画像処理装置
【課題】RAIDコントローラと画像処理装置のコントローラとの共有管理情報を、HDDのミラーリング情報にコピーしておくことで、共有管理情報とミラーリング情報との比較により正常なHDDであるか否かを適切に判断し、HDDを安全に管理して動作させる。
【解決手段】HDD20,50の共有管理情報領域23,53には、複合機を起動した時に、管理情報を記録する。RAIDコントローラ42は、共有管理情報領域に記憶された管理情報をミラーリング情報領域22,52にコピーする。そして、複合機の起動時に、RAIDコントローラ42は、それぞれのHDD20,50のミラーリング情報領域22,52の情報と、共有管理情報領域23,53の管理情報とを比較して、その内容が一致している場合正常に起動し、一致していない場合、過去に使用履歴のあるHDDであると判断して、そのHDDを制御対象から切り離すとともに警告表示を行う。
【解決手段】HDD20,50の共有管理情報領域23,53には、複合機を起動した時に、管理情報を記録する。RAIDコントローラ42は、共有管理情報領域に記憶された管理情報をミラーリング情報領域22,52にコピーする。そして、複合機の起動時に、RAIDコントローラ42は、それぞれのHDD20,50のミラーリング情報領域22,52の情報と、共有管理情報領域23,53の管理情報とを比較して、その内容が一致している場合正常に起動し、一致していない場合、過去に使用履歴のあるHDDであると判断して、そのHDDを制御対象から切り離すとともに警告表示を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力を行う画像処理装置に関するものであり、例えば、複数の画像処理機能を備えた複合機に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置として、コピー機能やプリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファックス機能等の複数の画像処理機能を備えた複合機が知られている。
複合機にはデータ保存用にHDD(Hard disk drive)を備えているものも多い。近年のHDDの大容量化に伴い、複合機のコピー機能を利用してコピーを行ったときの画像データや、ユーザのPC内のファイルを保存するサーバーとしての用途にもHDDが使用されることが多くなっている。そのような中、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)システムを用いることで、HDDが故障した場合であってもデータの損失を防ぐことができるため、複合機のHDDにRAIDシステムが搭載されるようになっている。
【0003】
RAIDシステムでは、ミラーリング機能を持つRAIDコントローラを搭載することで、HDD内のデータをミラーリングすることができる。ミラーリングとは、複数のHDDに対して同じデータを書込むことで、常に同じ情報を持つHDDが複数存在し、万が一つのHDDが故障した場合であっても、他のHDDのデータによって動作を継続することを可能とするものである。複合機等の画像処理装置においても、重要データ等の保全のため、ミラーリングを実行するための機能を取り入れた機種がある。
【0004】
RAIDを構成するために、RAID制御のためのコントローラ(RAIDコントローラとする)が、各々のHDDの一部領域にHDDを識別し管理するための管理情報を記録し、この管理情報に基づいて制御するようしている。そしてRAIDコントローラは、この管理情報をミラーリングして複数のHDDに記録するようにしている。この管理情報をミラーリング情報とする。
【0005】
従来の例として、特許文献1に開示された2重化ディスクシステムが知られている。この2重化とはミラーリングのことであり、2重化ディスクシステムは、管理情報を記録し、その内容により起動時に各HDDの状態を把握し、ミラーリング動作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−259346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ミラーリング情報内には、RAIDに関わる情報のみが記録され、複合機の機種情報などの識別情報等は記録されていない。そのため、例えば異なる機種の複合機で使用した履歴があるHDDを、別の複合機に設置した場合、RAIDコントローラは、複合機の電源起動後、異なる機種で使用したHDDであることを認識することができない。そのため、複合機にHDDを設置するとき、異なる機種で使用したことがあるHDDを設置した場合、RAIDコントローラによって、そのHDDのデータを上書きする等のトラブルが発生する。
【0008】
本発明は、上記のごとき実情に鑑みてなされたものであり、RAIDコントローラと画像処理装置のコントローラとで共有できる管理情報を設け、特定の管理情報をHDDのミラーリング情報にコピーしておくようにすることで、共有管理情報とミラーリング情報との比較により正常なHDDであるか否かを適切に判断し、HDDを安全に管理して動作させるようにした画像処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に第1の技術手段は、画像処理装置本体の動作を制御する画像処理装置コントローラと、RAIDを構成する複数のHDDと、該複数のHDDを制御するRAIDコントローラを有し、各前記HDDの一部の記憶領域を、前記画像処理装置コントローラと前記RAIDコントローラとの両方がアクセスできる共有管理情報領域とし、前記RAIDコントローラは、前記複数のHDD間でのミラーリングを制御するとともに、各前記HDDを識別し管理するためのミラーリング情報を各前記HDDに記憶させ、前記共有管理情報領域に記憶された特定の管理情報を、前記ミラーリング情報を記憶させる領域にコピーすることを特徴としたものである。
【0010】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記画像処理装置コントローラが、前記画像処理装置の起動時に、前記特定の管理情報として、前記画像処理装置の所定の識別情報を前記共有管理情報領域に記録し、前記RAIDコントローラは、各前記HDDにおいて、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内の情報と、前記起動時に前記共有管理情報領域に記録された前記識別情報とを比較し、該比較した結果に基づいて、該比較の対象となったHDDがRAIDを構成する上で正常なHDDか否かを判断することを特徴としたものである。
【0011】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、情報を表示する表示パネルを有し、前記RAIDコントローラは、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内に存在する過去にコピーされた前記特定の管理情報と、前記起動時に前記共有管理情報領域に記憶された前記特定の管理情報とを比較し、該比較した結果が一致しなければ、該比較の対象となったHDDが正常ではないと判断し、前記画像処理装置コントローラは、前記RAIDコントローラの判断に従い、前記表示パネルに警告表示を行い、正常でないと判断したHDDを制御対象から切り離すことを特徴としたものである。
【0012】
第4の技術手段は、第2または3に記載の技術手段において、前記RAIDコントローラが、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内に、前記特定の管理情報が記録されていない場合、前記比較の対象となったHDDが正常であると判断し、前記共有管理情報領域に記憶された特定の管理情報を、前記ミラーリング情報を記憶させる領域にコピーし、前記画像処理装置コントローラは、RAIDコントローラの判断に従い、前記画像処理装置の起動を正常に実行することを特徴としたものである。
【0013】
第5の技術手段は、第2〜4のいずれか1の技術手段において、前記RAIDコントローラが、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内に存在する過去にコピーされた特定の管理情報と、前記起動時に前記共有管理情報領域に記憶された特定の管理情報とを比較し、該比較した結果が一致した場合、該比較の対象となったHDDが正常であると判断し、 前記画像処理装置コントローラは、前記RAIDコントローラの判断に従い、前記画像処理装置の起動を正常に実行することを特徴とすることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、RAIDコントローラと画像処理装置のコントローラとで共有できる管理情報を設け、特定の管理情報をHDDのミラーリング情報にコピーしておくようにすることで、共有管理情報とミラーリング情報との比較により正常なHDDであるか否かを適切に判断し、HDDを安全に管理して動作させるようにした画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】RAIDシステムが備えられていない場合の複合機コントローラとHDDの関係を示す図である。
【図2】RAIDシステムが備えられた複合機の構成を説明する図である。
【図3】複合機にミラーリングキットを初めて装着するときの例を説明する図である。
