説明

画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体

【課題】本発明は、複数の画像処理モジュールにおける画像データに対する画像処理での異常の有無判定を適切に行う。
【解決手段】画像形成装置の画像処理ASICの搭載する各画像処理モジュール17a〜17nは、そのハッシュ計算部23が、入力される画像データから特徴量を生成するとともに、特徴量読み出し部22が、各画像処理モジュール17a〜17nに入力される画像データから該画像データに付加されている特徴量を読み取る。そして、比較部25が、ハッシュ計算部23の生成した特徴量と特徴量読み出し部22が読み取った特徴量を比較して、入力画像データの異常有無を判定し、異常無しと判定すると、ハッシュ計算部27が画像処理部26で画像処理された画像データから特徴量を生成して、特徴量付加部29が、画像処理後の該画像データに該特徴量を付加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関し、詳細には、複数の画像処理モジュールにおける画像データに対する画像処理での異常の有無判定を適切に行うマイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
複合装置、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ装置及びコンピュータ等の画像データの処理を行う画像処理装置においては、高機能化に伴って、搭載するソフトウェア及びハードウェア構成が大規模かつ複雑化し、問題が発生した場合の原因の究明が困難となってきているが、市場の要求にタイムリーに対応するためには、早急な原因究明が求められる。
【0003】
画像処理装置には、近時、高機能な画像処理用の半導体集積回路、例えば、ASICが搭載され、ASICは、内部に複数の画像処理モジュールを搭載して、これらの複数のモジュールで画像処理した画像データを外部に出力する。
【0004】
ところが、従来のASICは、入力画像データと出力画像データの状態のみが分かるだけで、ASIC内部での処理途中の画像データの状態を把握することができない。その結果、意図する画像データが出力されない場合に、ASIC内部のどの画像処理モジュールの処理段階で問題が発生しているのかを把握することができない。
【0005】
また、従来、異常画像発生時の原因箇所の特定に関して、画像処理モジュール毎にCRCを算出し、予め算出して用意されている算出結果の値と比較することで、不具合箇所の特定を行う方法がある。
【0006】
ところが、この従来技術にあっては、元画像データに対する各画像処理モジュール毎の算出結果を予め用意する必要があり、テストパターン等の決まった画像データにおいてでないと、異常画像発生原因箇所を確認することができない。その結果、実際の画像形成装置等の機器での一般画像を処理する場合に異常画像が発生しても対応することができないという問題があった。
【0007】
そして、従来、複数の画像処理手段の間の画像パスを転送される画像データのうち、指定された画像処理手段間の画像パスを流れる画像データを、デバッグ専用のバスを用いて取り出してデバッグする技術が提案されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術にあっては、複数の画像パスのうち指定された画像パスを流れる画像データを、デバッグ専用バスを用いて取り出してデバッグしているため、ASIC等の半導体集積回路で構成される画像処理装置に、デバッグ専用のインターフェイスを実装する必要があるとともに、複数個所のデータ値を比較してデバッグすることができず、デバッグ専用のインターフェイスを用いることなく、より高精度で利用性の高いデバッグ行う上で、改良の必要があるとともに、なお、テストパターン等の決まった画像でしか確認することができず、実機での一般画像を印刷する場合に異常画像が発生した時には対応できない、という問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、専用のデバッグインターフェイスを用いることなく、画像処理の各モジュールにおいてリアルタイムで異常画像データの発生の有無を確認して、デバッグを高精度に、かつ、効率的に行うことのできる画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、入力画像データに対して適宜の順序で画像処理を施す各画像処理モジュールに入力される画像データから特徴量を生成するとともに、該各画像処理モジュールに入力される画像データから該画像データに付加されている特徴量を読み取って、生成された該特徴量と読み取られた該特徴量を比較して、入力画像データの異常有無を判定し、異常無しと判定すると、画像処理後の画像データから特徴量を生成して、画像処理後の該画像データに該特徴量を付加することを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、画像データに異常有りと判定すると、異常発生を通知する信号を外部に出力することを特徴としてもよい。
【0012】
さらに、本発明は、画像処理前の画像データから生成した前記特徴量をそれぞれ保持することを特徴としてもよい。
【0013】
また、本発明は、前記特徴量が、前記画像データに関するハッシュ値であることを特徴としてもよい。
【0014】
さらに、本発明は、画像データに異常有りと判定すると、該画像データを白データまたは該異常画像データが入力された前記画像処理モジュールを特定するパターンデータに置き換えることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、専用のデバッグインターフェイスを用いることなく、画像処理の各モジュールにおいてリアルタイムで異常画像データの発生の有無を確認することができ、デバッグを高精度に、かつ、効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例を適用した画像形成装置の要部ブロック構成図。
【図2】画像処理ASICのブロック構成図。
【図3】画像処理モジュールのブロック構成図。
【図4】ハッシュ計算部のブロック構成図。
【図5】画像形成装置におけるデータ処理の流れを示す図。
【図6】有効領域計算部による画像データの有効領域計算処理を示すフローチャート。
【図7】データフォーマット及び有効領域計算部における結果判定タイミングを示す図。
【図8】結果判定処理を示すフローチャート。
【図9】チェックパターンで異常判定する場合の画像処理モジュールのブロック構成図。
【図10】有効データに付加するチェックパターンの例を示す図。
【図11】チェックパターンで異常判定する場合の画像形成装置におけるデータ処理の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0018】
図1〜図11は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の一実施例を適用した画像形成装置1の要部ブロック構成図である。
