説明

画像処理装置およびテレビジョン受信機

【課題】前景画像信号FSと後景画像信号BSと合成処理する高品質の合成画像を出力する画像処理装置1Bを実現する
【解決手段】前景画像信号FSに対し、第1のフィルタ処理を行う第1のフィルタ回路16と、第1のフィルタ処理前景画像信号FFSの画素値と、3個以上の所定のしきい値THとを比較し、1ビットキー信号を生成するキー生成回路13と、1ビットキー信号に対し、第2のフィルタ処理を行い、多階調キー信号を生成する第2のフィルタ回路19と、多階調キー信号を用いて、合成処理をするαブレンド回路18とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前景画像信号と後景画像信号とを合成する画像処理装置および合成画像を表示するテレビジョン受信機に関し、特に、多諧調のキー信号を用いて画像信号を合成する画像処理装置および前記画像処理装置を有するテレビジョン受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受信機の表示画面は、NTSC規格においてはアスペクト比4:3が標準画面であった。しかし、近年ではテレビジョン受信機の表示画面は、ハイビジョン規格のアスペクト比16:9のいわゆるワイド画面表示が多くなっている。そして、ワイド画面が表示可能なテレビジョン受信機であっても、視聴者は標準画面による画面表示を選択することがある。
【0003】
この場合、テレビジョン受信機は、ワイド画面の、中央部に標準画面の画像を前景画像として表示し、両端には、例えば黒色の画像を後景画像として、表示することになる。このため、テレビジョン受信機は、前景画像と後景画像とを合成処理する画像処理装置を有している。
【0004】
なお、放送局においては、人物等の被写体画像を、その背景画像から抽出し前景画像とし、前景画像とは別に撮影された後景画像に前景画像を、はめ込み合成する画像合成処理が広く行われている。例えば、切り抜き抽出すべき被写体が、人物の場合には、肌色の補色である青色のブルーバックを背景にして、人物を撮影し、画像信号の画素値における色の相違によるレベル差を利用して被写体の画像領域を示すキー信号が作られる。そして、画像信号を合成処理するときにも用いられる制御信号が、キー信号である。画像合成処理においては、例えば、キー信号=「1」の場合、後景画像を出力し、キー信号=「0」の場合は、前景画像を出力する。
【0005】
ここで、特開平11−261888号公報には、放送局における画像合成方式として、自然で高品質の合成画像を得るために、キー信号レベルを傾斜的に変化する手段、および、キー信号のための低域通過フィルタを備えた、画像合成方式が開示されている。
【0006】
しかし、前景画像と後景画像とを画像合成する画像処理装置においては、キー信号が、ON/OFF制御、言い換えれば、1ビットキーの場合には、前景画像と後景画像との間でギザギザが目立ち画質の低下を招くことがあった。
【0007】
また、放送局における画像合成方法は、複雑な装置が必要であり、かつ、最終的には放送スタジオにいる技術者が調整を行う必要があった。このため、放送局における技術を単純にテレビジョン受信機に応用することは容易ではなかった。
【特許文献1】特開平11−261888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高品質の合成画像を出力する画像処理装置、および、高品質の合成画像を表示するテレビジョン受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明の一態様の画像処理装置は、第1の画像信号と第2の画像信号とを合成処理する画像処理装置において、第1の画像信号に対し、フィルタ処理を行う画像信号フィルタ処理手段と、フィルタ処理後の第1の画像信号の画素値と、3個以上の所定のしきい値とを比較し、多階調キー信号を生成する多階調キー生成手段と、多階調キー信号を用いて、合成処理をする画像合成処理手段と、を有することを特徴とする画像処理装置である。
【0010】
また本願発明の一態様のテレビジョン受信機は、第1の画像信号と第2の画像信号とを合成処理する画像処理装置であって、第1の画像信号に対し、フィルタ処理を行う画像信号フィルタ処理手段と、フィルタ処理後の第1の画像信号の画素値と、3個以上の所定のしきい値とを比較し、多階調キー信号を生成する多階調キー生成手段と、多階調キー信号を用いて、合成処理をする画像合成処理手段とを有する画像処理装置、を有するテレビジョン受信機である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、高品質の合成画像を出力する画像処理装置、および、高品質の合成画像を表示するテレビジョン受信機を提供するものである。
