説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】 LOD技術を用いることなく、動画像処理をリアルタイムに処理・生成するための作業性を軽減し、かつ動画像として所望の品質を実現する。
【解決手段】 ディスプレイモニタ110に表示されているオブジェクト画像が拡大又は縮小されるとき、その視点からの距離に基づいて、予め設定した各パーツ画像の有意値の順序に応じて、追加又は削除するようにした。より具体的には、オブジェクト画像が拡大されるとき、現状の表示状態では、有意値が低く表示対象外となっていたパーツ画像を追加する。一方、オブジェクト画像が縮小されるとき、現在表示されているパーツ画像の内、有意値が低いものから順番に、視点からの距離に応じて、表示対象外とするべく削除する。これにより、1つのパーツ画像に対して、その表示倍率に応じて差し替える、所謂LOD技術を用いなくてもよくなり、動画像処理をリアルタイムに処理・生成するための作業性を軽減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパーツ画像から成るオブジェクト画像をリアルタイムに処理することで、動画パターンを生成する画像処理装置及び画像処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイモニタ(例えば、CRT、LCD等)に動画像を3D画像としてリアルタイムに処理・生成して表示するためには、当該処理・生成のための所要時間が一定の範囲内に実行されることが要求される。この処理・生成のための所要時間は、表示するオブジェクトの構成によって異なり、複雑な画像(高解像度画像)ほど所要時間が長くなる。すなわち、高解像度画像ほど情報量が多くなり、その分、演算処理時間等に時間を要することになる。
【0003】
この所要時間の範囲内での処理・生成を実現するために、1つのオブジェクトについて情報量の異なる複数種類の候補オブジェクトを準備しておき、当該オブジェクトにおいて、例えば、視点からの距離に応じて候補オブジェクトから選択することがなされている(LOD「Level of Detail」技術)。
【0004】
このLOD技術を用いた先行技術としては、特許文献1に示されるように、z軸方向にオブジェクトであるポリゴンが傾斜し、傾斜方向に長い場合のポリゴンに対しても、ボケの少ない美しいフィルタリング結果を得ることが出来る画像生成方法及びこれを用いた画像生成装置を提供するものがある。
【0005】
この特許文献1では、オブジェクトデータからピクセル単位にテクスチャ座標及び詳細度LOD「Level of Detail」値を演算し、このテクスチャ座標及び詳細度LOD値に基づき、テクスチャメモリから読み出されるピクセルのフィルタリング領域を決定し、決定されたフィルタリング領域の大きさに応じた重み付け平均を求め、前記ポリゴンに貼りつけるテクスチャカラーを生成するようにしている。
【特許文献1】特開2003−115056公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1で示したようなLOD技術では、LOD値に基づいて行う演算処理(自動演算)が、充分な品質を得られない場合が多い。このため、予め手作業で補正値等を設定しておくなど、動画像処理をリアルタイムに処理・生成するための準備開発期間が冗長し、作業が煩雑となる。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、LOD技術を用いることなく、動画像処理をリアルタイムに処理・生成するための作業性を軽減し、かつ動画像として所望の品質を実現することができる画像処理方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、複数のパーツ画像から成るオブジェクト画像を表示可能な表示部と、前記オブジェクト画像をリアルタイムに処理することで画像制御する画像処理演算ユニットと、を備えた画像処理装置であって、前記演算処理ユニットは、予め前記オブジェクト画像を構成する各パーツ画像に対して設定された、相対的に重要度、優先度の高低を数値的に示した有意値を記憶する有意値記憶手段と、前記表示部に動画像として表示される前記各パーツ画像の精細度を演算する演算手段と、前記演算手段で演算された精細度と、前記有意値とに基づいて、パーツ画像を表示対象とするか否かを判別するパーツ画像表示対象判別手段とを有し、各手段が画像処理プログラムとしてメモリに記憶され、前記画像処理演算ユニットによって実行されることを特徴としている。
【0009】