【0019】
図1において、画像形成装置1は、画像読み取り部2、画像処理ASIC(Application Specific Integrated Circuit)3、ハードディスク(HDD)4、メモリ制御部5、CPU(Central Processing Unit)6、外部I/F7、メモリ8及び画像書き込み部9等を備えている。
【0020】
画像読み取り部2は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor:密着イメージセンサ)を利用したラインイメージセンサ等が用いられており、一般にADF(Auto Document Feeder)を備えている。ADFには、複数枚の原稿がセットされ、ADFは、セットされた原稿を1枚ずつ画像読み取り部2の原稿読取位置に送給する。画像読み取り部2は、ADFから搬送されてきた原稿を走査し、原稿の画像を所定の解像度で読み取って、デジタル変換した後、RGB(R:レッド、G:グリーン、B:ブルー)の画像データとして画像処理ASIC3に出力する。
【0021】
画像処理ASIC(画像処理装置)3は、後述するように、複数の画像処理モジュールを搭載しており、画像読み取り部2から送られてくる原稿の画像データ及び図示しないネットワークI/Fを介してコンピュータの外部装置から受け取った画像データに対して各種画像処理、例えば、画像の補正処理、画像書き込み部9で画像形成に必要な階調処理、画像加工処理(変倍処理、回転処理、編集処理等)、画像の圧縮/伸長制御処理及びハードディスク4への画像データの書き込みと読み出しを行うHDD制御等を行う。
【0022】
ハードディスク4は、画像データを圧縮した符号データやログデータ及び画像形成装置1のプログラム等が格納される。
【0023】
メモリ制御部5は、メモリ8への画像データやその他のデータ等の書き込み(ライト)/読み出し(リード)の制御を行う。
【0024】
メモリ8は、RAM(Random Access Memory)等で構成され、圧縮前の画像データの一時保存、圧縮された画像データである符号データの一時保存、プログラムの一時保存及びCPU6のワークメモリ等として用いられる。
【0025】
CPU6は、ハードディスク4や図示しないROM(Read Only Memory)に格納されているプログラムをRAM8に展開して、該プログラムに基づいてRAM8をワークメモリとして利用して画像形成装置1の全体を制御して、画像形成装置1としての基本処理を実行するとともに、本発明の画像処理ASICの各画像処理モジュールにおける異常画像の発生の有無をリアルタイムに確認する画像処理方法を実行する。
【0026】
すなわち、画像形成装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の画像処理方法を実行するデバッグプログラムを読み込んでROMやハードディスク4等に導入することで、後述する画像処理ASIC3の各画像処理モジュールにおける異常画像の発生の有無をリアルタイムに確認する画像処理方法を実行する画像処理装置を搭載する画像形成装置1として構築されている。このデバッグプログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0027】
外部I/F7は、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続されており、CPU6の制御下で、ネットワークに接続されたコンピュータ等の外部装置との間で信号及びデータの授受を行う。
【0028】
画像書き込み部9は、例えば、電子写真方式の光書き込み部であり、画像処理ASIC3から送られてくる画像データ及び制御信号に基づいて変調したレーザ光をLD(Laser Diode)から感光体に出射して該感光体に静電潜像を形成する。すなわち、画像書き込み部9は、例えば、電子写真方式のプロッタの光書き込み部であり、プロッタは、光書き込み部以外に、電子写真方式で用紙に画像形成するのに必要な各部を備えている。なお、プロッタ、すなわち、画像書き込み部9としては、電子写真方式に限るものではなく、他の画像形成方式のもの、例えば、サーマル素子を備えたサーマル記録装置、あるいは、インク噴射式記録装置等であってもよい。
【0029】
そして、上記画像処理ASIC3は、図2に示すように、I/F(インターフェイス)11、特徴量読み出し部12、ハッシュ計算部13、結果保持レジスタ14、比較部15、割り込み制御部16、複数の画像処理モジュール17a〜17n及びI/F18等を搭載している。なお、図2では、複数の画像処理モジュール17a〜17nが直列に接続されている状態で示されているが、画像処理モジュール17a〜17nは、並列に接続または直列と並列が組み合わされた状態で適宜接続されていてもよい。
【0030】
画像処理ASIC3には、画像読取り部2、ハードディスク4及びメモリ制御部5から画像データや符号データが入力され、画像処理ASIC3は、画像処理モジュール17a〜17nで画像処理した画像データまたは符号データをメモリ制御部5や画像書き込み部9に出力する。
【0031】
I/F11、特徴量読み出し部12及びハッシュ計算部13には、画像読取り部2、ハードディスク4及びメモリ制御部5から画像データや符号データが入力され、I/F11は、入力された画像データや符号データを画像処理モジュール17a〜17nに出力する。この画像データや符号データには、有効データとともに、特徴量データが含まれている。
【0032】
特徴量読み出し部(基本特徴量読み出し手段)12は、画像データや符号データから有効データとともに送られてきた特徴量データを抽出し、比較部15に出力する。
【0033】
ハッシュ計算部(基本特徴量生成手段)13は、画像処理ASIC3内に直列または並列接続されて搭載されている画像処理モジュール17a〜17nのうち最初に画像データの入力される画像処理モジュール17a〜17nと前段のデバイスとの間に接続され、前段のデバイスから入力される画像データの有効データからハッシュ値を計算(生成)して、計算結果を結果保存レジスタ14に保管させる。
【0034】
結果保存レジスタ14は、ハッシュ計算部13の計算した有効データのハッシュ値を保管し、比較部15及びCPU6によってリードされる。
【0035】
比較部(基本判定手段)15は、特徴量読み出し部12の読み出した特徴量とハッシュ計算部13の計算したハッシュ値を比較することで画像データの異常発生の有無を判定して、比較結果(判定結果)を割り込み制御部16に出力する。
【0036】
割り込み制御部(通知手段)16は、比較部15の比較結果が不一致であると、異常検知(エラー)を通知する割り込み信号を画像処理ASIC3の外部のCPU6に出力し、CPU6は、割り込み信号によって画像データの異常発生を認識して、予め設定されている異常対応処理(例えば、印刷停止、異常発生の操作パネルへの表示、画像データの所定データへの変換等)を行う。
【0037】
