説明

画像処理装置

【課題】電子情報を入力画像データから確実に読み出すことができ、画像を適正に形成することができるようにする。
【解決手段】入力画像データを受信するデータ入力部11と、前記入力画像データの地紋領域を抽出する地紋領域抽出部12と、地紋領域の地紋の入力画像データを解析し、電子情報を読み出す電子情報読出部と、前記電子情報とは別の電子情報を地紋に埋め込み、画像データを生成する地紋生成部18と、画像本体部の画像データを生成する画像処理部14と、合成画像データを生成する画像合成部19と、前記合成画像データに基づいて媒体に画像を形成する画像形成部とを有する。電子情報が埋め込まれた地紋の画像データが新たに生成されるので、地紋が劣化することがない。電子情報を入力画像データから確実に読み出すことができるので、媒体に画像を適正に形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像処理装置としての画像形成装置、例えば、複合機において、複写機能を利用して原稿を複写する場合、スキャナ部において原稿の画像が読み取られ、読み取られた画像のデータ、すなわち、入力画像データとしての読取画像データが生成され、該読取画像データがプリンタ部に送られ、該プリンタ部において読取画像データに基づいて用紙に画像が形成される。
【0003】
ところで、印刷物が複写機によって不正に複写されるのを防止するために、地紋付きの画像を用紙に形成する地紋印刷機能を有するプリンタが提供されている。この種のプリンタによって用紙に形成された画像は、画像の本体部分、すなわち、画像本体部、及びその周囲に形成された地紋から成り、該地紋に、パスワードを含む電子情報としての電子透かし情報が埋め込まれる。このような地紋を含む画像が形成された用紙を複合機で複写する場合、読取画像データが生成され、解析されて電子透かし情報が読み出されるとともに、電子透かし情報にパスワードが含まれているかどうかが判断される。そして、電子透かし情報にパスワードが含まれている場合、コントロールパネル部における表示に従って操作者がパスワードを入力すると、電子透かし情報に含まれているパスワードと、入力されたパスワードとが一致するかどうか判断され、パスワードが一致すると、原稿の複写が許可され、用紙に複写による画像が形成される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−61068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の複合機においては、複写の繰り返し、時間の経過等に伴って地紋が劣化すると、スキャナ部において、地紋に埋め込まれた電子透かし情報を読取画像データから読み出すことができなくなってしまう。
【0006】
その場合、パスワードが一致するかどうかの判断を行うことができなくなり、複写による画像を適正に形成することができなくなってしまう。
【0007】
本発明は、前記従来の複合機の問題点を解決して、電子情報を入力画像データから確実に読み出すことができ、画像を適正に形成することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の画像処理装置においては、入力画像データを受信するデータ入力部と、前記入力画像データを読み込み、解析し、地紋領域を抽出する地紋領域抽出部と、抽出された地紋領域の地紋の入力画像データを解析し、地紋に埋め込まれた電子情報を読み出す電子情報読出部と、前記電子情報とは別の電子情報を地紋に埋め込み、電子情報を埋め込んだ地紋の画像データを生成する地紋生成部と、画像本体部の画像データを生成する画像処理部と、該画像処理部によって生成された画像本体部の画像データと、前記地紋生成部によって生成された地紋の画像データとを合成し、合成画像データを生成する画像合成部と、前記合成画像データに基づいて媒体に画像を形成する画像形成部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像処理装置においては、入力画像データを受信するデータ入力部と、前記入力画像データを読み込み、解析し、地紋領域を抽出する地紋領域抽出部と、抽出された地紋領域の地紋の入力画像データを解析し、地紋に埋め込まれた電子情報を読み出す電子情報読出部と、前記電子情報とは別の電子情報を地紋に埋め込み、電子情報を埋め込んだ地紋の画像データを生成する地紋生成部と、画像本体部の画像データを生成する画像処理部と、該画像処理部によって生成された画像本体部の画像データと、前記地紋生成部によって生成された地紋の画像データとを合成し、合成画像データを生成する画像合成部と、前記合成画像データに基づいて媒体に画像を形成する画像形成部とを有する。
【0010】
