画像加熱装置
【課題】記録材P上の画像tを加熱するためのエンドレスベルト101と、このベルト101をその幅方向に揺動させる変位可能なベルト懸架ローラ151と、を有する画像加熱装置5において、ステアリング動作によるベルト101の追従性を犠牲にせずに、ステアリング動作に伴うベルトコバ部によるローラ151の磨耗を抑制する。これにローラ削り粉を要因とした障害の発生を低減する。
【解決手段】ベルト懸架ローラ151の表面のベルト101の幅方向端縁と摺動可能な端部領域の引張強さを中央領域よりも大くした。
【解決手段】ベルト懸架ローラ151の表面のベルト101の幅方向端縁と摺動可能な端部領域の引張強さを中央領域よりも大くした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材上の画像を加熱するためのエンドレスベルトと、このベルトをその幅方向に揺動させる変位可能なベルト懸架ローラと、を有するベルト方式の画像加熱装置に関する。
【0002】
画像加熱装置としては、記録材上にの未定着トナー画像を定着する定着装置や、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢度を増大させる光沢度増大装置を挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
ベルト方式の画像加熱装置においては、ベルトの回転状態で、ベルトが幅方向(ベルト回転方向に直交する方向)の一方側または他方側にベルト張架部材に沿って片寄り移動(蛇行)する現象を生じる。このベルトの片寄り移動はベルトの走行を不安定にする。
【0004】
ベルトの片寄り移動は、複数のベルト張架部材間の並行度やねじれ等が原因しているもので、それらの精度を高めるのは限界があり、精度の向上だけではベルトの片寄り移動をなくしてベルトの走行を安定化させることは困難である。
【0005】
そこで、ベルトの片寄り移動を規制する手段がとられる。そのような手段の一つとして、複数のベルト張架部材の少なくとも1つのベルト張架部材を、ベルトをその幅方向に揺動させる変位可能なベルト懸架ローラにする。そして、このベルト懸架ローラを揺動させて他のベルト張架部材に対して姿勢(並行度やねじれ)を変化させることで回転状態におけるベルトの幅方向への寄り移動を所定の移動範囲内に往復移動制御するベルト寄り制御機構がある(特許文献1〜6)。
【特許文献1】特開平5−1751号公報
【特許文献2】特開平5−27622号公報
【特許文献3】特開平5−238583号公報
【特許文献4】特開平6−9096号公報
【特許文献5】特開平8−234597号公報
【特許文献6】特開平8−292668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のベルト懸架ローラの揺動動作(ステアリング動作)によりベルト懸架ローラに沿って所定の移動範囲で繰り返しベルトが往復移動することで、ベルトのコバ部が繰り返してベルト懸架ローラの表面と摺動する。
【0007】
ここで、ベルトコバ部とは、ベルトの幅方向端縁であり、特には、ベルト端部のベルト端面とベルト内面との会合角部である。
【0008】
そのため、上記のベルト懸架ローラの揺動動作によるベルトの追従性を向上させるために、樹脂やゴムなどの材料を用いローラ表層に高摩擦な弾性皮膜層を形成するような場合には、ベルトのコバ部がローラ表層を削る。そして、その削れ粉が異物となってベルト内面とベルト内面に当接している部材の間に入り込む。それが装置に障害を生じさせる虞がある。
【0009】
そこで本発明は、上記のように揺動可能なベルト懸架ローラを用いた画像加熱装置において、該ローラの揺動動作によるベルトの追従性を犠牲にせずに、かつ上記の削れ粉を要因とした障害の発生を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置の代表的な構成は、記録材上の画像を加熱するためのエンドレスベルトと、このベルトをその幅方向に揺動させる変位可能なベルト懸架ローラと、を有する画像加熱装置において、ベルト懸架ローラ表面のベルトの幅方向端縁と摺動可能な端部領域の引張強さを中央領域よりも大きくしたことを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置の他の代表的な構成は、記録材上の画像を加熱するためのエンドレスベルトと、このベルトをその幅方向に揺動させるべく変位可能に設けられ表面に弾性皮膜層を備えたベルト懸架ローラと、を有する画像加熱装置において、ベルト懸架ローラのベルトの幅方向端縁と摺動可能な領域は金属あるいはセラミクスにより形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記のような構成の画像加熱装置は、ベルト懸架ローラの揺動動作(ステアリング動作)によるベルトの追従性を犠牲にせずに、該ローラの揺動動作に伴うベルトコバ部による制御部材の磨耗を減少させることができる。したがって、該ローラの削り粉の発生を抑えることができ、削れ粉を要因とした障害の発生を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、これら実施例は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例にて説明する各種構成にのみ限定されるものではない。即ち、本発明の思想の範囲内において実施例にて説明する各種構成を他の公知の構成に代替可能である。
【実施例】
【0014】
(1)ベルト方式の画像加熱装置
図8は、複数のベルト張架(支持)部材間に懸回張設されて回転するエンドレスのベルトを有する画像加熱装置としての定着装置の一例の横断面模型図である。図9は制御系統のブロック図である。
【0015】
この定着装置5は、加熱用回転体である定着ローラ80と、その下方に配設したベルトユニット(以下、ユニットと略記する)100を有する。
【0016】
ユニット100は、複数のベルト張架部材130・141・151間に懸回張設した耐熱性・可撓性のエンドレスの定着ベルト(以下、ベルトと略記する)101を有する。そして、定着ローラ80に対してベルト101を加圧接触させて定着ニップ部Wを形成させている。定着ニップ部Wに未定着トナー像tを担持させた記録材(記録紙)Pを導入して挟持搬送させる。これにより、定着ローラ80の熱と、ニップ部圧で未定着トナー像tを記録材Pに熱圧定着させるものである。
【0017】