【0012】
る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態の画像処理装置1を、公知の画像処理装置101と比較しながら説明する。図1は、公知の画像処理装置101の構成を示す構成図であり、これに対して、図2は本実施の形態の画像処理装置1の構成を示す構成図である。
【0014】
図1に示すように、公知の画像処理装置101の、キー生成回路103は、前景画像FPと後景画像BPとを合成する合成処理のとき、前景画像信号FSの画素値を、所定のしきい値THと比較し、キー信号を生成する。
【0015】
キー生成回路103は、前景画像信号FSの画素値が、「第1のしきい値≦前景画像信号FSの画素値≦第2のしきい値」であれば、キー信号として「1」を、それ以外なら、キー信号として、「0」を出力する。すなわち、キー生成回路103は、1ビットのキー信号を生成する。
【0016】
そして、前景/後景画像選択回路104はキー生成回路103から出力される1ビットのキー信号を用いて、前景画像または後景画像のいずれかを選択して出力信号OSを出力する。前景/後景画像選択回路104は、例えば、キー信号が「1」の場合には後景画像を出力し、キー信号が、「0」の場合には前景画像を出力する。
【0017】
これに対して、図2に示す本実施の形態の画像処理装置1は、第1の画像信号である前景画像信号FSに、フィルタ処理を行う画像信号フィルタ回路であるフィルタ回路6と、フィルタ処理後の前景画像信号FFSの画素値と、3個以上の所定のしきい値とを比較し、多階調キー信号を生成する多階調キー生成手段である多階調キー生成回路7と、多階調キー信号を用いて、αブレンドによる合成処理を行う画像合成処理手段であるαブレンド回路8と、を有する
フィルタ回路は、前景画像信号FSに対し、いわゆるローパスフィルタ(以下「LPF」という。)処理を行い、前景画像信号FSの高域成分を除去する。ここで、高域成分とは、ノイズ成分のことである。ノイズ成分は通常高域成分に多く含まれることが知られている。
また、画像処理装置1においては、所定のしきい値は、3個以上であり、多階調キー生成回路7は、LPF処理後の前景画像信号FFSの画素値と、3個以上のしきい値とを比較し、多階調、すなわち、nビット(但し、n≧2)のキー信号を生成する。
【0018】
以下、4個のしきい値である、第3、第4、第5および第6のしきい値、を用いて、2ビットの多階調キー信号を生成する多階調キー生成回路7を例に説明する。
【0019】
多階調キー生成回路7は、LPF処理後の前景画像信号FFSの画素値と、第3、第4、第5および第6のしきい値と比較し、以下の式を用いて2ビットの多階調キー信号を生成する。
if 第4のしきい値TH4 ≦ FFSの画素値 < 第5のしきい値TH5 ならば 多階調キー信号=「10」、
else if 第5のしきい値TH5 ≦ FFSの画素値 < 第6のしきい値TH6 ならば 多階調キー信号=「01」、
else if 第3のしきい値TH3 ≦ FFSの画素値 < 第4のしきい値TH4 ならば 多階調キー信号=「01」、
else 多階調キー信号=「00」。
【0020】
そして、αブレンド回路8は、多階調キー信号を用いて、前景画像信号FSと後景画像信号BSとをαブレンドする。αブレンド回路8は、α処理回路8Bと(1−α)回路8Aとを有し、多階調キー信号=「10」の場合には、後景画像信号を100%出力し、多階調キー信号=「00」の場合には、前景画像信号を100%出力し、多階調キー信号=「01」の場合には、前景画像信号50%と後景画像信号50%とをブレンドした画像信号を出力信号OSとして出力する。すなわち、αブレンド回路8では、多階調キー信号=「10」の場合には、α=1、多階調キー信号=「01」の場合には、α=0、多階調キー信号=「01」の場合には、α=0.5と設定される。
【0021】
なお、上記では、画像処理装置1の多階調キー生成回路7が、4個のしきい値により2ビット(4個)の多階調キー信号を生成し、αブレンド回路8が3個のα値によりαブレンドを行う例について説明した。しかし、画像処理装置が、より多くのしきい値による場合分けを行い、より多くのα値を用いたαブレンドを行ってもよい。あるいは、多階調キー生成回路7は所定の関数式をもとに算出した、しきい値を用いてもよい。