【図4】複合機にミラーリングキットを初めて装着するときの例を説明する他の図である。
【図5】複合機にミラーリングキットを初めて装着するときの例を説明する更に他の図である。
【図6】複合機にミラーリングキットを初めて装着するときの例を説明する更に他の図である。
【図7】複合機にミラーリングキットを初めて装着するときの例を説明する更に他の図である。
【図8】RAIDシステム構築後にHDDが故障したときのHDDの交換処理について説明する図である。
【図9】RAIDシステム構築後にHDDが故障したときのHDDの交換処理について説明する他の図である。
【図10】RAIDシステム構築後にHDDが故障したときのHDDの交換処理について説明する更に他の図である。
【図11】RAIDシステム構築後にHDDが故障したときのHDDの交換処理について説明する更に他の図である。
【図12】RAIDシステム構築後にHDDが故障したときのHDDの交換処理について説明する更に他の図である。
【図13】RAIDシステム構築後にHDDが故障したときのHDDの交換処理について説明する更に他の図である。
【図14】他機種での使用履歴があるミラーリングキットを新たに複合機に装着した状態を示す図である。
【図15】他機種での使用履歴があるミラーリングキットを新たに複合機に装着した状態を示す他の図である。
【図16】他機種での使用履歴があるミラーリングキットを新たに複合機に装着した状態を示す更に他の図である。
【図17】他機種での使用履歴があるミラーリングキットを新たに複合機に装着した状態を示す更に他の図である。
【図18】HDDが故障した場合に、装着履歴のあるHDDを使用するときの状態を示す図である。
【図19】HDDが故障した場合に、装着履歴のあるHDDを使用するときの状態を示す他の図である。
【図20】本発明の実施形態におけるRAIDシステムの構成を説明する図である。
【図21】本発明による画像処理装置の処理例を説明するためのフローチャートである。
【図22】本発明による画像処理装置の処理例を説明するためのフローチャートで、図21に続く図である。
【図23】本発明による画像処理装置の処理例を説明するためのフローチャートで、図21に続く他の図である。
【図24】使用履歴のある中古のHDDを装着したときの複合機の表示パネルの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る画像処理装置の実施形態は、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、等の複数の画像処理機能を備えた複合機として実施できる。以下、複合機を例として説明するが、本発明に係る画像処理装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの特定の画像処理機能を有する装置として構成することもできる。
【0017】
複合機は、RAIDを制御するRAIDコントローラを備え、そのRAIDコントローラが、2つ以上のHDDを制御し、ミラーリングする機能を備えている。そしてHDDの一部の記録領域を、複合機本体を制御するコントローラ(複合機コントローラとする)と、RAIDを制御するRAIDコントローラとの両方がアクセスできる領域とし、その領域に両コントローラの共有管理情報を保存する。これにより、RAIDコントローラと、複合機コントローラの両方が情報を共有できる。この共有管理情報を用いて、HDDの使用履歴を適切に把握して、HDDを安全に管理して動作させるようにする。
【0018】
ここでまず、RAIDの概念について説明する。
図1は、RAIDシステムが備えられていない場合の複合機コントローラとHDDの関係を説明する図である。図1において、10はコントローラ基板上に設けられた複合機コントローラ、20は複合機の本体に設置されているHDDである。
複合機コントローラ10は、複合機本体を制御するコントローラであり、基板上に形成されたCPU,ROM,RAM等を有し、ROMに記憶されたプログラムを実行して複合機の画像処理等の各種動作を制御している。複合機は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、画像送受信機能、などの画像処理機能を実行する画像処理手段を有し、各種情報を表示する表示手段である表示パネルを備えている。複合機コントローラ10は、画像処理装置本体の動作を制御する本発明の画像処理装置コントローラに該当する。
【0019】
図1に示すように、RAIDシステムのない複合機においては、複合機コントローラ10は、1つのHDD20に対しデータの読み書きを行う。つまり複合機コントローラ10から、直接1台のHDD20にアクセスする。この場合、HDD20が故障すると、そのHDD20は複合機コントローラ10と通信することができず、複合機コントローラ10が動作を制御する複合機の運転が停止し、場合によってはHDD20に記憶しているユーザデータが損失する可能性がある。
【0020】
図2は、RAIDシステムが備えられた複合機の構成を説明する図である。
RAIDシステムは、RAIDコントローラ42を搭載したミラーリング基板41、及びHDD50で構成される。これらRAIDコントローラ42を搭載したミラーリング基板41とHDD50との構成をミラーリングキット30と呼ぶ。以下、複合機本体に備えられていたHDD20を本体側のHDDとし、ミラーリングキット30に含まれるHDD50をミラーリングキット側のHDD50とする。
【0021】
ミラーリングキット30を備えることにより、複合機コントローラ10は、ミラーリング基板41上のRAIDコントローラ42を介して2つのHDD20,50にアクセスすることができる。また、両方のHDD20,50に、両方のHDDを識別し管理するためのミラーリング情報が書き込まれる。ミラーリング情報は、それぞれのHDD20,50に同時に書き込まれる。これにより1つのHDDに障害が発生しても、もう1方のHDDの情報を使用することができ、1台のHDDが故障してもデータの損失は生じない。
【0022】
次に、ミラーリング情報について説明する。ミラーリング情報は、複合機にミラーリングキット30を新設した際、その装着後に複合機の電源をONしたタイミングで、HDDを識別し管理するために両方のHDD20,50に書き込まれる情報である。このミラーリング情報が一旦書き込まれると、以降、RAIDコントローラ42は、このミラーリング情報をもとにRAIDの制御を行う。ミラーリング情報は、非常に重要な情報であるため、複合機コントローラ10からは直接アクセスできないような領域に記憶することが望ましい。
【0023】
図3〜図7は、複合機にミラーリングキットを初めて装着するときの例を説明する図である。この構成は、本発明の特徴である共有管理情報領域を設けない場合の一般的な動作を説明するものである。
図3は、ミラーリングキットの装着前の複合機の状態を示す図で、複合機の本体側のHDD20では、ミラーリング情報を記憶すべきミラーリング情報領域22には、ミラーリング情報が存在しない。
【0024】
図4では、複合機に新たにミラーリングキット30を装着した様子を示す。複合機本体側のHDD20には、ユーザデータを記憶するユーザデータ領域21とミラーリング情報領域22とがあるが、上記のようにこの時点でミラーリング情報領域22には、ミラーリング情報は存在しない。また、ミラーリングキット30のHDD50にも、ユーザデータを記憶すべきユーザデータ領域51とミラーリング情報領域52があるが、ミラーリング情報領域52にはミラーリング情報が存在しない。
【0025】
ここで複合機の電源を起動すると、図5に示すように、RAIDコントローラ42は、両方のHDD20,50のミラーリング情報領域22,52にミラーリング情報が存在しないため、各HDD20,50にミラーリング情報を書き込む。
その後、図6に示すように、RAIDコントローラ42は、複合機本体側のHDD20からミラーリングキット側のHDD50に対して、全ユーザデータをコピーし、HDD50のユーザデータ領域51に記憶させる。これをリビルドという。そして一定時間経過後、全てのユーザデータがコピーされると、図7に示すように、2つのHDD20,50のユーザデータは完全に同じ内容になる。
【0026】
次に、上記図7に示すようなRAIDシステム構築後にHDDが故障したときのHDDの交換処理について、図8〜図13を参照して説明する。図8において、HDD20,50のいずれかが故障した場合、RAIDコントローラ42がその故障を検知し、複合機コントローラ10に通知する。ここでは、ミラーリングキット側のHDD50が故障したものとする。故障の通知を受けた複合機コントローラ10は、複合機の表示パネル等に一台のHDD50が故障したことを表示し、ユーザにHDD50の交換等を促す。
【0027】
図9は、複合機から故障したHDD50を取り外した状態を示す。そして図10は、新品のHDD50´をミラーリングキット30に設置した状態を示す。
新品のHDD50´は、当然にそのミラーリング情報領域52にはミラーリング情報が存在しない。その後、複合機の電源を起動すると、図11に示すように、RAIDコントローラ42は、ミラーリングキット30に設置した新品のHDD50´のミラーリング情報領域52にミラーリング情報を書き込む。
【0028】
