説明

画像処理装置および画像処理プログラム

【課題】画像から所望の領域を容易に抽出可能な画像処理装置および画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】共通の画像データに基づく複数種類の画像IMa〜IMdが表示部260の画像表示領域261の画像配置領域261a〜261dにそれぞれ表示される。しきい値設定バー264のスライダ264sが操作されることにより画像IMa〜IMdの領域を抽出するためのしきい値が調整される。調整後のしきい値が複数の画像IMa〜IMdにそれぞれ設定される。複数種類の画像IMa〜IMdの各々から設定されたしきい値を用いて領域が抽出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を処理する画像処理装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
拡大観察装置においては、観察対象物の画像から特定の領域を抽出することにより、例えば領域の大きさおよび面積等を算出することができる。これにより、拡大観察装置のユーザは、観察対象物を定量的に解析することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−079780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された画像処理装置においては、観察対象物の画像から特定の領域を抽出するために、しきい値等の抽出条件を設定することができるとともに、観察対象物の画像に対してぼかし処理等の処理を施すことができる。これにより、所望の領域を適切に抽出することができる。
【0005】
観察対象物の画像に対して施す処理としては、例えば画像中の空間的な高周波ノイズの軽減を目的とした処理、または画像中の明るさムラの軽減を目的とした処理等がある。ユーザは、目的に応じて種々の処理を選択することができる。
【0006】
しかしながら、画像処理の専門知識の少ないユーザには、複数の処理から適切な処理の種類およびその処理の度合いを適切に選択することは困難である。そのため、ユーザは、画像から所望の領域を抽出するために、処理の選択と抽出条件の設定とを繰り返す必要があり、手間が発生する。
【0007】
本発明の目的は、画像から所望の領域を容易に抽出可能な画像処理装置および画像処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の発明に係る画像処理装置は、共通の画像データに基づく複数種類の画像を表示するための表示部と、画像の領域を抽出するための共通種類の抽出条件を受け付けるための受付部と、受付部により受け付けられた抽出条件を表示部に表示される複数の画像に設定することにより表示部に表示される複数種類の画像の各々から設定された抽出条件を満たす領域を抽出する処理部とを備えるものである。
【0009】
この画像処理装置においては、共通の画像データに基づく複数種類の画像が表示される。受付部により画像の領域を抽出するための共通種類の抽出条件が受け付けられる。受け付けられた抽出条件が複数の画像に設定されることにより複数種類の画像の各々から設定された抽出条件を満たす領域が抽出される。この場合、ユーザは、複数種類の画像から所望の領域を含む画像を選択することができる。それにより、ユーザは所望の領域を容易に抽出することができる。
【0010】
(2)処理部は、共通の画像データに一または複数の処理を行うことにより複数種類の画像データを生成するように構成され、表示部は、処理部により生成された複数種類の画像データに基づく複数種類の画像を表示してもよい。
【0011】
この場合、複数種類の画像データは、共通の画像データに一または複数の処理が行われることにより生成される。これにより、共通の画像データに基づく複数種類の画像データが容易かつ確実に生成されるとともに、複数種類の画像データに基づいて複数種類の画像が表示部により表示される。それにより、ユーザは所望の領域を含む画像を容易に抽出することができる。
【0012】
(3)表示部は、複数種類の画像について処理部により抽出された領域を表示してもよい。この場合、ユーザは、複数種類の画像について抽出された領域を容易に対比して観察することができる。
【0013】
(4)受付部により受け付けられる共通種類の抽出条件が変更されることにより、複数種類の画像について処理部により抽出される領域のうち少なくとも1つの画像について抽出される領域が変化してもよい。
【0014】
この場合、共通種類の抽出条件が変更されることにより、複数種類の画像について抽出条件が変更される。これにより、複数種類の画像について抽出される領域のうち少なくとも1つの画像について抽出される領域が変化する。したがって、ユーザは抽出される領域を容易に変化させることができる。
【0015】
(5)第2の発明に係る画像処理プログラムは、共通の画像データに基づく複数種類の画像を表示するための処理と、画像の領域を抽出するための共通種類の抽出条件を受け付けるための処理と、受け付けられた抽出条件を表示される複数の画像に設定することにより表示される複数種類の画像の各々から設定された抽出条件を満たす領域を抽出する処理とを、処理装置に実行させるものである。
【0016】
この画像処理プログラムによれば、共通の画像データに基づく複数種類の画像が表示される。画像の領域を抽出するための共通種類の抽出条件が受け付けられる。受け付けられた抽出条件が複数の画像に設定されることにより複数種類の画像の各々から設定された抽出条件を満たす領域が抽出される。この場合、ユーザは、複数種類の画像から所望の領域を含む画像を選択することができる。それにより、ユーザは所望の領域を容易に抽出することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画像から所望の領域を容易に抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像処理装置を備えた拡大観察装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る画像処理装置を備えた拡大観察装置の顕微鏡を示す斜視図である。
