説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】画像内のかぶりを除去するために輝度値を補正する場合にあって、下地以外の部分に対して輝度値が明るくなりすぎてしまうことを防止するようにした画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置の受付手段は、画像を受け付け、推定手段は、前記受付手段によって受け付けられた画像に基づいて、本来の画素の輝度値と該画像の画素の輝度値との差であるかぶり量を推定し、測定手段は、前記受付手段によって受け付けられた画像内の画素の輝度値を測定し、決定手段は、前記受付手段によって受け付けられた画像内の下地における輝度値の補正目標値を決定し、補正手段は、前記推定手段によって推定されたかぶり量と前記決定手段によって決定された補正目標値に基づいて、前記測定手段によって測定された輝度値を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入力された画像を所定の大きさからなる画素群に分割するステップと、分割された前記画素群における画素群濃度を算出するステップと、前記画素群のうち前記画像における注目画素の属する画素群の画素群濃度と当該注目画素の属する画素群に隣接する画素群の画素群濃度とに基づいて算出した当該注目画素に対する相対濃度と、当該注目画素の絶対濃度とに基づいて当該注目画素の出力値を算出するステップとを含むことを特徴とする画像処理方法によって、多値画像内で背景より相対的に暗いペンなどで書かれた文字等を高速に切り出し、文字認識等の前処理に使い、文字図形などのオブジェクトを強調し、理解し易さを損なわずに画像サイズを圧縮することが可能となることが開示されている。
【0003】
特許文献2には、コンタクトガラス上に載置されたブック原稿を画像読取手段により読み取ったスキャン画像の輝度を補正する画像輝度補正装置において、前記スキャン画像を複数のブロックに分割するブロック分割手段と、前記ブロック分割手段により分割された複数の各ブロックに含まれる画素の中で最も輝度値の高い画素をそれぞれ選択し、その最も輝度値の高い画素の輝度値を当該各ブロックの地肌値とみなして検出する地肌値検出手段と、前記地肌値検出手段により検出された各ブロックの前記地肌値を各ブロック間で平滑化した地肌値に基づいて、前記スキャン画像に対して輝度補正処理を施す輝度補正手段と、を備えることを特徴とする画像輝度補正装置によって、画像読取手段の照明が均一でない場合やブック原稿のコンタクトガラスへの載せ方が不均一な場合(ページの上端と下端とでコンタクトガラスからの浮き上がり方が異なる場合)であっても、スキャン画像の一部分の地肌値に基づいてスキャン画像を帯状に輝度補正する場合に比べて局所的な範囲で地肌値を検出して輝度補正するので、輝度補正後の画像に黒い筋や薄い影が生じてしまうのを防止することができ、また、ノイズの影響を抑制することが可能になることが開示されている。基本的にはかぶり具合をブロック分割した各ブロックの最大輝度値を利用して、各ピクセル単位の補正式が、「補正結果=実測値×指定輝度値÷代表輝度値」で実現されている。
【0004】
特許文献3には、画像階調補正技術を逆光補正に適用した場合には、明るい領域又は暗い領域内の局所的なコントラストを改善するのに限界があったことを課題とし、ブロックタイミング発生部は、1画面内を複数のブロックに分割し、平均輝度算出部は、ブロックタイミング発生部で指定されたブロック単位での平均輝度レベルを算出し、ブロック単位補正量算出部は、ブロック単位での平均輝度レベルから、補正の方向及び補正量を算出し、画素単位補正量算出部は、ブロック単位の補正量を当該ブロック内の各画素単位での補正量に補間し、階調変換部は、画素単位の補正量とメモリから読み出した当該画素の輝度データとをアドレスとして、最終的な補正量を階調変換テーブルから読み出して、階調変換を行うことが開示されている。
【0005】
特許文献4には、逆光補正を行うと画像中の明るい部分の色味が飛んでしまっており、また画像全体の色のバランスを適切に整えることが困難であったことを課題とし、入力画像内における特定画像の少なくとも一部を含む領域を検出する特定画像検出部と、上記検出された領域に属する画素に基づいて特定画像を代表する代表色を算出する代表色算出部と、代表色の明るさに基づいて階調補正のための第一補正曲線を取得する第一補正曲線取得部と、代表色を第一補正曲線によって補正し、補正後の代表色を構成する要素色毎の階調値に基づいて要素色毎の階調補正のための第二補正曲線を取得する第二補正曲線取得部と、入力画像を構成する画素のうち暗部を定義した色域に属する画素の階調値について第一補正曲線を用いて補正する第一補正部と、入力画像を構成する画素の要素色毎の階調値について第二補正曲線を用いて補正する第二補正部とを備える構成としたことが開示されている。
【0006】
特許文献5には、逆光補正を行うと画像中の明るい部分の色味が飛んでしまっていたことを課題とし、入力画像内における特定画像の少なくとも一部を含む領域を検出する特定画像検出部と、上記特定画像検出部によって検出された領域における明るさと上記入力画像内における背景領域の明るさとの差を取得する差取得部と、上記差に基づいて階調補正のための補正曲線を取得する補正曲線取得部と、上記入力画像を構成する画素のうち暗部を定義した色域に属する画素の階調値について上記補正曲線を用いて補正する補正部とを備える構成としたことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3426189号公報
【特許文献2】特許第4111697号公報
【特許文献3】特開2005−341527号公報
【特許文献4】特開2009−290660号公報
【特許文献5】特開2009−290661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、画像内のかぶりを除去するために輝度値を補正する場合にあって、下地以外の部分に対して輝度値が明るくなりすぎてしまうことを防止するようにした画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の発明は、画像を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた画像に基づいて、本来の画素の輝度値と該画像の画素の輝度値との差であるかぶり量を推定する推定手段と、前記受付手段によって受け付けられた画像内の画素の輝度値を測定する測定手段と、前記受付手段によって受け付けられた画像内の下地における輝度値の補正目標値を決定する決定手段と、前記推定手段によって推定されたかぶり量と前記決定手段によって決定された補正目標値に基づいて、前記測定手段によって測定された輝度値を補正する補正手段を具備することを特徴とする画像処理装置である。
【0010】
請求項2の発明は、前記補正手段は、前記推定手段によって推定されたかぶり量と前記決定手段によって決定された補正目標値との差分を基本補正量とし、該基本補正量を前記測定手段によって測定された輝度値と該かぶり量との差分に基づいた係数によって変更し、該変更した基本補正量に基づいて、該輝度値を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0011】
請求項3の発明は、前記補正手段は、前記測定手段によって測定された輝度値と前記かぶり量との差分が大きくなると、前記基本補正量を小さくするような係数とすることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項4の発明は、前記補正手段は、前記測定手段によって測定された輝度値と前記かぶり量との差分が予め定めた閾値以上又は大きい場合は、該輝度値の補正を行わないことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置である。
【0013】
請求項5の発明は、前記補正手段は、前記基本補正量を前記測定手段によって測定された輝度値と前記かぶり量との差分と前記基本補正量に基づいた係数によって変更することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0014】
請求項6の発明は、前記推定手段によって推定されたかぶり量と前記決定手段によって決定された補正目標値との差分に基づいて、前記補正手段による補正を行うか否かを判断する判断手段をさらに具備し、前記補正手段は、前記判断手段によって補正を行うと判断された場合に、補正を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0015】
請求項7の発明は、前記受付手段によって受け付けられた画像内の各画素における前記推定手段によって推定されたかぶり量同士の差分に基づいて、前記補正手段による補正を行うか否かを判断する判断手段をさらに具備し、前記補正手段は、前記判断手段によって補正を行うと判断された場合に、補正を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0016】
請求項8の発明は、画像を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた画像から領域を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された領域を予め定めた規則に基づいて選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された領域内の画素の輝度値を測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された画素値から、前記受付手段によって受け付けられた画像におけるかぶりの度合いを示す関数を推定する推定手段と、前記受付手段によって受け付けられた画像内の下地における輝度値の補正目標値を決定する決定手段と、前記推定手段によって推定された関数に基づいてかぶり量を算出し、該かぶり量と前記決定手段によって決定された補正目標値に基づいて、前記測定手段によって測定された輝度値を補正する補正手段を具備することを特徴とする画像処理装置である。
【0017】
請求項9の発明は、前記推定手段によって推定された関数に基づいてかぶり量を算出し、該かぶり量と前記決定手段によって決定された補正目標値との差分に基づいて、前記補正手段による補正を行うか否かを判断する判断手段をさらに具備し、前記補正手段は、前記判断手段によって補正を行うと判断された場合に、補正を行うことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置である。
【0018】
