説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】色材の載り量を制御した印刷において、エッジ判定機能を用いず、色変換前の色信号より色度を算出し、明度と彩度の関係に応じて画像形成のスクリーン線数を変更する。
【解決手段】第1の色変換手段は、各画素における制御量の合計量が第1の制限量を超えないように複数色の色成分データを得る。第2の色変換手段は、第1の色変換手段による色変換処理とは異なる色変換処理を行うことで、各画素における制御量の合計量が第2の制限量を超えないように複数色の色成分データを得る。擬似中間調処理手段は、カラー画像データより得られる色度より、第2の色変換手段での色変換処理により得られた複数色の色成分データに対して適用するスクリーンの線数を切り替えて擬似中間調処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理方法に関し、特に、トナーやインク等の色材の載り量を制御しつつ印刷物の高画質化を図る画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷機能を備えた画像処理装置を用いて、パーソナルコンピュータ等で作成したデータを印刷する機会が増えている。色材の消費量はランニングコストに大きく影響を与えるため、従来から、使用される色材の消費量の削減を目的とした機能を有する画像処理装置が知られている。このような色材の節約機能の実現する一般的な手法として、画像データの各色材に対応する各色の濃度値を印刷前に減少させる方法があげられる。
【0003】
また、レーザービーム露光式のレーザープリンタに代表される電子写真式の画像処理装置においては、トナーを付着させることで画像形成を行うが、印刷に使用されるメディアは様々な種類が存在する。この際、メディアの種類によってはトナーが完全に定着せずトナーが飛び散ることや、ドット密度の高い部分に関してトナーが抜けてしまうことがある。この問題の対策としてトナーの付着量を減らすという方法が取られ、その実現方法としても画像データの各色材に対応する各色の濃度値もしくは階調値を印刷前に減少させる方法がある。
【0004】
更に近年では上記にあげたような色材の消費量の削減やメディア対応の効果のみならず、各画素あたりの色材の載り量を下げることによる定着機の定着温度の低減の効果が着目されている。この定着温度の低減により、定着機の省電力化、小型化、ファーストコピーアウトタイムの短縮の効果が期待されている。
【0005】
しかしながら、色材の載り量を減らすと、通常の載り量時に比べ画質が劣化するおそれがある。具体的には、再現できる色域が狭まることによる再現能力の低下があげられる。また、通常の載り量時に濃度が最大値であるような文字や図形等の輪郭部分が画像データの濃度を下げることで中間調色となり、ハーフトーン処理の結果、ジャギー(斜めの線に現れる階段状のギザギザ)や途切れなどが発生するおそれがある。従来であれば色材の節約機能設定時は、試し刷りやドラフト印刷を想定していたため、画質は重要視されない傾向があったが、近年では上述したような様々な効果が知られ、色材の載り量を減らした際の高画質が期待されている。
【0006】
こうした色材の載り量を制御した際の画質劣化(ジャギーや途切れ等)の対策として、従来では文字部や図形部に対してエッジ判定を行い、エッジ部のみに対する輪郭強調、パターン置き換え等の特殊処理を行うことが提案されている(特許文献1、特許文献2)。また一般に中間調色で表されるエッジ部のジャギーやがたつきの改善策として、画像形成時の網点の密度を高めること、すなわちスクリーンの線数を高めることが知られている。通常印刷データには印字するオブジェクトの種類が情報として含まれている。従って、オブジェクトの種類に応じてスクリーン線数を変更すること、すなわち、文字や図形等においては高い線数のスクリーンを適用する一方、自然画像に関しては低い線数のスクリーンを適用することがなされていた。スクリーン線数とは、画像を印刷する場合、画像にコンタクトスクリーンフィルムに配列されている微細な網点を重ね、網点を抜けた光をとらえることによって、画像の濃淡を網点の大小及び密度に変換する。ここで、網点は中心部ほど高濃度になっており、明るい光は小さな点、暗い光は大きな点として抽出される。網点が約25.4mm(1インチ)の幅に何列あるかを線数といい、単位はlpi(line per inch)で表す。一般的に、高い線数のスクリーンを使用すると、肉眼での網点が目立たなくなりクオリティの高い印刷物が得られ、逆に、低い線数のスクリーンを使用すると、網点が目立つようになるため印刷物は粗い印象になる。しかしながら電子写真式の画像処理装置においては、高い線数のスクリーンを使用すると電子写真プロセスが安定しないため、がさつきの発生、濃度特性の不安定といった課題を抱えている。これらの課題を解決するため、例えば特許文献3では出力する濃度値に応じてスクリーンの線数を切り替えることが提案されている。ここでは低濃度領域ではスクリーンの線数を下げ電子写真プロセスの出力特性を安定化させる一方、高濃度領域では高い線数のスクリーンを適用し高解像度でシャープな出力を可能としている。
【0007】
【特許文献1】特開平11−55519号公報
【特許文献2】特開平11−187270号公報
【特許文献3】特開2002−223357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが従来の色材の載り量を制御した際のジャギーや途切れの対策はエッジ判定の機能を必要としていた。ここでエッジ判定機能を実現する場合、パターンマッチングに用いるラインバッファ等も必要となりコストがかかるものとなる。また、エッジ判定は誤判定を起こすこともあり、誤判定の結果、画質劣化につながることがあった。
【0009】
一方、スクリーンの線数を上げることは、電子写真プロセスの安定性を保つため、オブジェクトの種類のみならず、画像データに基づき選択的に行われることが望ましい。しかしながら従来の濃度値に応じてスクリーンを切り替える対策では、色材の載り量が制御される場合、濃度値が載り量の制御により変わるため的確にスクリーンを切り替えることが困難であった。
