説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】 パーツを組付けて構成する3次元モデルをもとに入力画面に表示した2次元の全体画像上をポインタで指示することで、探し出すパーツを絞り込み、絞り込んだ候補パーツから目的のパーツを探し出すユーザの作業負担を軽減し、処理系に掛かる処理量の増大を抑制する。
【解決手段】 ユーザのポインタ操作により指示された画面領域に含まれる選択対象の候補パーツを抽出し(S402)、その中から最終的に探し出すパーツを指示する操作をユーザが行うための候補パーツ群を表示する画面において、候補パーツの部品画面上高さ(視線方向のパーツ位置)に着目し、高さの順に順位を付与し(S403)、部品画面上の高さの順位に従い、手前にあるパーツを先頭に上下或いは左右方向の順に位置を決めて表示するようにした(S404)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品(パーツ)を組付けて構成する3次元モデルをもとに紙媒体やディスプレイ等の2次元画面に用いる画像等のデータ(以下、「画面用データ」という)を作成する処理及び作成された画面用データベースから利用する画像を検索する処理を行う画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの性能向上とグラフィック処理技術の進歩により、CAD(Computer-aided Design)やCG(Computer Graphics)を駆使し、3次元モデルを作成し、また、作成した3次元モデルを用いて立体視が可能な画像を生成する等の3次元モデルの利用も急速に広がってきている。工業製品の製造業においても進展が見られ、例えば、パーツカタログやサービスマニュアルなどにおいて製品モデルを表示する画像の作成にも利用され、このような画像を含むコンテンツを電子媒体として利用することが可能になってきて
いる。
【0003】
機械製品や電気製品など、多くの工業製品は、複数の部品から構成されており、製品モデルの画像を利用する際には、製品を構成する部品をモデルの全体画像上で識別することが必要になる場面も頻繁に生じる。
このような場合、従来は製品の3次元モデルの表示画面上で、3次元空間上の位置または領域を指定し、各部品との幾何学的な関係から特定の部品を抽出する処理が行なわれていた。
例えば、下記特許文献1(特開平09−190456号公報)では、3次元の製品モデルの情報を読み込んだCADシステムにおいて、3次元空間上で縦、横、奥行きを有した閉空間を指定することで、指定された閉空間内に位置する製品モデルの部品を抽出する方法を提示している。また、下記特許文献2(特開2006−39872号公報)では、3次元形状モデルに対して、スタイラスをユーザが操作することによって、空間上の基準位置、基準方向及び基準位置からの距離を幾何学的探索基準として定め、この基準に当てはまる部品を抽出する方法を提示している。
【0004】
このように、特許文献1,2のどちらも、部品を抽出する際に、ユーザの入力よって探索する3次元空間を指定するので、ユーザが抽出対象の位置を3次元空間で認識していることを前提としている。
このため、抽出対象を3次元空間で認識し、それを操作に反映させなければならず、抽出対象の部品を指定するデータ等の入力が簡単ではないために、使い勝手があまりよくない。しかも、部品を抽出する操作を行なう都度、幾何学的な関係を計算するため、部品点数が非常に多いと、処理量が多くなり、処理性能の低い計算機では十分には実用に耐える速度が得られない、という問題が生じる。
【0005】
そこで、この問題を解決するための方法として、下記特許文献3(特開2007−42077号公報)は、3次元モデルをもとに画面に2次元の全体像を設定された視点とズーム率で表示し、この画像面上で2次元の閉領域を指定するユーザの入力によって、閉領域に含まれる部品(パーツ)を抽出する操作を行なう方法を提案している。さらに、この特許文献では、抽出した閉領域に含まれる複数の部品の中から選択できる部品をユーザが指定できるように画面上に示し、又選択された部品を2次元の全体像上にハイライトで表示する方法を提案している。
【0006】
また、下記特許文献4(特開2008−152429号公報)は、特許文献3記載のパーツ選択方法と同様に2次元の全体像において、指定した領域の部品を抽出する方法を採用している。ただ、特許文献3における画像面上で閉領域を動かして指定する操作に代わり、碁盤目状に予め設定された領域の中から一つの領域を選択する操作を行うようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3又は4では、目的とする1つの部品を見付ける場合、画像面に表示した2次元の全体像に対する領域の指定によって、指定された領域に含まれる部品群への絞り込みが行われるものの、絞り込んだ後は、ランダムにリストアップされた部品群の中から目的とする1つの部品を探し出さなければならず、多数の部品が対象になる場合には、ユーザの作業負担が大きくなり、利便性の低下は否めない。
【0008】
本発明は、上記した従来の検索処理において生じる問題に鑑みてなされたもので、その目的は、3次元モデルをもとに入力画面に表示した全体画像上で指定された領域に含まれる部品へ絞り込み、その中からさらに目指す部品を選択する操作を行うことによって、部品データへアクセスする検索処理において、目指す部品を探し出し、操作するユーザの負担を軽減化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、部品を組付けて構成する3次元モデルをもとに画面用データとしてそれぞれ作成された全体画像、部品画像、全体画像における部品画面領域情報及び各部品の部品画面上高さ情報を格納したデータベースと、GUI機能を持つユーザインターフェースと、前記データベースから前記ユーザインターフェースの入力画面を介して指示される検索条件に従って、部品画像を検索する検索手段と、前記検索手段の検索結果を出力する手段を有する画像処理装置であって、前記検索手段は、前記ユーザインターフェースを介して行われる1次検索条件の指示に応じて、前記データベースから取得した検索対象モデルのデータを管理するとともに、前記ユーザインターフェースの入力画面に表示する画像を生成するデータ管理部と、前記ユーザインターフェースの入力画面に表示された前記検索対象モデルの全体画像上をポインタで示す2次検索条件の指示に応じ、該指示位置により指定される前記部品画面領域情報をもとに、該領域内に含まれる部品を検索候補部品と判定し、抽出するとともに、抽出した検索候補部品について、それぞれの前記部品画面上高さ情報をもとに高さの順に順位を付与する判定処理部と、前記ユーザインターフェースの入力画面に、前記判定処理部によって抽出された検索候補部品の部品画像を、付与された順位に従って表示し、表示された検索候補部品の中から目的の部品を選択する3次検索条件の指示に応じる部品選択処理部を備えたことを特徴とする。
