画像処理装置、表示装置、画像処理方法及びプログラム
【課題】各フレームのコントラスト調整時にフレーム間の相関を推定する。
【解決手段】3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出部13と、Mフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出部12と、Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいてMフレーム目のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出部15と、Mフレーム目のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成部16と、(N−1)フレーム目及びNフレーム目(N>0)を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定部20とを備えた画像処理装置10であって、ゲイン生成部16は、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とからNフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する。
【解決手段】3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出部13と、Mフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出部12と、Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいてMフレーム目のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出部15と、Mフレーム目のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成部16と、(N−1)フレーム目及びNフレーム目(N>0)を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定部20とを備えた画像処理装置10であって、ゲイン生成部16は、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とからNフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、表示装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、右眼用画像と左眼用画像の水平方向のずれである両眼視差によって画像を立体視表示する技術が注目され、実用化されている。立体視表示では、両眼視差が大きいほど、画像が手前に飛び出て見えたり、奥に引っ込んで見えたりする。よって、両眼視差を大きくとると、立体視表示に迫力を出すことができるが、ユーザに視覚疲労を与えることにもなりかねない。
【0003】
そこで、鑑賞者の視覚疲労を軽減するために、両眼視差を調整する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、両眼視差を異なる値に設定した複数のサンプル画像を呈示し、呈示された画像に対して許容できるか否かを応答させることにより、両眼視差を調整する技術が開示されている。また、例えば、特許文献2には、画像内のオブジェクトの奥行き方向の位置に応じて、オブジェクトが有する陰影、遮蔽関係、ボケ具合の特徴を変化させることにより、奥行き感を強調する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3749227号公報
【特許文献2】特開2001−238231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、ユーザの視覚疲労を抑えるために、基本的には、立体感や奥行き感を減らす方向に両眼視差を調整することになる。このため、臨場感やリアリティが損なわれてしまう。また、両眼立体情報から知覚される立体感や奥行き感が、単眼立体情報から知覚される立体感や奥行き感と異なると、不自然さを与えることにもなる。また、特許文献2では、どのパラメータをどのような計算式に基づいてどのような値に設定すればよいかが具体的に開示されていない。試行錯誤的に値を設定した場合であっても、得られる左眼用2次元画像と右眼用2次元画像が人間にとって自然で快適である保証はなく、むしろ不自然さや不快感を覚えたり、視覚疲労を引き起こしたりする可能性もある。
【0006】
これに対して、単眼立体情報から奥行きをどの程度知覚するかという人間の視覚特性を利用することも考えられる。例えば、単眼立体情報の一つである空気遠近法によれば、コントラストの高低によって、人間は物体の遠近を経験的に感じることができる。よって、コントラスト成分を使って画像を処理すると、手前に表示されているオブジェクトのコントラストを上げればより手前に表示されるように見え、奥に表示されているオブジェクトのコントラストを下げればより奥に表示されるように見える。このような視覚特性に基づいて、画像の有するコントラストを調整することも考えられる。
【0007】
この場合、処理対象が静止画であれば、画像毎にコントラストを調整すればよい。しかしながら、動画像の場合には、全フレームに静止画と同一の処理を適用すると1フレーム毎に独立した処理となり、前後のフレーム間の相関情報を持たない。このため、フレーム毎に奥行き情報(ディスパリティ)を抽出し、ディスパリティマップを作成する。抽出した奥行き情報には誤差が含まれるため、本来フレーム間で奥行きに変化がない領域でも、変化があるように誤って抽出されることがある。この結果、フレーム毎にディスパリティマップがはらつき、コントラスト調整ゲインが毎フレームで僅かに変化し、フリッカのような目障りな現象が発生することがある。
【0008】
上記課題に対して、本発明の目的とするところは、3次元の動画像において各フレームのコントラスト調整時にフレーム間の相関を推定することが可能な、画像処理装置、表示装置、画像処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出部と、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出部と、前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出部と、前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成部と、(N−1)フレーム目及びNフレーム目(N>0)を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定部と、を備え、前記ゲイン生成部は、前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する画像処理装置が提供される。
【0010】
Mフレーム目は、0フレーム目又はリセット周期である周期値の整数倍のフレーム目の少なくともいずれかを含んでもよい。
【0011】
前記相関推定部は、Nフレーム目と(N−1)フレーム目との間の相関値を算出し、前記ゲイン生成部は、前記算出されたNフレーム目と(N−1)フレーム目との間の相関値を用いて、(N−1)フレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGからNフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定してもよい。
【0012】
前記相関推定部は、0フレーム目以外のすべてのフレームに対してNフレーム目と(N−1)フレーム目から前記相関値を算出する処理を繰り返し、前記ゲイン生成部は、0フレーム目以外のすべてのフレームに対して前記算出された相関値と(N−1)フレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGとから、Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する処理を繰り返してもよい。
【0013】
前記ゲイン生成部は、前記Nフレーム目が前記Mフレーム目に一致する場合、前記推定したNフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGと、前記算出したMフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップCGと、の加算平均処理又は所定の重み付け処理をすることにより、Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップMGを生成してもよい。
【0014】
Mフレームの周期値は、前記入力される動画像の変化に基づいて、可変に設定してもよい。
【0015】
前記Mフレームの周期値は、前記入力される動画像の動きが大きいほど小さい値に設定し、前記入力される動画像の動きが小さいほど大きい値に設定してもよい。
【0016】
前記相関推定部は、動き推定技術を用いて前記相関値を算出してもよい。
【0017】
前記Mフレーム目の輝度成分に基づいて、前記Mフレーム目の画像の空間周波数成分を抽出する空間周波数抽出部を更に備え、前記ゲイン生成部は、前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分、空間周波数成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出してもよい。
【0018】
前記算出されたコントラスト調整用ゲインマップCG又は前記推定されたコントラスト調整用ゲインマップEG又は前記生成されたコントラスト調整用ゲインマップMGのいずれかを用いて、Nフレーム目の画像のコントラスト成分を調整するコントラスト調整部を更に備えてもよい。
【0019】
前記画像処理装置によりコントラスト成分が調整された各フレームの画像を表示する表示装置を備えていてもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出ステップと、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出ステップと、前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出ステップと、前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成ステップと、(N−1)フレーム目及びNフレーム目(N>0)を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定ステップと、を含み、前記ゲイン生成ステップは、前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定するステップを含む画像処理方法が提供される。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出処理と、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出処理と、前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出処理と、前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成処理と、(N−1)フレーム目及びNフレーム目(N>0)を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定処理と、を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記ゲイン生成処理は、前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する処理を含むプログラムが提供される。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、入力された連続する2つのフレームの画像の相関値を算出する相関推定部と、入力された画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、前記画像のコントラストの調整を行うためのゲインマップCGを算出し、ゲインマップCGと前記相関値から前記画像のコントラストの調整を行うためのゲインマップEGを推定するゲイン生成部と、を備える画像処理装置が提供される。
【0023】
前記ゲイン生成部は、(N−1)フレーム目の画像の前記ゲインマップCGと、(N−1)フレーム目とNフレーム目との前記相関値とから、Nフレーム目のゲインマップEGを推定してもよい。
【0024】
前記ゲイン生成部は、(P−1)フレーム目の画像の前記ゲインマップEGと、(P−1)フレーム目とPフレーム目との前記相関値とから、Pフレーム目のゲインマップEGを推定してもよい。
【0025】
前記ゲイン生成部は、Qフレーム目の画像の前記ゲインマップEGと、Qフレーム目の前記ゲインマップCGとの加算平均処理又は所定の重み付け処理をすることによりQフレーム目のゲインマップMGを生成してもよい。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明によれば、3次元の動画像において各フレームのコントラスト調整時にフレーム間の相関を推定することにより、3次元画像の奥行き感が適正化された、滑らかな動画像をユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の全体構成図である。