この場合、電子情報が埋め込まれた地紋の画像データが新たに生成されるので、地紋が劣化することがない。したがって、電子情報を入力画像データから確実に読み出すことができるので、媒体に画像を適正に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態における複合機の制御ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における原稿の例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるコントロールパネル部を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における電子透かし情報の例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における複合機の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態における地紋生成部による電子透かし情報の更新例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における地紋領域抽出処理のサブルーチンを示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における複合機の制御ブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における電子透かし情報の例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における地紋生成部による電子透かし情報の更新例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像処理装置としての画像形成装置である複合機について説明する。
【0013】
図1は本発明の第1の実施の形態における複合機の制御ブロック図、図2は本発明の第1の実施の形態における原稿の例を示す図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるコントロールパネル部を示す図、図4は本発明の第1の実施の形態における電子透かし情報の例を示す図である。
【0014】
図1に示されるように、複合機10は、画像読取部としてのスキャナ部21、データ入力処理手段としてのデータ入力部11、地紋領域抽出処理手段としての地紋領域抽出部12、地紋領域消去処理手段としての地紋領域消去部13、画像データを生成する画像処理部14、操作部としての、かつ、表示部としてのコントロールパネル部15、複合機10の全体の制御を行う制御処理手段としての制御部16、電子透かし情報読出処理手段としての、かつ、電子情報読出部としての電子透かし情報読出部17、地紋生成処理手段としての地紋生成部18、画像合成処理手段としての画像合成部19、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のカラー画像を形成する画像形成部としてのプリンタ部20等を備える。
【0015】
前記複合機10は、複写機能及び印刷機能を有し、複写機能を使用して原稿30を複写する場合、前記スキャナ部21において原稿30の画像が読み取られ、プリンタ部20において図示されない媒体としての用紙に画像が形成される(印刷される。)。
【0016】
そのために、前記スキャナ部21は、図示されないスキャナ(読取ヘッド)、自動原稿送装置等を備え、該自動原稿送装置に原稿30がセットされると、自動的に原稿30を取り込み、前記スキャナを走査させて原稿30の画像を読み取り、RGB色空間で表現されるカラーのデータ、すなわち、読取画像データを生成する。
【0017】
そして、データ入力部11は前記読取画像データを受信する。なお、複合機10の印刷機能が使用される場合、データ入力部11は、図示されない上位装置としてのホストコンピュータから印刷用のデータ、すなわち、印刷画像データを受信する。この場合、前記読取画像データによって第1の入力画像データが、印刷画像データによって第2の入力画像データが構成される。
【0018】
前記コントロールパネル部15は、操作者が、複合機10に各動作を指示するためのユーザインタフェースであり、図3に示されるように、複合機10のステータスを表示したり、各種の設定項目を表示したりするための表示画面15a、及び複合機10の機能を選択したり、印刷又は複写枚数を入力したり、印刷又は複写の開始、中止等の指示を行ったりするためのキー、ボタン等から成る操作要素15bを備える。
【0019】
また、前記プリンタ部20は、各色のインク、現像剤としてのトナー等によって画像を形成する。
【0020】
本実施の形態において使用される前記原稿30には、図2に示されるように、文字、図形、写真等、本実施の形態においては、文字から成る第1の画像部としての画像本体部22、及び該画像本体部22の周囲に形成された第2の画像部としての地紋23から成る画像が形成され、この場合、前記地紋23は、一つ以上の画素(ドット)の集合体から成る微小な網点31を点在させることによって形成される。
【0021】
また、本実施の形態において、網点31は、所定の一つの色、本実施の形態においては、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのうちのいずれかの色で、網点31の周囲、すなわち、背景の部分の輝度より低い輝度で形成される。なお、本実施の形態において、背景の部分は用紙の地の色にされるが、別の所定の色でべた印刷を行うことによって形成することもできる。
【0022】
