説明

画像処理装置用半導電性部材

【課題】 画像処理装置用の半導電性部材であって、紙粉・トナー等の汚染物質の付着及び発生を抑制し、内部、或いは内部及び最外層膜からのブリードを防止することにより、感光体等の装置部材や画像支持体等の消耗品の汚染を防止し、導電性を損なわず、画像劣化もなく、すべり性向上、耐磨耗性付与、難燃性付与し、耐久性、耐環境性、安全性にも優れた、電子写真方式の画像処理装置用半導電性部材を提供する。
【解決手段】 電子写真方式画像形成装置の接触帯電部材等の装置用部材であって、その最外層を構成する材料に、少なくとも架橋フッ素樹脂及び板状構造を有する無機充填剤、導電性粒子、及び所望により難燃剤を含有し、また該導電剤として電子伝導剤及び高分子マトリクス担持イオン伝導剤を含有していてもよい画像形成用半導電性部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザプリンタ、ファクシミリ、これらの複合OA機器等における電子写真方式画像形成装置に使用される部材、部品、要素、及びそれらのための材料に関し、特に汚染防止、耐久性改善が可能な画像形成を含む画像処理装置用半導電性部材、及び該部材の最外層に用いられる材料に関する。
また、特に汚染防止、難燃性付与、耐久性改善が可能な画像形成を含む画像処理装置用半導電性部材に用いられる最外層材料に関する。
さらに、電子伝導体と共に特にイオン伝導体を含有する導電剤を用いることにより、高度な汚染防止、耐久性改善が可能な画像処理装置用半導電性部材に用いられる最外層材料に関する。また、このような半導電性部材を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタのような電子写真方式による画像処理・画像形成装置には、適度な導電性が要求される部材、部品、要素、ユニット、例えばローラ状又は円筒状若しくは円柱状部品や要素がしばしば用いられている。例えば、従来、複写機やプリンタにおいて、帯電ローラ、転写ローラ等の半導電性ローラは、感光体に接して回転するように設けられており、それぞれ固有の機能を奏するようになっている。例えば、帯電ローラにおいては、静電潜像の形成される感光体に対する帯電方式のローラ帯電部材として用いられており、感光体表面に、電圧印加した帯電ローラを押し当て、接触させ、感光体と帯電ローラとが相互に回転するようにし、感光体表面を帯電せしめるものである。このように帯電ローラや転写ローラ等は、感光体に接し、回転するもので、その帯電のために適度な導電性を有していることが要求されており、また、長期間使用されても、トナー粉や紙粉、その他の塵埃等の汚染物質の付着、汚染を生ぜず、かつ、これら汚染物質を自ら発生せず、したがって、他の部材、部品、要素等に汚染物質を転移し難く、劣化画像を生じないものであることが必要である。
【0003】
以下、典型的な汚染物質としてのトナー付着・汚染について見ると、近年、複写機やプリンタ等は、高速・高寿命化、高画質化、省エネルギー化の要求が高まっている。例えば、省エネルギー化では、低温定着方式が採用され、トナーの低融点化が行われており、また、高画質化においては、重合等によるトナーの粒径を小さくしたり、球形にすることも行なわれている。
【0004】
しかしながら、これら省エネルギー化や高画質化を行うためのトナーの低融点化や粒径の微細化・球形化は、帯電ローラや転写ローラ等のローラ状半導電性部材にトナーの付着を引き起し易く、このような半導電性部材にトナーが付着したり、固着したりすると、画質劣化が問題となってくる。つまり、通紙枚数の増大によって、トナーの付着による帯電ローラ等の半導電性ローラの全体としての抵抗が上昇し、またトナーの不均一付着による部分的な抵抗変化が引き起こされ、画質の劣化が生じることとなる。
【0005】
このような画質劣化防止には、トナーが帯電ローラ等の半導電性部材表面に付着しないようにすればよいが、例えば、従来のN−メトキシメチル化ナイロン等の親水性樹脂で最外層が形成されているローラは、高温・高湿下で抵抗変動やトナーのローラ表面への付着防止には有効ではなかった。
【0006】
従来、帯電ローラなどに用いられるローラ状導電性部材としては、導電性芯金に導電性弾性体層を設け、この導電性弾性体層上にさらに抵抗調整層を設けた構造のものが知られている(例えば特許文献1〜4参照)。
【0007】
すなわち、かかる構造の導電性ローラは、一般的には、導電性粒子を混入したシリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴムなどの合成ゴムの弾性材料からなっている。
【0008】
上記半導電性ローラでは、弾性材料に種々のプロセスオイルや軟化剤などの液剤を添加して硬度を下げていたため、半導電性ローラの表面にウレタンやナイロンなどを初めとする種々の樹脂による保護層を設けて、ブリードの発生、感光体汚染の防止をしていた。
【0009】
しかしながら、例えば、これら半導電性ローラを高温・高湿下に長時間放置すると、樹脂成分が加水分解して潜像担持体に固着することがあったり、塗膜にあるピンホールなどから上記ゴム中成分が滲み出し、ブリードして感光体汚染をするなど、これらの耐環境特性は必ずしも満足されるものではなかった。
【0010】
更に詳しく説明すると、このような構造の導電性ローラを帯電ローラとして用いた場合、帯電不良等による画像の不具合および感光体の汚染を防止するために、中間層および最外層を設けなければならないという問題があり、この結果、多層構造となり、コスト高となる。また、導電性弾性層の電気特性を混入された導電性粉末同士の接触により得ているので、電気的特性の不均一性による帯電むらが生じやすいという問題もでる。そこで、改良として、イオン導電剤を添加して、電気特性の均一化を図るというものが知られている(例えば特許文献18参照)が、必ずしも耐汚染性を満足するものではなかった。
【0011】
一方、このような問題点を解決する導電性ローラとして、導電性芯金表面に、導電剤が分散されていない電気的中抵抗物質からなる弾性層を有し、この弾性層上に、前記物質より非粘着性の高い非粘着性物質からなる表面層を有する構造のものが知られている(例えば特許文献5、6参照)。
【0012】
ここで、電気的中抵抗物質としては、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、またはエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合体の単独またはこれらの混合系のエピクロルヒドリンゴム(1×10〜1×1010Ω・cm)が挙げられており、非粘着性物質としては、フルオロオレフィンと水酸基含有ビニルエーテルを構成成分とした含フッ素共重合体をイソシアネートで架橋させて得られる含フッ素架橋共重合体が挙げられている。しかし、これらフッ素樹脂化合物のみでは紙粉やトナーのフィルミング付着防止及びブリード等による感光体汚染防止に効果が十分ではなかった。
【0013】
紙粉・トナー等の付着防止として、シリコーンオイルを添加することも提案されているが、紙粉・トナー等の付着防止には効果があるが、該シリコーンオイルが、反応性基を持つシリコーンオイルではない場合、シリコーンオイル自身が感光体を汚染する。また反応性基を持つシリコーンオイルの場合は塗膜内で反応することにより、そのもの自身がブリードすることなく感光体汚染性は低下し、良好であるが、単独では半導電性部材からの低分子化合物のブリード防止には効果が低いものであった(例えば特許文献7〜10参照)。
【0014】
上記のもの以外にも、基材がウレタンで疎水性ポリオール(フッ素ポリオール)とイソシアネートとの硬化で構成されているローラ(例えば特許文献11参照)が、フッ素樹脂ブリード防止層を設け、イソシアネート架橋剤でそれを硬化した半導電性ローラ(例えば特許文献12参照)が、非粘着性物質としてイソシアネート架橋剤で架橋したフッ素架橋共重合体を使用した導電性ローラ(例えば特許文献13参照)が、フッ素変性アクリレート系樹脂とフッ素オレフィン系樹脂とOH基を有する非(フッ素変性)アクリレート系樹脂とを、OH基と反応する化合物(ポリイソシアネート化合物)で架橋した半導電性ローラ(例えば特許文献14参照)が、さらに、Mg(1−X)Al(OH)(CO(X/2)・mHOで表されるハイドロタルサイト類化合物を含有する帯電部材(例えば特許文献15参照)が、それぞれ提案されている。
【0015】
また、フッ素ポリオールとポリイソシアネートとの高分子化合物を主体とする樹脂からなる表面層を設けた帯電部材(例えば特許文献16参照)が、さらに、ポリエステルポリオール又はアクリルポリオールをイソシアネートで硬化させた皮膜を設けた帯電部材及び転写部材(例えば特許文献17参照)が、それぞれ提案されている。
【0016】
しかしながら、これらの上記した半導電性弾性層に使用し、従来のフッ素樹脂化合物による紙粉・トナー付着防止及びシリコーンオイルによる離型性付与として最外層に使用されている半導電性部材からのブリードを防止する材料等では、半導電性部材表面へのブリード防止、感光体汚染を防止することは未だ十分ではなかった。
【0017】
また、これら部材には最外層の放電破壊などの原因による燃焼を防ぐ上で難燃性付与が必要になってきている。しかしながら、難燃性を付与するために最外層に難燃剤を添加すると、最外層から滲み出し、感光体汚染を引き起こしやすいという問題がある。その改善として、テトラブロモビスフェノールAあるいはその誘導体を添加する試み(例えば特許文献18参照)がなされている。が、この改善においては離型性やゴム部材からの低分子物質ブリード防止には充分ではなかった。
【0018】
【特許文献1】特開平1−142569号公報
【特許文献2】特開平4−311972号公報
【特許文献3】特開平7−140760号公報
【特許文献4】特公平7−58403号公報
【特許文献5】特開平6−266206号公報
【特許文献6】特開平7−160155号公報
【特許文献7】特公平08−020794号公報
【特許文献8】特開平11−167273号公報
【特許文献9】特開2000−315003号公報
【特許文献10】特開2002−214880号公報
【特許文献11】特開平8−208087号公報
【特許文献12】特開平9−226973号公報
【特許文献13】特開平10−45953号公報
【特許文献14】特開平10−268613号公報
【特許文献15】特開2000−310218号公報
【特許文献16】特開平8−101563号公報
【特許文献17】特開平8−314233号公報
【特許文献18】特開2001−72733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、半導電性弾性層の最外層に紙粉・トナーなどが付着するのを抑制し、更に最外部及び内部からのブリードを防止することによって、感光体汚染を防止し、導電性を損なわず、環境変動を抑制し、それらによる画質劣化の問題の解消を図り、更にすべり性向上、耐磨耗性付与し、半導電性部材の耐久性を向上させた、画像形成を含む画像処理用半導電性部材を提供することを目的とし、また、特に汚染防止、難燃性付与、耐久性改善が可能な画像形成を含む画像処理装置用半導電性部材、及びそれに用いられる最外層材料を提供することを目的とし、さらに、電子伝導体と共に特にイオン伝導体を含有する導電剤を用いることにより、高度な汚染防止、耐久性改善が可能な画像処理装置用半導電性部材、及びそれに用いられる最外層材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、画像形成を含む画像処理用半導電性部材において、その最外層に、少なくとも板状構造を有する無機充填剤及び導電剤を含有し、該導電剤として少なくとも電子伝導剤及びイオン伝導剤を含有させることで、ブリードを防止することによって、感光体汚染を防止し、導電性を損なわずに、画質劣化の問題の解消を図り、すべり性向上、耐磨耗性付与し、半導電性部材の耐久性を向上させた電子写真方式の画像形成用半導電性部材が得られることを見出し、
また、最外層に少なくとも板状構造を有する無機充填剤及び導電剤及び少なくとも1種の難燃剤を含有させることで、ブリードを防止することによって、感光体汚染を防止し、導電性を損なわずに、画質劣化の問題の解消を図り、すべり性向上、耐磨耗性付与及び難燃性付与し、半導電性部材の耐久性と安全性を向上させた電子写真方式の画像処理用半導電性部材が得られることを見出し、
さらに、最外層に、少なくとも板状構造を有する無機充填剤及び導電剤を含有し、該導電剤として少なくとも電子伝導剤及び高分子マトリクス担持イオン伝導剤を含有させることで、ブリードを防止し、感光体汚染を防止し、導電性を損なわず、環境変動を抑制し、画質劣化の問題の解消を図り、すべり性向上、耐磨耗性付与し、半導電性部材の耐久性を向上させた電子写真方式の画像処理用半導電性部材が得られることを見出し、本発明に至った。
【0021】
而して、上記目的は、本発明により達成されるが、本発明は、理解を容易にするための便宜上、つぎの3つの群に分けて考えることができる。
〔第1の群の本発明〕
(1)電子写真方式画像形成装置に使用される半導電性部材であって、その最外層を構成する構成材料に、少なくとも板状構造を有する無機充填剤及び導電剤が含有され、該導電剤が、少なくとも電子伝導剤及びイオン伝導剤を含有するものであることを特徴とする画像処理装置用半導電性部材。
【0022】
〔第2の群の本発明〕
(2)電子写真方式画像形成装置に使用される半導電性部材であって、その最外層を構成する構成材料に、少なくとも板状構造を有する無機充填剤、導電剤及び少なくとも1種の難燃剤が含有されるものであることを特徴とする画像処理装置用半導電性部材。
(3)該難燃剤が、少なくともリン系化合物であることを特徴とする前記第(2)項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
(4)該難燃剤が、少なくともリン系化合物及びハロゲン系化合物又は含ハロゲンリン系化合物であることを特徴とする前記第(2)項又は第(3)項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
(5)該難燃剤が、少なくとも含窒素リン系化合物を含有していることを特徴とする前記第(2)項乃至第(4)項のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
(6)前記導電剤としてイオン導電剤を含有し、該イオン導電剤の対アニオンがPF6であることを特徴とする前記第(2)項乃至第(5)項のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【0023】
〔第3の群の本発明〕
(7)電子写真方式画像形成装置に使用される半導電性部材であって、その最外層を構成する構成材料に、少なくとも板状構造を有する無機充填剤及び導電剤が含有され、該導電剤が、少なくとも電子伝導剤及び高分子マトリクス担持イオン伝導剤を含有するものであることを特徴とする画像処理装置用半導電性部材。
(8)前記高分子マトリクス担持イオン伝導剤の高分子マトリクスが、架橋型高分子であることを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置用半導電性部材。
(9)前記高分子マトリクス担持イオン伝導剤の高分子マトリクスが、フッ素系高分子であることを特徴とする請求項7又は8に記載の画像処理装置用半導電性部材。
(10)前記架橋型高分子が、単官能性モノマーと多官能性モノマーを含有する架橋重合性組成物を架橋重合して形成されたものであり、炭素以外のヘテロ原子を含むものであることを特徴とする請求項8又は9に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【0024】
そして、これら本発明は、つぎのような、好ましい態様の画像処理装置用半導電性部材を包含し、これら半導電性部材は、それ自身単独で、又は画像形成装置に搭載されて他の部材、部品、ユニット等と協働して画像形成等の画像処理を遂行する。
(11)前記導電剤が、更に少なくともシリコーン化合物を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
(12)前記導電剤が、更に少なくともフッ素化シリコーン化合物を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
(13)前記導電剤が、更に少なくとも反応性基を有するシリコーン化合物を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
(14)前記導電剤が、少なくとも反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
