説明

画像処理装置及びその制御方法

【課題】作成された連携処理フローの実行結果をユーザに対して検証させることが可能な画像処理装置及びその制御方法を提供する
【解決手段】本発明の画像処理装置は、複数の機能を連携して実行するための連携処理フロー(スクリプト)の登録種別情報に基づいて、連携処理フローが本登録状態の場合には、連携処理フローの定義に従って処理を実行する。一方で、連携処理フローが仮登録状態の場合には、連携処理フローを実行するユーザがその実行結果を検証できるように、連携処理フローに含まれる一部の機能を変更して実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機等の画像処理装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複合機等の画像処理装置では、複数の機能を連携して実行する連携処理の手順を定義した連携処理フロー(以下では、「スクリプト」と称する。)を記憶し、当該スクリプトに基づいて連携処理を実現する画像処理装置が知られている。例えば、特許文献1には、画像形成装置において、指定した画面順序、及び画面内設定値をユーザ定義フローとして予め記憶しておくことで、複数の画面間の遷移及び複数処理の実行を自動化させるプログラムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−310468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術には、例えば、作成されたスクリプトの実行結果が妥当か否か検証する仕組みを十分に提供できていないという問題がある。その一例として、複合機において、スキャンした画像を社外の装置やファイルシステムに対して送信するためのスクリプトをユーザの指示に従って実行する場合、当該スクリプトを実行する装置と、画像の送信先の装置とが異なる。その場合、スクリプトを実行したユーザは、実行結果の画像をその場で確認できず、作成したスクリプトの実行結果の妥当性を検証することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、作成されたスクリプトの実行結果をユーザに対して検証させることが可能な画像処理装置及びその制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、画像処理装置として実現できる。画像処理装置は、複数の機能を連携して実行する連携処理の手順が予め定義された連携処理フローに従って、連携処理を実行する画像処理装置であって、実行結果の検証が完了した本登録状態、又は実行結果の検証が完了する前の仮登録状態の何れかを示す登録種別情報ととともに、連携処理フローを記憶する記憶手段と、実行を要求された連携処理フローが仮登録状態であると、連携処理フローに含まれる一部の機能を、連携処理フローの実行結果をユーザが検証可能な機能に変更する変更手段と、実行を要求された連携処理フローが本登録状態である場合には、連携処理フローに従って処理を実行し、連携処理フローが仮登録状態である場合には、変更手段によって変更された連携処理フローに従って処理を実行する実行手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、作成されたスクリプトの実行結果をユーザに対して検証させることが可能な画像処理装置及びその制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るネットワークの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る複合機のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る複合機の機能構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態において操作部の液晶表示部に表示されるユーザインタフェースの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る複合機におけるスクリプトの一覧表示の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る複合機における登録/編集モードの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る複合機における実行モードの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係るアクセス制限リストの一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る仮登録状態のスクリプトに関する動作内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される実施形態は、本発明の上位概念、中位概念及び下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の実施形態によって限定されるわけではない。
