説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】まぶた等による影をキャラクタオブジェクトの目に表すことを、ユーザに違和感を感じさせないように図るとともに、処理負荷の増大を抑制を図りつつ実現できるようになる画像処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明では、仮想3次元空間に配置されたキャラクタオブジェクト(選手キャラクタオブジェクト46)の目領域50生じる影を表現するための影ポリゴン60が、該目領域50の少なくとも一部を覆う位置に配置される。そして、仮想3次元空間を所与の視点から見た様子を表す画像が生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
キャラクタオブジェクトが配置された仮想3次元空間を所与の視点から見た様子を表す画像を表示する画像処理装置が知られている。例えば、サッカー選手を表す選手キャラクタオブジェクトが配置された仮想3次元空間を所与の視点から見た様子を表す画像を表示することによって、サッカーゲームを実現するゲーム装置(画像処理装置)が知られている。
【特許文献1】特開2005−342120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の画像処理装置では、まぶた等による影がキャラクタオブジェクトの目に表されていないと、キャラクタオブジェクトの目が過度に光っているように表されてしまう。その結果、ユーザに違和感を感じさせてしまう。
【0004】
まぶた等による影をキャラクタオブジェクトの目に表すための方法としては、目を表すテクスチャ画像にまぶた等による影をあらかじめ描いておく方法が考えられる。しかしながら、この場合、眼球の動きを表すアニメーションデータを再生した場合、眼球とともに影も一緒に動いてしまう。その結果、却ってユーザに違和感を感じさせてしまうおそれがある。
【0005】
また、まぶた等による影をキャラクタオブジェクトの目に表すための方法としては、物理シミュレーション演算を実行することによって、まぶた等による影を描く方法も考えられる。しかしながら、この場合、処理負荷が大きくなってしまう。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、まぶた等による影をキャラクタオブジェクトの目に表すことを、ユーザに違和感を感じさせないように図るとともに、処理負荷の増大を抑制を図りつつ実現できるようになる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、仮想3次元空間に配置されたキャラクタオブジェクトの目領域に生じる影を表現するための影ポリゴンを、前記キャラクタオブジェクトの前記目領域の少なくとも一部を覆う位置に配置する影ポリゴン配置手段と、前記仮想3次元空間を所与の視点から見た様子を表す画像を生成する画像生成手段と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る画像処理方法は、仮想3次元空間に配置されたキャラクタオブジェクトの目領域に生じる影を表現するための影ポリゴンを、前記キャラクタオブジェクトの前記目領域の少なくとも一部を覆う位置に配置する影ポリゴン配置ステップと、前記仮想3次元空間を所与の視点から見た様子を表す画像を生成する画像生成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るプログラムは、仮想3次元空間に配置されたキャラクタオブジェクトの目領域に生じる影を表現するための影ポリゴンを、前記キャラクタオブジェクトの前記目領域の少なくとも一部を覆う位置に配置する影ポリゴン配置手段、及び、前記仮想3次元空間を所与の視点から見た様子を表す画像を生成する画像生成手段、として、家庭用ゲーム機、携帯用ゲーム機、業務用ゲーム機、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)やパーソナルコンピュータなどのコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0010】
また、本発明に係る情報記憶媒体は、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体である。また、本発明に係るプログラム配信装置は、上記プログラムを記録した情報記憶媒体を備え、当該情報記憶媒体から上記プログラムを読み出し、配信するプログラム配信装置である。また、本発明に係るプログラム配信方法は、上記プログラムを記録した情報記憶媒体から上記プログラムを読み出し、配信するプログラム配信方法である。
