説明

画像処理装置

【課題】各断面画像からの対象物の輪郭抽出を精度良く行う。
【解決手段】一つの断面画像内の人体の骨部に対する粗領域を抽出する粗領域抽出部111と、粗領域抽出部111で抽出された粗領域の最外周のボクセルの直ぐ内側のボクセルを各断面画像毎に抽出する内ボクセル抽出部112と、内ボクセル抽出部112で抽出された各ボクセルの濃度値から対象物の濃度値を算出する濃度算出部113と、算出された対象物濃度値から対象物の輪郭を抽出するための閾値を算出する閾値決定部114とを備えたことを特徴とする画像処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶部にボクセル単位で記憶された、対象物を含む連続する断面の断面画像から前記対象物の三次元画像を作成するための画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CT(Computed Tomography)画像やMRI(magnetic resonance imaging )画像で撮像された多数枚のデジタル断面画像から三次元画像を構築する場合、まず閾値を決定し、決定された閾値で各デジタル断面画像を二値化して輪郭線を抽出し、その輪郭線を積み上げるという作業が行われている。かかる作業においては、閾値の決定方法が必ずしも明確ではなく、かつ輪郭線がデジタル画像から作成されているため、正確な三次元画像を構築することに限界がある。最近では、三次元画像の構築にボリュームレンダリング法やサーフェスレンダリング法が開発されてきた。この2つの手法のうち、ボリュームレンダリング法は、CT値(濃度値:density)をそのまま表現することによって三次元画像が容易に構築できるものの、表面のデータを持たないため、形態を計測することができない。一方、サーフェスレンダリング法は、作成された点群を三角形のパッチで覆うことによって可視化されたモデルを作成する手法である。これらの手法を適用すれば、作業工程を全て自動化できるため、比較的容易に三次元画像を構築することができ、かつ表面データを持っていることから形態を表現することも可能である。しかし、これらの手法においても、可視化する際には輪郭抽出のための閾値を決定する必要がある。この閾値の決定は、通常、施術者が経験的に行っているため、施術者が変われば、同じ物、同じ患者であっても構築された画像が異なる虞があった。特に経時的な変化を見るために経過観察を行ったりする際には、画像を同一条件で抽出し、観察する必要があるものの、実際には、画像抽出のための条件を一定で扱う手段がないため、経時的な変化を正確に見ることができていない。
【0003】
CT画像で得られた断面画像から物体の輪郭抽出を行う技術として、種々の方法が提案されている。すなわち、特許文献1には、段落0037に、「(3)肝臓輪郭抽出処理 次に、上記処理によって得られた肝臓領域から肝臓輪郭を抽出する。例えば、Active Netを用いて肝臓輪郭を抽出する。例えば、画像内の肝臓領域を複数の格子点から形成されるActive Netで被覆し、各格子点をActive Netの有するエネルギーが小さくなる方向へ移動させることによって、肝臓輪郭を抽出する。なお、肝臓領域から肝臓輪郭抽出処理は、上記方法に限定されるものではなく、例えば、Prewittオペレータ等を用いて行ってもよい。」との記載がある。
【0004】
特許文献2には、段落0026に、「(2)心臓の輪郭抽出処理 次に、取得した心臓画像から、例えば、エッジ情報を取得し、取得したエッジ情報に基づいて心臓輪郭を抽出する。ここで、エッジ情報の取得には、例えば、Sobelオペレータ及び動的ネットを用いる。より具体的には、Sobelオペレータを用いて心臓輪郭に関するエッジ情報を抽出後、複数の格子点から構成される動的ネットを用いて、心臓画像から濃淡情報を取得して、取得した濃淡情報に基づいて動的ネットの格子点を所定位置まで移動させ、停止した各格子点同士を結ぶことによって、心臓輪郭画像を得る。」ものが記載されている。
【0005】
特許文献3には、段落0010に「単純にPET装置画像とエックス線CT画像を比較して、自動的に数値計算により両者の画像を重ね合わせることは難しい。しかし、PET装置画像をよく観察すると、鮮明ではないが、体表の輪郭及び臓器の輪郭が判断できる。これは、静脈を通して注入された放射性薬剤が毛細血管を通り全身へ巡るためで、表皮付近の毛細血管が体表面として画像に写るためである。一方で、腫瘍や活発な代謝をしている臓器には薬剤が高濃度に集積するため、PET装置画像とエックス線CT画像とを重ね合わせようとして比較すると、薬剤が高濃度に集積した部分が特異値的な画素値となって数値計算が巧くいかない。そこで、PET装置画像に微分フィルタ処理等の輪郭抽出処理を施して表皮等の形態の情報を強調、変換又は付加すると共に、特異的に薬剤が集積している画素を均すような処理をして形態付きPET装置画像を作成する。この形態付きPET装置画像は、PET装置画像が有する情報に前記微分フィルタ処理等の輪郭抽出処理を施すことにより自動的に計算で作成できる」としたものがある。
【0006】
