説明

画像処理装置

【課題】本発明の目的は、曲線縞模様画像から曲線縞模様ノイズが適切に除去され、同時に注目する指紋又は掌紋の隆線が強調される画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することである。
【解決手段】画像処理装置は、指紋又は掌紋を含む濃淡画像の画像データと、前記指紋又は掌紋の隆線模様の方向分布を示す隆線模様方向分布データとを格納するデータ記憶部と、前記隆線模様方向分布データに基づく隆線方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行する方向利用画像強調部と、前記隆線方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行した結果の隆線方向利用画像強調処理後画像から前記隆線方向利用画像強調処理後画像に含まれる第1パターンの第1方向分布を抽出する方向抽出部とを具備する。前記方向利用画像強調部は、前記第1方向分布を示す第1方向分布データに基づく第1方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関し、特に、指紋画像や掌紋画像のような曲線縞模様画像を処理する画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
曲線縞模様状の複数の隆線によって構成される指紋は、終生不変及び万人不同という特徴を持っているため、古くから犯罪捜査に利用されている。特に、犯罪現場に残された遺留指紋を用いた照合は、効果的な捜査手段である。近年、多くの警察機関では、コンピュータを利用した指紋照合システムが導入されている。
【0003】
しかし、遺留指紋の画像は低品質でノイズを含むものが多いため、鑑定官による鑑定や鑑定の自動化が困難であった。遺留指紋の画像には、二つの指紋の隆線が重なった重複指紋(overlapped figerprints)の画像や、曲線縞模様を成すかすれ(blur)を含む画像がある。重複指紋の一方を処理対象とすると、他方は曲線縞模様状の背景ノイズと見做すことができる。以下、曲線縞模様状の背景ノイズを曲線縞模様ノイズという。曲線縞模様を成すかすれも、曲線縞模様ノイズに該当する。
【0004】
曲線縞模様ノイズは、曲線縞模様である点が処理対象としての指紋(注目指紋)と共通する。したがって、重複指紋から注目指紋のみを抽出することや、注目指紋が劣化しないように曲線縞模様を成すかすれを除去することは困難であった。
【0005】
本発明に関連する画像処理方法を以下に説明する。
【0006】
非特許文献1は、フーリエ変換を応用して背景ノイズを除去する技術を開示している。この技術は、周期的なノイズが一つの方向に直線的に現れている場合には効果的であるが、曲線縞模様ノイズに対しては限定的な効果しか持たないと考えられる。例えば、注目指紋の隆線の方向と曲線縞模様ノイズの方向とが近い領域においては、曲線縞模様ノイズのみならず注目指紋の隆線も消失してしまうおそれがある。また、ノイズがない領域における注目指紋の隆線まで劣化してしまうおそれがある。
【0007】
特許文献1は、縞紋様の方向分布を求める方法を開示している。この方法において、オペレータは縞紋様の画像中の領域と方向指示線とを指定する。方向指示線に基づいて、領域内における縞紋様の方向分布が求められる。
【0008】
また、指紋隆線の方向及び周期性を抽出し、方向及び周期性に合致したフィルタ処理を行って指紋隆線を強調する様々な方法が提案されている。例えば、非特許文献2及び特許文献2は、このような方法を開示している。しかし、このような方法は、曲線縞模様ノイズの影響で注目指紋の隆線の方向及び周期性を正しく抽出できない場合には有効ではないと考えられる。
【0009】
一方、局所的コントラストストレッチ法(Adaptive Contrast Stretch)や局所的ヒストグラム均等化法(Adaptive Histogram Equalization)のような局所的な画像強調方法が局所的な背景ノイズを除去するために有効であることが知られている。局所的な画像強調方法においては、画像強調のための参照領域を適切に設定することが重要である。
【0010】
特許文献3は、注目指紋隆線及び曲線縞模様ノイズを含む曲線縞模様画像に対して曲線縞模様ノイズの方向に基づく局所的画像強調を実行することで、曲線縞模様ノイズの成分を除去し、注目指紋隆線を強調する技術を開示している。その局所的画像強調において、曲線縞模様画像中の画素を含む局所領域としての参照領域をその画素の位置における曲線縞模様ノイズの方向に沿うように設定し、その参照領域の濃度ヒストグラムに基づいてその画素の局所的画像強調後の濃度値を計算する。
【0011】
特許文献3の技術によれば、曲線縞模様ノイズが1種類の場合(例えば、曲線縞模様画像が注目指紋に加えて注目指紋に重なった指紋を一つだけ含む場合)には、注目指紋の隆線を強調できるが、曲線縞模様ノイズが2種類以上の場合(例えば、曲線縞模様画像が注目指紋に加えて注目指紋に重なった指紋を二つ以上含む場合)には、注目指紋の隆線のみを強調することはできない。更に、曲線縞模様ノイズの方向が注目指紋の隆線方向に一致する領域においては、曲線縞模様ノイズの方向に基づく局所的画像強調により注目指紋の隆線が除去されてしまう。
【0012】
特許文献4は、縞紋様方向決定装置を開示している。縞紋様方向決定装置は、縞模様濃淡画像において縞と同一の方向に沿う濃淡変化が小さく、縞と直交する方向に沿う濃淡変化が大きいことを利用して、縞模様濃淡画像中の画素における縞の方向を求める。
【0013】
特許文献5は、画像処理装置を開示している。この画像処理装置は、入力された指紋画像を複数の小領域に分割し、小領域毎に二次元フーリエ変換を実施し、二次元フーリエ変換の結果に基づいて小領域における指紋隆線の方向を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平7−121723号公報
【特許文献2】特開2002−99912号公報
【特許文献3】特開2009−223562号公報
【特許文献4】特開昭52−97298号公報
【特許文献5】特開平9−167230号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】M. Cannon, A. Lehar, AND F. Preston, “Background Pattern Removal by Power Spectral Filtering” Applied Optics, March 15, 1983
【非特許文献2】Lin Hong, Yifei Wan, Anil Jain, “Fingerprint Image Enhancement: Algorithm and Performance Evaluation” IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, 1998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、曲線縞模様画像から曲線縞模様ノイズが適切に除去され、同時に注目する指紋又は掌紋の隆線が強調される画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の観点による画像処理装置は、指紋又は掌紋を含む濃淡画像の画像データと、前記指紋又は掌紋の隆線模様の方向分布を示す隆線模様方向分布データとを格納するデータ記憶部と、前記隆線模様方向分布データに基づく隆線方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行する方向利用画像強調部と、前記隆線方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行した結果の隆線方向利用画像強調処理後画像から前記隆線方向利用画像強調処理後画像に含まれる第1パターンの第1方向分布を抽出する方向抽出部とを具備する。前記方向利用画像強調部は、前記第1方向分布を示す第1方向分布データに基づく第1方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行する。