【図3】顕微鏡の撮像装置がZ方向と平行に固定されている状態を示す模式図である。
【図4】顕微鏡の撮像装置がZ方向から所望の角度まで傾斜された状態を示す模式図である。
【図5】表示部の画面の一例を示す模式図である。
【図6】複数種類の画像が表示された表示部を示す模式図である。
【図7】画像の輝度値のヒストグラムとしきい値との関係を示す図である。
【図8】しきい値設定バー上のスライダと各画像の輝度値の範囲との関係を示す図である。
【図9】初期状態において2値化された複数種類の画像を示す模式図である。
【図10】しきい値設定バーのスライダが正方向に移動したときに2値化された複数種類の画像を示す模式図である。
【図11】しきい値設定バーのスライダが正方向に移動したときに2値化された複数種類の画像を示す模式図である。
【図12】しきい値設定バーのスライダが正方向に移動したときに2値化された複数種類の画像を示す模式図である。
【図13】しきい値設定バーのスライダが負方向に移動したときに2値化された複数種類の画像を示す模式図である。
【図14】しきい値設定バーのスライダが負方向に移動したときに2値化された複数種類の画像を示す模式図である。
【図15】しきい値設定バーのスライダが負方向に移動したときに2値化された複数種類の画像を示す模式図である。
【図16】複数種類の画像から選択された画像についての抽出領域を示す模式図である。
【図17】画像処理装置による領域抽出処理を示すフローチャートである。
【図18】画像処理装置による領域抽出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態に係る画像処理装置を備えた拡大観察装置について図面を参照しながら説明する。
【0020】
(1)拡大観察装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像処理装置を備えた拡大観察装置の構成を示すブロック図である。
【0021】
以下において、水平面内で直交する2方向をX方向およびY方向とし、X方向およびY方向に垂直な方向(鉛直方向)をZ方向とする。
【0022】
図1に示すように、拡大観察装置300は、顕微鏡100および画像処理装置200を備える。
【0023】
顕微鏡100は、撮像装置10、ステージ装置20および回転角度センサ30を含む。撮像装置10は、カラーCCD(電荷結合素子)11、ハーフミラー12、対物レンズ13、A/D変換器(アナログ/デジタル変換器)15、照明用光源16およびレンズ駆動部17を含む。ステージ装置20は、ステージ21、ステージ駆動部22およびステージ支持部23を含む。ステージ21上には、観察対象物Sが載置される。
【0024】
照明用光源16は、例えば白色光を発生するハロゲンランプまたは白色LED(発光ダイオード)である。照明用光源16により発生された白色光は、ハーフミラー12により反射された後、対物レンズ13によりステージ21上の観察対象物Sに集光される。
【0025】
観察対象物Sにより反射された白色光は、対物レンズ13およびハーフミラー12を透過してカラーCCD11に入射する。カラーCCD11は、赤色波長の光を受光する複数の赤色用画素、緑色波長の光を受光する複数の緑色用画素、および青色波長の光を受光する複数の青色用画素を有する。複数の赤色用画素、複数の緑色用画素および複数の青色用画素は二次元的に配列される。カラーCCD11の各画素からは、受光量に対応する電気信号が出力される。カラーCCD11の出力信号は、A/D変換器15によりデジタル信号に変換される。A/D変換器15から出力されるデジタル信号は、画像データとして画像処理装置200に順次与えられる。カラーCCD11に代えてCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ等の撮像素子が用いられてもよい。
【0026】
対物レンズ13は、Z方向に移動可能に設けられる。レンズ駆動部17は、画像処理装置200の制御により対物レンズ13をZ方向に移動させる。それにより、撮像装置10の焦点の位置がZ方向において移動する。
【0027】
ステージ21は、Z方向の軸の周りで回転可能にステージ支持部23上に設けられる。ステージ駆動部22は、画像処理装置200から与えられる移動指令信号(駆動パルス)に基づいてステージ21をステージ支持部23に対して相対的に後述するx方向およびy方向に移動させる。ステージ駆動部22には、ステッピングモータが用いられる。回転角度センサ30は、ステージ21の回転角度を検出し、検出した角度を示す角度検出信号を画像処理装置200に与える。
【0028】
画像処理装置200は、インタフェース210、CPU(中央演算処理装置)220、ROM(リードオンリメモリ)230、記憶装置240、入力装置250、表示部260および作業用メモリ270を含む。
【0029】
ROM230には、システムプログラムが記憶される。記憶装置240は、ハードディスク等からなる。記憶装置240には、画像処理プログラムが記憶されるとともに、顕微鏡100からインタフェース210を通して与えられる画像データ等の種々のデータを記憶する。画像処理プログラムの詳細は後述する。入力装置250は、キーボードおよびポインティングデバイスを含む。ポインティングデバイスとしては、マウスまたはジョイスティック等が用いられる。
【0030】
表示部260は、例えば液晶ディスプレイパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。
【0031】
