説明

画像処理装置及びその処理方法

【課題】画像の外縁の形状変化を伴う画像処理において、有効画素領域の切り出し方法を好適に切り替えることができる仕組みを提供する。
【解決手段】画像のアスペクト比を算出するアスペクト比算出部101と、画像の外縁の形状変化を伴う幾何学変換処理を実行する変換処理部102と、画像に幾何学変換処理を施すことによって生じたアスペクト比に係る変化量を算出する変化量算出部103と、変化量算出部103により算出された変化量が所定の閾値を超えるか否かを判断する判断部104と、判断部104による判断に基づいて幾何学変換処理された画像の有効画素領域の切り出し方法を切り替える画像切り出し部105を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びその処理方法に関し、特に、画像に対して外縁の形状変化を伴う幾何学変換処理を施すと共に、変換処理を施すことによって生じた画欠け領域を除く有効画素領域を画像から自動で切り出す処理を備えた技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラの性能向上により、撮影される画像の解像度は非常に高くなり、高品質の画像を得ることが可能となった。また、撮影した画像は、パーソナルコンピュータ等に搭載される画像処理アプリケーションを使用して閲覧したり編集処理を施したりすることができる。
【0003】
一般に、カメラで撮影して得られる画像には、撮影レンズの歪曲収差に起因する幾何学的な歪みが生ずる。この歪みを補正するために、撮影レンズのレンズ特性を利用して収差補正を行う画像処理アプリケーションが登場している。このように、歪曲収差補正を行うことでより均質で高画質な画像を得ることができる。
【0004】
また、歪曲収差補正処理は、画素位置の移動を伴う処理であるため、画像の歪曲収差を補正して得た画像は、外縁の形状が非矩形状になり、画素値を持たない画欠け領域を含んでいる。そのため、歪曲収差補正処理を施した画像に対してトリミング領域を指定させることを前提とした画像処理装置では、トリミング領域を設定する際に、歪曲収差補正に伴う画欠け領域を明示し、ユーザに画欠け領域をトリミング領域として指定させないようにする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
他方、歪曲収差補正処理を施して得た画像から画欠け領域を含まない有効画素領域の所定の領域を自動で切り出した結果を出力画像とすることは従来から行われてきた。この所定の領域は、歪曲補正処理を施して得た画像の外縁に内接する領域のうち、補正前のアスペクト比で切り出し可能な最大の領域とする。以下にその詳細について図5を用いて説明する。
【0006】
図5は、樽型に歪んだ画像に対して歪曲収差補正処理を施して得た画像から画欠け領域を含まない領域を自動で切り出す処理の一例を示す模式図である。
図5において、撮影レンズの歪曲収差に起因する幾何学的な歪みが生じた画像500に対して歪曲収差補正処理を施した結果得られた画像が画像501である。画像500に歪曲収差補正処理を施したことにより画像501の外縁は非矩形状となり、有効画像領域ではない画欠け領域が生じている。
【0007】
矩形領域502は、画像501の画像の外縁に内接する領域であり、画像501の有効画像領域のうち矩形状に切り出しが可能な最大の領域を示している。矩形領域503は、矩形領域502に含まれる領域のうち、元画像500のアスペクト比を維持して切り出し可能な最大の領域であり、この領域で切り出した結果画像が画像506となる。有効画像領域504、505は、アスペクト比を維持した切り出しを行うために、切り捨てた有効画像領域を示している。
【0008】
図6は、等立体角射影方式の魚眼レンズを用いて撮影された画像の射影方式を中心射影に射影変換して得た画像から画欠け領域を含まない領域を自動で切り出した場合の従来技術の問題を示す模式図である。
図6において、等立体角射影の魚眼レンズを用いて撮影された画像600を中心射影に射影変換処理を施した結果得られた画像が画像601である。画像600に射影変換を施したことにより画像601の外縁は非矩形状となり、有効画像領域ではない画欠け領域を含んでいる。矩形領域602は、画像601の外縁に内接する矩形領域であり、画像601の有効画像領域のうち矩形状に切り出しが可能な最大の領域を示している。矩形領域603は、矩形領域602に含まれる領域のうち、元画像600のアスペクト比を維持して切り出し可能な最大の領域であり、この領域で切り出した結果画像が画像606となる。
【0009】
有効画像領域604、605は、アスペクト比を維持した切り出しを行うために、切り捨てた有効画像領域であるが、通常レンズで撮影された画像に対して歪曲収差補正処理を施した場合(図5参照)と比べて切り捨てられる有効画像領域が多くなる。その結果、広範囲の画角を撮影する目的で例えば魚眼レンズを用いたにも関わらず射影変換処理を行ったことにより結果画像の画角は狭いものとなってしまっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−106623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
即ち、上述した従来技術においては、次のような問題がある。