さらに、前記原稿30において、画像本体部22は、地紋23で使用された色以外の色で形成され、例えば、地紋23がシアンで形成される場合、画像本体部22はマゼンタ、イエロー及びブラックのうちのいずれかの色又は複数の色で形成される。なお、原稿30における所定の位置に、地紋23の色を設定する領域、すなわち、地紋色設定領域33が形成され、該地紋色設定領域33は地紋23を形成するために使用された色で塗りつぶされる。したがって、前記地紋色設定領域33を座標で特定し、地紋色設定領域33の色のCMYBk値を測定することによって、地紋23を形成するために使用された色を検出することができる。
【0023】
また、前記原稿30においては、地紋23に、「コピー禁止」等のような、複写を牽制するための文言を構成する複写牽制情報としての複写牽制文字列44が潜像として埋め込まれ、原稿30を複写したときに、前記複写牽制文字列44が顕像として用紙に形成される。そして、前記地紋23には、前記網点31を所定のパターンで配列することによって作成された電子情報としての電子透かし情報40が埋め込まれる。該電子透かし情報40は、図4に示されるように、原稿が印刷されたときの複合機の操作者を表すユーザ名41、原稿の印刷日42、複写が許可されているか、又は複写を許可するためのパスワード(暗号化されたパスフレーズ)が設定されていることを表す許可情報としてのコピー許可情報43、前記複写牽制文字列44等から成る。
【0024】
次に、複写機能を使用する際の複合機10の動作について説明する。
【0025】
図5は本発明の第1の実施の形態における複合機の動作を示すフローチャート、図6は本発明の第1の実施の形態における地紋生成部による電子透かし情報の更新例を示す図である。
【0026】
まず、前記スキャナ部21において、スキャナが走査させられ、原稿30の画像が読み取られ、読取画像データが生成される。そして、データ入力部11が、データ入力処理を行い、スキャナ部21から読取画像データを受信すると、地紋領域抽出部12は、地紋領域抽出処理を行い、読取画像データを読み込み、解析し、画像を構成する各オブジェクトの、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの色の名前を表す色情報、画素数を表す画素情報等を取得し、色情報、画素情報等に基づいて、原稿30上における縦方向及び横方向に所定のピッチで区分された複数の領域から、地紋領域を抽出する。
【0027】
次に、電子透かし情報読出部17は、電子透かし情報読出処理を行い、地紋領域抽出部12によって抽出された地紋領域の地紋を表す読取画像データを解析し、地紋に埋め込まれた電子透かし情報40を読み出し、図示されない記憶装置に記録するとともに、電子透かし情報40に基づいて、複合機10による複写動作の挙動の決定を行う。
【0028】
続いて、制御部16の図示されないコピー許可判断処理手段は、コピー許可判断処理を行い、電子透かし情報40を読み込み、コピー許可情報43を参照し、原稿の複写が許可されているか、又は複写を許可するためのパスワードが設定されているかどうかを判断する。
【0029】
パスワードが設定されている場合、電子透かし情報読出部17は制御部16にその旨を通知し、該制御部16の図示されない認証処理手段は、認証処理を行い、コントロールパネル部15の前記表示画面15aに、表示操作要素としてのソフトウェアキーボードを表示するとともに、操作者にパスワードを入力するよう促すメッセージを表示する。そして、操作者によってパスワードが入力されると、前記認証処理手段は、あらかじめ設定され、前記記憶装置に記録されたコピー許可情報43のパスワードと、入力されたパスワードとが一致するかどうかを判断し、パスワードが一致する場合、操作者が適正であるかどうかの認証、すなわち、パスワード認証を行う。なお、本実施の形態においては、パスワード認証が行われるようになっているが、パスワード認証に代えて、カード認証、指紋認証等による認証を行うことができる。
【0030】
そして、パスワードが一致しない場合、制御部16の図示されない中断処理手段としての複写中断処理手段は、中断処理としての複写中断処理を行い、複合機10による複写を中断し、処理を終了する。なお、本実施の形態においては、パスワードが一致しない場合に複合機10の複写が中断されるようになっているが、パスワードが一致しない場合に黒塗りの画像を用紙に形成したり、複写が禁止されている旨のメッセージを前記表示画面15aに表示して複写を中断したり、複写された画像の内容が分からなくなるように画像処理を施したりすることができる。
【0031】
また、複写が許可されている場合、又はパスワードが一致する場合、地紋領域消去部13は、地紋領域消去処理を行い、読取画像データ上において、網点31の画素を周辺の画素値で塗りつぶすことによって地紋領域を消去し、画像本体部22だけを残す。
【0032】
本実施の形態においては、電子透かし情報40のコピー許可情報43によって、複写が許可されているか、又は複写を許可するためのパスワードが設定されていることが表されるようになっているが、コピー許可情報43とは別に、パスワードが設定されているかどうかを表すためだけのパスワード情報を電子透かし情報40に含ませることもできる。
【0033】
