説明

画像処理装置

【課題】映画館の利用者などに、映画に関する所望の画像の情報を提供することが可能となる画像処理装置を提供する。
【解決手段】映画のワンシーンなどの画像データを複数種に亘って取得する画像取得部と、前記取得した画像データを表示させた上で、該表示させた画像データのうちの何れかの選択を受付ける選択受付部と、受信装置が着脱可能に接続される接続部と、前記選択のなされた画像データを、前記受信装置へ配信する配信動作を行う画像配信部と、を備えた画像処理装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映画に関する画像の情報などを提供する、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映画館の利用者(客)の利便性や満足度を高めるため、機器やシステムを用いた種々のサービスが考案されている。一例として、上映中の映画の宣伝用動画を表示する機器を映画館に設置して、上映中の映画の情報を利用者に提供するサービスや、インターネットを利用した座席予約サービスなどが挙げられる。
【0003】
これらのサービスによれば、利用者は、どのような映画が上映されているかを把握することができたり、簡単に座席を確保したりすることが可能となる。なお利用者の満足度を向上させることは、再度映画館を訪れようとする意欲をもたせて、利用者を増大させること等にも繋がるため、映画館の管理者などの立場からも非常に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−122264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
映画のコンテンツは特に視覚的要素に重点が置かれており、利用者の多くは、映画に関する画像(例えば、映画のワンシーンの画像や、映画を宣伝するための画像など)に強い関心をもっていると推察される。このことから、映画に関する所望の画像の情報や印刷物を提供するサービスが実施されれば、利用者の満足度は大きく向上すると見込まれる。
【0006】
本発明は上述した状況に鑑み、映画館の利用者などに、映画に関する所望の画像の情報もしくは印刷物を提供することが可能となる画像処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像処理装置は、映画のワンシーンなどの画像データを複数種に亘って取得する画像取得部と、前記取得した画像データを表示させた上で、該表示させた画像データのうちの何れかの選択を受付ける選択受付部と、受信装置が着脱可能に接続される接続部と、前記選択のなされた画像データを、前記受信装置へ配信する配信動作を行う画像配信部と、を備えた画像処理装置とする。
【0008】
本構成によれば、映画に関する画像データを取得した上で、受信装置の所持者(映画館の利用者など)に、映画に関する所望の画像の情報を提供することが可能となる。
【0009】
また上記構成において、所定の券が提出される度に、当該券を回収した上で、前記配信動作を1回だけ行う構成としてもよい。本構成によれば、画像データの配信の回数を制限することが可能である。その結果、配信される画像データの希少価値を出来るだけ維持させることが可能となる。また例えば当該券を映画館の入場券とすることで、客における入場券の取得意欲を増進させ、映画館の管理者などの立場から見れば、入場券の売り上げ増大を図ることが可能となる。
【0010】
また、前記画像取得部は、それぞれが複数種の映画のタイトルの何れかに関連付けられた画像データを取得するものである、上記構成の画像処理装置について、前記券が提出される度に、当該券に付随した情報に基づいて、前記タイトルのうちの一つを特定し、前記選択受付部は、前記取得した画像データのうち、特定されたタイトルに関するもののみを表示させた上で、該表示させた画像データのうちの何れかの選択を受付ける構成としてもよい。
【0011】
また上記構成において、ID情報が付随した所定の券が提示される度に、当該ID情報が以前に提示された券のものと一致しない場合に、前記配信動作を1回だけ行う構成としてもよい。本構成によれば、画像データの配信の回数を制限することが可能である。なおここでの「ID情報」とは、その券を他の券から区別させ得る情報(一例として、通し番号を表すバーコード)のことである。
【0012】
