説明

画像処理装置およびトラクタ

【課題】トレーラを自動的に制御するためのシステムが車体に実装されていなくても、運転者がトレーラの振り子運動の傾向を捉えた安全な運転を促すことができる画像処理装置およびトラクタを提供する。
【解決手段】本発明の画像処理装置は、トラクタ130に連結されたトレーラ120を含むトラクタ130の後方の撮像画像を取得する画像取得手段4と、この画像取得手段4が取得した撮像画像にトレーラ120をガイドする指標を重畳し、この重畳画像を表示手段3に出力する重畳手段7を備え、この重畳手段7が、トレーラ120の横揺れを示す第1の指標141a、bと、トレーラ120の横揺れの継続状態を示す第2の指標142を重畳することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタによるトレーラの牽引時、トレーラに発生する振り子運動を検出し振り子の揺れ具合を運転手に伝える装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラクタがトレーラを牽引しながら走行すると、トレーラに周期的な振り子運動が生じてトラクタの走行に悪影響を与えることが知られている。この振り子運動が次第に限界振動に達すると、トラクタに蛇行走行状態やジャックナイフ現象等の危険な現象が生じてしまい、さらには制御不能に陥るという問題があった。従来、この問題を防止するために、トラクタに横揺れ検出のセンサを設置し、かつ、各車輪毎にブレーキ制御できるように設定することで、一定の閾値以上の横揺れが発生した場合に自動的にブレーキを制御して車体を安定させるシステムが知られている(例えば、特許文献1〜特許文献7を参照)。また、トレーラの横揺れに対して限界振動値を設けて限界振動を超えた場合、運転者に警告しブレーキシステムをモニタして適正な減速が行われているか監視するシステムが知られている(例えば、特許文献8を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−169366号公報
【特許文献2】特表2003−503276号公報
【特許文献3】特表2005−502526号公報
【特許文献4】特表2006−505442号公報
【特許文献5】特開2006−21769号公報
【特許文献6】特開2009−12488号公報
【特許文献7】特開2010−30591号公報
【特許文献8】特表2008−502527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トレーラを牽引しているトラクタの走行状態によっては、トレーラの振り子運動が限界振動に達する前にジャックナイフ現象などの危険な現象が発生することがある。また、既存のシステムではブレーキ系統まで制御することが前提となっており、車体への制御系統の追加実装が必要となるため、実装の手間やシステムの複雑化という問題が生じていた。特に、トレーラの種類によっては実装ができずに既存のシステムを用いることすらできない場合もあった。
【0005】
本発明は、トレーラを自動的に制御するためのシステムが車体に実装されていなくても、運転者がトレーラの振り子運動の傾向を捉えた安全な運転を促すことができる画像処理装置およびトラクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、重畳手段が前記トレーラの横揺れを示す第1の指標と、前記トレーラの横揺れの継続状態を示す第2の指標を重畳することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、トレーラを自動的に制御するためのシステムが車体に実装されていなくても、運転者がトレーラの振り子運動の傾向を捉えた安全な運転を促すことができると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態における画像処理装置の構成を示すブロック図
【図2】同図1の要部である画像認識手段が認識するマーカパターンをイメージで説明する図
【図3】同図1の画像処理装置による処理を説明するフローチャート図
【図4】同図1の要部である算出手段が算出するトレーラの横揺れ状態をイメージで説明する図
【図5】同図3の画像認識処理を説明するフローチャート図
【図6】同図1の要部である重畳手段による重畳画像をイメージで説明した図
【図7】同図6のイメージの時間的変化を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態における画像処理装置について図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態における画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示されるように、画像処理装置1は、ECU(Electric Control Unit)で構成され、自車両であるトラクタの車内に搭載される。また、画像処理装置1は、後方撮像手段2と、表示手段3とに接続する。この画像処理装置1は、後方撮像手段2からの入力信号に基づいて、トレーラの振り子運動の傾向を示す情報に画像処理し、この処理画像を表示手段3に出力する。
