説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】変化の少ない画像から観察者が注目すると推測される画像領域を適切に検出する。
【解決手段】撮像装置100であって、取得した処理対象画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けするグループ分け部5cと、グループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の当該画像における分散値を算出する分散値算出部5dと、算出された分散値に基づいて、各グループの評価値を算出する評価値算出部5gと、各グループの評価値の算出結果に基づいて、複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域として検出する注目領域検出部5hとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、画像を解析する画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像から注目される領域を検出する技術として、連続する2フレームの画像の差分値から被写体が動くことによって発生する特異な画像領域を検出し、それを注目されるであろうと推測される領域と見做す技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−205575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術は、「動画において観察者は動く被写体に注目する」ことを前提に考えられたものであるため、例えば一枚の静止画のような変化の少ない画像からでは上記領域を検出することができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、変化の少ない画像から、観察者が注目すると推測される画像領域を適切に検出することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の画像処理装置は、
画像を取得する取得手段と、この取得手段により取得された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けするグループ分け手段と、このグループ分け手段によりグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の当該画像における分散値をグループ毎に算出する分散値算出手段と、この分散値算出手段により算出された分散値に基づいて、各グループの評価値を算出する評価値算出手段と、この評価値算出手段による算出結果に基づいて、前記複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域として検出する検出手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、
前記グループ分け手段によりグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の重心位置を算出する重心算出手段と、この重心算出手段により算出された前記重心位置と前記画像の中心との距離を算出する距離算出手段と、を更に備え、
前記評価値算出手段は、前記複数のグループの各々に係る、前記分散値算出手段により算出された分散値及び前記距離算出手段により算出された距離に基づいて、前記各グループの評価値を算出することを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明の画像処理装置は、
画像を取得する取得手段と、この取得手段により取得された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けするグループ分け手段と、このグループ分け手段によってグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の重心位置をグループ毎に算出する重心算出手段と、この重心算出手段により算出された重心位置と前記画像の中心との距離を算出する距離算出手段と、この距離算出手段により算出された距離に基づいて、前記各グループの評価値を算出する評価値算出手段と、この評価値算出手段による算出結果に基づいて、前記複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域として検出する検出手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の画像処理装置において、
前記取得手段により取得された画像に対して当該画像の色を平滑化する平滑化処理を施す平滑化手段を更に備え、前記グループ分け手段は、前記平滑化手段により平滑化処理が施された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けすることを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の画像処理装置において、
前記検出手段により検出済みの注目領域と、当該検出済みの注目領域の検出後に新たに検出された注目領域とを比較して、当該比較結果に応じて新たに検出された注目領域が前記検出済みの注目領域とは異なる領域に変化したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に応じて、前記検出手段により検出された注目領域の出力内容を制御する出力制御手段と、を更に備えることを特徴としている。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の画像処理装置において、
前記複数のグループの各々は、各グループを規定する前記所定の色空間における各成分の範囲が隣合うグループと重なり合ってなることを特徴としている。
【0012】
請求項7に記載の発明の画像処理方法は、
画像を取得する取得ステップと、この取得ステップにて取得された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けするグループ分けステップと、このグループ分けステップにてグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の当該画像における分散値をグループ毎に算出する分散値算出ステップと、この分散値算出ステップにて算出された分散値に基づいて、各グループの評価値を算出する評価値算出ステップと、この評価値算出ステップにて算出結果に基づいて、前記複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域として検出する検出ステップと、を実行することを特徴としている。
【0013】
請求項8に記載の発明の画像処理方法は、