【0010】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、エッジ判定機能を用いず、色変換前の色信号より色度を算出し、明度と彩度の関係に応じて画像形成のスクリーン線数を変更する。本発明は、色材の載り量を制御することにより、濃度に変化が起きた場合もエッジ部の画質劣化を避けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像処理装置は、複数色の色材を備えた画像処理装置であって、画像データに対して色変換処理を行うことで、各画素における制御量の合計量が第1の制限量を超えないように複数色の色成分データを得る第1の色変換手段と、画像データに対して、第1の色変換手段による色変換処理とは異なる色変換処理を行うことで、各画素における制御量の合計量が第2の制限量を超えないように複数色の色成分データを得る第2の色変換手段と、第1の色変換手段、又は、第2の色変換手段で得られた複数色の色成分データに対して擬似中間調処理を行うことで複数の擬似中間調データを得る擬似中間調処理手段を備え、擬似中間調処理手段は、画像データより得られる色度より、第2の色変換手段での色変換処理により得られた複数色の色成分データに対して適用するスクリーンの線数を切り替えて擬似中間調処理を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明の画像処理方法は、複数色の色材を備えた画像処理装置における画像処理方法であって、画像データに対して色変換処理を行うことで、各画素における制御量の合計量が第1の制限量を超えないように複数色の色成分データを得る第1のステップと、画像データに対して、第1のステップによる色変換処理とは異なる色変換処理を行うことで、各画素における制御量の合計量が第2の制限量を超えないように複数色の色成分データを得る第2のステップと、第1のステップ、又は、第2のステップで得られた複数色の色成分データに対して擬似中間調処理を行うことで複数の擬似中間調データを得る第3のステップを含み、第3のステップは、画像データより得られる色度より、第2のステップでの色変換処理により得られた複数色の色成分データに対して適用するスクリーンの線数を切り替えて擬似中間調処理を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータに、上記の画像処理方法を実行させるためのプログラムを記録することを特徴とする。
【0014】
本発明のプログラムは、コンピュータに、上記の画像処理方法を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、色材の載り量を制御した印刷において、エッジ判定機能を用いず、色変換前の色信号より色度を算出し、明度と彩度の関係に応じて画像形成のスクリーン線数を変更することで画質劣化を避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施形態を説明する。
【0017】
なお、本発明の実施形態として以下にレーザビームプリンタの適用する場合を説明するが、本発明はこれに限られるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で、任意のプリンタやファクシミリ装置などの画像処理装置に適用できる。
【実施例1】
【0018】
図1は、ホストコンピュータ101と画像処理装置104を備える画像処理システムの構成例を示すブロック図である。
【0019】
ホストコンピュータ101は、アプリケーション102とプリンタドライバ103を備える。
【0020】
アプリケーション102は、ホストコンピュータ101上で動作するアプリケーションプログラムである。ユーザは、アプリケーション102を用いることで、ページレイアウト文書、ワードプロセッサ文書、グラフィック文書等のデジタル文書データを作成する。アプリケーション102は、作成したデジタル文書データをプリンタドライバ103に送る。プリンタドライバ103は、受け取ったデジタル文書データに基づいて描画コマンドを生成する。生成される描画コマンドとしては、PDL(Page Description Language)と呼ばれるページ画像データを作成するためのプリンタ記述言語が一般的である。描画コマンドには、通常、文字やグラフィックス、イメージ等のデータの描画命令が含まれる。また、描画コマンドには、色材の節約モードや載り量制御モードといった載り量制御情報も含まれる。
【0021】
プリンタドライバ103は、ネットワーク等を介して、生成した描画コマンドを画像処理装置104に送信する。
【0022】
画像処理装置104は、ホストコンピュータ101から受け取った描画コマンドを画像データに変換し、紙面に印刷する処理を行う。
【0023】
画像処理装置104は、コマンド解析部105、描画オブジェクト生成部106、レンダリング処理部107、画像処理部108、画像出力部109を備える。
【0024】
コマンド解析部105は、ホストコンピュータ101から受け取った描画コマンドを解析し、解析結果を描画オブジェクト生成部106に送る。また、コマンド解析部105は、描画コマンド内に含まれている載り量制御情報110を抽出する。
【0025】
描画オブジェクト生成部106は、解析結果に基づいて描画オブジェクトを生成し、レンダリング処理部107に送る。
【0026】
レンダリング処理部107は、描画オブジェクトをレンダリング(画像化)し、ビットマップ画像111を生成し、画像処理部108に送る。
【0027】
画像処理部108は、ビットマップ画像111に対して色変換処理、濃度補正処理、擬似中間調処理等の画像処理を行うことによって、ビットマップ画像111を所定の画像フォーマットの画像データに変換し、画像出力部109に出力する。画像処理部の詳細は後述する。
【0028】
画像出力部109は、所定の画像フォーマットの画像データに対して出力処理を行う。
【0029】
以上の処理により、画像処理装置104は、ホストコンピュータ101から受け取った描画コマンドに基づいて生成された画像データを処理して、用紙に印刷する(112)。
【0030】
図2は、画像処理部108の詳細な構成例を示すブロック図である。
【0031】
画像処理部108は、色変換処理部(第1の色変換手段)201、濃度補正処理部202、擬似中間調処理部203、記憶部204、記憶部205、スクリーン切り替え判定部206を備える。記憶部204は、複数の色変換テーブル(色変換テーブル1、色変換テーブル2等)を保持し、記憶部205は、複数のスクリーン(スクリーン1、スクリーン2等)を保持する。