超広角レンズを用いて撮影された画像に対して行う歪曲補正処理や魚眼レンズを用いて撮影された画像の射影方式を中心射影に射影変換するなど、幾何学変換処理に伴う画像の外縁の形状変化が大きい場合に上述した従来方法で処理前画像のアスペクト比を維持するように有効画素領域を自動で切り出してしまうと、有効画素領域が大きく切り捨てられてしまうという問題があった。このように、上記従来の自動切り出し方法では、ユーザが望む結果とは異なる出力が得られる場合があった。
【0012】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、画像の外縁の形状変化を伴う画像処理において、有効画素領域の切り出し方法を好適に切り替えることができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像処理装置は、画像のアスペクト比を算出するアスペクト比算出手段と、前記画像の外縁の形状変化を伴う幾何学変換処理を実行する変換処理手段と、前記画像に前記幾何学変換処理を施すことによって生じた前記アスペクト比に係る変化量を算出する変化量算出手段と、前記変化量算出手段により算出された変化量が所定の閾値を超えるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段による判断に基づいて前記幾何学変換処理された画像の有効画素領域の切り出し方法を切り替える画像切り出し手段とを含む。
また、本発明の画像処理装置は、画像のアスペクト比を算出するアスペクト比算出手段と、前記画像の外縁の形状変化を伴う幾何学変換処理を実行する変換処理手段と、前記画像から撮影を行ったレンズを識別するレンズ識別情報を取得するレンズ識別情報取得手段と、前記レンズ識別情報取得手段で取得したレンズ識別情報に基づいて前記アスペクト比を維持した切り出しを行わないレンズとして予め記録されているレンズリストに含まれるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段による判断に基づいて前記幾何学変換処理された画像の有効画素領域の切り出し方法を切り替える画像切り出し手段とを含む。
また、本発明は、上述した画像処理装置による画像処理方法、及び、当該画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、並びに、当該プログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像の外縁の形状変化を伴う画像処理において、有効画素領域の切り出し方法を好適に切り替えることができる仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1−1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図1−2】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像処理方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る画像処理方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】魚眼レンズを用いて撮影された画像に対して射影変換処理を施して得た画像から有効画素領域を自動で切り出す場合の一例を示す模式図である。
【図5】歪曲収差に起因する幾何学的な歪みが生じた画像に対して歪曲収差補正処理を施して得た画像から有効画素領域を自動で切り出す従来技術の一例を示す模式図である。
【図6】魚眼レンズを用いて撮影された画像に対して射影変換処理を施して得た画像から有効画素領域を自動で切り出す場合における従来技術の問題を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1−1は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
本実施形態における画像処理装置は、画像読み込み部100、アスペクト比算出部101、変換処理部102、変化量算出部103、判断部104、及び、画像切り出し部105を有する。本実施形態における画像処理装置は、入力画像に対して画像位置の移動を伴う変換処理(幾何学変換処理)を施す。
【0018】
画像読み込み部100は、デジタルカメラ等の撮像装置により撮像された画像が記憶されている記憶部(記憶媒体等)から、対象とする(幾何学変換処理を施す)画像を読み込む。
【0019】
アスペクト比算出部101は、画像読み込み部100で読み込まれた画像の撮影情報等から当該画像のアスペクト比を算出する。
【0020】
変換処理部102は、画像読み込み部100で読み込まれた画像に対して幾何学変換処理を実行する。ここで、変換処理部102が画像に施す幾何学変換処理としては、例えば、歪曲収差補正処理や射影変換処理がある。変換処理部102は、画像に施す幾何学変換処理が歪曲収差補正処理や射影変換処理である場合には、対象とする画像についての撮影時光学情報及び画素の画像中心からの距離(像高)に基づいて、各画素の変換量(移動量及び移動方向)を算出する。なお、撮影時光学情報は、画像が撮影された際のレンズを識別する識別情報、ズーム位置を特定するための撮影時焦点距離情報、F値等を含む。この撮影時光学情報は、付加情報として画像(画像ファイル)に付加され、例えばExif(Exchangeable image file format)規格で定められたMakerNoteタグに格納されているものとする。