特許文献4には、段落0003に「図18は、複数のアキシャル画像を基に心臓の容積を算出する従来の医用解析装置における処理のフロー図である。ステップJ1では、心臓を含む連続したスライスの複数のアキシャル画像中からユーザに数枚を選択させ、それらを表示し、それらのアキシャル画像上で心臓の輪郭をユーザにトレースさせる。例えば、図19に示すように、ユーザがアキシャル画像S1,S3,S4,S6を選択すると、それらのアキシャル画像S1,S3,S4,S6を表示して、ユーザに輪郭Tをトレースさせる。ステップJ2では、上記ステップJ1でユーザがトレースした輪郭Tを参照し、残りのアキシャル画像の各々において、心臓の輪郭を抽出する。例えば、図19に示すアキシャル画像S1,S3,S4,S6上の輪郭を参照して、アキシャル画像S2,S5において輪郭を抽出する。」との記載があるが、この特許文献4は、ユーザの操作に基づくものである。
【0007】
特許文献5には、請求項1に「前記濃度分布から病変部を抽出する手段と、前記マルチスライスの濃度分布各々から体表面の輪郭を抽出し、」、及び段落0019に「マルチスライスの濃度分布から3次元の半透明画像を作成する方法としては現在様々な手法が開発されていて、その任意の手法を採用すればよく、その一般的な手法としては、マルチスライスの濃度分布各々からRI濃度勾配(微分)等のパラメータに従って被検体の体表面の輪郭を抽出し、これをメッシュ状につなぎ合わせてワイヤフレームを生成し、そしてこのメッシュ表面を半透明の状態で滑らかに陰影を付けるという手順である。」としたものがある。
【0008】
特許文献6には、段落0008に「…食用動物の子から親まで生体のままで継続して肉質を検査する…を目的とする。」、請求項5に「前記画像評価手段は前記再構成手段からの断面像より2値化および交雑脂肪の輪郭抽出を用いて」、及び段落0145に「(S16):論理フィルターをかけることで交雑脂肪の輪郭を抽出する。」としたものがある。
【0009】
特許文献7には、要約に「コンピュータトモグラフィ(computed tomography, CT)の画像スキャンにおいて肺小結節を自動的に検出するための斬新な方法、…であって:CTの画像スキャンから求められた複数の二次元のCT画像断面をセグメント化することによって二次元のセグメント化された肺画像を生成すること」、請求項2に 「前記セグメント化された肺画像を生成する前記ステップが、 前記CTの画像断面に濃度閾値を適用して、画像内の胸部輪郭を判断する」、請求項9に「二次元のラジアル グラディエント インデックスの解析を適用する前記ステップが、 複数の濃度のインクリメントに対して前記セグメント化された肺画像内の輪郭を得る」、及び段落0034〜0035に「図1(a)および1(b)において、本発明の方法はCTの画像データ(図示されていない)を最初に獲得することを含む。ステップ102では、各断面画像に濃度閾値を適用して、二値画像を生成する。輪郭検出アルゴリズムを使用して、二値画像内の最大の“オン”領域の外縁を識別し、この輪郭内にある全ての画素の組はセグメント化された胸部であると考えられる。ステップ104では、気管および主気管支が全ての断面においてセグメント化されて、セグメント化された肺部内に重複して含まれないようにされていると考えられる。濃度のヒストグラムは、セグメント化された胸部内の残りの画素から構成されて、第2の濃度閾値を識別し、これをセグメント化された胸部に適用して、二値画像を生成する。前接合部線(anterior junction line)があるときは、肺はそこで自動的にセグメント化される。輪郭検出アルゴリズムを使用して、二値画像内の最も大きい“オン”領域の外縁を識別し、(横隔膜として識別される画素を含む)これらの輪郭内にある全ての画素の組は、セグメント化された肺部として考えられる。」としたものがある。
【0010】
特許文献8には、互いに一部で接触する2つの物体を三次元的に構築する場合の接触部に対する評価に関するものが記載されている。
【特許文献1】特開2005−245830号公報
【特許文献2】特開2005−237555号公報
【特許文献3】特開2005−106507号公報
【特許文献4】特開平06−203158号公報
【特許文献5】特開2000−56022号公報
【特許文献6】特開平09−89808号公報
【特許文献7】特表2003−524489号公報
【特許文献8】特開2004−180869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1〜6には、高度な手法を採用したもの、微分方式によるものなど種々の輪郭抽出方法が記載され、また特許文献7には輪郭閾値を用いるものが記載されているが、対象物体の表面の画像濃度は、この物体と接する非対象物の画像濃度に左右される点が考慮されているものではない。また、特許文献8は、2つの物体の接触態様によって精度的に一定の限界が存する。