【0032】
画像出力部109への出力は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の複数色(4色)の色材に対応する画像データであり、レンダリング処理部107から受け取るビットマップ画像111は、RGB色空間画像データであるとする。
【0033】
色変換処理部201は、まず、RGB色空間画像データであるビットマップ画像111を、記憶部204に保持されている色変換テーブルを用いて、複数色の色成分データであるCMYK色空間画像データに変換する色変換処理を行う。
【0034】
色変換処理部201は、他の制御情報を用いて、複数の色変換テーブルを切り替えて色変換処理を行うことが可能である。すなわち、色変換処理部201は、画像データ内のそれぞれのオブジェクト毎に異なる色変換テーブルを参照すること、又は、印刷モードに応じて色変換テーブルを切り替えることができる。色変換テーブルを使用した色変換処理においては、下色除去(UCR:Under Color Removal)処理も同時に行われ、UCR量の異なる複数の色変換テーブルをオブジェクトの種類に応じて切り替えて使用するのが一般的である。
【0035】
色変換テーブルによる色変換処理では、変換後の画像データの各画素に対する制御量の合計量、すなわち、1画素あたりのCMYKデータの総量(載り量)を制御することもできる。
【0036】
色変換処理部201は、描画コマンド内より抽出された載り量制御情報110をもとに、記憶部204に保持されている色変換テーブル(色変換テーブル1と色変換テーブル2)を切り替える。具体的には、載り量制御情報110が「載り量1」である場合には色変換テーブル1が参照され、「載り量2」である場合には色変換テーブル2が参照される。
【0037】
図3及び図4は、色変換テーブルの内容を説明するための図である。
【0038】
色変換テーブルは、3次元ルックアップテーブルであり、色変換前のRGBデータは256階調(8ビット)で、色変換後のCMYKデータは濃度値0〜100%である。
【0039】
図3は、載り量の制限量を200%としたときの色変換テーブル1の内容を示し、図4は、載り量の制限量を100%としたときの色変換テーブル2の内容を示す。
【0040】
図3(a)及び図4(a)は、色変換テーブルの内容を3次元で表現した図であり、図3(b)及び図4(b)は、記憶部204に実際に保持されている色変換テーブルの内容を示した図である。
【0041】
色変換処理部201は、入力された画素のRGBの3信号について色変換テーブルを参照し、対応するCMYK値を取得することで色変換処理を行う。なお、色変換テーブルにすべてのRGB信号に対応するCMYKの値を登録すると、大きな記憶容量を要する。したがって、通常、色変換テーブルには、図3(b)、図4(b)に示すように、3次元ルックアップテーブル上の所定の格子点におけるCMYK値だけを登録する。格子点以外のCMYK値については、格子点におけるCMYK値に対して四面体補間等の補間演算を行うことにより算出する。
【0042】
図3(b)に示す色変換テーブル1を用いると、例えばR=0、G=0、B=255のデータは、C=100、M=100、Y=0、K=0と変換される。また、R=0、G=255、B=255のデータは、C=100、M=0、Y=0、K=0と変換される。どちらの場合も、CMYKの総量は200%を超えない。
【0043】
図4(b)に示す色変換テーブル2を用いると、例えばR=0、G=0、B=255のデータは、C=50、M=50、Y=0、K=0と変換される。これはCMYKの総量が100%に制御されているためであり、変換後のCMYK値は色変換テーブル1を用いた場合と異なる。一方、R=0、G=255、B=255のデータは、C=100、M=0、Y=0、K=0と変換され、色変換テーブル1を使用した場合と変わらない。
【0044】
このように、色変換処理部201は、載り量制御情報110に応じて色変換テーブルを切り替えて使用することにより、1画素当たりの載り量を切り替えることができる。なお本実施例では色変換テーブルを2種類とし、またその載り量の制限量もそれぞれ200%、100%としたが、それに限られるものではない。テーブルの種類は更に多くても良いし、載り量の制限量もエンジン特性や、載り量制御の使用目的にあわせて様々なものとして良い。
【0045】
濃度補正処理部202は、色変換処理部201で色変換された画像データに対して濃度補正処理を行う。通常、擬似中間調処理部203でスクリーンの切り替えがある場合、濃度補正処理部202は、スクリーンに応じて濃度補正処理の内容を切り替える必要がある。なお、濃度補正処理部202は、経時変化による濃度変動や環境変化による濃度変動の際にも濃度補正処理を行う。
【0046】
擬似中間調処理部203は、濃度補正された画像データに対して、記憶部205に保持されているスクリーンを適用し、擬似中間調処理を行う。画像出力部109は、通常、2、4、16階調等、低階調のみ出力可能であることが多い。従って、擬似中間調処理部203は、少ない階調数しか出力できない画像出力部109においても安定した中間調を出力可能なように擬似中間調処理を行い、擬似中間調データを出力する。
【0047】
なお、擬似中間調処理部203は、他の制御情報にしたがって複数のスクリーンを切り替えて適用することが可能である。適用するスクリーンの種類によって印字特性は変化することから、擬似中間調処理部203は、画像データの特性や印刷の目的にあわせて、複数のスクリーンを切り替えて処理してもよい。本実施例においては、載り量制御情報110と入力画像データの色度に基づいてスクリーンを切り替えるか否かの判定を行う。
【0048】
図5は、スクリーン切り替え判定部206の構成例を示すブロック図である。
【0049】
スクリーン切り替え判定部206は、色変換部(第2の色変換手段)501、領域判定部502、スクリーン決定部503を備える。
【0050】
色変換部501は、RGB色空間画像データであるビットマップ画像111を、スクリーンの切り替えの判定に使用される色空間に変換する。判定に使用される色空間は、均等知覚色空間であるのが望ましい。そこで、本実施例では均等知覚色空間であるCIE−Labを使用する。
【0051】