請求項10の発明は、前記推定手段によって推定された関数に基づいてかぶり量を算出し、前記受付手段によって受け付けられた画像内の各画素における該かぶり量同士の差分に基づいて、前記補正手段による補正を行うか否かを判断する判断手段をさらに具備し、前記補正手段は、前記判断手段によって補正を行うと判断された場合に、補正を行うことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置である。
【0019】
請求項11の発明は、コンピュータを、画像を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた画像に基づいて、本来の画素の輝度値と該画像の画素の輝度値との差であるかぶり量を推定する推定手段と、前記受付手段によって受け付けられた画像内の画素の輝度値を測定する測定手段と、前記受付手段によって受け付けられた画像内の下地における輝度値の補正目標値を決定する決定手段と、前記推定手段によって推定されたかぶり量と前記決定手段によって決定された補正目標値に基づいて、前記測定手段によって測定された輝度値を補正する補正手段として機能させるための画像処理プログラムである。
【0020】
請求項12の発明は、コンピュータを、画像を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた画像から領域を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された領域を予め定めた規則に基づいて選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された領域内の画素の輝度値を測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された画素値から、前記受付手段によって受け付けられた画像におけるかぶりの度合いを示す関数を推定する推定手段と、前記受付手段によって受け付けられた画像内の下地における輝度値の補正目標値を決定する決定手段と、前記推定手段によって推定された関数に基づいてかぶり量を算出し、該かぶり量と前記決定手段によって決定された補正目標値に基づいて、前記測定手段によって測定された輝度値を補正する補正手段として機能させるための画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の画像処理装置によれば、画像内のかぶりを除去するために輝度値を補正する場合にあって、下地以外の部分に対して輝度値が明るくなりすぎてしまうことを防止することができる。
【0022】
請求項2の画像処理装置によれば、下地と下地以外の部分に対して補正量を異ならせることができる。
【0023】
請求項3の画像処理装置によれば、下地以外の部分に対しては、下地に対して除去するかぶり量よりも少なくすることができる。
【0024】
請求項4の画像処理装置によれば、輝度値とかぶり量との差分が予め定めた閾値以上又は大きい場合、下地以外の部分に対しては、かぶり量の除去を行わないようにすることができる。
【0025】
請求項5の画像処理装置によれば、輝度値とかぶり量との差分と基本補正量に基づいた係数によって、基本補正量を変更することができる。
【0026】
請求項6の画像処理装置によれば、かぶり量と補正目標値との差分に基づいて、補正を行うか否かを判断することができる。
【0027】
請求項7の画像処理装置によれば、各画素におけるかぶり量同士の差分に基づいて、補正を行うか否かを判断することができる。
【0028】
請求項8の画像処理装置によれば、対象とする画像内に有彩色領域が存在する場合に、画像全体に、原稿色に対応したかぶりを除去するときに生じる輝度値が明るくなりすぎてしまうことを防止することができる。
【0029】
請求項9の画像処理装置によれば、かぶり量と補正目標値との差分に基づいて、補正を行うか否かを判断することができる。
【0030】
請求項10の画像処理装置によれば、各画素におけるかぶり量同士の差分に基づいて、補正を行うか否かを判断することができる。
【0031】
請求項11の画像処理プログラムによれば、画像内のかぶりを除去するために輝度値を補正する場合にあって、下地以外の部分に対して輝度値が明るくなりすぎてしまうことを防止することができる。
【0032】
請求項12の画像処理プログラムによれば、対象とする画像内に有彩色領域が存在する場合に、画像全体に、原稿色に対応したかぶりを除去するときに生じる輝度値が明るくなりすぎてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図2】第1の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図3】画像受付モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図4】かぶり量推定モジュール、画素値測定モジュール、補正目標値決定モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図5】輝度補正モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図6】第2の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図7】第2の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図8】第3の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図9】第3の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図10】画像受付モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図11】非エッジ領域抽出モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図12】非エッジ領域抽出モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図13】検査領域選択モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図14】画素値測定モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図15】画素値測定モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図16】画素値分布推定モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図17】画素値分布推定モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図18】輝度補正モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図19】輝度補正モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図20】輝度補正モジュールによる処理例を示す説明図である。
【図21】第4の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図22】第4の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図23】本実施の形態の前提となる技術例を示す説明図である。
【図24】本実施の形態の前提となる技術例を示す説明図である。
【図25】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
まず、本実施の形態を説明する前に、その前提となる技術について説明する。なお、この説明は、本実施の形態の理解を容易にすることを目的とするものである。
図23(a)の例に示す撮影対象文書2300は名刺であり、白黒のみで印刷されている。
この撮影対象文書2300を、例えばデジタルカメラで撮影し、図23(c)の例に示す撮影画像2330を得る。この場合、撮影した画像には図23(b)の例に示すかぶり画像2320が重複されて撮影されている。このかぶり画像2320は、照明のかたより、逆光、撮影対象文書2300の設置等(つまり、撮影対象文書2300と照明と撮影装置の位置関係)又はデジタルカメラ内のレンズの構成(例えば、画像の中央部分は明るく、周辺部分は暗くなる)等によって、発生するものである。図23(b)の例に示すようにかぶり画像2320では、右側が濃い黒であり、左側が薄い黒となるようなグラデーション画像(濃淡が段階的に変化している画像)となっている。したがって、図23(c)の例に示すように撮影画像2330でも、右側は黒くなるが、左側は元の撮影対象文書2310の画像に近いものとなる。なお、このかぶりとは、影、黒かぶり等ともいわれている。
【0035】
また、デジタルカメラで撮影する場合のみでなく、スキャナ等においても、このかぶり画像は発生することがある。例えば、スキャナ(いわゆるフラッドベットスキャナ)では、コンタクトガラス上に開閉自在の圧板を設け、コンタクトガラス上に原稿を設置した後に圧板を閉じて原稿をスキャンするようにしている。しかし、原稿としてはシート状のものに限られず、ブック原稿(本、冊子等)も原稿として扱われることがあり、そのような場合にもコンタクトガラス上にブック原稿を設置し、原稿をスキャンすることになる。ところが、原稿としてブック原稿を用いた場合には、ブック原稿のページ綴じ部がコンタクトガラスから浮き上がってしまう。このようにブック原稿のページ綴じ部がコンタクトガラスから浮き上がってしまった場合には、ページ綴じ部が焦点面から離れてしまうため、浮き上がった部分のスキャン画像には、かぶりという画像劣化が発生する。
【0036】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な各種の実施の形態の例を説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0037】
第1の実施の形態である画像処理装置は、画像からかぶりを除去するものであって、図1の例に示すように、画像受付モジュール110、かぶり量推定モジュール120、画素値測定モジュール130、補正目標値決定モジュール140、輝度補正モジュール150、出力モジュール160を有している。
【0038】
