説明

画像加工システム、光源、撮像装置、及び、画像加工プログラム

【課題】撮影場所を問わずに、撮影画像中の所望領域を切り出したり、撮影画像中の所望位置に他の画像を張り付けたりする等の加工処理を行うことができる汎用性に優れた画像加工システム、光源、撮像装置、及び、画像加工プログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置1は、所定のパターンで輝度が変動する発光部分画像又は発光領域画像を含む時間軸方向に並ぶ複数の画像信号を処理の対象とする光源制御11及び画像検出部12を備え、光源制御11及び画像検出部12は、前記複数の画像信号の時間軸方向の変動成分パターンマッチングを行うことにより前記発光部分画像又は発光領域画像を抽出する抽出手段と、該抽出された発光部分画像又は発光領域画像を用いて当該発光部分画像の位置に任意の画像の張り付け若しくは当該発光領域画像の切り出しを行う画像加工手段として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像加工システム、光源、撮像装置、及び、画像加工プログラムに関し、詳しくは、撮影画像中の所望領域を切り出したり、撮影画像中の所望位置に他の画像を張り付けたりする等の加工処理を行う際に適用可能な画像加工システム、光源、撮像装置、及び、画像加工プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディジタル画像技術及びそれを用いた撮影装置の普及に伴って、様々な被写体のディジタル画像データを容易に生成できるようになってきた。かかる画像データは、ディジタル信号の特徴(特に加工容易性)から、画像の加工、例えば、撮影画像中の所望領域の切り出しや、撮影画像中の所望位置に他の画像を張り付けたりすることが可能であるため、従来より、以下のような画像処理が行われていた。
【0003】
(1)専用の加工ツールを用いる方法
画像エディタなどと呼ばれるツールを用いて対象となる画像データを読み込み、所望の領域を人為的に指定して切り出す画像処理方法である。切り出した画像は別名の画像オブジェクトとして保存する。また、撮影画像中の所望位置に他の画像を張り付ける場合は、張り付け位置を同様に人為的に指定した上、その指定位置に、あらかじめ用意されていた張り付け画像の中から所望の張り付け画像を選択して張り付けるという手順を踏む。この方法の欠点は、専用の加工ツールを必要とする点、及び、画像加工用の処理装置(パーソナルコンピュータ等)を必要とする点にあり、結局、撮影現場でリアルタイムな加工を行うことができないという致命的な問題点がある。
【0004】
(2)色分離による方法
特定の背景色を持った被写体の画像信号の分離技術である。クロマキー分離と呼ばれることもある。一般に青色背景で撮影された被写体の画像信号から青色部分を取り除き、被写体像だけを抽出する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記(2)の方法は、撮影装置に上述の色分離処理機能を搭載しておくことにより、撮影現場でのリアルタイム性が得られるから、上記(1)の欠点を解消できるというメリットがあるものの、特定の背景色を必要とするために、もっぱらスタジオ等のように環境が整えられた特定の現場でしか利用することができず、撮影場所を問わずに汎用的に利用することができないという問題点があった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、撮影場所を問わずに、撮影画像中の所望領域を切り出したり、撮影画像中の所望位置に他の画像を張り付けたりする等の加工処理を行うことができる汎用性に優れた画像加工システム、光源、撮像装置、及び、画像加工プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、所定の変動パターンを設定する設定手段と、この設定手段によって設定された変動パターンに対応して点滅する光源と、この光源を含む画角、もしくは、この光源が発光することにより照射される画像領域を含む画角を撮像する撮像手段と、 この撮像手段によって撮像された画像を時系列的に処理することにより、前記画角に含まれる前記変動パターンによって輝度が変化する画像領域を抽出する抽出手段と、この抽出手段によって抽出された画像領域から前記変動パターンによって符号化された情報を検出する検出する検出手段と、この検出手段によって検出された情報に基づいて、前記撮像された画像を加工する加工手段と、この加工手段によって加工された結果を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記変動パターンの設定を制御する制御手段を更に備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、上記請求項1又は2記載の発明において、前記検出手段によって符号化された情報が少なくとも2種類検出されると、これらの情報の優先度を判断する判断手段を更に備え、前記加工手段は更にこの判断手段によって判断された優先度に基づいて前記撮像された画像を加工することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、上記請求項1乃至3の何れか記載の発明において、前記加工手段は、前記検出手段によって検出された情報に基づいて、前記抽出された画像領域を切り出す切出手段を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、上記請求項1乃至3の何れか記載の発明において、前記加工手段は、前記検出手段によって検出された情報に基づいて、前記撮像された画像に含まれる前記光源対応する画像領域、もしくは、前記抽出された画像領域に任意の画像を合成する合成手段を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、撮像装置によって撮像される画角内に存在するか、若しくは、当該画角内を照射する光源であって、前記撮像装置によって撮像される画像の処理内容を所定の変動パターンにして設定する設定手段と、この設定手段によって設定された変動パターンに対応して点滅するよう制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、所定の変動パターンで点滅する光源を含む画角、もしくは、この光源が発光することにより照射される画像領域を含む画角を撮像する撮像手段と、この撮像手段によって撮像された画像を時系列的に処理することにより、前記画角に含まれる前記変動パターンによって輝度が変化する画像領域を抽出する抽出手段と、この抽出手段によって抽出された画像領域から前記変動パターンによって符号化された情報を検出する検出する検出手段と、この検出手段によって検出された情報に基づいて、前記撮像された画像を加工する加工手段と、この加工手段によって加工された結果を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、上記請求項7記載の発明において、前記検出手段によって符号化された情報が少なくとも2種類検出されると、これらの情報の優先度を判断する判断手段を更に備え、前記加工手段は更にこの判断手段によって判断された優先度に基づいて前記撮像された画像を加工することを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明は、上記請求項7又は8記載の発明において、前記加工手段は、前記検出手段によって検出された情報に基づいて、前記抽出された画像領域を切り出す切出手段を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項10記載の発明は、上記請求項7又は8記載の発明において、前記加工手段は、前記検出手段によって検出された情報に基づいて、前記撮像された画像に含まれる前記光源対応する画像領域、もしくは、前記抽出された画像領域に任意の画像を合成する合成手段を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項11記載の発明は、コンピュータを、撮像部に対し、所定の変動パターンで点滅する光源を含む画角、もしくは、この光源が発光することにより照射される画像領域を含む画角を撮像させる撮像手段、この撮像手段によって撮像された画像を時系列的に処理することにより、前記画角に含まれる前記変動パターンによって輝度が変化する画像領域を抽出する抽出手段、この抽出手段によって抽出された画像領域から前記変動パターンによって符号化された情報を検出する検出する検出手段、この検出手段によって検出された情報に基づいて、前記撮像された画像を加工する加工手段、この加工手段によって加工された結果を表示部に表示させる表示手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、設定された所定の変動パターンに対応して点滅する光源、もしくは、この光源が発光することにより照射される画像領域を含む画角を撮像すると、この撮像された画像を時系列的に処理して、画角に含まれ、変動パターンによって輝度が変化する画像領域を抽出し、この抽出された画像領域から変動パターンによって符号化された情報を検出する検出し、検出された情報に基づいて、撮像された画像を加工して、この加工した結果を表示するので、撮影場所を問わずに、撮影画像中の所望領域を切り出したり、撮影画像中の所望位置に他の画像を張り付けたりする等の加工処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の原理ブロック構成図である。この図において、1は画像処理装置、2は第1光源、3は第2光源、4は第3光源、5は撮影範囲、6は撮影装置(以下「カメラ」という。)、11は光源制御部、12は画像検出部、13は検出領域形状認識処理部、14はオブジェクト符号化処理部である。