(15)前記最外層を構成する構成材料が、さらに少なくともポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有するものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
(16)前記最外層を構成する構成材料が、さらに少なくともフッ素ポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有するものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
(17)前記最外層を構成する構成材料が、さらに少なくともフッ素ポリオール化合物、アクリル樹脂及びイソシアネート化合物を含有するものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
(18)前記最外層を構成する構成材料が、さらに少なくともフッ素ポリオール化合物、アクリルポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有するものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、前記第(1)項記載のように、電子写真方式画像処理装置に使用される半導電性部材であって、その最外層を構成する構成材料に、少なくとも板状構造を有する無機充填剤及び導電剤が含有され、該導電剤が、少なくとも電子伝導剤及びイオン伝導剤を含有するものであることにより、内部及び最外層からのブリードを防止し、感光体汚染を防止することができ、最外層塗膜の追従性を向上させ、導電性を損なわず、画質劣化の問題の解消を図り、すべり性向上、耐磨耗性付与し、半導電性部材の耐久性を向上させることが可能となる。
【0026】
また、前記第(2)項記載のように、電子写真方式画像形成装置に使用される半導電性部材であって、その最外層を構成する構成材料に、少なくとも板状構造を有する無機充填剤、導電剤及び少なくとも1種の難燃剤が含有されるものであることによって、最外層及び内部からのブリードを防止し、感光体汚染を防止することができ、導電性を損なわずに、画質劣化の問題の解消を図り、すべり性向上、耐磨耗性付与、難燃性付与し、半導電性部材の耐久性、安全性を向上させることが可能となる。
【0027】
さらに、前記第(3)項記載のように、該難燃剤としてリン系化合物を使用すると燃焼の際にポリ燐酸皮膜を最外層表面に形成し、可燃性ガスの発生を抑える、あるいは蒸発潜熱により燃焼温度を下げるなどの働きにより、難燃化が考えられ、安全性の向上が図られる。
【0028】
また、前記第(4)項記載のように、リン系化合物とハロゲン系化合物を併用することにより、ハロゲン系化合物単独あるいはリン系化合物単独に比べて、併用することでリン系化合物の難燃化機構以外に燃焼の際に発生する−OOHまたは−OHラジカルをハロゲン、特に臭素がラジカル失活に寄与し、燃焼サイクルを断つことができ、延焼を抑えることができる。さらに、ハロゲン系化合物が熱分解することにより発生するハロゲンガスによって燃焼表面の可燃性ガスが抑制されるため自己消火性を持つと考えられる。また、併用することで相乗効果があるため少量で難燃化することができる。
【0029】
さらに、前記第(5)項記載のように、リン系化合物のうち含窒素リン系化合物を使用すると含窒素系化合物の特徴である易炭化性が付与されることになり、最外層表面層の酸素供給のシャットダウン及び内部からの可燃性ガスの発生を抑制することができ、一層の難燃化が達成できる。
【0030】
また、前記第(6)項記載のように、導電剤として、イオン伝導剤の対アニオンPF6が特異的に難燃剤と併用することで自己消火性を付与することができる。理由は不明だがおそらく、PF6の燃焼による分解反応の際の−Fラジカル発生による−OOH及び−OHラジカルの失活とポリリン酸表面皮膜形成による酸素供給のシャットダウン及び内部からの可燃性ガスの発生を抑制するためと考えられる。それに加えて、難燃剤の相乗効果により難燃化がより有効に働くものと考えられる。
【0031】
さらに、前記第(7)項記載のように、電子写真方式画像形成装置に使用される半導電性部材であって、その最外層を構成する構成材料に、少なくとも板状構造を有する無機充填剤及び導電剤が含有され、該導電剤が、少なくとも電子伝導剤及び高分子マトリクス担持イオン伝導剤を含有するものであることにより、ブリードを防止し、感光体汚染を防止し、導電性を損なわず、環境変動を抑制し、画質劣化の問題の解消を図り、すべり性向上、耐磨耗性付与し、半導電性部材の耐久性を向上させることが可能となる。
【0032】
また、前記第(8)項記載のように、最外層に使用する構成材料の高分子マトリクス担持イオン伝導剤の高分子マトリクスが、架橋型高分子であることにより、特に内部及び最外層からのブリードを防止し、感光体汚染を防止し、最外層塗膜の追従性を向上させ、導電性を損なわず、環境変動を抑制し、導電性画質劣化の問題の解消、すべり性向上、耐磨耗性付与、耐久性向上を実現することが可能となる。
【0033】
また、前記第(9)項記載のように、最外層に使用する構成材料の高分子マトリクス担持イオン伝導剤の高分子マトリクスがフッ素系高分子であることにより、特に最外層に紙粉・トナーなどが付着するのを抑制する効果を向上させることができ、離型性が更に向上し、内部及び最外層からのブリードを防止し、感光体汚染を防止し、最外層塗膜の追従性を向上させ、導電性を損なわず、環境変動を抑制し、導電性画質劣化の問題の解消、すべり性向上、耐磨耗性付与、耐久性向上、安全性向上を実現することが可能となる。
【0034】
さらに、前記第(10)項記載のように、最外層に使用する構成材料の高分子マトリクス担持イオン伝導剤の高分子マトリクスが架橋型高分子であり、架橋型高分子が単官能性モノマーと多官能性モノマーを含有する架橋重合性組成物を架橋重合して形成されたものであり、炭素以外のヘテロ原子を含むものであることにより、特に内部及び最外層からのブリードを防止し、感光体汚染を防止し、最外層塗膜の追従性を向上させ、導電性を損なわず、環境変動を抑制し、導電性画質劣化の問題の解消、すべり性向上、耐磨耗性付与、耐久性向上を実現することが可能となる。
【0035】
また、前記第(11)項記載のように、さらに少なくともシリコーン化合物をも含有することにより、特に最外層に紙粉・トナーなどが付着するのを抑制し、しかも内部及び最外層からのブリードを防止することによって、感光体汚染を防止し、最外層塗膜の追従性を向上させ、導電性を損なわずに、導電性画質劣化の問題の解消、すべり性向上、耐磨耗性付与、耐久性向上を実現することが可能となる。
【0036】
さらに、前記第(12)項記載のように、さらに少なくともフッ素化シリコーン化合物をも含有すること、また前記第(13)項記載のように反応性基を有するシリコーン化合物を含有すること、また前記第(14)項記載のように反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物を少なくとも含有するによって、特に最外層に紙粉・トナーなどが付着するのを抑制する効果を向上させることができる。更に内部及び最外層からのブリードを防止し、感光体汚染を防止し、最外層塗膜の追従性を向上させ、導電性を損なわずに、画質劣化の問題の解消を図り、すべり性向上、耐磨耗性付与し、半導電性部材の耐久性を向上させることができる。
【0037】
またさらに、前記第(15)項記載のように、最外層に、さらにポリオール化合物及びイソシアネート化合物を少なくとも含有すること、前記第(16)項記載のようにさらにフッ素ポリオール化合物及びイソシアネート化合物を少なくとも含有することにより、最外層に紙粉・トナーなどが付着するのを抑制し、離型性を更に向上し、内部及び最外層塗膜からのブリードを防止することによって、感光体汚染を防止し、またローラ構造などの場合に最外層塗膜の追従性を向上させ、導電性を損なわずに、画質劣化の問題の解消を図り、すべり性向上、耐磨耗性付与し、半導電性部材の耐久性を向上させることができる。
【0038】
またさらに、前記第(17)項記載のように、最外層に、さらにフッ素ポリオール化合物及びアクリル樹脂及びイソシアネート化合物を少なくとも含有すること、さらに前記第(18)項記載のようにフッ素ポリオール化合物及びアクリルポリオール化合物を少なくとも含有することにより、特に最外層に紙粉・トナーなどが付着するのを抑制する効果を向上させることができ、離型性が更に向上し、更に内部及び最外層塗膜からのブリードを防止することによって、感光体汚染を防止できる。またローラ構造などの場合に最外層塗膜の追従性を向上させ、より導電性部材への密着性も向上し、最外層塗膜剥がれがなく、導電性を損なわずに、画質劣化の問題の解消を図り、すべり性向上、耐磨耗性付与し、半導電性部材の耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明について具体的に詳しく説明する。
〔第1群の本発明〕
第1の群の本発明の画像形成を含む画像処理用半導電性部材は、電子写真方式画像処理に使用されるものであって、その最外層は、少なくとも板状構造を有する無機充填剤及び導電剤を含有する構成材料を含む樹脂層から構成されており、該導電剤として少なくとも電子伝導剤及びイオン伝導剤を含有し、該最外層には、これらの成分の他に、各用途に応じて、或いは必要に応じて、離型性付与のためにシリコーン化合物、更にはフッ素化シリコーン化合物、反応性基を有するシリコーン化合物、反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物等や塗膜性向上、離型性付与等のために、さらにポリオール化合物及びイソシアネート化合物、フッ素ポリオール化合物及びイソシアネート化合物、アクリル樹脂、アクリルポリオール化合物等を種々含有しても良い。
【0040】
第1群の本発明において、板状構造を有する無機充填剤と導電剤、電子伝導剤及びイオン伝導剤の使用割合は、特に制限はなく、各種状況、例えば目的とする体積抵抗率等に応じて定められる。
【0041】
〔第2の群の本発明〕
また、第2の群の本発明の画像形成を含む画像処理装置用半導電性部材は、電子写真方式画像処理に使用されるものであって、その最外層が少なくとも板状構造を有する無機充填剤、導電剤及び少なくとも1種の難燃剤を含有する樹脂層から構成されており、該最外層には、これらの成分の他に、各用途に応じて、或いは必要に応じて、離型性付与のためにシリコーン化合物、更にはフッ素化シリコーン化合物、反応性基を有するシリコーン化合物、反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物等や塗膜性向上、離型性付与等のために、さらにポリオール化合物及びイソシアネート化合物、フッ素ポリオール化合物及びイソシアネート化合物、アクリル樹脂、アクリルポリオール化合物等、また難燃性付与のためにリン系化合物、ハロゲン系化合物、ハロゲンリン系化合物、含窒素リン系化合物、PF6塩等を種々含有しても良い。
【0042】
すなわち、第2の群の本発明で用いる難燃剤としては有機系のリン系化合物、ハロゲン系化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に、リン系化合物は燃焼の際に最外層の表面にポリリン酸の皮膜を形成し、酸素供給のシャットダウンや内部からの可燃性ガスの発生を抑えるので好ましい。また、ハロゲン系化合物はリン系化合物と相乗効果により難燃性の効果を挙げることができ、それぞれを混合すれば難燃剤の添加量を少なくすることができ、汚染性への影響を防ぐことができる。また、含ハロゲンリン系化合物も同様な効果があげられる。難燃剤自体は添加量を減じることができればより画像形成用半導電部材の性能に影響を及ぼすことがなくなるのでより効果的である。
【0043】
具体的に例示すると、リン系化合物としては、トリメチルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルエチルプロピルホスフェート、メチルジエチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、メチルエチレンホスフェート、メチルトリメチレンホスフェート、トリメチロールホスフェート、などが挙げられ、含ハロゲンリン系化合物としては、トリクロロエチルホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリスクロロプロピルホスフェート、トリスジクロロプロピル−クロロプロピルホスフェート、ビスクロロプロピル−ジクロロプロピルホスフェート、ビスクロオレチル・ジクロロプロピルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、クロロホスフェート、ブロモホスフェート、リン酸トリ(トリフルオロエチル)、リン酸メチル(ジトリフルオロエチル)、リン酸エチル(ジトリフルオロエチル)、リン酸ジエチル(トリフルオロエチル)、リン酸プロピル(ジトリフルオロエチル)、リン酸ジプロピル(トリフルオロエチル)、リン酸トリ(ペンタフルオロプロピル)、リン酸メチル(ジペンタフルオロプロピル)、リン酸ジメチル(ペンタフルオロプロピル)、リン酸エチル(ジペンタフルオロプロピル)、リン酸ジエチル(ペンタフルオロプロピル)、リン酸ブチル(ジペンタフルオロプロピル)などが挙げられ、含窒素リン系化合物としては、塩化ホスフォニル誘導体、ホスフォノアミド系、ジエチルビス(ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフェートなどが挙げられ、ハロゲン系化合物としては、ジブロモジクロロプロパン、四臭化エタン、四臭化ブタンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
難燃化化合物の中では、特にリン系化合物が好ましく、その中でもリン系化合物と複合した含ハロゲンリン系化合物、含窒素リン系化合物が好ましい。リン系化合物単独よりも含ハロゲンリン系化合物のような複合化合物の方がより少ない量で難燃化に効果をもたらす。難燃剤としてリン系化合物を使用すると燃焼の際にポリ燐酸皮膜を形成し、可燃性ガスの発生を抑える、あるいは蒸発潜熱により燃焼温度を下げるなどの働きにより、難燃化が考えられる。特に含酸素系塗膜樹脂に対し、難燃化の効果がある。
【0045】
上記のような難燃剤は添加量が多い場合、導電性を低下させる、汚染性が大きくなる。この場合の難燃剤の添加量は、溶媒を含まない塗膜成分100重量部に対して0.4重量部以下の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.2重量部の範囲である。このような範囲で添加することにより、汚染性への影響を及ぼさず、難燃化を得ることができる。0重量部であると、難燃性に対して効果を発揮できず、0.4重量部を超えるとブリード等の汚染原因になる可能性がある。これら難燃剤を塗膜材料に添加すると、難燃性付与することが出来、有用である。
【0046】
また、対アニオンがPF6のイオン伝導剤を添加した場合、イオン伝導度が高いばかりでなく、燃焼の際に自己消火性が付与される。理由は不明だが、燃焼の際に、熱分解を起こし、最外層表面にポリリン酸皮膜を形成するため、酸素供給のシャットダウンと内側からの可燃性気体の蒸散を抑えるなどの働きをするためと考えられる。
【0047】
第2の群の本発明において、板状構造を有する無機充填剤と導電剤及び難燃剤の使用割合は、特に制限はなく、各種状況、例えば目的とする体積抵抗率等に応じて定められる。
【0048】
〔第3の群の本発明〕
また、第3の群の本発明の画像形成を含む画像処理用半導電性部材は、電子写真方式画像処理に使用されるものであって、その最外層が板状構造を有する無機充填剤及び導電剤を含有する樹脂層から構成されており、該導電剤として少なくとも電子伝導剤及び高分子マトリクス担持イオン伝導剤を含有し、該最外層には、これらの成分の他に、各用途に応じて、或いは必要に応じて、離型性付与のためにシリコーン化合物、更にはフッ素化シリコーン化合物、反応性基を有するシリコーン化合物、反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物等や塗膜性向上、離型性付与等のために、さらにポリオール化合物及びイソシアネート化合物、フッ素ポリオール化合物及びイソシアネート化合物、アクリル樹脂、アクリルポリオール化合物等を種々含有しても良い。
【0049】
