画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法およびコンピュータープログラム
【課題】複数の階調再現方法のそれぞれによる画像変換の結果を合成する画像処理の階調再現性を向上させる。
【解決手段】第1の階調再現方法および第2の階調再現方法を用いる画像処理をする画像処理装置は、入力画像に対して階調補正を行なう入力階調補正部を備える。入力階調補正部は、第1の階調再現画像と第2の階調再現画像との合成においてドッドの一部が重複することによる合成画像の濃度不足を補うように、入力画像の濃度を増大させる。
【解決手段】第1の階調再現方法および第2の階調再現方法を用いる画像処理をする画像処理装置は、入力画像に対して階調補正を行なう入力階調補正部を備える。入力階調補正部は、第1の階調再現画像と第2の階調再現画像との合成においてドッドの一部が重複することによる合成画像の濃度不足を補うように、入力画像の濃度を増大させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の階調を再現するための画像処理をする装置、方法およびコンピュータープログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
面積階調によって中間調を再現する画像形成装置において、ディザ法や誤差拡散法といった階調再現方法を用いる画像処理が行なわれる。画像処理は多値の入力画像を作像機構の構成に適合する2値または多値の出力画像に変換する。この画像処理において、複数の階調再現方法を使い分けたり併用したりすることができる。すなわち、文字には高周波成分の再現性に優れる誤差拡散法を用い、写真には粒状性に優れるディザ法を用いるというように、画像属性に適した階調再現方法を選択的に用いる使い分け形式の画像処理が一般に行なわれている。また、一つの入力画像に複数の階調再現方法をそれぞれ用いて当該入力画像を変換し、得られた複数の画像を所定の比率で合成する併用形式の画像処理が知られている。
【0003】
複数の階調再現方法を併用する画像処理では、合成の比率、すなわち複数の階調再現方法の配分を入力画像に応じて調整することにより、複数の階調再現方法のそれぞれの長所の生かされた画質の良好な出力画像を生成することができる。合成の比率の調整に関して、特許文献1において、多値画像中の所定画素数のブロック内の最大濃度と最小濃度とに基づいて、誤差拡散法とディザ処理法との分配比率を決定する画像処理装置が提案されている。特許文献2において、入力画像の特徴をウェーブレット解析し、判別した特徴に応じて合成比率を決定する画像処理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−161504号公報
【特許文献2】特開2010−74627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の階調再現方法のそれぞれにより得られる複数の画像を合成する併用形式の画像処理において、合成の比率をどのように定めても、出力画像の濃度が再現したい入力画像の濃度よりも低くなるという問題のあることが判明した。
【0006】
本発明は、複数の階調再現方法のそれぞれによる画像変換の結果を合成する画像処理の階調再現性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する画像処理装置は、入力画像に対して濃度を増大させる階調補正を行なう入力階調補正部と、前記入力階調補正部によって階調補正された前記入力画像を、前記第1の階調再現方法を用いて、前記第1の階調再現方法の配分を定める第1の比率に応じた濃度を表す第1の画像に変換する第1処理部と、前記入力階調補正部によって階調補正された前記入力画像または階調補正されていない前記入力画像を、前記第2の階調再現方法を用いて、前記第2の階調再現方法の配分を定める第2の比率に応じた濃度を表す第2の画像に変換する第2処理部と、前記第1処理部によって得られる前記第1の画像と、前記第2処理部によって得られる前記第2の画像とを合成し、それによって出力画像を生成する合成部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、合成する複数の画像の間で濃度が0でない画素が重複することによって生じる濃度の低下が入力画像の階調補正によって補われるので、画像処理の階調再現性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略の構成を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理装置として機能するプリンターコントローラーが実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【図4】プリンターコントローラーの機能構成を示すブロック図である。
【図5】プリンターコントローラーにおける階調再現部の機能構成を示すブロック図である。
【図6】画像合成の方法を示す図である。
【図7】階調補正を行なわない場合の画像合成の様子を模式的に示す図である。
【図8】階調補正を行なう場合の画像合成の様子を模式的に示す図である。
【図9】二つのスクリーン処理部にそれぞれ与える入力画像に共通の階調補正を加える場合の第1の合成比率と階調補正レベルとの関係を示すグラフである
【図10】二つのスクリーン処理部の一方に階調補正をした入力画像を与え、他方に階調補正をしていない入力画像を与える場合の、第1の合成比率Rと階調補正レベルLCとの関係を示すグラフである。
【図11】マンマシンインタフェースを構成する画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
面積階調による階調再現のための画像処理を画像形成装置が行なう例を挙げる。ただし、
画像形成装置とは別体の装置において画像処理を行ない、得られた画像を画像形成装置に入力して印刷することができる。また、画像処理の結果の用途は画像形成に限らず、例えば2値表示素子で構成される画面による画像表示のために画像処理を行なってもよい。
【0011】
以下では、まず画像形成装置の構成を説明し、その後に画像形成装置1で行なわれる画像処理を説明する。
【0012】
図1に例示される画像形成装置1は、コピーおよびネットワークプリンティングを含む多様な用途をもつMFP(Multi-functional Peripheral)である。画像形成装置1は、電子写真法によってカラーまたはモノクロの画像を形成するタンデム式のプリンターエンジン10を備えている。プリンターエンジン10は、4個のイメージングユニット11,12,13,14を用いてイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナー像を並行して形成することができる。イメージングユニット11〜14は、像担持体としての感光体ドラム15,16,17,18を一つずつ有する。イメージングユニット11〜14のそれぞれにおいて、筒状の感光体の周囲に、現像器、プリントヘッド、帯電チャージャー、およびクリーナーといったトナー像の形成に必要な構成部品が配置されている。この画像形成装置1には、操作パネル35による直接の操作またはネットワークを介して接続される図示しない外部装置(典型的にはパーソナルコンピューター)からのアクセスによって、印刷ジョブが与えられる。印刷ジョブにはイメージスキャナー30によって原稿画像を読み取って複製するコピージョブが含まれる。例えば、カラー画像を形成する印刷ジョブが与えられたとき、画像形成装置1は次のように動作する。
【0013】
イメージスキャナー30または外部装置から与えられる印刷対象の画像データに基づいて、画像形成装置1に実装されている電気回路100が、Y,M,C,Kの各色の露光パターンデータであるラスター画像を生成する。感光体ドラム15,16,17,18が回転する状態で、帯電した感光体に向けて各イメージングユニット11〜14のプリントヘッド22がレーザー光を照射する。このとき、プリントヘッドはラスター画像に従って光源を制御し、それによって感光体に対する色別の主走査を行なう。主走査と副走査(感光体の回転)とによって感光体上に静電潜像が形成される。現像形式が反転現像であるので、静電潜像の形成において感光体上のトナーを付着させるべきドット部分が露光され、その部分の電荷が他の部分の電荷よりも少なくなる。各イメージングユニット11〜14の現像器が感光体にトナーを吸着させて静電潜像に対応するトナー像を形成する。形成されたトナー像は、感光体の配列に沿って移動する無端の被転写体である中間転写ベルト25に一次転写される。トナー像の形成順序および一次転写の順序はイメージングユニット11〜14の配置によって決まっており、本例では上流側からY、M、C、Kの順である。