本発明は、部品を組付けて構成する3次元モデルをもとに画面用データとしてそれぞれ作成された全体画像、部品画像、全体画像における部品画面領域情報及び各部品の部品画面上高さ情報を格納したデータベースからGUI機能を持つユーザインターフェースの入力画面を介して指示される検索条件に従い部品画像を検索する画像処理装置が行う処理工程として、前記ユーザインターフェースを介して行われる1次検索条件の指示に応じて、前記データベースから取得した検索対象モデルのデータを管理するとともに、前記ユーザインターフェースの入力画面に表示する画像を生成するデータ管理工程と、前記ユーザインターフェースの入力画面に表示された前記検索対象モデルの全体画像上をポインタで示す2次検索条件の指示に応じ、該指示位置により指定される前記部品画面領域情報をもとに、該領域内に含まれる部品を検索候補部品と判定し抽出するとともに、抽出した検索候補部品について、それぞれの前記部品画面上高さ情報をもとに高さの順に順位を付与する判定処理工程と、前記ユーザインターフェースの入力画面に、前記判定処理工程で抽出された検索候補部品の部品画像を、付与された順位に従って表示し、表示された検索候補部品の中から目的の部品を選択する3次検索条件の指示に応じる部品選択処理工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、工業製品などの形状モデルをもとに、部品を組付けた状態の全体イメージをGUIの画面に表示し、表示された全体イメージ上へのポイント操作で指定される領域に組付いている部品を検索すべき部品の候補(以下、「検索候補」或いは単に「候補」という)として絞り込み、しかも、最終的に目指す部品を探し出すためにユーザに示す候補の表示画面では、視線方向の手前にある部品から奥にある部品の順に表示するようにしたことで、部品を探し出し、操作するユーザの負担を軽減化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】パーツカタログ作成・閲覧システム(図2、参照)を構築することができ るデータ処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るパーツカタログ作成・閲覧システムの概略構成を 示すブロック図である。
【図3】カタログ作成部(図2、参照)の構成例及び構成要素各部の処理に係る情 報の流れを説明する図である。
【図4】カタログ作成部(図3)の部品画面領域計算に係る処理フローを示すフロ ーチャートである。
【図5】3次元モデルの座標系に対する視線方向の定義(A)及び視線方向を座標 軸とする座標系と3次元モデルの座標系の関係(B)を説明する図である。
【図6】カタログ作成部(図3)の部品画面上高さ計算に係る処理フローを示すフ ローチャートである。
【図7】カタログ閲覧部(図2、参照)の構成例及び構成要素各部の処理に係る情 報の流れを説明する図である。
【図8】カタログ閲覧部(図7)の検索・閲覧に係る処理フローを示すフローチャ ートである。
【図9】図8の処理フローにおける候補パーツの表示処理(ステップS303)の サブシーケンスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る画像処理装置及び画像処理方法の実施形態を示す。
本実施形態の画像処理装置及び画像処理方法は、部品(パーツ)を組付けて構成する3次元(3D)モデルをもとに、パーツのカタログに利用できるパーツ画像等のデータ(以下「パーツカタログデータ」という)を画面用データとして作成し、そのデータベースを構築する処理に係る。
また、本実施形態の画像処理装置及び画像処理方法は、構築されたパーツカタログデータベースから利用するパーツ画像等のデータを検索し、閲覧する処理に係る。
なお、3次元モデル(以下では、「形状モデル」ともいう)という場合、データで3次元の形状が表現されたオブジェクトを指し、3D_CADデータはこの一つであり、このデータは、現物(実際にあるもの)を3D計測して得たデータでもよい。
【0013】
図1は、後述するパーツカタログ作成・閲覧システム(図2、参照)を構成することができるデータ処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図1に示すデータ処理装置は、CPU(Central Processing Unit)1、メモリ2、入出力装置3及び外部入出力装置4をバス5で接続して構成するもので、この装置は、汎用のPC或いはPCに周辺機器を接続したハードウェア構成を持つデータ処理装置(システム)によって実施することができる。
【0014】
図1において、CPU1は、このデータ処理装置の動作を制御するもので、記憶(記録)媒体としてのメモリ2内に格納(記録)した各種のアプリケーションプログラム、ワークデータ及びファイルデータ等を駆使し、各アプリケーションのデータ処理機能を実現する。なお、プログラムを記憶(記録)としては、メモリ2(カード型を含む)に限らず、HDD,CD−ROM,MO等のディスク型を含む各種記憶媒体を用いることができる。
アプリケーションプログラムとして、後述するパーツカタログデータを作成するためのプログラム及び作成されたパーツカタログデータを検索し、閲覧するためのプログラムをメモリ2等の記憶媒体にインストールすることにより、パーツカタログ作成・閲覧システム(図2、参照)のカタログ作成部20、画像補填部25、位置情報補填部26及びカタログ閲覧部27を構成する。
また、CPU1は、メモリ2及び外部入出力装置4とともに、パーツカタログ作成・閲覧システムで用いるデータベースを構築し、それぞれのデータを管理する。
【0015】
入出力装置3は、CPU1の制御下におかれて、処理を要求するユーザによる処理条件の設定等の入力操作を受取り、さらに入力操作等に応じて変化する装置側の動作状態をユーザにディスプレイを通して知らせるユーザインターフェースとしての機能を提供する。ここでは、ディスプレイに表示された入力画面に対し、キーボード、マウス等の操作によって入力を行う、いわゆるGUI(Graphical User Interface)機能を提供する。
また、外部入出力装置4は、本体の機能を拡張するために設ける周辺装置で、例えば、処理に必要なデータを外部から得るための記録媒体を用いることができ、又データベースを構築するために容量の大きな記憶媒体を用いることができる外部記憶装置、或いはパーツカタログ作成・閲覧システムから出力されるデータを利用する、例えば、プリンタや他のディスプレイ等の出力装置である。
