説明

画像処理装置および画像処理プログラム

【課題】印刷条件を変更するユーザの手間を低減することができると共に、印刷条件の設定ミスを抑制することができる画像処理装置および画像処理プログラムを提供すること
【解決手段】印刷条件設定処理によれば、現ステータス情報に対応した印刷条件初期設定を、印刷条件メモリ131に設定することができる。すなわち、印刷対象ドキュメントの種類に対応した印刷条件初期設定が、最初に印刷条件メモリ131に設定されるので、その最初に設定された印刷条件をそのまま利用できる場合が多く、印刷条件を変更するユーザの手間を低減することができると共に、印刷条件の設定ミスも抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置および画像処理プログラムに関し、特に、印刷設定を変更する手間を低減することができると共に、印刷条件の設定ミスを抑制することができる画像処理装置および画像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、1つのドキュメント内や複数のドキュメント間における各項目間の関係や制約をその種類ごとに定義するステータス情報を作成し、そのステータス情報にしたがって、ドキュメントを作成したり変更したりする技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−44549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ドキュメントを印刷する際には、そのドキュメントのステータス情報に関わらず、共通の印刷設定が初期設定としてなされる。例えば、「文字校正」、「色校正」、「本印刷」といった段階により作成するドキュメントの場合には、「文字校正」の段階では、そのドキュメントをモノクロ印刷すれば十分であり、「色校正」の段階では、そのドキュメントをカラー印刷したい。さらに、「本印刷」では、高解像度によりカラー印刷したい、といったように、各段階によって印刷したい条件が異なる。よって、印刷設定を毎回、印刷指示する際に、変更しなければならず、操作が煩雑であるという問題点があった。また、ユーザが、ドキュメントのステータスを勘違いしたまま印刷条件を設定すると、文字校正中であるにも拘わらず、誤ってカラー印刷してしまうという問題点もあった。
【0004】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、印刷設定を変更する手間を低減することができると共に、印刷条件の設定ミスを抑制することができる画像処理装置および画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、請求項1記載の画像処理装置は、ドキュメントを蓄積するドキュメント管理手段に接続するための接続手段を備えたものであって、前記ドキュメント管理手段に蓄積されたドキュメントがなりうる複数の状態各々を特定するステータス情報のうち、印刷対象ドキュメントに対応する現ステータス情報を取得する現ステータス情報取得手段と、その現ステータス情報取得手段により取得した現ステータス情報を用いて、印刷条件を設定する印刷条件設定手段と、その印刷条件設定手段により設定された印刷条件に従って、前記印刷対象ドキュメントを印刷手段に印刷させる印刷実行手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の画像処理装置は、請求項1記載の画像処理装置において、前記ドキュメント管理手段で用いられるステータス情報と、印刷条件の初期設定とを対応付けて記憶する印刷初期設定記憶手段を備え、前記印刷条件設定手段は、前記現ステータス情報取得手段により取得した現ステータス情報に対応する初期設定を前記印刷初期設定記憶手段から読み出し、印刷条件として設定する初期設定手段を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の画像処理装置は、請求項2記載の画像処理装置において、前記ドキュメント管理手段で用いられるステータス情報を取得する使用ステータス情報取得手段と、その使用ステータス情報取得手段により取得したステータス情報の各々に対し、対応する初
期設定を作成し、前記印刷初期設定記憶手段に記憶させる印刷初期設定作成手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の画像処理装置は、請求項3記載の画像処理装置において、前記印刷初期設定作成手段は、前記使用ステータス情報取得手段により取得したステータス情報の各々に対し、既定の初期設定を取得する既定値取得手段と、その既定値取得手段により取得した既定の初期設定を前記印刷初期設定記憶手段に記憶させる既定値設定手段を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の画像処理装置は、請求項2から4のいずれかに記載の画像処理装置において、前記現ステータス情報取得手段により取得した現ステータス情報が、前記印刷初期設定記憶手段に記憶されているかを判断する現ステータス判定手段を備え、前記印刷初期設定記憶手段は、前記現ステータス判定手段により、前記現ステータス情報が前記印刷初期設定記憶手段に記憶されていないと判断された場合に印刷条件として設定されるデフォルト設定を記憶し、前記初期設定手段は、前記現ステータス判定手段により、前記現ステータス情報が前記印刷初期設定記憶手段に記憶されていないと判断された場合に、前記デフォルト設定を印刷条件として設定することを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の画像処理装置は、請求項2から5のいずれかに記載の画像処理装置において、前記印刷条件設定手段は、前記初期設定手段により設定された印刷条件のうち少なくとも一部を、ユーザ操作に応じて変更する初期設定変更手段を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の画像処理装置は、請求項2から6のいずれかに記載の画像処理装置において、前記印刷条件設定手段は、前記初期設定手段により、印刷初期設定記憶手段から読み出された初期設定が印刷条件として設定されたことを条件として、その設定された初期設定を表示する初期設定表示手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の画像処理装置は、請求項1から7のいずれかに記載の画像処理装置において、前記ドキュメント管理手段は、ドキュメントのステータス情報を記憶するドキュメント管理データベースを備え、そのドキュメント管理データベースのステータス情報に従い、ドキュメントを管理するものであることを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の画像処理装置は、請求項1から8のいずれかに記載の画像処理装置において、前記印刷実行手段は、前記現ステータス情報取得手段によって取得された前記印刷対象ドキュメントに対応する現ステータス情報に基づき、その印刷対象ドキュメントの状態を特定する情報をその印刷