説明

画像処理装置、画像形成装置及びプログラム

【課題】カラー画像から単色2値画像へ変換する際に発生する単色2値画像の一部の欠落発生の防止が図られた、単色2値画像の変換を実現すること。
【解決手段】カラー画像の画素毎に彩度値を算出する彩度算出回路部212c、算出された彩度値と予め設定された彩度閾値とを比較する彩度比較回路部、彩度比較回路部による比較結果に基づいて前記画素のカラー成分値を単色2値成分値に変換する論理和回路部212e、を有し、カラー画像を単色2値画像に変換する単色2値画像変換部210を備えた画像処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
原稿から読み取って取得した画像データ、又は、外部機器等から受信して取得した画像データに基づいて、画像を用紙に形成して出力する画像形成装置がある。このような画像形成装置では、用紙に形成する画像に対して、当該画像とは異なる画像をデジタル的な画像処理により付加して合成する画像付加合成機能を有するものがある。
【0003】
例えば、取得した画像を、社名やロゴ等のスタンプマークや用紙全面に薄く上書きするウォーターマークとして記憶し、使用する技術がある(特許文献1参照)。
【0004】
また、他の画像付加合成機能として、複製や偽造抑止のために、「地紋画像」を付加して合成する地紋付加合成機能がある。「地紋画像」は、人の視覚では用紙全面の薄い一様の濃度の色の画像に見えるが、複写後にドットが残る「潜像画像」と、複写後にドットが消える「背景画像」とから成り、複写された際には「潜像画像」が浮かび上がって見えるものである。
【0005】
この地紋付加合成機能としては、背景画像に対して出力線数よりも荒い線数で網点処理を行い、マスク画像の各画素値に応じて、網点処理された背景画像と網点処理されていない背景画像のいずれかの画像を選択することにより、マスク画像を潜像として背景画像に埋め込む技術がある(特許文献2参照)。
【0006】
しかし地紋画像は、用紙全面の一様の濃度の色に見える画像であるため、濃淡がある画像を潜像画像として用いることができない。従って、潜像画像は、中間階調の無い単色の2値画像(単色2値画像)である必要がある。そのため、カラー画像を潜像画像として用いる場合には、単色2値画像化する必要がある。
【0007】
カラー画像を単色2値画像化する場合には、人の比視覚感度特性に基づいてカラー画像の色成分値を輝度値に変換し、当該輝度値と予め設定された輝度閾値とを用いることが知られている。RGB成分値で表されるカラー画像の輝度値Yの変換式として、例えば、下記の式を用いることができる。
Y=0.299R+0.587G+0.114B
上記式を用いると、イエロー(R,G,B)=(100%,100%,0%)は輝度88.6%、シアン(R,G,B)=(0%,100%,100%)は輝度Y=70.1%となる。輝度閾値を50%に設定した場合、いずれも「白色」に変換される。
【0008】
このように、輝度閾値を用いてカラー画像を単色2値画像化する場合には、イエローやシアン等の彩度が高く視覚に対する刺激値が大きい色にもかかわらず高輝度な色は、「白色」に変換されてしまう。そのため、単色2値化された画像は、彩度が高く高輝度な色の画像の部分が欠けた状態となってしまう。また、イエローを「黒色」に変換するために輝度閾値が89%に設定された場合には、彩度が低く高輝度な色(例えば、ごく薄い灰色)まで「黒色」に変換されてしまう。
【0009】
このような問題に対して、色相角と彩度に応じた補正係数を求めてルックアップテーブルを作成し、当該ルックアップテーブルを用いてカラー画像をモノクロ画像に変換する技術(特許文献3参照)や、RGB成分値を予め設定された閾値に従って2値化し、2値化した各色成分の各黒データの組み合わせでモノクロ画像を得る技術が用いられている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−143389号公報
【特許文献2】特開2001−197297号公報
【特許文献3】特開平11−185017号公報
【特許文献4】特開2002−135606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献3では、補正係数とルックアップテーブルとを保持し、ルックアップテーブルを用いて補正量を算出しなくてはならず、2値化に要する画像処理が複雑となり処理負担が増加する。また、特許文献4では、有彩色に対して閾値の調整を行うとすると、無彩色の閾値も連動して変動してしまう。
【0012】
本発明の課題は、上記問題に鑑みて、カラー画像から単色2値画像へ変換する際に発生する単色2値画像の一部の欠落発生の防止が図られた単色2値画像の変換を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、カラー画像の画素毎に彩度値を算出する彩度算出部、前記算出された彩度値と予め設定された彩度閾値とを比較する彩度比較部、前記彩度比較部による比較結果に基づいて前記画素のカラー成分値を単色2値成分値に変換する2値化部、を有し、前記カラー画像を単色2値画像に変換する単色2値画像変換部を備える画像処理装置である。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記単色2値画像変換部は、前記カラー画像の画素毎に輝度値を算出する輝度算出部、前記算出された輝度値と予め設定された輝度閾値とを比較する輝度比較部、を有し、前記2値化部は、記彩度比較部による比較結果と前記輝度比較部による比較結果とに基づいて前記画素のカラー成分値を単色2値成分値に変換すること、を特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記彩度比較部は、前記算出された彩度値が前記彩度閾値以上か否かを比較し、前記輝度比較部は、前記算出された輝度値が前記輝度閾値以下か否かを比較し、前記2値化部は、前記算出された彩度値が前記彩度閾値以上の場合、又は、前記算出された輝度値が前記輝度閾値以下の場合、前記画素のカラー成分値を黒を示す単色2値成分値に変換すること、を特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の画像処理装置において、前記カラー画像の各画素のカラー成分値は、R成分値,G成分値,B成分値により構成されており、前記彩度算出部は、前記R成分値,G成分値,B成分値のうち最大の成分値と最小の成分値との差を彩度値として算出すること、を特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記輝度閾値の設定変更の指示の入力を受け付ける輝度閾値設定部を備えること、を特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記彩度閾値の設定変更の指示の入力を受け付ける彩度閾値設定部を備えること、を特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項2から4のいずれか一項に記載の画像処理装置と、地紋画像を構成する潜像画像を記憶する記憶部と、前記カラー画像が前記画像処理装置により変換された前記単色2値画像を前記潜像画像として前記記憶部に記憶させる制御部と、を備える画像形成装置である。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、画像を用紙に形成して出力するプリント部を備え、前記制御部は、前記単色2値画像を前記記憶部に記憶させる前に、当該単色2値画像を潜像画像として用いた地紋画像を生成し、予め設定されているサンプル画像に当該地紋画像が合成された画像を前記プリント部により用紙に形成させること、を特徴とする。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の画像形成装置において、前記単色2値画像を、特定のユーザのみ使用可能な潜像画像、又は、不特定のユーザが使用可能な潜像画像、として前記記憶部に記憶することを示す潜像選択指示を受け付ける潜像選択入力部を備え、前記制御部は、前記潜像選択入力部により受け付けられた潜像選択指示に応じて、前記単色2値画像を、特定のユーザのみ使用可能な潜像画像、又は、不特定のユーザが使用可能な潜像画像、として前記記憶部に記憶すること、を特徴とする。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項7から9のいずれか一項に記載の画像形成装置において、用紙に形成されたカラー画像を読み取る画像読取部を備え、前記画像処理装置は、前記画像読取部により読み取られたカラー画像を単色2値画像に変換すること、を特徴とする。
【0023】
請求項11に記載の発明は、請求項7から9のいずれか一項に記載の画像形成装置において、外部装置からカラー画像のデータが入力される通信部を備え、前記画像処理装置は、前記通信部により入力されたデータにより生成されるカラー画像を単色2値画像に変換すること、を特徴とする。
【0024】
請求項12に記載の発明は、請求項7から11のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記記憶部は、複数の彩度閾値及び複数の輝度閾値を予め記憶しており、前記記憶部に記憶されている複数の彩度閾値及び複数の輝度閾値による彩度閾値と輝度閾値との複数の組み合わせのうち、いずれか一つの組み合わせを示す選択指示の入力を受け付ける組み合わせ選択入力部と、前記複数の組み合わせそれぞれに対する前記単色2値画像を出力する出力部と、を備え、前記制御部は、前記複数の組み合わせそれぞれに対する前記単色2値画像を前記画像処理装置により生成させ、前記組み合わせ選択入力部により受け付けた選択指示が示す組み合わせの彩度閾値及び輝度閾値を用いて前記画像処理装置が生成した前記単色2値画像を、前記潜像画像として前記記憶部に記憶させること、を特徴とする。