画像受付モジュール110は、かぶり量推定モジュール120と接続されており、画像を受け付けて、その画像をかぶり量推定モジュール120へ渡す。画像を受け付けるとは、例えば、スキャナ、カメラ等で画像を読み込むこと、ファックス等で通信回線を介して外部機器から画像を受信すること、ハードディスク(コンピュータに内蔵されているものの他に、ネットワークを介して接続されているもの等を含む)等に記憶されている画像を読み出すこと等が含まれる。画像は、多値画像(カラー画像を含む)である。受け付ける画像は、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。また、画像の内容として、ビジネスに用いられる文書(例えば、前述の名刺等)、広告宣伝用のパンフレット、ホワイトボードに書かれたもの等であってもよい。また、画像受付モジュール110は、デジタルフィルタ処理等によって補正をするようにしてもよい。例えば、手ぶれ補正等がある。画像受付モジュール110の処理例については、図3を用いて後述する。
【0039】
かぶり量推定モジュール120は、画像受付モジュール110、画素値測定モジュール130と接続されており、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像に基づいて、本来の画素の輝度値とその画像の画素の輝度値との差であるかぶり量を推定する。そして、推定したかぶり量を補正目標値決定モジュール140、輝度補正モジュール150に渡す。かぶり量推定モジュール120は、例えば、撮影対象文書の下地色の分布から各座標でのかぶりの量と傾斜の強さを推定する。具体例として、前述の特許文献2に記載の技術を用いてもよく、画像の予め定めた量子化点での輝度代表値を生成し、周囲の輝度代表値から各座標の推定輝度値を算出するようにしてもよい。
【0040】
画素値測定モジュール130は、かぶり量推定モジュール120、補正目標値決定モジュール140と接続されており、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像内の画素の輝度値を測定する。そして、測定した画素値を補正目標値決定モジュール140に渡す。画素値測定モジュール130は、画像を走査して、各画素における輝度値を測定する。走査方向については、後述する第3の実施の形態の画素値測定モジュール840と同等の走査を行うようにしてもよい。
【0041】
補正目標値決定モジュール140は、画素値測定モジュール130、輝度補正モジュール150と接続されており、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像内の下地における輝度値の補正目標値を決定する。そして、決定した補正目標値を輝度補正モジュール150に渡す。補正目標値決定モジュール140は、かぶり量推定モジュール120によって推定されたかぶり量から、例えば、全面が原稿下地であると仮定した場合の輝度値の補正目標値を決定する。また、補正目標値決定モジュール140は、予め定めた固定の補正目標値、又はかぶりの輝度分布から予め定めた条件を満たすものを算出して決定するようにしてもよい。より具体的には、例えば(1)画像内の画素の輝度値を集計して輝度値ヒストグラムを生成して、予め定めた条件を満たす画素(例えば、明るい方から上位10%にある画素)の輝度値としてもよいし、(2)操作者が輝度値を設定するようにしてもよい。
【0042】
輝度補正モジュール150は、補正目標値決定モジュール140、出力モジュール160と接続されており、かぶり量推定モジュール120によって推定されたかぶり量(以下、推定輝度値ともいう)と補正目標値決定モジュール140によって決定された補正目標値に基づいて、画素値測定モジュール130によって測定された輝度値を補正する。そして、輝度値を補正した画像を出力モジュール160に渡す。輝度値を補正した画像とは、かぶりを除去した画像である。
また、輝度補正モジュール150は、かぶり量推定モジュール120によって推定されたかぶり量と補正目標値決定モジュール140によって決定された補正目標値との差分を基本補正量とし、その基本補正量を画素値測定モジュール130によって測定された輝度値とそのかぶり量との差分に基づいた係数によって変更し、その変更した基本補正量に基づいて、その輝度値を補正するようにしてもよい。この処理については、(1)式、(2)式を用いて後述する。
【0043】
さらに、輝度補正モジュール150は、画素値測定モジュール130によって測定された輝度値とかぶり量との差分が大きくなると、基本補正量を小さくするような係数とするようにしてもよい。「基本補正量を小さくする」とは、「基本補正量の修正量を大きくする」ことであり、下地部分における補正量と比較して、測定された輝度値の補正量は少ないことを意味する。例えば、黒色の文字等に対してかぶり量の除去は少なくすることになる。この処理については、(2)式を用いて後述する。
さらに、輝度補正モジュール150は、画素値測定モジュール130によって測定された輝度値とかぶり量との差分が予め定めた閾値以上又は大きい場合は、その輝度値の補正を行わないようにしてもよい。この処理については、(2)式を用いて後述する。
また、輝度補正モジュール150は、基本補正量を画素値測定モジュール130によって測定された輝度値とかぶり量との差分と基本補正量に基づいた係数によって変更するようにしてもよい。この処理については、(3)式を用いて後述する。
【0044】
出力モジュール160は、輝度補正モジュール150と接続されており、輝度補正モジュール150によって輝度が補正された画像を受け取り、その画像を出力する。画像を出力するとは、例えば、プリンタ等の印刷装置で印刷すること、ディスプレイ等の表示装置に表示すること、ファックス等の画像送信装置で画像を送信すること、画像データベース等の画像記憶装置へ画像を書き込むこと、メモリーカード等の記憶媒体に記憶すること、他の情報処理装置へ渡すこと等が含まれる。また、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像と対応付けて出力するようにしてもよい。
【0045】
図2は、第1の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS202では、画像受付モジュール110が、対象画像を受け付ける。
図3は、画像受付モジュール110による処理例を示す説明図である。撮影対象文書320は、図23の例で示した撮影対象文書2300と同等のものである。これを撮影装置310で撮影した場合、撮影画像330のようにかぶりが発生した画像を得る。例えば、名刺交換した後に、机の上に撮影対象文書320を置き、撮影装置310で撮影するような状況である。撮影装置310は、デジタルカメラであってもよいし、携帯情報端末装置(例えば、スマートフォンを含む携帯電話等)に内蔵されているデジタルカメラであってもよいし、スキャナ等であってもよい。
【0046】
ステップS204では、かぶり量推定モジュール120が、かぶり量を推定する。
ステップS206では、画素値測定モジュール130が、画像内の画素値を測定する。
ステップS208では、補正目標値決定モジュール140が、補正目標値を決定する。
図4は、かぶり量を除去する様子を3次元的に表現したものであり、かぶり量推定モジュール120、画素値測定モジュール130、補正目標値決定モジュール140による処理例を示す説明図である。x軸、y軸は画像内における位置を示し、z軸は輝度値を示す空間である。z軸において下にある灰色の面がかぶりの画像であり、画像全体を覆っているように位置している。そして、x軸方向にいくにしたがって、z軸において下に下がっているのは、かぶり画像が右側にいくほど濃くなっていることを示している。そして、z軸において上にある薄い格子模様の面が補正した後の画像の輝度を示している。p上は、図4の例に示すように、ステップS208で決定された補正目標値であり、例えば、前述のように画像における明るい方から上位10%にある画素の輝度値である。次のステップS210ではこれに合わせるように、各点における輝度を上げる(明るくする、z軸上で上にあげる)ようにしてかぶりを除去している。図4では、交点412、414、416、418に囲まれている交点418を補正後中間点422まで輝度を引き上げていることを示している。なお、交点412、414は、ライン432上にあり、交点416、418は、ライン434上にあり、交点412、416は、ライン436上にあり、交点414、418は、ライン438上にある。そして、下地以外の部分である文字部(図4内では「あ」の文字)は、画素値測定モジュール130によって下地部分よりも暗い輝度値が測定されることになる。
【0047】
ステップS210では、輝度補正モジュール150が、画像の輝度を補正する。輝度補正モジュール150は、推定輝度値と測定輝度値の差分をチェックする。そして、差分が暗い側にあれば(推定輝度から測定輝度値を減算した結果が正の値となれば)、補正量を下地部分と比べてより抑制する。つまり、文字等の部分については、必要以上に輝度をあげないことになる。
図5は、輝度補正モジュール150による処理例を示す説明図である。図5(a)は、輝度補正モジュール150による補正前の画像の様子を示すグラフの例であり、図5(b)は、輝度補正モジュール150による補正後の画像の様子を示すグラフの例である。図5(a)(b)の例に示すグラフでは、補正目標値決定モジュール140が決定した補正目標値を水平線の点線で表している。図5(a)の例に示すグラフでは、画素値測定モジュール130が測定した輝度を実線で示しており、かぶり量推定モジュール120が推定したかぶり量(推定輝度値)は一点鎖線で示している。図5(b)の例に示すグラフでは、画素値測定モジュール130が測定した輝度を灰色の実線で示しており、輝度補正モジュール150が補正した輝度値は黒色の実線で示している。つまり、下地部分は補正目標値にまで輝度を上げており(輝度を高める、薄くする)、下地以外の部分は輝度を上げているが、下地部分において高めている量よりも少ない量である。したがって、下地以外の部分は、必要以上に薄くなっていないことを示している。
【0048】
下地部分か下地以外の部分であるかについては、
(推定輝度値−測定輝度値)<閾値th ならば、下地部分であると判断し、
(推定輝度値−測定輝度値)≧閾値th ならば、下地以外の部分であると判断する。なお、ここでの閾値thは、人間の目で見て下地以外の部分(例えば、文字)であると判明できる程度の値となり、予め定めた値である。
そして、下地部分であると判断された部分については、
補正量=(補正目標値−推定輝度値)
を計算し(この補正量は基本補正量となる)、下地以外の部分であると判断された部分については、
補正量=(補正目標値−推定輝度値)×補正レートR
を計算する。そして、補正量を測定輝度値に加算する。補正レートRは、1以下の値であり、次の(1)式のように計算される。測定輝度値(v)と推定輝度値(e)の差分が大きいほど係数である補正レート(R)が0に近い値となる。さらに、(1)式の外側のmax()式によって0が下限となり、差分が予め定めた値を超えると補正しないことになる。つまり、補正レート(R)は0となり、補正しないこと(測定輝度値そのままにしておくこと)となる。なお、補正強度パラメータρは予め定めた値とする。
【数1】