対象ドキュメントとともに前記印刷手段に印刷させることを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の画像処理プログラムは、ドキュメントを蓄積するドキュメント管理手段に接続するための接続手段を備えた画像処理装置において実行されるプログラムであって、前記ドキュメント管理手段に蓄積されたドキュメントがなりうる複数の状態各々を特定するステータス情報のうち、印刷対象ドキュメントに対応する現ステータス情報を取得する現ステータス情報取得ステップと、その現ステータス情報取得ステップにより取得した現ステータス情報を用いて、印刷条件を設定する印刷条件設定ステップと、その印刷条件設定ステップにより設定された印刷条件に従って、前記印刷対象ドキュメントを印刷手段に印刷させる印刷実行ステップとを前記画像処理装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の画像処理装置によれば、現ステータス情報取得手段により、印刷対象ドキュメントに対応する現ステータス情報が取得され、印刷条件設定手段により、その現ステータス情報を用いて印刷条件が設定される。よって、印刷対象ドキュメントに対応した印刷条件に変更するユーザの手間を低減することができると共に、印刷条件の設定ミスを抑制できるという効果がある。
【0016】
請求項2記載の画像処理装置によれば、請求項1記載の画像処理装置の奏する効果に加え、現ステータス情報に対応する初期設定が印刷初期設定記憶手段から読み出され、印刷
条件として設定されるので、自動的に、印刷対象ドキュメントの種類に対応した初期設定がされ、ユーザが印刷条件を変更する手間を低減することができると共に、印刷条件の設定ミスを抑制できるという効果がある。
【0017】
請求項3記載の画像処理装置によれば、請求項2記載の画像処理装置の奏する効果に加え、使用ステータス情報により、ドキュメント管理手段で用いられるステータス情報が取得され、印刷初期設定作成手段により、そのステータス情報の各々に対し、対応する初期設定が作成される。よって、例えば、ドキュメント管理手段で用いられるステータス情報に変更があった場合でも、その変更を反映し、変更後のステータス情報に応じた初期設定を、印刷条件として設定できるという効果がある。
【0018】
請求項4記載の画像処理装置によれば、請求項3記載の画像処理装置の奏する効果に加え、既定値取得手段により、ステータス情報の各々に対し、既定の初期設定が取得され、既定値設定手段により、その既定の初期設定が印刷初期設定記憶手段に記憶されるので、ステータス情報に応じた初期設定を容易に作成できるという効果がある。
【0019】
請求項5記載の画像処理装置によれば、請求項2から4のいずれかに記載の画像処理装置の奏する効果に加え、印刷初期設定記憶手段には、取得した現ステータス情報が印刷初期設定記憶手段に記憶されていないと判断された場合に印刷条件として設定されるデフォルト設定が記憶されているので、取得した現ステータス情報が不明な情報であっても、印刷条件が設定されるという効果がある。
【0020】
請求項6記載の画像処理装置によれば、請求項2から5のいずれかに記載の画像処理装置の奏する効果に加え、初期設定手段により設定された印刷条件のうち少なくとも一部が、ユーザ操作に応じて変更されるので、ユーザの要求に応じた印刷条件での印刷が可能であるという効果がある。
【0021】
請求項7記載の画像処理装置によれば、請求項2から6のいずれかに記載の画像処理装置の奏する効果に加え、印刷初期設定記憶手段から読み出された初期設定が印刷条件として設定されたことを条件として、その設定された初期設定が表示されるので、自動的に設定された印刷条件を、ユーザが視認することができるという効果がある。
【0022】
請求項8記載の画像処理装置によれば、請求項1から7のいずれかに記載の画像処理装置の奏する効果に加え、ドキュメントのステータス情報を記憶するドキュメント管理データベースを備え、そのドキュメント管理データベースのステータス情報に従い、ドキュメントを管理するドキュメント管理手段と接続されている場合において、印刷対象ドキュメントの種類に対応した印刷条件に変更するユーザの手間を低減すると共に、印刷条件の設定ミスを抑制できるという効果がある。
【0023】
請求項9記載の画像処理装置によれば、請求項1から8のいずれかに記載の画像処理装置の奏する効果に加え、印刷対象ドキュメントとともにその印刷対象ドキュメントの状態を特定する情報を印刷させることができるので、印刷対象ドキュメントがどのような状態にあるのかを、ユーザは印刷物から容易に判断することができるという効果がある。
【0024】
請求項10記載の画像処理プログラムによれば、現ステータス情報取得ステップにより、印刷対象ドキュメントに対応する現ステータス情報が取得され、印刷条件設定ステップにより、その現ステータス情報を用いて印刷条件が設定される。よって、印刷対象ドキュメントに対応した印刷条件に変更するユーザの手間を低減することができると共に、印刷条件の設定ミスを抑制できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の画像処理装置の一実施形態であるクライアントパーソナルコンピュータ10(以下、クライアントPC10と称する)を含む印刷システム1の全体構成を示すブロック図である。図1に示されるような印刷システム1は、クライアントPC10と、ドキュメント
管理システム30と、プリンタ40とから構成されている。
【0026】
クライアントPC10は、後述する印刷実行処理(図7参照)によって、ドキュメント管理システム30に蓄積されたドキュメントを読み出し、プリンタ40にて印刷させる装置である。ここで、「ドキュメント」とは、文書データ作成ソフト、表計算ソフト、グラフィックデザインソフトなどの各種ソフトを用いて作成されたデータである。
【0027】
ドキュメント管理システム30は、ドキュメントが蓄積されるサーバであって、蓄積したドキュメントを種類別に管理するためのステータス情報を、各ドキュメントに付している。本実施形態のドキュメント管理システム30では、一例として、作業の進行程度を表すステータス情報「Writing(編集中)」、「CheckSentence(文書校正中)」、「CheckGraphic(グラフィック校正中)」、「Completed(完成)」を用いて、各ドキュメントを作業の進行程度別に、分類し管理するものとして説明する。
【0028】
クライアントPC10は、図1に示すように、CPU11と、ROM12と、RAM13と、HDD14と、ネットワーク42を介してドキュメント管理システム30およびプリンタ40に接続するネットワーク用インターフェース15(I/F15)と、入力装置16と、表示装置17とを備えている。
【0029】
CPU11は、このクライアントPC10を総括的に制御する中央演算処理であり、図4から図8のフローチャートで示す処理を実行するプログラムなどの各種プログラムを実行する。
【0030】
ROM12は、CPU11により実行される各種制御プログラムや、それらの制御プログラムをCPU11により実行する上で必要なデータなどを格納した書き換え不能なメモリである。