【図2】同実施形態に係る画像処理装置が実行するコントラスト調整処理のフローチャートである。
【図3】図2に示したゲインマップCG作成処理のフローチャートである。
【図4】図2に示したゲインマップEG作成処理のフローチャートである。
【図5】同実施形態に係る画像処理装置により処理される0フレーム目の原画(右眼用)、原画(左眼用)の一例を示した図である。
【図6】0フレーム目のディスパリティマップ(左眼用)の一例を示した図である。
【図7】0フレーム目のゲインマップCG(左眼用)の一例を示した図である。
【図8】1フレーム目の原画(左眼用)の一例を示した図である。
【図9】動作推定技術を説明するための図である。
【図10】0フレーム目と1フレーム目との間の動きベクトルの一例を示した図である。
【図11】1フレーム目のゲインマップEG(左眼用)の一例を示した図である。
【図12】5フレーム目の原画(右眼用)、原画(左眼用)の一例を示した図である。
【図13】5フレーム目のゲインマップEG(左眼用)の一例を示した図である。
【図14】5フレーム目のディスパリティマップ(左眼用)の一例を示した図である。
【図15】5フレーム目のゲインマップCG(左眼用)の一例を示した図である。
【図16】5フレーム目のゲインマップMG(左眼用)の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0029】
なお、説明は次の順序で行う。
<第1実施形態>
[画像処理装置の機能構成]
(動画像とフレーム相関)
[画像処理装置の動作]
(コントラスト調整処理)
(ゲインマップCGN算出処理)
(ゲインマップEGN推定処理)
(ゲインマップMGN生成処理)
【0030】
<第1実施形態>
[画像処理装置の機能構成]
まず、本実施形態に係る画像処理装置の機能構成について図1に示した機能ブロック図を参照しながら説明する。
【0031】
画像処理装置10は、画像入力部11、輝度抽出部12、奥行き情報抽出部13、空間周波数抽出部14、コントラスト抽出部15、ゲイン生成部16、コントラスト調整部17、画像処理部18、画像出力部19及び相関推定部20を有する。
【0032】
画像処理装置10は、入力された3次元の動画像に対して、各フレーム目の画像の奥行き感を強めたり弱めたりするために、各フレーム目の画像のコントラストを調整する処理を行う。ここで、3次元画像とは、観察者に3次元の画像を知覚させるための2次元画像をいう。本実施形態では、3次元の動画像の各フレームの画像が3次元画像として構成されている。
【0033】
画像入力部11は、外部からの3次元の動画像の入力を受け付け、入力されたフレーム毎の3次元画像を輝度抽出部12に供給する。外部から入力される3次元画像のデータ形式には様々な形式があるが、いずれの形式であってもよい。3次元画像のデータ形式には、例えば、左眼用画像Lと右眼用画像Rとから構成されるステレオ画像の形で供給される第1のデータ形式、3以上の複数の視点画像から構成される多視点画像の形で供給される第2のデータ形式、2次元画像とその奥行き情報という形で供給される第3のデータ形式等がある。以下においては、処理対象として画像又は輝度画像という場合には、第1のデータ形式では、左眼用画像Lと右眼用画像Rのそれぞれを意味し、第2のデータ形式では、複数の視点画像のそれぞれを意味し、第2のデータ形式では、奥行き情報とともに2次元画像を意味する。
【0034】
輝度抽出部12は、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する。Mフレーム目は、0フレーム目とリセット周期である周期値の整数倍のフレーム目から構成される。周期値についての詳細は後述する。
【0035】
例えば、画像がRGB表色系における線形のRGB値で表されている場合、輝度抽出部12は、ITU−R BT709で規定される式(1)により輝度値Yに変換することにより、3次元画像の輝度成分を抽出する。
Y=0.2126R+0.7152G+0.0722B・・・(1)
【0036】
式(1)により、各画素の輝度値Yで構成される画像を輝度画像という。なお、画像は、必ずしもRGB値からなる形式(RGB信号)で表されている必要はなく、CIE XYZ表色系におけるXYZ値で表されている場合には、輝度値Yで構成される画像が輝度画像とされる。また、輝度値の抽出は、必ずしも式(1)により算出する必要はなく、他の方法で算出してもよい。
【0037】
奥行き情報抽出部13は、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出し、ディスパリティマップを生成する。具体的には、画像入力部11から奥行き情報抽出部13に、奥行き情報を抽出する3次元画像を処理対象として奥行き情報抽出部13に供給してもよいし、輝度抽出部12の処理結果の輝度画像を処理対象として奥行き情報抽出部13に供給してもよい。
【0038】
3次元の動画像が第1のデータ形式で入力された場合には、奥行き情報抽出部13は、ステレオ画像における対応点の画素ずれ、いわゆる両眼視差を算出し、算出された両眼視差に基づいて奥行き情報を近似的に算出する。両眼視差は、ブロックマッチング法やDPマッチング法等の手法を用いることにより算出することができる。また、3次元の動画像が第2のデータ形式で入力された場合には、奥行き情報抽出部13は、3以上の視点画像のうち対応する2枚の視点画像に対して両眼視差を算出し、算出された両眼視差に基づいて奥行き情報を近似的に算出する。さらに、3次元の動画像が第3のデータ形式で入力された場合には、奥行き情報抽出部13は、奥行き情報そのものが供給されるので、供給された奥行き情報を抽出する。
【0039】
空間周波数抽出部14は、輝度抽出部12により抽出された輝度成分に基づき、3次元画像の所定の空間周波数成分を抽出する。空間周波数成分の抽出には、例えば、ガボールフィルタ(Gabor Filter)を用いることができる。ガボールフィルタは、視覚系における信号応答特性を近似していると言われ、その関数g(x、y、λ、θ、ψ、σ、γ)は、式(2)で表される。
【数1】
【0040】
式(2)において、x、yは輝度画像の座標値、λは空間周波数に対応する波長、θは方位(方向)、ψは位相、σはガウス分布の分散、γはアスペクト比をそれぞれ表す。また、ここでの空間周波数とは、人間の目の1°(degree)の視覚内に入る、白色と黒色の濃淡変化(コントラスト)で定義され、その単位はcpd(cycle per degree)である。
【0041】
例えば、空間周波数抽出部14は、λを所定の波長とした式(2)のガボールフィルタ関数g(x、y、λ、θ、ψ、σ、γ)と、輝度抽出部12で抽出された輝度画像の輝度値Yを畳み込み積分することにより、輝度画像のどの領域にどの空間周波数が含まれるかを抽出する。
【0042】
なお、輝度画像の各領域に含まれる空間周波数成分を抽出する方法としては、上記方法に限られず、例えば、フーリエ変換等を用いて空間周波数成分を抽出してもよい。ただし、この場合には、各領域に含まれる空間周波数成分を抽出するためには、輝度画像を所定の領域に分割後、領域毎にフーリエ変換を行う必要がある。また、空間周波数抽出部14による処理は、コントラスト調整部17において適用する評価関数を、所定の空間周波数毎に変更する場合に必要な処理である、このため、コントラスト調整部17において輝度画像全体に対して同一の評価関数を適用する場合には、空間周波数抽出部14による処理は省略することができる。なお、評価関数については、特願2009−270077号公報に記載された評価関数に関する情報を本願にも適用することができる。
【0043】
コントラスト抽出部15は、輝度抽出部12で抽出された3次元画像の輝度成分を用いて3次元画像のコントラスト成分を抽出する。一例としては、コントラスト抽出部15は、コントラスト成分を抽出する処理の単位である処理単位領域として、横×縦にn×m画素(n,m≧2)の領域を決定する。コントラスト抽出部15は、処理単位領域を、例えば輝度画像の左上端の位置からラスタスキャン方向に所定の画素ずつ移動させることにより、輝度画像全体に亘って複数の処理単位領域のマイケルソンコントラストCを算出する。
【0044】
マイケルソンコントラストCは、式(3)で定義される。
【数2】
式(3)において、Lmaxは、処理単位領域内の輝度値Yの最大値、Lminは、処理単位領域内の輝度値Yの最小値である。
【0045】
なお、3次元画像のコントラスト成分を抽出する方法としては、上記方法に限られず、他の方法によりコントラスト成分を抽出してもよい。また、処理単位領域の大きさは、特に限定されないが、視角と画素数の関係から、最適な大きさを決定することができる。
【0046】
奥行き情報抽出部13は、輝度抽出部12で抽出された3次元画像の輝度成分を用いて奥行き情報を抽出し、当該奥行き情報に基づいて視差に関する情報を有するディスパリティマップを作成する。ゲイン生成部16は、コントラスト抽出部15により抽出されたコントラスト成分とディスパリティマップに基づいて、3次元画像の奥行き感を変更するためのコントラスト調整用ゲインマップCGを算出する。前述のとおり、空間周波数抽出部14により空間周波数成分が抽出されている場合、ゲインマップCGを算出には、コントラスト成分及び奥行き情報とともに、空間周波数成分が用いられる。なお、本実施形態にて説明される各種コントラスト調整用ゲインマップCG、EG、MGの添え字は、フレーム番号を示す。例えば、Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップCG、EG、MGはゲインマップCGN、EGN、MGNと表記する。
【0047】
空間周波数成分が抽出されていない場合のゲイン生成部16の処理について説明する。ます、ゲイン生成部16は、ディスパリティマップに含まれる奥行き情報に基づいて、3次元輝度画像の奥側の領域と手前側の領域を判別する。ここで、奥側の領域と手前側の領域に分離される領域の最小単位は、コントラスト抽出部15が、マイケルソンコントラストCを計算した時の処理単位領域と実質的に等しくなる。ゲイン生成部16は、奥側の領域と手前側の領域に含まれるすべての処理単位領域について、そのマイケルソンコントラストCから、入力画像が現在有する主観的奥行き量Dを算出する。
【0048】
マイケルソンコントラストCと主観的奥行き量Dとの間には、単調増加の関係が存在するため、例えば、3次元画像の奥行き感を出すためには、マイケルソンコントラストCが大きくなるように輝度画像のコントラスト成分を調整すればよい。算出された主観的奥行き量Dと予め設定された奥行き調整量とからコントラスト調整後の処理単位領域に対する主観的奥行き量Dが決定される。すなわち、ゲイン生成部16は、すべての処理単位領域について、現在の主観的奥行き量Dと画像の奥行き情報とから、現在のマイケルソンコントラストCを何倍にすればよいかを算出し、この結果からゲインマップを作る。
【0049】
コントラスト調整部17は、ゲインマップのコントラスト調整用ゲインを用いて、3次元画像のコントラスト成分を調整する。これにより、コントラストを高くすると手前に見え、コントラストを低くすると奥に見えるという空気遠近法を用いた画像の表示制御が可能となる。
【0050】
画像処理部18は、コントラスト調整部17の調整結果に基づき、コントラスト調整後の輝度画像を生成する。具体的には、画像処理部18は、各処理単位領域の調整後の各周波数成分のスペクトル強度に逆フーリエ変換を施すことで、各処理単位領域の調整後の輝度画像を算出する。
【0051】
画像出力部19は、画像処理部18で生成された輝度画像と入力画像が元々有していた色情報を組合せた画像を、画像入力部11に入力されたときと同一のフレームの3次元動画像に変換し、表示装置30に出力する。3次元画像を出力する際のデータ形式が指定されている場合等には、画像出力部19は、3次元画像のデータ形式を指定された形式に変換してから出力することもできる。なお、動画像を表示力する表示装置30は、画像処理装置10と一体に構成されていてもよく、別体に構成され、ネットワークにより接続されていてもよい。
【0052】
以上、単眼立体情報から奥行きをどの程度知覚するかという視覚特性の定量関係に基づいて、画像の有するコントラスト成分を調整する技術について説明した。
【0053】
(動画像とフレーム相関)
処理対象画像が静止画の場合には、以上のように3次元画像毎にコントラストを調整すればよい。しかしながら、動画像の場合には、全フレームに静止画と同一の処理を適用すると1フレーム毎に独立した処理となり、前後のフレーム間の継承情報を持たない。このため、フレーム毎に奥行き情報(ディスパリティ)を抽出し、ディスパリティマップを作成する。抽出した奥行き情報には誤差が含まれるため、本来フレーム間で奥行きに変化がない領域でも、変化があるように誤って抽出されることがある。この結果、フレーム毎にディスパリティマップがはらつき、コントラスト調整ゲインが毎フレームで僅かに変化し、フリッカのような目障りな現象が発生することがある。
【0054】