画像を取得する取得ステップと、この取得ステップにて取得された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けするグループ分けステップと、このグループ分けステップにてグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の重心位置をグループ毎に算出する重心算出ステップと、この重心算出ステップにて算出された重心位置と前記画像の中心との距離を算出する距離算出ステップと、この距離算出ステップにて算出された距離に基づいて、前記各グループの評価値を算出する評価値算出ステップと、この評価値算出ステップにおける算出結果に基づいて、前記複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域として検出する検出ステップと、を実行することを特徴としている。
【0014】
請求項9に記載の発明のプログラムは、
コンピュータを、画像を取得する取得手段、この取得手段により取得された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けするグループ分け手段、このグループ分け手段によりグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の当該画像における分散値をグループ毎に算出する分散値算出手段、この分散値算出手段により算出された分散値に基づいて、各グループの評価値を算出する評価値算出手段、この評価値算出手段による算出結果に基づいて、前記複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域として検出する検出手段、として機能させることを特徴としている。
【0015】
請求項10に記載の発明のプログラムは、
コンピュータを、画像を取得する取得手段、この取得手段により取得された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けするグループ分け手段、このグループ分け手段によってグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の重心位置をグループ毎に算出する重心算出手段、この重心算出手段により算出された重心位置と前記画像の中心との距離を算出する距離算出手段、この距離算出手段により算出された距離に基づいて、前記各グループの評価値を算出する評価値算出手段、この評価値算出手段による算出結果に基づいて、前記複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域として検出する検出手段、として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、変化の少ない画像から観察者が注目すると推測される画像領域を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した一実施形態の撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の撮像装置による注目領域出力処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】注目領域出力処理における注目領域検出処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】注目領域出力処理により出力される注目領域を説明するための図である。
【図5】注目領域出力処理における注目領域安定化処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
図1は、本発明を適用した一実施形態の撮像装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0019】
本実施形態の撮像装置100は、処理対象画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けして、当該複数のグループの各々に属する画素の当該画像における分散値に基づいて、各グループの評価値を算出し、各グループの評価値の算出結果に基づいて、複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域A1として検出する。ここで、注目領域とは、当該処理対象画像を撮影者(観察者)が見たときに注目するであろうと推測される領域であり、後述する注目領域出力処理によって出力される。
具体的には、図1に示すように、撮像装置100は、撮像部1と、撮像制御部2と、画像データ生成部3と、メモリ4と、画像処理部5と、表示制御部6と、表示部7と、記録媒体8と、操作入力部9と、中央制御部10とを備えている。
【0020】
撮像部1は、被写体を撮像して画像フレームを生成する。具体的には、撮像部1は、図示は省略するが、ズームレンズやフォーカスレンズ等の複数のレンズから構成されたレンズ部と、レンズ部を通過する光の量を調整する絞りと、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)等のイメージセンサから構成され、レンズ部の各種レンズを通過した光学像を二次元の画像信号に変換する電子撮像部を備えている。
【0021】
撮像制御部2は、図示は省略するが、タイミング発生器、ドライバなどを備えている。そして、撮像制御部2は、タイミング発生器、ドライバにより電子撮像部を走査駆動して、所定周期毎に光学像を電子撮像部により二次元の画像信号に変換させ、当該電子撮像部の撮像領域から1画面分ずつ画像フレームを読み出して画像データ生成部3に出力させる。
また、撮像制御部2は、撮像条件の調整制御として、AE(自動露出処理)、AF(自動合焦処理)、AWB(自動ホワイトバランス)等を行う。
【0022】
画像データ生成部3は、電子撮像部から転送された画像データのアナログ値の信号に対してRGBの各色成分毎に適宜ゲイン調整した後に、サンプルホールド回路(図示略)でサンプルホールドしてA/D変換器(図示略)でデジタルデータに変換し、カラープロセス回路(図示略)で画素補間処理及びγ補正処理を含むカラープロセス処理を行った後、デジタル値の輝度信号Y及び色差信号Cb,Cr(YUV色空間の画像データ)を生成する。
カラープロセス回路から出力される輝度信号Y及び色差信号Cb,Crは、図示しないDMAコントローラを介して、バッファメモリとして使用されるメモリ4にDMA転送される。
【0023】
メモリ4は、例えば、DRAM等により構成され、画像処理部5や中央制御部10等によって処理されるデータ等を一時記憶する。
【0024】
画像処理部5は、撮像部1により撮像された画像を処理対象画像として取得する画像取得部(取得手段)5aを具備している。
具体的には、画像取得部5aは、例えば、ライブビュー画像や記録用画像の撮像の際に画像データ生成部3により生成された画像のYUVデータを取得する。
【0025】
また、画像処理部5は、画像取得部5aにより取得された処理対象画像に対して当該処理対象画像の色を平滑化する平滑化処理を施す平滑化部(平滑化手段)5bを具備している。