【0025】
請求項13に記載の発明は、請求項7から11のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記彩度閾値の指定の入力を受け付ける彩度閾値入力部と、前記輝度閾値の指定の入力を受け付ける輝度閾値入力部と、前記画像処理装置によって生成された前記単色2値画像を表示する表示部と、前記表示部に表示されている前記単色2値画像を前記潜像画像として前記記憶部に記憶させる記憶指示の入力を受け付ける記憶指示入力部と、を備え、前記制御部は、前記彩度閾値入力部により指定された彩度閾値と、前記輝度閾値入力部により指定された輝度閾値とに基づいて前記単色2値画像を前記画像処理装置により生成させ、前記記憶指示入力部により受け付けた記憶指示に応じて、前記表示部に表示されている前記単色2値画像を前記潜像画像として前記記憶部に記憶させること、を特徴とする。
【0026】
請求項14に記載の発明は、コンピュータを、カラー画像の画素毎に彩度値を算出する彩度算出手段、前記算出された彩度値と予め設定された彩度閾値とを比較する彩度比較手段、前記彩度比較手段による比較結果に基づいて前記画素のカラー成分値を単色2値成分値に変換する2値化手段、として機能し、前記カラー画像を単色2値画像に変換する単色2値画像変換手段、として機能させるためのプログラムである。
【0027】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載のプログラムにおいて、前記単色2値画像変換手段は、前記カラー画像の画素毎に輝度値を算出する輝度算出手段、前記算出された輝度値と予め設定された輝度閾値とを比較する輝度比較手段、として機能し、前記2値化手段は、前記彩度比較手段による比較結果と前記輝度比較手段による比較結果とに基づいて前記画素のカラー成分値を単色2値成分値に変換すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1、14に記載の発明によれば、彩度に基づいてカラー成分値を単色2値成分値に変換して、カラー画像を単色2値画像に変換することができ、視覚刺激値に応じた単色2値画像を得ることができるため、カラー画像から単色2値画像へ変換する際に発生する単色2値画像の一部の欠落発生の防止を図ることができる。
【0029】
請求項2、15に記載の発明によれば、請求項1と同様の効果を得られるのは勿論のこと、算出された彩度値と予め設定された彩度閾値との比較結果と、算出された輝度値と予め設定された輝度閾値との比較結果と、に基づいてカラー成分値を単色2値成分値に変換してカラー画像を単色2値画像に変換することができるため、比視覚感度特性及び視覚刺激値に応じた単色2値画像を得ることができる。
【0030】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2と同様の効果を得られるのは勿論のこと、算出された彩度値が彩度閾値以上の場合、又は、算出された輝度値が輝度閾値以下の場合、カラー成分値を黒を示す単色2値成分値に変換することができるため、比視覚感度特性の高い高輝度の画素、又は、視覚刺激値の大きい高彩度の画素が黒画素に変換されたモノクロの2値画像を得ることができる。
【0031】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3と同様の効果を得られるのは勿論のこと、カラー成分値を構成するR成分値,G成分値,B成分値のうち最大の成分値と最小の成分値との差を彩度値として算出することができるため、彩度値の算出負荷を低減することができ、処理速度の向上を図ることができる。
【0032】
請求項5に記載の発明によれば、請求項2から4のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、輝度閾値の設定変更の指示の入力を受け付けることができる。
【0033】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1から5のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、彩度閾値の設定変更の指示の入力を受け付けることができる。
【0034】
請求項7に記載の発明によれば、請求項2から4と同様の効果を得られるのは勿論のこと、カラー画像が画像処理装置により変換された単色2値画像を潜像画像として記憶することができるため、カラー画像から単色2値画像へ変換する際に発生する単色2値画像の一部の欠落発生の防止が図られた単色2値画像を、地紋画像の潜像画像として用いることができる。
【0035】
請求項8に記載の発明によれば、請求項7と同様の効果を得られるのは勿論のこと、単色2値画像を記憶部に記憶させる前に、当該単色2値画像を潜像画像として用いた地紋画像を用いた画像を用紙に形成して出力できるため、単色2値画像を潜像画像として用いた場合の地紋画像の確認をユーザに行わせることができる。
【0036】
請求項9に記載の発明によれば、請求項7又は8と同様の効果を得られるのは勿論のこと、潜像選択指示に応じて、単色2値画像を、特定のユーザのみ使用可能な潜像画像、又は、不特定のユーザが使用可能な潜像画像、として記憶部に記憶することができる。
【0037】
請求項10に記載の発明によれば、請求項7から9のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、画像読取部により読み取られたカラー画像を単色2値画像に変換することができる。
【0038】
請求項11に記載の発明によれば、請求項7から9のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、通信部により入力されたデータにより生成されるカラー画像を単色2値画像に変換することができる。
【0039】
請求項12に記載の発明によれば、請求項7から11のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、出力された彩度閾値と輝度閾値との複数の組み合わせそれぞれに対する単色2値画像に基づいて、彩度閾値と輝度閾値との複数の組み合わせのうち、いずれか一つの組み合わせを示す選択指示を受け付けることができる。そのため、具体的な彩度閾値及び輝度閾値をユーザに意識させることなく、彩度閾値と輝度閾値との組み合わせをユーザに選択させることができ、ユーザが所望する単色2値画像を潜像画像として記憶させることができる。
【0040】
請求項13に記載の発明によれば、請求項7から11のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、彩度閾値入力部により指定された彩度閾値と、輝度閾値入力部により指定された輝度閾値とに基づいて生成された単色2値画像を表示させることができ、表示された単色2値画像を潜像画像として記憶させることができる。そのため、単色2値画像をユーザに確認させながら彩度閾値又は輝度閾値の変更を行わせることができ、ユーザが所望する単色2値画像を潜像画像として記憶させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本体制御部の機能構成図である。
【図3】ハードウェア回路によって構成された単色2値画像変換部の回路構成例を示す図である。
【図4】(a)はR,G,Bのカラー成分値で示した色の例、(b)は図4(a)に示すR,G,Bのカラー成分値で示された色をC,M,Yの各成分値で表した場合の例、(c)は図4(b)に示した関係をR,G,Bのカラー成分値に置き換えた場合の例、を示す図である。
【図5】ソフトウェアで実現された単色2値画像変換部が実行する単色2値画像変換処理のフローチャートである。
【図6】潜像画像登録処理のフローチャートである。
【図7】潜像画像登録処理のフローチャートである(図6の続き)。
【図8】取得画像種選択画面が表示された操作表示部の例を示す図である。
【図9】ステップS21において取得したカラー画像の例を示す図である。
【図10】図9に示すカラー画像に基づいてステップS28において出力される閾値選択シートの例を示す図である。
【図11】(a)は各文字画像の色を示すカラー成分値、輝度値、彩度値の例、(b)は輝度閾値のみで生成した各文字画像の単色2値画像の例、(c)は彩度閾値のみで生成した各文字画像の単色2値画像の例、を示す図である。
【図12】ステップS21において取得したカラー画像の他の例を示す図である。
【図13】(a)は図12に示すカラー画像を所定の輝度閾値のみを用いて2値化した単色2値画像の例、(b)は図12に示すカラー画像を所定の彩度閾値のみを用いて2値化した単色2値画像の例、を示す図である。
【図14】図12に示すカラー画像に基づいてステップS28において出力される閾値選択シートの例を示す図である。
【図15】画像選択画面が表示された操作表示部の例を示す図である。
【図16】確認印刷画面が表示された操作表示部の例を示す図である。
【図17】地紋確認画像の例を示す図である。
【図18】画像登録画面が表示された操作表示部の例を示す図である。
【図19】ステップS21〜S33の代替例のフローチャートである。
【図20】閾値調整画面が表示された操作表示部の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
図1に、本実施の形態における画像形成装置1の概略構成図を示す。