【0018】
本発明の第2の観点による画像処理方法は、指紋又は掌紋を含む濃淡画像の画像データと、前記指紋又は掌紋の隆線模様の方向分布を示す隆線模様方向分布データとに基づいて、前記隆線模様方向分布データに基づく隆線方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行するステップと、前記隆線方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行した結果の隆線方向利用画像強調処理後画像から前記隆線方向利用画像強調処理後画像に含まれる第1パターンの第1方向分布を抽出するステップと、前記第1方向分布を示す第1方向分布データに基づく第1方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行するステップとを具備する。
【0019】
本発明の第3の観点によるプログラムは、上記画像処理方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、曲線縞模様画像から曲線縞模様ノイズが適切に除去され、同時に注目する指紋又は掌紋の隆線が強調される画像処理装置、画像処理方法及びプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置のハードウエア構成を示す。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る画像処理装置の機能ブロック図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る画像処理方法のフローチャートである。
【図4】図4は、重複指紋画像である。
【図5A】図5Aは、図4の重複指紋画像の元になった指紋画像である。
【図5B】図5Bは、図4の重複指紋画像の元になった指紋画像である。
【図5C】図5Cは、図4の重複指紋画像の元になった指紋画像である。
【図6】図6は、図4の重複指紋画像に含まれる注目指紋隆線に対して設定された代表線を示す。
【図7】図7は、方向のコード化例を示す。
【図8A】図8Aは、線分を用いて表された注目指紋隆線の方向分布の推定結果を代表線に重ねて示す。
【図8B】図8Bは、注目指紋隆線の方向分布の推定結果を図4の画像に重ねて示す。
【図9】図9は、図4の画像に対して注目指紋隆線除去の目的で画像強調処理を行った結果の画像を示す。
【図10】図10は、図9の画像から抽出された方向分布を図9の画像に重ねて示す。
【図11】図11は、図9の画像に対して曲線縞模様ノイズ除去の目的で画像強調処理を行った結果の画像を示す。
【図12】図12は、図11の画像から抽出された方向分布を図11の画像に重ねて示す。
【図13】図13は、図11の画像に対して曲線縞模様ノイズ除去の目的で画像強調処理を行った結果の画像を示す。
【図14】図14は、文字ノイズを含む重複指紋画像を示す。
【図15】図15は、図14の重複指紋画像に含まれる注目指紋隆線に対して設定された代表線を示す。
【図16】図16は、第1の実施形態に係る画像処理方法を図14の画像に適用して抽出されたノイズ方向分布を示す。
【図17】図17は、第1の実施形態に係る画像処理方法を図14の画像に適用した結果の画像を示す。
【図18】図18は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理方法におけるノイズ方向抽出を説明する説明図である。
【図19】図19は、第2の実施形態に係る画像処理方法を図14の画像に適用して抽出されたノイズ方向分布を示す。
【図20】図20は、第2の実施形態に係る画像処理方法を図14の画像に適用した結果の画像を示す。
【図21】図21は、第3の実施形態に係る画像処理装置の機能ブロック図である。
【図22】図22は、第3の実施形態に係る画像処理方法のフローチャートである。
【図23】図23は、皺を含む指紋画像である。
【図24】図24は、第3の実施形態に係る画像処理方法により抽出された図23の指紋画像に含まれる注目指紋隆線の方向分布を図23の画像に重ねて示す。
【図25】図25は、第3の実施形態に係る画像処理方法を図23の画像に適用した結果の画像を示す。
【図26】図26は、従来の画像処理方法を図23の画像に適用した結果の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを以下に説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置10のハードウエア構成を示す。画像処理装置10は、パーソナルコンピュータのようなデータ処理装置1と、入力装置としての画像入力装置5及びデータ入力装置8と、出力装置としての表示装置6及びプリンタ7とを備える。画像入力装置5は、例えば、指紋センサ、スキャナー、及び記録媒体読取装置である。データ入力装置8は、例えば、マウスやタブレットのようなポインティングデバイス、又はキーボードである。データ処理装置1は、バス4と、バス4に接続されたCPU(Central Processing Unit)2と、バス4に接続された記憶装置3を備える。記憶装置3は、RAM(Random Access Memory)又は磁気ディスク装置である。画像入力装置5、表示装置6、プリンタ7、データ入力装置8及び照合装置14の各々は、図示されないインターフェースを介してバス4に接続される。照合装置14は、外部装置である。データ処理装置1は、記録媒体15に記録されているコンピュータプログラムを読み込んで、記憶装置3に格納する。
【0024】
図2は、画像処理装置10の機能ブロック図である。画像入力部11、画像処理部12、画像出力部13、データ表示部24、及びデータ入力部25の各々は、CPU2がコンピュータプログラムを実行して画像処理装置10のハードウエアを制御することにより実現される。画像処理部12は、データ処理制御部21、データ記憶部22、代表線データ生成部23、方向推定部26、方向利用画像強調部27、ノイズ方向抽出部28、及びノイズ方向補正部29を備える。画像入力部11は画像入力装置5に対応し、画像処理部12はデータ処理装置1に対応する。データ処理制御部21、代表線データ生成部23、方向推定部26、方向利用画像強調部27、ノイズ方向抽出部28、及びノイズ方向補正部29は、CPU2に対応する。データ記憶部22は記憶装置3に対応し、データ表示部24は表示装置6に対応し、データ入力部25はデータ入力装置8に対応する。画像出力部13は、表示装置6又はプリンタ7に対応する。
【0025】