定着ローラ80は、手前側と奥側の不図示の前支持部材と後支持部材と間に回転自在に支持させてあり、制御回路部50により駆動制御される定着ローラモータ(駆動源)Mにより矢印Aの時計方向に所定の速度で回転駆動される。また、内部に配置したハロゲンヒータ(加熱源)81により加熱される。そして、定着ローラ80の表面温度がローラ表面に配置されたサーミスタ(温度検出素子)82により検出されて電気的温度情報が制御回路部50に入力する。制御回路部50は、サーミスタ82から入力する電気的温度情報が所定の定着温度に対応する情報に維持されるように給電回路部51からハロゲンヒータ81への供給電力を制御する。これにより、定着ローラ80の表面温度が所定の定着温度に温調管理される。
【0018】
ユニット100において、複数のベルト張架部材130・141・151は、互いに略並行に配列した、インレットローラ(入り口ローラ)と、分離ローラ141と、ベルト寄り制御部材としてのステアリングローラと、の3本の回転ローラである。ステアリングローラ151が、
上記の定着ベルト101が記録材上の画像を加熱するためのエンドレスベルトである。また、ステアリングローラ151が、このベルト101をその幅方向に揺動させる変位可能なベルト懸架ローラである。すなわち、ステアリングローラ151は、ベルト101の幅方向への寄り移動を修正する揺動可能部材として、手前側と奥側の両端部をそれぞれ矢印B方向に移動可能に保持させてある。これについては後述する。
【0019】
分離ローラ141はSUS等の金属からなり、矢印SF方向に移動付勢されて、ベルト101を介して定着ローラ80と圧接している。
【0020】
また、インレットローラ130と分離ローラ141の間には加圧パッド部160が配置されている。加圧パッド部160は、SUS等の金属からなるベース161、シリコンゴム等からなる加圧パッド162、加圧パッド162とベルト101の間に配置されたPIフィルム等からなる摺動シート163等から構成されている。そして、矢印PF方向に移動付勢されて、ベルト101を介して定着ローラ80に圧接している。上記の定着ローラ80と、ベルト101、加圧パッド部160、分離ローラ141とにより定着ニップ部Wを形成している。ベルト101は定着ローラ80の回転に従動して矢印C方向に回転状態になる。
【0021】
また、インレットローラ130と加圧パッド部160の間にはオイルフェルト90が設けられている。オイルフェルト90にはシリコンオイルが含浸されていてベルト101の内面にオイルを塗布してベルト101と摺動シート163との摩擦力を低減している。
【0022】
定着ローラ80が回転駆動され、それに伴いベルト101が従動回転する。また、定着ローラ80がハロゲンヒータ81により加熱され、所定の定着温度に温調された状態になる。この状態において、ユニット100のインレットローラ130側から定着ニップ部Wに未定着トナー像tを担持した記録材Pが導入されて定着ニップ部Wを挟持搬送されていく。この挟持搬送過程で、記録材Pの未定着トナー像面が定着ローラ80の表面に密着してトナー像が定着ローラ80の熱で加熱され、記録材Pの面に加熱加圧定着される。記録材Pは定着ニップ部Wのシート出口部において定着ローラ80の弾性層に対する分離ローラ141の食い込み(進入)により定着ローラ80の表面より分離されて排出搬送されていく。
【0023】
このようなベルト方式の定着装置5は、記録材搬送方向における定着ニップ部幅を、ベルト101の定着ローラ80に対する腹当て幅の調整により容易に大きく設定することが可能である。また、定着ニップ部幅を定着ローラ80の径に依存させずに確保できる。そのために、定着ローラ80を小径化・小熱容量化することが可能となり、立ち上げ時間を短縮できる。定着ニップ部幅を広くとれるため、記録材上のトナーをより溶融でき、カラー画像形成装置のように多量のトナーを使用する画像形成装置には適した定着装置である。
【0024】
(2)ベルト寄り制御機構
図10と図11はそれぞれユニット100(ベルトは図示せず)の斜視模型図を示している。図10はユニット100を手前側から見た斜視模型図、図11はユニット100を奥側から見た斜視模型図である。
【0025】
ユニット100は、前側板110と後側板120が定着パッド部(加圧部材)160に固定されている。この前側板110と後側板120に対して、インレットローラ130、分離ローラ141、ステアリングローラ151を回動自在に配設して支持させてある。分離ローラ部140は分離ローラ141の両端部141a、141bにベアリング142a、142bが取り付けられていている。
【0026】
ステアリングローラ部150は、図10のように、ステアリングローラ151の前端部151aにベアリング152aが設けられている。そのベアリング152aが前加圧アーム153の長穴153aに取り付けられている。これにより、ステアリングローラ151はその前端部151a側がベアリング152aを介して前加圧アーム153の長穴153a沿って矢印Bの方向に移動可能である。前加圧アーム153は前側板110に対してスライド移動可能に配設してある。そして、この前加圧アーム153は加圧バネ154aにより矢印c方向(下方)にステアリングローラ151を加圧して、ベルト101にテンションを加えている。
【0027】
同様に後側板120側でも、図11のように、ステアリングローラ151の後端部151bにベアリング152bが設けられている。そのベアリング152bが後加圧アーム155の長穴155aに取り付けられている。これにより、ステアリングローラ151はその後端部151b側がベアリング152bを介して後加圧アーム155の長穴155aに沿って対して矢印Bの方向に移動可能である。後加圧アーム155は後側板120に対してスライド移動可能に配設してある。そして、この後加圧アーム155は加圧バネ154bにより矢印c方向(下方)にステアリングローラ151を加圧して、ベルト101にテンションを加えている。
【0028】
200はステアリング制御部であり、前ステアリングローラ支持部材(以下、第1支持部材と記す)210と、後ステアリングローラ支持部材(以下、第2支持部材と記す)220を有する。そして、この第1支持部材210と第2支持部材220の回動中心に配置される制御軸230がある。第1支持部材210は制御軸230の前端部に回動可能に支持され、第2支持部材220は制御軸230の後端部に固定されている。また、制御軸230にはステアリング検出フラグ231(図11)が設けられて、対向する検出センサ232により制御軸230の回転方向の位置を検出している。この検出センサ232の位置検出信号が制御回路部50に入力する。