平滑化処理は、処理対象画像内の細かな色の分布を平滑化して大まかな色の変化を捉えるために行う処理である。即ち、平滑化部5bは、例えば、ガウシアンフィルタ、平均化フィルタやεフィルタ等の所定のフィルタを用いて処理対象画像の色を平滑化する。
【0026】
また、画像処理部5は、平滑化手段により平滑化処理が施された処理対象画像の複数の画素を、所定の色空間における変数の範囲で規定される複数のグループにグループ分けするグループ分け部5cを具備している。
具体的には、グループ分け部5cは、予め所定の色空間(例えば、HSV色空間)の各成分(例えば、HSV色空間の場合、色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Value))について、所定の設定基準に従って複数のグループに分けて設定する。このとき、グループ分け部5cは、所定の色空間における各成分の変数について、一のグループを規定する範囲が隣り合うグループを規定する範囲と重なり合うように複数のグループを設定しても良い。これにより、グループどうしの境界領域に存する画素について、グループ分けの漏れをなくすことができるとともに、色の曖昧さを考慮して複数のグループにグループ分けし易くすることができる。
【0027】
グループ分け部5cは、所定の色空間として、例えば、HSV色空間を適用した場合、色相(H)に関しては値を0°〜360°とすると、0°〜60°をグループH0とし、30°〜90°をグループH1とし、60°〜120°をグループH2とし、90°〜150°をグループH3とし、120°〜180°をグループH4とし、150°〜210°をグループH5とし、180°〜 240°をグループH6とし、210°〜270°をグループH7とし、240°〜300°をグループH8とし、270°〜330°をグループH9とし、300°〜360(0)°をグループH10とし、330°〜30°をグループH11とすることでグループを12個設定する。
また、グループ分け部5cは、彩度(S)に関しては値を0〜255とすると、0〜127をグループS0とし、64〜159をグループS1とし、128〜223をグループS2とし、160〜255をグループS3とすることでグループを4個設定する。
また、グループ分け部5cは、明度(V)に関しては値を0〜255とすると、0〜127をグループV0とし、64〜159をグループV1とし、128〜223をグループV2とし、160〜255をグループV3とすることでグループを4個設定する。
そして、色相(H)、彩度(S)、明度(V)を統合すると、合計192個のグループが設定される。
なお、上記したHSV色空間の各成分のグループ設定は、一例であり、これらに限られるものではない。また、所定の色空間として、人間の色覚に近く直感的に捉え易いということでHSV色空間を例示したが、これに限られるものではなく、用途に応じてRGB色空間やCIEL*a*b*色空間等の他の色空間を適用しても良い。
【0028】
そして、グループ分け部5cは、平滑化部5bにより平滑化処理が施されたYUV色空間の画像データを所定の変換式に従ってHSV色空間の画像データに変換した後、当該HSV色空間の画像データの複数の画素を、各画素のHSV色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けする。即ち、グループ分け部5cは、HSV色空間の画像データの複数の画素の各々について、色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Value)の各成分の値(変数の値)から192個のグループの中で何れのグループに属するかを特定してラベリングする。
例えば、HSV色空間の画像データの中で色相(H):45°,彩度(S):90,明度(V):200という値を持つ画素は、色相についてはグループH0,H1に属し、彩度についてはグループS0,S1に属し、明度についてはグループV2,V3に属する。従って、色相、彩度、明度を統合すると、当該画素は、(H0,S0,V2),(H1,S0,V2),(H0,S1,V2),(H1,S1,V2),(H0,S0,V3),(H1,S0,V3),(H0,S1,V3),(H1,S1,V3)で規定される8つのグループに属することになる。
【0029】
ここで、グループ分け部5cは、画像取得部5aにより取得された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けするグループ分け手段を構成している。
【0030】
また、画像処理部5は、グループ分け部5cによりグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する複数の画素の処理対象画像における分散値を算出する分散値算出部(分散値算出手段)5dを具備している。
分散値算出部5dは、例えば、各グループに属する複数の画素の当該処理対象画像における分散値をグループ毎に算出する。なお、分散値算出部5dによる分散値の算出は、公知の演算式に従って行われ、その詳細な説明は省略する。
また、各グループ毎に画素数をカウントして、画素数が所定の閾値以下、或いは、所定の閾値以上のグループについては、分散値の算出の処理対象外としても良い。
【0031】
また、画像処理部5は、グループ分け部5cによってグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する複数の画素の処理対象画像における重心位置を算出する重心算出部(重心算出手段)5eを具備している。なお、重心算出部5eによる重心位置の算出は、公知の演算式に従って行われ、その詳細な説明は省略する。
また、各グループ毎に画素数をカウントして、画素数が所定の閾値以下、或いは、所定の閾値以上のグループについては、重心位置の算出の処理対象外としても良い。
【0032】
また、画像処理部5は、重心算出部5eにより算出された各グループの重心位置と処理対象画像の中心との距離を算出する距離算出部(距離算出手段)5fを具備している。
即ち、一般的なカメラのユーザは注目している領域を画像中心に据える傾向があることから、後述する評価値の算出に際して各グループの重心位置と処理対象画像の中心との距離を考慮する上で、距離算出部5fは、処理対象画像の中心から各グループの重心位置までの距離Dを算出する。
【0033】
また、画像処理部5は、複数のグループの各々の評価値を算出する評価値算出部5gを具備している。
評価値算出部5gは、各グループに係る、分散値算出部5dにより算出された分散値及び距離算出部5fにより算出された距離Dに基づいて、各グループの評価値を算出する。具体的には、評価値算出部5gは、例えば、距離Dの増大に従って評価値が増大するような重み付けテーブルを記憶しておき、距離Dに応じた重みづけ値を分散値に乗算した値を評価値としたり、下記式で規定されるような所定の演算式に従って算出された値を評価値としても良い。
評価値=分散値×(a*D^2 +b)
(a,b;所定の定数)
【0034】
ここで、評価値算出部5gは、分散値算出部5dにより算出された分散値に基づいて、各グループの評価値を算出する評価値算出手段を構成している。
