説明

画像処理装置の重複設定防止システム、画像処理装置、画像処理装置の重複設定防止プログラム。

【課題】リムーバブルメモリを接続して画像処理装置の設定変更を行う際に、重複設定を防止できるシステムを提供する。
【解決手段】リムーバブルメモリに格納された、画像処理装置を設定するための設定ファイルと、リムーバブルメモリに格納され、設定ファイルによる設定を受けた画像処理装置の履歴情報とを備える。また、リムーバブルメモリが装着された際に履歴情報を読み出して、設定ファイルによる設定が既になされたか否かを判断する判断手段と、判断手段により、設定がなされていないと判断された場合に、設定ファイルによる設定を行う設定手段と、その設定が完了した後に、該設定を受けたことをリムーバブルメモリの履歴情報に記録する履歴情報記録手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置の重複設定防止システム、画像処理装置、画像処理装置の重複設定防止プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
FAXやコピー機等の画像処理装置には操作キーや表示部が設けられている。画像処理装置の設定変更をする際には、設定変更メニューが表示部に表示され、ユーザはそのメニューを見ながら操作キーを操作して設定変更を行う。例えば用紙の向きを変えたり、印刷倍率を変えたりする設定変更を行う。
【0003】
一方、画像処理装置の内蔵プログラムを変更したり追加したりする際には、USBメモリ等の着脱可能な記憶媒体(リムーバブルメモリ)が用いられる。すなわち、新しいプログラムを記憶したリムーバブルメモリを画像処理装置に接続して、そのプログラムを読み取らせて内蔵プログラムの書き換えを行う。また、内蔵パラメータ(用紙の大きさや向き等の設定)の変更をする場合でも、変更対象となる画像処理装置が多いときは、作業を楽に行うために、新しいパラメータを記憶したリムーバブルメモリを画像処理装置に接続して、そのパラメータを読み取らせて内蔵パラメータの書き換えを行う。
【0004】
例えば下記特許文献1には、ファームウエアの書き換え機能を備えたUSB装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−117778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多数の画像処理装置の設定変更をする場合は、一つ一つ手作業で行うと大変な労力が必要となるが、リムーバブルメモリを用いることにより、少ない労力で設定変更が可能となる。
【0006】
しかし従来は、リムーバブルメモリを使って設定を行った後、誤って同じ設定を再度行った場合、重複設定がされてしまい、時間を無駄に費やしていた。また、そのようなことが発生しても、ユーザに報知することができなかった。そのため、重複設定がされても、ユーザが気づかないという問題があった。
【0007】
本発明は上述のような事情を背景としてなされたもので、特に、リムーバブルメモリを接続して画像処理装置の設定変更を行う際に、重複設定を防止できるシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明は、
リムーバブルメモリが装着される画像処理装置の重複設定を防止するシステムであって、
前記リムーバブルメモリに格納された、前記画像処理装置を設定するための設定ファイルと、
前記リムーバブルメモリに格納された、前記設定ファイルによる設定を受けた前記画像処理装置の履歴情報と、
前記リムーバブルメモリが装着された際に、前記履歴情報を読み出して、前記設定ファイルによる設定が既になされたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記設定がなされていないと判断された場合に、前記設定ファイルによる設定を行う設定手段と、
その設定が完了した後に、該設定を受けたことを前記リムーバブルメモリの前記履歴情報に記録する履歴情報記録手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置の重複設定防止システムである。
【0009】
上記発明によると、設定ファイルによる設定を受けた画像処理装置の履歴情報がリムーバブルメモリに記憶されている。そのリムーバブルメモリを画像処理装置に装着すると、設定を行う前に履歴情報を読み出して、設定が既になされたか否かを判断する。設定されていないと判断された場合は、設定ファイルによる設定を行う。そして、その設定ファイルによる設定を行ったことを履歴情報に記録する。これにより、未だ設定を受けていない画像処理装置のみ、設定を行うことができる。そのため、重複設定を防止できる。