データ処理制御部21は、データ記憶部22、代表線データ生成部23、方向推定部26、方向利用画像強調部27、ノイズ方向抽出部28、及びノイズ方向補正部29間で行われるデータ及びメッセージの授受を制御する。データ記憶部22は、データ処理制御部21、代表線データ生成部23、方向推定部26、方向利用画像強調部27、ノイズ方向抽出部28、及びノイズ方向補正部29に作業領域を提供し、これらが生成するデータを格納する。
【0026】
図3を参照して、本実施形態に係る画像処理方法を説明する。画像処理方法は、ステップS1乃至ステップS9を備える。
【0027】
ステップS1において、画像入力部11は、濃淡画像としての指紋画像の指紋画像データを画像処理部12に入力する。指紋画像は曲線縞模様画像であり、指紋画像データはデジタルデータである。画像入力部11は、例えば、指先の指紋を読み取って指紋画像データを生成し、紙などをスキャンして指紋画像データを生成し、又は、磁気ディスクや光ディスクのような記録媒体に記録された指紋画像データを読み取る。データ記憶部22は、指紋画像データを格納する。
【0028】
図4は、指紋画像の例を示す。図4の指紋画像は、3つの指紋の隆線が重なっている重複指紋画像であり、注目指紋と、注目指紋に重なった他の指紋(以下、ノイズ指紋という)としての曲線縞模様ノイズを1個、あるいは2個以上含む。このような指紋画像は、米国National Institute of Standards and Technologyで標準化されたANSI/NIST−ITL−1−2000 Data Format for the Interchange of Fingerprint, Facial, & Tattoo (SMT) Informationに従って、500dpiの解像度でディジタル化されている。なお、この標準化ドキュメントは、2008年1月現在、以下のURL(Uniform Resource Locator)からダウンロード可能である。
ftp://sequoyah.nist.gov/pub/nist_internal_reports/sp500‐245‐a16.pdf
【0029】
上記標準にしたがって、指紋画像を構成する画素は、0から255までの256階調の濃度値のいずれかを持つ。上記標準による輝度基準では、濃度値が大きいほど輝度が大きい(明るい)ことを示す。
【0030】
しかし、以下の説明においては、濃度値が大きいほど濃度が大きい(濃い)ことを示す。従って、濃度が大きい(濃い)隆線部を構成する画素の濃度値は最大値である255に近く、濃度が小さい(薄い)紙地や隆線溝部を構成する画素の濃度値は最小値である0に近い。ここで、隆線溝は、隣り合う二つの隆線に挟まれた帯状の部分である。
【0031】
ここで、図4の重複指紋画像は、図5A〜5Cにそれぞれ示す指紋隆線画像を重ねることで人為的に合成された模擬遺留指紋画像である。図4の重複指紋画像中の画素の濃度値は、その画素に位置が対応する図5A〜5Cの指紋隆線画像の画素の平均濃度値である。以下の説明において、図5Aの指紋を注目指紋、図5Bの指紋を第1曲線縞模様ノイズ、図5Cの指紋を第2曲線縞模様ノイズと称する場合がある。
【0032】
以下、図4に示された指紋画像に画像処理方法を適用する場合について説明する。
【0033】
次に、ステップS2において、代表線データ生成部23は、データ表示部24にデータ記憶部22に格納された指紋画像データに基づいて図4の指紋画像を表示させる。オペレータは、表示された指紋画像を見て、図6に示されるように、注目指紋の隆線の流れを表す代表線30を入力する。オペレータは、データ入力部25を操作して、代表線30を描画する。
【0034】
代表線30は、注目指紋の隆線の大まかな流れを代表するものであり、隆線を正確にトレースしていなくてもよい。オペレータがデータ入力部25を操作して指定した複数の点を直線で接続することで代表線30が描画されてもよいが、複数の点に基づくスプライン近似等の曲線近似により代表線30が描画されることが望ましい。曲線近似により代表線30を描画することで、後述する方向推定の精度が向上する。図6において代表線は9本であるが、代表線の本数は9本に限定されない。
【0035】
代表線データ生成部23は、オペレータによるデータ入力部25の操作としての入力操作に基づいて、代表線30を示す代表線データを生成する。
【0036】
次に、ステップS3において、方向推定部26は、注目指紋隆線の方向分布を推定する。方向推定部26は、代表線データに基づいて、図4の重複指紋画像内の各画素の位置における注目指紋隆線の方向を計算し、計算結果に基づいて、注目指紋隆線の方向分布を示す隆線模様方向分布データを生成する。データ記憶部22は、隆線模様方向分布データを格納する。
【0037】
ここで、方向について説明する。方向は、数学的には、向きを持った傾きと定義される。指紋隆線の流れには傾きはあるが向きがないので、「曲線縞模様ノイズの方向」という表現は、数学的定義に従えば適切ではない。しかし、指紋隆線の傾きを隆線方向あるいは単に方向と表現する例が多いので、ここでは方向という用語を使用する。方向のコード化に関しては、π/8ラジアンごとに8方向にコード化する例や、π/16ラジアンごとに16方向にコード化する例が多い。8方向にコード化する場合よりも16方向にコード化する場合の方が、処理時間がかかるが精度が向上する。ここでは、図7に示すように0〜15の16方向にコード化されている場合について説明する。
【0038】
また、画素ごとに方向を定義してもよく、4×4画素や8×8画素により構成されるブロックごとに方向を定義してもよい。ブロックサイズが小さい方が、処理時間はかかるが精度が向上する。ここでは、画素ごとに方向が定義される場合について説明するが、方向分布を図示するときは、見やすいように、水平方向及び垂直方向とも8画素ごとにサンプリングして方向を示す。
【0039】
特開平7−121723号公報に開示された方法を注目指紋隆線の方向分布の推定に利用することが可能である。代表線30上の画素については、その画素の位置における代表線30の接線の方向をその位置における注目指紋隆線の方向として推定する。代表線30上にない画素については、その画素から8方向に放射状に探索して最初に検出される既に方向が推定されている画素の方向を用いて推定する。最初に検出される既に方向が推定されている画素の数は、1から8のいずれかである。
【0040】
図8Aは、注目指紋隆線の方向分布の推定結果を代表線30と重ねて示す。図8Bは、注目指紋隆線の方向分布の推定結果を入力画像としての指紋画像(図4)と重ねて示す。図8A及び図8Bでは、方向が線分で表されている。図8A及び図8Bより、注目指紋隆線の方向分布が正しく推定されていることがわかる。
【0041】
次に、ステップS4において、方向利用画像強調部27は、図4の重複指紋画像から注目指紋隆線の成分を除去する目的で、図4の重複指紋画像に対して濃度を強調する画像強調処理を実行し、画像処理後データを生成する。方向利用画像強調部27は、画像強調処理において、隆線模様方向分布データに基づいて、図4の重複指紋画像の各画素について、その画素を含む局所領域としての参照領域を決定する。隆線模様方向分布データは、図4の重複指紋画像の各画素の位置と、その位置における注目指紋隆線の方向とを関連付けている。方向利用画像強調部27は、図4の重複指紋画像の各画素について、その画素の位置における注目指紋隆線の方向に基づいて参照領域を決定する。参照領域は、注目指紋隆線に含まれる曲線(隆線又は隆線溝)に沿う帯状領域となるように決定される。方向利用画像強調部27は、参照領域の濃度ヒストグラムに基づいてその画素の画像強調処理後の濃度値を計算する。画像強調処理は、例えば、局所的ヒストグラム均等化法及び局所的コントラストストレッチ法の一方に基づく。