【0011】
本発明では、仮想3次元空間に配置されたキャラクタオブジェクトの目領域に生じる影を表現するための影ポリゴンが、該目領域の少なくとも一部を覆う位置に配置される。そして、仮想3次元空間を所与の視点から見た様子を表す画像が生成される。本発明によれば、まぶた等による影をキャラクタオブジェクトの目に表すことを、ユーザに違和感を感じさせないように図るとともに、処理負荷の増大を抑制を図りつつ実現できるようになる。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記目領域の形状を変化させる目領域形状制御手段を含み、前記影ポリゴン配置手段は、前記影ポリゴンの形状を前記目領域の形状の変化に基づいて変化させる手段を含むようにしてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記影ポリゴン配置手段は、前記目領域の頂点の位置の変化方向及び変化量を取得する手段を含み、前記影ポリゴンの頂点の位置を、その頂点に対応する前記目領域の頂点の位置の変化方向及び変化量に基づいて変化させるようにしてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記影ポリゴンのうちの、前記影ポリゴンの端からの距離が基準距離以内である領域に、前記目領域に生じる影は表され、前記影ポリゴン配置手段は、前記基準距離を前記目領域の大きさに基づいて変化させる手段を含むようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の一例について図面に基づき詳細に説明する。ここでは、画像処理装置の一態様であるゲーム装置に本発明を適用した例について説明する。ゲーム装置は、例えば家庭用ゲーム機、携帯用ゲーム機、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)又はパーソナルコンピュータ等によって実現される。ここでは、本発明の実施形態に係るゲーム装置を家庭用ゲーム機によって実現する場合について説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るゲーム装置の全体構成を示す図である。図1に示すゲーム装置10は、家庭用ゲーム機11、モニタ32、スピーカ34、光ディスク36を含んでいる。モニタ32及びスピーカ34は家庭用ゲーム機11に接続される。モニタ32としては例えば家庭用テレビ受像機が用いられる。スピーカ34としては例えば家庭用テレビ受像機に内蔵されたスピーカが用いられる。光ディスク36は情報記憶媒体であり、家庭用ゲーム機11に装着される。
【0017】
家庭用ゲーム機11は公知のコンピュータゲームシステムである。家庭用ゲーム機11は、バス12、マイクロプロセッサ14、主記憶16、画像処理部18、入出力処理部20、音声処理部22、光ディスク読み取り部24、ハードディスク26、通信インタフェース28及びコントローラ30を含んでいる。コントローラ30以外の構成要素は家庭用ゲーム機11の筐体内に収容される。
【0018】
バス12はアドレス及びデータを家庭用ゲーム機11の各部でやり取りするためのものである。マイクロプロセッサ14、主記憶16、画像処理部18及び入出力処理部20は、バス12によって相互データ通信可能に接続される。
【0019】
マイクロプロセッサ14は、図示しないROMに格納されるオペレーティングシステム、光ディスク36又はハードディスク26から読み出されるプログラム及びデータに基づいて、家庭用ゲーム機11の各部を制御する。主記憶16は例えばRAMを含んでいる。主記憶16には、光ディスク36又はハードディスク26から読み出されたプログラム及びデータが必要に応じて書き込まれる。主記憶16はマイクロプロセッサ14の作業用メモリとしても用いられる。
【0020】
画像処理部18はVRAMを含んでいる。画像処理部18は、マイクロプロセッサ14から送られる画像データに基づいてVRAM上にゲーム画面を描画する。そして、画像処理部18は、そのゲーム画面をビデオ信号に変換して所定のタイミングでモニタ32に出力する。
【0021】
入出力処理部20は、マイクロプロセッサ14が音声処理部22、光ディスク読み取り部24、ハードディスク26、通信インタフェース28及びコントローラ30にアクセスするためのインタフェースである。入出力処理部20には、音声処理部22、光ディスク読み取り部24、ハードディスク26、通信インタフェース28及びコントローラ30が接続される。