また本発明に係る別の形態の画像処理装置は、映画のワンシーンなどの画像データを複数種に亘って取得する画像取得部と、前記取得した画像データを表示させた上で、該表示させた画像データのうちの何れかの選択を受付ける選択受付部と、前記選択のなされた画像データの印刷物を生成する印刷部と、を備え、該印刷物を提供する構成とする。本構成によれば、映画に関する画像データを取得した上で、映画館の利用者などに、映画に関する所望の画像が印刷された印刷物を、提供することが可能となる。
【0013】
また上記構成において、被写体を撮影して撮影画像データを取得する撮影部と、前記選択のなされた画像データに、前記撮影画像データを合成させる合成部と、を備えた構成としてもよい。本構成によれば、配信される画像データあるいは提供される印刷物に係る画像を、利用者の肖像などを合成させたものとすることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
上述した通り、本発明に係る画像処理装置によれば、映画に関する画像データを取得した上で、映画館の利用者などに、映画に関する所望の画像の情報あるいは当該画像が印刷された印刷物を、提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】映画館における各設備の配置態様を表した説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像配信装置のブロック図である。
【図3】当該画像配信装置の外観図である。
【図4】画像データ管理テーブルに関する説明図である。
【図5】当該画像配信装置が行う画像配信動作のフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る印刷物提供装置のブロック図である。
【図7】当該印刷物提供装置の外観図である。
【図8】当該印刷物提供装置が行う印刷物提供動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る画像処理装置について、画像配信装置の形態をとる実施例1、および印刷物提供装置の形態をとる実施例2を例に挙げて、以下に説明する。
【0017】
[実施例1]
まず実施例1として、画像配信装置(画像処理装置の一種)を挙げて説明する。図1は、画像配信装置が設置された映画館における、各設備の配置態様を表したものである。本図に示すように映画館9には、エントランスホール1、および、映画が上映される複数箇所(本実施例では4箇所)の上映ルーム2が設けられている。各上映ルーム2では、互いに異なるタイトル(タイトルA〜D)の映画が上映される。このように映画館9は、いわゆるシネマコンプレックスの形態が採用されている。
【0018】
エントランスホール1は、利用者(映画館の客)が自由に出入りできる場所であり、発券機3、および画像配信装置4が配置されている。なお、エントランスホール1から各上映ルーム2へ向かう経路の途中には、映画券をチェックするチェックゲート5(映画券をチェックする機能を備えた装置、或いは、映画館9の従業員など)が配備されている。何れかの上映ルーム2に入って映画を鑑賞するためには、利用者は、事前に発券機3を使って、映画券を購入しておく必要がある。
【0019】
発券機3は、入場料等との引換えに映画券を発券する装置である。利用者は、発券機3を通じて、鑑賞したい映画のタイトルに対応した映画券を購入することが可能となっている。なお映画券には、本券に対応した映画のタイトル、上映時間、入場すべき上映ルーム2、および座席(指定席)の位置などの情報が記載されており、利用者がこれらを確認することが可能となっている。
【0020】
また映画券には、画像配信装置4によってこれらの情報が読取り可能となるように、本券に対応した映画のタイトル等の情報が、所定の態様で(例えば、バーコードが印刷されることによって)付随されている。利用者は、映画券を購入した後、この映画券をチェックゲート5に提示して、上映ルーム2に向かうことができる。
【0021】
また映画券は、例えば、提出用の半券と所持用の半券が繋がった態様であっても構わない。この場合、利用者は、提出用の半券をチェックゲート5に引渡し、所持用の半券を所持しておく。なお発券機3の操作については、利用者が直接操作するようになっていても良く、オペレータ等が操作を代行するようになっていても良い。
【0022】
画像配信装置4は、映画館9にて上映される各映画のタイトルに関する画像データを、利用者の所持する携帯端末に、随時配信する装置である。画像配信装置4の構成や動作については、改めて詳細に説明する。なお発券機3や画像配信装置4、および後述する画像サーバは、映画館の管理者などによって管理されている。上述した通り映画館9では、複数種のタイトルの映画が上映されており、利用者は、任意のタイトルの映画を鑑賞することが可能である。