上記画像処理モジュール17a〜17nは、図3に示すようにブロック構成されており、特徴量除去部21、特徴量読み出し部22、ハッシュ計算部23、結果保存レジスタ24、比較部25、画像処理部26、ハッシュ計算部27、結果保存レジスタ28及び特徴量付加部29等を備えている。画像処理モジュール17a〜17nの特徴量除去部21及びハッシュ計算部23には、前段の画像処理モジュール17a〜17nまたは外部から特徴量データを含む有効データである画像データまたは符号データが入力される。
【0038】
特徴量除去部(除去手段)21は、画像データまたは符号データから特徴量を除去して、有効データのみを画像処理部26に出力し、除去した特徴量データを特徴量読み出し部22に出力する。
【0039】
特徴量読み出し部(特徴量読み出し手段)22は、特徴量除去部21の除去した特徴量データを読み出して、比較部25に出力する。
【0040】
ハッシュ計算部(処理前特徴量生成手段)23は、画像データまたは符号データから有効データのハッシュ値を計算(生成)し、計算結果を結果保存レジスタ24に出力する。
【0041】
結果保存レジスタ(保持手段)24は、ハッシュ計算部23の計算した有効データのハッシュ値を保管し、比較部25及びCPU6によって読み出される。
【0042】
比較部(判定手段)25は、特徴量読み出し部22の読み出した特徴量とハッシュ計算部23の計算したハッシュ値を比較することで画像データの異常発生の有無を判定し、比較結果が異なると、異常検知を示す割り込み信号を割り込み制御部16及び特徴量付加部29に出力する。割り込み制御部16は、比較部25から割り込み信号が入力されると、画像処理ASIC3外のCPU6に異常検知を示す割り込み信号を出力する。
【0043】
画像処理部26は、CPU6によって設定されたレジスタ値に応じて特徴量除去部21から入力される有効データに対して画像処理を施して、画像処理後の有効データを特徴量付加部29及びハッシュ計算部27に出力する。
【0044】
ハッシュ計算部(処理後特徴量生成手段)27は、画像処理部26が画像処理した有効データのハッシュ値を計算(生成)して、計算結果を結果保存レジスタ28に保管させるとともに、特徴量付加部29に出力する。
【0045】
結果保存レジスタ14は、ハッシュ計算部13の計算した画像処理後の有効データのハッシュ値を保管し、CPU6によって読み出される。
【0046】
特徴量付加部(付加手段)29は、画像処理部26の画像処理した有効データにハッシュ計算部27の計算したハッシュ値を特徴量として付加して、後段の画像処理モジュール17b〜17nあるいは画像書き込み部9またはメモリ制御部5に出力する。
【0047】
なお、画像形成装置1は、画像書き込み部9で特徴量を削除して有効データのみを用いてプロッタで用紙に印刷出力する。また、画像形成装置1は、画像データを外部I/F7を介して外部装置に送信する場合には、CPU6が、画像データをJPEG(Joint Picture Engineering Group)やTIFF(Tagged Image File Format)等に変換する際に、画像データから特徴量を削除して、有効データのみをJPEGやTIFFに変換して外部装置に送信する。
【0048】
そして、上記ハッシュ計算部13、23、27は、図4に示すようにブロック構成されており、有効領域計算部31とCRC(Cyclic Redundancy Check)部32を備えている。
【0049】
ハッシュ計算部13、23、27には、クロック、ライン同期信号MFlag[1]、画像終端信号MFlag[0]、画像データSData、データ制御信号MCmd、データサイズdata_size、リセット信号reset及びデータリセット選択信号clearmodeが入力され、これらの信号のうち、画像データSData以外のクロック、ライン同期信号MFlag[1]、画像終端信号MFlag[0]、データ制御信号MCmd、データサイズdata_size、リセット信号reset及びデータリセット選択信号clearmodeが有効領域計算部31に入力される。
【0050】
有効領域計算部31は、入力される上記信号、すなわち、パラメータとコマンドから、計算対象領域信号Validとリセット信号Clrを生成して、CRC部32に出力する。
【0051】
CRC部32は、有効領域計算部31からの計算対象領域信号Validとリセット信号Clrの他に、クロック、画像データSData及びデータ制御信号MCmdが入力され、これらの信号と画像データSDataに基づいて、ハッシュ値としてCRC32ビット符号を生成する。すなわち、CRC部3は、計算対象領域信号Valid、データ制御信号MCmd、画像データSData、クロック及びリセット信号Clrを入力信号として、計算対象領域信号Validがアサートされている状態で、データSDataが入力されると、入力されたデータ列のCRC32符合を生成し、生成結果を結果保存レジスタ14、24、28に蓄積する。ハッシュ計算部13、23、27は、リセット信号resetがアサートされると、CRC部32で保持されているデータがクリアされる。
【0052】
結果保存レジスタ(特徴量保持手段)14、24、28は、ハッシュ計算部13、23、27の外部にあり、CRC部32と接続されて、CRC部32から出力されたCRC32符合を保持する。
【0053】
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例の画像形成装置1は、画像処理ASIC3の各画像処理モジュール17a〜17nに入力される画像データの異常発生の有無をリアルタイムで確認して、デバッグを可能とする。
【0054】
すなわち、画像形成装置1は、図5に示すように、画像読み取り部2で読み取った原稿の画像データを、画像処理ASIC3に送り、画像処理ASIC3が、スキャナ画像処理として、シェーディング補正処理、プリンタ補正処理及び色補正処理等を行って、メモリ制御部5を介してメモリ8に一時保管する。画像形成装置1は、メモリ8に一時保管した画像データを、ジャム発生時のバックアップ等としてハードディスク4に蓄積するために、メモリ制御部5を介してメモリ8から画像処理ASIC3に読み出して、画像処理ASIC3の画像処理モジュール17a〜17nの1つを圧縮器として機能させて所定の圧縮方式で符号データとして圧縮し、メモリ制御部5を介してメモリ8に再度保管して、さらに、画像処理ASIC3の画像処理モジュール17a〜17nの1つをハードディスクコントローラ(HDC)として機能させて、メモリ制御部5を介してメモリ8から符号データを読み出して、ハードディスク4に蓄積する。
【0055】
また、画像形成装置1は、外部装置からプリントデータが送られてくるときには、外部I/F7を介してプリントデータを受信し、CPU6がプリントデータを翻訳して、メモリ制御部5を介してメモリ8に描画データとして保存する。画像形成装置1は、画像処理モジュール17a〜17nの1つを、圧縮器として機能させて、メモリ8に保存した画像データを、メモリ5を介して画像処理ASIC3に送って、所定の圧縮方式で符号データとして圧縮し、メモリ制御部5を介してメモリ8に再度保管して、さらに、画像処理ASIC3の画像処理モジュール17a〜17nの1つをハードディスクコントローラ(HDC)として機能させて、メモリ制御部5を介してメモリ8から符号データを読み出して、ハードディスク4に蓄積する。