作業用メモリ270は、RAM(ランダムアクセスメモリ)からなり、種々のデータの処理のために用いられる。
【0032】
CPU220は、記憶装置240に記憶された画像処理プログラムを実行することにより作業用メモリ270を用いて画像データに基づく後述する領域抽出処理等の画像処理を行うとともに、画像データに基づく画像を表示部260に表示させる。また、CPU220は、インタフェース210を通して顕微鏡100のカラーCCD11、照明用光源16、レンズ駆動部17およびステージ駆動部22を制御する。
【0033】
図2は、本発明の一実施の形態に係る画像処理装置200を備えた拡大観察装置300の顕微鏡100を示す斜視図である。図2においては、X方向、Y方向およびZ方向が矢印で示される。
【0034】
図2に示すように、顕微鏡100はベース1を有する。ベース1上には、第1の支持台2が取り付けられるとともに、この第1の支持台2の前面に嵌め込まれるように第2の支持台3が取り付けられる。
【0035】
第1の支持台2の上端部には、連結部4がY方向に延びる回動軸R1の周りに回動可能に取り付けられる。連結部4には回動支柱5が取り付けられる。それにより、回動支柱5は連結部4の回動に伴って回動軸R1を支点としてZ方向に平行な垂直面内で傾斜可能である。使用者は、固定つまみ9により連結部4を第1の支持台2に対して固定することができる。
【0036】
連結部6の前面には環状の支持部7が取り付けられる。支持部7には、略円筒状の撮像装置10が取り付けられる。図2の状態では、撮像装置10の光軸R2はZ方向に平行である。支持部7は、撮像装置10を水平面内で移動させるための複数の調整ネジ41を有する。複数の調整ネジ41を用いて撮像装置10の光軸R2が回動軸R1に垂直に交差するように撮像装置10の位置を調整することができる。
【0037】
ベース1上の第2の支持台3の前面には、Z方向に摺動可能にスライダ8が取り付けられる。第2の支持台3の側面には、調整つまみ42が設けられる。スライダ8のZ方向(高さ方向)の位置は、調整つまみ42により調整可能である。
【0038】
ステージ装置20の支持部23は、スライダ8上に取り付けられる。ステージ21は、支持部23に対してZ方向の回転軸R3の周りに回転可能に設けられる。また、ステージ21には、水平面内で互いに直交するx方向およびy方向が設定される。ステージ21は、図1のステージ駆動部22によりx方向およびy方向に移動可能に設けられる。ステージ21が回転軸R3の周りに回転すると、ステージ21のx方向およびy方向も回転する。それにより、ステージ21のx方向およびy方向は、X方向およびY方向に対して水平面内で傾斜する。
【0039】
撮像装置10の撮像範囲(視野範囲)は、撮像装置10の倍率により異なる。以下、撮像装置10の撮像範囲を単位領域と呼ぶ。ステージ21をx方向およびy方向に移動させることにより複数の単位領域の画像データを取得することができる。複数の単位領域の画像データを連結することにより複数の単位領域の画像を図1の表示部260に表示することができる。
【0040】
図3は顕微鏡100の撮像装置10がZ方向と平行に固定されている状態を示す模式図である。また、図4は顕微鏡100の撮像装置10がZ方向から所望の角度まで傾斜された状態を示す模式図である。
【0041】
図3に示すように、回動支柱5がZ方向に平行な状態で固定つまみ9を締めることにより連結部4が第2の支持台3に固定される。それにより、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態で回動軸R1に垂直に交差する。この場合、撮像装置10の光軸R2はステージ21の表面に垂直となる。
【0042】
固定つまみ9を緩めることにより連結部4が回動軸R1の周りに回動可能となり、回動支柱5が回動軸R1を支点として傾斜可能となる。それにより、図4に示すように、撮像装置10の光軸R2をZ方向に対して任意の角度θ傾斜させることができる。この場合、撮像装置10の光軸R2は回動軸R1に垂直に交差する。同様にして、撮像装置10の光軸R2をZ方向に対して図4と逆側に任意の角度傾斜させることができる。
【0043】
したがって、ステージ21上の観察対象物の表面の高さを回動軸R1の高さに一致させることにより、観察対象物の同じ部分を垂直な方向および斜め方向から観察することができる。
【0044】
(2)画像処理装置
本実施の形態に係る画像処理装置200においては、表示部260に表示される観察対象物の画像から設定された抽出条件を満たす1または複数の領域が抽出され、抽出された領域が表示部260に表示される。以下、抽出条件に基づいて抽出される領域を抽出領域と呼ぶ。
【0045】
図5は、表示部260の画面の一例を示す模式図である。図5に示すように、表示部260の画面上には、画像表示領域261および抽出条件設定領域262が表示される。
【0046】
画像表示領域261には、図1の記憶装置240に記憶される画像データに基づいて観察対象物の画像が表示される。画像は、複数の画素から構成される。以下、記憶装置240に記憶される画像データに基づいて画像表示領域261に表示される画像を初期画像IMと呼ぶ。抽出条件設定領域262には、次へボタン263a、戻るボタン263bおよび保存ボタン263c等が表示される。また、抽出条件設定領域262には、しきい値設定バー264が表示される。しきい値設定バー264は、水平方向に移動可能なスライダ264sを有する。さらに、抽出条件設定領域262には、輝度チェックボックス265a,265b、穴埋め処理チェックボックス266および小粒子除去チェックボックス267が表示される。
【0047】