その場合、コピー許可情報43は、複写が許可されているかどうかを表すためだけの情報になり、前記コピー許可判断処理手段は、コピー許可情報43を参照して複写が許可されているかどうかを判断し、制御部16の図示されないパスワード設定判断処理手段は、パスワード設定判断処理を行い、前記パスワード情報を参照してパスワードが設定されているかどうかを判断し、パスワードが設定されている場合に、前記認証処理手段はパスワードが一致するかどうかを判断する。そして、コピー許可判断処理において、コピー許可情報43によって複写が許可されていないと判断された場合、及び前記認証処理においてパスワードが一致しないと判断された場合に、前記複写中断処理手段は複写中断処理を行う。
【0034】
次に、画像処理部14は、地紋領域消去部13によって地紋領域が消去された後の画像本体部22に対し、制御部16で指定された画像処理を行い、画像本体部22用の画像データを生成する。そのために、画像処理部14は、前記表示画面15aに、操作者に「文字」、「文字・写真」、「写真」、「高精細」等の画像処理のカテゴリのうちの所定のカテゴリを選択するよう促すメッセージを表示する。操作者によって所定のカテゴリが選択されると、画像処理部14は、選択されたカテゴリに応じて、用紙に画像本体部22の画像を形成するための画像データを生成する。このとき、画像処理部14は、画像間の干渉を防止するためのスムージング・モアレ除去等の処理も併せて行う。
【0035】
続いて、地紋生成部18は、地紋生成処理を行い、前記記憶装置から電子透かし情報40を読み出して更新(変更)し、更新後の電子透かし情報40を地紋に埋め込み、電子透かし情報40を埋め込んだ地紋(地紋領域抽出部12によって抽出された地紋領域の地紋とは別の地紋)の画像データを生成する。この場合、地紋生成部18は、電子透かし情報40のユーザ名41を、現在複合機10を使用(ログイン)している操作者のユーザ名41に、印刷日42を、現在複合機10を使用している日付に変更する。この場合、前記ユーザ名41、印刷日42等によって複合機10のステータス情報が構成される。
【0036】
したがって、例えば、図6に示されるように、User2である操作者が、2009年5月28日に、パスワード認証によって複写が許可された原稿を複写した場合、電子透かし情報40aが電子透かし情報40bに変更され、ユーザ名41が、「User1」から「User2」に、印刷日42が、「2009/02/25」から「2009/05/28」に変更される。なお、本実施の形態においては、電子透かし情報40が更新されることによって所定の情報が変更されるようになっているが、情報を変更することなく電子透かし情報40を更新することができる。また、本実施の形態においては、電子透かし情報40に印刷日42が含まれるようになっているが、印刷日42に印刷時刻を含ませることもできる。
【0037】
続いて、画像合成部19は、画像合成処理を行い、画像処理部14によって生成された前記画像本体部22の画像データと、地紋生成部18によって生成された地紋の画像データとを合成し、合成画像を合成画像データとして生成する。そして、プリンタ部20は、画像形成処理を行い、画像合成部19によって生成された合成画像データを読み込んで、用紙に画像本体部22及び地紋23の画像を形成する。
【0038】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 スキャナ部21から読取画像データを受信する。
ステップS2 地紋領域抽出処理を行う。
ステップS3 地紋に埋め込まれた電子透かし情報40を読み出す。
ステップS4 複写が許可されているか、又はパスワードが一致するかどうかを判断する。複写が許可されているか、又はパスワードが一致する場合はステップS5に進み、パスワードが一致しない場合は処理を終了する。
ステップS5 地紋領域を消去する。
ステップS6 画像本体部22の画像データに対して画像処理を行う。
ステップS7 電子透かし情報40bを埋め込んだ地紋の画像データを生成する。
ステップS8 合成画像データを生成する。
ステップS9 画像形成処理を行い、処理を終了する。
【0039】
次に、前記地紋領域抽出処理のサブルーチンについて説明する。
【0040】
図7は本発明の第1の実施の形態における地紋領域抽出処理のサブルーチンを示す図である。
【0041】
まず、地紋領域抽出部12の図示されない色空間変換処理手段は、色空間変換処理を行い、地紋領域抽出部12が読み込んだ読取画像データの色空間を、後述されるRGB−CMYBk変換式を用いて、RGB色空間からCMYBk色空間に変換する。
【0042】
この場合、シアンの画素数をNCとし、マゼンタの画素数をNMとし、イエローの画素数をNYとし、ブラックの画素数をNBkとし、レッドの画素数をNRとし、グリーンの画素数をNGとし、ブルーの画素数をNBとする。また、minは、括弧内の各要素のうちの最小値を表す。
【0043】
NC=(1−NR−NBk)/(1−NBk)
NM=(1−NG−NBk)/(1−NBk)
NY=(1−NB−NBk)/(1−NBk)
NBk=min(1−NR,1−NG,1−NB)
続いて、地紋領域抽出部12の図示されない画素数平均値算出処理手段は、画素数平均値算出処理を行い、前記地紋色設定領域33(図2)におけるCMYBk色空間に変換された読取画像データにおいて、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各画素数を走査し、前記記憶装置に記録する。この場合、原稿30上の前記地紋色設定領域33は、地紋を形成するために使用される色で塗りつぶされているので、前記各画素数のうちの最も大きい画素数のプレーンを地紋プレーンとする。なお、該地紋プレーンは、地紋を形成するために使用される色を表すプレーンである。