【0010】
<画像処理装置及びネットワークの構成>
以下では、画像処理装置として複合機を一例に、本発明における実施形態について説明する。まず、図1を参照して、ネットワーク構成例について説明する。複合機101、アクセス管理サーバ102、及びクライアントマシン(PC)103は、何れもLAN110に接続可能であり、相互に通信可能な状態となっている。
【0011】
本実施形態によれば、連携処理フロー(以下では、「スクリプト」と称する。)とは、複合機101等の機器が有する少なくとも1つ以上の機能を組み合わせて(連携して)実行する手順が定義されたデータである。複合機101は、スクリプトの実行を指示された場合、当該スクリプトに定義された機能を呼び出して実行する。また、スクリプトは、スクリプトを新規作成した作成者を特定するためのユーザ識別子である作成者情報と、スクリプトの所有者を特定するためのユーザ識別子である所有者情報と、本登録及び仮登録の何れの登録種別であるかを示す登録種別情報との少なくとも3つの属性を含む。スクリプトの実行結果がまだユーザにより検証されていない状態である場合、そのスクリプトは仮登録の状態となる。そして、スクリプトの実行結果がユーザにより検証されると、そのスクリプトは本登録の状態となることができる。スクリプトには、複合機101以外の機器が有する機能が定義されることで、当該機能が実行されてもよい。また、スクリプトには、複数の機能を並列に実行する命令が定義されてもよいし、複数の機能を順に実行する命令が定義されてよい。
【0012】
アクセス管理サーバ102は、LAN110を介して複合機101及びクライアントPC103と通信可能な状態となっている。アクセス管理サーバ102は、内部に大容量の記憶装置を備え、その中に、スクリプトのアクセス制限情報が記憶されている。アクセス制限情報は、各ユーザに対するスクリプトの操作(新規登録、編集、削除、複製)及び実行の可否を示す情報である。アクセス管理サーバ102は、複合機101からアクセス制限情報を要求されると、必要な情報のみを記憶装置から取り出して、LAN110を介して複合機101へ提供する。なお、アクセス制限情報は、必ずしもアクセス管理サーバ102に記憶されている必要はない。例えば、複合機101が備える記憶装置(HDD)に記憶されてもよい。また、アクセス制限情報は、必ずしもユーザごとに設定される必要はない。例えば、全ユーザに共通に設定されてもよいし、ユーザグループごとに共通に設定されてもよい。
【0013】
クライアントPC103には、ユーザがスクリプトを作成するためのユーティリティソフトウェアがインストールされている。複合機101は、クライアントPC103で作成されたスクリプトをLAN110を介してインポートすることができる。なお、ユーザは、複合機101の操作部を使用してスクリプトを作成することもできる。
【0014】
次に、図2を用いて複合機101のハードウェア構成例を説明する。複合機101のリーダ部201、プリンタ部203、操作部204、及びHDD205は、コントローラ部202を介して互いに接続されているとともに、コントローラ部202を介してLAN110へ接続されている。
【0015】
リーダ部201は、原稿画像を光学的に読み取り、画像データに変換する。リーダ部201は、原稿を読取る機能を有するスキャナユニットと、原稿用紙を搬送する機能を有する原稿給紙ユニットとを備える。なお、機器構成に依存して、リーダ部201は、原稿給紙ユニットを備えていない場合もある。その場合、リーダ部201は、いわゆる圧板と呼ばれるプラテンガラスに原稿を置き、センサにより読み取る。
【0016】
プリンタ部203は、記録紙を搬送し、その上に画像データを可視画像として印字して、装置外に排紙する。プリンタ部203は、複数種の記録紙カセットを備える給紙ユニットと、画像データを記録紙に転写、定着させる定着ユニットと、印字された記録紙をソート、ステイプルして機器外へ出力する排紙ユニットとを備える。
【0017】