そこで、本実施形態に係る相関推定部20は、動き推定技術を用いて連続する2フレーム間の画像の相関値を算出する。例えば、(N−1)フレーム目とNフレーム目(N>0)とは、時間的に連続した2枚のフレームである。相関推定部20は、動き推定技術を用いて動きベクトルからNフレーム目と(N−1)フレーム目との間の画像の相関値を算出する。ここで、動き推定とは、フレーム内の画像のオブジェクトがどの方向にどういう大きさで動いているかをフレーム間の相関を見ながら推定していく技術である。例えば、図9では、相関推定部20は、(N−1)フレーム目の右眼用又は左眼用画像の画素PN−1に対する、Nフレーム目の右眼用又は左眼用画像の画素PNの状態を示す動きベクトルを推定する。動きベクトルの方向とその大きさによって、画素Pのクレーム間の相関を認識し、どのオブジェクトが次のフレームでどこに行くかということを推定できる。相関推定部20は、連続する2フレームから画像に含まれる各画素に対して動きベクトルを算出する。動き推定技術の一例としては、ブロックマッチング、勾配法がある。
【0055】
これによれば、3次元の動画像において各フレームのコントラスト調整時にフレーム間の相関を推定することにより、フリッカのような目障りな現象が発生を抑制し、3次元画像の奥行き感が適正化された、滑らかな画像をユーザに提供することができる。
【0056】
相関推定部20は、0フレーム目以外のすべてのフレームに対してNフレーム目(N>0)と(N−1)フレーム目の画像から相関値を算出する処理を繰り返す。ゲイン生成部16は、0フレーム目以外のすべてのフレームに対して前記算出された相関値と(N−1)フレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGとから、Nフレーム目のゲインマップEGを推定する処理を繰り返す。例えば、(P−1)フレーム目の画像のゲインマップEGP−1と、(P−1)フレーム目とPフレーム目との前記相関値とから、Pフレーム目のゲインマップEGPが推定される。なお、1フレーム目(N=1)の場合には、ゲイン生成部16は、前記相関値とゲインマップCG0とからゲインマップEG1を推定する。
【0057】
前述の通り、Mフレームの周期値はリセット周期であるが、本実施形態では周期値が「5」に設定されていると仮定する。ゲイン生成部16は、処理対象のNフレーム目が、リセット周期であるM(=5)の整数倍になるまで、(N−1)フレームとNフレームとの相関値と、(N−1)フレーム目のゲインマップEGN−1とから、Nフレーム目のゲインマップEGNを推定する。
【0058】
そして、処理対象のNフレーム目が、リセット周期であるM(=5)の整数倍に一致したとき、ゲイン生成部16は、上述の処理に基づき抽出されたディスパリティマップに基づいて、5フレーム目のゲインマップCGNを算出する。そして、ゲイン生成部16は、推定した5フレーム目のゲインマップEGNと、前記算出した5フレーム目のゲインマップCGNと、の加算平均処理又は所定の重み付け処理をすることにより、Nフレーム目のゲインマップMGNを生成する。例えば、Qフレーム目では、Qフレーム目の画像のゲインマップEGQと、Qフレーム目の画像のゲインマップCGQとの加算平均処理又は所定の重み付け処理によりQフレーム目のゲインマップMGQが生成される。
【0059】
例えば、シーンがガラッと変わる場合等には、動きベクトルによるフレーム間の継承情報に誤差が多く入り込むことも考えられる。よって、処理対象のNフレーム目がリセット周期に一致する場合には、動きベクトルによるフレーム間の継承情報をリセットする処理を行う。ゲインマップCGNとゲインマップEGNとの加算平均処理又は所定の重み付け処理によりゲインマップMGNを生成する。この結果、フリッカを低減しながら、フレーム間の継承情報の誤差を抑制することができる。
【0060】
なお、上記各部への指令は、専用の制御デバイスあるいはプログラムを実行するCPU(図示せず)により実行される。次に説明するコントラスト調整処理を実行するためのプログラムは、ROMや不揮発性メモリ(ともに図示せず)に予め記憶されていて、CPUが、これらのメモリから各プログラムを読み出し実行する。これにより、輝度抽出部12、奥行き情報抽出部13、空間周波数抽出部14、コントラスト抽出部15、ゲイン生成部16、コントラスト調整部17、画像処理部18、相関推定部20の各機能が実現される。
【0061】
[画像処理装置の動作]
次に、図2〜図4のフローチャートを参照して、画像処理装置10が行うコントラスト調整処理について説明する。図2は、本実施形態に係る画像処理装置が実行するコントラスト調整処理のフローチャートである。図3は、図2に示したゲインマップCG算出処理のフローチャートである。図4は、図2に示したゲインマップEG推定処理のフローチャートである。なお、図2〜図4の各ステップの説明に際し、必要に応じて図5〜図16も併せて参照する。
【0062】
(コントラスト調整処理)
初めに、図2のステップS205において、画像入力部11は、3次元の動画像を入力する。例えば、前述のように第1〜第3データ形式のいずれかにより、3次元の動画像が0フレーム目から順に入力される。また、処理対象のフレーム番号Nは「0」に設定される。
【0063】
図5は、第1のデータ形式で入力された0フレーム目の画像(原画)である。第1のデータ形式においては、左眼用画像31L及び右眼用画像31Rから構成される画像が、0フレーム目から順に入力される。なお、画像は、遊園地の回転しながら昇降する乗り物に人が乗っていて、背景には建物と他のアトラクションが映っている。
【0064】
(ゲインマップCGN算出処理)
ステップS210において、ゲインマップCGN(計算値)の算出処理が実行される。具体的には、ゲインマップCGN(計算値)の算出処理は、図3の各ステップにより実行される。すなわち、ステップS305において、輝度抽出部12は、Nフレーム目の左眼用画像31L及び右眼用画像31Rから輝度成分をそれぞれ抽出する。ここでは、図5の0フレーム目の左眼用画像31L及び右眼用画像31Rの輝度成分がそれぞれ抽出される。次に、ステップS310において、コントラスト抽出部15は、輝度抽出部12で抽出された左眼用画像31L及び右眼用画像31Rの輝度成分に基づいて、左眼用及び右眼用画像のコントラスト成分をそれぞれ抽出する。
【0065】
次に、ステップS315において、空間周波数抽出部14は、左眼用画像31L及び右眼用画像31Rの輝度成分に基づいて、各画像の所定の空間周波数成分をそれぞれ抽出する。次に、ステップS320において、奥行き情報抽出部13は、0フレーム目の左眼用画像31L及び右眼用画像31Rの奥行き情報を抽出し、抽出されたコントラスト成分と奥行き情報と空間周波数成分に基づき、視差に関する情報を有するディスパリティマップを生成する。図6は、第1のデータ形式で入力された0フレーム目の左眼用画像又はその輝度画像から形成された、0フレーム目の左眼用のディスパリティマップ32Lを示す。
【0066】
次に、ステップS325において、ゲイン生成部16は、ディスパリティマップに基づいて、3次元画像の奥行き感を変更するための、コントラスト調整用のゲインマップCGを算出する。図7は、0フレーム目の左眼用ディスパリティマップ32Lに基づいて算出された、0フレーム目の左眼用のゲインマップCG0(計算値)33Lを示す。
【0067】
このようにして図3の処理が終了すると再び図2に戻り、ステップS215において、フレーム番号Nが0より大きいかを判定する。この時点では、フレーム番号Nは0であるため、ステップS220に進み、コントラスト調整部17は、ゲインマップCG0(計算値)を用いて、3次元画像のコントラスト成分を調整する。次に、ステップS225において、画像処理部18は、コントラスト調整部17の調整結果に基づき、コントラスト調整後の輝度画像を生成し、画像出力部19は、生成された輝度画像と入力画像が元々有していた色情報を組合せた画像を、画像入力部11に入力されたときと同一の3次元動画像の特定フレームに変換し、表示装置30に出力する。
【0068】
ステップS230において、処理対象となるフレームが終了したかを判定する。フレームが終了していない場合、ステップS235において、フレーム番号Nに1加算する。ここでは、次に処理対象のフレーム番号Nは「1」となる。図8は、第1のデータ形式で入力された1フレーム目の左眼用の画像(原画)34Lを示す。
【0069】
(ゲインマップEGN推定処理)
次に、ステップS240において、ゲインマップEGN(推定値)の推定処理が実行される。具体的には、ゲインマップEGN(推定値)の推定処理は、図4の各ステップにより実行される。すなわち、ステップS405において、相関推定部20は、0フレーム目及び1フレーム目の連続する2フレームの画像(図5、図8)を用いて、ブロックマッチング、勾配法等の動き推定技術を用いて、画像中の画素毎に図9に示した動きベクトルを推定する。図10は、0フレーム目と1フレーム目との間の動きベクトルを矢印で可視化した左眼用画像35Lを示す。
【0070】
次に、ステップS410において、ゲイン生成部16は、動きベクトルを用いて、0フレーム目のゲインマップCG0から1フレーム目のゲインマップEG1(推定値)を推定する。図11は、推定された1フレーム目の左眼用のゲインマップEG1(推定値)36Lを示す。
【0071】
このようにして図4の処理が終了すると再び図2に戻り、ステップS245において、フレーム番号Nが周期値の整数倍であるかを判定する。ここでは、周期値「5」に対してフレーム番号Nは1であるから、フレーム番号Nは周期値の整数倍ではない。よって、ステップS250に進み、コントラスト調整部17は、ゲインマップEG1(推定値)を用いて、3次元画像のコントラスト成分を調整する。次に、ステップS225において、コントラスト調整部17の調整結果に基づき、コントラスト調整後の輝度画像を、入力されたときと同一の3次元動画像の特定フレームに変換し、表示装置30に出力する。
【0072】
ステップS230〜S250、S225の処理は、フレーム番号Nが周期値の整数倍になるまで繰り返し処理される。なお、ステップS410において、2フレーム目以降は、ゲイン生成部16は、動きベクトルを用いて、(N−1)フレームのゲインマップEGNー1からNフレームのゲインマップEGN(推定値)を推定する。
【0073】
(ゲインマップMGN生成処理)
フレーム番号Nが周期値の整数倍になると、つまり、ここではフレーム番号Nが5になると、まず、ステップS240のゲインマップEGN(推定値)の推定処理が実行され、その結果、5フレーム目のゲインマップEG5(推定値)が生成される。図13は、5フレーム目の左眼用のゲインマップEG5(推定値)38Lを示す。
【0074】
次に、Nが周期値の整数倍であるため、ステップS245からステップS255に進み、ゲイン生成部16は、図12に示した5フレーム目の左眼用画像37L及び右眼用画像37Rに基づき5フレーム目の各抽出処理を行う(ステップS305〜S315)。そして、抽出された奥行き情報から、5フレーム目のディスパリティマップを作成し(ステップS320)、ディスパリティマップを用いて、5フレーム目のゲインマップCG5を算出する(ステップS325)。図14は、5フレーム目の左眼用のディスパリティマップ39Lを示し、図15は、5フレーム目の左眼用のゲインマップCG5(計算値)40Lを示す。
【0075】
次に、図2に戻り、ステップS260において、ゲイン生成部16は、推定した5フレーム目のゲインマップEG5と、算出した5フレーム目のゲインマップCG5と、の加算平均処理又は所定の重み付け処理をすることにより、5フレーム目のコントラスト調整用ゲインマップMG5を生成する。ここでは、ゲインマップMG5を加算平均処理(MG5=(CG5+EG5)/2)により生成する。図16は、5フレーム目の左眼用のゲインマップMG541Lを示す。
【0076】
次に、ステップS265において、コントラスト調整部17は、ゲインマップMG5(生成値)を用いて、3次元画像のコントラスト成分を調整する。次に、ステップS225において、コントラスト調整部17の調整結果に基づき、コントラスト調整後の輝度画像と入力画像が元々有していた色情報を組合せた画像を、入力されたときと同一の3次元動画像の特定フレームに変換し、表示装置30に出力する。以上の処理をフレームが終了するまで行う。
【0077】
以上に説明したように、本実施形態に係る画像処理装置10が実行する画像処理方法によれば、処理対象が最初のフレーム(0フレーム目)の場合には、奥行き情報の抽出処理、コントラストの抽出処理及び空間周波数の抽出処理を実行することによりゲインマップCG0を求め、ゲインマップCG0に基づきコントラストの調整処理を行う。
【0078】
これに対して、処理対象が1フレーム以上の場合には、時間的に連続する2フレームの画像から動きベクトルの方向とその大きさを推定することによってクレーム間の各画素の相関を認識し、どのオブジェクトが次のフレームでどの位置に移動しているかを推定する。このようにしてオブジェクトの動きが分かれば、その相関関係に基づき、前のフレームのオブジェクトの情報(例えば、奥行き情報やコントラスト成分)を次のフレームに継承でき、これにより推定されたゲインマップEGNを、次のフレームのコントラストの調整処理に利用可能となる。これにより、0フレーム目に実行した奥行き情報の抽出、コントラストの抽出及び空間周波数の抽出処理を、各フレームで独立に行った場合にはフリッカのような目障りな現象が発生する場合があったが、本実施形態ではこれを抑制することができる。この結果、3次元画像の奥行き感が適正化された、滑らかな動画像をユーザに提供することができる。
【0079】
このようにして処理対象のNフレーム目がリセット周期(周期値の整数倍)であるMフレーム目に一致しない場合には、動き推定技術を用いてあるフレーム内のオブジェクトの動きから次のフレームのオブジェクトの動きを予測する。このため、前述した奥行き情報の抽出処理、コントラストの抽出処理及び空間周波数の抽出処理をフレーム毎に繰り返す必要がない。特に、奥行き情報の計算は負荷が高いため、これらの処理を省略することにより後続フレームの処理負荷を軽減することができる。
