説明

画像処理装置、画像読取装置、及び、画像処理プログラム

【課題】単色ブロックの割合に基づいて画像が単色画像であるか否かを判定する際の判定精度を向上させること。
【解決手段】単色ブロックと判定されたブロックについて、ブロック毎に当該ブロックを構成している画素のY成分の値のヒストグラムである第1のヒストグラムを作成して最頻値を求めるブロック単位最頻値算出部と、単色ブロック毎に求められた最頻値のヒストグラムである第2のヒストグラムを作成して最頻値の割合を求める画像単位最頻値割合算出部と、単色ブロックの割合が第1の閾値以上であると判定され、且つ、最頻値の割合が第2の閾値以上であると判定された場合は、画像は単色画像であると判定する第1の画像種別判定部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単色ブロックの割合に基づいて画像が単色画像であるか否かを判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3原色のR、G、B信号を明度信号に変換して明度信号(YCbCr色空間におけるY成分に相当)のヒストグラムを作成し、作成したヒストグラムから原稿種別を判定する画像処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−251402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像を複数のブロックに分割してブロック単位に当該ブロックが単色ブロックであるか多色ブロックであるかを判定し、単色ブロックの割合が大きいか否かで単色画像であるか否かを判定する場合もある。
しかしながら、単純に単色ブロックの割合だけで判定すると、例えば複数の領域に分割され、各領域がそれぞれ互いに異なる一色で塗り潰されている画像の場合に、二色以上からなる画像であるにもかかわらず単色画像であると誤判定してしまう虞がある。
【0005】
本発明では、単色ブロックの割合に基づいて画像が単色画像であるか否かを判定する際の判定精度を向上させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される画像処理装置は、YCbCr色空間で表される画像を複数のブロックに分割してブロック毎に当該ブロックが単色ブロックであるか多色ブロックであるかを判定する単色/多色ブロック判定部と、前記画像に占める前記単色ブロックの割合が第1の閾値以上であるか否かを判定する単色ブロック割合判定部と、前記単色/多色ブロック判定部によって単色ブロックと判定された前記ブロックについて、前記ブロック毎に当該ブロックを構成している画素のY成分の値のヒストグラムである第1のヒストグラムを作成し、前記第1のヒストグラムにおける最頻値を求めるブロック単位最頻値算出部と、前記ブロック単位最頻値算出部によって前記単色ブロック毎に求められた前記最頻値のヒストグラムである第2のヒストグラムを作成し、前記第2のヒストグラムにおける最頻値の割合を求める画像単位最頻値割合算出部と、前記画像単位最頻値割合算出部によって求められた前記第2のヒストグラムにおける前記最頻値の割合が第2の閾値以上であるか否かを判定する最頻値割合判定部と、前記単色ブロック割合判定部によって前記単色ブロックの割合が前記第1の閾値以上であると判定され、且つ、前記最頻値割合判定部によって前記最頻値の割合が前記第2の閾値以上であると判定された場合は、前記画像は単色画像であると判定する第1の画像種別判定部と、を備える。
【0007】
また、上記画像処理装置は、前記単色ブロック割合判定部によって前記単色ブロックの割合が前記第1の閾値未満であると判定された場合は、前記画像単位最頻値割合算出部、及び、前記最頻値割合判定部の動作を実行しないようにしてもよい。
【0008】
また、上記画像処理装置は、前記単色ブロック割合判定部によって前記単色ブロックの割合が前記第1の閾値以上であると判定され、且つ、前記第1の画像種別判定部によって前記最頻値の割合が前記第2の閾値未満であると判定された場合に、前記第2のヒストグラムにおける前記最頻値との差が第3の閾値以内である前記ブロックの割合を算出する非最頻値ブロック割合算出部と、前記第2のヒストグラムにおける前記最頻値の割合と前記非最頻値ブロック割合算出部によって算出された前記割合とを合計した合計割合が前記第2の閾値以上である場合は、前記画像は単色画像であると判定する第2の画像種別判定部と、を備えてもよい。
【0009】
また、前記第2の画像種別判定部は、前記第2のヒストグラムにおける前記最頻値の割合が前記第2の閾値より小さい第4の閾値以上であり、且つ、前記合計割合が前記第2の閾値以上である場合に、前記画像は単色画像であると判定してもよい。
【0010】
また、前記第2の画像種別判定部は、前記第2のヒストグラムにおける前記最頻値の割合と、前記非最頻値ブロック割合算出部によって算出された前記割合との差が第5の閾値以上であり、且つ、前記合計割合が前記第2の閾値以上である場合に、前記画像は単色画像であると判定してもよい。
【0011】
また、上記画像処理装置は、読取領域を覆うカバー部材と、前記読取領域を読み取って画像を生成する読取部と、を備え、前記YCbCr色空間で表される前記画像は前記読取部によって前記読取領域を読み取って生成された画像をYCbCr色空間に変換したものであり、前記単色ブロック割合判定部によって前記単色ブロックの割合が第1の閾値以上であると判定され、且つ、前記第1の画像種別判定部によって前記最頻値の割合が前記第2の閾値未満であると判定された場合に、前記第2のヒストグラムにおける前記最頻値と前記カバー部材の裏面を表す画素のY成分の値との差、又は、前記第2のヒストグラムにおける2番目の最頻値と前記カバー部材の裏面を表す画素のY成分の値との差が前記第6の閾値未満である場合は、前記画像は単色画像であると判定し、いずれの差も前記第6の閾値を超えている場合は、前記画像は多色画像であると判定する第3の画像種別判定部を備えてもよい。
【0012】
また、上記画像処理装置は、前記読取部によって生成された前記画像を解析して原稿を表す原稿領域を検出する原稿領域検出部と、前記原稿領域検出部による原稿領域の検出の有効/無効を設定する設定部と、前記設定部によって前記原稿領域検出部による原稿領域の検出が有効に設定されている場合に、前記原稿領域検出部によって検出された原稿領域を抽出する原稿領域抽出部と、を備え、前記YCbCr色空間で表される前記画像は、前記設定部によって前記原稿領域検出部による原稿領域の検出が無効に設定されている場合は前記読取部によって前記読取領域を読み取って生成された画像をYCbCr色空間に変換したものであり、一方、前記設定部によって前記原稿領域検出部による原稿領域の検出が有効に設定されている場合は前記原稿領域抽出部によって抽出された前記原稿領域をYCbCr色空間に変換したものであり、前記第3の画像種別判定部は、前記原稿領域検出部による原稿領域の検出が有効に設定されている場合は、前記画像は多色画像であると判定してもよい。
【0013】
また、上記画像処理装置は、読取領域を覆うカバー部材と、前記読取領域を読み取って画像を生成する読取部と、前記読取部によって生成された前記画像を解析して原稿を表す原稿領域を検出する原稿領域検出部と、前記画像から前記原稿領域検出部によって検出された原稿領域を抽出する原稿領域抽出部と、を備え、前記YCbCr色空間で表される前記画像は前記原稿領域抽出部によって抽出された前記原稿領域をYCbCr色空間に変換したものであり、前記単色ブロック割合判定部によって前記単色ブロックの割合が前記第1の閾値未満であると判定された場合、又は、前記単色ブロック割合判定部によって前記単色ブロックの割合が前記第1の閾値以上であると判定され、且つ、前記第1の画像種別判定部によって前記最頻値の割合が前記第2の閾値未満であると判定された場合は、前記画像は多色画像であると判定する第3の画像種別判定部を備えてもよい。
【0014】
また、前記ブロック単位最頻値算出部は、前記画像から縁部を除外した内側部分を対象として前記ブロックに分割してもよい。
【0015】
また、上記画像処理装置は、前記画像が単色画像であると判定された場合に、当該画像を破棄してもよい。
【0016】
なお、この発明は、画像読取装置、画像処理プログラム、画像処理方法、画像処理プログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によると、単色ブロックの割合に基づいて画像が単色画像であるか否かを判定する際の判定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1に係る複合機の電気的構成を示すブロック図。
【図2】読取部の構成を簡略化して示す模式図。