コントローラ部202は、CPU211と、不図示のROM及びRAMとを含み、複合機101全体の動作を制御する。コントローラ部202は、リーダ部201及びプリンタ部203と電気的に接続され、さらにLAN110と接続されている。コントローラ部202は、リーダ部201を制御して、原稿の画像データを読込むとともに、プリンタ部203を制御して画像データを記録用紙に出力するコピー機能を提供する。また、コントローラ部202は、リーダ部201から読取った画像データをコードデータに変換し、LAN110を介してクライアントPC103へ送信するネットワークスキャナ機能を提供する。また、コントローラ部202は、リーダ部201から読取った画像データを、HDD205が有するボックスと呼ばれるストレージサービスに登録するボックススキャン機能を提供する。さらに、コントローラ部202は、クライアントPC103からLAN110を介して受信したコードデータを画像データに変換し、プリンタ部203に出力するプリンタ機能を提供する。
【0018】
操作部204は、液晶表示部と、液晶表示部上に張り付けられたタッチパネル入力装置と、複数個のハードキーとを備え、ユーザが種々の操作を行うためのユーザインタフェース(I/F)を提供する。タッチパネル入力装置又はハードキーによって入力された信号は、コントローラ部202に伝達される。一方で、操作部204は、コントローラ部202から送られてきた画像データを液晶表示部に表示する。
【0019】
次に、図3を用いて複合機101の機能構成例を説明する。なお、以下に示す機能ブロックは、コントローラ部202のROMに格納されており、CPU211が当該ソフトウェアを実行することにより、複合機101における所定の機能を実現する。
【0020】
ユーザインタフェース部301は、ユーザによって操作部204を介して入力される指示を受け付ける。本実施形態で、ユーザインタフェース部301は、HDD205へスクリプトを新規登録するための指示、複合機101に記憶されているスクリプトの一覧表示指示、スクリプトの編集、削除及び複製指示、並びにスクリプトの実行指示を受け付ける。CPU211は、ユーザインタフェース部301によって入力された指示に応じた機能を実行する。例えば、スクリプトの一覧表示を指示された場合、CPU211は、後述する登録種別識別部303によってスクリプトの登録種別を識別し、それに基づいて操作部204にスクリプトを一覧表示する。
【0021】
図4は、操作部204の液晶表示部に表示されるユーザインタフェース400の一例である。ユーザインタフェース400に表示される一覧画面401には、複合機101に記憶されたスクリプトの一覧が含まれる。また、一覧画面401には、登録されているスクリプトごとに、対応するスクリプト呼び出しボタン402が1つずつ表示され、図4のように配置される。ユーザは、実行モードにおいて、スクリプト呼び出しボタン402の何れかを押下することにより、当該ボタンに対応するスクリプトの実行指示を複合機101に対して与えることができる。また、ユーザがボタン405を押下して、実行モードから登録/編集モードに切り替えた上で、スクリプト呼び出しボタン402を押下することにより、当該スクリプトに対する操作を実行できる。例えば、ユーザは、当該ボタンに対応するスクリプトの新規登録指示や、既に登録されているスクリプトの編集、削除又は複製指示を複合機101に対して与えることができる。
【0022】
一覧画面401に表示される各々のスクリプト呼び出しボタン402には、スクリプトの登録種別が認識されるような表示がなされる。図4のボタン403は本登録状態のスクリプトに対応する呼び出しボタンを示し、ボタン404は仮登録状態のスクリプトに対応する呼び出しボタンを示している。ボタン404は、スクリプトが仮登録状態であることを示すアイコンが付加されたスタイルで表示されている。これにより、ユーザは、表示されたボタンに対応するスクリプトが本登録及び仮登録の何れの状態であるかを容易に判別することが可能となる。なお、スクリプトが本登録及び仮登録の何れの状態であるかを示す方法は、上述のアイコンの表示による方法に限定されることはない。例えば、登録種別に応じて、各ボタンの背景色を変更したり、各ボタン上に当該状態を示す文字を表示してもよい。さらに、各ボタンの大きさを変えたり、ボタンを点滅させてもよい。
【0023】
なお、本実施形態では、後述するように、各スクリプトに対応したボタンが一覧画面401に順に表示されるが、これに限定されることはない。例えば、スクリプトごとに表示位置が定められている場合には、存在しないスクリプトに対応するボタンが、定められた位置に表示されなくてもよいし、網掛けで表示されてもよい。
【0024】
スクリプト取得部302は、HDD205に記憶されているスクリプトを取得する。なお、スクリプトは、例えば、LAN110で通信可能な別の情報機器に記憶されてもよい。その場合、スクリプト取得部302はLAN110を介して当該スクリプトを取得できる。
【0025】