【0022】
音声処理部22はサウンドバッファを含んでいる。サウンドバッファには、光ディスク36又はハードディスク26から読み出されたゲーム音楽、ゲーム効果音、メッセージ等の各種音声データが記憶される。音声処理部22は、サウンドバッファに記憶された各種音声データを再生してスピーカ34から出力する。
【0023】
光ディスク読み取り部24はマイクロプロセッサ14からの指示に従って光ディスク36に記録されたプログラムやデータを読み取る。なお、ここではプログラムやデータを家庭用ゲーム機11に供給するために光ディスク36を用いることとするが、ROMカード等、他のあらゆる情報記憶媒体を用いて、プログラムやデータを家庭用ゲーム機11に供給するようにしてもよい。また、例えばインターネット等の通信ネットワークを介して遠隔地からプログラムやデータを家庭用ゲーム機11に供給するようにしてもよい。
【0024】
ハードディスク26は一般的なハードディスク装置(補助記憶装置)である。ハードディスク26にはプログラムやデータが記憶される。例えば、セーブデータ等がハードディスク26に記憶される。通信インタフェース28は、インターネット等の通信ネットワークに家庭用ゲーム機11を有線又は無線接続するためのインタフェースである。
【0025】
コントローラ30は、ユーザが各種ゲーム操作の入力をするための汎用操作入力手段である。入出力処理部20は一定周期毎(例えば1/60秒ごと)にコントローラ30の各部の状態をスキャンする。そして、入出力処理部20はそのスキャン結果を表す操作信号をバス12を介してマイクロプロセッサ14に渡す。マイクロプロセッサ14はその操作信号に基づいてユーザのゲーム操作を判定する。家庭用ゲーム機11には複数のコントローラ30を接続することが可能である。マイクロプロセッサ14は各コントローラ30から入力される操作信号に基づいてゲーム制御を実行する。
【0026】
上記の構成を備えるゲーム装置10では、光ディスク36又はハードディスク26から読み出されたゲームプログラムが実行されることによって、例えばサッカーゲームが実現される。
【0027】
ゲーム装置10の主記憶16には仮想3次元空間が構築される。図2は仮想3次元空間40の一例を示している。図2に示すように、仮想3次元空間40にはサッカーの試合会場が形成される。すなわち、仮想3次元空間40には、サッカーのフィールドを表すフィールドオブジェクト42が配置される。フィールドオブジェクト42上には、ゴールを表すゴールオブジェクト44と、サッカー選手を表す選手キャラクタオブジェクト46と、サッカーボールを表すボールオブジェクト48と、が配置される。なお、図2では省略されているが、仮想3次元空間40には22体の選手キャラクタオブジェクト46が配置される。また図2では選手キャラクタオブジェクト46が簡略化されている。
【0028】
仮想3次元空間40には仮想カメラ49が配置される。この仮想カメラ49から仮想3次元空間40を見た様子を表すゲーム画面がモニタ32に表示される。ユーザはゲーム画面を見ながら、コントローラ30を用いて操作対象の選手キャラクタオブジェクト46を操作する。
【0029】
以下、上記のサッカーゲームにおいて、まぶた等による影を選手キャラクタオブジェクト46の目に表すことを好適に実現するための技術について説明する。
【0030】
図3は選手キャラクタオブジェクト46の頭部46aの一例を示している。図3に示すように、選手キャラクタオブジェクト46の頭部46aには、選手キャラクタオブジェクト46の右目及び左目にそれぞれ対応する2つの目領域50が含まれる。
【0031】
選手キャラクタオブジェクト46は、光ディスク36又はハードディスク26に記憶されたモーションデータ(まばたきモーションデータ)に従ってまばたきを行う。まばたきモーションデータは、選手キャラクタオブジェクト46がまばたきを行う際の、目領域50の各頂点の所定時間(例えば1/60秒)ごとの位置変化を定義したデータである。まばたきモーションデータに従って目領域50の各頂点の位置が変化することによって、選手キャラクタオブジェクト46がまばたきを行う様子がゲーム画面に表される。
【0032】
図4〜図6は目領域50の頂点の位置変化、すなわち目領域50の形状変化の一例を示している。図4〜図6に示すように、目領域50には頂点52a〜52pが含まれる。なお、図4は選手キャラクタオブジェクト46の目(目領域50)が完全に開いている状態を示している。図5は選手キャラクタオブジェクト46の目(目領域50)が半分閉じている状態を示している。図6は選手キャラクタオブジェクト46の目(目領域50)が完全に閉じている状態を示している。なお、以下では図4に示す状態のことを初期状態と呼ぶ。