【0016】
次に、本実施形態のパーツカタログ作成・閲覧システムの詳細を説明する。
本実施形態のパーツカタログ作成・閲覧システムは、大別すると、パーツカタログデータベース(以下、「カタログDB」という)を作成する機能部と該カタログDBから指定したパーツカタログデータを検索し、閲覧する機能部よりなる。
カタログDBを作成する機能部は、パーツ(部品)を組合せて構成する3次元モデル(以下、「3Dデータ」ともいう)をもとに、2次元画像付きのパーツカタログのDBを作成する。作成されるDBは、パーツごとにカタログに利用できる2次元画像を含むコンテンツと各パーツを識別することができる属性や固有のデータを管理する。また、カタログDBを検索し、閲覧する機能部は、ユーザの検索要求に応じて、指定されたパーツの2次元画像データ等、カタログDBで管理されているデータを表示用のデータとして出力する処理を行う。
【0017】
図2は、本実施形態のパーツカタログ作成・閲覧システムの概略構成を示すブロック図である。なお、このシステムを構成する、カタログ作成部20、画像補填部25、位置情報補填部26及びカタログ閲覧部27よりなるデータ処理部と、3Dデータ21、パーツリスト22、カタログデータ23及び画像データ24の各データベースは、上記で図1を参照し、説明したように、CPU1の制御下にメモリ2、入出力装置3等を用いて構築することができる。
【0018】
先ず、図2を参照して、カタログDB23を作成する機能部の構成と動作の概要を説明する。
図2において、3Dデータベース21は、カタログ作成のために利用される形状モデルを格納したデータベースで、ここでは、3D_CADデータを格納している。ここに格納された3D_CADデータは、製品を構成するパーツ単位ごとの形状情報と、これらのパーツが組付いた状態の製品全体を表す情報である。
パーツリストDB22は、カタログに含まれるべき交換可能なパーツのリストを記述したデータベースである。ここに格納されたリストデータは、パーツの名称やパーツ発注時の番号等の情報で、製品のユニット単位にまとめた形で管理される。
【0019】
カタログ作成部20は、カタログDB23に格納するパーツカタログデータを作成する。パーツカタログデータは、各種の形状モデルに対する全体画像や各形状モデルを構成するパーツの単体画像のほか、後述する検索・閲覧処理に利用するデータとしてパーツの画面領域情報や画面上高さ情報等を含む。なお、パーツカタログデータについては、図3に示すカタログ作成部20の実施形態とともに詳細に説明する。
カタログ作成部20で用いる画像データとしては、パーツリストDB22に格納されているリストに登録されているパーツのうち、3Dデータベース21に3D_CADデータが保存されているものは、このデータベースの保存内容を参照し、他方、3Dデータベース21に3D_CADデータが保存されていないものについては、画像補填部25により補填入力される画像データを用いる。
【0020】
画像補填部25は、2次元(2D)データで画像を格納する画像DB24から画像データを補填する。カタログ作成部20は、画像補填部25を通して得た画像データにより補填をする際に、位置情報補填部26から入力される位置情報が補填する位置として指定されるので、その指定に応じてパーツカタログの作成を行う。
画像DB24に格納する画像データは、3Dデータベース21に3D_CADデータとして保存されていないパーツを予め知った上で、パーツカタログを作成する際にこれを補填するデータとして用意する。ここでは、本システムを構築する条件として、作成するパーツカタログの画像を2次元としているので、この条件によると、2Dデータでよい。従って、画像データデータベース24に格納する画像は、例えば、デジタル・スチル・カメラで撮影した画像やイラストで作成された画像を用いることができる。
【0021】
また、画像DB24から補填される上記したパーツ画像は、パーツ単体のデータであるから、カタログデータとして出力するためには、補填される画像が全体像のどの部分に組み付けられるかを指定しなければならない。
このために、位置情報補填部26を設けている。位置情報補填部26は、入出力装置3を用いるユーザの操作によって補填されるパーツ画像の位置を指定する入力が行われるので、その操作に従い指定された位置情報をカタログ作成部20に渡す。
【0022】
カタログ作成部20は、各パーツが3D_CADデータとして保存されている場合、或いは2Dデータの画像によって補填される場合も、上記のようにして、カタログデータとして、指定されたパーツの2次元画像データを作成し、このデータを使用する、例えば、プリンタや他のディスプレイ等の出力装置で利用できるようにする。
このカタログデータは、パーツのカタログとしてユーザに表示する画像データやパーツの名称のほか、各パーツを識別することができる属性や固有のデータを付与し、必要な画像を検索できるようにする。
【0023】
図2に例示するシステムでは、作成されたパーツカタログの閲覧ができるようにしているので、カタログ作成部20によって作成されたパーツカタログをカタログDB23に格納し、カタログ閲覧部27を介してカタログDB23に格納したカタログデータを利用できるようにしている。
本実施形態では、後記で詳述するように、カタログ閲覧部27で扱う画像データは、3次元の形状モデルから作成した2次元画像を処理の対象とするので、カタログDB23に格納するデータは、複数の異なる視点から複数の異なるズーム段階で見た形状モデルの画像、同画像中で特定のパーツがハイライト表示された画像、複数の異なる視点から複数の異なるズーム段階で見たパーツの単体画像等を予め用意し、各画像を識別するためにパーツ名称等を付けて格納しておく。
なお、比較的単純な処理で生成可能なデータ(例えば指定拡大率の画像)等は、予め用意して格納しておくのではなく、リクエストに応じて随時生成して表示する構成としてもよい。また、カタログDB23は、情報量が大きくなる場合には、外部入出力装置4を用いて構築するとよい。
【0024】
「パーツカタログデータの作成」
カタログ作成部20の構成及び動作について、より詳しく説明する。
図3は、カタログ作成部20の構成例及び構成要素各部の処理に係る情報の流れを示す図である。
図3において、入力装置278は、GUI機能を持つユーザインターフェースの入力部(図1の入出力装置3の入力部に当たる)で、マウスやキーボードを有し、ユーザの操作によりパーツカタログデータの作成に必要な指示や情報などを入力する。この実施形態では、パーツカタログデータの作成に必要な視線方向を設定する指示操作を行う。なお、ズームによって変倍率を設定する方法をとる場合には、変倍率を設定するズーム段階の入力操作を受け入れるようにしてもよい。