【0012】
後方撮像手段2は例えば広角CCD(Charge Coupled Device)カメラで構成され、画像処理装置1と接続される。後方撮像手段2は、トラクタの車体後部に設置される。後方撮像手段2近傍の車体後部には夜間用に補助照明や、輝度調整装置が設けられてもよい。後方撮像手段2は、車体後部のピンに連結されたトレーラを含む後方を撮像する。そして、後方撮像手段2は、この撮像画像を画像処理装置1に出力する。
【0013】
表示手段3は、ディスプレイなどの表示装置で構成され、運転者から視認可能な車体内部に設けられる。表示手段3は、好適には、センターコンソール内に設けられたナビゲーション装置のモニタで構成される。表示手段3は画像処理装置1と接続される。表示手段3は画像処理装置1から出力された画像を表示して、運転者にトレーラの振り子運動の傾向を示す。
【0014】
次に、画像処理装置1の内部構成について詳細に説明する。
【0015】
画像処理装置1は、画像取得手段4と、制御手段5と、第1の記憶手段6と、重畳手段7と、表示出力手段8とを備える。
【0016】
画像取得手段4は例えばコネクタで構成される。画像取得手段4はさらに画像信号の分配器を有していてもよい。画像取得手段4は後方撮像手段2と、制御手段5と、重畳手段7とに接続する。後方撮像手段2で撮像された画像をそのまま制御手段5と重畳手段7とに出力する。なお、画像取得手段4はECU内に後方撮像手段2の撮像画像を取り込む手段であればコネクタ以外のハードウェア、ソフトウェアいずれの構成であってもよい。
【0017】
制御手段5は画像取得手段4と第1の記憶手段6とに接続される。制御手段5は画像取得手段4から取得した画像から過去情報として記憶する必要のある情報を抽出し、必要に応じ算出を行い、第1の記憶手段6に出力する。例えば、制御手段5は、トレーラの横揺
れの継続状態を示すデータやトレーラの横揺れの時系列データを第1の記憶手段6に出力する。
【0018】
第1の記憶手段6はメモリ素子で構成される。第1の記憶手段6は制御手段5と、重畳手段7とに接続される。第1の記憶手段6は制御手段5から入力されたデータを記憶し、現在から所定期間過去分のデータを重畳手段7に出力する。例えば、第1の記憶手段6は、トレーラの横揺れの継続状態を示すデータやトレーラの横揺れの時系列データを重畳手段7に出力する。
【0019】
重畳手段7はCPUと、メモリ素子と、不揮発性メモリ素子と、画像信号生成回路とで構成される。重畳手段7は画像取得手段4と、第1の記憶手段6と、表示出力手段8とに接続される。重畳手段7はトレーラをガイドする指標を重畳し、この重畳画像を表示出力手段8を介して表示手段3に出力する。例えば、重畳手段7は、画像取得手段4から取得した自車両より後方の周囲の撮像画像に、自らの不揮発性メモリ素子に記憶されたトレーラの横揺れを示す第1の指標を重畳する。また、重畳手段7は、第1の記憶手段6から入力されたデータに基づいてトレーラの横揺れの継続状態を示す第2の指標やトレーラの横揺れ状態を時系列に示す第3の指標をさらに重畳する。
【0020】
表示出力手段8はコネクタで構成される。表示出力手段8は重畳手段7と、表示手段3とに接続する。重畳手段7で重畳された重畳画像を表示手段3に出力する。なお、表示出力手段8はECU内から表示手段3に重畳手段7による重畳画像を出力する手段であればコネクタ以外のハードウェア、ソフトウェアいずれの構成であってもよい。
【0021】
次に、制御手段5の内部構成について詳細に説明する。
【0022】
制御手段5は、第2の記憶手段9と、画像認識手段10と、算出手段11とで構成される。
【0023】
第2の記憶手段9は不揮発性メモリ素子で構成される。第2の記憶手段9は画像認識手段10に接続される。第2の記憶手段9は画像認識手段10のパターン認識用のデータを記憶し、画像認識手段10からの要求に応じて画像認識手段10にこのパターン認識用のデータを出力する。
【0024】
画像認識手段10はCPU(Central Processing Unit)と、メモリ素子と、不揮発性メモリ素子で構成される。画像認識手段10は、画像取得手段4と、第2の記憶手段9と、算出手段11とに接続される。画像認識手段10は、第2の記憶手段9から読み出したパターン認識用のデータに基づいて画像取得手段4から取得した撮像画像のパターンマッチングを行い、トレーラやトレーラに設けられたマーカを認識し、この認識結果を算出手段11に出力する。例えば、画像認識手段10は認識したトレーラのマーカの座標値やトレーラの中心の座標値を算出手段11に出力する。
【0025】