【0031】
RAM13は、CPU11により実行される各種処理に必要なデータやプログラムを一時的に記憶するためのメモリであり、印刷条件メモリ131を備える。なお、印刷条件メモリ131については、図3(c)を参照して説明する。
【0032】
ハードディスクドライブ14(以下、HDD14と称する)は記憶装置であり、プリンタドライバ141と、ドキュメント管理システム情報メモリ142(以下、DMS情報メモリ142と称する)と、アクセス設定メモリ143と、ステータス情報一覧メモリ144と、印刷初期設定メモリ145とを備える。プリンタドライバ141は、図4から図8のフローチャートで示す処理を実行するプログラムであり、印刷対象のドキュメントを、プリンタ40で処理可能な印刷データに変換するプログラムである。
【0033】
DMS情報メモリ142は、ドキュメント管理システム30を特定するための情報を格納するメモリである。アクセス設定メモリ143は、ドキュメント管理システム30にアクセスするためのアドレスを格納するメモリである。DMS情報メモリ142およびアクセス設定メモリ143の詳細については、図2を参照して後述する。
【0034】
ステータス情報一覧メモリ144は、ドキュメント管理システム30において用いられるステータス情報の一覧を格納するメモリである。このステータス情報一覧メモリ144の詳細については、図3(a)を参照して後述する。
【0035】
印刷初期設定メモリ145は、ドキュメント管理システム30において用いられるステータス情報と、印刷条件の初期設定(以下、印刷条件初期設定という)とを対応付けて記
憶するメモリである。なお、印刷初期設定メモリ145の詳細については、図3(b)を参照して後述する。
【0036】
I/F15は、クライアントPC10をネットワーク42に接続し、ドキュメント管理システム30またはプリンタ40とクライアントPC10との間における、ネットワーク42を経由したデータの入出力を制御するものである。
【0037】
入力装置16は、クライアントPC10にデータ又はコマンドを入力するものであり、キーボード、マウスなどにより構成されている。表示装置17は、クライアントPC10で実行される処理内容や入力されたデータなどを視覚的に確認するために、文字や画像などを表示するものであり、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイなどにより構成される。
【0038】
図1に示すように、上述したCPU11と、ROM12と、RAM13と、HDD14と、I/F15と、入力装置16と、表示装置17とは、バスライン18を介して互いに接続されている。
【0039】
一方、ネットワーク42を介して上述したクライアントPC10に接続されているドキュメント管理システム30は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、HDD34と、ネットワーク42を介してクライアントPC10に接続するネットワーク用インターフェース35(I/F35)とを備えている。
【0040】
ドキュメント管理システム30における上記のような構成において、CPU31は、ドキュメント管理システム30の動作を制御するものであり、各種プログラムを実行する。ROM32は、ドキュメント管理システム30の動作を制御するためのプログラムなどが格納されたメモリであり、RAM33は、CPU31の処理に必要なデータなどを一時的に記憶するための読み書き可能なメモリである。
【0041】
ハードディスクドライブ34(以下、HDD34と称する)は記憶装置であり、ドキュメントを蓄積するドキュメント保存メモリ341と、ドキュメント管理データベース342とを備える。このドキュメント管理データベース342は、ドキュメント保存メモリ341に蓄積されたドキュメントの名前、その蓄積日付、ドキュメント作成を行った人の情報、ステータス情報、ステータス情報の意味を表すステータスコメントなどを管理するデータベースである。ドキュメント管理システム30は、このドキュメント管理データベース342に従って、ドキュメント保存メモリ341に蓄積されたドキュメントを、ステータス情報毎に分類し、管理する。
【0042】
I/F35は、ドキュメント管理システム30をネットワーク42に接続し、ネットワーク42を経由したクライアントPC10とのデータの入出力を制御するものである。
【0043】
図1に示すように、上述したCPU31と、ROM32と、RAM33と、HDD34と、I/F35とは、バスライン36を介して互いに接続されている。
【0044】
上記のように構成された印刷システム1によれば、クライアントPC10において、ドキュメント管理システム30に蓄積されたドキュメントのうちのいずれかが、印刷対象ドキュメントとして指定されると、クライアントPC10は、その印刷対象ドキュメントの印刷をプリンタ40に実行させる。
【0045】
なお、図1には、1台のクライアントPC10がネットワーク42に接続された状態が図示されているが、ドキュメント管理システム30に接続されるクライアントPC10の台数は、1台に限らず複数台であってもよい。また、プリンタ40は、ネットワーク42
を介さずに、クライアントPC10と直接接続されたものであってもよい。
【0046】
図2(a)は、DMS情報メモリ142の構成を模式的に示す図である。図2(a)に示すように、DMS情報メモリ142には、ネットワーク42を介して接続されたドキュメント管理システム30を特定するためのDMS情報が記憶される。本実施形態では、DMS情報として、ドキュメント管理システム30のメーカー名、名称(DMS名)、バージョン、使用者などが登録されるものとして説明する。これらのDMS情報は、プリンタドライバ141の初期設定時、あるいは、ドキュメント管理システム30の変更時に、ユーザが、キーボードなどの入力装置16から入力することにより、DMS情報メモリ142に登録される。
【0047】
図2(b)は、アクセス設定メモリ143の構成を模式的に示す図である。図2(b)に示すように、アクセス設定メモリ143は、「DMSステータス情報一覧取得用URL(uniform resource locator)」と、「DMS現ステータス情報取得用URL」とを記憶する。「DMSステータス情報一覧取得用URL」は、ドキュメント管理システム30で用いられるステータス情報の一覧を取得するためのアドレスである。クライアントPC10からこの「DMSステータス情報一覧取得用URL」にアクセスすると、ドキュメント管理システム30で用いられるステータス情報の一覧が、クライアントPC10に対し返却される。
【0048】
「DMS現ステータス情報取得用URL」は、印刷対象ドキュメントのステータス情報(以下、現ステータス情報という)を取得するためのアドレスである。このアドレスの末尾に印刷対象ドキュメント名を付加してアクセスすると、ドキュメント管理システム30からクライアントPC10に対し、現ステータス情報が返却される。なお、DMSステータス情報一覧取得用URLおよびDMS現ステータス情報取得用URLは、プリンタドライバ141の初期設定時、あるいは、ドキュメント管理システム30の変更時に、キーボードなどの入力装置16からユーザが入力することにより、アクセス設定メモリ143に登録される。