【0014】
用紙の1紙面あたり四つずつトナー像を形成する動作と並行して、多段式の用紙スタッカー40から図示しない用紙がピックアップローラー45によって取り出され、二次転写位置へ搬送される。二次転写位置は中間転写ベルト25と圧接ローラー26とがニップ部を形成するように対向する位置である。二次転写位置を通過する用紙に中間転写ベルト25から4色の重なり合ったトナー像が一括に二次転写される。その後、用紙は定着ユニット29の内部を通って排紙トレイ48上に排紙される。用紙が定着ユニット29を通過する際に、加熱・加圧を受けてトナーが溶融し、トナー像が印刷画像として用紙に定着する。
【0015】
図2に示されるように、画像形成装置1は全体の制御を統括するメインコントローラー60を有する。メインコントローラー20によって、操作パネル35によるユーザーの指示および通信インタフェース66を介して通信する外部機器からの動作要求に応じて所定の制御が行なわれる。コピー動作においては、イメージスキャナー30が制御される。コピーを含む各種印刷動作では、プリンターエンジン10の制御を受け持つエンジンコントローラー80へメインコントローラー20から指示が与えられる。また、必要に応じて、内蔵のストレージ68としてのハードディスクドライブ(HDD)がメインコントローラー20によってアクセスされる。このようなメインコントローラー20は、制御プログラムや各種アプリケーションを実行するCPU(central processing unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)およびプログラム実行のワークエリアとされるRAM(Random Access Memory)を有している。メインコントローラー20には、画像処理装置として機能するプリンターコントローラー70が含まれる。プリンターコントローラー70は、電気回路100において制御プログラムの実行によって実現される機能要素である。言い換えれば、CPU、RAM、ROMおよび他の回路部品で構成される電気回路100はプリンターコントローラー70の機能を実現する画像処理回路を含んでいる。
【0016】
図3はプリンターコントローラー70が実行する処理の概要を示している。プリンターコントローラー70は、印刷対象の画像データを受け付け(S71)、RGBからYMCKへの色変換処理を含むラスタライズジングを実行(S72)。そして、プリンターコントローラー70は、複数の階調再現方法を用いて、ラスタライズジングの結果である多値(例えば8ビット、256階調)のラスター画像データを露光制御用のラスターデータである出力画像データに変換する(S73)。
【0017】
図4のように、プリンターコントローラー70は、解析部71と、ラスタライズ部72と、階調再現部73とを有する。プリンターコントローラー70は、印刷対象データD1を印刷するための4色のトナー像のそれぞれに対応する出力画像データD4y,D4m,D4c,D4kを生成する。プリンターコントローラー70には、コピー動作においてイメージスキャナー30からスキャン画像データが印刷対象データD1として入力され、ネットワークプリンティングおよびファクシミリ受信において通信インタフェース66から印刷対象データD1が入力される。また、画像形成装置1内で保存されているドキュメントを印刷する場合には、ストレージ68から印刷対象データD1がプリンターコントローラー70に入力される。
【0018】
解析部71は、印刷ジョブがネットワークプリンティングジョブである場合、ページ記述言語(Page Description Language :PDL)で記述された印刷対象データD1を解釈し、描画すべき内容を表す中間データを生成してラスタライズ部72に引き渡す。すなわち、中間データがこの場合の解析部71が出力するデータD2である。PDLで記述される描画すべき内容は、文字を表す「テキスト」、図形や線を表す「グラフィック」、およびラスター画像を表す「イメージ」の三つの属性(種類)に大別される。中間データには、ページ内の領域の属性を示す情報が含まれる。一方、コピージョブやファクシミリ受信ジョブのようにPDLで記述されていない画像データD1が入力される場合、解析部71は、印刷対象データD1を実質的にそのままデータD2としてラスタライズ部72に引き渡す。それとともに、解析部71は、印刷対象データD1から公知の領域判別技術を用いてテキスト領域およびグラフィック領域を抽出し、その結果を示す領域属性情報をラスタライズ部72および階調再現部73に与える。
【0019】
ラスタライズ部72は、解析部71から引き渡されたデータD2に対して、RGBからYMCKへの色変換処理を行ない、YMCKの4色のそれぞれに対応した多値のラスター画像データ(フレーム)D3y,D3m,D3c,D3kを生成する。
【0020】
階調再現部73は、複数の階調再現方法を用いて、ラスター画像データD3y,D3m,D3c,D3kを露光制御のためのラスター画像データD4y,D4m,D4c,D4kに変換する。階調再現部73によって生成されたラスター画像データD4y,D4m,D4c,D4kは、エンジンコントローラー80を介して4色のそれぞれに対応するプリントヘッドに送られ、半導体レーザーを光源とする露光の制御に用いられる。
【0021】
図5は階調再現部73の機能構成を示している。図5においては、YMCKの4色のそれぞれについての処理が総括的に示されている。階調再現部73には入力画像データD3(上述のラスター画像データD3y,D3m,D3c,D3kの総称)が入力され、階調再現部73から出力画像データD4(上述のラスター画像データD4y,D4m,D4c,D4kの総称)が出力される。
【0022】
入力画像データD3は、第1の階調再現方法を用いる第1処理ブロック731と、第2の階調再現方法を用いる第2処理ブロック732と、複数の階調再現方法の適用に係る配分を決める比率決定部733とに入力される。比率決定部733は、入力画像における所定の区画ごとに配分を決定し、決定した配分を表す第1の合成比率(R)および第2の合成比率(1−R)を第1処理ブロック731および第2処理ブロック732へ出力する。本実施形態において、第1の階調再現方法はディザ法であり、第2の階調再現方法は誤差拡散法である。
【0023】
ここで、配分は、入力画像データD3がもつ濃度情報および上述の解析部71からの領域属性情報に基づいて決定される。例えば、写真領域に対してはディザ法の配分を大きくし、文字領域に対しては誤差拡散法の配分を大きくすることにより、写真領域の粒状性が良好でかつ文字領域の分解能が高い階調再現を実現することができる。
【0024】
第1処理ブロック731において、補正レベル決定部771が第1の合成比率(R)および第2の合成比率(1−R)に基づいて階調補正レベル(LC)を決定し、階調補正部761が入力画像データD3に対して階調補正レベル(LC)に応じた階調補正を行なう。そして、階調補正された入力画像データD3に対して、スクリーン処理部751がディザ法による階調再現処理(第1のスクリーン処理)を行う。第1処理ブロック731は、スクリーン処理部751によって得られた第1の画像データD31を画像合成部734へ出力する。階調補正レベルの決定方法および階調補正処理については後述する。
【0025】
第2処理ブロック732において、第1処理ブロック731と同様に、補正レベル決定部772が第1の合成比率(R)および第2の合成比率(1−R)に基づいて階調補正レベル(LC)を決定し、階調補正部762が階調補正レベル(LC)に応じた階調補正を入力画像データD3に対して行なう。そして、第2処理ブロック732では、階調補正された入力画像データD3に対して、スクリーン処理部752が誤差拡散法による階調再現処理(第2のスクリーン処理)を行う。第2処理ブロック732は、スクリーン処理部752によって得られた第2の画像データD32を画像合成部734へ出力する。
【0026】