【0029】
図12は図10の矢印X側から見た図である。図10〜図12において、ユニット100を矢印Y方向に下ろしてステアリング制御部200に装着する。これにより、ステアリングローラ151の前受け部151c(図12)は第1支持部材210のU溝211に装着される。また、ステアリングローラ151の後受け部151dは第2支持部材220のU溝221に装着される。
【0030】
図13はステアリング制御部200の前端部側を上方から見た図である。第1支持部材210にはギア212が形成され、入力ギア241と噛み合っている。また、入力ギア241はアイドラギア242を介して、ギア243aが形成された制御アーム243に噛み合っている。制御アーム243は制御軸230の前端部に固定されている。また、アイドラギア242は上下の位置関係で第1支持部材210のギア212とは噛み合っていない。
【0031】
以上の構成において、入力ギア241は、ステアリング駆動モータ401(図9、図21)により正回転又は逆回転駆動される。そうすると、第1支持部材210は入力ギア241と逆の方向に回転する。また、入力ギア241の回転によりアイドラギア242を介して制御アーム243が入力ギア241と同じ方向に回転する。制御アーム243は制御軸230に固定されていて、第2支持部材220をおなじ方向に回転する。
【0032】
これにより、第1支持部材210のU溝211に装着されているステアリングローラ前受け部151cと、第2支持部材220のU溝221に装着されているステアリングローラ後受け部151dとが互いに逆方向に移動することになる。
【0033】
図14は、ユニット100を支持する前パッド加圧板331と後パッド加圧板332を示した図である。定着パッド部160は、前パッド加圧板331の受部331aと後パッド加圧板332の受部332a(図示せず:前パッド加圧板と同形状)により支持される。また制御軸230はこの前パッド加圧板331と後パッド加圧板332にその両端がベアリングを介して回転自在に保持されている。
【0034】
図15は、ユニット100を、前パッド加圧板331と後パッド加圧板332に装着した状態の前パッド加圧板331側を示す図である。この状態においては、第1支持部材210のU溝211にステアリングローラ151の前受け部151cが装着されている。制御アーム243には位置決め穴243cが設けられ、同様の穴(図示せず)が第1支持部材210と、前パッド加圧板331にも設けられている。制御アーム243の位置決め穴243cと、第1支持部材210の穴と、前パッド加圧板331の穴を一致させることで、前パッド加圧アーム331に対する第1支持部材210と制御アーム243の位相を合わせることが出来る。また、入力ギア241、アイドラギア242も前パッド加圧板331に取り付けられている。
【0035】
図16は、定着ローラ80にユニット100を加圧する加圧機構300を示す図である。加圧機構300は図示していない定着フレームに取り付けられた回動軸301を中心に上下方向に揺動可能である。そして、この加圧機構300は、カム軸303を中心に回転駆動される加圧カム304により上下動される。すなわち、加圧カム304により加圧機構側のコロ305が持ち上げられることにより、加圧機構300が矢印U方向に揺動して定着ローラ80に対してユニット100が圧接する構成となっている。また、加圧カム304によりコロ305が持ち下げられることにより、加圧機構300が矢印U方向とは逆方向に揺動して定着ローラ80に対してユニット100が離脱する構成となっている。ユニット100の後側(奥側)も同様の構成である。カム軸303すなわち加圧カム304は不図示の手動ハンドルにより回転操作される。あるいは、制御回路部50で制御される半回転クラッチ機構52(図9)により回転される。
【0036】
図17は図16の矢印K側から見た図である。加圧カム304は前加圧板311を持ち上げる。前加圧板311にはパッド加圧バネ312、分離加圧バネ313が設けられている。パッド加圧バネ312は前パッド加圧板331を矢印F方向に持ち上げ、分離加圧バネ313は前分離加圧板321を矢印F方向に持ち上げる。本構成は後パッド加圧板332側も同様の構成からなっている。
【0037】
図18の(a)は定着装置5の前端部側を上方から見た図、(b)は正面から見た図、(c)は(a)をA−Aで切断した断面図である。分離ローラ141の端部141aには加圧ベアリング143が取り付けてある。加圧ベアリング143は前分離加圧板321の斜面321aと当接している。奥側も同様の構成であり、これにより分離ローラ141は定着ローラ80に対して前分離加圧板321の斜面321aとは垂直の矢印J方向に加圧される。前パッド加圧板331は溝331aを有し、これにパッドホルダー161が嵌合している。この構成は奥側も同様である。これによりパッド部160は定着ローラ80に対して矢印K方向に加圧している。
【0038】
このような加圧機構300により定着ローラ80に対して定着パッド160は加圧されているが、前パッド加圧板331と後パッド加圧板332が各々独立していることで定着パッド160の加圧を前奥各々適正に加圧することが出来る。制御軸230は前パッド加圧板331と後パッド加圧板332にベアリングにより取り付けられていて完全には固定されていないので前パッド加圧板331、後パッド加圧板332の位置を制約することがない。
【0039】
図19はユニット100が定着ローラ80から離間している状態を示している。加圧機構300は加圧カム304がカム軸303を中心に回転することで前加圧板331をV方向に移動させる。これによりユニット100は定着ローラ80から離間することとなる。たとえば、定着装置5でジャムが発生した場合など定着ローラ80と定着ベルトユニット100が離間しているとジャム処理が容易に行える。
【0040】
図20は上記定着ローラ80からユニット100が離間している状態の前パッド加圧板311部の状態を示している(図15とおなじ状態)。前パッド加圧板311には入力ギア241、アイドラギア242、制御アーム243が取り付けられ、前パッド加圧板331、後パッド加圧板332に制御軸230が保持されている。そして、前加圧板311、後加圧板312が回動して前パッド加圧板331、後パッド加圧板332も同様に回動してもステアリング制御部200も同様に回動する。これにより、ユニット100が定着ローラ80から離間しても同様にステアリングローラ部150の制御を行うことが出来る。ここで、入力ギア241の回転中心は回動軸301と同軸となっている。これにより前パッド加圧板311が回動してもこの入力ギアの位置は移動しない。