【0035】
また、画像処理部5は、評価値算出部5gによる算出結果に基づいて、処理対象画像から注目領域A1を検出する注目領域検出部5hを具備している。
注目領域検出部5hは、評価値算出部5gによる全ての処理対象グループの評価値の算出結果に基づいて、複数のグループの中で評価値が最小となる何れか一のグループを特定し、当該グループに属する画素によって構成される領域を注目領域A1(図4(a)参照)として検出する。つまり、評価値算出部5gにより算出される評価値は、分散値が大きくなる程(即ち、処理対象画像内で所定の色空間で表現されるグループに属する特定の画素がかたまって存在していない程)、且つ、距離Dが大きくなる程(即ち、所定の色空間で表現されるグループに属する特定の画素が処理対象画像の中心から離れている程)、大きな値となる。そこで、注目領域検出部5hは、分散値及び距離Dを考慮した評価値が最小となるグループに属する画素が、処理対象画像内でかたまって配置された色であり、且つ、処理対象画像の中心からの距離が近い位置に存していると判断して、評価値が最小のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域A1として検出する。
ここで、注目領域検出部5hは、評価値算出部5gによる算出結果に基づいて、複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域A1として検出する検出手段を構成している。
【0036】
また、画像処理部5は、注目領域検出部5hにより検出済みの注目領域A1と、新たに検出された注目領域A1とを比較して、新たに検出された注目領域A1が前記検出済みの注目領域A1とは異なる領域に変化したか否かを判定する比較判定部(判定手段)5iを具備している。
具体的には、後述する注目領域安定化処理(図5参照)にて、比較判定部5iは、メモリ4に記憶されている過去に検出済みの複数の注目領域A1と、当該検出済みの注目領域A1の検出後に新たに検出された注目領域A1とを比較する。そして、比較判定部5iは、当該比較結果に応じて、新たに検出された注目領域A1が過去に検出済みの注目領域A1とは異なる領域に変化したか否かを判定する。
なお、新たに検出された注目領域A1と検出済みの注目領域A1との比較判定は、例えば、各注目領域A1を構成する画素の属するグループを規定するグループ名、当該グループの画素数、当該グループの重心位置等を用いて行う。
【0037】
また、画像処理部5は、比較判定部5iによる判定結果に応じて、注目領域検出部5hにより検出された注目領域A1(主要注目領域A2)の出力内容が安定するように出力内容を制御する注目領域安定化処理を行う出力制御部(出力制御手段)5jを具備している。
即ち、例えば、表示部7にライブビュー画像や記録の際の画像を更新表示する場合等に、注目領域A1の出力処理を定期的に行って、注目領域A1の出力結果や当該注目領域A1を近似的に表現する図形(例えば、注目領域A1を囲む最小の矩形枠等)等を継続して表示するようにしても良い。この場合、注目領域A1の出力結果や近似的な図形の表示が過度に変化してユーザが見難い状態となる虞がある。そこで、出力制御部5jは、比較判定部5iによる新たに検出された注目領域A1と検出済みの注目領域A1との判定結果、例えば、各注目領域A1を構成する画素の属するグループを規定するグループ名、当該グループの画素数、当該グループの重心位置等の変化内容に応じて、注目領域検出部5hから出力される注目領域A1の出力内容の変化が過度に行われないように安定化させる注目領域安定化処理を行う。具体的には、例えば、注目領域安定化処理にて、最新の主要注目領域と「現在グループ名」に対応する現在の主要注目領域とについて、各注目領域を構成する画素の属するグループの重心位置又はグループの画素数が所定割合以上変化していないと判定されると、出力制御部5jは、現在の主要注目領域と最新の主要注目領域とを平均化する処理を行う。
【0038】
表示制御部6は、メモリ4に一時的に記憶されている表示用の画像データを読み出して表示部7に表示させる制御を行う。
具体的には、表示制御部6は、VRAM、VRAMコントローラ、デジタルビデオエンコーダなどを備えている(何れも図示略)。そして、デジタルビデオエンコーダは、中央制御部10の制御下にてメモリ4から読み出されてVRAMに記憶されている輝度信号Y及び色差信号Cb,Crを、VRAMコントローラを介してVRAMから定期的に読み出して、これらのデータを元にビデオ信号を発生して表示部7に出力する。
【0039】
表示部7は、例えば、液晶表示装置であり、表示制御部6からのビデオ信号に基づいて電子撮像部により撮像された画像などを表示画面に表示する。具体的には、表示部7は、静止画撮像モードや動画撮像モードにて、撮像部1による被写体の撮像により生成された複数の画像フレームを所定のフレームレートで逐次更新しながらライブビュー画像を表示する。また、表示部7は、静止画として記録される画像(レックビュー画像)を表示したり、動画として記録中の画像を表示する。
【0040】
記録媒体8は、例えば、不揮発性メモリ(フラッシュメモリ)等により構成され、画像処理部5の符号化部(図示略)により所定の圧縮形式で符号化された記録用の静止画像データや複数の画像フレームからなる動画像データを記憶する。
【0041】
操作入力部9は、当該撮像装置100の所定操作を行うためのものである。具体的には、操作入力部9は、被写体の撮影指示に係るシャッタボタン、撮像モードや機能等の選択指示に係る選択決定ボタン、ズーム量の調整指示に係るズームボタン等を備え(何れも図示略)、これらのボタンの操作に応じて所定の操作信号を中央制御部10に出力する。
【0042】
中央制御部10は、撮像装置100の各部を制御するものである。具体的には、中央制御部10は、CPU(図示略)を備え、撮像装置100用の各種処理プログラム(図示略)に従って各種の制御動作を行う。
【0043】
次に、撮像装置100により被写体を撮影する場合の注目領域出力処理について、図2〜図5を参照して説明する。
図2は、注目領域出力処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【0044】
図2に示すように、画像処理部5の画像取得部5aは、例えば、撮像部1によりライブビュー画像や記録用画像を撮像することで画像データ生成部3により生成された処理対象画像のYUV色空間の画像データを取得する(ステップS1)。続けて、画像処理部5の平滑化部5bは、所定のフィルタ(例えば、ガウシアンフィルタ等)を用いて処理対象画像の色を平滑化する平滑化処理を施す(ステップS2)。
【0045】
次に、画像処理部5は、処理対象画像から注目領域A1を検出する注目領域検出処理を行う(ステップS3)。
ここで、注目領域検出処理について図3を参照して詳細に説明する。
【0046】