画像合成部734は、第1の画像データD31と第2の画像データD32とを合成し、それによって出力画像データD4を生成する。ここでいう画像の合成は、合成する両画像データの論理和(OR)を画素単位で求める重ね合わせ処理である。すなわち、図6のように、合成画像の各画素は、合成する二つ画像における対応画素のうちの少なくとも片方がトナー像のドットに該当する濃度の0でない有色の画素(図中で塗り潰された画素)であれば、有色の画素となる。
【0027】
図5の例示では、入力画像データD3に対して階調補正を実施する入力階調補正部730が、二つの補正レベル決定部771,772および二つの階調補正部761,762を有する。この構成においては、ディザ法と誤差拡散法とについて互いの間で補正量の異なる階調補正を実施することができるとともに、共通の階調補正を実施することもできる。ただし、共通の階調補正に限る場合には、一つの補正レベル決定部771と一つの階調補正部761とで入力階調補正部730を構成し、階調補正部761で補正した入力画像データD3を二つのスクリーン処理部751,752に共通に入力するようにしてもよい。
【0028】
次に、入力階調補正部730の機能をさらに詳しく説明する。入力階調補正部730は、複数の階調再現方法を併用する画像処理の階調再現性を向上させるために設けられている。すなわち、図5の構成において、入力画像データD3に対して階調補正を行わずにそのまま入力画像データD3をスクリーン処理部751,752に入力して両スクリーン処理の結果を合成すると、出力画像データD4の示す濃度が、入力画像データD3の示す再現すべき濃度よりも低くなる。その理由は、一方のスクリーン処理部751が出力する画像データD31と他方のスクリーン処理部752が出力する画像データD32との間で、ドットに該当する有色の画素の重複が生じるからである。階調補正を行なわない場合の画像合成の様子が図7に模式的に示されている。
【0029】
図7において、入力画像内のある領域の濃度である目標階調(L)を、ディザ法の配分である第1の合成比率(R)を25%とし誤差拡散法の配分である第2の合成比率(1−R)を75%として再現する場合が例示されている。図示の想定では目標階調(L)が階調の最大値(最大濃度)の80%の階調レベルである。図7(A)のように、ディザ法については、目標階調(L)と第1の合成比率(R)との積(80%×25%)で定まる面積率20%のスクリーンMA20が適用される。誤差拡散法については、図7(B)のように、目標階調(L)と第2の合成比率(1−R)との積(80%×75%)で定まる面積率60%のスクリーンMA60が適用される。そして、図7(C)のようにスクリーンMA20とスクリーンMA60とを合成(重ね合わせ)すると、両スクリーン間で一部のドットが重なるので、合成画像M4zにおけるドット面積はスクリーンMA20のドット面積とスクリーンMA60のドット面積との和よりも小さくなる。その重複面積率は、ドット配置パターンに依存するものの、確率計算の上では、スクリーンMA20の面積率とスクリーンMA60の面積率との積とみなすことができる。重複面積率がドットの重複による階調再現の誤差の大きさを表す。
【0030】
このようなドットの重複による濃度低下を見込んでスクリーン処理に先立って濃度を増大させる階調補正を行うことにより、入力画像データD3を出力画像データD4に変換する画像処理の階調再現性を向上させることができる。図8は階調補正を行なう場合の画像合成の様子を模式的に示している。
【0031】
図8において、図7の例と同様に第1の合成比率(R)を25%とし第2の合成比率(1−R)を75%として階調レベル80%の目標階調(L)を再現する場合が例示されている。図8の例示における階調補正レベルLCは、ディザ法と誤差拡散法とに共通である。図8(A)のように、ディザ法については、目標階調(L)に階調補正レベル(LC)を加えた階調レベル(L+LC)と第1の合成比率(R)との積で定まる所定面積率のスクリーンMA23が適用される。誤差拡散法については、図7(B)のように、目標階調(L)に階調補正レベル(LC)を加えた階調レベル(L+LC)と第2の合成比率(1−R)との積で定まる所定面積率のスクリーンMA63が適用される。これにより、図8(C)のように、目標階調(L)に合致する面積率80%の合成画像M4が生成される。
【0032】
階調補正レベル(LC)は次のように第1の合成比率(R)と第2の合成比率(1−R)とによって決まる。
ここでは、
階調の最大値:L0
目標階調:L
階調補正レベル(第1スクリーン処理と第2スクリーン処理とで共通):LC
第1の合成比率:R
第2の合成比率:1−R
目標階調Lの面積率:SL=L/L0
補正後の階調レベルの面積率:SC=(L+LC)/L0
第1スクリーン処理の面積率:SC×R
第2スクリーン処理の面積率:SC×(1−R)
重複面積率:SC×R×SC×(1−R)=SC2×R×(1−R)
とする。階調補正後の階調レベルの面積率SCが目標階調Lの面積率SLと等しくなればよいので、すなわち、第1、第2のスクリーン処理の面積率の和から重複面積率を差し引いた値が面積率SLの値と一致すればよいので、
SC・R+SC・(1−R)−SC2・R・(1−R)=SL
を満たすLCを計算すればよい。階調補正レベルLCは下記の(1)式で表させる(導出の記述を省略)。
【0033】
【数1】
【0034】
図9は二つのスクリーン処理部にそれぞれ与える入力画像に共通の階調補正を加える場合の第1の合成比率Rと階調補正レベルLCとの関係を示すグラフである。図9では目標階調Lが64,126,192のそれぞれである場合について、上記(1)式によって計算した階調補正レベルLCが示されている。図のように、第1の合成比率Rが50%のとき、すなわち第1の合成比率Rと第2の合成比率(1−R)とが等しいとき、階調補正レベルLCが最も大きい。そして、合成比率Rが50%より小さいほど階調補正レベルLCが小さく、階調補正レベルLCが50%より大きいほど階調補正レベルLCが小さい。つまり、第1の合成比率Rと第2の合成比率(1−R)との差が小さいほど階調補正レベルLCは大きい。
【0035】
このような補正特性を特定する上記(1)式に基づいて、補正レベル決定部771,772(図5参照)は演算またはルックアップデーブルの参照によって階調補正レベルLCを決定し、階調補正部761,762が目標階調Lに階調補正レベルLCを加算する階調補正を行う。そして、スクリーン処理部751が補正後の階調レベル(L+LC)と第1の合成比率Rとに応じたスクリーン処理を行ない、スクリーン処理部752が補正後の階調レベル(L+LC)と第2の合成比率(1−R)とに応じたスクリーン処理を行う。
【0036】
以上では第1処理ブロック731および第2処理ブロック732において共通の階調補正を行なう例を説明したが、階調再現方法ごとに異なる量の階調補正を行ってもよい。例えば、第1処理ブロック731に入力する入力画像データD3に対してのみ階調補正を行なってよい。ここでは、
階調の最大値:L0
目標階調:L
階調補正レベル(第1スクリーン処理のみ):LC
第1の合成比率:R
第2の合成比率:1−R
目標階調Lの面積率:SL=L/L0
補正後の階調レベルの面積率:SC=(L+LC)/L0
第1スクリーン処理の面積率:SC×R
第2スクリーン処理の面積率:SL×(1−R)
重複面積率:SC×R×SL×(1−R)
とする。この場合も階調補正後の階調レベルの面積率SCが目標階調Lの面積率SLと等しくなればよいので、
SC・R+SL・(1−R)−SC・SL・R(1−R)=SL
となるLCを計算すればよい。階調補正レベルLCは下記の(1)式で表させる(導出の記述を省略)。
【0037】
【数2】
【0038】
図10は二つのスクリーン処理部の一方に階調補正をした入力画像を与え、他方に階調補正をしていない入力画像を与える場合の、第1の合成比率Rと階調補正レベルLCとの関係を示すグラフである。図10では目標階調Lが64,126,192のそれぞれである場合について、上記(2)式によって計算した階調補正レベルLCが示されている。図のように、この場合の補正特性は、階調補正をした入力画像に対応する合成比率Rが大きいほど階調補正レベルLCが小さい特性となる。
【0039】
以上の実施形態の変形として、例えば、第1のスクリーン処理の面積率または第2のスクリーン処理の面積率が予め決められた閾値を超える場合には、閾値を超える方のスクリーン処理の入力画像には階調補正を行わず、他方のスクリーン処理の入力画像に対してのみ階調補正を行ってもよい。これは、高濃度側の階調が階調補正を行なったがために飽和してしまう不都合を防ぐためである。