高分子マトリクス担持イオン伝導剤として、最外層に分散され、環境変動抑制、導電性バラツキ抑制等の効果を発揮する。このイオン伝導剤は高分子マトリクス中に分散、担持することによって、環境変動性を抑制、導電性のバラツキを抑制できる。この分散、担持は高分子マトリクス中にイオン伝導剤を重合性化合物中に分散、溶解後、熱あるいは光などの手段にて重合、更に架橋等で含有、高分子マトリクスにイオン伝導剤を溶液で溶解し、膨潤、溶解させた後、溶液を揮発させるなどしてイオン伝導剤を含有等々の手段で行うことができる。なお、他にイオン伝導性の高分子固体電解質やゲル電解質も使用可能である。
また、高分子マトリクス担持イオン伝導剤はカーボンブラック等の導電剤との併用添加することにより、所定の抵抗値に制御することができる。
【0050】
第3群の本発明における高分子マトリクスとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリフォスファゼン、ポリアクリレートなどが挙げられ、更にフッ素系高分子として、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンーヘキサフルオロプロピレン共重合体などがあげられるが、これらに限定されるものではない。さらに、エチレンオキシド鎖を側鎖に有するポリシキロサンあるいはエチレンオキシド鎖を側鎖または主鎖に有する架橋型高分子、例えばウレタン、アクリル、エポキシ等の架橋によるものが挙げられる。特に架橋型高分子については、重合性化合物はその分子内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の炭素以外のヘテロ原子を含むものが使用できる。その炭素以外のヘテロ原子はイオン伝導剤のイオン化を促進させ、高分子マトリクス中でのイオン伝導性を向上させるとともに、強度を向上させる働きもあると推定される。これら高分子マトリクスにイオン伝導剤を含有、担持させることができる。
【0051】
重合性化合物の種類は特に制約されず、熱重合および活性光線重合などの重合反応を生起して重合体を得るものが包含されるが、架橋型高分子マトリクスを形成することができる単官能性モノマーと多官能性モノマーの組み合わせが好ましく、特に、前記多官能性モノマーとして、三官能性モノマーを使用するのが好ましい。
【0052】
重合性化合物としては、例えば単官能および多官能の(メタ)アクリレートのモノマーあるいはプレポリマーが挙げられる。なお、本明細書における(メタ)アクリレートは、アクリレートまたは、メタアクリレートを意味する。
【0053】
単官能アクリレートとしては、アルキル(メタ)アクリレート(メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等)、脂環式(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等)、ヒドロキシポリオキシアルキレン(オキシアルキレン基の炭素数は好ましくは1〜4)(メタ)アクリレート(ヒドロキシポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等)およびアルコキシアルキル(アルコキシ基の炭素数は好ましくは1〜4)(メタ)アクリレート(メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等)が挙げられる。
【0054】
その他の(メタ)アクリレートの具体例としては、たとえばメチルエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピルエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルエチレングリコール、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート等のアルキルエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルプロピレングリコールアクリレート、ブチルプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート等のアルキルプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0055】
前記(メタ)アクリレートは複素環基を含有していても良く、該複素環基としては、酸素、窒素、イオウ等のヘテロ原子を含む複素環の残基である。この(メタ)アクリレート中に含まれる複素環基の種類は特に限定されるものではないが、たとえばフリフリル基、テトラヒドロフルフリル基を有するフルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが好ましい。その他複素環基を有する(メタ)アクリレートとしては、フルフリルエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルエチレングリコール(メタ)アクリレート、フルフリルプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のフルフリル基あるいはテトラヒドロフルフリル基を有するアルキレングリコールアクリレートが挙げられる。
【0056】
さらに多官能(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイル基を二個以上有するモノマーあるいはプレポリマーが挙げられる。特に3個の(メタ)アクリロイル基を有する3官能の(メタ)アクリレートが、イオン伝導度、強度にすぐれる点で最も好ましい。前記多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。架橋型高分子マトリクスを形成するには、特に単官能モノマーと多官能モノマーの組み合わせが好ましい。
【0057】
前記モノマーの重合開始剤として、例えば熱重合開始剤を具体的に例示すると、有機過酸化物として、イソブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシビバレート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−(n−プロピル)パーオキシジカーボネート、ジ−(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネートなどが挙げられ、アゾ系化合物としては2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
中でも、パーオキシジカーボネート系化合物は一次分解で生成すると思われる、R−OCO・と脱炭酸したR−O・の反応性の差が少なく、たとえ2つのラジカル種から開始したとしても重合によって生成する高分子マトリクスの構造に大きな差をもたらさないと考えられる。したがって、均質な高分子マトリクスが得られ、均一に作製でき、イオン伝導度のむらが無いものが得られる。また、特に低温、短時間で熱重合することができ、イオン伝導度が高く、良好な高分子マトリクスを得ることができる。前記のパーオキシジカーボネート系化合物の中でも特にジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが好適である。
【0059】
熱重合開始剤が重合後の高分子マトリクスあるいは重合性モノマーに対して、0.005〜5wt%含有することにより、一次分解ラジカルのさらなる分解を抑制することができる。さらに、前記の開始剤濃度であれば、その重合によって形成された高分子マトリクスはイオン伝導剤を保持するに十分であり、なおイオン伝導度が高いイオン伝導性高分子マトリクスが得られる。また、理由は不明であるが特にパーオキシジカーボネート化合物を開始剤に用いた場合、アクリレート系の極性モノマーの場合に重合むらの無い均質な高分子マトリクスを得るのに効果があり、イオン伝導度の高い弾性体となり、良好なイオン伝導性高分子マトリクスを構成することができる。
【0060】
また、光重合開始剤として例えば、カルボニル化合物、イオウ化合物およびオニウム塩類である。熱重合開始剤としてはアゾビスイソバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、エチルメチルケトンペルオキシド、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート等を挙げることができる。さらに、増感剤、貯蔵安定剤も必要により併用でき、上記熱重合開始剤、光重合開始剤等も併用して使用することもできる。これらは単独でもあるいは二種以上の混合物としても使用できる。
【0061】
少なくとも1種以上の架橋型高分子の微粒子を作製し、該微粒子を最外層塗膜材料中へ均一に分散させた塗膜が挙げられる。分散微粒子の粒径は、0.01〜50μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜5μmである。前記微粒子は、最外層に均一に分散されており、1mm中には該微粒子の粒径に応じて2000個以内の範囲で分散されている。例えば、該微粒子の粒径が2〜3μmの場合には、50〜200個位が適当である。
【0062】
第3群の本発明において、板状構造を有する無機充填剤と導電剤、電子伝導剤及び高分子マトリクス担持イオン伝導剤の使用割合は、特に制限はなく、各種状況、例えば目的とする体積抵抗率等に応じて定められる。
【0063】
〔第1〜3群の本発明に共通する事項の詳細説明〕
これら、第1〜3群の本発明においては、他にもレベリング剤、酸化防止剤、難燃剤、沈降防止剤、消泡剤、腐食防止剤、希釈用溶媒、増粘剤、チクソトロピー性付与剤、構造粘性付与剤等などの各種添加剤を含有しても良い。
【0064】
次に、これら本発明に使用される板状構造を有する無機充填剤は、一般に形状が板状のものである。ここで本発明でいう板状とは、相対する2面(卓面)が、特に発達した構造のものを言う。
【0065】
本発明で使用される板状構造の無機充填剤としては、特にフィラーとして汎用のタルク、天然マイカ、合成マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、天然ハイドロタルサイト、合成タルサイト、水酸化マグネシウム、板状水酸化アルミニウム、板状酸化鉄、板状炭酸カルシウム、黒鉛、BN等々が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルサイトなどは難燃効果も付与でき、好ましい。なお、平均粒径は0.01〜5μmが好ましく、更に好適には0.1〜1μmである。0.01μm未満ではブリード防止効果が抑制され、5μmを超えると表面粗さからくる画像品質に問題が出る。
【0066】
本発明において、板状構造を有する無機充填剤を用いることによって、上記作用効果が奏される理由は定かではないが、板状構造であることによって、充填剤同士が重なり合って、バリア機能の発揮あるいは層間にブリード成分の吸着等によって、最外層塗膜及び半導電性ゴム層からの汚染性低分子物質、イオン導電剤等がブリードされるのを抑制するものと考えられる。また、クレー、珪藻土、シリカ等の充填剤を添加しても良い。
【0067】
なお、上記の無機充填剤の添加量は最外層材料に対して0.1〜30重量%の範囲が好ましく、最外層材料とのマッチング、放電条件等などに応じて変化させる。該添加量が0.1重量%未満ではブリード抑制効果が低く、30重量%を超えると最外層の成膜性や塗膜強度の低下等を生じることがある。更に好ましくは、1〜10重量%である。
【0068】
本発明に使用される導電剤、電子伝導剤としては、好ましくは平均粒径0.01〜5μmの無機または有機の電子伝導剤が用いられる。該電子伝導剤としては、カーボンブラック、グラファイト、フッ化カーボンや、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金、さらに酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫−酸化インジウム複合酸化物等の各種導電性金属酸化物、さらには絶縁物質の表面を導電化処理したものなどの1種または2種以上の微粉末を用いることができる。これらの電子伝導剤は1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
また、これらの電子伝導剤の添加量としては特に制限はなく、各種状況に応じ、最外層の全量に対し、通常0.01〜40重量%、好ましくは5〜20重量%の割合で添加される。カーボンブラック等の導電剤を添加することにより、所定の抵抗値に制御することができる。この表面層の抵抗は、イオン伝導剤との併用にて、体積抵抗率で1×10〜1×1012Ω・cmであることが好ましく、更に好ましくは1×10〜1×1010Ω・cmである。
【0070】
本発明に使用される導電剤、併用するイオン伝導剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムなどの過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、PF6塩、BF4塩などのようなアンモニウム塩、あるいは、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩、PF6塩、BF4塩などが挙げられる。
【0071】
また、これらの併用するイオン伝導剤の添加量としては、各種状況に応じ、最外層の全量に対し、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%の割合で添加される。0.01重量%未満ではイオン導電剤の効果を充分に発揮できず、電気抵抗のバラツキ抑制効果は充分に発揮できず、好ましくない。また、5重量%を越えると板状構造を有する無機充填剤によるイオン導電剤が最外層から染み出し抑制効果が減少し、感光体汚染を引き起こす原因となり、好ましくない。
【0072】
カーボンブラック等の導電剤との併用添加することにより、所定の抵抗値に制御することができる。この表面層の抵抗は、体積抵抗率で1×10〜1×1012Ω・cmであることが好ましく、更に好ましくは1×10〜1×1010Ω・cmである。
【0073】
本発明において、半導電性部材の最外層は、上記の板状構造を有する無機充填剤及び導電剤、電子伝導剤及びイオン伝導剤を少なくとも含有する樹脂層から構成され、本発明に用いられる最外層を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれも用いることができる。
【0074】
熱可塑樹脂としては熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂や熱可塑性フッ素樹脂などが挙げられる。熱硬化樹脂としてはポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂や各々のフッ素変性樹脂などが挙げられる。
【0075】
これらの中で、該樹脂としては、例えば、塗膜性を良好とするポリオール化合物とイソシアネート化合物からなるものが好ましい。例えばポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、フッ素ポリオールおよびこれらの共重合ポリオール等を挙げることができる。
【0076】
また、例えば、ポリエステルポリオールとしては、二塩基酸や、そのエステル、酸ハライド、酸無水物等の反応性酸誘導体とグリコール、アミノアルコール等の単独または混合物との縮合反応により得られるポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
【0077】
また、ポリカーボネートポリオールとしては、一般には多価アルコールとエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等との脱アルコール反応などにより得られるものが挙げられる。
またポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、およびこれらのコポリマーが挙げられる。
【0078】
さらにフッ素ポリオールとは、イソシアネートと反応する基(水酸基)を1つ以上持ったフッ素樹脂である。例示すれば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の水酸基変性樹脂などの水酸基含有のフッ素樹脂等が挙げられる。具体的には、水酸基を有するFEVE(フルオロエチレン単位とビニルエーテル単位)交互共重合体が挙げられる。
【0079】
またアクリルポリオールとは、水酸基を持つアクリルモノマーとアクリル酸エステルとの共重合体等のアクリル樹脂である。水酸基は該アクリル樹脂主鎖に無秩序に配置されている。水酸基含有比は種々共重合比で制御することができる。例えば、AA/HPA/MMA/BMA/BAや、AA/HPMA/MMA/BMA/BA(AAはアクリル酸、HPAはヒドロキシプロピルアクリレート、HPMAはヒドロキシプロピルメタクリレート、MMAはメチルメタクリレート、BMAはブチルメタクリレート、BAはブチルアクリレートを指す。)が挙げられる。