【0012】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、対象物の画像濃度を的確に検出すると共に、検出した対象物の画像濃度に対応させて対象物の輪郭抽出に供する閾値を適正に決定することのできる画像処理技術を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の発明は、記憶部にボクセル単位で記憶された、対象物を含む連続する断面の断面画像から前記対象物の三次元画像を作成するための画像処理装置において、一つの断面画像内の前記対象物に対する粗領域を抽出する粗領域抽出手段と、前記粗領域抽出手段で抽出された前記粗領域の最外周のボクセルの直ぐ内側のボクセルを各断面画像毎に抽出する内ボクセル抽出手段と、前記内ボクセル抽出手段で抽出された各ボクセルの濃度値から対象物の濃度値を算出する濃度算出手段と、算出された対象物濃度値から前記対象物の輪郭を抽出するための閾値を算出する閾値決定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明によれば、対象物を含むスライス方向に連続した複数枚の断面画像が撮影され、各断面画像が所定サイズのボクセル単位で記憶部に記憶される。そして、記憶部に記憶された複数枚の断面画像を利用して前記対象物の三次元画像が作成、すなわち構築される。構築された三次元画像は必要に応じて表示部に表示される。一つの断面画像において、その中の前記対象物に対する粗領域が粗領域抽出手段で抽出され、次いで、この粗領域抽出手段で抽出された前記粗領域の最外周のボクセルの直ぐ内側のボクセルが内ボクセル抽出手段によって各断面画像毎に抽出される。前記内ボクセル抽出手段で抽出された各ボクセルの濃度値から対象物の濃度値が濃度算出手段で算出され、算出された対象物濃度値から前記対象物の輪郭を抽出するための閾値が閾値決定手段によって求められる。得られた閾値は、元の各断面画像から三次元画像を構築する際の、該対象物の抽出に用いられる。これにより、各断面画像からの対象物の輪郭抽出が精度良く行われる。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像処理装置において、前記粗領域抽出手段が、処理対象の断面画像の前後の断面画像を含めた実質的な論理積から前記粗領域を抽出するものであることを特徴とする。この構成によれば、粗領域抽出手段によって、処理対象の断面画像の前後の、すなわち処理対象の断面画像に隣接する断面画像を含めた実質的な論理積から前記粗領域が抽出される。これにより、対象物の濃度の決定に供される濃度値の算出において、該対象物に隣接する3次元方向の組織による影響が抑制される。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像処理装置において、前記閾値決定手段が、前記対象物濃度値と前記閾値との関係を予めルックアップテーブルに作成しているものである。この構成によれば、閾値決定手段として対象物濃度値と前記閾値との関係が予めルックアップテーブルに作成されているので、対象物濃度値から閾値への変換が高速で行われる。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置において、前記対象物濃度値と前記閾値との関係が、一次関数であることを特徴とする。この構成によれば、対象物濃度値と前記閾値との関係として一次関数を採用したので、実測に基づく再現性と整合し、精度良い、輪郭抽出が可能となる。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理装置において、前記断面画像が人体の画像であり、前記対象物が人体の骨部であることを特徴とする。この構成によれば、人体の骨部の輪郭抽出が精度良く行われる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の画像処理装置において、前記閾値決定手段が、人体の骨部分の濃度値に近い複数の濃度値を有する棒状のサンプル材の各濃度画像に基づいて前記対象物濃度値と閾値との関係を得たものであることを特徴とする。この構成によれば、閾値決定手段によって、人体の骨部分の濃度値に近い複数の濃度値を有する棒状のサンプル材の各濃度画像に基づいて前記対象物濃度値と閾値との関係が予め取得され、この関係を利用して、実際の閾値決定に供される。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、各断面画像からの対象物の輪郭抽出を精度良く行うことができる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、対象物の濃度の決定に供される濃度値の算出において、該対象物に隣接する3次元方向の組織による影響を抑制できる。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、閾値決定手段として対象物濃度値と前記閾値との関係が予めルックアップテーブルに作成されているので、対象物濃度値から閾値への変換を高速で行うことができる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、対象物濃度値と前記閾値との関係として一次関数を採用したので、実測に基づく再現性と整合し、精度良い、輪郭抽出が可能となる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、人体の骨部の輪郭抽出を精度良く行うことができる。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、閾値決定手段によって、人体の骨部分の濃度値に近い複数の濃度値を有する棒状のサンプル材の各濃度画像に基づいて前記対象物濃度値と閾値との関係を予め取得しておくことで、この関係を利用して、実際の閾値決定を精度良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明に係る画像処理装置が適用されるCT画像を得るためのCT装置の全体斜視図である。CT装置1は、エックス線源から放射されたエックス線を特定の方向に所定時間だけ被検体2に照射し、体内を透過したエックス線を図略の放射線検出器により検出(スキャン)するもので、公知の装置である。