【0010】
請求項2記載の発明は、
前記判断手段により、前記設定が既になされていると判断された場合に、設定済みであることを報知する報知手段を備える画像処理装置の重複設定防止システムである。
【0011】
上記発明によると、リムーバブルメモリを画像処理装置に装着した際に、設定を行う前に履歴情報が読み出され、設定が既になされたか否かが判断される。既に設定がされている場合は、設定済みであることが報知されるため、ユーザは誤った設定操作をしていることを認識できる。
【0012】
また、履歴情報を画像処理装置側で記憶すると、記憶装置の空き容量が少なくなる問題が生じるが、上記発明では履歴情報をリムーバブルメモリに記憶しているため、このような問題が生じない。
【0013】
請求項3記載の発明は、
前記履歴情報は、前記設定ファイルを特定する情報と、前記画像処理装置を特定する情報とが対応付けられたものであり、
前記判断手段は、前記リムーバブルメモリに格納されている前記設定ファイルを特定する情報と、前記設定を受ける前記画像処理装置を特定する情報とが、前記履歴情報の中に対応付けて含まれているかどうかを判断することにより、前記設定が既になされたか否かを判断する画像処理装置の重複設定防止システムである。
【0014】
上記発明によると、履歴情報は、設定ファイルを特定する情報と、画像処理装置を特定する情報とが対応付けられたものである。設定ファイルを特定する情報とは、例えばGUID(Global Unique Identifier)であり、画像処理装置を特定する情報とは、例えばシリアル番号である。これらの情報を対応付けて使用することにより、履歴情報の一意性を高めることができる。そのため、重複設定が行われた場合、確実に検知できる。
【0015】
請求項4記載の発明は、
前記報知手段による報知がされた後に、前記画像処理装置を待機状態に移行させる待機状態移行手段を備える画像処理装置の重複設定防止システムである。
【0016】
上記発明によると、設定済みの報知がされた後に、画像処理装置の設定モードに移行せず、待機状態に移行する。そのため、誤って設定を行うことがなくなる。
【0017】
請求項5記載の発明は、
画像処理装置を設定するための設定ファイルと、その設定ファイルによる設定を受けた画像処理装置の履歴情報とが格納されたリムーバブルメモリが装着される装着部と、
該リムーバブルメモリが装着されたことを検出する装着検出手段と、
前記リムーバブルメモリが装着された際に、前記履歴情報を読み出して、前記設定ファイルによる設定が既になされたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記設定がなされていないと判断された場合に、前記設定ファイルによる設定を行う設定手段と、
その設定が完了した後に、該設定を受けたことを前記リムーバブルメモリの前記履歴情報に記録する履歴情報記録手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0018】
上記発明によると、設定ファイルによる設定を受けた画像処理装置の履歴情報がリムーバブルメモリに記憶されている。そのリムーバブルメモリを画像処理装置に装着すると、設定を行う前に履歴情報を読み出して、設定が既になされたか否かを判断する。設定されていないと判断された場合は、設定ファイルによる設定を行う。そして、その設定ファイルによる設定を行ったことを履歴情報に記録する。これにより、未だ設定を受けていない画像処理装置のみ、設定を行うことができる。そのため、重複設定を防止できる。
【0019】
請求項6記載の発明は、
前記判断手段により、前記設定が既になされていると判断された場合に、設定済みであることを報知する報知手段を備える画像処理装置である。
【0020】
上記発明によると、リムーバブルメモリを画像処理装置に装着した際に、設定を行う前に履歴情報が読み出され、設定が既になされたか否かが判断される。既に設定がされている場合は、設定済みであることが報知されるため、ユーザは誤った設定操作をしていることを認識できる。
【0021】
請求項7記載の発明は、
自己を特定する情報を記憶する特定情報記憶手段を備え、
前記履歴情報は、前記設定ファイルを特定する情報と、その設定ファイルによる設定を受けた装置を特定する情報とが対応付けられたものであり、