【0023】
次に、画像配信装置4の構成について説明する。図2は、画像配信装置4の構成を表すブロック図であり、図3は、画像配信装置4の外観図(手前側が前面)である。画像配信装置4は、利用者がその前面に向き合うことができるように、適切に設置されることが想定されている。
【0024】
図2に示すように、画像配信装置4は、券処理部41、表示部42、操作部43、演算制御部44、記憶部45、撮影部46、画像取得部47、および画像配信部48などを有している。
【0025】
券処理部41は、利用者による映画券(半券などの場合も含む)の挿入を受付けるための券挿入口41aが設けられている。また券処理部41は、挿入された映画券に付随されている各情報(特に、本券に対応した映画のタイトルの情報)を読取る装置や、挿入された映画券を回収するための装置などが設けられている。なお映画券から読取られた情報は、演算制御部44に伝送される。
【0026】
表示部42は、主に利用者による各情報の確認に用いられる確認用画面42aや、主に画像データの表示に用いられる画像データ表示用画面42bが設けられている。表示部42は、演算制御部44の指示に応じて、各種の画像をこれらの画面(42a、42b)に表示させる。
【0027】
なお画像データ表示用画面42bは、図3に示すように、S001〜D003の6個分が設けられている。またS001〜S003の3画面は、特に静止画の表示に好適な仕様となっており、D001〜D003の3画面は、特に動画の表示に好適な仕様となっている。ただし、S001〜D003の各画面は同等の仕様であっても構わない。
【0028】
操作部43は、確認用画面42aの表面に配置されたタッチパネル43aや、画像データ表示用画面42bの各々に対応した画像選択ボタン43bが設けられている。タッチパネル43aは、確認用画面42aの表示を遮らないように透明となっており、利用者の指などが触れられた位置やタイミングを検出して、演算制御部44に伝える。また画像選択ボタン43bは、利用者によって押下されたときに、そのことを演算制御部44に伝える。
【0029】
演算制御部44は、CPU[Central Processing Unit]などから形成されている。演算制御部44は、画像配信装置4の各部の制御や各種の演算処理を実行し、画像配信装置4を正常に動作させる。なお画像配信装置4において実行される主な動作の内容については、改めて説明する。
【0030】
記憶部45は、作業用メモリ等として利用されるRAM、所定のアプリケーション等が予め記録されているROM、および、取得された画像データの格納などに用いられるHDD(ハードディスクドライブ)などから形成されており、演算制御部44によるアクセスが可能となっている。なお画像配信装置4が取得する画像データの各々は、後述するように、複数種の映画のタイトルの何れかに関するものである。なお記憶部45には、現在格納されている画像データを管理するための、画像データ管理テーブルも記録される。
【0031】
画像データ管理テーブルには、図4に示すように、「表示位置」、「静止画/動画」、「タイトル」、および「画像データID」などの各情報が、現在格納されている画像データごとに含まれている。なお「表示位置」の項目は、その画像データが、画像データ表示用画面42bに表示される際に、S001〜D003の何れの位置に表示されるべきかを表している。
【0032】
また「静止画/動画」の項目は、その画像データが、静止画と動画の何れであるかを表している。また「タイトル」の項目は、その画像データに対応した映画のタイトル(タイトルごとに割当てられたID等であっても構わない)を表している。また「画像データID」は、その画像データを他の画像データから識別させ得るID(例えば、ファイル名)を表している。
【0033】
図4に示す画像データ管理テーブルによれば、例えばNo1の画像データは、画像データ表示用画面42bに表示される際には「S001」の位置に表示され、「静止画」であり、タイトル「A」に対応している(タイトルAの映画のワンシーンなどである)ものであり、IDが「A_S001_001.XXX」であるといえる。
【0034】
なお、画像データに関するこれらの情報は、画像サーバ6から画像配信装置4へ画像データが送信される際に、当該画像データに付随して画像配信装置4へ送信される。このように画像配信装置4に送信される各画像データは、映画のタイトルなどが関連付けられている。