【0080】
さらにまたこれらの共重合ポリオールとしては、前記ポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールを共重合成分としたポリエステルポリカーボネートポリオールやポリエステルポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0081】
架橋剤として添加されるイソシアネート化合物は、分子中に2個以上のイソシアネート基をもつ化合物であり、一般にポリウレタンの製造原料として用いられるイソシアネートと同様のものを用いることができる。
【0082】
具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、ウンデカントリイソシアネート、ヘキサメチレントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、及びこれらイソシアネート化合物の重合体、誘導体、変性体、水素添加体等が挙げられる。
【0083】
これらの中では、特に、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族または脂肪環族イソシアネート及びこれらの重合体、誘導体、変性体が耐オゾン性や耐熱性などから好適である。
【0084】
また、ウレタン形成反応に際して使用される助剤としては、グリコール類、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、アミン類等の鎖延長剤あるいは架橋剤などを挙げることができる。なお、上記ポリオールとイソシアネート化合物のNCO/OHモル比は、1.0/1.0〜1.8/1.0が好適である。
【0085】
また、離型性を与えるフッ素系樹脂を含有させることもできる。該フッ素系樹脂としてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ビニリデンフルオライド共重合体、ポリビニリデンフルオライド及びポリビニルフルオライド等が挙げられる。
【0086】
特にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の水酸基変性樹脂などの水酸基含有のフッ素樹脂をフッ素ポリオール化合物としてイソシアネート化合物と反応させることにより、良好な塗膜を与え、好適である。これらの樹脂は、一種用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0087】
上記フッ素ポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応塗膜は、ビニルエーテル単位の側鎖の官能基、例えば、アルキル基、アルキレン基の種類を変えること、イソシアネート化合物に高分子量のポリイソシアネート化合物を使用することなどにより、塗膜の伸び、摩擦係数を任意に調整することができる。特に伸び、膜硬度を調整した場合には最外層の可撓性を向上させることができ、それによって屈曲性に優れた部材を得ることができる。その際、伸びが50%未満では亀裂が入ってブリード防止効果がなくなることがあるため、50%以上の伸びに調整するのが好ましい。
【0088】
これらフッ素ポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応樹脂を用いると、帯電部材の表面汚染を避けることができる。具体例としては、カンペ(登録商標)フロンHD(関西ペイント社製)、ルミフロン(登録商標)シリーズ(旭硝子社製)、ゼッフル(登録商標)シリーズ(ダイキン社製)等のフッ素ポリオール化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物等のポリオール付加ポリイソシアネート化合物や、さらにメラミン樹脂等のアミノ樹脂とを反応させた架橋構造の最外層塗膜が挙げられる。
【0089】
また、本発明において、必要に応じ、上記樹脂に他樹脂を添加することができる。他樹脂としては、例えば、前記したアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、メラミン樹脂などが挙げられるが、分散性向上、導電性ゴム部への塗膜接着性向上、静電的な紙粉・トナー防汚性の観点より、アクリル樹脂が好適である。これらは必要に応じて単独で、組み合わせて添加してもよい。ここでアクリル樹脂を用いる場合、前記したアクリルポリオールを使用し、ポリオール成分として前記イソシアネートを反応させてもよい。
【0090】
上記塗膜において、離型性が不十分な場合もあり、シリコーン化合物、更にはフッ素化シリコーン化合物、塗膜により強固に離型性成分を固定化する反応性基を有するシリコーン化合物、反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物等を添加することが好ましく、これら化合物を添加することにより、より紙粉・トナー付着に対する離型性を向上させることができる。
【0091】
本発明に使用されるシリコーン化合物、更にはフッ素化シリコーン化合物、反応性基を有するシリコーン化合物、反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物の例としては、特に限定はなく、例えばポリエーテル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイルが好ましい。相溶性が良好で、充填剤による保持性が高いという点から、ポリエーテル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイルが特に好ましい。
【0092】
同様にフッ素化シリコーン化合物としては、一般にフロオロシリコーンオイルと言われる化合物、例えば、3,3,3−トリフロロプロピルメチルシロキサン、3,3,3−トリフロロプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ビス(トリデカフロロオクチル)テトラメチルシロキサンや、フルオロシリコーングリースなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、これらは塗膜溶液のレベリングにも寄与する効果もあり、塗膜の平滑性向上となる。
【0093】
これらシリコーン化合物及びフッ素化シリコーン化合物の分子量は、400〜50000の範囲のものが好ましく、特に好ましくは1000〜20000の範囲である。配合割合は、溶媒を含まない塗膜成分100重量部に対して0.4重量部以下の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.2重量部の範囲である。0重量部であると、離型性に対して十分な効果を発揮できず、0.4重量部を超えるとブリード等の汚染原因になる可能性がある。
【0094】
特に塗膜に離型性成分を固定する目的で、反応性基を有するシリコーン化合物、反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物が、より耐ブリード性にも効果があり、好ましい。
【0095】
反応性基を有するシリコーン化合物は、イソシアネート架橋剤や塗膜材料との硬化反応を適宜選択でき、多量配合も可能となり、離型性向上に有効である。上記反応性基としては、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アクリル基などが挙げられる。
【0096】
具体的には、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メタクリロキシ変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイルが等好ましい。また、これら反応性シリコーン化合物の変性形態としては、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型が好ましい。
【0097】
同様に反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物としては、ビニル末端基、シラノ−ル末端基等のフッ素化シリコーン化合物が挙げられ、具体的にはビニル末端トリフロロプロピルメチルシロキサンージメチルシロキサンコポリマー、シラノール末端ポリトリフロロトリフロロプロピルメチルシロキサン等が挙げられる。この反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物は上記反応性シリコーン化合物と同様に離型性を高めるとともに、フッ素基による汚れの付着防止とブリード防止効果を更に向上させることが出来る。
【0098】
これら反応性基を持つシリコーン化合物は、樹脂との相溶性があり、塗膜に均一に分散し、これらは塗膜溶液のレベリングにも寄与する効果もあり、塗膜の平滑性向上となる。特に、アミノ基、水酸基、カルボキシル基を持ったシリコーン化合物は、イソシアネート化合物との硬化反応により、最外層塗膜に固定出来る。また、エポキシ基を持ったシリコーン化合物は、上記フッ素樹脂の活性水素と反応し、固定化される。これにより、最外層の離型性向上・摩擦力の低下が起こり、更に、これらは導電性ゴム成分中の低分子物質のブリードも防ぎ、バリア効果も供することができ、より感光体汚染、更には紙粉・トナー付着を低減させることができる。更にまた、シリコーン化合物の多量含有が可能となり、より離型性向上となる。
【0099】
上記反応性基を有するシリコーン化合物及び反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物は、分子量が400〜50000の範囲に設定されたものが好ましく、特に好ましくは1000〜20000の範囲である。
【0100】
また、上記反応性基を有するシリコーン化合物及び反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物の配合割合は、溶媒を含まない塗膜成分100重量部に対して0.4重量部以下の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.2重量部の範囲である。0重量部であると、離型性に対して十分な効果を発揮できず、0.4重量部を超えるとブリード等の汚染原因になる可能性がある。これらシリコーン化合物等を塗膜材料に添加すると、高離型性を付与することができ、有用である。
【0101】
なお、この最外層の厚さは、特に制限されないが、通常50μm以下、特に1〜30μmとすることが好ましく、50μmを越えると硬くなって、最外層の柔軟性が損なわれてしまうことがあり、あまり好ましくはない。
【0102】
また、これらの化合物を溶解し最外層形成用の塗膜塗料とする場合に用いられる有機溶媒としては、非プロトン系極性溶媒を用いるのが好ましく、特に、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド等溶媒を添加することが出来る。
【0103】
また、最外層の形成方法としては、特に制限されるものではないが、層を形成する各成分を含む塗料を調整し、このコーティング液の塗布方法は、特に制限するものではなく、従来公知のディッピング法、スプレーコーティング法、ロールコート法等が挙げられる。
【0104】
本発明の半導電性部材が帯電ローラの場合の適当な抵抗は、良好な画像を得るためには、体積抵抗率が1×10〜1×1012Ω・cmであることが好ましく、特に1×10〜1×1010Ω・cmであることが好ましい。また、このようにして作製された最外層に凹凸があると、トナーが詰まってしまい画像不良の原因となるため、最外層はできるだけ平滑な方が好ましい。このように作製した半導電性部材を使用した帯電ローラは印字抜け、ムラ、カブリのない画像を安定的に得ることができ、温・湿度に対する耐環境性に優れる。
【0105】
なお、本発明の帯半導電性部材は、例えば、帯電ローラとして接触帯電方式に用いられるものであり、被帯電体に接触するものであれば、特にその形状が限定されるものではない。他の形態としては、プレート状、ブロック状などの各種形状のものが適用可能である。
【0106】
帯電ローラの場合には、これらの内側に金属あるいはプラスチック製のシャフトを設けてもよい。また、本発明の半導電性部材が帯電ローラの場合の構造は、弾性層と少なくとも1層の塗膜層とから成り、弾性層としては弾性体が、塗膜層としては樹脂層が用いられる。金属あるいはプラスチック製のシャフトと、このシャフトの外周に形成された弾性層と、上記弾性層の表面に形成された、導電剤を添加した樹脂から構成される最外層とから成る帯電ローラを例示することができる。
【0107】
本発明の半導電部材において用いられる弾性層としては、特に限定されるものではないが、従来から弾性層として用いられているゴム、樹脂、発泡体で形成することができる。具体的には、ポリウレタン、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ノルボルネンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、エピクロルヒドリン系ゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム等を基材ゴムとするゴム組成物が挙げられ、これらのゴム材料を2種以上ブレンドしてもよい。
【0108】
この弾性層に最外層と同じイオン導電剤や電子導電剤などの導電剤を添加し、所定の導電性を付与することができる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムなどの過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、PF6塩、BF4塩などのようなアンモニウム塩、あるいは、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩、PF6塩、BF4塩などが挙げられる。
【0109】
更に、電子導電剤の例としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫−酸化インジウム複合酸化物等の各種導電性金属酸化物、絶縁物質の表面を導電化処理したものなどの1種または2種以上の微粉末を用いることができる。
【0110】
また、これらの導電剤の添加量としては特に制限はなく、各種状況に応じて適宜選択される。イオン導電剤の場合には、ゴム100重量部に対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部である。また、電子導電剤の場合には、通常0.5〜50重量部、好ましくは1〜40重量部である。これらの処方により、弾性層の体積抵抗率を1×10〜1×1010Ω・cm、特に、1×10〜1×10Ω・cmに調整することが好ましい。なお、この導電性弾性層には、必要に応じ、充填材、架橋剤、発泡剤等、ゴム用添加剤を添加することもできる。
【0111】
また、本発明の半導電性部材使用の帯電装置としては、例えば、被帯電体である感光ドラムに、本発明の半導電性部材の帯電部材である帯電ローラを接触させつつ従動回転させるとともに、電圧印可手段により、感光ドラムと帯電ローラとの間に、直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印可して上記感光ドラムを帯電させるように構成した帯電装置を例示することができる。なお、本発明の半導電性部材使用の帯電装置は、これに限るものではなく、被帯電体や帯電部材の形態、あるいは電圧印可手段による電圧印可方式などは適宜変更してもよい。
【0112】
以下に、実施例、比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔第1群の本発明〕
実施例1
先ず、下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート)混合組成物
(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.7重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:
合成ハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製)
0.14重量部
次いで、8Φの芯金上に3mm肉厚の三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層(体積抵抗率R:2.5×10Ω・cm、LogR:7.4)を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が5μmとなるように、スプレー塗工し、実施例1の半導電性部材(ローラ抵抗R’:1.1×10Ω、LogR’:6.0)を作製した。
