説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】ARアプリケーションにおいて有益な情報をより確実にユーザに提供すること。
【解決手段】実世界を映す入力画像を取得する画像取得部と、前記実世界におけるオブジェクトの外観上の構造を表すテンプレートであって、当該オブジェクトにより可視化される情報に関連付けられる1つ以上のフィールドを含む前記テンプレートを取得するテンプレート取得部と、前記入力画像を前記テンプレートと照合するテンプレート照合部と、前記入力画像に前記テンプレートが適合する場合に、前記テンプレートに含まれる少なくとも1つのフィールドに関連付けられる情報を前記入力画像から認識する認識部と、前記認識部による前記少なくとも1つのフィールドについての認識の結果をディスプレイ上に表示させる表示制御部と、を備える画像処理装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、実世界に付加的な情報を重畳してユーザに呈示する拡張現実(AR:Augmented Reality)と呼ばれる技術が注目されている。AR技術においてユーザに呈示される情報は、テキスト、アイコン又はアニメーションなどの様々な形態の仮想的なオブジェクトを用いて可視化され得る。
【0003】
ARオブジェクトの表示に関連する文献として、例えば下記特許文献1が挙げられる。下記特許文献1に記載された技術では、ARオブジェクトは、実世界に存在する実オブジェクトと関連付けられる位置に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−081557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くのARアプリケーションにおいて、ARオブジェクトの選択及び配置は、入力画像を用いた画像認識に基づいて行われる。これは、入力画像の見え方がARアプリケーションの有効な動作を左右することを意味する。従って、ARアプリケーションがユーザに入力画像の見え方を調整させながら画像認識を遂行することができれば、有益な情報をより確実にユーザに提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、実世界を映す入力画像を取得する画像取得部と、前記実世界におけるオブジェクトの外観上の構造を表すテンプレートであって、当該オブジェクトにより可視化される情報に関連付けられる1つ以上のフィールドを含む前記テンプレートを取得するテンプレート取得部と、前記入力画像を前記テンプレートと照合するテンプレート照合部と、前記入力画像に前記テンプレートが適合する場合に、前記テンプレートに含まれる少なくとも1つのフィールドに関連付けられる情報を前記入力画像から認識する認識部と、前記認識部による前記少なくとも1つのフィールドについての認識の結果をディスプレイ上に表示させる表示制御部と、を備える画像処理装置が提供される。
【0007】
また、本開示によれば、実世界を映す入力画像を取得することと、前記実世界におけるオブジェクトの外観上の構造を表すテンプレートであって、当該オブジェクトにより可視化される情報に関連付けられる1つ以上のフィールドを含む前記テンプレートを取得することと、前記入力画像を前記テンプレートと照合することと、前記入力画像に前記テンプレートが適合する場合に、前記テンプレートに含まれる少なくとも1つのフィールドに関連付けられる情報を前記入力画像から認識することと、前記少なくとも1つのフィールドについての認識の結果をディスプレイ上に表示させることと、を含む画像処理方法が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、画像処理装置を制御するコンピュータを、実世界を映す入力画像を取得する画像取得部と、前記実世界におけるオブジェクトの外観上の構造を表すテンプレートであって、当該オブジェクトにより可視化される情報に関連付けられる1つ以上のフィールドを含む前記テンプレートを取得するテンプレート取得部と、前記入力画像を前記テンプレートと照合するテンプレート照合部と、前記入力画像に前記テンプレートが適合する場合に、前記テンプレートに含まれる少なくとも1つのフィールドに関連付けられる情報を前記入力画像から認識する認識部と、前記認識部による前記少なくとも1つのフィールドについての認識の結果をディスプレイ上に表示させる表示制御部と、として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る技術によれば、ARアプリケーションにおいて有益な情報をより確実にユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態に係る画像処理装置の概要について説明するための説明図である。
【図2】一実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】一実施形態に係る画像処理装置の論理的機能の構成の一例を示すブロック図である。
【図4A】入力画像に映るオブジェクトの第1の例を示す説明図である。
【図4B】図4Aに例示したオブジェクトに対応するテンプレートの一例を示す説明図である。
【図5A】入力画像に映るオブジェクトの第2の例を示す説明図である。
【図5B】図5Aに例示したオブジェクトに対応するテンプレートの一例を示す説明図である。
【図6A】入力画像に映るオブジェクトの第3の例を示す説明図である。
【図6B】図6Aに例示したオブジェクトに対応するテンプレートの一例を示す説明図である。
【図7】一実施形態における認識結果についての表示の第1の例について説明するための説明図である。
【図8A】一実施形態における認識結果についての表示の第2の例について説明するための説明図である。
【図8B】一実施形態における認識結果についての表示の第3の例について説明するための説明図である。
【図9】一実施形態における認識結果についての表示の第4の例について説明するための説明図である。
【図10】一実施形態における認識結果の表示の第5の例について説明するための説明図である。
【図11】一実施形態において表示され得る関連情報の第1の例について説明するための説明図である。
【図12】一実施形態において表示され得る関連情報の第2の例について説明するための説明図である。
【図13】一実施形態において表示され得る関連情報の第3の例について説明するための説明図である。
【図14】一実施形態に係る画像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図15】図14に示したフィールド認識処理の詳細な流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
また、以下の順序で説明を行う。
1.概要
2.一実施形態に係る画像処理装置の構成例
2−1.ハードウェア構成
2−2.機能構成
2−3.処理の流れ
3.まとめ
【0013】
<1.概要>
図1は、本開示に係る技術の一実施形態の概要について説明するための説明図である。図1を参照すると、実世界1内でユーザにより携帯されている画像処理装置100が示されている。