図1に示す画像形成装置1は、原稿からカラー画像を読み取り、読み取ったカラー画像を用紙に画像形成したり、外部装置等からジョブデータを受信し、受信したジョブデータに基づいてカラー画像を用紙上に形成したりするデジタル複合機(MFP:Multi Function Printer)である。
図1に示すように、画像形成装置1は、画像読取部2、操作表示部3、プリント部4、本体制御部5等を備えて構成されている。
【0043】
画像読取部2は、イメージセンサ、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿送り部、読取部等から構成される。画像読取部2は、本体制御部5からの指示に従って、イメージセンサ、自動原稿送り部、読取部等を制御して、複数の原稿のカラー画像を読み取り、読み取った画像のデータをレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の光の三原色の成分に分解された電気信号として取得する。なお、画像とは、図形や写真等のイメージデータに限らず、文字や記号等のテキストデータ等も含む意である。
【0044】
操作表示部3は、表示部、操作部等から構成される。
操作表示部3は、本体制御部5が有する操作表示制御部から入力される表示信号に従って、各種設定条件を入力するための各種画面や各種処理結果等をLCD(Liquid Crystal Display)等から構成される表示部に表示させる。また、操作表示部3は、各種スイッチやボタン、テンキー、操作キー群又はタッチパネルを備える操作部から入力される操作信号を本体制御部5に出力する。
【0045】
プリント部4は、電子写真方式のタンデム方式を用いてカラー画像の画像形成処理を行うものであり、給紙部10、用紙搬送部20、画像形成部30、定着部40、搬出部50等のプリント出力に係る各部を備えて構成される。
【0046】
給紙部は、複数の給紙トレイ11と、給紙トレイ毎に設けられた給紙ローラ、分離ローラ、給紙/分離ゴム、送り出しローラ等からなる給紙手段12とを備える。各給紙トレイには、用紙の種類(紙種、坪量、用紙サイズ等)毎に予め識別された用紙が格納されている。給紙トレイに格納された用紙は、用紙の最上部から一枚ずつ給紙手段12により用紙搬送部20に向けて搬送される。
【0047】
用紙搬送部20は、給紙部10から搬送された用紙を、複数のローラ、タイミングローラ21、22等を経る画像形成部30への用紙搬送経路上に用紙を搬送する。
【0048】
画像形成部30は、作像ユニット30Y、30M、30C、30K、中間転写ベルト35、クリーニング装置36、二次転写ローラ37等を備え、用紙上に画像が形成された出力物を生成する。
【0049】
作像ユニット30Y、30M、30C、30Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色それぞれのトナー画像を形成して中間転写ベルト35へ転写(一次転写)する。作像ユニット30Yはイエロー(Y)のトナー画像を、作像ユニット30Mはマゼンダ(M)のトナー画像を、作像ユニット30Cはシアン(C)のトナー画像を、作像ユニット30Kはブラック(K)即ち黒のトナー画像を形成して中間転写ベルト35へ一次転写する。
【0050】
作像ユニット30Y、30M、30C、30Kそれぞれは、感光体ドラム31、レーザ走査ユニット32、現像ユニット33、一次転写ローラ34、図示しない帯電器、クリーニング器等を備える。感光体ドラム31は、図中時計回り方向(副走査方向)に回転し、図示しない帯電器によってその外周面が一様に帯電される。レーザ走査ユニット32は、レーザ光源を変調して発生したレーザ光をポリゴンミラーにより偏向することによって感光体ドラム31を主走査方向に光走査して当該感光体ドラム31に静電潜像を形成する。現像ユニット33は、潜像が形成された感光体ドラム31に対してトナーを付着させてトナー画像を形成する現像処理を行う。
【0051】
作像ユニット30Y、30M、30C、30Kそれぞれの感光体ドラム31は、それぞれ個別の一次転写ローラ34と対向する位置に設けられている。各感光体ドラム31に形成された各色のトナー画像は、各一次転写ローラ34により付与される電界によって中間転写ベルト35へ一次転写される。
【0052】
なお、作像ユニット30Y、30M、30C、30Kは、それぞれ転写後の感光体ドラム31に残留したトナーや残留電荷がクリーニング器によってクリーニングされた後に次のトナー画像を形成し、転写する。
【0053】
中間転写ベルト35は、各種ローラに無端状に担持されており、図1に示す矢印Vの方向に沿って駆動される。
作像ユニット30Y、30M、30C、30Kにより一次転写された各色のトナー画像は、中間転写ベルト35上の二次転写ローラ37により付与される電界によって用紙へ一括転写(二次転写)される。
二次転写後の中間転写ベルト35は、クリーニング装置36によってクリーニングされる。
【0054】
定着部40は、加熱ローラ41及び加圧ローラ42等から構成され、用紙に転写されたトナー像を熱定着する。
加熱ローラ41は、その内部に発熱するための構成を有し、外周面を加熱することにより当該外周面に当接する用紙を加熱する。加圧ローラ42は、用紙の搬送経路を挟んで加熱ローラ41と対向する位置に設けられ、加熱ローラ41と協働して用紙を挟み込む。加熱ローラ41と加圧ローラ42とにより挟み込まれた用紙は、加熱及び加圧される。転写されたトナー画像は、この加熱及び加圧によって用紙に定着される。
【0055】
搬出部50は、定着処理された用紙を、排紙ローラ51、52等により挟持して排紙トレイ上に排出する。
【0056】
図2に、本実施の形態における本体制御部5の機能構成図を示す。
図2に示すように、画像形成装置1は、制御部100、記憶部110、RAM(Random Access Memory)120、画像処理部200、操作表示制御部300、プリント制御部400、印刷画像メモリ410、データ受信部500等を備えており、各部はバス等によってデータ送受信可能な状態に電気的に接続されている。
なお、図1と同様の部分には同様の符号を付し、説明は省略する。
【0057】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、記憶部110に格納されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを読み出してRAM120に展開し、RAM120に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行し、画像形成装置1の各部を集中制御する。
【0058】
また、制御部100は、記憶部110から本実施の形態に係る潜像画像登録処理プログラムと、当該プログラムの実行に必要な各種データとの協働により、潜像画像登録処理を実行する。
【0059】
潜像画像登録処理では、データ受信部500から入力され画像処理部200によりカラー画像から変換された単色2値画像が、潜像画像として記憶部110に記憶されることにより登録される。
【0060】
記憶部110は、HDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の読み書き可能な記憶媒体あり、画像形成に係る各種処理プログラム及び各種データの他、本実施の形態に係る潜像画像登録処理プログラム、当該潜像画像登録処理プログラムの実行に必要な各種データ、各種プログラムで処理されたデータ等を記憶する。
【0061】
また、記憶部110は、特定のユーザそれぞれに対して、各ユーザを識別する識別情報(ユーザID、ログインパスワード等)を記憶している。また、記憶部110は、地紋画像を構成する潜像画像として使用される単色2値画像を記憶している。この潜像画像として使用される単色2値画像は、特定のユーザそれぞれ専用の記憶領域(ユーザ別メモリ領域)又は不特定のユーザ共用の記憶領域(共用メモリ領域)に記憶される。
更に、記憶部は、画像処理部200内で使用される複数の彩度閾値及び複数の輝度閾値を予め記憶している。
【0062】
RAM120は、制御部100により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係る各種データ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0063】
画像処理部200は、単色2値画像変換部210、地紋画像生成部、色変換部、ハーフトーン処理部等を備えて構成されており、各種画像処理を実行する画像処理装置である。
【0064】
単色2値画像変換部210は、カラー画像をモノクロの単色2値画像に変換する単色2値画像変換処理を行なう。単色2値画像変換処理は、ハードウェア又はソフトウェアによって実現される。なお、詳細は後述する。
【0065】
地紋画像生成部は、記憶部110に記憶されている潜像画像と背景画像とを合成し、地紋画像を生成する。そして、生成した地紋画像を、画像読取部2又は外部装置から入力された画像や予め設定されたサンプル画像と合成し、印刷画像データを生成する。また、本実施の形態では、単色2値画像変換部210により生成された単色2値画像を潜像画像とし、当該潜像画像と背景画像とを合成して地紋画像を生成する。
【0066】
色変換部は、RGB成分値のカラー画像のデータをCMYK成分値のカラー画像のデータに変換する。ハーフトーン処理部は、ディザスクリーン処理、誤差拡散処理等を行なって中間調の再現処理を行なう。
【0067】
操作表示制御部300は、制御部100から入力される表示信号に従って、各種設定条件を入力するための各種画面や各種処理結果等を操作表示部3に表示させる。また、操作表示制御部300は、操作表示部3から入力される操作信号を制御部100に出力する。
