説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】利用者の要望にあわせて、画像形成、画像読取、画像処理を含む画像に関する処理の速度を変更することができ、課金額に対する利用者の割高感を払拭することができる画像処理装置及び画像処理方法を提供する。
【解決手段】実行部2が画像に関する処理を実行する速度は複数設定されており、受け付けるプロダクトキーによって実行する速度が指示される。画像処理装置1のMPU20は、タッチパネル、押ボタン等を備える表示部14を介してプロダクトキーを受け付け、受け付けたプロダクトキーが予め定めた複数のプロダクトキーのいずれかと一致するか判定する。MPU20は、受け付けたプロダクトキーが予め定めたプロダクトキーのいずれかと一致すると判定した場合、実行部2をプロダクトキーに対応した速度に設定し、画像に関する処理を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の速度で実行することができ、利用者に応じて速度を変更することができる複写機能、印刷機能、画像読取機能、ファクシミリ機能等を行う画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個人用のデジタル複合機は、一般の量販店又は小売店で販売され、用紙、トナー等の消耗品も、それらの店舗又は製造業者のサービスセンター等で購入される。一方、業務用のデジタル複合機は、製造業者又は販売会社等で管理されるようになっており、消耗品及びメンテナンス等は製造業者に関係するサービス会社又は販売店等によって行われる。
【0003】
業務用のデジタル複合機はレンタル式の運用形態をとっており、デジタル複合機が印刷するごとに課金がなされる。利用者は、月又は半年といった期間ごとに、課金された金額と基本レンタル料とを支払う場合が多い。この課金方法として、様々なデジタル複合機(画像処理装置)が提案されている。例えば、特許文献1では、実際の印刷速度が計測され、印刷速度に応じて課金額が決定されている。課金を決定するこの方法は課金に対して利用者が持つ不信感を少しでも解消することができる。
【0004】
また、利用者がデジタル複合機を賃借した後、デジタル複合機の機能を低コストで拡張するデジタル複合機(画像処理装置)として特許文献2が開示されている。特許文献2では、あらかじめ画像処理装置に基本的な機能と他の機能とが含まれている。利用者は、プロダクトキーを画像処理装置に入力することによって、他の機能を使用することができる。これによって、利用者は画像処理装置を賃借した後、低コストで機能を拡張することができる。プロダクトキーは、利用者が製造業者又は販売会社と利用契約したり、製造業者又は販売会社に利用料金を支払ったりすることによって発行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−241412号公報
【特許文献2】特開2001−309099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の画像処理装置は、賃借された時から最大の速度で印刷しており、印刷速度が遅くなった場合に製造業者又は販売者が印刷速度に応じて課金額を減額している。即ち、特許文献1に記載の画像処理装置における課金は、印刷した結果に対する課金でしかない。
【0007】
また、特許文献2に記載の画像処理装置は、賃借後に新たな機能を拡張することはできるが、利用者が賃借した時から使用している機能を更に向上させることはできない。
【0008】
利用者が課金額を増額し、印刷速度、画像読取速度といった既に使用されている機能の速度を上げたい場合、特許文献1及び2に記載の画像処理装置は対応することができない。また、利用者が課金額を増額し、印刷、画像読取等の速度を速くしたい期間が一定期間のみの場合に、特許文献1及び2に記載の画像処理装置は賃借された時に速度が決まっているため、利用者の要望に対応することができない。即ち、利用者が画像処理装置の速度が速くなることを要望していない期間であっても、画像処理装置は速い速度で印刷、画像読取等を実行するため、課金額は減額されず、利用者が料金の割高感を持ってしまうといった問題があった。
【0009】
さらに、画像処理装置が画像を読み取る場合、画像処理装置は用紙、トナー等の消耗品を使用しないため、製造業者が速度を課題とすることはなく、特許文献2に記載の画像処理装置であっても、利用者は読取速度によって課金額を減額されない。
【0010】
また、画像処理装置の製造業者は、利用者の要望に対応するため、印刷、画像読取等の速度が異なる様々な画像処理装置を基礎から開発する必要があり、製造費用が増加するといった問題をかかえている。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、利用者の要望にあわせて、画像形成、画像読取、画像処理等の速度を変更することができ、課金額に対する利用者の割高感を払拭することができる画像処理装置及び画像処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る画像処理装置は、画像に関する処理を実行する画像処理装置において、前記処理を実行する速度が複数設定されており、指示された速度で実行する実行部と、該実行部が実行する速度を指示する指示情報を受け付ける受付部とを備え、前記実行部は、該受付部が受け付けた該指示情報によって指示された速度で実行するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る画像処理装置は、前記実行部は、画像をシート上に形成する画像形成部を有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る画像処理装置は、前記実行部は、画像を読取る画像読取部を有することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る画像処理装置は、前記実行部は、画像に係る画像データを記憶する複数の記憶部と、前記処理を実行する複数の画像処理部と、前記複数の記憶部及び該複数の画像処理部を制御する複数の制御部と、前記処理に関わる記憶部、画像処理部、及び制御部夫々の数を前記指示情報に基づいて決定する決定部とを有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る画像処理装置は、前記受付部は所定の期間ごとに、前記指示情報を受け付ける状態になるように構成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る画像処理装置は、前記受付部は前記実行部が実行を開始する都度、前記指示情報を受け付ける状態になるように構成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る画像処理装置は、前記受付部が前記指示情報を受け付けなかった場合、前記実行部は設定されている最低の速度で実行するように構成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る画像処理装置は、課金額を算出する課金算出部を備え、該課金算出部は、前記指示情報及び該指示情報が指示する速度で前記実行部が実行した回数を記憶する手段と、記憶した該指示情報及び該回数に基づいて課金額を算出する手段とを有することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る画像処理方法は、画像に関する処理を実行する速度が複数設定されており、指示された速度で実行する画像処理装置の画像処理方法であって、該画像処理装置は、前記処理を実行する速度を指示する指示情報を受け付け、該指示情報によって指示された速度で前記処理を実行することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る画像処理装置及び画像処理方法にあっては、画像に関する処理を実行する速度は複数設定されており、受付部にて指示情報を受け付けることよって、実行部が実行する速度が決定される。また、実行部が実行する速度が変更される際、基板、メモリ等の交換が不要であり、受付部が指示情報を受け付けるだけで速度は変更されるため、速度の変更が低コストで容易かつ速やかに実現される。
【0022】
また、製造業者又は販売者は、課金額に応じて指示情報を利用者に付与することによって、実行部が実行する速度を課金額に対応した速度にすることができる。
【0023】
本発明に係る画像処理装置にあっては、受付部が受け付ける指示情報に基づいて、画像形成部にて画像を形成する速度が変更される。
【0024】
本発明に係る画像処理装置にあっては、受付部が受け付ける指示情報に基づいて、画像読取部にて画像を読取る速度が変更される。
【0025】
本発明に係る画像処理装置にあっては、決定部は、受付部が受け付ける指示情報に基づいて、処理に関わる記憶部の数、画像処理部の数、及び制御部の数を決定する。これにより、画像に関する処理を実行する速度が変更される。記憶部の数、画像処理部の数、及び制御部の数が増加することで、OCR(Optical Character Reader)処理、翻訳、画像の圧縮及び伸長、サムネール画像の生成等の画像処理が同時に並行して行われ、画像処理の速度が速くなる。
【0026】