この半導電性部材を帯電ローラとしてリコーimagio感光体トナーキットMに搭載し60℃−30%RH環境下に10日間放置した。しかる後、リコーimagio感光体トナーキットMをリコーImagio MF−1530に搭載し画像を出力させ、半導電性部材が接触していたOPC部分に異常が認められないか否かの評価試験を行なった。
【0113】
実施例2
実施例1において、三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層に代えて、カーボンで抵抗調整されたNBR弾性層(体積抵抗率R:4.0×10Ω・cm、LogR:6.6)を設けた以外は、実施例1と全く同様にして実施例2の半導電性部材(ローラ抵抗R’:1.8×10Ω、LogR’:5.2)を作製し、実施例1と同様の評価試験を行なった。
【0114】
比較例1
下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物
(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.7重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
次いで、8Φの芯金上に3mm肉厚の三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が5μmとなるように、スプレー塗工し、比較例1の半導電性部材を作製し、実施例1と同様の評価試験を行なった。
【0115】
比較例2
比較例1において、三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層に代えて、実施例2で用いたものと同様のカーボンで抵抗調整されたNBR弾性層を用いた以外は、比較例1と全く同様にして比較例2の半導電性部材を作製し、実施例1と同様の評価試験を行なった。
【0116】
比較例3
実施例1において、表面層を設けない以外は、実施例1と同様の、芯金上に三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層のみを設けた比較例3の半導電性部材を作製し、実施例1と同様の評価試験を行なった。
【0117】
比較例4
実施例2において、表面層を設けない以外は、実施例2と同様の、芯金上にカーボンで抵抗調整されたNBR弾性層のみを設けた比較例4の半導電性部材を作製し、実施例1と同様の評価試験を行なった。
実施例1、2及び比較例1、2、3、4で得られた半導電性部材の評価試験結果を表1に示す。なお表1中の使用割合は重量部である。
【0118】
【表1】

【0119】
表1の比較例3、4の結果よりOPC汚染物質が三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層、NBR弾性層に内在している事が判る。又、表1の実施例1、2の結果と、比較例1、2の結果の対比により、表層に含有される板状構造を有する無機充填剤が、半導電性部材及び最外層に内在しているOPC汚染物質によるOPC汚染の問題が解消していることが判る。
【0120】
実施例3
下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物
(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.7重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 0.14重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS−T11:チッソ(株)製)
0.0032重量部
次いで、8Φの芯金上に3mm肉厚の三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が5μmとなるように、スプレー塗工し、実施例3の半導電性部材を作製した。
この半導電性部材を帯電ローラとしてリコーImagio Neo 270に搭載し、5%チャート(A4)で6万枚コピーを取った後、帯電ローラ両端部、中央部3箇所の汚れをテープで剥離し、濃度計(X−Rite 508:X−Rite Inc.社製)にて測定した夫々のテープの汚れ濃度を、帯電ローラの汚れ特性値とした。
【0121】
比較例5
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例3と全く同様して比較例5の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物
(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.7重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
滑剤:脂肪酸アマイド(カワスリップVL:川研ファインケミカル) 1.2重量部
【0122】
実施例4
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例3と全く同様にして実施例4の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物
(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.7重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 0.14重量部
シリコーン化合物:フッ素化シリコーン化合物(FMS−121:チッソ(株)製)
0.0032重量部
【0123】
実施例5
表面処理液の組成を下記組成とした以外は、実施例3と全く同様にして実施例5の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物
(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.7重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 0.14重量部
シリコーン化合物:シラノール末端シリコーン(DMS−S15:チッソ(株)製)
0.0032重量部
【0124】
実施例6
実施例5のシリコーン化合物をシラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキサン(FMS−9921:チッソ(株)製)に代え、同一重量部加えた以外は、実施例5と全く同様にして実施例6の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
【0125】
実施例7
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例3と全く同様にして実施例8の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリエステルポリオール 100重量部
(ユーラック(登録商標)C−230U:広野化学製)
ポリイソシアネート 33重量部
(ユーラック(登録商標)PU−614:広野化学製)
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
シリコーン化合物:シラノール末端シリコーン
(DMS−S15:チッソ(株)製) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0126】
実施例8
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例3と全く同様にして実施例9の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリエステルポリオール
(ユーラック(登録商標)C−230U:広野化学製) 100重量部
ポリイソシアネート
(ユーラック(登録商標)PU−614:広野化学製) 33重量部
電子伝導剤:カーボン
(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製) 2.6重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート
(東京化成製) 0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
シリコーン化合物:シラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキサン
(FMS−9921:チッソ(株)製) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0127】
実施例9
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例3と全く同様に実施例10の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製)
100重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF−601C硬化剤:旭硝子製)
20重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
シリコーン化合物:シラノール末端シリコーン(DMS−S15:チッソ(株)製)
0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0128】
実施例10
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例3と全く同様にして実施例11の半導電性部材を作製し、実施例3と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製)
100重量部
ポリイソシアネート(ミフロン(登録商標)LF−601C硬化剤:旭硝子製)
20重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
シリコーン化合物:シラノール末端ポリフロロプロピルメチルシロキサン
(FMS−9921:チッソ製) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0129】
実施例3、4、5、6及び比較例5で得られた各ローラの6万枚コピー後の帯電ローラ汚れ評価結果を表2に示す。
また、実施例7、8、9、10で得られた半導電性部材(帯電ローラ)は表層処理液メイン樹脂と反応性シリコーン化合物の組合せがローラ汚れに及ぼす影響を調べたものである。実施例7、8、9、10の各ローラの6万枚コピー後の帯電ローラ汚れ評価結果を表2に示す。
なお、表2中の原材料の使用割合は、重量部で示す。
また、表2中の評価は下記に示すものである。
ローラ汚れ濃度 平均:ローラ中央、両端部3点の汚れ濃度平均値
ローラ汚れ濃度 標準偏差:ローラ中央、両端部3点の汚れ濃度偏差
【0130】
【表2】

【0131】
表2より実機に搭載した際の実施例3、4、5、6の帯電ローラの汚れ濃度は、全くシリコーン化合物を添加していない比較例5に比較し明らかに低いと言える。
また実施例7〜10に使用されている表面処理液のメイン樹脂は何れもポリオール化合物及びイソシアネート化合物を有するものである。実施例3〜6と実施例7〜10のローラ汚れ濃度は、全くシリコーン化合物を添加していない比較例5に比較し明らかに低いと言える。
【0132】
また実施例7〜10に使用されている表面処理液のメイン樹脂は何れもポリオール化合物及びイソシアネート化合物を有するものである。実施例3〜6と実施例7〜10のローラ汚れ濃度を比較すると、実施例7〜10の各ローラの汚れが実施例3〜6のそれより低いことは明白である。従って、少なくとも、反応性を有するシリコーン化合物を表面処理液に使用する場合、処理液中にポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有させる事でシリコーン化合物の効果をより引き出すことが出来ると言える。請求項6及び7の発明はこの結果に基づくものである。
【0133】
さらに、実施例10のローラ汚れ濃度が他のローラに汚れ濃度に比較し最も低く、他の実施例ローラ汚れ濃度との差は統計的に有意と言える。尚、実施例10の表面処理液には反応基を有するフッ素化シリコーン化合物とフッ素ポリオール化合物及びイソシアネート化合物が含まれている。
【0134】
実施例11
下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製)
90重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF−601C硬化剤:旭硝子製)
18重量部
アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート) 4重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS−T11:チッソ) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
次いで、18Φの芯金上に6mm肉厚の実施例2で用いたものと同様のカーボンで抵抗調整されたNBR弾性層を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が15μmとなるように、スプレー塗工し、実施例11の半導電性部材を作製した。
この半導電性部材を2次転写ローラとしてリコーImagio Color2800に搭載し紙粉付着特性を評価した。
【0135】
尚、紙粉付着特性は以下の方法で測定した。
紙粉付着特性評価法
i. 任意の原稿をImagio Color 2800原稿台にセットする。
ii. AR Color・100g(A3版)を給紙トレイにセットし、1000枚コピーを取る。
iii. クリーニング性評価(注1)
iv. クリーニング性OKの場合はiに戻り、再度i、ii、iiiをクリーニング性がNGに成る迄繰り返す。クリーニング性NGの場合はここ迄コピーを取ったAR Color(A3版)の総コピー枚数をカウントし紙粉付着特性とする。
※注1:クリーニング性評価
1、2本のソリッドバンドパターンを有するA3版チャートを原稿台にセットする。
2、A3版トレイにA4転写紙を横にセットし、単色で10枚コピーを取る。
3、次いで単色で1枚コピーをとり、クリーニング性評価サンプルとする。
4、クリーニング性は上記3項の評価サンプル裏面のソリッドパター対応部が
トナー汚れ無:クリーニング性OK
トナー汚れ有:クリーニング性NG
と評価する。
【0136】
実施例12
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例11と全く同様にして実施例12の半導電性部材を作製し、実施例11と同様の紙粉付着特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製)
90重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF−601C硬化剤:旭硝子製)
20重量部
アクリルポリオール(ヒタロイド(登録商標)6500:日立化成工業製)
10重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS−T11:チッソ製)
0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0137】
比較例6
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例11と全く同様にして比較例6の半導電性部材を作製し、実施例11と同様の紙粉付着特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製)
100重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF−601C硬化剤:旭硝子製)
20重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.8重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS−T11:チッソ) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0138】