【0027】
図2は、制御装置の構成を示すブロック図である。CT装置1には、マイクロコンピュータ等を含んで構成される制御装置10が接続されている。制御装置10は、CT画像の撮影を行うための撮影プログラムを作動させて撮影動作を断面方向に対して行わせる制御部11、CT装置1に動作指示や処理内容に対する指示を与える、キーボードやマウス等からなる入力部12、確認用として指示内容を表示したり、複数の放射線検出器で検出されたエックス線の強度に基づいて被検体2の形態画像を表示する液晶表示器等の表示部13を備えている。また、制御部11には、撮影プログラムや本発明に係る画像処理プログラム及び係るプログラムの実行に必要な種々のデータを格納するROM101、処理途中のデータを一時的に記憶するRAM102が接続されている。RAM102は、CT装置1で検出される人体の複数枚の断層(断面)データ(2次元画像データ)が2次元のボクセル単位で記憶されるものである。
【0028】
制御部11は、RAM102内の各アドレスメモリにボクセル単位で記憶された、対象物を含む連続する断面の断面画像から対象物の三次元画像を作成するために必要な対象物を正確に抽出する画像処理機能、及び複数の断面画像から該対象物の三次元画像を作成する三次元モデル作成プログラム、例えばCG(コンピュータグラフィックス)機能を有するものである。制御部11は、粗領域抽出部111と、内ボクセル抽出部112と、濃度算出部113と、閾値算出部114と、三次元画像作成部115とを備えている。
【0029】
粗領域抽出部111は、被検体2が撮影された各断面画像内から対象物に対する粗領域を抽出するものである。本実施形態では、被検体2として人体を想定し、対象物として骨部を想定している。粗領域抽出部111は、表示部13に表示された断面画像に対して、作業者(施術者)による入力部12からの領域指定内容(CT値、すなわち画像濃度値)を受け付けて、断面画像に指示内容に応じた画像濃度値で囲まれる骨部の領域を取り出すものである。すなわち、粗領域抽出部111は、指定された画像濃度値との大小比較(2値化処理)を各ボクセル(に対応するメモリアドレス)に対して行うことで、指定画像濃度より大きな領域と小さい領域との区分けする、公知の領域区分け機能を採用したものである。また、粗領域抽出部111は、一つの断面画像に対して、上記のような領域区分け処理が終了すると、他の断面画像に対しても同様の処理を実行するものである。
【0030】
図3は、断面画像の一例を示すもので,(a)、(b)、(c)は、連続する3つの断面画像を示す図であり、(d)は(a)〜(c)の論理積を示す図である。なお、図のマス目で示される各ボクセルは、本実施形態では、0.4mm×0.4mmの寸法であり、図面の奥行き方向である断層スライス方向には1.25mmずつとなっている。また、グレイ領域Bは骨部を示し、その外側は例えば脂肪や臓器の部分と想定している。本実施形態では、連続する所定数、ここでは3つの断面画像を利用して、その中央の対象断面画像である(b)の画像(処理対象の断面画像)に対し、(d)に示すような新たな論理積画像を、粗領域として抽出するようにしている。なお、(a)〜(c)は各骨部B1,B2,B3の断面画像で、各実線は、該骨部の輪郭を表している。(d)は論理積の骨部B20である。
【0031】
CTスキャンにおいては、1断面毎にボクセルが構築され、複数断面の断面画像を用いて三次元的に積み重ね、骨の全体像として構築する。ところで、各断面での骨部の画像濃度は該骨部の周囲にある組織からの影響を受けてしまう。本発明では、実際には、1断面毎に断面のボクセルが構築され、それが三次元的に積み重なって骨として構築されるため、骨部の周囲にある組織による影響は、二次元的ではなく、三次元的に受けていることを考慮し、これによって、粗領域とはいえ、より精度の高い領域を処理領域として抽出している。従って、粗領域の抽出において用いる断面の数は、対象断面の前後の断面の3つの断面画像に限定されず、隣接する2つずつの計5つの断面画像でもよい。また、厳粛な論理積に限定されず、多数決による、いわゆる実質的な論理積処理を含めてもよい。
【0032】
内ボクセル抽出部112は、粗領域抽出部111で抽出された骨部領域の最外周のボクセルの直ぐ内側のボクセルを各断面画像毎に抽出するものである。すなわち、内ボクセル抽出部112は、最外周のボクセルを処理対象から除くと共に、RAM102のアドレスを管理することで、その直ぐ内側のボクセルを骨部の濃度値算出用として利用するべく、抽出するものである。
【0033】