【0040】
さらに、階調補正を実施する条件を画像形成装置1のユーザーまたはサービスパーソンが指定するためのマンマシンインタフェースを設けてもよい。例えば、図11に示すような操作画面Q10を操作パネル35のディスプレイ351に表示させることにより、階調補正を行なうべき階調レベル範囲の上限を指定する操作が可能となる。操作画面Q10は、操作者が上限としたい階調レベルまたは合成比率を数値入力する領域903,904を有している。
【0041】
上述の実施形態によれば、スクリーン処理に先立って入力画像の濃度を大きくする階調補正を行うので、複数のスクリーン処理の結果を合成する際のドットの重複に起因する出力画像の濃度不足が軽減される。(1)式または(2)式に基づいて階調補正レベルLCを決定するので、入力と出力とで誤差の小さい階調再現が実現される。
【0042】
上述の実施形態において、適用する階調再現方法はディザ法と誤差拡散法との組み合わせに限らない。例えば、スクリーンパターンの異なる2種のディザ法を併用する場合にも本発明を適用することができる。階調補正部73の機能を例示のようにソフトウェアによって実現してもよいし、当該機能の全部または一部をハードウェアによって実現してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 画像形成装置
70 プリンターコントローラー(画像処理装置)
100 電気回路(画像処理回路)
D3 入力画像データ(入力画像)
730 入力階調補正部
R 合成比率(第1の比率)
D31 第1の画像
751 スクリーン処理部(第1処理部)
(1−R) 合成比率(第2の比率)
D32 第2の画像
752 スクリーン処理部(第2処理部)
D4 出力画像
734 画像合成部(合成部)
10 プリンターエンジン(作像機構)
Q10 画面(マンマシンインタフェース)
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の階調を再現するための画像処理をする装置、方法およびコンピュータープログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
面積階調によって中間調を再現する画像形成装置において、ディザ法や誤差拡散法といった階調再現方法を用いる画像処理が行なわれる。画像処理は多値の入力画像を作像機構の構成に適合する2値または多値の出力画像に変換する。この画像処理において、複数の階調再現方法を使い分けたり併用したりすることができる。すなわち、文字には高周波成分の再現性に優れる誤差拡散法を用い、写真には粒状性に優れるディザ法を用いるというように、画像属性に適した階調再現方法を選択的に用いる使い分け形式の画像処理が一般に行なわれている。また、一つの入力画像に複数の階調再現方法をそれぞれ用いて当該入力画像を変換し、得られた複数の画像を所定の比率で合成する併用形式の画像処理が知られている。
【0003】
複数の階調再現方法を併用する画像処理では、合成の比率、すなわち複数の階調再現方法の配分を入力画像に応じて調整することにより、複数の階調再現方法のそれぞれの長所の生かされた画質の良好な出力画像を生成することができる。合成の比率の調整に関して、特許文献1において、多値画像中の所定画素数のブロック内の最大濃度と最小濃度とに基づいて、誤差拡散法とディザ処理法との分配比率を決定する画像処理装置が提案されている。特許文献2において、入力画像の特徴をウェーブレット解析し、判別した特徴に応じて合成比率を決定する画像処理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−161504号公報
【特許文献2】特開2010−74627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の階調再現方法のそれぞれにより得られる複数の画像を合成する併用形式の画像処理において、合成の比率をどのように定めても、出力画像の濃度が再現したい入力画像の濃度よりも低くなるという問題のあることが判明した。
【0006】
本発明は、複数の階調再現方法のそれぞれによる画像変換の結果を合成する画像処理の階調再現性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する画像処理装置は、入力画像に対して濃度を増大させる階調補正を行なう入力階調補正部と、前記入力階調補正部によって階調補正された前記入力画像を、前記第1の階調再現方法を用いて、前記第1の階調再現方法の配分を定める第1の比率に応じた濃度を表す第1の画像に変換する第1処理部と、前記入力階調補正部によって階調補正された前記入力画像または階調補正されていない前記入力画像を、前記第2の階調再現方法を用いて、前記第2の階調再現方法の配分を定める第2の比率に応じた濃度を表す第2の画像に変換する第2処理部と、前記第1処理部によって得られる前記第1の画像と、前記第2処理部によって得られる前記第2の画像とを合成し、それによって出力画像を生成する合成部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、合成する複数の画像の間で濃度が0でない画素が重複することによって生じる濃度の低下が入力画像の階調補正によって補われるので、画像処理の階調再現性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略の構成を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理装置として機能するプリンターコントローラーが実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【図4】プリンターコントローラーの機能構成を示すブロック図である。
【図5】プリンターコントローラーにおける階調再現部の機能構成を示すブロック図である。
【図6】画像合成の方法を示す図である。
【図7】階調補正を行なわない場合の画像合成の様子を模式的に示す図である。
【図8】階調補正を行なう場合の画像合成の様子を模式的に示す図である。
【図9】二つのスクリーン処理部にそれぞれ与える入力画像に共通の階調補正を加える場合の第1の合成比率と階調補正レベルとの関係を示すグラフである
【図10】二つのスクリーン処理部の一方に階調補正をした入力画像を与え、他方に階調補正をしていない入力画像を与える場合の、第1の合成比率Rと階調補正レベルLCとの関係を示すグラフである。
【図11】マンマシンインタフェースを構成する画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
面積階調による階調再現のための画像処理を画像形成装置が行なう例を挙げる。ただし、
画像形成装置とは別体の装置において画像処理を行ない、得られた画像を画像形成装置に入力して印刷することができる。また、画像処理の結果の用途は画像形成に限らず、例えば2値表示素子で構成される画面による画像表示のために画像処理を行なってもよい。
【0011】
以下では、まず画像形成装置の構成を説明し、その後に画像形成装置1で行なわれる画像処理を説明する。
【0012】
図1に例示される画像形成装置1は、コピーおよびネットワークプリンティングを含む多様な用途をもつMFP(Multi-functional Peripheral)である。画像形成装置1は、電子写真法によってカラーまたはモノクロの画像を形成するタンデム式のプリンターエンジン10を備えている。プリンターエンジン10は、4個のイメージングユニット11,12,13,14を用いてイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナー像を並行して形成することができる。イメージングユニット11〜14は、像担持体としての感光体ドラム15,16,17,18を一つずつ有する。イメージングユニット11〜14のそれぞれにおいて、筒状の感光体の周囲に、現像器、プリントヘッド、帯電チャージャー、およびクリーナーといったトナー像の形成に必要な構成部品が配置されている。この画像形成装置1には、操作パネル35による直接の操作またはネットワークを介して接続される図示しない外部装置(典型的にはパーソナルコンピューター)からのアクセスによって、印刷ジョブが与えられる。印刷ジョブにはイメージスキャナー30によって原稿画像を読み取って複製するコピージョブが含まれる。例えば、カラー画像を形成する印刷ジョブが与えられたとき、画像形成装置1は次のように動作する。
