述の通り、構図決定部122が、図4(A)〜(C)の構図C〜Cの各々と図6の特徴パターンg〜gとの間の関連度E〜Eを算出して三分割構図Cを撮像画像の構図として決定した場合、領域推定部123で使用される評価式は次の通りになる。
【0037】
【数3】

【0038】
ただし、この評価式につき、画像解析部121は、図6(A),(B),(E)の特徴パターンg,g,gのみを検出し、他の特徴パターンg,g,gを検出しないものとした。評価値F(i,j)を変数i,jの全ての値について算出することによって評価パターンを得ることができる。たとえば、この評価式の右辺第1項C(i,j)・g(i,j)の値は、図7(A)の2次元分布を形成するように、右辺第2項C(i,j)・g(i,j)の値は、図7(B)の2次元分布を形成するように、右辺第3項C(i,j)・g(i,j)の値は、図7(C)の2次元分布を形成するように、それぞれ算出できる。このとき、評価値F(i,j)は、図8の2次元分布すなわち評価パターンを形成するように算出される。
【0039】
領域推定部123は、図8の評価パターンの中の比較的大きな値を有する領域に対応する画像領域を興味領域として推定できる(ステップS14)。そして、表示制御部129は、領域推定部123によって推定された興味領域の局所画像を撮像画像から抽出し、この局所画像を解像度変換してディスプレイ140に出力する(ステップS15)。領域推定部123は、複数の興味領域が推定されたとき、各興味領域における評価値F(i,j)の総和に応じた順位を当該興味領域に割り当てることができる。興味領域は、高い順位を有する程にユーザにとっての関心度が高いものと推定することができるので、表示制御部129は、比較的高い順位をもつ興味領域の画像を優先的にディスプレイ140に表示させることが望ましい。
【0040】
あるいは、表示制御部129は、図9に示される合成画像DSをディスプレイ140に表示させることができる。合成画像DSには、複数の興味領域のサムネイル画像が「1」、「2」、「3」、「4」という順位を付されて一覧表示されている。また、表示位置確認領域の画像(すなわち、撮像画像の解像度を小さいものに変換して得た縮小画像)V1が表示されており、この画像V1には、複数の興味領域の中からユーザが選択した興味領域の画像の位置を表す枠T1が示されている。さらに、枠T1に対応する拡大画像が、画質確認領域の画像V2として表示されている。ユーザが入力操作部を操作して興味領域のいずれかを選択すると、当該選択された興味領域の局所画像の位置が、表示位置確認領域の画像V1中に枠T1によって示される。同時に、興味領域の拡大画像が画質確認領域の画像V2として表示されることとなる。
【0041】
上記第1の実施形態に係る画像処理装置10の効果は以下の通りである。構図決定部122は、構図記憶部131に予め記憶された構図C,C,…,Cの各々と、検出された特徴パターンg〜gとの間の関連度E,E,…,Eを推定評価値として算出する。構図決定部122は、これら推定評価値E,E,…,Eに基づいて撮像画像の構図を決定するので、領域推定部123は、当該決定された構図を使用して撮像画像中の興味領域を高い精度で検出することが可能である。すなわち、当該決定された構図を判断基準として、撮像画像中の特徴パターン(たとえば、オブジェクト)が興味領域に該当するか否かを正確に推定することができる。
【0042】
また、上記第1の評価式に示したように、領域推定部123は、構図係数λ,λ,…,λを、それぞれ、構図C,C,…,Cに重み付けて評価値E,E,…,Eを算出することができる。重要度または使用頻度の比較的低い構図に対する評価値には小さな重み係数を設定し、重要度または使用頻度の比較的高い構図に対する評価値には大きな重み係数を設定することにより、興味領域の推定精度の向上が可能となる。
【0043】
したがって、ユーザは、撮像画像において構図上重要な位置にある興味領域の画像を容易に確認することができる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図10は、第2の実施形態に係る画像処理装置11の概略構成を示す機能ブロック図である。この画像処理装置11は、データ処理部120Aおよびデータ記憶部130Aを有している。
【0045】
図10に示されるようにデータ処理部120Aは、構図決定部122Aと領域推定部123との間に係数設定部124を有しており、この係数設定部124は、構図決定部122Aの処理結果に基づいて、データ記憶部130Aの中の構図係数記憶部132に記憶されている構図係数λ〜λを更新する機能を有している。
【0046】