【図3】画像の例を示す模式図。
【図4】複数のブロックに分割された画像を示す模式図。
【図5】第2のヒストグラムの一例を示す模式図。
【図6】第2のヒストグラムの別の一例を示す模式図。
【図7】画像種別判定処理の流れを示すフローチャート。
【図8】ブロック判定処理の流れを示すフローチャート。
【図9】画像判定処理の流れを示すフローチャート(前半)。
【図10】画像判定処理の流れを示すフローチャート(後半)。
【図11】実施形態3に係る画像例を示す模式図。
【図12】画像判定処理の流れを示すフローチャート(後半)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図10によって説明する。
【0020】
(1)複合機の構成
図1は、実施形態1に係る画像処理装置及び画像読取装置としての複合機1の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。複合機1は、制御部10、読取部11、印刷部12、操作部13、記憶部14、及び、通信インタフェース(通信I/F)部15を備えている。
【0021】
制御部10は、CPU10a、ROM10b、RAM10cを備えている。CPU10aはROM10bや記憶部14に記憶されているプログラムを実行することによって複合機1の各部を制御する。ROM10bには複合機1の動作を制御するための制御プログラムや各種のデータなどが記録されている。RAM10cはCPU10aが各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。
【0022】
読取部11は、原稿を読み取って画像データを生成する。読取部11の構成については後述する。
印刷部12は、読取部11によって生成された画像や通信インタフェース部15によって外部装置から受信された画像を電子写真方式やインクジェット方式などで印刷用紙などのシートに印刷する。
【0023】
操作部13は、液晶ディスプレイや各種のボタンを備えて構成されており、ユーザは操作部13を操作することによって読取モードの選択や原稿の読み取り指示などの各種の操作を行うことができる。本実施形態では読取モードとして「カラー/グレー/白黒/Auto」を選択することができる。
記憶部14は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性のメモリを用いて各種のプログラムやデータを記憶する装置である。記憶部14には読取部11によって生成された画像や通信インタフェース部15によって外部装置から受信された画像などが記憶される。
【0024】
通信インタフェース部15はLAN(Local Aria Network)やインターネットなどの通信ネットワークを介してパーソナルコンピュータ(PC)や携帯情報端末などの外部装置と通信可能に接続されており、外部装置からの画像の受信や、読取部11によって生成された画像の外部装置への送信等を行う。なお、通信インタフェース部15はUSB(Universal Serial Bus)やパラレル回線などを介して外部装置と接続される構成であってもよい。
【0025】
(2)読取部の構成
図2は、読取部11の構成を簡略化して示す模式図である。複合機1の筐体21は概ね箱形に形成されており、上部に第1プラテンガラス22と第2プラテンガラス23とが並設されている。なお、図2では筐体21の一部のみを示している。
【0026】
原稿カバー24は筐体21の上面を覆う閉姿勢と筐体21の上面を開放する開姿勢とに回動可能に筐体21に連結されている。原稿カバーには図示しない白色の原稿マットが設けられており、第1プラテンガラス22に載置されている原稿を原稿マットによって押さえる。原稿カバー24はカバー部材の一例である。
【0027】
原稿カバー24には、紙などの原稿が積載される原稿トレイ25、ADF(Auto Document Feeder)26、排紙トレイ27などが設けられている。
ADF26の内部には、分離ローラ28、分離ローラ28を軸支する軸に基端側を軸支されたアーム29の先端部に回転自在に設けられている吸入ローラ30、複数の搬送ローラ31、32、排紙ローラ33、これらに圧接する複数の従動ローラ34、原稿の浮きを抑える原稿抑え部材35などが設けられている。原稿抑え部材35において下を向く面は白色である。原稿はこれらのローラに搬送されて搬送経路36上を搬送され、読取デバイス40による読み取り位置を通過して排紙トレイ27上に排紙される。原稿抑え部材35はカバー部材の一例である。
【0028】
読取デバイス40は等倍光学系を用いて原稿を読み取るものであり、紙面に垂直な主走査方向に直線状に配列された複数の受光素子を有するイメージセンサ、RGB3色の発光ダイオードを有する光源、原稿で反射された反射光をイメージセンサの各受光素子に結像させるロッドレンズアレイ、これらが搭載されるキャリッジ、キャリッジを副走査方向に往復移動させる図示しない搬送機構などを備えている。
【0029】
A/D変換回路41は読取デバイス40とフレキシブルフラットケーブル42で接続されており、イメージセンサから出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。なお、A/D変換回路41の前にゲイン調整回路を設けてもよい。
画像処理回路43はA/D変換回路41から出力されたデジタル信号に基づいて画像を生成し、生成した画像にガンマ補正、シェーディング補正、その他各種の画像処理を施して制御部10に出力する。
【0030】
読取部11は、第1プラテンガラス22上に載置されている原稿を読み取るときは、読取デバイス40を副走査方向に一定速度で搬送しつつ、光源の色を順に切り替えながら第1プラテンガラス22上の読取領域を1ラインずつ読み取る。一方、ADF26によって搬送される原稿を読み取るときは、読取デバイス40を第2プラテンガラス23の直下に停止させ、光源の色を順に切り替えながら第2プラテンガラス23上の読取領域を1ラインずつ読み取る。
【0031】
(3)原稿領域抽出処理
画像処理回路43は、読取領域を読み取って生成された画像を解析して原稿を表す原稿領域を検出し、検出した原稿領域を抽出する原稿領域抽出処理を実行する。原稿領域抽出処理を実行する画像処理回路43は原稿領域検出部、及び、原稿領域抽出部の一例である。
ユーザは操作部13を操作することにより、原稿領域抽出処理の有効/無効を設定することができる。操作部13は設定部の一例である。原稿領域抽出処理が無効に設定されている場合は、原稿のサイズが第1プラテンガラス22や第2プラテンガラス23の読取領域よりも小さいと、生成した画像に原稿カバー24あるいは原稿抑え部材35の裏面を表すカバー部材領域が含まれることになる。
【0032】
ただし、読取部11は、原稿領域抽出処理が無効であっても副走査方向については画像からカバー部材領域を除去するものとする。従って、本実施形態ではカバー部材領域は原稿領域に対して主走査方向に相当する側にのみ存在する(例えば図3の画像例3、画像例4参照)。
【0033】
(4)単色画像の破棄
画像処理回路43は、ADF26によって搬送される原稿を読み取る場合は、生成した画像の種別が単色画像であるか多色画像であるかを判定し、単色画像である場合は不要な画像であるとして破棄する。
ここで単色画像とは全体がほぼ一色の画像であり、例えばシートに印刷した場合にほぼ何も印刷されない白紙画像、全体がほぼ黒一色の画像、全体がほぼ特定のグレー一色の画像、全体がほぼ特定の有彩色一色の画像である。多色画像とは二色以上からなる画像である。
【0034】
単色画像を破棄するのは、原稿を読み取って生成された画像を印刷部12によって印刷する所謂コピーを実行する場合に、単色画像まで印刷するとシートや着色剤が無駄に消費されてしまうからである。
また、ADF26によって搬送される原稿を読み取る場合のみ単色画像を破棄するのは、ADF26によって原稿を搬送して読み取る場合は一般に複数の原稿を読み取らせるので、単色画像が生成される原稿が含まれている可能性があるからである。
なお、単色画像を破棄するのではなく、単色画像であるか多色画像であるかに応じた画像処理を施すようにしてもよい。
【0035】
(5)画像例
図3は、単色画像であるか多色画像であるかが判定される画像の例を示す模式図である。なお、図3に示す画像はあくまで一例であり、画像はこれらに限られるものではない。
【0036】
(画像例1)
画像例1は、全体がほぼ一色からなる原稿を読み取って生成した画像を示している。画像例1は単色画像と判定されるべき画像である。
【0037】
(画像例2)
画像例2は、全体がほぼ一色からなる原稿を読み取って生成した画像であるが、読み取りの際の色ずれによって二色以上となってしまった画像を示している。読み取りの際の色ずれとは、光源の輝度のばらつきやイメージセンサを構成している受光素子の感度のばらつき、あるいは受光素子が配置されている位置による入射光量のばらつき等によって色がずれてしまうことをいう。