【0014】
画像処理装置100は、実世界を撮像した画像を画面上に表示する装置である。画像処理装置100は、例えば、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、PND(Portable Navigation Device)、ゲーム端末又は携帯用音楽プレーヤなどの端末装置であってもよく、PC(Personal Computer)又はワークステーションなどの情報処理装置であってよい。
【0015】
実世界1は、画像処理装置100が利用され得る空間の一例である。実世界1内には、実オブジェクト10a及び10bが存在する。実オブジェクト10aは、ナビゲーション情報を提供する実オブジェクトである。実オブジェクト10aは、例えば、駅に設置される乗換案内用の掲示板、道路に設置される道案内の看板、又は商業施設に設置される売り場案内用のポスターなどであってよい。実オブジェクト10bは、画像10cを表示する情報機器である。実オブジェクト10bは、例えば、デジタルサイネージ用のモニタ、PC(Personal Computer)、スマートフォン又はテレビジョン受像機などであってよい。画像10cは、ユーザに何らかの情報を提供する表示オブジェクトである。
【0016】
本実施形態において、実オブジェクト10aにより提供されるナビゲーション情報は、同じ種類のナビゲーション情報に共通する外観上の構造を有し、構造的に可視化される。例えば、A駅、B駅及びC駅にそれぞれ設置される掲示板は、共通的な外観上の構造を有する。そして、それら掲示板により示される情報の内容のみが互いに異なる。図1に示した画像処理装置100は、このような実オブジェクト10aの構造を後に説明するテンプレートを用いて認識し、実オブジェクト10aを識別する。同様に、実オブジェクト10bにより表示される画像10cは、同じ種類の画像情報に共通する外観上の構造を有し、構造的に可視化される。例えば、レストラン情報を提供するWebサイトの個々のレストランのWebページは、共通的な外観上の構造を有する。そして、それらWebページにより提供される情報の内容のみが互いに異なる。図1に示した画像処理装置100は、このような画像10cの構造を後に説明するテンプレートを用いて認識し、画像10cを識別する。そして、画像処理装置100は、これらオブジェクトの識別結果に基づいて、様々なARアプリケーションを実現する。
【0017】
<2.一実施形態に係る画像処理装置の構成例>
[2−1.ハードウェア構成]
図2は、本実施形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2を参照すると、画像処理装置100は、撮像部102、センサ部104、入力部106、記憶部108、表示部110、通信部112、バス116及び制御部118を備える。
【0018】
(1)撮像部
撮像部102は、画像を撮像するカメラモジュールである。撮像部102は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を用いて実世界を撮像し、撮像画像を生成する。撮像部102により生成される撮像画像は、制御部118による画像処理の入力画像となる。なお、撮像部102は、必ずしも画像処理装置100の一部でなくてもよい。例えば、画像処理装置100と有線又は無線で接続される撮像装置が撮像部102として扱われてもよい。
【0019】
(2)センサ部
センサ部104は、測位センサ、加速度センサ及びジャイロセンサなどの様々なセンサを含み得る。例えば、センサ部104は、GPS(Global Positioning System)信号を受信して画像処理装置100の地理的位置を測定するGPSセンサを含んでもよい。また、センサ部104は、無線アクセスポイントから受信される無線信号の強度に基づいて画像処理装置100の位置を測定する測位センサを含んでもよい。
【0020】
(3)入力部
入力部106は、ユーザが画像処理装置100を操作し又は画像処理装置100へ情報を入力するために使用される入力デバイスである。入力部106は、例えば、表示部110の画面上へのユーザによるタッチを検出するタッチセンサを含んでもよい。その代わりに(又はそれに加えて)、入力部106は、マウス若しくはタッチパッドなどのポインティングデバイスを含んでもよい。さらに、入力部106は、キーボード、キーパッド、ボタン又はスイッチなどのその他の種類の入力デバイスを含んでもよい。
【0021】
(4)記憶部
記憶部108は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体により構成され、画像処理装置100による処理のためのプログラム及びデータを記憶する。記憶部108により記憶されるデータは、例えば、撮像画像データ、センサデータ及び後に説明する様々なデータベース(DB)内のデータを含み得る。なお、本明細書で説明するプログラム及びデータの一部は、記憶部108により記憶されることなく、外部のデータソース(例えば、データサーバ、ネットワークストレージ又は外付けメモリなど)から取得されてもよい。
【0022】
(5)表示部
表示部110は、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic light-Emitting Diode)又はCRT(Cathode Ray Tube)などのディスプレイを含む表示モジュールである。表示部110は、例えば、画像処理装置100により生成されるARアプリケーションの画像を表示するために使用される。なお、表示部110もまた、必ずしも画像処理装置100の一部でなくてもよい。例えば、画像処理装置100と有線又は無線で接続される表示装置が表示部110として扱われてもよい。
【0023】
(6)通信部
通信部112は、画像処理装置100による他の装置との間の通信を仲介する通信インタフェースである。通信部112は、任意の無線通信プロトコル又は有線通信プロトコルをサポートし、他の装置との間の通信接続を確立する。
【0024】
(7)バス
バス116は、撮像部102、センサ部104、入力部106、記憶部108、表示部110、通信部112及び制御部118を相互に接続する。
【0025】
(8)制御部
制御部118は、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサに相当する。制御部118は、記憶部108又は他の記憶媒体に記憶されるプログラムを実行することにより、後に説明する画像処理装置100の様々な機能を動作させる。
【0026】
[2−2.機能構成]
図3は、図2に示した画像処理装置100の記憶部108及び制御部118により実現される論理的機能の構成の一例を示すブロック図である。図3を参照すると、画像処理装置100は、画像取得部120、テンプレートデータベース(DB)125、テンプレート取得部130、テンプレート照合部140、参照画像DB145、認識部150、表示制御部160、関連情報DB165及び情報取得部170を含む。