データ記憶部130Aは、履歴記憶部133を有しており、この履歴記憶部133は、構図C,C,…,Cそれぞれの累積使用回数N,N,…,Nを記憶している。構図決定部122Aは、図1の構図決定部122と同じ機能を有しており、この機能に加えて、履歴記憶部133に記憶されている累積使用回数N,N,…,Nを更新する機能を有している。係数設定部124は、更新後の累積使用回数N,N,…,Nに基づいて、構図係数記憶部132に記憶されている構図係数λ〜λを更新する。
【0047】
上記画像処理装置11の動作例を図11を参照しつつ以下に説明する。図11は、画像処理装置11による処理手順を概略的に示すフローチャートである。
【0048】
図11のステップS10〜S13は、図3のステップS10〜S13と同じである。すなわち、撮像部110は被写体を撮像し(ステップS10)、画像解析部121は入力撮像画像を解析して複数の特徴パターンg〜gを検出し(ステップS11)、構図決定部122Aは、構図記憶部131から構図データセットを取得するとともに、構図係数記憶部132から構図係数λ〜λを取得する(ステップS12)。そして、構図決定部122Aは、構図データセットと構図係数λ〜λとを用いて、構図C,C,…,Cの各々と特徴パターンg〜gとの間の関連度を表す評価値E,E,…,Eを算出して撮像画像の構図を決定する(ステップS13)。
【0049】
その後、構図決定部122Aは、履歴記憶部133に記憶されている累積使用回数N,N,…,Nを更新する(ステップS20)。たとえば、構図決定部122Aが撮像画像の構図として構図Cを決定したとき、構図Cの累積使用回数Nが1だけインクリメントされる(N←N+1)。
【0050】
係数設定部124は、構図決定部122Aによる構図の決定結果に基づいて、構図係数λ〜λを再計算し(ステップS21)、当該計算された構図係数λ〜λを構図係数記憶部132に記憶させることにより構図係数λ〜λを更新する(ステップS22)。このとき、係数設定部124は、累積使用回数が大きいほどに、対応する構図係数を大きな値に設定し、累積使用回数が小さいほどに、対応する構図係数を小さい値に設定することが望ましい。たとえば、ある構図Cの累積使用回数Nは、全構図の累積使用回数N〜Nの総和(=S=N+N+…+N)に対する累積使用回数Nの比率(=N/S)とすることができる。
【0051】
また、たとえば、下記表1,2に示されるように構図A,B,C,D(A〜Dは、C,C,…,Cのいずれか)の累積使用回数が1回に設定され、構図係数がいずれも0.25に設定されている場合を想定する。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
この場合に、構図決定部122Aが撮像画像の構図として構図Aを決定したとき、下記表3,4に示されるように構図Aの累積使用回数が2回に設定され、構図Aの構図係数は0.4(=2/(2+1+1+1))に設定され、構図B〜Dの構図係数はいずれも0.2(=1/(2+1+1+1))に設定され得る。
【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
上記ステップS22の後、上記第1の実施形態と同様にステップS14,S15(図3)が実行される。
【0058】
なお、本実施形態では、ステップS20〜S22が終了した後に、ステップS14,S15が実行されたが、これに限らず、ステップS20〜S22と並行にステップS14,S15が実行されてもよいし、あるいは、ステップS20〜S22の前にステップS14,S15が実行されてもよい。
【0059】
上記第2の実施形態に係る画像処理装置11は、第1の実施形態と同様の効果を有し、さらに以下の効果を有している。すなわち、画像処理装置11においては、構図決定部122Aが構図C〜Cの使用履歴を履歴記憶部133に記録し(ステップS20)、係数設定部124がその使用履歴に基づき構図係数λ〜λを再計算して構図係数記憶部132の記憶内容を更新する(ステップS21,S22)。したがって、画像処理装置11は、ユーザの嗜好性を学習し、この嗜好性を反映した最適な構図を撮像画像の構図として決定することができる。それ故、興味領域の推定精度の更なる向上が可能となる。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図12は、第3の実施形態に係る画像処理装置12の概略構成を示す機能ブロック図である。この画像処理装置12は、データ処理部120Bおよびデータ記憶部130Bを有している。
【0061】
図12に示されるようにデータ処理部120Bは、領域推定部123と表示制御部129との間にオブジェクト検出部125と画像補正部126を有している。領域推定部123は、上記の通りに推定された興味領域を特定する位置情報をオブジェクト検出部125に与える。オブジェクト検出部125は、データ記憶部130Bの中のオブジェクトデータ記憶部134を参照して、興味領域の局所画像中のオブジェクト(たとえば、顔、車両、草花、色構成を示す画像)を検出する機能を有している。