【0020】
撮影範囲5はカメラ6の撮影範囲であり、カメラ6は撮影範囲5内に存在する背景及び被写体(又は複数の被写体からなる被写体群)の像を撮影し、その撮影画像を所定のフレーム周期(例えば、毎秒数十フレーム)で生成出力する。
【0021】
代表的に示す三つの光源(第1光源2、第2光源3及び第3光源4)は、所定のパターンないしは制御可能なパターンで輝度変化(たとえば点滅;以下点滅で代表する。)を繰り返すものであり、これらは、撮影範囲5の内部で自らが発光する“自発光型”と、当該撮影範囲5の内部に位置する被写体の任意部分又は任意領域に向けて撮影範囲5の外部から光線を照射する“外部照射型”とに分けることができる。以下、便宜上、第1光源2を自発光型、第2及び第3光源3、4を外部照射型として説明することにする。
【0022】
図2は、特に限定しないが、自発光型光源と外部照射型光源の具体例である。この図において、LED(Light-Emitting Diode)や小型電球等の点光源35は自らが発光する自発光型光源の一種であり、また、EL(Electro Luminescent)パネルやCRT(Cathode Ray Tube)あるいは反射制御型(反射板、印刷体メカ制御又はLCD:Liquid Crystal Display等)の面光源36も、自らが発光する自発光型光源の一種である。一方、ビーム光線を照射するレーザポインタ37は外部照射型光源の一種であり、また、懐中電灯38も可視光線を照射できるから外部照射型光源の一種である。
【0023】
したがって、第1光源2には図示の点光源35又は面光源36を使用することができ、また、第2及び第3光源3、4には図示のレーザポインタ37又は懐中電灯38を使用することができる。なお、レーザポインタ37や懐中電灯38を撮影範囲5の内部で用いることとし、その光線をカメラ6に向けて照射することにすれば、これらのレーザポインタ37や懐中電灯38も自発光型光源の一種になるから、これらも第1光源2に利用可能である。
【0024】
カメラ6は、上述のとおり、撮影範囲5の被写体(又は複数の被写体からなる被写体群)の像を撮影し、その撮影画像を所定のフレーム周期(例えば、毎秒数十フレーム)で生成出力するが、第1光源2〜第3光源4が所定のパターンで点滅している場合、カメラ6は、被写体像の情報に加えて、第1光源2〜第3光源4による点滅光のパターン情報を内在するフレーム画像を生成出力する。
【0025】
光源制御部11及び画像検出部12は、互いに駆動タイミングを制御し、第1光源2〜第3光源4のすべて又は一部の点滅パターンが外部制御可能である場合、そのパターン周期のコントロールを行い、且つ、カメラ6からのフレーム画像信号を受け取って、その画像信号中の部分的信号レベル(典型的には輝度レベル)の変動パターンに基づいて自発光型光源の発光位置および外部照射型光源による照射位置・照射領域を特定し、それらの特定情報と画像信号とを画像利用装置(図1では検出領域形状認識処理部13)に出力する。
【0026】
図1に示す原理的なブロック構成における画像処理装置1の使用法は、次のとおりである。すなわち、カメラ6の撮影範囲5に存在する被写体(又は被写体群)の任意位置に、自発光型光源である第1光源2を置き、および/または、当該被写体(又は被写体群)の任意領域に、外部照射型光源である第2光源3及び第3光源4(又はそのいずれか一方)からの光を照射するという使い方をするものである。
【0027】
第1光源2の置き場所や第2光源3及び第3光源4からの光の照射範囲は、画像処理装置1の検出領域形状認識処理部13が具備する機能に依存する。例えば、撮影画像中の所望領域の切り出し機能を具備していれば、第2光源3及び第3光源4からの光の照射範囲をその切り出し所望領域に合わせることができるし、撮影画像中の所望位置に他の画像を張り付ける機能を具備していれば、第1光源2の置き場所をその画像張り付け位置に合わせることができる。
【0028】
図3は、撮影範囲5に四つの被写体が含まれる場合の使用例を示す図である。なお、図示の被写体画像はそれぞれ、床に置かれた球状物体5a、テレビ5b、片腕を水平に伸ばした立姿人物5c、及び、縦長箱状物体5dであるが、これらの被写体例は説明の便宜にすぎない。図3において、立姿人物5cの水平腕先には、輝点2aが描かれている。この輝点2aは、自発光型光源である第1光源2の発光によるものである。すなわち、図示の立姿人物5cの水平腕先には、例えば、図2の点光源35又は面光源36が握られているものとする。また、球状物体5aの全体と立姿人物5cの上半身部分には、それぞれ異なる光が照射されており、これらの照射光領域3b、4bは、外部照射型光源である第2光源3及び第3光源4の発光によるものである。すなわち、図示の球状物体5aの全体と立姿人物5cの上半身部分には、例えば、図2のレーザポインタ37又は懐中電灯38からの照射光が当てられているものとする。
【0029】
カメラ6は、撮影範囲5の被写体(又は複数の被写体からなる被写体群)の像を撮影し、その撮影画像を所定のフレーム周期(例えば、毎秒数十フレーム)で生成出力するが、その撮影画像には、球状物体5a、テレビ5b、立姿人物5c及び縦長箱状物体5dの各々の被写体像が含まれている。そして、この被写体像のうち球状物体5aの像全体は照射光領域3bによって所定のパターンで輝度が変動すると共に、立姿人物5cの上半身像部分は照射光領域4bによって所定のパターンで輝度が変動し、さらに、立姿人物5cの水平腕先付近は輝点2aによって所定のパターンで輝度が変動している。
【0030】
画像検出部12は、カメラ6からの画像信号を取り込み、光源制御部11によって点滅制御されたその画像信号中の部分的信号レベル(典型的には輝度レベル)の変動パターンに基づいて自発光型光源(第1光源2)の発光位置(輝点2aの位置)および外部照射型光源(第2光源3及び第3光源4)による照射位置・照射領域(照射光領域3b及び4bの位置やその領域範囲)を特定し、それらの特定情報と画像信号とを後段に出力する。
【0031】
ここで、画像処理装置1の主な機能は、例えば、撮影画像中の所望領域の切り出し機能を有するもの、又は、撮影画像中の所望位置に他の画像を張り付ける機能を有するもの(若しくはその両方の機能を有するもの)であり、出力された画像信号と特定情報とを受け取り、その特定情報に基づいて画像信号中から画像の切り出しを行うことができるものである。図3においては、効果付け処理装置15及び表示装置16は、画像検出部12から出力された画像信号と特定情報とを受け取り、その特定情報に基づいて撮影画像中の所望位置に他の画像を張り付け、それを表示するという処理を行うことができるものである。
【0032】
これらの処理によって得られる画像について、図3に示した撮影範囲5を例にして説明すると、まず、画像の切り出し処理では、撮影画像中の照射光領域3b及び4bに含まれる部分画像が切り出されるので、図3の例では、球状物体5aの全体像と立姿人物5cの上半身像が切り出され、図1のオブジェクト符号化部14により、各々個別に利用可能な画像オブジェクトとしてデータ化することができる。一方、画像の張り付け処理では、撮影画像中の輝点2aの位置(撮影領域5における画素座標)にあらかじめ用意された画像オブジェクトが張り付けられるので、例えば、図3の効果付け処理装置15により、任意の画像オブジェクトを輝点2aの位置に張り付け、それを表示装置16に出力して表示することができる。
【0033】