【0035】
撮影部46は、画像配信装置4の前方の被写体(特に、現時点で画像配信装置4にアクセスしている利用者が想定される)を撮影する、カメラ46aが備えられている。撮影部46は、演算制御部44の指示に応じて撮影を実行し、撮影画像データを取得する。
【0036】
画像取得部47は、例えばUSBやLANを用いて画像サーバ6(画像データを、随時、画像配信装置4へ送信する機能をもった装置)に接続され、画像サーバ6との通信が可能である。画像取得部47は、画像サーバ6から画像データを受信した場合に、当該画像データを記憶部45に記憶させる。
【0037】
なお、画像サーバ6から画像配信装置4に送信される各画像データは、映画館9で上映されている複数種の映画のタイトルの何れかに関するものである。あるタイトルに関する画像データとしては、例えば、そのタイトルの映画のワンシーンを表す静止画もしくは動画や、そのタイトルの映画を宣伝するための静止画もしくは動画などが挙げられる。
【0038】
画像配信部48は、携帯端末7が近づけられたときに、この携帯端末7との無線通信を可能とする無線通信I/F48aを備えている。なおここでの携帯端末7は、各利用者が所持している携帯型の受信装置であり、一例として、携帯電話機やデジタルカメラである。画像配信部48は、無線通信I/F48aを介して、携帯端末7が着脱自在に無線接続されるようになっている。画像配信部48は、演算制御部44の指示に応じて、接続されている携帯端末7に、画像データを配信(送信)する。
【0039】
また画像配信部48は、携帯端末7との無線通信が可能な状況であるか否かを、検知する機能をも有している。なお無線通信I/F48aにおいては、例えば近接無線伝送技術(TransferJet等)が適用され、静止画や動画を問わず、高速な情報配信が可能となっていることが望ましい。但しこの場合は、携帯端末7においても、近接無線伝送技術による通信に対応している必要がある。
【0040】
次に、画像配信装置4の動作について説明する。画像配信装置4は、電源がONにされると、所定の立上げ処理(CPUのブート起動、各部の初期化処理、およびROMに記録されているアプリケーションの実行など)を経て、通常の動作状態に移行する。
【0041】
通常の動作状態において、画像配信装置4は、画像サーバ6から一または複数種の画像データの提供がなされたか、および、券挿入口41aに映画券が挿入されたかを監視する。
【0042】
そして画像データの提供がなされた場合には、画像取得部47は、提供された画像データを記憶部45に格納する。また画像取得部47は、新たに画像データを格納したことに伴い、先述した画像データ管理テーブル(図4を参照)を適切に更新する。これにより画像データ管理テーブルは、最新の状態に維持される。
【0043】
なお画像データの提供および提供された画像データの格納は、画像配信装置4に格納されている画像データの全部または一部が、定期的に、新しいものに置き換えられる(古い画像データは削除される)ようになされても良い。このようにすれば、画像配信装置4に格納されている画像データを、期間限定のものとすることができ、利用者の取得意欲をより向上させることができる。
【0044】
一方、券挿入口41aに1枚の映画券が挿入された場合には、演算制御部44は、利用者による画像データの配信要求があったものと判断し、利用者が所持する携帯端末7に画像データを配信するための動作(便宜的に、「画像配信動作」と称する)を開始する。
【0045】
なお挿入された映画券は、そのまま画像配信装置4に回収され、利用者に返却されない。そのため画像配信動作の実行は、1枚の映画券につき、1回に限定されることになる。また券挿入口41aへの映画券の挿入は、画像配信装置4に対する映画券の提出と見ることもできる。
【0046】
また画像配信動作の実行中においては、画像配信装置4の動作手順や、利用者が採るべき行動などについての説明が、適宜、確認用画面42aなどに表示される。画像配信動作の内容について、図5に示すフローチャートを参照しながら、以下に説明する。
【0047】
まず画像配信装置4は、券挿入口41aに挿入された映画券に対応した、映画のタイトルを判別する(ステップS1)。なお先述した通り、映画券には、当該映画券に対応したタイトルの情報が付随しているため、この情報を読取ることにより、当該判別の処理を行うことが可能である。
【0048】