登録種別識別部303は、スクリプトの属性情報の1つである登録種別を識別する。本実施形態によれば、登録種別には、本登録及び仮登録の少なくとも2つが含まれる。ここで、本登録状態とは、スクリプトの実行結果の妥当性に関する検証が完了した状態であって、当該スクリプトを本格的に運用可能な状態を意味する。また、仮登録状態とは、当該スクリプトの実行結果の妥当性に関する検証が完了する前の状態であって、未だ運用開始前の試用状態であることを意味する。
【0026】
登録種別情報は、スクリプトが新規作成される際に、ユーザインタフェース部301、又はクライアントPC103のUIから設定可能であって、スクリプト内に記録される。また、登録種別情報は、スクリプト操作部304によって、スクリプトとともにHDD205へ記憶される。なお、登録種別情報は、例えば、スクリプトとは別に、複合機101のコントローラ部202が備えるメモリ内に、スクリプトと関連付けられる形で記憶されてもよい。
【0027】
スクリプト操作部304は、ユーザインタフェース部301からの指示に基づいて、スクリプトに対する所定の動作を実行するユーザインタフェース部301は、スクリプト操作部304に対してスクリプトの登録(新規作成)、削除及び複製の何れかの指示を与える。これらの指示を受けたスクリプト操作部304は、以下の動作を実行する。例えば、スクリプトを新規作成する場合、スクリプト操作部304は、ユーザインタフェース部301から入力された各種の設定値に基づいて、予め定められた手順に従ってスクリプトを作成(定義)し、HDD205へ格納する。また、スクリプトを削除する場合、スクリプト操作部304は、指定されたスクリプトをHDD205から消去する。また、スクリプトを複製する場合、スクリプト操作部304は、ユーザインタフェース部301から指定されたスクリプトをスクリプト取得部302によって取得し、取得したスクリプトを複製するとともに、複製したスクリプトをHDD205へ格納する。スクリプト実行部305は、ユーザインタフェース部301から指定されたスクリプトをスクリプト取得部302によって取得し、当該スクリプトを解析し、スクリプトに定義されている機能を実行する。スクリプト変更部306は、登録種別識別部303によってスクリプトの属性が仮登録であると識別された場合に、スクリプトの内容を一時的に変更する。
【0028】
アクセス制限情報取得部307は、複合機101にログイン中のユーザに関するアクセス制限情報のアクセス制限リストを、アクセス管理サーバ102から取得する。ここで、アクセス制限情報とは、スクリプトの新規登録、編集、削除及び複製の各操作に関する許可/不許可を示す情報である。これらの情報は、ユーザ識別子と関連付けられて、ユーザごとに登録される。ユーザ識別子にはユーザタイプが定義され、アクセス制限情報取得部307は定義されたユーザタイプに基づいて、ユーザが管理者であるか又は一般ユーザであるかを識別することができる。なお、管理者とは、スクリプトに対するアクセス制限のないユーザであり、一般ユーザとは、管理者以外のユーザである。
【0029】
図8は、アクセス制限リストの一例であって、3ユーザのアクセス制限情報を示している。ユーザタイプが管理者であるユーザA(801)は、スクリプトの新規登録、編集、削除及び複製の全ての操作を許可されている。また、ユーザタイプが一般ユーザであるユーザB(802)及びユーザC(803)は、一部の操作のみが許可されている。
【0030】
<一覧表示の処理手順>
次に、図5を用いて複合機101におけるスクリプトを一覧表示する処理の手順を説明する。なお、当該フローチャートの各ステップは、コントローラ部202のCPU211によって実行される。
【0031】
S501で、CPU211は、複合機101へログインしたユーザ(ログインユーザ)によるスクリプト一覧要求に基づいて、ユーザインタフェース部301によって操作部204の液晶表示部に一覧画面401を表示させる。さらに、S502で、CPU211は、アクセス制限情報取得部307によって、各ユーザのユーザタイプとスクリプトに対する制限リストを取得する。その後、S503へ移行する。
【0032】
S503で、CPU211は、一覧表示するスクリプトを全て取得しているか否かを判定する。ここで、全てのスクリプトの取得が完了している場合、処理を終了する。一方、全てのスクリプトの取得が完了していない場合、S504へ移行し、CPU211は、スクリプト取得部302によって、一覧表示する全てのスクリプトの中で、未だ取得していないスクリプトを1つ取得する。その後、S505へ移行する。
【0033】
S505で、CPU211は、ログインユーザのユーザタイプが管理者であるか否かを判定する。ここで、ログインユーザが管理者である場合、S507へ移行する。一方、ログインユーザが管理者ではなく一般ユーザである場合、S506へ移行する。S506で、CPU211は、取得したスクリプトの属性のうち所有者情報に含まれるユーザ識別子を参照し、それがログインユーザのユーザ識別子と一致するか否かを判定する。ここで、ユーザ識別子が一致しない場合、当該スクリプトを一覧画面401への表示対象とはせず、S503へ戻る。一方、ユーザ識別子が一致した場合、S507へ移行する。
