説明

画像出力装置

【課題】 複数の画像データから類似する画像データをグループ化し、画像データを評価して、全画像データから印刷推奨画像を選択する。
【解決手段】 プリンタ100はメモリカードMCから取得した画像データを、撮影日時、および、画像の類似度に基づきグループ化する。グループ化によって、グループG11,G21,G22,G31,G32,G33が形成される。プリンタ100は、各画像データの画質、例えば、撮影時にピントずれが発生したか否か、手ぶれが発生したか否かの評価を行い、各画像データの評価値を算出する。算出された評価値を用いて、グループ内の相対的な評価を行い、各画像データの相対評価値Rを算出する。プリンタ100は、全画像データから、相対評価値Rの上位5位までの画像データを、印刷を推奨する印刷推奨画像データとして選択し印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを選択して出力する画像出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラや携帯電話の記録媒体として、大容量のメモリカードが普及している。大容量のメモリカードには、多数の画像データを記録することができる。ユーザは、大容量のメモリカードを用いてデジタルカメラや携帯電話で撮影する際、多数の画像データを記録することが出来る気安さから、同一の被写体を短時間で複数枚撮影することがある。短時間のうちに撮影された同一の被写体の画像データは類似していることが多い。ユーザは、画像データによって表される画像の印刷を所望する際、メモリカードに記録されている画像データを1つ1つ確認し印刷する画像データを選択する。
【0003】
【特許文献1】特開2002−10709号公報
【特許文献2】特開2004−112596号公報
【特許文献3】特開2004−236120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、メモリカードに記録された多数の画像データには手ぶれが発生した画像データやピントの合っていない画像データも含まれている。メモリカードに記録されている多数の画像データから印刷を所望する画像データを選択することはユーザにとって煩雑であるという問題点があった。この問題点は、印刷処理に特化した問題でなくディスプレイ等の出力装置に画像データの出力を所望する際にも問題となる共通の課題である。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、多数の画像データを評価し出力が推奨される画像データを選択する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は以下の構成をとることとした。すなわち、
画像出力装置において、
複数の画像データを取得する画像取得手段と、
前記複数の画像データ間の類似の程度を表す類似度を取得する類似度取得手段と、
前記類似度に基づき、前記複数の画像データを分類する分類手段と、
前記各画像データについて、評価項目に基づく評価値である評価値を算出する評価値算出手段と、
前記分類によって同一の群に分類された前記各画像データの前記評価値を補正する評価値補正手段と、
前記補正された評価値である補正評価値に基づき、出力を推奨する出力推奨画像データを選択する出力推奨画像データ選択手段と、
少なくとも、前記出力推奨画像データを含む画像データにより表される1つ以上の画像を出力する出力手段とを備えることを要旨とする。
【0007】
本発明の画像出力装置によれば、補正評価値に基づき全画像データから出力推奨画像データを選択することができる。従って、類似する画像データを重複して出力することを抑制しつつ、全画像データの中から評価の高い画像データを出力推奨画像データとして効率的に選択することができる。
【0008】
本発明の画像出力装置において、
前記評価項目は、画像データに関する画像情報であり、
前記評価値算出手段は、前記取得した画像データを解析して画像情報を取得し、前記取得した画像情報に基づき、前記評価値を算出することとしてもよい。
【0009】
本発明の画像出力装置によれば、各画像データの解析により得られる画像情報に基づき評価値を算出するため、画像データの内容を考慮した評価を行うことができる。
【0010】
本発明の画像出力装置において、
前記画像情報は、前記画像データの画質を表す画質情報、前記画像データの構図を表す構図情報および前記画像データの撮影時の環境を表す撮影情報のうち少なくとも1つを含む情報としてもよい。
【0011】
本発明の画像出力装置によれば、画像データの画質、構図、撮影環境といった、人の感覚に影響を与える種々の評価項目に基づき画像データを評価することができるため、より人の感覚に近い評価を行うことができる。従って、画像データの評価精度を向上することができる。
【0012】
本発明の画像出力装置において、前記撮影情報は、前記各画像データに付帯する付帯情報に格納されていることとしてもよい。本発明の画像出力装置によれば、付帯情報を参照することにより、容易に撮影情報を取得することができる。
【0013】
本発明の画像出力装置において、
前記評価値補正手段は、前記分類された各画像データ群における前記各画像データの前記評価値の順位に応じて、前記評価値を補正することにより前記補正評価値を算出することとしてもよい。
【0014】
本発明の画像出力装置によれば、類似する画像データの評価値の順位に応じて補正評価値を算出することができるため、評価値の高い画像データと評価値の低い画像データの補正評価値の差分を広げることができる。従って、類似する画像データが、出力推奨画像データとして選択されることを抑制することができる。
【0015】
本発明の画像出力装置において、
前記出力推奨画像データ選択手段は、前記補正評価値と、前記複数の画像データに対して共通に設定された閾値とに基づき、前記選択を行うこととしてもよい。
【0016】
補正評価値の高い画像データは、分類された画像データ群の中で評価の高い画像データであるため、本発明の画像出力装置によれば、類似する画像データが重複して出力されることを抑制するとともに、全画像データの中から評価の高い画像データを出力推奨画像データとして選択することができる。
【0017】
本発明の画像出力装置において 、
更に、
前記閾値を格納する閾値格納部を備え、
前記出力推奨画像データ選択手段は、前記格納されている閾値を取得し、前記閾値を用いて前記選択を行うこととしてもよい。
【0018】
本発明の画像出力装置によれば、予め設定されている閾値を用いて印刷推奨画像データの選択を行うことができるため、処理効率を向上することができる。
【0019】
本発明の画像出力装置であって、
更に、
ユーザからの入力を受け付ける入力受付手段と、
前記入力に基づき、前記閾値を設定する閾値設定手段を備える画像出力装置。