第1の発明によれば、オブジェクト画像を構成するパーツ画像のそれぞれに対して、相対的な有意値を設定する。有意値は、オブジェクト画像の視点からの距離に基づいて、その重要度、優先度の高低を数値的に示したものである。
【0010】
ここで、有意値が高ければ(数値的に大きい数値)、このパーツ画像は重要度、優先度が高く、パーツ画像を表示するときの精細度が高い場合は残しておく(表示を維持する)。
【0011】
一方、有意値が低い場合、このパーツ画像は重要度、優先度が低いため、パーツ画像を表示するときの精細度が低い場合は消去(表示対象から除外)する。
【0012】
このように、パーツ画像としてはそれぞれ単一で準備しておき、有意値に基づいて、表示対象を維持するか、除外するかを判断するのみであるため、付随的な処理(例えば、LOD技術を用いた処理後の補正処理)が不要であり、作業効率が向上する。
【0013】
また、LOD技術を用いないことによる処理時間の遅滞は、処理する対象であるパーツ画像が表示対象から除外されていくことで、処理対象物の絶対量が減るため、トータル時間を従前のまま確保することができ、動画像のリアルタイム処理、生成のための所要時間を一定の範囲内に維持することができる。
【0014】
さらに、1つのパーツ画像に対して、情報量が異なる複数種類のパーツ画像を準備しておく必要がないため、メモリ容量の削減、処理速度の向上が期待できる。
【0015】
第2の発明は、複数のパーツ画像から成るオブジェクト画像を表示可能な表示部と、前記オブジェクト画像をリアルタイムに処理することで動画像制御する画像処理演算ユニットと、を備えた画像処理装置であって、前記演算処理ユニットは、予め前記オブジェクト画像を構成する各パーツ画像に対して設定された、相対的に重要度、優先度の高低を数値的に示した有意値を記憶する有意値記憶手段と、前記表示部に動画像として表示される前記各パーツ画像の、視点からの距離を演算する演算手段と、前記演算手段で演算された距離が遠くなるに従い前記有意値の低いパーツ画像から順番に前記表示部への表示対象から除外していき、近くなるに従い前記有意値の高いパーツ画像から順番に前記表示への表示対象とするパーツ画像表示制御手段とを有し、各手段が画像処理プログラムとしてメモリに記憶され、前記画像処理演算ユニットによって実行されることを特徴としている。
【0016】
また、第3の発明は、複数のパーツ画像から成るオブジェクト画像を表示可能な表示部と、前記オブジェクト画像をリアルタイムに処理することで動画像制御する画像処理演算ユニットとを備え、画像処理装置によって実行される画像処理方法であって、前記画像処理演算ユニットが、予めメモリに記憶された画像処理プログラムに基づいて、前記パーツ画像のそれぞれを、頂点数及びテクスチャサイズを含む一種類の情報量で生成する工程と、それぞれのパーツ画像に対して、動画パターンによって変化する視点から距離に対して、相対的に重要度、優先度の高低を数値的に示した有意値を設定する工程と、前記視点から各パーツ画像までの距離の増加につれて、前記有意値の低い順のパーツ画像を表示対象から除外していく工程と、を実行することを特徴としている。
【0017】
本発明によれば、オブジェクト画像を構成するパーツ画像のそれぞれに対して、相対的な有意値を設定する。有意値は、オブジェクト画像の視点からの距離に基づいて、その重要度、優先度の高低を数値的に示したものである。
【0018】
ここで、有意値が高ければ(数値的に大きい数値)、このパーツ画像は重要度、優先度が高く、視点からの距離が遠くても残しておく(表示を維持する)。一方、有意値が低い場合、このパーツ画像は重要度、優先度が低いため、視点からの距離が遠ざかり、ある距離以上になると、消去(表示対象から除外)する。
【0019】
このように、パーツ画像としてはそれぞれ単一で準備しておき、有意値に基づいて、表示対象を維持するか、除外するかを判断するのみであるため、付随的な処理(例えば、LOD技術を用いた処理後の補正処理)が不要であり、作業効率が向上する。
【0020】
また、LOD技術を用いないことによる処理時間の遅滞は、処理する対象であるパーツ画像が表示対象から除外されていくことで、処理対象物の絶対量が減るため、トータル時間を従前のまま確保することができ、動画像のリアルタイム処理、生成のための所要時間を一定の範囲内に維持することができる。
【0021】
さらに、1つのパーツ画像に対して、情報量が異なる複数種類のパーツ画像を準備しておく必要がないため、メモリ容量の削減、処理速度の向上が期待できる。
【0022】
また、第3の発明において、前記有意値は、前記パーツ画像が占める相対表示面積が加味されて設定されることを特徴としている。