実施例11、実施例12及び比較例6で得られた2次転写ローラの紙粉付着特
性評価結果を表3に示す。
なお、表3中の原材料の使用割合は重量部で示す。
また、表3中の紙粉付着特性の“良好”は50K枚評価で汚れ未発生の場合を
示す。
【0139】
【表3】

【0140】
表3より、表面処理液にアクリル成分を全く含まない比較例6の転写ローラに対し、実施例11、実施例12の転写ローラでは紙粉付着特性が大幅に改善されていることが判る。なお、この改善はすべり性向上に由来する事象も含まれていると推定される。
【0141】
〔第2群の本発明〕
実施例13
先ず、下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート)混合組成物
(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.9重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT−4A
(登録商標):協和化学工業製) 0.14重量部
難燃剤:トリメチルホスフェート 0.0032重量部
次いで、8Φの芯金上に3mm肉厚の三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層(体積抵抗率R:2.5×10Ω・cm、LogR:7.4)を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が5μmとなるように、スプレー塗工し、実施例13の半導電性部材(ローラ抵抗R’:1.1×10Ω、LogR’:6.0)を作製した。
この半導電性部材を帯電ローラとしてリコーimagio感光体トナーキットMに搭載し60℃−30%RH環境下に10日間放置した。しかる後、リコーimagio感光体トナーキットMをリコーImagio MF−1530に搭載し画像を出力させ、半導電性部材が接触していたOPC部分に異常が認められないか否かの評価試験を行なった。
【0142】
実施例14
実施例13において、三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層に代えて、カーボンで抵抗調整されたNBR弾性層(体積抵抗率R:4.0×10Ω・cm、LogR:6.6)を設けた以外は、実施例13と全く同様にして実施例14の半導電性部材(ローラ抵抗R’:1.8×10Ω、LogR’:5.2)を作製し、実施例13と同様の評価試験を行なった。
【0143】
比較例7
下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物(ノバフッソ(登録商標)
PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.9重量部
難燃剤:トリメチルホスフェート 0.0032重量部
次いで、8Φの芯金上に3mm肉厚の三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が5μmとなるように、スプレー塗工し、比較例7の半導電性部材を作製し、実施例13と同様の評価試験を行なった。
【0144】
比較例8
比較例7において、三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層に代えて、実施例14で用いたものと同様のカーボンで抵抗調整されたNBR弾性層を用いた以外は、比較例7と全く同様にして比較例8の半導電性部材を作製し、実施例13と同様の評価試験を行なった。
【0145】
比較例9
実施例13において、表面層を設けない以外は、実施例13と同様の、芯金上に三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層のみを設けた比較例9の半導電性部材を作製し、実施例13と同様の評価試験を行なった。
【0146】
比較例10
実施例14において、表面層を設けない以外は、実施例14と同様の、芯金上にカーボンで抵抗調整されたNBR弾性層のみを設けた比較例4の半導電性部材を作製し、実施例13と同様の評価試験を行なった。
実施例13、14及び比較例7、8、9、10で得られた半導電性部材の評価試験結果を表4に示す。なお表4中の使用割合は重量部である。
【0147】
【表4】

【0148】
表4の比較例9、10の結果よりOPC汚染物質が三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層、NBR弾性層に内在している事が判る。又、表4の実施例13、14の結果と、比較例7、8の結果の対比により、表層に含有される板状構造を有する無機充填剤が、半導電性部材及び最外層に内在しているOPC汚染物質によるOPC汚染の問題が解消していることが判る。
【0149】
実施例15
下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物(ノバフッソ(登録商標)
PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.7重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 0.14重量部
難燃剤:トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート 0.0032重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS−T11:チッソ(株)製)
0.0032重量部
次いで、8Φの芯金上に3mm肉厚の三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が5μmとなるように、スプレー塗工し、実施例15の半導電性部材を作製した。
この半導電性部材を帯電ローラとしてリコーImagio Neo 270に搭載し、5%チャート(A4)で6万枚コピーを取った後、帯電ローラ両端部、中央部3箇所の汚れをテープで剥離し、濃度計(X−Rite 508:X−Rite Inc.社製)にて測定した夫々のテープの汚れ濃度を、帯電ローラの汚れ特性値とした。
【0150】
比較例11
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例15と全く同様にして比較例11の半導電性部材を作製し、実施例15と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物(ノバフッソ(登録商標)
PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.9重量部
滑剤:脂肪酸アマイド(カワスリップVL:川研ファインケミカル)
1.2重量部
【0151】
実施例16
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例15と全く同様にして実施例16の半導電性部材を作製し、実施例15と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物(ノバフッソ(登録商標)
PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.7重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 0.14重量部
難燃剤:ジエチルビス(ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフェート
0.0032重量部
シリコーン化合物:フッ素化シリコーン化合物(FMS−121:チッソ(株)製)
0.0032重量部
【0152】
実施例17
表面処理液の組成を下記組成とした以外は、実施例15と全く同様にして実施例17の半導電性部材を作製し、実施例15と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物(ノバフッソ(登録商標)
PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.7重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 0.14重量部
難燃剤:ジエチルビス(ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフェート
0.0032重量部
シリコーン化合物:シラノール末端シリコーン(DMS−S15:チッソ(株)製)
0.0032重量部
【0153】
実施例18
実施例17のシリコーン化合物をシラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキサン(FMS−9921:チッソ(株)製)に代え、同一重量部加えた以外は、実施例17と全く同様にして実施例18の半導電性部材を作製し、実施例17と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
【0154】
実施例19
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例15と全く同様にして実施例19の半導電性部材を作製し、実施例15と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリエステルポリオール(ユーラック(登録商標)C−230U:広野化学製)
100重量部
ポリイソシアネート(ユーラック(登録商標)PU−614:広野化学製)
33重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
難燃剤:リン酸トリ(ジトリフルオロエチル) 0.1重量部
シリコーン化合物:シラノール末端シリコーン(DMS−S15:チッソ(株)製)
0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0155】
実施例20
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例15と全く同様にして実施例20の半導電性部材を作製し、実施例15と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリエステルポリオール(ユーラック(登録商標)C−230U:広野化学製)
100重量部
ポリイソシアネート(ユーラック(登録商標)PU−614:広野化学製)
33重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT−4A
(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
難燃剤:ジエチルビス(ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフェート
0.1重量部
シリコーン化合物:シラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキサン
(FMS−9921:チッソ(株)製) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0156】
実施例21
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例15と全く同様に実施例21の半導電性部材を作製し、実施例15と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製)
100重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF−601C硬化剤:旭硝子製)
20重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT−4A
(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
難燃剤:リン酸トリ(ジトリフルオロエチル) 0.1重量部
シリコーン化合物:シラノール末端シリコーン(DMS−S15:チッソ(株)製)
0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0157】
実施例22
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例15と全く同様にして実施例22の半導電性部材を作製し、実施例15と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製)
100重量部
ポリイソシアネート(ミフロン(登録商標)LF−601C硬化剤:旭硝子製)
20重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート(東京化成製)
0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標)
:協和化学工業製) 4.4重量部
難燃剤:トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート 0.1重量部
シリコーン化合物:シラノール末端ポリフロロプロピルメチルシロキサン
(FMS−9921:チッソ製) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0158】
実施例15、16、17、18及び比較例11で得られた各ローラの6万枚コピー後の帯電ローラ汚れ評価結果を表5に示す。
また、実施例17、20、21、22で得られた半導電性部材(帯電ローラ)は表層処理液メイン樹脂と反応性シリコーン化合物の組合せがローラ汚れに及ぼす影響を調べたものである。実施例19、20、21、22の各ローラの6万枚コピー後の帯電ローラ汚れ評価結果を表5に示す。
なお、表5中の原材料の使用割合は、重量部で示す。
また、表2中の評価は下記に示すものである。
ローラ汚れ濃度 平均:ローラ中央、両端部3点の汚れ濃度平均値
ローラ汚れ濃度 標準偏差:ローラ中央、両端部3点の汚れ濃度偏差
【0159】
【表5】

【0160】
表5より、実機に搭載した際の実施例15、16、17、18の帯電ローラの汚れ濃度は、全くシリコーン化合物を添加していない比較例11に比較し明らかに低いと言える。
また実施例19〜22に使用されている表面処理液のメイン樹脂は何れもポリオール化合物及びイソシアネート化合物を有するものである。実施例15〜18と実施例19〜22のローラ汚れ濃度は、全くシリコーン化合物を添加していない比較例11に比較し明らかに低いと言える。
【0161】
また実施例19〜22に使用されている表面処理液のメイン樹脂は何れもポリオール化合物及びイソシアネート化合物を有するものである。実施例15〜18と実施例19〜22のローラ汚れ濃度を比較すると、実施例19〜22の各ローラの汚れが実施例15〜18のそれより低いことは明白である。従って、少なくとも、反応性を有するシリコーン化合物を表面処理液に使用する場合、処理液中にポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有させることでシリコーン化合物の効果をより引き出すことができると言える。前記第(14)項及び第(15)項の半導電性部材はこの結果に基づくものである。
【0162】
さらに、実施例22のローラ汚れ濃度が他のローラに汚れ濃度に比較し最も低く、他の実施例ローラ汚れ濃度との差は統計的に有意と言える。尚、実施例22の表面処理液には反応基を有するフッ素化シリコーン化合物とフッ素ポリオール化合物及びイソシアネート化合物が含まれている。
【0163】
実施例23
下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製)
90重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF−601C硬化剤:旭硝子製)
18重量部
アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート) 4重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート
(東京化成製) 0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標)
:協和化学工業製) 4.4重量部
難燃剤:トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート 0.1重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS−T11:チッソ) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