本発明に係る画像処理装置にあっては、所定の期間ごとに、受付部は実行部が実行する速度の指示を受け付ける状態になる。これにより、製造業者又は販売者が利用者に指示情報を付与する場合、製造業者又は販売者は指示情報に応じて課金額を変更することで、利用者は所定の期間ごとに速度を指示し、速度に対応した課金額を支払うことができる。
【0027】
本発明に係る画像処理装置にあっては、実行部が実行を開始する都度、受付部は実行部が実行する速度の指示を受け付ける状態になる。これにより、製造業者又は販売者が利用者に指示情報を付与する場合、製造業者又は販売者は、指示情報に応じて即ち実行部が実行する速度の違いによって課金額を変え、課金額と速度とに関する要望を利用者ごとに応えることができる。
【0028】
本発明に係る画像処理装置にあっては、設定されている最低の速度で画像に関する処理を実行する場合、利用者は指示情報を入力する手間が省かれる。
【0029】
本発明に係る画像処理装置にあっては、受付部で受け付けた指示情報と指示情報で指示された速度で実行した実行回数とによって課金額が算出される。これにより、製造業者又は販売者は実行部が実行する速度に応じた課金額を利用者に請求することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、画像処理装置は画像に関する処理を実行する速度を複数設定しており、指示情報を画像処理装置の受付部が受け付けることによって画像処理装置の実行部が実行する速度を決定し、変更することができる。このため、製造業者又は販売者は、課金額に応じて利用者に指示情報を付与することで、課金額と実行部の速度とに関する利用者の要望に応えることができる。製造業者は利用者の要望に対応するために、実行部が実行する速度の異なる複数の画像処理装置を製造する必要がなくなり、製造費用を削減することができる。実行部の速度を変更する際に、基板、メモリ等を交換する必要がなく、指示情報を受付部が受け付けることで実行部の速度が変更されるため、低コストで容易かつ迅速に実行部の速度を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係るMPUが実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】実施の形態1に係る画像形成制御部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1に係る画像形成制御部が実行する処理の流れの変形例を示すフローチャートである。
【図5】各プロダクトキーに対して支払われる課金額と印刷速度とを例示している図である。
【図6】実施の形態2に係るMPUが実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施の形態2に係る画像読取制御部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施の形態2に係る画像読取制御部が実行する処理の流れの変形例を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態3に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態3に係るMPUが実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施の形態4に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図12】実施の形態4に係るMPUが実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】実施の形態5に係るMPUが実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】実施の形態6に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図15】実施の形態6に係るMPUが実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る画像処理装置1の構成を示すブロック図である。画像処理装置1の一例として、複写機能、印刷機能、画像読取機能、ファクシミリ機能等を有するデジタル複合機(MFP:multifunction printer)が挙げられる。画像処理装置1は、内部バス10に、ネットワークインターフェース11、USB(Universal Serial Bus)インターフェース12、HDD(Hard Disk Drive)13、表示部14、FAX(facsimile)制御部15、及び実行部2が夫々接続することによって構成されている。
【0033】
内部バス10は複数のハードウェアを接続させる通信線であり、内部バス10に接続された複数のハードウェアは互いに通信する。内部バス10は、メモリバス、システムバス、ペリフェラルバス等である。ネットワークインターフェース11は、外部の通信線30と接続することで通信線30を介してデータ等の受け渡しを行う。USBインターフェース12は、ケーブル等によって外部の装置と接続しデータ等の受け渡しを行う。HDD13は、円盤状の磁気記憶媒体を含んでおり、プログラムがインストールされたり、各種データを記憶したりする記憶装置である。表示部14(特許請求の範囲における受付部に該当)は、タッチパネル、押ボタン等を備えており、外部に必要な情報を表示し、外部から利用者の入力操作に係る情報を受け付ける。FAX制御部15は、電話回線(図示せず)と接続されており、画像データを送信する。
【0034】
実行部2は、画像形成、画像読取、及びOCR処理、翻訳、画像の圧縮及び伸長、サムネール画像の生成等の画像処理を実行する。実行部2が実行する速度、即ち画像を形成する速度、画像を読取る速度、及び画像を処理する速度は複数設定されており、実行部2は速度を段階的に変更することができる。実行部2は、MPU(Micro Processing Unit)20、メモリ21、画像処理用ASIC(Application Specific Integrated Circuits)22、画像形成制御部23、画像形成部24、画像読取制御部25及び画像読取部26で構成されている。MPU20、メモリ21、画像処理用ASIC22、画像形成制御部23、及び画像読取制御部25は夫々内部バス10に接続される。画像形成部24は画像形成制御部23に接続され、画像読取部26は画像読取制御部25に接続される。
【0035】
MPU20(特許請求の範囲における決定部に該当)は、ソフトウェアを処理し、プログラム等を実行する。具体的には、MPU20は後述する画像形成制御部23及び画像読取制御部25に夫々画像形成及び画像読取を指示し、実行させる。また、MPU20はOCR処理、翻訳、画像の圧縮及び伸長、サムネール画像の生成等の画像処理を画像処理用ASIC22に実行させる。
【0036】
メモリ21は、読み込み又は書込みができるRAM(Random Access Memory)と読取りのみできるROM(Read Only Memory)とで構成される。メモリ21は、各種データ(ビットマップ形式で保存された画像データ等)を記憶し、プログラムを展開する。画像処理用ASIC22(特許請求の範囲における画像処理部に該当)は、画像処理用の集積回路であり、画像データをビットマップ形式の画像に展開すること、OCR処理、翻訳、画像の圧縮及び伸長、サムネール画像の生成等の画像処理を実行する。
【0037】
画像形成制御部23は、内部バス10を介してMPU20から画像を形成する指示を受け付け、画像形成部24を制御して画像を形成させる。画像形成部24はビットマップ形式で保存された画像をシートに形成する。画像形成部24が画像を形成する方式として、電子写真方式、インクジェット方式等がある。画像形成部24では画像を形成する速度が複数設定されており、指示された速度で画像を形成するように画像形成部24は画像形成制御部23によって制御されている。
【0038】
画像読取制御部25は、内部バス10を介してMPU20から画像を読取る指示を受け付け、画像読取部26を制御して画像を読取らせる。画像読取部26は画像を読み取る。画像読取部26では、画像を読取る速度が複数設定されており、指示された速度で画像を読取るように画像読取部26は画像読取制御部25によって制御されている。画像形成制御部23及び画像読取制御部25が夫々画像形成部24及び画像読取部26を制御することによって、MPU20、画像形成制御部23、及び画像読取制御部25は夫々並行して異なる作業を実行することができる。
【0039】
コンピュータ装置3は、通信線30を介してネットワークインターフェース11と接続され、又はケーブル等によってUSBインターフェース12と接続される。コンピュータ装置3は画像処理装置1と画像データの受け渡しを行う。画像データは、具体的には画像処理装置1が解釈することができるページ記述言語(PDL:Page Description Language)によって記述されるデータを含むファイルである。また、通信線30に接続される画像処理装置1及びコンピュータ装置3,3,・・・,3は、LAN(Local Area Network)によって通信している。
【0040】
なお、通信線30に接続される画像処理装置1及びコンピュータ装置3,3,・・・,3は、WAN(Wide Area Network)によって通信しても良い。また、コンピュータ装置3が、画像処理装置1のUSBインターフェース12ではなく、各種パラレルインターフェースとケーブルで接続し、画像処理装置1とデータ等の受け渡しを行っても良い。