【0023】
有意値を視点からの距離を基準に設定したが、距離は遠いが相対的にパーツ画像が占める表示面積が大きい場合、また、逆に距離は違いが相対的にパーツ画像が占める面積が小さい場合等、表示対象から除外する順番が、距離のみでは不具合が生じることがある。
【0024】
このため、有意値の設定の際に、視点からの距離に加え、パーツ画像が占める表示面積を考慮することで、さらに最適な有意値を設定することができる。
【0025】
さらに本発明は、仮想空間内に配置されたオブジェクトを所定の視点位置から見た画像を生成する画像生成手段としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記オブジェクトは複数のパーツから構成されてなるとともに、各パーツに対して前記オブジェクトの視点からの距離に応じた表示優先度が設定されており、前記オブジェクトの前記視点からの距離を演算する手段と、演算された距離と前記表示優先度とに基づいて、表示すべきオブジェクトのパーツを選択してオブジェクト画像を生成する手段と、を含む画像生成手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするものである。なお、例えば、精細度はオブジェクトと視点との距離によって計算され、距離が近いほど精細度は高く判定される。精細度が高いオブジェクトはより多くのパーツから構成されれる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、LOD技術を用いることなく、動画像処理をリアルタイムに処理・生成するための作業性を軽減し、かつ動画像として所望の品質を実現することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明に係る画像処理装置の一例としてのゲーム装置のブロック図を示す。
【0028】
ゲーム装置100は、ゲームプログラムやデータ(映像、音楽データも含む)が格納されたプログラムデータ記憶装置又は記憶媒体(光ディスク及び光ディスクドライブ等も含む)101と、ゲームプログラムの実行や全体システムの制御及び画像表示のための座標計算等を行うCPU102と、CPU102が処理を行うのに必要なプログラムやデータが格納されるシステムメモリ103と、ゲーム装置100を起動するときに必要なプログラムやデータが格納されているBOOTROM104と、ゲーム装置100の各ブロックや外部に接続される機器とのプログラムやデータの流れを制御するバスアービタ105とを備え、これらはバスにそれぞれ接続されている。また、バスアービタ105には、遊戯者がゲームを進行させるための操作手段としての操作端末300が接続されている。
【0029】
バスにはレンダリングプロセッサ106が接続され、プログラムデータ記憶装置又は記憶媒体101から読み出した映像(ムービー)データや、操作者の操作やゲーム進行に応じて生成すべき画像は、レンダリングプロセッサ106によってディスプレイモニタ110に表示される。
【0030】
レンダリングプロセッサ106が画像生成を行うのに必要なグラフィックデータ等はグラフィックメモリ(フレームバッファ)107に格納されている。
【0031】
バスには、サウンドプロセッサ108が接続され、プログラムデータ記憶装置又は記憶媒体101から読み出した音楽データは、操作者の操作やゲームの進行に応じて生成すべき効果音や音声は、サウンドプロセッサ108によってスピーカ111から出力される。
【0032】
サウンドプロセッサ108が効果音や音声を生成するために必要なサウンドデータ等はサウンドメモリ109に格納される。
【0033】
ゲーム装置100には、モデム112が接続され、電話回線(図示省略)を通じて、他のゲーム装置100やネットワークサーバと通信を行い得る。
【0034】
さらに、ゲーム装置100には、ゲームの途中経過の情報やモデム112を通じて入出力されるプログラムデータを記憶しておくバックアップメモリ113(ディスク記憶媒体や記憶装置も含まれる)と、操作者の操作に従ってゲーム装置100及び外部に接続される機器を制御するための情報をゲーム装置100に入力するコントローラ114が接続されている。CPU102とレンダリングプロセッサ106によって画像演算処理ユニットが構成される。
【0035】
本実施の形態では、プログラムデータとして、デザインシミュレーションムプログラムが記憶されており、上記ゲーム装置100は、このデザインシミュレーションを実行するべく、レンダリングブロセッサ106及びサウンドプロセッサ108等が起動する。
【0036】