【0034】
S507で、CPU211は、取得したスクリプトの属性のうち登録種別情報を参照し、スクリプトが本登録状態か否かを判定する。ここで、スクリプトが本登録状態の場合、S508へ移行し、CPU211は、本登録状態に対応するボタンを一覧画面401に表示する。一方、スクリプトが仮登録状態の場合、S509へ移行し、CPU211は、上述のように、仮登録状態に対応するボタンを一覧画面401に表示する。その後、S503へ戻り、全てのスクリプトに関する処理が終わるまで、以上の処理を繰り返す。
【0035】
<登録/編集モードの処理手順>
CPU211は、図5の手順に従って、操作部204の液晶表示部に一覧画面401を表示する。ユーザがボタン405を押下し、登録/編集モードに切り替えた上で、一覧画面401に表示されたスクリプト呼び出しボタン402の何れかを押下することにより、図6に示す手順による処理が実行される。なお、図6のフローチャートの各ステップは、図5と同様、CPU211によって実行される。
【0036】
S601で、CPU211は、ユーザインタフェース部301によって指定されたスクリプトに対する編集、削除及び複製の何れかの指示を、スクリプト操作部304に与える。さらに、S602で、CPU211は、スクリプトの属性における登録種別情報を参照し、登録種別が本登録か否かを登録種別識別部303によって判定する。ここで、登録種別が本登録である場合、S606へ移行する。一方、登録種別が本登録ではなく仮登録である場合、S603へ移行する。
【0037】
S603で、CPU211は、アクセス制限情報取得部307によって取得したアクセス制限リストに基づいて、ログインユーザのユーザタイプが管理者であるか否かを判定する。ここで、ログインユーザが管理者である場合には、S606へ移行する。一方、ログインユーザが管理者ではなく一般ユーザである場合、S604へ移行する。
【0038】
S604で、CPU211は、指定されたスクリプトの属性のうち作成者情報に含まれるユーザ識別子を参照し、それがログインユーザのユーザ識別子と一致するか否かを判定する。ここで、ユーザ識別子が一致する場合には、S606へ移行する。一方、ユーザ識別子が一致しない場合には、S605へ移行し、所定のメッセージを操作部204の液晶表示部に表示する。所定のメッセージとして、例えば、「現在、仮登録状態であるため操作できません」というメッセージを表示する。さらに、CPU211は、S601でユーザインタフェース部によって指定された要求を拒否し、スクリプトに対する処理を実行することなく終了する。
【0039】
上述のステップからS606へ移行した場合、CPU211は、アクセス制限リストに含まれるアクセス制限情報に従って、スクリプト操作部304によって処理を実行する。その際、CPU211は、アクセス制限情報において許可されていない要求を拒否し、許可された要求に関する処理のみを実行する。
【0040】
なお、本実施形態では、スクリプトの作成者でない一般ユーザが仮登録状態のスクリプトを編集等の操作を実行しようとした場合、常に拒否されるが、これに限定されることはない。例えば、本登録状態のスクリプトに対するアクセス制限情報と、仮登録状態のスクリプトに対するアクセス制限情報とをユーザ識別子ごとに定義し、スクリプトの属性に従って、参照するアクセス制限情報を切り替えてもよい。
【0041】
また、アクセス管理サーバ102や複合機101によってアクセス制限情報が管理されていない環境においては、S602においてスクリプトが仮登録状態と判定された場合に、その旨を示す確認メッセージ(「現在、仮登録状態ですがよろしいですか?」等)を操作部204の液晶表示部に表示し、要求を許可すればよい。
【0042】
<実行モードの処理手順>
図5の手順に従って操作部204の液晶表示部に一覧画面401を表示され、ユーザが実行モードにおいて何れかのスクリプト呼び出しボタン402を押下することにより、図7に示す手順による処理が実行される。なお、図7のフローチャートの各ステップは、図5及び図6と同様、CPU211によって実行される。
【0043】
S701で、CPU211は、ユーザインタフェース部301によって指定されたスクリプトに対する実行指示を、スクリプト実行部305に与える。さらにS702で、CPU211は、スクリプトの属性における登録種別情報を参照し、登録種別が本登録か否かを登録種別識別部303によって判定する。ここで、登録種別が本登録である場合には、S707へ移行する。一方、登録種別が本登録ではなく仮登録である場合には、S703へ移行する。