【0020】
本発明の画像出力装置によれば、ユーザに入力に応じて、柔軟に閾値を設定することができる。
【0021】
本発明の画像出力装置において、
前記出力手段は、更に、
前記出力推奨画像データを用いた画像の出力数を取得する出力数取得手段を備え、
前記出力数に応じて、前記補正評価値の上位の画像データを前記出力推奨画像データとして選択することとしてもよい。
【0022】
本発明の画像出力装置によれば、類似する画像データが重複して出力されることを抑制するとともに、出力する数量を指定することができる。すなわち、全画像データの中から、補正評価値の上位から指定された数量分の画像データを出力推奨画像データとして選択することができる。
【0023】
本発明の画像出力装置において、
前記出力手段は、前記出力推奨画像データによって表される画像を出力することとしてもよい。
【0024】
本発明の画像出力装置によれば、取得した画像データから出力推奨画像データを選択して出力することが出来るため、全ての画像データを確認して出力する画像データを選択する必要がなくなる。従って、ユーザの負担を軽減することができ、利便性の向上を図ることができる。
【0025】
本発明の画像出力装置において、
更に、前記補正評価値に基づき、前記各画像データに対して、前記出力の推奨の度合いを表す推奨度を設定する推奨度設定手段を備え、
前記出力手段は、前記画像データに対応する前記推奨度に基づく情報を、前記画像データを用いた画像とともに出力することとしてもよい。
【0026】
本発明の画像出力装置によれば、利用者に、各画像データの出力の推奨度を、画像データと対応付けて通知することができる。利用者は、出力された画像データおよび推奨度を確認した上で、所望する画像データを選択することができ、利便性の向上を図ることができる。
【0027】
本発明の画像出力装置において、
前記出力手段は、前記推奨度の低い画像データについて、前記評価の低い評価項目を、前記画像データと対応付けて出力することとしてもよい。
【0028】
本発明の画像出力装置によれば、評価の内容を画像データと共に出力することにより、画像データを一見しただけでは理解が困難な評価の理由を容易に把握することができる。
【0029】
本発明の画像出力装置において、更に、前記出力に関する情報を表示する表示部を備えることとしてもよい。本発明の画像出力装置によれば、出力に関する情報、例えば、出力する画像データのサムネイルや推奨度を表示することができる。
【0030】
本発明の画像出力装置において、
前記分類手段は、前記画像データが撮影された日時を表す撮影日時、および、前記各画像データ間の類似の度合いを表す類似度のうち少なくとも一方の情報に基づき前記分類を行うこととしてもよい。
【0031】
一般的に撮影日時の近い画像データは類似している可能性が高いため、本発明の画像出力装置によれば、類似している可能性ある画像データを同一の群に分類することができる。本発明では、分類された類似する可能性のある画像データ群について、補正評価値を算出し出力推奨画像データを選択するため、類似する可能性のある画像データが全て出力されることを抑制することができる。
【0032】
本発明の画像出力装置において、
前記画像出力装置は、印刷装置であり、
前記出力手段が行う出力とは、印刷処理であることとしてもよい。
【0033】
本発明の画像出力装置によれば、印刷装置は、取得した複数の画像データを評価し、印刷推奨画像データを選択して印刷する一連の処理を行うことができる。
【0034】
本発明の画像出力装置によれば、隣接する画像データ間で分類を行うため、高速な処理を行うことができ、処理効率を向上することができる。
【0035】
本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。また、本発明は、上述した画像出力装置としての構成の他に、画像出力装置による画像出力方法、画像出力装置に画像データを出力させるためのコンピュータプログラム、かかるコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体等としても構成できる。いずれの構成においても、上述した各態様を適宜適用可能である。コンピュータが読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクや、CD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ハードディスク等種々の媒体を利用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき説明する。
A.実施例:
A1.システム概要:
図1は本実施例におけるシステム概要を例示する説明図である。プリンタ100は、メモリカードMCがカードスロットCSに挿入されると、メモリカードMCに記録されている画像データ10〜21を取得する。プリンタ100は取得した画像データを、撮影日時の近い画像データ単位でグループ化する。撮影日時によるグループ化を1次グループ化と呼ぶ。1次グループ化によって、画像データは、グループG10、G20、G30にグループ化される。プリンタ100は、1次グループ化された各グループにおいて、画像データ間の類否に基づき、画像データを、更にグループ化する。画像データ間の類否に基づくグループ化を2次グループ化と呼ぶ。2次グループ化によって、グループG10からグループG11が形成され、グループG20からグループG21,G22の2つのグループが形成され、グループG30にグループG31,G32,G33が形成される。すなわち、画像データ10〜21は、グループ化されてグループG11,グループG21,グループG22,グループG31,グループG32,グループG33の6グループにグループ化される。
【0037】
プリンタ100は、各画像データの画質、例えば、撮影時にピントずれが発生したか否か、手ぶれが発生したか否かの評価を行い、各画像データの評価値を算出する。算出された評価値を用いて、グループ内の相対的な評価を行い、各画像データの相対評価値Rを算出する。例えば、図示するように、画像データ10の相対評価値Rは70、画像データ11の相対評価値Rは60である。
【0038】
プリンタ100は、全画像データから、相対評価値Rの上位5位までの画像データを、印刷を推奨する画像データ(以降、印刷推奨画像データと呼ぶ)として選択し印刷する。すなわち、本実施例では、ハッチングが付された画像データ10,11,13,16,17が印刷推奨画像データとして選択される。このように、本実施例では、プリンタ100は、複数の画像データを撮影日時、画像データの類否でグループ化する。グループ化された各画像データに対して、プリンタ100は、予め定められた評価項目に基づき評価値を算出し、評価値を用いて印刷推奨画像データを選択することにより、利便性の向上を図る。