画像例2は二色以上となってしまっているが、原稿自体は全体がほぼ一色であるので、単色画像と判定されるべき画像である。
【0038】
(画像例3、及び、画像例4)
画像例3、及び、画像例4は、全体がほぼ一色からなる原稿であって原稿抑え部材35の裏面の色とは異なる一色からなる原稿を読み取って生成した画像を示している。画像例3、及び、画像例4は原稿領域抽出処理が無効に設定されていることにより画像にカバー部材領域60bが含まれてしまっており、それにより二色以上となってしまっている。画像例3と画像例4との違いは、画像例3はカバー部材領域60bの方が原稿領域60aより大きいのに対し、画像例4は原稿領域61aの方がカバー部材領域61bより大きい点である。
画像例3、及び、画像例4は二色以上となってしまっているが、原稿自体は全体がほぼ一色であるので、単色画像と判定されるべき画像である。
【0039】
(画像例5)
画像例5は、写真原稿や文書原稿のように二色以上からなる原稿を読み取って生成した画像を示している。画像例5は画素の色がランダムであり、画像例5を後述するブロック(図4参照)に分割すると多くのブロックが二色以上からなる多色ブロックとなる。画像例5は原稿自体が二色以上からなるので、多色画像と判定されるべき画像である。
【0040】
(画像例6)
画像例6も二色以上からなる原稿を読み取って生成した画像を示している。画像例6は画像全体が複数の領域に分割され、各領域がそれぞれ互いに異なる一色で塗り潰されている。画像例6を後述するブロック(図4参照)に分割するとほとんどのブロックが一色からなる単色ブロックとなる。画像例6も原稿自体が二色以上からなるので、多色画像と判定されるべき画像である。
ここで、画像例6は、原稿領域抽出処理が有効に設定されている状態で原稿を読み取って生成されたものであるとする。
【0041】
(画像例7)
画像例7は、画像例6と同様に二色以上からなる原稿を読み取って生成した画像であるが、画像例6とは逆に、原稿領域抽出処理が無効に設定されている状態で原稿を読み取って生成されたものである。原稿領域抽出処理が無効に設定されている場合は、通常は画像にカバー部材領域が含まれるが、画像例7はプラテンガラスの読取領域のほぼ全体を覆う大きさの原稿を読み取って生成されたものであり、カバー部材領域は含まれていない。画像例7も原稿自体が二色以上からなるので、多色画像と判定されるべき画像である。
ここで、画像例7の色は何れも原稿抑え部材35の裏面の色とは異なるものとする。
【0042】
(画像例8)
画像例8は、画像例7と同様に二色以上からなる原稿を原稿領域抽出処理が無効に設定されている状態で読み取って生成された画像であるが、原稿が小さいために画像の90%以上がカバー部材領域62bである。このため原稿領域62aはかなり小さくなっている。したがって、画像例8が必要な画像であるか否かは、ユーザによって左右され、画像例8を単色画像と判定されるべき画像とするか多色画像と判定されるべき画像とするかは、判断がつきにくい。
【0043】
(6)画像種別判定処理
次に、画像が単色画像であるか多色画像であるかを判定する画像種別判定処理について説明する。ここでは先ず画像種別判定処理の概要について説明し、その後に画像種別判定処理の全体的な流れ、画像種別判定処理のフローチャートについて説明する。
【0044】
(6−1)画像種別判定処理の概要
画像処理回路43は、画像の一部に単色とはいえない部分があっても、人が見た場合に全体として単色と認識される場合には、単色画像であると判定する。例えば画像に白でない部分が含まれていても、人が見た場合に全体として白と認識される場合は、全体が白一色の画像、すなわち単色画像であると判定する。多色画像についても同様である。
【0045】
このような判定を行うために、すなわち人が見た場合に認識される種別と一致する種別が判定されるようにするために、画像処理回路43は画像をYCbCr色空間に変換して図4に示すように複数のブロックに分割し、ブロック毎に当該ブロックが単色ブロックであるか多色ブロックであるかを判定する。
そして、画像処理回路43は、画像を構成している全ブロックの数に占める単色ブロックの数の割合に基づいて単色画像であるか多色画像であるかを判定する。
ブロックの判定においても、画像処理回路43は一部に単色とはいえない部分があっても、人が見た場合に全体として単色と認識される場合には単色ブロックであると判定する。多色ブロックについても同様である。
【0046】
ここで、画像の種別を判定する場合、ブロックに分割するのではなく一つ一つの画素の色を見て画像の種別を判定することも可能である。例えば全画素のうち90%以上が白であれば白一色の画像であると判定することも可能である。
しかしながら、そのように判定すると本実施形態においては説明されない他の処理を行う際に不都合を生じる場合があるので、ブロックに分割して判定する。なお、他の処理での不都合を考慮しない場合でも、ブロックに分割すると画素単位に処理する場合に比べて処理するデータ量を低減できるので、処理速度の低下やメモリ使用量の増大を抑制でき、画像の種別を効率よく判定できるという利点がある。
【0047】
(6−2)画像種別判定処理の全体的な流れ
画像種別判定処理の全体的な流れについて、図3に示す画像例を例に説明する。
【0048】
(6−2−1)
先ず、画像処理回路43は、生成した画像を構成している全ブロックに占める単色ブロックの割合が90%(第1の閾値の一例)以上であるか否かを判定し、90%未満である場合は、この段階で画像は多色画像であると判定する。
画像例5は単色ブロックの割合が90%未満となるので、この段階で多色画像であると判定される。
一方、それ以外の画像(画像例1〜画像例4、及び、画像例6〜画像例8)は単色ブロックの割合が90%以上となるので、この段階ではまだ種別を判定できない。
なお、第1の閾値を90%としたのは一例であり、何%とするかは適宜に選択可能である。これは本実施形態の他の閾値についても同様である。
【0049】
(6−2−2)
次に、画像処理回路43は、上述した(6−2−1)で種別を判定されなかった画像(画像例1〜画像例4、及び、画像例6〜画像例8)について、以下に説明する第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が90%(第2の閾値の一例)以上であるか否かを判定し、90%以上である場合は、この段階で画像は単色画像であると判定する。
【0050】
具体的には、画像処理回路43は、単色ブロックについて、ブロック毎に当該ブロックを構成している画素のY成分の値のヒストグラムである第1のヒストグラムを作成し、第1のヒストグラムにおける最頻値を求める。
ここで最頻値とは最も出現頻度が高い値のことをいう。例えば、各画素のY成分の値がそれぞれ5、2、6、7、2、4、2、9、5、1であるとすると、2の出現頻度が最も多いので、Y成分の最頻値は2である。
なお、詳しくは後述するが、画像処理回路43は単色ブロックであるか多色ブロックであるかを判定するためにこの段階より前にブロック毎に第1のヒストグラムを作成して最頻値を求めるので、ここではその最頻値を流用するものとする。
【0051】
次に、画像処理回路43は、ブロック毎に求められた最頻値のヒストグラムである第2のヒストグラムを作成し、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合を求める。
ここで最頻値の割合とは、全ての値の数に占める、最も出現頻度が高い値(最頻値)の数の割合をいう。例えばブロック毎に求められた最頻値がそれぞれ5、2、6、7、2、4、2、9、5、1であるとすると、2の出現頻度が最も多いので第2のヒストグラムにおける最頻値は2である。そして、最頻値である2の数は3であるので、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合は3/10(=30%)となる。
そして、画像処理回路43は、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が90%以上であるか否かを判定し、90%以上である場合は単色画像であると判定する。
【0052】
画像例1は全体がほぼ一色であるので、第2のヒストグラムを作成すると図5に示すように極端なピークができ、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合は90%以上となる。従って、画像例1はこの段階で単色画像と判定される。