【0027】
(1)画像取得部
画像取得部120は、撮像部102により生成される撮像画像を入力画像として取得する。画像取得部120により取得される入力画像は、実世界を映した画像である。当該入力画像は、静止画であってもよく、動画を構成する各フレームであってもよい。画像取得部120は、取得した入力画像を、テンプレート照合部140、認識部150及び表示制御部160へ出力する。
【0028】
(2)テンプレートDB
テンプレートDB125は、実世界において構造的に可視化されるオブジェクトの構造をそれぞれ表す複数のテンプレートを記憶するデータベースである。テンプレートは、典型的にはオブジェクトの種類ごとに定義され得る。例えば、乗換案内用の掲示板、道案内の看板、売り場案内用のポスター及びレストラン情報を提供するWebページなどの様々な種類のオブジェクトについて、テンプレートが予め定義されてよい。本実施形態において、テンプレートDB125により記憶される各テンプレートは1つ以上のフィールドを含み、各フィールドは対応するオブジェクトにより可視化される情報に関連付けられる。各テンプレートに含まれる1つ又は複数のフィールドは、識別用フィールドであり、オブジェクトを一意に識別可能な情報に関連付けられる。
【0029】
本明細書において、オブジェクトの識別とは、互いに異なる情報を可視化する複数のオブジェクトのうちの具体的なオブジェクトを特定することを意味する。例えば、A駅、B駅及びC駅にそれぞれ設置される掲示板のうち具体的にどの駅に設置される掲示板であるかを特定することは、オブジェクトの識別という用語で表現され得る。以下、図4A〜図6Bを用いて、テンプレートDB125により記憶され得るテンプレートの3つの例を説明する。
【0030】
(2−1)第1の例
図4Aは、入力画像に映るオブジェクトの第1の例を示す説明図である。図4Bは、図4Aに例示したオブジェクトに対応するテンプレートの一例を示す説明図である。
【0031】
図4Aに示したオブジェクト12aは、駅の案内用の掲示板である。オブジェクト12aは、駅名が書かれた柱状部と案内情報が書かれた板状部とを含む。図中左の板状部において、案内情報は、複数の区画に分けて記載されている。
【0032】
図4Bに示したテンプレートT1は、実世界に存在する実オブジェクトであるオブジェクト12aの外観上の構造を表すテンプレートである。テンプレートT1は、10個のフィールドF10〜F19を含む。フィールドF10(Station_Name_text)は、識別用フィールドであり、駅名に関連付けられる。フィールドF11(Title_text)は、通常フィールドであり、見出し文字列に関連付けられる。フィールドF12(Left_SubTitle_text)及びF13(Right_SubTitle_text)は、通常フィールドであり、副見出し文字列に関連付けられる。フィールドF14(Left_Contents_text)及びF15(Right_Contents_text)は、通常フィールドであり、案内情報の内容に関連付けられる。フィールドF16〜F19は、通常フィールドであり、広告情報に関連付けられる。テンプレートは、このような1つ以上のフィールドの位置関係及び各フィールドの属性を定義するデータであってよい。また、テンプレートは、対応するオブジェクトが共通的に有する文字又はマークなどの画像(例えば、テンプレートT1の“i”マークなど)を含んでもよい。
【0033】
(2−2)第2の例
図5Aは、入力画像に映るオブジェクトの第2の例を示す説明図である。図5Bは、図5Aに例示したオブジェクトに対応するテンプレートの一例を示す説明図である。
【0034】
図5Aに示したオブジェクト12bは、実世界に存在する情報機器11bにより表示されるレストラン情報用のWebページである。オブジェクト12bは、Webページの見出し、レストランを識別する識別情報及びレストラン情報の内容を含む。
【0035】
図5Bに示したテンプレートT2は、Webページであるオブジェクト12bの可視的な構造を表すテンプレートである。テンプレートT2は、6個のフィールドF20〜F25を含む。フィールドF20(Area_text)は、識別用フィールドの1つであり、地域名に関連付けられる。フィールドF21(Name_text)は、識別用フィールドの1つであり、レストラン名に関連付けられる。フィールドF22(Title_text)は、通常フィールドであり、見出し文字列に関連付けられる。フィールドF23(Contents_text)は、通常フィールドであり、レストラン情報の内容に関連付けられる。フィールドF24(Photo1_image)及びF25(Photo2_image)は、通常フィールドであり、画像情報に関連付けられる。このように、1つのテンプレートが複数の識別用フィールドを含んでもよい。また、テンプレートに含まれる各フィールドは、テキスト情報に関連付けられてもよく、又は画像情報に関連付けられてもよい。
【0036】
(2−3)第3の例
図6Aは、入力画像に映るオブジェクトの第3の例を示す説明図である。図6Bは、図6Aに例示したオブジェクトに対応するテンプレートの一例を示す説明図である。
【0037】
図6Aに示したオブジェクト12cは、実世界に存在する情報機器11bにより表示されるソーシャルネットワーク用のWebページである。オブジェクト12cは、Webページの見出し、人物を識別する識別情報、フレンド情報及びプロフィール情報などを含む。
【0038】
図6Bに示したテンプレートT3は、Webページであるオブジェクト12cの可視的な構造を表すテンプレートである。テンプレートT3は、10個のフィールドF30〜F39を含む。フィールドF30(Portrait_image)は、識別用フィールドであり、人物の顔画像に関連付けられる。フィールドF31(Nickname_text)は、通常フィールドであり、ニックネームに関連付けられる。フィールドF32(Title1_text)及びF34(Title2_text)は、通常フィールドであり、見出し文字列に関連付けられる。フィールドF33(Contents1_text)及びF35(Contents2_text)は、通常フィールドであり、様々な情報の内容に関連付けられる。フィールドF36(Friend1_image)及びF38(Friend2_image)は、通常フィールドであり、友人の顔画像に関連付けられる。フィールドF37(Friend1_text)及びF39(Friend2_text)は、通常フィールドであり、友人のニックネームに関連付けられる。このように、テンプレートに含まれるフィールドのうち画像情報に関連付けられるフィールドが識別用フィールドであってもよい。
【0039】
(3)テンプレート取得部
テンプレート取得部130は、画像処理装置100による画像処理に際して、テンプレートDB125により記憶される上述した1つ以上のテンプレートを取得する。そして、テンプレート取得部130は、取得したテンプレートをテンプレート照合部140へ出力する。
【0040】
(4)テンプレート照合部