そして、その後、図12に示すように、RAIDコントローラ42は、複合機本体側のHDD20からミラーリングキット側のHDD50´に対してリビルドを開始する。そして一定時間経過後、全てのユーザデータが本体側のHDD20から新品のHDD50´にコピーされると、図13に示すように、2つのHDD20,50´のユーザデータ領域21,51は完全に同じ内容になり、この状態でRAIDシステムが完全に復旧したことになる。
【0029】
次に、HDDの設置時及び交換時における禁止事項について、2点説明する。
1点目として、ミラーリングキット30が未装着である複合機に他機種での使用履歴がある中古のミラーリングキット30を装着してはいけない。この内容を図14〜図17により説明する。ここでも本発明に係る共有管理情報領域を有しない場合の一般的な状態を例として説明する。
【0030】
図14は、ミラーリングキット30を未装着の複合機(例えば図3に示す状態の複合機)に対して、他機種での使用履歴がある中古のミラーリングキット30を新たに装着した状態を示している。複合機本体側のHDD20のユーザデータ領域21にはユーザデータが書き込まれているが、そのミラーリング情報領域22にはミラーリング情報が存在しない。そして新たに装着された中古のミラーリングキット30では、HDD50のミラーリング情報領域52に過去に他機種の複合機にて書き込まれたミラーリング情報が存在している。また、ユーザデータ領域51には、データが存在しないか、もしくは複合機本体側のユーザデータとは異なるデータが存在している。
【0031】
この状態で複合機の電源を起動すると、図15に示すように、RAIDコントローラ42は、複合機本体側のHDD20にミラーリング情報が存在しないため、ミラーリングキット側のHDD50のミラーリング情報を、複合機本体側のHDD20のミラーリング情報領域22に書き込む。そして図16に示すように、RAIDコントローラ42は、ミラーリングキット側のHDD50から、複合機本体側のHDD20に対してリビルド動作を始める。これは、ミラーリング情報が存在するミラーリングキット側のHDD50をコピー元としてRAIDコントローラ42が動作するためである。この結果、図17に示すように、ミラーリングキット側のHDD50のユーザデータが、複合機本体側のHDD20に上書きされ、複合機本体側のHDD20に元々書き込まれていたユーザデータが消去されてしまう。
【0032】
HDDの設置時及び交換時における禁止事項の2点目として、ミラーリングキット30が装着済みの複合機において、HDDが故障した場合に、ミラーリングキット30に装着履歴のあるHDDを使用してはいけない。この内容を図18〜図19を参照して説明する。ここでも本発明に係る共有管理情報領域を有しない場合の一般的な状態を例として説明する。
【0033】
複合機に装着されたミラーリングキット側のHDD50、または複合機本体側のHDD20の一方で故障が発生した場合(例えば図8〜図9)、その故障したHDDを取り外して新たなHDDに交換する。ここでは、ミラーリングキット側のHDD50が故障したものとする。図18に示すように、故障したミラーリングキット側のHDD50に代えて新たなHDD50´に交換する場合、その交換したHDD50´が、他の機種の複合機における使用履歴がある中古のHDDであったものとする。
【0034】
この場合、中古のHDD50´には既に前の機種の複合機で記録されたミラーリング情報が存在している。一方、複合機本体側のHDD20にもミラーリング情報が存在している。これら2つのHDD50´,20のミラーリング情報は相互に一致していない。
【0035】
図19において、中古のHDD50´に交換した複合機を起動しようとした際、RAIDコントローラ42は、2つのHDD50´,20からそれぞれミラーリング情報を読み出して識別を行うが、両者のミラーリング情報が異なっているため識別困難となってしまい、複合機を起動することができなくなる。このときユーザは、何故起動できなくなっているかが分からない。従って他の機種の複合機で使用履歴があるHDDを使用してはいけない。
【0036】
図20は、本発明の実施形態におけるRAIDシステムの構成を説明する図である。図20(A)に示すように、本発明に係る実施形態に適用されるRAIDシステムは、RAIDコントローラ42を搭載したミラーリング基板41、及びHDD50で構成される。これらRAIDコントローラ42を搭載したミラーリング基板41とHDD50とによってミラーリングキット30が構成される。
【0037】
複合機コントローラ10は、ミラーリング基板41上のRAIDコントローラ42を介して2つのHDD20,50にアクセスする。また、両方のHDD20,50のミラーリング情報領域22,52に、HDDを識別し管理するためのミラーリング情報が書き込まれる。ミラーリング情報により1つのHDDに障害が発生しても、もう1方のHDDの情報を使用することができ、1台のHDDが故障してもデータの損失は生じない。
【0038】
本発明に係る実施形態では、HDD20,50の一部の記録領域を、複合機コントローラ10と、RAIDコントローラ42との両方がアクセスできる共有管理情報領域23,53とし、その共有管理情報領域に両コントローラ10,42の共有の管理情報を記録する。共有の管理情報には、複合機の機種情報などの識別情報を用いることができる。以下管理情報に、複合機の機種情報を用いるものとして説明する。
共有管理情報領域23,53には、複合機を起動した時に、複合機コントローラ10が、複合機の機種情報を含む管理情報を記録する。これにより複合機コントローラ10とRAIDコントローラ42との両方で、複合機の機種情報を含む管理情報を共有できる。
【0039】
図20(B)に、各HDDの共有管理情報領域に記憶させる管理情報の構成を示す。各HDD20,50の共有管理情報領域23,53に記憶させる管理情報は、複合機の機種情報、複合機コントローラ10からの書き込み済みフラグ、及びRAIDコントローラ42からの比較結果である。複合機の機種情報としては、機種名やMACアドレスのデータが記録される。また、書き込み済みフラグとしては、例えば、複合機コントローラ10による情報の書き込み前は0,書き込み後は1のフラグを記録する。
【0040】
また、RAIDコントローラの比較結果は、RAIDコントローラ42が、それぞれのHDD20,50のミラーリング情報領域22,52の情報と、共有管理情報領域23,53の管理情報とを比較して、その内容が一致しているかどうかを判別した結果を示す情報である。ミラーリング情報領域22,52の情報と共有管理情報領域23,53の管理情報の内容が一致していれば正常であり、一致していなければ正常でなく禁止事項に該当する。また、ミラーリング情報自体がなければ未使用のHDDであるため、これも正常と判断する。これらの判断情報を記憶する。
【0041】
図20(C)に、各HDDのミラーリング情報領域に記憶させるミラーリング情報の構成を示す。ミラーリング情報は、RAID識別情報、及び複合機の機種情報からなっている。RAID識別情報は、RAIDによりHDDを識別し管理するための情報である。また、複合機の機種情報は、複合機コントローラ10が共有管理情報領域に記憶させた機種情報を、RAIDコントローラ42がミラーリング情報領域22,52にコピーしたものである。また、他の機種で過去に使用されたことがあるHDDでは、このミラーリング情報に、共有管理情報領域の管理情報とは異なる情報が記録されていることがある。
【0042】
上記のシステムにおいて、RAIDコントローラ42は、それぞれのHDD20,50のミラーリング情報領域22,52の情報と、共有管理情報領域23,53の管理情報とを比較して、その内容が一致しているかどうかを判別する。具体的には管理情報に含まれる機種情報が一致するかどうかを判別する。そしてこれらの内容が一致している場合、正常に起動する。
【0043】
このとき、例えば未使用のHDD50を含むミラーリングキット30が装着されている場合、未使用のHDD50のミラーリング情報領域53には、ミラーリング情報がないため、RAIDコントローラ42は、共有管理情報領域52の管理情報を、ミラーリング情報領域52にコピーし、複合機を正常に起動させる。ミラーリング情報がない場合は、HDDが新品かもしくはRAIDシステムとして初めて使用されることを示しているため、この場合には、HDDが不適切であると判断せず、正常に起動させることができる。この処理は、本体側のHDD20についても同様とする。
【0044】
そして、RAIDコントローラ42が、それぞれのHDD20,50のミラーリング情報領域22,52の情報と、共有管理情報領域23,53の管理情報とを比較して、その内容が一致している場合、複合機コントローラ10は、複合機を正常に起動させる。これにより、RAIDとして使用可能なHDDが装着されているときに、正常に起動させることができる。
【0045】
また、HDD20,50のミラーリング情報領域22,52の情報と、共有管理情報領域23,53の管理情報との内容が一致しない場合には、過去に他の機種で使用された履歴をもつHDDであると判断される。つまり、共有管理情報領域23,53の管理情報は、その複合機の電源がONになったときに複合機コントローラ10によって書き込まれるが、ミラーリング情報領域22,52の管理情報は、最初に新品の状態で共有管理情報領域23,53からコピーされたものが原則として存在する。従って、適正なHDDであれば、共有管理情報領域23,53に記憶した管理情報と、ミラーリング情報領域22,52に記憶した管理情報とが一致する。