画像例2は読み取りの際の色ずれによって二色以上になってしまっているので、第2のヒストグラムを作成すると図6に示すようにピークが分散してしまい、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合は90%未満となる。このため、この段階ではまだ種別を判定できない。
画像例3、画像例4、画像例6、及び、画像例7も第2のヒストグラムのピークが分散してしまい、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合は90%未満となる。このため、この段階ではまだ種別を判定できない。
【0053】
画像例8は二色以上からなる原稿を読み取って生成された画像であるが、画像の90%以上がカバー部材領域であることにより、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合は90%以上となり、単色画像と判定される。
なお、画像例8がユーザにとって必要な画像である場合は、例えば(6−2−1)において第1の閾値を95%にすれば画像例8が多色画像と判定されるとすると、画像が破棄されてしまった場合はユーザが第1の閾値を95%以上に変更して再度原稿を読み取らせることにより、画像例8が多色画像と判定されるようにしてもよい。あるいは、種別の判定を行うか否かをユーザが設定できるようにし、画像例8のような原稿を読み取らせる場合は種別の判定を行わないようにユーザが設定することによって多色画像と扱われるようにしてもよい。
本実施形態の他の閾値についても同様であり、ユーザがその閾値を変更できるようにしてもよい。
【0054】
また、画像処理回路43は、処理量を低減するために、Y成分の階調範囲(0〜255)を256区間よりも粗い区間に区切って第2のヒストグラムを作成してもよい。例えばY成分の階調範囲を128区間に区切ってもよいし、64区間に区切ってもよいし、32区間に区切ってもよい。ただし、粗くし過ぎると判定精度が低下するので、粗くし過ぎないことが望ましい。
【0055】
実施形態1に係る画像処理回路43は、Y成分の階調範囲を64区間に区切って第2のヒストグラムを作成するものとする。この場合、1区間には4(=256/64)階調分の値が含まれることになる。この場合、「第2のヒストグラムにおける最頻値」は一つの値ではなく、4つの値であることなる。例えば最頻値が128〜131の区間にあるブロックの数が最も多いとすると、「第2のヒストグラムにおける最頻値」は128、129、130、131の4つであり、「第2のヒストグラムにおける最頻値の割合」は、最頻値が128〜131の区間に含まれるブロックの数の割合となる。
なお、上述した第1のヒストグラムについても、Y成分の階調範囲(0〜255)を256区間よりも粗い区間に区切って作成してもよい。
【0056】
(6−2−3)
次に、画像処理回路43は、上述した(6−2−2)で種別を判定されなかった画像(画像例2〜画像例4、画像例6、及び、画像例7)について、読み取りの際の色ずれによって二色以上になってしまった画像であるか否かを判定し、読み取りの際の色ずれによって二色以上になってしまった画像であると判定した場合は、この段階で画像は単色画像であると判定する。
【0057】
具体的に説明すると、一般に読み取りの際に色ずれが生じたとしても、それによって極端に色が変わってしまうことは少ない。このため、色ずれが生じなければ最頻値が第2のヒストグラムにおける最頻値の区間(図6において区間51)に含まれるブロックの場合、色ずれが生じたとしても、多くの場合、そのブロックの最頻値は当該区間より1つ下の区間(図6において区間52)、あるいは当該区間より1つ上の区間(図6において区間53)に収まる。
【0058】
つまり、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が90%(第2の閾値の一例)未満であっても、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合と、最頻値が1つ下の区間に含まれるブロックの割合と、最頻値が1つ上の区間に含まれるブロックの割合とを合計した合計割合が90%(第2の閾値の一例)以上である場合は、本来第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が90%以上であるが、読み取りの際の色ずれによって90%未満となってしまった画像である可能性が高い。
【0059】
ところで、原稿自体がほぼ一色である場合には、例え色ずれが生じたとしても経験的に第2のヒストグラムにおける最頻値の割合は極端に低くはならない。逆に言うと、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が極端に低い場合は、例え上述した合計割合が90%以上であっても、その画像は二色以上の画像、すなわち多色画像であると判定されるべき画像である可能性が高い。
【0060】
そこで、画像処理回路43は、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が60%(第4の閾値の一例)以上であり、且つ、上述した合計割合が90%(第2の閾値の一例)以上である場合は単色画像であると判定する。最頻値の割合が60%未満であるか、又は、最頻値の割合が60%以上であっても合計割合が90%未満である場合は、この段階ではまだ種別を判定できない。
【0061】
画像例2は読み取りの際の色ずれによって二色以上となってしまった画像であるので、この段階で単色画像と判定される。
画像例3、画像例4、画像例6、及び、画像例7は、第2のヒストグラムにおいて一つの色がピークになっても、他の色はその色と大きく異なることにより、他の色を表すブロックの最頻値が、当該一つの色を表すブロックの最頻値が含まれる区間より一つ下の区間、あるいは一つ上の区間に含まれる可能性は低い。このため合計割合は90%未満となる。従って、画像例3、画像例4、画像例6、及び、画像例7は、この段階ではまだ種別を判定できない。
【0062】
(6−2−4)
次に、画像処理回路43は、上述した(6−2−3)で種別を判定されなかった画像(画像例3、画像例4、画像例6、及び、画像例7)について、原稿領域抽出処理が有効に設定されているか否かを判定し、原稿領域抽出処理が有効に設定されている場合は、この段階で画像は多色画像であると判定する。
【0063】
具体的に説明すると、原稿領域抽出処理が有効に設定されている場合は、画像にカバー部材領域が含まれない。画像にカバー部材領域が含まれない場合は、その画像はこの段階で多色画像であると判定できる。なぜなら、この段階では読み取りの際の色ずれによって二色以上となってしまった画像は除外されているので、画像にカバー部材領域が含まれないのであれば、二色以上からなる原稿を読み取って生成した多色画像でない限り前述した(6−2−2)で第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が90%未満であるとは判定されないはずだからである。
【0064】
画像例6は原稿領域抽出処理が有効に設定されている状態で生成された画像であるので、原稿領域抽出処理は有効に設定されていると判定されることになり、この段階で多色画像と判定される。
一方、画像例3、画像例4、及び、画像例7は原稿領域抽出処理が無効に設定されている状態で生成された画像であるので、原稿領域抽出処理は無効に設定されていると判定されることになり、この段階ではまだ種別を判定できない。
【0065】
(6−2−5)
次に、画像処理回路43は、上述した(6−2−4)で種別を判定されなかった画像(画像例3、画像例4、及び、画像例7)について、第2のヒストグラムにおける最頻値、又は、第2のヒストグラムにおける2番目の最頻値と原稿抑え部材35の裏面を表す画素のY成分の値とが一致するかを判定し、いずれか一方が一致する場合は、画像は単色画像であると判定する。ここで、原稿抑え部材35の裏面を表す画素のY成分の値は予めROM10bに記憶されているものとする。
【0066】
具体的に説明すると、この段階において未だ種別が判定されていない単色画像は画像例3や画像例4のようにカバー部材領域を含み、一方、この段階において未だ種別が判定されていない多色画像は画像例7のようにカバー部材領域を含まない。つまり、画像にカバー部材領域が含まれていれば単色画像であり、カバー部材領域が含まれていなければ多色画像であることになる。
単色画像の色は主に原稿領域を表している色とカバー部材領域を表している色との2色であるので、単色画像であれば第2のヒストグラムにおける最頻値、又は、第2のヒストグラムにおける2番目の最頻値は、原稿抑え部材35の裏面を表す画素のY成分の値と一致する。
【0067】