ディスプレイモニタ110には、上記デザインシミュレーションプログラムに基づいて、図2に示すようなオブジェクト画像(ここでは、建築家屋画像)50が表示される。このオブジェクト画像50は、所謂鳥瞰図形式の遠近感のある3D表示となっており、例えば、図2乃至図4に示すように、視点(疑似的な撮影位置)からの距離が変更され、平面画面上において奥行き感を出して表示されるものである。
【0037】
図2は、最も拡大された(視点が近い)ときのオブジェクト画像50を示しており、以下に示すように複数のパーツ画像の集合体として構成されている。なお、ここで示すパーツ画像は代表的なものである。
【0038】
第1のパーツ画像52は、家屋全体構造画像であり、この実施の形態では、2階建て家屋を表現している。
【0039】
第2のパーツ画像54は1階窓画像であり、最も視点に近い前側壁面に設けられている。
【0040】
第3のパーツ画像56は、影画像であり、図3の右前方から左後方に向けて光が射している状態を影画像によって表現している。
【0041】
第4のパーツ画像58は、2階窓画像であり、前記1階の前側壁面よりも奥まった位置に存在する2階前方壁面に設けられている。
【0042】
本実施の形態では、第1のパーツ画像52以外の上記代表的な3種類のパーツ画像54、56、58に対して、それぞれ「有意値」を設定している。
【0043】
この「有意値」とは、当該オブジェクト画像50が視点(図2乃至図4をカメラで撮影しているとみなした場合のカメラの撮像位置)に対してズームイン(接近)、スームアウト(離間)したときに、表示対象とするか表示対象から除外するかの順位を示すものであり、ズープ当該パーツ画像の視点からの距離(主)と、前記パーツ画像自体が占める表示面積(副)と、に基づいて設定されている。
【0044】
すなわち、視点から近いパーツ画像(ここでは、第2のパーツ画像54及び第3のパーツ画像56)は、ズームアウトされても、視認可能な位置にあるため、有意値を高く設定する。一方、視点から遠いパーツ画像(ここでは、第4のパーツ画像58)は、スームアウトされると、視認できない位置となるため、有意値を低く設定する。
【0045】
なお、第1のパーツ画像52は、常時表示対象とするものであるため、有意値の設定からは除外する(或いは、必ず最も高い有意値とする)。
【0046】
上記の有意値の相対関係を式で示すと、第2のパーツ画像54=第3のパーツ画像56<第4のパーツ画像58(第2のパーツ画像54<第3のパーツ画像56としてもよい)となる。
【0047】
本実施の形態では、このパーツ画像毎の有意値を予め記憶しておくと共に、それぞれのパーツ画像に対して、視点からの距離のしきい値を記憶しておき、図3乃至図5の間で、それぞれのパーツ画像の視点からの距離が変化したとき、その距離としきい値を比較し、有意値の低い順に表示対象から除外していくようにしている。
【0048】
これにより、図2では、全てのパーツ画像が表示対象となっているが、図3の状態にズームアウトしていくと、まず、第4のパーツ画像58(2階窓画像)が表示対象から除外される。
【0049】
その後、さらに図4の状態にズームアウトしていくと、第2のパーツ画像54(1階窓画像)及び第3のパーツ画像(影画像)が表示対象から除外される。
【0050】
逆に、図4→図3→図2のようにスームインしていく場合は、上記と逆に有意度の高い順番で、表示対象に復帰させていく。
【0051】
図5は、演算処理ユニットとして機能するCPU102における、上記ズームイン/ズームアウトによる、オブジェクト画像50を構成する各パーツ画像52、54、56、58の表示対象判別制御を主とした機能ブロック図を示している。
【0052】
視点位置を変更する操作があると、その操作信号は、視点位置操作データ入力部10に入力されるようになっている。
【0053】
視点位置操作データ入力K部には、視点位置解析部12が接続され、前記視点位置操作データ入力部に入力された操作信号に基づき、視点位置を解析し、認識する。
【0054】
視点位置解析部12は、オブジェクト画像生成要否判定部14に接続されており、このオブジェクト画像生成要否判定部14では、前記視点位置に基づいてオブジェクト画像50を生成するか否かを判定する。
【0055】
すなわち、初期状態や視点の向きに変更があれば、新規にオブジェクト画像50を生成する必要があり、既に表示されているオブジェクト画像50に対する視点の距離変更(拡大/縮小)であれば、パーツ画像の変更、追加、削除等(以下、編集という)の必要があると判定する。
【0056】
また、視点の移動方向によっては、現在表示されているオブジェクト画像50のパーツ画像を編集せずに、サイズの拡大(ズームイン)/縮小(ズームアウト)のみでよい場合もある。