前記判断手段は、前記リムーバブルメモリに格納されている前記設定ファイルを特定する情報と、前記特定情報記憶手段に記憶されている前記自己を特定する情報とが前記履歴情報の中に対応付けて含まれているかどうかを判断することにより、前記設定が既になされたか否かを判断する画像処理装置である。
【0022】
上記発明によると、履歴情報は、設定ファイルを特定する情報と、画像処理装置を特定する情報とが対応付けられたものである。これにより、履歴情報の一意性を高めることが可能となり、重複設定を防止できる。
【0023】
請求項8記載の発明は、
前記報知手段による報知がされた後に、前記画像処理装置を待機状態に移行させる待機状態移行手段を備える画像処理装置である。
【0024】
上記発明によると、設定済みの報知がされた後に、画像処理装置の設定モードに移行せず、待機状態に移行する。そのため、誤って設定を行うことがなくなる。
【0025】
請求項9記載の発明は、
リムーバブルメモリが装着される画像処理装置の重複設定を防止するプログラムであって、
前記リムーバブルメモリには、前記画像処理装置を設定するための設定ファイルと、その設定ファイルによる設定を受けた前記画像処理装置の履歴情報とが格納されており、
前記リムーバブルメモリが装着されたことを検出する装着検出手段と、
前記リムーバブルメモリが装着された際に、前記履歴情報を読み出して、前記設定ファイルによる設定が既になされたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記設定がなされていないと判断された場合に、前記設定ファイルによる設定を行う設定手段と、
その設定が完了した後に、該設定を受けたことを前記リムーバブルメモリの前記履歴情報に記録する履歴情報記録手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置の重複設定防止プログラムである。
【0026】
上記発明によると、設定ファイルによる設定を受けた画像処理装置の履歴情報がリムーバブルメモリに記憶されている。そのリムーバブルメモリを画像処理装置に装着すると、設定を行う前に履歴情報を読み出して、設定が既になされたか否かを判断する。設定されていないと判断された場合は、設定ファイルによる設定を行う。そして、その設定ファイルによる設定を行ったことを履歴情報に記録する。これにより、未だ設定を受けていない画像処理装置のみ、設定を行うことができる。そのため、重複設定を防止できる。
【0027】
請求項10記載の発明は、前記判断手段により、前記設定が既になされていると判断された場合に、設定済みであることを報知する報知手段を備える画像処理装置の重複設定防止プログラムである。
【0028】
上記発明によると、リムーバブルメモリを画像処理装置に装着した際に、設定を行う前に履歴情報が読み出され、設定が既になされたか否かが判断される。既に設定がされている場合は、設定済みであることが報知されるため、ユーザは誤った設定操作をしていることを認識できる。
【0029】
請求項11記載の発明は、
前記履歴情報は、前記設定ファイルを特定する情報と、前記画像処理装置を特定する情報とが対応付けられたものであり、
前記判断手段は、前記リムーバブルメモリに格納されている前記設定ファイルを特定する情報と、前記設定を受ける前記画像処理装置を特定する情報とが、前記履歴情報の中に対応付けて含まれているかどうかを判断することにより、前記設定が既になされたか否かを判断する画像処理装置の重複設定防止プログラムである。
【0030】
上記発明によると、履歴情報は、設定ファイルを特定する情報と、画像処理装置を特定する情報とが対応付けられたものである。これにより、履歴情報の一意性を高めることが可能となり、重複設定を防止できる。
【0031】
請求項12記載の発明は、
前記報知手段による報知がされた後に、前記画像処理装置を待機状態に移行させる待機状態移行手段を備える画像処理装置の重複設定防止プログラムである。
【0032】
上記発明によると、設定済みの報知がされた後に、画像処理装置の設定モードに移行せず、待機状態に移行する。そのため、誤って設定を行うことがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
以下、FAX機能、コピー機能、スキャナ機能を備えた複合機を画像処理装置の例として用いるが、本発明を実施する上でこれらの全ての機能を備える必要はなく、少なくとも一つの機能を備えていれば足りる。