なお、張り付け処理における画像オブジェクトは、発明の原理上、どのようなものであっても構わないが、実用の観点からは元画像に所望の演出効果を付与できるものが好ましい。例えば、“熊のぬいぐるみ”(図12参照)などの面白みのある画像オブジェクトを張り付けられるようにすれば、立姿人物5cにぬいぐるみを持たせたような仮想的な演出効果を与えることができる。
【0034】
ちなみに、図3の右下に示す画像Gは、表示装置16に出力された加工済画像の例であり、効果付け処理装置15が画像の切り出し機能と画像の張り付け機能の双方を有している場合を想定したものである。画像Gは、第2光源3からの照射光領域3bによって切り出された球状物体像Gaと、第3光源4からの照射光領域4bによって切り出された上半身像Gcと、さらに、第1光源2の輝点2aの位置に張り付けられた画像オブジェクトGbとによって構成されている。
【0035】
球状物体像Ga及び上半身像Gcは、それぞれ独立して利用可能な画像オブジェクトであるから、例えば、MPEG−4やMPEG−7といった今日の高度なマルチメディア規格におけるオブジェクトベース符号化処理にも柔軟に対応できる上、さらに、任意の画像オブジェクトの張り付け加工を可能とするので、撮影現場で、例えば、図12に示するように、熊のぬいぐるみを張り付けた加工画像を容易に生成することができる。
【0036】
図4は、図1(又は図3)の画像処理装置1、第2光源3、第3光源4の具体的構成を示す図である。なお、撮影範囲5およびその範囲内に含まれる被写体(球状物体5a、テレビ5b、立姿人物5c及び縦長箱状物体5d)並びに照射光領域(照射光領域3b及び4b)や輝点(輝点2a)は、図3における同一符号のものと同じものを表している。さらに、図4においては、第1光源を図示していないが、立姿人物5cの水平腕先の輝点2aは第1光源の発光によるものであり、立姿人物5cは、図3における第1光源2と同じものを握っているものとする。
【0037】
図4において、画像処理装置1は、CPU17、変動パターン/処理対応リスト格納部151、結果出力画像バッファ152、符号クロック部111、タイムスロットカウンタ部18、第1相関処理部121、第2相関処理部122、リングバッファ123、デジタイズ部124、キャプチャフレームバッファ125、同期トリガ信号出力部112及び表示装置161などを備える。また、第3光源4は、同期トリガ信号取り出し部41、発光部42、変動パターンレジスタ43、ビットクロック部44及び符号クロック部45などを備え、第2光源3も第3光源4と同様の構成要素を備える。
【0038】
<画像処理装置1の各構成要素の説明>
CPU17は、プログラム制御により、画像処理装置1の全体動作を制御し、且つ、第2光源3や第3光源4などの点滅パターンの遠隔制御を行う。変動パターン/処理対応リスト格納部151は、変動パターン(各光源2〜4の点滅パターン)ごとにそのパターンと相関関係にある画像領域の処理内容を対応付けてリスト化して格納する機能を有する。これは、相異なる変動パターンを同時に弁別して検出できる本実施の形態において、それぞれの画像領域に、異なる画像処理効果を割り付けるために機能する。結果出力画像バッファ152は、CPU17が各変動パターンを検出し、この検出結果に基づく各画像領域における処理(切り出し、消去、置き換え等々)を全て行った結果を統合したものを格納する。
【0039】
符号クロック部111は、変動パターンの全体位相を決定するクロックを発生する。このクロックは、各変動パターン系列の最初のタイミングを指定するものである。画像処理装置1の符号クロックのタイミングは、各光源装置2〜4の点滅パターンの点滅タイミングに比べて、図5(b)(c)に示すようにt時間だけやや遅れたものになっている。tの値は、画像取りこみが開始する前に照明の点滅遷移が終了しなくてはいけないので、例えば、光源の不安定時間を1msとすれば、1.5ms程度である。タイムスロットカウンタ部18は、変動パターン内の変動タイミングを指定するクロックカウンタである。カメラ6と画像処理装置1とは、各照明のタイムスロットにおいて同期をとることができる構成であり、その周期は、図5(c)に示すように、カメラ6のフレームレートに等しく、位相としては、光源装置に比べてt時間だけ遅れたタイミングとなっている。
【0040】
第1相関処理部121は、相関値画像バッファ121a、2値画像バッファ121b、正画像バッファ121c、負画像バッファ121d及び変動パターンレジスタ121eを備え、その機能として、撮像された画像を時系列的に変動パターンレジスタで示された点滅パターン処理し、画像内の相関の有無を判定した2値画像として得る。第2相関処理部122は、相関値画像バッファ122a、2値画像バッファ122b、正画像バッファ122c、負画像バッファ122d及び変動パターンレジスタ122eを備え、第2の検出変動パターンに対して、第1相関処理部121と同様の処理を行う。リングバッファ123は、撮像される画像の時系列処理に対して、検出したい時間変動パターンごとの相関度を求めるため、過去n枚分の画像を記憶する画像メモリである。いま、光源の変動パターンが、所定のパターンシンボル(たとえば、「1110100」)と一致する輝度変動領域を検出したい場合は、このリングバッファ123に格納される画像の枚数は、そのパターンシンボルのシンボル数n(ここではn=7)に相当するn枚分である。
【0041】
なお、パターン長を長くすればするほど(すなわち、シンボル数nを多くすればするほど)、自然界の輝度変動と偶然に一致する確率(=誤検出確率)を飛躍的に低下させることが可能である。しかしながら、背景や周囲に非常に大きい輝度変動があったり、瞬間的な変位の大きい物体が撮像対象となる場合には、より強い照明(と高い検出スレッシュレベル)、または、より長い系列の変動パターンを必要とする。特にちらつく照明があったり、高速移動する物体が存在しない場合、5〜10ビット(シンボル数n=5〜10)の明滅を含む輝度変動照明の照射であれば、人間の肌程度の反射を持つ物体は、輝度の変動にして、5%程度以上の変動を与えることができれば、画像検出は可能である。
【0042】
デジタイズ部124は、カメラ6から取り込んだ画像信号をディジタル画像データに変換する。キャプチャフレームバッファ125は、一フレーム分の画像データをバッファリングする。同期トリガ信号出力部112は、第2光源3や第3光源4などに対して発光同期用の同期信号を出力する。表示装置161は、結果出力された画像を表示する。
【0043】
<第3光源4の各構成要素の説明>
同期トリガ信号取り出し部41は、画像処理装置1から出力された同期信号を取り込み、符号クロック部45に出力する。発光部42は、変動パターンレジスタ43に設定された変動パターンに対応した点滅パターンで発光し、その光を撮影範囲5の任意領域(図では立姿人物の上半身部分)に照射する。変動パターンレジスタ43は、発光部42の発光パターンデータを保持する。ビットクロック部44は、変動パターンレジスタの、1タイムスロット(変動パターン符号の1bit分)のON/OFFタイミングを指定する。符号クロック部45は、変動パターンレジスタの系列の最初のビットの出力タイミングを指定する。
【0044】
図4に示す第2光源3及び第3光源4は、その発光の点滅パターンが外部から制御可能になっており、画像処理装置1は、いくつか用意された変動パターンの中から外乱等を考慮して適切なパターンを選択し、その選択パターンを第2光源3や第3光源4に設定する。このパターン設定のために、画像処理装置1と各光源2〜4の間は通信が可能となるように構成されており、例えば、図5(a)に示すように、画像処理装置1、第2光源3、及び、第3光源4との間が、コネクタ等でワイヤード接続され、あるいは無線等でワイヤレス接続されている。又は、図4に示すように、一つの光源(図4では第3光源4)を中継機として、画像処理装置1と他の光源(図4では第2光源3)との間が間接的に接続されるものであってもよい。
【0045】
今、輝点2aの変動パターンを便宜的に「変動パターン1」とし、且つ、画像処理装置1から第2光源3に対して、上記変動パターン1と異なる他の変動パターン(以下「変動パターン2」という)を設定したものと仮定する。説明を簡単化するために、変動パターン1を「1000101」の繰り返し、変動パターン2を「1110100」の繰り返しとし、光の点滅(オン/オフ)をパターンの“1”、“0”に対応させると、輝点2aは「オン→オフ→オフ→オフ→オン→オフ→オン」を繰り返すこととなり、また、二つの照射光領域3b、4bは「オン→オン→オン→オフ→オン→オフ→オフ」を繰り返すこととなる。
【0046】
これらの発光パターンは、撮影範囲5の各被写体像とともにカメラ6によって撮影され、所定のフレーム周期で画像処理装置1に出力されると共に、デジタイズ部124によってディジタル化された1フレームごとの画像信号がキャプチャフレームバッファ125に1画面分展開された後、当該展開画面がリングバッファ123に送られ、バッファ0からバッファnに順次格納されるようになっている。