【0056】
画像形成装置1は、ハードディスク4に蓄積した符号データを画像書き込み部9を使用してプロッタにより用紙に印刷する場合には、画像処理モジュール17a〜17nの1つを、ハードディスクコントローラ(HDC)として機能させて、ハードディスク4から符号データを読み出して、メモリ制御部5を介してメモリ8に一時保管し、画像処理モジュール17a〜17nの1つを、伸長器として機能させて、メモリ8に保管した符号データを画像データに復号(伸長)して、再度、メモリ8に一時保管する。
【0057】
画像形成装置1は、伸長した画像データに対して回転等の画像処理を施すときには、画像処理モジュール17a〜17nの1つを、施す画像処理を実行する機能モジュール、例えば、回転器として機能させて、メモリ制御部5を介してメモリ8の画像データを読み出して、回転等の画像処理を施して、再度、メモリ8に一時保管する。
【0058】
画像形成装置1は、必要な画像処理を施すと、画像処理モジュール17a〜17nの1つを、プロッタ画像処理器として機能させ、メモリ8の画像データを、メモリ制御部5を介して画像処理ASIC3に読み出して、プロッタ画像処理器によって、階調処理やγ補正等のプロッタで印刷処理を行うのに必要な画像処理を行った後、画像書き込み部9に出力する。画像書き込み部9は、画像処理ASIC3から送られてくる画像データ及び制御信号に基づいて変調したレーザ光をLDからプロッタの感光体に出射して該感光体に静電潜像を形成し、プロッタは、感光体上の静電潜像のトナーによる現像、トナー画像の用紙への転写、用紙に転写されたトナー画像の用紙への定着処理等を順次行って用紙に画像を形成する。
【0059】
また、画像形成装置1は、ハードディスク4に蓄積した符号データを外部I/F7を使用して外部装置に転送する場合には、ハードディスク4内に蓄積されている符号データを画像処理ASIC3の画像処理モジュール17a〜17nの1つを、ハードディスクコントローラ(HDC)として機能させて、ハードディスク4から符号データを読み出し、メモリ制御部5を介してメモリ8に一時保管する。画像形成装置1は、画像処理モジュール17a〜17nの1つを、伸長器として機能させて、メモリ8に保管した符号データを画像データに復号(伸長)して、再度、メモリ8に一時保管する。
【0060】
画像形成装置1は、メモリ8の画像データをメモリ制御部5を介してCPU6に送り、CPU6が、画像データから特徴量を削除して、有効データのみに必要な画像変換(例えば、JPEGやTIFF)等を行った後、外部I/F7を介して外部装置に送信する。
【0061】
画像形成装置は、上述のように、画像処理ASIC3の各画像処理モジュール17a〜17nが、種々のモジュールやデバイスと接続されて、種々のデータ処理を行うが、この画像処理において、異常画像が発生することがある。ところが、従来、この異常画像の発生をリアルタイムに検出して、発生原因が、ソフトウェアによる設定ミスであるのか、画像処理のアルゴリズムの不具合によるものであるのか、外来ノイズによる画像転送異常によるものであるのか等の原因箇所を特定することが困難であった。また、大量に印刷している途中で異常画像が発生した場合、異常画像の印刷された用紙が印刷物に混入し、画像形成装置1の信頼性を損なう原因ともなる。
【0062】
そこで、本実施例の画像形成装置1は、画像処理ASIC3に、特徴量読み出し部12、ハッシュ計算部13、比較部15を設けて、画像処理ASIC3の外部から有効データとともに送られてくる特徴量データに基づいて異常判定を行い、異常有りと判定すると、割り込み制御部16に割り込み信号を発生させて、CPU6に通知する。また、画像処理ASIC3の各画像処理モジュール17a〜17nは、特徴量読み出し部22、ハッシュ計算部23及び比較部25を備えて、画像処理モジュール17a〜17nに有効データとともに送られてくる特徴量データに基づいて異常判定を行い、異常有りと判定すると、割り込み制御部16に割り込み信号を送って、割り込み制御部16からCPU6に割り込み信号を出力させる。さらに、画像処理ASIC3の各画像処理モジュール17a〜17nは、特徴量除去部21、ハッシュ計算部27及び特徴量付加部29を備え、特徴量データの付加された有効データから有効データのみを取り出して、必要な画像処理を行うとともに、画像処理後の画像データにハッシュ計算部27が生成(計算)した特徴量を付加して、次段に出力している。
【0063】
そして、ハッシュ計算部13、23、27は、有効領域計算部31とCRC部32を備えており、有効領域計算部31が、パラメータとコマンドからCRC部32の計算対象領域信号Validとリセット信号Clrを生成して、CRC部32に出力する。CRC部32は、有効領域計算部31からの計算対象領域信号Validとリセット信号Clr及びデータ制御信号MCmd、画像データSData、クロックを入力信号として、計算対象領域信号Validがアサートされている状態で、データSDataが入力されると、入力されたデータ列のCRC32符合を生成し、生成結果を結果保存レジスタ14、24、28に蓄積する。ハッシュ計算部13、23、27は、リセット信号resetがアサートされると、CRC部32で保持されているデータがクリアされる。
【0064】
このハッシュ計算部13、23、27の有効領域計算部31の動作処理フローは、図6のように示すことができ、有効領域計算部31は、動作を開始すると、まず、データカウンタxに「0」を設定して(ステップS101)、データ制御信号MCmdがライトコマンドであるかチェックする(ステップS102)。すなわち、有効領域計算部31は、OCP(Open Core Protocol)によるデータ制御信号MCmdが「WRコマンド」(ライトコマンド)を送出することをトリガとして動作を開始する。
【0065】
有効領域計算部31は、ステップS102で、データ制御信号MCmdがアイドル状態であると、再度、データ制御信号MCmdがライトコマンドであるかチェックする処理を繰り返し行い、データ制御信号MCmdがライトコマンドになると、計算対象領域信号Validをアサート状態として、データカウンタxをカウントアップして、データカウンタxが、転送データサイズ−4(data_size−4)を超えたかチェックする(ステップS103)。すなわち、送られてくる転送データには、図7(a)に示すように、特徴量データとして4byte分のデータが含まれているため、有効データサイズは、転送データ(画像データまたは符号データ)から特徴量データ(4byte)分だけ減算(−4)する。
【0066】