【0034】
図1は画像処理装置2のブロック図である。図示するように、画像処理装置2はCPU6,RAM7,ROM8,ゲートアレイ9,NCU(Network Control Unit:網制御装置)10,モデム11,EEPROM12(本発明の特定情報記憶手段),コーデック13,DMAC(Direct Memory Access Controller)14などを含んで構成されている。これらの部品はバスライン20により相互に接続されている。バスライン20には、アドレスバス、データバス、および制御信号線が含まれる。また、ゲートアレイ9には読取部15、印刷部16、操作部22、表示部17、リムーバブルメモリ3を装着するインターフェース(I/F)部18、及び外部接続部19が接続されている。NCUには、電話回線21が接続されている。
【0035】
リムーバブルメモリ3は例えばUSBメモリやスマートメディア、コンパクトフラッシュ(登録商標)、小型HDD等の記憶媒体であり、I/F部18に着脱自在に装着されている。図2に示すように、リムーバブルメモリ3には設定ファイル4と履歴ファイル5(本発明の履歴情報)が記憶されている。設定ファイル4には、用紙の大きさや向き等を設定するためのパラメータが記憶されている。設定ファイル4は、設定内容を一意に特定できる情報を含むようになっている。例えば、設定ファイル4のファイル名にGUIDが使われる。GUIDは、全世界で一意に定められた識別子である。これを用いることにより、設定ファイル4を作成する度に異なるファイル名を付けることができ、設定ファイル4の一意性を高めることが可能となる。
【0036】
一方、履歴ファイル5には、設定ファイル4による設定がされた画像処理装置2の履歴が記憶されている。履歴ファイル5のデータ構造を図3に示す。履歴ファイル5は、設定ファイル4の設定内容を一意に特定できる情報(本発明ではファイル名33)と、画像処理装置2を一意に特定できる情報(本発明ではシリアル番号34)とが対応付けられている。設定ファイル4のファイル名33には、上述したようにGUIDが使用される。シリアル番号34は画像処理装置2の製造メーカによって付けられるもので、画像処理装置2を一意に特定する番号である。
【0037】
このように、履歴ファイル5は、設定ファイル4を一意に特定する情報(ファイル名33)と、画像処理装置2を一意に特定する情報の組からなっている。これにより、履歴情報の一意性を高めることが可能となり、重複設定を防止できる。
【0038】
上述したように、設定ファイル4を作成する度に異なるファイル名33が付けられる。その設定ファイル4で個々の画像処理装置2の設定をすると、履歴ファイル5に履歴が残る。例えば図3では、ファイル名「CD91D40A-B9D8-475f-92C0-BAD6D71E5792.set」によりシリアル番号”00001”,”00002”,”00245”の画像処理装置2が設定された後、別のファイル名「D155AE5A-5A9E-465b-AD18-B27AFF88365C.set」によりシリアル番号”00002”の画像処理装置2が設定されている。さらにその後、ファイル名「1BC7500D-C962-40c5-995A-6C104678B5F2.set」によりシリアル番号”00002”以下7台の画像処理装置2の設定がされている。
【0039】
この履歴ファイル5は、画像処理装置2内の記憶媒体(例えばEEPROM12)に記憶することもできるが、空き容量が少なくなるため、本発明のようにリムーバブルメモリ3に記憶することが望ましい。また、リムーバブルメモリ3に記憶することで、複数の画像処理装置2の履歴を一元管理することが可能となる。
【0040】
一方、図4に示すように、ROM8には装着検出プログラム8a、判断プログラム8b、報知プログラム8c、待機状態移行プログラム8d、設定プログラム8e、履歴情報記録プログラム8f等の各種プログラムが記憶されている。
【0041】
装着検出プログラム8aは、リムーバブルメモリ3がI/F部18に装着されたことを検出するプログラムである。判断プログラム8bは、リムーバブルメモリ3が装着された際に、履歴ファイル5を読み出して、設定ファイル4による設定が既になされたか否かを判断するプログラムである。具体的には、設定ファイル4を特定する情報(ファイル名33)を読み出して、その情報と自己を特定する情報(シリアル番号34)の組が履歴ファイル5に記録されているか否かを判断する。その組が履歴ファイル5に記録されていれば、既に設定ファイル4による設定がされていることになる。