【0039】
A2.機能ブロック:
図2は、本実施例におけるプリンタ100の機能ブロックを例示する説明図である。プリンタ100は、CPU101と、インターフェース102と、表示パネル103と、操作部104と、印刷実行部105と、スプーラ106と、RAM110と、ROM120とを備えている。各機能ブロックは、CPU101により制御される。RAM110は、読み書き可能なメモリである。RAM110には、画像データ格納領域111とグループ化情報格納領域112とが形成されている。ROM120は、画像データ取得モジュール121と、グループ化モジュール122と、絶対評価値算出モジュール123と、評価値補正モジュール124と、印刷推奨画像選択モジュール125と、表示制御モジュール126とを含む。ROM120に含まれる各モジュールは、ソフトウェア的に構成されている。各モジュールはハードウェア的に構成されていることとしてもよい。
【0040】
インターフェース102は、メモリカードMCを接続するためのインターフェースである。インターフェース102は、カードスロットCSの一部として構成されている。操作部104は、ユーザからの入力を受け付けるインターフェースである。
【0041】
画像データ取得モジュール121は、インターフェース102を介してメモリカードMCから画像データを読み込み、画像データ格納領域111に記録する。
【0042】
グループ化モジュール122は、画像データ格納領域111に格納されている画像データを、撮影日時で1次グループ化する。グループ化モジュール122は、1次グループ化された各グループ別に、更に、画像データの類否に基づき、2次グループ化する。グループ化モジュール122は、画像データがどのグループに属するかを表すグループ化情報を生成し、グループ化情報格納領域112に格納する。
【0043】
評価値情報格納領域130には、評価項目別に、画像データの解析結果と、解析結果に対応する評価値が格納されている。荷重値情報格納領域131には、項目別に算出された項目別評価値に重み付けをするための、評価項目ごとの荷重値情報が格納されている。
【0044】
絶対評価値算出モジュール123は、画像データの解析結果と、評価値情報格納領域130に格納されている評価値および荷重値情報格納領域131に格納されている荷重値とに基づき、各画像データの絶対評価値を算出する。絶対評価値とは、本発明における「評価値」に当たり、絶対評価値算出モジュール123は、本発明における「評価値算出手段」に当たる。
【0045】
評価値補正モジュール124は、各画像データの絶対評価値を、2次グループ化された各グループにおける絶対評価値の順位に基づき、絶対評価値間の差分を広げる補正を行う。補正後の絶対評価値を補正評価値とよぶ。
【0046】
印刷推奨画像選択モジュール125は、全画像データ中、上位5位まで補正評価値を有する画像データを、印刷推奨画像データとして選択し、スプーラ106に受け渡す。
【0047】
印刷実行部105は、スプーラ106から画像データを読み出し印刷する。
【0048】
A3.印刷処理:
図3は、本実施例における印刷処理を説明するフローチャートである。プリンタ100は、メモリカードMCに記録されている画像データを取得し、画像データ格納領域111に格納する(ステップS10)。プリンタ100は、画像データ格納領域111に格納されている画像データをグループ化する(ステップS11)。具体的には、画像データの付帯情報に含まれる撮影日時を取得し、取得した撮影日時をキーとして1次グループ化を行い(ステップS12)、1次グループ化された各グループ別に、画像データの類否に基づき、2次グループ化を行う(ステップS13)。
【0049】
図4を用いて、1次グループ化処理の詳細を説明し、図5を用いて、2次グループ化処理の詳細を説明する。また、図6を用いて、適宜、グループ化処理を模式的に説明する。
【0050】
図4は、本実施例における撮影日時によるグループ化処理、すなわち、1次グループ化処理を説明するフローチャートである。プリンタ100は、画像データ格納領域111に格納されている画像データを撮影日時の昇順に並び替え(ステップS20)、分類する対象の画像データと、並び替えられた順が分類対象画像データの直前の画像データの撮影日時を取得する(ステップS21)。プリンタ100は、取得した撮影日時から、両画像データの撮影間隔を算出する(ステップS22)。
【0051】
プリンタ100は、撮影間隔が1時間未満であるか否かを判断する(ステップS23)。撮影間隔が1時間未満である場合(ステップS23:YES)には、プリンタ100は、撮影日時の遅い画像データを撮影日時の早い画像データと同一グループに分類する(ステップS24)。
【0052】
撮影間隔が1時間以上である場合(ステップS23:NO)には、新たにグループを生成し、分類対象画像データを直前の画像データと別のグループに分類する(ステップS25)。
【0053】
プリンタ100は、全画像データのグループ化が終了したか否かを判断する(ステップS26)。全画像データのグループ化が終了した場合(ステップS26:YES)には、本処理を終了する。全画像データのグループ化が終了していない場合(ステップS26:NO)には、ステップS21からグループ化処理を続行する。
【0054】
ここまでの処理を、図6を用いて模式的に示す。図6に示した画像データ10〜16は、画像データ格納領域111に格納されている画像データの一例である。画像データ10〜16は、同じ日に撮影された画像データであり、各画像データに付した吹き出しは、それぞれの画像データの撮影時刻を表している。
【0055】
図示するように、画像データは撮影日時の昇順に並べ替えられている。1番目の画像データである画像データ10の撮影時刻は「9:05:23」であり、2番目の画像データである画像データ11の撮影時刻は「12:10:10」である。両画像データの撮影間隔は「3時間4分47秒」であり、画像データ10と画像データ11とはグループ化ラインP1を境に、別のグループに分類される。グループ化ラインP1,P2は、撮影間隔が1時間以上の境を表す。画像データ11の撮影時刻と画像データ12の撮影時刻とから、両画像データの撮影間隔を算出する。撮影間隔は「5分」であるため、画像データ11と画像データ12とは同一グループに分類される。また、画像データ15と画像データ16の撮影間隔は「3時間12分7秒」であるため、画像データ15と画像データ16とは、グループ化ラインP2を境に、別グループに分類される。このように隣接する画像データの撮影間隔に基づき、グループG10、G20,G30…に分類される。
【0056】
図5は、本実施例における画像データの類似度によるグループ化処理を説明するフローチャートである。図4で説明した撮影日時による1次グループ化された画像データに対して、グループ化モジュール122が実行する処理である。