【0044】
S703で、CPU211は、アクセス制限情報取得部307によって既に取得したアクセス制限リストに基づいて、ログインユーザのユーザタイプが管理者であるか否かを判定する。ここで、ログインユーザが管理者である場合には、S705へ移行する。一方、ログインユーザが管理者ではなく一般ユーザである場合には、S704へ移行する。
【0045】
S704で、CPU211は、指定されたスクリプトの属性における作成者情報に含まれるユーザ識別子を参照し、ログインユーザのユーザ識別子と一致するか否かを判定する。ここで、ユーザ識別子が一致する場合には、S705へ移行する。一方、ユーザ識別子が一致しない場合には、S706へ移行し、所定のメッセージを操作部204の液晶表示部に表示する。所定のメッセージとして、例えば、「現在、仮登録状態であるため実行できません」というメッセージを表示する。さらに、CPU211は、S701でユーザインタフェース部301によって指示されたスクリプトの実行要求を拒否し、スクリプトを実行することなく処理を終了する。
【0046】
S703及びS704の判定処理の結果、ログインユーザが管理者である場合、又は管理者でなくともスクリプト作成者である場合には、CPU211はS705の処理を実行する。S705で、CPU211は、スクリプトの定義に含まれる一部の機能を一時的に変更する。具体的には、CPU211は、当該スクリプトにおける実行結果を出力するために用いる機能を、ユーザが当該実行結果を検証可能な機能に変更する。
【0047】
ここで、図9(a)を参照して、スクリプトにおける変更規約の一例を示す。例えば、ユーザによって実際に作成されたスクリプトにおいて、実行結果を出力するために定義された機能(901)が送信(FAX、E-mail、ファイル出力(SMB、FTP等))である場合、その送信方法がE-mail送信に変更されるとともに、送信先としてログインユーザのE-mailアドレスに変更される(902)。なお、ログインユーザのE-mailアドレスは、複合機101へログインした際のログインコンテキスト内に記録されている。ログインコンテキスト内に当該E-mailアドレスが記録されていない場合には、画像のプレビューに変更され、操作部204の液晶表示部に画像が表示される。これにより、ユーザは、スクリプトを本登録状態とする前に、事前に出力結果のレイアウトや色味を確認することにより、スクリプトの実行結果を検証することができる。なお、変更規約をユーザインタフェース部301から予め登録することで、登録された機能に変更されてもよい。
【0048】
また、実行結果を出力するために定義された機能(901)がプリントである場合、1部のみがプリントされるように、部数の変更が行われる(902)。これにより、ユーザは、スクリプトが本登録状態で本格的に運用開始される前に、少量の印刷物のみを確認することで、フィニッシング体裁等が所望のものとなっているか否か等を確認することができる。
【0049】
さらに、実行結果を出力するために定義された機能(901)がボックス保管である場合、当該機能が画像のプレビューに変更される(902)。これにより、ユーザは、保管後の画像を改めてプレビューする必要はなく、そのレイアウトや色味を確認することができる。
【0050】
S705におけるスクリプトの変更処理が完了した場合、又はS702の判定処理の結果、スクリプトが本登録状態である場合、S707で、CPU211は、当該スクリプトを実行する。ここで、CPU211は、スクリプトが本登録状態である場合には、スクリプトの定義内容に従って、複合機101の各機能を実行する。一方、スクリプトが仮登録状態である場合には、S705における変更後のスクリプトの定義内容に従って、複合機101の各機能を実行する。
【0051】
また、アクセス管理サーバ102や複合機101によってアクセス制限情報が管理されていない環境においては、S702においてスクリプトが仮登録状態と判定された場合に、その旨を示す確認メッセージ(「現在、仮登録状態ですがよろしいですか?」等)を操作部204の液晶表示部に表示するとともに、スクリプトの内容を変更することなく実行すればよい。
【0052】
本実施形態において、仮登録状態のスクリプトが図7の手順で実行された場合に、実行結果に基づいて、ユーザがスクリプトに対して何らかの操作を施してもよい。図9(b)は、仮登録状態のスクリプトの実行終了後の、複合機101の動作内容の一例である。複合機101は、スクリプトの変更後の機能として911の内容を実行した場合に、その定義に基づいて、その後の動作を912のように決定する。
【0053】