図5においては、初期画像IMの異なる輝度が複数のドットパターンおよびハッチングパターンにより表されている。具体的には、初期画像IMの略中央における領域Aが第1のドットパターンで表されている。領域Aを取り囲む領域Bが第2のドットパターンで表されている。領域Bを取り囲む領域Cが第3のドットパターンで表されている。領域Cを取り囲む領域Dが第1のハッチングパターンで表されている。領域Dを取り囲む領域Eが第2のハッチングパターンで表されている。領域Eを取り囲む領域Fが第3のハッチングパターンで表されている。また、初期画像IMには、複数の斑点(ブロブ)からなる領域BLが含まれている。複数の領域BLは、第4のハッチングパターンで表されている。
【0048】
領域Aの輝度が最も高く、領域Bの輝度が2番目に高く、領域Cの輝度が3番目に高く、領域Dの輝度が4番目に高く、領域Eの輝度が5番目に高く、領域Fの輝度が6番目に高く、領域BLの輝度が最も低い。
【0049】
本実施の形態では、表示部260に表示される初期画像IMから輝度を抽出条件として領域が抽出される。この場合、表示部260に表示される画像を輝度のしきい値(以下、しきい値と略記する。)を用いて2値化することにより抽出領域が決定される。抽出領域の画素は“1”で表され、背景の画素は“0”で表される。なお、輝度の代わりに色相、彩度または明度等の他の抽出条件に基づいて抽出領域が決定されてもよい。
【0050】
以下の例では、表示部260に表示される初期画像IMから抽出領域として複数の領域BLのみが抽出される。この場合、複数の領域BLと他の背景とを区別する適切なしきい値が設定される。ここで、輝度チェックボックス265aが指定されている場合、しきい値よりも低い輝度値を有する画素が抽出領域として決定される。一方、輝度チェックボックス265bが指定されている場合、しきい値よりも高い輝度値を有する画素が抽出領域として決定される。したがって、初期画像IMから複数の領域BLを抽出する場合には、輝度チェックボックス265aが指定される。
【0051】
なお、穴埋め処理チェックボックス266が指定されている場合、抽出された領域に囲まれた“0”の画素の部分(以下、孔と呼ぶ。)も抽出領域として決定される。抽出領域として決定される孔の大きさ(画素数)はユーザにより任意に設定されてもよい。また、抽出領域として決定される孔の画素数は、複数の抽出領域のうち最大の抽出領域の画素数の例えば5%以下に設定されてもよい。
【0052】
小粒子除去チェックボックス267が指定されている場合、抽出された領域のうち予め設定された画素数(例えば5画素)以下の画素数を有する領域(以下、小粒子と呼ぶ。)は抽出領域から除去される。抽出領域から除去される小粒子の画素数はユーザにより任意に設定されてもよい。また、抽出領域から除去される小粒子の画素数は、複数の抽出領域のうち最大の抽出領域の画素数の例えば5%以下に設定されてもよい。
【0053】
(3)しきい値の設定
図5に示すように表示部260に初期画像IMが表示された状態で、図1の画像処理装置200のユーザは、入力装置250を用いて図5の抽出条件設定領域262の次へボタン263aを操作する。この場合、図1のCPU220は、図5の画像表示領域261に表示されている初期画像IMに対応する共通の画像データに異なる処理を行うことにより複数種類の画像データを生成する。本実施の形態では、CPU220は記憶装置240に記憶される共通の画像データに初期画像IMの輝度を変更する処理を行う。それにより、共通の画像データから異なる輝度を有する複数種類(本実施の形態においては4種類)の画像データが生成される。
【0054】
その他の処理として、CPU220は、記憶装置240に記憶される共通の画像データに初期画像IMの色相、彩度または明度等の他の表示パラメータを変更する処理を行ってもよい。この場合、共通の画素データから異なる色相、彩度または明度等の表示パラメータを有する複数種類の画像データが生成される。また、CPU220は、記憶装置240に記憶される共通の画像データに輝度むらの除去処理(シェーディング補正)を行ってもよい。この場合、共通の画素データから輝度むらの除去処理が行われた画像データと除去処理が行われていない画像データとが生成される。または、共通の画素データから輝度むらの除去の程度が異なる複数種類の画像データが生成される。さらに、CPU220は、記憶装置240に記憶される共通の画像データにぼかし処理を行ってもよい。この場合、共通の画素データからぼかし処理が行われた画像データとぼかし処理が行われていない画像データとが生成される。または、共通の画素データからぼかしの程度が異なる複数種類の画像データが生成される。
【0055】
さらに、共通の画像データに上記の輝度を変更する処理、他の表示パラメータを変更する処理、輝度むらの除去処理またはぼかし処理等の異なる複数種類の処理を行うことにより、複数種類の画像データを生成してもよい。
【0056】
生成された複数種類の画像データに基づく複数種類の画像が図1の表示部260に表示される。図6は、複数種類の画像が表示された表示部260を示す模式図である。図6に示すように、表示部260の画像表示領域261は、複数の画像配置領域261a,261b,261c,261dに分割される。画像配置領域261a〜261dには、それぞれ複数種類の画像データに基づく画像IMa,IMb,IMc,IMdが配置される。なお、図6の表示部260において、ユーザが入力装置250を用いて抽出条件設定領域262の戻るボタン263bを操作することにより、図5の表示部260の表示に戻る。
【0057】
図6の例では、画像IMa〜IMdは異なる平均輝度を有する。画像IMaの平均輝度が最も低く、画像IMbの平均輝度が2番目に低く、画像IMcの平均輝度が3番目に低く、画像IMaの平均輝度が最も高い。初期状態では、画像IMa〜IMdには、それぞれ異なるしきい値が設定される。本実施の形態において、画像IMa〜IMdの各画素の輝度値は8ビットのデータで表される。したがって、画像IMa〜IMdの各画素は、0から+255までの256段階の輝度値を有する。
【0058】