【0041】
図21はステアリング駆動部400を示している図で、図示していない定着フレームに固定されている。ステアリング駆動モータ(正逆転モータ)401には出力ギア402が取り付けられ、減速ギア403a、403b、403c、403d、が軸403e、403fを中心に出力ギア402の駆動を伝達している。中継ギア404aは減速ギア403dと噛み合っていて且つ軸404cに固定されている。中継ギア404bも軸404cに固定されているので中継ギア404aが回転すると中継ギア404bも同様に回転する。中継ギア404bはステアリング制御部200の入力ギア241と噛み合っている。これによりステアリング駆動モータ401が回転すると、入力ギア241が回転し、第1支持部材210、第2支持部材220が各々逆方向に回転する。
【0042】
入力ギア241の回転中心の回動軸301はステアリング駆動部400と同様に定着フレーム(図示せず)に取り付けられているので、加圧機構300により前パッド加圧板311が移動してもステアリング駆動部400の駆動を伝達することが出来る。ステアリング駆動部400は前側、後側に対しては制御軸230のみが配置されているため、ベルト寄り制御装置の小型化を実現するのに有効な構成となっている。
【0043】
図22・図23において、S1とS2はユニット100の手前側と奥側に配設した第1と第2の2つのベルト寄り検出センサ(ベルトの片寄り検出手段)である。これらのセンサS1・S2は、例えば、送光素子と受光素子を組にした光検知式センサ(フォト・センサ)である。すなわち、ベルト101の回転状態時において、ベルト101が幅方向手前側または奥側に所定以上に寄り移動したとき、寄り側のベルト端部でその側のセンサの光路が遮断される関係構成にして配設してある。各センサS1・S2は光路開放状態でオン、光路遮断状態でオフとする。各センサS1・S2のオン・オフ信号が制御回路部50に入力する。
【0044】
そして、第1又は第2のセンサS1・S2がベルトの片寄りを検出すると、ステアリング制御部200によりステアリングローラ151の両端を各々逆方向に移動させ、片寄りが検出された方向と逆の方向にベルト101を移動させることで寄りを修正する。
【0045】
すなわち、ベルト101が幅方向手前側に寄り移動して、第1センサS1がオンからオフになると、制御回路部50はベルト101が幅方向手前側に寄り過ぎたと判断する。そして、ステアリング駆動モータ401を正転駆動させて、ベルト101を幅方向奥側に戻し移動させる方向にステアリングローラ151を変位させる。そして第1センサS1がオフからオンに復帰したらモータ401の駆動を停止させる。
【0046】
また、ベルト101が幅方向奥側に寄り移動して、第2センサS2がオンからオフになると、制御回路部50はベルト101が幅方向奥側に寄り過ぎたと判断する。そして、ステアリング駆動モータ401を逆転駆動させて、ベルト101を幅方向手前側に戻し移動させる方向にステアリングローラ151を変位させる。そして第2センサS2がオフからオンに復帰したらモータ401の駆動を停止させる。
【0047】
すなわち、第1または第2のセンサS1・S2がオフされたら、制御回路部50はステアリング駆動部400のステアリング駆動モータ401を正転駆動または逆転駆動する。これにより、前述のように、ステアリングローラ151の前端部151aと後端部151bがステアリング制御部200の第1支持部210と第2支持部220により互いに逆方向に移動される。その結果、該ステアリングローラ151の、他のベルト張架部材である、インレットローラ131・分離ローラ141に対する姿勢が変位する(並行度やねじれが変化する)。これによりベルト101の幅方向の寄り移動が所定の移動領域幅内に納められる。
【0048】
ステアリングローラ151の端部を変位させることは、ベルト101に張力の働く方向に一方の端部を移動させ、同時に逆の端部を張力が緩まる方向に働くように動かすことである。本実施例では、ステアリングローラ151を揺動させて、一方の端部を分離ローラ141から遠ざける方向に動かしてベルト張力を働かせ、逆端部を反対方向のベルト張力が緩まる方向へ動かすことである。ベルト101を幅方向奥側に寄らせたい場合は、ステアリングローラ151の前端部151aを分離ローラ141から遠ざける方向に動かしてベルト張力を働かせ、逆端部を反対方向のベルト張力が緩まる方向へ動かすように制御する。逆に、ベルト101を幅方向手前側に寄らせたい場合は、ステアリングローラ151の後端部151bを分離ローラ141から遠ざける方向に動かしてベルト張力を働かせ、逆端部を反対方向のベルト張力が緩まる方向へ動かすように制御する。
【0049】
(3)ステアリングローラ151の構成
図1は、ステアリングローラ151の構成と、ステアリング動作によるベルト101の幅方向の移動領域を示す図である。
【0050】
Dはステアリングローラ151のベルト懸回ローラ部の幅寸法(ローラ部長さ寸法)である。aとbはこのローラ部の前端部と後端部である。
【0051】
Eはベルト101の幅寸法(ベルト101の回転方向Cに直交する方向の寸法)である。101aと101bはベルト101の前端部と後端部である。ローラ部幅寸法Dはベルト幅寸法Eよりも大きい設定である。
【0052】
Fはステアリング動作によるベルト101のローラ部幅方向(長手方向)に沿う所定の移動領域幅である。ローラ部幅寸法Dはこの所定の移動領域幅Fよりも大きい設定である。ベルト101の回転状態における幅方向への寄り移動は、前記のステアリング制御により、この所定の移動領域幅F内に納められる。cとdは移動領域幅Fにおいてベルト101の前端部101aと後端部101bとがそれぞれが最も外側に移動する境界である。eとfは移動領域幅Fにおいてベルト101の前端部101aと後端部101bとがそれぞれが最も内側に移動する境界である。
【0053】
Gはベルト移動範囲F内で寄り移動するベルト101の内面とは当接するが、ベルトコバ部とは当接しないローラ部領域(境界e−f間領域)である。
【0054】
HaとHbはベルト移動範囲F内で寄り移動するベルト101のコバ部が当接する、前ローラ部領域(境界c−e間領域)と後ローラ部領域(境界d−f間領域)である。
【0055】
本実施例においては、ステアリングローラ151のローラ部について、ローラ部領域Gの、前境界eよりも少し内側の境界部gと、後境界fよりも少し内側の境界部hとの間のローラ部151gを第1領域とする。また、境界部gよりも外側の、前ローラ部領域Haを含む前ローラ部151eと、境界部hよりも外側の、後ローラ部領域Hbを含む後ローラ部151fと、を第2領域とする。
