説明

画像処理装置および記録媒体処理プログラム

【課題】簡易な構成で紙詰まり発生時における除去作業を効率的に行うことのできる画像処理装置を提供する。
【解決手段】記録媒体(印刷用紙P)を挟んで搬送する対となる回転体(ローラR1a、R1b)で構成される搬送手段と、該搬送手段が複数にわたって設けられた搬送路と、搬送路上の一部において、搬送手段の対となる回転体を接触状態から離間状態に移行させる離間手段65と、該離間手段によって回転体が離間された際に、記録媒体を貯留させる貯留部70と、該貯留部に記録媒体を送り込む送込手段(ローラ60a、60b)と、搬送路に沿って複数にわたって設けられ、記録媒体の搬送状況を検知する検知手段(用紙検知センサSE)と、該検知手段の検出結果に基づいて離間手段および送込手段を動作させる制御手段(システム制御部100)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および記録媒体処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数枚の記録媒体としての印刷用紙を機内に滞留させて画像形成を行うプリンタなどの画像処理装置では、紙詰まりが発生して画像形成動作を停止した際には、用紙搬送路上に残留した複数枚の印刷用紙をユーザが取り除く必要がある。
【0003】
用紙搬送路が長くなる画像処理装置では、機内に残留する印刷用紙が複数箇所にわたる場合が多く、印刷用紙を除去するための労力が大きかった。
【0004】
また、全てを除去するのは手間がかかるため、取り残しが発生し易く、正常な画像形成に支障を生じる虞があった。
【0005】
そこで、特開平7−120984号公報では、紙詰まりの原因となった印刷用紙(ジャム紙ともいう)の下流部の印刷用紙を先に進ませて、排出トレイに排出させ、ジャム紙の上流部の印刷用紙は、空いている用紙停止部分に向けて移動させる処理を行い、ジャム紙のみを除去し、複写の動作を再開できるようにしている。
【特許文献1】特開平7−120984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡易な構成で紙詰まり発生時における除去作業を効率的に行うことのできる画像処理装置および記録媒体処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る画像処理装置は、記録媒体を挟んで搬送する対となる回転体で構成される搬送手段と、該搬送手段が複数にわたって設けられた搬送路と、前記搬送路上の一部において、前記搬送手段の対となる前記回転体を接触状態から離間状態に移行させる離間手段と、該離間手段によって前記回転体が離間された際に、前記記録媒体を貯留させる貯留部と、該貯留部に前記記録媒体を送り込む送込手段と、前記搬送路に沿って複数にわたって設けられ、前記記録媒体の搬送状況を検知する検知手段と、該検知手段の検出結果に基づいて前記離間手段および前記送込手段を動作させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明に係る画像処理装置は、請求項1に記載の発明について、前記貯留部は、前記記録媒体を少なくとも2枚以上貯留可能な空間を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明に係る画像処理装置は、請求項2に記載の発明について、前記制御手段は、前記貯留部に、前記記録媒体を2枚以上送り込むように前記送込手段を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明に係る画像処理装置は、請求項1から請求項3の何れかに記載の発明について、前記貯留部および前記送込手段は、前記搬送路の途中に2箇所以上設けられることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明に係る画像処理装置は、請求項1から請求項4の何れかに記載の発明について、前記送込手段は、前記貯留部に送り込む前記記録媒体に巻き癖を付与する巻癖付与手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明に係る画像処理装置は、請求項1から請求項5の何れかに記載の発明について、前記記録媒体に画像を転写する画像転写手段と、前記制御手段の制御により、該画像転写手段に対する前記記録媒体の位置決めを行う位置決め手段とを備え、前記制御手段は、前記位置決め手段による位置決めを行う際に、該位置決め手段の上流側にある前記回転体を前記離間手段によって離間させるように制御することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明に係る記録媒体処理プログラムは、記録媒体を対となる回転体で挟んで搬送する搬送処理過程と、搬送路上の一部において、前記回転体を接触状態から離間状態に移行させる離間処理過程と、貯留部に前記記録媒体を送り込む送込処理過程と、前記記録媒体の搬送状況を検