図5のしきい値設定バー264上のスライダ264sの位置は、画像IMa〜IMdに設定されるしきい値に対応する。したがって、図1の画像処理装置200のユーザは、図1の入力装置250を用いて図5のしきい値設定バー264のスライダ264sを水平方向に移動させることにより、画像IMa〜IMdに設定されるしきい値を同時に変更することができる。スライダ264sは、−255から+255までの目盛の範囲で移動可能である。初期状態においては、スライダ264sはしきい値設定バー264の中央の目盛0の位置にある。
【0059】
図7(a),(b),(c),(d)は、画像IMa〜IMdの輝度値のヒストグラムとしきい値との関係を示す図である。図7(a)〜(d)の横軸および縦軸はそれぞれ輝度値および画素数を示す。初期状態では、画像IMa〜IMdの輝度値のヒストグラムに基づいて候補となるしきい値が自動的に設定される。ここで、初期状態で画像IMa〜IMdに設定されたしきい値がしきい値設定バー264の目盛0に対応する。
【0060】
具体的には、図7(a)に示すように、画像IMaの初期状態のしきい値は例えば+51に設定される。したがって、画像IMaの輝度値0〜+255は、しきい値設定バー264の目盛の−51から+204までの範囲に対応する。図7(b)に示すように、画像IMbの初期状態のしきい値は例えば+102に設定される。したがって、画像IMbの輝度値0〜+255は、しきい値設定バー264の目盛の−102から+153までの範囲に対応する。図7(c)に示すように、画像IMcの初期状態のしきい値は例えば+153に設定される。したがって、画像IMcの輝度値0〜+255は、しきい値設定バー264の目盛の−153から+102までの範囲に対応する。図7(d)に示すように、画像IMdの初期状態のしきい値は例えば+204に設定される。したがって、画像IMdの輝度値0〜+255は、しきい値設定バー264の目盛の−204から+51までの範囲に対応する。
【0061】
図8は、しきい値設定バー264上のスライダ264sと各画像IMa〜IMdの輝度値の範囲との関係を示す図である。図8に示すように、初期状態においては、スライダ264sがしきい値設定バー264の中央の目盛0に位置する。この場合、各画像IMa〜IMdのしきい値は、図7に示されるように、それぞれ+51、+102、+153および+204である。したがって、画像IMaにおいては、2値化により輝度値0以上+51以下の画素の値は“1”となり、輝度値+51を超えかつ+255以下の画素の値は“0”となる。画像IMbにおいては、2値化により輝度値0以上+102以下の画素の値は“1”となり、輝度値+102を超えかつ+255以下の画素の値は“0”となる。画像IMcにおいては、2値化により輝度値0以上+153以下の画素の値は“1”となり、輝度値+153を超えかつ+255以下の画素の値は“0”となる。画像IMdにおいては、2値化により輝度値0以上+204以下の画素の値は“1”となり、輝度値+204を超えかつ+255以下の画素の値は“0”となる。
【0062】
スライダ264sがしきい値設定バー264上を負方向に移動した場合、画像IMa〜IMdのしきい値が減少する。なお、スライダ264sが目盛−51より小さい位置まで移動した場合、画像IMaのしきい値は目盛−51に対応する値0から変化しない。スライダ264sが目盛−102より小さい位置まで移動した場合、画像IMbのしきい値は目盛−102に対応する値0から変化しない。スライダ264sが目盛−153より小さい位置まで移動した場合、画像IMcのしきい値は目盛−153に対応する値0から変化しない。スライダ264sが目盛−204より小さい位置まで移動した場合、画像IMdのしきい値は目盛−204に対応する値0から変化しない。
【0063】
同様に、スライダ264sがしきい値設定バー264上を正方向に移動した場合、画像IMa〜IMdのしきい値が増加する。なお、スライダ264sが目盛+51より大きい位置まで移動した場合、画像IMdのしきい値は目盛+51に対応する値+255から変化しない。スライダ264sが目盛+102より大きい位置まで移動した場合、画像IMcのしきい値は目盛+102に対応する値+255から変化しない。スライダ264sが目盛+153より大きい位置まで移動した場合、画像IMbのしきい値は目盛+153に対応する値+255から変化しない。スライダ264sが目盛+204より大きい位置まで移動した場合、画像IMaのしきい値は目盛+204に対応する値+255から変化しない。
【0064】
このように、本実施の形態においては、スライダ264sがしきい値設定バー264の目盛−204より小さい位置およびしきい値設定バー264の目盛+204より大きい位置で移動しても画像IMa〜IMdのしきい値は変化しない。したがって、スライダ264sの移動範囲がしきい値設定バー264の目盛しきい値設定バー264の目盛−204から目盛+204までの範囲に制限されてもよい。
【0065】
図6に示すように表示部260に複数種類の画像IMa〜IMdが表示された状態で、図1の画像処理装置200のユーザは、入力装置250を用いて図6の抽出条件設定領域262の次へボタン263aを操作する。この場合、図1のCPU220は、初期状態におけるしきい値で画像IMa〜IMdを2値化する。
【0066】
図9は、初期状態において2値化された複数種類の画像IMa〜IMdを示す模式図である。図9に示すように、スライダ264sがしきい値設定バー264の中央に位置する。このスライダ264sの位置をスライダ位置0と呼ぶ。スライダ264sがスライダ位置0に位置する場合、画像IMa〜IMdにおいて、それぞれのしきい値+51、+102、+153および+204以下の輝度値を有する画素の値は“1”となり、他の画素の値は“0”となる。この場合、値“1”の画素が抽出領域となる。
【0067】