そこで、画像処理回路43は、第2のヒストグラムにおける最頻値、又は、第2のヒストグラムにおける2番目の最頻値が原稿抑え部材35の裏面を表す画素のY成分の値と一致すれば単色画像であると判定する。
一方、第2のヒストグラムにおける最頻値、及び、第2のヒストグラムにおける2番目の最頻値がいずれも原稿抑え部材35の裏面を表す画素のY成分の値と一致しなければ多色画像と判定する。
【0068】
画像例3、及び、画像例4は上述した最頻値、又は、2番目の最頻値が原稿抑え部材35の裏面を表す画素のY成分の値と一致するので、この段階で単色画像であると判定される。
一方、画像例7は原稿抑え部材35の裏面を表す画素のY成分の値と一致しないので、この段階で多色画像と判定される。
【0069】
(6−3)画像種別判定処理のフローチャート
図7は、上述した画像種別判定処理の流れを示すフローチャートである。
S101では、画像処理回路43は処理量を軽減するために画像を間引く。どの程度間引くかは適宜に選択可能である。
S102では、画像処理回路43は画像から縁部を除外する。原稿とプラテンガラスとの間には原稿の厚み分の段差があり、原稿領域抽出処理が有効に設定されている場合には画像の縁部に段差が影として表れてしまうことがある。画像から縁部を除外するのは段差を表す影の影響によって画像の種別が誤判定されないようにするためである。なお、原稿領域抽出処理が無効に設定されている場合はこの処理を行わないようにしてもよい。
【0070】
S103では、画像処理回路43は画像の色空間をYCbCr色空間に変換する。
ここで、S103でYCbCr色空間に変換された画像は、原稿領域抽出処理が無効に設定されている場合は読取部11によって読取領域を読み取って生成された画像をYCbCr色空間に変換したものであり、一方、原稿領域抽出処理が有効に設定されている場合は読取部11によって読取領域を読み取って生成された画像から抽出された原稿領域をYCbCr色空間に変換したものである。
【0071】
S104では、画像処理回路43は図4に示すようにYCbCr色空間で表される画像を格子状に複数のブロックに分割する。ブロックのサイズは適宜に選択可能であるが、本実施形態では縦横32ピクセルのブロックに分割するものとする。
S105では、画像処理回路43はブロックを一つ選択する。S105の処理が2回目以降である場合は未だ選択していないブロックを選択するものとする。
S106では、画像処理回路43は選択したブロックが単色ブロックであるか多色ブロックであるかを判定するブロック判定処理を実行する。ブロック判定処理の詳細については後述する。
上述したS101〜S105を実行する画像処理回路43は単色/多色ブロック判定部の一例である。
【0072】
S107では、画像処理回路43は全てのブロックを選択したか否かを判定し、全てのブロックを選択した場合はS108に進み、未だ選択していないブロックがある場合はS105に戻って処理を繰り返す。
S108では、画像処理回路43はブロック判定処理によって判定されたブロックの割合に基づいて画像の種別を判定する画像判定処理を実行する。画像判定処理の詳細については後述する。
【0073】
(6−3−1)ブロック判定処理
図8は、ブロック判定処理の流れを示すフローチャートである。
S201では、画像処理回路43はS105で選択したブロックを構成している画素のY成分の値のヒストグラムである第1のヒストグラムを作成し、第1のヒストグラムから、Y成分の最頻値、及び、当該ブロックにおいてY成分の値が当該最頻値と一致する画素の割合(以下「Y成分の最頻値の割合」という)を求める。
ここで求めたY成分の最頻値は第2のヒストグラムの生成でも用いるので、画像処理回路43は求めたY成分の最頻値をRAM10cに記憶する。
上述したS201を実行する画像処理回路43は、ブロック単位最頻値算出部の一例である。
【0074】
S202では、画像処理回路43は当該ブロックのY成分の最頻値の割合が90%以上であるか否かを判定する。90%は一例であり、何%とするかは適宜に選択可能である。
ここで、Y成分の最頻値の割合が90%以上であってもCb、Cr成分が異なれば二以上の色があることになるが、一般にブロックの単位ではY成分の最頻値が90%以上のときにCb、Cr成分が異なることは少なく、経験的にこのような判定で十分であるため、本実施形態では単色ブロックであるか多色ブロックであるかをY成分の値だけで判定する。なお、単色ブロックであるか多色ブロックであるかをCb、Cr成分を考慮して判定してもよい。
画像処理回路43は、当該ブロックのY成分の最頻値の割合が90%以上であると判定した場合は単色ブロックであるとしてS203に進み、90%未満であると判定した場合は多色ブロックであるとしてS204に進む。
【0075】
S203では、画像処理回路43は、単色ブロックであると判定する。
S204では、画像処理回路43は、多色ブロックであると判定する。
【0076】
(6−3−2)画像判定処理
図9及び図10は、S108で実行される画像判定処理の流れを示すフローチャートである。
S301では、画像処理回路43は画像を構成する全ブロックに占める単色ブロックの割合を求め、単色ブロックの割合が90%(第1の閾値の一例)未満である場合は多色画像であるとしてS312に進み、90%以上である場合はこの段階ではまだ種別が不明であるとしてS302に進む。S301を実行する画像処理回路43は単色ブロック割合判定部の一例である。
【0077】
S302では、画像処理回路43は画像を構成しているブロックのうち単色ブロックについて、S201でブロック毎に求められた最頻値のヒストグラムである第2のヒストグラムを作成し、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合を求める。なお、多色ブロックの最頻値は第2のヒストグラムの作成には用いられない。S302を実行する画像処理回路43は画像単位最頻値割合算出部の一例である。
【0078】
S303では、画像処理回路43はS302で求められた第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が90%(第2の閾値の一例)以上であるか否かを判定し、90%以上である場合は単色画像であるとしてS310に進み、90%未満である場合はこの段階ではまだ種別が不明であるとしてS304に進む。S303を実行する画像処理回路43は最頻値割合判定部、及び、第1の画像種別判定部の一例である。
【0079】
S304では、画像処理回路43は、S302で求めた第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が60%(第4の閾値の一例)以上であるか否かを判定し、60%以上である場合はS304に進み、60%未満である場合はS305〜S306をスキップしてS307に進む。
【0080】
S305では、画像処理回路43は第2のヒストグラムにおける最頻値の割合と、最頻値が1つ下の区間に含まれるブロックの割合と、最頻値が1つ上の区間に含まれるブロックの割合とを合計した合計割合を求める。
最頻値が1つ下の区間に含まれるブロックの割合と、最頻値が1つ上の区間に含まれるブロックの割合とを合計した割合は、第2のヒストグラムにおける最頻値との差が第3の閾値以内であるブロックの割合の一例である。ここで、本実施形態ではY成分の階調範囲を64区間に区切るので1区間は4階調に相当し、従って第3の閾値は±4であることになる。S305を実行する画像処理回路43は非最頻値割合算出部の一例である。非最頻値とは、最頻値ではない値のことをいう。
【0081】
S306では、画像処理回路43は、S305で求められた合計割合が90%(第2の閾値の一例)以上であるか否かを判定し、90%以上である場合は単色画像であるとしてS310に進み、90%未満である場合はこの段階ではまだ種別が不明であるとしてS307に進む。S306を実行する画像処理回路43は第2の画像種別判定部の一例である。
ここで、S304において第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が60%(第4の閾値の一例)未満であると判定された場合はS305〜S306がスキップされるので、合計割合が90%(第2の閾値の一例)以上であっても単色画像であるとは判定されないことになる。
【0082】
S307では、画像処理回路43は、原稿領域抽出処理が有効に設定されているか否かを判定し、原稿領域抽出処理が有効に設定されている場合は多色画像であるとしてS312に進み、無効に設定されている場合はこの段階ではまだ種別が不明であるとしてS308に進む。
【0083】
S308では、画像処理回路43は、第2のヒストグラムにおける最頻値と原稿抑え部材35の裏面を表す画素のY成分の値とが一致するか否かを判定する。具体的には、画像処理回路43は以下の式1が満たされるか否かを判定する。