図3は、注目領域検出処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、グループ分け部5cは、平滑化部5bにより平滑化処理が施されたYUV色空間の画像データを所定の変換式に従ってHSV色空間の画像データに変換する(ステップS31)。その後、グループ分け部5cは、変換後のHSV色空間の画像データの複数の画素の各々について、色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Value)の各成分の変数の値(座標)から予め設定されている複数(例えば、192個)のグループの中で何れのグループに属するかを特定してラベリングする(ステップS32)。
【0047】
次に、画像処理部5は、ラベリングされた複数のグループの中で、画素数が所定の閾値以下、或いは、所定の閾値以上のグループを処理対象外とした後、処理対象となる複数のグループの中から何れか一の処理対象グループを指定する(ステップS33)。
【0048】
そして、画像処理部5の重心算出部5eは、所定の演算式に従って処理対象グループに属する複数の画素の重心位置を算出する(ステップS34)。続けて、画像処理部5の分散値算出部5dは、例えば、処理対象グループに属する複数の画素の色相、彩度、明度の各成分に基づいて、所定の演算式に従って当該処理対象画像における分散値を算出する(ステップS35)。次に、画像処理部5の距離算出部5fは、処理対象画像の中心から処理対象グループの重心位置までの距離Dを算出する(ステップS36)。
【0049】
その後、画像処理部5の評価値算出部5gは、処理対象グループに係る、分散値算出部5dにより算出された分散値及び距離算出部5fにより算出された距離Dに基づいて、各グループの評価値を算出する(ステップS37)。
【0050】
次に、画像処理部5は、処理対象となる全てのグループの評価値を算出したか否かを判定する処理を行う(ステップS38)。ここで、全てのグループの評価値を算出していないと判定されると(ステップS38;NO)、次の処理対象グループを指定した後(ステップS39)、処理をステップS34に移行して、それ以降の処理を実行する。
ステップS34以降の処理は、ステップS38にて、全てのグループの評価値を算出したと判定されるまで(ステップS38;YES)、繰り返し行われる。
【0051】
そして、ステップS38にて、全てのグループの評価値を算出したと判定されると(ステップS38;YES)、画像処理部5の注目領域検出部5hは、評価値算出部5gによる全ての処理対象グループの評価値の算出結果に基づいて、複数のグループの中で評価値が最小となる何れか一のグループを特定し(ステップS40)、当該グループに属する画素によって構成される領域を注目領域A1(図4(a)参照)として検出して(ステップS41)、注目領域検出処理を終了する。
【0052】
次に、画像処理部5は、図2の処理に戻り、例えば、オープニング処理や、各閉領域ごとにラベリングして画素数が所定の閾値に満たない領域を消去する処理や、平滑化処理を繰り返し実行するグラフカット処理などを行って、注目領域A1の中で小さな領域を消去して主要注目領域A2(図4(b)参照)だけを抽出する整形処理を行う(ステップS4)。
続けて、画像処理部5は、整形処理により抽出された主要注目領域A2の出力内容を安定化させる注目領域安定化処理の実行が指示されているか否かを判定する処理を行う(ステップS5)。
注目領域安定化処理の実行指示は、予めユーザによる操作入力部9の所定操作に基づいて行われても良いし、撮影モードに応じてデフォルトで設定されていても良い。
そして、注目領域安定化処理の実行が指示されていないと判定されると(ステップS5;NO)、画像処理部5は、整形処理により抽出された主要注目領域A2を最終的な注目領域A1としてメモリ4に出力する(ステップS6)。
【0053】
一方、注目領域安定化処理の実行が指示されていると判定されると(ステップS5;YES)、画像処理部5は、注目領域安定化処理を行う(ステップS7)。
ここで、注目領域安定化処理について図5を参照して詳細に説明する。
【0054】
図5は、注目領域安定化処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、画像処理部5は、注目領域検出部5hにより検出済みの主要注目領域A2と、新たに検出された主要注目領域A2との比較をループにより処理する(ステップS71〜S75)。
具体的には、画像処理部5は、整形処理により抽出された主要注目領域A2を過去複数枚(N枚)分保持し、それぞれに対してグループ名、画素数、重心位置を取得しておき、新しいものから順に過去に遡るようにループ処理を行う。先ず、画像処理部5の比較判定部5iは、最新の主要注目領域に係るグループ名(グループ名番号i=0)と過去k番目(kは、1〜Nの任意の実数)の主要注目領域A2のグループ名(グループ名番号i=k)とを照合して、一致するか否かをループ回数ごとに記憶する(ステップS72)。次に、比較判定部5iは、最新の主要注目領域に係るグループ名が過去の主要注目領域A2のグループ名と直近のものから所定回数(例えば、3回)連続して同じである否かを判定する(ステップS73)。
【0055】
ステップS73にて、最新の主要注目領域に係るグループ名が過去の主要注目領域A2のグループ名と直近のものから所定回数連続して同じではないと判定されると(ステップS73;NO)、比較判定部5iは、主要注目領域A2のグループ名が直近のものから過去にA回中B回同じであるか否かを判定する(ステップS74)。例えば、比較判定部5iは、過去5回中4回同じグループ名か否かや、過去7回中5回同じグループ名か否かを判定する。なお、AやBの値は、要求される安定度に応じて適宜任意に変更可能となっている。また、AやBの値を代えて、一のループ内で複数回判定しても良い。
上記の処理をグループ名番号iがNである過去N番目のグループまで繰り返し行う(ステップS75)。
【0056】
そして、ステップS74にて、主要注目領域A2のグループ名が直近のものから過去にA回中B回同じでないと判定された場合には(ステップS74;NO)、画像処理部5は、主要注目領域A2の最新の出力結果は過渡的な状態とみなす。そして、画像処理部5は、当該最新の主要注目領域を過去のデータとして更新保持した後(ステップS76)、比較判定部5iは、最新の主要注目領域に係るグループ名が直近C回分に含まれているか否かの判定を行う(ステップS77)。なお、Cの値は、要求される安定度に応じて適宜任意に変更可能となっている。
ここで、最新の主要注目領域に係るグループ名が直近C回分に含まれていないと判定されると(ステップS77;NO)、画像処理部5は、最新の主要注目領域がこれまでの主要注目領域A2とは全く異なる領域に変化したとみなす。そして、画像処理部5は、最新の主要注目領域に係るグループ名を現在の主要注目領域を規定する「現在グループ名」として更新保持した後(ステップS78)、最新の主要注目領域の出力結果を最終的な注目領域としてメモリ4に出力して(ステップS79)、注目領域安定化処理を終了する。
【0057】
一方、ステップS77にて、最新の主要注目領域に係るグループ名が直近C回分に含まれていると判定されると(ステップS77;YES)、画像処理部5は、主要注目領域A2の出力結果が過度に変化しておらず現在は安定しているとみなす。そして、画像処理部5は、「現在グループ名」として保持されている現在の主要注目領域を最終的な注目領域としてメモリ4に出力して(ステップS80)、注目領域安定化処理を終了する。