知する検知処理過程と、該検知処理過程の検出結果に基づいて前記離間処理過程および前記送込処理過程を実行させる制御処理過程とを演算手段に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0015】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、簡易な構成で、記録媒体の詰まりが発生した際における除去作業を効率的に行うようにできる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、2枚以上の記録媒体の詰まりが発生した際における除去作業を効率的に行うようにできる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、2枚以上の記録媒体の詰まりが発生した際における除去作業を効率的に行うようにできる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、搬送路の途中に2箇所以上で記録媒体の詰まりが発生した際における除去作業を効率的に行うようにできる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、貯留部で記録媒体同士が干渉することを回避することができ、記録媒体の詰まりが発生した際における除去作業を効率的に行うようにできる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、位置決めを行う際に、記録媒体同士が干渉することを回避することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、記録媒体の詰まりが発生した際における除去作業を効率的に行うようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0023】
(第1の実施の形態)
【0024】
図1から図8を参照して、本発明についての第1の実施の形態に係る画像処理装置PR1について説明する。
【0025】
特に限定されないが、本実施の形態に係る画像形成装置PR1は、大型のフルカラープリンタであるものとする。
【0026】
図1に示すように、画像形成装置PR1において、用紙供給部1a、1bに記録媒体としての印刷用紙Pを格納し、ローラ3a、3bを介して用紙搬送部2に送り出される。
【0027】
なお、本説明においては、用紙供給部1a、1b側を上流、用紙供給部1a、1bから離れる側を下流というものとする。
【0028】
用紙供給部1a、1bから送り出された印刷用紙Pは、用紙合流部4で合流される。
【0029】
用紙合流部4の下流側には、後述する貯留部70や離間可能なローラ(回転体)R1a、R1b等を備える用紙停止部PS1が設けられている。
【0030】
用紙停止部PS1の下流には、画像転写手段としての画像転写部6が形成され、その上方には、搬送されて来た印刷用紙Pに画像を転写する転写ベルトBが複数のローラに掛け回されて設けられている。
【0031】
転写ベルトBの上方には、感光体ドラム等を備える画像形成装置15、レーザ露光装置16、トナー供給装置20等が設けられている。
【0032】
なお、画像形成装置15、レーザ露光装置16およびトナー供給装置20は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色に対応させて、それぞれ4つずつ並設されている。
【0033】
また、画像処理装置PR1の上面には、操作部Cとして各種情報を表示する液晶表示パネル等で構成される表示出力部17と、操作ボタン等を備える指示入力部18が設けられている。
【0034】
一方、画像転写部6の下流側には画像形成搬送部7が形成され、印刷用紙Pを吸引する機能を有する搬送装置8が設けられている。
【0035】
画像形成搬送部7の下流には、印刷用紙Pに形成されたトナー画像を定着させる画像定着装置9が設けられている。
【0036】
画像定着装置9の下流側には、画像を定着された印刷用紙Pを用紙排出搬送部12側と用紙反転搬送部13側とに振り分けるゲート機構Gおよび用紙待ち合わせ部11等を備える用紙振分部25が設けられている。
【0037】
また、用紙排出搬送部12および用紙反転搬送部13の手前には、印刷用紙Pの巻き癖を除去するデカーラ装置26、26’が設けられている。
【0038】
なお、図には現れないが、画像処理装置PR1の前面側のカバーは、手前側に開閉可能とされ、印刷用紙Pの紙詰り(ジャム)等が発生した場合には、ユーザが各部を操作して詰まった印刷用紙Pを取り除くことができるようになっている。
【0039】
特に、本実施の形態に係る画像処理装置PR1においては、用紙停止部PS1の下流側で紙詰まりが発生した場合には、用紙停止部PS1より上流側にある搬送中の印刷用紙Pは用紙停止部PS1の貯留部70に集積されるので、効率的に印刷用紙Pが回収される。
【0040】