色変換部401は、RGB色空間のビットマップ画像をCIE−Lab色空間に変換する。具体的には、RGB色空間をCIE−XYZ色空間に変換し、CIE−XYZ色空間をCIE−Lab色空間に変換する。この色変換に使用する計算方法は周知であるため、その説明は省略する。
【0052】
領域判定部402は、CIE−Lab色空間に変換された各画素が含まれる領域を、画素の色度に基づいて判定する。領域の判定は、色変換処理される前の入力画像のエッジがはっきりしたものか、そうでないものかに分けるために行われる。
【0053】
図6は、領域の判定方法を均等知覚色空間で説明するための図である。
【0054】
図6では均等知覚色空間としてCIE−Lab色空間を使用している。本実施例では、CIE−Lab色空間において、色空間を領域1(601)と領域2(602)の2つの領域に分割する。
【0055】
以下、図6を参照して、領域の分割方法について説明する。
【0056】
領域判定部502は、領域分割する際に、明度(L)と彩度(a+b)を参照する。
【0057】
領域判定部502は、入力された画像データの画素の明度Lと所定の明度L0とを比較し、明度LがL0以上の場合には領域1と判定する。また、明度Lと、明度L0とは異なる所定の明度L1とを比較し、明度Lが明度L1より小さい場合には領域2と判定する。ここで、明度L0と明度L1の関係は、明度L0>明度L1である。明度Lが明度L1以上で明度L0未満の場合、明度Lの値に応じた閾値f(L)を設定する。そして、領域判定部502は、当該閾値と彩度の比較結果(彩度が閾値以上か又は閾値未満か)に基づき、領域を判定する。すなわち、入力された画素の彩度(a+b)が閾値f(L)以上であれば領域2と判定し、閾値f(L)未満であれば領域1と判定する。
【0058】
前述したように、領域の判定は、色変換処理される前の入力画像のエッジがはっきりしたものか、そうでないものかに分けるために行われる。通常、ホストコンピュータ上のアプリケーションで作成されたデジタル文書の場合、明度が低く、彩度が高いものがエッジのはっきりしたものとなる。従って色変換処理される前のビットマップ画像111の色度に基づいてエッジがはっきりした領域2(602)とそうでない領域1(601)に分ける。これにより、載り量制御情報110にしたがって切り替えて使用される複数の色変換テーブルを用いて色変換処理した画像データに関しても、入力画像に基づいた領域判定が可能になる。
【0059】
なお、閾値f(L)は、図6に示したように線形に近いものでもよいし、ルックアップテーブルを用いて明度Lから参照したものでもよい。
【0060】
上述の通り、領域判定部502が入力された画像データの領域を色度に基づいて判定した後に、スクリーン決定部403は、領域判定結果と載り量制御情報110とに基づいて、各画素に対して適用するスクリーンの種類を決定する。
【0061】
図7は、適用するスクリーンの種類の決定方法を説明するための図である。
【0062】
スクリーン決定部503は、まず、載り量制御情報110に基づいて、色変換部501がどのような載り量での色変換処理を行ったかを調べる。次に、スクリーン決定部503は、領域判定部402による領域判定結果に基づいて、適用するスクリーンの種類を決定する。スクリーン決定部503は、載り量制御情報110が「載り量2」で領域判定結果が「領域2」であれば「スクリーン2」を適用すると決定し、それ以外であれば、「スクリーン1」を適用すると決定する。
【0063】
なお、スクリーンの種類の決定は、ビットマップ画像の各画素に対応づけて行われるものであり、スクリーンの切り替え情報を示したスクリーン切り替え信号504はビットマップ画像に対応する。
【0064】
擬似中間調処理部203は、スクリーン切り替え判定部206から受け取ったスクリーン切り替え信号404に基づいて、画素毎にスクリーンを切り替える擬似中間調処理を行う。
【0065】
本実施例では、入力画像の画素の色度に基づいてスクリーンを切り替えるものであり、オブジェクト毎にスクリーンを切り替えるものではない。したがって、同一オブジェクト内でスクリーンの切り替えが発生する可能性がある。この際、スクリーンが切り替わる部分での連続性や濃度ギャップを防ぐため、本実施例では以下のようなスクリーンを使用する。
【0066】
図8は、本実施例で使用するスクリーンの例を示す図である。
【0067】
線数の異なるスクリーンを隣接させて適用する場合、通常、スクリーンの境界で不連続な領域が発生する可能性がある。そこで、本実施例では、図8に示すスクリーンを使用することでその問題を解決する。
【0068】
801は、低線数スクリーンを示し、802は高線数スクリーンを示す。低線数スクリーン801は、63度・134lpiであり、高線数スクリーン802は、18度・190lpiである。このように両者は、角度・線数とも互いに異なる特性を持つが、高線数スクリーンの成長点でより濃いドットで示している点(803)は、低線数スクリーンの成長点と同じ位置にある。この結果、この2つのスクリーンが、ある領域において隣接する画素に適用されても、境界で不連続な領域が発生するという問題は起きない。
【0069】
ここで「スクリーン1」を低線数スクリーン、「スクリーン2」を高線数スクリーンとする。
【0070】
図9は、「載り量1」の時の載り量制御値が200%の場合、「載り量2」の時の載り量制御値が100%の場合にスクリーンの種類の決定方法を説明するための図である。
【0071】
載り量制御値が200%の場合には、濃度安定性やがさつき防止を重視して低線数スクリーンを適用する。一方、載り量制御値が100%の場合には、載り量制御値が200%の場合と比べ、擬似中間調処理によるジャギーや途切れの問題がでてくる。先述の例では、載り量制御値が200%の場合、R=0、G=0、B=255は、C=100、M=100、Y=0、K=0と変換され、ハーフトーンの影響を受けない。しかしながら載り量制御値が100%の場合、R=0、G=0、B=255は、C=50、M=50、Y=0、K=0と変換され、ハーフトーンの影響を受けることとなる。本実施例では入力画像の色度に注目し、入力画像においてエッジがはっきりしている領域にのみ高線数スクリーンを適用する。すなわち、入力画像において彩度が比較的高く、明度が低い領域である領域2にのみ高線数スクリーンを適用する。例にあげたR=0、G=0、B=255も領域2に判定される色度である。この領域に対し、高線数スクリーンを適用することで載り量が100%に制御された場合も、濃度安定性やがさつき防止を保ちつつ、エッジ部分の画質劣化を防止することが可能となる。