次いで、18Φの芯金上に6mm肉厚の実施例2で用いたものと同様のカーボンで抵抗調整されたNBR弾性層を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が15μmとなるように、スプレー塗工し、実施例23の半導電性部材を作製した。
この半導電性部材を2次転写ローラとしてリコーImagio Color2800に搭載し紙粉付着特性を評価した。
【0164】
尚、紙粉付着特性は以下の方法で測定した。
紙粉付着特性評価法
i. 任意の原稿をImagio Color 2800原稿台にセットする。
ii. AR Color・100g(A3版)を給紙トレイにセットし、1000枚コピーを取る。
iii.クリーニング性評価(注2=注1に同)
iv.クリーニング性OKの場合はiに戻り、再度i、ii、iiiをクリーニング性がNGに成る迄繰り返す。クリーニング性NGの場合はここ迄コピーを取ったAR Color(A3版)の総コピー枚数をカウントし紙粉付着特性とする。
【0165】
実施例24
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例23と全く同様にして実施例24の半導電性部材を作製し、実施例23と同様の紙粉付着特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製)
90重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF−601C硬化剤:旭硝子製)
20重量部
アクリルポリオール(ヒタロイド(登録商標)6500:日立化成工業製)
10重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
イオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート
(東京化成製) 0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト(DHT−4A(登録商標)
:協和化学工業製) 4.4重量部
難燃剤:トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート 0.1重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS−T11:チッソ製)
0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0166】
比較例12
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例24と全く同様にして比較例12の半導電性部材を作製し、実施例23と同様の紙粉付着特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製)
100重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF−601C硬化剤
:旭硝子製) 20重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.8重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS−T11:チッソ) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0167】
実施例23、実施例24及び比較例12で得られた2次転写ローラの紙粉付着特性評価結果を表6に示す。なお、表6中の原材料の使用割合は重量部で示す。
また、表6中の紙粉付着特性の“良好”は50K枚評価で汚れ未発生の場合を示す。
【0168】
【表6】

【0169】
表6より、表面処理液にアクリル成分を全く含まない比較例12の転写ローラに対し、実施例23、実施例24の転写ローラでは紙粉付着特性が大幅に改善されていることが判る。なお、この改善はすべり性向上に由来する事象も含まれていると推定される。
【0170】
また、難燃性評価は実施例13から実施例24及び比較例11、比較例12について、UL94に準じて実施したところ、実施例13から24においては、難燃性付与が認められ、比較例11、12において燃焼性の低減が認められなかった。
【0171】
〔第3群の本発明〕
合成例
〔高分子マトリクス担持イオン伝導剤粒子〕
イオン伝導剤に単官能性モノマーとしてエトキシジエチレングリコールアクリレート13.8部、多官能性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート0.2部、熱重合開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート0.056部を添加混合溶解し、熱重合性溶液を調製した。更に前記熱重合性溶液5.0部をn−ヘキサン100.0部に混合し、分散後、50℃加熱し、重合を行い約1μm以下粒子を得た。なお、これを濾過分離後、実施例のごとく記載の塗料に分散し(10vol%)スプレー塗膜成形を行なった。
【0172】
実施例25
先ず、下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート)混合組成物
(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.7重量部
高分子マトリクスイオン導電剤:粒径1μ以下
(高分子マトリクス:架橋粒子:エトキシジエチレングリコールアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート重合体) 5重量部
うちイオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート 0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 0.14重量部
次いで、8Φの芯金上に3mm肉厚の三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層(体積抵抗率R:2.5×10Ω・cm、LogR:7.4)を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が5μmとなるように、スプレー塗工し、実施例25の半導電性部材(ローラ抵抗R’:1.1×10Ω、LogR’:6.0)を作製した。
この半導電性部材を帯電ローラとしてリコーimagio感光体トナーキットMに搭載し60℃−30%RH環境下に10日間放置した。しかる後、リコーimagio感光体トナーキットMをリコーImagio MF−1530に搭載し画像を出力させ、半導電性部材が接触していたOPC部分に異常が認められないか否かの評価試験を行なった。
【0173】
実施例26
実施例25において、三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層に代えて、カーボンで抵抗調整されたNBR弾性層(体積抵抗率R:4.0×10Ω・cm、LogR:6.6)を設けた以外は、実施例25と全く同様にして実施例26の半導電性部材(ローラ抵抗R’:1.8×10Ω、LogR’:5.2)を作製し、実施例25と同様の評価試験を行なった。
【0174】
比較例13
下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物
(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.7重量部
高分子マトリクスイオン導電剤:粒径1μ以下
(高分子マトリクス:架橋粒子:エトキシジエチレングリコールアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート重合体) 5重量部
うちイオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート 0.2重量部
次いで、8Φの芯金上に3mm肉厚の三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が5μmとなるように、スプレー塗工し、比較例13の半導電性部材を作製し、実施例25と同様の評価試験を行なった。
【0175】
比較例14
比較例13において、三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層に代えて、実施例26で用いたものと同様のカーボンで抵抗調整されたNBR弾性層を用いた以外は、比較例13と全く同様にして比較例14の半導電性部材を作製し、実施例25と同様の評価試験を行なった。
【0176】
比較例15
実施例25において、表面層を設けない以外は、実施例25と同様の、芯金上に三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層のみを設けた比較例15の半導電性部材を作製し、実施例25と同様の評価試験を行なった。
【0177】
比較例16
実施例26において、表面層を設けない以外は、実施例26と同様の、芯金上にカーボンで抵抗調整されたNBR弾性層のみを設けた比較例16の半導電性部材を作製し、実施例25と同様の評価試験を行なった。
実施例25、26及び比較例13、14、15、16で得られた半導電性部材の評価試験結果を表7に示す。なお表7中の使用割合は重量部である。
【0178】
【表7】

【0179】
表7の比較例15、16の結果よりOPC汚染物質が三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層、NBR弾性層に内在していることが判る。又、表7の実施例25、26の結果と、比較例13、14の結果の対比により、表層に含有される板状構造を有する無機充填剤が、半導電性部材及び最外層に内在しているOPC汚染物質によるOPC汚染の問題が解消していることが判る。
【0180】
実施例27
下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物
(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.7重量部
高分子マトリクスイオン導電剤:粒径1μ以下
(高分子マトリクス:架橋粒子:エトキシジエチレングリコールアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート重合体) 5重量部
うちイオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート 0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 0.14重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS−T11:チッソ(株)製)
0.0032重量部
次いで、8Φの芯金上に3mm肉厚の三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が5μmとなるように、スプレー塗工し、実施例27の半導電性部材を作製した。
この半導電性部材を帯電ローラとしてリコーImagio Neo 270に搭載し、5%チャート(A4)で6万枚コピーを取った後、帯電ローラ両端部、中央部3箇所の汚れをテープで剥離し、濃度計(X−Rite 508:X−Rite Inc.社製)にて測定した夫々のテープの汚れ濃度を、帯電ローラの汚れ特性値とした。
【0181】
比較例17
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例27と全く同様にして比較例17の半導電性部材を作製し、実施例27と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物
(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.7重量部
高分子マトリクスイオン導電剤:粒径1μ以下
(高分子マトリクス:架橋粒子:エトキシジエチレングリコールアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート重合体) 5重量部
うちイオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート 0.2重量部
滑剤:脂肪酸アマイド(カワスリップVL:川研ファインケミカル) 1.2重量部
【0182】
実施例28
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例27と全く同様にして実施例28の半導電性部材を作製し、実施例27と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物
(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.7重量部
高分子マトリクスイオン導電剤:粒径1μ以下
(高分子マトリクス:エトキシジエチレングリコールアクリレート、
テトラエチレングリコールジアクリレート重合体) 5重量部
うちイオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート 0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 0.14重量部
シリコーン化合物:フッ素化シリコーン化合物(FMS−121:チッソ(株)製)
0.0032重量部
【0183】
実施例29
表面処理液の組成を下記組成とした以外は、実施例27と全く同様にして実施例29の半導電性部材を作製し、実施例27と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物
(ノバフッソ(登録商標)PF250:大日本色材工業製) 100重量部
電子伝導剤:酸化チタン(MT−150A:テイカ(株)製) 4.7重量部
高分子マトリクスイオン導電剤:粒径1μ以下
(高分子マトリクス:架橋粒子:エトキシジエチレングリコールアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート重合体) 5重量部
うちイオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート 0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 0.14重量部
シリコーン化合物:シラノール末端シリコーン(DMS−S15:チッソ(株)製)
0.0032重量部
【0184】
実施例30
実施例29のシリコーン化合物をシラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキサン(FMS−9921:チッソ(株)製)に代え、同一重量部加えた以外は、実施例29と全く同様にして実施例30の半導電性部材を作製し、実施例27と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
【0185】
実施例31
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例27と全く同様にして実施例31の半導電性部材を作製し、実施例27と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリエステルポリオール(ユーラック(登録商標)C−230U:広野化学製)
100重量部
ポリイソシアネート(ユーラック(登録商標)PU−614:広野化学製)
33重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
高分子マトリクスイオン導電剤:粒径1μ以下
(高分子マトリクス:架橋粒子:エトキシジエチレングリコールアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート重合体) 5重量部
うちイオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート 0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
シリコーン化合物:シラノール末端シリコーン(DMS−S15:チッソ(株)製)
0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0186】
実施例32