【0049】
図3(a)は、ステータス情報一覧メモリ144の構成を模式的に示す図である。このステータス情報一覧メモリ144には、DMS情報メモリ142に登録されたドキュメント管理システム30において用いられるステータス情報の一覧が記憶される。上述した「DMSステータス情報一覧取得用URL」にアクセスすることにより、ドキュメント管理システム30で用いられるステータス情報の一覧、本実施例では、「Writing」、「CheckSentence」、「CheckGraphic」、「Completed」が取得されると、このステータス情報一覧メモリ144に格納される。
【0050】
また、ステータス情報一覧メモリ144には、各ステータス情報の意味を表すステータスコメントが、各ステータス情報に対応付けて記憶される。すなわち、ステータス情報「Writing」は、編集中のドキュメントであることを意味し、「CheckSentence」は、文字校正中のドキュメントであることを意味し、「CheckGrachic」は、グラフィック校正中のドキュメントであることを意味し、「Complete」は、完成したドキュメントであることを意味している。なお、明細書中の以下の説明では、各ステータス情報の意味を分かりやすくするために、各ステータス情報については、かっこ書きでそのステータス情報の意味を記載することとする。これらステータスコメントは、上述した「DMSステータス情報一覧取得用URL」にアクセスすることにより、ステータス情報の一覧とともに取得してもよいし、ユーザによる入力装置16の操作により入力されてもよい。
【0051】
図3(b)は、印刷初期設定メモリ145の構成を模式的に示す図である。この印刷初期設定メモリ145は、ステータス情報一覧メモリ144に格納されたステータス情報の各々に対し、ステータスコメントおよび印刷条件の初期設定を対応付けて記憶するメモリである。上述した「DMS現ステータス情報取得用URL」にアクセスすることにより、現ステータス情報が取得されると、その現ステータス情報に対応する印刷条件初期設定が、この印刷初期設定メモリ145から読み出され、後述する印刷条件メモリ131(図3(c)参照)に設定される。なお、印刷初期設定メモリ145に記憶されるステータスコメントは、ステータス情報一覧メモリ144に記憶されたものでもよいし、ユーザによる入力装置16の操作により入力されたものでもよい。
【0052】
なお、本実施形態では、印刷条件初期設定として、カラー印刷かモノクロ印刷かを表す「カラー設定」、1枚の記録用紙に何頁分のデータを印刷するかを表す「ページ設定」、記録用紙の種類を表す「メディア」とが、印刷初期設定メモリ145に記憶されているものとして説明する。図3(b)に示すように、ステータス情報「Writing(編集中)」に対しては、印刷条件初期設定として、「モノクロ印刷」、「4in1(すなわち、4頁分のデータを1枚の記録用紙に印刷すること)」、「普通紙」が対応付けられている。編集中のドキュメントは、たとえ印刷される場合であっても、それは作業途中の確認用である可能性が高く、その場合、確認後は廃棄されるので、ユーザは低コストな印刷条件を希望していることが予想される。よって、例えば、ステータス情報「Writing(編集中)」については、図3(b)に示すように、印刷コストが安価な印刷条件を対応付けておく。このようにすれば、印刷コストが安価な印刷条件が初期設定され、ユーザ自身が印刷条件を変更する手間を低減できると共に、印刷条件の設定ミスを抑制することができる。
【0053】
また、図3(b)に示すように、ステータス情報「Complete(完成)」に対しては、印刷条件初期設定として、「カラー印刷」、「1in1(すなわち、1頁分のデータを1枚の記録用紙に印刷すること)」、「光沢紙」が対応付けられている。完成済みのドキュメントが印刷される場合、それは、例えば、印刷物の最終チェック用であったり、客先などに提出する印刷物である可能性が高いので、ユーザは、最上の状態での印刷条件を希望していることが予想される。よって、ステータス情報が「Complete(完成)」については、高画質の印刷がされる印刷条件を対応付けておくことにより、その印刷条件が初期設定され、ユーザ自身が印刷条件を変更する手間を低減することができる。
【0054】
また、図3(b)に示すように、印刷初期設定メモリ145には、ステータス情報一覧メモリ144(図3(a)参照)にはないステータス情報「default(デフォルト設定)」についても、印刷条件の初期設定が対応付けられている。取得した現ステータス情報(すなわち、印刷対象ドキュメントのステータス情報)が、印刷初期設定メモリ145に記憶されたステータス情報のいずれにも該当しない場合には、この「default」に対応付けられた印刷条件初期設定が、印刷条件メモリ131に設定される。これにより、取得した現ステータス情報が不明な情報である場合においても、所定の印刷条件を初期設定することができる。
【0055】
図3(c)は、印刷条件メモリ131の構成を模式的に示す図である。印刷条件メモリは、設定された印刷条件を格納するメモリである。印刷条件メモリ131には、まず、印刷初期設定メモリ145から読み出された印刷条件初期設定が書き込まれる。この最初に書き込まれた初期設定に対し、ユーザから所定の変更指示操作があれば、そのユーザからの操作に従って、この印刷条件メモリ131の内容が変更される。プリンタドライバ141は、この印刷条件メモリ131に記憶された印刷条件に従って、プリンタ40に印刷対象ドキュメントを印刷させる。
【0056】
次に、図4から図8のフローチャートを参照して、上記のように構成されるクライアントPC10において実行される処理について説明する。
【0057】
図4は、クライアントPC10で実行される各種設定処理のフローチャートである。この各種設定処理は、クライアントPC10に電源が投入されると起動する処理であり、まず、プリンタドライバの初期設定をするか否かを確認する(S2)。プリンタドライバの
初期設定をする場合(S2:Yes)、ユーザから入力されたDMS情報を、DMS情報メモリ142(図2(a)参照)に格納する(S4)。また、ユーザから入力されたステータス情報一覧取得用URLを、アクセス設定メモリ143(図2(b)参照)に格納し(S6)、ユーザから入力された現ステータス情報取得用URLを、アクセス設定メモリ143に格納する(S8)。
【0058】
次に、印刷初期設定変更処理(図5参照)の実行が、ユーザから指示されたか否かを確認する(S10)。印刷初期設定変更処理の実行が指示されない場合(S10:No)、クライアントPCに搭載されたオペレーションシステム(OS)の終了ボタンが押下されたか否かを判断する(S14)。OSの終了ボタンが押下されない場合(S14:No)、S2に戻り処理を繰り返す。
【0059】
このようにして処理を繰り返す内に、印刷初期設定変更処理の実行が、ユーザから指示されると(S10:Yes)、次に、図5を参照して説明する印刷初期設定変更処理を実行し(S12)、S14の処理に移行し、OSの終了ボタンが押下されるまで処理を繰り返す。