【0072】
図10は、画像処理部108の他の構成例を示すブロック図である。
【0073】
図10に示す画像処理部108は、色変換処理部1001と濃度補正処理部1002が図2に示す画像処理部108とは異なる。
【0074】
上述した実施例では、色変換処理部1001において、載り量制御情報110に基づいた色変換テーブルの切り替えを行わない。そのかわり、濃度補正処理部1002は、載り量制御情報110に基づいて濃度補正処理を切り替える。
【0075】
図11は、載り量制御情報110に基づいた濃度補正処理の切り替えの一例を説明するための図である。
【0076】
載り量制御情報110が「載り量1」を指定したとき、入力画像データに関して出力される画像データに変更は無い。一方「載り量2」の場合には入力画像データの信号を半分にして出力する処理がなされる。従って、色変換処理部901において載り量制御200%の色変換テーブル1が適用された場合、「載り量1」では載り量制御200%にそのまま保持される。一方で載り量制御情報が「載り量2」の場合、信号がすべて半分になり載り量は100%で制御されることとなる。なお、色変換テーブルでの載り量制御と違い、濃度補正処理による載り量100%制御ではR=0、G=255、B=255は、C=50、M=0、Y=0、K=0に変換される。この場合も、入力画像データ(この場合はR=0、G=255、B=255)の色度により、領域2と判断されることで高線数スクリーンが適用され、画質劣化を抑制することができる。
【0077】
以上のように本実施例によれば、エッジ判定機能を用いず、色変換前の色信号により色度を算出し、明度と彩度の関係に応じて画像形成のスクリーン線数を変更し、入力画像データの特性に最適化する。この結果、載り量が制御されることにより濃度に変化が起きた場合も、エッジ部の画質劣化を避けることが可能となる。
【実施例2】
【0078】
実施例1によれば、色変換前の色信号より色度を算出しスクリーン切り替えの判定を行っていた。しかしながらスクリーンの切り替え判定を行うために、印字処理とは別の色変換処理を行うことはパフォーマンスの面で有利ではない。
【0079】
実施例2では、色度を算出することなく画像データの信号値から、より簡単にスクリーンの切り替え領域の判定を行う。
【0080】
実施例2における画像処理装置のシステム構成は実施例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0081】
図12は、実施例2における画像処理部108の構成例を示すブロック図である。
【0082】
色変換処理部1201は、実施例1と同様に、載り量制御情報110に基づいて色変換テーブルを切り替えて色変換処理を行う。
【0083】
実施例1のスクリーン切り替え判定部206は、入力画像データを均等知覚色空間に変換した後、色度値に基づいて領域判定を行ったが、実施例2のスクリーン切り替え判定部1206は、色変換処理を行う入力画像データの信号値に基づいて領域判定を行う。
【0084】
図13は、実施例2における領域の判定方法を入力色空間で説明するための図である。
【0085】
入力色空間はビットマップ画像の色空間であるRGB色空間である。実施例2では、RGB色空間を領域1(1301)と領域2(1302)の2つの領域に分割する。
【0086】
色変換処理部1201が画像データの色変換処理を行う際に、スクリーン切り替え判定部1206は、RGB値と所定の閾値thr、thg、thbとを比較する。比較した結果、R>thr及びG>thg及びB>thbである場合には、領域1(1301)と判定し、それ以外の場合には、領域2(1202)と判定する。
【0087】
実施例1においては、色変換処理される前の入力画像のエッジ情報がはっきりしたものか、そうでないかを明度と彩度に基づいて判定したが、実施例2においては、RGB信号に対して同様な判定を行う。すなわち実施例2において、RGB信号に対して閾値thr、thg、thbを設定し、各信号値と閾値とを比較した結果に基づいて領域判定を行う。例えば、RGB信号のすべての信号値が閾値より高い場合には、明度は高いため、領域1と判定される。またRGB信号のすべての信号値が閾値より低い場合、明度は低いため、領域2と判定される。RGB信号のどれか1つ又は2つの信号値が閾値より高く、2つ又は1つの信号値が閾値より低い場合、彩度が高いため、領域2と判定される。このように、色変換処理される画像データに対し閾値を設定することで領域判定が可能になる。
【0088】
なお、閾値thr、thg、thbはそれぞれ異なるもので構わない。またそれぞれの閾値は変換の際に適用された色変換テーブルごとに適宜定めることもできる。
【0089】
入力された画像データは上述のように入力信号をもとに領域判定された後、領域判定結果と載り量制御情報110をもとにそれぞれの画素において使用するスクリーンの種類を決定する。
【0090】
すなわち「載り量2」において領域2と判定された画素に対しては、高線数スクリーンが適用される。領域判定と載り量制御情報に基づいてスクリーンを決定する方法は実施例1と同様なので説明は省略する。
【0091】
以上のように実施例2によれば、エッジ判定機能を用いず、色変換前の色信号に応じて画像形成のスクリーン線数を変更、入力画像データの特性に最適化する。この結果、載り量が制御されることにより濃度に変化が起きた場合も、エッジ部の画質劣化を避けることが可能となる。
【実施例3】
【0092】
実施例1及び2においては、載り量制御情報を「載り量1」、「載り量2」として説明したが、実施例3において、それぞれを「通常モード」と「載り量削減モード」として説明する。「載り量削減モード」は、「通常モード」に比べ載り量は少ないが、載り量が削減されても画像劣化が少ないことが望まれる。
【0093】
載り量が削減された際に特に画像の劣化が大きい領域は、「通常モード」において濃度値が高く出力される領域である。すなわち、「通常モード」では濃度値が高くハーフトーンの影響を受けにくい領域が、載り量が削減された「載り量削減モード」では中間調の色になり、結果「通常モード」では見られなかったジャギーや途切れが発生することになる。
【0094】