【0068】
プリント制御部400は、制御部100からの指示に従ってプリント部4の各部の動作を制御し、印刷画像メモリ410から入力される印刷画像データに基づいて画像形成を行わせる。
【0069】
印刷画像メモリ410は、HDD(Hard Disk Drive)、DRAM(Dynamic RAM)等により構成され、画像処理部200により各種画像処理が施された印刷画像データを記憶する。印刷画像メモリ410は、制御部100からの指示に従って、データ受信部500から入力された印刷画像データを記憶して保存したり、印刷画像メモリ410に記憶されている印刷画像データを読み出して画像処理部200に出力したり、画像処理部200により各種画像処理が施された画像データ(印刷画像データ)を記憶し、1ページ毎に印刷画像データをプリント制御部400に出力したりする。
【0070】
データ受信部500は、画像データを受信する。具体的には、データ受信部500は、画像読取部2や外部機器と接続され、カラー画像を生成するデータを受信し、通信部として機能する。データ受信部500と、画像読取部2や外部機器等の画像データの送信元との接続の形態は特に限定されない。例えば専用のバスでもよいし、既知のシリアル又はパラレル転送規格による接続でもよいし、ネットワーク接続によってもよい。既知のシリアル又はパラレル転送規格による接続の例として、例えばRS−232CやSCSI、USB、IEEE1394等が挙げられる。これらの接続形態は、有線/無線を問わず、また将来発明される接続方法を用いることを妨げない。
【0071】
図3に、ハードウェアによって構成された単色2値画像変換部210の回路構成例を示す。図3に示すように、単色2値画像変換部210は、カラー画像メモリ211と、変換部212と、単色2値画像メモリ213とを備えて構成されている。
【0072】
カラー画像メモリ211には、制御部100からの指示により、RGB成分値のカラー画像が格納される。変換部212は、カラー画像メモリ211から1画素毎にカラー成分値を読み出し、モノクロの単色2値成分値に変換する。単色2値画像メモリ213は、変換部212から1画素毎に単色2値成分値が入力され、単色2値画像を格納する。
【0073】
変換部212は、輝度算出回路部212a、輝度比較回路部212b、彩度算出回路部212c、彩度比較回路部212d、論理和回路部212e、図示しない輝度閾値レジスタ、彩度閾値レジスタ等を備えて構成されている。
【0074】
輝度算出回路部212aは、カラー画像メモリ211から入力される各画素のカラー成分値と、輝度値Yへの変換式(式1)とを用いて、カラー画像の画素毎に輝度値Yを算出し、輝度算出部として機能する。カラー成分値は、レッドの成分値R、グリーンの成分値G、ブルーの成分値Bから構成されている。
Y=0.299R+0.587G+0.114B ・・・(式1)
【0075】
輝度比較回路部212bは、コンパレータ等を用いて構成されており、輝度算出回路部212aから入力される輝度値Yが、制御部100により輝度閾値レジスタに設定された輝度閾値Ty以下か否かを比較し、輝度比較部として機能する。輝度比較回路部212bは、輝度値Yが輝度閾値Ty以下の場合には輝度比較値Vy=1、輝度値Yが輝度閾値Tyよりも大きい場合には輝度比較値Vy=0、を出力する。
【0076】
彩度算出回路部212cは、カラー画像メモリ211から入力される各画素のカラー成分値(R,G,B)に基づいて、当該R,G,Bの各成分値うち最大の成分値と最小の成分値との差を彩度値Sとして算出し、彩度算出部として機能する。
【0077】
図4を参照して、カラー成分値(R,G,B)を用いた彩度値の算出について説明する。図4(a)に、R,G,Bのカラー成分値で示した色の例を示し、図4(b)に、図4(a)に示すR,G,Bのカラー成分値で示された色をR,G,Bの補色であるシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各成分値で表した場合の例を示し、図4(c)に、図4(b)に示した関係をR,G,Bのカラー成分値に置き換えた場合の例を示す。
【0078】
図4(a)に示すR,G,Bのカラー成分値で示した色を、C,M,Yの成分値で表すと図4(b)のようになる。図4(b)に示すように、図4(a)に示す色の成分は、無彩色成分Grに有彩色成分Saが乗っているとみなすことができる。図4(b)に示す無彩色成分Grと有彩色成分Saとの関係を、図4(c)に示すようにR,G,Bの各成分値に置き換えると、最大の成分値(図4(c)では、R成分値)と最小の成分値(図4(c)ではG成分値)との差が有彩色成分Saに対応する。従って、R,G,Bの各成分値のうち最大の成分値と最小の成分値との差を彩度値Sとみなすことができる。
【0079】
なお、RGB色空間で示されるカラー成分値をL*a*b*又はYCC(YCbCr等)の色空間への変換を経由して彩度値を算出する方法もあるが、二乗計算や平方根計算等の複雑な計算が必要となり、回路構成が大きくなってコストの増大をまねくおそれがある。また、HSL(色相/彩度/明度)空間による彩度定義を用いることも可能だが、黒に近い明度(輝度)の低い色であっても彩度値が大きくなるという問題がある。
【0080】
彩度比較回路部212dは、コンパレータ等を用いて構成されており、彩度算出回路部212cから入力される彩度値Sが、制御部100により彩度閾値レジスタに設定された彩度閾値Ts以上か否かを比較し、彩度比較部として機能する。彩度比較回路部212dは、彩度値Sが彩度閾値Ts以上の場合には彩度比較値Vs=1、彩度値Sが彩度閾値Tsよりも小さい場合には彩度比較値Vs=0、を出力する。
【0081】
論理和回路部212eは、輝度比較回路部212bによる比較結果と、彩度比較回路部212dによる比較結果と、に基づいて、各画素のカラー成分値をモノクロの単色2値成分値に変換する2値化部として機能する。
論理和回路部212eは、例えば、OR回路等を用いて構成されており、輝度比較回路部212bから入力される輝度比較値Vyと、彩度比較回路部212dから入力される彩度比較値Vsと、の論理和を単色2値成分値BWとして出力する。
【0082】
従って、カラー成分値が示す輝度値Yが輝度閾値以下(Y≦Ty)、又は、彩度値Sが彩度閾値以上(S≧Ts)の場合には単色2値成分値BW=1、輝度値Yが輝度閾値より大きい(Y>y)、かつ、彩度値Sが彩度閾値より小さい(S<Ts)の場合には単色2値成分値BW=0、となる。単色2値成分値BW=1を黒、単色2値成分値BW=0を白と定義することで、モノクロの単色2値成分値が生成される。
【0083】
図5に、ソフトウェア(プログラム)の実行により実現される単色2値画像変換部での単色2値画像変換処理のフローチャートを示す。図5に示す単色2値画像変換処理は、制御部100が記憶部110に予め記憶されている単色2値画像変換処理プログラムや各種必要なデータをRAM120に展開して実行することにより実現される。
【0084】
単色2値画像変換処理の実行前に、カラー画像の幅W(主走査方向の画素数、即ち、1ライン分の画素数)、及び、高さH(副走査方向の画素数、即ち、ライン数)は、取得されているものとする。この場合、原点(0,0)を基点として、幅方向をx座標、高さ方向をy座標とすると、カラー画像を構成する各画素の座標(x,y)のx座標は0〜W−1、y座標は0〜H−1の座標の範囲内となる。
また、カラー画像を格納する領域(カラー画像メモリ領域)、及び単色2値画像を格納する領域(単色2値画像メモリ領域)は、RAM120内の予め設定された領域が用いられる。
【0085】
制御部100は、カラー成分値から単色2値成分値への変換対象となる画素(2値変換対象画素)のy座標を初期化(y=0)する(ステップS1)。また、制御部100は、2値変換対象画素のx座標を初期化(x=0)する(ステップS2)。
【0086】
制御部100は、2値変換対象画素の座標(x,y)のカラー成分値(R,G,B)をカラー画像メモリ領域に格納されているカラー画像から読み出し(ステップS3)、2値変換対象画素の座標(x,y)の輝度値Yを算出する(ステップS4)。なお、輝度値Yは、上述した(式1)を用いて算出される。
【0087】
制御部100は、ステップS4において算出した輝度値Yと、後述する潜像画像登録処理の実行により設定された輝度閾値Tyとを比較し、輝度値Yが輝度閾値Ty以下か否かを判別する(ステップS5)。
【0088】
輝度値Yが輝度閾値Tyよりも大きい場合(ステップS5;NO)、制御部100は、2値変換対象画素の座標(x,y)の彩度値Sを算出する(ステップS6)。
彩度値Sは、カラー成分値(R,G,B)を用いて、当該R,G,Bの各成分値のうち最大の成分値と最小の成分値との差を彩度値Sとして算出される。なお、彩度値Sの算出の詳細については、図4を参照して上述しているため、説明は省略する。
【0089】
制御部100は、ステップS6において算出した彩度値Sと、後述する潜像画像登録処理の実行により設定された彩度閾値Tsとを比較し、彩度値Sが彩度閾値Ts以上か否かを判別する(ステップS7)。
【0090】
彩度値Sが彩度閾値Tsよりも小さい場合(ステップS7;NO)、制御部100は、2値変換対象画素の座標(x,y)の単色2値成分値BWを0(白)に設定する(ステップS8)。一方、制御部100は、輝度値Yが輝度閾値Ty以下の場合(ステップS5;YES)、又は、彩度値Sが彩度閾値Ts以上の場合(ステップS7;YES)、2値変換対象画素の座標(x,y)の単色2値成分値BWを1(黒)に設定する(ステップS9)。そして、制御部100は、ステップS8又はステップS9後、2値変換対象画素の座標(x,y)に対して設定した単色2値成分値BWを単色2値画像メモリ領域に格納する。