【0042】
また、報知プログラム8cは、設定ファイル4による設定が既になされていると判断された場合に、設定済みであることを報知するプログラムである。待機状態移行プログラム8dは、報知がされた後に、画像処理装置2を待機状態に移行させるプログラムである。設定プログラム8eは、設定ファイル4による設定が未だ行われていないと判断された場合に、設定ファイル4を読み出して設定を行うプログラムである。履歴情報記録プログラム8fは、設定が終了したことをリムーバブルメモリ3の履歴ファイル5に記録するプログラムである。
【0043】
これら装着検出プログラム8a、判断プログラム8b、報知プログラム8c、待機状態移行プログラム8d、設定プログラム8e、履歴情報記録プログラム8fをCPU6が実行することにより、本発明の装着検出手段、判断手段、報知手段、待機状態移行手段、設定手段、履歴情報記録手段がそれぞれ実現される。
【0044】
図1に戻る。NCU10は公衆電話回線21に接続されて回線の接続/切断等の網制御を行うものである。また、RAM7はCPU6の作業領域や、読み取った画像の展開領域用ラインバッファメモリなどとして用いられる。モデム11は、ファクシミリデータの変調や復調などを行う。ROM8は図4に示す各種プログラムの他、設定値などのデータを記憶している。コーデック13はファクシミリデータの符号化や復号化を行う。DMAC14は、主にRAM7へのデータの書き込みや読み出しを行う。
【0045】
ゲートアレイ9は、CPU6と読取部15等の各部との入出力インターフェースとして機能する。読取部15は、イメージセンサやLED光源などを備え、原稿などから文字や図形などの画像を読み取る。印刷部16は、たとえばインクジェット方式あるいはレーザー方式などにより、文字や図形などの画像を印刷する。操作部22は、テンキーや文字キーなどのキースイッチ群を備え、ユーザのキー操作に応じた指令をCPU6に伝える。表示部17は、LCDなどのパネルを備え、動作状態や操作ガイダンス、縮小画像などを表示する。外部接続部19は、たとえばセントロニクスパラレルインターフェイス、あるいはUSB(Universal Serial Bus)などといった規格に対応する接続ポートを備えている。
【0046】
EEPROM12には、図5に示すように設定情報12aとシリアル番号34が記憶されている。設定情報12aは、画像処理装置2の設定に関する情報で、設定変更によって書き換えられるものである。シリアル番号34は、上述したように個々の画像処理装置2を特定する情報である。
【0047】
次に、パーソナルコンピュータ(PC)23のブロック図を図6に示す。PC23は周知のCPU24、RAM25、ROM26、HDD27、I/O28、I/F部31、これらを繋ぐバスライン32を含む。I/O28にはキーボード等の入力装置29と、液晶パネル等の表示装置30が接続されている。また、I/F部31にはリムーバブルメモリ3が装着される。
【0048】
HDD27にはOS27aおよび設定ファイル作成プログラム27bが記憶されている。OS27aはPC23の基本ソフトウエアで、GUIDを生成するプログラム(図示しない)が組み込まれている。また、設定ファイル作成プログラム27bは設定ファイル4を作成するためのプログラムである。
【0049】
PC23で設定ファイル4を作成する際のフローチャートを図7に示す。まずステップS1では、上述の設定ファイル作成プログラム27bが実行され、ユーザが入力装置29を使って入力を行うことにより、設定ファイル4が作成される。その後S2に移り、設定を一意に特定できる情報を付加して、設定ファイル4をリムーバブルメモリ3に保存する。例えば、GUIDを使って設定ファイル4のファイル名33を付ける。
【0050】
次に、装着検出プログラム8a、判断プログラム8b、報知プログラム8c、待機状態移行プログラム8d、設定プログラム8e、履歴情報記録プログラム8fの動作を、図8のフローチャートを用いて説明する。まずステップS3で、リムーバブルメモリ3が装着されたか否かを判断する。ここでNoの場合はプリンタ待機状態に戻り、Yesの場合はS4に移る。S4では、リムーバブルメモリ3内に設定ファイル4が存在するか否かを判断する。
【0051】