実施例3では「通常モード」から「載り量削減モードに」に切り替えた際、画像劣化が著しい領域に着目し、その領域に対し高線数スクリーンを適用することで、画像劣化を防止する。
【0095】
実施例3における画像処理装置のシステム構成は実施例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0096】
図14は、画像処理部108の構成例を示すブロック図である。
【0097】
色変換テーブル1(1407)は、「通常モード」で使用される色変換テーブルであり、色変換テーブル2(1408)は、「載り量制御モード」で使用される色変換テーブルである。色変換テーブル1と色変換テーブル2とを比べると、色変換テーブル1が、載り量が多い。
【0098】
スクリーン切り替え判定部1406は、実施例1と異なり、ビットマップ画像と載り量制御情報と色変換テーブル1に基づいて、適用するスクリーンの種類を判定する。
【0099】
図15は、スクリーン切り替え判定部1407の構成例を示すブロック図である。
【0100】
スクリーン切り替え判定部1407は、色変換部1501、領域判定部1502、スクリーン決定部1503を備える。
【0101】
色変換部1501は、ビットマップ画像111の色変換処理を行う。実施例4においては、色変換部1501は、RGB色空間からCMYK色空間への色変換を行う。色変換のために適用する色変換テーブルは、載り量制御情報110の内容に関わらず、「通常モード」の色変換テーブル1とする。
【0102】
領域判定部1502は、CMYKの色空間に色変換された画像データに対して、スクリーン切り替えのための領域判定を行う。すなわち、領域判定部1502は、「通常モード」の色変換テーブル1を用いてCMYKの色空間に変換された画像データが入力される。領域判定部1502は、この画像データ内の各画素のCMYK値と所定の閾値thc、thm、thy、thkとを比較する。比較した結果、C>thc、M>thm、Y>thy、K>thkのいずれかであれば、領域2と判定し、それ以外の場合には、領域1と判定する。
【0103】
実施例3においては、載り量を削減した際、通常載り量時の印字結果に対し、画像劣化を防止することを目的とする。従って、「通常モード」で色変換処理をした際、色材に対応するCMYK値のうち、少なくとも一つが所定の濃度より高ければ、領域2と判定をする。
【0104】
入力された画像データは上述のように通常載り量時の色変換後の画像データをもとに領域判定された後、領域判定結果と載り量制御情報110に基づいてそれぞれの画素において使用するスクリーンを決定する。すなわち「載り量削減モード」において領域2と判定された画素に対しては、高線数スクリーンを適用する。領域判定と載り量制御情報よりスクリーンを決定する方法は実施例1と同様なので説明は省略する。
【0105】
以上のように実施例3によれば、エッジ判定機能を用いず、通常載り量時の色変換後の濃度信号に応じて画像形成のスクリーン線数を変更することで、載り量が制御されることにより濃度に変化が起きた場合も、エッジ部の画質劣化を避けることが可能となる。
【実施例4】
【0106】
実施例1〜3においては、スクリーンの切り替えるにあたり、描画コマンド内に含まれる文字やグラフィックス、イメージ等のオブジェクト情報を考慮していない。そこで、実施例4では、入力画像データの色度に加え、オブジェクト情報も考慮することによって、より最適なスクリーンの切り替えを行う。
【0107】
実施例4における画像処理装置のシステム構成は実施例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0108】
レンダリング処理部107は、ビットマップ画像111を生成すると共に、各画素がどのような画像特性を有するかを示す属性情報を生成する。属性情報としては、例えば、テキスト属性、イメージ属性、グラフィック属性が挙げられる。文字データはテキスト属性を有し、ドットマップデータはイメージ属性を有し、ドローデータはグラフィック属性を有する。レンダリング処理部107は、これらの属性情報は描画コマンド内のデータ描画命令から抽出する。そして、レンダリング処理部107は、ビットマップ画像111の各画素に属性情報を付加する。
【0109】
図16は、画像処理部108の構成例を示すブロック図である。
【0110】
画像処理部108は、色変換処理部1601、濃度補正処理部1602、擬似中間処理部1603、記憶部1604、記憶部1605、スクリーン切り替え判定部1606を備える。記憶部1604は、色変換テーブルを保持し、記憶部1605は、スクリーンを保持する。
【0111】
色変換処理部1601は、実施例1、2、3と同様に、色変換テーブルを参照し、RGB色空間で表現されたビットマップ画像110を、CMYK色空間で表現された画像データに変換する。特に、実施例4においては、色変換処理部1601は、載り量制御情報110と属性情報1607に基づいて、参照する色変換テーブルを切り替える。すなわち、色変換処理部1601は、ビットマップ画像110に含まれるオブジェクトに応じて色変換テーブルを切り替えて、色変換を行う。
【0112】
図17は、色変換処理で適用する色変換テーブルの切り替え方法を示す図である。
【0113】
属性情報1607としては、テキスト属性、グラフィックス属性、イメージ属性がある。
【0114】
載り量制御情報110が載り量1で、属性情報がテキスト属性又はグラフィックス属性である場合、色変換テーブル1が使用される。載り量制御情報110が載り量1で、属性情報がイメージ属性である場合、色変換テーブル2が使用される。載り量制御情報110が載り量2で、属性情報がテキスト属性又はグラフィックス属性である場合、色変換テーブル3が使用される。載り量制御情報110が載り量1で、属性情報がイメージ属性である場合、色変換テーブル4が使用される。
【0115】
色変換テーブル1と色変換テーブル2は、載り量の制御値はほぼ等しく、UCR量は異なるものとする。色変換テーブル3と色変換テーブル4は、色変換テーブル1や色変換テーブル2とは異なる載り量で制御され、UCR量が異なるものである。
【0116】
このように、色変換処理部1601は、載り量制御情報110と属性情報に基づいて色変換テーブルを切り替える。
【0117】
濃度補正処理部1502は、色変換された画像データに対して濃度補正処理を行う。
【0118】