【0080】
しかしながら、例えば、シーンがガラッと変わる場合等には、動きベクトルによるフレーム間の継承情報に誤差が多く入り込むことも考えられる。よって、処理対象のNフレーム目がリセット周期のMフレーム目に一致する場合には、動きベクトルによるフレーム間の継承情報をリセットする処理を行う。その際、完全にリセットせずに、前フレームからの継承情報としてのゲインマップEGNと新たな計算により算出されたゲインマップCGNとの両方を使い、計算しなおしたゲインマップCGNと、前フレームの継承情報であるゲインマップEGNとの加算平均処理又は所定の重み付け処理によりゲインマップMGNを生成する。このようにして、推定された動きベクトルの情報、画像が持っているコントラストの情報、奥行き情報、周波数情報等を用いてゲインマップMGNを得ることにより、フレーム間の継承情報の誤差とフリッカ等のチラツキを抑制することができる。この結果、より精度の高いゲインマップMGNを用いて画像のコントラストを調整することができる。
【0081】
なお、Mフレームの周期値は、前記入力される動画像の変化に基づいて、可変に設定することができる。たとえば、Mフレームの周期値は、前記入力される動画像の動きが大きいほど小さい値に設定され、前記入力される動画像の動きが小さいほど大きい値に設定されてもよい。風景画のように動きが少ない場合には、前フレームから次フレームに継承されるエラーの頻度は高くないという推測の下に10フレームを周期値としてもよい。また、スポーツのように動きが多い場合には、前フレームから次フレームに継承されるエラーの頻度が高くなるという推測の下に1又は2フレーム程度を周期値としてもよい。ただし、周期値を小さくするほど処理負荷は高くなる。
【0082】
入力される3次元の動画像のコンテンツ毎に周期値を設定するようにしてもよい。コンテンツ内で周期を可変にしたほうがよい場合もある。例えば、1つのコンテンツ映像内に動きの激しいシーンと緩やかなシーンがある場合には、動きの緩やかなシーンでは周期値を大きく設定し、動きの激しいシーンでは周期値を小さく設定するように、1つのコンテンツ内で可変にしてもよい。
【0083】
上記一実施形態において、各部の動作は互いに関連しており、互いの関連を考慮しながら、一連の動作及び一連の処理として置き換えることができる。これにより、画像処理装置の実施形態を、画像処理方法の実施形態及び画像処理装置が有する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムの実施形態とすることができる。
【0084】
これにより、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出ステップと、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出ステップと、前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出ステップと、前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成ステップと、(N−1)フレーム目及びNフレーム目を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定ステップと、を含み、前記ゲイン生成ステップは、前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定するステップを含む画像処理方法を提供することができる。
【0085】
また、これにより、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出処理と、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出処理と、前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出処理と、前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成処理と、(N−1)フレーム目及びNフレーム目を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定処理と、を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記ゲイン生成処理は、前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する処理を含むプログラムを提供することができる。
【0086】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0087】
例えば、上記実施形態では、動きベクトルを推定するために直前の(N−1)フレーム目とNフレーム目との3次元画像の相関値を用いたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、直前の(N−1)フレーム目とNフレーム目の画像の相関値だけでなく、複数の前フレーム情報を用いて相関値を求めてもよい。例えば、(N−1)フレーム目及び(N−2)フレーム目の画像を用いて、(N−2)フレーム目と(N−1)フレーム目との3次元画像の相関値を求め、(N−1)フレーム目とNフレーム目との3次元画像の相関値を求め、それらの相関値からNフレーム目の動きベクトルを推定してもよい。
【0088】
周期値を1としてもよい。この場合には、全フレームについて上記ゲインマップCGのための計算及び上記ゲインマップEGの推定を行うことになる。
【0089】
また、リセット周期においても、1フレーム目と同様に、算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定してもよい。例えば、上記実施形態のリセット周期においては、ゲインマップMGを用いたが、ゲインマップEGを用いることも可能である。
【0090】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0091】
10 画像処理装置
11 画像入力部
12 輝度抽出部
13 奥行き情報抽出部
14 空間周波数抽出部
15 コントラスト抽出部
16 ゲイン生成部
17 コントラスト調整部
18 画像処理部
19 画像出力部
20 相関推定部
30 表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、表示装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、右眼用画像と左眼用画像の水平方向のずれである両眼視差によって画像を立体視表示する技術が注目され、実用化されている。立体視表示では、両眼視差が大きいほど、画像が手前に飛び出て見えたり、奥に引っ込んで見えたりする。よって、両眼視差を大きくとると、立体視表示に迫力を出すことができるが、ユーザに視覚疲労を与えることにもなりかねない。
【0003】
そこで、鑑賞者の視覚疲労を軽減するために、両眼視差を調整する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、両眼視差を異なる値に設定した複数のサンプル画像を呈示し、呈示された画像に対して許容できるか否かを応答させることにより、両眼視差を調整する技術が開示されている。また、例えば、特許文献2には、画像内のオブジェクトの奥行き方向の位置に応じて、オブジェクトが有する陰影、遮蔽関係、ボケ具合の特徴を変化させることにより、奥行き感を強調する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3749227号公報
【特許文献2】特開2001−238231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、ユーザの視覚疲労を抑えるために、基本的には、立体感や奥行き感を減らす方向に両眼視差を調整することになる。このため、臨場感やリアリティが損なわれてしまう。また、両眼立体情報から知覚される立体感や奥行き感が、単眼立体情報から知覚される立体感や奥行き感と異なると、不自然さを与えることにもなる。また、特許文献2では、どのパラメータをどのような計算式に基づいてどのような値に設定すればよいかが具体的に開示されていない。試行錯誤的に値を設定した場合であっても、得られる左眼用2次元画像と右眼用2次元画像が人間にとって自然で快適である保証はなく、むしろ不自然さや不快感を覚えたり、視覚疲労を引き起こしたりする可能性もある。
【0006】
これに対して、単眼立体情報から奥行きをどの程度知覚するかという人間の視覚特性を利用することも考えられる。例えば、単眼立体情報の一つである空気遠近法によれば、コントラストの高低によって、人間は物体の遠近を経験的に感じることができる。よって、コントラスト成分を使って画像を処理すると、手前に表示されているオブジェクトのコントラストを上げればより手前に表示されるように見え、奥に表示されているオブジェクトのコントラストを下げればより奥に表示されるように見える。このような視覚特性に基づいて、画像の有するコントラストを調整することも考えられる。
【0007】
この場合、処理対象が静止画であれば、画像毎にコントラストを調整すればよい。しかしながら、動画像の場合には、全フレームに静止画と同一の処理を適用すると1フレーム毎に独立した処理となり、前後のフレーム間の相関情報を持たない。このため、フレーム毎に奥行き情報(ディスパリティ)を抽出し、ディスパリティマップを作成する。抽出した奥行き情報には誤差が含まれるため、本来フレーム間で奥行きに変化がない領域でも、変化があるように誤って抽出されることがある。この結果、フレーム毎にディスパリティマップがはらつき、コントラスト調整ゲインが毎フレームで僅かに変化し、フリッカのような目障りな現象が発生することがある。
【0008】
上記課題に対して、本発明の目的とするところは、3次元の動画像において各フレームのコントラスト調整時にフレーム間の相関を推定することが可能な、画像処理装置、表示装置、画像処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出部と、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出部と、前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出部と、前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成部と、(N−1)フレーム目及びNフレーム目(N>0)を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定部と、を備え、前記ゲイン生成部は、前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する画像処理装置が提供される。
【0010】
Mフレーム目は、0フレーム目又はリセット周期である周期値の整数倍のフレーム目の少なくともいずれかを含んでもよい。
【0011】
前記相関推定部は、Nフレーム目と(N−1)フレーム目との間の相関値を算出し、前記ゲイン生成部は、前記算出されたNフレーム目と(N−1)フレーム目との間の相関値を用いて、(N−1)フレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGからNフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定してもよい。
【0012】
前記相関推定部は、0フレーム目以外のすべてのフレームに対してNフレーム目と(N−1)フレーム目から前記相関値を算出する処理を繰り返し、前記ゲイン生成部は、0フレーム目以外のすべてのフレームに対して前記算出された相関値と(N−1)フレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGとから、Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する処理を繰り返してもよい。
【0013】
前記ゲイン生成部は、前記Nフレーム目が前記Mフレーム目に一致する場合、前記推定したNフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGと、前記算出したMフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップCGと、の加算平均処理又は所定の重み付け処理をすることにより、Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップMGを生成してもよい。
【0014】
Mフレームの周期値は、前記入力される動画像の変化に基づいて、可変に設定してもよい。
【0015】
前記Mフレームの周期値は、前記入力される動画像の動きが大きいほど小さい値に設定し、前記入力される動画像の動きが小さいほど大きい値に設定してもよい。
【0016】
前記相関推定部は、動き推定技術を用いて前記相関値を算出してもよい。
【0017】
前記Mフレーム目の輝度成分に基づいて、前記Mフレーム目の画像の空間周波数成分を抽出する空間周波数抽出部を更に備え、前記ゲイン生成部は、前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分、空間周波数成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出してもよい。