【0046】
これらが一致しない場合には、過去に他の機種で使用されたときにその機種のミラーリング情報が書き込まれた状態であることがわかる。従ってこのような場合には、HDDが正常ではなく、RAIDを構成する上で適切でないことを警告するメッセージを複合機の表示パネルに表示し、そのHDDを制御対象から切り離す。このメッセージでは複合機の電源を切ることを要求し、HDDのミラーリング情報を消去するか、あるいはフォーマットし直すことを要求することができる。これにより、HDDの状態をユーザに通知してその対処を要求するとともに、マシンの不具合等を防ぐことができる。
【0047】
図21〜図23は、本発明による画像処理装置の処理例を説明するためのフローチャートで、画像処理装置の実施形態である複合機によって実施されるフローを示すものである。ここでは図6の構成を参照しながら、複合機コントローラ10とRAIDコントローラ42との処理に分けて説明する。
まず複合機コントローラ10によって複合機の電源がONにされると(ステップS1)、複合機コントローラ10は、複合機本体側のHDD20の共有管理情報領域23と、ミラーリングキット側のHDD50の共有管理情報領域53の両方に、共有管理情報の一つである機種情報を書き込む(ステップS2)。各共有管理情報領域23,53は、複合機コントローラ10と、RAIDコントローラ42との両方がアクセスする領域として予め取り決めておく必要がある。
そして、複合機コントローラ10は、各共有管理情報領域23,53の書込み済みフラグを0から1にする(ステップS102)。
【0048】
複合機の電源をONした後、RAIDコントローラ42は、書き込み済みフラグが0から1になるまでポーリングし、書き込み済みフラグが1になっていることを確認する(ステップS4)。そして、RAIDコントローラ42は、共有管理情報領域23,53の機種情報を読み出し、読み出した機種情報と、ミラーリング情報領域22,52にミラーリング情報として記憶されている機種情報とを比較する(ステップS5)。
【0049】
そして、RAIDコントローラ42は、ミラーリング情報の機種情報領域に機種情報が有るか判別し(ステップS6)、機種情報が有る場合、比較結果が一致しているかどうかを判断する(ステップS7)。ここで比較内容が一致している場合、RAIDコントローラ42は、共有管理情報領域53,23におけるRAIDコントローラの比較結果を示す領域に、比較結果が正常であることを設定する(ステップS8)。そしてRAIDコントローラ42は、共有管理情報領域53,23の書込み済みフラグを1から0にする(ステップS9)。
【0050】
複合機コントローラ10は、共有管理情報の書き込み済みフラグが1から0になるまでポーリングし、0になったら、共有管理情報領域53,23に設定された比較結果が正常であることを確認することができる(ステップS10)。そして複合機コントローラ10は、複合機を起動させる(ステップS11)。ここでの複合機の起動とは、複合機として使用可能な状態まで起動するという意味である。
【0051】
ステップS6でミラーリング情報の機種情報領域に機種情報がなければ、RAIDコントローラ42は、共有管理情報領域の機種情報をミラーリング情報領域の機種情報領域にコピーする(ステップS12)。そして、RAIDコントローラ42は、共有管理情報領域に、RAIDコントローラの比較結果として、新品のHDDが設置されたことを設定し(ステップS13)、共有管理情報領域の書込み済みフラグを1から0にする(ステップS14)。
【0052】
複合機コントローラ10は、共有管理情報領域の書き込み済みフラグが1から0になるまでポーリングし、0になっていれば、共有管理情報領域で新品のHDDの設置が設定されていることを確認できる(ステップS15)。そして複合機コントローラ10は、複合機を起動させる(ステップS16)。
【0053】
上記ステップS7にて、共有管理情報領域23,53の機種情報と、ミラーリング情報領域22,52の機種情報との比較内容が一致しない場合、RAIDコントローラ42は、比較内容が一致しないHDDについて、共有管理情報領域に、RAIDコントローラの比較結果として、使用履歴があるHDDが設置されたことを設定し(ステップS17)、共有管理情報領域の書込み済みフラグを1から0にする(ステップS18)。
【0054】
複合機コントローラ10は、共有管理情報領域の書き込み済みフラグが1から0になるまでポーリングし、0になっていれば、共有管理情報領域での使用履歴があるHDDが設置されていることを確認できる(ステップS19)。そして複合機コントローラ10は、表示パネルに使用済みのHDDが接続されたことを警告する表示を行う(ステップS20)。この後、複合機コントローラ10は複合機を停止させる(ステップS21)。ここでの停止とは、複合機として使用できない状態にすることを意味するものであり、RAIDコントローラ42は、HDDを制御対象から切り離して使用できないようにする。これにより、不適切なHDDが設置された際に、ユーザに対してフォーマット等の喚起を行うことができ、かつマシンの不具合等を防ぐことができる。
【0055】
図24は、使用履歴のある中古のHDDを装着したときの複合機の表示パネルの表示例を示す図である。複合機100は、表示パネル101を備えている。使用履歴のあるHDDを装着したときに表示パネル101には、警告表示102が表示される。警告表示102では、ユーザに電源を切るよう要求し、接続したHDDが過去に使用したものであることを通知し、HDDのミラーリング情報を消去するか、HDDを再フォーマットすることを要求することができる。
【0056】
上記のようなシステムを搭載することによって、使用履歴のあるHDDを装着した場合、装着したHDDにおける共有管理情報内の機種情報と、ミラーリング情報内の機種情報とが異なるため、ユーザに別のHDDを接続するよう喚起するとともに、RAIDコントローラがHDDを切り離す。これにより、他のHDDのユーザデータが上書きされてしまうことがない。つまり、過去に使用履歴がある中古のHDDを新たに複合機に装着して、電源ONしても、ユーザのデータが消去されることはない。
【符号の説明】
【0057】
10…複合機コントローラ、20,50…HDD、21,51…ユーザデータ領域、22,52…ミラーリング情報領域、23,53…共有管理情報領域、30…ミラーリングキット、41…ミラーリング基板、42…RAIDコントローラ、50…HDD、101…表示パネル、102…警告表示。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力を行う画像処理装置に関するものであり、例えば、複数の画像処理機能を備えた複合機に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置として、コピー機能やプリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファックス機能等の複数の画像処理機能を備えた複合機が知られている。
複合機にはデータ保存用にHDD(Hard disk drive)を備えているものも多い。近年のHDDの大容量化に伴い、複合機のコピー機能を利用してコピーを行ったときの画像データや、ユーザのPC内のファイルを保存するサーバーとしての用途にもHDDが使用されることが多くなっている。そのような中、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)システムを用いることで、HDDが故障した場合であってもデータの損失を防ぐことができるため、複合機のHDDにRAIDシステムが搭載されるようになっている。
【0003】
RAIDシステムでは、ミラーリング機能を持つRAIDコントローラを搭載することで、HDD内のデータをミラーリングすることができる。ミラーリングとは、複数のHDDに対して同じデータを書込むことで、常に同じ情報を持つHDDが複数存在し、万が一つのHDDが故障した場合であっても、他のHDDのデータによって動作を継続することを可能とするものである。複合機等の画像処理装置においても、重要データ等の保全のため、ミラーリングを実行するための機能を取り入れた機種がある。
【0004】
RAIDを構成するために、RAID制御のためのコントローラ(RAIDコントローラとする)が、各々のHDDの一部領域にHDDを識別し管理するための管理情報を記録し、この管理情報に基づいて制御するようしている。そしてRAIDコントローラは、この管理情報をミラーリングして複数のHDDに記録するようにしている。この管理情報をミラーリング情報とする。
【0005】
従来の例として、特許文献1に開示された2重化ディスクシステムが知られている。この2重化とはミラーリングのことであり、2重化ディスクシステムは、管理情報を記録し、その内容により起動時に各HDDの状態を把握し、ミラーリング動作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−259346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ミラーリング情報内には、RAIDに関わる情報のみが記録され、複合機の機種情報などの識別情報等は記録されていない。そのため、例えば異なる機種の複合機で使用した履歴があるHDDを、別の複合機に設置した場合、RAIDコントローラは、複合機の電源起動後、異なる機種で使用したHDDであることを認識することができない。そのため、複合機にHDDを設置するとき、異なる機種で使用したことがあるHDDを設置した場合、RAIDコントローラによって、そのHDDのデータを上書きする等のトラブルが発生する。