【0042】
ステップS4の画像強調処理により、注目指紋隆線が適切に除去され、同時に第1曲線縞模様ノイズ及び第2曲線縞模様ノイズが強調される。以下、その理由を説明する。
【0043】
図4を参照して、3つの指紋が重なっている重複指紋領域において注目指紋の隆線に沿う濃度変化を調べると、曲線縞模様ノイズと重なった部分の濃度は、曲線縞模様ノイズと重なっていない部分の濃度より大きい。注目指紋の隆線に沿って濃度変化を強調すれば、注目指紋の隆線のうち曲線縞模様ノイズと重なった部分が強調される。
【0044】
図4を参照して、重複指紋領域において注目指紋の隆線溝に沿う濃度変化を調べると、曲線縞模様ノイズと重なった部分の濃度は、曲線縞模様ノイズと重なっていない部分の濃度より大きい。注目指紋の隆線溝に沿って濃度変化を強調すれば、注目指紋の隆線溝のうち曲線縞模様ノイズと重なった部分が強調される。
【0045】
したがって、注目指紋隆線の曲線に沿うように決定された参照領域を用いる画像強調処理により、注目指紋隆線が消失し、曲線縞模様ノイズが強調される。
【0046】
参照領域の決定は、例えば、以下のように行われる。方向利用画像強調部27は、図4の重複指紋画像内の各画素から、その画素の位置における注目指紋隆線の方向に沿う第1の側とその逆の第2の側に12画素ずつ進んだときに通る画素群(合計24画素)を抽出する。参照領域は、この画素群により構成される。
【0047】
この画素数(ここでは合計24)を選択した理由を説明する。図4の重複指紋画像のような入力画像に指紋隆線のダイナミックレンジが狭い領域があっても、画像強調処理により、全領域で一様な濃淡変化を持つ画像に変換される。このような画像強調処理では、参照領域のサイズ設定が重要である。指紋隆線を強調する場合は、その参照領域のサイズは、隆線の濃淡変動を包含する最小のサイズであることが好ましい。指紋の平均隆線間隔は約10画素(実距離は0.5ミリメートル)であるので、参照領域として平均隆線間隔の2倍強の長さとなる24画素を設定することは適切である。
【0048】
また、ステップS4における参照領域の幅が1画素分の幅であることが好ましい。この幅が大きいと、注目指紋の隆線及び隆線溝の両方が参照領域に含まれるため、注目指紋隆線を適切に除去することが難しくなるが、参照領域の幅が2画素分の幅より大きい場合であっても本発明の目的を達成することが可能である。
【0049】
図9は、ステップS4において注目指紋隆線除去の目的で画像強調処理を行った結果の画像を示す。図9と図4を比較すると、画像強調処理により、注目指紋の隆線がほぼ消失し、曲線縞模様ノイズの隆線が強調されていることがわかる。
【0050】
次に、ステップS5において、ノイズ方向抽出部28は、図9に示す画像強調処理後画像の方向分布を抽出する。画像強調処理後画像は、曲線縞模様ノイズを第1パターンとして含む。ノイズ方向抽出部28は、画像強調処理後画像の各画素の位置における隆線の方向を計算し、計算結果に基づいて、隆線の方向分布(第1パターンの方向分布)を示す第1方向分布データを生成する。データ記憶部22は、第1方向分布データを格納する。第1方向分布データは、図9の画像強調処理後画像の各画素の位置と、その位置における曲線縞模様ノイズの隆線の方向(第1パターンの方向)とを関連付けている。ノイズ方向抽出部28は、例えば、特開昭52−97298号公報に記載の方法を用いて画像強調処理後画像から隆線の方向分布を抽出する。
【0051】
図10は、図9の画像強調処理後画像から抽出された方向分布を図9の画像強調処理後画像に重ねて示したものである。図10より、画像強調処理後画像に含まれる曲線縞模様ノイズの方向分布が正しく抽出されていることがわかる。
【0052】
次に、ステップS6において、ノイズ方向補正部29は、隆線模様方向分布データに基づいて第1方向分布データを補正して補正後第1方向分布データを生成する。データ記憶部22は、補正後第1方向分布データを格納する。
【0053】
ここで、隆線模様方向分布データは、図4の画像内の位置とその位置における注目指紋隆線の方向としての隆線方向とを関連付けている。第1方向分布データは、図9の画像内の第1位置と第1位置における曲線縞模様ノイズ(第1パターン)の方向としての第1方向とを関連付けている。図4の画像内の位置及び第1位置は互いに対応する。ノイズ方向補正部29は、隆線方向及び第1方向の差が所定の範囲以内の場合、隆線方向に直交する直交方向で第1方向を置き換えて補正後第1方向分布データを生成する。
【0054】
本実施形態では、この閾値を例えばπ/16ラジアン(11.25度)に設定する。つまり、方向差がπ/16ラジアン以下の場合は、曲線縞模様ノイズの方向を注目指紋隆線方向に直交する方向に置き換える。例えば、ある画素における曲線縞模様ノイズの方向が方向コード7(7π/16ラジアン)で、その画素に位置が対応する画素における注目指紋隆線の方向が方向コード6(3π/8ラジアン)のときは、方向差がπ/16ラジアンと閾値π/16ラジアン以下となるので、曲線縞模様ノイズの方向を、方向コード7から方向コード14(7π/8ラジアン)に置き換える。
【0055】
ここで、この補正の意味を説明する。曲線縞模様ノイズの第1方向分布データを用いて、図4に示す画像に方向利用画像強調を実施すれば、曲線縞模様ノイズの影響を除去し、同時に注目指紋隆線を強調できることは、特開2009−223562号公報に開示されている通りである。しかし、ステップS5で自動抽出した曲線縞模様ノイズの方向が注目指紋隆線の方向に近い場合には、方向利用画像強調により図4に示す画像から注目指紋隆線の成分が除去されてしまう。そこで、ノイズ方向補正部29は、ステップS5で自動抽出した曲線縞模様ノイズの方向が注目指紋隆線の方向に近い場合、自動抽出された曲線縞模様ノイズの方向を注目指紋隆線方向に直交する方向で置き換えることで、注目指紋隆線の成分が除去されてしまう危険を低減させる。
【0056】
次に、ステップS7において、方向利用画像強調部27は、図4の画像から曲線縞模様ノイズの成分を除去する目的で、濃度を強調する画像強調処理を、曲線縞模様ノイズの方向性を利用して実行し、画像処理後データを生成する。方向利用画像強調部27は、ステップS6で得られた補正後第1方向分布データを利用して、図4の入力画像のデータに対して画像強調処理を実行し、画像処理後データを生成する。ここで、図4の入力画像は注目指紋の隆線成分を含む。
【0057】
ステップS7の処理の内容は、利用するデータは異なるものの、先に述べたステップS4と同様である。隆線模様方向分布データは、図4の濃淡画像内の濃淡画像画素の位置としての濃淡画像位置と、濃淡画像位置における注目指紋隆線模様の方向としての注目指紋隆線模様方向とを関連付けている。ステップS4の画像強調処理において、方向利用画像強調部27は、濃淡画像画素を含む局所領域としての第1参照領域を注目指紋隆線方向に基づいて決定し、第1参照領域の第1濃度ヒストグラムに基づいて濃淡画像画素における画像強調処理後の濃度値を計算する。補正後第1方向分布データは、図9の隆線方向利用画像強調処理後画像の隆線方向利用画像強調処理後画像画素の位置としての隆線方向利用画像強調処理後画像位置と、隆線方向利用画像強調処理後画像位置における曲線縞模様ノイズ(第1パターン)の方向としての第1パターン方向とを関連付けている。ここで、隆線方向利用画像強調処理後画像位置及び濃淡画像位置は互いに対応する。ステップS7の画像強調処理において、方向利用画像強調部27は、濃淡画像画素を含む局所領域としての第2参照領域を第1パターン方向に基づいて決定し、第2参照領域の第2ヒストグラムに基づいて濃淡画像画素における画像強調処理後の濃度値を計算する。