【0041】
メイン基板100は、MPU20、メモリ21、画像処理用ASIC22、ネットワークインターフェース11、USBインターフェース12、及びHDD13を備えている。
【0042】
画像処理装置1は、いわゆる複写機能、印刷機能、FAX機能、画像読取機能等の機能を有している。複写機能について述べると、画像読取部26が光学的に画像を読取り、読取られた画像を画像形成部24がシート上に形成する。印刷機能について述べると、画像処理装置1はコンピュータ装置3,3,・・・,3から画像データを受信し、画像形成部24は画像データに基づいて画像をシート上に形成する。FAX機能について述べると、画像読取部26によって読取られた画像データをFAX制御部15が電話回線を通じて送信する。画像読取機能について述べると、画像読取部26が画像を読み取り、画像処理装置1はネットワークインターフェース11又はUSBインターフェース12を介して、読取った画像データをコンピュータ装置3,3,・・・,3に送信する。
【0043】
上述した機能は、メモリ21のROMに内蔵された所定のプログラム又はメモリ21のRAMに展開された所定のプログラムをMPU20が実行することによって実現される。所定のプログラムは、例えば、所定のプログラムを記録する記憶媒体であるCD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory)によって提供される。
【0044】
詳しく述べると、所定のプログラムを記憶しているCD−ROMが、画像処理装置1内に補助記憶装置として内蔵されたCD−ROM駆動装置(図示せず)に装着され、CD−ROMから所定のプログラムが読み出されて、HDD13にインストールされる。インストールされた所定のプログラムは、メモリ21のRAMに送られ、RAMで展開される。展開された所定のプログラムをMPU20が実行することによって、上述した機能が実現される。
【0045】
なお、画像処理装置1が所定のプログラムを取得する方法は、CD−ROMから取得する方法以外に、CD−ROM以外の記憶媒体から取得する方法、通信線30を介して通信線30に接続される装置から取得する方法等がある。
【0046】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1に係る画像処理装置について詳述する。図2は、実施の形態1に係るMPU20が実行する処理の流れを示すフローチャートである。MPU20の処理は、画像処理装置1が起動され、メイン基板100の電源が作動することによって開始される。MPU20は、メイン基板100に備えられているハードウェアを初期化する(ステップS1)。
【0047】
MPU20は、プロダクトキー(特許請求の範囲における指示情報に該当)を受け付けるため、表示部14にプロダクトキーの入力画面を表示する。利用者は、表示部14が備えるタッチパネル、押ボタン等を利用して、プロダクトキーを入力する。MPU20は表示部14にてプロダクトキーを受け付ける(ステップS2)。
【0048】
プロダクトキーは所定の文字及び数字を組み合わせた符号であり、少なくとも画像処理装置1固有の情報を用いて作られている。これにより、プロダクトキーが他の画像処理装置で利用されることが防止される。また、プロダクトキーは、画像形成部24が画像を速く形成することに対して利用者が追加課金を支払うことを了承することによって付与される。なお、プロダクトキーは所定の文字及び数字の組み合わせた符号に限定されない。例えば、プロダクトキーは文字のみ又は数字のみでも良い。
【0049】
利用者は、プロダクトキーを、画像処理装置1を賃借している製造業者又は販売者から取得する。利用者が取得するプロダクトキーは利用者の課金額によって異なる。プロダクトキーによって、画像形成部24が画像を形成する速度が異なる。なお、プロダクトキーは、定期的に支払われる基本料金に応じて利用者に与えられても良い。製造業者又は販売者は、基本料金に加えて支払われる料金に応じて、その期間に、利用者に付与するプロダクトキーを変更し、画像形成部24が画像を形成する速度はプロダクトキーに対応して変更される。
【0050】
MPU20は、受け付けたプロダクトキーが予め定められたプロダクトキーのいずれかと合致するか否かを判定する(ステップS3)。予め定められた複数種のプロダクトキーはHDD13に記憶されており、MPU20は記憶されたプロダクトキーと受け付けたプロダクトキーとを比較することによって判定する。
【0051】
受け付けたプロダクトキーが予め定められたプロダクトキーのいずれかと合致する場合(ステップS3:YES)、MPU20は画像形成部24が画像を形成する速度をプロダクトキーに対応した速度に設定する(ステップS4)。課金額が多い場合には、画像形成部24にて画像を形成する速度が速くなるプロダクトキーが利用者に付与される。
【0052】
受け付けたプロダクトキーが予め定められたプロダクトキーいずれとも合致しない場合(ステップS3:NO)、MPU20は画像形成部24が画像を形成する速度を最も遅い速度に設定する(ステップS5)。
【0053】
なお、プロダクトキーが未入力である場合には、MPU20は画像形成部24が画像を形成する速度を最も遅い速度に設定する。
【0054】
画像処理装置1が起動されるごとに、MPU20がステップS2にてプロダクトキーを利用者から受け付けることは、利用者にとって煩雑である。従って、実際には利用者によって受け付けられ、ステップS3にてYESと判定されたプロダクトキーはHDD13に記憶され、ステップS2にてHDD13からプロダクトキーが読み出されるように構成されても良い。また、HDD13は、プロダクトキーを記憶せず、ステップS3にてYESと判定された情報(例えばフラッグ)を記憶しても良い。この場合、次回に実行されるステップS2にて、MPU20は今回のステップS3にてYESと判定された結果を取得する。
【0055】
一度入力されたプロダクトキーを記憶する媒体は、画像処理装置1の電源が切られた場合でも、記憶が失われない不揮発性の記憶装置であれば良い。従って、HDD13は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等のNVRAM(Non Volatile Random Access Memory)であっても良い。
【0056】
また、プロダクトキーをHDD13に記憶させず、実行部2が実行を開始する都度、ステップS2にてMPU20がプロダクトキーを受け付けるようにしても良い。また、所定の期間ごとにステップS2にてMPU20がプロダクトキーを受け付けるようにしても良い。MPU20が所定の期間ごとにプロダクトキーを受け付ける方法の一例として、MPU20は日数をカウントしておき、プロダクトキーを受け付けた日から30日後にステップS2にて再度プロダクトキーを受け付ける方法が挙げられる。
【0057】
また、ステップS3にて、MPU20が受け付けたプロダクトキーを判定する際、プロダクトキーだけではなく、使用可能条件も判定しても良い。例えば、利用者に付与されたプロダクトキーが有効期限を過ぎている場合に、MPU20は再度ステップS2に戻って利用者からプロダクトキーを受け付ける。
【0058】
また、プロダクトキーは、予め設定されたパスワードであっても良い。また、画像処理装置1とネットワークで接続されたコンピュータ装置3,3,・・・,3が画像処理装置1を使用する場合、プロダクトキーがIP(Internet Protocol)アドレス等の識別情報であっても良い。この場合、夫々のコンピュータ装置3,3,・・・,3に対して画像形成部24が画像を形成する速度が設定される。また識別情報は、通信線30を介してコンピュータ装置3,3,・・・,3夫々からネットワークインターフェース11に送信され、受け付けられる。
【0059】
ステップS4又はステップS5にて、画像形成部24が画像を形成する速度が設定されると、MPU20は内部バス10を介して画像形成制御部23と通信し、通信を初期化する(ステップS6)。
【0060】
MPU20は画像形成制御部23の使用を開始するための設定を行う(ステップS7)。具体的には、MPU20は画像形成制御部23にて各種機能を使用するための設定を行う。
【0061】
MPU20は画像形成制御部23に画像を形成するように指示する(ステップS8)。
【0062】
MPU20は画像形成制御部23に対して指示する画像形成の処理が残存するか否かを判定する(ステップS9)。判定方法は、例えば表示部14にて、利用者に引き続き画像を形成するか否かを判定させる方法がある。処理が残存しない場合(ステップS9:NO)、MPU20は処理を終了する。このとき、メイン基板100の電源が切られる。画像処理装置1が起動され、メイン基板100の電源が作動することによって、再度MPU20はステップS1から処理を開始する。処理が残存する場合(ステップS9:YES)、MPU20はステップS8に戻り、画像形成制御部23に更に画像を形成するように指示する。
【0063】
次に画像形成制御部23が実行する処理を説明する。図3は、実施の形態1に係る画像形成制御部23が実行する処理の流れを示すフローチャートである。まず、画像形成制御部23は設定を初期化する(ステップS30)。
【0064】
画像形成制御部23は、MPU20と内部バス10を介して通信し、通信を初期化する(ステップS31)。ステップS31は、MPU20が実行した画像形成制御部23との通信の初期化(図2におけるステップS6参照)と同期して行われる。