【0022】
次に、図3、図4Aおよび図4Bを用いて、本実施の形態の画像処理装置1の効果について、公知の画像処理装置101と比較しながら説明する。図3は、公知の画像処理装置101による画像処理の状態を説明するための説明図であり、これに対して、図4Aおよび図4Bは本実施の形態の画像処理装置1による画像処理の状態を説明するための説明図である。
【0023】
ここでは、図3(A)および図4A(A)に示す前景画像信号FSの場合を例に説明する。図3(A)および図4A(A)は、縦軸が前景画像信号FSの画素値を示し、横軸は前景画像の走査線の一部を示している。前景画像信号FSの画素値は、例えば0〜255の範囲で表現されるが、図3(A)および図4A(A)では、その一部を示している。図3(B)および図4A(D)は、縦軸がキー信号を示し、横軸は前景画像の走査線の一部を示している。図3(C)は、合成画像の一部を示している。
【0024】
そして、図3、図4Aおよび図4Bに示す画像合成処理は、走査線の右側の3画素のみを前景信号を出力し、それよりも左側の画素は後景信号を出力することが好ましい場合である。
【0025】
図3(A)に示す前景画像信号FSの場合には、画像処理装置101の画像処理では、第1のしきい値TH1=「1」、第2のしきい値TH2=「6」、と設定した場合、図3(B)に示すように、後景信号を出力すべき領域に、前景画像が数画素だけ出力されている。このため、画像処理装置101の画像処理では、図3(C)に示すように、A領域では、前景画像が孤立点ノイズとして含まれる合成画像が生成されている。また、画像処理装置101の画像処理では、図3(C)に示すように、B領域、すなわち前景/後景画像の切り変わり目では、キー信号が1ビット制御(ON/OFF制御)となるので、ギザギザ状態が目立った画質劣化した合成画像が生成されている。
【0026】
これに対して、画像処理装置1では、図4A(A)に示す前景画像信号FSの場合であっても、LPF処理により図4A(B)に示すように前景画像信号FSの高域成分が除去される。なお、図4A(B)では、7タップ(Tap)のLPF処理、すなわち、処理を行う画素と同じ走査線の前後3個の画素の画素値をもとにしたLPF処理を行った例を示している。
【0027】
画像処理装置1では、前景画像信号FSの高域成分を除去することで、画像を合成する際に使用するキー信号を生成するときに、画像信号に混入されているノイズ成分の影響を少なくできる。このため、画像処理装置1では、孤立点となるキー信号の生成を抑制でき、画質劣化を招く要因を減らすため、高品質の合成画像を出力することができる。
【0028】
次に、図4A(C)および図4A(D)に示すように、画像処理装置1では、多階調キー生成回路7が、4個のしきい値、TH3〜TH6を用いて2ビットの多階調キー信号を生成する。
【0029】
多階調キー信号を用いて、前景画像と後景画像とをαブレンド処理することにより、図4B(E)に示すように、画像の切り替わり目が滑らかに変化する。このため、画像処理装置1では、画像のギザギザ状態を抑制することができ、高品質の合成画像を出力することができる。
【0030】
次に、上記説明とは異なる前景画像信号の場合について、図5および図6を用いて、本実施の形態の画像処理装置1の効果について、公知の画像処理装置101と比較しながら説明する。図5は、公知の画像処理装置101による画像処理の状態を説明するための説明図であり、これに対して、図6は本実施の形態の画像処理装置1による画像処理の状態を説明するための説明図である。
【0031】
ここでは、図5(A)および図6(A)に示す前景画像信号FSの場合を例に説明する。
図5(A)に示す前景画像信号FSの場合には、画像処理装置101の画像処理では、第1のしきい値TH1=「1」、第2のしきい値TH2=「6」と設定した場合、図5(B)に示すように、前景信号を出力すべき領域に、数画素だけ後景画像が出力されている。一方、図5(A)において、第2のしきい値を「11」まで上げると、キー信号=「1」と出力する領域が多くなり、不要な後景画像を出力した合成画像を生成するため、画質の劣化を招き、問題となる。
【0032】
これに対して、画像処理装置1では、図6(A)に示す前景画像信号FSの場合であっても、LPF処理により、図6(B)に示すように前景画像信号FSの高域成分が除去される。さらに、図6(C)および図6(D)に示すように、画像処理装置1では、多階調キー生成回路7が、4個のしきい値、TH3〜TH6を用いて2ビットの多階調キー信号を生成する。