【0047】
図5(b)は、撮像側(カメラ6側)のタイミングと光源側(例えば、第2光源3及び第3光源4)のタイミングの対比図であり、撮像側では所定の撮像側フレームクロックに同期した撮像側フレームサンプリングクロックにより、フレーム画像の取り込み(撮影)を行い、一方、光源側では光源側符号フレームクロックに同期した光源側符号出力ビットクロックにより、上述の変動パターン(「1110100」)で発光部42の点滅を行う。光源出力信号の立ち上がり及び立ち下がりのタイミングは、撮像側符号フレームクロックに対してある時間tだけ早くなっており、この時間tは、光源出力の動作遷移時間(図5(c)の左下がりハッチング参照)や、撮像側のデータサンプル遅れを考慮した時間に設定されている。
【0048】
図6は、リングバッファ123の画像格納状態を示す図であり、ここではリングバッファ123のバッファ数(n)を便宜的に7個とし、各バッファを符号B0〜B6で表している。B0〜B6の左側に付した符号t0〜t6はそれぞれフレーム時間であり、時間t0のフレーム画像がB0に格納されると、次の時間t1のフレーム画像がB1に格納され、次の時間t2のフレーム画像がB2に格納され、これを繰り返して、時間t6のフレーム画像がB6に格納されると、これら7個のフレーム画像を用いて特有の変動パターンを抽出した後、再び、次の時間のフレームを最初のB0に格納する。
【0049】
図6において、B0〜B6の格納画像を図示のとおりとすると、B0の格納画像に含まれる球状物体5aの全体像と立姿人物5cの上半身像は、それぞれ照射光領域3b及び4bによって明るくなっており、且つ、立姿人物5cの水平腕先付近も輝点2aによって明るくなっている。同様に、B1〜B6についてみると、B1、B2及びB4でも球状物体5aの全体像と立姿人物5cの上半身像はそれぞれ照射光領域3b及び4bによって明るくなっており、一方、B3、B5及びB6では照射光領域3b及び4bがないためにいずれも暗くなっている。また、輝点2aはB4及びB6でも存在し、B1、B2、B3及びB5では存在しない。
【0050】
したがって、図示の7個のフレーム画像は、球状物体5aの全体像及び立姿人物5cの上半身像について、「オン→オン→オン→オフ→オン→オフ→オフ」の周期パターン、すなわち、「1110100」の変動パターン2で点滅(輝度変動)する特異画像部分となり、且つ、立姿人物5cの水平腕先付近について、「オン→オフ→オフ→オフ→オン→オフ→オン」、すなわち、「1000101」の変動パターン1で点滅する特異画像部分となる。このような特異画像部分は、変動パターンに対し相関度が低い外乱光、例えば、撮影範囲5のテレビ5bの輝度ちらつき(フリッカ)に伴う外乱光が含まれていたとしても、以下の理由から、両者を区別(弁別)して、特異画像部分の切り出しや、張り付け等を支障なく行うことができる。
【0051】
その理由は、以下のように考えることができる。すなわち、今、B0〜B6の各格納画像における照射光領域3b及び4bと輝点2aについて、それらの代表座標点(たとえば、領域中央の座標点など)を選び出し、各代表座標点の輝度レベルの時間的変化を図7のとおりとする。図7において、ハッチング付き四角記号のグラフは輝点2a(第1光源領域)の輝度レベル変化を表し、三角記号のグラフは照射光領域3b(第2光源領域;立姿人物5cへの照射領域)の輝度レベル変化を表し、×記号のグラフは照射光領域4b(第3光源領域;球状物体5aへの照射領域)の輝度レベル変化を表し、黒菱形記号のグラフは外乱光(テレビ5bのフリッカ点灯)の輝度レベル変化を表している。
【0052】
これら四つのグラフのうち、外乱光の輝度レベル変化を表すグラフについて、その最大輝度レベルや輝度変化幅は、他のグラフよりも意図的に大きくされている。これは、次に述べる相関値算出手法を適用することにより、外乱光に影響されることなく、輝点2aや照射光領域3b及び4bの検出を支障なく行うことができることを強調するためである。
【0053】
図8は、図7の四つのグラフにおける各フレーム時間t0〜t6ごとの輝度レベル実際値、及び、これらの実際値に、以下の理論に基づく算出式を適用して得られた相関値(パターン1とパターン2の各相関値)を示すリスト図である。このリスト図において、相関値は以下のように求める。上記の値の系列、つまりベクトル間の相関値の算出式は、一般には、相関値=内積/ノルムで(0〜1の値として)定義される。したがって、相関値rは、符号ビット0を−1に対応させて、1,1,1,−1,1,−1,−1とし、t0〜t6も平均を0とするよう正規化して、次式(ア)として表される。
【0054】
【数1】

【0055】
なお、本発明のより望ましい形態は、上記式(ア)に従って、厳密な相関値計算を行う方法であるが、本実施の形態では、照明の変動パターンが点滅からなるバイナリ符号であることや、自然界に検出対象と相関度の高い急激なドットデータ変動の頻度が比較的少ないことから、上記式(ア)のような厳密な相関値計算を用いなくても、簡易的な相関度算出処理でも可能である。ちなみに、次式(イ)による方法は、検出スレッシュ設定が厳密な相関値計算よりやや煩雑になるが、通常の相関値計算にあるような、二乗や平方根などのコストのかかる演算を回避しつつ、検出性能を確保することが可能である。以後、この式による値も相関値と呼ぶ。値域は8bit輝度信号であれば、0〜255を取る。
【0056】
相関値=Σ1/C1−Σ0/C0 ・・・・(イ)
【0057】
但し、Σ1はパターンの論理1に対応する輝度レベルの総和(すなわち、論理1シンボルの総和値)、C1はパターンの論理1の個数(すなわち、論理1シンボルの個数)、Σ0はパターンの論理0に対応する輝度レベルの総和(すなわち、論理0シンボルの総和値)、C0はパターンの論理0の個数(すなわち、論理0シンボルの個数)である。
【0058】
今、パターン1は「1000101」のパターンシンボルを持ち、パターン2は「1110100」のパターンシンボルを持つから、これらパターンごとの式(イ)は、次式(イ−1、イ−2)のようになる。なお、以下において、相関値1はパターン1の相関値、相関値2はパターン2の相関値である。
【0059】
相関値1=(t0+t4+t6)/3−(t1+t2+t3+t5)/4
‥‥(イ−1)
相関値2=(t0+t1+t2+t4)/4−(t3+t5+t6)/3
‥‥(イ−2)
【0060】
図8において、t0〜t6のそれぞれで、外乱光の輝度レベルは“130”、“240”、“200”、“190”、“220”、“108”、“119”となっており、第1光源領域の輝度レベルは“200”、“65”、“60”、“63”、“208”、“58”、“198”となっている。同様に、第2光源領域の輝度レベルは“125”、“126”、“124”、“29”、“124”、“28”、“30”、第3光源領域の輝度レベルは“165”、“155”、“152”、“70”、“154”、“80”、“71”となっている。
【0061】
以下、これらの実際値(輝度レベル)を、パターン1及びパターン2のそれぞれについて、上式(イ−1、イ−2)に当てはめた場合の、相関値1及び相関値2の算出方法を例示する。
【0062】
はじめに、パターン1の相関値(相関値1)を算出する。すなわち、上式(イ−1)を用いて、外乱光、第1〜第3光源領域の各相関値(相関値1)を算出する。パターン1の論理1シンボルはt0、t4、t6の位置にあり、その個数(C1)は“3”である。また、パターン1の論理0シンボルはt1、t2、t3、t5の位置にあり、その個数(C0)は“4”である。
【0063】
したがって、パターン1の外乱光のΣ1は、t0+t4+t6=“130”+“220”+“119”=“469”となり、Σ0は、t1+t2+t3+t5=“240”+“200”+“190”+“108”=“738”となり、C1=“3”、C0=“4”であるから、パターン1の外乱光の相関値1は、上式(イ−1)より、“469”/“3”−“738”/“4”=“−28.17”となる。
【0064】
また、パターン1の第1光源領域のΣ1は、t0+t4+t6=“200”+“208”+“198”=“606”となり、Σ0は、t1+t2+t3+t5=“65”+“60”+“63”+“58”=“246”となり、C1=“3”、C0=“4”であるから、パターン1の第1光源領域の相関値1は、上式(イ−1)より、“606”/“3”−“246”/“4”=“140.50”となる。
【0065】