また、図示は省略するが、用紙搬送部2、用紙合流部4、画像形成搬送部7、用紙振分部25、用紙排出搬送部12、用紙反転搬送部13等で構成される印刷用紙Pの搬送路に沿って、多数の用紙検知センサ(検知手段)が設けられている。この用紙検知センサによる用紙検知に基づいて、画像処理装置PR1の何れの位置で紙詰りが発生しているかを判定することができる。
【0041】
そして、詳細については後述するが、画像処理装置PR1の何れの位置で紙詰りが発生しているかの判定結果に基づいて、離間手段65および送込手段61を動作させるように制御している。
【0042】
次に、図2の構成ブロック図および図3の機能ブロック図を参照して、画像処理装置PR1の処理系等の構成について説明する。
【0043】
装置各部の制御を司るシステム制御部100は、例えばマイクロコンピュータ等で構成される。システム制御部100は、各種装置と接続されるI/O部31と、各種プログラムやデータ等を格納するROM32と、各種演算処理を行うCPU34と、CPU34の作業領域等を提供するRAM33とを備えている。
【0044】
I/O部31には、画像形成手段としてのプリントエンジン部35、用紙搬送部80が接続されている。
【0045】
また、用紙搬送部80は、ローラR1a、R1b等を駆動させるモータ41、用紙検知センサSE、用紙停止部PS1における離間手段としてソレノイドやモータ等のアクチュエータ40等で構成されている。
【0046】
また、システムバス101を介して、画像データに基づいて各種画像処理を行う画像処理部36、処理された画像データを格納する画像記憶部37、外部装置としてのスキャナ50を接続するスキャナインターフェイス部38、外部装置としてのホストコンピュータ51をLANなどのネットワークを介して接続され、印刷指示情報等を送受信する通信インターフェイス部39、各種指示を行う操作部Cなどが接続されている。
【0047】
なお、操作部Cは、前述のように、表示出力部17と指示入力部18を備えている。
【0048】
ここで、図4から図7を参照して、用紙停止部PS1の構成および作用について説明する。
【0049】
用紙停止部PS1には、所定の間隔で対向される搬送路構成部材71a、71bとの間に、貯留部70が形成されている。
【0050】
搬送路構成部材71a、71bは、特には限定されないが、樹脂や金属で形成された板状部材で構成され、奥行きは印刷用紙Pの幅が収まる寸法とされている。
【0051】
搬送路構成部材71a、71bとの所定の間隔は、特には限定されないが、少なくとも印刷用紙Pが2枚以上貯留可能な距離(例えば、5mm程度)とされる。
【0052】
なお、図6に示す例に係る貯留部70’では、より多く(例えば3〜5枚程度)の印刷用紙Pを貯留できるように、搬送路構成部材71a、71bとの所定の間隔は、例えば、10〜15mm程度とされている。
【0053】
搬送路構成部材71a、71bには、所定間隔で対となるローラ(回転体)R1a、R1bが複数組(図4から図7の例では3組)にわたって設けられている。なお、ローラR1a、R1bの設置数は、本実施の形態の3組に限定されず、画像処理装置PR1で使用する印刷用紙Pのサイズ等に合わせて適宜変更することが可能である。
【0054】
また、搬送路構成部材71aには、所定間隔で、用紙検知センサSEが設けられている。
【0055】
これにより、用紙検知センサSEを印刷用紙Pが通過するタイミングを測定することができ、用紙通過タイミングが所定のタイミングからずれている場合に、紙詰りが発生したと判定される。
【0056】
各ローラR1aは、矢印A方向に移動可能に回転軸67で支持されている。さらに、各ローラR1aは、通常状態において対向するローラR1bに対してバネ(図示省略)等により付勢されている。
【0057】
各ローラR1aの回転軸67には、ローラR1a自体を矢印A方向に移動させてローラR1bと離間させる離間手段としての作動子65が回転軸66に固設されて揺動されるようになっている。なお、作動子65および回転軸66は、図4から図7には現れないソレノイドまたはモータ等のアクチュエータ40(図2参照)によって、システム制御部100の制御に基づいて所定のタイミングで矢印A方向に回動されるように構成されている。
【0058】
また、用紙停止部PS1の下流側には送込手段61としての一対のローラ60a、60bが設けられており、システム制御部100の制御に基づいて所定のタイミングで、到来した印刷用紙Pを貯留部70に送り込むように構成されている。
【0059】
各ローラR1bは、回転軸76に巻き掛けられたベルト75aを介して、モータ41およびベルト75b等で構成される駆動源に接続されて、回転駆動されるようになっている。
【0060】
用紙停止部PS1の下流側には、一対の搬送ローラ62a、62bが設けられている。
【0061】
そして、用紙検知センサSEの検知結果により紙詰り等が発生していないと判定されている通常状態において、用紙停止部PS1は、図4に示すように、各ローラR1aは対向するローラR1bに対して付勢された状態とされ、送込手段61のローラ60a、60bおよび搬送ローラ62a、62bと協働して、到来した印刷用紙Pを上流側から下流側に搬送する。