【0058】
ステップS7の画像強調処理により、少なくとも1種類の曲線縞模様ノイズが適切に除去され、同時に注目指紋隆線が強調される。この理由は、特開2009−223562号公報に開示されている。
【0059】
図11は、ステップS7において曲線縞模様ノイズ除去の目的で画像強調処理を行った結果の画像を示す。図11と図9を比較すると、画像強調処理により、図11において右上がりの第1曲線縞模様ノイズの成分がほぼ消失し、水平に近い第2曲線縞模様ノイズの隆線と注目指紋隆線とが強調されていることがわかる。
【0060】
次に、ステップS8において、ノイズ除去目的の画像強調処理(ステップS5〜S7の処理)を、予め定められた指定回数分、実施したか否かを判定し、実施していなければ、ステップS5に戻り、別の曲線縞模様ノイズの除去処理を開始する。本実施形態では、この指定回数を2回とする。2回の処理で3つの指紋が重なった重複指紋から注目指紋以外の指紋を除去して注目指紋を強調することができる。
【0061】
指定回数を3回以上としても良いが、指定回数を3回以上とする効果は小さい。その理由は、4つ以上の指紋が重なった重複指紋は稀であること、また、4つ以上の指紋が重なった重複指紋においては、注目指紋の隆線の方向に近い方向を持つ曲線縞模様ノイズを除去することが困難なためである。
【0062】
以下、2回目のノイズ除去(2回目のステップS5〜S7)を説明する。
【0063】
ステップS5において、ノイズ方向抽出部28は、図11に示す画像からその画像に含まれる第2パターンの方向分布を抽出し、その方向分布を示す第2方向分布データを生成する。ここで、図11に示す画像は、曲線縞模様ノイズを第2パターンとして含む。
【0064】
図12は、図11の画像から抽出された方向分布を図11の画像に重ねて示したものである。図12より、第2曲線縞模様ノイズの方向分布が正しく抽出されていることが分かる。
【0065】
次に、ステップS6において、ノイズ方向補正部29は、隆線模様方向分布データに基づいて第2方向分布データを補正して補正後第2方向分布データを生成する。2回目のステップS6の処理は、1回目のステップS6の処理と同様である。
【0066】
次に、ステップS7において、方向利用画像強調部27は、図11の画像から第2曲線縞模様ノイズの成分を除去する目的で、濃度を強調する画像強調処理を、第2曲線縞模様ノイズの方向性を利用して実行し、画像処理後データを生成する。方向利用画像強調部27は、2回目のステップS6で得られた補正後第2方向分布データを利用して、図11の画像のデータに対して画像強調処理を実行し、画像処理後データを生成する。2回目のステップS7の処理は、先に説明した1回目のステップS7の処理と同様である。
【0067】
図13は、ステップS7において第2曲線縞模様ノイズ除去の目的で画像強調処理を行った結果の画像を示す。図13と図11を比較すると、画像強調処理により、図13において水平に近い第2曲線縞模様ノイズの成分がほぼ消失し、同時に、注目指紋隆線が強調されていることがわかる。
【0068】
図13の最終処理画像が図5Aの画像に近いため、本実施形態に係る画像処理方法のノイズ処理性能が高いと言える。周波数解析を利用して平均的な周期になるように隆線強調をする従来技術では、隆線間隔が急激に変化する領域では隆線強調がうまくいかずに細い隆線が消失してしまうが、本実施形態によれば細い隆線の消失が防止される。
【0069】
次に、ステップS8において、ノイズ除去目的の画像強調処理(ステップS5〜S7の処理)を、予め定められた指定回数分、実施したか否かを判定し、実施されていれば、ステップS9に進む。
【0070】
次に、ステップS9において、代表線データ生成部23は、図12に示される最終処理画像や、図8A及び図8Bに示される注目指紋隆線の方向分布の推定結果をデータ表示部24に表示させ、オペレータに画像処理が妥当であるかの判定を促す。妥当でないと判定された場合、代表線30の追加や修正のためにステップS2に戻る。ステップS2〜ステップS8は、オペレータが妥当であると判定するまで繰り返される。オペレータが妥当であると判定した場合、ステップS10に進む。
【0071】
ステップS10において、データ処理制御部21は、最終処理画像のデータを画像出力部13、照合装置14、又は特徴抽出装置(不図示)に出力する。画像出力部13は、最終処理画像データに基づいて、図12の最終処理画像を表示し、又は、印刷する。照合装置14は、最終処理画像データを指紋の照合に用いる。特徴抽出装置は、最終処理画像データに基づいて、最終処理画像から特徴量を抽出する。
【0072】
本実施形態によれば、遺留指紋画像において、1つあるいは2つ以上の曲線縞模様ノイズが除去され、注目指紋の隆線が強調される。したがって、鑑定官による鑑定が容易になる。また、注目指紋の特徴量の抽出が適切に行われるため、特徴量を用いた指紋照合精度が向上する。
【0073】
以下、本実施形態に係る画像処理方法を図14に示す指紋画像に適用した場合の結果を説明する。
【0074】
図14の指紋画像は、2つの指紋の隆線が重なった重複指紋画像であり、注目指紋と、注目指紋に重なった他の指紋(以下、ノイズ指紋という)としての曲線縞模様ノイズを1個と、文字ノイズを含む。文字ノイズは、文字列「AWAL」及び「ONPEN」を含む。図14の指紋画像は、図4の指紋画像と同様にディジタル化されている。図14の指紋画像の上部において注目指紋に曲線縞模様ノイズが重なっており、図14の指紋画像の下部において注目指紋に文字ノイズが重なっている。
【0075】
図15は、ステップS2において入力された8本の代表線31を示す。代表線31は、図14の注目指紋の隆線の流れを表す。図16は、ステップS5において抽出された方向分布を示す。その方向分布は、文字ノイズの方向を正確に表していない。
【0076】
図17は、本実施形態に係る画像処理方法を図14の指紋画像に適用した場合の結果である最終処理画像を示す。最終処理画像の上部においては、曲線縞模様ノイズが除去され、注目指紋の隆線が強調されている。しかし、最終処理画像の下部においては、文字ノイズの除去が不十分であることがわかる。文字ノイズの除去が不十分である理由は、ステップS5において文字ノイズの方向を正確に抽出できなかったためである。
【0077】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る画像処理方法を説明する。第2の実施形態に係る画像処理方法は、図14に示すような文字ノイズを持った指紋画像の画像処理に好適である。
【0078】
第2の実施形態に係る画像処理方法は、画像処理装置10によって実行され、ステップS5を除いて、第1の実施形態に係る画像処理方法と同じである。以下、図14の指紋画像に第2の実施形態に係る画像処理方法を適用する場合を例として説明する。
【0079】