また、パターン1の第2光源領域のΣ1は、t0+t4+t6=“125”+“124”+“30”=“279”となり、Σ0は、t1+t2+t3+t5=“126”+“124”+“29”+“28”=“307”となり、C1=“3”、C0=“4”であるから、パターン1の第2光源領域の相関値1は、上式(イ−1)より、“279”/“3”−“307”/“4”=“16.25”となる。
【0066】
また、パターン1の第3光源領域のΣ1は、t0+t4+t6=“165”+“154”+“71”=“390”となり、Σ0は、t1+t2+t3+t5=“155”+“152”+“70”+“80”=“457”となり、C1=“3”、C0=“4”であるから、パターン1の第3光源領域の相関値1は、上式(イ−1)より、“390”/“3”−“457”/“4”=“15.75”となる。
【0067】
次に、パターン2の相関値(相関値2)を算出する。すなわち、上式(イ−2)を用いて、外乱光、第1〜第3光源領域の各相関値(相関値2)を算出する。パターン2の論理1シンボルはt0、t1、t2、t4の位置にあり、その個数(C1)は“4”である。また、パターン2の論理0シンボルはt3、t5、t6の位置にあり、その個数(C0)は“3”である。
【0068】
したがって、パターン2の外乱光のΣ1は、t0+t1+t2+t4=“130”+“240”+“200”+“220”=“790”となり、Σ0は、t3+t5+t6=“190”+“108”+“119”=“417”となり、C1=“4”、C0=“3”であるから、パターン2の外乱光の相関値2は、上式(イ−2)より、“790”/“4”−“417”/“3”=“58,50”となる。
【0069】
また、パターン2の第1光源領域のΣ1は、t0+t1+t2+t4=“200”+“65”+“60”+“208”=“533”となり、Σ0は、t3+t5+t6=“63”+“58”+“198”=“319”となり、C1=“4”、C0=“3”であるから、パターン2の第1光源領域の相関値2は、上式(イ−2)より、“533”/“4”−“319”/“3”=“26.92”となる。
【0070】
また、パターン2の第2光源領域のΣ1は、t0+t1+t2+t4=“125”+“126”+“124”+“124”=“499”となり、Σ0は、t3+t5+t6=“29”+“28”+“30”=“87”となり、C1=“4”、C0=“3”であるから、パターン2の第2光源領域の相関値2は、上式(イ−2)より、“499”/“4”−“87”/“3”=“95.75”となる。
【0071】
また、パターン2の第3光源領域のΣ1は、t0+t1+t2+t4=“165”+“155”+“152”+“154”=“626”となり、Σ0は、t3+t5+t6=“70”+“80”+“71”=“221”となり、C1=“4”、C0=“3”であるから、パターン2の第3光源領域の相関値2は、上式(イ−2)より、“626”/“4”−“221”/“3”=“82.83”となる。
【0072】
以上の計算によって得られた各相関値(相関値1、相関値2)を比較すると、パターン1については輝点2a(第1光源領域)の相関値1(“140.50”)が最大であり、パターン2については照射光領域3b(第2光源領域)の相関値2(“95.75”)が最大であり、照射光領域4b(第3光源領域)の相関値2(“82.83”)がその次につけている。
【0073】
したがって、相関値判定用のスレッシュレベルを、例えば、“80.00”とすると、パターン1については、その最大値を示した輝点2a(第1光源領域)の相関値1(“140.50”)だけが抽出されることとなり、また、パターン2については、その最大値を示した照射光領域3b(第2光源領域)の相関値2(“95.75”)と、次位の大きさを示した照射光領域4b(第3光源領域)の相関値2(“82.83”)が抽出されることとなる。
【0074】
その結果、外乱光が重畳されている場合であっても、当該外乱光に影響されることなく、輝点2aや照射光領域3b及び4bの検出を支障なく行うことができ、しかも、外乱光の最大輝度レベルや輝度変化幅が輝点2aや照射光領域3b及び4bのそれよりも大きい場合(図8のリスト図は敢えてそのようなレベル関係にしてある。)であっても、上記の検出動作、すなわち、輝点2aや照射光領域3b及び4bの検出を何ら支障なく行うことができる。
【0075】
図9は、上記第1の実施の形態における画像処理装置1の処理フローを示す図である。同図において、まず、第2光源3や第3光源4(要すれば第1光源2にも)に所要の変動パターンのセット(設定)、当該変動パターンとの処理対応リストのセット(設定)、及び、各光源との同期合わせを行ったり等の初期化を実行する(ステップS11)。次に、カメラ6からの画像信号取り込み(フレームキャプチャ)を待つ(ステップS12)。画像取り込みが行われると、キャプチャフレームバッファ125にキャプチャされた画像信号に基づく画像データを、そのときのタイムスロットカウンタ部18の値(N)に対応したバッファ(例えば、N=0であればリングバッファ123のバッファ0)にコピーする(ステップS13)。
【0076】
次に、モジュロ演算を行って(タイムスロットは、変動パターンが、1110100の長さL=7ビットパターンで表される場合、N=0〜6の値を周期的に取る必要があるため)、タイムスロットカウンタ部18の値を更新し(ステップS14)、各検出変動パターンごとに相関値画像算出や判定2値が像算出等の処理を行い(ステップS15)、パターン1の変動領域が検出された場合(ステップS16)は、変動パターン/処理対応リスト格納部151からパターン1用処理指示を取り出し、処理を実行して、結果出力画像バッファ152に書き込む(ステップS17)。
【0077】
変動パターン/処理対応リスト格納部151の格納内容が図12のようなものである場合、上記処理により、変動パタン1により照射された領域(または直接発光領域)の左上座標に、格納されている合成用CG画像等が書き出される。図6に示した、光源と符号パターンの組み合わせの場合、変動パターン1を設定した第1光源の座標に合成用のCG画像(アニメキャラクタや、小道具の画像その他)が上書きされる。また、パターン2の変動領域が検出された場合(ステップS18)は、同様に、変動パターン/処理対応リスト格納部151からパターン2用処理指示を取り出し、処理を実行して、結果出力画像バッファ152に書き込む(ステップS19)。
【0078】
設定および、実使用の様子が、図12、図6の場合、変動パターン2を設定された、第2、第3光源で照射された、中央の立姿人物の上半身(4b)、および、左下のボール(3b)のみが、切り出されることになる。なお、処理内容の指定により、立ち姿人物の切り出しを行う際、変動パターン1で行う、CG合成のほうが表示優先度が高いため、このパターン2で対応処理を行っても立ち姿人物の差し出した手が、パターン1で書きこみ合成した、CG等の上になってしまうことはない。
【0079】
そして、変動パターン/処理対応リスト格納部151から、非検出領域対象処理を実行し(ステップS20)、図6の設定例の場合は、非検出領域に対しては白となるので、図12、図6の例では、白いバックの中でボールと立姿人物の上半身とが切り出され、あたかもその人物の右手に、合成したCG画像の物体(熊のぬいぐるみ)を持っているような結果出力が得られる。
【0080】
なお、図4の変動パターン処理結果リスト151により、まったく同一の変動照明を用いながら、処理結果はまったく違うものを得ることも可能である。
【0081】
後は、この結果画像を出力(ステップS21)した後、再びフレームキャプチャ(ステップS12)以降を繰り返す。
【0082】
図10は、上記のステップS15の具体的フローであり、このフローでは、変動パターン1の処理と変動パターン2の処理を同時並行的に実行する。すなわち、まず、リングバッファ123の各バッファ0〜nに含まれる画像信号の中で変動パターンの“1”に相当する部分の加算結果を求め、その加算画像数で割った画像を、正画像バッファ121c(変動パターン2の処理フローでは正画像バッファ122c)に格納する(ステップS15a)。この処理の目的は、格納したバッファの画像系列の中で、輝度が高くなっているべきタイミング(=照明点灯)での画像の輝度平均を算出することである。
【0083】
次に、リングバッファ123の各バッファ0〜nに含まれる画像信号の中で変動パターンの“0”に相当する部分の加算結果を求め、その加算画像数で割った画像を、負画像バッファ121d(変動パターン2の処理フローでは正画像バッファ122d)に格納する(ステップS15b)。この処理の目的は、輝度が低くなっているべきタイミング(=照明消灯)での各画像の輝度平均を算出することである。
【0084】