【0062】
一方、用紙検知センサSEの検知結果により紙詰り等が発生したと判定された場合には、システム制御部100の制御により、アクチュエータ40を作動させて作動子65および回転軸66を矢印A方向に回動させる。これにより、図5または図6に示すように、ローラR1a自体が矢印A方向に移動されて、ローラR1bと離間された状態となる。この際に、ローラR1bおよび搬送ローラ62bの回転は停止させるとよい。
【0063】
また、送込手段61としてのローラ60a、60bは、駆動を継続され、用紙停止部PS1より上流側から到来する印刷用紙Pを順次、貯留部70、70’に送り込んで、保持する。
【0064】
次いで、ユーザは、画像処理装置PR1のカバーを開けて、用紙停止部PS1の貯留部70、70’に貯留されている印刷用紙Pを一括して回収する。
【0065】
なお、操作部Cの表示出力部17において、紙詰りが発生したことをユーザに報知するメッセージ等を表示するようにして、詰まった用紙の除去を促すようにしてもよい。
【0066】
このように、従来のように、紙詰り発生時において、ユーザが搬送路の複数箇所で停止した印刷用紙Pを回収する手間が省かれ、除去作業が効率的に行われる。
【0067】
次に、図7を参照して、用紙停止部PS1’の他の構成例について説明する。
【0068】
この構成例では、用紙停止部PS1’の上流側に、貯留部70に送り込む印刷用紙Pに巻き癖を付与する巻癖付与手段90が設けられている。なお、巻癖付与手段90は、デカーラ装置を兼ねるようにしてもよい。
【0069】
巻癖付与手段90は、巻き癖(カール)を印刷用紙Pにつける一対のローラ91a、91bで構成され、図7に示す例では、印刷用紙Pに図上、上向きの巻き癖をつけるようになっている。なお、巻き癖は、下向きに付けるようにしてもよい。
【0070】
これにより、貯留部70に先に貯留されている印刷用紙Pに対して、後続の印刷用紙Pの先端が干渉する虞が軽減される。
【0071】
ここで、図8のフローチャートを参照して、画像処理装置PR1で実行される印刷用紙貯留処理の処理手順について説明する。
【0072】
まず、ステップS10で、用紙検知センサSEの検知結果に基づいて紙詰り発生か否かが判定され、「No」の場合には待機し、「Yes」の場合にはステップS11に移行する。
【0073】
ステップS11では、用紙検知センサSEの検知結果に基づいて、紙詰りを起こした用紙は用紙停止部PS1より下流か否かが判定され、「No」の場合にはステップS12に移行し、「Yes」の場合にはステップS13に移行する。
【0074】
ステップS12では、用紙停止部PS1の各ローラR1a、R1bを離間させずに、印刷用紙Pの搬送を継続して処理を終了する。
【0075】
一方、ステップS13では、用紙停止部PS1の各ローラR1a、R1bを離間させてからステップS14に移行する。
【0076】
ステップS14では、送込手段61のローラ60a、60bを作動させて用紙停止部PS1の貯留部70、70’に印刷用紙Pを送り込む。
【0077】
ステップS15では、搬送可能な印刷用紙Pの搬送が終了したか否かが判定され、「No」の場合にはステップS14に戻り、「Yes」の場合には処理を終了する。
【0078】
この処理終了後に、ユーザは、画像処理装置PR1のカバーを開けて、用紙停止部PS1の貯留部70、70’に貯留されている印刷用紙Pを一括して回収することとなる。
【0079】
なお、本実施の形態における用紙停止部PS1、PS2は、画像転写部6に対する印刷用紙Pの位置決めを行う位置決め手段を兼ねるようにできる。この場合には、用紙検知センサSEで印刷用紙Pを検知したタイミングを基準として用紙搬送ローラを駆動して印刷用紙Pを移動させたり、印刷用紙Pを加速、減速したりすることが可能となる。
【0080】
上記構成とする場合には、用紙停止部PS1、PS2の上流側にあるローラR1aを離間手段によって離間させるように制御することにより、位置決めがより確実に行われる。
【0081】
(第2の実施の形態)
【0082】
図9から図12を参照して、本発明についての第2の実施の形態に係る画像処理装置PR2について説明する。
【0083】
第2の実施の形態に係る画像処理装置PR2の主要な構成は、第1の実施の形態に係る画像処理装置PR1と同様であるので、同一符号を付して説明は省略する。
【0084】
画像処理装置PR2が、画像処理装置PR1と異なる点は、用紙停止部PS1に加えて、ゲート機構Gおよび用紙待ち合わせ部11の付近に用紙停止部PS2を備えている点である。
【0085】
これにより、紙詰りの発生位置に応じて印刷用紙Pを用紙停止部PS1または用紙停止部PS2に貯留することができ、印刷用紙Pの除去作業がより効率的になる。
【0086】
図10から図12を参照して、用紙停止部PS2の構成について説明する。
【0087】