【0062】
オブジェクトデータ記憶部134は、少なくとも1つの参照用オブジェクトの特徴を表すオブジェクトデータを格納している。オブジェクト検出部125は、バッファメモリ(図示せず)から興味領域の局所画像を読み出し、オブジェクトデータ記憶部134からオブジェクトデータを取得する。オブジェクト検出部125は、当該取得されたオブジェクトデータと興味領域の局所画像とをパターンマッチングすることによってオブジェクトの検出を試みる。その検出結果は画像補正部126に与えられる。
【0063】
画像補正部126は、画質補正データ記憶部135を参照して、検出オブジェクトに応じて局所画像の画質補正を実行する機能を有している。画質補正データ記憶部135には、参照用オブジェクトにそれぞれ対応する画質補正データセットが格納されている。画像補正部126は、画質補正データ記憶部135から、検出オブジェクトに対応する画質補正データセットを取得しこれを用いて局所画像の画質を補正することができる。
【0064】
上記画像処理装置12の動作例を図13を参照しつつ以下に説明する。図13は、画像処理装置12による処理手順を概略的に示すフローチャートである。
【0065】
図13のステップS10〜S14は、図3のステップS10〜S14と同じである。すなわち、撮像部110は被写体を撮像し(ステップS10)、画像解析部121は入力撮像画像を解析して複数の特徴パターンg〜gを検出し(ステップS11)、構図決定部122は、構図記憶部131から構図データセットを取得するとともに、構図係数記憶部132から構図係数λ〜λを取得する(ステップS12)。また、構図決定部122は、構図データセットと構図係数λ〜λとを用いて、構図C,C,…,Cの各々と特徴パターンg〜gとの間の関連度を表す評価値E,E,…,Eを算出して撮像画像の構図を決定する(ステップS13)。そして、領域推定部123は、当該決定された構図を使用して興味領域を推定する(ステップS14)。
【0066】
その後、オブジェクト検出部125は、オブジェクトデータ記憶部134を参照して、推定された興味領域の局所画像中のオブジェクトを検出する(ステップS30)。さらに画像補正部126は、画質補正データ記憶部135を参照して当該検出されたオブジェクトに応じて局所画像の画質を適正に補正する(ステップS31)。たとえば、検出されたオブジェクトが顔画像である場合には、画像補正部126は、画質補正データ記憶部135から顔画像用の画質補正データセットを取得しこれを用いて画質を補正する。このとき、画像補正部126は、検出された顔画像の肌色に応じて、当該顔画像の肌色を好ましい肌色へ色変換することができる。あるいは、検出されたオブジェクトが空の画像である場合、画像補正部126は、当該画像が青色に近い空色であれば、当該画像の色をより青色に、当該画像が赤色に近い空色であれば、当該画像の色を更なる夕焼け色に、それぞれ色変換することができる。
【0067】
上記ステップS31の後、上記第1の実施形態と同様にステップS15(図3)が実行される。なお、オブジェクト検出部125が局所画像中のオブジェクトを検出しないときも、上記第1の実施形態と同様にステップS15(図3)が実行される。
【0068】
上記第3の実施形態に係る画像処理装置12は、第1の実施形態と同様の効果を有し、さらに以下の効果を有している。すなわち、画像補正部126は、興味領域の局所画像内のオブジェクト(被写体)の特性に合わせて興味領域の画質を適正に補正することができる。画像処理装置12がデジタルカメラであるとき、ユーザが事前に撮影モードを設定しなくても、興味領域の画質が適正かつ自動的に補正されるので、ユーザは、興味領域の画像を視覚的に容易に確認することが可能である。
【0069】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図14は、第4の実施形態に係る画像処理装置13の概略構成を示す機能ブロック図である。この画像処理装置13は、データ処理部120Cおよびデータ記憶部130Cを有している。
【0070】
図14に示されるようにデータ処理部120Cは、構図決定部122と領域推定部123との間に構図生成部127を有しており、この構図生成部127は、構図決定部122によって決定された構図に基づいて新たな構図を生成する機能と、この新たに生成された構図に対応する構図係数を新たに設定する機能とを有している。構図記憶部131は、新たに生成された構図を記憶し、構図係数記憶部132は、新たに設定された構図係数を記憶する。
【0071】
上記画像処理装置13の動作例を図15を参照しつつ以下に説明する。図15は、画像処理装置13による処理手順を概略的に示すフローチャートである。
【0072】