スクリーン切り替え判定部1606は、入力画像データの色度と、載り量制御情報110と、属性情報1607に基づいてスクリーンを切り替える。
【0119】
図18は、領域の判定方法を均等知覚色空間で説明した図である。
【0120】
図18では均等知覚色空間としてCIE−Lab色空間を使用している。本実施例では、CIE−Lab色空間において、色空間を領域1(1801)と領域2(1802)と領域3(1803)の3つの領域に分割する。
【0121】
以下、図18を参照して、領域の分割方法について説明する。
【0122】
実施例1と同様に、領域を分割する際に、明度(L)と彩度(a+b)を参照する。また、L0>L1>L2>L3となる所定の明度L0、L1、L2、L3を設定する。
【0123】
入力された画像データの画素の明度Lと明度L0とを比較し、明度Lが明度L0より大きい場合には領域1と判定する。また、明度Lと明度L3とを比較し、明度Lが明度L3より小さい場合には領域3と判定する。また、明度Lが明度L1以上で明度L0未満である場合には、明度Lに応じた閾値f(L)を設定する。次に、入力された画素の彩度(a+b)が閾値f(L)以上であれば領域2と判定し、閾値f(L)未満であれば領域1と判定する。さらに、明度Lに応じた別の閾値g(L)を設定する。明度Lが明度L2以上で明度L1未満である場合、入力された画素の彩度(a+b)が閾値g(L)以上である場合には領域3と判定し、g(L)より小さくf(L)以上であれば領域2と判定し、f(L)より小さければ領域1と判定する。明度Lが明度L3以上で明度L2未満の場合には、入力された画素の彩度(a+b)が閾値g(L)以上である場合には領域3と判定し、g(L)より小さい場合には領域2と判定する。
【0124】
このように色度に応じて領域を3種類に分割することで、より入力画像の特性に応じた処理の切り替えが可能になる。なお、閾値f(L)及びg(L)に関しては図16に示されたように線形に近いものでも良いし、ルックアップテーブルを用いて明度Lから参照する等の方法が考えられる。
【0125】
入力された画像データは上述のように色度に基づいて領域判定された後、領域判定結果と載り量制御情報110に基づいてそれぞれの画素に対して使用するスクリーンを決定する。
【0126】
図19は、スクリーン決定部におけるスクリーンの決定方法を説明するための図である。
【0127】
擬似中間調処理部1603は、スクリーン1(1612)、スクリーン2(1613)、スクリーン3(1614)の3種類のスクリーンを切り替えて処理を行う。
【0128】
擬似中間調処理部1603は、領域判定結果と属性情報に基づいてスクリーンを決定する。
【0129】
擬似中間処理部1603は、領域判定結果が「領域1」であればオブジェクトの種類によらず、「スクリーン1」を適用する。領域判定結果が「領域2」であれば、テキスト、グラフィックスのオブジェクトに対して「スクリーン2」を適用し、イメージのオブジェクトに対しては「スクリーン1」を適用する。領域判定結果が「領域3」であれば、テキストのオブジェクトに対しては「スクリーン3」を適用し、グラフィックスのオブジェクトに対しては「スクリーン2」を適用し、イメージのオブジェクトに対しては「スクリーン1」を適用する。
【0130】
擬似中間処理部1603は、オブジェクトに応じてスクリーンを切り替えると共に、入力画像の画素の色度に応じてもスクリーンを切り替えるため、同一オブジェクトであってもスクリーンの切り替えが発生する可能性がある。そこで、スクリーンが切り替わる部分での連続性や濃度ギャップを防ぐため、3種類のスクリーンは以下のようにする。
【0131】
図20は、スクリーンの例を示す図である。
【0132】
2001はスクリーン1を示し、2002はスクリーン2を示し、2003はスクリーン3を示す。スクリーンの線数については、スクリーン3の線数が最も高く、スクリーン1の線数が最も低い。3つのスクリーンはその成長パターンによりスクリーン1は63度・134lpi、スクリーン2は18度・190lpi、スクリーン3は63度、268lpiである。実施例1で示したスクリーン例と同様、スクリーンの成長点でより濃いドットで示している点は、より低線数のスクリーンの成長点と同じ位置となっている。この結果、それぞれのスクリーンがある領域において隣接する画素に適用されても境界線での不連続となる問題点は発生しない。
【0133】
擬似中間処理部1603は、スクリーン切り替え判定結果に基づいて、各画素ごとにスクリーンを切り替える擬似中間調処理を行う。
【0134】
以上のように本発明によれば、エッジ判定機能を用いず、オブジェクトの種類とともに、色変換前の色信号より色度を算出し明度と彩度の関係に応じて画像形成のスクリーン線数を変更、入力画像データの特性に最適化する。この結果、載り量が制御されることにより濃度変化が起きた場合も、エッジ部の画質劣化を避けることが可能となる。
【0135】
(他の実施例)
本発明の目的は、上述した実施例で示した構成の動作(ステップ)を達成するプログラムコードを記録した記録媒体から、システムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が、プログラムコードを読出し実行することによっても達成される。記録媒体とは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになる。そのため、このプログラムコード及びプログラムコードを記録した記録媒体も本発明の一つを構成することになる。
【0136】
プログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0137】
また、そのプログラムコードの指示に基づきコンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0138】
更に、記録媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込みまれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】画像処理システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】実施例1における画像処理部の構成例を示すブロック図である。
【図3】実施例1における色変換テーブルの内容を説明するための図である。