テンプレート照合部140は、画像取得部120により取得される入力画像を、テンプレート取得部130により取得される1つ以上のテンプレートの各々と照合する。例えば、テンプレート照合部140は、入力画像からエッジを抽出する。次に、テンプレート照合部140は、各テンプレートの位置及び姿勢を3次元的に変化させながら、入力画像から抽出されたエッジと各テンプレートに含まれるフィールドの枠との一致度を判定する。そして、テンプレート照合部140は、所定の一致度を上回るテンプレートが存在する場合には、当該テンプレートに対応するオブジェクトが入力画像に映っていると判定する。テンプレート照合部140は、このような照合の結果(例えば、適合したテンプレートの識別子、位置及び姿勢)を、認識部150へ出力する。
【0041】
(5)参照画像DB
参照画像DB145は、認識部150によるフィールド認識処理において参照される既知の画像を記憶するデータベースである。参照画像DB145は、例えば、レストランの外観を映した画像と当該レストランの識別子とを関連付けて記憶してもよい。また、参照画像DB145は、人物の顔画像と当該人物の識別子とを関連付けて記憶してもよい。なお、認識部150によるフィールド認識処理において参照される画像は、これら例に限定されず、他の種類の画像であってもよい。
【0042】
(6)認識部
認識部150は、入力画像にいずれかのテンプレートが適合する場合に、適合するテンプレートに含まれる少なくとも1つのフィールドに関連付けられる情報を入力画像から認識する。例えば、認識部150は、テキスト情報に関連付けられるフィールドについて、OCR(Optical Character Recognition)を実行することにより、当該フィールドに関連付けられるテキスト情報を認識する。また、認識部150は、画像情報に関連付けられるフィールドについて、当該フィールドに対応する入力画像の部分画像を参照画像DB145により記憶されている既知の画像と照合することにより、当該フィールドに関連付けられる情報を認識する。認識部150は、例えば、入力画像に適合するテンプレートの姿勢に応じて、対応するオブジェクトの表面が撮像面に正対するように入力画像を加工した上で、加工後の入力画像についてOCR又は既知画像との照合を実行してもよい。
【0043】
本実施形態において、認識部150は、テンプレートを用いて入力画像から認識される情報に基づいて、入力画像に映るオブジェクトを識別する。例えば、認識部150は、図4Bに例示したテンプレートT1が入力画像に適合する場合に、入力画像に映るオブジェクトがどの駅の案内用の掲示板であるかを、識別用フィールドF10から読み取られる駅名に基づいて識別し得る。また、例えば、認識部150は、図5Bに例示したテンプレートT2が入力画像に適合する場合に、入力画像に映るオブジェクトがどのレストランの情報を提供するWebページであるかを、識別用フィールドF20及びF21からそれぞれ読み取られる地域名及びレストラン名に基づいて識別し得る。また、例えば、認識部150は、図6Bに例示したテンプレートT3が入力画像に適合する場合に、入力画像に映るオブジェクトが誰の人物情報を提供するWebページであるかを、識別用フィールドF30に対応する部分画像と既知の顔画像との照合の結果に基づいて識別し得る。なお、認識部150は、オブジェクトを識別するために十分な情報が非識別用フィールドから認識された場合には、当該情報に基づいてオブジェクトを識別してもよい。
【0044】
認識部150による各フィールドに関連付けられる情報の認識は、必ずしも成功するとは限らない。例えば、テンプレートの一部のフィールドに対応する部位が入力画像に映っていない場合には、認識部150は、当該フィールドに関連付けられる情報を認識することができない。また、あるフィールドに対応する部位が入力画像内で小さく映っているケース、又はオブジェクトの表面が撮像面に全く正対していないケースでは、当該フィールドに関連付けられる情報を認識することは難しい。そこで、認識部150は、入力画像の見え方をユーザに調整させるために、各フィールドに関連付けられる情報の認識の成否を表示制御部160へ出力する。
【0045】
(7)表示制御部
表示制御部160は、認識部150による少なくとも1つのフィールドについての認識の結果を表示部110のディスプレイ上に表示させる。例えば、表示制御部160は、識別用フィールドが入力画像に映っていない場合には、認識部150によるオブジェクトの識別をユーザに支援させるために、識別用フィールドの方向へ撮像部102を動かすことを促す標識(indication)をディスプレイ上に表示させてよい。また、表示制御部160は、入力画像に映る識別用フィールドのサイズが小さい場合には、識別用フィールドをより大きく映すことを促す標識をディスプレイ上に表示させてよい。これら標識を視認したユーザが撮像部102を移動させ又はズーム率を変更することにより、識別用フィールドに関連付けられる情報の認識が容易となる。また、表示制御部160は、識別用フィールドに関連付けられる情報の認識が成功した場合に、さらに識別用フィールド以外のフィールドについての認識が容易となるようにユーザを誘導してもよい。例えば、表示制御部160は、関連付けられる情報の認識の成功又は失敗を表現する標識をフィールドごとに入力画像に重畳することにより、情報の認識が失敗しているフィールドについて認識を支援させるようにユーザを誘導し得る。
【0046】
図7は、認識結果についての表示制御部160による表示の第1の例について説明するための説明図である。図7の左には、オブジェクト12aが映る画像Im11が、画像処理装置100のディスプレイ上に表示されている。画像Im11には、オブジェクト12aの識別用フィールド(に対応する部位)が十分に映っていない。そこで、表示制御部160は、オブジェクト12aの識別用フィールドを入力画像に映すことをユーザに促す標識D1を、画像Im11に重畳している。かかる標識D1を視認したユーザは、例えば画像処理装置100を移動させ又は回転させて、オブジェクト12aの識別用フィールドを入力画像に映す。図7の右では、識別用フィールドから認識された情報に基づくオブジェクト12aの識別が成功したことを示す標識D2が、オブジェクト12aを映した画像Im12に重畳されている。
【0047】
図8Aは、認識結果についての表示制御部160による表示の第2の例について説明するための説明図である。図8Aに例示した画像Im21において、情報の認識が成功したフィールドには半透明の矩形の標識が、情報の認識が失敗したフィールドには透明の矩形の標識が重畳されている。これら標識を視認したユーザは、情報の認識が失敗したフィールドに対応するオブジェクトの部位がより大きく又はより明瞭に入力画像に映るように、画像処理装置100(あるいは撮像部102)を操作し得る。図8Bは、認識結果についての表示制御部160による表示の第3の例について説明するための説明図である。図8Bの例では、情報の認識が成功したフィールドについては標識は重畳されず、情報の認識が失敗したフィールドにのみ透明の矩形の標識が重畳されている。この場合にも、標識の消去によって情報の認識の成否をユーザに示し、情報の認識が失敗したフィールドについて認識が容易となるようにユーザを誘導することができる。