【0056】
すなわち、ローラ部の第1領域151gは、ベルト移動範囲F内で、ベルト内面と当接しベルトコバ部とは当接しない領域であり、第2領域151eと151fはベルトコバ部101a・101bが当接する領域Ha・Hbを全て含む領域である。
【0057】
ステアリングローラ151とベルト101のグリップ力が十分でないと、ステアリングローラ151とベルト101が滑りやすくなる。そのため、ステアリングローラ151の表層には高摩擦な弾性皮膜層としてシリコン、フッ素、ウレタン系のゴム材料の使用が考えられ、これらの材料の引張り強さは50MPa(JIS)以下となる。
【0058】
一方、ローラ部の第1領域151gの表層の引張り強さを50MPaより大きい材料を用いてローラ表面を粗し高い動摩擦係数を得ようとすると、ベルト破れなどの弊害が確認された。
【0059】
また、ベルト101としては、樹脂材料であるポリイミドを使用し、その引張強さは80MPa程度である。そのため、ベルトコバ部101a・101bによるステアリングローラ表層の磨耗を低減させるためには、ベルトコバ部101a・101bと当接する領域Ha・Hbを含む第2領域部151e・151fではこれ以上の強さを有する材料が必要である。一般的な金属材料として最も柔らかい材料であるアルミニウムの引張強さが100MPaである。
【0060】
ここで、上記の引張り強さ(MPa)はJISで定められた引張試験方法による引張り強さである。この引張り強さは、硬度と相関があり、物体の強さを表す指標として利用されるパラメータである。硬度で表現すると、ゴムや樹脂で測定規格そのものが異なるし単位も違いパラメータ比較が困難である。そのため本発明では、材料の強度を表す指標としてよく利用され、硬さとも相関のある引張り強さ(MPa:JIS)とベルトとの摩擦量で材料を規定する。
【0061】
1)第1の実施形態
第1の実施形態では、ステアリングローラ151のローラ部に関して、ローラ表面のベルトの幅方向端縁と摺動可能な端部領域の引張強さを中央領域よりも大きくした。より具体的には、第1領域151gの表層は、引張強さが50MPa以下で、第2領域151e・151fの表層は引張強さが100MPa以上となるような材料で形成される。
【0062】
また、ベルト101とステアリングローラ151の端部領域との動摩擦係数をベルト101とステアリングローラ151の中央領域との動摩擦係数よりも小さくした。すなわち、第1領域151gの表層とベルト内面の動摩擦係数をμ1、第2領域151e・151fの表層とベルト内面の動摩擦係数をμ2とすると、以下の関係式が成り立つ。
【0063】
μ1>μ2
この第1の実施形態では、ベルト101はポリイミド樹脂のベルトにフッ素樹脂を塗布して構成されている。
【0064】
この構成により、ステアリングによるベルトの追従性を犠牲にせずにベルトのステアリング動作に伴うローラ削れによる削れ粉などの異物を要因とした画像不良の発生を低減することができる。
【0065】
図2は、具体的に、この第1の実施形態におけるステアリングローラ151の縦断面模型図である。このローラ151の第1領域151fの表層iにはシリコンゴム(ZB2511R)を用いている。第2領域151e・151fの表層jにはステアリングローラの芯金kであるステンレス(SUS303−B)を用いて表層を形成した。
【0066】
上記の各材料において、JISで定められた測定方法によるシリコンゴムの引張強さは約10MPaである。ステンレスの引張強さは約600MPaである。ベルト内面と、ローラ各部151f、151e・151fとの動摩擦係数は、μ1>μ2となる。
【0067】
2)第2の実施形態
第2の実施形態では、ステアリングローラ151は表面に弾性皮膜層を備えている。すなわち、ステアリングローラ151のローラ部に関して、第1領域151gの表層iを樹脂、あるいはゴムを材料とした高摩擦な弾性皮膜層で形成した。
【0068】
また、ステアリングローラ151のベルトの幅方向端縁と摺動可能な領域は金属あるいはセラミクスにより形成した。すなわち、第2領域151e・151fの表層jを金属、あるいはセラミックス材料により形成した。その金属、あるいはセラミックス材料は、JIS Z 2244で定められた試験方法で測定されるビッカース硬度が100以上のものにしている。
【0069】
一般的な金属材料であるアルミニウム合金のビッカース硬度は100以上である。ステンレス材のビッカース硬度は200位である。セラミックス材料のビッカース硬度は1000以上である。
【0070】
この構成によっても、ベルトコバ部による磨耗を低減し、ステアリングによるベルトの追従性を犠牲にせずにベルトのステアリング動作に伴うローラ削れによる削れ粉などの異物を要因とした画像不良の発生を低減することができる。
【0071】
3)第3の実施形態
図3はこの第3の実施形態におけるステアリングローラ151の縦断面模型図である。このローラ151の第1領域151fの表層iは、樹脂、あるいはゴムを材料とした高摩擦な弾性皮膜層で形成した。また、第2領域151e・151fの表層mを金属のメッキ処理により形成する。
【0072】
この第3の実施形態も、第1領域151gの表層と、第2領域151e・151fの表層を、第1または第2の実施形態と同様の関係構成にして、ベルトコバ部による磨耗を低減できる。すなわち、ステアリングによるベルトの追従性を犠牲にせずにベルトのステアリング動作に伴うローラ削れによる削れ粉などの異物を要因とした画像不良の発生を低減することができる。
【0073】
4)第4の実施形態
図4はこの第4の実施形態におけるステアリングローラ151の縦断面模型図である。このローラ151の第1領域151fの表層iは、樹脂、あるいはゴムを材料とした高摩擦な弾性皮膜層で形成する。また、第2領域151e・151fの表層nを、JIS Z 2244で定められた試験方法で測定されるビッカース硬度が100以上の金属、あるいはメッキ処理により形成される、リングあるいはローラ形状の部材を配置することで構成する。
【0074】
この第4の実施形態も、第1領域151gの表層と、第2領域151e・151fの表層が、第1または第2の実施形態と同様の関係構成にして、ベルトコバ部による磨耗を低減できる。すなわち、ステアリングによるベルトの追従性を犠牲にせずにベルトのステアリング動作に伴うローラ削れによる削れ粉などの異物を要因とした画像不良の発生を低減することができる。