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例27と全く同様にして実施例32の半導電性部材を作製し、実施例27と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
ポリエステルポリオール(ユーラック(登録商標)C−230U:広野化学製)
100重量部
ポリイソシアネート(ユーラック(登録商標)PU−614:広野化学製)
33重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
高分子マトリクスイオン導電剤:粒径1μ以下
(高分子マトリクス:架橋粒子:フッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロプロピレン共重合体/
エルフアトケムジャパン製KAYNAR2851) 5重量部
うちイオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート 0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
シリコーン化合物:シラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキサン
(FMS−9921:チッソ(株)製) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0187】
実施例33
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例27と全く同様に実施例33の半導電性部材を作製し、実施例27と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製)
100重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF−601C硬化剤:旭硝子製)
20重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
高分子マトリクスイオン導電剤:粒径1μ以下
(高分子マトリクス:架橋粒子:エトキシジエチレングリコールアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート重合体) 5重量部
うちイオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート 0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
シリコーン化合物:シラノール末端シリコーン(DMS−S15:チッソ(株)製)
0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0188】
実施例34
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例27と全く同様にして実施例34の半導電性部材を作製し、実施例27と同様の耐汚れ特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製)
100重量部
ポリイソシアネート(ミフロン(登録商標)LF−601C硬化剤:旭硝子製)
20重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
高分子マトリクスイオン導電剤:粒径1μ以下
(高分子マトリクス:架橋粒子:エトキシジエチレングリコールアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート重合体) 5重量部
うちイオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート 0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
シリコーン化合物:シラノール末端ポリフロロプロピルメチルシロキサン
(FMS−9921:チッソ製) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0189】
実施例27、28、29、30及び比較例17で得られた各ローラの6万枚コピー後の帯電ローラ汚れ評価結果を表8に示す。
また、実施例31、32、33、34で得られた半導電性部材(帯電ローラ)は表層処理液メイン樹脂と反応性シリコーン化合物の組合せがローラ汚れに及ぼす影響を調べたものである。実施例31、32、33、34の各ローラの6万枚コピー後の帯電ローラ汚れ評価結果を表8に示す。
なお、表8中の原材料の使用割合は、重量部で示す。
また、表8中の評価は下記に示すものである。
ローラ汚れ濃度 平均:ローラ中央、両端部3点の汚れ濃度平均値
ローラ汚れ濃度 標準偏差:ローラ中央、両端部3点の汚れ濃度偏差
【0190】
【表8】

【0191】
表8より実機に搭載した際の実施例27、28、29、30の帯電ローラの汚れ濃度は、全くシリコーン化合物を添加していない比較例17に比較し明らかに低いと言える。
また実施例31〜34に使用されている表面処理液のメイン樹脂は何れもポリオール化合物及びイソシアネート化合物を有するものである。実施例27〜30と実施例31〜34のローラ汚れ濃度は、全くシリコーン化合物を添加していない比較例17に比較し明らかに低いと言える。
【0192】
また実施例31〜34に使用されている表面処理液のメイン樹脂は何れもポリオール化合物及びイソシアネート化合物を有するものである。実施例27〜30と実施例31〜34のローラ汚れ濃度を比較すると、実施例31〜34の各ローラの汚れが実施例27〜30のそれより低いことは明白である。従って、少なくとも、反応性を有するシリコーン化合物を表面処理液に使用する場合、処理液中にポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有させることでシリコーン化合物の効果をより引き出すことができると言える。前記第(15)項及び第(16)項の半導電性部材はこのような結果に基づくものである。
【0193】
さらに、実施例34のローラ汚れ濃度が他のローラに汚れ濃度に比較し最も低く、他の実施例ローラ汚れ濃度との差は統計的に有意と言える。尚、実施例34の表面処理液には反応基を有するフッ素化シリコーン化合物とフッ素ポリオール化合物及びイソシアネート化合物が含まれている。
【0194】
実施例35
下記組成の半導電性部材表面処理液を調整した。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製)
90重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF−601C硬化剤:旭硝子製)
18重量部
アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート) 4重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
高分子マトリクスイオン導電剤:粒径1μ以下
(高分子マトリクス:架橋粒子:エトキシジエチレングリコールアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート重合体) 5重量部
うちイオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート 0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS−T11:チッソ) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
次いで、18Φの芯金上に6mm肉厚の実施例2で用いたものと同様のカーボンで抵抗調整されたNBR弾性層を設けたローラ上に上記調整液を硬化後の膜厚が15μmとなるように、スプレー塗工し、実施例34の半導電性部材を作製した。
この半導電性部材を2次転写ローラとしてリコーImagio Color2800に搭載し紙粉付着特性を評価した。
【0195】
尚、紙粉付着特性は以下の方法で測定した。
紙粉付着特性評価法
i. 任意の原稿をImagio Color 2800原稿台にセットする。
ii. AR Color・100g(A3版)を給紙トレイにセットし、1000枚コピーを取る。
iii. クリーニング性評価(注3=注1、注2と同)
iv. クリーニング性OKの場合はiに戻り、再度i、ii、iiiをクリーニング性がNGに成る迄繰り返す。クリーニング性NGの場合はここ迄コピーを取ったAR Color(A3版)の総コピー枚数をカウントし紙粉付着特性とする。
【0196】
実施例36
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例35と全く同様にして実施例36の半導電性部材を作製し、実施例35と同様の紙粉付着特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製)
90重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF−601C硬化剤:旭硝子製)
20重量部
アクリルポリオール(ヒタロイド(登録商標)6500:日立化成工業製)
10重量部
電子伝導剤:カーボン(ケッチェンブラック(登録商標)EC:ライオンアクゾ製)
2.6重量部
高分子マトリクスイオン導電剤:粒径1μ以下
(高分子マトリクス:架橋粒子:エトキシジエチレングリコールアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート重合体) 5重量部
うちイオン伝導剤:テトラn−ブチルアンモニウムパークロレート 0.2重量部
板状構造無機充填剤:合成ハイドロタルサイト
(DHT−4A(登録商標):協和化学工業製) 4.4重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS−T11:チッソ製)
0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0197】
比較例18
表面処理液の組成を下記組成とした以外は実施例35と全く同様にして比較例18の半導電性部材を作製し、実施例35と同様の紙粉付着特性の評価を行なった。
フッ素ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤:旭硝子製)
100重量部
ポリイソシアネート(ルミフロン(商標)LF−601C硬化剤:旭硝子製)
20重量部
イオン伝導剤:リチウムパークロレート 7重量部
シリコーン化合物:シリコーンオイル(DMS−T11:チッソ) 0.1重量部
トルエン 50重量部
キシレン 50重量部
【0198】
実施例35、実施例36及び比較例18で得られた2次転写ローラの紙粉付着特性評価結果を表9に示す。
なお、表9中の原材料の使用割合は重量部で示す。
また、表9中の紙粉付着特性の“良好”は50K枚評価で汚れ未発生の場合を示す。
【0199】
【表9】

【0200】
表9より、表面処理液にアクリル成分を全く含まない比較例18の転写ローラに対し、実施例35、実施例36の転写ローラでは紙粉付着特性が大幅に改善されていることが判る。なお、この改善はすべり性向上に由来する事象も含まれていると推定される。
【0201】
また、環境試験(60℃−30%RH環境下に10日間放置)において、実施例25から36においては、ローラ体積抵抗値に変動はなく、耐環境性に優れ、比較例18においてはローラ体積抵抗値が大きくなり変動が大きいことが認められ、印字抜け、ムラ、カブリ画像となり、温・湿度に対する耐環境性に劣ることが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式画像形成装置に使用される半導電性部材であって、その最外層を構成する構成材料に、少なくとも板状構造を有する無機充填剤及び導電剤が含有され、該導電剤が、少なくとも電子伝導剤及びイオン伝導剤を含有するものであることを特徴とする画像処理装置用半導電性部材。
【請求項2】
電子写真方式画像形成装置に使用される半導電性部材であって、その最外層を構成する構成材料に、少なくとも板状構造を有する無機充填剤、導電剤及び少なくとも1種の難燃剤が含有されるものであることを特徴とする画像処理装置用半導電性部材。
【請求項3】
該難燃剤が、少なくともリン系化合物であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【請求項4】
該難燃剤が、少なくともリン系化合物及びハロゲン系化合物又は含ハロゲンリン系化合物であることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【請求項5】
該難燃剤が、少なくとも含窒素リン系化合物を含有していることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【請求項6】
前記導電剤としてイオン導電剤を含有し、該イオン導電剤の対アニオンがPF6であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【請求項7】
電子写真方式画像形成装置に使用される半導電性部材であって、その最外層を構成する構成材料に、少なくとも板状構造を有する無機充填剤及び導電剤が含有され、該導電剤が、少なくとも電子伝導剤及び高分子マトリクス担持イオン伝導剤を含有するものであることを特徴とする画像処理装置用半導電性部材。
【請求項8】
前記高分子マトリクス担持イオン伝導剤の高分子マトリクスが、架橋型高分子であることを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【請求項9】
前記高分子マトリクス担持イオン伝導剤の高分子マトリクスが、フッ素系高分子であることを特徴とする請求項7又は8に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【請求項10】
前記架橋型高分子が、単官能性モノマーと多官能性モノマーを含有する架橋重合性組成物を架橋重合して形成されたものであり、炭素以外のヘテロ原子を含むものであることを特徴とする請求項8又は9に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【請求項11】
前記導電剤が、更に少なくともシリコーン化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【請求項12】
前記導電剤が、更に少なくともフッ素化シリコーン化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【請求項13】
前記導電剤が、更に少なくとも反応性基を有するシリコーン化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【請求項14】
前記導電剤が、少なくとも反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【請求項15】
前記最外層を構成する構成材料が、さらに少なくともポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有するものであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【請求項16】
前記最外層を構成する構成材料が、さらに少なくともフッ素ポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有するものであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【請求項17】
前記最外層を構成する構成材料が、さらに少なくともフッ素ポリオール化合物、アクリル樹脂及びイソシアネート化合物を含有するものであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。
【請求項18】
前記最外層を構成する構成材料が、さらに少なくともフッ素ポリオール化合物、アクリルポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有するものであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置用半導電性部材。

【公開番号】特開2006−243300(P2006−243300A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58225(P2005−58225)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】