【0008】
本発明は、上記のごとき実情に鑑みてなされたものであり、RAIDコントローラと画像処理装置のコントローラとで共有できる管理情報を設け、特定の管理情報をHDDのミラーリング情報にコピーしておくようにすることで、共有管理情報とミラーリング情報との比較により正常なHDDであるか否かを適切に判断し、HDDを安全に管理して動作させるようにした画像処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に第1の技術手段は、画像処理装置本体の動作を制御する画像処理装置コントローラと、RAIDを構成する複数のHDDと、該複数のHDDを制御するRAIDコントローラを有し、各前記HDDの一部の記憶領域を、前記画像処理装置コントローラと前記RAIDコントローラとの両方がアクセスできる共有管理情報領域とし、前記RAIDコントローラは、前記複数のHDD間でのミラーリングを制御するとともに、各前記HDDを識別し管理するためのミラーリング情報を各前記HDDに記憶させ、前記共有管理情報領域に記憶された特定の管理情報を、前記ミラーリング情報を記憶させる領域にコピーすることを特徴としたものである。
【0010】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記画像処理装置コントローラが、前記画像処理装置の起動時に、前記特定の管理情報として、前記画像処理装置の所定の識別情報を前記共有管理情報領域に記録し、前記RAIDコントローラは、各前記HDDにおいて、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内の情報と、前記起動時に前記共有管理情報領域に記録された前記識別情報とを比較し、該比較した結果に基づいて、該比較の対象となったHDDがRAIDを構成する上で正常なHDDか否かを判断することを特徴としたものである。
【0011】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、情報を表示する表示パネルを有し、前記RAIDコントローラは、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内に存在する過去にコピーされた前記特定の管理情報と、前記起動時に前記共有管理情報領域に記憶された前記特定の管理情報とを比較し、該比較した結果が一致しなければ、該比較の対象となったHDDが正常ではないと判断し、前記画像処理装置コントローラは、前記RAIDコントローラの判断に従い、前記表示パネルに警告表示を行い、正常でないと判断したHDDを制御対象から切り離すことを特徴としたものである。
【0012】
第4の技術手段は、第2または3に記載の技術手段において、前記RAIDコントローラが、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内に、前記特定の管理情報が記録されていない場合、前記比較の対象となったHDDが正常であると判断し、前記共有管理情報領域に記憶された特定の管理情報を、前記ミラーリング情報を記憶させる領域にコピーし、前記画像処理装置コントローラは、RAIDコントローラの判断に従い、前記画像処理装置の起動を正常に実行することを特徴としたものである。
【0013】
第5の技術手段は、第2〜4のいずれか1の技術手段において、前記RAIDコントローラが、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内に存在する過去にコピーされた特定の管理情報と、前記起動時に前記共有管理情報領域に記憶された特定の管理情報とを比較し、該比較した結果が一致した場合、該比較の対象となったHDDが正常であると判断し、 前記画像処理装置コントローラは、前記RAIDコントローラの判断に従い、前記画像処理装置の起動を正常に実行することを特徴とすることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、RAIDコントローラと画像処理装置のコントローラとで共有できる管理情報を設け、特定の管理情報をHDDのミラーリング情報にコピーしておくようにすることで、共有管理情報とミラーリング情報との比較により正常なHDDであるか否かを適切に判断し、HDDを安全に管理して動作させるようにした画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】RAIDシステムが備えられていない場合の複合機コントローラとHDDの関係を示す図である。
【図2】RAIDシステムが備えられた複合機の構成を説明する図である。
【図3】複合機にミラーリングキットを初めて装着するときの例を説明する図である。
【図4】複合機にミラーリングキットを初めて装着するときの例を説明する他の図である。
【図5】複合機にミラーリングキットを初めて装着するときの例を説明する更に他の図である。
【図6】複合機にミラーリングキットを初めて装着するときの例を説明する更に他の図である。
【図7】複合機にミラーリングキットを初めて装着するときの例を説明する更に他の図である。
【図8】RAIDシステム構築後にHDDが故障したときのHDDの交換処理について説明する図である。
【図9】RAIDシステム構築後にHDDが故障したときのHDDの交換処理について説明する他の図である。
【図10】RAIDシステム構築後にHDDが故障したときのHDDの交換処理について説明する更に他の図である。
【図11】RAIDシステム構築後にHDDが故障したときのHDDの交換処理について説明する更に他の図である。
【図12】RAIDシステム構築後にHDDが故障したときのHDDの交換処理について説明する更に他の図である。
【図13】RAIDシステム構築後にHDDが故障したときのHDDの交換処理について説明する更に他の図である。
【図14】他機種での使用履歴があるミラーリングキットを新たに複合機に装着した状態を示す図である。
【図15】他機種での使用履歴があるミラーリングキットを新たに複合機に装着した状態を示す他の図である。
【図16】他機種での使用履歴があるミラーリングキットを新たに複合機に装着した状態を示す更に他の図である。
【図17】他機種での使用履歴があるミラーリングキットを新たに複合機に装着した状態を示す更に他の図である。
【図18】HDDが故障した場合に、装着履歴のあるHDDを使用するときの状態を示す図である。
【図19】HDDが故障した場合に、装着履歴のあるHDDを使用するときの状態を示す他の図である。
【図20】本発明の実施形態におけるRAIDシステムの構成を説明する図である。
【図21】本発明による画像処理装置の処理例を説明するためのフローチャートである。
【図22】本発明による画像処理装置の処理例を説明するためのフローチャートで、図21に続く図である。
【図23】本発明による画像処理装置の処理例を説明するためのフローチャートで、図21に続く他の図である。
【図24】使用履歴のある中古のHDDを装着したときの複合機の表示パネルの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る画像処理装置の実施形態は、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、等の複数の画像処理機能を備えた複合機として実施できる。以下、複合機を例として説明するが、本発明に係る画像処理装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの特定の画像処理機能を有する装置として構成することもできる。
【0017】
複合機は、RAIDを制御するRAIDコントローラを備え、そのRAIDコントローラが、2つ以上のHDDを制御し、ミラーリングする機能を備えている。そしてHDDの一部の記録領域を、複合機本体を制御するコントローラ(複合機コントローラとする)と、RAIDを制御するRAIDコントローラとの両方がアクセスできる領域とし、その領域に両コントローラの共有管理情報を保存する。これにより、RAIDコントローラと、複合機コントローラの両方が情報を共有できる。この共有管理情報を用いて、HDDの使用履歴を適切に把握して、HDDを安全に管理して動作させるようにする。
【0018】
ここでまず、RAIDの概念について説明する。
図1は、RAIDシステムが備えられていない場合の複合機コントローラとHDDの関係を説明する図である。図1において、10はコントローラ基板上に設けられた複合機コントローラ、20は複合機の本体に設置されているHDDである。
複合機コントローラ10は、複合機本体を制御するコントローラであり、基板上に形成されたCPU,ROM,RAM等を有し、ROMに記憶されたプログラムを実行して複合機の画像処理等の各種動作を制御している。複合機は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、画像送受信機能、などの画像処理機能を実行する画像処理手段を有し、各種情報を表示する表示手段である表示パネルを備えている。複合機コントローラ10は、画像処理装置本体の動作を制御する本発明の画像処理装置コントローラに該当する。