【図4】実施例1における色変換テーブルの内容を説明するための図である。
【図5】実施例1におけるスクリーン切り替え部の構成例を示すブロック図である。
【図6】実施例1における領域の判定方法を均等知覚色空間で説明する図である。
【図7】実施例1におけるスクリーン決定部におけるスクリーンの種類を決定するために用いる表の一例を示す図である。
【図8】実施例1で使用するスクリーンの例を示す図である。
【図9】実施例1のスクリーン決定部におけるスクリーンの種類を決定するために用いる表の一例を示す図である。
【図10】実施例1における画像処理部の他の構成例を示すブロック図である。
【図11】実施例1における載り量制御情報に基づいた濃度補正処理の切り替えの一例を説明するための図である。
【図12】実施例2における画像処理部の構成例を示すブロック図である。
【図13】実施例2における領域の判定方法を入力色空間で説明するための図である。
【図14】実施例3における画像処理部の構成例を示すブロック図である。
【図15】実施例3におけるスクリーン切り替え部の構成例を示すブロック図である。
【図16】実施例4における画像処理部の構成例を示すブロック図である。
【図17】実施例4における色変換処理部で適用する色変換テーブルの切り替え方法を示す図である。
【図18】実施例4における領域の判定方法を均等知覚色空間で説明した図である。
【図19】実施例4のスクリーン決定部におけるスクリーン決定方法を説明するための図である。
【図20】実施例4で使用するスクリーンの例を示す図である。
【符号の説明】
【0140】
110 載り量制御情報
111 ビットマップ画像
201 色変換処理部
202 濃度補正処理部
203 擬似中間処理部
204 記憶部
205 記憶部
206 スクリーン切り替え部
207 色変換テーブル1
208 色変換テーブル2
209 スクリーン1
210 スクリーン2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色の色材を備えた画像処理装置であって、
画像データに対して色変換処理を行うことで、各画素における制御量の合計量が第1の制限量を超えないように前記複数色の色成分データを得る第1の色変換手段と、
前記画像データに対して、前記第1の色変換手段による色変換処理とは異なる色変換処理を行うことで、各画素における制御量の合計量が第2の制限量を超えないように前記複数色の色成分データを得る第2の色変換手段と、
前記第1の色変換手段、又は、前記第2の色変換手段で得られた複数色の色成分データに対して擬似中間調処理を行うことで複数の擬似中間調データを得る擬似中間調処理手段を備え、
前記擬似中間調処理手段は、
前記画像データより得られる色度に基づき、前記第2の色変換手段での色変換処理により得られた複数色の色成分データに対して適用するスクリーンの線数を切り替えて擬似中間調処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記擬似中間調処理手段は、
前記画像データより得られる色度において、明度と彩度とに基づき、前記第2の色変換手段での色変換処理により得られた複数色の色成分データに対して適用するスクリーンの線数を切り替えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記擬似中間調処理手段は、
前記画像データより得られる色度において、明度に応じた閾値を算出し、当該閾値と彩度の比較結果に基づき、前記第2の色変換手段での色変換処理により得られた複数色の色成分データに対して適用するスクリーンの線数を切り替えることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記擬似中間調処理手段は、
前記画像データより得られる色度において、明度に応じた閾値を算出し、当該閾値と彩度とを比較し、当該彩度が当該閾値以上である領域には高線数スクリーンを適用し、当該彩度が当該閾値未満の領域には低線数スクリーンを適用することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記擬似中間調処理手段は、
前記画像データより得られる色度において、明度に応じた閾値を算出し、当該閾値と彩度の比較結果、及び、適用するオブジェクトの属性に基づいて、前記第2の色変換手段での色変換処理により得られた複数色の色成分データに対して適用するスクリーンの線数を切り替えて擬似中間調処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記各画素における制御量の合計量は、色材の載り量であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
複数色の色材を備えた画像処理装置における画像処理方法であって、
画像データに対して色変換処理を行うことで、各画素における制御量の合計量が第1の制限量を超えないように前記複数色の色成分データを得る第1のステップと、
前記画像データに対して、前記第1のステップによる色変換処理とは異なる色変換処理を行うことで、各画素における制御量の合計量が第2の制限量を超えないように前記複数色の色成分データを得る第2のステップと、
前記第1のステップ、又は、前記第2のステップで得られた複数色の色成分データに対して擬似中間調処理を行うことで複数の擬似中間調データを得る第3のステップを含み、
前記第3のステップは、
前記画像データより得られる色度より、前記第2のステップでの色変換処理により得られた複数色の色成分データに対して適用するスクリーンの線数を切り替えて擬似中間調処理を行うことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、請求項7に記載の方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項9】
コンピュータに、請求項7に記載の方法を実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2009−89247(P2009−89247A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258871(P2007−258871)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】