【0057】
グループ化モジュール122は、1次グループ化されたグループ内の分類対象画像データと直前画像データの類似度を算出する(ステップS30)。具体的には、グループ化モジュール122は、両画像データの輝度値のヒストグラムを作成し、式1を用いて両画像データの類似度Sを算出する。なお、Ni,Miは輝度ヒストグラムの階級iの相対度数を表しており、ΣNi=1,ΣMi=1である。
【0058】
【数1】

【0059】
グループ化モジュール122は、類似度Sがしきい値ThSimiより上であるか否かを判断し(ステップS31)、類似度Sがしきい値ThSimiより上である場合(ステップS31:YES)には、分類対象画像データは直前画像データに類似していると判断し、直前画像データと同一グループに分類する(ステップS32)。類似度Sがしきい値ThSimi以下である場合(ステップS31:NO)には、グループ化モジュール122は、両画像データは非類似であると判断し、分類対象画像データを直前画像データと別のグループに分類する(ステップS32)。
【0060】
グループ化モジュール122は、撮影日時による1次グループ化された各グループについて、画像データの2次グループ化が終了したか否かを判断する(ステップS34)。グループ内の画像データの2次グループ化が終了していない場合(ステップS34:NO)には、ステップS30に戻り、2次グループ化処理を続行する。グループ内の画像データの2次グループ化が終了した場合(ステップS34:YES)には、1次グループ化された全グループに対して、2次グループ化を行ったか否かを判断する(ステップS35)。1次グループ化された全グループに対する2次グループ化が終了していない場合(ステップS35:NO)には、次のグループを参照し(ステップS36)、ステップS30に戻り、2次グループ化処理を続行する。
【0061】
ここまでの処理を、図6を用いて、グループG20を例に説明する。図示するように、隣接する画像データ12と画像データ13との類似度S1はThSimi以下であるため、画像データ12と画像データ13は別グループに分類される。グループ化ラインQは、グループの境界を表している。隣接する画像データ13と画像データ14との類似度S2はThSimiより高いため、画像データ13と画像データ14は同一グループG22に分類される。
【0062】
グループ化モジュール122は、1次グループ化された全グループに対して2次グループ化を終了した場合(ステップS35:YES)には、グループ化に関するグループ化情報を生成し格納する(ステップS37)。
【0063】
生成されたグループ化情報160の内容を、図7を用いて説明する。図7は、本実施例におけるグループ化情報160を例示する説明図である。グループ化情報160は、グループ化情報格納領域112に格納される。評価値表200は、画像データ特定情報と2次グループのグループ名からなる。画像データ特定情報とは、画像データと個別に特定するための情報である。例えば、画像データ15は、グループG22にグループ化されていることを表す。
【0064】
プリンタ100は、グループ化処理を終えると、絶対評価値を算出する処理を行う(ステップS14)。
【0065】
図8を用いて、絶対評価値算出処理を詳細に説明する。図8は、本実施例における絶対評価値算出処理を説明するフローチャートである。本処理は、絶対評価値算出モジュール123が実行する処理である。
【0066】
絶対評価値算出モジュール123は、撮影日時の昇順に並び替えられた画像データの1番目の画像データ、すなわち、撮影日時の最も早い画像データを解析して(ステップS41)、評価項目に基づく項目別評価値を算出する(ステップS42)。本実施例では、絶対評価値算出モジュール123は、撮影時のピントずれ評価、撮影時に発生した手ぶれ評価、および、撮影時の露出オーバーを表すクリッピング評価の3つの評価項目に基づき評価する。
【0067】
図9を用いてピントずれ評価、および手ぶれ評価の評価値について説明し、図10を用いてクリッピング評価の評価値について説明する。図9は、本実施例における評価値表200を例示する説明図である。評価値表200は、ピントずれ量(単位:mm)と項目別評価値とからなる。ピントずれ量は、画像データを解析して得られるピントのずれ量を表しており、項目別評価値は、ピントずれ量に応じた項目別評価値を表している。絶対評価値算出モジュール123は、画像データに対してエッジ抽出フィルタをかけ、抽出されたエッジの幅の平均を計算することによってピントずれ量を算出する。例えば、ピントずれ量が6.4mmである場合には、項目別評価値は「9」となる。
【0068】
また、手ぶれ評価においても、評価値表200を適用して項目別評価値を求める。すなわち、ピントずれ量を、画像データを解析して得られるぶれ量とすることにより、ぶれ量に応じた項目別評価値を取得することができる。例えば、ぶれ量が6.4mmである場合には、ピントずれ量と同様に、項目別評価値は「9」となる。絶対評価値算出モジュール123は、画像データに対してエッジ抽出フィルタをかけ、エッジの方向ごとにまとめてエッジ幅の平均を計算し、その最大幅をぶれ量とする。
【0069】
図10は、本実施例におけるクリッピング評価の評価値表210を例示する説明図である。評価値表210は、輝度値が255または0の割合(%)と、項目別評価値とからなる。「輝度値が255または0の割合」とは、画像データの全画素に対して、画像データの輝度値が255または0である画素が存在する割合を表しており、項目別評価値は、その割合に応じた項目別評価値を表している。例えば、ある画像データについて、輝度値が255または0である画素が存在する割合が、全画素数に対して11%である場合、項目別評価値は「6」となる。本実施例では、評価値表210の項目別評価値の幅を「2」としたが、輝度値が255または0である画素が存在する割合をより詳細に設定し、項目別評価値の幅を「1」としてもよい。
【0070】
絶対評価値算出モジュール123は、項目別評価値に、評価項目ごとに設定されている荷重をかけ、評価項目ごとの仮評価値を算出する(ステップS43)。
【0071】
図11を用いて、評価項目ごとの荷重について説明する。図11は、本実施例における項目評価ごとの荷重を表す荷重表300を例示する説明図である。荷重表300は、評価項目と荷重値とから構成されている。荷重表300は、評価項目と荷重値とからなる。例えば、ピントずれの項目別評価値に掛ける荷重は、40である。同様に、手ぶれ評価の項目別評価値に掛ける荷重は、40であり、クリッピング評価の項目別評価値に掛ける荷重は、20である。各荷重値は荷重表300に例示した値に限定されず、任意に設定することとしてもよい。画像データによって表される画像の画質に対して、人間の視覚に強い影響を与えると考えられる評価項目の各荷重値を高く設定することが好ましい。
【0072】