ここで、トレーラに貼り付けられたマーカの例を説明する。図6は、画像認識手段10が認識するマーカパターンをイメージで説明する図である。画像認識手段10には、図6に示される画像が画像取得手段4から入力される。この画像には、トレーラ120、このトレーラ120からトラクタ方向に突出する突出部121、この突出部121の先端でトラクタと連結するカプラ122が含まれている。画像認識手段10は、突出部121の上面に取り付けられたトレーラマーカ123、カプラ122の先端上面に取り付けられたカプラマーカ124を認識する。
【0026】
算出手段11はCPUと、メモリ素子と、不揮発性メモリ素子で構成される。算出手段
11は画像認識手段10と、第1の記憶手段6とに接続される。算出手段11は画像認識手段10から入力された認識結果に基づいて、トレーラの横揺れ状態を時系列に示す第3の指標を第1の記憶手段6に出力する。例えば、算出手段11は、トレーラのマーカの座標値やトレーラの中心の座標値に基づいて、これらをグラフ状の時系列データに変換し、算出した最大振幅値のデータと共に第1の記憶手段6に出力する。
【0027】
次に、画像処理装置1による処理について詳細に説明する。
【0028】
図3は画像処理装置による処理を説明するフローチャート図である。
【0029】
先ず、エンジンを始動させると処理が開始され、ステップS10に示すように画像取得手段4は後方撮像手段2から画像を取り込む。
【0030】
次に、ステップS11に示すように、画像認識手段10はステップS10で取り込まれた画像に基づいて画像認識処理を行う。例えば、画像認識手段10はステップS10で取り込まれた画像内から、図2に示されるトレーラマーカ123とカプラマーカ124を認識し抽出する。
【0031】
次に、ステップS12に示すように、画像認識手段10は、ステップS11で認識されたトレーラマーカ123とカプラマーカ124に基づいて、ステップS10で取り込まれた画像内のトレーラを認識する。ステップS12でYESの場合、ステップS13に示すように、算出手段11は、ステップS11で認識されたトレーラマーカ123とカプラマーカ124の位置に基づいてトレーラの横揺れ状態を算出する。具体的には、算出手段11は、トラクタとトレーラとの角度を算出する。
【0032】
ここで、算出手段11が算出するトレーラの横揺れ状態について説明する。図4は、算出手段11が算出するトレーラの横揺れ状態をイメージで説明する図である。図4に示されるように、自車両であるトラクタ130の車体後部に設けられたヒッチ131にカプラ122が連結されている。このとき、トレーラ120は、横揺れしていない状態のトレーラ126の位置から角度θだけ右方向(図4の紙面では左方向)に横揺れしている。すなわち、トレーラ120の中心線132は、横揺れしていない状態のトレーラ126の中心線133から角度θだけずれている。算出手段11は、画像認識手段10から入力されたトレーラマーカ123とカプラマーカ124の位置に基づいて中心線132と中心線133の角度θを算出することができる。
【0033】
次に、ステップS14に示すように、第1の記憶手段6は、ステップS13で算出されたトレーラの横揺れ状態をエンジン停止されるかデータ更新によって上書きされるまで記憶する。
【0034】
次に、ステップS15に示すように、重畳手段7は、第1の記憶手段6が記憶したトレーラの横揺れの継続状態や横揺れの時系列状態に基づいて、これらの状態を示す指標画像を画像取得手段4から取得した撮像画像に重畳する。そして、表示手段3は、この重畳画像を表示する。なお、所定時間内に所定回数、または、所定の周期で、トレーラの左右の横揺れが所定の閾値を超えたことを算出手段11が算出したとき、重畳手段7は、さらに警告表示を重畳する。この警告表示の重畳命令は制御手段5から重畳手段7になされてもよい。ステップS15が終了した場合、またはステップS12でNOの場合、ステップS10が繰り返される。
【0035】
次に、図3のステップS11の画像認識処理についてを詳細に説明する。図5は画像認識処理を説明するフローチャート図である。
【0036】
先ず、ステップS20に示すように、画像認識手段10は、ステップS10で取り込まれた画像の輪郭強調処理を実施する。
【0037】
次に、ステップS21に示すように、画像認識手段10は、ステップS10で取り込まれた画像の下部の中央領域に対して、カプラマーカ124のパターン認識を実施する。
【0038】
次に、ステップS22に示すように、画像認識手段10は、ステップS10で取り込まれた画像のうちステップS21で認識したカプラマーカ124より上の領域に対して、トレーラマーカ123のパターン認識を実施する。このパターン認識では、トレーラが左右に振れるほど、トレーラマーカ123の位置はステップS10で取り込まれた画像中心から左右にずれている。
【0039】
次に、ステップS23に示すように、画像認識手段10は、トレーラマーカ123とカプラマーカ124の画像内の位置に基づいてトレーラ120やカプラ122の中心座標を認識する。
【0040】
次に、画像処理装置1が表示手段3に出力する表示データのイメージ例を詳細に説明する。図6は重畳手段7による重畳画像をイメージで説明した図である。ヒッチ124とカプラ122の連結によってトラクタ130にトレーラ120が接続されている。トラクタ130の後部には後方撮像手段2が取り付けられている。