【0033】
選手キャラクタオブジェクト46がまばたきを行う場合、まず、目領域50の各頂点(頂点52a〜52p)の位置は図4に示す状態から図5に示す状態へと変化する。その後、目領域50の各頂点(頂点52a〜52p等)の位置は図5に示す状態から図6に示す状態へと変化する。また、その後、目領域50の各頂点(頂点52a〜52p等)の位置は図6に示す状態から図5に示す状態へと変化する。さらに、その後、目領域50の各頂点(頂点52a〜52p等)の位置は図5に示す状態から図4に示す状態へと変化する。以上のような目領域50の各頂点の位置変化がまばたきモーションデータには定義されている。
【0034】
また、図3に示すように、選手キャラクタオブジェクト46の各目領域50に対して、その目領域50の少なくとも一部を覆う位置に、まぶた等による影を表すための影ポリゴン60が配置される。本実施の形態の場合、選手キャラクタオブジェクト46の目領域50の前方に、目領域50と同一形状を有する影ポリゴン60が配置される。影ポリゴン60は目領域50と一定の相対位置関係を有する位置に配置され、選手キャラクタオブジェクト46に従動する。
【0035】
図7は影ポリゴン60について示す図である。影ポリゴン60は半透明で板状のポリゴンであり、目領域50と同様の頂点を有している。図7に示すように、影ポリゴン60には、目領域50の頂点52a〜52pの各々に対応する頂点62a〜62pが含まれている。影ポリゴン60は、まぶた等による影が表された影領域64(斜線部分)と、非影領域66と、を含んでいる。影領域64は、影ポリゴン60の端からの距離が基準距離以下の領域に設定される。本実施の形態では基準距離は(H/10)に設定される。なお、Hは影ポリゴン60の高さを示している。影領域64には影を表す色が設定される。また、影領域64以外の領域である非影領域66の透過度(α値)は完全透明に設定され、影領域64の透過度(α値)は非影領域66の透過度よりも低い所定の透過度に設定される。また、影ポリゴン60の形状は、その影ポリゴン60に対応する目領域50の形状の変化に合わせて変化する。例えば、選手キャラクタオブジェクト46の右目の目領域50の前方に該目領域50を覆うように配置された影ポリゴン60の形状は、右目の目領域50の形状の変化に合わせて変化する。
【0036】
次に、選手キャラクタオブジェクト46がまばたきを行う様子を表現するために実行される処理について説明する。図8は、選手キャラクタオブジェクト46がまばたきを行う様子を表現するために所定時間(例えば1/60秒)ごとに実行される処理のうち、本発明に関連するものを主として示すフロー図である。マイクロプロセッサ14は光ディスク36又はハードディスク26から読み出されたプログラムに従って、図8に示す処理を実行する。
【0037】
図8に示すように、マイクロプロセッサ14(目領域形状制御手段)は、まばたきモーションデータに基づいて、選手キャラクタオブジェクト46の目領域50の各頂点(頂点52a〜52p等)の位置を更新する(S101)。次に、マイクロプロセッサ14(影ポリゴン配置手段)は、選手キャラクタオブジェクト46の目領域50の各頂点(頂点52a〜52p等)の位置の変化方向及び変化量を取得する(S102)。
【0038】
図9は、目領域50の各頂点(頂点52a〜52p等)の位置の変化方向及び変化量について説明するための図である。図9は、頂点52dの位置の変化方向Dd及び変化量Mdを算出する場合について示している。なお、図9において符号52doは頂点52dの初期位置を示している。頂点52dの初期位置とは、目領域50が初期状態(図4参照)である場合の頂点52dの位置である。
【0039】
図9に示すように、頂点52dの初期位置52doから頂点52dの現在位置への方向が、頂点52dの位置の変化方向Ddとして取得される。また、頂点52dの初期位置52doから頂点52dの現在位置までの距離が、頂点52dの位置の変化量Mdとして取得される。S102では、頂点52dと同様にして、目領域50の各頂点の位置の変化方向及び変化量が取得される。例えば、頂点52bの初期位置から頂点52bの現在位置への方向が頂点52bの位置の変化方向として取得され、頂点52bの初期位置から頂点52bの現在位置までの距離が頂点52bの位置の変化量として取得される。
【0040】