【0019】
図1に示すように、RAIDシステムのない複合機においては、複合機コントローラ10は、1つのHDD20に対しデータの読み書きを行う。つまり複合機コントローラ10から、直接1台のHDD20にアクセスする。この場合、HDD20が故障すると、そのHDD20は複合機コントローラ10と通信することができず、複合機コントローラ10が動作を制御する複合機の運転が停止し、場合によってはHDD20に記憶しているユーザデータが損失する可能性がある。
【0020】
図2は、RAIDシステムが備えられた複合機の構成を説明する図である。
RAIDシステムは、RAIDコントローラ42を搭載したミラーリング基板41、及びHDD50で構成される。これらRAIDコントローラ42を搭載したミラーリング基板41とHDD50との構成をミラーリングキット30と呼ぶ。以下、複合機本体に備えられていたHDD20を本体側のHDDとし、ミラーリングキット30に含まれるHDD50をミラーリングキット側のHDD50とする。
【0021】
ミラーリングキット30を備えることにより、複合機コントローラ10は、ミラーリング基板41上のRAIDコントローラ42を介して2つのHDD20,50にアクセスすることができる。また、両方のHDD20,50に、両方のHDDを識別し管理するためのミラーリング情報が書き込まれる。ミラーリング情報は、それぞれのHDD20,50に同時に書き込まれる。これにより1つのHDDに障害が発生しても、もう1方のHDDの情報を使用することができ、1台のHDDが故障してもデータの損失は生じない。
【0022】
次に、ミラーリング情報について説明する。ミラーリング情報は、複合機にミラーリングキット30を新設した際、その装着後に複合機の電源をONしたタイミングで、HDDを識別し管理するために両方のHDD20,50に書き込まれる情報である。このミラーリング情報が一旦書き込まれると、以降、RAIDコントローラ42は、このミラーリング情報をもとにRAIDの制御を行う。ミラーリング情報は、非常に重要な情報であるため、複合機コントローラ10からは直接アクセスできないような領域に記憶することが望ましい。
【0023】
図3〜図7は、複合機にミラーリングキットを初めて装着するときの例を説明する図である。この構成は、本発明の特徴である共有管理情報領域を設けない場合の一般的な動作を説明するものである。
図3は、ミラーリングキットの装着前の複合機の状態を示す図で、複合機の本体側のHDD20では、ミラーリング情報を記憶すべきミラーリング情報領域22には、ミラーリング情報が存在しない。
【0024】
図4では、複合機に新たにミラーリングキット30を装着した様子を示す。複合機本体側のHDD20には、ユーザデータを記憶するユーザデータ領域21とミラーリング情報領域22とがあるが、上記のようにこの時点でミラーリング情報領域22には、ミラーリング情報は存在しない。また、ミラーリングキット30のHDD50にも、ユーザデータを記憶すべきユーザデータ領域51とミラーリング情報領域52があるが、ミラーリング情報領域52にはミラーリング情報が存在しない。
【0025】
ここで複合機の電源を起動すると、図5に示すように、RAIDコントローラ42は、両方のHDD20,50のミラーリング情報領域22,52にミラーリング情報が存在しないため、各HDD20,50にミラーリング情報を書き込む。
その後、図6に示すように、RAIDコントローラ42は、複合機本体側のHDD20からミラーリングキット側のHDD50に対して、全ユーザデータをコピーし、HDD50のユーザデータ領域51に記憶させる。これをリビルドという。そして一定時間経過後、全てのユーザデータがコピーされると、図7に示すように、2つのHDD20,50のユーザデータは完全に同じ内容になる。
【0026】
次に、上記図7に示すようなRAIDシステム構築後にHDDが故障したときのHDDの交換処理について、図8〜図13を参照して説明する。図8において、HDD20,50のいずれかが故障した場合、RAIDコントローラ42がその故障を検知し、複合機コントローラ10に通知する。ここでは、ミラーリングキット側のHDD50が故障したものとする。故障の通知を受けた複合機コントローラ10は、複合機の表示パネル等に一台のHDD50が故障したことを表示し、ユーザにHDD50の交換等を促す。
【0027】
図9は、複合機から故障したHDD50を取り外した状態を示す。そして図10は、新品のHDD50´をミラーリングキット30に設置した状態を示す。
新品のHDD50´は、当然にそのミラーリング情報領域52にはミラーリング情報が存在しない。その後、複合機の電源を起動すると、図11に示すように、RAIDコントローラ42は、ミラーリングキット30に設置した新品のHDD50´のミラーリング情報領域52にミラーリング情報を書き込む。
【0028】
そして、その後、図12に示すように、RAIDコントローラ42は、複合機本体側のHDD20からミラーリングキット側のHDD50´に対してリビルドを開始する。そして一定時間経過後、全てのユーザデータが本体側のHDD20から新品のHDD50´にコピーされると、図13に示すように、2つのHDD20,50´のユーザデータ領域21,51は完全に同じ内容になり、この状態でRAIDシステムが完全に復旧したことになる。
【0029】
次に、HDDの設置時及び交換時における禁止事項について、2点説明する。
1点目として、ミラーリングキット30が未装着である複合機に他機種での使用履歴がある中古のミラーリングキット30を装着してはいけない。この内容を図14〜図17により説明する。ここでも本発明に係る共有管理情報領域を有しない場合の一般的な状態を例として説明する。
【0030】
図14は、ミラーリングキット30を未装着の複合機(例えば図3に示す状態の複合機)に対して、他機種での使用履歴がある中古のミラーリングキット30を新たに装着した状態を示している。複合機本体側のHDD20のユーザデータ領域21にはユーザデータが書き込まれているが、そのミラーリング情報領域22にはミラーリング情報が存在しない。そして新たに装着された中古のミラーリングキット30では、HDD50のミラーリング情報領域52に過去に他機種の複合機にて書き込まれたミラーリング情報が存在している。また、ユーザデータ領域51には、データが存在しないか、もしくは複合機本体側のユーザデータとは異なるデータが存在している。
【0031】
この状態で複合機の電源を起動すると、図15に示すように、RAIDコントローラ42は、複合機本体側のHDD20にミラーリング情報が存在しないため、ミラーリングキット側のHDD50のミラーリング情報を、複合機本体側のHDD20のミラーリング情報領域22に書き込む。そして図16に示すように、RAIDコントローラ42は、ミラーリングキット側のHDD50から、複合機本体側のHDD20に対してリビルド動作を始める。これは、ミラーリング情報が存在するミラーリングキット側のHDD50をコピー元としてRAIDコントローラ42が動作するためである。この結果、図17に示すように、ミラーリングキット側のHDD50のユーザデータが、複合機本体側のHDD20に上書きされ、複合機本体側のHDD20に元々書き込まれていたユーザデータが消去されてしまう。
【0032】
HDDの設置時及び交換時における禁止事項の2点目として、ミラーリングキット30が装着済みの複合機において、HDDが故障した場合に、ミラーリングキット30に装着履歴のあるHDDを使用してはいけない。この内容を図18〜図19を参照して説明する。ここでも本発明に係る共有管理情報領域を有しない場合の一般的な状態を例として説明する。
【0033】
複合機に装着されたミラーリングキット側のHDD50、または複合機本体側のHDD20の一方で故障が発生した場合(例えば図8〜図9)、その故障したHDDを取り外して新たなHDDに交換する。ここでは、ミラーリングキット側のHDD50が故障したものとする。図18に示すように、故障したミラーリングキット側のHDD50に代えて新たなHDD50´に交換する場合、その交換したHDD50´が、他の機種の複合機における使用履歴がある中古のHDDであったものとする。
【0034】
この場合、中古のHDD50´には既に前の機種の複合機で記録されたミラーリング情報が存在している。一方、複合機本体側のHDD20にもミラーリング情報が存在している。これら2つのHDD50´,20のミラーリング情報は相互に一致していない。
【0035】
図19において、中古のHDD50´に交換した複合機を起動しようとした際、RAIDコントローラ42は、2つのHDD50´,20からそれぞれミラーリング情報を読み出して識別を行うが、両者のミラーリング情報が異なっているため識別困難となってしまい、複合機を起動することができなくなる。このときユーザは、何故起動できなくなっているかが分からない。従って他の機種の複合機で使用履歴があるHDDを使用してはいけない。
【0036】
図20は、本発明の実施形態におけるRAIDシステムの構成を説明する図である。図20(A)に示すように、本発明に係る実施形態に適用されるRAIDシステムは、RAIDコントローラ42を搭載したミラーリング基板41、及びHDD50で構成される。これらRAIDコントローラ42を搭載したミラーリング基板41とHDD50とによってミラーリングキット30が構成される。
【0037】