【0013】
イメージスキャナー30または外部装置から与えられる印刷対象の画像データに基づいて、画像形成装置1に実装されている電気回路100が、Y,M,C,Kの各色の露光パターンデータであるラスター画像を生成する。感光体ドラム15,16,17,18が回転する状態で、帯電した感光体に向けて各イメージングユニット11〜14のプリントヘッド22がレーザー光を照射する。このとき、プリントヘッドはラスター画像に従って光源を制御し、それによって感光体に対する色別の主走査を行なう。主走査と副走査(感光体の回転)とによって感光体上に静電潜像が形成される。現像形式が反転現像であるので、静電潜像の形成において感光体上のトナーを付着させるべきドット部分が露光され、その部分の電荷が他の部分の電荷よりも少なくなる。各イメージングユニット11〜14の現像器が感光体にトナーを吸着させて静電潜像に対応するトナー像を形成する。形成されたトナー像は、感光体の配列に沿って移動する無端の被転写体である中間転写ベルト25に一次転写される。トナー像の形成順序および一次転写の順序はイメージングユニット11〜14の配置によって決まっており、本例では上流側からY、M、C、Kの順である。
【0014】
用紙の1紙面あたり四つずつトナー像を形成する動作と並行して、多段式の用紙スタッカー40から図示しない用紙がピックアップローラー45によって取り出され、二次転写位置へ搬送される。二次転写位置は中間転写ベルト25と圧接ローラー26とがニップ部を形成するように対向する位置である。二次転写位置を通過する用紙に中間転写ベルト25から4色の重なり合ったトナー像が一括に二次転写される。その後、用紙は定着ユニット29の内部を通って排紙トレイ48上に排紙される。用紙が定着ユニット29を通過する際に、加熱・加圧を受けてトナーが溶融し、トナー像が印刷画像として用紙に定着する。
【0015】
図2に示されるように、画像形成装置1は全体の制御を統括するメインコントローラー60を有する。メインコントローラー20によって、操作パネル35によるユーザーの指示および通信インタフェース66を介して通信する外部機器からの動作要求に応じて所定の制御が行なわれる。コピー動作においては、イメージスキャナー30が制御される。コピーを含む各種印刷動作では、プリンターエンジン10の制御を受け持つエンジンコントローラー80へメインコントローラー20から指示が与えられる。また、必要に応じて、内蔵のストレージ68としてのハードディスクドライブ(HDD)がメインコントローラー20によってアクセスされる。このようなメインコントローラー20は、制御プログラムや各種アプリケーションを実行するCPU(central processing unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)およびプログラム実行のワークエリアとされるRAM(Random Access Memory)を有している。メインコントローラー20には、画像処理装置として機能するプリンターコントローラー70が含まれる。プリンターコントローラー70は、電気回路100において制御プログラムの実行によって実現される機能要素である。言い換えれば、CPU、RAM、ROMおよび他の回路部品で構成される電気回路100はプリンターコントローラー70の機能を実現する画像処理回路を含んでいる。
【0016】
図3はプリンターコントローラー70が実行する処理の概要を示している。プリンターコントローラー70は、印刷対象の画像データを受け付け(S71)、RGBからYMCKへの色変換処理を含むラスタライズジングを実行(S72)。そして、プリンターコントローラー70は、複数の階調再現方法を用いて、ラスタライズジングの結果である多値(例えば8ビット、256階調)のラスター画像データを露光制御用のラスターデータである出力画像データに変換する(S73)。
【0017】
図4のように、プリンターコントローラー70は、解析部71と、ラスタライズ部72と、階調再現部73とを有する。プリンターコントローラー70は、印刷対象データD1を印刷するための4色のトナー像のそれぞれに対応する出力画像データD4y,D4m,D4c,D4kを生成する。プリンターコントローラー70には、コピー動作においてイメージスキャナー30からスキャン画像データが印刷対象データD1として入力され、ネットワークプリンティングおよびファクシミリ受信において通信インタフェース66から印刷対象データD1が入力される。また、画像形成装置1内で保存されているドキュメントを印刷する場合には、ストレージ68から印刷対象データD1がプリンターコントローラー70に入力される。
【0018】
解析部71は、印刷ジョブがネットワークプリンティングジョブである場合、ページ記述言語(Page Description Language :PDL)で記述された印刷対象データD1を解釈し、描画すべき内容を表す中間データを生成してラスタライズ部72に引き渡す。すなわち、中間データがこの場合の解析部71が出力するデータD2である。PDLで記述される描画すべき内容は、文字を表す「テキスト」、図形や線を表す「グラフィック」、およびラスター画像を表す「イメージ」の三つの属性(種類)に大別される。中間データには、ページ内の領域の属性を示す情報が含まれる。一方、コピージョブやファクシミリ受信ジョブのようにPDLで記述されていない画像データD1が入力される場合、解析部71は、印刷対象データD1を実質的にそのままデータD2としてラスタライズ部72に引き渡す。それとともに、解析部71は、印刷対象データD1から公知の領域判別技術を用いてテキスト領域およびグラフィック領域を抽出し、その結果を示す領域属性情報をラスタライズ部72および階調再現部73に与える。
【0019】
ラスタライズ部72は、解析部71から引き渡されたデータD2に対して、RGBからYMCKへの色変換処理を行ない、YMCKの4色のそれぞれに対応した多値のラスター画像データ(フレーム)D3y,D3m,D3c,D3kを生成する。
【0020】
階調再現部73は、複数の階調再現方法を用いて、ラスター画像データD3y,D3m,D3c,D3kを露光制御のためのラスター画像データD4y,D4m,D4c,D4kに変換する。階調再現部73によって生成されたラスター画像データD4y,D4m,D4c,D4kは、エンジンコントローラー80を介して4色のそれぞれに対応するプリントヘッドに送られ、半導体レーザーを光源とする露光の制御に用いられる。
【0021】
図5は階調再現部73の機能構成を示している。図5においては、YMCKの4色のそれぞれについての処理が総括的に示されている。階調再現部73には入力画像データD3(上述のラスター画像データD3y,D3m,D3c,D3kの総称)が入力され、階調再現部73から出力画像データD4(上述のラスター画像データD4y,D4m,D4c,D4kの総称)が出力される。
【0022】
入力画像データD3は、第1の階調再現方法を用いる第1処理ブロック731と、第2の階調再現方法を用いる第2処理ブロック732と、複数の階調再現方法の適用に係る配分を決める比率決定部733とに入力される。比率決定部733は、入力画像における所定の区画ごとに配分を決定し、決定した配分を表す第1の合成比率(R)および第2の合成比率(1−R)を第1処理ブロック731および第2処理ブロック732へ出力する。本実施形態において、第1の階調再現方法はディザ法であり、第2の階調再現方法は誤差拡散法である。
【0023】
ここで、配分は、入力画像データD3がもつ濃度情報および上述の解析部71からの領域属性情報に基づいて決定される。例えば、写真領域に対してはディザ法の配分を大きくし、文字領域に対しては誤差拡散法の配分を大きくすることにより、写真領域の粒状性が良好でかつ文字領域の分解能が高い階調再現を実現することができる。
【0024】
第1処理ブロック731において、補正レベル決定部771が第1の合成比率(R)および第2の合成比率(1−R)に基づいて階調補正レベル(LC)を決定し、階調補正部761が入力画像データD3に対して階調補正レベル(LC)に応じた階調補正を行なう。そして、階調補正された入力画像データD3に対して、スクリーン処理部751がディザ法による階調再現処理(第1のスクリーン処理)を行う。第1処理ブロック731は、スクリーン処理部751によって得られた第1の画像データD31を画像合成部734へ出力する。階調補正レベルの決定方法および階調補正処理については後述する。