【0033】
このため、画像処理装置1では、孤立点となるキー信号の生成を抑制でき、かつ、画像の切り替わり目のギザギザ状態を抑制することができ、高品質の合成画像を出力することができる。
【0034】
なお、上記説明では、LPF処理として、同じ走査線、言い換えれば処理する画素に対して1次元的に前後の画素の画素値をもとにLPF処理を行った例を示したが、画像上の2次元的に一定の距離を有する周囲の画素、すなわち、処理する画素と異なる走査線の画素の画素値も用いてLPF処理を行ってもよい。
【0035】
以上の説明のように、画像処理装置1は、高品質の合成画像を出力することができる。
【0036】
なお、画像処理装置1は、集積回路(IC)として構成することが可能であり、画像処理装置1の構成を有する1チップのIC、または、他の機能も有する複合ICとして、テレビジョン受信機等に組み込むことができる。
【0037】
<第2の実施の形態>
以下、図7および図8を参照して本発明の第2の実施の形態の画像処理装置1Bについて説明する。図7は本実施の形態の画像処理装置の構成を示す構成図であり、図8は本実施の形態の画像処理装置による画像処理の状態を説明するための説明図である。本実施の形態の画像処理装置1Bは、第1の実施の形態の画像処理装置1と類似しているため、同じ構成要素の説明は省略する。
【0038】
本実施の形態の画像処理装置1Bは、第1の画像信号である前景画像信号FSと第2の画像信号である後景画像信号BSとを合成処理し、出力信号OSを出力する。そして、図7に示すように画像処理装置1Bは、前景画像信号FSの画素値に対し、第1のフィルタ処理を行う画像信号フィルタ処理手段である第1のフィルタ回路16と、フィルタ処理後の前景画像信号FFSの画素値と、2個以下の所定のしきい値THとを比較し、1ビットキー信号を生成する1ビットキー生成手段であるキー生成回路13と、1ビットキー信号に対し、第2のフィルタ処理を行い、多階調キー信号を生成する多階調キー信号フィルタ手段である第2のフィルタ回路19と、多階調キー信号を用いて、合成処理をする画像合成処理手段であるαブレンド回路18と、を有する。
【0039】
図8は、図8(A)に示す前景画像信号FSの場合の画像処理装置1Bの処理について説明している。最初に、第1のフィルタ回路16により、フィルタ回路6と同様に、前景画像信号FSの高域成分が除去され、図8(B)に示すフィルタ処理後の前景画像信号FFSが第1のフィルタ回路16から出力される。次に、キー生成回路13により、2個の所定のしきい値である第1のしきい値TH1および第2のしきい値TH2と、フィルタ処理後の前景画像信号FFSの画素値とを比較する。しきい値の数は、2個以下であれば、1個でもよいが、範囲を規定するためには、第1のしきい値および第2のしきい値の2個が好ましい。キー生成回路13は「第1のしきい値≦FFSの画素値≦第2のしきい値」ならば、キー信号=「1」を出力し、それ以外ならば、キー信号=「0」を出力する。図8(B)および図8(C)では、TH1=「1」、TH2=「6」の場合を示している。
【0040】
次に、画像処理装置1Bにおいては、キー信号に対し、第2のフィルタ回路19が、高域成分の除去を行う第2のフィルタ処理を行い、キー信号を、1ビットからnビット化(n≧2)、つまり多階調化する。例えば、図8(D)では、キー信号に対し、3タップのLPF処理を行い、多階調キー信号を生成した例を示している。
【0041】
第2のフィルタ回路19が行うフィルタ処理も、フィルタ回路6と同様に、2次元の画素情報をもとに、LPF処理を行ってもよいし、処理する画素からの距離に応じた重み付けしたLPF処理を行ってもよい。
【0042】
次に、α処理回路18Bと(1−α)回路18Aとを有するαブレンド回路18が、多階調キー信号を用いて、前景画像信号FSと後景画像信号BSとをαブレンドする。αブレンド回路18は、多階調キー信号=「10」の場合には、後景画像信号を100%出力し、多階調キー信号=「00」の場合には、前景画像信号を100%出力し、多階調キー信号=「01」の場合には、前景画像信号50%と後景画像信号50%とをブレンドした画像信号を出力信号OSとして出力する。すなわち、αブレンド回路18では、多階調キー信号=「10」の場合には、α=1、多階調キー信号=「01」の場合には、α=0、多階調キー信号=「01」の場合には、α=0.5となる。
【0043】