【0091】
ステップS8又はステップS9後、制御部100は、2値変換対象画素のx座標を更新(インクリメント(x=x+1))する(ステップS10)。制御部100は、x座標値が幅W以上か否かを判別することにより、x座標方向の1ライン分の画素の単色2値化が終了したか否かを判別する(ステップS11)。
【0092】
x座標方向の1ライン分の画素の単色2値化が終了していない場合(x<W)(ステップS11;NO)、制御部100は、ステップS3の処理に戻る。x座標方向の1ライン分の画素の単色2値化が終了した場合(x≧W)(ステップS11;YES)、制御部100は、2値変換対象画素のy座標を更新(インクリメント(y=y+1))する(ステップS12)。
【0093】
制御部100は、y座標値が高さH以上か否かを判別することにより、全ラインの単色2値化が終了したか否かを判別する(ステップS13)。全ラインの単色2値化が終了していない場合(y<H)(ステップS13;NO)、制御部100は、ステップS2の処理に戻り、全ラインの単色2値化が終了した場合(y≧H)(ステップS13;YES)、制御部100は、単色2値画像変換処理を終了する。
【0094】
従って、ステップS4が輝度算出部、ステップS5が輝度比較部、ステップS6が彩度算出部、ステップS7が彩度比較部、ステップS8及びS9が2値化部、としての機能を実現する。
【0095】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
図6、図7に、本実施の形態における潜像画像登録処理のフローチャートを示す。
図6、図7に示す潜像画像登録処理は、制御部100が記憶部110に予め記憶されている潜像画像登録処理プログラムや各種必要なデータをRAM120に展開して実行することにより実現される。
なお、図6、図7に示す潜像画像登録処理では、単色2値画像変換部210が図3に示すハードウェアにより構成されている場合を適用する。
【0096】
まず、制御部100は、図8に示すような取得画像種選択画面G1を操作表示部3に表示させる。取得画像種選択画面G1は、データ受信部500により取得した画像をスタンプ、ウォーターマーク、地紋画像の潜像画像、のいずれかの画像として取得するか否かの指示を受け付けるものである。
【0097】
図8に示す操作表示部3には、矢印ボタンB11、OKボタンB12、キャンセルボタンB13が設けられており、図8に示す操作表示部3上に取得画像種選択画面G1が表示されている。取得画像種選択画面G1には、矢印ボタンB11の操作により選択可能な項目(スタンプK11、ウォーターマークK12、地紋K13)が設けられている。
矢印ボタンB11は、画面上に表示された項目のうち選択する項目(選択項目)を移動させるボタンであり、選択項目を画面上において上下方向に移動させる上下方向ボタン、左右方向に移動させる左右方向ボタンから成る。OKボタンB12は、選択項目が示す内容を確定するボタンである。キャンセルボタンB13は、操作表示部3上に表示されている画面の内容を取り消し、現在表示されている画面よりも上位の画面に戻るボタンである。
【0098】
取得画像種選択画面G1の地紋K13が選択された状態でOKボタンB12が押下されると、データ受信部500により取得した画像を地紋画像として取得すると判別され、潜像画像登録処理の実行が開始される。
【0099】
制御部100は、データ受信部500によりカラー画像のデータを取得すると、カラー画像の画像領域を抽出してカラー画像メモリに格納する。また、制御部100は、当該カラー画像の幅W及び高さHを取得する(ステップS21)。
【0100】
制御部100は、記憶部110に予め記憶されている閾値選択シート画像を生成するための枠画像を設定し、当該枠画像を印刷画像メモリ410に格納する(ステップS22)。
【0101】
制御部100は、記憶部110内に予め設定されている複数の輝度閾値、及び、予め設定されている複数の彩度閾値から、輝度閾値と彩度閾値との組み合わせを設定し、設定した組み合わせの輝度閾値及び彩度閾値を単色2値画像変換部210で用いる輝度閾値及び彩度閾値として設定する(ステップS23)。
【0102】
例えば、複数の輝度閾値が−10%、30%、40%、50%、60%、70%が設定されており、複数の彩度閾値が30%、40%、50%、60%、70%、110%が設定されている場合には、輝度閾値−10%及び彩度閾値30%の組み合わせ、輝度閾値−10%及び彩度閾値40%の組み合わせ、…、のように、各輝度閾値が全ての彩度閾値と組みとなるように、組み合わせが設定される。
【0103】
制御部100は、単色2値画像変換部210に対して単色2値画像変換処理を実行させ(ステップS24)、ステップS24において生成された単色2値画像を枠画像に合成可能なサイズに変換し(ステップS25)、サイズ変換した単色2値画像を枠画像の所定位置に合成する(ステップS26)。
【0104】
制御部100は、輝度閾値と彩度閾値との全ての組み合わせに対する単色2値画像の生成が終了したか否かを判別する(ステップS27)。輝度閾値と彩度閾値との全ての組み合わせに対する単色2値画像の生成が終了していな場合(ステップS27;NO)、制御部100は、ステップS23の処理に戻り、単色2値画像を生成していない輝度閾値と彩度閾値との組み合わせを設定する。
【0105】
輝度閾値と彩度閾値との全ての組み合わせに対する単色2値画像の生成が終了した場合(ステップS27;YES)、制御部100は、プリント制御部400に対して、印刷画像メモリ410内に格納された枠画像と、サイズ変換された複数の単色2値画像と、を合成して閾値選択シート画像の印刷画像データを生成し、プリント出力の実行を指示する(ステップS28)。プリント制御部400は、制御部100からの指示に応じて、プリント部4により閾値選択シート画像を用紙に形成させ、閾値選択シートを出力させる。
【0106】
図9に、ステップS21において取得したカラー画像の例、図10に、図9に示すカラー画像に基づいてステップS28において出力される閾値選択シートの例を示す。
【0107】
図9に示すカラー画像は、「SAMPLE」の6文字それぞれが異なる単色で表された画像である。図9に示す「S」はレッド(R)、「M」はイエロー(Y)、「M」はグリーン(G)、「P」はシアン(C)、「L」はブルー(B)、「E」はマゼンタ(M)の色の文字画像である。なお、図9に示す各文字のカラー画像の例には、実際には輪郭線は無いが、各文字の輪郭が不明瞭になるのを防ぐため、便宜上、輪郭線を付加している。
【0108】
図11(a)に、各文字画像の色を示すカラー成分値(R,G,B)、輝度値、彩度値の例を示し、図11(b)に、輝度閾値を30%、40%、50%、60%、70%として輝度閾値のみで生成した各文字画像の単色2値画像の例を示し、図11(c)に、彩度閾値を30%、40%、50%、60%、70%として彩度閾値のみで生成した各文字画像の単色2値画像の例を示す。
【0109】
図11(a)に示すように、イエローの文字画像「A」とシアンの文字画像「P」の輝度値は、70%以上であって、他の文字画像よりも高輝度である。従って、図11(b)に示すように、輝度閾値が70%であっても「A」及び「P」の文字画像が欠けた単色2値画像しか得られない。欠損のない単色2値画像を得るためには、輝度閾値を6つの文字画像のうち輝度値が最も高い文字画像「P」の輝度値以上とする必要がある。
【0110】
一方、図11(a)に示すように、各文字画像の彩度値は100%である。従って、図11(c)に示すように、輝度閾値(30〜70%)にかかわらず、欠損のない単色2値画像が得られる。
【0111】
図11に示す内容をふまえ、図10に示す閾値選択シート610の例を説明する。
図10に示すように、閾値選択シート610には、枠画像611と、複数のサムネイル画像612とが形成されている。
枠画像611の列番号A〜Fは、輝度閾値を示す記号であり、列番号A、B、C、D、E、Fは、それぞれ輝度閾値30%、40%、50%、60%、70%、−10%を示している。また、枠画像611の行番号1〜6は、彩度閾値を示す記号であり、行番号1、2、3、4、5、6は、それぞれ彩度閾値30%、40%、50%、60%、70%、110%を示している。
【0112】
各サムネイル画像612は、輝度閾値と彩度閾値との各組み合わせに対応して生成された単色2値画像がステップS25によりサイズ変換されることにより生成された画像であり、輝度閾値と彩度閾値との各組み合わせに対応する位置に配置されている。
【0113】
図10に示す閾値選択シート610では、列番号A〜F及び行番号1〜5の各組み合わせに対応するサムネイル画像は、全ての文字画像の彩度閾値が100%であるため、文字画像の欠損のない単色2値画像が表示される。なお、列番号Fのサムネイル画像は、輝度閾値が−10%であることから、彩度閾値のみで単色2値化された場合の単色2値画像、即ち、図11(c)に示す単色2値画像となる。
一方、行番号6のサムネイル画像は、彩度閾値が110%であることから、輝度閾値のみで単色2値化された場合の単色2値画像、即ち、図11(b)に示す単色2値画像となり、一部の文字画像が欠けた画像となる。
【0114】
図12に、ステップS21において取得したカラー画像の他の例、図13に(a)に、図12に示すカラー画像を所定の輝度閾値のみを用いて2値化した単色2値画像の例、図13(b)に、図12に示すカラー画像を所定の彩度閾値のみを用いて2値化した単色2値画像の例、図14に、図12に示すカラー画像に基づいてステップS28において出力される閾値選択シートの例を示す。なお、図12に示す各文字のカラー画像の例には、実際には輪郭線は無いが、各文字の輪郭が不明瞭になるのを防ぐため、便宜上、輪郭線を付加している。