【0060】
図5は印刷初期設定変更処理を示すフローチャートである。この印刷初期設定変更処理は、印刷初期設定メモリ145(図3(b)参照)に、ステータス情報と、そのステータス情報に対応する印刷条件初期設定とを新たに登録する処理である。
【0061】
まず、ステータス情報一覧を取得し、ステータス情報一覧メモリ144(図3(a)参照)に格納する。具体的には、DMSステータス情報一覧取得用URL(図2(b))にアクセスすると、ドキュメント管理システム30からクライアントPC10に対し、ステータス情報一覧が返却されるので、これによりステータス情報一覧を取得することができる。
【0062】
次に、取得したステータス情報一覧の中に、印刷初期設定メモリ145(図3(b)参照)に記憶されていない未設定ステータス情報があるか否かを判断する。取得したステータス情報一覧に、未設定ステータス情報が含まれていれば(S124:Yes)、印刷初期設定メモリ145の内容に、その未設定ステータス情報を追加して、表示装置17に一覧表示する(S126)。この時点においては、未設定ステータス情報に対応する印刷条件初期設定は存在しないので、表示画面上では、対応する項目がブランクとされる。一方、取得したステータス情報一覧に、未設定ステータス情報が含まれていなければ(S124:No)、印刷初期設定メモリ145の内容を、表示装置17に一覧表示する(S127)。
【0063】
次に、新たな印刷条件初期設定を登録し、または既に登録されている印刷条件初期設定を変更する印刷初期設定作成処理を実行し(S128)、処理を終了する。
【0064】
印刷初期設定変更処理によれば、例えば、ドキュメント管理システム30側で用いるステータス情報に変更があった場合や、以前とは異なるドキュメント管理システム30と接続される場合であっても、クライアントPC10側の処理により、変更後のドキュメント管理システム30に応じて、印刷初期設定メモリ145の内容を変更することができる。
【0065】
図6を参照して、印刷初期設定作成処理について説明する。図6は、印刷初期設定作成処理を示すフローチャートである。この印刷初期設定作成処理は、表示装置17に、印刷初期設定メモリ145の内容が一覧表示されている状態で実行される。
【0066】
まず、DMS情報メモリ142(図2(a)参照)に登録されているDMS情報に基づ
いて、参考プロファイルを取得する(S1282)。ここで、参考プロファイルとは、ステータス情報の各々に対し、予め定められた印刷条件初期設定のことであり、例えば、プリンタドライバ141を開発、販売した製造業者等(プリンタベンダー)により提供される。すなわち、ドキュメント管理システム30として用いることができるサーバは、各社から様々な種類のものが提供されており、各ドキュメント管理システムはそれぞれ独自のステータス情報を用いてドキュメントを管理している。例えば、本実施形態では、作業の進行程度別にドキュメントを分類、管理するドキュメント管理システム30を例にとって説明しているが、他のドキュメント管理システム30では、例えば、各ドキュメントの重要度によってドキュメントを分類、管理しているかもしれず、その場合、全く別のステータス情報が付されることとなる。
【0067】
このような多種多様のドキュメント管理システムに対応するために、本実施形態では、クライアントPC10が参考プロファイルを取得する際には、DMS情報を用いて、クライアントPC10が利用するドキュメント管理システム30を特定し、そのドキュメント管理システム30で用いられるステータス情報と対応した参考プロファイルを取得する。
【0068】
具体的には、例えば、DMS情報をキーとして、プリンタドライバ141に内蔵されている参考プロファイルを検索して取得するようにしても良い。または、プリンタベンダーが複数種類の参考プロファイルをクライアントPC10へ提供し、クライアントPC10側で、目的とする参考プロファイルのみを指定して取り込んでも良い。また、プリンタベンダーがウェブ上で公開する参考プロファイルのURLを指定して、目的とする参考プロファイルを取り込むようにしても良い。
【0069】
次に、DMS情報に対応する参考プロファイルがあったか否かを判断する(S1284)。DMS情報に対応する参考プロファイルがなかった場合(S1284:No)、ユーザに対し印刷条件初期設定の入力を促し、ユーザから印刷条件初期設定が入力された場合は、その入力された印刷条件初期設定を、ステータス情報に対応付けて印刷初期設定メモリ145(図3(b)参照)に記憶させ(S1294)、印刷初期設定作成処理を終了する。
【0070】
一方、DMS情報に対応する参考プロファイルがあった場合(S1284:Yes)、取得した参考プロファイルを表示装置17に表示し(S1286)、その参考プロファイルを適用するか否かをユーザに問い合わせる(S1288)。参考プロファイルを適用しない場合(S1288:No)、ユーザに対し印刷条件初期設定の入力を促し、印刷条件の初期設定がユーザから入力された場合は、その入力された印刷条件初期設定をステータス情報に対応付けて印刷初期設定メモリ145に記憶させ(S1294)、印刷初期設定作成処理を終了する。
【0071】
一方、参考プロファイルの適用をユーザが選択した場合(S1288:Yes)、参考プロファイルをステータス情報に対応付け、印刷初期設定メモリ145に記憶する(S1290)。そして、表示装置17に一覧表示された印刷初期設定メモリ145の内容を、新たな内容に更新して表示する(S1292)。そして、ユーザに対し印刷条件初期設定の入力を促し、ユーザから印刷条件初期設定が入力された場合は、その入力された印刷条件初期設定をステータス情報に対応付けて印刷初期設定メモリ145に記憶させ(S1294)、印刷初期設定作成処理を終了する。
【0072】
この印刷初期設定作成処理によれば、ドキュメント管理システム30から取得したステータス情報の各々に対し、対応する印刷条件初期設定を作成し、印刷初期設定メモリ145に記憶させることができる。
【0073】
また、ステータス情報の各々に対し、既定の参考プロファイルが取得され、その参考プロファイルが印刷初期設定メモリ145に記憶される場合は、ステータス情報に応じた印刷条件初期設定を容易に作成することができる。
【0074】
次に、図7および図8を参照して、クライアントPC10において、ユーザから印刷指示がされた場合の処理について説明する。
【0075】
図7は、クライアントPC10において実行される印刷実行処理(S20)を示すフローチャートである。この印刷実行処理(S20)は、クライアントPC10において、いずれかのドキュメントが指定され、その指定したドキュメントの印刷指示がされた場合に実行される処理である。
【0076】
まず、ドキュメント管理システム30に蓄積されたドキュメントの印刷が指示されたか否かを判断する(S22)。ドキュメント管理システム30に蓄積されたドキュメントの印刷ではない場合(S22:No)、印刷実行処理を終了する。なお、ドキュメント管理システム30に蓄積されたドキュメント以外のドキュメントを印刷する場合については、公知の印刷処理が実行されるので、図示および説明を省略する。