画像処理装置1Bは、第1のフィルタ回路16で、前景画像信号FSの高域成分を除去するため、孤立点キー信号を抑制する。また、画像処理装置1Bは、1ビットキー信号を、第2のフィルタ回路19で多階調化するため、前景画像と後景画像の切り変わり目が滑らかに変化する。
【0044】
以上の説明のように、画像処理装置1Bは、画像処理装置1が有する効果に加えて、キー生成回路13が簡単であり、高速処理が可能である。
【0045】
<第3の実施の形態>
以下、図9を参照して本発明の第3の実施の形態の画像処理装置1Cについて説明する。図9は、本実施の形態の画像処理装置1Cの構成を示す構成図である。本実施の形態の画像処理装置1Cは、画像処理装置1または画像処理装置1Bと類似しているため、同じ構成要素の説明は省略する。
【0046】
図9に示すように本実施の形態の画像処理装置1Cは、第1の画像信号である前景画像信号FSに対し、第1のフィルタ処理を行う画像信号フィルタ回路である第1のフィルタ回路26と、フィルタ処理後の前景画像信号FFSの画素値と、3個以上の所定のしきい値とを比較し、nビット(但し、n≧2)のキー信号を生成する多階調キー生成手段である多階調キー生成回路27と、多階調キー信号に対し、第2のフィルタ処理を行い、第2の多階調キー信号を生成する第2の多階調キー信号フィルタ手段である第2のフィルタ回路29と、第2の多階調キー信号を用いて、合成処理をする画像合成処理手段であるα処理回路28Bと(1−α)回路28Aとを有するαブレンド回路28と、を有する。
【0047】
以上の説明のように、画像処理装置1Cは、画像処理装置1等が有する効果に加えて、より高品質の合成画像を出力することができる。
【0048】
<第4の実施の形態>
以下、図10および図11を参照して本発明の第4の実施の形態のテレビジョン受信機30について説明する。図10は、本実施の形態のテレビジョン受信機の構成を示す構成図であり、図11は、テレビジョン受信機の画面について説明するための説明図である。本実施の形態のテレビジョン受信機30の画像処理装置1Dは、画像処理装置1等と類似しているため、同じ構成要素の説明は省略する。
【0049】
図10に示すように、本実施の形態のテレビジョン受信機30は、放送を受信する受信回路31と、受信信号を一時的に記憶するメモリ33と、画像処理装置1Dと、表示装置をコントロールする表示装置コントローラ34と、表示装置35と、テレビジョン受信機30全体の制御を行うCPU36と、視聴者が表示画面の選択等を行う入力装置37とを有している。そして、表示装置35はハイビジョン規格のアスペクト比16:9のいわゆるワイド画面表示を行う表示装置である。
【0050】
テレビジョン受信機30では、視聴者が入力装置37により表示画面の選択が可能である。例えば、図11(A)に示すように、テレビジョン受信機30の表示装置35には、画像処理装置1Dが、合成処理した合成画像40が表示できる。ここで、合成画像40は、中央部に前景画像42の一部である標準画面の画像42Aを、両端に後景画像41の一部である画像41Aを有する画像である。
【0051】
ここで、図11(B)に示すように第1の画像信号である前景画像42は、標準画面の画像42Aだけでなく、両端に、画像42Bを有している。このため、画像処理装置1Dは、第1の画像信号であるワイド画面全体の画像信号からなる前景画像42から標準画面の画像42Aの信号だけを抜き出して、残りの領域を図11(C)に示す後景画像41の信号と合成することで、合成画像40を得ている。すなわち、第2の画像信号である後景画像41の信号は、ワイド画面の標準画面領域以外の領域に表示する画像信号である。
【0052】
テレビジョン受信機30は、画像処理装置1、画像処理装置1Bまたは画像処理装置1Cから選択される、いずれかの画像処理装置である画像処理装置1Dを有するために、高品質の合成画像を表示することができる。
【0053】
特に、画像処理装置1Dとしては、処理速度、および、構成が簡単であることから、画像処理装置1Bが好ましい。すなわち、画像処理装置1Bは構成が簡単であるため、テレビジョン受信機30に適用することが容易である。また、画像処理装置1Bは処理速度が早いために、テレビジョン受信機30におけるフレーム処理時間内に所望の合成処理を完了することが容易である。このため、画像処理装置1Bを有するテレビジョン受信機30は、高品質の合成画像を表示することができる。
【0054】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】公知の画像処理装置の構成を示す構成図である。