例えば、スクリプトの変更後の機能(911)がプレビュー又はプリント(1部)である場合、複合機101は、「本登録+実行」、「本登録」、「仮登録を継続」等のスクリプトの登録種別の操作が可能な選択肢に加えて、「編集」、「削除」等のスクリプト自体の操作が可能な選択肢を、操作部204の液晶表示部に表示する(912)。すなわち、複合機101は、仮登録状態のスクリプトの実行結果(成果物)をユーザに確認させるとともに、ユーザがその場でスクリプトの修正等をできるようにする。例えば、ユーザが「本登録+実行」又は「本登録」を選択した場合、スクリプトの登録種別は本登録へ変更され、「仮登録を継続」又は「編集」を選択した場合、スクリプトの登録種別は仮登録のまま維持される。その後、再び当該スクリプトの実行要求がユーザインタフェース部301によって行われると、当該スクリプトの登録種別に応じて、図7の処理が実行される(913)。
【0054】
一方、スクリプトの変更後の機能(911)がログインユーザへのE-mail送信である場合、一般的に、ユーザは実行結果の確認を複合機101ではなくクライアントPC103で行う。そこで、複合機101は、スクリプト実行後に特別な動作を行わず、速やかに実行を終了する(912)。
【0055】
その場合に、複合機101は、1度実行したスクリプトの変更後の内容を記憶してもよい。同じスクリプトの実行指示がなされた場合に、複合機101は、当該記憶内容に基づいて、操作部204の液晶表示部に「本登録+実行」、「本登録」及び「試し実行」の選択肢を表示する(913)。スクリプト実行部305は、ユーザが選択した内容に応じて、登録種別の変更等を行う。例えば、「本登録+実行」又は「本登録」が選択された場合には、当該スクリプトの登録種別を本登録とし、「試し実行」が選択された場合には、仮登録状態を維持する。また、スクリプト実行部305は、当該スクリプトの登録種別に従って、図7の手順でスクリプトを実行する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る画像処理装置は、複数の機能を連携して実行する連携処理の手順が予め定義されたスクリプト(連携処理フロー)に従って処理を実行する場合に、当該スクリプトの登録種別情報に基づいて、一時的に当該スクリプトに含まれる一部の機能を変更する。具体的には、当該スクリプトが、その実行結果の妥当性に関する検証を完了した本登録状態である場合には、当該スクリプトに従って処理を実行する。一方で、当該スクリプトが、その実行結果の妥当性に関する検証を完了する前の仮登録状態である場合には、当該スクリプトに含まれる一部の機能を、その実行結果をユーザが検証可能な機能へ自動的に変更するとともに、変更後の定義に従って処理を実行する。これにより、本実施形態によれば、ユーザに対してスクリプトの実行結果を速やかに確認させることができる。特に、スクリプトに対するアクセスの制限のない管理者又はスクリプトの作成者に対して、スクリプトの実行結果の妥当性の検証を簡易に行わせることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る画像処理装置は、スクリプトが仮登録状態である場合には、当該スクリプトに対する操作を、当該スクリプトに対するアクセス制限のない管理者又は当該スクリプトの作成者に限定する。これにより、本登録状態へ移行する以前のスクリプトに対するアクセス管理が容易となり、その運用を適切に制御することができる。
【符号の説明】
【0058】
101:複合機、102:アクセス管理サーバ、110:LAN、201:リーダ部、202:コントローラ部、203:プリンタ部、204:操作部、211:CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能を連携して実行する連携処理の手順が予め定義された連携処理フローに従って、該連携処理を実行する画像処理装置であって、
実行結果の検証が完了した本登録状態、又は実行結果の検証が完了する前の仮登録状態の何れかを示す登録種別情報ととともに、前記連携処理フローを記憶する記憶手段と、
実行を要求された前記連携処理フローが前記仮登録状態であると、該連携処理フローに含まれる一部の機能を、該連携処理フローの実行結果をユーザが検証可能な機能に変更する変更手段と、
実行を要求された前記連携処理フローが前記本登録状態である場合には、前記連携処理フローに従って処理を実行し、該連携処理フローが前記仮登録状態である場合には、前記変更手段によって変更された該連携処理フローに従って処理を実行する実行手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記変更手段によって変更された該連携処理フローの定義に基づいて、前記実行手段による該連携処理フローの実行後の動作を決定する決定手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ユーザごとに設定された前記連携処理フローに対するアクセス制限情報を、ネットワークを介して接続されたアクセス管理サーバから取得する取得手段を更に備え、