図15のステップS10〜S13は、図3のステップS10〜S13と同じである。すなわち、撮像部110は被写体を撮像し(ステップS10)、画像解析部121は入力撮像画像を解析して複数の特徴パターンg〜gを検出し(ステップS11)、構図決定部122は、構図記憶部131から構図データセットを取得するとともに、構図係数記憶部132から構図係数λ〜λを取得する(ステップS12)。
【0073】
さらに構図決定部122は、構図データセットと構図係数λ〜λとを用いて、構図C,C,…,Cの各々と特徴パターンg〜gとの間の関連度を表す評価値E,E,…,Eを算出して撮像画像の構図を決定する(ステップS13)。ここで、構図決定部122は、比較的高い評価値を有する2以上の構図を撮像画像の構図として選択し決定するものとする。
【0074】
その後、構図生成部127は、ステップS13で決定された2以上の構図のうち、互いの評価値が所定の閾値(しきい値)以下となる構図が存在するか否かを判定する(ステップS40)。たとえば、2個の構図C,Cが撮像画像の構図として決定されたとき(ステップS13)、評価値E,E間の差分絶対値(=|E−E|)が閾値以下となるか否かが判別される(ステップS40)。下記表5に示されるように4つの構図A,B,C,Dがそれぞれ120、118、20、10の評価値を有する場合、閾値が10であれば、構図A,Bの評価値間の差分絶対値が閾値以下となる。
【0075】
【表5】

【0076】
互いの評価値間の差分絶対値が所定の閾値以下となる構図が存在しないと判定したときは(ステップS40)、構図生成部127は、処理をステップS14に移行させる。その後、上記第1の実施形態と同様にステップS14,S15(図3)が実行される。
【0077】
他方、互いの評価値間の差分絶対値が所定の閾値以下となる構図が存在すると判定したとき(ステップS40)、構図生成部127は、これら構図に基づいて新たな構図Cp+1を生成する(ステップS41)。たとえば、図16に示すように、三分割構図Cと日の丸構図Cとを画素毎に加算することにより新たな構図Cを生成することができる。このとき、三分割構図Cと日の丸構図Cにそれぞれ重みを付けて(構図C,Cにそれぞれ係数を乗算して)当該重み付けされた構図C,Cを加算してもよい。
【0078】
その後、構図生成部127は、新たに生成された構図Cp+1を構図記憶部131に記憶させる(ステップS42)。さらに構図生成部127は、構図Cp+1に対応する構図係数λp+1と構図係数λ〜λとを再計算する(ステップS43)。そして、構図生成部127は、これら構図係数λ〜λp+1を構図係数記憶部132に記憶させて構図係数を更新する(ステップS44)。
【0079】
上記ステップS44の後、上記第1の実施形態と同様にステップS14,S15(図3)が実行される。ステップS14では、新たに生成された構図が使用されてもよいし、あるいは、ステップS13で決定された複数の構図が使用されてもよい。
【0080】
上記第4の実施形態に係る画像処理装置13は、第1の実施形態と同様の効果を有し、さらに以下の効果を有している。すなわち、画像処理装置13においては、構図生成部127は、互いの評価値の差分絶対値が小さい構図、言い換えれば、比較的互いに類似する構図に基づいて新たな構図を生成し(ステップS41)、この新たな構図に対応する構図係数を計算し(ステップS43)、構図記憶部131と構図係数記憶部132とに記憶されている構図と構図係数を更新する(ステップS42,S44)。よって、ユーザの嗜好性をより良く反映した構図を生成し利用することができるので、興味領域の推定精度の更なる向上が可能となる。
【0081】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。たとえば、表示制御部129は、ディスプレイ140に局所画像を出力するが、これに限定されるものではない。表示制御部129が、局所画像を、通信ネットワーク、通信回線または接続ケーブルを介して外部機器に送信する機能を有していてもよい。
【0082】
また、データ処理部120,120A,120B,120Cには、撮像部110で撮像された画像が入力されたが、これに限らず、記録媒体から読み出された画像が入力されてもよく、あるいは、通信ネットワーク、通信回線または接続ケーブルを介して外部機器から受信された画像が入力されてもよい。
【0083】
上記第1の実施形態において、撮像部110、データ処理部120、データ記憶部130およびディスプレイ140は、デジタルカメラ内蔵の携帯電話のような機器に組み込まれていてもよいし、あるいは、これら構成要素110〜140の全部または一部が、通信ネットワークを介して相互接続された複数の機器に分散して組み込まれていてもよい。通信ネットワークとしては、パケット交換網(たとえば、インターネットやイントラネット)や小規模ネットワーク(たとえば、有線または無線LAN)が挙げられる。あるいは、構成要素110〜140の全部または一部が、SCSI(Small Computer System Interface)などのバス規格に準拠した接続ケーブルを介して接続されていてもよい。上記第2〜第4の実施形態に係る画像処理装置11〜13の構成要素についても同様である。