【0025】
モデルデータ管理部201は、内部記憶部(メモリ2)でパーツカタログデータの作成処理において扱うデータを管理する。ここで管理するデータは、予めメモリ2や外部記憶装置に構築しておいた3Dデータベース21及びパーツリストDB22に用意された3次元モデルを構成するデータをもとに、処理対象モデルを構成する各パーツについて、パーツ単体の形状を表す情報(以下、「単体形状情報」という)、各パーツを組付けた状態でモデル全体の形状を表す情報(以下、「組付形状情報」という)及びパーツ管理情報(「部品ID」等)を少なくとも含む3次元モデル情報である。これらの3次元モデル情報は、モデルデータ管理部21を通してカタログDB23に格納するデータを作成する後段のデータ処理部である、カタログデータ作成処理部202、部品画面領域計算処理部203及び部品画面上高さ計算処理部204に渡される。
【0026】
カタログデータ作成処理部202は、モデルデータ管理部201から受け取った組付形状情報と各パーツの単体形状情報及び入力装置31で設定された視線方向をもとに、3次元モデルの全体画像、各パーツに対応したハイライト付全体画像及び単体画像を作成する。上記したハイライト付全体画像とは、着目しているパーツ形状をハイライト表示させたモデル全体の画像で、着目パーツのハイライト表示は、着目パーツを他のパーツとは異なる表示形態、例えば特定色(赤色等)で表示したり、点滅させて表示したりすることにより実現される。また、上記したパーツの単体画像は、着目しているパーツ形状だけの画像で、部品の名称やID等のパーツを特定することができる情報を付属情報とする。
なお、上記の各画像は、設定された視線方向の画像が作成される。このためには、3次元モデル情報の座標変換を必要とする(詳細は、図4の処理フローのステップS102における説明、参照)。また、設定ズーム変倍率が設定されている場合には、設定されたズーム段階ごとに上記の各画像を作成する。
【0027】
部品画面領域計算処理部203は、入力装置31で設定された視線方向から見た全体画像の画面を所定の矩形領域(碁盤目状)に分割し、分割領域ごとに、その領域に存在するパーツを対応付けた部品画面領域ファイルを作成する。
部品画面領域計算処理部203は、図4の処理フローに示す手順を行うことで、この部品画面領域ファイルを作成することができる。
図4の処理フローによると、まず、視線方向が設定される(ステップS101)。ここで設定する視線方向は、3次元空間で自由に定められる。
この視線方向は、多くとればとるほど、各々のパーツの形状の特徴を表現することができ、パーツを検索するときにも、検出漏れを無くすことが可能になるが、情報量が増加するので、対象とするモデルの形状を考慮して適当な数に調整するとよい。視線方向の設定は、入力装置31を通して行う。
図5(A)は、3次元モデルの座標系に対する視線方向を説明する図である。同図に示すように、視線方向は、3次元モデルのxyz直交座標系に対し、xy面内の方向を角度αで、xy面に対する垂直面内の方向を角度βとして定義している。
【0028】
次に、3次元モデルの座標系で与えられている3次元モデルの座標(各パーツ座標)値をステップS101で設定された視線方向軸の座標系に変換する(ステップS102)。この手順は、後段で各パーツに係る部品画面領域情報を求めるための前提として、3次元モデルを視線方向から見たときの画面においてそれぞれのパーツがどのような配置になるかを、視線方向軸の座標系の座標値(i,j,k)で表すために行う。
図5(B)は、視線方向軸の座標系を説明する図である。同図に示すように、視線方向軸の座標系は、視線方向軸kを1軸と、これに直交する2軸をi,jとし、i,j,k軸の直交座標系をなす。視線方向のk軸は、上記で図5(A)を参照して示したように、xyz直交座標系に対し、xy面内の方向を角度αで、xy面に対する垂直面内の方向を角度βとして定義しており、i軸は、xy面内の角度αの軸とk軸を含む面内で、k軸とπ/2をなす(直交する)。
【0029】
座標変換は、元の3次元モデルのxyz座標系を、視線方向として与えられた極座標αおよびβ(図5(A)、参照)を用いて、z軸周りにα回転した後、y軸まわりにβ回転し、このときのx軸,y軸,z軸をそれぞれi軸,j軸,k軸に対応させる。
つまり、元の3次元モデルの座標系において、i軸,j軸,k軸方向の各単位ベクトル(x,y,z,)(x,y,z,)(x,y,z,)は、下記式 (1) のように表すことができる。
【0030】
【数1】

【0031】
従って、この座標変換は、下記式 (2) を用いて、変換前の3次元モデルの座標系の座標値(x,y,z)から変換後の視線方向軸の座標系の座標値(i,j,k)を得る計算を行う。
【0032】
【数2】

【0033】
図4の処理フローに戻ると、部品画面領域計算処理部203は、ステップS102で変換した座標値によって、視線方向から見た全体画像(パーツを組付けたモデル全体の画像)を表した画面を得ることができるので、次に、その画面を領域分割し、各パーツがどの領域に存在するかを判断する(ステップS103)。ここでは、領域分割を座標軸(i,j軸)に沿って行う。即ち、それぞれの領域が矩形となるように、碁盤目状に(座標軸方向に決めた所定の矩形分割領域に)領域を切り分ける。また、それぞれの矩形領域には、ID(画面領域ID)を割り振る。領域分割において、分割数は、多くとればとるほど、パーツを検索する際に、検出漏れを無くすことが可能になるが、情報量が増加するので、対象とするモデルの大きさや形状を考慮して、予め各軸について適当な分割数を決めておく。
【0034】
各パーツがどの領域に存在するかは、パーツの形状を表現する3次元空間上の点が、どの分割領域に存在するかを幾何学的な計算に基づいて判断し、存在する領域のIDを判断結果として得る。なお、ここでは、パーツの形状を表わす点が視線方向(k軸)から見た画面のどの矩形分割領域(i−j面に設定された領域)にあるか、座標値(i,j)で判断するので、k軸の座標値による判断は不要である。
各パーツがどの領域に存在するかをパーツの形状を表現する全ての点について判断し、得られる判断結果は、下記[表1]に示すように、3次元モデルを構成する全パーツの部品IDそれぞれに対して、部品が存在する画面領域IDを対応付けた管理ファイルの形でメモリ2等に保存する。
なお、[表1]では、下記のように、各パーツ上の全ての点について、点が存在する画面領域IDを書き込む。
【0035】
【表1】

【0036】
次に、分割した全画面領域の各々に存在する部品を対応付ける部品画面領域情報を作成する(ステップS104)。