【0057】
画像生成要否判定部14には、パーツ画像選択部16及びパーツ画像−視点間距離変化量演算部18が接続されている。
【0058】
パーツ画像選択部16では、前記オブジェクト画像50の生成又は編集が必要である場合に、パーツ画像データメモリ20から必要なパーツ画像データを読み出し、かつ、不要となったパーツ画像を削除することで、表示対象のパーツ画像を選択する。なお、このときの選択は、表示対象の基本となるパーツ画像の選択であり、後述する視点の遠近に応じた拡大/縮小時の実際の表示対象とは異なる。
【0059】
この基本となるパーツ画像のデータは、選択パーツ画像データ一時格納部22に格納されるようになっている。
【0060】
パーツ画像選択部16は、前記パーツ画像−視点間距離変化量演算部18と、選択パーツ画像有意値読出部24に接続され、このパーツ画像−視点間距離変化量演算部18と、選択パーツ画像有意値読出部24に対して、選択したパーツ画像を特定する情報を送出する。
【0061】
パーツ画像−視点間距離変化量演算部18では、画像生成要否判定部14において、サイズの拡大・縮小のみの視点変更と判定された場合、並びにパーツ画像選択部16で新たなパーツ画像が選択された場合に起動され、選択された各パーツ画像の視点からの距離を演算するようになっている。
【0062】
また、選択パーツ画像有意値読出部24では、選択されたパーツ画像のそれぞれに予め対応付けられた有意値をパーツ画像−有意値対照マップメモリ26から読み出すようになっている。
【0063】
この選択パーツ画像有意値読出部24では、パーツ画像選択部16から信号を受け取った場合、基本となるパーツ画像の全てを対象として有意値を読み出す。すなわち、オブジェクト画像50の向きが変更された場合は、構成するパーツ画像が異なるため、全てのパーツ画像を読み出し対象とする。
【0064】
一方、パーツ画像−視点間距離変化量演算部18からオブジェクト画像50の拡大/縮小のみの信号を受けた場合は、拡大指示時には、表示対象外となっているパーツ画像を対象として有意値を読み出し、縮小時は表示対象となっているパーツ画像を対象として有意値を読み出す。
【0065】
前記選択パーツ画像有意値読出部24で読み出された有意値は、表示対象選別部28へ送出され、前記パーツ画像−視点間距離変化量演算部18からの拡大/縮小指示データに基づいて、表示対象とするか否かを選別する。
【0066】
表示対象選別部28において、縮小指示が入力された場合は、いままで表示対象であったパーツ画像に対して、削除するか否かを判断する。また、拡大指示が入力された場合は、いままで表示対象外であったパーツ画像(選択パーツ画像データ一時格納部22から読み出したパーツ画像)に対して、追加するか否かを判断する。
【0067】
この表示対象選別部28での選別結果は、オブジェクト画像編集部30へ送出される。
【0068】
オブジェクト画像編集部30では、初期時や視点の向きの変更時のオブジェクトの生成、縮小時のパーツ画像の削除、拡大時のパーツ画像の追加等が実行され、生成又は編集されたオブジェクト画像データは、オブジェクト画像データ格納部32へ格納される。格納されたオブジェクト画像データは、データ出力部34を介して、バスアービタ105(図1参照)へ出力される。
【0069】
以下に本実施の形態の作用を図6のフローチャートに従い説明する。
【0070】
ステップ200では、視点移動操作があったか否かが判断され、否定判定の場合は、視点の移動がないため、このルーチンは終了する。
【0071】
また、ステップ200で肯定判定されると、ステップ202へ移行して視点位置を解析し、当該視点位置を認識してステップ204へ移行する。
【0072】
ステップ204では、オブジェクト画像50が生成を要するか否かが判断される。すなわち、初期状態でオブジェクト画像50を表示する場合、或いは、表示されているオブジェクト画像50の向きを変える場合には、新たにパーツ画像を選別しオブジェクト画像50を生成する必要がある。従って、ステップ204で肯定判定されると、まず、ステップ206へ移行して、視点からの距離を演算し、次いでステップ208へ移行して、前記演算した距離に応じた基本パーツ画像を選択する。この選択では、最も精密(拡大)したときに必要な全てのパーツ画像が選択されることになる。
【0073】
次のステップ210では、選択した全てのパーツ画像の有意値を読み出し、次いでステップ212へ移行して、現在の視点までの距離に応じて、表示対象とするパーツ画像と、表示対象から除外するパーツ画像とに選別し、ステップ214へ移行する。