第2の実施形態に係るステップS5において、ノイズ方向抽出部28は、処理対象となる画像の各画素において、その画素が所定の閾値(例えば128)以上の濃度値を持つ場合、その画素を含み且つ予め定められた複数の量子化方向(例えば16方向)にそれぞれ延びる複数の連続画素列を複数の連続画素列に含まれるどの画素も所定の閾値(例えば128)以上の濃度値を持つように検出し、複数の連続画素列のうち画素数が最大の連続画素列の延びる量子化方向をその画素におけるパターンの方向として採用する。ノイズ方向抽出部28は、処理対象となる画像の各画素において、その画素が所定の閾値(例えば128)より小さい濃度値を持つ場合、その画素の近傍8画素のうち方向が既知の画素における方向をその画素におけるパターンの方向として採用する。近傍8画素の中に方向が既知の画素が複数ある場合、その複数の画素の方向のうち連続画素列の画素数が最大となる方向をその画素におけるパターンの方向として採用する。その結果、本実施形態に係るステップS5で生成される方向分布データは、その画素の位置とパターンの方向とを関連付ける。
【0080】
図18を参照して、本実施形態に係るステップS5を具体的に説明する。図18は、本実施形態に係るステップS5の処理対象となる画像を所定の閾値に基づいて二値化した二値化画像の一部(文字「N」の周辺部分)を示す。ノイズ方向抽出部28は、画素32を含み且つある量子化方向に延びる連続した画素列33を、画素列33に含まれるどの画素も所定の閾値以上の濃度値を持つように検出し、画素列33に含まれる画素の数を取得する。ノイズ方向抽出部28は、この処理を予め定められた複数の量子化方向のそれぞれについて繰り返し、画素数が最大となる量子化方向を画素32における方向として採用する。
【0081】
上記方向抽出方法は、大きい濃度値を持つ画素が直線的に連続しているストロークから文字が構成されていることを利用しており、文字ノイズの方向抽出に好適である。
【0082】
図19は、本実施形態に係るステップS5において抽出された方向分布をステップS5の処理対象となる画像に重ねて示したものである。図19と図16を比べると、図19の方が文字ノイズの方向がより正しく抽出されていることがわかる。
【0083】
本実施形態によれば、文字ノイズの除去性能が向上し、同時に、注目指紋の隆線の強調性能が向上する。
【0084】
図20は、本実施形態に係る画像処理方法を図14の指紋画像に適用した場合の結果である最終処理画像を示す。第1の実施形態に係る画像処理方法を図14の指紋画像に適用した場合の結果を示す図17と図20とを比較すると、本実施形態により文字ノイズの除去性能が向上し、同時に、注目指紋の隆線の強調性能が向上していることがわかる。
【0085】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置及び画像処理方法を説明する。第1及び第2の実施形態においては注目指紋隆線の方向分布がオペレータの入力操作に基づいて得られるが、本実施形態においては注目指紋隆線の方向分布が自動抽出される。
【0086】
本実施形態に係る画像処理装置10のハードウエア構成は、第1の実施形態に係る画像処理装置10と同様である。
【0087】
図21は、本実施形態に係る画像処理装置10の機能ブロック図である。画像入力部11、画像処理部12、及び画像出力部13の各々は、CPU2がコンピュータプログラムを実行して画像処理装置10のハードウエアを制御することにより実現される。画像処理部12は、データ処理制御部21、データ記憶部22、隆線方向抽出部40、方向利用画像強調部27、ノイズ方向抽出部28、及びノイズ方向補正部29を備える。画像入力部11は画像入力装置5に対応し、画像処理部12はデータ処理装置1に対応する。データ処理制御部21、隆線方向抽出部40、方向利用画像強調部27、ノイズ方向抽出部28、及びノイズ方向補正部29は、CPU2に対応する。データ記憶部22は記憶装置3に対応する。画像出力部13は、表示装置6又はプリンタ7に対応する。
【0088】
データ処理制御部21は、データ記憶部22、隆線方向抽出部40、方向利用画像強調部27、ノイズ方向抽出部28、及びノイズ方向補正部29間で行われるデータ及びメッセージの授受を制御する。データ記憶部22は、データ処理制御部21、隆線方向抽出部40、方向利用画像強調部27、ノイズ方向抽出部28、及びノイズ方向補正部29に作業領域を提供し、これらが生成するデータを格納する。
【0089】
図22を参照して、本実施形態に係る画像処理方法を説明する。画像処理方法は、ステップS1、ステップS3乃至ステップS8、ステップS10を備える。ステップS2及びS9は欠番である。以下、図23の指紋画像に本実施形態に係る画像処理方法を適用する場合を例として説明する。図23の指紋画像は、注目指紋と複数の皺35とを含む。各皺35において、濃度値の低い画素が連続している。
【0090】
本実施形態に係るステップS1は、第1の実施形態に係るステップS1と同様である。
【0091】
次に、ステップS3において、隆線方向抽出部40は、注目指紋隆線の方向分布を自動的に抽出する。隆線方向抽出部40は、図23の指紋画像の指紋画像データに基づいて、図23の指紋画像内の各画素の位置における注目指紋隆線の方向を計算し、計算結果に基づいて、注目指紋隆線の方向分布を示す隆線模様方向分布データを生成する。データ記憶部22は、隆線模様方向分布データを格納する。
【0092】
隆線方向抽出部40は、特開昭52−97298号公報に開示された方法を用いて注目指紋隆線の方向分布を抽出してもよいが、特開平9−167230号公報に開示された方法を用いて注目指紋隆線の方向分布を抽出することが好ましい。特開平9−167230号公報に開示された方法においては、対象となる画像を複数の小領域に分割し、小領域毎に二次元フーリエ変換を実施し、二次元フーリエ変換の結果に基づいて小領域における方向を決定する。特開平9−167230号公報に開示された方法を用いることで、皺35のような縞模様ノイズが存在する場合における注目指紋隆線の方向分布の抽出性能が高くなる。
【0093】
図24は、隆線方向抽出部40が図23の指紋画像から注目指紋隆線の方向分布を抽出した結果を入力画像としての指紋画像(図23)と重ねて示す。図24は、隆線方向抽出部40が特開平9−167230号公報に開示された方法を用いて注目指紋隆線の方向分布を抽出した場合の結果を示す。図23と図24を見比べると、注目指紋隆線の方向分布が正しく抽出されていることがわかる。
【0094】
本実施形態に係るステップS4は、第1の実施形態に係るステップS4と同様である。ステップS4において、方向利用画像強調部27は、図23の指紋画像から注目指紋隆線の成分を除去する目的で、図23の指紋画像に対して濃度を強調する画像強調処理を実行する。
【0095】
次に、ステップS5において、ノイズ方向抽出部28は、ステップS4の画像強調処理の結果得られた画像強調処理後画像の方向分布を抽出する。ノイズ方向抽出部28は、画像強調処理後画像の各画素において、その画素が所定の閾値(例えば128)以上の濃度値を持つ場合はその画素を含み且つ予め定められた複数の量子化方向(例えば16方向)にそれぞれ延びる複数の連続画素列を複数の連続画素列に含まれるどの画素も所定の閾値以上の濃度値を持つように検出し、その画素が所定の閾値より小さい濃度値を持つ場合はその画素を含み且つ予め定められた複数の量子化方向にそれぞれ延びる複数の連続画素列を複数の連続画素列に含まれるどの画素も所定の閾値より小さい濃度値を持つように検出する。ノイズ方向抽出部28は、検出した複数の連続画素列のうち画素数が最大の連続画素列の延びる量子化方向をその画素におけるパターンの方向として採用する。その結果、本実施形態に係るステップS5で生成される方向分布データは、その画素の位置とパターンの方向とを関連付ける。