次に、正画像バッファの格納画像と負画像バッファの格納画像との差分をとり、その差分画像を相関値画像バッファ121a(変動パターン2の処理フローでは相関値画像バッファ122a)に格納する(ステップS15c)。 そして、最後に、照明強度/拡散特性、検出物体の反射係数、背景環境の空間的、時間的変動度によって定める一定の値により、相関値画像バッファ121a(変動パターン2の処理フローでは正画像バッファ122a)に格納する(ステップS15d)。
【0085】
図11は、図10動作フローの処理の動作概念図である。中央に示した一連の画像バッファを参照することで、変動パターン1、2それぞれの検出処理では、点灯タイミングに対応するビット「1」および消灯に対応するビット「0」に対応する画像群が加算・平均されそれらの差分画像を、該当パターンの相関画像として得られる様子を示している。
【0086】
以上のことから、本実施の形態によれば、撮影場所を問わずに、撮影画像中の所望領域を切り出したり、撮影画像中の所望位置に他の画像を張り付けたりする等の加工処理を行うことができる汎用性に優れた画像処理方法及び画像処理装置を提供することができるうえ、とりわけ外乱光に晒される撮影現場であっても、その外乱光の影響を受けることなく、撮影範囲5の画像信号の中から輝点2bや照射光領域3b及び4bの検出を行うことができ、所望領域の画像オブジェクト切り出しや、所望位置への画像オブジェクトの張り付け等を行うことができるという格別有益な効果が得られる。
【0087】
また、輝点2bや照射光領域3b及び4bの変動パターン(明滅パターン)と画像加工処理の内容とを対応付けしたデータ(変動パターン/処理対応リスト)を変動パターン/処理対応リスト格納部151に格納し、実際に検出された輝点2bや照射光領域3b及び4bの変動パターンと変動パターン/処理対応リストとを照合して、そのリストから、実行すべき画像加工処理の種別(画像の張り付け又は切り出し)を取り出すようにしているため、いちいち、撮像側(カメラ6側)で画像加工の種別を指定する必要がなく、操作性の簡素化を図ることができる。
【0088】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
まず、前記第1の実施の形態では、式(イ)で示した簡略的な相関値評価式を用いることにより、検出すべきパターンについて、他の画像領域の輝度等の変動(=外乱)の影響を受けることなく、目的とする信号領域だけを検出することができるとしている。
【0089】
しかしながら、前記第1の実施の形態における簡略的な相関値評価式(式(イ))は、より巌しい環境条件の場合、たとえば、外乱光の変動成分に検出パターン変動の1タイムスロットにきわめて近い瞬間的変動が多発するような画像領域が含まれる場合において、「変動の大きな外乱信号に影響されない、したがって、誤検出しない」という性能を完全に満たすことが困難であるという欠点が予想される。
【0090】
このような厳しい環境条件を想定した場合、前記第1の実施の形態では、(1)パターンのビット数を増やす、または、(2)照射や発光光源の輝度を上げて、より大きな変動を与えるようにし、図10のステップS15dにおける2値化画像取得のための判定スレッショルドを上げる(=判定条件を厳しくする)という、いずれかの対策をとる必要があるが、(1)の場合、その対策は処理においてオーバヘッドの増加を招く欠点があり、また、(2)の場合、その対策は検出感度が低下する欠点がある。
【0091】
そこで、第2の実施の形態では、相関値評価式に正規化処理を加えることにより、より簡便で、しかも、上記の厳しい環境条件を想定した場合においても、良好な特性の相関値取得を可能とすることができるように改良した場合について詳述するものである。
なお、第2の実施の形態のブロツク構成図等は、前記第1の実施の形態と同一であるため図示等を省略し、また、処理フロー等についても相関値に係わる部分が第2の実施の形態に特有の処理になっている以外はすべて同一であるから、これも図示等を省略する。
【0092】
第2の実施の形態のポイントは、前記第1の実施の形態で示した簡略的な相関値評価式(式(イ))の代わりに、次式(ウ)を使用することにある。
【0093】
相関値=(〔前式(イ)〕/ΔW)×const ・・・・(ウ)
ΔW=max(t0・・・・t6)−min(t0・・・・t6) ・・・・(エ)
【0094】
但し、max(引数)は引数で与えられたデータの最大値を返すmax関数、min(引数)は引数で与えられたデータの最小値を返すmin関数である。なお、式(ウ)において、constは乗算係数(たとえば、const=“255”)である。constを乗じているのは、最大0〜1の値を扱いやすいドット信号輝度範囲0〜255の値域に変換するためのである。constの値は、対象とする値域によっては“255”以外になることはいうまでもない。
【0095】
前記第1の実施の形態と同様に、パターン1のパターンシンボルは「1000101」であり、パターン2のパターンシンボルは「1110100」であるものとする。これらパターンごとの式(ウ)は、次式(ウ−1、ウ−2)のようになる。なお、以下において、相関値1はパターン1の相関値、相関値2はパターン2の相関値である。
【0096】
相関値1=(((t0+t4+t6)/3
−(t1+t2+t3+t5)/4)/ΔW)×255
‥‥(ウ−1)
相関値2=(((t0+t1+t2+t4)/4
−(t3+t5+t6)/3)/ΔW)×255
‥‥(ウ−2)
【0097】
図13において、t0〜t6のそれぞれで、第1光源領域の輝度レベルは“200”、“65”、“60”、“63”、“208”、“58”、“198”となっており、同様に、第2光源領域の輝度レベルは“125”、“126”、“124”、“29”、“124”、“28”、“30”、第3光源領域の輝度レベルは“165”、“155”、“152”、“70”、“154”、“80”、“71”となっている。
【0098】
これら第1〜第3光源領域の輝度レベル値の例は、前記第1の実施の形態(図8)と同一であるが、外乱光の輝度レベルについては、上記の厳しい環境条件を想定した、たとえば、“250”、“240”、“255”、“100”、“30”、“80”、“119”となっている点で相違する。なお、第2光源領域周縁とは、第2光源領域(立姿人物5cへの照射領域)のエッジ部分のことをいう。これは、このエッジ部分における第1の実施の形態の不都合を説明するために、敢えて追加したものである。
【0099】
ここで、図13の各代表座標点の輝度レベルの時間的変化を図14のとおりとする。図14において、ハッチング付き四角記号のグラフは輝点2a(第1光源領域)の輝度レベル変化を表し、三角記号のグラフは照射光領域3b(第2光源領域;立姿人物5cへの照射領域)の輝度レベル変化を表し、×記号のグラフは照射光領域4b(第3光源領域;球状物体5aへの照射領域)の輝度レベル変化を表し、丸記号のグラフは照射光源領域4bのエッジ(第3光源領域周縁;立姿人物5cへの照射領域エッジ)の輝度レベル変化を表し、黒菱形記号のグラフは外乱光(テレビ5bのフリッカ点灯)の輝度レベル変化を表している。なお、立姿人物5cは黒色の服を着ているものとする。すなわち、第3光源領域周縁は、黒色服のエッジを表している。
【0100】
図13の例に、前記第1の実施の形態における式(イ)を適用した場合、以下に詳述するように、外乱光を確実に排除できず、さらに、第2光源領域周縁も抽出できないという不都合を生じるが、第2の実施の形態における式(ウ)を適用した場合、このような不都合を生じることがない。
【0101】
以下、図13の例に、前記第1の実施の形態における式(イ)を適用した場合の相関値を、パターン1について「相関値1A」、パターン2について「相関値2A」ということとし、さらに、第2の実施の形態の式(ウ)を適用した場合の相関値を、パターン1については「相関値1B」といい、パターン2について「相関値2B」ということとして、それぞれの相関値(相関値1A、2A、1B、2B)の算出方法を例示する。
【0102】
同図において、相関値1Aは式(イ)を適用して算出したパターン1の相関値、相関値2Aは式(イ)を適用して算出したパターン2の相関値であり、これらの相関値1A、2Aは、前記第1の実施の形態における相関値に相当するものである。また、相関値1Bは式(ウ)を適用して算出したパターン1の相関値、相関値2Bは式(ウ)を適用して算出したパターン2の相関値であり、これらの相関値1B、2Bは第2の実施の形態に特有のものである。
【0103】
また、相関値1A及び相関値2Aの値は、外乱光と第2光源領域周縁を除き、前記第1の実施の形態における計算結果(図8参照)と同一である。すなわち、第1光源領域〜第3光源領域の相関値1Aはそれぞれ“140.50”、“16.25”、“15.75”、相関値2Aはそれぞれ“26.92”、“95.75”、“82.83”であり、これらの値は、前記第1の実施の形態における計算結果(図8参照)と同一である。