【0018】
前記算出されたコントラスト調整用ゲインマップCG又は前記推定されたコントラスト調整用ゲインマップEG又は前記生成されたコントラスト調整用ゲインマップMGのいずれかを用いて、Nフレーム目の画像のコントラスト成分を調整するコントラスト調整部を更に備えてもよい。
【0019】
前記画像処理装置によりコントラスト成分が調整された各フレームの画像を表示する表示装置を備えていてもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出ステップと、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出ステップと、前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出ステップと、前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成ステップと、(N−1)フレーム目及びNフレーム目(N>0)を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定ステップと、を含み、前記ゲイン生成ステップは、前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定するステップを含む画像処理方法が提供される。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出処理と、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出処理と、前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出処理と、前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成処理と、(N−1)フレーム目及びNフレーム目(N>0)を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定処理と、を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記ゲイン生成処理は、前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する処理を含むプログラムが提供される。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、入力された連続する2つのフレームの画像の相関値を算出する相関推定部と、入力された画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、前記画像のコントラストの調整を行うためのゲインマップCGを算出し、ゲインマップCGと前記相関値から前記画像のコントラストの調整を行うためのゲインマップEGを推定するゲイン生成部と、を備える画像処理装置が提供される。
【0023】
前記ゲイン生成部は、(N−1)フレーム目の画像の前記ゲインマップCGと、(N−1)フレーム目とNフレーム目との前記相関値とから、Nフレーム目のゲインマップEGを推定してもよい。
【0024】
前記ゲイン生成部は、(P−1)フレーム目の画像の前記ゲインマップEGと、(P−1)フレーム目とPフレーム目との前記相関値とから、Pフレーム目のゲインマップEGを推定してもよい。
【0025】
前記ゲイン生成部は、Qフレーム目の画像の前記ゲインマップEGと、Qフレーム目の前記ゲインマップCGとの加算平均処理又は所定の重み付け処理をすることによりQフレーム目のゲインマップMGを生成してもよい。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明によれば、3次元の動画像において各フレームのコントラスト調整時にフレーム間の相関を推定することにより、3次元画像の奥行き感が適正化された、滑らかな動画像をユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の全体構成図である。
【図2】同実施形態に係る画像処理装置が実行するコントラスト調整処理のフローチャートである。
【図3】図2に示したゲインマップCG作成処理のフローチャートである。
【図4】図2に示したゲインマップEG作成処理のフローチャートである。
【図5】同実施形態に係る画像処理装置により処理される0フレーム目の原画(右眼用)、原画(左眼用)の一例を示した図である。
【図6】0フレーム目のディスパリティマップ(左眼用)の一例を示した図である。
【図7】0フレーム目のゲインマップCG(左眼用)の一例を示した図である。
【図8】1フレーム目の原画(左眼用)の一例を示した図である。
【図9】動作推定技術を説明するための図である。
【図10】0フレーム目と1フレーム目との間の動きベクトルの一例を示した図である。
【図11】1フレーム目のゲインマップEG(左眼用)の一例を示した図である。
【図12】5フレーム目の原画(右眼用)、原画(左眼用)の一例を示した図である。
【図13】5フレーム目のゲインマップEG(左眼用)の一例を示した図である。
【図14】5フレーム目のディスパリティマップ(左眼用)の一例を示した図である。
【図15】5フレーム目のゲインマップCG(左眼用)の一例を示した図である。
【図16】5フレーム目のゲインマップMG(左眼用)の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0029】
なお、説明は次の順序で行う。
<第1実施形態>
[画像処理装置の機能構成]
(動画像とフレーム相関)
[画像処理装置の動作]
(コントラスト調整処理)
(ゲインマップCGN算出処理)
(ゲインマップEGN推定処理)
(ゲインマップMGN生成処理)
【0030】
<第1実施形態>
[画像処理装置の機能構成]
まず、本実施形態に係る画像処理装置の機能構成について図1に示した機能ブロック図を参照しながら説明する。
【0031】
画像処理装置10は、画像入力部11、輝度抽出部12、奥行き情報抽出部13、空間周波数抽出部14、コントラスト抽出部15、ゲイン生成部16、コントラスト調整部17、画像処理部18、画像出力部19及び相関推定部20を有する。
【0032】
画像処理装置10は、入力された3次元の動画像に対して、各フレーム目の画像の奥行き感を強めたり弱めたりするために、各フレーム目の画像のコントラストを調整する処理を行う。ここで、3次元画像とは、観察者に3次元の画像を知覚させるための2次元画像をいう。本実施形態では、3次元の動画像の各フレームの画像が3次元画像として構成されている。
【0033】
画像入力部11は、外部からの3次元の動画像の入力を受け付け、入力されたフレーム毎の3次元画像を輝度抽出部12に供給する。外部から入力される3次元画像のデータ形式には様々な形式があるが、いずれの形式であってもよい。3次元画像のデータ形式には、例えば、左眼用画像Lと右眼用画像Rとから構成されるステレオ画像の形で供給される第1のデータ形式、3以上の複数の視点画像から構成される多視点画像の形で供給される第2のデータ形式、2次元画像とその奥行き情報という形で供給される第3のデータ形式等がある。以下においては、処理対象として画像又は輝度画像という場合には、第1のデータ形式では、左眼用画像Lと右眼用画像Rのそれぞれを意味し、第2のデータ形式では、複数の視点画像のそれぞれを意味し、第2のデータ形式では、奥行き情報とともに2次元画像を意味する。
【0034】
輝度抽出部12は、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する。Mフレーム目は、0フレーム目とリセット周期である周期値の整数倍のフレーム目から構成される。周期値についての詳細は後述する。
【0035】
例えば、画像がRGB表色系における線形のRGB値で表されている場合、輝度抽出部12は、ITU−R BT709で規定される式(1)により輝度値Yに変換することにより、3次元画像の輝度成分を抽出する。
Y=0.2126R+0.7152G+0.0722B・・・(1)
【0036】
式(1)により、各画素の輝度値Yで構成される画像を輝度画像という。なお、画像は、必ずしもRGB値からなる形式(RGB信号)で表されている必要はなく、CIE XYZ表色系におけるXYZ値で表されている場合には、輝度値Yで構成される画像が輝度画像とされる。また、輝度値の抽出は、必ずしも式(1)により算出する必要はなく、他の方法で算出してもよい。
【0037】
奥行き情報抽出部13は、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出し、ディスパリティマップを生成する。具体的には、画像入力部11から奥行き情報抽出部13に、奥行き情報を抽出する3次元画像を処理対象として奥行き情報抽出部13に供給してもよいし、輝度抽出部12の処理結果の輝度画像を処理対象として奥行き情報抽出部13に供給してもよい。
【0038】
3次元の動画像が第1のデータ形式で入力された場合には、奥行き情報抽出部13は、ステレオ画像における対応点の画素ずれ、いわゆる両眼視差を算出し、算出された両眼視差に基づいて奥行き情報を近似的に算出する。両眼視差は、ブロックマッチング法やDPマッチング法等の手法を用いることにより算出することができる。また、3次元の動画像が第2のデータ形式で入力された場合には、奥行き情報抽出部13は、3以上の視点画像のうち対応する2枚の視点画像に対して両眼視差を算出し、算出された両眼視差に基づいて奥行き情報を近似的に算出する。さらに、3次元の動画像が第3のデータ形式で入力された場合には、奥行き情報抽出部13は、奥行き情報そのものが供給されるので、供給された奥行き情報を抽出する。
【0039】
空間周波数抽出部14は、輝度抽出部12により抽出された輝度成分に基づき、3次元画像の所定の空間周波数成分を抽出する。空間周波数成分の抽出には、例えば、ガボールフィルタ(Gabor Filter)を用いることができる。ガボールフィルタは、視覚系における信号応答特性を近似していると言われ、その関数g(x、y、λ、θ、ψ、σ、γ)は、式(2)で表される。
【数1】
【0040】
式(2)において、x、yは輝度画像の座標値、λは空間周波数に対応する波長、θは方位(方向)、ψは位相、σはガウス分布の分散、γはアスペクト比をそれぞれ表す。また、ここでの空間周波数とは、人間の目の1°(degree)の視覚内に入る、白色と黒色の濃淡変化(コントラスト)で定義され、その単位はcpd(cycle per degree)である。
【0041】
例えば、空間周波数抽出部14は、λを所定の波長とした式(2)のガボールフィルタ関数g(x、y、λ、θ、ψ、σ、γ)と、輝度抽出部12で抽出された輝度画像の輝度値Yを畳み込み積分することにより、輝度画像のどの領域にどの空間周波数が含まれるかを抽出する。
【0042】
なお、輝度画像の各領域に含まれる空間周波数成分を抽出する方法としては、上記方法に限られず、例えば、フーリエ変換等を用いて空間周波数成分を抽出してもよい。ただし、この場合には、各領域に含まれる空間周波数成分を抽出するためには、輝度画像を所定の領域に分割後、領域毎にフーリエ変換を行う必要がある。また、空間周波数抽出部14による処理は、コントラスト調整部17において適用する評価関数を、所定の空間周波数毎に変更する場合に必要な処理である、このため、コントラスト調整部17において輝度画像全体に対して同一の評価関数を適用する場合には、空間周波数抽出部14による処理は省略することができる。なお、評価関数については、特願2009−270077号公報に記載された評価関数に関する情報を本願にも適用することができる。
【0043】
コントラスト抽出部15は、輝度抽出部12で抽出された3次元画像の輝度成分を用いて3次元画像のコントラスト成分を抽出する。一例としては、コントラスト抽出部15は、コントラスト成分を抽出する処理の単位である処理単位領域として、横×縦にn×m画素(n,m≧2)の領域を決定する。コントラスト抽出部15は、処理単位領域を、例えば輝度画像の左上端の位置からラスタスキャン方向に所定の画素ずつ移動させることにより、輝度画像全体に亘って複数の処理単位領域のマイケルソンコントラストCを算出する。
【0044】
マイケルソンコントラストCは、式(3)で定義される。
【数2】
式(3)において、Lmaxは、処理単位領域内の輝度値Yの最大値、Lminは、処理単位領域内の輝度値Yの最小値である。
【0045】
なお、3次元画像のコントラスト成分を抽出する方法としては、上記方法に限られず、他の方法によりコントラスト成分を抽出してもよい。また、処理単位領域の大きさは、特に限定されないが、視角と画素数の関係から、最適な大きさを決定することができる。
【0046】
奥行き情報抽出部13は、輝度抽出部12で抽出された3次元画像の輝度成分を用いて奥行き情報を抽出し、当該奥行き情報に基づいて視差に関する情報を有するディスパリティマップを作成する。ゲイン生成部16は、コントラスト抽出部15により抽出されたコントラスト成分とディスパリティマップに基づいて、3次元画像の奥行き感を変更するためのコントラスト調整用ゲインマップCGを算出する。前述のとおり、空間周波数抽出部14により空間周波数成分が抽出されている場合、ゲインマップCGを算出には、コントラスト成分及び奥行き情報とともに、空間周波数成分が用いられる。なお、本実施形態にて説明される各種コントラスト調整用ゲインマップCG、EG、MGの添え字は、フレーム番号を示す。例えば、Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップCG、EG、MGはゲインマップCGN、EGN、MGNと表記する。