その後、演算制御部44は、記憶部45に格納されている各画像データのうち、判別されたタイトルに関連付けられているもの(対応するもの)を、画像データ管理テーブルを参照して選出する。そして演算制御部44は、選出された画像データの各々を、画像データ表示用画面42bに表示させる(ステップS2)。なお、各画像データが、S001〜D003の何れの位置に表示されるかは、画像データ管理テーブルにおける「表示位置」の情報に従って決められる。
【0049】
また画像データ表示用画面42bでの表示態様については、画像データが静止画である場合は、例えば1回分の画像配信動作が完了するまで、その静止画を表示した状態が維持される。一方、画像データが動画である場合は、例えば1回分の画像配信動作が完了するまで、その動画が繰り返し表示される。
【0050】
またこのように各画像データが表示された状態にて、演算制御部44は、何れか一つの画像選択ボタン43bの押下を待機する(ステップS3)。このとき利用者は、画像データ表示用画面42bを見ながら、表示されている画像データの何れかを、配信を要求する画像データに決定することができる。
【0051】
そして利用者は、決定した画像データに対応している(当該画像データが表示されている画面に対応している)画像選択ボタン43bを押下し、何れかの画像データを選択することになる。以降、この選択された画像データを、便宜的に「選択画像データ」と称する。
【0052】
また更に演算制御部44は、撮影画像合成の要否の指示(例えばタッチパネル43aの所定操作)を待機する。このとき利用者は、配信のなされる画像(つまり選択画像データの画像)への撮影画像(例えば利用者自身の肖像)の合成を希望する場合には、撮影画像合成が必要である旨を指示し、そうでない場合には、不要である旨を指示することになる。
【0053】
撮影画像合成が必要である旨が指示された場合には(ステップS4のY)、演算制御部44は、撮影部46に、カメラ46aによる被写体の撮影を実行させ、撮影画像データを取得させる。なお撮影の動作の手順は、利用者の望む撮影画像データが得られ易くなるように配慮されている。
【0054】
例えば、カメラ46aが撮っている画像は、確認用画面42aにリアルタイムに映し出され、利用者が確認できるようになっている。また、利用者にとって不意打ちとならない所定のタイミング(例えば、利用者が所定操作を行ったタイミングや、カウントダウンの表示により利用者が予期できるタイミングなど)において撮影された画像が、撮影画像データとして採用される。
【0055】
このようにして撮影画像データが得られたら、演算制御部44は、選択画像データに、撮影画像データを合成させ、合成画像データを生成する(ステップS5)。より具体的には、選択画像データが静止画である場合、その静止画の一部に、撮影画像データの画像が重ねられたものを、合成画像データとする。また選択画像データが動画である場合、各フレームの同じ箇所に、撮影画像データの画像が重ねられたものを、合成画像データとする。
【0056】
なおこのとき、撮影画像データにおける背景とみなされる部分(例えば、白色の壁を背景として撮影されている場合は、撮影画像データにおける白色の部分)が、透明化される(選択画像データが透けて見える)ようにしても構わない。また上述した合成画像データの態様は一例であり、選択画像データに撮影画像データの内容が反映されるようになっている限り、他の態様が採用されても良い。
【0057】
また合成画像データが生成された後、或いは、撮影画像合成が不要である旨が指示された場合には(ステップS4のN)、演算制御部44は、選択画像データ(以下、合成画像データが生成されている場合は、合成画像データを指すものとする)を、確認用画面42aに表示させる(ステップS6)。これにより利用者は、これから配信がなされる画像データの内容を、念のために確認することが可能である。
【0058】
選択画像データを表示させた状態にて、演算制御部44は、選択画像データの配信および画像データの再選択受付の、何れを実行すべきかの指示(例えばタッチパネル43aの所定操作)を待機する(ステップS7)。このとき利用者は、これから配信されるデータが、現状の選択画像データで良いと考える場合には、配信の実行(配信OK)を指示し、選択画像データの変更を希望する場合には、再選択受付(再選択必要)を指示することになる。
【0059】
再選択受付が指示された場合には(ステップS7の「再選択必要」)、演算制御部44は、現状の選択画像データに関わる情報を破棄し、再度ステップS3の動作を行う。これにより利用者は、選択画像データを変更させることが可能である。
【0060】