【0104】
前記第1の実施の形態と相違する外乱光と第2光源領域周縁のそれぞれの相関値1A及び相関値2Aは、式(イ)を適用して、次のようにして求められる。すなわち、図13において、t0〜t6のそれぞれで、外乱光の輝度レベルは“250”、“240”、“255”、“100”、“30”、“80”、“119” であり、また、第2光源領域周縁の輝度レベルは“70”、“69”、“69”、“20”、“68”、“21”、“20” である。
【0105】
パターン1の論理1シンボルはt0、t4、t6の位置にあり、その個数(C1)は“3”である。また、パターン1の論理0シンボルはt1、t2、t3、t5の位置にあり、その個数(C0)は“4”である。したがって、パターン1の外乱光のΣ1は、t0+t4+t6=“250”+“30”+“119”=“399”となり、Σ0は、t1+t2+t3+t5=“240”+“255”+“100”+“80”=“675”となり、C1=“3”、C0=“4”であるから、パターン1の外乱光の相関値1Aは、上式(イ−1)より、“399”/“3”−“675”/“4”=“−35.75”となる。
【0106】
また、パターン1の第2光源領域周縁のΣ1は、t0+t4+t6=“70”+“68”+“20”=“158”となり、Σ0は、t1+t2+t3+t5=“69”+“69”+“20”+“21”=“179”となり、C1=“3”、C0=“4”であるから、パターン1の第2光源領域周縁の相関値1Aは、上式(イ−1)より、“158”/“3”−“179”/“4”=“7.92”となる。
【0107】
パターン2の論理1シンボルはt0、t1、t2、t4の位置にあり、その個数(C1)は“4”である。また、パターン2の論理0シンボルはt3、t5、t6の位置にあり、その個数(C0)は“3”である。したがって、パターン2の外乱光のΣ1は、t0+t1+t2+t4=“250”+“240”+“255”+“30”=“775”となり、Σ0は、t3+t5+t6=“100”+“80”+“119”=“299”となり、C1=“4”、C0=“3”であるから、パターン2の外乱光の相関値2Aは、上式(イ−2)より、“775”/“4”−“299”/“3”=“94.08”となる。
【0108】
また、パターン2の第2光源領域周縁のΣ1は、t0+t1+t2+t4=“70”+“69”+“69”+“68”=“276”となり、Σ0は、t3+t5+t6=“20”+“21”+“20”=“61”となり、C1=“4”、C0=“3”であるから、パターン2の第2光源領域周縁の相関値2Aは、上式(イ−2)より、“276”/“4”−“61”/“3”=“48.67”となる。
【0109】
次に、図13の例に、第2の実施の形態における式(ウ)を適用して、パターン1の「相関値1B」とパターン2の「相関値2B」をすべて算出する。
まず、式(ウ)のΔW項を計算する。図13において、t0〜t6のうち最大値を持つシンボルに着目すると、外乱光はt2の“255”、第1光源領域はt4の“208”、第2光源領域はt1の“126”、第3光源領域はt0の“165”、第2光源領域周縁はt0の“70”である。また、t0〜t6のうち最小値を持つシンボルに着目すると、外乱光はt4の“30”、第1光源領域はt5の“58”、第2光源領域はt5の“28”、第3光源領域はt3の“70”、第2光源領域周縁はt3の“20”である。
【0110】
したがって、外乱光のΔWをΔW0、第1光源領域のΔWをΔW1、第2光源領域のΔWをΔW2、第3光源領域のΔWをΔW3、及び、第2光源領域周縁のΔWをΔW4と呼ぶことにすると、式(エ)より、ΔW0=“255”−“30”=“225”、ΔW1=“208”−“58”=“150”、ΔW2=“126”−“28”=“98”、ΔW3=“165”−“70”=“95”、ΔW4=“70”−“20”=“50”となる。
【0111】
<相関値1B>
図13の例におけるパターン1の相関値(相関値1B)は、式(ウ−1)より、相関値1AをΔWで除算し、それにconst=“255”を乗じた値で与えられる。したがって、外乱光の相関値1Aは“−35.75”、ΔW0は“225”であるから、“−40.52”が得られる。
【0112】
同様に、第1光源領域の相関値1Aは“140.50”、ΔW1は“150”であるから、“238.85”が得られ、第2光源領域の相関値1Aは“16.25”、ΔW2は“98”であるから、“42.28”が得られる。また、第3光源領域の相関値1Aは“15.75”、ΔW3は“95”であるから、“42.28”が得られ、第2光源領域周縁の相関値1Aは“7.92”、ΔW4は“50”であるから、“40.39”が得られる。
【0113】
<相関値2B>
図13の例におけるパターン2の相関値(相関値2B)は、式(ウ−2)より、相関値2AをΔWで除算し、それにconst=“255”を乗じた値で与えられる。したがって、外乱光の相関値2Aは“94.08”、ΔW0は“225”であるから、“106.63”が得られる。
【0114】
同様に、第1光源領域の相関値2Aは“26.92”、ΔW1は“150”であるから、“45.76”が得られ、第2光源領域の相関値2Aは“95.75”、ΔW2は“98”であるから、“249.15”が得られる。また、第3光源領域の相関値2Aは“82.83”、ΔW3は“95”であるから、“222.34”が得られ、第2光源領域周縁の相関値2Aは“48.67”、ΔW4は“50”であるから、“248.22”が得られる。
【0115】
<各相関値の評価>
さて、以上の計算により、図13におけるすべての相関値(相関値1A、2A、1B、2B)が明らかになった。このうちの相関値1A、2Aについては、式(イ)を適用して求めたもの、すなわち、前記第1の実施の形態によるものである。
【0116】
不都合の実例は、図13において、外乱光の相関値2A(“94.08”)と第2光源領域周縁の相関値2A(“48.67”)に見ることができる。
すなわち、外乱光の相関値2Aは“94.08”という大きな値であるため、しきい値(たとえば、“80.00”)を上回ってしまい分離することができないという不都合がある。また、第2光源領域周縁の相関値2Aは“48.67”という小さな値であるため、しきい値(たとえば、“80.00”)を下回ってしまい、抽出することができないという不都合がある。
【0117】
これに対して、式(ウ)を適用して求めた相関値、すなわち、第2の実施の形態によって求めた相関値1B及び2Bは、たとえば、外乱光の相関値2Bは“106.63”、第2光源領域周縁の相関値2Bは“248.22”であるため、適当なしきい値(たとえば、“200.00”)を使用することにより、外乱光の相関値2B(“106.63”)を除外することができ、且つ、第2光源領域周縁の相関値2B(“248.22”)を抽出することができ、前記第1の実施の形態の不都合を解消することができる。
【0118】
以上、説明したとおり、第2の実施の形態にあっては、より巌しい環境条件の場合、たとえば、外乱の変動成分に検出パターン変動の1タイムスロットにきわめて近い瞬間的変動が多発するような画像領域が含まれる場合において、「変動の大きな外乱信号に影響されない、したがって、誤検出しない」という性能を完全に満たすことができるという格別のメリットが得られる。
【0119】
なお、第2の実施の形態の処理は、カメラノイズなどによるフレームごとのサンプリングレベル変動のような、微小な変動列が正規化処理により大きい値が乗じられる可能性があり、検出対象外となるべき点が、偶然大きな相関値を持ってしまうことがある。しかしながら、このような検出対象外の点は孤立して出現する特性があるので、対処方法として、図10のステップS15dの2値化の前に、メディアンフィルタを追加することで解消することができる。
【0120】
また、カメラ特性が悪い場合、あらかじめ正規化する前に、ある程度以下の第1方式相関値(たとえば、0〜255の値域において5以下)は、切リ捨てる処理を追加してもよい。
【0121】
また、前記第1の実施の形態では、信号強度はそれ自体が2値化判定スレッシュを決める重要な要因であり、たとえば、黒っぽいものについては、それに応じて(2値化判定スレッシュを)下げるなどの使用条件による適切な設定などが必要であった。しかしながら、第2の実施の形態によれば、判定スレッシュは変動の大きさによらず同一パターンであることを表すので、環境条件による得られるΔWの大小に影響されないという利点を備えるので、正規化された2値化判定スレッショルドを設定することができる。
【0122】