【0075】
次に、上記の第1〜第4の実施形態のステアリングローラ構成における効果を説明する。
【0076】
ステアリングローラ151とベルト101のグリップ力を高めるための従来例として、ステアリングローラ151として、図5のように、ローラ部全幅Dにわたってシリコンゴム(ZB2511R)の表層iを形成したものを用いた。ベルト101として、ポリイミド樹脂にフッ素樹脂を塗布したものを用いた。そして、このステアリングローラ151とベルト101を、ステアリングで寄り制御を行う画像形成装置のベルト定着器に適用し耐久試験を行った。
【0077】
その結果、第2領域151e・151fの表層に、ベルトコバ部との摺擦による磨耗痕がみられた。加圧パッドとベルトとの間にはシリコンゴムの削れ粉が見られ、加圧パッドの定着ローラへの加圧力を測定したところ、図6のような圧力分布が見られた。
【0078】
図6は、x軸にローラ軸方向(幅方向)の位置、y軸に加圧力を示している。また、601は理想的な加圧力分布であり、602は耐久試験後に測定された加圧力分布である。603はステアリングローラの手前側端部位置、604は中央位置、605は奥側端部位置である。図6によれば、定着ローラと加圧パッドによるニップ両側端部の加圧力がおおよそ25%以上上昇し圧力異常となっている。これは、ステアリングローラの削れ粉がベルトにより搬送され、加圧パッドと定着ベルト間へ侵入することが画像不良を誘発する要因になっていると考えられる。
【0079】
第1の実施形態に基づき、ステアリングローラ151のローラ部の第1領域151gの表層iには引張強さが約15MPaであるシリコンゴム(ZB2511R)を用いた。第2領域151e・151fの表層jには、ステアリングローラの芯金kで引張強さが約600MPaであるステンレス(SUS303−B)を用いた。ベルト101には、ポリイミド樹脂にフッ素樹脂を塗布したものを用いた。
【0080】
上記のように形成したステアリングローラ151を、ステアリングで寄り制御を行う画像形成装置のベルト定着器に適用し耐久試験を行った。その結果、第2領域151e・151fの表層jには削れ痕はほぼ見られず、また従来の構成により発生していた画像不良も改善した。
【0081】
加圧パッドの定着ローラへの加圧力を測定したところ、図7のような圧分布が見られた。図7はx軸にローラ軸方向の位置、y軸に加圧力を示している。また、601は理想的な加圧力分布であり、607は耐久試験後に測定された加圧力分布である。図7によれば、定着ローラと加圧パッドによるニップ両側端部の加圧力の変動がおおよそ10%以内とおり、ステアリングローラ削れ粉の加圧パッドと定着ベルト間への侵入量の減少が見られる。
【0082】
また、第2、第3、第4の実施形態の構成のステアリングローラにおいても同様の効果が得られた。
【0083】
上記のような構成のベルト方式の画像加熱装置により、ベルト端部のコバによるステアリングローラの磨耗を減少させて、削り粉の発生を抑えることができる。これにより、削れ粉などの異物がベルトとローラの間に侵入することにより発生する画像不良を減少させることが出来る。
【0084】
(4)画像形成装置
図24は上述したベルト方式の定着装置5を具備させた画像形成装置の一例の概略構成模型図である。図25はこの画像形成装置の画像形成ステーション部分の拡大図である。
【0085】
本例の画像形成装置は、電子写真プロセスを用いた、複数の光走査手段を有する、4ドラムタンデムタイプのレーザビームプリンタである。このプリンタ自体は公知に属するからその説明は簡単にとどめる。
【0086】
このプリンタは、プリンタ本体Aの上面側に配設したリーダ部Bでカラー原稿の画像情報をCCD等の光電変換素子で色分解読取り処理する。Cはリーダ部Bの原稿台カラスB1に対する自動原稿給送装置または原稿圧着板である。リーダ部Bでの各色分解読取り画像情報に対応して変調されたレーザ光La,Lb,Lc,Ldを複数の光走査手段を有するレーザ走査部Dから出力させる。
【0087】
プリンタは、マゼンタ,シアン,イエロー,ブラックの各色の画像を形成する4つの画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pdを有する。この各画像形成ステーションにおいて、感光ドラム1a,1b,1c,1dに上記レーザ走査部Dから出力されるレーザ光La,Lb,Lc,Ldで走査露光する工程を含む電子写真プロセスが実行される。これにより、上記各色のトナー画像が各画像形成ステーションの感光ドラム上に形成される。そしてその各画像形成ステーションの感光ドラム上に形成されたマゼンタ,シアン,イエロー,ブラックの各色のトナー画像を転写部3の転写ベルト31上に保持されて搬送される紙等の記録材Pへ順次に重畳転写させる構成となっている。
【0088】
マゼンタ,シアン,イエロー,ブラックの各色の画像を形成する各画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pdには、それぞれ感光ドラム1a,1b,1c,1dが配置されており、各感光ドラムは矢印方向に回転自在となっている。各感光ドラム1a,1b,1c,1dの周囲には、帯電器12a,12b,12c,12d、現像装置2a,2b,2c,2d、そして、クリーナ4a,4b,4c,4dが上記感光ドラムの回転方向に沿って順次配設されている。各感光ドラムの下方には、転写部3が配設されている。転写部3は、各画像形成ステーションに共通の記録材搬送手段たる転写ベルト31及び転写用帯電器3a,3b,3c,3dを有している。転写ベルト31はエンドレスベルトであり、駆動ローラ32とターンローラ33・34の3本のローラ間に懸回張設されている。
【0089】
E1,E2はプリンタ本体A内に配設の第1または第2の給紙カセットである。上記の給紙カセットE1またはE2から記録材供給手段により1枚分離給紙された記録材Pは、転写ベルト31上に支持されて各画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pdへ順次に搬送される。その記録材Pに上記の各感光ドラム上に形成された各色のトナー画像を順次に重畳転写される。
【0090】
この転写工程が終了すると、記録紙Pは転写ベルト31から分離されて定着装置5へと搬送される。定着装置5で記録紙Pに転写されたトナー像は熱と圧力により記録紙P上に定着され、フルカラー画像形成物として排紙処理装置Fに搬送される。排紙処理装置Fでは記録紙Pを排紙トレイ62上の搬送ローラ61で排出し、排紙トレイは下方に移動することで多数枚の排紙積載が可能となっている。また、排紙処理装置Fでは多数枚の記録紙Pをスティップルしたりする処理も可能である。