【0084】
また、上記第1の実施形態において、データ処理部120の機能ブロック121〜123,129の全部または一部が、半導体集積回路などのハードウェアで実現されてもよいし、あるいは、不揮発性メモリや光ディスクなどの記録媒体に記録されたプログラムまたはプログラムコードで実現されてもよい。このようなプログラムまたはプログラムコードは、機能ブロック121〜123,129の全部または一部の処理を、CPUなどのプロセッサを有するコンピュータに実行させるものである。上記第2〜第4の実施形態に係る画像処理装置11〜13の構成要素についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】(A)〜(G)は構図の典型例を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る画像処理装置による処理手順を概略的に示すフローチャートである。
【図4】(A),(B)および(C)は、それぞれ、参照用の三分割構図、日の丸構図および三角構図を概略的に示す図である。
【図5】撮像画像の一例を概略的に示す図である。
【図6】(A)〜(F)は、図5の撮像画像から検出された特徴パターンを概略的に示す図である。
【図7】(A)〜(C)は、評価式の各項の値が形成する二次元分布を示す図である。
【図8】評価値の2次元分布である評価パターンを示す図である。
【図9】興味領域の画像の一覧を含む合成画像を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図11】第2の実施形態に係る画像処理装置による処理手順を概略的に示すフローチャートである。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図13】第3の実施形態に係る画像処理装置による処理手順を概略的に示すフローチャートである。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る画像処理装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図15】第4の実施形態に係る画像処理装置による処理手順を概略的に示すフローチャートである。
【図16】構図生成方法の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0086】
110 撮像部
10,11,12,13 画像処理装置
120,120A,120B,120C データ処理部
121 画像解析部
122,122A 構図決定部
123 領域推定部
124 係数設定部
125 オブジェクト検出部
126 画像補正部
127 構図生成部
129 表示制御部(出力制御部)
130,130A,130B,130C データ記憶部
131 構図記憶部
132 構図係数記憶部
133 履歴記憶部
134 オブジェクトデータ記憶部
135 画質補正データ記憶部
140 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像を解析して前記入力画像から少なくとも1つの特徴パターンを検出する画像解析部と、
予め用意された複数の構図の各々と前記特徴パターンとの間の関連度を評価値として算出し、前記評価値に基づいて前記入力画像の構図を決定する構図決定部と、
当該決定された構図を使用して前記入力画像中の興味領域を推定する領域推定部と、
当該推定された興味領域の局所画像を出力する出力制御部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置であって、前記予め用意された複数の構図にそれぞれ対応する構図係数を記憶する構図係数記憶部を更に備え、
前記構図決定部は、前記構図係数記憶部から前記構図係数を取得し、前記各構図に当該対応する構図係数を重み付け、当該重み付けされた構図の各々と前記特徴パターンとの間の関連度を前記評価値として算出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像処理装置であって、
前記構図係数記憶部に記憶されている構図係数を更新する係数設定部と、
前記予め用意された複数の構図それぞれの累積使用回数を記憶する履歴記憶部と、
を更に備え、
前記構図決定部は、前記予め用意された複数の構図の中から前記評価値として比較的高い値を有する構図を前記入力画像の構図として選択するとともに、前記履歴記憶部に記憶されている累積使用回数を更新し、