図4は、内ボクセル抽出処理を説明するための図で、(a)は図3(d)に対応し、(b)は骨部B20の最外周のボクセル部201を示し、(c)は最外周の直ぐ内側のボクセル部B203を示す図である。具体的には、内ボクセル抽出部112は、2値化された骨部側の領域の内、他の領域と境界を接するボクセルを、図4(b)の最外周ボクセル部B201,B202のように、ボクセル(RAM102のアドレス)の前後左右方向、及び斜め方向で決定する。斜め方向を除去対象に含めることで精度向上が図れる。このようにすることで、図4(c)の、直ぐ内側のボクセル部B203のように、粗領域で抽出された粗領域の最外周のボクセルが除去され(対象から外され)、その直ぐ内側にあるボクセル(画像で濃い網掛け部)の抽出が実行される。
【0034】
濃度算出部113は、内ボクセル抽出部112で抽出された骨部と見なされる各ボクセル部B203の濃度値から骨部の濃度値を算出するものであり、具体的には、図4(c)の濃いボクセル部B203の各濃度値を合計すると共に、合計値をボクセル数で除算して平均値を算出する。また、濃度算出部113は、各ボクセルの濃度値に関してヒストグラムを作成するなどして、濃度値の分布、すなわち中央値(median)、あるいは最頻値(mode)を求め、これらの値と平均値とを比較し、平均値がこれらの値に比して所定値以上の、大きくずれていると判断した場合には、中央値(median)、あるいは最頻値(mode)を求める骨部濃度値として算定するようにして、精度を高めるようにしている。
【0035】
人体の組織、たとえば骨は、濃度値が一定ではなく、例えば表面の皮質骨の部分は高濃度値である一方、中心部の海綿骨部は低濃度値であり、また、骨全体の中央部は硬くなっていて高濃度値である一方、端部は軟らかいため低濃度値である。さらに、断面毎のボクセルの濃度値に関しては、骨の表面の濃度値が、その周囲の組織の濃度値による影響を受けており、濃度値が低めに抑えられている。そこで、濃度算出部113によって、周囲の組織の濃度値による影響を受けていないボクセルで最も表面に近いボクセルの濃度値を選択し、その平均値等を採用するようにしたので、骨の表面に近い部分での正確な濃度値を取得できる。
【0036】
閾値決定部114は、算出された骨部濃度値から該骨部の輪郭を抽出するための閾値を算出するものである。閾値決定部114は、前記骨部濃度値と閾値との関係を予め求めて、関係式の形で格納しておいてもよいし、望ましい高速処理を考慮して、骨部濃度値と閾値との関係を予めルックアップテーブルで作成しているものであってもよい。また、閾値決定部114は、骨部の濃度値に近い複数の濃度値を有する棒状のサンプル材(ファントム)の各濃度画像から得られた骨部濃度値と閾値との関係を予め求めておいたものを適用することが好ましい。
【0037】
三次元画像作成部115は、二次元である複数の断面画像から立体的な三次元画像を構築する機能を有するもので、例えば、断面に対して垂直な方向の各断面画像から対象物の各部位について、いずれかの断面画像を基準とした三次元位置情報(XYZ値)に変換すると共に、対象物の各部位の全てについての三次元座標情報を用いてレンダリング処理を施すものである。三次元グラフィックスのレンダリングとしては、公知のコンピュータグラフィックス技術が採用可能であり、視点の位置や、光源の数や位置、種類、物体の形状や頂点の座標等を考慮して陰面消去や陰影付けなどを行って画像を作成するものである。
【0038】
図5〜図7は、かかる骨部濃度値と閾値との関係を得る手順を説明するための図で、図5は、密度の異なるサンプル(ファントム)を接合した状態を示す外観図、図6は、CT装置で撮影された図5のサンプルの複数の断面画像から構築された三次元画像の図、図7は、骨部濃度値と閾値との関係を示す図表である。
【0039】
図5に示すファントムSは、好ましくは円柱形状、ここでは直径10mmで長さ50mmの円柱形状を有するものを、それぞれ2本ずつの3種類(S1,S2,S3)を作製した。3種類とは、市販のアクリル樹脂S1と、温度1300℃で焼成された高密度のアパタイトS3と、未焼成の低密度のアパタイトS2とである。
【0040】
それらを図5のように、同種のファントム同士を互いに平行でかつ接触させて配置すると共に、3種類を直列に並べて固定し、この状態でCT装置1により撮影を行った。得られた断面画像に対して、三次元構築ソフトウェア「RapidForm」(INUSテクノロジー社製)を用いて、図6に示す三次元画像を作成した。
【0041】
前記三次元構築ソフトウェアを利用して、先ず、作製した3種類のファントムの濃度値(アクリル樹脂S1の濃度値:Ad、低密度アパタイトS2の濃度値:Ld、高密度アパタイトS3の濃度値:Hd)を測定した。次に前記三次元構築ソフトウェア上で表示部13の画面を見ながら、アクリル樹脂の三次元構築を行った。三次元構築を行うに際しては、閾値の決定が必要であるが、アクリル樹脂の大きさは直径が10mmであると既に決定しており、かつ各々が互いに接しているため、三次元構築は、3種類のそれぞれにおいて、互いのファントムと接する状態となるように、順次閾値の指令値を変更しながら、最終的な閾値(At)を求めることによって決定した。すなわち、閾値を順次変更しながら、2個合わせたファントムの最大外径が20mmになるときの閾値を取得した。同様な操作手順を低密度アパタイトS2と高密度アパタイトS3についても実行して、閾値(Lt)、閾値(Ht)を取得した。なお、低密度アパタイトS2の構築を行う操作時においては、高精度での閾値の決定までには至らなかった。低密度アパタイトS2が、アパタイトを焼成したものではなく、プレスしただけのものであったために円柱内の密度が一定でなかったことが原因と考えられた。