図9においては、画像IMa〜IMdにおける抽出領域が黒く表示されている。なお、本実施の形態においては、2値化前の画像IMa〜IMdに重なるように抽出領域が表示されるが、これに限定されない。抽出領域のみを含む2値化後の画像IMa〜IMdが表示されてもよい。
【0068】
図9の例においては、画像IMa〜IMdの複数の領域BLが抽出領域に含まれている。しかしながら、画像IMa〜IMdのいずれにおいても、しきい値が適切に設定されていないため、領域BLと異なる他の領域が抽出領域に含まれている。したがって、画像IMa〜IMdにおいては、複数の領域BLのみを抽出することができない。この場合、図1の画像処理装置200のユーザは、図1の入力装置250を用いて図9のしきい値設定バー264のスライダ264sを正方向または負方向に移動させることにより、画像IMa〜IMdのしきい値を同時に変更することができる。
【0069】
図10〜図12は、しきい値設定バー264のスライダ264sが正方向に移動したときに2値化された複数種類の画像IMa〜IMdを示す模式図である。
【0070】
図10に示すように、スライダ264sがしきい値設定バー264上でスライダ位置0よりも所定量だけ正方向に移動される。このスライダ264sの位置をスライダ位置+1と呼ぶ。スライダ264sがスライダ位置+1にある場合、画像IMa〜IMdにそれぞれ設定されるしきい値が所定量(例えば10)ずつ増加する。それにより、スライダ264sがスライダ位置+1にある場合には、スライダ264sがスライダ位置0にある場合に比べて画像IMa〜IMdの抽出領域が拡大する。
【0071】
図11に示すように、スライダ264sがしきい値設定バー264上でスライダ位置+1よりも所定量だけさらに正方向に移動される。このスライダ264sの位置をスライダ位置+2と呼ぶ。スライダ264sがスライダ位置+2にある場合、画像IMa〜IMdにそれぞれ設定されるしきい値が所定量ずつ増加する。それにより、スライダ264sがスライダ位置+2にある場合には、スライダ264sがスライダ位置+1にある場合に比べて画像IMa〜IMdの抽出領域が拡大する。
【0072】
図12に示すように、スライダ264sがしきい値設定バー264上でスライダ位置+2よりも所定量だけさらに正方向に移動される。このスライダ264sの位置をスライダ位置+3と呼ぶ。スライダ264sがスライダ位置+3にある場合、画像IMa〜IMdにそれぞれ設定されるしきい値が所定量ずつ増加する。それにより、スライダ264sがスライダ位置+3にある場合には、スライダ264sがスライダ位置+2にある場合に比べて画像IMa〜IMdの抽出領域が拡大する。
【0073】
図10〜図12の例においても、画像IMa〜IMdの複数の領域BLが抽出領域に含まれている。しかしながら、画像IMa〜IMdのいずれにおいても、しきい値が適切に設定されていないため、領域BLと異なる他の領域が抽出領域に含まれている。したがって、図10〜図12の画像IMa〜IMdにおいては、複数の領域BLのみを抽出することができない。
【0074】
図13〜図15は、しきい値設定バー264のスライダ264sが負方向に移動したときに2値化された複数種類の画像IMa〜IMdを示す模式図である。
【0075】
図13に示すように、スライダ264sがしきい値設定バー264上でスライダ位置0よりも所定量だけ負方向に移動される。このスライダ264sの位置をスライダ位置−1と呼ぶ。スライダ264sがスライダ位置−1にある場合、画像IMa〜IMdにそれぞれ設定されるしきい値が所定量(例えば10)ずつ減少する。それにより、スライダ264sがスライダ位置−1にある場合には、スライダ264sがスライダ位置0にある場合に比べて画像IMa〜IMdの抽出領域が縮小する。
【0076】
図13の例においては、画像IMa〜IMdの複数の領域BLが抽出領域に含まれている。この場合、画像IMa〜IMcにおいては、しきい値が適切に設定されていないため、領域BLとは異なる他の領域が抽出領域に含まれている。したがって、画像IMa〜IMcにおいては、複数の領域BLのみを抽出することができない。一方、画像IMdにおいては、しきい値が適切に設定されているため、領域BLとは異なる他の領域が抽出領域に含まれない。したがって、画像IMdにおいては、複数の領域BLのみを抽出することができる。
【0077】
図14に示すように、スライダ264sがしきい値設定バー264上でスライダ位置−1よりも所定量だけさらに負方向に移動される。このスライダ264sの位置をスライダ位置−2と呼ぶ。スライダ264sがスライダ位置−2にある場合、画像IMa〜IMdにそれぞれ設定されるしきい値が所定量ずつ減少する。それにより、スライダ264sがスライダ位置−2にある場合には、スライダ264sがスライダ位置−1にある場合に比べて画像IMa〜IMdの抽出領域が縮小する。
【0078】
図14の例においては、画像IMa〜IMcの複数の領域BLが抽出領域に含まれている。この場合、画像IMa,IMbにおいては、しきい値が適切に設定されていないため、領域BLとは異なる他の領域が抽出領域に含まれている。また、画像IMdにおいては、全ての領域が抽出領域に含まれない。したがって、画像IMa,IMb,IMdにおいては、複数の領域BLのみを抽出することができない。一方、画像IMcにおいては、しきい値が適切に設定されているため、領域BLとは異なる他の領域が抽出領域に含まれない。したがって、画像IMcにおいては、複数の領域BLのみを抽出することができる。
【0079】
図15に示すように、スライダ264sがしきい値設定バー264上でスライダ位置−2よりも所定量だけさらに負方向に移動される。このスライダ264sの位置をスライダ位置−3と呼ぶ。スライダ264sがスライダ位置−3にある場合、画像IMa〜IMdにそれぞれ設定されるしきい値が所定量ずつ減少する。それにより、スライダ264sがスライダ位置−2にある場合には、スライダ264sがスライダ位置−1にある場合に比べて画像IMa〜IMdの抽出領域が縮小する。
【0080】