【0021】
変化量算出部103は、入力画像(画像読み込み部100で読み込んだ画像)に対して幾何学変換処理して得た画像の外縁に内接する矩形のアスペクト比と入力画像のアスペクト比から幾何学変換処理を施したことによるアスペクト比の変化量を算出する。
【0022】
判断部104は、変化量算出部103において算出された変化量を所定の閾値と比較して、当該所定の閾値を超えたか否かを画像切り出し部105に伝達する。判断部104における所定の閾値は、例えばユーザによって予め設定される画像処理に係る値に基づいて行う。
【0023】
画像切り出し部105は、判断部104から得た判定の結果に基づいて変換処理部102で幾何学変換処理を施した画像から有効画像領域を切り出し、切り出した有効画像領域の画像を結果画像として出力する。
【0024】
以下では、幾何学変換処理として等立体角射影方式の魚眼レンズを用いて撮影された画像に射影変換処理を施す場合を一例として説明する。なお、幾何学変換処理の例として魚眼レンズで撮影された画像に対して射影変換処理を施す場合を説明するが、通常レンズで撮影された画像に対して歪曲収差補正を施す場合も同様となるので、この場合の説明は省略する。
【0025】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【0026】
まず、ステップS201において、画像読み込み部100は、処理対象の画像(元画像(入力画像ともいう))を読み込む。即ち、画像読み込み部100は、当該画像処理装置に処理対象の画像を入力する。
【0027】
続いて、ステップS202において、アスペクト比算出部101は、元画像のアスペクト比を算出する。
【0028】
続いて、ステップS203において、変換処理部102は、元画像に対する幾何学変換処理として射影変換処理を実行する。ここで、ステップS203での処理結果として得られる画像は、射影変換後の画像の外縁形状に外接する矩形領域となる(図4の矩形領域402参照)。
【0029】
ここで、図4は、魚眼レンズを用いて撮影された画像に対して射影変換処理を施して得た画像から有効画素領域を自動で切り出す場合の一例を示す模式図である。
画像400は、魚眼レンズを用いて撮影された画像である。画像401は、射影変換処理を施して得た画像である。画像403は、自動で切り出した有効画素領域である。
【0030】
続いて、ステップS204において、アスペクト比算出部101は、ステップS203での処理結果として得られた画像の外縁形状に内接する矩形領域のアスペクト比を算出し、その結果を変化量算出部103に伝達する。
【0031】
続いて、ステップS205において、変化量算出部103は、ステップS202にて算出された元画像のアスペクト比と、ステップS204にて算出された射影変換後の画像の外縁形状に内接する矩形領域のアスペクト比とを比較し、その変化量を算出する。
【0032】
続いて、ステップS206において、判断部104は、ステップS205で算出したアスペクト比の変化量と所定の閾値とを比較して、アスペクト比の変化量が所定の閾値を超えるか否かを判断する。この所定の閾値は、固定値であっても、ユーザが自由に設定可能な値であっても構わない。
【0033】
ステップS206の判断の結果、アスペクト比の変化量が所定の閾値を超える場合には、ステップS207に進む。
ステップS207に進むと、画像切り出し部105は、変換処理した画像の外縁の形状に内接する矩形領域を切り出す。
【0034】
一方、ステップS206の判断の結果、アスペクト比の変化量が所定の閾値を超えない場合には、ステップS208に進む。
ステップS208に進むと、変換処理した画像の外縁の形状に内接する領域から、ステップS202で算出した元画像のアスペクト比で切り出し可能な最大の矩形領域を切り出す。
【0035】
ステップS207或いはステップS208の処理が終了すると、ステップS209に進む。
ステップS209に進むと、画像切り出し部105は、ステップS207或いはステップS208にて切り出した画像を本処理の結果画像として出力する。そして、当該フローチャートの処理を終了する。
【0036】
第1の実施形態によれば、処理対象の画像(元画像)に対して幾何学変換処理を施した後、その幾何学変換処理でのアスペクト比の変化量に基づいて、有効画素領域の切り出し方法を好適に切り替えることができる。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、変換処理に伴う画像のアスペクト比の変化量に基づいて変換処理された画像から有効画素領域の切り出し方法を切り替えていたが、画像データから取得できるレンズ識別情報に基づいて有効画素領域の切り出し方法を切り替えても良い。
【0038】
以下に説明する第2の実施形態は、画像データから取得できるレンズ識別情報に基づいて変換処理した画像から有効画素領域を切り出す方法を切り替えるようにしたものである。
【0039】
図1−2は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
なお、第2の実施形態の構成は、第1の実施形態の構成における変化量算出部103に換えてレンズ識別情報取得部106を含むことが異なるだけで、他は前述した第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0040】