【0042】
続いて、それぞれの濃度値と閾値とがどのような関係にあるのかを、図7のようにグラフを用いて調べた。グラフ上に低密度アパタイトS2の濃度値Ld及び閾値(Lt)を含めると、ほぼ直線状(一次関数)であることが判り、そこで直線式を求めて、今後の濃度値からの閾値の決定手段とした。図7からは、次の関係式が導かれる。ここで、閾値をX、CT値(濃度値)をYとすると、

Y=MX+N
M=(Hd−Ad)/(Ht−At)
N=(Ht・Ad―Hd・At)/(Ht−At)
但し、Ad=3130.5、At=2509、Hd=6094、Ht=4397、
M=2963.5/1888=1.56965、
N=(13764808−15289846)/1888=−807.75

すなわち、関係式の取得手順は、以下の通りである。まず、作製された3種類のファントムをCT装置1で撮影し、CT撮影によって得られた各断面画像ファイルを前記三次元構築ソフトウェアに認識させ、それぞれ3種類のファントムの濃度値を求め、さらに図6のように、ファントムが接するときの閾値および直線式を、図7から、数1のように求めた。
【0043】
以下、取得した関係式の適合性を検証する。図8〜図16は、図7の直線式の適合性を検証するための図である。検証には豚乾燥大腿骨を用いた。この豚乾燥大腿骨の中央部の前記三次元構築ソフトウェア上での濃度値の平均値Y=5130.5より、閾値X=3783.168となり、この値で、三次元構築を行った。
【0044】
図8は、CT撮影用としての、豚乾燥大腿骨と図6の円柱の各ファントムとを隣接して、例えば直線状に並べた状態の外観図である。
【0045】
先ず、豚乾燥大腿骨30の皮質骨(Cortical Bone)の濃度値(以下、CBdという)を求めた。豚乾燥大腿骨30の骨中央部31(Center)は、骨の密度が高くなっており、骨端部32(Edge)は、骨中央部31に比べて骨密度が低くなっているので、骨中央部31と骨端部32の閾値を別々に設定した。骨中央部31については、大腿骨の中央部付近の外側に近い部分を数箇所測定し、その平均値を濃度値(CBcd)とした。骨端部32については、骨の最外側が骨周辺の濃度値によって著しく影響を受けるため、最外側の濃度値は無視し、骨中央部31と同様、複数箇所測定し、その平均値を濃度値(CBed)とした。算出した直線式に濃度値を代入し、それぞれの閾値(骨中央部の閾値CBct、および骨端部の閾値CBet)を算出した。なお、算出した閾値(CBctおよびCBet)を元に豚大腿骨30を、前記三次元構築ソフトウェア上で三次元構築(以下、閾値がCBct の場合をRFC-model、閾値がCBet の場合をRFE-modelと略す。)し、図9、図10のように、その表面データを得た。
【0046】
図9は、RFC-modelの豚大腿骨三次元モデル301であり、図10は、RFE-modelの豚大腿骨三次元モデル302である。なお、閾値よりも濃度値が低いところは、欠損として表現されることとなるが、図9では、骨画像301の端部では、一部が欠損していることが認められる。
【0047】
次に、非接触三次元デジタイザー「OptoTOP」(Breuckmann 社製)を用いて、前記豚大腿骨30をスキャニングし、それらを繋ぎ合わせて三次元モデル(以下、Op-modelという)を構築した。図11は、Op-modelの豚大腿骨三次元モデル300Sである。前記非接触三次元デジタイザーは、得られた表面データに対し、6μm以下の誤差で表面データを点群で表現できる能力を有しているものである。
【0048】
続いて、Op-modelの豚大腿骨三次元モデル300S(図11)を、前記三次元構築ソフトウェア上で構築した豚大腿骨三次元モデル301(図9)と、また、同様に豚大腿骨三次元モデル302(図10)と比較した。すなわち、前記三次元構築ソフトウェアは、2つの近似したモデル300Sとモデル301とを、またモデル300Sとモデル302とを比較することが可能で、それぞれを最も表面の距離の差のない位置に配置させ、それぞれの距離を計測することができる(前記三次元構築ソフトウェアでは、“ベストフィット”と呼んでいる)機能を備えている。なお、ここで言う距離とは、一方のモデルの構築の際に作製される三角形のパッチともう一方のモデルの点群の点との距離のことである。この機能を用いて、距離の差(すなわち表面形状の差)を計測した。
【0049】
図12は、モデル301を図11のモデル300Sと比べて、距離の差を表現した画像301Aで、モデル300Sより外側に位置している部位は赤く表示(図中の網掛け部分)され、内側に位置している部位は、青く表示される(図中の、ほぼ網掛け以外の部分)状態を示している。図12では、豚乾燥骨30の中央部31は、0.1mm以下の誤差で構築されているのが認められた。
【0050】
図13は、モデル302を図11のモデル300Sと比べて、距離の差を表現した画像302Aで、モデル300Sより外側に位置している部位は赤く表示され(図中の網掛け部分)、内側に位置している部位は、青く表示される(図中の、ほぼ網掛け以外の部分であって、ほぼ骨端部32)状態を示している。図13では、豚乾燥骨30の骨端部32は、0.2mm以下の誤差で構築されている(骨端部32については、図12の場合に比して距離の差は小さい)のが認められた。