一方、配信の実行が指示された場合には(ステップS7の「配信OK」)、演算制御部44は、画像配信部48に、選択画像データを携帯端末7に配信するよう指示する。これを受けて画像配信部48は、携帯端末7との無線通信が可能となることを待機する(ステップS8)。このとき利用者は、自身が所持する携帯端末7を無線通信I/F48aに近づけ、当該無線通信が可能となるようにする。
【0061】
無線通信が可能となったら、画像配信部48は、必要な接続処理などを実行した上で、選択画像データを携帯端末7に配信する(ステップS9)。これにより、選択画像データは携帯端末7の記憶装置に格納される。以降、利用者は、携帯端末7の画像再生機能などを利用して、配信された画像データを自由に見ることが可能となる。
【0062】
なお画像配信装置4は、1回の選択画像データを配信する動作につき、選択画像データを1台の携帯端末7だけに配信するものとなっている。またステップS9の動作が完了することにより、1回分の画像配信動作は完了し、画像配信装置4は再び通常の動作状態に戻る。
【0063】
なお上述したステップS8の動作に代えて、利用者が配信開始の指示を行ったときに、選択画像データの配信が実行されるようにしても構わない。この場合利用者は、先に携帯端末7を無線通信I/F48aに近づけて、画像データの配信が可能な状態とした上で、配信開始の指示を行うことになる。
【0064】
画像配信装置4は、上述した通りの動作を実行する。また映画館9の管理者は、画像配信装置4を使って、映画券を購入した利用客に対して、画像配信のサービスを行う。これにより利用者は、ある映画のタイトルに対応した映画券を購入した後、画像配信装置4を使って、そのタイトルに関する所望の画像データの提供を受けることが可能となっている。
【0065】
以上に説明した通り、画像配信装置4は、映画に関する画像データ(映画のワンシーンなどの画像データ)を複数種に亘って取得する機能部(主に、画像取得部47など)と、取得した画像データを表示させた上で、表示させた画像データのうちの何れかの選択を受付ける機能部(主に、操作部43や演算制御部44など)と、携帯端末7(受信装置の一種)が着脱可能に接続される機能部(主に、画像配信部48など)と、選択画像データを携帯端末7へ配信する動作を行う機能部(主に、演算制御部44や画像配信部48)と、を備えている。
【0066】
そのため画像配信装置4によれば、利用者の所持する携帯端末7に所望の画像データを配信し、利用者に映画に関する所望の画像の情報を提供することが可能となっている。これにより、利用者の満足度を高めることによって、利用者に再度映画館を訪れようとする意欲をもたせ、利用者の増大を図ることが可能となっている。
【0067】
また画像配信装置4は、映画券が挿入(提出)される度に、この映画券を回収した上で、選択画像データを配信する動作を1回だけ行うようになっている。
【0068】
そのため画像配信装置4によれば、選択画像データの配信を、1回の映画鑑賞につき1回に制限することが可能となっている。これにより、映画を鑑賞していない(映画券を取得していない)者に対して当該配信がなされることや、同じ者に対して何度も当該配信がなされることが防止される。つまり、配信の回数が制限されるようになっている。その結果、配信される画像データの希少価値を出来るだけ維持させて、映画券の販促効果を狙うことが可能となっている。
【0069】
また画像配信装置4において、画像取得部47は、複数種の映画のタイトルの各々に関連付けられた画像データを取得するようになっている。更にステップS1の動作によれば、映画券が挿入される度に、この映画券に付随した情報に基づいて、当該映画券に対応したタイトル(複数種のタイトルのうちの一つ)が特定されるようになっている。更にステップS2およびS3の動作によれば、画像取得部47が取得した画像データのうち、特定されたタイトルに関連付けられたもののみを表示させた上で、表示させた画像データのうちの何れかの選択を受付けるようになっている。
【0070】
そのため画像配信装置4によれば、複数種のタイトルの画像データを取得するものでありながら、配信される画像データの種類を、利用者が鑑賞した(或いは鑑賞予定の)タイトルに関するものに、限定することが可能となっている。
【0071】
また画像配信装置4は、被写体を撮影して撮影画像データを取得する機能部(主に、撮影部46など)と、ステップS3の動作を通じて選択のなされた画像データに、撮影画像データを合成させる機能部(主に、演算制御部44など)と、を備えている。
【0072】