【0041】
画面表示140は、表示手段3の表示例を意味するとともに、重畳手段7の重畳画像データをイメージで表した例を意味する。画面表示140の上部にはトレーラ120が表示されている。画面表示140の上部には、トレーラ120の車幅方向右端120a(図6の紙面では左方向)より外側に位置する第1の指標141aと、トレーラ120の車幅方向左端120b(図6の紙面では右方向)より外側に位置する第1の指標141bとが重畳されている。この第1の指標141a、141bは、トレーラ120の横揺れを示す指標である。この第1の指標141a、141bが重畳される位置は、好適には画像認識手段10が認識したトレーラ120の車幅距離に応じて定められるが、予め定められた固定位置でもよい。図6に示すように、第1の指標141a、141bは、好適にはトレーラ120の端部と平行な直線で構成されるが、他の形状のマークであってもよい。
【0042】
運転者は、第1の指標141a、141bによって、トレーラ120に振り子運動の危険性があり、安全運転をする必要があることを認識することができる。すなわち、運転者は、第1の指標141a、141b外にトレーラ120が位置したときに振り子運動の危険性があることが直感的にわかるため、第1の指標141a、141bの範囲内にトレーラ120を収めるように運転を行うことができる。
【0043】
画面表示140の下部には、トレーラ120の横揺れの継続状態を示す第2の指標142が重畳されている。また、画面表示140の下部には、トレーラ120の横揺れ状態を時系列に示す第3の指標143、トレーラ120の横揺れの角度ゼロを示す中心線144、トレーラ120の横揺れが危険領域に達したことを示す第1・第2の危険領域指標145、146が重畳されている。図6に示されるように、第3の指標143は、現在から一定期間過去のトレーラの横揺れ状態を時系列で示したグラフを意味する。
【0044】
ここで、画面表示140の下部の上下方向はトレーラ120の横揺れの度合いを示す。一方、画面表示140の下部の左右方向は時間軸を示す。画面表示140の下部の左右方向で示される時間軸は、図6の紙面右端が現在で、左方向に向かうにつれて過去になるよう設定されている。
【0045】
トレーラ120が第1の指標141a側に動くと、第3の指標143は図6の紙面上方向に移動し、トレーラ120が第1の指標141b側に動くと、第3の指標143は図6の紙面下方向に移動する。トレーラ120の横揺れがゼロのとき、第3の指標143は中心線144に位置する。トレーラ120の横揺れが第1の指標141aに達するとき第3の指標143は第1の危険領域指標145の境界線145aに達する。トレーラ120の横揺れが第1の指標141bに達するとき第3の指標143は第2の危険領域指標146の境界線146aに達する。そして、トレーラ120の横揺れによって第3の指標143が第1の危険領域指標145または第2の危険領域指標146に達すると、重畳手段7は、トレーラ120が第1の指標141a、141bを超える横揺れを起こしたことを示す第4の指標147a〜eをさらに重畳する。
【0046】
重畳手段7は、第1の指標141a、141bに最初に到達したときから最後に到達したときの範囲まで第2の指標を重畳する。例えば、画面表示140の下部に、最初に第4の指標147aを重畳したときから最後に第4の指標147eを重畳したときまでの範囲(時間t)で第2の指標142を重畳する。なお、重畳手段7は、第1の指標141a、141bに最初に到達したときから第2の指標142を重畳し、最後に到達して所定時間経過したときに第2の指標の重畳を終了してもよい。
【0047】
なお、重畳手段7は、第1・第2の危険領域指標145、146の領域の色を、画面表示140の下部の他の領域の色と区別して重畳してもよい。これによって、第1・第2の危険領域指標145、146にトレーラ120の横揺れの限界の意味を運転者に把握させやすくなる。
【0048】
運転者は、第2の指標142によって、トレーラ120の横揺れが継続していること、その継続時間の長さを直感的に把握することができる。したがって、運転者は、トレーラ120に振り子運動の危険性の度合いを直感的に把握することができ、安全運転操作の必要性の度合いを認識することができる。
【0049】
次に、トレーラ120の動作に応じた画面表示140の変化について説明する。図7は、図6のイメージの時間的変化を説明する図である。図7に示すように、トラクタ130はトレーラ120を牽引して紙面下方向に走行中である。
【0050】
トレーラ120が徐々に振れだし、紙面左方向に所定角度以上横揺れしたとき、重畳手段7は画面表示140aに第1の指標141a、第2の指標142、第3の指標143、第4の指標147aを重畳する。同様に、再度トレーラ120が紙面左方向に所定角度以上横揺れしたとき、重畳手段7は画面表示140aに第4の指標147bを重畳する。また、制御手段5の命令によって、表示手段3の表示画面は、ナビゲーションなど他の機能の表示から、画面表示140aに切替えられる。