【0044】
続いて、地紋領域抽出部12の図示されないデータ区分処理手段は、データ区分処理を行い、前記地紋プレーンのデータを、クラスタリングし、地紋プレーンのデータの部分集合体(クラスタ)から成る地紋候補領域Ti(i=1、2、…、n)に区分し、地紋領域抽出部12の図示されない地紋領域判定処理手段は、地紋領域判定処理を行い、各地紋候補領域Tiについて第1〜第3の条件が成立するかどうかによって、各地紋候補領域Tiが地紋領域であるかどうかを判断する。
【0045】
すなわち、地紋領域判定処理手段は、地紋候補領域Tiにおけるシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各画素数を走査するとともに、地紋候補領域Ti内における所定の網点31に着目し、該網点31と最も近い網点31を選択し、二つの網点31間の距離Lを算出する。
【0046】
続いて、地紋領域判定処理手段は、地紋候補領域Ti内における地紋の色の画素数Naがあらかじめ設定された閾値Th1より小さいかどうかによって第1の条件が成立するかどうかを判断し、地紋候補領域Ti内における他の色の画素数Nbがあらかじめ設定された閾値Th2より小さいかどうかによって第2の条件が成立するかどうかを判断し、地紋候補領域Ti内における二つの網点31間の距離Lがあらかじめ設定された閾値Th3より大きいかどうかによって第3の条件が成立するかどうかを判断する。
【0047】
そして、地紋領域判定処理手段は、第1〜第3の条件が成立する場合、地紋候補領域Tiが地紋領域であると判断し、第1〜第3の条件のうちのいずれか一つの条件が成立しない場合、地紋候補領域Tiが地紋領域ではないと判断する。
【0048】
なお、地紋23は、一つ以上の画素の集合体から成る細かい網点31によって形成されるので、一つの地紋領域における地紋23の色の画素数Naは微小な値を採る。また、地紋23は一つの色で形成されるので、地紋領域内の地紋の色以外の他の色の画素数Nbは、背景の画素数と同等の微小な値を採る。そして、地紋領域内において各網点31は点在させられているので、二つの網点31間の距離Lは所定の値を採る。したがって、これらのことを考慮して前記閾値Th1〜Th3が設定される。
【0049】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS2−1 RGB色空間をCMYBk色空間に変換する。
ステップS2−2 画素数を走査する。
ステップS2−3 最も大きい画素数のプレーンを地紋プレーンとする。
ステップS2−4 地紋プレーンのデータをクラスタリングする。
ステップS2−5 地紋候補領域Tiの変数iに0をセットする。
ステップS2−6 変数iに1をインクリメントする。
ステップS2−7 Na<Th1、Nb<Th2、L>Th3の第1〜第3の条件が成立するかどうかを判断する。第1〜第3の条件が成立する場合はステップS2−8に、第1〜第3の条件のうちのいずれか一つの条件が成立しない場合はステップS2−9に進む。
ステップS2−8 地紋候補領域Tiを地紋領域とする。
ステップS2−9 変数iがnと等しいかどうかを判断する。変数iがnと等しい場合はリターンし、等しくない場合はステップS2−6に戻る。
【0050】
このように、本実施の形態においては、地紋23に埋め込まれた電子透かし情報40が、読取画像データから読み出され、更新された後に再び地紋23に埋め込まれ、電子透かし情報40が埋め込まれた地紋23の画像データが新たに生成されるので、地紋23が劣化することがない。したがって、電子透かし情報40を読取画像データから確実に読み出すことができるので、パスワードによる認証を行うことができ、用紙に対して原稿の画像を適正に形成することができ、原稿を適正に複写することができる。
【0051】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0052】
図8は本発明の第2の実施の形態における複合機の制御ブロック図、図9は本発明の第2の実施の形態における電子透かし情報の例を示す図、図10は本発明の第2の実施の形態における地紋生成部による電子透かし情報の更新例を示す図である。
【0053】
この場合、電子情報読出部としての電子透かし情報読出部57は、電子透かし情報読出処理を行い、地紋領域抽出処理手段としての地紋領域抽出部12によって抽出された地紋領域の地紋を表す読取画像データを解析し、電子情報としての電子透かし情報60を読み出し、図示されない記憶装置に記録するとともに、電子透かし情報60に基づいて、画像処理装置としての画像形成装置である複合機10による複写動作の挙動の決定を行う。
【0054】
前記電子透かし情報60は、図9に示されるように、ユーザ名41、印刷日42、コピー許可情報43、複写牽制文字列44、及び各種のプリンタ、複合機等による複写の履歴を表す履歴情報としてのコピー履歴情報65から成る。
【0055】