【0025】
第2処理ブロック732において、第1処理ブロック731と同様に、補正レベル決定部772が第1の合成比率(R)および第2の合成比率(1−R)に基づいて階調補正レベル(LC)を決定し、階調補正部762が階調補正レベル(LC)に応じた階調補正を入力画像データD3に対して行なう。そして、第2処理ブロック732では、階調補正された入力画像データD3に対して、スクリーン処理部752が誤差拡散法による階調再現処理(第2のスクリーン処理)を行う。第2処理ブロック732は、スクリーン処理部752によって得られた第2の画像データD32を画像合成部734へ出力する。
【0026】
画像合成部734は、第1の画像データD31と第2の画像データD32とを合成し、それによって出力画像データD4を生成する。ここでいう画像の合成は、合成する両画像データの論理和(OR)を画素単位で求める重ね合わせ処理である。すなわち、図6のように、合成画像の各画素は、合成する二つ画像における対応画素のうちの少なくとも片方がトナー像のドットに該当する濃度の0でない有色の画素(図中で塗り潰された画素)であれば、有色の画素となる。
【0027】
図5の例示では、入力画像データD3に対して階調補正を実施する入力階調補正部730が、二つの補正レベル決定部771,772および二つの階調補正部761,762を有する。この構成においては、ディザ法と誤差拡散法とについて互いの間で補正量の異なる階調補正を実施することができるとともに、共通の階調補正を実施することもできる。ただし、共通の階調補正に限る場合には、一つの補正レベル決定部771と一つの階調補正部761とで入力階調補正部730を構成し、階調補正部761で補正した入力画像データD3を二つのスクリーン処理部751,752に共通に入力するようにしてもよい。
【0028】
次に、入力階調補正部730の機能をさらに詳しく説明する。入力階調補正部730は、複数の階調再現方法を併用する画像処理の階調再現性を向上させるために設けられている。すなわち、図5の構成において、入力画像データD3に対して階調補正を行わずにそのまま入力画像データD3をスクリーン処理部751,752に入力して両スクリーン処理の結果を合成すると、出力画像データD4の示す濃度が、入力画像データD3の示す再現すべき濃度よりも低くなる。その理由は、一方のスクリーン処理部751が出力する画像データD31と他方のスクリーン処理部752が出力する画像データD32との間で、ドットに該当する有色の画素の重複が生じるからである。階調補正を行なわない場合の画像合成の様子が図7に模式的に示されている。
【0029】
図7において、入力画像内のある領域の濃度である目標階調(L)を、ディザ法の配分である第1の合成比率(R)を25%とし誤差拡散法の配分である第2の合成比率(1−R)を75%として再現する場合が例示されている。図示の想定では目標階調(L)が階調の最大値(最大濃度)の80%の階調レベルである。図7(A)のように、ディザ法については、目標階調(L)と第1の合成比率(R)との積(80%×25%)で定まる面積率20%のスクリーンMA20が適用される。誤差拡散法については、図7(B)のように、目標階調(L)と第2の合成比率(1−R)との積(80%×75%)で定まる面積率60%のスクリーンMA60が適用される。そして、図7(C)のようにスクリーンMA20とスクリーンMA60とを合成(重ね合わせ)すると、両スクリーン間で一部のドットが重なるので、合成画像M4zにおけるドット面積はスクリーンMA20のドット面積とスクリーンMA60のドット面積との和よりも小さくなる。その重複面積率は、ドット配置パターンに依存するものの、確率計算の上では、スクリーンMA20の面積率とスクリーンMA60の面積率との積とみなすことができる。重複面積率がドットの重複による階調再現の誤差の大きさを表す。
【0030】
このようなドットの重複による濃度低下を見込んでスクリーン処理に先立って濃度を増大させる階調補正を行うことにより、入力画像データD3を出力画像データD4に変換する画像処理の階調再現性を向上させることができる。図8は階調補正を行なう場合の画像合成の様子を模式的に示している。
【0031】
図8において、図7の例と同様に第1の合成比率(R)を25%とし第2の合成比率(1−R)を75%として階調レベル80%の目標階調(L)を再現する場合が例示されている。図8の例示における階調補正レベルLCは、ディザ法と誤差拡散法とに共通である。図8(A)のように、ディザ法については、目標階調(L)に階調補正レベル(LC)を加えた階調レベル(L+LC)と第1の合成比率(R)との積で定まる所定面積率のスクリーンMA23が適用される。誤差拡散法については、図7(B)のように、目標階調(L)に階調補正レベル(LC)を加えた階調レベル(L+LC)と第2の合成比率(1−R)との積で定まる所定面積率のスクリーンMA63が適用される。これにより、図8(C)のように、目標階調(L)に合致する面積率80%の合成画像M4が生成される。
【0032】
階調補正レベル(LC)は次のように第1の合成比率(R)と第2の合成比率(1−R)とによって決まる。
ここでは、
階調の最大値:L0
目標階調:L
階調補正レベル(第1スクリーン処理と第2スクリーン処理とで共通):LC
第1の合成比率:R
第2の合成比率:1−R
目標階調Lの面積率:SL=L/L0
補正後の階調レベルの面積率:SC=(L+LC)/L0
第1スクリーン処理の面積率:SC×R
第2スクリーン処理の面積率:SC×(1−R)
重複面積率:SC×R×SC×(1−R)=SC2×R×(1−R)
とする。階調補正後の階調レベルの面積率SCが目標階調Lの面積率SLと等しくなればよいので、すなわち、第1、第2のスクリーン処理の面積率の和から重複面積率を差し引いた値が面積率SLの値と一致すればよいので、
SC・R+SC・(1−R)−SC2・R・(1−R)=SL
を満たすLCを計算すればよい。階調補正レベルLCは下記の(1)式で表させる(導出の記述を省略)。
【0033】
【数1】
【0034】
図9は二つのスクリーン処理部にそれぞれ与える入力画像に共通の階調補正を加える場合の第1の合成比率Rと階調補正レベルLCとの関係を示すグラフである。図9では目標階調Lが64,126,192のそれぞれである場合について、上記(1)式によって計算した階調補正レベルLCが示されている。図のように、第1の合成比率Rが50%のとき、すなわち第1の合成比率Rと第2の合成比率(1−R)とが等しいとき、階調補正レベルLCが最も大きい。そして、合成比率Rが50%より小さいほど階調補正レベルLCが小さく、階調補正レベルLCが50%より大きいほど階調補正レベルLCが小さい。つまり、第1の合成比率Rと第2の合成比率(1−R)との差が小さいほど階調補正レベルLCは大きい。
【0035】
このような補正特性を特定する上記(1)式に基づいて、補正レベル決定部771,772(図5参照)は演算またはルックアップデーブルの参照によって階調補正レベルLCを決定し、階調補正部761,762が目標階調Lに階調補正レベルLCを加算する階調補正を行う。そして、スクリーン処理部751が補正後の階調レベル(L+LC)と第1の合成比率Rとに応じたスクリーン処理を行ない、スクリーン処理部752が補正後の階調レベル(L+LC)と第2の合成比率(1−R)とに応じたスクリーン処理を行う。
【0036】
以上では第1処理ブロック731および第2処理ブロック732において共通の階調補正を行なう例を説明したが、階調再現方法ごとに異なる量の階調補正を行ってもよい。例えば、第1処理ブロック731に入力する入力画像データD3に対してのみ階調補正を行なってよい。ここでは、
階調の最大値:L0
目標階調:L
階調補正レベル(第1スクリーン処理のみ):LC
第1の合成比率:R
第2の合成比率:1−R
目標階調Lの面積率:SL=L/L0
補正後の階調レベルの面積率:SC=(L+LC)/L0
第1スクリーン処理の面積率:SC×R
第2スクリーン処理の面積率:SL×(1−R)
重複面積率:SC×R×SL×(1−R)
とする。この場合も階調補正後の階調レベルの面積率SCが目標階調Lの面積率SLと等しくなればよいので、