【0048】
図9は、認識結果についての表示制御部160による表示の第4の例について説明するための説明図である。図9に示した画像処理装置100のディスプレイ上には、実世界2に存在する情報機器11bにより表示されているオブジェクト12cが映る画像Im31が表示されている。画像Im31には、オブジェクト12cの識別用フィールドF30(に対応する部位)は映っているものの、そのサイズが小さいことから、識別用フィールドF30について情報の認識が失敗し得る。そこで、表示制御部160は、識別用フィールドF30をより大きく入力画像に映すことをユーザに促す標識D3を、画像Im31に重畳している。かかる標識D3を視認したユーザは、例えば画像処理装置100を情報機器11bに近付け又は撮像部102のズーム率を変更して、識別用フィールドF30をより大きく入力画像に映す。それにより、識別用フィールドF30についての情報の認識はより確実に成功し得る。
【0049】
図10は、認識結果についての表示制御部160による表示の第5の例について説明するための説明図である。図10に示した画像処理装置100のディスプレイ上には、オブジェクト12cが映る画像Im41が表示されている。画像Im41には、オブジェクト12cが映っているものの、そのサイズが大き過ぎることからいずれのテンプレートもオブジェクト12cに適合しない。そこで、表示制御部160は、オブジェクト12cをより小さく映すことをユーザに促す標識D4を、画像Im41に重畳している。かかる標識D4を視認したユーザがオブジェクト12cの全体を入力画像に映すことにより、例えば図6Bに示したテンプレートT3が入力画像に映るオブジェクト12cに適合し得る。
【0050】
上述したような表示制御部160とユーザとの連携によってオブジェクトの識別が成功し、又は必要とされる全ての情報が認識部150により認識されると、ARアプリケーションの実行が開始され得る。例えば、表示制御部160は、認識部150により識別されたオブジェクトに関連する関連情報を情報取得部170に取得させる。そして、表示制御部160は、情報取得部170により取得された関連情報をディスプレイ上に表示させる。
【0051】
(8)関連情報DB
関連情報DB165は、ARアプリケーションのために表示される様々な情報を記憶するデータベースである。関連情報DB165において、個々の関連情報は、いずれかのオブジェクト又はいずれかのオブジェクトにより可視化される情報と関連付けられる。関連情報は、例えば、ARアプリケーションのためのアノテーションであってもよい。各アノテーションは、例えば、関連付けられているオブジェクトが入力画像内で識別された場合に、当該オブジェクトの周囲に配置され、入力画像に重畳され得る。また、関連情報は、関連付けられているオブジェクトを映すより高画質な画像を表現する画像情報であってもよい。例えば、入力画像に映るあるオブジェクトが識別されると、当該オブジェクトを映すより高画質な画像が入力画像の代わりにディスプレイ上に表示され得る。関連情報DB165は、画像処理装置100の位置に応じて動的に取得される関連情報を記憶してもよい。
【0052】
(9)情報取得部
情報取得部170は、認識部150により識別されるオブジェクトに関連する関連情報を、関連情報DB165又は外部のサーバから取得する。そして、情報取得部170は、取得した関連情報を表示制御部160へ出力し、ARアプリケーションのための表示処理を表示制御部160に実行させる。一例として、情報取得部170により取得される関連情報は、上述したアノテーション、画像情報又は通信部112を介してWebサイトから取得される情報を含み得る。
【0053】
図11は、本実施形態において表示され得る関連情報の第1の例について説明するための説明図である。図11の左において、画像処理装置100のディスプレイ上には、図7に例示した画像Im12が表示されている。画像Im12の標識D2は、画像Im12に映るオブジェクト12aの認識部150による識別が成功したことを示している。オブジェクト12aは、例えば東京駅に設置される掲示板である。情報取得部170は、オブジェクト12aの識別が成功すると、オブジェクト12aに関連する関連情報を取得する。そして、表示制御部160は、情報取得部170により取得された関連情報を入力画像に重畳する。図11の右において、画像Im13に関連情報A1が重畳されている。一例として、関連情報A1は、東京駅から発着する列車についての運行情報である。
【0054】
図12は、本実施形態において表示され得る関連情報の第2の例について説明するための説明図である。図12の左において、画像処理装置100のディスプレイ上には、図7に例示した画像Im12が再び表示されている。情報取得部170は、オブジェクト12aの識別が成功すると、オブジェクト12aのより高画質な画像を表現する画像情報を関連情報として取得する。そして、表示制御部160は、情報取得部170から入力される当該画像情報を用いて、入力画像の代わりにオブジェクト12aのより高画質な画像を表示する。図12の右において、画像処理装置100のディスプレイ上にオブジェクト12aのより高画質な画像Im14が表示されている。表示制御部160は、かかる画像Im14にさらに図11で例示したような関連情報を重畳してもよい。
【0055】
図13は、本実施形態において表示され得る関連情報の第3の例について説明するための説明図である。図13の左において、画像処理装置100のディスプレイ上には、オブジェクト12cを映した画像Im32が表示されている。画像Im31の標識D3は、オブジェクト12cの認識部150による識別が成功したことを示している。オブジェクト12cは、ある個人の人物情報を提供するWebページである。情報取得部170は、オブジェクト12cの識別が成功すると、オブジェクト12cに関連する関連情報を取得する。例えば、情報取得部170は、認識部150により識別された人物のWebページの送信を要求するHTTP(Hypertext Transfer Protocol)リクエストをソーシャルネットワーク用のWebサイトに送信し、オブジェクト12cと同じWebページを取得し得る。そして、表示制御部160は、情報取得部170により取得されたWebページを画像処理装置100のディスプレイ上に表示する。図13の右において、Webページの画像Im33が表示されている。
【0056】
なお、情報取得部170によりWebサイトから取得される情報は、Webページそのものではなくてもよい。例えば、レストラン情報を提供するWebサイトの個々のレストランのWebページが識別された場合に、当該レストランのためのクーポン情報が取得されてもよい。
【0057】
[2−3.処理の流れ]
図14は、本実施形態に係る画像処理装置100による画像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0058】