【0058】
また、ステップS73にて、最新の主要注目領域に係るグループ名が過去の主要注目領域A2のグループ名と直近のものから所定回数連続して同じであると判定されるか(ステップS73;YES)、或いは、ステップS74にて、主要注目領域A2のグループ名が直近のものから過去にA回中B回同じであると判定された場合には(ステップS74;YES)、画像処理部5は、最新の主要注目領域を過去のデータとして更新保持する(ステップS81)。
続けて、画像処理部5の比較判定部5iは、最新の主要注目領域に係るグループ名が現在の主要注目領域を規定する「現在グループ名」と同じであるか否かを判定する(ステップS82)。
【0059】
ステップS82にて、最新の主要注目領域に係るグループ名が「現在グループ名」と同じでないと判定されると(ステップS82;NO)、画像処理部5は、注目領域が変更されたと判断して、処理をステップS78に移行して、最新の主要注目領域に係るグループ名を「現在グループ名」として更新保持した後(ステップS78)、それ以降の処理を実行する。
一方、ステップS82にて、最新の主要注目領域に係るグループ名が「現在グループ名」と同じであると判定されると(ステップS82;NO)、画像処理部5の比較判定部5iは、最新の主要注目領域と「現在グループ名」に対応する現在の主要注目領域とについて、各注目領域を構成する画素の属するグループの重心位置又はグループの画素数が所定割合以上変化したか否かを判定する(ステップS83)。
なお、ステップS83における判定にあっては、主要注目領域A2の重心位置や画素数だけでなく、当該主要注目領域A2を囲む矩形枠の位置やそのサイズ、主要注目領域A2の分散など、形状を特定可能なものであれば如何なるものを用いても良い。
【0060】
ステップS83にて、グループの重心位置又はグループの画素数が所定割合以上変化したと判定されると(ステップS83;YES)、画像処理部5は、主要注目領域A2の形状や位置が大きく変化したとみなして、処理をステップS78に移行して、最新の主要注目領域に係るグループ名を「現在グループ名」として更新保持した後(ステップS78)、それ以降の処理を実行する。
一方、ステップS83にて、グループの重心位置又はグループの画素数が所定割合以上変化していないと判定されると(ステップS83;YES)、画像処理部5は、「現在グループ名」に対応する現在の主要注目領域と最新の主要注目領域とを平均化したものを最終的な注目領域としてメモリ4に出力して(ステップS84)、注目領域安定化処理を終了する。
【0061】
以上のように、本実施形態の撮像装置100によれば、処理対象画像の複数の画素が所定の色空間(例えば、HSV色空間等)における分布に基づいてグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する少なくとも一の画素の当該画像における分散値に基づいて各グループの評価値を算出し、各グループの評価値の算出結果に基づいて注目領域A1を検出することができる。即ち、所定の色空間における画素の分布に基づいて、処理対象画像内でかたまって存在する色の画素によって構成される領域を注目領域A1として検出することができるので、従来に比べてより少ない演算量で注目領域A1を検出することができ、演算能力の低い撮像装置100であっても注目領域A1の検出処理の高速化を図ることができる。
【0062】
また、複数のグループの各々に係る、分散値算出部5dにより算出された分散値及び距離算出部5fにより算出された各グループの重心位置と画像の中心との距離に基づいて、各グループの評価値を算出することができるので、各グループの評価値の算出の際に、処理対象画像における複数の画素の分布を考慮することができ、処理対象画像内でかたまって存在する色で当該処理対象画像の中心により近い画素によって構成される領域を注目領域A1として検出することができる。これにより、注目領域A1の検出精度をより向上させることができる。
【0063】
さらに、主要注目領域A2(注目領域A1)の検出後に新たに検出された主要注目領域A2が検出済みの主要注目領域A2とは異なる領域に変化したか否かの判定結果に応じて、主要注目領域A2の出力内容が安定するよう出力内容を制御する注目領域安定化処理を行うので、主要注目領域A2の出力内容の変化が過度に行われないようにすることができ、例えば、撮像装置100の向きがわずかに変化しても表示部7にて主要注目領域A2の検出結果や近似的な図形を安定して表示することができる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施形態においては、各グループの評価値を算出した結果、最も評価値が低かった領域を注目領域A1として検出するようにしたが。評価値が所定値以下であった領域を注目領域A1として検出するようにしてもよいし、検出した領域と所定の色空間(例えばHSV空間)上で、近傍に存在する領域も注目領域とするようにしても良いし、色空間上で近傍且つ実画像上においても近傍に存在する画素によって構成される領域も注目領域とするようにしても良い。
また、平滑化部5bによる平滑化処理(ステップS2)の後に、構図(画角)内でより端部側に位置するユーザの注目度の低い撮像対象を除外して仮の注目領域を推定する処理を行っても良い。即ち、平滑化処理後の処理対象画像の四隅の少なくとも一の画素の周辺領域について、当該少なくとも一の画素と類似する画素を追跡していくことで、構図(画角)内でより端部側に位置するユーザの注目度の低い撮像対象を特定して、処理対象画像のうち、追跡された画素によって構成されるユーザの注目度の低い領域以外の領域を仮の注目領域と推定しても良い。そして、その後に上記の処理により注目領域A1を真の注目領域として検出することで、処理対象画像からの注目領域A1の検出精度をより向上させることができる。また、各グループのうち、処理対象画像の端部側に位置する画素を含むグループは評価値の算出を行わないようにしてもよいし、処理対象画像の端部側に位置する画素を多く含むほど、評価値が高くなるように重みづけを行っても良い。つまり、画像中央に近いグループほど、注目領域として出力されやすくするようにしても良い。
【0065】
なお、上記実施形態にあっては、各グループの評価値を、分散値算出部5dにより算出された分散値及び距離算出部5fにより算出された距離Dに基づいて算出するようにしたが、評価値の算出方法はこれに限られるものではなく、例えば、分散値算出部5dにより算出された分散値及び距離算出部5fにより算出された距離Dの何れか一方を各グループの評価値として算出しても良い。
即ち、上記の注目領域出力処理(図2参照)にて、距離算出部5fにより算出された距離Dを各グループの評価値として算出することにより、各グループの評価値の算出の際に、処理対象画像における複数の画素の分布を考慮することができ、処理対象画像の中心により近い画素によって構成される領域を注目領域A1として検出することができるので、従来に比べてより少ない演算量で注目領域A1を検出することができ、演算能力の低い撮像装置100であっても注目領域A1の検出処理の高速化を図ることができる。