【0065】
画像形成制御部23は、MPU20から画像を形成する指示を受け付ける(ステップS32)。MPU20から指示されない場合、画像形成制御部23は指示を待ち続ける。
【0066】
画像形成制御部23は、MPU20から受け付けた指示に基づいて、画像形成部24に画像をシート上に形成させる(ステップS33)。画像を形成する速度は、図2におけるステップS4又はステップS5で設定された速度である。なお、画像形成部24が画像を形成する速度は、画像形成部24のモーターの速度を調整することによって制御されている。
【0067】
画像形成制御部23は、MPU20から受け付けた画像形成の指示が残存するか否かを判定する(ステップS34)。画像形成の指示が残存しない場合(ステップS34:NO)、画像形成制御部23は制御を終了する。画像形成の指示が残存する場合(ステップS34:YES)、画像形成制御部23はステップS32に戻り、MPU20から内部バス10を介して指示を受け付ける。通常、ステップS34にて画像形成制御部23がNOと判定する場合は、全てのページの画像を形成した場合である。また、ステップS34にて画像形成制御部23がYESと判定する場合は、画像を形成すべき次のページが存在する場合である。
【0068】
なお、画像形成部24が画像を形成する速度の調整は、モーターの速度を調整する方法に限定されない。図4は、実施の形態1に係る画像形成制御部23が実行する処理の流れの変形例を示すフローチャートである。ステップS30からステップS34までの説明は、図3における説明と同じであるため省略する。画像形成の指示が残存する場合(ステップS34:YES)、画像形成制御部23は所定の時間待機する(ステップS35)。画像形成制御部23は、所定の時間待機した後、ステップS32に戻り、MPU20から更なる画像を形成する指示を受け付ける。以上のように、画像形成制御部23が所定の時間待機することによって、画像形成部24が画像を形成する速度を調整することができる。
【0069】
次に、課金額と実行部2が実行する速度との関係を述べる。ここでは、例として、課金額と画像形成部24が用紙に画像を印刷する印刷速度との関係を述べる。
【0070】
画像形成部24は、最大50枚/分で用紙を印刷することができるとする。利用者が最低の課金額(1枚当たり8円)を支払っている場合、画像形成部24の印刷速度は25枚/分である。これは、画像形成制御部23が、画像形成部24が有するモーターの回転数を落としたり、図4におけるステップS35にて所定の時間待機したりすることによって実現される。
【0071】
利用者は追加の課金額を製造業者又は販売者に納めることでプロダクトキーを取得する。プロダクトキーは例えば3種類存在し、プロダクトキーの違いによって画像形成部24の印刷速度が異なる。図5は各プロダクトキーに対して支払われる課金額と印刷速度とを例示している図である。
【0072】
利用者が表示部14にプロダクトキーを入力しない場合、課金額は8円/枚であり、印刷速度は25枚/分となる。そこで、利用者が製造業者又は販売者からプロダクトキー1を取得し、表示部14にてプロダクトキー1を入力する。これにより、利用者が支払う課金額は10円/枚になるが、印刷速度が32枚/分となり、利用者は用紙を速く印刷することができる。利用者が更に印刷速度を速くしたい場合、利用者がプロダクトキー3を取得することによって、課金額は15円/枚になるが、利用者は画像形成部24の印刷速度を50枚/分とすることができる。
【0073】
月又は半年等の期間ごとに課金額を支払う場合又は実行部2が実行を開始する場合に利用者は課金額を選択する。利用者が定期的に課金額を支払い、ある期間だけ支払う課金額が多い場合、その期間だけ有効となるプロダクトキーを製造業者又は販売者が利用者に発行する。その期間だけ、実行部2が実行する速度は利用者がプロダクトキーを入力することによって速くなる。実行部2が実行を開始する都度、利用者が課金額を選択する場合、実行部2が実行した速度と実行回数とが記憶され、後で製造業者又は販売者が利用者に請求する。なお、課金額の支払い方法は上述した2通りに限定されない。
【0074】
実施の形態1に係る画像処理装置にあっては、画像形成部24は画像を形成する速度を複数設定されており、プロダクトキーを表示部14にて受け付けることによって、画像を形成する速度を変更することができる。また、製造業者は利用者の要望に対応するために、画像を形成する速度の異なる複数の画像処理装置1を製造する必要がなくなり、製造費用を削減することができる。また、画像を形成する速度が変更される場合、基板、メモリ等の交換が不要であり、利用者がプロダクトキーを入力するだけで画像を形成する速度を変更することができるため、画像を形成する速度の変更を低コストで容易かつ速やかに実現することができる。
【0075】
また、製造業者又は販売者は、課金額に応じてプロダクトキーを利用者に付与することによって、画像形成部24が画像を形成する速度を課金額に対応した速度に変更することができる。
【0076】
実施の形態1に係る画像処理装置にあっては、月又は半年といった期間ごとにMPU20は、利用者からプロダクトキーを受け付ける。製造業者又は販売者が、画像を形成する速度の違いによって課金額を変更することで、利用者は期間ごとに画像を形成する速度と課金額とを決めることができる。製造業者又は販売者は利用者ごとに画像を形成する速度と課金額とに関する要望を満たすことができる。
【0077】
実施の形態1に係る画像処理装置にあっては、利用者はMPU20が処理を開始するごとに、画像を形成する速度を指示することができる。製造業者又は販売者は、画像を形成する速度の違いによって課金額を変更することで、課金額と画像を形成する速度とに関する要望を利用者ごとに応えることができる。
【0078】
実施の形態1に係る画像処理装置にあっては、設定されている最も遅い速度で画像を形成する場合、利用者はプロダクトキーを入力する必要がなく、利用者の手間を省くことができる。
【0079】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2に係る画像処理装置について詳述する。図6は、実施の形態2に係るMPU20が実行する処理の流れを示すフローチャートである。MPU20の処理は、画像処理装置1が起動され、メイン基板100の電源が作動することによって開始される。MPU20は、メイン基板100に備えられているハードウェアを初期化する(ステップS11)。
【0080】
MPU20は、プロダクトキーを受け付けるため、表示部14にプロダクトキーの入力画面を表示する。利用者は、表示部14が備えるタッチパネル、押ボタン等を利用して、プロダクトキーを入力する。MPU20は表示部14にてプロダクトキーを受け付ける(ステップS12)。
【0081】
プロダクトキーは所定の文字及び数字を組み合わせた符号であり、少なくとも画像処理装置1固有の情報を用いて作られている。これにより、プロダクトキーが他の画像処理装置で利用されることが防止される。また、プロダクトキーは、画像読取部26が画像を速く読み取ることに対して利用者が追加課金を支払うことを了承することによって付与される。なお、プロダクトキーは所定の文字及び数字の組み合わせに限定されない。例えば、プロダクトキーは文字のみ又は数字のみでも良い。
【0082】
利用者は、プロダクトキーを、画像処理装置1を賃借している製造業者又は販売者から取得する。利用者が取得するプロダクトキーは利用者の課金額によって異なる。プロダクトキーによって、画像読取部26が画像を読取る速度が異なる。なお、プロダクトキーは、定期的に支払われる基本料金に応じて利用者に与えられても良い。製造業者又は販売者は、基本料金に加えて支払われる料金に応じて、その期間に、利用者に付与するプロダクトキーを変更し、画像読取部26が画像を読取る速度はプロダクトキーに対応して変更される。
【0083】
MPU20は、受け付けたプロダクトキーが予め定められたプロダクトキーのいずれかと合致するか否かを判定する(ステップS13)。予め定められた複数種のプロダクトキーはHDD13に記憶されており、MPU20は記憶されたプロダクトキーと受け付けたプロダクトキーとを比較することによって判定する。
【0084】
受け付けたプロダクトキーが予め定められたプロダクトキーのいずれかが合致する場合(ステップS13:YES)、MPU20は画像読取部26が画像を読取る速度をプロダクトキーに対応した速度に設定する(ステップS14)。課金額が多い場合には、画像読取部26が画像を読取る速度が速くなるプロダクトキーが利用者に付与される。
【0085】
受け付けたプロダクトキーが予め定められたプロダクトキーいずれとも合致しない場合(ステップS13:NO)、MPU20は画像読取部26が画像を読取る速度を最も遅い速度に設定する(ステップS15)。
【0086】
なお、プロダクトキーが未入力である場合には、MPU20は画像読取部26が画像を読取る速度を最も遅い速度に設定する。
【0087】
画像処理装置1が起動されるごとに、MPU20がステップS12にてプロダクトキーを利用者から受け付けることは、利用者にとって煩雑である。従って、実際には利用者によって受け付けられ、ステップS13にてYESと判定されたプロダクトキーはHDD13に記憶され、ステップS12にてHDD13からプロダクトキーが読み出されるようにMPU20は構成されても良い。また、HDD13は、プロダクトキーを記憶せず、ステップS13にてYESと判定された情報(例えばフラッグ)を記憶しても良い。この場合、次回に実行されるステップS12にて、MPU20は今回のステップS13にてYESと判定された結果を取得する。