【0074】
ステップ214では、表示対象としたパーツ画像を組み合わせてオブジェクト画像50を生成し、このルーチンは終了する。なお、生成されたオブジェクト画像50は、図示しない別の制御(ルーチン)でバスアービタ105へ出力され、レンダリングプロセッサ106を介してディスプレイモニタ110へ表示される。
【0075】
また、前記ステップ204において否定判定、すなわち、既にオブジェクト画像50がディスプレイモニタ110に表示され、視点位置の変更が拡大/縮小の何れか(同軸上の移動)である場合は、ステップ216へ移行して、視点からの距離を演算し、ステップ218へ移行する。
【0076】
ステップ218では、ズーム方向を判別する(ズームイン又はズームアウト)。このステップ218で拡大(ズームイン)であると判定された場合は、ステップ220へ移行して、現在ディスプレイモニタ110に表示されていないパーツ画像(表対象外パーツ画像)を選択し、次いでステップ222へ移行してこの表示対象外パーツ画像の有意値を読み出す。
【0077】
次のステップ224では、前記演算した距離に基づいて表示対象に変更するか否かが判断され、肯定判定された場合には、ステップ226へ移行してオブジェクト画像50を編集(パーツ画像の追加)を行い、このルーチンは終了する。また、ステップ224で否定判定された場合には、変更する必要がないと判断され、このルーチンは終了する。
【0078】
また、前記ステップ218で、縮小(ズームアウト)であると判定された場合は、ステップ228へ移行して、現在ディスプレイモニタ110に表示されているパーツ画像(表対象パーツ画像)を選択し、次いでステップ230へ移行してこの表示対象パーツ画像の有意値を読み出す。
【0079】
次のステップ232では、前記演算した距離に基づいて表示対象外に変更するか否かが判断され、肯定判定された場合には、ステップ234へ移行してオブジェクト画像50を編集(パーツ画像の削除)を行い、このルーチンは終了する。また、ステップ232で否定判定された場合には、変更する必要がないと判断され、このルーチンは終了する。
【0080】
以上説明したように本実施の形態では、ディスプレイモニタ110に表示されているオブジェクト画像50が拡大又は縮小されるとき、その視点からの距離に基づいて、予め設定した各パーツ画像の有意値の順序に応じて、追加又は削除するようにした。より具体的には、オブジェクト画像50が拡大されるとき、現状の表示状態では、有意値が低く表示対象外となっていたパーツ画像を追加する。一方、オブジェクト画像50が縮小されるとき、現在表示されているパーツ画像の内、有意値が低いものから順番に、視点からの距離に応じて、表示対象外とするべく削除する。
【0081】
これにより、1つのパーツ画像に対して、その表示倍率に応じて差し替える、所謂LOD技術を用いなくてもよくなり、動画像処理をリアルタイムに処理・生成するための作業性を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明が適用されるゲーム装置のブロック図である。
【図2】本実施の形態に係るディスプレイモニタにおけるオブジェクト画像の表示状態(拡大倍率)を示す正面図である。
【図3】本実施の形態に係るディスプレイモニタにおけるオブジェクト画像の表示状態(中間倍率)を示す正面図である。
【図4】本実施の形態に係るディスプレイモニタにおけるオブジェクト画像の表示状態(縮小倍率)を示す正面図である。
【図5】本実施の形態に係る、CPUにおけるズームイン/ズームアウトによる、オブジェクト画像を構成する各パーツ画像の表示対象判別制御を主とした機能ブロック図である。
【図6】本実施の形態に係る始動移動表示制御ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
10 視点位置操作データ入力部
12 視点位置解析部
14 オブジェクト画像生成要否判定部
16 パーツ画像選択部
18 パーツ画像−視点間距離変化量演算部(演算手段)
20 パーツ画像データメモリ
22 選択パーツ画像データ一時格納部
24 選択パーツ画像有意値読出部
26 パーツ画像−有意値対照マップメモリ(有意値記憶手段)
28 表示対象選別部
30 オブジェクト画像編集部(画像表示制御手段)
32 ブジェクト画像データ格納部
34 データ出力部
100 ゲーム装置
101 プログラムデータ記憶装置又は記憶媒体
102 CPU
103 システムメモリ
104 BOOTROM
105 バスアービタ
106 レンダリングプロセッサ
107 グラフィックメモリ
108 サウンドプロセッサ
109 サウンドメモリ