複合機コントローラ10は、ミラーリング基板41上のRAIDコントローラ42を介して2つのHDD20,50にアクセスする。また、両方のHDD20,50のミラーリング情報領域22,52に、HDDを識別し管理するためのミラーリング情報が書き込まれる。ミラーリング情報により1つのHDDに障害が発生しても、もう1方のHDDの情報を使用することができ、1台のHDDが故障してもデータの損失は生じない。
【0038】
本発明に係る実施形態では、HDD20,50の一部の記録領域を、複合機コントローラ10と、RAIDコントローラ42との両方がアクセスできる共有管理情報領域23,53とし、その共有管理情報領域に両コントローラ10,42の共有の管理情報を記録する。共有の管理情報には、複合機の機種情報などの識別情報を用いることができる。以下管理情報に、複合機の機種情報を用いるものとして説明する。
共有管理情報領域23,53には、複合機を起動した時に、複合機コントローラ10が、複合機の機種情報を含む管理情報を記録する。これにより複合機コントローラ10とRAIDコントローラ42との両方で、複合機の機種情報を含む管理情報を共有できる。
【0039】
図20(B)に、各HDDの共有管理情報領域に記憶させる管理情報の構成を示す。各HDD20,50の共有管理情報領域23,53に記憶させる管理情報は、複合機の機種情報、複合機コントローラ10からの書き込み済みフラグ、及びRAIDコントローラ42からの比較結果である。複合機の機種情報としては、機種名やMACアドレスのデータが記録される。また、書き込み済みフラグとしては、例えば、複合機コントローラ10による情報の書き込み前は0,書き込み後は1のフラグを記録する。
【0040】
また、RAIDコントローラの比較結果は、RAIDコントローラ42が、それぞれのHDD20,50のミラーリング情報領域22,52の情報と、共有管理情報領域23,53の管理情報とを比較して、その内容が一致しているかどうかを判別した結果を示す情報である。ミラーリング情報領域22,52の情報と共有管理情報領域23,53の管理情報の内容が一致していれば正常であり、一致していなければ正常でなく禁止事項に該当する。また、ミラーリング情報自体がなければ未使用のHDDであるため、これも正常と判断する。これらの判断情報を記憶する。
【0041】
図20(C)に、各HDDのミラーリング情報領域に記憶させるミラーリング情報の構成を示す。ミラーリング情報は、RAID識別情報、及び複合機の機種情報からなっている。RAID識別情報は、RAIDによりHDDを識別し管理するための情報である。また、複合機の機種情報は、複合機コントローラ10が共有管理情報領域に記憶させた機種情報を、RAIDコントローラ42がミラーリング情報領域22,52にコピーしたものである。また、他の機種で過去に使用されたことがあるHDDでは、このミラーリング情報に、共有管理情報領域の管理情報とは異なる情報が記録されていることがある。
【0042】
上記のシステムにおいて、RAIDコントローラ42は、それぞれのHDD20,50のミラーリング情報領域22,52の情報と、共有管理情報領域23,53の管理情報とを比較して、その内容が一致しているかどうかを判別する。具体的には管理情報に含まれる機種情報が一致するかどうかを判別する。そしてこれらの内容が一致している場合、正常に起動する。
【0043】
このとき、例えば未使用のHDD50を含むミラーリングキット30が装着されている場合、未使用のHDD50のミラーリング情報領域53には、ミラーリング情報がないため、RAIDコントローラ42は、共有管理情報領域52の管理情報を、ミラーリング情報領域52にコピーし、複合機を正常に起動させる。ミラーリング情報がない場合は、HDDが新品かもしくはRAIDシステムとして初めて使用されることを示しているため、この場合には、HDDが不適切であると判断せず、正常に起動させることができる。この処理は、本体側のHDD20についても同様とする。
【0044】
そして、RAIDコントローラ42が、それぞれのHDD20,50のミラーリング情報領域22,52の情報と、共有管理情報領域23,53の管理情報とを比較して、その内容が一致している場合、複合機コントローラ10は、複合機を正常に起動させる。これにより、RAIDとして使用可能なHDDが装着されているときに、正常に起動させることができる。
【0045】
また、HDD20,50のミラーリング情報領域22,52の情報と、共有管理情報領域23,53の管理情報との内容が一致しない場合には、過去に他の機種で使用された履歴をもつHDDであると判断される。つまり、共有管理情報領域23,53の管理情報は、その複合機の電源がONになったときに複合機コントローラ10によって書き込まれるが、ミラーリング情報領域22,52の管理情報は、最初に新品の状態で共有管理情報領域23,53からコピーされたものが原則として存在する。従って、適正なHDDであれば、共有管理情報領域23,53に記憶した管理情報と、ミラーリング情報領域22,52に記憶した管理情報とが一致する。
【0046】
これらが一致しない場合には、過去に他の機種で使用されたときにその機種のミラーリング情報が書き込まれた状態であることがわかる。従ってこのような場合には、HDDが正常ではなく、RAIDを構成する上で適切でないことを警告するメッセージを複合機の表示パネルに表示し、そのHDDを制御対象から切り離す。このメッセージでは複合機の電源を切ることを要求し、HDDのミラーリング情報を消去するか、あるいはフォーマットし直すことを要求することができる。これにより、HDDの状態をユーザに通知してその対処を要求するとともに、マシンの不具合等を防ぐことができる。
【0047】
図21〜図23は、本発明による画像処理装置の処理例を説明するためのフローチャートで、画像処理装置の実施形態である複合機によって実施されるフローを示すものである。ここでは図6の構成を参照しながら、複合機コントローラ10とRAIDコントローラ42との処理に分けて説明する。
まず複合機コントローラ10によって複合機の電源がONにされると(ステップS1)、複合機コントローラ10は、複合機本体側のHDD20の共有管理情報領域23と、ミラーリングキット側のHDD50の共有管理情報領域53の両方に、共有管理情報の一つである機種情報を書き込む(ステップS2)。各共有管理情報領域23,53は、複合機コントローラ10と、RAIDコントローラ42との両方がアクセスする領域として予め取り決めておく必要がある。
そして、複合機コントローラ10は、各共有管理情報領域23,53の書込み済みフラグを0から1にする(ステップS102)。
【0048】
複合機の電源をONした後、RAIDコントローラ42は、書き込み済みフラグが0から1になるまでポーリングし、書き込み済みフラグが1になっていることを確認する(ステップS4)。そして、RAIDコントローラ42は、共有管理情報領域23,53の機種情報を読み出し、読み出した機種情報と、ミラーリング情報領域22,52にミラーリング情報として記憶されている機種情報とを比較する(ステップS5)。
【0049】
そして、RAIDコントローラ42は、ミラーリング情報の機種情報領域に機種情報が有るか判別し(ステップS6)、機種情報が有る場合、比較結果が一致しているかどうかを判断する(ステップS7)。ここで比較内容が一致している場合、RAIDコントローラ42は、共有管理情報領域53,23におけるRAIDコントローラの比較結果を示す領域に、比較結果が正常であることを設定する(ステップS8)。そしてRAIDコントローラ42は、共有管理情報領域53,23の書込み済みフラグを1から0にする(ステップS9)。
【0050】
複合機コントローラ10は、共有管理情報の書き込み済みフラグが1から0になるまでポーリングし、0になったら、共有管理情報領域53,23に設定された比較結果が正常であることを確認することができる(ステップS10)。そして複合機コントローラ10は、複合機を起動させる(ステップS11)。ここでの複合機の起動とは、複合機として使用可能な状態まで起動するという意味である。
【0051】
ステップS6でミラーリング情報の機種情報領域に機種情報がなければ、RAIDコントローラ42は、共有管理情報領域の機種情報をミラーリング情報領域の機種情報領域にコピーする(ステップS12)。そして、RAIDコントローラ42は、共有管理情報領域に、RAIDコントローラの比較結果として、新品のHDDが設置されたことを設定し(ステップS13)、共有管理情報領域の書込み済みフラグを1から0にする(ステップS14)。
【0052】
複合機コントローラ10は、共有管理情報領域の書き込み済みフラグが1から0になるまでポーリングし、0になっていれば、共有管理情報領域で新品のHDDの設置が設定されていることを確認できる(ステップS15)。そして複合機コントローラ10は、複合機を起動させる(ステップS16)。
【0053】
上記ステップS7にて、共有管理情報領域23,53の機種情報と、ミラーリング情報領域22,52の機種情報との比較内容が一致しない場合、RAIDコントローラ42は、比較内容が一致しないHDDについて、共有管理情報領域に、RAIDコントローラの比較結果として、使用履歴があるHDDが設置されたことを設定し(ステップS17)、共有管理情報領域の書込み済みフラグを1から0にする(ステップS18)。
【0054】