【0066】
また、注目領域は、一般的に画像の中央となる傾向にある。そのため、複数のグループの各々に係る、分散値算出部5dにより算出された分散値及び距離算出部5fにより算出された各グループの重心位置と画像の中心との距離に基づいて、各グループの評価値を算出することができ、画像中央に近いグループほど、注目領域として出力されやすくすることができる。
【0067】
また、上記実施形態にあっては、注目領域出力処理(図2参照)にて、画像取得部5aにより取得された処理対象画像に対して平滑化処理(ステップS2)を施すようにしたが、平滑化処理を施すか否かは適宜任意に変更することができる。
さらに、注目領域検出処理(ステップS3)の後、注目領域A1の中で小さな領域を消去して主要注目領域A2(図4(b)参照)だけを抽出する整形処理(ステップS4)を行うようにしたが、整形処理を行うか否かは適宜任意に変更することができる。また、整形処理は注目領域安定化処理(ステップS7)、又は注目領域の出力(ステップS6)の後に行うようにしてもよい。
【0068】
さらに、上記実施形態にあっては、注目領域出力処理(図2参照)にて、整形処理(ステップS4)により抽出された主要注目領域A2の出力内容が安定するように出力内容を制御する注目領域安定化処理(ステップS7)を行うようにしたが、注目領域安定化処理を行うか否かは適宜任意に変更することができる。また、注目領域安定化処理が行われた後に、出力された注目領域を過去n回分の出力領域と平均化処理を行うようにしてもよい。つまり、過去n回分の保持しておいた注目領域と、今回出力した注目領域をn:1で混合させるようにしてもよい。
【0069】
また、撮像装置100の構成は、上記実施形態に例示したものは一例であり、これに限られるものではない。即ち、画像処理装置として撮像装置100を例示したが、これに限られるものではい。例えば、処理対象画像の撮像は、当該撮像装置100とは異なる撮像装置にて行い、この撮像装置から転送された処理対象画像の画像データを取得して、注目領域A1の検出を行う画像処理装置であっても良い。
また、表示部7にライブビュー画像や記録の際の画像を更新表示する場合等に、注目領域A1の出力処理を定期的に行って、注目領域A1の出力結果や当該注目領域A1を近似的に表現する図形(例えば、注目領域A1を囲む最小の矩形枠等)等を継続して表示してもよい。
さらに、例えば、ライブビュー画像から抽出された注目領域A1の出力している際に、撮影者が所定の操作によって撮像装置100に撮影を指示すると、出力されている注目領域A1に基づいて、AF(オートフォーカス)やAE(自動露出)処理を行うようにしてもよい。
【0070】
加えて、上記実施形態にあっては、取得手段、グループ分け手段、分散値算出手段、重心算出手段、距離算出手段、評価値算出手段、検出手段としての機能を、中央制御部10の制御下にて、画像処理部5の画像取得部5a、グループ分け部5c、分散値算出部5d、重心算出部5e、距離算出部5f、評価値算出部5g、注目領域検出部5hが駆動することにより実現される構成としたが、これに限られるものではなく、中央制御部10のCPUによって所定のプログラム等が実行されることにより実現される構成としても良い。
【0071】
即ち、プログラムを記憶するプログラムメモリ(図示略)に、取得処理ルーチン、グループ分け処理ルーチン、分散値算出処理ルーチン、評価値算出処理ルーチン、検出処理ルーチンを含むプログラムを記憶しておく。そして、取得処理ルーチンにより中央制御部10のCPUを、画像を取得する取得手段として機能させるようにしても良い。また、グループ分け処理ルーチンにより中央制御部10のCPUを、取得された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けするグループ分け手段として機能させるようにしても良い。また、分散値算出処理ルーチンにより中央制御部10のCPUを、グループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の当該画像における分散値をグループ毎に算出する分散値算出手段として機能させるようにしても良い。また、評価値算出処理ルーチンにより中央制御部10のCPUを、算出された分散値に基づいて、各グループの評価値を算出する評価値算出手段として機能させるようにしても良い。また、検出処理ルーチンにより中央制御部10のCPUを、各グループの評価値の算出結果に基づいて、複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域A1として検出する検出手段として機能させるようにしても良い。
また、プログラムを記憶するプログラムメモリ(図示略)に、取得処理ルーチン、グループ分け処理ルーチン、重心算出処理ルーチン、距離算出処理ルーチン、評価値算出処理ルーチン、検出処理ルーチンを含むプログラムを記憶しておく。そして、重心算出処理ルーチンにより中央制御部10のCPUを、グループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の重心位置をグループ毎に算出する重心算出手段として機能させるようにしても良い。また、距離算出処理ルーチンにより中央制御部10のCPUを、算出された重心位置と前記画像の中心との距離を算出する距離算出手段として機能させるようにしても良い。また、評価値算出処理ルーチンにより中央制御部10のCPUを、算出された距離に基づいて、各グループの評価値を算出する評価値算出手段として機能させるようにしても良い。なお、取得処理ルーチン、グループ分け処理ルーチン、検出処理ルーチンの機能は、上記と同様であり、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0072】
100 撮像装置
1 撮像部
2 撮像制御部
5 画像処理部
5a 画像取得部
5b 平滑化部
5c グループ分け部
5d 分散値算出部
5e 重心算出部
5f 距離算出部
5g 評価値算出部
5h 注目領域検出部
5i 比較判定部
5j 出力制御部
10 中央制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を取得する取得手段と、
この取得手段により取得された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けするグループ分け手段と、
このグループ分け手段によりグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の当該画像における分散値をグループ毎に算出する分散値算出手段と、
この分散値算出手段により算出された分散値に基づいて、各グループの評価値を算出する評価値算出手段と、