レンズ識別情報取得部106は、画像データの撮影時情報等からレンズ識別情報を取得する。なお、撮影時情報として、画像が撮影されたレンズを識別する識別情報は付加情報として画像(画像ファイル)に付加され、例えばExif(Exchangeable image file format)規格で定められたMakerNoteタグに格納されているものとする。
【0041】
判断部104は、レンズ識別情報取得部106で取得したレンズ識別情報に基づいて変換処理部102で変換処理された画像の有効画像領域の切り出し方法をアスペクト比優先で切り出すか否かの判断を行い、画像切り出し部105に伝達する。判断部104における判定は、例えば撮影に用いられたレンズが超広角レンズや魚眼レンズなどの変換処理による画像の外縁形状の変化が大きく、変換処理された画像から有効画素領域を切り出す際にアスペクト比を維持した切り出しを行うと切り捨てられる有効画素領域が大きくなってしまうレンズ識別情報を予めレンズのリストで保持しておくなどして、レンズ識別情報取得部106で取得したレンズ識別情報と比較することで判定を行う。
【0042】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【0043】
まず、ステップS301において、画像読み込み部100は、処理対象の画像(元画像(入力画像ともいう))を読み込む。即ち、画像読み込み部100は、当該画像処理装置に処理対象の画像を入力する。
【0044】
続いて、ステップS302において、アスペクト比算出部101は、元画像のアスペクト比を算出する。
【0045】
続いて、ステップS303において、変換処理部102は、元画像に対する幾何学変換処理として射影変換処理を実行する。ここで、ステップS303での処理結果として得られる画像は、射影変換後の画像の外縁形状に外接する矩形領域となる(図4の矩形領域402参照)。
【0046】
続いて、ステップS304において、レンズ識別情報取得部106は、画像データの撮影時情報等からレンズ識別情報を取得する。
【0047】
続いて、ステップS305において、判断部104は、入力画像が魚眼レンズを用いて撮影された画像か否かを判断する。より具体的には、ステップS304で取得したレンズ識別情報がアスペクト比を維持した切り出しを行わないレンズとして予め記録されているレンズリストに含まれる場合には、魚眼レンズを用いて撮影された入力画像であると判断する。
【0048】
ステップS305の判断の結果、入力画像が魚眼レンズを用いて撮影された画像である場合には、ステップS306に進む。
ステップS306に進むと、画像切り出し部105は、変換処理した画像の外縁の形状に内接する矩形領域を切り出す。
【0049】
一方、入力画像が魚眼レンズを用いて撮影された画像で無い場合、即ち、ステップS304で取得したレンズ識別情報がアスペクト比を維持した切り出しを行わないレンズとして予め記録されているレンズリストに含まれない場合には、ステップS307に進む。
ステップS307に進むと、画像切り出し部105は、変換処理した画像の外縁の形状に内接する領域からステップS302で算出した元画像のアスペクト比で切り出し可能な最大の矩形領域を切り出す。
【0050】
ステップS306或いはステップS307の処理が終了すると、ステップS308に進む。
ステップS308に進むと、画像切り出し部105は、S306或いはS307にて切り出した画像を本処理の結果画像として出力する。そして、当該フローチャートの処理を終了する。
【0051】
第2の実施形態によれば、処理対象の画像(元画像)に対して幾何学変換処理を施した後、画像データの撮影時情報等から取得したレンズ識別情報に基づいて、有効画素領域の切り出し方法を好適に切り替えることができる。
【0052】
本発明の実施形態では、通常のレンズを用いて撮影された画像に対する歪曲収差補正処理など、画像処理による画像の外縁形状の変化が比較的少ない場合と超広角レンズを用いて撮影された画像に対する歪曲収差補正処理や魚眼レンズを用いて撮影された画像の射影方式を中心射影に射影変換するなど画像処理による画像の外縁形状の変化が大きい場合とで、変換処理後画像から有効画素領域を切り出す方法を自動で切り替えるものである。
具体的には、通常のレンズを用いて撮影された画像に対する歪曲収差補正処理など、画像処理による画像の外縁形状の変化が比較的少ない場合には、プリント出力などに好適な出力とするためアスペクト比を維持することを優先した切り出し処理を行う。一方、超広角レンズを用いて撮影された画像に対する歪曲収差補正処理や魚眼レンズを用いて撮影された画像の射影方式を中心射影に射影変換するなど、変換処理による画像の外縁形状の変化が大きい場合には、アスペクト比を維持するのではなく画像の外縁の形状に内接する矩形領域を切り出すことで有効画像領域を最大限含むような切り出し処理を行う。この切り替えにより、画像の外縁の形状変化を伴う変換処理の自動切り出し処理において、ユーザが意図した好適な切り出し処理を提供することができる。
なお、上述したいずれの実施形態においても、顔検出機能のように画像中の主たる被写体を自動的に抽出する機能を備えているならば、この抽出結果も参照して、画像の切り出し処理を制御するようにしても構わない。即ち、図2のステップS206や図3のステップS305でNOと判定された場合であっても、入力画像のアスペクト比で画像を切り出してしまうと、抽出した主たる被写体が欠けてしまったり、消えてしまったりする場合がある。このような場合には、アスペクト比を維持するのではなく、画像の外縁の形状に内接する矩形領域を切り出すようにしてもよい。