絶対評価値算出モジュール123は、全評価項目について仮評価値を算出したか否かを判断する(ステップS44)。全評価項目について仮評価値の算出が終了していない場合(ステップS44:NO)には、絶対評価値算出モジュール123は、ステップS41から処理を行い評価項目ごとの仮評価値を算出する。全評価項目について仮評価値の算出が終了した場合(ステップS44:YES)には、絶対評価値算出モジュール123は、算出された全ての仮評価値の積算値である絶対評価値を算出する(ステップS45)。
【0073】
プリンタ100は、絶対評価値算出処理を終えると評価値補正処理を行う(ステップS15)。
【0074】
図12を用いて、評価値補正処理を詳細に説明する。図12は、本実施例における評価値補正処理を説明するフローチャートである。本処理は、評価値補正モジュール124が実行する処理である。
【0075】
評価値補正モジュール124は、1番目の2次グループに含まれる画像データの絶対評価値を参照し(ステップS50)、グループ内の各画像データの絶対評価値の降順に1位からN位まで順位を付ける(ステップS51)。Nは自然数であり、最大値は2次グループ化された各グループに含まれる画像データの個数である。
【0076】
評価値補正モジュール124は、以下に示す式2を適用して画像データの補正評価値を算出する(ステップS52)。なお、Nは画像データの各グループ内での順位であり、Hは予め定められた補正係数である。
【0077】
【数2】

【0078】
式2により、各グループ内における絶対評価値が2位以下の画像データの絶対評価値は、順位に比例した補正量だけ引き下げられる。
【0079】
図13を用いて絶対評価値と補正評価値との関連を説明する。図13は、本実施例における評価値グラフ400である。評価値グラフ400は、絶対評価値および補正評価値を撮影日時順にプロットしたグラフである。横軸は撮影日時順に並んでいる画像データを表しており、縦軸は評価値を表している。
【0080】
2次グループG22に含まれる画像データ13,14,15を例に説明する。評価値130aは画像データ13の絶対評価値を表し、評価値140aは画像データ14の絶対評価値を表し、評価値150aは画像データ15の絶対評価値を表している(以降、評価値130aを絶対評価値130a、評価値140aを絶対評価値140a、評価値150aを絶対評価値150aと呼ぶ)。絶対評価値130a,140a,150aの降順に順位をつけると、画像データ13が1位,画像データ14が2位,画像データ15が3位である。2位以降の画像データの絶対評価値は上述した式2を適用して補正される。
【0081】
例えば、画像データ14の絶対評価値140aはグループG22内では2位である。従って、補正評価値140bは、図示するように、絶対評価値140aから補正係数Hだけ引き下げられた値となる。同様に、画像データ15の絶対評価値150aはグループG22内では3位であるため、補正評価値150bは、図示するように、絶対評価値150aから、2H分、引き下げられた値となる。
【0082】
プリンタ100は、算出された補正評価値Rの上位5枚を印刷を推奨する画像データとして選択する(ステップS16)。
【0083】
図14を用いて、印刷推奨画像データ選択処理を詳細に説明する。図14は、本実施例における印刷推奨画像データ選択処理を説明するフローチャートである。本処理は、印刷推奨画像選択モジュール125が実行する処理である。
【0084】
印刷推奨画像選択モジュール125は、全画像データの補正評価値を参照し(ステップS60)、補正評価値の上位5位までの画像データを選択する(ステップS61)。印刷推奨画像選択モジュール125は、選択した画像データを各画像データの撮影日時の昇順にスプーラ106に格納する(ステップS62)。
【0085】
プリンタ100は、スプーラ106に格納されている画像データを、順次、印刷する(ステップS17)。
【0086】
以上説明した第1実施例のプリンタ100によれば、類似する画像データを同一グループに分類し、グループ内での絶対評価値の順位に基づいて、画像データの絶対評価値の差分を広げるよう絶対評価値を補正し、補正評価値に基づき、全画像データから印刷推奨画像データを選択することとしたため、類似する画像データが重複して印刷されることを抑制するとともに、全画像データから評価項目に基づく評価の高い画像データを効率的に選択することができる。また、全画像データから、印刷を所望する枚数を指定して評価の高い画像データを選択することができる。
【0087】
また、本実施例によれば、人間が画像データを視認した際に、画質の良し悪しの判断に影響を強く与えると考えられる評価項目については、荷重を高く設定している。こうすることにより、人間の感覚に合致する絶対評価値を算出することができる。
【0088】
また、本実施例によれば、複数の評価項目を用いることにより、画像データを評価することができるため、画像データを多面的に評価することができる。
【0089】
B.第2実施例:
上述した第1実施例では、プリンタ100は、メモリカードMCに記録されている全画像データから補正評価値の上位5位までの画像データを、印刷推奨画像データとして選択することとした。第2実施例では、プリンタ100は、各画像データについて補正評価値に基づき、印刷が推奨される程度を表す印刷推奨度を設定し、印刷推奨度と画像データとを対応付けて表示パネル103に表示することとした。本実施例において、プリンタ100の構成および印刷推奨画像データ選択処理を除く全ての処理は、第1実施例と同様である。
【0090】
B1.印刷推奨画像データ選択処理:
図15は、第2実施例における印刷推奨画像データ選択処理を説明するフローチャートである。プリンタ100は、算出された全画像データの補正評価値および推奨度設定情報を参照し(ステップS70)、各画像データについて印刷推奨度を設定し、推奨度情報を作成する(ステップS71)。
【0091】
図16を用いて推奨度設定情報を説明し、図17を用いて推奨度情報を説明する。図16は、本実施例における推奨度設定情報500を例示する説明図である。推奨度設定情報500は、補正評価値と印刷推奨度とからなる。例えば、補正評価値が74である画像データの印刷推奨度は「3」であり、補正評価値が58である画像データの印刷推奨度は「1」となる。推奨度設定情報500は予めROM120に格納されている。
【0092】
図17は、本実施例における推奨度情報510を例示する説明図である。推奨度情報510は、画像データ特定情報と印刷推奨度とからなる。画像データ特定情報とは、画像データを特定するための情報である。印刷推奨度は、各画像データに設定された印刷推奨度である。例えば、画像データ11の印刷推奨度は「2」である。プリンタ100は、推奨度情報510を生成し、RAM110に格納する。
【0093】