【0115】
図12に示すカラー画像は、「SAMPLE」の6文字全体の色が、y方向に彩度値が変化し、x方向に色相が変化するカラー画像の輝度イメージを示すものである。図12では、色相がレッド(R)、イエロー(Y)、シアン(C)、ブルー(B)、マゼンタ(M)、レッド(R)の順番に変化する例を示している。
【0116】
図13(a)に示すように、所定の輝度閾値のみで2値化すると、所定の輝度閾値よりも大きい輝度値の画素に対応する部分が0(白)となり、輝度閾値よりも大きい高輝度の部分が欠けた単色2値画像が生成される。一方、図13(b)に示すように、所定の彩度閾値のみで単色2値化すると、所定の彩度閾値よりも小さい彩度値の画素に対応する部分が0(白)となり、彩度閾値よりも小さい低彩度の部分が欠けた単色2値画像が生成されることとなる。
【0117】
図13に示す内容をふまえ、図14に示す閾値選択シート620の例を説明する。
図14に示すように、閾値選択シート620には、枠画像621と、複数のサムネイル画像622とが形成されている。
枠画像621の列番号A〜Fは、図10に示す列番号と同様であり、枠画像621の行番号1〜6は、図10に示す行番号と同様である。
また、各サムネイル画像622は、図10に示すサムネイル画像612と同様に、輝度閾値と彩度閾値との各組み合わせに対応して生成された単色2値画像がステップS25によりサイズ変換されることにより生成された画像であり、輝度閾値と彩度閾値との各組み合わせに対応する位置に配置されている。
【0118】
列番号Fのサムネイル画像は、輝度閾値が−10%であることから、彩度閾値のみで単色2値化された場合の単色2値画像である。一方、行番号6のサムネイル画像は、彩度閾値が110%であることから、輝度閾値のみで単色2値化された場合の単色2値画像である。
【0119】
プリント部4は、輝度閾値と彩度閾値との複数の組み合わせそれぞれに対する単色2値画像が形成された閾値選択シートを出力するため、出力部としての機能を実現する。
【0120】
図10、図14に示すように、閾値選択シートには、輝度閾値と彩度閾値との複数の組み合わせによりそれぞれ生成される単色2値画像がサムネイル画像として形成されるため、輝度閾値と彩度閾値との複数の組み合わせの中からユーザ自身が所望する単色2値画像の選出の容易化を図ることができる。
【0121】
制御部100は、プリント部4から閾値選択シートが出力されると、画像選択画面を操作表示部3に表示させる(ステップS29)。
【0122】
図15に、画像選択画面G2が表示された操作表示部3の例を示す。
図15に示すように、画像選択画面G2には、閾値選択シートに示された列番号と行番号とを組み合わせた記号で示された複数の項目K21が設けられている。複数の項目K21は、矢印ボタンB11の操作により選択され、例えば、図15では、白黒反転表示されている「C3」が選択項目として選択されている。
【0123】
矢印ボタンB11の操作によって輝度閾値と彩度閾値とによる複数の組み合わせのうちいずれか一つの組み合わせを示す選択指示が入力されることになる。従って、画像選択画面G2が表示された操作表示部3は、組み合わせ選択入力部としての機能し、また、輝度閾値設定部及び彩度閾値設定部としての機能を実現する。
【0124】
制御部100は、画像選択画面G2に対して操作表示部3から入力される操作指示は、矢印ボタンB11の押下、OKボタンB12の押下、キャンセルボタンB13の押下のいずれかであるかを判別する(ステップS30)。
【0125】
矢印ボタンB11が押下された場合(ステップS30;矢印ボタン押下)、制御部100は、矢印ボタンB11の押下に応じて選択項目の変更を行い(ステップS31)、ステップS29の処理に戻る。
【0126】
キャンセルボタンB13が押下された場合(ステップS30;キャンセルボタン押下)、制御部100は、潜像画像登録処理を終了する。
【0127】
OKボタンB12が押下された場合(ステップS30;OKボタン押下)、制御部100は、選択項目が示す組み合わせの彩度閾値及び輝度閾値を、単色2値画像変換部210で用いる輝度閾値及び彩度閾値として設定する(ステップS32)。
【0128】
制御部100は、単色2値画像変換部210に対して単色2値画像変換処理を実行させ(ステップS33)、ステップS33において生成された単色2値画像を単色2値画像メモリに格納する。
【0129】
制御部100は、確認印刷画面を操作表示部3に表示させる(ステップS34)。
図16に、確認印刷画面G3が表示された操作表示部3の例を示す。
図16に示すように、確認印刷画面G3には、単色2値画像変換部210に設定した輝度閾値及び彩度閾値に基づいて生成され単色2値画像メモリに格納されている単色2値画像を、潜像画像として用いて地紋画像を生成し、予め設定されているサンプル画像に当該地紋画像が合成された画像(地紋確認画像)をプリント部4により用紙に形成させるプリント出力を実行する項目K31と、実行しない項目K32とが設けられている。項目K31、K32は、矢印ボタンB11の操作により選択され、例えば、図16では、白黒反転表示されている「実行する」の項目K31が選択項目として選択されている。
【0130】
制御部100は、確認印刷画面G3に対して操作表示部3から入力される操作指示は、矢印ボタンB11の押下、OKボタンB12の押下、キャンセルボタンB13の押下のいずれかであるかを判別する(ステップS35)。
【0131】
矢印ボタンB11が押下された場合(ステップS35;矢印ボタン押下)、制御部100は、矢印ボタンB11の押下に応じて選択項目の変更を行い(ステップS36)、ステップS34の処理に戻る。
【0132】
キャンセルボタンB13が押下された場合(ステップS35;キャンセルボタン押下)、制御部100は、潜像画像登録処理を終了する。
【0133】
OKボタンB12が押下された場合(ステップS35;OKボタン押下)、制御部100は、選択項目が地紋確認画像のプリント出力を実行する項目か否かを判別する(ステップS37)
【0134】
制御部100は、選択項目が地紋確認画像のプリント出力を実行する項目である場合(ステップS37;YES)、地紋確認画像を生成し(ステップS38)、生成した地紋確認画像の印刷画像データを生成し、当該印刷画像データを印刷画像メモリ410に格納する。そして、制御部100は、印刷画像メモリ410に格納された印刷画像データに基づいてプリント部4によるプリント出力をプリント制御部400により実行させる(ステップS39)。
【0135】
ステップS38では、単色2値画像変換部210に設定した輝度閾値及び彩度閾値に基づいて生成され単色2値画像メモリに格納されている単色2値画像が潜像画像として用いられ、当該潜像画像と予め設定されている背景画像とが合成されることにより地紋画像が生成される。そして、予め設定されているサンプル画像に当該地紋画像が合成され、地紋確認画像が生成される。
【0136】
図17に、地紋確認画像の例を示す。
図17に示すように、地紋確認画像700は、地紋画像710と、サンプル画像720と、により形成されている。地紋画像710は、単色2値画像メモリに格納されている単色2値画像により生成された潜像画像711及び背景画像712の合成画像である。
なお、潜像画像と背景画像とは、実際には同一の濃度の画像である。
【0137】
選択項目が地紋確認画像のプリント出力を実行しない項目である場合(ステップS37;NO)、又は、ステップS39後、制御部100は、画像登録画面を操作表示部3に表示させる(ステップS40)。
【0138】
図18に、画像登録画面G4が表示された操作表示部3の例を示す。
図18に示すように、画像登録画面G4には、登録−パブリックK41、登録−プライベートK42、再調整K43、キャンセルK44の項目が設けられている。
登録−パブリックK41の項目は、単色2値画メモリに格納されている単色2値画像を、不特定のユーザが使用可能な潜像画像として記憶部110に記憶して登録することを示す潜像選択指示を受け付ける。登録−プライベートK42の項目は、単色2値画メモリに格納されている単色2値画像を、特定のユーザのみ使用可能な潜像画像として記憶部110に記憶して登録することを示す潜像選択指示を受け付ける。再調整K43の項目は、潜像画像として登録する単色2値画像の再調整を行う指示を受け付ける。キャンセルK44の項目は、潜像画像登録処理を終了する指示を受け付ける。
【0139】
項目K41〜K34は、矢印ボタンB11の操作により選択され、例えば、図18では、白黒反転表示されている「登録−パブリック」の項目K41が選択項目として選択されている。従って、画像登録画面G4が表示された操作表示部3は、潜像選択入力部としての機能を実現する。
なお、登録−プライベートK42の項目は、潜像画像登録処理の実行前にユーザ認証処理の実行によってユーザの認証が行われていない場合には、表示されない。
【0140】
ユーザ認証処理では、操作表示部3から入力されたユーザの識別情報と一致する識別情報が記憶部110に記憶されているか否かが判別され、一致する識別情報ある場合、当該ユーザが認証される。
【0141】
制御部100は、画像登録画面G4に対して操作表示部3から入力される操作指示は、矢印ボタンB11の押下、OKボタンB12の押下、キャンセルボタンB13の押下のいずれかであるかを判別する(ステップS41)。
【0142】
矢印ボタンB11が押下された場合(ステップS41;矢印ボタン押下)、制御部100は、矢印ボタンB11の押下に応じて選択項目の変更を行い(ステップS42)、ステップS41の処理に戻る。
【0143】