複合機コントローラ10は、共有管理情報領域の書き込み済みフラグが1から0になるまでポーリングし、0になっていれば、共有管理情報領域での使用履歴があるHDDが設置されていることを確認できる(ステップS19)。そして複合機コントローラ10は、表示パネルに使用済みのHDDが接続されたことを警告する表示を行う(ステップS20)。この後、複合機コントローラ10は複合機を停止させる(ステップS21)。ここでの停止とは、複合機として使用できない状態にすることを意味するものであり、RAIDコントローラ42は、HDDを制御対象から切り離して使用できないようにする。これにより、不適切なHDDが設置された際に、ユーザに対してフォーマット等の喚起を行うことができ、かつマシンの不具合等を防ぐことができる。
【0055】
図24は、使用履歴のある中古のHDDを装着したときの複合機の表示パネルの表示例を示す図である。複合機100は、表示パネル101を備えている。使用履歴のあるHDDを装着したときに表示パネル101には、警告表示102が表示される。警告表示102では、ユーザに電源を切るよう要求し、接続したHDDが過去に使用したものであることを通知し、HDDのミラーリング情報を消去するか、HDDを再フォーマットすることを要求することができる。
【0056】
上記のようなシステムを搭載することによって、使用履歴のあるHDDを装着した場合、装着したHDDにおける共有管理情報内の機種情報と、ミラーリング情報内の機種情報とが異なるため、ユーザに別のHDDを接続するよう喚起するとともに、RAIDコントローラがHDDを切り離す。これにより、他のHDDのユーザデータが上書きされてしまうことがない。つまり、過去に使用履歴がある中古のHDDを新たに複合機に装着して、電源ONしても、ユーザのデータが消去されることはない。
【符号の説明】
【0057】
10…複合機コントローラ、20,50…HDD、21,51…ユーザデータ領域、22,52…ミラーリング情報領域、23,53…共有管理情報領域、30…ミラーリングキット、41…ミラーリング基板、42…RAIDコントローラ、50…HDD、101…表示パネル、102…警告表示。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置本体の動作を制御する画像処理装置コントローラと、RAIDを構成する複数のHDDと、該複数のHDDを制御するRAIDコントローラを有し、
各前記HDDの一部の記憶領域を、前記画像処理装置コントローラと前記RAIDコントローラとの両方がアクセスできる共有管理情報領域とし、
前記RAIDコントローラは、前記複数のHDD間でのミラーリングを制御するとともに、各前記HDDを識別し管理するためのミラーリング情報を各前記HDDに記憶させ、
前記共有管理情報領域に記憶された特定の管理情報を、前記ミラーリング情報を記憶させる領域にコピーすることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記画像処理装置コントローラは、前記画像処理装置の起動時に、前記特定の管理情報として、前記画像処理装置の所定の識別情報を前記共有管理情報領域に記録し、
前記RAIDコントローラは、各前記HDDにおいて、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内の情報と、前記起動時に前記共有管理情報領域に記録された前記識別情報とを比較し、該比較した結果に基づいて、該比較の対象となったHDDがRAIDを構成する上で正常なHDDか否かを判断することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、
情報を表示する表示パネルを有し、
前記RAIDコントローラは、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内に存在する過去にコピーされた前記特定の管理情報と、前記起動時に前記共有管理情報領域に記憶された前記特定の管理情報とを比較し、該比較した結果が一致しなければ、該比較の対象となったHDDが正常ではないと判断し、
前記画像処理装置コントローラは、前記RAIDコントローラの判断に従い、前記表示パネルに警告表示を行い、正常でないと判断したHDDを制御対象から切り離すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の画像処理装置において、
前記RAIDコントローラは、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内に、前記特定の管理情報が記録されていない場合、前記比較の対象となったHDDが正常であると判断し、前記共有管理情報領域に記憶された特定の管理情報を、前記ミラーリング情報を記憶させる領域にコピーし、
前記画像処理装置コントローラは、RAIDコントローラの判断に従い、前記画像処理装置の起動を正常に実行することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1に記載の画像処理装置において、
前記RAIDコントローラは、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内に存在する過去にコピーされた特定の管理情報と、前記起動時に前記共有管理情報領域に記憶された特定の管理情報とを比較し、該比較した結果が一致した場合、該比較の対象となったHDDが正常であると判断し、
前記画像処理装置コントローラは、前記RAIDコントローラの判断に従い、前記画像処理装置の起動を正常に実行することを特徴とする画像処理装置。
【請求項1】
画像処理装置本体の動作を制御する画像処理装置コントローラと、RAIDを構成する複数のHDDと、該複数のHDDを制御するRAIDコントローラを有し、
各前記HDDの一部の記憶領域を、前記画像処理装置コントローラと前記RAIDコントローラとの両方がアクセスできる共有管理情報領域とし、
前記RAIDコントローラは、前記複数のHDD間でのミラーリングを制御するとともに、各前記HDDを識別し管理するためのミラーリング情報を各前記HDDに記憶させ、
前記共有管理情報領域に記憶された特定の管理情報を、前記ミラーリング情報を記憶させる領域にコピーすることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記画像処理装置コントローラは、前記画像処理装置の起動時に、前記特定の管理情報として、前記画像処理装置の所定の識別情報を前記共有管理情報領域に記録し、
前記RAIDコントローラは、各前記HDDにおいて、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内の情報と、前記起動時に前記共有管理情報領域に記録された前記識別情報とを比較し、該比較した結果に基づいて、該比較の対象となったHDDがRAIDを構成する上で正常なHDDか否かを判断することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、
情報を表示する表示パネルを有し、
前記RAIDコントローラは、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内に存在する過去にコピーされた前記特定の管理情報と、前記起動時に前記共有管理情報領域に記憶された前記特定の管理情報とを比較し、該比較した結果が一致しなければ、該比較の対象となったHDDが正常ではないと判断し、
前記画像処理装置コントローラは、前記RAIDコントローラの判断に従い、前記表示パネルに警告表示を行い、正常でないと判断したHDDを制御対象から切り離すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の画像処理装置において、
前記RAIDコントローラは、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内に、前記特定の管理情報が記録されていない場合、前記比較の対象となったHDDが正常であると判断し、前記共有管理情報領域に記憶された特定の管理情報を、前記ミラーリング情報を記憶させる領域にコピーし、
前記画像処理装置コントローラは、RAIDコントローラの判断に従い、前記画像処理装置の起動を正常に実行することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1に記載の画像処理装置において、
前記RAIDコントローラは、前記ミラーリング情報を記憶させる領域内に存在する過去にコピーされた特定の管理情報と、前記起動時に前記共有管理情報領域に記憶された特定の管理情報とを比較し、該比較した結果が一致した場合、該比較の対象となったHDDが正常であると判断し、
前記画像処理装置コントローラは、前記RAIDコントローラの判断に従い、前記画像処理装置の起動を正常に実行することを特徴とする画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2013−50755(P2013−50755A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186770(P2011−186770)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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