図15の例においては、画像IMa,IMbの複数の領域BLが抽出領域に含まれている。この場合、画像IMaにおいては、しきい値が適切に設定されていないため、領域BLとは異なる他の領域が抽出領域に含まれている。また、画像IMc,IMdにおいては、全ての領域が抽出領域に含まれない。したがって、画像IMa,IMc,IMdにおいては、複数の領域BLのみを抽出することができない。一方、画像IMbにおいては、しきい値が適切に設定されているため、領域BLとは異なる他の領域が抽出領域に含まれない。したがって、画像IMbにおいては、複数の領域BLのみを抽出することができる。
【0081】
図16は、複数種類の画像IMa〜IMdから選択された画像についての抽出領域を示す模式図である。図1の画像処理装置200のユーザは、入力装置250を用いて図13の画像IMd、図14の画像IMcまたは図15の画像IMbを選択し、図13〜図15の保存ボタン263cを操作する。これにより、図1のCPU220は、図13の画像IMd、図14の画像IMcまたは図15の画像IMbにおける抽出領域を示すデータを抽出領域データとして図1の記憶装置240に記憶する。また、CPU220は、図16に示すように抽出領域を表示部260に表示する。CPU220は、記憶装置240に記憶された抽出領域データに基づいて各抽出領域の寸法、面積および数等を算出することができる。
【0082】
(4)領域抽出処理
図17および図18は、画像処理装置200による領域抽出処理を示すフローチャートである。領域抽出処理は、CPU220が記憶装置240に記憶された画像処理プログラムを実行することにより行われる。以下、図17および図18のフローチャートにしたがって、初期画像IMから複数の領域BLを抽出する処理を説明する。
【0083】
図1のCPU220は、ユーザにより図1の記憶装置240に記憶された画像データが選択されたか否かを判定する(ステップS1)。画像データが選択されていない場合、CPU220はユーザにより画像データが選択されるまで待機する。
【0084】
ステップS1でユーザにより画像データが選択された場合、CPU220は選択された画像データに基づいて初期画像IMを図5の表示部260の画像表示領域261に表示する(ステップS2)。次に、CPU220は、ユーザが図5の次へボタン263aを操作することにより初期画像IMの画像処理が指示されたか否かを判定する(ステップS3)。画像処理が指示されていない場合、CPU220はユーザにより画像処理が指示されるまで待機する。
【0085】
ステップS4でユーザにより画像処理が指示された場合、CPU220は初期画像IMに一または複数の画像処理を実行する(ステップS4)。また、CPU220は画像処理された複数の画像IMa〜IMdを図6の表示部260の画像表示領域261の画像配置領域261a〜261dに表示する(ステップS5)。次に、CPU220は、ユーザが図6の次へボタン263aを操作することにより画像IMa〜IMdの2値化が指示されたか否かを判定する(ステップS6)。画像IMa〜IMdの2値化が指示されていない場合、CPU220はユーザにより画像IMa〜IMdの2値化が指示されるまで待機する。
【0086】
ステップS7でユーザにより画像IMa〜IMdの2値化が指示された場合、CPU220は複数の画像IMa〜IMdの2値化を実行する(ステップS7)。それにより、複数の画像IMa〜IMdについてそれぞれ抽出領域が得られる。また、CPU220は図9の表示部260の画像表示領域261の画像配置領域261a〜261dの複数の画像IMa〜IMd上にそれぞれ2値化により得られた抽出領域を表示する(ステップS8)。次に、CPU220は、2値化後のいずれかの画像IMa〜IMdがユーザにより選択されたか否かを判定する(ステップS9)。
【0087】
ステップS9でいずれかの画像IMa〜IMdが選択されない場合、CPU220は、ユーザが図9のしきい値設定バー264のスライダ264sを操作することによりしきい値が変更されたか否かを判定する(ステップS11)。しきい値が変更されない場合、CPU220はステップS9の処理に戻る。
【0088】
ステップS11でしきい値が変更された場合、CPU220は変更されたしきい値を用いて画像IMa〜IMdの2値化を再度実行する(ステップS12)。それにより、複数の画像IMa〜IMdについてそれぞれ抽出領域が更新される。その後、CPU220はステップS8の処理に戻り、図9の表示部260の画像表示領域261の画像配置領域261a〜261dの複数の画像IMa〜IMd上にそれぞれ更新された抽出領域を表示する(ステップS8)。次に、CPU220は、2値化後のいずれかの画像IMa〜IMdがユーザにより選択されたか否かを判定する(ステップS9)。
【0089】
ステップS9でいずれかの画像IMa〜IMdが選択されない場合、ステップS11,S9の処理が繰り返されるか、またはステップS11,S12,S8,S9の処理が繰り返される。ステップS9でいずれかの画像IMa〜IMdが選択された場合、CPU220はユーザにより選択された画像を図16の表示部260の画像表示領域261に表示し(ステップS10)、領域抽出処理を終了する。
【0090】
(5)効果
本実施の形態においては、共通の画像データに基づく複数種類の画像IMa〜IMdが表示部260の画像表示領域261の画像配置領域261a〜261dにそれぞれ表示される。しきい値設定バー264のスライダ264sの操作により画像IMa〜IMdの領域を抽出するためのしきい値が調整され、調整後のしきい値が複数の画像IMa〜IMdにそれぞれ設定される。複数種類の画像IMa〜IMdの各々が設定されたしきい値を用いて2値化される。それにより、複数の画像IMa〜IMdについて抽出領域が得られる。この場合、ユーザは、複数種類の画像IMa〜IMdから所望の抽出領域を含む画像を選択することができる。したがって、ユーザは所望の領域を容易に抽出することができる。