キャンセルボタンB13が押下された場合(ステップS41;キャンセルボタン押下)、制御部100は、潜像画像登録処理を終了する。
【0144】
OKボタンB12が押下された場合(ステップS41;OKボタン押下)、制御部100は、選択項目がキャンセルK44の項目か否かを判別する(ステップS43)。選択項目がキャンセルK44の項目である場合(ステップS43;YES)、制御部100は、潜像画像登録処理を終了する。
【0145】
選択項目がキャンセルK44の項目ではない場合(ステップS43;NO)、制御部100は、選択項目が再調整K43の項目か否かを判別する(ステップS44)。選択項目が再調整K43の項目である場合(ステップS44;YES)、制御部100は、ステップS22の処理に戻る。
【0146】
選択項目が再調整K43の項目ではない場合(ステップS44;NO)、制御部100は、選択項目が登録−パブリックK41の項目か否かを判別する(ステップS45)。選択項目が登録−パブリックK41の項目である場合(ステップS45;YES)、制御部100は、単色2値画像メモリに格納されている単色2値画像を記憶部110内の共用メモリ領域に記憶し、不特定のユーザが共用可能な潜像画像(共用潜像画像)として登録し(ステップS46)、潜像画像登録処理を終了する。
【0147】
選択項目が登録−パブリックK41の項目でない場合(ステップS45;NO)、制御部100は、潜像画像登録処理の実行前にユーザ認証処理によって認証されたユーザの識別情報を参照して、ユーザを特定する。制御部100は、単色2値画像メモリに格納されている単色2値画像を、記憶部110内の特定したユーザ専用のユーザ別メモリ領域に記憶し、当該ユーザのみ使用可能な潜像画像(認証ユーザ潜像画像)として登録し(ステップS47)、潜像画像登録処理を終了する。
【0148】
[変形例]
図6、図7に示す本実施の形態における潜像画像登録処理のステップS21〜S33の処理は、図19に示すステップS51〜S57の処理に置き換えてもよい。
図19に、ステップS21〜S33の代替例のフローチャートを示す。
【0149】
ステップS51は、図6に示すステップS21と同様の処理であるため、説明は省略する。制御部100は、輝度閾値及び彩度閾値の初期値を設定し(ステップS52)、設定した輝度閾値及び彩度閾値を単色2値画像変換部210で用いる輝度閾値及び彩度閾値として設定する。
【0150】
ステップS52では、予め記憶部110に記憶されている複数の輝度閾値及び複数の彩度閾値から所定の輝度閾値及び彩度閾値が、それぞれの初期値として設定される。例えば、輝度閾値の初期値が50%、彩度閾値の初期値が50%として設定される。
【0151】
制御部100は、単色2値画像変換部210に対して単色2値画像変換処理を実行させ(ステップS53)、ステップS53において生成された単色2値画像を単色2値画像メモリに格納する。
【0152】
制御部100は、閾値調整画面を操作表示部3に表示させる(ステップS54)。
図20に、閾値調整画面G5が表示された操作表示部3の例を示す。
図20に示すように、閾値調整画面G5には、単色2値画像表示領域E51、輝度設定目盛E52、輝度設定カーソルB52、彩度設定目盛E53、彩度設定カーソルB53等が設けられている。
【0153】
単色2値画像表示領域E51には、単色2値画像メモリに格納されている単色2値画像が表示される。輝度設定目盛E52には、輝度閾値の初期値からの調整量の目盛が示されている。輝度設定カーソルB52は、輝度設定目盛E52が示す調整量の変化方向(図20では左右方向)における矢印ボタンB11の操作に応じて輝度設定目盛E52上を移動し、輝度閾値の初期値からの調整量を示す。彩度設定目盛E53には、彩度閾値の初期値からの調整量の目盛が示されている。彩度設定カーソルB53は、彩度設定目盛E53が示す調整量の変化方向(図20では上下方向)における矢印ボタンB11の操作に応じて彩度設定目盛E53上を移動し、彩度閾値の初期値からの調整量を示す。
【0154】
従って、閾値調整画面が表示された操作表示部3は、彩度閾値の指定の入力を受け付ける彩度閾値入力部、輝度閾値の指定の入力を受け付ける輝度閾値入力部、単色2値画像変換部によって生成された単色2値画像を表示する表示部、としての機能を実現する。
【0155】
制御部100は、閾値調整画面G5に対して操作表示部3から入力される操作指示は、輝度閾値の調整量の変更(矢印ボタンB11の左右方向ボタン押下)、彩度閾値の調整量の変更(矢印ボタンB11の上下方向ボタン押下)、OKボタンB12の押下、キャンセルボタンB13の押下のいずれかであるかを判別する(ステップS55)。
【0156】
矢印ボタンB11の左右方向ボタンが押下されることによる輝度閾値の調整量の変更の場合(ステップS55;輝度閾値変更)、制御部100は、矢印ボタンB11の押下に応じて移動した輝度設定カーソルB52が示す調整量と、ステップS52において設定した輝度閾値の初期値と、に基づいて輝度閾値を更新し、当該更新した輝度閾値を単色2値画像変換部210で用いる輝度閾値として設定し(ステップS56)、ステップS53の処理に戻る。
【0157】
矢印ボタンB11の上下方向ボタンが押下されることによる彩度閾値の調整量の変更の場合(ステップS55;彩度閾値変更)、制御部100は、矢印ボタンB11の押下に応じて移動した彩度設定カーソルB53が示す調整量と、ステップS52において設定した彩度閾値の初期値と、に基づいて彩度閾値を更新し、当該更新した彩度閾値を単色2値画像変換部210で用いる彩度閾値として設定し(ステップS57)、ステップS53の処理に戻る。
【0158】
OKボタンB12が押下された場合(ステップS55;OKボタン押下)、制御部100は、図7に示すステップS34の処理に進む。
【0159】
キャンセルボタンB13が押下された場合(ステップS55;キャンセルボタン押下)、制御部100は、潜像画像登録処理を終了する。
【0160】
以上のように、本実施の形態によれば、彩度に基づいてカラー成分値を単色2値成分値に変換して、カラー画像を単色2値画像に変換することができるため、視覚刺激値に応じた単色2値画像を得ることができる。従って、カラー画像から単色2値画像へ変換する際に発生する単色2値画像の一部の欠落発生の防止を図ることができる。
【0161】
更に、算出された彩度値と予め設定された彩度閾値との比較結果と、算出された輝度値と予め設定された輝度閾値との比較結果と、に基づいてカラー成分値を単色2値成分値に変換してカラー画像を単色2値画像に変換することができるため、比視覚感度特性及び視覚刺激値に応じた単色2値画像を得ることができる。
【0162】
特に、算出された彩度値が彩度閾値以上の場合、又は、算出された輝度値が輝度閾値以下の場合、カラー成分値を黒を示す単色2値成分値に変換することができる。
従って、イエローやシアン等の高輝度であっても高彩度であれば黒色を示す単色2値成分値に変換でき、また、低彩度であっても低輝度であれば黒色を示す単色2値成分値に変換できる。また、ごく薄い灰色などの高輝度かつ低彩度のみを白色を示す単色2値成分値に変換できる。
従って、比視覚感度特性の高い高輝度の画素、又は、視覚刺激値の大きい高彩度の画素が黒画素に変換されたモノクロの2値画像を得ることができる。
【0163】
また、カラー成分値を構成するR成分値,G成分値,B成分値のうち最大の成分値と最小の成分値との差を彩度値として算出することができるため、彩度値の算出負荷を低減することができ、処理速度の向上を図ることができる。
【0164】
また、カラー画像が画像処理部の単色2値画像変換部210により変換された単色2値画像を潜像画像として記憶することができるため、カラー画像から単色2値画像へ変換する際に発生する単色2値画像の一部の欠落発生の防止が図られた単色2値画像を、地紋画像の潜像画像として用いることができる。
【0165】
更に、単色2値画像を記憶部に記憶させる前に、当該単色2値画像を潜像画像として用いた地紋画像を用いた地紋確認画像を用紙に形成して出力できる。そのため、単色2値画像を潜像画像として用いた場合の地紋画像の確認をユーザに行わせることができる。
【0166】
また、地紋画像は、機密文書等の不正な複写を防止することを目的として使用されることが多い。そのため、画像登録画面G4が表示された操作表示部3からの操作指示に応じて、単色2値画像を、特定のユーザのみ使用可能な潜像画像、又は、不特定のユーザが使用可能な潜像画像、として記憶部に記憶することができることは、特定の潜像画像の安易な共用利用を抑止できる。
【0167】
また、画像読取部により読み取られたカラー画像、又は、外部装置から受信したデータ
により生成されるカラー画像を単色2値画像に変換することができる。
【0168】
更に、彩度閾値及び輝度閾値の複数の組み合わせにより生成された単色2値画像が形成された閾値選択シートを出力し、当該閾値選択シートに基づいて、画像選択画面G2が表示された操作表示部3から彩度閾値と輝度閾値との複数の組み合わせのうち、いずれか一つの組み合わせをユーザが選択できる。
そのため、具体的な彩度閾値及び輝度閾値をユーザに意識させることなく、彩度閾値と輝度閾値との組み合わせをユーザに選択させることができ、ユーザが所望する単色2値画像を潜像画像として記憶させることができる。
【0169】
また、閾値調整画面G5が表示された操作表示部3により指定された彩度閾値と、輝度閾値入力部により指定された輝度閾値とに基づいて生成された単色2値画像を、閾値調整画面G5の単色2値画像表示領域E51に表示させることができ、OKボタンが押下された際に表示された単色2値画像を潜像画像として記憶させることができる。
そのため、単色2値画像をユーザに確認させながら彩度閾値又は輝度閾値の変更を行わせることができ、ユーザが所望する単色2値画像を潜像画像として記憶させることができる。