SC・R+SL・(1−R)−SC・SL・R(1−R)=SL
となるLCを計算すればよい。階調補正レベルLCは下記の(1)式で表させる(導出の記述を省略)。
【0037】
【数2】
【0038】
図10は二つのスクリーン処理部の一方に階調補正をした入力画像を与え、他方に階調補正をしていない入力画像を与える場合の、第1の合成比率Rと階調補正レベルLCとの関係を示すグラフである。図10では目標階調Lが64,126,192のそれぞれである場合について、上記(2)式によって計算した階調補正レベルLCが示されている。図のように、この場合の補正特性は、階調補正をした入力画像に対応する合成比率Rが大きいほど階調補正レベルLCが小さい特性となる。
【0039】
以上の実施形態の変形として、例えば、第1のスクリーン処理の面積率または第2のスクリーン処理の面積率が予め決められた閾値を超える場合には、閾値を超える方のスクリーン処理の入力画像には階調補正を行わず、他方のスクリーン処理の入力画像に対してのみ階調補正を行ってもよい。これは、高濃度側の階調が階調補正を行なったがために飽和してしまう不都合を防ぐためである。
【0040】
さらに、階調補正を実施する条件を画像形成装置1のユーザーまたはサービスパーソンが指定するためのマンマシンインタフェースを設けてもよい。例えば、図11に示すような操作画面Q10を操作パネル35のディスプレイ351に表示させることにより、階調補正を行なうべき階調レベル範囲の上限を指定する操作が可能となる。操作画面Q10は、操作者が上限としたい階調レベルまたは合成比率を数値入力する領域903,904を有している。
【0041】
上述の実施形態によれば、スクリーン処理に先立って入力画像の濃度を大きくする階調補正を行うので、複数のスクリーン処理の結果を合成する際のドットの重複に起因する出力画像の濃度不足が軽減される。(1)式または(2)式に基づいて階調補正レベルLCを決定するので、入力と出力とで誤差の小さい階調再現が実現される。
【0042】
上述の実施形態において、適用する階調再現方法はディザ法と誤差拡散法との組み合わせに限らない。例えば、スクリーンパターンの異なる2種のディザ法を併用する場合にも本発明を適用することができる。階調補正部73の機能を例示のようにソフトウェアによって実現してもよいし、当該機能の全部または一部をハードウェアによって実現してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 画像形成装置
70 プリンターコントローラー(画像処理装置)
100 電気回路(画像処理回路)
D3 入力画像データ(入力画像)
730 入力階調補正部
R 合成比率(第1の比率)
D31 第1の画像
751 スクリーン処理部(第1処理部)
(1−R) 合成比率(第2の比率)
D32 第2の画像
752 スクリーン処理部(第2処理部)
D4 出力画像
734 画像合成部(合成部)
10 プリンターエンジン(作像機構)
Q10 画面(マンマシンインタフェース)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の階調再現方法および第2の階調再現方法を用いる画像処理をする画像処理装置であって、
入力画像に対して濃度を増大させる階調補正を行なう入力階調補正部と、
前記入力階調補正部によって階調補正された前記入力画像を、前記第1の階調再現方法を用いて、前記第1の階調再現方法の配分を定める第1の比率に応じた濃度を表す第1の画像に変換する第1処理部と、
前記入力階調補正部によって階調補正された前記入力画像または階調補正されていない前記入力画像を、前記第2の階調再現方法を用いて、前記第2の階調再現方法の配分を定める第2の比率に応じた濃度を表す第2の画像に変換する第2処理部と、
前記第1処理部によって得られる前記第1の画像と、前記第2処理部によって得られる前記第2の画像とを合成し、それによって出力画像を生成する合成部と、を備える
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記入力階調補正部は、前記階調補正として、前記第1の比率と前記第2の比率との差が小さいほど濃度の増大量が多くなるように、前記第1の比率および前記第2の比率に応じて濃度を増大させる補正を行なう
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記入力階調補正部は、前記階調補正として、第1の階調補正および当該第1の階調補正とは補正量の異なる第2の階調補正を行い、
前記第1処理部は、前記第1の階調補正が加えられた前記入力画像を前記第1の画像に変換し、
前記第2処理部は、前記第2の階調補正が加えられた前記入力画像を前記第2の画像に変換する
請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
第1の階調再現方法および第2の階調再現方法を用いる画像処理をする画像処理回路と、前記画像処理回路によって生成される画像を印刷する作像機構とを有する画像形成装置であって、
前記画像処理回路は、
入力画像に対して濃度を増大させる階調補正を行なう入力階調補正部と、
前記入力階調補正部によって階調補正された前記入力画像を、前記第1の階調再現方法を用いて、前記第1の階調再現方法の配分を定める第1の比率に応じた濃度を表す第1の画像に変換する第1処理部と、
前記入力階調補正部によって階調補正された前記入力画像または階調補正されていない前記入力画像を、前記第2の階調再現方法を用いて、前記第2の階調再現方法の配分を定める第2の比率に応じた濃度を表す第2の画像に変換する第2処理部と、
前記第1処理部によって得られる前記第1の画像と、前記第2処理部によって得られる前記第2の画像とを合成し、それによって出力画像を生成する合成部と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記入力階調補正部は、前記階調補正として、前記第1の比率と前記第2の比率との差が小さいほど濃度の増大量が多くなるように、前記第1の比率および前記第2の比率に応じて濃度を増大させる補正を行なう
請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記入力階調補正部は、前記階調補正として、第1の階調補正および当該第1の階調補正とは補正量の異なる第2の階調補正を行い、
前記第1処理部は、前記第1の階調補正が加えられた前記入力画像を前記第1の画像に変換し、
前記第2処理部は、前記第2の階調補正が加えられた前記入力画像を前記第2の画像に変換する
請求項4または5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記入力階調補正部は、前記入力画像のうちの設定濃度以下の部分のみの濃度を増大させる
請求項4ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記設定濃度を指定する操作のためのマンマシンインタフェースを備える
請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1の階調再現方法および前記第2の階調再現方法のうち、一方はディザ法であり、他方は誤差拡散法である
請求項4ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
第1の階調再現方法および第2の階調再現方法を用いる画像処理方法であって、
入力画像に対して濃度を増大させる階調補正を行ない、
階調補正された前記入力画像を、前記第1の階調再現方法を用いて、前記第1の階調再現方法の配分を定める第1の比率に応じた濃度を表す第1の画像に変換し、
階調補正された前記入力画像または階調補正されていない前記入力画像を、前記第2の階調再現方法を用いて、前記第2の階調再現方法の配分を定める第2の比率に応じた濃度を表す第2の画像に変換し、
前記第1の画像と前記第2の画像とを合成し、それによって出力画像を生成する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
前記第1の画像のドットと前記第2の画像のドットとの重複の度合いとして前記第1の比率と前記第2の比率との積を適用して定められた、ドットの重複による濃度の低下分を補う補正量を決める演算式に基づいて、前記階調補正の補正量を決める