このステップは、ステップS103で各パーツがどの領域に存在するかを判断し、得られた結果をもとに、部品画面領域情報として、分割した画面領域ごとに存在するパーツの全てを挙げる。つまり、下記[表1]に示した管理ファイルにおける部品IDを基準に画面領域IDを並べた形から、画面領域IDを基準に部品IDを並べ替え、下記[表2]に示すように、分割した全画面領域の画面領域IDそれぞれに対して、存在する部品IDを対応付けた管理(部品画面領域)ファイルを作成する。なお、このファイルは、設定された視線方向の数だけの分が作成される。また、変倍率を設定するズーム段階の設定操作が
できるようにした場合には、さらに段階数分のファイルが作成される。
この後、部品画面領域計算処理部203は、ステップS104で作成した部品画面領域ファイルをパーツカタログDB23に蓄積し(ステップS105)、この処理フローを終了する。
なお、図4及び5にて説明した部品画面領域ファイルの作成処理は、基本的には、上記[特許文献4]に記載された従来法を採用しているので、[特許文献4]の説明を参照されたい。
【0037】
【表2】

【0038】
図3のカタログ作成部20における部品画面上高さ計算処理部204は、パーツを組付けたモデル画像の画面(入力装置31で設定された視線方向から見た)におけるパーツの高さ情報を各パーツに対応付けて表す部品画面上高さファイルを作成する。
部品画面上高さ計算処理部204は、図6の処理フローに示す手順を行うことで、この部品画面上高さファイルを作成することができる。
図6の処理フローによると、まず、視線方向が設定され(ステップS201)、次いで、3次元モデルの座標系で与えられている3次元モデルの座標(各パーツ座標)値をステップS201で設定された視線方向軸の座標系に変換する(ステップS202)。
なお、このステップS201及び202の処理は、図4及び5を参照して説明した部品画面領域ファイルの作成処理におけるステップS101及び102と同一の処理を部品画面上高さファイルの作成の前段の処理として行う。よって、ここでは、上記したステップS101及び102の説明を参照することとし、ここでは、記載を省略する。
【0039】
部品画面上高さ計算処理部204は、3次元モデルに組付けたパーツごとに、ステップS202で座標変換した座標値のk軸方向の座標値をもとに、部品画面上の高さを求める(ステップS203)。この実施形態では、各パーツの形状を表現する点のk軸方向の座標値の相加平均を算出し、求める部品画面上の高さとする。このk軸方向の座標値の相加平均値は、k軸を視線方向に合わせた直交座標系のi−j面から各点の距離の平均を意味する。つまり、視線方向において、パーツが手前にあるか奥にあるかを、パーツの形状を表現する点の平均値として数値化したもので、この値が大きければ大きい程、観察者にとって手前に位置することを意味し、小さいほど奥にあることを意味する。
【0040】
各パーツのk軸方向の座標値の相加平均値を全てのパーツについて算出し、得られる算出結果は、下記[表3]に示すように、3次元モデルを構成する全パーツの部品IDそれぞれに対して、算出された平均値を対応付けた管理(部品画面上高さ)ファイルを作成する(ステップS204)。なお、このファイルは、設定された視線方向の数だけの分が作成される。また、変倍率を設定するズーム段階の設定操作ができるようにした場合には、さらに段階数分のファイルが作成される。
この後、部品画面上高さ計算処理部204は、ステップS204で作成した部品画面上高さファイルをパーツカタログDB23に蓄積し(ステップS205)、この処理フローを終了する。
【0041】
【表3】

【0042】
「パーツカタログデータの検索・閲覧」
カタログ閲覧部27の構成及び動作について、より詳しく説明する。
カタログ閲覧部27は、カタログDB23を閲覧する際に、ユーザの要求に応じ、目的のカタログデータを検索する処理を行う。この実施形態では、ユーザの要求をGUIの画面を通して受付ける際に、先ず、ユーザにより指定されたモデルのデータをカタログDB23から取得(以下、これを「1次検索」という)し、取得した当該モデルの全体像を表示した画面をユーザに示し、表示された画面に対しユーザが指定した画面領域のパーツ(後述する候補パーツ)を検索(以下、これを「2次検索」という)し、さらに、取得した候補パーツの単体画像をユーザに画面表示し、その中からユーザにより指定されたパーツのカタログデータを最終的に検索(以下、これを「3次検索」という)する処理を行う。
つまり、ユーザの選択用に表示する全体像及びカタログ用のデータとして出力するパーツの画像、いずれも画面用(2次元)データとする。このようにすることで、ユーザが選択するパーツを探し出す作業を簡便にするとともに、処理系の負担を軽くすることができる。
【0043】
また、この実施形態では、ユーザが求めるパーツを選択する際に、その作業負担を軽減するために、次に示す付加機能を備える。
一つは、GUIの画面に表示された全体像から2次検索でパーツを指定する際に、画面上の全体画像に対しポイント(位置)を指示する操作をユーザに行わせ、ユーザが指定した位置の画面領域(図4のステップ103で分割した領域)内に存在するパーツを検索候補(以下、単に「候補」ともいう)として絞り込み、絞り込んだ候補パーツをユーザに示す機能である。
もう一つは、候補パーツから、最終的に求めるパーツを選択させる際に、絞り込んだ複数の候補パーツに、視線方向における位置順、という基準で順位を付け、順位に従いGUIの画面を通してユーザに提示する機能である。つまり、複数の候補パーツを単体画像によって表示する際に、表示の仕方で手前にあるパーツであるか奥にあるパーツであるかが分かるように示す。
これらの付加機能によると、目指すパーツの組付け位置を概ね把握していれば、例え内部にあってもパーツの選択作業が容易に行えるようになる。
【0044】
図7は、パーツカタログ作成・閲覧システム(図2)のカタログ閲覧部の構成例及び構成要素各部の処理に係る情報の流れを示す図である。
図7において、入力装置278は、GUI機能を持つユーザインターフェースの入力部(図1の入出力装置3の入力部に当たる)で、マウスやキーボードを有し、ユーザの操作により検索・閲覧に必要な指示や情報などを入力する。
出力装置279は、GUI機能を持つユーザインターフェースの出力部(図1の入出力装置3の出力部に当たる)で、ディスプレイを有し、その表示画面を通して、検索・閲覧要求に係るユーザの入力を受付ける際に必要な情報や検索・閲覧結果をユーザに示す。なお、出力部としては、図1の外部入出力装置4の出力部を用いることができる。
【0045】
データ管理部271は、内部の記憶部でカタログ作成・閲覧に係る処理において扱う各種のデータを管理する。