【0077】
ドキュメント管理システム30に蓄積されたドキュメントの印刷が指示された場合(S22:Yes)、図9(a)に示す印刷ダイアログ171を、表示装置17に表示する(S23)。
【0078】
図9(a)は、表示装置17に表示される印刷ダイアログ171の一例を示す図である。図9(a)に示すように、ユーザは、印刷ダイアログ171から印刷開始ページ、印刷終了ページ、印刷部数を設定することができる。また、印刷ダイアログ171は、その設定での印刷を実行する場合に押下(クリック)される実行キー1711、印刷をキャンセルする場合に押下されるキャンセルキー1712、設定された印刷条件をユーザが視認したい場合に押下される詳細キー1713が表示される。
【0079】
図7に戻り説明する。次に、印刷条件を印刷条件メモリ131(図3(c)参照)に設定する印刷条件設定処理を実行する(S24)。この印刷条件設定処理(S24)については、図8を参照して後述する。
【0080】
次に、その印刷条件での印刷を実行するかキャンセルするかをユーザに問い合わせる(S26)。ユーザによって、印刷ダイアログ171のキャンセルキー1712(図9(a)参照)が押下され、印刷のキャンセルが選択された場合(S26:キャンセル)、印刷実行処理を終了する。
【0081】
一方、ユーザによって、印刷ダイアログの実行キー1711(図9(a)参照)が押下され、その印刷条件での印刷実行が選択された場合(S26:実行)、印刷条件メモリ131に記憶された印刷条件に従って、印刷対象ドキュメントをプリンタ40に印刷させる(S28)。
【0082】
図8は、印刷条件設定処理(S24)を示すフローチャートである。この印刷条件設定処理は、印刷対象ドキュメントのステータス情報(現ステータス情報)を用いて、印刷条件を設定する処理である。
【0083】
まず、現ステータス情報を取得する(S242)。具体的には、クライアントPC10が、「DMS現ステータス情報取得用URL」(図2(b)参照)の末尾に印刷対象ドキュメント名を付加してドキュメント管理システム30にアクセスすると、ドキュメント管
理システム30からクライアントPC10に対し、現ステータス情報が返却されるので、これにより現ステータス情報を取得できる。
【0084】
次に、取得した現ステータス情報が、印刷初期設定メモリ145に記憶されているか否かを判断する(S244)。現ステータス情報が、印刷初期設定メモリ145に記憶されていると判断された場合(S244:Yes)、取得した現ステータスに対応する印刷条件初期設定を、印刷初期設定メモリ145(図3(b)参照)から読み出し、印刷条件として、印刷条件メモリ131に設定する(S246)。
【0085】
一方、現ステータス情報が、印刷初期設定メモリ145に記憶されていないと判断された場合(S244:No)、ステータス情報「default(デフォルト設定)」に対応付けられた印刷条件初期設定を読み出し、印刷条件として、印刷条件メモリ131に設定する(S248)。このように、取得した現ステータス情報が不明な情報であっても、印刷条件初期設定が印刷条件メモリ131に設定される。
【0086】
このようにして、印刷初期設定メモリ145から読み出された印刷条件初期設定が、印刷条件メモリ131に設定されると、次に、印刷条件メモリ131に設定された印刷条件を読み出し、表示装置17に表示する(S250)。
【0087】
図9(b)は、表示装置17に表示される印刷条件ポップアップ172の一例を示す図である。図9(b)に示すように、表示装置17には、印刷ダイアログ171が継続して表示されていると共に、クライアントPC10の表示装置17の画面右下隅には、印刷条件メモリ131に設定された印刷条件を記述した印刷条件ポップアップ172を表示する。このようにすれば、印刷ダイアログ171の詳細キー1713を押下しなくても、現ステータス情報に基づいて自動的に設定された印刷条件を、ユーザが視認することができる。
【0088】
図8に戻り説明する。次に、印刷ダイアログ171の詳細キー1713が押下されたか否かを判断する(S252)。詳細キー1713が押下されない場合(S252:No)、すなわち、印刷条件ポップアップ172に表示された印刷条件を見たユーザが、その印刷条件で良いと判断し、印刷条件の変更を希望しない場合、印刷条件設定処理を終了する。
【0089】
一方、印刷ダイアログ171の詳細キー1713が押下された場合(S252:Yes)、印刷ダイアログ171(図9(a)参照)に印刷条件メモリ131の内容、すなわち現在設定されている印刷条件を表示する(S254)。そして、その表示した印刷条件の変更が、ユーザから指示されたか否かを判断する(S256)。そして、印刷条件の変更がユーザから指示されない場合(S256:No)、印刷条件設定処理を終了する。
【0090】
一方、表示した印刷条件の変更が、ユーザから指示された場合(S256:Yes)、印刷条件メモリ131に記憶された印刷条件をユーザ指示に従って変更し(S258)、印刷条件設定処理を終了する。
【0091】
印刷条件設定処理によれば、現ステータス情報に対応した印刷条件初期設定を、印刷条件メモリ131に設定することができる。すなわち、印刷対象ドキュメントの種類に対応した印刷条件初期設定が、最初に印刷条件メモリ131に設定されるので、その最初に設定された印刷条件をそのまま利用できる場合が多く、印刷条件を変更するユーザの手間を低減することができると共に、印刷条件の設定ミスも抑制することができる。
【0092】
また、印刷初期設定メモリ145から読み出されて印刷条件メモリ131に設定された
印刷条件は、ユーザ操作に応じて適宜変更され得るので、ユーザの要求に応じた印刷条件で、印刷対象ドキュメントを印刷することができる。
【0093】
また、印刷初期設定メモリ145から読み出された印刷条件初期設定が、印刷条件メモリ131に設定されたことを条件として、その設定された印刷条件初期設定が表示装置17にポップアップ表示される(図9(b)参照)。よって、ユーザは、印刷ダイアログ171の詳細キー1713を押下するなどの操作無しで、現ステータス情報に基づいて自動的に設定された印刷条件を視認することができる。
【0094】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0095】
例えば、上記実施形態では、ドキュメント管理システム30は、作業の進行程度を表すステータス情報「Writing(編集中)」、「CheckSentence(文書校正中)」、「CheckGraphic(グラフィック校正中)」、「Completed(完成)」を用いて各ドキュメントを分類し管理するものであるとして説明したが、他のステータス情報を用いてドキュメントを管理するドキュメント管理システムに接続する場合であっても、本発明は適用可能である。
【0096】