したがって、補正後の輝度値new_vは、次の(2)式のように計算される。
【数2】

なお、(2)式内のCは、前述の補正量のことである。
【0049】
また、輝度補正モジュール150は、(1)式の代わりに次の(3)式を採用してもよい。
【数3】

(3)式は、補正目標値である輝度値と推定輝度値の差分である(p−e)が大きい場合には、推定輝度値と測定輝度値の差が小さくても補正抑制を大きくするような式となっている。なお、τは倍率補正である。例えば、中間輝度値の128などを採用してもよい。
【0050】
ステップS212では、出力モジュール160が、輝度を補正した画像を出力する。例えば、プリンタでかぶりを除去した画像を印刷する。
【0051】
<第2の実施の形態>
図6は、第2の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
第2の実施の形態である画像処理装置は、画像からかぶりを除去するものであって、図6の例に示すように、画像受付モジュール110、かぶり量推定モジュール120、画素値測定モジュール130、補正目標値決定モジュール140、輝度補正可否判断モジュール145、輝度補正モジュール150、出力モジュール160を有している。なお、前述の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する(以下、実施の形態の説明においても同様)。
補正目標値決定モジュール140は、画素値測定モジュール130、輝度補正可否判断モジュール145と接続されている。第1の実施の形態の補正目標値決定モジュール140と同等であるが、決定した補正目標値を輝度補正可否判断モジュール145に渡す。
【0052】
輝度補正可否判断モジュール145は、補正目標値決定モジュール140、輝度補正モジュール150と接続されている。輝度補正可否判断モジュール145は、推定輝度値の傾き、推定輝度値と目標輝度値の差分が大きい場合、下地以外の文字部等がつぶれすぎている場合があるので補正処理を常に実施することはしないようにしている。
輝度補正可否判断モジュール145は、かぶり量推定モジュール120によって推定されたかぶり量と補正目標値決定モジュール140によって決定された補正目標値との差分に基づいて、輝度補正モジュール150による補正を行うか否かを判断する。この判断処理については、(4)式を用いて後述する。
また、輝度補正可否判断モジュール145は、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像内の各画素におけるかぶり量推定モジュール120によって推定されたかぶり量同士の差分に基づいて、輝度補正モジュール150による補正を行うか否かを判断するようにしてもよい。この判断処理については、(5)式、(6)式を用いて後述する。
【0053】
輝度補正モジュール150は、輝度補正可否判断モジュール145、出力モジュール160と接続されている。第1の実施の形態の輝度補正モジュール150と同等であるが、輝度補正可否判断モジュール145によって補正を行うと判断された場合に、補正を行う。
【0054】
図7は、第2の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。ステップS702からステップS708まで、ステップS712以降の処理は、図2に例示したフローチャートと同等の処理を行う。
ステップS702では、画像受付モジュール110が、対象画像を受け付ける。
ステップS704では、かぶり量推定モジュール120が、かぶり量を推定する。
ステップS706では、画素値測定モジュール130が、画像内の画素値を測定する。
ステップS708では、補正目標値決定モジュール140が、補正目標値を決定する。
【0055】
ステップS710では、輝度補正可否判断モジュール145が、輝度補正処理を行うか否かを判断し、行う場合はステップS712へ進み、それ以外の場合はステップS714へ進む。
例えば、以下の(4)式、(5)式、(6)式のいずれかにおける計算値Eが予め定めた値を超えている場合は補正を実施しないようにする。
【数4】

なお、eijは、座標(x,y)における推定輝度値であり、pijは、座標(x,y)における補正目標値を表している。
この(4)式は、推定輝度値と補正目標値の差分を利用するものである。図5(a)の例で示すと、点線と一点鎖線との間隔の最大値である。
【数5】