【0091】
また、複数種類の画像データは、共通の画像データに一または複数の処理が行われることにより生成される。これにより、共通の画像データに基づく複数種類の画像データが容易かつ確実に生成されるとともに、複数種類の画像データに基づいて複数種類の画像IMa〜IMdが表示部260により表示される。
【0092】
この場合、表示部260の画像表示領域261の画像配置領域261a〜261dには、複数種類の画像IMa〜IMdについての抽出領域がそれぞれ表示されるので、ユーザは複数種類の画像IMa〜IMdについての抽出領域を容易に対比して観察することができる。それにより、ユーザは所望の抽出領域を含む画像IMa〜IMdを容易に選択することができる。
【0093】
さらに、しきい値設定バー264上のスライダ264sの位置が変更されることにより、複数種類の画像IMa〜IMdに設定されたしきい値が変更されるので、複数種類の画像IMa〜IMdについて抽出領域が変化する。したがって、ユーザは抽出領域を容易に変化させることができる。
【0094】
(6)他の実施の形態
上記実施の形態においては、共通の画像データから4種類の画像データが生成されるが、これに限定されない。共通の画像データから2種類または3種類の画像データが生成されてもよく、5種類以上の画像データが生成されてもよい。
【0095】
また、上記実施の形態においては、輝度チェックボックス265a,265bのいずれかが指定されることにより、しきい値よりも低い輝度値または高い輝度値を有する画素が抽出領域として決定されるが、これに限定されない。複数種類の画像データのうち一部の画像データについてはしきい値よりも低い輝度値を有する画素が抽出領域として決定され、他の画像データについてはしきい値よりも高い輝度値を有する画素が抽出領域として決定されてもよい。この場合、表示部260の抽出条件設定領域262には輝度チェックボックス265a,265bが表示されない。
【0096】
(7)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0097】
画像IMa〜IMdが画像の例であり、表示部260が表示部の例であり、しきい値が抽出条件の例であり、スライダ264sが受付部の例であり、CPU220が処理部および処理装置の例であり、画像処理装置200が画像処理装置の例である。
【0098】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、種々の画像処理装置および画像処理プログラムに有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 ベース
2,3 支持台
4,6 連結部
5 回動支柱
7 支持部
8 スライダ
9 固定つまみ
10 撮像装置
11 カラーCCD
12 ハーフミラー
13 対物レンズ
15 A/D変換器
16 照明用光源
17 レンズ駆動部
20 ステージ装置
21 ステージ
22 ステージ駆動部
23 ステージ支持部
30 回転角度センサ
41 調整ネジ
42 調整つまみ
100 顕微鏡
200 画像処理装置
210 インタフェース
220 CPU
230 ROM
240 記憶装置
250 入力装置
260 表示部
261 画像表示領域
261a〜261d 画像配置領域
262 抽出条件設定領域
263a 次へボタン
263b 戻るボタン
263c 保存ボタン
264 しきい値設定バー
264s スライダ
265a,265b 輝度チェックボックス
266 穴埋め処理チェックボックス
267 小粒子除去チェックボックス
270 作業用メモリ
300 拡大観察装置
A〜F,BL 領域
IM 初期画像
IMa〜IMd 画像
R1 回動軸
R2 光軸
R3 回転軸
S 観察対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の画像データに基づく複数種類の画像を表示するための表示部と、
画像の領域を抽出するための共通種類の抽出条件を受け付けるための受付部と、
前記受付部により受け付けられた抽出条件を前記表示部に表示される複数の画像に設定することにより前記表示部に表示される複数種類の画像の各々から設定された抽出条件を満たす領域を抽出する処理部とを備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記共通の画像データに一または複数の処理を行うことにより複数種類の画像データを生成するように構成され、
前記表示部は、前記処理部により生成された複数種類の画像データに基づく前記複数種類の画像を表示する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記複数種類の画像について前記処理部により抽出された領域を表示する、請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記受付部により受け付けられる共通種類の抽出条件が変更されることにより、前記複数種類の画像について前記処理部により抽出される領域のうち少なくとも1つの画像について抽出される領域が変化する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
共通の画像データに基づく複数種類の画像を表示するための処理と、
画像の領域を抽出するための共通種類の抽出条件を受け付けるための処理と、
受け付けられた抽出条件を表示される複数種類の画像に設定することにより表示される複数種類の画像の各々から設定された抽出条件を満たす領域を抽出する処理とを、
処理装置に実行させる、画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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