また、地紋生成処理手段としての地紋生成部18は、地紋生成処理を行い、記憶装置から電子透かし情報60を読み出して更新(変更)し、更新後の電子透かし情報60を含んだ地紋(地紋領域抽出部12によって抽出された地紋領域の地紋とは別の地紋)の画像データを生成する。この場合、地紋生成部18は、電子透かし情報60におけるユーザ名41を、現在複合機10を使用(ログイン)している操作者のユーザ名41に、印刷日42を、現在複合機10を使用している日付に変更するとともに、現在使用している複合機10の識別情報を前記コピー履歴情報65に追加する。
【0056】
したがって、例えば、図10に示されるように、User2である操作者が、2009年5月28日に、パスワード認証によって複写が許可された原稿30を複合機10を使用して複写した場合、電子透かし情報60aが電子透かし情報60bに変更され、ユーザ名41が、「User1」から「User2」に、印刷日42が、「2009/02/25」から「2009/05/28」に、コピー履歴情報65が「プリンタA」から「プリンタA,複合機B」に変更される。なお、前記ユーザ名41、印刷日42、コピー履歴情報65等によって複合機10のステータス情報が構成される。
【0057】
このように、本実施の形態においては、電子透かし情報60にコピー履歴情報65が含まれるので、複写の履歴を追跡することによって、原稿30の画像の複写に伴う情報の漏えい状況を把握することができるようになるだけでなく、情報の漏えいを防止するための対策をたてやすくすることができる。
【0058】
前記各実施の形態においては、複合機10について説明しているが、本発明を画像形成装置としてのプリンタ、複写機、ファクシミリ等に適用することができる。
【0059】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0060】
10 複合機
11 データ入力部
12 地紋領域抽出部
14 画像処理部
17、57 電子透かし情報読出部
18 地紋生成部
19 画像合成部
20 プリンタ部
22 画像本体部
40、40a、40b、60、60a、60b 電子透かし情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)入力画像データを受信するデータ入力部と、
(b)前記入力画像データを読み込み、解析し、地紋領域を抽出する地紋領域抽出部と、
(c)抽出された地紋領域の地紋の入力画像データを解析し、地紋に埋め込まれた電子情報を読み出す電子情報読出部と、
(d)前記電子情報とは別の電子情報を地紋に埋め込み、電子情報を埋め込んだ地紋の画像データを生成する地紋生成部と、
(e)画像本体部の画像データを生成する画像処理部と、
(f)該画像処理部によって生成された画像本体部の画像データと、前記地紋生成部によって生成された地紋の画像データとを合成し、合成画像データを生成する画像合成部と、
(g)前記合成画像データに基づいて媒体に画像を形成する画像形成部とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記地紋領域抽出部によって抽出された地紋領域を消去する地紋領域消去部を有する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記電子情報は電子透かし情報である請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記電子情報は、画像処理装置のステータス情報、許可情報及び複写牽制情報を有する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記地紋生成部は、抽出された地紋領域の地紋とは別の地紋の画像データを生成する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記地紋生成部は、抽出された地紋領域の地紋に埋め込まれた電子情報を更新し、更新した電子情報を別の地紋に埋め込み、画像データを生成する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記地紋生成部は、画像処理装置のステータス情報を変更することによって前記電子情報を更新する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記電子情報は、画像処理装置の識別情報を履歴情報として有する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記地紋生成部は、複写牽制情報を潜像として地紋に埋め込む請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記許可情報に基づく操作者の認証が行われない場合に、画像処理装置の出力処理を中断する中断処理手段を有する請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記地紋領域抽出部は、画像を構成する各オブジェクトの色情報及び画素情報に基づいて地紋領域を抽出する請求項1に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−244180(P2011−244180A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114131(P2010−114131)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】