この(5)式は、各画素間における推定輝度値の差分を利用するものである。図5(a)の例で示すと、一点鎖線における最大値と最小値との間隔である。
【数6】

この(6)式は、各画素間における推定輝度値の差分を距離で正規化して傾き量として利用するものである。図5(a)の例で示すと、一点鎖線の傾きである。
【0056】
ステップS712では、輝度補正モジュール150が、画像の輝度を補正する。
ステップS714では、出力モジュール160が、輝度を補正した画像を出力する。
【0057】
前述の図23(a)から(c)の説明において、本実施の形態との比較について、図23(c)から(f)の例を用いて説明する。
仮にかぶり量を正しく算出できたとしても、文字部は輝度0付近になっている(黒となっている)ため、下地部分と文字部分との差分が小さくなってしまう。ここで、下地部分と同じ量だけ輝度値を上げてしまうと、文字部分も必要以上に明るい方向へ補正されてしまう。
このことについて、図23(c)から(f)の例を用いて説明する。図23(c)の例に示すように撮影画像2330内をライン2332で走査した場合の輝度値をグラフに示すと、図23(d)の例に示すようになる。つまり、かぶり画像2320は右方向に向かうほど濃くなるため、輝度値は右下がりとなるが、元の画像におけるもともとの輝度値があるので、図23(d)のグラフの例のように、輝度分布2342〜2358で段階的な輝度の分布を示すことになる。ここで、図23(f)の例のように、下地部分(輝度分布2344、2348、2352、2356)の輝度値を目標輝度になるように各輝度を補正すると、下地以外の部分(輝度分布2346、2350、2354)も補正輝度分布2374〜2380の実線のように補正されることになる。その結果は図23(e)の例に示すような補正画像2360となる。つまり、補正画像2360の右側部分は、黒い文字部分であっても薄い灰色となってしまう。これは、下地以外の部分に対しても、下地の部分と同等のかぶり除去の補正を行ってしまうことから生じてしまうことである。
一方、第1の実施の形態、第2の実施の形態では、図23(f)の例の本来の補正輝度分布2382〜2388の点線のように、下地以外の部分に対しては補正量を少なくし、再現性を低下させることを防止している。
【0058】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態、第4の実施の形態を説明する。
まず、第3の実施の形態、第4の実施の形態を説明する前に、その前提となる技術について説明する。なお、この説明は、第3の実施の形態、第4の実施の形態の理解を容易にすることを目的とするものである。
図24(a)の例に示す撮影対象文書2410は名刺であり、白黒のみではなく、有彩色の領域もある。具体的には、撮影対象文書2410内の領域2412は赤色を背景としており、領域2414は白色を背景としており、図形2416は赤色のマーク(図形)である。この撮影対象文書2410を、例えばデジタルカメラで撮影し、図24(c)の例に示す撮影画像2430を得る。この場合、撮影した画像には図24(b)の例に示すかぶり画像2420が重複されて撮影されている。このかぶり画像2420の発生原因は前述した通りである。図24(b)の例に示すようにかぶり画像2420では、右上が濃い黒であり、左下が白となるようなグラデーション画像となっている。したがって、図24(c)の例に示すように撮影画像2430でも、右上は黒くなるが、左下は元の撮影対象文書2410の画像に近いものとなる。
また、デジタルカメラで撮影する場合のみでなく、スキャナ等においても、このかぶり画像は発生することがあることは、前述した通りである。
【0059】
図8は、第3の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
第3の実施の形態である画像処理装置は、画像からかぶりを除去するものであって、図8の例に示すように、画像受付モジュール110、非エッジ領域抽出モジュール820、検査領域選択モジュール830、画素値測定モジュール840、画素値分布推定モジュール850、補正目標値決定モジュール140、輝度補正モジュール150、出力モジュール160を有している。
【0060】
画像受付モジュール110は、非エッジ領域抽出モジュール820と接続されており、画像を受け付けて、その画像を非エッジ領域抽出モジュール820へ渡す。画像受付モジュール110のここでの処理例については、図10を用いて後述する。
【0061】
非エッジ領域抽出モジュール820は、画像受付モジュール110、検査領域選択モジュール830と接続されている。非エッジ領域抽出モジュール820は、前記画像受付モジュール110によって受け付けられた画像から領域を抽出し、その抽出した領域を検査領域選択モジュール830に渡す。
また、非エッジ領域抽出モジュール820は、予め定めた大きさ以上又はより大きい領域を抽出し、その領域を抽出できなかった場合は、検査領域選択モジュール830、画素値測定モジュール840、画素値分布推定モジュール850、補正目標値決定モジュール140、輝度補正モジュール150、出力モジュール160の処理を行わないようにしてもよい。また、この場合、領域を抽出できなかった旨(つまり、かぶりの除去ができなかったこと)を出力するようにしてもよい。
ここで、抽出対象の領域とは、色値がなだらかで連続した領域である。言い換えると、エッジのない領域、又はエッジに囲まれた領域である。
非エッジ領域抽出モジュール820の処理例については、図11、図12を用いて後述する。
【0062】
検査領域選択モジュール830は、非エッジ領域抽出モジュール820、画素値測定モジュール840と接続されている。検査領域選択モジュール830は、非エッジ領域抽出モジュール820によって抽出された領域を予め定めた規則に基づいて選択し、その選択した領域を画素値測定モジュール840に渡す。
また、検査領域選択モジュール830における予め定めた規則は、非エッジ領域抽出モジュール820によって抽出された領域の大きさによって定められているようにしてもよい。検査領域選択モジュール830は、予め定めた規則として、さらに非エッジ領域抽出モジュール820によって抽出された領域の輝度又は彩度によって定められているようにしてもよい。検査領域選択モジュール830は、予め定めた規則として、さらに非エッジ領域抽出モジュール820によって抽出された領域の彩度の分散値、画像における位置、外周の大きさのいずれか一つ以上によって定められているようにしてもよい。
検査領域選択モジュール830の処理例については、図13を用いて後述する。
【0063】
画素値測定モジュール840は、検査領域選択モジュール830、画素値分布推定モジュール850と接続されている。画素値測定モジュール840は、検査領域選択モジュール830によって選択された領域内の画素の輝度値を測定し、測定結果を画素値分布推定モジュール850に渡す。画素の輝度値の測定には、予め定めた方向に走査しながら輝度を測定する。
また、画素値測定モジュール840が行う処理では、画素値を測定する走査方向として水平方向、垂直方向、斜め方向、楕円状のいずれか一つ以上であるようにしてもよい。水平方向と垂直方向の組み合わせ、右上斜め方向と右下斜め方向の組み合わせのように2種類の走査方向であってもよいし、楕円状に走査するように1種類の走査方向であってもよいし、3種類以上の走査方向の組み合わせであってもよい。
画素値測定モジュール840の処理例については、図14、図15を用いて後述する。
【0064】
画素値分布推定モジュール850は、画素値測定モジュール840、補正目標値決定モジュール140と接続されている。画素値分布推定モジュール850は、画素値測定モジュール840によって測定された画素値から、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像におけるかぶりの度合いを示す関数を推定し、その推定した関数を輝度補正モジュール150に渡す。かぶりの度合いを示す関数としては、1次関数であってもよいし、2次以上の関数であってもよい。
また、画素値分布推定モジュール850は、検査領域選択モジュール830によって選択された領域内の画素の輝度値を通る関数を推定するようにしてもよい。
画素値分布推定モジュール850の処理例については、図16、図17を用いて後述する。
【0065】
補正目標値決定モジュール140は、画素値分布推定モジュール850、輝度補正モジュール150と接続されており、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像内の下地における輝度値の補正目標値を決定し、その決定した補正目標値を輝度補正モジュール150に渡す。
【0066】
輝度補正モジュール150は、補正目標値決定モジュール140、出力モジュール160と接続されている。輝度補正モジュール150は、画素値分布推定モジュール850によって推定された関数に基づいて、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像からかぶりを除去し、そのかぶりを除去した画像を出力モジュール160に渡す。つまり、画素値分布推定モジュール850によって推定された関数に基づいてかぶり量を算出し、そのかぶり量と補正目標値決定モジュール140によって決定された補正目標値に基づいて、画素値測定モジュール840によって測定された輝度値を補正する。
また、輝度補正モジュール150は、画素値測定モジュール840による走査方向が複数方向あり、その走査方向が交差する位置におけるかぶりの値は、その走査に対して画素値分布推定モジュール850によって推定された複数の関数によって求められた値に基づいて算出するようにしてもよい。走査線上にない画素にあっては、走査線上の画素におけるかぶりの値を用いて、その画素からの距離に応じてかぶりの値を算出すればよい。なお、かぶりの値とは、受け付けた画像の画素値と本来の地肌値(かぶりがない状態で撮影した画像の画素値)との差である。
輝度補正モジュール150の処理例については、図18、図19、図20を用いて後述する。
【0067】
出力モジュール160は、輝度補正モジュール150と接続されており、輝度補正モジュール150によって補正(かぶり除去)された画像を受け取り、その画像を出力する。
【0068】
図9は、第3の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS902では、画像受付モジュール110が、対象画像を受け付ける。
図10は、画像受付モジュール110による処理例を示す説明図である。撮影対象文書1020は、図24の例で示した撮影対象文書2410と同等のものである。撮影対象文書1020には、左側の赤色を背景とした領域、右側の白色を背景とした領域、右上にある赤色のマークの領域がある。これを撮影装置310で撮影した場合、撮影画像1030のようにかぶりが発生した画像を得る。例えば、名刺交換した後に、机の上に撮影対象文書1020を置き、撮影装置310で撮影するような状況である。撮影装置310は、デジタルカメラであってもよいし、携帯情報端末装置(例えば、スマートフォンを含む携帯電話等)に内蔵されているデジタルカメラであってもよいし、スキャナ等であってもよい。
【0069】
ステップS904では、非エッジ領域抽出モジュール820が、色値の変化がなだらかで連続した領域を抽出する。
図11、図12は、非エッジ領域抽出モジュール820による処理例を示す説明図である。例えば、非エッジ領域抽出モジュール820は、ソーベルフィルターモジュール1110、2値化モジュール1120、白黒反転モジュール1130、ラベリングモジュール1140、小サイズ除去モジュール1150を有している。
ソーベルフィルターモジュール1110は、2値化モジュール1120と接続されており、ステップS902で受け付けられた撮影画像1030に対して、ソーベルフィルター(Sobel Filter)処理を行って、その結果の画像を2値化モジュール1120に渡す。ソーベルフィルター処理とは、例えば、縦線や横線のエッジを検出する処理であり、フィルタを用いて行うものである。もちろんのことながら、フィルタの設計によっては、縦線、横線以外の線を検出することもできる。
【0070】
2値化モジュール1120は、ソーベルフィルターモジュール1110、白黒反転モジュール1130と接続されており、ソーベルフィルターモジュール1110によってエッジが検出された画像を受け取り、それに対して2値化処理を行って、その2値化処理の結果画像を白黒反転モジュール1130に渡す。ここでの2値化処理は、知られている2値化処理を採用すればよい。この処理によってエッジ部分は黒となり、他の部分は白となる。
白黒反転モジュール1130は、2値化モジュール1120、ラベリングモジュール1140と接続されており、2値化モジュール1120によって2値化された画像を受け取り、それに対して白黒反転処理を行って、その白黒反転処理の結果画像をラベリングモジュール1140に渡す。この処理によってエッジ部分は白となり、他の部分は黒となる。
【0071】
ラベリングモジュール1140は、白黒反転モジュール1130、小サイズ除去モジュール1150と接続されており、白黒反転モジュール1130によって白黒反転された画像を受け取り、それに対してラベリング処理を行って、そのラベリング処理の結果画像を小サイズ除去モジュール1150に渡す。この処理によって、連続している黒領域は同じラベルが付されることになる。したがって、同じラベルが付されている領域を抽出することによって、エッジではない領域を抽出することができる。
小サイズ除去モジュール1150は、ラベリングモジュール1140と接続されており、ラベリングモジュール1140によってラベリングされた画像を受け取り、それに対して予め定めた大きさ以下又はより小さい領域であるノイズを除去する。この処理は、結果的に、予め定めた大きさ以上又はより大きい領域を抽出することになる。同じラベルが付されている領域の面積は、そのラベルが付された画素数を計数すること、又はその領域の外接矩形の面積を算出することによって求めてもよい。
図11の例に示した撮影画像1030に対して、以上の処理を施した結果の画像の例を図12に示す。領域画像1210は撮影画像1030の左側の赤色を背景とした領域であり、領域画像1220は撮影画像1030の右側の白色を背景とした領域であり、領域画像1230は撮影画像1030の右上にある赤色のマークの領域である。ただし、これらの画像は2値画像である。また、これらの画像は、撮影画像1030とのAND処理(論理積処理)を施すことによって、撮影画像1030からその領域を抽出することができるというマスク画像としての役割を有する。
なお、非エッジ領域抽出モジュール820は、図11の例に示したモジュール構成による処理ではなく、他の処理によって領域を抽出するようにしてもよい。例えば、同じ色の領域を統合する処理を行うようにしてもよい。なお、同じ色とは完全同一の色のみならず、予め定めた関係にある色を含めてもよい。具体的には、画像内から画素を選択し、その選択した画素に接触している画素であって、選択した画素の色と予め定めた関係(例えば、色空間において、その2つの色の間の距離が予め定めた値以下又は未満である関係)にある色の画素を統合し、次にその統合した画素に対して同様の統合処理を繰り返して行うことによって領域を抽出するようにしてもよい。
【0072】
ステップS906では、検査領域選択モジュール830が、かぶりの傾斜を推定するのに適している領域を抽出する。
検査領域選択モジュール830は、ステップS904で抽出した領域の特徴量を抽出する。そして、(7)式の識別関数にしたがって、各領域の(7)式の値を算出し、その値によって領域(ここでは前述のマスク画像)を選択する。例えば、ステップS904で抽出した領域内で最大値を有する領域を選択する。
【数7】