そのため画像配信装置4によれば、配信される画像データを、利用者の肖像などを合成させたものとすることが可能となっている。その結果、配信される画像データの内容を、利用者の希望により一層沿ったものとし、利用者の満足度をより高めることが可能となっている。
【0073】
また本実施例では、提出された映画券が回収されるようにすることで、画像データの配信回数の制限が可能となっているが、他の手法によって、画像データの配信回数が制限されるようにしても構わない。
【0074】
例えば、映画券の各々にID情報(その映画券を他の映画券から区別させ得る情報であり、一例として、通し番号を表すバーコード)が付随している場合、映画券が提示された際に、画像配信装置4がこのID情報を読取って記憶するようにしておく。そして画像配信装置4において、映画券が提示された際には、この提示された映画券に付随しているID情報が、以前に提示された映画券のものと一致しているかが判断されるようにしておく。
【0075】
そして更に、画像配信装置4において、一致しないと判断された場合に限り、選択画像データを配信する動作が1回だけ行われるようにする。つまり、以前に提示された映画券と同じ映画券が、再度提示されても、選択画像データを配信する動作は実行されないようにする。
【0076】
このようにしておけば、同じ映画券が何度も提示されてその度に画像データが配信されるといった事態を、防止することが可能となる。そのため、映画券を回収する場合と同様に、配信の回数を制限することが可能となる。
【0077】
なお、画像配信装置4に提示させるものとしては、映画券に限らず、配信を受ける利用者を特定し得る種々のもの(例えば、会員カードやポイントカードといったカード類)を採用することができる。このようにすれば、不特定の者が画像データの配信を自由に受けられる事態を防止し、画像データの希少価値が下がることを極力防ぐことが可能となる。
【0078】
[実施例2]
次に実施例2として、印刷物提供装置(画像処理装置の一種)を挙げて説明する。なお本実施例は、画像配信部48の代わりに印刷部が設けられた点や、画像データを配信する代わりに印刷物を提供する点などを除いて、基本的に実施例1と同等であり、重複した説明は省略する。
【0079】
図6は、本実施例に係る印刷物提供装置の構成を表すブロック図であり、図7は、当該印刷物提供装置の外観図である。図6に示すように、印刷物提供装置4aは、印刷物49を備えている。
【0080】
印刷部49は、演算制御部44の指示に応じて、予め供給されている印刷用紙に画像データを印刷するプリンタ49a、および、当該印刷のなされた印刷用紙(印刷物の一種)を外部に排出するための用紙排出口49bを有している。用紙排出口49bは、図7に示すように、印刷物提供装置4aの前面に設けられており、利用者は排出された印刷用紙を受取ることが可能となっている。
【0081】
また印刷物提供装置4aは、実施例1の画像配信装置4が行う画像配信動作の代わりに、画像データが印刷された印刷用紙を提供するための動作(印刷物提供動作)を行う。印刷物提供動作の内容について、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、ステップS1からS6までの動作については、実施例1の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0082】
ステップS6の動作により選択画像データが表示させた状態にて、演算制御部44は、選択画像データの印刷および画像データの再選択受付の、何れを実行すべきかの指示(例えばタッチパネル43aの所定操作)を待機する(ステップS11)。このとき利用者は、これから印刷されるデータが、現状の選択画像データで良いと考える場合には、印刷の実行(印刷OK)を指示し、選択画像データの変更を希望する場合には、再選択受付(再選択必要)を指示することになる。
【0083】
再選択受付が指示された場合には(ステップS11の「再選択必要」)、演算制御部44は、現状の選択画像データに関わる情報を破棄し、再度ステップS3の動作を行う。これにより利用者は、選択画像データを変更させることが可能である。
【0084】
一方、印刷の実行が指示された場合には(ステップS11の「印刷OK」)、演算制御部44は、印刷部49に、選択画像データを印刷用紙に印刷して排出するよう指示する。これを受けて印刷部49は、選択画像データを印刷用紙に印刷し、当該印刷用紙を外部に排出する(ステップS12)。なお選択画像データが動画の場合は、その動画の1フレーム(例えば、最初のフレーム)の画像が、印刷用紙に印刷される。