図14を参照すると、まず、画像取得部120は、撮像部102により生成される撮像画像を入力画像として取得する(ステップS102)。そして、画像取得部120は、取得した入力画像を、テンプレート照合部140、認識部150及び表示制御部160へ出力する。また、テンプレート取得部130は、画像処理装置100による画像処理に際して、テンプレートDB125により記憶される1つ以上のテンプレートを取得する(ステップS104)。そして、テンプレート取得部130は、取得したテンプレートをテンプレート照合部140へ出力する。
【0059】
次に、テンプレート照合部140は、画像取得部120から入力される入力画像を、テンプレート取得部130から入力されるテンプレートの各々と照合する(ステップS106)。そして、テンプレート照合部140は、照合結果を認識部150へ出力する。
【0060】
次に、認識部150は、テンプレート照合部140から入力される照合結果に基づいて、入力画像に適合したテンプレートが存在するかを判定する(ステップS108)。ここで、入力画像に適合したテンプレートが存在しない場合には、処理はステップS102へ戻り、次の入力画像が取得され得る。なお、ステップS104におけるテンプレートの取得は、次の繰り返しにおいて省略されてよい。
【0061】
ステップS108において、入力画像に適合したテンプレートが存在する場合には、認識部150は、適合した当該テンプレートに含まれるフィールドに関連付けられる情報を、入力画像から認識する(ステップS110)。ここでのフィールド認識処理について、後にさらに説明する。次に、認識部150は、テンプレートを用いて入力画像から認識された情報に基づいて、入力画像に映るオブジェクトを識別する(ステップS120)。そして、認識部150は、各フィールドについての認識結果及びオブジェクトの識別結果を表示制御部160へ出力する。
【0062】
次に、表示制御部160は、入力画像に映るオブジェクトが識別されたかを判定する(ステップS122)。ここで、入力画像に映るオブジェクトが識別されていない場合には、表示制御部160は、識別用フィールドについての認識が容易となるようにユーザを誘導する標識をディスプレイ上に表示し、オブジェクトの識別を支援する(ステップS124)。
【0063】
一方、入力画像に映るオブジェクトが識別された場合には、表示制御部160は、ARアプリケーションの実行の準備が整ったか否かを判定する(ステップS126)。例えば、識別用フィールド以外のフィールドの情報の認識が成功しなければARアプリケーションを実行できないような場合において、いずれかのフィールドの情報の認識が成功していなければ、ARアプリケーションの実行の準備は整っていないと判定され得る。その場合、表示制御部160は、識別用フィールド以外のフィールドについての認識が容易となるようにユーザを誘導する標識をディスプレイ上に表示する(ステップS128)。
【0064】
ステップS126において、ARアプリケーションの実行の準備が整っている場合には、ARアプリケーションが実行される(ステップS130)。例えば、識別されたオブジェクトに関連する関連情報が情報取得部170により取得され、取得された関連情報が表示制御部160によりディスプレイ上に表示される。
【0065】
図15は、図14のステップS110における認識部150によるフィールド認識処理の詳細な流れの一例を示すフローチャートである。
【0066】
図15のステップS112〜ステップS114の処理は、入力画像に適合したテンプレートに含まれる各フィールドについて繰り返される(ステップS111)。まず、認識部150は、各フィールドがテンプレートにおいてテキスト情報及び画像情報のいずれに関連付けられているかを判定する(ステップS112)。対象のフィールドがテキスト情報に関連付けられている場合には、認識部150は、当該フィールドに対応する部分画像にOCRを適用し、当該フィールドに関連付けられるテキスト情報を認識する(ステップS113)。一方、認識部150は、対象のフィールドが画像情報に関連付けられている場合には、当該フィールドに対応する部分画像を参照画像DB145に記憶されている既知画像と照合することにより、当該フィールドに関連付けられる情報を認識する(ステップS114)。
【0067】
入力画像に適合したテンプレートに含まれる各フィールドについてステップS112〜ステップS114の処理が終了すると、認識部150は、識別用フィールドについての認識が成功したか否かを判定する(ステップS115)。ここで、識別用フィールドについての認識が成功した場合には、認識部150は、さらに識別用フィールドから認識された情報に基づいて、入力画像に映るオブジェクトを識別する(ステップS116)。そして、認識部150は、各フィールドについての認識結果及びオブジェクトの識別結果を表示制御部160へ出力する。
【0068】
<3.まとめ>
ここまで、図1〜図15を用いて、本開示に係る技術の一実施形態について詳細に説明した。本実施形態によれば、実世界におけるオブジェクトの外観上の構造を表すテンプレートを用いて入力画像に映るオブジェクトが検出され、当該オブジェクト上で可視化される情報が上記テンプレートに含まれるフィールドごとに認識される。その際、少なくとも1つのフィールドについての認識の結果がディスプレイ上に表示されるため、ARアプリケーションが有効に動作するようにユーザが入力画像の見え方を調整することが可能となる。従って、ARアプリケーションが有益な情報をより確実にユーザに提供することができる。特に、オブジェクトの識別が成功したか否かだけでなく、その前提となる各フィールドについての認識の中間的な結果が表示されることで、ユーザはARアプリケーションによる画像処理を効果的に支援することができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、テンプレートは、オブジェクトを一意に識別可能な情報に関連付けられる識別用フィールドを含む。かかる構成によれば、共通的な外観上の構造を有し、その情報の内容のみが互いに異なる複数のオブジェクトについて、1つのテンプレートのみを用いてオブジェクトを識別することができる。従って、多数のオブジェクトを識別対象とする場合に、テンプレートの定義に要する負担が軽減されると共に、テンプレートのデータ量が過剰に増えることを回避することができる。そして、入力画像に適合するテンプレートの識別用フィールドについての認識が容易となるようにユーザが誘導される。従って、オブジェクトの識別がより成功し易くなることから、ARアプリケーションの恩恵(例えば、有益な情報の獲得など)をユーザが受ける機会を増加させることができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、テキスト情報に関連付けられるフィールドについては、当該フィールドの情報の認識のためにOCR技術が利用され得る。また、画像情報に関連付けられるフィールドについては、当該フィールドの情報の認識のために既知画像が利用され得る。このようなフィールドごとの認識手法の切り替えにより、多様なオブジェクトをテンプレートを用いて識別することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態によれば、実世界に存在する実オブジェクトの識別も、情報機器により表示される画像に相当する表示オブジェクトの識別も可能である。例えば、表示オブジェクトがWebページである場合には、テンプレートを用いたWebページの識別の結果に基づいて、入力画像に映るWebページ又は当該Webページに関連する情報を当該入力画像を撮像した装置において簡易に(即ち、URLの入力又はWebページの検索などの煩雑な操作を要することなく)取得することが可能となる。