【0096】
本実施形態に係るステップS5によれば、濃度値が低い画素が連続している皺35の方向も含めてノイズの方向が抽出される。
【0097】
次に、ステップS6に進む。本実施形態に係るステップS6〜S8は、第1の実施形態に係るステップS6〜S8と同様である。ただし、ステップS8において、ノイズ除去目的の画像強調処理(ステップS5〜S7の処理)が予め定められた指定回数分実施されていれば、ステップS10に進む。
【0098】
本実施形態に係るステップS10は、第1の実施形態に係るステップS10と同様である。
【0099】
図25は、本実施形態に係る画像処理方法を図23の指紋画像に適用した場合の結果である最終処理画像を示す。図25を見ると、図23における皺35の領域においても、濃淡が的確に強調され、注目指紋隆線の連続性が明らかになっていることがわかる。
【0100】
図26は、従来の画像処理方法を用いて図23の指紋画像の隆線を強調した結果を示す。この従来の画像処理方法において、図23の指紋画像が複数の小領域に分割され、小領域の周期性(隆線方向及び隆線間隔)を利用して隆線が強調される。図26に示されるように、従来の画像処理方法では、原画像(図23)に含まれている微細な濃度差を持つ隆線を強調できない場合がある。
【0101】
これに対し、本実施形態に係る画像処理方法によれば、小領域の周期性に依存せずに、原画像(図23)に含まれている微細な濃度差を持つ隆線を強調できる。
【0102】
(第3の実施形態の変形例)
以下、第3の実施形態の変形例を説明する。上述した第3の実施形態のステップS5を下記のように変更すれば、ステップS6を省略することができる。
【0103】
第3の実施形態の変形例に係るステップS5において、ノイズ方向抽出部28は、注目指紋隆線の方向分布に基づいて、ステップS4の画像強調処理の結果得られた画像強調処理後画像の方向分布を抽出する。ノイズ方向抽出部28は、画像強調処理後画像の各画素において、予め定められた複数の第1量子化方向(例えば16方向)からその画素の位置に対応する注目指紋隆線の方向に近い方向を除いた複数の第2量子化方向を決定し、その画素が所定の閾値(例えば128)以上の濃度値を持つ場合はその画素を含み且つ複数の第2量子化方向にそれぞれ延びる複数の連続画素列を複数の連続画素列に含まれるどの画素も所定の閾値以上の濃度値を持つように検出し、その画素が所定の閾値より小さい濃度値を持つ場合はその画素を含み且つ複数の第2量子化方向にそれぞれ延びる複数の連続画素列を複数の連続画素列に含まれるどの画素も所定の閾値より小さい濃度値を持つように検出する。ここで、注目指紋隆線の方向に近い方向は、例えば、注目指紋隆線の方向との差の大きさが所定の閾値以下の方向である。ノイズ方向抽出部28は、検出した複数の連続画素列のうち画素数が最大の連続画素列の延びる量子化方向をその画素におけるパターンの方向として採用する。その結果、本変形例に係るステップS5で生成される方向分布データは、その画素の位置とパターンの方向とを関連付ける。本変形例に係るステップS5で生成される方向分布データは、ステップS7の画像強調処理に利用される。
【0104】
上記各実施形態は互いに組み合わせることが可能である。例えば、第1の実施形態に係るステップS1〜S4と、第3の実施形態又は第3の実施形態の変形例に係るステップS5〜S8、S10とを組み合わせた画像処理方法及びその画像処理方法を実行する画像処理装置が考えられる。
【0105】
以上、画像処理の対象が指紋画像である場合について説明したが、画像処理の対象は、掌紋画像のような他の曲線縞模様画像であってもよい。
【符号の説明】
【0106】
1…データ処理装置
2…CPU
3…記憶装置
5…画像入力装置
6…表示装置
7…プリンタ
8…データ入力装置
10…画像処理装置
11…画像入力部
12…画像処理部
13…画像出力部
14…照合装置
15…記録媒体
21…データ処理制御部
22…データ記憶部
23…代表線データ生成部
24…データ表示部
25…データ入力部
26…方向推定部
27…方向利用画像強調部
28…ノイズ方向抽出部
29…ノイズ方向補正部
30、31…代表線
32…画素
33…画素列
35…皺
40…隆線方向抽出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋又は掌紋を含む濃淡画像の画像データと、前記指紋又は掌紋の隆線模様の方向分布を示す隆線模様方向分布データとを格納するデータ記憶部と、
前記隆線模様方向分布データに基づく隆線方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行する方向利用画像強調部と、
前記隆線方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行した結果の隆線方向利用画像強調処理後画像から前記隆線方向利用画像強調処理後画像に含まれる第1パターンの第1方向分布を抽出する方向抽出部と
を具備し、
前記方向利用画像強調部は、前記第1方向分布を示す第1方向分布データに基づく第1方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行する
画像処理装置。
【請求項2】
前記隆線模様方向分布データに基づいて前記第1方向分布データを補正して補正後第1方向分布データを生成する方向補正部を更に具備し、
前記隆線模様方向分布データは、前記濃淡画像内の位置と前記位置における前記隆線模様の方向としての隆線方向とを関連付け、
前記第1方向分布データは、前記隆線方向利用画像強調処理後画像内の前記位置に対応する第1位置と前記第1位置における前記第1パターンの方向としての第1方向とを関連付け、
前記方向補正部は、前記隆線方向及び前記第1方向の差が所定の範囲以内の場合、前記隆線方向に直交する直交方向で前記第1方向を置き換えて前記補正後第1方向分布データを生成し、
前記第1方向利用画像強調処理は、前記補正後第1方向分布データに基づく
請求項1の画像処理装置。
【請求項3】
前記方向抽出部は、前記第1方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行した結果の第1方向利用画像強調処理後画像から前記第1方向利用画像強調処理後画像に含まれる第2パターンの第2方向分布を抽出し、
前記方向補正部は、前記隆線模様方向分布データに基づいて前記第2方向分布を示す第2方向分布データを補正して補正後第2方向分布データを生成し、
前記方向利用画像強調部は、前記補正後第2方向分布データに基づく第2方向利用画像強調処理を前記第1方向利用画像強調処理後画像に対して実行する
請求項1又は2の画像処理装置。
【請求項4】
前記方向抽出部は、前記隆線方向利用画像強調処理後画像の第1画素を含み且つ所定の複数方向にそれぞれ延びる複数の連続画素列を前記複数の連続画素列に含まれるどの画素も所定の閾値以上の濃度値を持つように検出し、前記複数の連続画素列のうち画素数が最大の連続画素列の方向を前記第1画素の位置における前記第1パターンの方向として採用し、
前記第1方向分布データは、前記第1画素の前記位置と前記第1パターンの前記方向とを関連付ける
請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記隆線模様方向分布データは、前記濃淡画像内の濃淡画像画素の位置としての濃淡画像位置と、前記濃淡画像位置における前記隆線模様の方向としての隆線模様方向とを関連付け、