ここで、(7)式の右辺のwは重みであり、正の数の他に、0、負の数であってもよい。0の場合は、その特徴量を採用しないことを意味する。負の数の場合は、特徴量が逆の方向に作用することになる。この重みwは、予め定めた値である。予め定めた値として、操作者が設定した値であってもよいし、正解の選択肢が決まっている教師データを用いて予め学習を行った結果の値であってもよい。
(7)式の右辺のxijは特徴量である。検査領域選択モジュール830が、これらの特徴量を各領域(i)から抽出する。
i0は、領域の幅若しくは高さのいずれか、又は幅×高さ(いわゆる外接矩形の面積)であってもよい。
i1は、領域の面積である。
i2は、領域の画素密度である。
i3は、領域内の画素の輝度(例えば、Lab色空間の場合はLの値)の平均値である。
i4は、領域内の画素の彩度(例えば、Lab色空間の場合はa,bの値)の平均値である。
i5は、領域内の画素の彩度の分散値である。
i6は、領域(マスク画像)の重心とステップS902で受け付けた画像の中心との距離である。
i7は、領域の外周輪郭の長さ/外接矩形の周囲長である。
【0073】
なお、ここに挙げた特徴量は例示であって、他の特徴量を用いてもよい。また、平均値としたものは、その領域を代表する値であればよく、例えば、最頻値、中央値等であってもよい。
また、ここに例示した特徴量は全て使用する必要はなく、このうちのいずれかを選択して用いるようにしてもよい。例えば、xi0、xi1、xi2のいずれかだけを用いた識別関数としてもよい。これはかぶりの度合いを示す関数を推定するのに、大きな領域が適しているからである。
さらに、原稿の背景領域を選択するために、xi3、xi4を加えるようにしてもよい。かぶりの度合いを示す関数を推定するのに、背景領域が適しているからである。背景領域は、一般的には白いので、高輝度、低彩度の領域となるためである。なお、彩度(xi4)の重み(w)は負の数である。
【0074】
以上の特徴量によって、白背景となっている名刺、文書、ホワイトボード等には対応可能であるが、例えば、名刺の半分の領域に風景画が張り付けられているような原稿を撮影した画像の場合(白背景の面積がやや狭い)、逆光の状態でのホワイトボードを撮影した画像の場合(画像の周囲の方が高輝度になっている場合)については、不十分である可能性がある。
そこで、xi5以下の特徴量を追加するようにしてもよい。
風景画は背景部よりも概ね彩度のばらつきが高い。したがって、風景画を選択しないように彩度の分散値が小さい領域を選択できるように、xi5を採用してもよい。なお、彩度の分散値(xi5)の重み(w)は負の数である。
撮影時に目的とする領域は意図的に画像中央になるようにしているのが一般的である。したがって、領域の重心(領域の中心であってもよい)は画像の中央寄りである領域を選択できるように、xi6を採用してもよい。なお、この距離(xi6)の重み(w)は負の数である。
風景画の領域の外周は外接矩形の外周と比較して凹凸が多い。また、名刺の背景部等は矩形であり、その外周は直線状であることが多い。したがって、風景画を選択しないように外周輪郭が短い領域を選択できるように、xi7を採用してもよい。なお、この外周輪郭(xi7)の重み(w)は負の数である。
【0075】
図13は、検査領域選択モジュール830による処理例を示す説明図である。領域画像1210に対して識別関数の計算結果は、(8)式のように1.5である。
【数8】

領域画像1210に対して識別関数の計算結果は、(9)式のように2.0である。
【数9】

領域画像1210に対して識別関数の計算結果は、(10)式のように0.2である。
【数10】

そして、(11)式に示すように、識別関数の算出値が最大値となるものを選択する。
【数11】

この場合、(12)式に示すように、領域画像1220の領域が選択されることになる。
【数12】

【0076】
ステップS908では、画素値測定モジュール840が、予め定められた規則にしたがってラインを走査して、画素値を測定する。
図14、図15は、画素値測定モジュール840による処理例を示す説明図である。
図14(a)の例に示す領域抽出画像1400は、ステップS902で受け付けられた撮影画像1030とステップS906で選択された領域画像1220とのAND処理による画像である。つまり、撮影画像1030から右側にある背景が白い領域を抽出したものである。この領域抽出画像1400に対して横と縦に予め定めた間隔(例えば、均等間隔)で走査する。例えば、横方向にライン1402〜1418、縦方向にライン1422〜1442で走査する。そして、その走査の結果、各画素の輝度値をグラフにして表すと、ライン1402の走査においては図14(b)の例のようなグラフになる。つまり、選択された領域内を走査していないでの、無効なデータのみからなるグラフとなる。そして、ライン1412の走査においては図14(c)の例のようなグラフになる。つまり、選択された領域内を一部走査しているので、有効なデータを含むグラフとなり、その輝度の値は右下がりのグラフとなる。ここでのかぶりが全体的に右上方向ほど濃くなるからである。
なお、有効なデータであるか、無効なデータであるかの判別は、検査領域選択モジュール830が選択した領域の画像(マスク画像、図13の例に示した領域画像1220)を走査することによって行うことができる。領域画像1220内の黒部分の位置が領域抽出画像1400内において有効なデータがある位置であり、領域画像1220内の白部分の位置は領域抽出画像1400内において無効なデータがある位置として取り扱う。また、ここでは無効なデータは輝度値を0として扱っている。
【0077】
また、走査における予め定められた規則として、図14(a)に例示のような走査だけでなく、図15(a)の例に示すような左上から右下への斜め方向の走査と右上から左下への斜め方向の走査を予め定めた間隔で行うようにしてもよい。また、図15(b)の例に示すような楕円状の走査を予め定めた間隔で行うようにしてもよい。なお、ここで楕円状には円を含んでいてもよい。この走査方向は、かぶりの輝度の傾斜に応じて、操作者が選択するようにしてもよいし、撮影装置に応じて予め定めた走査であってもよい。
【0078】
ステップS910では、画素値分布推定モジュール850が、測定した画素値の集合から、かぶりの傾斜度合い(かぶりの度合いを示す関数)を推定する。なお、ここでの関数は1次関数を例示して説明する。
図16、図17は、画素値分布推定モジュール850による処理例を示す説明図である。
図16(a)の例に示すように、縦方向の走査におけるかぶりの度合いを示す関数を(13)式で、横方向の走査におけるかぶりの度合いを示す関数を(14)式とする。
【数13】