|第2のヒストグラムにおける最頻値と原稿抑え部材35の裏面を表す画素のY成分の値との差|≦5(第6の閾値の一例) ・・・ 式1
画像処理回路43は、式1が満たされる場合は単色画像であるとしてS310に進み、式1が満たされない場合はこの段階ではまだ種別が不明であるとしてS309に進む。S308を実行する画像処理回路43は第3の画像種別判定部の一例である。
【0084】
S309では、画像処理回路43は、第2のヒストグラムにおける2番目の最頻値と原稿抑え部材35の裏面を表す画素のY成分の値とが一致するか否かを判定する。具体的には、画像処理回路43は以下の式2が満たされるか否かを判定する。
|第2のヒストグラムにおける2番目の最頻値と原稿抑え部材35の裏面を表す画素のY成分の値との差|≦5(第6の閾値の一例) ・・・ 式2
画像処理回路43は、式2が満たされる場合は単色画像であるとしてS310に進み、式2が満たされない場合は多色画像であるとしてS312に進む。
上述したS308〜S309を実行する画像処理回路43は第3の画像種別判定部の一例である。
【0085】
S310では、画像処理回路43は画像が単色画像であると判定する。
S311では、画像処理回路43は、単色画像を破棄する。
S312では、画像処理回路43は画像が多色画像であると判定する。
【0086】
(7)実施形態の効果
以上説明した実施形態1に係る複合機1によると、S301において単色ブロックの割合が90%(第1の閾値の一例)以上であると判定しても直ちに単色画像であると判定するのではなく、S303において第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が90%(第2の閾値の一例)以上であるか否かを判定し、90%以上であれば単色画像であると判定する。これにより、画像例6のように画像全体が複数の領域に分割され、各領域がそれぞれ互いに異なる一色で塗り潰されている画像が単色画像であると誤判定されないようにすることができる。
よって複合機1によると、単色ブロックの割合に基づいて画像が単色画像であるか否かを判定する際の判定精度を向上させることができる。
【0087】
更に、複合機1によると、S301で単色ブロックの割合が90%(第1の閾値の一例)未満であると判定された場合は、S302(画像単位最頻値割合算出部)及びS303(最頻値割合判定部)を実行しない。単色ブロックの割合が第1の閾値未満である場合は単色画像とは判定しないので、このような場合は画像単位最頻値割合算出部、及び、最頻値割合判定部の動作を実行しないようにすることにより、動作の無駄を低減できる。
【0088】
更に、複合機1によると、S301で単色ブロックの割合が90%(第1の閾値)以上であると判定され、且つ、S303で第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が90%(第2の閾値の一例)未満であると判定された場合に、前述した合計割合が90%(第2の閾値の一例)以上である場合は、画像は単色画像であると判定するので、画像例2のような単色画像であると判定されるべき画像が単色画像であると判定されないことを低減できる。
【0089】
更に、複合機1によると、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が60%(第4の閾値の一例)未満である場合は、上述した合計割合が90%(第2の閾値の一例)以上であっても画像は単色画像であるとは判定しないので、単色画像であると判定されるべきではない画像が単色画像であると誤判定されることを低減できる。
【0090】
更に、複合機1によると、単色ブロックの割合が90%(第1の閾値の一例)以上であると判定され、その後にS303で第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が90%(第2の閾値の一例)未満であると判定され、S306で合計割合が90%(第2の閾値の一例)未満であると判定された場合に、第2のヒストグラムにおける最頻値と原稿抑え部材35の裏面を表す画素のY成分の値との差、又は、2番目の最頻値と原稿抑え部材35の裏面を表す画素のY成分の値との差が±5(第6の閾値の一例)未満である場合は、画像は単色画像であると判定するので、画像例3や画像例4のような単色画像であると判定されるべき画像が単色画像であると判定されないことを低減できる。
【0091】
更に、複合機1によると、原稿領域抽出処理が有効に設定されている場合はS307において画像は多色画像であると判定するので、上述した差を求めることなく多色画像であると判定でき、処理効率が向上する。
【0092】
更に、複合機1によると、画像から縁部を除外するので、原稿とプラテンガラスとの間の段差を表す影の影響によって画像の種別が誤判定されることを低減できる。
【0093】
更に、複合機1によると、画像が単色画像である場合は不要な画像であるとして破棄するので、不要な画像が印刷部12によって印刷されてしまうことを低減できる。
【0094】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を説明する。
実施形態1では第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が60%以上であり、且つ、前述した合計割合が90%以上である場合は、読み取りの際の色ずれによって二色以上になってしまった画像であるとして単色画像であると判定する場合を例に説明したが、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が60%以上であり、且つ、前述した合計割合が90%以上である場合であっても、最頻値が1つ下の区間に含まれるブロックの割合と最頻値が1つ上の区間に含まれるブロックの割合とを合計した割合と、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合との差が極端に大きければ単色画像であるとは判定しないようにしてもよい。
【0095】
具体的には例えば、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が65%であり、最頻値が1つ下の区間に含まれるブロックの割合と最頻値が1つ上の区間に含まれるブロックの割合とを合計した割合が30%である場合は、その差は35(=65−30)%である。これに対し、例えば第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が80%であり、最頻値が1つ下の区間に含まれるブロックの割合と最頻値が1つ上の区間に含まれるブロックの割合とを合計した割合が10%である場合は、その差は70(=80−10)%である。
【0096】
画像読取装置による原稿の読み取りの際に色ずれが生じたとしても、全体がほぼ一色からなる原稿であれば経験的に最頻値が1つ下の区間に含まれるブロックの割合と最頻値が1つ上の区間に含まれるブロックの割合とを合計した割合もある程度大きな値となり、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合との差は極端に大きくはならない。逆に言うと、上述した差が大きい場合は、もともと画像は単色画像ではなく、互いに近い色ではあるものの同じではない二以上の色からなる画像である可能性がある。つまり、このような画像は本来単色画像であると判定されるべきではない画像である可能性が高い。
【0097】
実施形態2に係る複合機によると、最頻値が1つ下の区間に含まれるブロックの割合と最頻値が1つ上の区間に含まれるブロックの割合とを合計した割合と、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合との差が第5の閾値(例えば50)以上である場合は、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が60%以上であり、且つ、合計割合が90%以上であっても単色画像であるとは判定しないので、上述したような単色画像であると判定されるべきではない画像が単色画像であると誤判定されることを低減できる。
なお、第5の閾値は多色画像が単色画像であると誤判定されなくなる境界となる値を実験によって調べることによって適宜に決定することができる。
実施形態2はその他の点において実施形態1と実質的に同一であるのでフローチャートは省略する。
【0098】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図11ないし図12によって説明する。
実施形態3では実施形態1の画像例に加えて更に図11に示す画像例9を考慮して判定する。
【0099】