【0072】
なお、上述した画像処理装置100の論理的機能の一部は、当該装置上に実装される代わりに、クラウドコンピューティング環境内に存在する装置上に実装されてもよい。その場合には、論理的機能の間でやり取りされる情報が、図2に例示した通信部112を介して装置間で送信され又は受信され得る。
【0073】
本明細書において説明した各装置による一連の制御処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記憶媒体に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、実行時にRAM(Random Access Memory)に読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。
【0074】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0075】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
実世界を映す入力画像を取得する画像取得部と、
前記実世界におけるオブジェクトの外観上の構造を表すテンプレートであって、当該オブジェクトにより可視化される情報に関連付けられる1つ以上のフィールドを含む前記テンプレートを取得するテンプレート取得部と、
前記入力画像を前記テンプレートと照合するテンプレート照合部と、
前記入力画像に前記テンプレートが適合する場合に、前記テンプレートに含まれる少なくとも1つのフィールドに関連付けられる情報を前記入力画像から認識する認識部と、
前記認識部による前記少なくとも1つのフィールドについての認識の結果をディスプレイ上に表示させる表示制御部と、
を備える画像処理装置。
(2)
前記認識部は、前記テンプレートを用いて前記入力画像から認識される情報に基づいて、前記入力画像に映るオブジェクトを識別し、
前記表示制御部は、前記認識部によるオブジェクトの識別をユーザに支援させるように、前記少なくとも1つのフィールドについての認識の結果を前記ディスプレイ上に表示させる、
前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
前記テンプレートは、前記オブジェクトを一意に識別可能な情報に関連付けられる識別用フィールドを含み、
前記表示制御部は、前記識別用フィールドについての認識が容易となるように前記ユーザを誘導する、
前記(2)に記載の画像処理装置。
(4)
前記表示制御部は、前記識別用フィールドに関連付けられる情報の認識が成功した場合には、前記識別用フィールド以外のフィールドについての認識が容易となるように前記ユーザを誘導する、前記(3)に記載の画像処理装置。
(5)
前記表示制御部は、関連付けられる情報の認識の成功又は失敗を表現する標識をフィールドごとに前記入力画像に重畳することにより、前記ユーザを誘導する、前記(3)又は前記(4)に記載の画像処理装置。
(6)
前記認識部は、テキスト情報に関連付けられるフィールドについて、OCR(Optical Character Recognition)を実行することにより当該フィールドに関連付けられる情報を認識する、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(7)
前記認識部は、画像情報に関連付けられるフィールドについて、当該フィールドに対応する前記入力画像の部分画像を既知の画像と照合することにより、当該フィールドに関連付けられる情報を認識する、前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(8)
前記テンプレートは、前記実世界に存在する実オブジェクトの外観上の構造を表す、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(9)
前記テンプレートは、前記実世界に存在する情報機器により表示される画像の可視的な構造を表す、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(10)
前記画像処理装置は、前記認識部により識別されるオブジェクトに関連する関連情報を取得する情報取得部、をさらに備え、
前記表示制御部は、前記入力画像に映るオブジェクトが前記認識部により識別された場合に、当該オブジェクトに関連する前記関連情報を前記ディスプレイ上に表示させる、
前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(11)
前記関連情報は、拡張現実のためのアノテーションである、前記(10)に記載の画像処理装置。
(12)
前記関連情報は、前記認識部により識別されたオブジェクトのより高画質な画像を表現する画像情報である、前記(10)に記載の画像処理装置。
(13)
前記テンプレートは、前記実世界に存在する情報機器により表示されるWebサイトの画像の可視的な構造を表し、
前記関連情報は、前記Webサイトから取得される情報である、
前記(10)に記載の画像処理装置。
(14)
前記画像取得部、前記テンプレート取得部、前記テンプレート照合部、前記認識部及び前記表示制御部のうち少なくとも1つが前記画像処理装置の代わりにクラウドコンピューティング環境上に存在する装置により実現される、前記(1)〜(13)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(15)
実世界を映す入力画像を取得することと、
前記実世界におけるオブジェクトの外観上の構造を表すテンプレートであって、当該オブジェクトにより可視化される情報に関連付けられる1つ以上のフィールドを含む前記テンプレートを取得することと、
前記入力画像を前記テンプレートと照合することと、
前記入力画像に前記テンプレートが適合する場合に、前記テンプレートに含まれる少なくとも1つのフィールドに関連付けられる情報を前記入力画像から認識することと、
前記少なくとも1つのフィールドについての認識の結果をディスプレイ上に表示させることと、
を含む画像処理方法。
(16)
画像処理装置を制御するコンピュータを、
実世界を映す入力画像を取得する画像取得部と、
前記実世界におけるオブジェクトの外観上の構造を表すテンプレートであって、当該オブジェクトにより可視化される情報に関連付けられる1つ以上のフィールドを含む前記テンプレートを取得するテンプレート取得部と、
前記入力画像を前記テンプレートと照合するテンプレート照合部と、
前記入力画像に前記テンプレートが適合する場合に、前記テンプレートに含まれる少なくとも1つのフィールドに関連付けられる情報を前記入力画像から認識する認識部と、