用紙停止部PS2には、所定の間隔で対向される搬送路構成部材151a、151bとの間に、貯留部150が形成されている。
【0088】
搬送路構成部材151a、151bは、特には限定されないが、樹脂や金属で形成された板状部材で構成され、奥行きは印刷用紙Pの幅が収まる寸法とされている。
【0089】
搬送路構成部材151a、151bとの所定の間隔は、特には限定されないが、少なくとも印刷用紙Pが2枚以上貯留可能な距離(例えば、5mm程度)とされる。
【0090】
搬送路構成部材151a、151bには、対となるローラ(回転体)R2a、R2bが1組設けられている。なお、ローラR2a、R2bの設置数は、本実施の形態の1組に限定されず、画像処理装置PR1で使用する印刷用紙Pのサイズ等に合わせて適宜変更することが可能である。
【0091】
ローラR2aは、矢印C方向に移動可能に回転軸105で支持されている。さらに、ローラR2aは、通常状態において対向するローラR2bに対してバネ(図示省略)等により付勢されている。
【0092】
各ローラR1aの回転軸105には、ローラR2a自体を矢印C方向に移動させてローラR2bと離間させる離間手段としての作動子101が回転軸102に固設されて揺動されるようになっている。なお、作動子101および回転軸102は、図には現れないソレノイドまたはモータ等のアクチュエータ40(図2参照)によって、システム制御部100の制御に基づいて所定のタイミングで矢印C方向に回動されるように構成されている。
【0093】
用紙停止部PS1の下方には、印刷用紙Pを用紙反転搬送部13に搬送するローラ対160a、160bが設けられている。
【0094】
ローラR2bとローラ160bは、回転軸106、162に巻き掛けられたベルト161aを介して、モータ110およびベルト161b等で構成される駆動源に接続されて、回転駆動されるようになっている。なお、貯留部150に印刷用紙Pが貯留される際には、システム制御部100の制御により、モータ110を停止させ、印刷用紙Pが用紙反転搬送部13側に搬送されないようにする。
【0095】
印刷用紙Pを用紙排出搬送部12側と用紙反転搬送部13側とに振り分けるゲート機構Gは、システム制御部100の制御により所定のタイミングで矢印D、E方向に揺動されるゲート部材G1、G2を備えている。
【0096】
そして、用紙検知センサSEの検知結果により、紙詰りが発生していない通常状態において、用紙停止部PS2のローラR2aは、図11に示すように、ローラR2bに接触され、ゲート機構Gを介して到来する印刷用紙Pは、矢印F向きに搬入された後、矢印H方向に搬出される。
【0097】
一方、用紙検知センサSEの検知結果により紙詰り等が発生したと判定された場合には、システム制御部100の制御により、アクチュエータ40を作動させて作動子101および回転軸102を矢印C方向に回動させる。これにより、図12に示すように、ローラR2a自体が矢印C方向に移動されて、ローラR2bと離間された状態となる。この際に、ローラR2bおよびローラ160bの回転は停止させる。
【0098】
これにより、ゲート機構Gを介して到来した印刷用紙Pは、自重で落下して、貯留部150に貯留される。
【0099】
次いで、ユーザは、画像処理装置PR2のカバーを開けて、用紙停止部PS2の貯留部に貯留されている印刷用紙Pを一括して回収する。
【0100】
なお、操作部Cの表示出力部17において、紙詰りが発生したことをユーザに報知するメッセージ等を表示するようにして、詰まった用紙の除去を促すようにしてもよい。
【0101】
このように、従来のように、紙詰り発生時において、ユーザが搬送路の複数箇所で停止した印刷用紙Pを回収する手間が省かれ、除去作業が効率的に行われる。
【0102】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0103】
例えば、第2の実施の形態では、2箇所の用紙停止部PS1、PS2を設ける場合について説明したが、3箇所以上の用紙停止部を設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明による画像処理装置および記録媒体処理プログラムは、複写装置、レーザプリンタ、フルカラープリンタ、複合機、ファクシミリ装置等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】第1の実施の形態に係る画像処理装置PR1の構成を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る画像処理装置PR1の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態に係る画像処理装置PR1の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】用紙停止部PS1の構成を示す概略構成図である。
【図5】用紙停止部PS1の構成を示す概略構成図である。
【図6】用紙停止部PS1の構成を示す概略構成図である。