このように、第2の実施の形態によれば、相関係数計算によって、より厳密に「パターンの類似度」だけを評価することができる。したがって、より、変動パターンに相似した外乱があっても、また、変動の小さい第2光源領域周辺のようなドットの値変動列であっても、良好な相関値評価を行うことができる。
【0123】
なお、以上の実施の形態では、複数フレームを使って画像を処理するため、検出対象が動いた場合にエッジ部分がずれることがあり、結果として、検出できるのは各フレームで重なっている領域のみになるという問題があるが、撮像素子のフレームレートを上げる等により、動きに伴う検出誤差を許容範囲に収めることが可能になる。
【0124】
また、検出対象が動く場合は、複数枚のフレームバッファ間の動きベクトルデータを算出し、フレーム間の動きベクトルを参照し、対応点群のセットを取り出すことで行うなどするとよい。
【0125】
以上、説明したとおり、第2の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と比較して、より近似したパターンの外乱、また、より弱い変動の目的パターンも良好に切り出すことができる。また、式(ア)のような厳密な相関値に比べて、遙かに処理負担を引き下げることができ、且つ、信号の有無を判定する処理において、使用条件や環境条件の影響を受けにくいものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】実施の形態の原理ブロック構成図である。
【図2】自発光型光源と外部照射型光源の具体例である。
【図3】撮影範囲5に四つの被写体が含まれる場合の使用例を示す図である。
【図4】画像処理装置1及び第1光源2〜第3光源4の具体的構成を示す図である。
【図5】画像処理装置1と各光源の間の通信構成図である。
【図6】リングバッファ123の画像格納状態を示す図である。
【図7】輝度レベルの時間的変化を示す図である。
【図8】各フレーム時間t0〜t6ごとの輝度レベル実際値及びこれらの実際値を適用して得られた相関値を示すリスト図である。
【図9】画像処理装置1の処理フローを示す図である。
【図10】図9のステップS15の具体的フローを示す図である。
【図11】図10のフローの動作概念図である。
【図12】変動パターン/処理対応リストの一例を示す図である。
【図13】各フレーム時間t0〜t6ごとの輝度レベル実際値及びこれらの実際値を適用して得られた相関値を示すリスト図である。
【図14】輝度レベルの時間的変化を示す図である。
【符号の説明】
【0127】
Ga 球状物体像
Gb 画像オブジェクト
Gc 上半身像
1 画像処理装置
2 第1光源
2a 輝点
3 第2光源
3b 照射光領域
4 第3光源
4b 照射光領域
5 撮影範囲
5a 球状物体
5b テレビ
5c 立姿人物
6 カメラ
11 光源制御部
12 画像検出部
13 検出領域形状認識処理部
14 オブジェクト符号化処理部
15 効果付け処理装置
16 表示装置
17 CPU
18 タイムスロットカウンタ部
41 同期トリガ信号取出部
43 変動パターンレジスタ
111 符号クロック部
112 同期トリガ信号出力部
121a 相関値画像バッファ
121e 変動パターンレジスタ
122a 相関値画像バッファ
122e 変動パターンレジスタ
123 リングバッファ
125 キャプチャフレームバッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の変動パターンを設定する設定手段と、
この設定手段によって設定された変動パターンに対応して点滅する光源と、
この光源を含む画角、もしくは、この光源が発光することにより照射される画像領域を含む画角を撮像する撮像手段と、
この撮像手段によって撮像された画像を時系列的に処理することにより、前記画角に含まれる前記変動パターンによって輝度が変化する画像領域を抽出する抽出手段と、
この抽出手段によって抽出された画像領域から前記変動パターンによって符号化された情報を検出する検出する検出手段と、
この検出手段によって検出された情報に基づいて、前記撮像された画像を加工する加工手段と、
この加工手段によって加工された結果を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする画像加工システム。
【請求項2】
前記変動パターンの設定を制御する制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載の画像加工システム。
【請求項3】
前記検出手段によって符号化された情報が少なくとも2種類検出されると、これらの情報の優先度を判断する判断手段を更に備え、
前記加工手段は更にこの判断手段によって判断された優先度に基づいて前記撮像された画像を加工することを特徴とする請求項1又は2記載の画像加工システム。
【請求項4】
前記加工手段は、前記検出手段によって検出された情報に基づいて、前記抽出された画像領域を切り出す切出手段を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか記載の画像加工システム。
【請求項5】
前記加工手段は、前記検出手段によって検出された情報に基づいて、前記撮像された画像に含まれる前記光源対応する画像領域、もしくは、前記抽出された画像領域に任意の画像を合成する合成手段を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか記載の画像加工システム。
【請求項6】
撮像装置によって撮像される画角内に存在するか、若しくは、当該画角内を照射する光源であって、
前記撮像装置によって撮像される画像の処理内容を所定の変動パターンにして設定する設定手段と、
この設定手段によって設定された変動パターンに対応して点滅するよう制御する制御手段と
を備えることを特徴とする光源。
【請求項7】
所定の変動パターンで点滅する光源を含む画角、もしくは、この光源が発光することにより照射される画像領域を含む画角を撮像する撮像手段と、
この撮像手段によって撮像された画像を時系列的に処理することにより、前記画角に含まれる前記変動パターンによって輝度が変化する画像領域を抽出する抽出手段と、
この抽出手段によって抽出された画像領域から前記変動パターンによって符号化された情報を検出する検出する検出手段と、
この検出手段によって検出された情報に基づいて、前記撮像された画像を加工する加工手段と、
この加工手段によって加工された結果を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
前記検出手段によって符号化された情報が少なくとも2種類検出されると、これらの情報の優先度を判断する判断手段を更に備え、
前記加工手段は更にこの判断手段によって判断された優先度に基づいて前記撮像された画像を加工することを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
前記加工手段は、前記検出手段によって検出された情報に基づいて、前記抽出された画像領域を切り出す切出手段を含むことを特徴とする請求項7又は8記載の撮像装置。
【請求項10】
前記加工手段は、前記検出手段によって検出された情報に基づいて、前記撮像された画像に含まれる前記光源対応する画像領域、もしくは、前記抽出された画像領域に任意の画像を合成する合成手段を含むことを特徴とする請求項7又は8記載の撮像装置。
【請求項11】
コンピュータを、
撮像部に対し、所定の変動パターンで点滅する光源を含む画角、もしくは、この光源が発光することにより照射される画像領域を含む画角を撮像させる撮像手段、
この撮像手段によって撮像された画像を時系列的に処理することにより、前記画角に含まれる前記変動パターンによって輝度が変化する画像領域を抽出する抽出手段、
この抽出手段によって抽出された画像領域から前記変動パターンによって符号化された情報を検出する検出する検出手段、
この検出手段によって検出された情報に基づいて、前記撮像された画像を加工する加工手段、
この加工手段によって加工された結果を表示部に表示させる表示手段
として機能させることを特徴とする画像加工プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−189730(P2007−189730A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48228(P2007−48228)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【分割の表示】特願2001−286891(P2001−286891)の分割
【原出願日】平成13年9月20日(2001.9.20)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】