選手キャラクタオブジェクト46の目領域50の各頂点(頂点52a〜52p等)の位置の変化方向及び変化量が取得された後、マイクロプロセッサ14(影ポリゴン配置手段)は、選手キャラクタオブジェクト46の目領域50の各頂点(頂点52a〜52p等)の位置の変化方向及び変化量に基づいて、影ポリゴン60の各頂点(頂点62a〜62p等)の位置を更新する(S103)。マイクロプロセッサ14は、影ポリゴン60の各頂点(頂点62a〜62p等)の位置を、その頂点に対応する目領域50の頂点の位置の変化方向及び変化量に基づいて決定する。
【0041】
図10は、影ポリゴン60の各頂点(頂点62a〜62p等)の位置の決定方法について説明するための図である。図10は、影ポリゴン60の頂点62dの位置を決定する場合について示している。なお、図10において符号62doは頂点62dの初期位置を示している。頂点62dの初期位置とは、影ポリゴン60の形状が初期状態時の目領域50の形状(図4参照)と同じである場合の頂点62dの位置である。
【0042】
図10に示すように、頂点62dの位置は、頂点62dの初期位置62doから、頂点52dの位置の変化方向Ddに、頂点52dの位置の変化量Mdだけ移動した位置に決定される。S103では、頂点62dと同様にして、影ポリゴン60の各頂点の位置が決定される。例えば、頂点62bの位置は、頂点62bの初期位置から、頂点52bの位置の変化方向に、頂点52bの位置の変化量だけ移動した位置に決定される。
【0043】
影ポリゴン60の各頂点(頂点62a〜62p等)の位置が更新された後、マイクロプロセッサ14(影ポリゴン配置手段)は影ポリゴン60の高さHを取得する(S104)。本実施の形態の場合、マイクロプロセッサ14は、影ポリゴン60の2つの代表頂点62d,62lの間の距離を影ポリゴン60の高さHとして取得する。
【0044】
その後、マイクロプロセッサ14(影ポリゴン配置手段)は、影ポリゴン60の高さHに基づいて、影ポリゴン60の影領域64を設定する(S105)。ここで、マイクロプロセッサ14は、影ポリゴン60の端からの距離が(H/10)以下である領域を影領域64に設定する。すなわち、マイクロプロセッサ14は、影ポリゴン60の端からの距離が(H/10)以下である領域の色を影を表す所定色に設定する。また、マイクロプロセッサ14は、影ポリゴン60の端からの距離が(H/10)以下でない領域の透過度(α値)を完全透明に設定する。さらに、マイクロプロセッサ14は、影ポリゴン60の端からの距離が(H/10)以下である領域の透過度(α値)を、完全透明ではない所定の透過度に設定する。
【0045】
その後、マイクロプロセッサ14及び画像処理部18(画像生成手段)はゲーム画面を生成する(S106)。すなわち、マイクロプロセッサ14及び画像処理部18は、仮想3次元空間40を仮想カメラ49から見た様子を表すゲーム画面(画像)をVRAM上に描画する。VRAM上に描画されたゲーム画面は所与のタイミングでモニタ32に表示出力される。
【0046】
ゲーム装置10では上記のようにしてゲーム画面が生成されるため、ゲーム画面には、
S105で設定された透過度(半透明合成の割合)に従って影ポリゴン60(図7や図10参照)が選手キャラクタオブジェクト46の目領域50に対して半透明合成された画像が表される。すなわち、ゲーム画面に表される選手キャラクタオブジェクト46の目領域50には、影ポリゴン60の影領域64が半透明合成されており、その結果として、まぶたや目頭等による影が選手キャラクタオブジェクト46の目に生じている様子がゲーム画面に表される。
【0047】
まぶた等による影を選手キャラクタオブジェクト46の目に表すための方法としては、目を表すテクスチャ画像にまぶた等による影をあらかじめ描いておく方法も考えられる。しかしながら、この場合、眼球の動きを表すアニメーションデータを再生した場合、眼球とともに影も一緒に動いてしまう。その結果、却ってユーザに違和感を感じさせてしまうおそれがある。この点、本実施の形態では、眼球の動きを表すアニメーションデータを再生した場合であっても、影が眼球とともに一緒に動くことはないため、ユーザに違和感を感じさせないように図ることが可能になる。
【0048】
また、まぶた等による影をキャラクタオブジェクトの目に表すための方法としては、物理シミュレーション演算を実行することによって、まぶた等による影を描く方法も考えられる。しかしながら、この場合、処理負荷が大きくなってしまう。この点、本実施の形態では、物理シミュレーション演算を実行することによって、まぶた等による影が描かれるわけではないため、処理負荷の増大が抑えられる。