【0047】
空間周波数成分が抽出されていない場合のゲイン生成部16の処理について説明する。ます、ゲイン生成部16は、ディスパリティマップに含まれる奥行き情報に基づいて、3次元輝度画像の奥側の領域と手前側の領域を判別する。ここで、奥側の領域と手前側の領域に分離される領域の最小単位は、コントラスト抽出部15が、マイケルソンコントラストCを計算した時の処理単位領域と実質的に等しくなる。ゲイン生成部16は、奥側の領域と手前側の領域に含まれるすべての処理単位領域について、そのマイケルソンコントラストCから、入力画像が現在有する主観的奥行き量Dを算出する。
【0048】
マイケルソンコントラストCと主観的奥行き量Dとの間には、単調増加の関係が存在するため、例えば、3次元画像の奥行き感を出すためには、マイケルソンコントラストCが大きくなるように輝度画像のコントラスト成分を調整すればよい。算出された主観的奥行き量Dと予め設定された奥行き調整量とからコントラスト調整後の処理単位領域に対する主観的奥行き量Dが決定される。すなわち、ゲイン生成部16は、すべての処理単位領域について、現在の主観的奥行き量Dと画像の奥行き情報とから、現在のマイケルソンコントラストCを何倍にすればよいかを算出し、この結果からゲインマップを作る。
【0049】
コントラスト調整部17は、ゲインマップのコントラスト調整用ゲインを用いて、3次元画像のコントラスト成分を調整する。これにより、コントラストを高くすると手前に見え、コントラストを低くすると奥に見えるという空気遠近法を用いた画像の表示制御が可能となる。
【0050】
画像処理部18は、コントラスト調整部17の調整結果に基づき、コントラスト調整後の輝度画像を生成する。具体的には、画像処理部18は、各処理単位領域の調整後の各周波数成分のスペクトル強度に逆フーリエ変換を施すことで、各処理単位領域の調整後の輝度画像を算出する。
【0051】
画像出力部19は、画像処理部18で生成された輝度画像と入力画像が元々有していた色情報を組合せた画像を、画像入力部11に入力されたときと同一のフレームの3次元動画像に変換し、表示装置30に出力する。3次元画像を出力する際のデータ形式が指定されている場合等には、画像出力部19は、3次元画像のデータ形式を指定された形式に変換してから出力することもできる。なお、動画像を表示力する表示装置30は、画像処理装置10と一体に構成されていてもよく、別体に構成され、ネットワークにより接続されていてもよい。
【0052】
以上、単眼立体情報から奥行きをどの程度知覚するかという視覚特性の定量関係に基づいて、画像の有するコントラスト成分を調整する技術について説明した。
【0053】
(動画像とフレーム相関)
処理対象画像が静止画の場合には、以上のように3次元画像毎にコントラストを調整すればよい。しかしながら、動画像の場合には、全フレームに静止画と同一の処理を適用すると1フレーム毎に独立した処理となり、前後のフレーム間の継承情報を持たない。このため、フレーム毎に奥行き情報(ディスパリティ)を抽出し、ディスパリティマップを作成する。抽出した奥行き情報には誤差が含まれるため、本来フレーム間で奥行きに変化がない領域でも、変化があるように誤って抽出されることがある。この結果、フレーム毎にディスパリティマップがはらつき、コントラスト調整ゲインが毎フレームで僅かに変化し、フリッカのような目障りな現象が発生することがある。
【0054】
そこで、本実施形態に係る相関推定部20は、動き推定技術を用いて連続する2フレーム間の画像の相関値を算出する。例えば、(N−1)フレーム目とNフレーム目(N>0)とは、時間的に連続した2枚のフレームである。相関推定部20は、動き推定技術を用いて動きベクトルからNフレーム目と(N−1)フレーム目との間の画像の相関値を算出する。ここで、動き推定とは、フレーム内の画像のオブジェクトがどの方向にどういう大きさで動いているかをフレーム間の相関を見ながら推定していく技術である。例えば、図9では、相関推定部20は、(N−1)フレーム目の右眼用又は左眼用画像の画素PN−1に対する、Nフレーム目の右眼用又は左眼用画像の画素PNの状態を示す動きベクトルを推定する。動きベクトルの方向とその大きさによって、画素Pのクレーム間の相関を認識し、どのオブジェクトが次のフレームでどこに行くかということを推定できる。相関推定部20は、連続する2フレームから画像に含まれる各画素に対して動きベクトルを算出する。動き推定技術の一例としては、ブロックマッチング、勾配法がある。
【0055】
これによれば、3次元の動画像において各フレームのコントラスト調整時にフレーム間の相関を推定することにより、フリッカのような目障りな現象が発生を抑制し、3次元画像の奥行き感が適正化された、滑らかな画像をユーザに提供することができる。
【0056】
相関推定部20は、0フレーム目以外のすべてのフレームに対してNフレーム目(N>0)と(N−1)フレーム目の画像から相関値を算出する処理を繰り返す。ゲイン生成部16は、0フレーム目以外のすべてのフレームに対して前記算出された相関値と(N−1)フレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGとから、Nフレーム目のゲインマップEGを推定する処理を繰り返す。例えば、(P−1)フレーム目の画像のゲインマップEGP−1と、(P−1)フレーム目とPフレーム目との前記相関値とから、Pフレーム目のゲインマップEGPが推定される。なお、1フレーム目(N=1)の場合には、ゲイン生成部16は、前記相関値とゲインマップCG0とからゲインマップEG1を推定する。
【0057】
前述の通り、Mフレームの周期値はリセット周期であるが、本実施形態では周期値が「5」に設定されていると仮定する。ゲイン生成部16は、処理対象のNフレーム目が、リセット周期であるM(=5)の整数倍になるまで、(N−1)フレームとNフレームとの相関値と、(N−1)フレーム目のゲインマップEGN−1とから、Nフレーム目のゲインマップEGNを推定する。
【0058】
そして、処理対象のNフレーム目が、リセット周期であるM(=5)の整数倍に一致したとき、ゲイン生成部16は、上述の処理に基づき抽出されたディスパリティマップに基づいて、5フレーム目のゲインマップCGNを算出する。そして、ゲイン生成部16は、推定した5フレーム目のゲインマップEGNと、前記算出した5フレーム目のゲインマップCGNと、の加算平均処理又は所定の重み付け処理をすることにより、Nフレーム目のゲインマップMGNを生成する。例えば、Qフレーム目では、Qフレーム目の画像のゲインマップEGQと、Qフレーム目の画像のゲインマップCGQとの加算平均処理又は所定の重み付け処理によりQフレーム目のゲインマップMGQが生成される。
【0059】
例えば、シーンがガラッと変わる場合等には、動きベクトルによるフレーム間の継承情報に誤差が多く入り込むことも考えられる。よって、処理対象のNフレーム目がリセット周期に一致する場合には、動きベクトルによるフレーム間の継承情報をリセットする処理を行う。ゲインマップCGNとゲインマップEGNとの加算平均処理又は所定の重み付け処理によりゲインマップMGNを生成する。この結果、フリッカを低減しながら、フレーム間の継承情報の誤差を抑制することができる。
【0060】
なお、上記各部への指令は、専用の制御デバイスあるいはプログラムを実行するCPU(図示せず)により実行される。次に説明するコントラスト調整処理を実行するためのプログラムは、ROMや不揮発性メモリ(ともに図示せず)に予め記憶されていて、CPUが、これらのメモリから各プログラムを読み出し実行する。これにより、輝度抽出部12、奥行き情報抽出部13、空間周波数抽出部14、コントラスト抽出部15、ゲイン生成部16、コントラスト調整部17、画像処理部18、相関推定部20の各機能が実現される。
【0061】
[画像処理装置の動作]
次に、図2〜図4のフローチャートを参照して、画像処理装置10が行うコントラスト調整処理について説明する。図2は、本実施形態に係る画像処理装置が実行するコントラスト調整処理のフローチャートである。図3は、図2に示したゲインマップCG算出処理のフローチャートである。図4は、図2に示したゲインマップEG推定処理のフローチャートである。なお、図2〜図4の各ステップの説明に際し、必要に応じて図5〜図16も併せて参照する。
【0062】
(コントラスト調整処理)
初めに、図2のステップS205において、画像入力部11は、3次元の動画像を入力する。例えば、前述のように第1〜第3データ形式のいずれかにより、3次元の動画像が0フレーム目から順に入力される。また、処理対象のフレーム番号Nは「0」に設定される。
【0063】
図5は、第1のデータ形式で入力された0フレーム目の画像(原画)である。第1のデータ形式においては、左眼用画像31L及び右眼用画像31Rから構成される画像が、0フレーム目から順に入力される。なお、画像は、遊園地の回転しながら昇降する乗り物に人が乗っていて、背景には建物と他のアトラクションが映っている。
【0064】
(ゲインマップCGN算出処理)
ステップS210において、ゲインマップCGN(計算値)の算出処理が実行される。具体的には、ゲインマップCGN(計算値)の算出処理は、図3の各ステップにより実行される。すなわち、ステップS305において、輝度抽出部12は、Nフレーム目の左眼用画像31L及び右眼用画像31Rから輝度成分をそれぞれ抽出する。ここでは、図5の0フレーム目の左眼用画像31L及び右眼用画像31Rの輝度成分がそれぞれ抽出される。次に、ステップS310において、コントラスト抽出部15は、輝度抽出部12で抽出された左眼用画像31L及び右眼用画像31Rの輝度成分に基づいて、左眼用及び右眼用画像のコントラスト成分をそれぞれ抽出する。
【0065】
次に、ステップS315において、空間周波数抽出部14は、左眼用画像31L及び右眼用画像31Rの輝度成分に基づいて、各画像の所定の空間周波数成分をそれぞれ抽出する。次に、ステップS320において、奥行き情報抽出部13は、0フレーム目の左眼用画像31L及び右眼用画像31Rの奥行き情報を抽出し、抽出されたコントラスト成分と奥行き情報と空間周波数成分に基づき、視差に関する情報を有するディスパリティマップを生成する。図6は、第1のデータ形式で入力された0フレーム目の左眼用画像又はその輝度画像から形成された、0フレーム目の左眼用のディスパリティマップ32Lを示す。
【0066】
次に、ステップS325において、ゲイン生成部16は、ディスパリティマップに基づいて、3次元画像の奥行き感を変更するための、コントラスト調整用のゲインマップCGを算出する。図7は、0フレーム目の左眼用ディスパリティマップ32Lに基づいて算出された、0フレーム目の左眼用のゲインマップCG0(計算値)33Lを示す。
【0067】
このようにして図3の処理が終了すると再び図2に戻り、ステップS215において、フレーム番号Nが0より大きいかを判定する。この時点では、フレーム番号Nは0であるため、ステップS220に進み、コントラスト調整部17は、ゲインマップCG0(計算値)を用いて、3次元画像のコントラスト成分を調整する。次に、ステップS225において、画像処理部18は、コントラスト調整部17の調整結果に基づき、コントラスト調整後の輝度画像を生成し、画像出力部19は、生成された輝度画像と入力画像が元々有していた色情報を組合せた画像を、画像入力部11に入力されたときと同一の3次元動画像の特定フレームに変換し、表示装置30に出力する。
【0068】
ステップS230において、処理対象となるフレームが終了したかを判定する。フレームが終了していない場合、ステップS235において、フレーム番号Nに1加算する。ここでは、次に処理対象のフレーム番号Nは「1」となる。図8は、第1のデータ形式で入力された1フレーム目の左眼用の画像(原画)34Lを示す。
【0069】
(ゲインマップEGN推定処理)
次に、ステップS240において、ゲインマップEGN(推定値)の推定処理が実行される。具体的には、ゲインマップEGN(推定値)の推定処理は、図4の各ステップにより実行される。すなわち、ステップS405において、相関推定部20は、0フレーム目及び1フレーム目の連続する2フレームの画像(図5、図8)を用いて、ブロックマッチング、勾配法等の動き推定技術を用いて、画像中の画素毎に図9に示した動きベクトルを推定する。図10は、0フレーム目と1フレーム目との間の動きベクトルを矢印で可視化した左眼用画像35Lを示す。
【0070】
次に、ステップS410において、ゲイン生成部16は、動きベクトルを用いて、0フレーム目のゲインマップCG0から1フレーム目のゲインマップEG1(推定値)を推定する。図11は、推定された1フレーム目の左眼用のゲインマップEG1(推定値)36Lを示す。
【0071】
このようにして図4の処理が終了すると再び図2に戻り、ステップS245において、フレーム番号Nが周期値の整数倍であるかを判定する。ここでは、周期値「5」に対してフレーム番号Nは1であるから、フレーム番号Nは周期値の整数倍ではない。よって、ステップS250に進み、コントラスト調整部17は、ゲインマップEG1(推定値)を用いて、3次元画像のコントラスト成分を調整する。次に、ステップS225において、コントラスト調整部17の調整結果に基づき、コントラスト調整後の輝度画像を、入力されたときと同一の3次元動画像の特定フレームに変換し、表示装置30に出力する。
【0072】