この評価値算出手段による算出結果に基づいて、前記複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域として検出する検出手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記グループ分け手段によりグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の重心位置を算出する重心算出手段と、
この重心算出手段により算出された前記重心位置と前記画像の中心との距離を算出する距離算出手段と、を更に備え、
前記評価値算出手段は、
前記複数のグループの各々に係る、前記分散値算出手段により算出された分散値及び前記距離算出手段により算出された距離に基づいて、前記各グループの評価値を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
画像を取得する取得手段と、
この取得手段により取得された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けするグループ分け手段と、
このグループ分け手段によってグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の重心位置をグループ毎に算出する重心算出手段と、
この重心算出手段により算出された重心位置と前記画像の中心との距離を算出する距離算出手段と、
この距離算出手段により算出された距離に基づいて、前記各グループの評価値を算出する評価値算出手段と、
この評価値算出手段による算出結果に基づいて、前記複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域として検出する検出手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記取得手段により取得された画像に対して当該画像の色を平滑化する平滑化処理を施す平滑化手段を更に備え、
前記グループ分け手段は、
前記平滑化手段により平滑化処理が施された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けすることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記検出手段により検出済みの注目領域と、当該検出済みの注目領域の検出後に新たに検出された注目領域とを比較して、当該比較結果に応じて新たに検出された注目領域が前記検出済みの注目領域とは異なる領域に変化したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて、前記検出手段により検出された注目領域の出力内容を制御する出力制御手段と、を更に備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記複数のグループの各々は、各グループを規定する前記所定の色空間における各成分の範囲が隣合うグループと重なり合ってなることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像を取得する取得ステップと、
この取得ステップにて取得された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けするグループ分けステップと、
このグループ分けステップにてグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の当該画像における分散値をグループ毎に算出する分散値算出ステップと、
この分散値算出ステップにて算出された分散値に基づいて、各グループの評価値を算出する評価値算出ステップと、
この評価値算出ステップにて算出結果に基づいて、前記複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域として検出する検出ステップと、
を実行することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
画像を取得する取得ステップと、
この取得ステップにて取得された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けするグループ分けステップと、
このグループ分けステップにてグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の重心位置をグループ毎に算出する重心算出ステップと、
この重心算出ステップにて算出された重心位置と前記画像の中心との距離を算出する距離算出ステップと、
この距離算出ステップにて算出された距離に基づいて、前記各グループの評価値を算出する評価値算出ステップと、
この評価値算出ステップにおける算出結果に基づいて、前記複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域として検出する検出ステップと、
を実行することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
画像を取得する取得手段、
この取得手段により取得された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けするグループ分け手段、
このグループ分け手段によりグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の当該画像における分散値をグループ毎に算出する分散値算出手段、
この分散値算出手段により算出された分散値に基づいて、各グループの評価値を算出する評価値算出手段、
この評価値算出手段による算出結果に基づいて、前記複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域として検出する検出手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
画像を取得する取得手段、
この取得手段により取得された画像の複数の画素を、各画素の所定の色空間における変数の値に基づいて複数のグループにグループ分けするグループ分け手段、
このグループ分け手段によってグループ分けされた複数のグループの各々について、各グループに属する画素の重心位置をグループ毎に算出する重心算出手段、
この重心算出手段により算出された重心位置と前記画像の中心との距離を算出する距離算出手段、
この距離算出手段により算出された距離に基づいて、前記各グループの評価値を算出する評価値算出手段、
この評価値算出手段による算出結果に基づいて、前記複数のグループのうちの何れか一のグループに属する画素によって構成される領域を注目領域として検出する検出手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−40859(P2011−40859A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184244(P2009−184244)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】