請求項10記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記階調補正は、前記第1の比率と前記第2の比率との差が小さいほど濃度の増大量が多くなるように、前記第1の比率および前記第2の比率に応じて濃度を増大させる補正である
請求項11記載の画像処理方法。
【請求項13】
第1の階調再現方法および第2の階調再現方法を用いる画像処理を実現するコンピューターによって実行されるコンピュータープログラムであって、
入力画像に対して濃度を増大させる階調補正を行なう入力階調補正処理と、
前記入力階調補正処理によって階調補正された前記入力画像を、前記第1の階調再現方法を用いて、前記第1の階調再現方法の配分を定める第1の比率に応じた濃度を表す第1の画像に変換する第1処理と、
前記入力階調補正処理によって階調補正された前記入力画像または階調補正されていない前記入力画像を、前記第2の階調再現方法を用いて、前記第2の階調再現方法の配分を定める第2の比率に応じた濃度を表す第2の画像に変換する第2処理と、
前記第1処理によって得られる前記第1の画像と、前記第2処理によって得られる前記第2の画像とを合成し、それによって出力画像を生成する合成処理と、を前記コンピューターに実行させる
ことを特徴とするコンピュータープログラム。
【請求項1】
第1の階調再現方法および第2の階調再現方法を用いる画像処理をする画像処理装置であって、
入力画像に対して濃度を増大させる階調補正を行なう入力階調補正部と、
前記入力階調補正部によって階調補正された前記入力画像を、前記第1の階調再現方法を用いて、前記第1の階調再現方法の配分を定める第1の比率に応じた濃度を表す第1の画像に変換する第1処理部と、
前記入力階調補正部によって階調補正された前記入力画像または階調補正されていない前記入力画像を、前記第2の階調再現方法を用いて、前記第2の階調再現方法の配分を定める第2の比率に応じた濃度を表す第2の画像に変換する第2処理部と、
前記第1処理部によって得られる前記第1の画像と、前記第2処理部によって得られる前記第2の画像とを合成し、それによって出力画像を生成する合成部と、を備える
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記入力階調補正部は、前記階調補正として、前記第1の比率と前記第2の比率との差が小さいほど濃度の増大量が多くなるように、前記第1の比率および前記第2の比率に応じて濃度を増大させる補正を行なう
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記入力階調補正部は、前記階調補正として、第1の階調補正および当該第1の階調補正とは補正量の異なる第2の階調補正を行い、
前記第1処理部は、前記第1の階調補正が加えられた前記入力画像を前記第1の画像に変換し、
前記第2処理部は、前記第2の階調補正が加えられた前記入力画像を前記第2の画像に変換する
請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
第1の階調再現方法および第2の階調再現方法を用いる画像処理をする画像処理回路と、前記画像処理回路によって生成される画像を印刷する作像機構とを有する画像形成装置であって、
前記画像処理回路は、
入力画像に対して濃度を増大させる階調補正を行なう入力階調補正部と、
前記入力階調補正部によって階調補正された前記入力画像を、前記第1の階調再現方法を用いて、前記第1の階調再現方法の配分を定める第1の比率に応じた濃度を表す第1の画像に変換する第1処理部と、
前記入力階調補正部によって階調補正された前記入力画像または階調補正されていない前記入力画像を、前記第2の階調再現方法を用いて、前記第2の階調再現方法の配分を定める第2の比率に応じた濃度を表す第2の画像に変換する第2処理部と、
前記第1処理部によって得られる前記第1の画像と、前記第2処理部によって得られる前記第2の画像とを合成し、それによって出力画像を生成する合成部と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記入力階調補正部は、前記階調補正として、前記第1の比率と前記第2の比率との差が小さいほど濃度の増大量が多くなるように、前記第1の比率および前記第2の比率に応じて濃度を増大させる補正を行なう
請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記入力階調補正部は、前記階調補正として、第1の階調補正および当該第1の階調補正とは補正量の異なる第2の階調補正を行い、
前記第1処理部は、前記第1の階調補正が加えられた前記入力画像を前記第1の画像に変換し、
前記第2処理部は、前記第2の階調補正が加えられた前記入力画像を前記第2の画像に変換する
請求項4または5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記入力階調補正部は、前記入力画像のうちの設定濃度以下の部分のみの濃度を増大させる
請求項4ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記設定濃度を指定する操作のためのマンマシンインタフェースを備える
請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1の階調再現方法および前記第2の階調再現方法のうち、一方はディザ法であり、他方は誤差拡散法である
請求項4ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
第1の階調再現方法および第2の階調再現方法を用いる画像処理方法であって、
入力画像に対して濃度を増大させる階調補正を行ない、
階調補正された前記入力画像を、前記第1の階調再現方法を用いて、前記第1の階調再現方法の配分を定める第1の比率に応じた濃度を表す第1の画像に変換し、
階調補正された前記入力画像または階調補正されていない前記入力画像を、前記第2の階調再現方法を用いて、前記第2の階調再現方法の配分を定める第2の比率に応じた濃度を表す第2の画像に変換し、
前記第1の画像と前記第2の画像とを合成し、それによって出力画像を生成する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
前記第1の画像のドットと前記第2の画像のドットとの重複の度合いとして前記第1の比率と前記第2の比率との積を適用して定められた、ドットの重複による濃度の低下分を補う補正量を決める演算式に基づいて、前記階調補正の補正量を決める
請求項10記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記階調補正は、前記第1の比率と前記第2の比率との差が小さいほど濃度の増大量が多くなるように、前記第1の比率および前記第2の比率に応じて濃度を増大させる補正である
請求項11記載の画像処理方法。
【請求項13】
第1の階調再現方法および第2の階調再現方法を用いる画像処理を実現するコンピューターによって実行されるコンピュータープログラムであって、
入力画像に対して濃度を増大させる階調補正を行なう入力階調補正処理と、
前記入力階調補正処理によって階調補正された前記入力画像を、前記第1の階調再現方法を用いて、前記第1の階調再現方法の配分を定める第1の比率に応じた濃度を表す第1の画像に変換する第1処理と、
前記入力階調補正処理によって階調補正された前記入力画像または階調補正されていない前記入力画像を、前記第2の階調再現方法を用いて、前記第2の階調再現方法の配分を定める第2の比率に応じた濃度を表す第2の画像に変換する第2処理と、
前記第1処理によって得られる前記第1の画像と、前記第2処理によって得られる前記第2の画像とを合成し、それによって出力画像を生成する合成処理と、を前記コンピューターに実行させる
ことを特徴とするコンピュータープログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−26729(P2013−26729A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158136(P2011−158136)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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