【0053】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
100 画像読み込み部、101 アスペクト比算出部、102 変換処理部、103 変化量算出部、104 判断部、105 画像切り出し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像のアスペクト比を算出するアスペクト比算出手段と、
前記画像の外縁の形状変化を伴う幾何学変換処理を実行する変換処理手段と、
前記画像に前記幾何学変換処理を施すことによって生じた前記アスペクト比に係る変化量を算出する変化量算出手段と、
前記変化量算出手段により算出された変化量が所定の閾値を超えるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段による判断に基づいて前記幾何学変換処理された画像の有効画素領域の切り出し方法を切り替える画像切り出し手段と
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
画像の読み込みを行う画像読み込み手段を更に含み、
前記変化量算出手段は、前記画像読み込み手段で読み込まれた画像のアスペクト比と、前記変換処理手段で変換処理された画像のアスペクト比との変化量を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像切り出し手段は、前記判断手段によって前記変化量が前記所定の閾値を超えないと判断された場合には、前記変換処理手段で変換処理された画像の外縁の形状に内接する領域から前記画像読み込み手段で読み込まれた画像の前記アスペクト比で切り出し可能な最大の領域を切り出し、
前記判断手段によって前記変化量が前記所定の閾値を超えると判断された場合には、前記変換処理手段で変換処理された画像の外縁の形状に内接する矩形領域を切り出すことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記幾何学変換処理は、歪曲収差補正処理であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記幾何学変換処理は、射影変換処理であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像のアスペクト比を算出するアスペクト比算出手段と、
前記画像の外縁の形状変化を伴う幾何学変換処理を実行する変換処理手段と、
前記画像から撮影を行ったレンズを識別するレンズ識別情報を取得するレンズ識別情報取得手段と、
前記レンズ識別情報取得手段で取得したレンズ識別情報に基づいて前記アスペクト比を維持した切り出しを行わないレンズとして予め記録されているレンズリストに含まれるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段による判断に基づいて前記幾何学変換処理された画像の有効画素領域の切り出し方法を切り替える画像切り出し手段と
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
前記幾何学変換処理は、歪曲収差補正処理であることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記幾何学変換処理は、射影変換処理であることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像のアスペクト比を算出するアスペクト比算出ステップと、
前記画像の外縁の形状変化を伴う幾何学変換処理を実行する変換処理ステップと、
前記画像に前記幾何学変換処理を施すことによって生じた前記アスペクト比に係る変化量を算出する変化量算出ステップと、
前記変化量算出ステップにより算出された変化量が所定の閾値を超えるか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップによる判断に基づいて前記幾何学変換処理された画像の有効画素領域の切り出し方法を切り替える切り出しステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
画像のアスペクト比を算出するアスペクト比算出ステップと、
前記画像の外縁の形状変化を伴う幾何学変換処理を実行する変換処理ステップと、
前記画像から撮影を行ったレンズを識別するレンズ識別情報を取得するレンズ識別情報取得ステップと、
前記レンズ識別情報取得ステップで取得したレンズ識別情報に基づいて前記アスペクト比を維持した切り出しを行わないレンズとして予め記録されているレンズリストに含まれるか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップによる判断に基づいて前記幾何学変換処理された画像の有効画素領域の切り出し方法を切り替える切り出しステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−104958(P2012−104958A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250137(P2010−250137)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】