【0049】
以上説明したように、ゲーム装置10によれば、まぶた等による影をキャラクタオブジェクトの目に表すことを、ユーザに違和感を感じさせないように図るとともに、処理負荷の増大を抑制を図りつつ実現できるようになる。
【0050】
また、ゲーム装置10では、影ポリゴン60の形状が、その影ポリゴン60に対応する目領域50の形状の変化に合わせて変化する。影ポリゴン60の形状が一定の形状であると、選手キャラクタオブジェクト46がまばたきを行った場合(選手キャラクタオブジェクト46の目領域50の形状が変化した場合)に、選手キャラクタオブジェクト46の目領域50以外の領域に対して影ポリゴン60(影領域64)が半透明合成されてしまうおそれがある。すなわち、選手キャラクタオブジェクト46の目領域50以外の領域に影が表されてしまうおそれがある。その結果、ユーザに違和感を感じさせてしまうおそれがある。この点、ゲーム装置10によれば、上記のような不具合が発生しないように図ることが可能になる。
【0051】
また、ゲーム装置10では、影ポリゴン60の影領域64の大きさ(幅)が影ポリゴン60の大きさ(高さ)に基づいて設定される。影ポリゴン60の影領域64の大きさ(幅)が一定であると、影ポリゴン60の大きさが比較的小さくなった場合に、選手キャラクタオブジェクト46の目領域50のうちの、まぶた等による影が表される領域の割合が大きくなりすぎてしまうおそれがある。その結果、ユーザに違和感を感じさせてしまう場合がある。この点、ゲーム装置10によれば、上記のような不具合が発生しないように図ることが可能になる。
【0052】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではない。
【0053】
例えば、図8のS102では、目領域50の各頂点の位置の変化方向及び変化量として、その頂点の前回位置(S101における更新前の位置)から、その頂点の現在位置までの方向及び距離が取得されるようにしてもよい。この場合、図8のS103では、影ポリゴン60の頂点が、その頂点の現在位置から、その頂点に対応する目領域50の頂点の変化方向に、その頂点に対応する目領域50の頂点の変化量だけ移動した位置に更新される。
【0054】
また例えば、ゲーム装置10で実行されるゲームはサッカーゲーム以外のゲームであってもよい。また例えば、本発明はゲーム装置10以外の画像処理装置にも用いることができる。本発明は、キャラクタオブジェクトが登場する画面を表示する画像処理装置において、まぶた等による影がキャラクタオブジェクトの目に生じる様子を表現するために用いることができる。
【0055】
また例えば、以上の説明では、プログラムを情報記憶媒体たる光ディスク36から家庭用ゲーム機11に供給するようにしたが、通信ネットワークを介してプログラムを家庭等に配信するようにしてもよい。図11は、通信ネットワークを用いたプログラム配信システムの全体構成を示す図である。図11に基づいて本発明に係るプログラム配信方法を説明する。図11に示すように、このプログラム配信システム100は、ゲームデータベース102、サーバ104、通信ネットワーク106、パソコン108、家庭用ゲーム機110、PDA(携帯情報端末)112を含んでいる。このうち、ゲームデータベース102とサーバ104とによりプログラム配信装置114が構成される。通信ネットワーク106は、例えばインターネットやケーブルテレビネットワークを含んでいる。このシステムでは、ゲームデータベース(情報記憶媒体)102に、光ディスク36の記憶内容と同様のプログラムが記憶されている。そして、パソコン108、家庭用ゲーム機110又はPDA112等を用いて需要者がゲーム配信要求をすることにより、それが通信ネットワーク106を介してサーバ104に伝えられる。そして、サーバ104はゲーム配信要求に応じてゲームデータベース102からプログラムを読み出し、それをパソコン108、家庭用ゲーム機110、PDA112等、ゲーム配信要求元に送信する。ここではゲーム配信要求に応じてゲーム配信するようにしたが、サーバ104から一方的に送信するようにしてもよい。また、必ずしも一度にゲームの実現に必要な全てのプログラムを配信(一括配信)する必要はなく、ゲームの局面に応じて必要な部分を配信(分割配信)するようにしてもよい。このように通信ネットワーク106を介してゲーム配信するようにすれば、プログラムを需要者は容易に入手することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施の形態に係る画像処理装置(ゲーム装置)のハードウェア構成を示す図である。