図11は画像例9を示す模式図である。画像例9は画像全体が複数の領域に分割され、各領域がそれぞれ互いに異なる一色で塗り潰されている画像であり、原稿領域抽出処理が無効に設定されている状態で原稿を読み取って生成されたものである。図示するように画像例には画像領域70aとカバー部材領域70bとが含まれている。
【0100】
画像例9は、画像例7と同様に単色ブロックの割合が90%以上であると判定され、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が90%未満であると判定され、読み取りの際の色ずれによって二色以上になってしまった画像ではないと判定され、原稿領域抽出処理が無効に設定されていると判定される。
しかしながら、画像例9はカバー部材領域70bが含まれていることにより、第2のヒストグラムにおける最頻値、あるいは、第2のヒストグラムにおける2番目の最頻値と原稿抑え部材35の裏面を表す画素のY成分の値とが一致し、本来は多色画像と判定されるべきであるが、単色画像と判定されてしまう可能性がある。
そのため、画像例9を考慮する場合には、図10に示すS308〜S309ではなく、図12に示すようにS401〜S403を実行するようにしてもよい。
【0101】
図12は、実施形態3に係る画像判定処理の流れを示すフローチャートである。ここでは実施形態1と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。また、ここでは図9に相当する部分は実施形態1と同一であるので省略している。
S401では、画像処理回路43は画像からカバー部材領域を除外する。
S402では、画像処理回路43はカバー部材領域が除外された後の画像について第2のヒストグラムに相当する第3のヒストグラムを作成する。
S403では、画像処理回路43は第3のヒストグラムにおける最頻値が90%以上であれば単色画像と判定し、90%未満であれば多色画像であると判定する。
【0102】
以上説明した実施形態3に係る複合機によると、画像例9を多色画像と判定できる。
なお、実施形態3に係る複合機によると、画像例9の場合は原稿領域抽出処理が無効に設定されていてもそれに相当する処理を実行することになってしまうが、原稿領域抽出処理に相当する処理を実行するのはS307で原稿領域抽出処理が無効に設定されていると判定された場合のみであるので、原稿領域抽出処理が有効に設定されているか無効に設定されているかによらず常に原稿領域抽出処理に相当する処理を実行してから画像の種別を判定する場合に比べて処理量を低減できる。
【0103】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0104】
(1)上記実施形態ではブロックが単色ブロックであるか多色ブロックであるかを判定するとき第1のヒストグラムを用いて判定しているが、ブロックを判定する方法はこれに限られるものではない。
例えば他の画素と色が異なる画素が一つでもあれば多色ブロックと判定し、全ての画素が同じ色であれば単色ブロックであると判定してもよい。ブロックを判定するときに第1のヒストグラムを用いない場合は、第2のヒストグラムを作成する直前に単色ブロックについてのみ第1のヒストグラムを作成すればよい。
【0105】
(2)上記実施形態では第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が60%(第4の閾値の一例)以上であり、且つ、前述した合計割合が90%(第2の閾値の一例)以上である場合は単色画像であるとしているが、第2のヒストグラムにおける最頻値の割合が60%以上であるかは考慮せず合計割合が90%以上であれば単色画像であるとしてもよい。
【0106】
(3)上記実施形態では原稿領域抽出処理の有効/無効をユーザが設定できる場合を例に説明したが、有効/無効をユーザが設定できず、常に原稿領域抽出処理が有効である構成であってもよい。この場合はS307〜S309の処理は不要となり、S306で合計割合が90%未満であると判定された場合は直ちに多色画像であると判定されることになる。
【0107】
あるいは、原稿領域抽出処理は常に有効であるが、処理の都合上、画像の種別を判定する段階ではまだ原稿領域が抽出されていない構成であってもよい。この場合はS307の判定は不要となり、S306で合計割合が90%未満であると判定された場合は直接S308に進むことになる。
【0108】
(4)上記実施形態ではADF26によって搬送される原稿を読み取る場合のみ原稿の種別を判定する場合を例に説明したが、第1プラテンガラス22に載置されている原稿を読み取る場合にも原稿の種別を判定し、判定した種別に応じた画像処理を施すようにしてもよい。
【0109】
(5)上記実施形態1ではブロックが単色ブロックであるか多色ブロックであるかを第1のヒストグラムに基づいて判定するのでS201において単色ブロックであるか多色ブロックであるかによらず第1のヒストグラムを作成しているが、単色ブロックであるか多色ブロックであるかを第1のヒストグラムを用いて判定しない場合は、第2のヒストグラムを作成する直前に、単色ブロックについてのみ第1のヒストグラムを作成するようにしてもよい。
単色ブロックであるか多色ブロックであるかを第1のヒストグラムを用いて判定しない場合とは、ブロックの全ての画素のY成分が一致すれば単色ブロックと判定し、ブロックに一つでも他の画素とY成分の値が異なる画素がある場合、あるいはブロックに他の画素とY成分の値が異なる画素が一定数以上ある場合は多色ブロックであると判定する場合などである。ブロックが単色ブロックであるか多色ブロックであるかをどのように判定するかは適宜に選択可能である。
【0110】
(6)上記実施形態では画像の種別の判定を画像処理回路43によって実行する場合を例に説明したが、CPU10aによって実行されてもよいし、画像処理回路43とCPU10aとによって実行されてもよい。
【0111】
(7)上記実施形態では画像処理装置及び画像読取装置として複合機1を例に説明したが、画像処理装置は上述した画像種別判定処理を実行するための画像処理プログラムがインストールされているパーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末などの機器であってもよい。これらの機器はコンピュータの一例である。この場合、これらの機器において上述した画像処理プログラムを実行することにより、これらの機器がイメージスキャナなどの外部の機器から受信した画像の種別を判定してもよい。
【0112】
(8)上記実施形態では図9のS304において最頻値の割合が60%未満であると判定した場合はS307に進むが、60%未満である場合は多色画像であるとしてS312に進んでもよい
【符号の説明】
【0113】
1・・・複合機、10・・・制御部、11・・・読取部、13・・・操作部、22・・・第1プラテンガラス、23・・・第2プラテンガラス、24・・・原稿カバー、35・・・原稿抑え部材、43・・・画像処理回路、51・・・第2のヒストグラムにおける最頻値の区間、52・・・1つ下の区間、53・・・1つ上の区間、60a・・・原稿領域、60b・・・カバー部材領域、61a・・・原稿領域、61b・・・カバー部材領域、62a・・・原稿領域、62b・・・カバー部材領域、71a・・・画像領域、70b・・・カバー部材領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
YCbCr色空間で表される画像を複数のブロックに分割してブロック毎に当該ブロックが単色ブロックであるか多色ブロックであるかを判定する単色/多色ブロック判定部と、
前記画像に占める前記単色ブロックの割合が第1の閾値以上であるか否かを判定する単色ブロック割合判定部と、
前記単色/多色ブロック判定部によって単色ブロックと判定された前記ブロックについて、前記ブロック毎に当該ブロックを構成している画素のY成分の値のヒストグラムである第1のヒストグラムを作成し、前記第1のヒストグラムにおける最頻値を求めるブロック単位最頻値算出部と、
前記ブロック単位最頻値算出部によって前記単色ブロック毎に求められた前記最頻値のヒストグラムである第2のヒストグラムを作成し、前記第2のヒストグラムにおける最頻値の割合を求める画像単位最頻値割合算出部と、
前記画像単位最頻値割合算出部によって求められた前記第2のヒストグラムにおける前記最頻値の割合が第2の閾値以上であるか否かを判定する最頻値割合判定部と、