前記方向利用画像強調部は、
前記濃淡画像画素を含む局所領域としての第1参照領域を前記隆線模様方向に基づいて決定し、
前記第1参照領域の第1濃度ヒストグラムに基づいて前記濃淡画像画素における前記隆線方向利用画像強調処理後の濃度値を計算し、
前記第1方向分布データは、前記隆線方向利用画像強調処理後画像内の隆線方向利用画像強調処理後画像画素の位置としての隆線方向利用画像強調処理後画像位置と、前記隆線方向利用画像強調処理後画像位置における前記第1パターンの方向としての第1パターン方向とを関連付け、
前記隆線方向利用画像強調処理後画像位置及び前記濃淡画像位置が互いに対応し、
前記方向利用画像強調部は、
前記濃淡画像画素を含む局所領域としての第2参照領域を前記第1パターン方向に基づいて決定し、
前記第2参照領域の第2濃度ヒストグラムに基づいて前記濃淡画像画素における前記第1方向利用画像強調処理後の濃度値を計算する
請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
オペレータの入力操作に基づいて前記隆線模様の代表線を示す代表線データを生成する代表線データ生成部と、
前記代表線データに基づいて前記隆線模様方向分布データを生成する方向推定部と
を更に具備する
請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
指紋又は掌紋を含む濃淡画像の画像データと、前記指紋又は掌紋の隆線模様の方向分布を示す隆線模様方向分布データとに基づいて、前記隆線模様方向分布データに基づく隆線方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行するステップと、
前記隆線方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行した結果の隆線方向利用画像強調処理後画像から前記隆線方向利用画像強調処理後画像に含まれる第1パターンの第1方向分布を抽出するステップと、
前記第1方向分布を示す第1方向分布データに基づく第1方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行するステップと
を具備する
画像処理方法。
【請求項8】
前記隆線模様方向分布データに基づいて前記第1方向分布データを補正して補正後第1方向分布データを生成するステップを更に具備し、
前記隆線模様方向分布データは、前記濃淡画像内の位置と前記位置における前記隆線模様の方向としての隆線方向とを関連付け、
前記第1方向分布データは、前記隆線方向利用画像強調処理後画像内の前記位置に対応する第1位置と前記第1位置における前記第1パターンの方向としての第1方向とを関連付け、
前記補正後第1方向分布データを生成する前記ステップにおいて、前記隆線方向及び前記第1方向の差が所定の範囲以内の場合、前記隆線方向に直交する直交方向で前記第1方向を置き換えて前記補正後第1方向分布データを生成し、
前記第1方向利用画像強調処理は、前記補正後第1方向分布データに基づく
請求項7の画像処理方法。
【請求項9】
前記第1方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行した結果の第1方向利用画像強調処理後画像から前記第1方向利用画像強調処理後画像に含まれる第2パターンの第2方向分布を抽出するステップと、
前記隆線模様方向分布データに基づいて前記第2方向分布を示す第2方向分布データを補正して補正後第2方向分布データを生成するステップと、
前記補正後第2方向分布データに基づく第2方向利用画像強調処理を前記第1方向利用画像強調処理後画像に対して実行するステップと
を更に具備する
請求項7又は8の画像処理方法。
【請求項10】
前記第1方向分布を抽出する前記ステップは、
前記隆線方向利用画像強調処理後画像の第1画素を含み且つ所定の複数方向にそれぞれ延びる複数の連続画素列を前記複数の連続画素列に含まれるどの画素も所定の閾値以上の濃度値を持つように検出するステップと、
前記複数の連続画素列のうち画素数が最大の連続画素列の方向を前記第1画素の位置における前記第1パターンの方向として採用するステップと
を含み、
前記第1方向分布データは、前記第1画素の前記位置と前記第1パターンの前記方向とを関連付ける
請求項7乃至9のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記隆線模様方向分布データは、前記濃淡画像内の濃淡画像画素の位置としての濃淡画像位置と、前記濃淡画像位置における前記隆線模様の方向としての隆線模様方向とを関連付け、
前記隆線方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行する前記ステップは、
前記濃淡画像画素を含む局所領域としての第1参照領域を前記隆線模様方向に基づいて決定するステップと、
前記第1参照領域の第1濃度ヒストグラムに基づいて前記濃淡画像画素における前記隆線方向利用画像強調処理後の濃度値を計算するステップと
を含み、
前記第1方向分布データは、前記隆線方向利用画像強調処理後画像内の隆線方向利用画像強調処理後画像画素の位置としての隆線方向利用画像強調処理後画像位置と、前記隆線方向利用画像強調処理後画像位置における前記第1パターンの方向としての第1パターン方向とを関連付け、
前記隆線方向利用画像強調処理後画像位置及び前記濃淡画像位置が互いに対応し、
前記第1方向利用画像強調処理を前記濃淡画像に対して実行する前記ステップは、
前記濃淡画像画素を含む局所領域としての第2参照領域を前記第1パターン方向に基づいて決定するステップと、
前記第2参照領域の第2濃度ヒストグラムに基づいて前記濃淡画像画素における前記第1方向利用画像強調処理後の濃度値を計算するステップと
を含む
請求項7乃至10のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項12】
オペレータの入力操作に基づいて前記隆線模様の代表線を示す代表線データを生成するステップと、
前記代表線データに基づいて前記隆線模様方向分布データを生成するステップと
を更に具備する
請求項7乃至11のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項13】
請求項7乃至12のいずれかに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図18】
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【図21】
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【図22】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図20】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−150483(P2011−150483A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10348(P2010−10348)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000232092)NECソフト株式会社 (173)
【Fターム(参考)】