【数14】

【0079】
図16(b)の例は、有効なデータがあるラインを実線で示し、有効なデータがないライン(無効なデータだけのライン)を点線で示したものである。有効なデータがあるラインとしては、ライン1404〜1416、ライン1432〜1440があり、有効なデータがないラインとしては、ライン1402、1418、ライン1422〜1430、1442がある。
図17(a)の例は、有効なデータがあるラインにおけるグラフを示している。ライン1404〜1416のそれぞれにおいて、同様のグラフで示すことができる。これらに対して最小二乗法等を用いて、輝度値を通る関数を推定する。例えば、横方向のラインでの関数は(15)式のように表すことができる。なお、各ラインにおいて、有効なデータ数が予め定めた数よりも少ない場合は、そのデータは用いないで関数を推定する。図17(b)の例において、(15)式は一点鎖線で表している。
【数15】

そして、有効なデータがないラインにおいても、その関数を適用すればよい。したがって、例えば、図16(c)の例に示すようにライン1402上の推定点1632〜1640における輝度値を、図17(c)の例に示すように関数を適用して、推定点1632〜1640における輝度値とすればよい。このことは、推定した関数を画像全体に適用していることになる。
縦方向のラインを用いた関数の推定も、前述した横方向のラインを用いた関数の推定と同等に行う。
【0080】
ステップS912では、補正目標値決定モジュール140が、補正目標値を決定する。前述の実施の形態における補正目標値決定モジュール140と同等の処理を行う。補正目標値の決定は、前述の決定方法の他に、例えば、複数の交点(例えば、検査領域選択モジュール830が選択した領域内における交点であってもよい)の輝度ヒストグラムを集計して、予め定めた交点(例えば、明るい方から上位10%にある交点)の輝度値としてもよい。
【0081】
ステップS914では、輝度補正モジュール150が、画像の輝度を補正する。つまり、かぶりの傾斜度合い(ステップS910で推定した関数)を用いて、かぶり除去量を算出し、各座標における画素値を補正する。ここでの補正とは、画像からかぶりを除去して、地肌(本来の画像)を生成することになる。
図18、図19、図20は、輝度補正モジュール150による処理例を示す説明図である。
図18の例において、領域1810内の4つの交点(つまり交点1812はライン1406とライン1426の交点であり、交点1814はライン1406とライン1428の交点であり、交点1816はライン1408とライン1426の交点であり、交点1818はライン1408とライン1428の交点である)のかぶり量の計算について、図19を用いて説明する。なお、これらの交点は、無効データとして扱われていた領域にある交点である。
交点1812における輝度値は、(16)式を用いて算出する。
【数16】

(16)式は、ライン1406における関数rとライン1426における関数cjの交点1812(x,y)における値の平均値である。交点1814における輝度値も、ライン1406における関数rとライン1428における関数cj+1の交点1814(xi+1,y)における値の平均値である。交点1816における輝度値も、ライン1408における関数ri+1とライン1426における関数cの交点1816(x,yj+1)における値の平均値である。交点1818における輝度値も、ライン1408における関数ri+1とライン1428における関数cj+1の交点1818(xi+1,yj+1)における値の平均値である。このように、ラインの交点にある画素の輝度値は、横方向の関数値と縦方向の関数値の平均値とする。
【0082】
そして、このような交点ではない画素、例えば図19に示す中間点1922における輝度は、(17)式を用いて算出する。(17)式は、中間点1922における輝度を周囲の4つの交点の輝度によって算出するものである。したがって、交点以外の画素における(17)式による算出は、交点における輝度値を算出した後に行う。
【数17】

中間点1922の位置を(x,y)としている。なお、(17)式の右辺のW((x,y),(x,y))は距離重みを表している。つまり、中間点1922からの交点(交点1812、1814、1816、1818)までの距離による重みであり、4つの交点の重みの合計が1となる値であり、例えば、距離の逆数を用いた値である。したがって、各交点から等距離にある場合は、各交点における輝度の1/4を加えた値となる。
【0083】
そして、(18)式によりかぶり量を算出する。
【数18】