ステップS230〜S250、S225の処理は、フレーム番号Nが周期値の整数倍になるまで繰り返し処理される。なお、ステップS410において、2フレーム目以降は、ゲイン生成部16は、動きベクトルを用いて、(N−1)フレームのゲインマップEGNー1からNフレームのゲインマップEGN(推定値)を推定する。
【0073】
(ゲインマップMGN生成処理)
フレーム番号Nが周期値の整数倍になると、つまり、ここではフレーム番号Nが5になると、まず、ステップS240のゲインマップEGN(推定値)の推定処理が実行され、その結果、5フレーム目のゲインマップEG5(推定値)が生成される。図13は、5フレーム目の左眼用のゲインマップEG5(推定値)38Lを示す。
【0074】
次に、Nが周期値の整数倍であるため、ステップS245からステップS255に進み、ゲイン生成部16は、図12に示した5フレーム目の左眼用画像37L及び右眼用画像37Rに基づき5フレーム目の各抽出処理を行う(ステップS305〜S315)。そして、抽出された奥行き情報から、5フレーム目のディスパリティマップを作成し(ステップS320)、ディスパリティマップを用いて、5フレーム目のゲインマップCG5を算出する(ステップS325)。図14は、5フレーム目の左眼用のディスパリティマップ39Lを示し、図15は、5フレーム目の左眼用のゲインマップCG5(計算値)40Lを示す。
【0075】
次に、図2に戻り、ステップS260において、ゲイン生成部16は、推定した5フレーム目のゲインマップEG5と、算出した5フレーム目のゲインマップCG5と、の加算平均処理又は所定の重み付け処理をすることにより、5フレーム目のコントラスト調整用ゲインマップMG5を生成する。ここでは、ゲインマップMG5を加算平均処理(MG5=(CG5+EG5)/2)により生成する。図16は、5フレーム目の左眼用のゲインマップMG541Lを示す。
【0076】
次に、ステップS265において、コントラスト調整部17は、ゲインマップMG5(生成値)を用いて、3次元画像のコントラスト成分を調整する。次に、ステップS225において、コントラスト調整部17の調整結果に基づき、コントラスト調整後の輝度画像と入力画像が元々有していた色情報を組合せた画像を、入力されたときと同一の3次元動画像の特定フレームに変換し、表示装置30に出力する。以上の処理をフレームが終了するまで行う。
【0077】
以上に説明したように、本実施形態に係る画像処理装置10が実行する画像処理方法によれば、処理対象が最初のフレーム(0フレーム目)の場合には、奥行き情報の抽出処理、コントラストの抽出処理及び空間周波数の抽出処理を実行することによりゲインマップCG0を求め、ゲインマップCG0に基づきコントラストの調整処理を行う。
【0078】
これに対して、処理対象が1フレーム以上の場合には、時間的に連続する2フレームの画像から動きベクトルの方向とその大きさを推定することによってクレーム間の各画素の相関を認識し、どのオブジェクトが次のフレームでどの位置に移動しているかを推定する。このようにしてオブジェクトの動きが分かれば、その相関関係に基づき、前のフレームのオブジェクトの情報(例えば、奥行き情報やコントラスト成分)を次のフレームに継承でき、これにより推定されたゲインマップEGNを、次のフレームのコントラストの調整処理に利用可能となる。これにより、0フレーム目に実行した奥行き情報の抽出、コントラストの抽出及び空間周波数の抽出処理を、各フレームで独立に行った場合にはフリッカのような目障りな現象が発生する場合があったが、本実施形態ではこれを抑制することができる。この結果、3次元画像の奥行き感が適正化された、滑らかな動画像をユーザに提供することができる。
【0079】
このようにして処理対象のNフレーム目がリセット周期(周期値の整数倍)であるMフレーム目に一致しない場合には、動き推定技術を用いてあるフレーム内のオブジェクトの動きから次のフレームのオブジェクトの動きを予測する。このため、前述した奥行き情報の抽出処理、コントラストの抽出処理及び空間周波数の抽出処理をフレーム毎に繰り返す必要がない。特に、奥行き情報の計算は負荷が高いため、これらの処理を省略することにより後続フレームの処理負荷を軽減することができる。
【0080】
しかしながら、例えば、シーンがガラッと変わる場合等には、動きベクトルによるフレーム間の継承情報に誤差が多く入り込むことも考えられる。よって、処理対象のNフレーム目がリセット周期のMフレーム目に一致する場合には、動きベクトルによるフレーム間の継承情報をリセットする処理を行う。その際、完全にリセットせずに、前フレームからの継承情報としてのゲインマップEGNと新たな計算により算出されたゲインマップCGNとの両方を使い、計算しなおしたゲインマップCGNと、前フレームの継承情報であるゲインマップEGNとの加算平均処理又は所定の重み付け処理によりゲインマップMGNを生成する。このようにして、推定された動きベクトルの情報、画像が持っているコントラストの情報、奥行き情報、周波数情報等を用いてゲインマップMGNを得ることにより、フレーム間の継承情報の誤差とフリッカ等のチラツキを抑制することができる。この結果、より精度の高いゲインマップMGNを用いて画像のコントラストを調整することができる。
【0081】
なお、Mフレームの周期値は、前記入力される動画像の変化に基づいて、可変に設定することができる。たとえば、Mフレームの周期値は、前記入力される動画像の動きが大きいほど小さい値に設定され、前記入力される動画像の動きが小さいほど大きい値に設定されてもよい。風景画のように動きが少ない場合には、前フレームから次フレームに継承されるエラーの頻度は高くないという推測の下に10フレームを周期値としてもよい。また、スポーツのように動きが多い場合には、前フレームから次フレームに継承されるエラーの頻度が高くなるという推測の下に1又は2フレーム程度を周期値としてもよい。ただし、周期値を小さくするほど処理負荷は高くなる。
【0082】
入力される3次元の動画像のコンテンツ毎に周期値を設定するようにしてもよい。コンテンツ内で周期を可変にしたほうがよい場合もある。例えば、1つのコンテンツ映像内に動きの激しいシーンと緩やかなシーンがある場合には、動きの緩やかなシーンでは周期値を大きく設定し、動きの激しいシーンでは周期値を小さく設定するように、1つのコンテンツ内で可変にしてもよい。
【0083】
上記一実施形態において、各部の動作は互いに関連しており、互いの関連を考慮しながら、一連の動作及び一連の処理として置き換えることができる。これにより、画像処理装置の実施形態を、画像処理方法の実施形態及び画像処理装置が有する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムの実施形態とすることができる。
【0084】
これにより、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出ステップと、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出ステップと、前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出ステップと、前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成ステップと、(N−1)フレーム目及びNフレーム目を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定ステップと、を含み、前記ゲイン生成ステップは、前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定するステップを含む画像処理方法を提供することができる。
【0085】
また、これにより、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出処理と、入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出処理と、前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出処理と、前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成処理と、(N−1)フレーム目及びNフレーム目を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定処理と、を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記ゲイン生成処理は、前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する処理を含むプログラムを提供することができる。
【0086】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0087】
例えば、上記実施形態では、動きベクトルを推定するために直前の(N−1)フレーム目とNフレーム目との3次元画像の相関値を用いたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、直前の(N−1)フレーム目とNフレーム目の画像の相関値だけでなく、複数の前フレーム情報を用いて相関値を求めてもよい。例えば、(N−1)フレーム目及び(N−2)フレーム目の画像を用いて、(N−2)フレーム目と(N−1)フレーム目との3次元画像の相関値を求め、(N−1)フレーム目とNフレーム目との3次元画像の相関値を求め、それらの相関値からNフレーム目の動きベクトルを推定してもよい。
【0088】
周期値を1としてもよい。この場合には、全フレームについて上記ゲインマップCGのための計算及び上記ゲインマップEGの推定を行うことになる。
【0089】
また、リセット周期においても、1フレーム目と同様に、算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定してもよい。例えば、上記実施形態のリセット周期においては、ゲインマップMGを用いたが、ゲインマップEGを用いることも可能である。
【0090】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0091】
10 画像処理装置
11 画像入力部
12 輝度抽出部
13 奥行き情報抽出部
14 空間周波数抽出部
15 コントラスト抽出部
16 ゲイン生成部
17 コントラスト調整部
18 画像処理部
19 画像出力部
20 相関推定部
30 表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出部と、
入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出部と、
前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出部と、
前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成部と、
(N−1)フレーム目及びNフレーム目(N>0)を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定部と、を備え、
前記ゲイン生成部は、
前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する画像処理装置。
【請求項2】
Mフレーム目は、0フレーム目又はリセット周期である周期値の整数倍のフレーム目の少なくともいずれかを含む請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記相関推定部は、Nフレーム目と(N−1)フレーム目との間の相関値を算出し、
前記ゲイン生成部は、前記算出されたNフレーム目と(N−1)フレーム目との間の相関値を用いて、(N−1)フレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGからNフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記相関推定部は、0フレーム目以外のすべてのフレームに対してNフレーム目と(N−1)フレーム目から前記相関値を算出する処理を繰り返し、
前記ゲイン生成部は、0フレーム目以外のすべてのフレームに対して前記算出された相関値と(N−1)フレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGとから、Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する処理を繰り返す請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ゲイン生成部は、前記Nフレーム目が前記Mフレーム目に一致する場合、前記推定したNフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGと、前記算出したMフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップCGと、の加算平均処理又は所定の重み付け処理をすることにより、Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップMGを生成する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