【図2】第1の実施の形態の画像処理装置の構成を示す構成図である。
【図3】公知の画像処理装置による画像処理の状態を説明するための説明図である。
【図4A】第1の実施の形態の画像処理装置による画像処理の状態を説明するための説明図である。
【図4B】第1の実施の形態の画像処理装置による画像処理の状態を説明するための説明図である。
【図5】公知の画像処理装置による画像処理の状態を説明するための説明図である。
【図6】第1の実施の形態の画像処理装置による画像処理の状態を説明するための説明図である。
【図7】第2の実施の形態の画像処理装置の構成を示す構成図である。
【図8】第2の実施の形態の画像処理装置による画像処理の状態を説明するための説明図である。
【図9】第3の実施の形態の画像処理装置の構成を示す構成図である。
【図10】第4の実施の形態のテレビジョン受信機の構成を示す構成図である。
【図11】第4の実施の形態のテレビジョン受信機の画面について説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1…画像処理装置、1B…画像処理装置、1C…画像処理装置、1D…画像処理装置、6…フィルタ回路、7…多階調キー生成回路、8…αブレンド回路、13…キー生成回路、16…第1のフィルタ回路、18…αブレンド回路、19…第2のフィルタ回路、26…第1のフィルタ回路、27…多階調キー生成回路、28…αブレンド回路、29…第2のフィルタ回路、30…テレビジョン受信機、31…受信回路、33…メモリ、34…表示装置コントローラ、35…表示装置、36…CPU、37…入力装置、40…合成画像、41…後景画像、42…前景画像、101…画像処理装置、103…キー生成回路、104…前景画像/後景画像選択回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像信号と第2の画像信号とを合成処理する画像処理装置において、
前記第1の画像信号に対し、フィルタ処理を行う画像信号フィルタ処理手段と、
前記フィルタ処理後の前記第1の画像信号の画素値と、3個以上の所定のしきい値とを比較し、多階調キー信号を生成する多階調キー生成手段と、
前記多階調キー信号を用いて、前記合成処理をする画像合成処理手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
第1の画像信号と第2の画像信号とを合成処理する画像処理装置において、
前記第1の画像信号に対し、第1のフィルタ処理を行う画像信号フィルタ処理手段と、
前記フィルタ処理後の前記第1の画像信号の画素値と、2個以下の所定のしきい値とを比較し、1ビットキー信号を生成する1ビットキー生成手段と、
前記1ビットキー信号に対し、第2のフィルタ処理を行い、多階調キー信号を生成する多階調キー信号フィルタ手段と、
前記多階調キー信号を用いて、前記合成処理をする画像合成処理手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
第1の画像信号と第2の画像信号とを合成処理する画像処理装置において、
前記第1の画像信号に対し、第1のフィルタ処理を行う画像信号フィルタ処理手段と、
前記フィルタ処理後の前記第1の画像信号の画素値と、3個以上のしきい値とを比較し、第1の多階調キー信号を生成する多階調キー生成手段と、
前記第1の多階調キー信号に対し、第2のフィルタ処理を行い、第2の多階調キー信号を生成する第2の多階調キー信号フィルタ手段と、
前記第2の多階調キー信号を用いて、前記合成処理をする画像合成処理手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置を有することを特徴とするテレビジョン受信機。
【請求項5】
前記第1の画像信号が、ワイド画面の画像信号であり、前記第2の画像信号が前記ワイド画面の標準画面領域以外の領域に表示する画像信号であることを特徴とする請求項4に記載のテレビジョン受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−4282(P2010−4282A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160758(P2008−160758)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【Fターム(参考)】