なお、pは、補正目標値となる輝度値である。
図20は、かぶり量を除去した様子を3次元的に表現したものである。x軸、y軸は画像の位置を示し、z軸は輝度値を示す空間である。灰色の面がかぶりの画像であり、画像全体を覆っているように位置している。そして、薄い格子模様の面が補正した後の画像の輝度を示している。pは、図20の例に示すように、前述(1)に示した画像における明るい輝度値である。これに合わせるように、各点における輝度を上げるようにしてかぶりを除去している。図20では、中間点1922の輝度を引き上げていることを示している。
【0084】
ステップS916では、出力モジュール160が、輝度を補正した画像を出力する。例えば、プリンタでかぶりを除去した画像を印刷する。
【0085】
<第4の実施の形態>
図21は、第4の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
第4の実施の形態である画像処理装置は、画像からかぶりを除去するものであって、図21の例に示すように、画像受付モジュール110、非エッジ領域抽出モジュール820、検査領域選択モジュール830、画素値測定モジュール840、画素値分布推定モジュール850、補正目標値決定モジュール140、輝度補正可否判断モジュール145、輝度補正モジュール150、出力モジュール160を有している。
【0086】
輝度補正可否判断モジュール145は、補正目標値決定モジュール140、輝度補正モジュール150と接続されており、画素値分布推定モジュール850によって推定された関数に基づいてかぶり量を算出し、そのかぶり量と補正目標値決定モジュール140によって決定された補正目標値との差分に基づいて、輝度補正モジュール150による補正を行うか否かを判断する。
また、輝度補正可否判断モジュール145は、画素値分布推定モジュール850によって推定された関数に基づいてかぶり量を算出し、画像受付モジュール110によって受け付けられた画像内の各画素におけるかぶり量同士の差分に基づいて、輝度補正モジュール150による補正を行うか否かを判断するようにしてもよい。
輝度補正モジュール150は、輝度補正可否判断モジュール145によって補正を行うと判断された場合に、補正を行う。
【0087】
図22は、第4の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS2202では、画像受付モジュール110が、対象画像を受け付ける。
ステップS2204では、非エッジ領域抽出モジュール820が、色値の変化がなだらかで連続した領域を抽出する。
ステップS2206では、検査領域選択モジュール830が、かぶりの傾斜を推定するのに適している領域を抽出する。
ステップS2208では、画素値測定モジュール840が、予め定められた規則にしたがってラインを走査して、画素値を測定する。
ステップS2210では、画素値分布推定モジュール850が、測定した画素値の集合から、かぶりの傾斜度合いを推定する。
ステップS2212では、補正目標値決定モジュール140が、補正目標値を補正する。
ステップS2214では、輝度補正可否判断モジュール145が、輝度補正処理を行うか否かを判断し、行う場合はステップS2216へ進み、それ以外の場合はステップS2218へ進む。
ステップS2216では、輝度補正モジュール150が、画像の輝度を補正する。
ステップS2218では、出力モジュール160が、輝度を補正した画像を出力する。
【0088】
前述の図24(a)から(c)の説明において、本実施の形態との比較について、図24(c)から(f)の例を用いて説明する。図24(c)の例に示すように撮影画像1430内をライン2432で走査した場合の輝度値をグラフに示すと、図24(d)の例に示すようになる。つまり、かぶり画像2420は右方向に向かうほど濃くなるため、輝度値は右下がりとなるが、元の画像におけるもともとの輝度値があるので、図24(d)のグラフの例のように、輝度分布2442、輝度分布2444、輝度分布2446、輝度分布2448で段階的な輝度の分布を示すことになる。ここで、図24(f)の例のように、目標輝度になるように各輝度を補正すると、その結果は図24(e)の例に示すような補正画像2440となる。背景が白ではない領域2412のような部分は、輝度が明るくなりすぎてしまい、赤色も飛んでしまった画像になってしまう。これは、有彩色の部分は白背景より低い輝度値となるにもかかわらず、「一面全体が白い紙原稿」を対象としていることから生じてしまうことである。
一方、第3の実施の形態、第4の実施の形態では、領域2414を選択し、その領域2414に基づいてかぶり除去量を算出し、画像を補正している。背景が白ではない領域2412のような部分は、図24(e)の例に示すような補正画像2440と比べて、輝度が明るくなりすぎてしまうことを抑制している。
【0089】
図25を参照して、本実施の形態の画像処理装置のハードウェア構成例について説明する。図25に示す構成は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などによって構成されるものであり、スキャナ等のデータ読み取り部2517と、プリンタなどのデータ出力部2518を備えたハードウェア構成例を示している。
【0090】
CPU(Central Processing Unit)2501は、前述の実施の形態において説明した各種のモジュール、すなわち、かぶり量推定モジュール120、画素値測定モジュール130、補正目標値決定モジュール140、輝度補正モジュール150、輝度補正可否判断モジュール145、非エッジ領域抽出モジュール820、検査領域選択モジュール830、画素値測定モジュール840、画素値分布推定モジュール850等の各モジュールの実行シーケンスを記述したコンピュータ・プログラムにしたがった処理を実行する制御部である。
【0091】
ROM(Read Only Memory)2502は、CPU2501が使用するプログラムや演算パラメータ等を格納する。RAM(Random Access Memory)2503は、CPU2501の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を格納する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス2504により相互に接続されている。
【0092】
ホストバス2504は、ブリッジ2505を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス2506に接続されている。
【0093】
キーボード2508、マウス等のポインティングデバイス2509は、操作者により操作される入力デバイスである。ディスプレイ2510は、液晶表示装置又はCRT(Cathode Ray Tube)などがあり、各種情報をテキストやイメージ情報として表示する。
【0094】
HDD(Hard Disk Drive)2511は、ハードディスクを内蔵し、ハードディスクを駆動し、CPU2501によって実行するプログラムや情報を記録又は再生させる。ハードディスクには、受け付けた画像、推定したかぶり量、測定した画素値、決定した補正目標値、抽出した領域の画像、推定した関数などが格納される。さらに、その他の各種のデータ処理プログラム等、各種コンピュータ・プログラムが格納される。
【0095】
ドライブ2512は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体2513に記録されているデータ又はプログラムを読み出して、そのデータ又はプログラムを、インタフェース2507、外部バス2506、ブリッジ2505、及びホストバス2504を介して接続されているRAM2503に供給する。リムーバブル記録媒体2513も、ハードディスクと同様のデータ記録領域として利用可能である。
【0096】
接続ポート2514は、外部接続機器2515を接続するポートであり、USB、IEEE1394等の接続部を持つ。接続ポート2514は、インタフェース2507、及び外部バス2506、ブリッジ2505、ホストバス2504等を介してCPU2501等に接続されている。通信部2516は、ネットワークに接続され、外部とのデータ通信処理を実行する。データ読み取り部2517は、例えばスキャナであり、ドキュメントの読み取り処理を実行する。データ出力部2518は、例えばプリンタであり、ドキュメントデータの出力処理を実行する。
【0097】
なお、図25に示す画像処理装置のハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図25に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図25に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)などに組み込まれていてもよい。
【0098】
なお、前述の各種の実施の形態を組み合わせてもよく(例えば、ある実施の形態内のモジュールを他の実施の形態内に追加する、入れ替えをする等も含む)、また、各モジュールの処理内容として背景技術で説明した技術を採用してもよい。
【0099】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray Disc(登録商標))、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0100】
110…画像受付モジュール
120…かぶり量推定モジュール
130…画素値測定モジュール
140…補正目標値決定モジュール
145…輝度補正可否判断モジュール
150…輝度補正モジュール
160…出力モジュール
820…非エッジ領域抽出モジュール
830…検査領域選択モジュール
840…画素値測定モジュール
850…画素値分布推定モジュール
1110…ソーベルフィルターモジュール
1120…2値化モジュール
1130…白黒反転モジュール
1140…ラベリングモジュール
1150…小サイズ除去モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた画像に基づいて、本来の画素の輝度値と該画像の画素の輝度値との差であるかぶり量を推定する推定手段と、
前記受付手段によって受け付けられた画像内の画素の輝度値を測定する測定手段と、
前記受付手段によって受け付けられた画像内の下地における輝度値の補正目標値を決定する決定手段と、
前記推定手段によって推定されたかぶり量と前記決定手段によって決定された補正目標値に基づいて、前記測定手段によって測定された輝度値を補正する補正手段
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記推定手段によって推定されたかぶり量と前記決定手段によって決定された補正目標値との差分を基本補正量とし、該基本補正量を前記測定手段によって測定された輝度値と該かぶり量との差分に基づいた係数によって変更し、該変更した基本補正量に基づいて、該輝度値を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記測定手段によって測定された輝度値と前記かぶり量との差分が大きくなると、前記基本補正量を小さくするような係数とする
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記補正手段は、前記測定手段によって測定された輝度値と前記かぶり量との差分が予め定めた閾値以上又は大きい場合は、該輝度値の補正を行わない
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記補正手段は、前記基本補正量を前記測定手段によって測定された輝度値と前記かぶり量との差分と前記基本補正量に基づいた係数によって変更する
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記推定手段によって推定されたかぶり量と前記決定手段によって決定された補正目標値との差分に基づいて、前記補正手段による補正を行うか否かを判断する判断手段
をさらに具備し、
前記補正手段は、前記判断手段によって補正を行うと判断された場合に、補正を行う
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記受付手段によって受け付けられた画像内の各画素における前記推定手段によって推定されたかぶり量同士の差分に基づいて、前記補正手段による補正を行うか否かを判断する判断手段
をさらに具備し、
前記補正手段は、前記判断手段によって補正を行うと判断された場合に、補正を行う
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた画像から領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された領域を予め定めた規則に基づいて選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された領域内の画素の輝度値を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定された画素値から、前記受付手段によって受け付けられた画像におけるかぶりの度合いを示す関数を推定する推定手段と、
前記受付手段によって受け付けられた画像内の下地における輝度値の補正目標値を決定する決定手段と、
前記推定手段によって推定された関数に基づいてかぶり量を算出し、該かぶり量と前記決定手段によって決定された補正目標値に基づいて、前記測定手段によって測定された輝度値を補正する補正手段
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
前記推定手段によって推定された関数に基づいてかぶり量を算出し、該かぶり量と前記決定手段によって決定された補正目標値との差分に基づいて、前記補正手段による補正を行うか否かを判断する判断手段
をさらに具備し、
前記補正手段は、前記判断手段によって補正を行うと判断された場合に、補正を行う
ことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記推定手段によって推定された関数に基づいてかぶり量を算出し、前記受付手段によって受け付けられた画像内の各画素における該かぶり量同士の差分に基づいて、前記補正手段による補正を行うか否かを判断する判断手段
をさらに具備し、
前記補正手段は、前記判断手段によって補正を行うと判断された場合に、補正を行う
ことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項11】
コンピュータを、
画像を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた画像に基づいて、本来の画素の輝度値と該画像の画素の輝度値との差であるかぶり量を推定する推定手段と、
前記受付手段によって受け付けられた画像内の画素の輝度値を測定する測定手段と、
前記受付手段によって受け付けられた画像内の下地における輝度値の補正目標値を決定する決定手段と、
前記推定手段によって推定されたかぶり量と前記決定手段によって決定された補正目標値に基づいて、前記測定手段によって測定された輝度値を補正する補正手段
として機能させるための画像処理プログラム。
【請求項12】
コンピュータを、
画像を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた画像から領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された領域を予め定めた規則に基づいて選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された領域内の画素の輝度値を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定された画素値から、前記受付手段によって受け付けられた画像におけるかぶりの度合いを示す関数を推定する推定手段と、
前記受付手段によって受け付けられた画像内の下地における輝度値の補正目標値を決定する決定手段と、
前記推定手段によって推定された関数に基づいてかぶり量を算出し、該かぶり量と前記決定手段によって決定された補正目標値に基づいて、前記測定手段によって測定された輝度値を補正する補正手段
として機能させるための画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−248945(P2012−248945A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117024(P2011−117024)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】