前記係数設定部は、当該更新後に前記履歴記憶部に記憶されている累積使用回数に基づいて、前記構図係数記憶部に記憶されている構図係数を更新することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像処理装置であって、前記係数設定部は、前記累積使用回数が大きいほどに当該対応する構図係数を大きな値に設定し、前記累積使用回数が小さいほどに当該対応する構図係数を小さい値に設定することによって前記構図係数を更新することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
前記興味領域中のオブジェクトを検出するオブジェクト検出部と、
当該検出されたオブジェクトに応じて前記局所画像の画質を補正する画像補正部と、
を更に備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像処理装置であって、少なくとも1つの参照用オブジェクトの特徴を表すオブジェクトデータを格納するオブジェクトデータ記憶部を更に備え、
前記オブジェクト検出部は、前記オブジェクトデータ記憶部からオブジェクトデータを取得し、当該取得されたオブジェクトデータと前記興味領域の局所画像とをパターンマッチングすることによって前記オブジェクトを検出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像処理装置であって、前記参照用オブジェクトにそれぞれ対応する画質補正データセットを格納する画質補正データ記憶部を更に備え、
前記画像補正部は、前記画質補正データ記憶部から当該対応する画質補正データセットを取得しこれを用いて前記局所画像の画質を補正することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項1記載の画像処理装置であって、
前記予め用意された複数の構図を表すデータを格納する構図記憶部を更に備え、
前記構図決定部は、前記構図記憶部から前記構図を表すデータを取得して前記評価値を算出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像処理装置であって、
前記構図決定部によって決定された構図に基づいて新たに構図を生成するとともに、当該生成された構図に対応する構図係数を新たに設定する構図生成部と、
前記予め用意された複数の構図にそれぞれ対応する構図係数を記憶する構図係数記憶部と、
を更に備え、
前記構図記憶部は、前記構図生成部によって新たに生成された構図を表すデータを格納し、前記構図係数記憶部は、前記構図生成部によって新たに設定された構図係数を記憶することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項9記載の画像処理装置であって、
前記構図決定部は、前記予め用意された複数の構図の中から2以上の構図を前記入力画像の構図として選択かつ決定し、
前記構図生成部は、当該選択された2以上の構図のうち互いの評価値間の差分絶対値が所定の閾値以下となる構図に基づいて新たに構図を生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項1から10のうちのいずれか1項に記載の画像処理装置であって、前記出力制御部は、前記局所画像をディスプレイに表示させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
請求項11記載の画像処理装置であって、被写体を撮影して前記入力画像を生成する撮像部と、前記ディスプレイとを更に備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
入力画像を解析して前記入力画像から少なくとも1つの特徴パターンを検出するステップと、
予め用意された複数の構図の各々と前記特徴パターンとの間の関連度を評価値として算出し、前記評価値に基づいて前記入力画像の構図を決定するステップと、
当該決定された構図を使用して前記入力画像中の興味領域を推定するステップと、
当該推定された興味領域の局所画像を出力するステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
請求項13記載の画像処理方法であって、前記構図を決定するステップにおいては、
前記予め用意された複数の構図にそれぞれ対応する構図係数を記憶する構図係数記憶部から前記構図係数を取得し、
前記各構図に当該対応する構図係数を重み付け、
当該重み付けされた構図の各々と前記特徴パターンとの間の関連度を前記評価値として算出する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項15】
請求項14記載の画像処理方法であって、前記構図を決定するステップにおいては、