また、上記実施形態では、図3(b)に示すように、印刷条件初期設定として、「カラー設定」、「ページ設定」、「メディア」とが、印刷初期設定メモリ145に記憶されている実施形態として記載したが、この3つの設定項目に限るものではない。例えば、上記3つの設定項目以外に、ステータス情報に対応付けて記憶されたステータスコメントを印刷するか否かを設定する「ステータス印刷」といった項目を印刷初期設定メモリ145に記憶してもよい。そのようにすれば、例えば、図3(b)に示すように、ステータス情報「Writing」に対して、「ステータス印刷」の設定項目として「YES」、すなわち、ステータス情報に対応付けて記憶されたステータスコメントを印刷すると設定されていた場合には、印刷物には、「編集中」というステータスコメントが印刷されることになる。
【0097】
このように、ドキュメントに対する作業の進行程度を示すステータスコメントをドキュメントとともに印刷することで、印刷されたドキュメントが、どの程度作業が進行したものかを、ユーザは印刷物から容易に判断することができる。
【0098】
なお、ステータスコメントに替えて、ステータス情報を印刷するように構成されていてもよい。
【0099】
一方、「ステータス印刷」の設定項目として「NO」、すなわち、ステータス情報に対応付けて記憶されたステータスコメントを印刷しないと設定されていた場合には、ステータスコメントを印刷することなく、他の印刷条件初期設定に従ったドキュメント印刷を行なうよう設定される。例えば、ステータス情報が「Completed」のドキュメント印刷であれば、その印刷物は、前述したように、客先などに提出される印刷物である可能性が高いので、印刷条件初期設定の「ステータス印刷」の設定としては、ステータスコメントが印刷されない「NO」が設定されていることが望ましい。しかしながら、同じく前述したように、ステータス情報が「Completed」のドキュメント印刷物は、最終チェック用に利用される場合もある。ユーザは、印刷物を最終チェック用のものとして判別するために、ステータス情報に対応付けて記憶されたステータスコメントを印刷したいと考える場合がある。係る場合には、図8のS258の処理により、「ステータス印刷」の設定を「NO」から「YES」と変更されるとよい。
【0100】
なお、印刷されるステータスコメントは、ウォーターマーク、すなわち、「すかし」として印刷されたり、ドキュメントの印刷されない余白部分などに印刷されたりするとよい。そのように印刷することで、ドキュメント本来の体裁を崩すことなく、また、ユーザによる印刷ドキュメントの読みやすさを妨げることがない。
【0101】
以上のように、ドキュメントのステータス情報に応じた印刷条件が初期設定されることでユーザによる印刷条件の設定ミスを抑制できる上、必要に応じてユーザによって柔軟に初期設定を変更できるので、ユーザの好みや印刷状況に応じて好適な印刷物を提供できる。
【0102】
図10(a)は、実施形態とは異なるステータス情報を用いてドキュメントを管理するドキュメント管理システムに、クライアントPC10が接続された場合に、印刷初期設定メモリ145に記憶される印刷条件初期設定を示す図である。
【0103】
ドキュメント管理システム30が、各ドキュメントの公開の程度を表すステータス情報「Public(一般公開)」、「OnlyInManager(マネージャのみ公開)」、「OnlyInCompany(社外秘)」を用いて各ドキュメントを分類するものである場合、図10(a)に示すように、それらのステータス情報に対応した印刷条件初期設定が対応付けられる。ここで、図10(a)に示す印刷条件「社外秘マーク」とは、ウォーターマーク、すなわち「すかし」を印刷するか否かを定める条件である。印刷条件「社外秘マーク」に対し、「極秘文書を印刷」と設定されていれば、「極秘文書」の文字がウォーターマーク印刷される。また、印刷条件「社外秘マーク」に対し、「社外秘を印刷」と設定されていれば、「社外秘」の文字がウォーターマーク印刷される。このようにすれば、秘密性の高いドキュメントに関しては、ウォーターマークが印刷されるように、印刷条件を初期設定することができる。
【0104】
また、上述した実施形態では、印刷初期設定メモリ145から読み出されて、印刷条件メモリ131に設定された印刷条件は、ユーザ操作に応じて変更可能であった。これに代えて、印刷条件メモリ131に設定された印刷条件のうち、一部は変更禁止とするように構成してもよい。
【0105】
図10(b)は、印刷条件メモリ131の構成を模式的に示す図であり、さらに、印刷条件メモリ131に設定される印刷条件のうち、変更禁止とされる条件を、グレー色で示した図である。例えば、印刷対象ドキュメントのステータス情報が、「OnlyInManager(マネージャのみ公開)」である場合、印刷条件として「カラー印刷」、「2in1(すなわち、2頁分のデータを1枚の記録用紙に印刷すること)」、「極秘文書を印刷」が印刷条件メモリ131に設定される。このうち、例えば、ウォーターマーク印刷に関する印刷条件「極秘文書を印刷」に関しては、変更禁止とする。その結果、ステータス情報が、「OnlyInManager(マネージャのみ公開)」のドキュメントについては、必ず、ウォーターマークとして、「極秘文書」との文字が印刷されることとなる

【0106】
このようにすれば、現ステータス情報に応じた印刷条件が初期設定されることに加えて、さらに、一部の印刷条件については制限をかけることができる。
【0107】
また、この場合にも、上述のように、印刷条件初期設定として、ステータス情報に対応付けて記憶されたステータスコメントを印刷するか否かを設定する「ステータス印刷」といった項目を印刷初期設定メモリ145に記憶してもよい。そして、その設定に従い、ステータスコメントをドキュメントとともに印刷するよう設定されるとよい。
【0108】
また、上述した実施形態では、現ステータス情報に基づいて、対応する1の印刷条件初期設定が読み出され、印刷条件メモリ131に設定されていた。これに対し、例えば、現ステータス情報と、印刷対象ドキュメントを作成したアプリケーションの種類とを用いて、印刷条件メモリ131に設定する印刷条件初期設定を選択してもよい。このようにすれば、ステータス情報に加えてアプリケーションの種類を反映した印刷条件初期設定を設定することができる。
【0109】
また、上述した実施形態のドキュメント管理システム30は、ドキュメントのステータス情報を記憶するドキュメント管理データベース342(図1参照)を備え、そのドキュメント管理データベース342のステータス情報に従い、ドキュメントを管理するものであった。これに代えて、ドキュメント管理システム30が、蓄積したドキュメントを、単に、フォルダに分類し、フォルダ毎にドキュメントを管理するものであってもよい。この場合、クライアントPC10は、印刷対象ドキュメントを格納する直近のフォルダ名を現ステータス情報として取得し、その現ステータス情報を用いて、印刷条件を設定するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の画像処理装置の一実施形態であるクライアントパーソナルコンピュータを含む印刷システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、DMS情報メモリの構成を模式的に示す図であり、(b)は、アクセス設定メモリの構成を模式的に示す図である。