Mフレームの周期値は、前記入力される動画像の変化に基づいて、可変に設定される請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記Mフレームの周期値は、前記入力される動画像の動きが大きいほど小さい値に設定され、前記入力される動画像の動きが小さいほど大きい値に設定される請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記相関推定部は、動き推定技術を用いて前記相関値を算出する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記Mフレーム目の輝度成分に基づいて、前記Mフレーム目の画像の空間周波数成分を抽出する空間周波数抽出部を更に備え、
前記ゲイン生成部は、前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分、空間周波数成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記算出されたコントラスト調整用ゲインマップCG又は前記推定されたコントラスト調整用ゲインマップEG又は前記生成されたコントラスト調整用ゲインマップMGのいずれかを用いて、Nフレーム目の画像のコントラスト成分を調整するコントラスト調整部を更に備える請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像処理装置によりコントラスト成分が調整された各フレームの画像を表示する表示装置。
【請求項12】
入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出ステップと、
入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出ステップと、
前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出ステップと、
前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成ステップと、
(N−1)フレーム目及びNフレーム目(N>0)を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定ステップと、を含み、
前記ゲイン生成ステップは、
前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定するステップを含む画像処理方法。
【請求項13】
入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出処理と、
入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出処理と、
前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出処理と、
前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成処理と、
(N−1)フレーム目及びNフレーム目(N>0)を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定処理と、を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記ゲイン生成処理は、
前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する処理を含むプログラム。
【請求項14】
入力された連続する2つのフレームの画像の相関値を算出する相関推定部と、
入力された画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、前記画像のコントラストの調整を行うためのゲインマップCGを算出し、ゲインマップCGと前記相関値から前記画像のコントラストの調整を行うためのゲインマップEGを推定するゲイン生成部と、を備える画像処理装置。
【請求項15】
前記ゲイン生成部は、
(N−1)フレーム目の画像の前記ゲインマップCGと、(N−1)フレーム目とNフレーム目との前記相関値とから、Nフレーム目のゲインマップEGを推定する請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記ゲイン生成部は、
(P−1)フレーム目の画像の前記ゲインマップEGと、(P−1)フレーム目とPフレーム目との前記相関値とから、Pフレーム目のゲインマップEGを推定する請求項15に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記ゲイン生成部は、
Qフレーム目の画像の前記ゲインマップEGと、Qフレーム目の前記ゲインマップCGとの加算平均処理又は所定の重み付け処理をすることによりQフレーム目のゲインマップMGを生成する請求項15または16に記載の画像処理装置。
【請求項1】
入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出部と、
入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出部と、
前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出部と、
前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成部と、
(N−1)フレーム目及びNフレーム目(N>0)を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定部と、を備え、
前記ゲイン生成部は、
前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する画像処理装置。
【請求項2】
Mフレーム目は、0フレーム目又はリセット周期である周期値の整数倍のフレーム目の少なくともいずれかを含む請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記相関推定部は、Nフレーム目と(N−1)フレーム目との間の相関値を算出し、
前記ゲイン生成部は、前記算出されたNフレーム目と(N−1)フレーム目との間の相関値を用いて、(N−1)フレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGからNフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記相関推定部は、0フレーム目以外のすべてのフレームに対してNフレーム目と(N−1)フレーム目から前記相関値を算出する処理を繰り返し、
前記ゲイン生成部は、0フレーム目以外のすべてのフレームに対して前記算出された相関値と(N−1)フレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGとから、Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する処理を繰り返す請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ゲイン生成部は、前記Nフレーム目が前記Mフレーム目に一致する場合、前記推定したNフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGと、前記算出したMフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップCGと、の加算平均処理又は所定の重み付け処理をすることにより、Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップMGを生成する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
Mフレームの周期値は、前記入力される動画像の変化に基づいて、可変に設定される請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記Mフレームの周期値は、前記入力される動画像の動きが大きいほど小さい値に設定され、前記入力される動画像の動きが小さいほど大きい値に設定される請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記相関推定部は、動き推定技術を用いて前記相関値を算出する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記Mフレーム目の輝度成分に基づいて、前記Mフレーム目の画像の空間周波数成分を抽出する空間周波数抽出部を更に備え、
前記ゲイン生成部は、前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分、空間周波数成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記算出されたコントラスト調整用ゲインマップCG又は前記推定されたコントラスト調整用ゲインマップEG又は前記生成されたコントラスト調整用ゲインマップMGのいずれかを用いて、Nフレーム目の画像のコントラスト成分を調整するコントラスト調整部を更に備える請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像処理装置によりコントラスト成分が調整された各フレームの画像を表示する表示装置。
【請求項12】
入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出ステップと、
入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出ステップと、
前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出ステップと、
前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成ステップと、
(N−1)フレーム目及びNフレーム目(N>0)を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定ステップと、を含み、
前記ゲイン生成ステップは、
前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定するステップを含む画像処理方法。
【請求項13】
入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の奥行き情報を抽出する奥行き情報抽出処理と、
入力された3次元の動画像のMフレーム目の画像の輝度成分を抽出する輝度抽出処理と、
前記Mフレーム目の画像の輝度成分に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト成分を抽出するコントラスト抽出処理と、
前記Mフレーム目の画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、Mフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGを算出するゲイン生成処理と、
(N−1)フレーム目及びNフレーム目(N>0)を含む少なくとも2フレーム間の画像の相関値を算出する相関推定処理と、を含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記ゲイン生成処理は、
前記算出されたMフレーム目の画像のコントラスト調整用ゲインマップCGと前記相関値とから前記Nフレーム目のコントラスト調整用ゲインマップEGを推定する処理を含むプログラム。
【請求項14】
入力された連続する2つのフレームの画像の相関値を算出する相関推定部と、
入力された画像のコントラスト成分及び奥行き情報に基づいて、前記画像のコントラストの調整を行うためのゲインマップCGを算出し、ゲインマップCGと前記相関値から前記画像のコントラストの調整を行うためのゲインマップEGを推定するゲイン生成部と、を備える画像処理装置。
【請求項15】
前記ゲイン生成部は、
(N−1)フレーム目の画像の前記ゲインマップCGと、(N−1)フレーム目とNフレーム目との前記相関値とから、Nフレーム目のゲインマップEGを推定する請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記ゲイン生成部は、
(P−1)フレーム目の画像の前記ゲインマップEGと、(P−1)フレーム目とPフレーム目との前記相関値とから、Pフレーム目のゲインマップEGを推定する請求項15に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記ゲイン生成部は、
Qフレーム目の画像の前記ゲインマップEGと、Qフレーム目の前記ゲインマップCGとの加算平均処理又は所定の重み付け処理をすることによりQフレーム目のゲインマップMGを生成する請求項15または16に記載の画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図9】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図9】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−119783(P2012−119783A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265647(P2010−265647)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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