110 ディスプレイモニタ
111 スピーカ
112 モデム
113 バックアップメモリ
114 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパーツ画像から成るオブジェクト画像を表示可能な表示部と、前記オブジェクト画像をリアルタイムに処理することで画像制御する画像処理演算ユニットと、を備えた画像処理装置であって、
前記演算処理ユニットは、
予め前記オブジェクト画像を構成する各パーツ画像に対して設定された、相対的に重要度、優先度の高低を数値的に示した有意値を記憶する有意値記憶手段と、
前記表示部に動画像として表示される前記各パーツ画像の精細度を演算する演算手段と、
前記演算手段で演算された精細度と、前記有意値とに基づいて、パーツ画像を表示対象とするか否かを判別するパーツ画像表示対象判別手段とを有し、
各手段が画像処理プログラムとしてメモリに記憶され、前記画像処理演算ユニットによって実行されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
複数のパーツ画像から成るオブジェクト画像を表示可能な表示部と、前記オブジェクト画像をリアルタイムに処理することで動画像制御する画像処理演算ユニットと、を備えた画像処理装置であって、
前記演算処理ユニットは、
予め前記オブジェクト画像を構成する各パーツ画像に対して設定された、相対的に重要度、優先度の高低を数値的に示した有意値を記憶する有意値記憶手段と、
前記表示部に動画像として表示される前記各パーツ画像の、視点からの距離を演算する演算手段と、
前記演算手段で演算された距離が遠くなるに従い前記有意値の低いパーツ画像から順番に前記表示部への表示対象から除外していき、近くなるに従い前記有意値の高いパーツ画像から順番に前記表示への表示対象とするパーツ画像表示制御手段とを有し、
各手段が画像処理プログラムとしてメモリに記憶され、前記画像処理演算ユニットによって実行されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
複数のパーツ画像から成るオブジェクト画像を表示可能な表示部と、前記オブジェクト画像をリアルタイムに処理することで動画像制御する画像処理演算ユニットとを備え、画像処理装置によって実行される画像処理方法であって、
前記画像処理演算ユニットが、予めメモリに記憶された画像処理プログラムに基づいて、
前記パーツ画像のそれぞれを、頂点数及びテクスチャサイズを含む一種類の情報量で生成する工程と、
それぞれのパーツ画像に対して、動画パターンによって変化する視点から距離に対して、相対的に重要度、優先度の高低を数値的に示した有意値を設定する工程と、
前記視点から各パーツ画像までの距離の増加につれて、前記有意値の低い順のパーツ画像を表示対象から除外していく工程と、
を実行することを特徴とする画像処理方法。
【請求項4】
前記有意値は、前記パーツ画像の相対表示面積が占める加味されて設定されることを特徴とする請求項3記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記請求項3又は請求項4記載の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
仮想空間内に配置されたオブジェクトを所定の視点位置から見た画像を生成する画像生成手段としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記オブジェクトは複数のパーツから構成されてなるとともに、各パーツに対して前記オブジェクトの視点からの距離に応じた表示優先度が設定されており、前記オブジェクトの前記視点からの距離を演算する手段と、演算された距離と前記表示優先度とに基づいて、表示すべきオブジェクトのパーツを選択してオブジェクト画像を生成する手段と、を含む画像生成手段としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項7】
前記請求項5又は6記載のプログラムが記憶された記憶媒体。
【請求項8】
請求項6記載のプログラムをコンピュータに実行させるように構成されたゲーム装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−92195(P2006−92195A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275909(P2004−275909)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】