【図7】用紙停止部PS1’の構成を示す概略構成図である。
【図8】印刷用紙貯留処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態に係る画像処理装置PR2の構成を示す概略構成図である。
【図10】用紙停止部PS2の構成を示す概略構成図である。
【図11】用紙停止部PS2の構成を示す概略構成図である。
【図12】用紙停止部PS2の構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0106】
PR1、PR2 画像処理装置
1a、1b 用紙供給部
2 用紙搬送部(搬送路)
3a ローラ(搬送手段)
4 用紙合流部
6 画像転写部(画像転写手段)
7 画像形成搬送部
8 搬送装置
9 画像定着装置
12 用紙排出搬送部
13 用紙反転搬送部
15 画像形成装置
16 レーザ露光装置
17 表示出力部
18 指示入力部
20 トナー供給装置
25 用紙振分部
26、26’ デカーラ装置
35 プリントエンジン部
36 画像処理部
37 画像記憶部
38 スキャナインターフェイス部
39 通信インターフェイス部
40 アクチュエータ(離間手段)
41 モータ
50 スキャナ
51 ホストコンピュータ
60a ローラ
61 送込手段
62a 搬送ローラ
62b 搬送ローラ
65 離間手段
65 作動子
66 回転軸
67 回転軸
70 貯留部
71a 搬送路構成部材
75a、75b ベルト
76 回転軸
90 巻癖付与手段
91a ローラ
100 システム制御部(制御手段)
101 システムバス
101 作動子
102、105、106 回転軸
110 モータ
150 貯留部
151a 搬送路構成部材
160a ローラ
160b ローラ
161a、161bベルト
PS1、PS2 用紙停止部
B 転写ベルト
C 操作部
G ゲート機構
G1、G2 ゲート部材
P 印刷用紙(記録媒体)
SE 用紙検知センサ(検知手段、位置決め手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を挟んで搬送する対となる回転体で構成される搬送手段と、
該搬送手段が複数にわたって設けられた搬送路と、
前記搬送路上の一部において、前記搬送手段の対となる前記回転体を接触状態から離間状態に移行させる離間手段と、
該離間手段によって前記回転体が離間された際に、前記記録媒体を貯留させる貯留部と、
該貯留部に前記記録媒体を送り込む送込手段と、
前記搬送路に沿って複数にわたって設けられ、前記記録媒体の搬送状況を検知する検知手段と、
該検知手段の検出結果に基づいて前記離間手段および前記送込手段を動作させる制御手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記貯留部は、前記記録媒体を少なくとも2枚以上貯留可能な空間を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記貯留部に、前記記録媒体を2枚以上送り込むように前記送込手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記貯留部および前記送込手段は、前記搬送路の途中に2箇所以上設けられることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記送込手段は、前記貯留部に送り込む前記記録媒体に巻き癖を付与する巻癖付与手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記記録媒体に画像を転写する画像転写手段と、
前記制御手段の制御により、該画像転写手段に対する前記記録媒体の位置決めを行う位置決め手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記位置決め手段による位置決めを行う際に、該位置決め手段の上流側にある前記回転体を前記離間手段によって離間させるように制御することを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
記録媒体を対となる回転体で挟んで搬送する搬送処理過程と、
搬送路上の一部において、前記回転体を接触状態から離間状態に移行させる離間処理過程と、
貯留部に前記記録媒体を送り込む送込処理過程と、
前記記録媒体の搬送状況を検知する検知処理過程と、
該検知処理過程の検出結果に基づいて前記離間処理過程および前記送込処理過程を実行させる制御処理過程と、
を演算手段に実行させることを特徴とする記録媒体処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−76861(P2010−76861A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244737(P2008−244737)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】