ステップS103で、データカウンタxが、転送データサイズ−4(data_size−4)未満であると、有効領域計算部31は、計算対象領域信号Validを「true」にして(ステップS104)、データカウンタxをインクリメント(x=x+1)し(ステップS105)、ライン同期信号MFlag[1]がeol(End of Line)であるか、画像終端信号MFlag[0]がeofであるかチェックする(ステップS106)。
【0067】
また、ステップS103で、データカウンタxが、転送データサイズ−4(data_size−4)以上であると、有効領域計算部31は、計算対象領域信号Validを「false」にして(ステップS107)、ライン同期信号MFlag[1]がeol(End of Line)であるかチェックする(ステップS106)。
【0068】
そして、ステップS106で、ライン同期信号MFlag[1]がeolでないときには、有効領域計算部31は、ステップS101に戻って、上記同様に処理し(ステップS101〜S107)、ステップS106で、ライン同期信号MFlag[1]がeolであると、画像終端信号MFlag[0]がeofであるかチェックする(ステップS108)。
【0069】
ステップS108で、画像終端信号MFlag[0]がeofでないときには、有効領域計算部31は、ステップS101に戻って、上記同様に処理し(ステップS101〜S108)、ステップS108で、画像終端信号MFlag[0]がeofであると、データリセット選択信号clearmodeが「1」であるかチェックする(ステップS109)。
【0070】
ステップS109で、データリセット選択信号clearmodeが「1」でないときには、有効領域計算部31は、ステップS101に戻って、上記同様に処理し(ステップS101〜S109)、ステップS109で、データリセット選択信号clearmodeが「1」であると、CRC部32へのリセット信号resetをアサートして、ステップS101に戻って、上記同様に処理する(ステップS101〜S110)。すなわち、有効領域計算部31は、ステップS106、S108〜S110において、ライン同期信号MFlag[1]がアサートされているか、または、画像終端信号MFlag[0]がアサートされていると、データカウンタxをリセットするが、ライン同期信号MFlag[1]及び画像終端信号MFlag[0]がアサートされておらず、データリセット選択信号clearmodeが「1」であると、CRC部32へリセット信号resetのパルスを送出して、データカウンタxをリセットする。
【0071】
すなわち、前段から送られてくる転送データ(画像データまたは符号データ)は、図7(a)に示したように、有効データに4byteの特徴量データが付加されて、外部デバイス間、画像処理モジュール17a〜17n間及び画像処理モジュール17n−I/F18間で送受信される。ここで、設定される転送データサイズ(data_size)の種類は、ライン単位のデータサイズ(ライン処理される場合:画像データ等)、ページ単位のデータサイズ(符号データ等)及びブロック単位のデータサイズ(分割された符号データ、ハードディスク4への転送データ等)となる。そして、図7(b)に示すように、CRC32符号は、転送単位中の計算対象領域信号Validがネゲートで確定し、特徴量データの抽出は、転送単位中のchar_wind信号(特徴量読み出し用信号)のネゲートで確定する。さらに、有効領域計算部31は、特徴量の比較を、転送単位中のデータの画像終端信号MFlag[0](eof信号)またはライン同期信号MFlag[1](eol信号)のネゲートタイミングで実行し、比較結果を割り込み信号として割り込み制御部16に通知する。
【0072】
そして、画像処理モジュール17a〜17nは、図8に示すように検査処理を行うが、画像処理ASIC3においても同様であるため、画像処理モジュール17a〜17nでの処理として以下説明する。すなわち、画像処理モジュール17a〜17nは、図8に示すように、ハッシュ計算部23がCRC32符号を生成すると(ステップS201)、比較部25が、特徴量読み出し部22から特徴量データの読み出しを行い(ステップS202)、ハッシュ計算部23が計算して結果保存レジスタ24に保存されているCRC32符号と特徴量データが一致するかチェックする(ステップS203)。
【0073】
ステップS203で、CRC32符号と特徴量データが一致するときには、比較部25は、異常が発生していないとして、CRC32符号をクリアして(ステップS204)、ステップS201に戻って、上記同様の処理を行う(ステップS201〜S204)。
【0074】
ステップS203で、CRC32符号と特徴量データが異なるときには、異常が発生したとして、割り込み制御部16にError(エラー)割り込みを発生し(ステップS205)、画像形成装置1が、予め設定されている異常対応処理を実行する(ステップS206)。
【0075】
そして、このError割り込み発生後の異常対応処理としては、例えば、操作パネル上へのエラー表示、印刷処理の停止、画像データの送信停止、画像読み取り部2による原稿の読み取り停止、操作パネルへのエラー箇所の表示、エラー情報のハードディスク4への保存、トナー消費量を抑制するとともに、エラー発生したタイミングを目視確認可能とするためにエラー発生時点以降の画像データの白データへの置き換え及びエラーが発生した画像処理モジュール17a〜17nを目視確認できるようにするためにエラー発生時点以降の画像データの画像処理モジュール17a〜17n特有のパターンへの置き換え処理等を行う。この場合、画像データの置き換え処理は、CPU6の制御下で、各画像処理モジュール17a〜17nの特徴量付加部29が行う。
【0076】
なお、上記説明においては、画像データの異常発生の有無判定を、CRC32符号を用いて行っているが、異常発生有無判定は、CRC32符号を用いる方法に限るものではなく、例えば、画像処理モジュール17a〜17nに、図9に示すように、パターン読み出し部41、比較部42、結果保存レジスタ43及びMUX(multiplexer)44等を搭載して、予め設定したチェックパターンを用いて画像データの異常発生の有無を判定するようにしてもよい。
【0077】
すなわち、図9において、画像処理モジュール17a〜17nには、前段のデバイスや画像処理モジュール17a〜17n-1から、図10に示すように、有効データDaにチェックパターンPtの付加された画像データDgが画像処理部26及びパターン読み出し部41に入力される。
【0078】
このチェックパターンPtは、例えば、図10に示すように、主走査方向に白4byteと黒4byteからなるパターン等を用いることができ、図10(a)に示すように、有効データDaの主走査方向の後端に付加、または、図10(b)に示すように、有効データDaの主走査方向の前端に付加される。ただし、白黒のチェックパターンPtを付加する場合、画像処理の影響を防止するために、有効データDaに近いほうに、白パターンを配置し、有効データDaから遠い方に黒パターンを配置する。
【0079】