前記認識部による前記少なくとも1つのフィールドについての認識の結果をディスプレイ上に表示させる表示制御部と、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0076】
100 画像処理装置
120 画像取得部
130 テンプレート取得部
140 テンプレート照合部
150 認識部
160 表示制御部
170 情報取得部
T1,T2,T3 テンプレート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
実世界を映す入力画像を取得する画像取得部と、
前記実世界におけるオブジェクトの外観上の構造を表すテンプレートであって、当該オブジェクトにより可視化される情報に関連付けられる1つ以上のフィールドを含む前記テンプレートを取得するテンプレート取得部と、
前記入力画像を前記テンプレートと照合するテンプレート照合部と、
前記入力画像に前記テンプレートが適合する場合に、前記テンプレートに含まれる少なくとも1つのフィールドに関連付けられる情報を前記入力画像から認識する認識部と、
前記認識部による前記少なくとも1つのフィールドについての認識の結果をディスプレイ上に表示させる表示制御部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記認識部は、前記テンプレートを用いて前記入力画像から認識される情報に基づいて、前記入力画像に映るオブジェクトを識別し、
前記表示制御部は、前記認識部によるオブジェクトの識別をユーザに支援させるように、前記少なくとも1つのフィールドについての認識の結果を前記ディスプレイ上に表示させる、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記テンプレートは、前記オブジェクトを一意に識別可能な情報に関連付けられる識別用フィールドを含み、
前記表示制御部は、前記識別用フィールドについての認識が容易となるように前記ユーザを誘導する、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記識別用フィールドに関連付けられる情報の認識が成功した場合には、前記識別用フィールド以外のフィールドについての認識が容易となるように前記ユーザを誘導する、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、関連付けられる情報の認識の成功又は失敗を表現する標識をフィールドごとに前記入力画像に重畳することにより、前記ユーザを誘導する、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記認識部は、テキスト情報に関連付けられるフィールドについて、OCR(Optical Character Recognition)を実行することにより当該フィールドに関連付けられる情報を認識する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記認識部は、画像情報に関連付けられるフィールドについて、当該フィールドに対応する前記入力画像の部分画像を既知の画像と照合することにより、当該フィールドに関連付けられる情報を認識する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記テンプレートは、前記実世界に存在する実オブジェクトの外観上の構造を表す、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記テンプレートは、前記実世界に存在する情報機器により表示される画像の可視的な構造を表す、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画像処理装置は、前記認識部により識別されるオブジェクトに関連する関連情報を取得する情報取得部、をさらに備え、
前記表示制御部は、前記入力画像に映るオブジェクトが前記認識部により識別された場合に、当該オブジェクトに関連する前記関連情報を前記ディスプレイ上に表示させる、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記関連情報は、拡張現実のためのアノテーションである、請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記関連情報は、前記認識部により識別されたオブジェクトのより高画質な画像を表現する画像情報である、請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記テンプレートは、前記実世界に存在する情報機器により表示されるWebサイトの画像の可視的な構造を表し、
前記関連情報は、前記Webサイトから取得される情報である、
請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記画像取得部、前記テンプレート取得部、前記テンプレート照合部、前記認識部及び前記表示制御部のうち少なくとも1つが前記画像処理装置の代わりにクラウドコンピューティング環境上に存在する装置により実現される、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項15】
実世界を映す入力画像を取得することと、
前記実世界におけるオブジェクトの外観上の構造を表すテンプレートであって、当該オブジェクトにより可視化される情報に関連付けられる1つ以上のフィールドを含む前記テンプレートを取得することと、
前記入力画像を前記テンプレートと照合することと、
前記入力画像に前記テンプレートが適合する場合に、前記テンプレートに含まれる少なくとも1つのフィールドに関連付けられる情報を前記入力画像から認識することと、
前記少なくとも1つのフィールドについての認識の結果をディスプレイ上に表示させることと、
を含む画像処理方法。
【請求項16】
画像処理装置を制御するコンピュータを、
実世界を映す入力画像を取得する画像取得部と、
前記実世界におけるオブジェクトの外観上の構造を表すテンプレートであって、当該オブジェクトにより可視化される情報に関連付けられる1つ以上のフィールドを含む前記テンプレートを取得するテンプレート取得部と、
前記入力画像を前記テンプレートと照合するテンプレート照合部と、
前記入力画像に前記テンプレートが適合する場合に、前記テンプレートに含まれる少なくとも1つのフィールドに関連付けられる情報を前記入力画像から認識する認識部と、
前記認識部による前記少なくとも1つのフィールドについての認識の結果をディスプレイ上に表示させる表示制御部と、
として機能させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−80326(P2013−80326A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219203(P2011−219203)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】