【0091】
両面コピーモードのときは、定着装置5を出た片面側コピー済みの記録紙Pは反転再搬送機構G側に進路変更される。そして、この反転再搬送機構Gで反転されて転写ベルト31に再給紙されることで、記録紙Pの他方の面側にトナー画像が転写形成され、定着装置5に再び導入されて、両面コピーが排紙処理装置Fに搬送される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】ステアリングローラ151の構成と、ステアリング動作によるベルトの幅方向の移動領域を示す図
【図2】第1の実施形態におけるステアリングローラの縦断面模型図
【図3】第3の実施形態におけるステアリングローラの縦断面模型図
【図4】第4の実施形態におけるステアリングローラの縦断面模型図
【図5】比較例(従来例)におけるステアリングローラの縦断面模型図
【図6】従来の構成による加圧力分布の図
【図7】第1の実施形態の定着ベルトユニットによる耐久試験後の加圧力分布の図
【図8】ベルト方式の定着装置の拡大横断面模型図
【図9】制御系統のブロック図
【図10】定着ベルトユニット(定着ベルトは図示せず)を前側から見た斜視模型図
【図11】定着ベルトユニット(定着ベルトは図示せず)を奥側から見た斜視模型図
【図12】図10の矢印X側から見た、途中部分省略の正面図
【図13】ステアリング制御部の前端部側を上方から見た図
【図14】定着ベルトユニットを支持する前パッド加圧板と後パッド加圧板を示した図
【図15】定着ベルトユニットを前パッド加圧板、後パッド加圧板に装着した状態の前パッド加圧板側を示す図
【図16】定着ローラに定着ベルトユニットを加圧する加圧機構を示す図
【図17】図16の矢印K側から見た図
【図18】加圧機構の説明図
【図19】定着ベルトユニットが定着ローラから離間している状態を示している図
【図20】定着ローラから定着ベルトユニットが離間している状態の前パッド加圧板部の状態を示している図
【図21】ステアリング駆動部を示している図
【図22】ステアリング動作の説明図(その1)
【図23】ステアリング動作の説明図(その2)
【図24】本発明に従うベルト方式の定着装置を具備させた画像形成装置の一例の概略構成模型図
【図25】画像形成装置の画像形成ステーション部分の拡大図
【符号の説明】
【0093】
80:定着ローラ、100:定着ベルトユニット、150:ステアリングローラ部、151:ステアリングローラ(ベルト寄り制御部材)、151g:第1領域(ローラ部のベルト内面と当接しベルトコバ部と当接しない領域)、151e・151f:第2領域(ベルトコバが当接する部分を全て含む領域)、200:ステアリング駆動部、300:加圧機構、400:ステアリング駆動部
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材上の画像を加熱するためのエンドレスベルトと、このベルトをその幅方向に揺動させる変位可能なベルト懸架ローラと、を有するベルト方式の画像加熱装置に関する。
【0002】
画像加熱装置としては、記録材上にの未定着トナー画像を定着する定着装置や、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢度を増大させる光沢度増大装置を挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
ベルト方式の画像加熱装置においては、ベルトの回転状態で、ベルトが幅方向(ベルト回転方向に直交する方向)の一方側または他方側にベルト張架部材に沿って片寄り移動(蛇行)する現象を生じる。このベルトの片寄り移動はベルトの走行を不安定にする。
【0004】
ベルトの片寄り移動は、複数のベルト張架部材間の並行度やねじれ等が原因しているもので、それらの精度を高めるのは限界があり、精度の向上だけではベルトの片寄り移動をなくしてベルトの走行を安定化させることは困難である。
【0005】
そこで、ベルトの片寄り移動を規制する手段がとられる。そのような手段の一つとして、複数のベルト張架部材の少なくとも1つのベルト張架部材を、ベルトをその幅方向に揺動させる変位可能なベルト懸架ローラにする。そして、このベルト懸架ローラを揺動させて他のベルト張架部材に対して姿勢(並行度やねじれ)を変化させることで回転状態におけるベルトの幅方向への寄り移動を所定の移動範囲内に往復移動制御するベルト寄り制御機構がある(特許文献1〜6)。
【特許文献1】特開平5−1751号公報
【特許文献2】特開平5−27622号公報
【特許文献3】特開平5−238583号公報
【特許文献4】特開平6−9096号公報
【特許文献5】特開平8−234597号公報
【特許文献6】特開平8−292668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のベルト懸架ローラの揺動動作(ステアリング動作)によりベルト懸架ローラに沿って所定の移動範囲で繰り返しベルトが往復移動することで、ベルトのコバ部が繰り返してベルト懸架ローラの表面と摺動する。
【0007】
ここで、ベルトコバ部とは、ベルトの幅方向端縁であり、特には、ベルト端部のベルト端面とベルト内面との会合角部である。
【0008】
そのため、上記のベルト懸架ローラの揺動動作によるベルトの追従性を向上させるために、樹脂やゴムなどの材料を用いローラ表層に高摩擦な弾性皮膜層を形成するような場合には、ベルトのコバ部がローラ表層を削る。そして、その削れ粉が異物となってベルト内面とベルト内面に当接している部材の間に入り込む。それが装置に障害を生じさせる虞がある。
【0009】