なお、パターンサイズは、画像形成装置1のバス幅等によって設定することができ、図10では、データバス幅が64bit幅であるとして、白黒4byteとした場合のチェックパターンPtが示されており、データバス幅が128bit幅であると、白8byte+黒8byteのチェックパターンPtとなる。
【0080】
画像処理部26は、有効データDaにチェックパターンPtが付加された画像データDgが入力されるが、これらの有効データDaとチェックパターンPtを区別することなく、全ての領域の画像データDgに対して画像処理を施して、MUX44に出力し、チェックパターンPtに関しては、印刷処理を行う場合には、画像書き込み部9において、転送処理を行う場合には、CPU6において、それぞれチェックパターンPtを削除する。
【0081】
検出パターン設定レジスタ33は、有効データDaに付加されるチェックパターンPtがCPU6によって設定され、比較部42に出力する。
【0082】
パターン読み出し部41は、入力される画像データDgからチェックパターンPtを読み出して、比較部42に出力し、比較部42は、パターン読み出し部41からのチェックパターンPtと検出パターン設定レジスタ33からのチェックパターンPtを比較して、不一致の場合に、割り込み制御部16及びMUX44に割り込み信号を出力してエラー通知する。
【0083】
MUX44は、比較部42から割り込み信号でエラー通知があると、画像処理部26から入力される画像データDgを白データや画像処理モジュール17a〜17nを特定可能なモジュール特定のパターンデータに置き換えて次段に出力する。
【0084】
なお、図9においては、画像処理を行う画像処理モジュール17a〜17nのうち、例えば、圧縮器の入力画像データ、回転器の入出力画像データ、伸長器の出力画像データ、画像編集器の入出力画像データ及びプロッタ用画像処理器の入出力画像データに対しては、チェックパターンPtに基づく異常発生の有無判定を行うが、符号データを扱うモジュールに関してはチェックパターンPtそのものも符号化されるため、対象外とする。
【0085】
そして、このようにチェックパターンPtを用いる場合、画像形成装置1は、図11に示すように、画像データ(有効データ)DgにチェックパターンPtを付加して、このチェックパターンPtを付加した画像データDgを画像処理対象として画像処理して、チェックパターンPtが基準のチェックパターンPtと一致するか否かで異常発生の有無を判定する。なお、図11は、外部装置から送られてきたプリントデータを画像処理して印刷する場合の処理流れを示していて、以下の説明では、外部装置から送られてきたプリントデータを画像処理して印刷する場合について説明するが、画像読み取り部2で読み取った原稿の画像データの場合にも同様に適用することができる。
【0086】
すなわち、画像形成装置1は、図11に示すように、外部装置から送られてきたプリントデータを、外部I/F7で受信し、CPU6がプリントデータを翻訳して、メモリ制御部5を介してメモリ8に描画データとして保存する。画像形成装置1は、画像処理ASIC3のパターン発生器によってチェックパターンPtを発生させて、メモリ8の描画データに、図10に示したように付加して、画像データDgとする。
【0087】
画像形成装置1は、画像処理ASIC3の画像処理モジュール17a〜17nの1つを、圧縮器として機能させて、チェックパターンPtを付加した画像データDgを、メモリ5を介して画像処理ASIC3に送って、所定の圧縮方式で符号データに圧縮し、メモリ制御部5を介してメモリ8に再度保管して、さらに、画像処理ASIC3の画像処理モジュール17a〜17nの1つをハードディスクコントローラ(HDC)として機能させて、メモリ制御部5を介してメモリ8から符号データを読み出して、ハードディスク4に蓄積する。
【0088】
画像形成装置1は、ハードディスク4に蓄積した符号データを書き込み部9を使用してプロッタにより用紙に印刷する場合には、画像処理モジュール17a〜17nの1つを、ハードディスクコントローラ(HDC)として機能させて、ハードディスク4から符号データを読み出して、メモリ制御部5を介してメモリ8に一時保管し、画像処理モジュール17a〜17nの1つを、伸長器として機能させて、メモリ8に保管した符号データを画像データDgに復号(伸長)して、再度、メモリ8に一時保管する。
【0089】
画像形成装置1は、伸長した画像データDgに対して回転等の画像処理を施すときには、画像処理モジュール17a〜17nの1つを、施す画像処理を実行する機能モジュール、例えば、回転器として機能させて、メモリ制御部5を介してメモリ8の画像データDgを読み出して、回転等の画像処理を施して、再度、メモリ8に一時保管する。
【0090】
画像形成装置1は、必要な画像処理を施すと、画像処理モジュール17a〜17nの1つを、プロッタ画像処理器として機能させ、画像データDgを、メモリ制御部5を介して画像処理ASIC3に読み出して、プロッタ画像処理器によって、階調処理やγ補正等の印刷処理に必要な画像処理を行った後、画像書き込み部9に出力する。画像書き込み部9は、画像処理ASIC3から送られてくる画像データDg及び制御信号に基づいて変調したレーザ光をLDからプロッタの感光体に出射して該感光体に静電潜像を形成し、プロッタは、感光体上の静電潜像のトナーによる現像、トナー画像の用紙への転写、転写されたトナー画像の用紙への定着処理等を順次行って用紙に画像を形成する。
【0091】
また、画像形成装置1は、ハードディスク4に蓄積した符号データを外部I/F7を使用して外部装置に転送する場合には、ハードディスク4内に蓄積されている符号データを画像処理ASIC3の画像処理モジュール17a〜17nの1つを、ハードディスクコントローラ(HDC)として機能させて、ハードディスク4から符号データを読み出し、メモリ制御部5を介してメモリ8に一時保管する。画像形成装置1は、画像処理モジュール17a〜17nの1つを、伸長器として機能させて、メモリ8に保管した符号データを画像データDgに復号(伸長)して、再度、メモリ8に一時保管する。
【0092】
画像形成装置1は、メモリ8の画像データDgをメモリ制御部5を介してCPU6に送り、CPU6が、画像データから特徴量を削除した有効データのみをJPEGやTIFF)等に変換して、外部I/F7を介して外部装置に送信する。
【0093】
そして、上記画像データDgを画像処理ASIC3の画像処理モジュール17a〜17nで画像処理を行う際に、チェックパターンPtに基づいて、画像処理において異常が発生したか否かを判定し、異常が発生したことを検知すると、割り込み制御部16に割り込み信号を送って、割り込み制御部16からCPU6に割り込み信号を発行したり、MUX44が画像データDgを白データやモジュール特定のパターンに置き換える。
【0094】