S4でNoの場合はプリンタ待機状態に戻り、Yesの場合はS5に移る。S5では、リムーバブルメモリ3内に存在する設定ファイル4を用いて、既にプリンタ設定がされたことがあるか否かを判断する。より詳しくは、画像処理装置2を特定する情報(シリアル番号34)と、リムーバブルメモリ3内の設定ファイル4のファイル名33との組が、履歴ファイル5に記録されているか否かを判断する(図3参照)。履歴ファイル5に記録されていれば既に設定されている(Yes)、記録されていなければ設定されていない(No)と判断する。
【0052】
S5でYesと判断された場合はS8へ移動し、重複した設定をしようとしていることを報知する。例えば、表示部17に表示して警告したり、音声による警告をしたりする。これにより、重複設定を防止することが可能となる。S8の処理を行った後は、設定画面を表示せずに、プリンタ待機状態に移行する。そのため、警告に気づかないで設定を行うことが無くなる。
【0053】
S5でNoと判断された場合はS6へ移動し、設定ファイル4の内容を用いて画像処理装置2の設定を行う。より詳しくは、リムーバブルメモリ3に格納されている設定ファイル4を読み取って、EEPROM12に記憶している設定情報12a(図5参照)を書き換える。
【0054】
S6の処理の後S7に移り、設定ファイル4によって本画像処理装置2が既に設定されていることを履歴ファイル5に記録する。すなわち、設定ファイル4内のファイル名33と、自己のシリアル番号34とを組にして、履歴ファイル5に記録する。これにより、同じ設定ファイル4で同じ画像処理装置2を再び設定しようとした時に、その旨を報知することが可能となる。
【0055】
以上説明したように本発明は、リムーバブルメモリ3に設定ファイル4と履歴ファイル5が記憶されており、そのリムーバブルメモリ3を画像処理装置2に装着した際に、設定ファイル4を特定する情報(ファイル名33)と、画像処理装置2を特定する情報(シリアル番号34)との組が履歴ファイル5に記録されているか否かを判断し、記録されている場合に報知する。そのため、重複設定を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】画像処理装置のブロック図。
【図2】リムーバブルメモリに記憶されている情報。
【図3】履歴ファイルの例。
【図4】ROMに記憶されているプログラム。
【図5】EEPROMに記憶されている情報。
【図6】パーソナルコンピュータのブロック図。
【図7】パーソナルコンピュータのフローチャート。
【図8】画像処理装置のフローチャート。
【符号の説明】
【0057】
1 重複設定防止システム
2 画像処理装置
3 リムーバブルメモリ
4 設定ファイル
5 履歴ファイル(履歴情報)
8a 装着検出プログラム
8b 判断プログラム
8c 報知プログラム
8d 待機状態移行プログラム
8e 設定プログラム
8f 履歴情報記録プログラム
12 EEPROM(特定情報記憶手段)
12a 設定情報
33 設定ファイル4のファイル名
34 シリアル番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リムーバブルメモリが装着される画像処理装置の重複設定を防止するシステムであって、
前記リムーバブルメモリに格納された、前記画像処理装置を設定するための設定ファイルと、
前記リムーバブルメモリに格納された、前記設定ファイルによる設定を受けた前記画像処理装置の履歴情報と、
前記リムーバブルメモリが装着された際に、前記履歴情報を読み出して、前記設定ファイルによる設定が既になされたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記設定がなされていないと判断された場合に、前記設定ファイルによる設定を行う設定手段と、
その設定が完了した後に、該設定を受けたことを前記リムーバブルメモリの前記履歴情報に記録する履歴情報記録手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置の重複設定防止システム。
【請求項2】
前記判断手段により、前記設定が既になされていると判断された場合に、設定済みであることを報知する報知手段を備える請求項1記載の画像処理装置の重複設定防止システム。
【請求項3】
前記履歴情報は、前記設定ファイルを特定する情報と、前記画像処理装置を特定する情報とが対応付けられたものであり、
前記判断手段は、前記リムーバブルメモリに格納されている前記設定ファイルを特定する情報と、前記設定を受ける前記画像処理装置を特定する情報とが、前記履歴情報の中に対応付けて含まれているかどうかを判断することにより、前記設定が既になされたか否かを判断する請求項1または2記載の画像処理装置の重複設定防止システム。