プリンタ100は、推奨度情報510を参照し、画像データと画像データに対応する印刷推奨度を表す情報とを、表示パネル103に表示する(ステップS72)。
【0094】
図18を用いて、表示パネル103の表示内容を説明する。図18は、本実施例における表示パネル103の表示例である。表示パネル103には、印刷案内情報150と、画像データ格納領域111に格納されている画像データ10〜15のサムネイル10a〜15aと、推奨度アイコン610と、評価情報620とが表示されている。
【0095】
推奨度アイコン610は、各画像データの印刷推奨度を表す。推奨度アイコン610は、推奨度の値の個数の星形の図形である。推奨度アイコン610は、サムネイル上に表示される。評価情報620は、その画像データの項目別評価値が低い評価項目を表す。
【0096】
印刷案内情報150は、印刷推奨度を考慮した印刷パターンを表すパターン情報600,601,602,603と、各パターン情報と対応付けられたラジオボタン600a,601a,602a,603aとからなる。
【0097】
例えば、サムネイル10aおよびサムネイル13aには、星形の図形が3つ含まれる推奨度アイコンが表示されている。すなわち、サムネイル10aおよびサムネイル13aを表す画像データ10,画像データ13は推奨度「3」の画像データであることを表している。ユーザは、いずれかのラジオボタンを選択することにより印刷パターンを指定する。
【0098】
プリンタ100は、ユーザからの印刷パターンの指定を受け付ける(ステップS73)と、指定された印刷パターンに応じて、印刷推奨画像データを選択し(ステップS74)、スプーラ106に格納する(ステップS75)。
【0099】
図18に示すように、例えば、ユーザによってラジオボタン602aが選択された場合、プリンタ100は、サムネイル10a,サムネイル11a,サムネイル13aを表す画像データ10,画像データ11,画像データ13を、印刷推奨画像データとして選択する。
【0100】
以上説明した第2実施例のプリンタ100によれば、印刷推奨度とサムネイルとを表示パネルに表示することができるため、ユーザは、各画像データの評価による各画像データの印刷推奨度とともに、画像データによって表される画像の内容を確認することができる。また、印刷推奨度に応じて印刷パターンを設定するため、画像データを1枚1枚選択する負担を軽減し、印刷する画像データを簡易に選択することができる。
【0101】
本実施例によれば、評価情報620がサムネイルと対応して表示されるため、評価の低い評価項目を容易に知ることができる。したがって、画像データを閲覧、拡大等して確認する負荷を軽減することができる。
【0102】
C.変形例:
(1)
上述した第1実施例では、ピントずれ評価、手ぶれ評価、および、クリッピング評価を行い、絶対評価値を算出することとしたがこれに限られない。例えば、画像データによって表される画像の構図を、評価項目の一つとしてもよい。
【0103】
図19,図20を用いて、画像の構図評価による項目別評価値の算出について説明する。図19は、本変形例における画像データの構図について模式的に説明する説明図である。図にハッチングで示した領域は人物の顔領域を表す。中心Oは画像データ30の中心を表し、重心Pは人物の顔領域の重心を表す。距離Dは中心Oと重心Pとの直線距離に相当する画素数を表す。距離Dの単位はピクセルである。
【0104】
プリンタ100は、画像データを解析して人物の顔領域を抽出し、画像データの中心部分から抽出した顔領域までの距離Dを算出する。距離Dと、以下に説明する評価値表に基づき、項目別評価値を算出することとすればよい。
【0105】
図20は、本変形例における評価値表700を例示する説明図である。評価値表700は、画像中心からの距離Dと項目別評価値とからなる。画像中心からの距離Dとは図19において説明した距離Dである。項目別評価値とは距離Dに対応する評価値を表す。例えば、距離Dが68ピクセルである場合、その画像データの構図評価における項目別評価値は「8」である。
【0106】
本変形例によれば、手ぶれやピントずれといった画質による評価だけでなく、画像データの構図についても評価することができる。従って、算出される評価値を更に人間の感覚に合致させることができ、印刷推奨画像データの選択精度を向上させることができる。
【0107】
また、画像データを解析して人物認識を行い特定の人物が画像データによって表される画像に含まれているか否かを評価項目に含めることとしてもよい。また、画像データを解析して顔抽出を行い、顔領域が画像データ全体に対して占める割合を評価項目に含めることとしてもよい。
【0108】
(2)
上述した第1実施例では、画像データを解析し被写体のぶれ量に基づき手ぶれ評価を行うこととしたがこれに限られない。例えば、画像データに付帯する画像情報、例えば、Exif情報に含まれる手ぶれの情報に基づき手ぶれ評価を行うこととしてもよい。
【0109】
図21は、本変形例における付帯情報50を例示する説明図である。付帯情報50は、画像データに付帯する画像情報を表す。付帯情報50には、図示するように、「画像タイトル」、「撮影日時」などの画像ファイル20に関する情報とともに、画像ファイル20の撮影時の種々の撮影条件、例えば「色空間情報」、「ISO感度」、「シャッタースピード」、「焦点距離」が記録されている。「手ぶれ情報」は、撮影時の手ぶれによるぶれ量を、デジタルカメラに装備されているジャイロセンサによって測定される角速度で表す。角速度とは、1秒間にデジタルカメラが動いた角度である。
【0110】
プリンタ100は、付帯情報50に含まれる手ぶれ情報を取得し、手ぶれ情報と、以下に説明する評価値表とに基づき手ぶれ評価の項目別評価値を算出する。
【0111】
図22は、本変形例における評価値表800を例示する説明図である。評価値表800は手ぶれ情報と項目別評価値とからなる。手ぶれ情報とはExif情報に含まれる手ぶれ情報を表し、項目別評価値とは手ぶれ情報の値に対応する評価値を表す。評価値表800の手ぶれ情報において、範囲が設定されている場合、手ぶれ情報は範囲の開始値より大きい値であって、範囲の終了値以下に含まれる。例えば、「0〜3」の場合、手ぶれ情報は範囲の開始値「0」より大きく、範囲の終了値「3」以下の値が含まれる。
【0112】
本変形例では、Exif情報50に含まれる手ぶれ情報は「10°/sec」であるため項目別評価値は「4」である。
【0113】
本変形例によれば、画像に付帯する付帯情報を用いて項目評価を行うことにより画像データを解析する処理負荷を軽減することができる。また、簡易に参照することができるExif情報を用いることにより処理速度を向上することができる。
【0114】
(3)
上述した第1実施例では、全画像データから相対評価値が上位5位までの画像データを印刷推奨画像データとして選択することとしたが、これに限られない。例えば、相対評価値が全画像データに共通する閾値ThVal以上である画像データを印刷推奨画像データとして選択することとしてもよい。