前記単色ブロック割合判定部によって前記単色ブロックの割合が前記第1の閾値以上であると判定され、且つ、前記最頻値割合判定部によって前記最頻値の割合が前記第2の閾値以上であると判定された場合は、前記画像は単色画像であると判定する第1の画像種別判定部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記単色ブロック割合判定部によって前記単色ブロックの割合が前記第1の閾値未満であると判定された場合は、前記画像単位最頻値割合算出部、及び、前記最頻値割合判定部の動作を実行しない、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記単色ブロック割合判定部によって前記単色ブロックの割合が前記第1の閾値以上であると判定され、且つ、前記第1の画像種別判定部によって前記最頻値の割合が前記第2の閾値未満であると判定された場合に、前記第2のヒストグラムにおける前記最頻値との差が第3の閾値以内である前記ブロックの割合を算出する非最頻値ブロック割合算出部と、
前記第2のヒストグラムにおける前記最頻値の割合と前記非最頻値ブロック割合算出部によって算出された前記割合とを合計した合計割合が前記第2の閾値以上である場合は、前記画像は単色画像であると判定する第2の画像種別判定部と、
を備える画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記第2の画像種別判定部は、前記第2のヒストグラムにおける前記最頻値の割合が前記第2の閾値より小さい第4の閾値以上であり、且つ、前記合計割合が前記第2の閾値以上である場合に、前記画像は単色画像であると判定する、画像処理装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の画像処理装置であって、
前記第2の画像種別判定部は、前記第2のヒストグラムにおける前記最頻値の割合と、前記非最頻値ブロック割合算出部によって算出された前記割合との差が第5の閾値以上であり、且つ、前記合計割合が前記第2の閾値以上である場合に、前記画像は単色画像であると判定する、画像処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
読取領域を覆うカバー部材と、
前記読取領域を読み取って画像を生成する読取部と、
を備え、
前記YCbCr色空間で表される前記画像は前記読取部によって前記読取領域を読み取って生成された画像をYCbCr色空間に変換したものであり、
前記単色ブロック割合判定部によって前記単色ブロックの割合が第1の閾値以上であると判定され、且つ、前記第1の画像種別判定部によって前記最頻値の割合が前記第2の閾値未満であると判定された場合に、前記第2のヒストグラムにおける前記最頻値と前記カバー部材の裏面を表す画素のY成分の値との差、又は、前記第2のヒストグラムにおける2番目の最頻値と前記カバー部材の裏面を表す画素のY成分の値との差が前記第6の閾値未満である場合は、前記画像は単色画像であると判定し、いずれの差も前記第6の閾値を超えている場合は、前記画像は多色画像であると判定する第3の画像種別判定部を備える、画像処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理装置であって、
前記読取部によって生成された前記画像を解析して原稿を表す原稿領域を検出する原稿領域検出部と、
前記原稿領域検出部による原稿領域の検出の有効/無効を設定する設定部と、
前記設定部によって前記原稿領域検出部による原稿領域の検出が有効に設定されている場合に、前記原稿領域検出部によって検出された原稿領域を抽出する原稿領域抽出部と、
を備え、
前記YCbCr色空間で表される前記画像は、前記設定部によって前記原稿領域検出部による原稿領域の検出が無効に設定されている場合は前記読取部によって前記読取領域を読み取って生成された画像をYCbCr色空間に変換したものであり、一方、前記設定部によって前記原稿領域検出部による原稿領域の検出が有効に設定されている場合は前記原稿領域抽出部によって抽出された前記原稿領域をYCbCr色空間に変換したものであり、
前記第3の画像種別判定部は、前記原稿領域検出部による原稿領域の検出が有効に設定されている場合は、前記画像は多色画像であると判定する、画像処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
読取領域を覆うカバー部材と、
前記読取領域を読み取って画像を生成する読取部と、
前記読取部によって生成された前記画像を解析して原稿を表す原稿領域を検出する原稿領域検出部と、
前記画像から前記原稿領域検出部によって検出された原稿領域を抽出する原稿領域抽出部と、
を備え、
前記YCbCr色空間で表される前記画像は前記原稿領域抽出部によって抽出された前記原稿領域をYCbCr色空間に変換したものであり、
前記単色ブロック割合判定部によって前記単色ブロックの割合が前記第1の閾値未満であると判定された場合、又は、前記単色ブロック割合判定部によって前記単色ブロックの割合が前記第1の閾値以上であると判定され、且つ、前記第1の画像種別判定部によって前記最頻値の割合が前記第2の閾値未満であると判定された場合は、前記画像は多色画像であると判定する第3の画像種別判定部を備える、画像処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記ブロック単位最頻値算出部は、前記画像から縁部を除外した内側部分を対象として前記ブロックに分割する、画像処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記画像が単色画像であると判定された場合に、当該画像を破棄する、画像処理装置。
【請求項11】
読取領域を覆うカバー部材と、
前記読取領域を読み取って画像を生成する読取部と、
読取部によって生成された画像の色空間をYCbCr色空間に変換する色空間変換部と、
前記色空間変換部によってYCbCr色空間に変換された前記画像を複数のブロックに分割してブロック毎に当該ブロックが単色ブロックであるか多色ブロックであるかを判定する単色/多色ブロック判定部と、
前記画像に占める前記単色ブロックの割合が第1の閾値以上であるか否かを判定する単色ブロック割合判定部と、
前記単色/多色ブロック判定部によって単色ブロックと判定された前記ブロックについて、前記ブロック毎に当該ブロックを構成している画素のY成分の値のヒストグラムである第1のヒストグラムを作成し、前記第1のヒストグラムにおける最頻値を求めるブロック単位最頻値算出部と、
前記ブロック単位最頻値算出部によって前記単色ブロック毎に求められた前記最頻値のヒストグラムである第2のヒストグラムを作成し、前記第2のヒストグラムにおける最頻値の割合を求める画像単位最頻値割合算出部と、
前記画像単位最頻値割合算出部によって求められた前記第2のヒストグラムにおける前記最頻値の割合が第2の閾値以上であるか否かを判定する最頻値割合判定部と、
前記単色ブロック割合判定部によって前記単色ブロックの割合が前記第1の閾値以上であると判定され、且つ、前記最頻値割合判定部によって前記最頻値の割合が前記第2の閾値以上であると判定された場合は、前記画像は単色画像であると判定する第1の画像種別判定部と、
を備える画像読取装置。
【請求項12】
YCbCr色空間で表される画像を複数のブロックに分割してブロック毎に当該ブロックが単色ブロックであるか多色ブロックであるかを判定する単色/多色ブロック判定処理と、
前記画像に占める前記単色ブロックの割合が第1の閾値以上であるか否かを判定する単色ブロック割合判定処理と、
前記単色/多色ブロック判定処理によって単色ブロックと判定された前記ブロックについて、前記ブロック毎に当該ブロックを構成している画素のY成分の値のヒストグラムである第1のヒストグラムを作成し、前記第1のヒストグラムにおける最頻値を求めるブロック単位最頻値算出処理と、
前記ブロック単位最頻値算出処理によって前記単色ブロック毎に求められた前記最頻値のヒストグラムである第2のヒストグラムを作成し、前記第2のヒストグラムにおける最頻値の割合を求める画像単位最頻値割合算出処理と、
前記画像単位最頻値割合算出処理によって求められた前記第2のヒストグラムにおける前記最頻値の割合が第2の閾値以上であるか否かを判定する最頻値割合判定処理と、
前記単色ブロック割合判定処理によって前記単色ブロックの割合が前記第1の閾値以上であると判定され、且つ、前記最頻値割合判定処理によって前記最頻値の割合が前記第2の閾値以上であると判定された場合は、前記画像は単色画像であると判定する第1の画像種別判定処理と、
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−74536(P2013−74536A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213290(P2011−213290)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】