【0170】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部110を使用した例を開示したが、この例に限定されない。
その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0171】
また、本発明は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0172】
1 画像形成装置
2 画像読取部
3 操作表示部
4 プリント部
5 本体制御部
10 給紙部
11 給紙トレイ
12 給紙手段
20 用紙搬送部
21 タイミングローラ
30 画像形成部
30C 作像ユニット
30K 作像ユニット
30M 作像ユニット
30Y 作像ユニット
31 感光体ドラム
32 レーザ走査ユニット
33 現像ユニット
34 一次転写ローラ
35 中間転写ベルト
36 クリーニング装置
37 二次転写ローラ
40 定着部
41 加熱ローラ
42 加圧ローラ
50 搬出部
51 排紙ローラ
100 制御部
110 記憶部
200 画像処理部
210 単色2値画像変換部
211 カラー画像メモリ
212 変換部
212a 輝度算出回路部
212b 輝度比較回路部
212c 彩度算出回路部
212d 彩度比較回路部
212e 論理和回路部
213 単色2値画像メモリ
300 操作表示制御部
400 プリント制御部
410 印刷画像メモリ
500 データ受信部
610 閾値選択シート
611 枠画像
612 サムネイル画像
620 閾値選択シート
621 枠画像
622 サムネイル画像
700 地紋確認画像
710 地紋画像
711 潜像画像
712 背景画像
720 サンプル画像
B11 矢印ボタン
B12 OKボタン
B13 キャンセルボタン
B52 輝度設定カーソル
B53 彩度設定カーソル
E51 単色2値画像表示領域
E52 輝度設定目盛
E53 彩度設定目盛
G1 取得画像種選択画面
G2 画像選択画面
G3 確認印刷画面
G4 画像登録画面
G5 閾値調整画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像の画素毎に彩度値を算出する彩度算出部、
前記算出された彩度値と予め設定された彩度閾値とを比較する彩度比較部、
前記彩度比較部による比較結果に基づいて前記画素のカラー成分値を単色2値成分値に変換する2値化部、を有し、
前記カラー画像を単色2値画像に変換する単色2値画像変換部を備えること、
を特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記単色2値画像変換部は、
前記カラー画像の画素毎に輝度値を算出する輝度算出部、
前記算出された輝度値と予め設定された輝度閾値とを比較する輝度比較部、
を有し、
前記2値化部は、
前記彩度比較部による比較結果と前記輝度比較部による比較結果とに基づいて前記画素のカラー成分値を単色2値成分値に変換すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記彩度比較部は、
前記算出された彩度値が前記彩度閾値以上か否かを比較し、
前記輝度比較部は、
前記算出された輝度値が前記輝度閾値以下か否かを比較し、
前記2値化部は、
前記算出された彩度値が前記彩度閾値以上の場合、又は、前記算出された輝度値が前記輝度閾値以下の場合、前記画素のカラー成分値を黒を示す単色2値成分値に変換すること、
を特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記カラー画像の各画素のカラー成分値は、R成分値,G成分値,B成分値により構成されており、
前記彩度算出部は、
前記R成分値,G成分値,B成分値のうち最大の成分値と最小の成分値との差を彩度値として算出すること、
を特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記輝度閾値の設定変更の指示の入力を受け付ける輝度閾値設定部を備えること、
を特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記彩度閾値の設定変更の指示の入力を受け付ける彩度閾値設定部を備えること、
を特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
請求項2から4のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
地紋画像を構成する潜像画像を記憶する記憶部と、
前記カラー画像が前記画像処理装置により変換された前記単色2値画像を前記潜像画像として前記記憶部に記憶させる制御部と、
を備えること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像を用紙に形成して出力するプリント部を備え、
前記制御部は、
前記単色2値画像を前記記憶部に記憶させる前に、当該単色2値画像を潜像画像として用いた地紋画像を生成し、予め設定されているサンプル画像に当該地紋画像が合成された画像を前記プリント部により用紙に形成させること、
を特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記単色2値画像を、特定のユーザのみ使用可能な潜像画像、又は、不特定のユーザが使用可能な潜像画像、として前記記憶部に記憶することを示す潜像選択指示を受け付ける潜像選択入力部を備え、
前記制御部は、
前記潜像選択入力部により受け付けられた潜像選択指示に応じて、前記単色2値画像を、特定のユーザのみ使用可能な潜像画像、又は、不特定のユーザが使用可能な潜像画像、として前記記憶部に記憶すること、
を特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
用紙に形成されたカラー画像を読み取る画像読取部を備え、
前記画像処理装置は、
前記画像読取部により読み取られたカラー画像を単色2値画像に変換すること、
を特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
外部装置からカラー画像のデータが入力される通信部を備え、
前記画像処理装置は、
前記通信部により入力されたデータにより生成されるカラー画像を単色2値画像に変換すること、
を特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記記憶部は、複数の彩度閾値及び複数の輝度閾値を予め記憶しており、
前記記憶部に記憶されている複数の彩度閾値及び複数の輝度閾値による彩度閾値と輝度閾値との複数の組み合わせのうち、いずれか一つの組み合わせを示す選択指示の入力を受け付ける組み合わせ選択入力部と、
前記複数の組み合わせそれぞれに対する前記単色2値画像を出力する出力部と、
を備え、
前記制御部は、
前記複数の組み合わせそれぞれに対する前記単色2値画像を前記画像処理装置により生成させ、前記組み合わせ選択入力部により受け付けた選択指示が示す組み合わせの彩度閾値及び輝度閾値を用いて前記画像処理装置が生成した前記単色2値画像を、前記潜像画像として前記記憶部に記憶させること、
を特徴とする請求項7から11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記彩度閾値の指定の入力を受け付ける彩度閾値入力部と、
前記輝度閾値の指定の入力を受け付ける輝度閾値入力部と、
前記画像処理装置によって生成された前記単色2値画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示されている前記単色2値画像を前記潜像画像として前記記憶部に記憶させる記憶指示の入力を受け付ける記憶指示入力部と、
を備え、
前記制御部は、
前記彩度閾値入力部により指定された彩度閾値と、前記輝度閾値入力部により指定された輝度閾値とに基づいて前記単色2値画像を前記画像処理装置により生成させ、前記記憶指示入力部により受け付けた記憶指示に応じて、前記表示部に表示されている前記単色2値画像を前記潜像画像として前記記憶部に記憶させること、
を特徴とする請求項7から11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
コンピュータを、
カラー画像の画素毎に彩度値を算出する彩度算出手段、
前記算出された彩度値と予め設定された彩度閾値とを比較する彩度比較手段、
前記彩度比較手段による比較結果に基づいて前記画素のカラー成分値を単色2値成分値に変換する2値化手段、として機能し、
前記カラー画像を単色2値画像に変換する単色2値画像変換手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項15】
前記単色2値画像変換手段は、
前記カラー画像の画素毎に輝度値を算出する輝度算出手段、
前記算出された輝度値と予め設定された輝度閾値とを比較する輝度比較手段、
として機能し、
前記2値化手段は、
前記彩度比較手段による比較結果と前記輝度比較手段による比較結果とに基づいて前記画素のカラー成分値を単色2値成分値に変換すること、
を特徴とする請求項14に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−19251(P2012−19251A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153519(P2010−153519)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】