【0115】
図23を用いて、本変形例における印刷推奨画像データ選択処理を詳細に説明する。図23は、変形例における印刷推奨画像データ選択処理を説明するフローチャートである。プリンタ100は、画像データの補正評価値を取得し(ステップS80)、補正評価値が閾値ThValよりも高いか否かを判断する(ステップS81)。補正評価値が閾値ThValよりも高い場合(ステップS81:YES)には、プリンタ100は、その補正評価値を有する画像データを印刷推奨画像データとして選択し(ステップS82)、スプーラ106に格納する(ステップS83)。
【0116】
プリンタ100は、印刷推奨画像データであるかの判断を行った画像データが、画像データ格納領域111に格納されている画像データの最後の画像データであるか否かを判断し(ステップS84)。最後の画像データである場合(ステップS84:YES)には、処理を終了する。最後の画像データでない場合(ステップS84:NO)には、次の画像データの補正評価値を取得し(ステップS80)、処理を繰り返す。
【0117】
プリンタ100は、補正評価値が閾値ThVal以下である場合(ステップS81:NO)、ステップS84から処理を続行する。
【0118】
例えば、閾値ThVal=50である場合、図13に示すように、補正評価値ThVal(=50)よりも高い補正評価値を有する画像データは画像データ10,11,13,14,16,17,19,20である。従って、プリンタ100はこれらの画像データを印刷推奨画像データとして選択する。
【0119】
本変形例によれば、全画像データに共通した閾値を用いて印刷推奨画像データ選択することができるため、類似する画像データから印刷する画像データを選択する負担を軽減するとともに全体として画質の良い画像データを選択して出力することができる。
【0120】
(4)
上述した第1実施例では、輝度ヒストグラムを用いて画像データ間の類似度を算出することとしたがこれに限られない。例えば、画像データ間における対応する画素の画素値の差分を用いることとしてもよいし、画像データを解析して得られる特徴量、例えば、RGB値の分布や比率を用いて類似度を算出することとしてもよい。
【0121】
(5)
上述した第1実施例では、隣接する画像データについて算出された類似度に基づき2時グループ化を行うこととしたがこれに限られない。例えば、前後の画像データを含む3つの画像データを用いて類似度を算出し、グループ化を行うこととしてもよいし、更に複数の画像データ間における類似度を算出し、グループ化を行うこととしてもよい。こうすれば、類似度に基づくグループ化を、詳細に行うことができる。
【0122】
(6)
上述した第2実施例では、印刷推奨度を画像データとともに表示パネルに表示することとしたがこれに限られない。例えば、表示パネルの表示内容と同一の内容を印刷することとしてもよいし、表示パネルに表示せずに、印刷することとしてもよい。
【0123】
(7)
上述した第1実施例では、プリンタ100が、印刷推奨画像データを選択することとしたがこれに限られない。例えば、ローカルエリアネットワークを介してプリンタとパーソナルコンピュータが接続されており、パーソナルコンピュータが印刷推奨画像データを選択するためのモジュール(本発明の第1実施例におけるグループ化モジュール122、絶対評価値算出モジュール123、評価値補正モジュール124、印刷推奨画像選択モジュール125)を備えることとしてもよい。
【0124】
(8)
上述した第1実施例では、2位以下の絶対評価値について、(N−1)×Hだけ評価を引き下げる補正を行うこととしたがこれに限られない。例えば、絶対評価値の高い画像データの絶対評価値を引き上げる補正を行うこととしてもよい。
【0125】
(9)
上述した第2実施例では、補正評価値の値に応じて印刷推奨度を設定することとしたがこれに限られない。例えば、上位5位までの補正評価値を有する画像データの印刷推奨度を「3」とし、6位から10位までの補正評価値を有する画像データの印刷推奨度を「2」とする、等のように、順位に基づき印刷推奨度を設定することとしてもよい。
【0126】
(10)
上述した第2実施例では、印刷推奨度に基づく印刷パターンを設定することとしたがこれに限られない。例えば、ユーザが表示パネルに表示されている印刷推奨度とサムネイルとを確認し、印刷する画像データを任意に選択することとしてもよい。こうすれば、印刷する画像データを柔軟に選択することができる。
【0127】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】第1実施例におけるシステム概要を例示する説明図。
【図2】第1実施例におけるプリンタの機能ブロックを例示する説明図。
【図3】第1実施例における印刷処理を説明するフローチャート。
【図4】第1実施例における撮影日時によるグループ化処理を説明するフローチャート。
【図5】第1実施例における画像データの類似度によるグループ化処理を説明するフローチャート。
【図6】第1実施例におけるグループ化処理を説明する模式図。
【図7】第1実施例におけるグループ化情報を例示する説明図。
【図8】第1実施例における絶対評価値算出処理を説明するフローチャート。
【図9】第1実施例におけるピントずれ評価の評価値表を例示する説明図。
【図10】第1実施例におけるクリッピング評価の評価値表を例示する説明図。
【図11】第1実施例における荷重表を例示する説明図。
【図12】第1実施例における評価値補正処理を説明するフローチャート。
【図13】第1実施例における評価値グラフである。
【図14】第1実施例における印刷推奨画像データ選択処理を説明するフローチャートである。
【図15】第2実施例における印刷推奨画像データ選択処理を説明するフローチャート。
【図16】第2実施例における推奨度設定情報を例示する説明図。
【図17】第2実施例における推奨度情報を例示する説明図。
【図18】第2実施例における表示パネルの表示例。
【図19】変形例における画像データの構図を説明する説明図。
【図20】変形例における構図評価の評価値表を例示する説明図。
【図21】変形例における付帯情報を例示する説明図。
【図22】変形例における手ぶれ評価の評価値表を例示する説明図。
【図23】変形例における印刷推奨画像データ選択処理を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0129】
10〜21…画像データ
10a〜15a…サムネイル
100…プリンタ
101…CPU
102…インターフェース
103…表示パネル
104…操作部
105…印刷実行部
106…スプーラ
110…RAM
111…画像データ格納領域
112…グループ化情報格納領域