【0088】
また、プロダクトキーをHDD13に記憶させず、実行部2が実行を開始する都度、ステップS2にてMPU20がプロダクトキーを受け付けるようにしても良い。所定の期間ごとにステップS12にてMPU20がプロダクトキーを受け付けるようにしても良い。
【0089】
また、ステップS13にて、MPU20が受け付けたプロダクトキーを判定する際、プロダクトキーだけではなく、使用可能条件も判定しても良い。
【0090】
また、プロダクトキーは、予め設定されたパスワードであっても良い。また、画像処理装置1とネットワークで接続されたコンピュータ装置3,3,・・・,3が画像処理装置1を使用する場合、プロダクトキーがIP(Internet Protocol)アドレス等の識別情報であっても良い。この場合、夫々のコンピュータ装置3,3,・・・,3に対して画像読取部26が画像を読取る速度が設定される。また識別情報は、通信線30を介してコンピュータ装置3,3,・・・,3夫々からネットワークインターフェース11に送信され、受け付けられる。
【0091】
ステップS14又はステップS15にて、画像読取部26が画像を読取る速度が設定されると、MPU20は内部バス10を介して画像読取制御部25と通信し、通信を初期化する(ステップS16)。
【0092】
MPU20は画像読取制御部25の使用を開始するための設定を行う(ステップS17)。具体的には、MPU20は画像読取制御部25にて各種機能を使用するための設定を行う。
【0093】
MPU20は画像読取制御部25に画像を読取るように指示する(ステップS18)。
【0094】
MPU20は画像読取制御部25に対して指示する画像読取の処理が残存するか否かを判定する(ステップS19)。判定方法は、例えば表示部14にて、利用者に引き続き画像を読取るか否かを判定させる方法がある。処理が残存しない場合(ステップS19:NO)、MPU20は処理を終了する。このとき、メイン基板100の電源が切られる。画像処理装置1が起動され、メイン基板100の電源が作動することによって、再度MPU20はステップS11から処理を開始する。処理が残存する場合(ステップS19:YES)、MPU20はステップS18に戻り、画像読取制御部25に更に画像を読取るように指示する。
【0095】
次に画像読取制御部25が実行する処理を説明する。図7は、実施の形態2に係る画像読取制御部25が実行する処理の流れを示すフローチャートである。まず、画像読取制御部25は設定を初期化する(ステップS40)。
【0096】
画像読取制御部25は、MPU20と内部バス10を介して通信し、通信を初期化する(ステップS41)。ステップS41は、MPU20が実行した画像読取制御部25との通信の初期化(図6におけるステップS16参照)と同期して行われる。
【0097】
画像読取制御部25は、MPU20から画像を読取る指示を受け付ける(ステップS42)。MPU20から指示がない場合、画像読取制御部25は指示を待ち続ける。
【0098】
画像読取制御部25は、MPU20から受け付けた指示に基づいて、画像読取部26に画像を読取らせる(ステップS43)。画像を読取る速度は、図6におけるステップS14又はステップS15で設定された速度である。なお、画像読取部26が画像を読取る速度は、画像読取部26のモーターの速度を調整することによって制御されている。
【0099】
画像読取制御部25は、MPU20から受け付けた画像読取の指示が残存するか否かを判定する(ステップS44)。画像読取の指示が残存しない場合(ステップS44:NO)、画像読取制御部25は制御を終了する。画像読取の指示が残存する場合(ステップS44:YES)、画像読取制御部25はステップS42に戻り、MPU20から内部バス10を介して画像を読取る指示を受け付ける。通常、ステップS44にて画像読取制御部25がNOと判定する場合は、全てのページの画像を読取った場合である。また、ステップS44にて画像読取制御部25がYESと判定する場合は、画像を読取るべき次のページが存在する場合である。
【0100】
なお、画像読取部26が画像を読取る速度の調整は、モーターの速度を調整する方法に限定されない。図8は、実施の形態2に係る画像読取制御部25が実行する処理の流れの変形例を示すフローチャートである。ステップS40からステップS44までの説明は、図7における説明と同じであるため省略する。画像読取の指示が残存する場合(ステップS44:YES)、画像読取制御部25は所定の時間待機する(ステップS45)。画像読取制御部25は、所定の時間待機した後、ステップS42に戻り、MPU20から更なる画像を読取る指示を受け付ける。以上のように、画像読取制御部25が所定の時間待機することによって、画像読取部26が画像を読取る速度を調整することができる。
【0101】
なお、画像読取に対して利用者が課金額を支払う場合、利用者が定期的に課金額を支払う時に画像を読取る速度を指示し、指示した速度に対応する課金額を支払う方が製造業者又は販売者にとって有効である。なぜなら画像読取は通常、画像一枚ごとに課金されることはないからである。
【0102】
実施の形態2に係る画像処理装置にあっては、画像読取部26は画像を読取る速度を複数設定されており、プロダクトキーを表示部14にて受け付けることによって、画像を読取る速度を変更することができる。また、製造業者は利用者の要望に対応するために、画像を読取る速度の異なる複数の画像処理装置1を製造する必要がなくなり、製造費用を削減することができる。また、画像を読取る速度が変更される場合、基板、メモリ等の交換が不要であり、利用者がプロダクトキーを入力するだけで画像を読取る速度を変更することができるため、画像を読取る速度の変更を低コストで容易かつ速やかに実現することができる。
【0103】
また、製造業者又は販売者は、課金額に応じてプロダクトキーを利用者に付与することによって、画像読取部26が画像を読取る速度を課金額に対応した速度に変更することができる。
【0104】
実施の形態2に係る画像処理装置にあっては、月又は半年といった期間ごとにMPU20は、利用者からプロダクトキーを受け付ける。製造業者又は販売者が、画像を読取る速度の違いによって課金額を変更することで、利用者は期間ごとに画像を読取る速度と課金額とを決めることができる。製造業者又は販売者は利用者ごとに画像を読取る速度と課金額とに関する要望を満たすことができる。
【0105】
実施の形態2に係る画像処理装置にあっては、利用者はMPU20が処理を開始するごとに、画像を読取る速度を指示することができる。製造業者又は販売者は、画像を読取る速度の違いによって課金額を変更することで、課金額と画像を読取る速度とに関する要望を利用者ごとに応えることができる。
【0106】
実施の形態2に係る画像処理装置にあっては、設定されている最も遅い速度で画像を読取る場合、利用者はプロダクトキーを入力する必要がなく、利用者の手間を省くことができる。
【0107】
実施の形態2に係る画像処理装置の構成の内、実施の形態1と同様の構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0108】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3に係る画像処理装置について詳述する。図9は、実施の形態3に係る画像処理装置4の構成を示すブロック図である。画像処理装置4は画像処理装置1と同様の処理を行う。画像処理装置4の一例としても、複写機能、印刷機能、画像読取機能、ファクシミリ機能等を有するデジタル複合機(MFP)が挙げられる。画像処理装置4の構成と画像処理装置1の構成(図1を参照)とを比較すると、画像処理装置4にはMPU50,50,・・・,50(特許請求の範囲における複数の制御部に該当)、メモリ51,51,・・・,51(特許請求の範囲における複数の記憶部に該当)、及び画像処理用ASIC52,52,・・・,52(特許請求の範囲における複数の画像処理部に該当)が追加されている。他の構成は画像処理装置1と同じである。MPU50,50,・・・,50、メモリ51,51,・・・,51、及び画像処理用ASIC52,52,・・・,52は夫々内部バス10に接続されている。
【0109】
実行部5は、MPU20,50,50,・・・,50、メモリ21,51,51,・・・,51、画像処理用ASIC22,52,52,・・・,52、画像形成制御部23、画像形成部24,画像読取制御部25、及び画像読取部26によって構成されている。実行部5は実行部2と同様の処理を行う。
【0110】
MPU50、メモリ51、及び画像処理用ASIC52は、内部バス10に接続され、夫々MPU20、メモリ21、及び画像処理用ASIC22と同様の処理を実行する。MPU50、メモリ51、及び画像処理用ASIC52は、夫々画像処理装置4が起動した際、処理を実行していない。MPU20によって所定の数だけMPU50、メモリ51、及び画像処理用ASIC52は処理に関わる。処理に関わるMPU50の数、メモリ51の数、及び画像処理用ASIC52の数はMPU20によって制御されている。
【0111】