【0051】
すなわち、皮質骨中央部付近では、ほぼ0.1mmの誤差で構築されていたのが確認され(図12)、皮質骨端部では、ほぼ0.2mmの誤差で構築されているのが確認された(図13)。この結果から、豚乾燥大腿骨30を、骨中央部31と骨端部32とに分けて閾値を決定して構築を行い、それらを合体させて、三次元構築することにより、より精度の高い骨全体の三次元構築が可能になると思われ、今回提案した手法が大変有用であることが検証できた。本手法は骨に限定されず、血管などにも適用でき、誤差をより小さくできる関係式が構築可能である。さらに、部位に応じて異なる閾値を採用する態様の場合、一層誤差の少ない三次元画像が再現できる。
【0052】
図14は、骨の中央部31のみをピックアップした画像310Aで、その表面の骨の濃度値を求め、その値から、骨の形態を構築し、前記非接触三次元デジタイザー「OptoTOP」を用いて、前記豚大腿骨30の中央部31をスキャニングして構築した三次元モデルとの大きさを比較した結果の(すなわち、前記したような図12、図13の場合と同様に算出した距離の差を表現した)図である。
【0053】
図15は、骨の両端部32,32のみを左右それぞれについてピックアップした画像320A,320Aで、その表面の骨の濃度値を求め、その値から、骨の形態を構築し、前記非接触三次元デジタイザー「OptoTOP」を用いて、前記豚大腿骨30の中央部31をスキャニングして構築した三次元モデルとの大きさを比較した結果の、前記同様に算出された距離の差を表現した図である。図14、図15において、網掛け部分、及びそれ以外の部分は、図12、図13と同様の距離の差の大小を示すものである。
【0054】
図16は、図14の各ポイント同士の距離を分布(ヒストグラム)で表したもので、―0.1mmをピークにして、+0.1mmから、―0.2mmの間にほとんどが分布しているのが認められる。
【0055】
図17は、図15の各ポイント同士の距離を分布(ヒストグラム)で表したもので、図16に比べて、分布が広がっているのがわかる。これは、図16では、骨の中央部31で、皮質骨の硬い部分が表面を占めており、皮質骨の濃度値が、全体の表面で大きな差がないことを示しており、一方、図17では、骨の端部32の構築であり、骨の端部32に寄るにつれて、濃度値が小さくなっていく度合いが大きいために誤差として表示され、分布が広がってしまうと考えられる。従って、各断面毎に濃度値を計測することによって、さらに正確な形態で三次元構築が可能であることが判った。
【0056】
このように、本実験は、今回提案の閾値決定方法の効果確認試験である。閾値を決定する際には、密度の違う2つの試料(ファントム)を作製して、それらを互いに接触させて撮影した画像から閾値を求めることによって、かつ求めた濃度値とを用いて、傾きを含む関係式を求めることで、構築する対象とする物体(骨など)を、高い精度で閾値との関係(関係式)を構築することができる。
【0057】
そして、試料の円柱の最大径を計測する方法で試験を行った結果、骨の骨中央部31は、比較的、濃度値が一定であるため、誤差は少なかったが、骨端部32は、骨中央部31ほど濃度値が一定でないため、相対的に大きな誤差として現れた。しかし、その誤差も僅かであった。その結果、CT撮影し、得られた各断面画像ファイルから三次元構築されたモデルは、精度良く構築されているのが確認され、本閾値決定方法が極めて有用であることが検証された。このことは、今後の医療画像の分野において骨のモデリングのみならず、比較的濃度値が一定である血管などのモデリングへの応用が可能と思われ、好適な効果をもたらすことが十分に期待できる。
【0058】
なお、本発明は、以下の変形態様が採用可能である。
(1)本実施形態では、粗領域抽出部111での粗領域の抽出において、入力部12から指定濃度値を入力する態様としたが、これに限定されず、断面画像内の粗領域抽出予定部位を指定することで、周囲の部位の濃度差や濃度変化率などを利用して自動的に粗領域を抽出する態様としてもよい。
【0059】
(2)対象濃度値と閾値との関係を一次式としたが、対象となる部位の濃度特性を予めサンプル材を用いる等してより高精度で関係式を求めるようにしてもよい。この場合、必ずしも一次式に限定されるものではない。
【0060】
(3)スライス方向に連続する複数枚の断層画像を取得する撮影装置であれば、CT装置に限定されることなく、種々の断面撮影装置に適用可能である。
【0061】
(4)サンプル材(ファントム)としては、密度の異なる3種類の円柱状のものに限定されず、種々の形状が採用可能である。例えば表面が滑らかなもの、好ましくは表面を関数で表すことのできるものがよい。また、密度が均一で、かつ少なくとも2種類の密度の違うものがあればよい。
【0062】