121…画像データ取得部
122…グループ化モジュール
123…絶対評価値算出モジュール
124…評価値補正モジュール
125…印刷推奨画像選択モジュール
126…表示制御モジュール
130a,140a,150a…絶対評価値
150…印刷案内情報
160…グループ化情報
200…評価値表
210…評価値表
300…荷重表
400…評価値グラフ
500…推奨度設定情報
510…推奨度情報
610…推奨度アイコン
620…評価情報
600,601,602,603…パターン情報
600a,601a,602a,603a…ラジオボタン
700…評価値表
800…評価値表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像出力装置であって、
複数の画像データを取得する画像取得手段と、
前記複数の画像データ間の類似の程度を表す類似度を取得する類似度取得手段と、
前記類似度に基づき、前記複数の画像データを分類する分類手段と、
前記各画像データについて、評価項目に基づく評価値である評価値を算出する評価値算出手段と、
前記分類によって同一の群に分類された前記各画像データの前記評価値を補正する評価値補正手段と、
前記補正された評価値である補正評価値に基づき、出力を推奨する出力推奨画像データを選択する出力推奨画像データ選択手段と、
少なくとも、前記出力推奨画像データを含む画像データにより表される1つ以上の画像を出力する出力手段とを備える画像出力装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像出力装置であって、
前記評価項目は、画像データに関する画像情報であり、
前記評価値算出手段は、前記取得した画像データを解析して画像情報を取得し、前記取得した画像情報に基づき、前記評価値を算出する画像出力装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像出力装置であって、
前記画像情報は、前記画像データの画質を表す画質情報、前記画像データの構図を表す構図情報、および、前記画像データの撮影時の環境を表す撮影情報のうち少なくとも1つを含む情報である画像出力装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像出力装置であって、
前記撮影情報は、前記各画像データに付帯する付帯情報に格納されている画像出力装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか記載の画像出力装置であって、
前記評価値補正手段は、前記分類された各画像データ群における前記各画像データの前記評価値の順位に応じて、前記評価値を補正することにより前記補正評価値を算出する画像出力装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5いずれか記載の画像出力装置であって、
前記出力推奨画像データ選択手段は、前記補正評価値と、前記複数の画像データに対して共通に設定された閾値とに基づき、前記選択を行う画像出力装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像出力装置であって、
更に、
前記閾値を格納する閾値格納部を備え、
前記出力推奨画像データ選択手段は、前記格納されている閾値を用いて前記選択を行う画像出力装置。
【請求項8】
請求項6記載の画像出力装置であって、
更に、
ユーザからの入力を受け付ける入力受付手段と、
前記入力に基づき、前記閾値を設定する閾値設定手段を備える画像出力装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項5いずれか記載の画像出力装置であって、
前記出力手段は、更に、
前記出力推奨画像データを用いた画像の出力数を取得する出力数取得手段を備え、
前記出力数に応じて、前記補正評価値の上位の画像データを前記出力推奨画像データとして選択する画像出力装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9いずれか記載の画像出力装置であって、
前記出力手段は、前記出力推奨画像データによって表される画像を出力する画像出力装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項9いずれか記載の画像出力装置であって、
更に、前記補正評価値に基づき、前記各画像データに対して、前記出力の推奨の度合いを表す推奨度を設定する推奨度設定手段を備え、
前記出力手段は、前記画像データに対応する前記推奨度に基づく情報を、前記画像データを用いた画像とともに出力する画像出力装置。
【請求項12】
請求項11記載の画像出力装置であって、
前記出力手段は、前記推奨度の低い画像データについて、前記評の低い評価項目を、前記画像データを用いた画像と対応付けて出力する画像出力装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12記載の画像出力装置であって、
更に、
前記出力する情報を表示する表示部を備える画像出力装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13いずれか記載の画像出力装置であって、
前記分類手段は、前記画像データが撮影された日時を表す撮影日時、および、前記各画像データ間の内容の類似の度合いを表す類似度のうち少なくとも一方の情報に基づき、前記分類を行う画像出力装置。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14いずれか記載の画像出力装置であって、
前記画像出力装置は、印刷装置であり、
前記出力手段が行う出力とは、印刷処理である画像出力装置。
【請求項16】
画像出力装置が行う画像出力方法であって、
複数の画像データを取得し
前記複数の画像データ間の類似の程度を表す類似度を取得し、
前記複数の画像データの類否に基づき、前記複数の画像データを分類し、
前記各画像データについて、評価項目に基づく評価値である評価値を算出し、
前記分類によって同一の群に分類された前記各画像データの前記評価値を補正し、
前記補正された評価値である補正評価値に基づき、出力を推奨する出力推奨画像データを選択し、
少なくとも、前記出力推奨画像データを含む画像データにより表される1つ以上の画像を出力する画像出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−259788(P2006−259788A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−72168(P2005−72168)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】