メイン基板400は、MPU20,50,50,・・・,50、メモリ21,51,51,・・・,51、画像処理用ASIC22,52,52,・・・,52、ネットワークインターフェース11、USBインターフェース12、及びHDD13を備えている。
【0112】
図10は、実施の形態3に係るMPU20が実行する処理の流れを示すフローチャートである。MPU20の処理は、画像処理装置4が起動され、メイン基板400の電源が作動することによって開始される。MPU20は、メイン基板400に備えられているハードウェアを初期化する(ステップS21)。
【0113】
MPU20は、プロダクトキーを受け付けるため、表示部14にプロダクトキーの入力画面を表示する。利用者は、表示部14が備えるタッチパネル、押ボタン等を利用して、プロダクトキーを入力する。MPU20は表示部14を介してプロダクトキーを受け付ける(ステップS22)。
【0114】
プロダクトキーは所定の文字及び数字を組み合わせた符号であり、少なくとも画像処理装置4固有の情報を用いて作られている。これにより、プロダクトキーが他の画像処理装置で利用されることが防止される。また、プロダクトキーは、OCR処理、翻訳、画像の圧縮及び伸長、サムネール画像の生成等の画像処理が速くなることに対して利用者が追加課金を支払うことを了承することによって付与される。なお、プロダクトキーは所定の文字及び数字の組み合わせに限定されない。例えば、プロダクトキーは文字のみ又は数字のみでも良い。
【0115】
利用者は、プロダクトキーを、画像処理装置4を賃借している製造業者又は販売者から取得する。利用者が取得するプロダクトキーは利用者の課金額によって異なる。プロダクトキーによって、処理に関わるMPU50の数、メモリ51の数、及び画像処理用ASIC52の数が異なり、画像処理の速度が変更される。
【0116】
MPU20は、受け付けたプロダクトキーが予め定められたプロダクトキーのいずれかと合致するか否かを判定する(ステップS23)。予め定められた複数種のプロダクトキーはHDD13に記憶されており、MPU20は記憶されたプロダクトキーと受け付けたプロダクトキーとを比較することによって判定する。
【0117】
受け付けたプロダクトキーが予め定められたプロダクトキーのいずれかと合致する場合(ステップS23:YES)、MPU20は、処理に関わるMPU50の数、メモリ51の数、及び画像処理用ASIC52の数をプロダクトキーに対応した数に設定する(ステップS24)。設定されたMPU50、メモリ51、及び画像処理用ASIC52は夫々制御、記憶、及び画像処理を開始する。課金額が多い場合には、処理に関わるMPU50の数、メモリ51の数、及び画像処理用ASIC52の数が増加し、画像処理が速くなるプロダクトキーが利用者に付与される。
【0118】
受け付けたプロダクトキーが予め定められたプロダクトキーのいずれとも合致しない場合(ステップS23:NO)、MPU20はMPU50、メモリ51、及び画像処理用ASIC52を処理に関与させない。
【0119】
なお、プロダクトキーが未入力である場合には、MPU20はMPU50、メモリ51、及び画像処理用ASIC52を処理に関与させない。
【0120】
画像処理装置4が起動されるごとに、MPU20がステップS22にてプロダクトキーを利用者から受け付けることは、利用者にとって煩雑である。従って、実際には利用者によって受け付けられ、ステップS23にてYESと判定されたプロダクトキーはHDD13に記憶され、ステップS22にてHDD13からプロダクトキーが読み出されるようにMPU20は構成されても良い。また、HDD13は、プロダクトキーを記憶せず、ステップS23にてYESと判定された情報(例えばフラッグ)を記憶しても良い。この場合、次回に実行されるステップS22にて、MPU20は今回のステップS23にてYESと判定された結果を取得する。
【0121】
また、プロダクトキーをHDD13に記憶させず、実行部5が実行を開始する都度、プロダクトキーを受け付けるようにしても良い。また、MPU20はステップS22にて、所定の期間ごとにプロダクトキーを受け付けても良い。
【0122】
また、プロダクトキーは、予め設定されたパスワードであっても良い。また、画像処理装置4とネットワークで接続されたコンピュータ装置3,3,・・・,3が画像処理装置4を使用する場合、プロダクトキーがIP(Internet Protocol)アドレス等の識別情報であっても良い。この場合、夫々のコンピュータ装置3,3,・・・,3に対して画像を処理する速度が設定される。また識別情報は、通信線30を介してコンピュータ装置3,3,・・・,3夫々からネットワークインターフェース11に送信され、受け付けられる。
【0123】
処理に関わるMPU50の数、メモリ51の数、及び画像処理用ASIC52の数が設定されると、MPU20又はMPU20,50,50,・・・,50は、画像処理用ASIC22,52,52,・・・,52にOCR処理、翻訳、画像の圧縮及び伸長、サムネール画像の生成等の画像処理を実行させる(ステップS25)。
【0124】
MPU20又はMPU20,50,50,・・・,50は、OCR処理、翻訳、画像の圧縮及び伸長、サムネール画像の生成等の画像処理が残存するか否かを判定する(ステップS26)。判定方法は、例えば表示部14にて、利用者に引き続き画像を処理するか否かを判定させる方法がある。画像処理が残存しない場合(ステップS26:NO)、MPU20又はMPU20,50,50,・・・,50は画像処理を終了する。このとき、メイン基板400の電源が切られる。画像処理装置4が起動され、メイン基板400の電源が作動することによって、再度MPU20はステップS21から処理を開始する。画像処理が残存する場合(ステップS26:YES)、MPU20又はMPU20,50,50,・・・,50はステップS25に戻り、画像処理を実行する。
【0125】
MPU50,50,・・・,50、メモリ51,51,・・・,51、及び画像処理用ASIC52,52,・・・,52が処理に関わることによって、OCR処理、翻訳、画像の圧縮及び伸長、サムネール画像の生成等の画像処理が同時に並行して実行される。メモリ51,51,・・・,51は処理に関わるMPU50の数及び画像処理用ASIC52の数が増加することによって、不足する記憶領域を補っている。従って、OCR処理、翻訳、画像の圧縮及び伸長、サムネール画像の生成等の画像処理は迅速に実行される。
【0126】
なお、画像処理の速度に対して利用者が課金額を支払う場合、利用者が月又は半年といった期間の課金額を支払う時に速度を指示し課金額を支払う方が製造業者又は販売者にとって有効である。
【0127】
実施の形態3に係る画像処理装置にあっては、表示部14にて受け付けられるプロダクトキーに応じて、画像処理に関わるMPU50の数、メモリ51の数、及び画像処理用ASIC52の数を変更することができる。これにより、OCR処理、翻訳、画像の圧縮及び伸長、サムネール画像の生成等の画像処理を複数同時に並行して行うことができ、画像処理の速度をプロダクトキーに応じて変更することができる。
【0128】
また、製造業者は利用者の要望に対応するために、画像を処理する速度の異なる複数の画像処理装置4を製造する必要がなくなり、製造費用を削減することができる。また、画像処理に関わるMPU50の数、メモリ51の数、及び画像処理用ASIC52の数を変更する場合、基板、メモリ等の交換が不要であり、利用者がプロダクトキーを入力するだけで良いため、画像処理の速度の変更を低コストで容易かつ速やかに実現することができる。
【0129】
また、製造業者又は販売者は、課金額に応じてプロダクトキーを利用者に付与することによって、画像処理の速度を課金額に対応した速度に変更することができる。
【0130】
実施の形態3に係る画像処理装置にあっては、月又は半年といった期間ごとにMPU20は、利用者からプロダクトキーを受け付ける。製造業者又は販売者が、MPU50の数、メモリ51の数、及び画像処理用ASIC52の数の違いによって課金額を変更することで、利用者は期間ごとに実行部5が画像を処理する速度と課金額とを決めることができる。製造業者又は販売者は利用者ごとに画像処理する速度と課金額とに関する要望を満たすことができる。
【0131】
実施の形態3に係る画像処理装置にあっては、利用者はMPU20が処理を開始するごとに、画像処理の速度を指示することができる。製造業者又は販売者は、画像処理の速度の違いによって利用者に対する課金額を変更することで、課金額と画像処理の速度に関する要望を利用者ごとに応えることができる。
【0132】
実施の形態3に係る画像処理装置にあっては、設定されている最も遅い速度で画像を処理する場合、利用者はプロダクトキーを入力する必要がなく、利用者の手間を省くことができる。
【0133】
実施の形態3に係る画像処理装置の構成の内、実施の形態1又は2と同様の構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0134】
実施の形態3では、デジタル複合機に代表される画像処理装置を例に説明した。しかし、実施の形態3に係る画像処理装置は、デジタル複合機に代表される画像処理装置に限定されず、プロダクトキー(又はプロダクトキーに相当する符号等)によって、MPU50の数、メモリ51の数、及び画像処理用ASIC52の数を変更し、画像処理の速度を変更する電子機器に広く適用することができる。
【0135】
実施の形態1、2、及び3の説明では、夫々画像形成、画像読取、及び画像処理について記載した。しかし、実施の形態1、2、及び3に係る画像処理装置は画像形成の速度、画像読取の速度、及び画像処理の速度を変更することだけに限定されない。