具体的には、データ管理部271は、閲覧要求時に、入力装置278を通してユーザが指示した形状モデルに対し、カタログDB23に格納されたカタログデータを参照し、指示に従って、形状モデルに対する全体画像や、当該形状モデルを構成する全てのパーツについて、ハイライト付全体画像、単体画像、部品画面領域情報(上記表1、参照)及び部品画面上高さ情報(上記表3、参照)を取り出して、内部の記憶部へ書き出し、検索・閲覧に係る処理に応じるためにこれらの情報を管理する。
【0046】
なお、上記したハイライト付全体画像は、着目しているパーツ形状の部分をハイライト表示させたモデル全体の画像で、着目パーツのハイライト表示は、着目パーツを他のパーツとは異なる表示形態、例えば特定色(赤色等)で表示したり、点滅させて表示したりすることにより実現される。
また、上記したパーツの単体画像は、着目しているパーツ形状だけの画像で、パーツの名称等のパーツを特定することができる情報を付属情報とする。
また、上記した部品画面領域情報は、各パーツそれぞれに対して、パーツが存在する分割画面領域の対応関係を示す情報(上記表1、参照)であり、部品画面上高さ情報は、視線方向における各パーツの平均高さで各パーツに単一の値をとる情報(上記表3、参照)である。
なお、本実施形態では、ユーザに示す上記した各種の画像、並びに部品画面領域情報や部品画面上高さ情報は、複数の視点、および、複数のズーム段階(例えば、ズームパラメータを0.0から1.0までの数値で与える)による画像と情報が管理される。
【0047】
図7の内外判定処理部272は、出力装置279のディスプレイに表示された形状モデルの全体画像の中から選択対象とするパーツを絞り込むための判定を行う。判定方法は、指示した範囲選択情報としてユーザに全体画像を表示した画面で位置を指示するポインタの操作を行わせ、ユーザが指定した位置の画面領域(画面ごとに座標軸方向に分割した矩形分割領域)を定め、定めた領域内に存在するパーツを上記部品画面領域情報に基づいて判定する。
また、領域内に存在するパーツとして判定されたパーツを選択対象の候補パーツとして抽出し、抽出した候補パーツのハイライト付全体画像を識別する情報を、複数の視点及び複数のズーム段階ごとに取り出して、パーツ選択処理部273に渡す。
【0048】
また、内外判定処理部272は、このときに、抽出した候補パーツを出力装置279のディスプレイに表示して、最終的に求めるパーツの選択をユーザの入力操作に委ねるので、候補パーツの単体画像或いはその名称を出力装置279に渡す。
ただ、本実施形態では、候補パーツを出力装置279のディスプレイに表示するときに、抽出された各パーツを何の工夫も無しにランダムな状態のまま、リストといった形でユーザに表示すると、候補パーツ群の中から目的とする1つのパーツを探し出さなければならず、多数のパーツが候補になる場合には、ユーザの作業負担が大きくなり、利便性を低下させる。
【0049】
そこで、絞り込んだ複数の候補パーツの視線方向の位置に着目し、GUI画面で全体画像を見るユーザに対し手前から奥に向かう順位に従い対象となる各パーツの単体画像の画面表示を工夫し、ユーザに示す。ここに、ユーザに対し手前にあるか奥にあるかは、部品画面上高さ情報(上記表3、参照)によって決める。
順位に従うGUI画面の表示の仕方として、例えば、候補パーツ群の中から目的とする1つのパーツを選択するためにユーザに示す画面において、上下或いは左右方向の順に各候補パーツの単位画像を表示する場合には、手前にあるパーツを先頭に上下或いは左右方向の順に表示位置を決める、といった工夫をする。このような表示をすることで、絞り込んだ候補パーツから求めるパーツを選択するユーザの作業を容易にする。特に多数のパーツ候補を示す場合に有効となる。
また、上記した順位により候補パーツの表示を行うための情報は、内外判定処理部272から出力装置279に渡す候補パーツの単体画像の情報に付加される。
【0050】
図7のパーツ選択処理部273は、前段の内外判定処理部272で判定結果として抽出された候補パーツのハイライト付全体画像を識別する情報を受取る。また、受取った候補パーツの前記情報を処理対象として管理し、出力装置279のディスプレイに表示された候補パーツの単体画像の中から、入力装置278を通してユーザが指定した1つのパーツのハイライト付全体画像を識別する情報を、複数の視点、および、複数のズーム段階ごとに取り出して、最終的に選択されたパーツの情報として画像切替処理部274に渡す。
【0051】
図7の画像切替処理部274は、前段のパーツ選択処理部273でユーザの操作により最終的に選択されたパーツのハイライト付全体画像を識別する情報を受取る。また、受取ったパーツの前記情報をもとに、当該パーツのハイライト付全体画像を選択結果として出力装置279のディスプレイに表示するための処理を行う。このとき、表示するハイライト付全体画像に対し、複数の視点、および、複数のズーム段階から要求する画像がユーザにより指示されるので、この指示を入力装置278から受け取る。なお、指示がない場合はデフォルトの視点方向及びズーム率を適用することができる。
つまり、画像切替処理部274は、データ管理部271が管理する当該パーツの画像データを取得し、かつパーツ選択処理部273から渡された最終的に選択されたパーツのハイライト付全体画像を識別する情報とユーザが指示する視点方向とズーム段階に従って、当該パーツのハイライト付全体画像を取り出し、出力装置279のディスプレイに表示する。
【0052】
次に、上記したカタログ閲覧部(図7)の検索・閲覧に係る処理手順を図8及び図9に示す処理フローを参照して説明する。
まず、1次検索条件の指示として、GUI機能を提供する出力装置279のディスプレイに、カタログDB23に格納された形状モデルの一覧等の選択画面を表示し、その画面上でユーザに入力装置278を通して閲覧したいパーツのある選択対象の形状モデルを指定させる(ステップS301)。この指定操作が行われると、これを受け、データ管理部271は、指定された形状モデルに対する全体画像や、このモデルを形成する全てのパーツについて、カタログDB23から上述したハイライト付全体画像、単体画像、部品画面領域情報及び部品画面上高さ情報を、複数の視点及び複数のズーム段階ごとに取り出して、内部の記憶部へ書き出すとともに、指定された形状モデルの全体画像を出力装置279のディスプレイに表示する(ステップS302)。
【0053】
次に、2次検索条件の指示として、出力装置279のディスプレイに表示された形状モデルの全体画像の中から検索対象のパーツを絞り込むために、ユーザに出力装置279のディスプレイに表示した形状モデルの全体画像の画面上で閲覧したいパーツのある領域を入力装置278のポインタで指定させる。
ポインタの指定操作が行われると、この入力を受け、内外判定処理部272は、選択対象のパーツの候補を抽出し、結果を出力装置279のディスプレイに表示する(ステップS303)。内外判定処理部272によって行われる領域の指定からパーツ候補を抽出し、抽出したパーツの単体画像を表示するまでの処理を、図9に示すサブシーケンスの処理フローを参照して説明する。