【0051】
やがてトレーラ120が紙面右方向にまで所定角度以上横揺れしたとき、重畳手段7は画面表示140bに第1の指標141b、第4の指標147cを重畳する。トレーラ120が所定角度以上の横揺れを繰り返しているとき、重畳手段7は、第2の指標142の重畳を継続する。なお、トレーラ120の所定角度以上の横揺れが継続しなくなったとき、制御手段5の命令によって、表示手段3の表示は、もともとの他の機能の表示に切替えられてもよい。
【0052】
以上のように、本発明によれば、トレーラを自動的に制御するためのシステムが車体に実装されていなくても、運転者がトレーラの振り子運動の傾向を捉えた安全な運転を促すことができる画像処理装置およびトラクタを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、トレーラを牽引運転中のトレーラの振り子運動状態を車両後方に振り返ることなく確認でき、過去の状態と現在の状態を同時に確認するのに有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 画像処理装置
2 後方撮像手段
3 表示手段
4 画像取得手段
7 重畳手段
10 画像認識手段
11 算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに連結されたトレーラを含む前記トラクタの後方の撮像画像を取得する画像取得手段と、
この画像取得手段が取得した撮像画像に前記トレーラをガイドする指標を重畳し、この重畳画像を表示手段に出力する重畳手段を備え、
この重畳手段は、前記トレーラの横揺れを示す第1の指標と、前記トレーラの横揺れの継続状態を示す第2の指標を重畳することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記重畳手段は、前記トレーラが前記トラクタと正対しているときの前記トレーラの左右の車幅端より外側の位置に前記第1の指標をそれぞれ固定指標として重畳することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像取得手段が取得した撮像画像から前記トレーラの横揺れ状態を認識する認識手段をさらに備え、
前記重畳手段は、前記認識手段の認識結果に基づいて前記第2の指標を重畳することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記重畳手段は、前記トレーラが前記第1の指標に到達したときに前記第2の指標の重畳を開始することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記重畳手段は、前記トレーラが前記第1の指標に所定時間到達しなかったときに前記第2の指標の重畳を終了することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記重畳手段は、前記認識手段の認識結果に基づいて、前記トレーラの横揺れ状態を時系列に示す第3の指標をさらに重畳することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記認識手段の認識結果を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記第3の指標は、前記記憶手段に記憶された認識結果に基づいて前記トレーラの横揺れ状態が現在から一定期間過去のトレーラの横揺れ状態を時系列で示したグラフで構成されたことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
トラクタに連結されたトレーラを撮像してこの撮像画像を前記画像取得手段に入力する撮像手段と、
前記重畳手段が重畳した重畳画像を表示する表示手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
車体後部に取り付けられて、車体後部のピンに連結されたトレーラを含む後方を撮像する撮像手段と、
車内に設けられ、前記撮像手段の撮像画像に前記トレーラをガイドする指標を重畳する重畳手段と、
運転席から視認可能な車内に設けられ、前記重畳手段が重畳した重畳画像を表示する表示手段とを備え、
前記重畳手段は、前記トレーラの横揺れを示す第1の指標と、前記トレーラの横揺れの継続状態を示す第2の指標を重畳することを特徴とするトラクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−166647(P2012−166647A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28202(P2011−28202)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】