【図3】(a)は、ステータス情報一覧メモリの構成を模式的に示す図であり、(b)は、印刷初期設定メモリの構成を模式的に示す図であり、(c)は、印刷条件メモリの構成を模式的に示す図である。
【図4】クライアントPCで実行される各種設定処理のフローチャートである。
【図5】印刷初期設定変更処理を示すフローチャートである。
【図6】印刷初期設定作成処理を示すフローチャートである。
【図7】クライアントPCにおいて実行される印刷実行処理を示すフローチャートである。
【図8】印刷条件設定処理を示すフローチャートである。
【図9】(a)は、表示装置に表示される印刷ダイアログの一例を示す図であり、(b)は、表示装置に表示される印刷条件ポップアップの一例を示す図である。
【図10】(a)は、実施形態とは異なるステータス情報を用いてドキュメントを管理するドキュメント管理システムに、クライアントPCが接続された場合に、印刷初期設定メモリに記憶される印刷条件初期設定を示す図であり、(b)は、印刷条件メモリの構成を模式的に示す図であり、さらに、印刷条件メモリに設定される印刷条件のうち、変更禁止とされる条件を、グレー色で示した図である。
【符号の説明】
【0111】
10 クライアントPC10(画像処理装置)
15 I/F(接続手段)
30 ドキュメント管理システム(ドキュメント管理手段)
141 プリンタドライバ(画像処理プログラム)
145 印刷初期設定メモリ(印刷初期設定記憶手段)
S24 印刷条件設定手段、印刷条件設定ステップ
S28 印刷実行手段、印刷実行ステップ
S122 使用ステータス情報取得手段
S128 印刷初期設定作成手段
S1282 既定値取得手段
S1290 既定値設定手段
S1294 初期設定変更手段
S242 現ステータス情報取得手段、現ステータス情報取得ステップ
S244 現ステータス判定手段
S246,S248 初期設定手段
S250 初期設定表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドキュメントを蓄積するドキュメント管理手段に接続するための接続手段を備えた画像処理装置において、
前記ドキュメント管理手段に蓄積されたドキュメントがなりうる複数の状態各々を特定するステータス情報のうち、印刷対象ドキュメントに対応する現ステータス情報を取得する現ステータス情報取得手段と、
その現ステータス情報取得手段により取得した現ステータス情報を用いて、印刷条件を設定する印刷条件設定手段と、
その印刷条件設定手段により設定された印刷条件に従って、前記印刷対象ドキュメントを印刷手段に印刷させる印刷実行手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ドキュメント管理手段で用いられるステータス情報と、印刷条件の初期設定とを対応付けて記憶する印刷初期設定記憶手段を備え、
前記印刷条件設定手段は、
前記現ステータス情報取得手段により取得した現ステータス情報に対応する初期設定を前記印刷初期設定記憶手段から読み出し、印刷条件として設定する初期設定手段を備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ドキュメント管理手段で用いられるステータス情報を取得する使用ステータス情報取得手段と、
その使用ステータス情報取得手段により取得したステータス情報の各々に対し、対応する初期設定を作成し、前記印刷初期設定記憶手段に記憶させる印刷初期設定作成手段とを備えることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記印刷初期設定作成手段は、
前記使用ステータス情報取得手段により取得したステータス情報の各々に対し、既定の初期設定を取得する既定値取得手段と、
その既定値取得手段により取得した既定の初期設定を前記印刷初期設定記憶手段に記憶させる既定値設定手段を備えることを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記現ステータス情報取得手段により取得した現ステータス情報が、前記印刷初期設定記憶手段に記憶されているかを判断する現ステータス判定手段を備え、
前記印刷初期設定記憶手段は、前記現ステータス判定手段により、前記現ステータス情報が前記印刷初期設定記憶手段に記憶されていないと判断された場合に印刷条件として設定されるデフォルト設定を記憶し、
前記初期設定手段は、前記現ステータス判定手段により、前記現ステータス情報が前記印刷初期設定記憶手段に記憶されていないと判断された場合に、前記デフォルト設定を印刷条件として設定することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記印刷条件設定手段は、
前記初期設定手段により設定された印刷条件のうち少なくとも一部を、ユーザ操作に応じて変更する初期設定変更手段を備えることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記印刷条件設定手段は、
前記初期設定手段により、印刷初期設定記憶手段から読み出された初期設定が印刷条件として設定されたことを条件として、その設定された初期設定を表示する初期設定表示手段を備えることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記ドキュメント管理手段は、ドキュメントのステータス情報を記憶するドキュメント管理データベースを備え、そのドキュメント管理データベースのステータス情報に従い、
ドキュメントを管理するものであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記印刷実行手段は、前記現ステータス情報取得手段によって取得された前記印刷対象ドキュメントに対応する現ステータス情報に基づき、その印刷対象ドキュメントの状態を特定する情報をその印刷対象ドキュメントとともに前記印刷手段に印刷させることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項10】
ドキュメントを蓄積するドキュメント管理手段に接続するための接続手段を備えた画像処理装置において実行される画像処理プログラムであって、
前記ドキュメント管理手段に蓄積されたドキュメントがなりうる複数の状態各々を特定するステータス情報のうち、印刷対象ドキュメントに対応する現ステータス情報を取得する現ステータス情報取得ステップと、
その現ステータス情報取得ステップにより取得した現ステータス情報を用いて、印刷条件を設定する印刷条件設定ステップと、
その印刷条件設定ステップにより設定された印刷条件に従って、前記印刷対象ドキュメントを印刷手段に印刷させる印刷実行ステップとを前記画像処理装置に実行させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−204435(P2008−204435A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308401(P2007−308401)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】