前記記憶手段は、
前記連携処理フローを作成した作成者の情報を更に記憶し、
前記変更手段は、
前記ユーザが前記連携処理フローに対するアクセスに制限のない管理者、又は前記作成者である場合には、該連携処理フローに含まれる一部の機能を、該連携処理フローの実行結果をユーザが検証可能な機能に変更し、
前記ユーザが前記管理者でなく、かつ、前記作成者でない場合には、前記連携処理フローの実行を終了することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、
前記ユーザごとに設定された前記連携処理フローに対するアクセス制限情報と、前記連携処理フローを作成した作成者の情報とを更に記憶し、
前記変更手段は、
前記ユーザが前記連携処理フローに対するアクセスに制限のない管理者、又は前記作成者である場合には、該連携処理フローに含まれる一部の機能を、該連携処理フローの実行結果をユーザが検証可能な機能に変更し、
前記ユーザが前記管理者でなく、かつ、前記作成者でない場合には、前記連携処理の実行を終了することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記連携処理フローの各々に対応するボタンを前記登録種別情報に応じて表示部に表示することにより、前記記憶手段に記憶された該連携処理フローの一覧を表示する表示手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、
前記連携処理フローの所有者の情報を更に記憶し、
前記表示手段は、
前記ユーザが前記所有者の前記連携処理フローのみを一覧表示することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
複数の機能を連携して実行する連携処理の手順が予め定義された連携処理フローに従って、該連携処理を実行する画像処理装置であって、
実行結果の検証が完了した本登録状態、又は実行結果の検証が完了する前の仮登録状態の何れかを示す登録種別情報、及び前記連携処理フローを作成した作成者の情報とともに、前記連携処理フローを記憶する記憶手段と、
ユーザごとに設定された前記連携処理フローに対するアクセス制限情報を、ネットワークを介して接続されたアクセス管理サーバから取得する取得手段と、
前記ユーザによる操作を要求された前記連携処理フローの前記登録種別情報に基づいて、該連携処理フローに対する操作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記連携処理フローが前記本登録状態である場合、又は、前記連携処理フローが前記仮登録状態であって、前記ユーザが前記連携処理フローに対するアクセスに制限のない管理者である場合には、前記アクセス制限情報に従って該連携処理フローに対する操作を制御し、
前記連携処理フローが前記仮登録状態であって、前記ユーザが前記管理者ではない場合には、該ユーザが前記連携処理フローの前記作成者であるときは、前記アクセス制限情報に従って該連携処理フローに対する操作を制御し、該ユーザが前記連携処理フローの前記作成者ではないときは、該連携処理フローに対する操作を終了することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
複数の機能を連携して実行する連携処理の手順が予め定義された連携処理フローに従って、該連携処理を実行する画像処理装置の制御方法であって、
実行結果の検証が完了した本登録状態、又は実行結果の検証が完了する前の仮登録状態の何れかを示す登録種別情報ととともに、前記連携処理フローを記憶する記憶ステップと、
実行を要求された前記連携処理フローが前記仮登録状態であると、該連携処理フローに含まれる一部の機能を、該連携処理フローの実行結果をユーザが検証可能な機能に変更する変更ステップと、
実行を要求された前記連携処理フローが前記本登録状態である場合には、前記連携処理フローに従って処理を実行し、該連携処理フローが前記仮登録状態である場合には、前記変更ステップにおいて変更された該連携処理フローに従って処理を実行する実行ステップと
を実行することを特徴とする画像処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−30023(P2011−30023A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174731(P2009−174731)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】