(5)また、本実施形態では、閾値から輪郭の決定において、三次元構築処理に際して行われるスムージング処理を考慮に入れている。このスムージング処理はCGにおいて、画像表面に凸凹などの段差がある場合に、その間を補完して乃至は積分してなだらかに補正する公知の技術である。スムージング処理に当たって、一旦算出した閾値を適宜修正して輪郭を少しずつ変更することで、より現物に近似させることが可能となることから、前記三次元構築ソフトウェアに内蔵されるスムージング処理のソフトウエアの特性から、一旦算出した閾値を所定の大又は小方向に所定値だけ変更する閾値変更処理部を採用している。なお、対象によっては、スムージング処理を省略することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係るCT画像処理装置が適用されるCT画像を得るためのCT診断装置の全体斜視図である。
【図2】制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】断面画像の一例を示すもので,(a)、(b)、(c)は、連続する3つの断面画像を示す図であり、(d)は(a)〜(c)の論理積を示す図である。
【図4】内ボクセル抽出処理を説明するための図で、(a)は図3(d)に対応し、(b)は最外周のボクセルを示し、(c)は最外周の直ぐ内側のボクセルを示す図である。
【図5】骨部濃度値と閾値との関係を得る手順を説明するための図で、密度の異なるサンプル(ファントム)を接合した状態を示す外観図である。
【図6】骨部濃度値と閾値との関係を得る手順を説明するための図で、CT装置で撮影された図5のサンプルの複数の断面画像から構築された三次元画像の図である。
【図7】骨部濃度値と閾値との関係を得る手順を説明するための図で、骨部濃度値と閾値との関係を示す図表である。
【図8】CT撮影用としての、豚乾燥大腿骨と図6の円柱の各ファントムを直線状に並べた状態の外観図である。
【図9】RFC-modelの豚大腿骨三次元モデル301を示す画像図である。
【図10】RFE-modelの豚大腿骨三次元モデル302を示す画像図である。
【図11】Op-modelの豚大腿骨三次元モデル300Sを示す画像図である。
【図12】モデル301を図11のモデル300Sと比べて、距離の差を表現した画像図である。
【図13】モデル302を図11のモデル300Sと比べて、距離の差を表現した画像図である。
【図14】骨の中央部31のみをピックアップした画像310Aで、距離の差を表現した画像図である。
【図15】図15は、骨の両端部32,32のみを左右それぞれについてピックアップした画像320A,320Aで、距離の差を表現した画像図である。
【図16】図14の各ポイント同士の距離を分布で表した図表である。
【図17】図15の各ポイント同士の距離を分布で表した図表である。
【符号の説明】
【0064】
1 CT装置
10 制御装置
11 制御部
12 入力部
13 表示部
101 ROM
102 RAM
111 粗領域抽出部
112 内ボクセル抽出部
113 濃度算出部
114 閾値決定部
115 三次元画像作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部にボクセル単位で記憶された、対象物を含む連続する断面の断面画像から前記対象物の三次元画像を作成するための画像処理装置において、
一つの断面画像内の前記対象物に対する粗領域を抽出する粗領域抽出手段と、
前記粗領域抽出手段で抽出された前記粗領域の最外周のボクセルの直ぐ内側のボクセルを各断面画像毎に抽出する内ボクセル抽出手段と、
前記内ボクセル抽出手段で抽出された各ボクセルの濃度値から対象物の濃度値を算出する濃度算出手段と、
算出された対象物濃度値から前記対象物の輪郭を抽出するための閾値を算出する閾値決定手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記粗領域抽出手段は、処理対象の断面画像の前後の断面画像を含めた実質的な論理積から前記粗領域を抽出するものである請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記閾値決定手段は、前記対象物濃度値と前記閾値との関係を予めルックアップテーブルに作成しているものである請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記対象物濃度値と前記閾値との関係は、一次関数であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記断面画像は人体の画像であり、前記対象物は人体の骨部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記閾値決定手段は、人体の骨部分の濃度値に近い複数の濃度値を有する棒状のサンプル材の各濃度画像に基づいて前記対象物濃度値と閾値との関係を得たものであることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−284291(P2008−284291A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134450(P2007−134450)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【出願人】(594050784)第一セラモ株式会社 (2)
【出願人】(502360363)株式会社ホソカワ粉体技術研究所 (59)
【Fターム(参考)】