【0054】
図9の処理フローによると、内外判定処理部272は、先ず、データ管理部271に取り込まれた検索対象の形状モデルの情報から1つのパーツのハイライト付全体画像、単体画像、部品画面領域情報(上記表1、参照)及び部品画面上高さ情報の組み合わせを取得する(ステップS401)。
次いで、ユーザがポインタの入力により指示した位置をもとに、当該位置が属する分割画面領域を求め、求めた画面領域の情報(画面領域ID)と前段で取得したこのパーツの部品画面領域情報(上記表1、参照)とを比較して、この画面領域内にパーツが存在するか否かを確認する(ステップS402)。この確認は、このパーツの部品画面領域情報に記された画面領域IDとポインタ入力により求めた画面領域IDが一致した場合に存在すると判断する。
ここで、画面領域内にパーツが存在しなければ(ステップS402-NO)、ユーザが要求するパーツではないから、選択対象の候補パーツから外し、内外判定をする次のパーツを検索対象の形状モデルのパーツ群から取り出すため、内外判定処理を行っていないパーツが存在するか、否かをチェックする(ステップS405)。
【0055】
他方、ステップS402で画面領域内にパーツが存在すれば(ステップS402-YES)、このパーツを選択対象の候補パーツとして、パーツに係る上記した情報の組み合わせを抽出する。
このとき、当該候補パーツについて得た部品画面上高さ情報を、これまでに抽出した候補パーツについて得た部品画面上高さ情報と比べ、高さ順に順位を付与し、付与された順位を示す情報を各候補パーツの上記した情報の組み合わせの1情報に加える(ステップS403)。
次いで、内外判定処理部272は、抽出された候補パーツを出力装置279のディスプレイに表示する(ステップS404)。このとき、各候補パーツは、注目パーツをハイライトで示したハイライト付全体画像と注目パーツの単体画像(パーツの名称のみとして実施してもよい)とを組み合わせて表示する。なお、ハイライト付全体画像は、着目パーツを他のパーツとは異なる表示形態で示せばよく、例えば、全体画像を半透明(破線)或いはワイヤフレーム像で描画し、注目するパーツを実像で描画する等の方法を採る。
【0056】
抽出された候補パーツが多くなく、表示するハイライト付全体画像と単体画像の組み合わせが、少ない場合には、これらを1画面に表示することができる。このとき、各候補パーツは、先に定めた部品画面上の高さの順位に従い、手前にあるパーツを先頭に上下或いは左右方向の順に位置を決めて表示する。
ただ、対象形状モデルからの候補パーツの抽出条件やディスプレイの大きさ等と関係するが、候補パーツが多数抽出され、一覧で全部の候補パーツを表示することができない場合が起きる。この場合には、単体画像(パーツの名称でもよい)のみを一覧で順位に従った位置をとって表示し、この一覧画面において、選択操作を受け付け、選択したパーツのハイライト付全体画像を開く機能キーを設け、ユーザがこの機能キーへの操作により選択したパーツをハイライト付全体画像で確認できるようにする、といった方法を採ってもよい。
【0057】
内外判定処理部272は、上記の表示動作を行うと同時に、抽出した候補パーツのハイライト付全体画像を識別する情報を、複数の視点、および、複数のズーム段階ごとに取り出して、パーツ選択処理部273に渡す(ステップS404)。このハイライト付全体画像は、当該パーツが、後のステップでユーザに選択された場合に、表示対象となるものとして、予めパーツ選択処理部273に供給しておくものである。
次いで、ステップS401〜404の内外判定に伴う処理を未だ行っていないパーツがあるか否かをチェックし(ステップS405)、未処理のパーツがある場合には(ステップS405-YES)、ステップS401へ戻る。
また、全てのパーツの内外判定に伴う処理が終われば(ステップS405-NO)、このサブシーケンスの処理フロー(図9)を抜ける。
【0058】
サブシーケンスの処理フロー(図9)を抜けると、図8のフローに戻り、前段までの処理で指定領域内に絞り込まれた候補パーツの中からユーザが最終的に求めるパーツを選択する処理に対応する(ステップS304)。即ち、パーツ選択処理部273は、3次検索条件の指示として、出力装置279のディスプレイに表示された候補パーツの単体画像又はパーツ名の中から、求める1つのパーツを指定するユーザの入力装置278への操作を受け、データ管理部271に取り込まれた検索対象の情報から、指定されたパーツのハイライト付全体画像を識別する情報を、複数の視点、および、複数のズーム段階ごとに取得し、画像切替処理部274に渡す。
【0059】
次に、画像切替処理部274は、ユーザが最終的な選択結果としてパーツ選択処理部273から受取ったパーツのハイライト付全体画像を識別する情報を管理し、デフォルト或いはユーザの表示要求に応じて画面表示を切替える(ステップS305)。
即ち、画像切替処理部274は、パーツ選択処理部273から渡された最終的に選択されたパーツのハイライト付全体画像を識別する情報をもとに、データ管理部271が管理する当該パーツの画像データを取得し、ユーザが指示する視点方向とズーム段階に従って、当該パーツのハイライト付全体画像を取り出し、出力装置279のディスプレイに表示する。なお、ユーザの表示要求が指示されない場合は、デフォルトの視点方向及びズーム率を適用する。
【0060】
この後、ユーザが目的とするパーツのカタログデータを閲覧することができ、対象とした形状モデルについて、新たな選択を行わない場合には、終了キーを操作する等の入力を行い、その入力操作を確認し(ステップS306-YES)、この処理フローを終える。
他方、さらに別のパーツの閲覧を続けて行う場合には、継続キーを操作する等の入力を行い、その入力操作を確認し(ステップS306-NO)、ステップS303へ戻って、再びステップS306までの処理フローを繰り返す。
【0061】
以上に示した実施形態により、表示された形状モデルの全体画像上の特定のポイントの指示操作で、当該ポイントの近辺に組付いているパーツを目指すパーツの候補として絞り込みことができ、しかも、最終的にパーツを探し出すためにユーザに示す候補パーツの一覧表示画面では、部品画面上の高さの順位に従い、手前にあるパーツを先頭に上下或いは左右方向の順に位置を決めて表示するようにしたことで、パーツを探し出す場合にユーザに掛かる作業負担が軽減できる。
また、パーツを検索・閲覧する処理を2次元画像データの操作により行うようにし、モデルの3次元形状データを利用する従来法(上記[背景技術」の項の記載、参照)に比べて、軽い処理で目的の動作を得るようにしたので、処理性能の低いコンピュータ上でも十分実用に耐えることができる。