前記予め用意された複数の構図の中から前記評価値として比較的高い値を有する構図を前記入力画像の構図として選択するとともに、履歴記憶部に記憶されている、前記複数の構図それぞれの累積使用回数を更新し、
当該更新後に、前記履歴記憶部に記憶されている累積使用回数に基づいて、前記構図係数記憶部に記憶されている構図係数を更新する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項16】
請求項14または15記載の画像処理方法であって、
前記興味領域中のオブジェクトを検出するステップと、
当該検出されたオブジェクトに応じて前記局所画像の画質を補正するステップと、
を更に備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項17】
請求項14から16のうちのいずれか1項に記載の画像処理方法であって、前記構図を決定するステップにおいては、前記予め用意された複数の構図を表すデータを格納する構図記憶部から前記構図を表すデータを取得して前記評価値を算出することを特徴とする画像処理方法。
【請求項18】
請求項17記載の画像処理方法であって、
当該決定された構図に基づいて構図を新たに生成するとともに、当該生成された構図に対応する構図係数を新たに設定するステップを更に備え、
当該新たに生成された構図を表すデータは前記構図記憶部に格納され、当該新たに設定された構図係数は前記構図係数記憶部に記憶されることを特徴とする画像処理方法。
【請求項19】
入力画像を解析して前記入力画像から少なくとも1つの特徴パターンを検出する画像解析処理と、
予め用意された複数の構図の各々と前記特徴パターンとの間の関連度を評価値として算出し、前記評価値に基づいて前記入力画像の構図を決定する構図決定処理と、
当該決定された構図を使用して前記入力画像中の興味領域を推定する領域推定処理と、
当該推定された興味領域の局所画像を出力する出力制御処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項20】
請求項19記載の画像処理プログラムであって、前記構図決定処理は、
前記予め用意された複数の構図にそれぞれ対応する構図係数を記憶する構図係数記憶部から前記構図係数を取得し、
前記各構図に当該対応する構図係数を重み付け、
当該重み付けされた構図の各々と前記特徴パターンとの間の関連度を前記評価値として算出する処理を含むことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項21】
請求項20記載の画像処理プログラムであって、
前記構図決定処理は、前記予め用意された複数の構図の中から前記評価値として比較的高い値を有する構図を前記入力画像の構図として選択するとともに、履歴記憶部に記憶されている、前記複数の構図それぞれの累積使用回数を更新する処理を含み、
前記係数設定処理は、当該更新後に、前記履歴記憶部に記憶されている累積使用回数に基づいて、前記構図係数記憶部に記憶されている構図係数を更新する処理を含む、
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項22】
請求項19から21のうちのいずれか1項に記載の画像処理プログラムであって、
前記興味領域中のオブジェクトを検出するオブジェクト検出処理と、
当該検出されたオブジェクトに応じて前記局所画像の画質を補正する画像補正処理と、
を更にコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項23】
請求項19から22のうちのいずれか1項に記載の画像処理プログラムであって、前記構図決定処理は、前記予め用意された複数の構図を表すデータを格納する構図記憶部から前記構図を表すデータを取得して前記評価値を算出する処理を含むことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項24】
請求項23記載の画像処理プログラムであって、前記構図決定処理によって決定された構図に基づいて構図を新たに生成するとともに、当該生成された構図に対応する構図係数を新たに設定する構図生成処理を更にコンピュータに実行させ、
前記構図生成処理は、当該新たに生成された構図を表すデータを前記構図記憶部に格納し、当該新たに設定された構図係数を前記構図係数記憶部に記憶させる処理を含むことを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−159023(P2009−159023A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331928(P2007−331928)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】