【0136】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4に係る画像処理装置について詳述する。図11は、実施の形態4に係る画像処理装置6の構成を示すブロック図である。画像処理装置6は、画像処理装置1又は4と同様の処理を実行する。画像処理装置6の構成は、画像処理装置1の構成(図1参照)に課金算出部16を加えた構成となっている。課金算出部16は内部バス10に接続される。
【0137】
課金算出部16は、表示部14にて受け付けた指示情報と、指示情報で指示された速度で実行部2が実行した回数とを記憶し、指示情報と実行部2が実行した回数とに基づいて課金額を算出する。指示情報は、実行部2が実行する速度を指示する情報である。課金額は実行部2が実行する速度によって異なる。また課金算出部16は、カウンタを備えており、カウンタによって実行部2が実行した回数を数える。
【0138】
図12は、実施の形態4に係るMPU20が実行する処理の流れを示すフローチャートである。MPU20の処理は、画像処理装置6が起動され、メイン基板100の電源が作動することによって開始される。MPU20は、メイン基板100に備えられているハードウェアを初期化する(ステップS100)。
【0139】
MPU20は、課金算出部16が備えるカウンタをゼロとする(ステップS101)。次に、MPU20は表示部14にて画像を形成する速度の指示を受け付ける(ステップS102)。表示部14にて、画像を形成する複数の速度が表示され、利用者によって一の速度が指示される。なお、表示部14にて、画像を形成する複数の速度とともに、夫々の速度に対して画像形成1回当たりの課金額等が表示されても良い。
【0140】
MPU20は、画像を形成する速度を指示する指示情報を課金算出部16に記憶させる(ステップS103)。ここで画像を形成する速度はステップS102にて指示された速度である。課金算出部16は、指示情報が指示する速度に対して画像形成1回当たりの課金額を記憶している。
【0141】
MPU20は画像形成部24が画像を形成する速度をステップS102にて指示された速度に設定する(ステップS104)。
【0142】
MPU20は内部バス10を介して画像形成制御部23と通信し、通信を初期化する(ステップS105)。続いて、MPU20は画像形成制御部23の使用を開始するための設定を行う(ステップS106)。具体的にはMPU20は画像形成制御部23にて各種機能を使用するための設定を行う。
【0143】
MPU20は画像形成制御部23に画像を形成するように指示する(ステップS107)。そして、MPU20は、課金算出部16が備えるカウンタに1を加える(ステップS108)。これにより、MPU20が画像形成制御部23に画像の形成を指示する都度、カウンタによって画像形成部24が画像を形成する回数が数えられる。
【0144】
MPU20は画像形成制御部23に対して指示する画像形成の処理が残存するか否かを判定する(ステップS109)。判定方法は、例えば表示部14にて、利用者に引き続き画像を形成するか否かを判定させる方法がある。処理が残存する場合(ステップS109:YES)、MPU20はステップS107に戻り、画像形成制御部23に更に画像を形成するように指示し、ステップS108にて課金算出部16のカウンタに1を加える。これを繰り返すことによって、カウンタは画像を形成した回数を数えることができる。
【0145】
処理が残存しない場合(ステップS109:NO)、MPU20は課金算出部16に課金算出部16が記憶している指示情報とカウンタとに基づいて課金額を算出させる(ステップS110)。課金算出部16は指示情報が指示する速度に対する処理1回当たりの課金額を記憶しており、その課金額とカウンタによって数えた処理回数とを掛けることで、課金額を算出する。
【0146】
MPU20は、課金算出部16にこれまで画像処理装置6の利用にかかった課金額の総額に、ステップS110にて算出した課金額を加えさせる(ステップS111)。このとき、課金額の総額を表示部14に表示し、利用者に通知しても良い。また、課金額の総額を算出することによって、画像処理装置6を貸し出ししている製造業者又は販売者は、課金額の総額を見て利用者に課金額を請求することができる。また、製造業者又は販売者は月又は半年といった期間の課金額を請求するごとに総額をゼロにすることによって、期間ごとの課金額を知ることができる。
【0147】
MPU20は、ステップS111にて課金算出部16に課金額の総額を算出させた後、処理を終了する。
【0148】
画像形成制御部23が実行する処理の流れは、実施の形態1の説明にて述べた画像形成制御部23が実行する処理の流れ(図3参照)と同じであるため、説明を省略する。
【0149】
実施の形態4に係る画像処理装置にあっては、表示部14で受け付けた指示情報と指示情報で指示された速度で画像を形成した回数とによって課金額が算出することができる。画像を形成する速度に基づいた課金額を計算するため、製造業者又は販売者は画像処理装置6を賃借している利用者に利用に基づいた課金額を請求することができる。利用した速度に対応した課金額が請求されるため、課金に対して利用者が持つ割高感を解消することができる。
【0150】
実施の形態4に係る画像処理装置の構成の内、実施の形態1から3のいずれか1つと同様の構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0151】
(実施の形態5)
以下、実施の形態5に係る画像処理装置について詳述する。実施の形態5に係る画像処理装置の構成は、画像処理装置6と同じである。図13は、実施の形態5に係るMPU20が実行する処理の流れを示すフローチャートである。MPU20の処理は、画像処理装置6が起動され、メイン基板100の電源が作動することによって開始される。MPU20は、メイン基板100に備えられているハードウェアを初期化する(ステップS200)。
【0152】
MPU20は、課金算出部16が備えるカウンタをゼロとする(ステップS201)。次に、MPU20は表示部14にて画像を読取る速度の指示を受け付ける(ステップS202)。表示部14にて、画像を読取る複数の速度が表示され、利用者によって一の速度が指示される。なお、表示部14にて、画像を読取る複数の速度とともに、夫々の速度に対して画像読取1回当たりの課金額等が表示されても良い。
【0153】
MPU20は、画像を読取る速度を指示する指示情報を課金算出部16に記憶させる(ステップS203)。ここで画像を読取る速度はステップS202にて指示された速度である。課金算出部16は、指示情報が指示する速度に対して画像読取1回当たりの課金額を記憶している。
【0154】
MPU20は画像読取部26が画像を読取る速度をステップS202にて指示された速度に設定する(ステップS204)。
【0155】
MPU20は内部バス10を介して画像読取制御部25と通信し、通信を初期化する(ステップ205)。続いて、MPU20は画像読取制御部25の使用を開始するための設定を行う(ステップS206)。具体的にはMPU20は画像読取制御部25にて各種機能を使用するための設定を行う。
【0156】
MPU20は画像読取制御部25に画像を読取るように指示する(ステップS207)。そして、MPU20は、課金算出部16が備えるカウンタに1を加える(ステップS208)。これにより、MPU20が画像読取制御部25に画像の読取を指示する都度、カウンタによって画像読取部26が画像を読取る回数が数えられる。
【0157】
MPU20は画像読取制御部25に対して指示する画像読取の処理が残存するか否かを判定する(ステップS209)。判定方法は、例えば表示部14にて、利用者に引き続き画像を読取るか否かを判定させる方法がある。処理が残存する場合(ステップS209:YES)、MPU20はステップS207に戻り、画像読取制御部25に更に画像を読取るように指示し、ステップS208にて課金算出部16のカウンタに1を加える。これを繰り返すことによって、カウンタは画像を読取った回数を数えることができる。
【0158】
処理が残存しない場合(ステップS209:NO)、MPU20は課金算出部16に課金算出部16が記憶している指示情報とカウンタとに基づいて課金額を算出させる(ステップS210)。課金算出部16は指示情報が指示する速度に対する処理1回当たりの課金額を記憶しており、その課金額とカウンタによって数えた処理回数とを掛けることで、課金額を算出する。
【0159】
MPU20は、課金算出部16にこれまで画像処理装置6の利用にかかった課金額の総額に、ステップS210にて算出した課金額を加えさせる(ステップS211)。このとき、課金額の総額を表示部14に表示し、利用者に通知しても良い。また、課金額の総額を算出することによって、画像処理装置6を貸し出ししている製造業者又は販売者は、課金額の総額を見て利用者に課金額を請求することができる。また、製造業者又は販売者は月又は半年といった期間の課金額を請求するごとに総額をゼロにすることによって、期間ごとの課金額を知ることができる。
【0160】
MPU20は、ステップS211にて課金算出部16に課金額の総額を算出させた後、処理を終了する。
【0161】
画像読取制御部25が実行する処理の流れは、実施の形態2の説明にて述べた画像読取制御部25が実行する処理の流れ(図7参照)と同じであるため、説明を省略する。