【符号の説明】
【0062】
1・・CPU(Central Processing Unit)、2・・メモリ、3・・入出力装置、4・・外部入出力装置、5・・バス、20・・カタログ作成部、21・・3Dデータベース、22・・パーツリストデータベース、23・・カタログデータベース、24・・画像データベース、25・・画像補填部、26・・位置情報補填部、27・・カタログ閲覧部、201・・モデルデータ管理部、202・・カタログデータ作成処理部、203・・部品画面領域計算処理部、204・・部品画面上高さ計算処理部、271・・データ管理部、272・・内外判定処理部、273・・パーツ選択処理部、274・・画像切替処理部、278・・入力装置、279・・出力装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開平09−190456号公報
【特許文献2】特開2006−39872号公報
【特許文献3】特開2007−42077号公報
【特許文献4】特開2008−152429号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を組付けて構成する3次元モデルをもとに画面用データとしてそれぞれ作成された全体画像、部品画像、全体画像における部品画面領域情報及び各部品の部品画面上高さ情報を格納したデータベースと、GUI機能を持つユーザインターフェースと、前記データベースから前記ユーザインターフェースの入力画面を介して指示される検索条件に従って、部品画像を検索する検索手段と、前記検索手段の検索結果を出力する手段を有する画像処理装置であって、
前記検索手段は、前記ユーザインターフェースを介して行われる1次検索条件の指示に応じて、前記データベースから取得した検索対象モデルのデータを管理するとともに、前記ユーザインターフェースの入力画面に表示する画像を生成するデータ管理部と、
前記ユーザインターフェースの入力画面に表示された前記検索対象モデルの全体画像上をポインタで示す2次検索条件の指示に応じ、該指示位置により指定される前記部品画面領域情報をもとに、該領域内に含まれる部品を検索候補部品と判定し抽出するとともに、抽出した検索候補部品について、それぞれの前記部品画面上高さ情報をもとに高さの順に順位を付与する判定処理部と、
前記ユーザインターフェースの入力画面に、前記判定処理部によって抽出された検索候補部品の部品画像を、付与された順位に従って表示し、表示された検索候補部品の中から目的の部品を選択する3次検索条件の指示に応じる部品選択処理部を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像処理装置において、
前記データベースが、前記全体画像及び部品画像として、複数視線方向とズーム段階を変えて表示することができる画像及び各部品のハイライト表示をすることができる画像を格納するとともに、全体画像における部品画面領域情報及び各部品の部品画面上高さ情報として、複数視線方向とズーム段階を変えたときにそれぞれ適用する情報を格納したものであり、
前記データ管理部は、前記ユーザインターフェースの入力画面を介して指示された視線方向とズーム段階に応じて、当該入力画面に表示する全体画像、ハイライト表示を含む部品画像を生成し、
前記判定処理部は、前記ユーザインターフェースの入力画面を介して指示された視線方向とズーム段階に応じて、検索候補部品の判定に用いる前記部品画面領域情報及び順位の付与に用いる前記部品画面上高さ情報を切り替えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
部品を組付けて構成する3次元モデルをもとに画面用データとしてそれぞれ作成された全体画像、部品画像、全体画像における部品画面領域情報及び各部品の部品画面上高さ情報を格納したデータベースからGUI機能を持つユーザインターフェースの入力画面を介して指示される検索条件に従い部品画像を検索する画像処理装置が行う処理工程として、
前記ユーザインターフェースを介して行われる1次検索条件の指示に応じて、前記データベースから取得した検索対象モデルのデータを管理するとともに、前記ユーザインターフェースの入力画面に表示する画像を生成するデータ管理工程と、
前記ユーザインターフェースの入力画面に表示された前記検索対象モデルの全体画像上をポインタで示す2次検索条件の指示に応じ、該指示位置により指定される前記部品画面領域情報をもとに、該領域内に含まれる部品を検索候補部品と判定し抽出するとともに、抽出した検索候補部品について、それぞれの前記部品画面上高さ情報をもとに高さの順に順位を付与する判定処理工程と、
前記ユーザインターフェースの入力画面に、前記判定処理工程で抽出された検索候補部品の部品画像を、付与された順位に従って表示し、表示された検索候補部品の中から目的の部品を選択する3次検索条件の指示に応じる部品選択処理工程を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載された画像処理方法において、
前記データベースが、前記全体画像及び部品画像として、複数視線方向とズーム段階を変えて表示することができる画像及び各部品のハイライト表示をすることができる画像を格納するとともに、全体画像における部品画面領域情報及び各部品の部品画面上高さ情報として、複数視線方向とズーム段階を変えたときにそれぞれ適用する情報を格納したものであり、
前記データ管理工程は、前記ユーザインターフェースの入力画面を介して指示された視線方向とズーム段階に応じて、当該入力画面に表示する全体画像、ハイライト表示を含む部品画像を生成し、
前記判定処理工程は、前記ユーザインターフェースの入力画面を介して指示された視線方向とズーム段階に応じて、検索候補部品の判定に用いる前記部品画面領域情報及び順位の付与に用いる前記部品画面上高さ情報を切り替えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載された画像処理方法の各工程をコンピュータに行わせるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−50970(P2013−50970A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−232867(P2012−232867)
【出願日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【分割の表示】特願2008−204444(P2008−204444)の分割
【原出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】