【請求項4】
前記報知手段による報知がされた後に、前記画像処理装置を待機状態に移行させる待機状態移行手段を備える請求項2または3に記載の画像処理装置の重複設定防止システム。
【請求項5】
画像処理装置を設定するための設定ファイルと、その設定ファイルによる設定を受けた画像処理装置の履歴情報とが格納されたリムーバブルメモリが装着される装着部と、
該リムーバブルメモリが装着されたことを検出する装着検出手段と、
前記リムーバブルメモリが装着された際に、前記履歴情報を読み出して、前記設定ファイルによる設定が既になされたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記設定がなされていないと判断された場合に、前記設定ファイルによる設定を行う設定手段と、
その設定が完了した後に、該設定を受けたことを前記リムーバブルメモリの前記履歴情報に記録する履歴情報記録手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
前記判断手段により、前記設定が既になされていると判断された場合に、設定済みであることを報知する報知手段を備える請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
自己を特定する情報を記憶する特定情報記憶手段を備え、
前記履歴情報は、前記設定ファイルを特定する情報と、その設定ファイルによる設定を受けた装置を特定する情報とが対応付けられたものであり、
前記判断手段は、前記リムーバブルメモリに格納されている前記設定ファイルを特定する情報と、前記特定情報記憶手段に記憶されている前記自己を特定する情報とが前記履歴情報の中に対応付けて含まれているかどうかを判断することにより、前記設定が既になされたか否かを判断する請求項5または6記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記報知手段による報知がされた後に、前記画像処理装置を待機状態に移行させる待機状態移行手段を備える請求項6または7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
リムーバブルメモリが装着される画像処理装置の重複設定を防止するプログラムであって、
前記リムーバブルメモリには、前記画像処理装置を設定するための設定ファイルと、その設定ファイルによる設定を受けた前記画像処理装置の履歴情報とが格納されており、
前記リムーバブルメモリが装着されたことを検出する装着検出手段と、
前記リムーバブルメモリが装着された際に、前記履歴情報を読み出して、前記設定ファイルによる設定が既になされたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記設定がなされていないと判断された場合に、前記設定ファイルによる設定を行う設定手段と、
その設定が完了した後に、該設定を受けたことを前記リムーバブルメモリの前記履歴情報に記録する履歴情報記録手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置の重複設定防止プログラム。
【請求項10】
前記判断手段により、前記設定が既になされていると判断された場合に、設定済みであることを報知する報知手段を備える請求項9記載の画像処理装置の重複設定防止プログラム。
【請求項11】
前記履歴情報は、前記設定ファイルを特定する情報と、前記画像処理装置を特定する情報とが対応付けられたものであり、
前記判断手段は、前記リムーバブルメモリに格納されている前記設定ファイルを特定する情報と、前記設定を受ける前記画像処理装置を特定する情報とが、前記履歴情報の中に対応付けて含まれているかどうかを判断することにより、前記設定が既になされたか否かを判断する請求項9または10記載の画像処理装置の重複設定防止プログラム。
【請求項12】
前記報知手段による報知がされた後に、前記画像処理装置を待機状態に移行させる待機状態移行手段を備える請求項10または11記載の画像処理装置の重複設定防止プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−274460(P2007−274460A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98986(P2006−98986)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】