【0085】
これにより利用者は、選択画像データの印刷された印刷用紙を入手することができる。なおステップS12の動作が完了することにより、1回分の印刷物提供動作は完了し、印刷物提供装置4aは再び通常の動作状態に戻る。
【0086】
上述したように印刷物提供装置4aによれば、利用者に映画に関する所望の画像の印刷物を提供することが可能となっている。これにより、利用者の満足度を高めることができ、ひいては、利用者の増大を図ることが可能となる。なお画像データが印刷される媒体は、印刷用紙に限られるものではなく、印刷の可能な種々のものとすることができる。
【0087】
また印刷物提供装置4aを、実施例1で説明した各機能(選択画像データを携帯端末7に配信する機能など)をも兼ね備えたものとしても良い。この場合、例えば利用者の指示に応じて、選択画像データの配信および印刷物の排出の、何れが実行されるかが決定されるようにすれば良い。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、映画館に設置される画像処理装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 エントランスホール
2 上映ルーム
3 発券機
4 画像配信装置(画像処理装置の一形態)
4a 印刷物提供装置(画像処理装置の一形態)
5 チェックゲート
6 画像サーバ
7 携帯端末(受信装置)
9 映画館
41 券処理部
41a 券挿入口
42 表示部
42a 確認用画面
42b 画像データ表示用画面
43 操作部
43a タッチパネル
43b 画像選択ボタン
44 演算制御部
45 記憶部
46 撮影部
46a カメラ
47 画像取得部
48 画像配信部
48a 無線通信I/F
49 印刷部
49a プリンタ
49b 用紙排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映画のワンシーンなどの画像データを複数種に亘って取得する画像取得部と、
前記取得した画像データを表示させた上で、該表示させた画像データのうちの何れかの選択を受付ける選択受付部と、
受信装置が着脱可能に接続される接続部と、
前記選択のなされた画像データを、前記受信装置へ配信する配信動作を行う画像配信部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
所定の券が提出される度に、
当該券を回収した上で、前記配信動作を1回だけ行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像取得部は、それぞれが複数種の映画のタイトルの何れかに関連付けられた画像データを取得するものである、請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記券が提出される度に、当該券に付随した情報に基づいて、前記タイトルのうちの一つを特定し、
前記選択受付部は、
前記取得した画像データのうち、特定されたタイトルに関連付けられたもののみを表示させた上で、該表示させた画像データのうちの何れかの選択を受付けることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
ID情報が付随した所定の券が提示される度に、
当該ID情報が以前に提示された券のものと一致しない場合に、前記配信動作を1回だけ行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
映画のワンシーンなどの画像データを複数種に亘って取得する画像取得部と、
前記取得した画像データを表示させた上で、該表示させた画像データのうちの何れかの選択を受付ける選択受付部と、
前記選択のなされた画像データの印刷物を生成する印刷部と、を備え、
該印刷物を提供することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
被写体を撮影して撮影画像データを取得する撮影部と、
前記選択のなされた画像データに、前記撮影画像データを合成させる合成部と、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−151433(P2011−151433A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8673(P2010−8673)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】