このように、本実施例の画像形成装置1は、画像処理ASIC3が、入力画像データに対して適宜の順序で画像処理を施す複数の画像処理モジュール17a〜17nを搭載しており、各画像処理モジュール17a〜17nは、そのハッシュ計算部23が、入力される該画像データから特徴量を生成するとともに、特徴量読み出し部22が、該各画像処理モジュール17a〜17nに入力される画像データから該画像データに付加されている特徴量を読み取る。そして、各画像処理モジュール17a〜17nの比較部25が、ハッシュ計算部23の生成した特徴量と特徴量読み出し部22が読み取った特徴量を比較して、入力画像データの異常有無を判定して、異常無しと判定すると、ハッシュ計算部27が画像処理部26で画像処理された画像データから特徴量を生成して、特徴量付加部29が、画像処理後の該画像データに該特徴量を付加している。
【0095】
したがって、専用のデバッグインターフェイスを用いることなく、各画像処理モジュール17a〜17nにおいて、前段から画像データとともに送られてきた特徴量データを検査することで、各画像処理モジュール17a〜17n毎に、画像データに異常があるか否かを適切かつリアルタイムに判定することができ、デバッグを高精度に、かつ、効率的に行うことができる。
【0096】
また、本実施例の画像形成装置1の画像処理ASIC3は、比較部25が画像データに異常有りと判定すると、割り込み制御部16が、異常発生を通知する割り込み信号を外部のCPU6に出力する。
【0097】
したがって、CPU6は、割り込み信号によって画像データに異常が発生したことを認識して、操作パネル上へのエラー表示、印刷処理の停止、画像データの送信停止、画像読み取り部2による原稿の読み取り停止、操作パネルへのエラー箇所の表示、エラー情報のハードディスク4への保存、トナー消費量を抑制するとともに、エラー発生したタイミングを目視確認可能とするためにエラー発生時点以降の画像データの白データへの置き換え及びエラーが発生した画像処理モジュール17a〜17nを目視確認できるようにするためにエラー発生時点以降の画像データの画像処理モジュール17a〜17n特有のパターンへの置き換え処理等の必要な異常対応処理を行うことができ、利用性を向上させることができる。
【0098】
さらに、本実施例の画像形成装置1の画像処理ASIC3は、各画像処理モジュール17a〜17nが、画像処理前の画像データから生成した特徴量をそれぞれ保持する結果保持レジスタ24を備えている。
【0099】
したがって、デバッグ装置等によって結果保持レジスタ24の保持する特徴量データを読み取ることで、どの段階で異常が発生したかを容易に解析することができる。
【0100】
また、本実施例の画像形成装置1の画像処理ASIC3は、特徴量として、画像データに関するハッシュ値を用いている。
【0101】
したがって、少ないデータ量で高精度なデバッグ処理を行うことができる。
【0102】
さらに、本実施例の画像形成装置1の画像処理ASIC3は、各画像処理モジュール17a〜17nが、比較部25が異常有りと判定すると、割り込み制御部16が、異常発生を通知する割り込み信号を外部のCPU6に通知するとともに、適宜の部分、例えば、特徴量付加部29が、画像データを白データまたは該異常画像データが入力された画像処理モジュール17a〜17nを特定するパターンデータに置き換えている。
【0103】
したがって、異常画像データを画像処理することによる影響を防止することができるとともに、どの段階で異常が発生したかを適切かつ高精度に解析することができる。
【0104】
また、本実施例の画像形成装置1の画像処理ASIC3は、画像処理ASIC3に入力される画像データから特徴量を生成するハッシュ計算部(基本特徴量生成手段)13、画像処理ASIC3に入力される画像データから該画像データに付加されている特徴量を読み取る特徴量読み出し部(基本特徴量読み取り手段)12、ハッシュ計算部13の生成した特徴量と特徴量読み出し部12の読み取った特徴量を比較して画像データの異常有無を判定する比較部(基本判定手段)15及び比較部15が異常有りと判定すると、異常発生を通知する割り込み信号を外部のCPU6に出力する割り込み制御部16を備えている。
【0105】
したがって、専用のデバッグインターフェイスを用いることなく、画像処理ASIC3自体に前段のデバイスから入力される画像データとともに送られてきた特徴量を検査することで、画像データに異常があるか否かを適切かつリアルタイムに判定することができ、デバッグを高精度に、かつ、効率的に行うことができる。
【0106】
また、本実施例の画像形成装置1の画像処理ASIC3は、入力される画像データに対して、画像処理モジュール17a〜17nの1つを、パターン付加手段として機能させて、チェックパターンデータ(所定のパターンデータ)を付加するとともに、該パターンデータを検出パターン設定レジスタ(保持手段)33に保持し、各画像処理モジュール17a〜17nに入力されるチェックパターンデータの付加された画像データから該チェックパターンデータをパターン読み出し部31で読み取る。そして、各画像処理モジュール17a〜17nは、検出パターン設定レジスタ33の保持するチェックパターンデータとパターン読み出し部31の読み取ったチェックパターンデータを比較して画像データの異常有無を比較部32で判定する。
【0107】
したがって、適宜に設定したチェックパターンに基づいて、画像データに異常があるか否かを適切かつリアルタイムに判定することができ、デバッグを高精度に、かつ、効率的に行うことができる。
【0108】
さらに、本実施例の画像形成装置1の画像処理ASIC3は、比較部32が異常有りと判定すると、割り込み制御部16が、異常発生を通知する割り込み信号を外部のCPU6に通知するとともに、MUX34が、画像データを白データまたは該異常画像データが入力された画像処理モジュール17a〜17nを特定するパターンデータに置き換えている。
【0109】
したがって、異常画像データを画像処理することによる影響を防止することができるとともに、どの段階で異常が発生したかを適切かつ高精度に解析することができる。
【0110】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、複数の画像処理モジュールで画像処理する画像処理ASIC等の半導体集積回路、この半導体集積回路を搭載する複合装置、複写装置等の画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に利用することができる。
【符号の説明】
【0112】
1 画像形成装置
2 画像読み取り部
3 画像処理ASIC
4 ハードディスク(HDD)
5 メモリ制御部
6 CPU
7 外部I/F
8 メモリ
9 画像書き込み部
11 I/F
12 特徴量読み出し部
13 ハッシュ計算部
14 結果保持レジスタ
15 比較部
16 割り込み制御部
17a〜17n 画像処理モジュール
18 I/F
21 特徴量除去部
22 特徴量読み出し部
23 ハッシュ計算部
24 結果保存レジスタ
25 比較部
26 画像処理部
27 ハッシュ計算部
28 結果保存レジスタ
29 特徴量付加部
31 有効領域計算部
32 CRC部
41 パターン読み出し部
42 比較部
43 結果保存レジスタ
44 MUX
【先行技術文献】
【特許文献】
【0113】