【図2】仮想3次元空間の一例を示す図である。
【図3】選手キャラクタオブジェクトの頭部の一例を示す図である。
【図4】目領域の形状の一例を示す図である。
【図5】目領域の形状の一例を示す図である。
【図6】目領域の形状の一例を示す図である。
【図7】影ポリゴンの一例を示す図である。
【図8】目領域の頂点の位置の変化方向及び変化量の取得方法について説明するための図である。
【図9】ゲーム装置で実行される処理を示すフロー図である。
【図10】影ポリゴンの頂点の位置の決定方法について説明するための図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係るプログラム配信システムの全体構成を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
10 ゲーム装置、11,110 家庭用ゲーム機、12 バス、14 マイクロプロセッサ、16 主記憶、18 画像処理部、20 入出力処理部、22 音声処理部、24 光ディスク読み取り部、26 ハードディスク、28 通信インタフェース、30 コントローラ、32 モニタ、34 スピーカ、36 光ディスク、40 仮想3次元空間、42 フィールドオブジェクト、44 ゴールオブジェクト、46 選手キャラクタオブジェクト、46a 頭部、48 ボールオブジェクト、49 仮想カメラ、50 目領域、52a〜52p 頂点、60 影ポリゴン、62a〜62p 頂点、64 影領域、66 非影領域、100 プログラム配信システム、102 ゲームデータベース、104 サーバ、106 通信ネットワーク、108 パソコン、112 携帯情報端末(PDA)、114 プログラム配信装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想3次元空間に配置されたキャラクタオブジェクトの目領域に生じる影を表現するための影ポリゴンを、前記キャラクタオブジェクトの前記目領域の少なくとも一部を覆う位置に配置する影ポリゴン配置手段と、
前記仮想3次元空間を所与の視点から見た様子を表す画像を生成する画像生成手段と、
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記目領域の形状を変化させる目領域形状制御手段を含み、
前記影ポリゴン配置手段は、前記影ポリゴンの形状を前記目領域の形状の変化に基づいて変化させる手段を含む、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記影ポリゴン配置手段は、前記目領域の頂点の位置の変化方向及び変化量を取得する手段を含み、前記影ポリゴンの頂点の位置を、その頂点に対応する前記目領域の頂点の位置の変化方向及び変化量に基づいて変化させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の画像処理装置において、
前記影ポリゴンのうちの、前記影ポリゴンの端からの距離が基準距離以内である領域に、前記目領域に生じる影は表され、
前記影ポリゴン配置手段は、前記基準距離を前記目領域の大きさに基づいて変化させる手段を含む、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
仮想3次元空間に配置されたキャラクタオブジェクトの目領域に生じる影を表現するための影ポリゴンを、前記キャラクタオブジェクトの前記目領域の少なくとも一部を覆う位置に配置する影ポリゴン配置ステップと、
前記仮想3次元空間を所与の視点から見た様子を表す画像を生成する画像生成ステップと、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
仮想3次元空間に配置されたキャラクタオブジェクトの目領域に生じる影を表現するための影ポリゴンを、前記キャラクタオブジェクトの前記目領域の少なくとも一部を覆う位置に配置する影ポリゴン配置手段、及び、
前記仮想3次元空間を所与の視点から見た様子を表す画像を生成する画像生成手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−304999(P2008−304999A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149334(P2007−149334)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】