【0162】
実施の形態5に係る画像処理装置にあっては、表示部14で受け付けた指示情報と指示情報で指示された速度で画像を読取った回数とによって課金額が算出することができる。画像を読取る速度に基づいた課金額を計算するため、製造業者又は販売者は画像処理装置6を賃借している利用者に利用に基づいた課金額を請求することができる。利用した速度に対応した課金額を請求されるため、課金に対して利用者が持つ割高感を解消することができる。
【0163】
実施の形態5に係る画像処理装置の構成の内、実施の形態1から4のいずれか1つと同様の構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0164】
(実施の形態6)
以下、実施の形態6に係る画像処理装置について詳述する。図14は実施の形態6に係る画像処理装置7の構成を示すブロック図である。画像処理装置7は、画像処理装置1、4、又は6と同様の処理を実行する。画像処理装置7の構成は、画像処理装置4の構成(図9参照)に課金算出部16を加えた構成となっている。課金算出部16は内部バス10に接続される。
【0165】
図15は、実施の形態6に係るMPU20が実行する処理の流れを示すフローチャートである。MPU20の処理は、画像処理装置7が起動され、メイン基板400の電源が作動することによって開始される。MPU20は、メイン基板400に備えられているハードウェアを初期化する(ステップS300)。
【0166】
MPU20は、課金算出部16が備えるカウンタをゼロとする(ステップS301)。次に、MPU20は表示部14にて画像処理の速度の指示を受け付ける(ステップS302)。表示部14にて、画像処理の複数の速度が表示され、利用者によって一の速度が指示される。なお、表示部14にて、画像を処理する複数の速度とともに、夫々の速度に対して画像読取1回当たりの課金額等が表示されても良い。画像処理はOCR処理、翻訳、画像の圧縮及び伸長、サムネール画像の生成等である。
【0167】
MPU20は、画像処理の速度を指示する指示情報を課金算出部16に記憶させる(ステップS303)。ここで画像処理の速度はステップS302にて指示された速度である。課金算出部16は、指示情報が指示する速度に対して画像処理1回当たりの課金額を記憶している。
【0168】
MPU20は、処理に関わるMPU50の数、メモリ51の数、及び画像処理用ASIC52の数を指示情報に対応した数に設定する(ステップS304)。設定されたMPU50、メモリ51、及び画像処理用ASIC52は夫々制御、記憶、及び画像処理を開始する。これにより、画像処理の速度を指示情報が指示する速度にする。
【0169】
MPU20又はMPU20,50,50,・・・,50は、画像処理用ASIC22,52,52,・・・,52にOCR処理、翻訳、画像の圧縮及び伸長、サムネール画像の生成等の画像処理を実行させる(ステップS305)。続いて、MPU20は、課金算出部16が備えるカウンタに1を加える(ステップS306)。これにより、画像処理用ASIC22又は画像処理用ASIC22,52,52,・・・,52が画像処理を実行する都度、カウンタによって画像処理の回数が数えられ、画像を処理する回数が数えられる。
【0170】
MPU20又はMPU20,50,50,・・・,50は、OCR処理、翻訳、画像の圧縮及び伸長、サムネール画像の生成等の画像処理が残存するか否かを判定する(ステップS307)。判定方法は、例えば表示部14にて、利用者に引き続き画像を処理するか否かを判定させる方法がある。画像処理が残存する場合(ステップS307:YES)、MPU20又はMPU20,50,50,・・・,50はステップS305に戻り、画像処理を実行させ、MPU20はステップS306にて課金算出部16のカウンタに1を加える。これを繰り返すことによって、カウンタは処理回数を数えることができる。
【0171】
画像処理が残存しない場合(ステップS307:NO)、MPU20又は課金算出部16に課金算出部16が記憶している指示情報とカウンタとに基づいて課金額を算出させる(ステップS308)。課金算出部16は指示情報が指示する速度に対する画像処理1回当たりの課金額を記憶しており、その課金額とカウンタによって数えた処理回数とを掛けることで、課金額を算出する。
【0172】
MPU20は、課金算出部16にこれまでの使用にかかった課金額の総額に、ステップS308にて算出した課金額を加えさせる(ステップS309)。このとき、課金額の総額を表示部14に表示しても良い。また、課金額の総額を算出することによって、画像処理装置7を貸し出ししている製造業者又は販売者は、課金額の総額を見て利用者に課金額を請求することができる。また、製造業者又は販売者は月又は半年といった期間の課金額を請求するごとに総額をゼロにすることによって、期間ごとの課金額を知ることができる。
【0173】
MPU20がステップS309にて課金算出部16に課金額の総額を算出させた後、MPU20又はMPU20,50,50,・・・,50は処理を終了する。
【0174】
実施の形態6に係る画像処理装置にあっては、表示部14で受け付けた指示情報と指示情報で指示された速度で画像を処理した回数とによって課金額を算出することができる。画像を処理する速度に基づいた課金額を計算するため、製造業者又は販売者は画像処理装置7を賃借している利用者に利用に基づいた課金額を請求することができる。利用した速度に対応した課金額を請求されるため、課金に対して利用者が持つ割高感を解消することができる。
【0175】
実施の形態6に係る画像処理装置の構成の内、実施の形態1から5のいずれか1つと同様の構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0176】
実施の形態4、5、及び6の説明では、夫々画像形成、画像読取、及び画像処理について記載した。しかし、実施の形態4、5、及び6に係る画像処理装置は画像形成の速度、画像読取の速度、及び画像処理の速度を変更することだけに限定されない。
【符号の説明】
【0177】
1、4、6、7 画像処理装置
14 表示部
16 課金算出部
2、5 実行部
20、50 MPU
21、51 メモリ
22、52 画像処理用ASIC
24 画像形成部
26 画像読取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像に関する処理を実行する画像処理装置において、
前記処理を実行する速度が複数設定されており、指示された速度で実行する実行部と、
該実行部が実行する速度を指示する指示情報を受け付ける受付部と
を備え、
前記実行部は、該受付部が受け付けた該指示情報によって指示された速度で実行するように構成されていること
を特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記実行部は、
画像をシート上に形成する画像形成部
を有すること
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記実行部は、
画像を読取る画像読取部
を有すること
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記実行部は、
画像に係る画像データを記憶する複数の記憶部と、
前記処理を実行する複数の画像処理部と、
前記複数の記憶部及び該複数の画像処理部を制御する複数の制御部と、
前記処理に関わる記憶部、画像処理部、及び制御部夫々の数を前記指示情報に基づいて決定する決定部と
を有すること
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記受付部は所定の期間ごとに、前記指示情報を受け付ける状態になるように構成されていること
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記受付部は前記実行部が実行を開始する都度、前記指示情報を受け付ける状態になるように構成されていること
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記受付部が前記指示情報を受け付けなかった場合、前記実行部は設定されている最低の速度で実行するように構成されていること
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項8】
課金額を算出する課金算出部を備え、
該課金算出部は、
前記指示情報及び該指示情報が指示する速度で前記実行部が実行した回数を記憶する手段と、
記憶した該指示情報及び該回数に基づいて課金額を算出する手段と
を有すること
を特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像に関する処理を実行する速度が複数設定されており、指示された速度で実行する画像処理装置の画像処理方法であって、
該画像処理装置は、
前記処理を実行する速度を指示する指示情報を受け付け、
該指示情報によって指示された速度で前記処理を実行すること
を特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−193138(P2011−193138A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56364(P2010−56364)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】