【特許文献1】特開2007−43571号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される画像データに対して、複数の画像処理モジュールが適宜の順序でそれぞれ所定の画像処理を施して出力する画像処理装置において、
前記各画像処理モジュールに入力される画像データから特徴量を生成する処理前特徴量生成手段と、
前記各画像処理モジュールに入力される前記画像データから該画像データに付加されている特徴量を除去する除去手段と、
前記除去手段の除去した特徴量を読み取る特徴量読み取り手段と、
前記処理前特徴量生成手段の生成した前記特徴量と前記特徴量読み取り手段の読み取った前記特徴量を比較して前記画像データの異常有無を判定する判定手段と、
前記除去手段によって特徴量の除去された後に画像処理された画像データから特徴量を生成する処理後特徴量生成手段と、
前記判定手段が異常無しと判定すると、前記処理後特徴量生成手段の生成した前記特徴量を画像処理後の前記画像データに付加する付加手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、
前記判定手段が異常有りと判定すると、異常発生を通知する信号を外部に出力する通知手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、
前記各処理前特徴量生成手段の生成する前記特徴量をそれぞれ保持する特徴量保持手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特徴量は、前記画像データに関するハッシュ値であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理装置は、
前記判定手段が異常有りと判定すると、前記画像データを白データまたは該異常画像データが入力された前記画像処理モジュールを特定するパターンデータに置き換えるデータ置き換え手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理装置は、
前記画像処理装置に入力される画像データから特徴量を生成する基本特徴量生成手段と、
前記画像処理装置に入力される前記画像データから該画像データに付加されている特徴量を読み取る基本特徴量読み取り手段と、
前記基本特徴量生成手段の生成した前記特徴量と前記基本特徴量読み取り手段の読み取った前記特徴量を比較して前記画像データの異常有無を判定する基本判定手段と、
前記基本判定手段が異常有りと判定すると、異常発生を通知する信号を外部に出力する基本通知手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
入力される画像データに対して、複数の画像処理モジュールが適宜の順序でそれぞれ所定の画像処理を施して出力する画像処理装置において、
入力される前記画像データに対して所定のパターンデータを付加するパターン付加手段と、
前記パターンデータを保持する保持手段と、
前記各画像処理モジュールに入力される前記パターンデータの付加された画像データから該パターンデータを読み取るパターン読み取り手段と、
前記保持手段の保持する前記パターンデータと前記パターン読み取り手段の読み取った前記パターンデータを比較して前記画像データの異常有無を判定する判定手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
前記画像処理装置は、
前記判定手段が異常有りと判定すると、異常発生を通知する信号を外部に出力する通知手段と、
前記判定手段が異常有りと判定すると、前記画像データを白データまたは該異常画像データが入力された前記画像処理モジュールを特定するパターンデータに置き換えるデータ置き換え手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
入力画像データに対して複数の画像処理モジュールを搭載する画像処理装置で所定の画像処理を施した後、少なくとも該画像データに基づいて被記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
前記画像処理装置として、請求項1から請求項8のいずれかに記載の画像処理装置を搭載することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
入力される画像データに対して、複数の画像処理モジュールが適宜の順序でそれぞれ所定の画像処理を施して出力する画像処理装置における画像処理方法であって、
前記各画像処理モジュールに入力される画像データから特徴量を生成する処理前特徴量生成処理ステップと、
前記各画像処理モジュールに入力される前記画像データから該画像データに付加されている特徴量を除去する除去処理ステップと、
前記除去処理ステップで除去された特徴量を読み取る特徴量読み取り処理ステップと、
前記処理前特徴量生成処理ステップで生成された前記特徴量と前記特徴量読み取り処理ステップで読み取られた前記特徴量を比較して前記画像データの異常有無を判定する判定処理ステップと、
前記除去処理ステップで特徴量が除去された後に画像処理された画像データから特徴量を生成する処理後特徴量生成処理ステップと、
前記判定処理ステップで異常無しと判定されると、前記処理後特徴量生成処理ステップで生成された前記特徴量を画像処理後の前記画像データに付加する付加処理ステップと、
を有していることを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
入力される画像データに対して、複数の画像処理モジュールが適宜の順序でそれぞれ所定の画像処理を施して出力する画像処理装置に搭載される画像処理プログラムであって、
コンピュータに、
前記各画像処理モジュールに入力される画像データから特徴量を生成する処理前特徴量生成処理と、
前記各画像処理モジュールに入力される前記画像データから該画像データに付加されている特徴量を除去する除去処理と、
前記除去処理で除去された特徴量を読み取る特徴量読み取り処理と、
前記処理前特徴量生成処理で生成された前記特徴量と前記特徴量読み取り処理で読み取られた前記特徴量を比較して前記画像データの異常有無を判定する判定処理と、
前記除去処理で特徴量が除去された後に画像処理された画像データから特徴量を生成する処理後特徴量生成処理と、
前記判定処理で異常無しと判定されると、前記処理後特徴量生成処理で生成された前記特徴量を画像処理後の前記画像データに付加する付加処理と、
を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項12】
請求項11記載の画像処理プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−147140(P2012−147140A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2655(P2011−2655)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】