そこで本発明は、上記のように揺動可能なベルト懸架ローラを用いた画像加熱装置において、該ローラの揺動動作によるベルトの追従性を犠牲にせずに、かつ上記の削れ粉を要因とした障害の発生を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置の代表的な構成は、記録材上の画像を加熱するためのエンドレスベルトと、このベルトをその幅方向に揺動させる変位可能なベルト懸架ローラと、を有する画像加熱装置において、ベルト懸架ローラ表面のベルトの幅方向端縁と摺動可能な端部領域の引張強さを中央領域よりも大きくしたことを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置の他の代表的な構成は、記録材上の画像を加熱するためのエンドレスベルトと、このベルトをその幅方向に揺動させるべく変位可能に設けられ表面に弾性皮膜層を備えたベルト懸架ローラと、を有する画像加熱装置において、ベルト懸架ローラのベルトの幅方向端縁と摺動可能な領域は金属あるいはセラミクスにより形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記のような構成の画像加熱装置は、ベルト懸架ローラの揺動動作(ステアリング動作)によるベルトの追従性を犠牲にせずに、該ローラの揺動動作に伴うベルトコバ部による制御部材の磨耗を減少させることができる。したがって、該ローラの削り粉の発生を抑えることができ、削れ粉を要因とした障害の発生を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、これら実施例は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例にて説明する各種構成にのみ限定されるものではない。即ち、本発明の思想の範囲内において実施例にて説明する各種構成を他の公知の構成に代替可能である。
【実施例】
【0014】
(1)ベルト方式の画像加熱装置
図8は、複数のベルト張架(支持)部材間に懸回張設されて回転するエンドレスのベルトを有する画像加熱装置としての定着装置の一例の横断面模型図である。図9は制御系統のブロック図である。
【0015】
この定着装置5は、加熱用回転体である定着ローラ80と、その下方に配設したベルトユニット(以下、ユニットと略記する)100を有する。
【0016】
ユニット100は、複数のベルト張架部材130・141・151間に懸回張設した耐熱性・可撓性のエンドレスの定着ベルト(以下、ベルトと略記する)101を有する。そして、定着ローラ80に対してベルト101を加圧接触させて定着ニップ部Wを形成させている。定着ニップ部Wに未定着トナー像tを担持させた記録材(記録紙)Pを導入して挟持搬送させる。これにより、定着ローラ80の熱と、ニップ部圧で未定着トナー像tを記録材Pに熱圧定着させるものである。
【0017】
定着ローラ80は、手前側と奥側の不図示の前支持部材と後支持部材と間に回転自在に支持させてあり、制御回路部50により駆動制御される定着ローラモータ(駆動源)Mにより矢印Aの時計方向に所定の速度で回転駆動される。また、内部に配置したハロゲンヒータ(加熱源)81により加熱される。そして、定着ローラ80の表面温度がローラ表面に配置されたサーミスタ(温度検出素子)82により検出されて電気的温度情報が制御回路部50に入力する。制御回路部50は、サーミスタ82から入力する電気的温度情報が所定の定着温度に対応する情報に維持されるように給電回路部51からハロゲンヒータ81への供給電力を制御する。これにより、定着ローラ80の表面温度が所定の定着温度に温調管理される。
【0018】
ユニット100において、複数のベルト張架部材130・141・151は、互いに略並行に配列した、インレットローラ(入り口ローラ)と、分離ローラ141と、ベルト寄り制御部材としてのステアリングローラと、の3本の回転ローラである。ステアリングローラ151が、
上記の定着ベルト101が記録材上の画像を加熱するためのエンドレスベルトである。また、ステアリングローラ151が、このベルト101をその幅方向に揺動させる変位可能なベルト懸架ローラである。すなわち、ステアリングローラ151は、ベルト101の幅方向への寄り移動を修正する揺動可能部材として、手前側と奥側の両端部をそれぞれ矢印B方向に移動可能に保持させてある。これについては後述する。
【0019】
分離ローラ141はSUS等の金属からなり、矢印SF方向に移動付勢されて、ベルト101を介して定着ローラ80と圧接している。
【0020】
また、インレットローラ130と分離ローラ141の間には加圧パッド部160が配置されている。加圧パッド部160は、SUS等の金属からなるベース161、シリコンゴム等からなる加圧パッド162、加圧パッド162とベルト101の間に配置されたPIフィルム等からなる摺動シート163等から構成されている。そして、矢印PF方向に移動付勢されて、ベルト101を介して定着ローラ80に圧接している。上記の定着ローラ80と、ベルト101、加圧パッド部160、分離ローラ141とにより定着ニップ部Wを形成している。ベルト101は定着ローラ80の回転に従動して矢印C方向に回転状態になる。
【0021】
また、インレットローラ130と加圧パッド部160の間にはオイルフェルト90が設けられている。オイルフェルト90にはシリコンオイルが含浸されていてベルト101の内面にオイルを塗布してベルト101と摺動シート163との摩擦力を低減している。
【0022】
定着ローラ80が回転駆動され、それに伴いベルト101が従動回転する。また、定着ローラ80がハロゲンヒータ81により加熱され、所定の定着温度に温調された状態になる。この状態において、ユニット100のインレットローラ130側から定着ニップ部Wに未定着トナー像tを担持した記録材Pが導入されて定着ニップ部Wを挟持搬送されていく。この挟持搬送過程で、記録材Pの未定着トナー像面が定着ローラ80の表面に密着してトナー像が定着ローラ80の熱で加熱され、記録材Pの面に加熱加圧定着される。記録材Pは定着ニップ部Wのシート出口部において定着ローラ80の弾性層に対する分離ローラ141の食い込み(進入)により定着ローラ80の表面より分離されて排出搬送されていく。
【0023】
このようなベルト方式の定着装置5は、記録材搬送方向における定着ニップ部幅を、ベルト101の定着ローラ80に対する腹当て幅の調整により容易に大きく設定することが可能である。また、定着ニップ部幅を定着ローラ80の径に依存させずに確保できる。そのために、定着ローラ80を小径化・小熱容量化することが可能となり、立ち上げ時間を短縮できる。定着ニップ部幅を広くとれるため、記録材上のトナーをより溶融でき、カラー画像形成装置のように多量のトナーを使用する画像形成装置には適した定着装置である。
【0024】
(2)ベルト寄り制御機構
図10と図11はそれぞれユニット100(ベルトは図示せず)の斜視模型図を示している。図10はユニット100を手前側から見た斜視模型図、図11はユニット100を奥側から見た斜視模型図である。
【0025】
ユニット100は、前側板110と後側板120が定着パッド部(加圧部材)160に固定されている。この前側板110と後側板120に対して、インレットローラ130、分離ローラ141、ステアリングローラ151を回動自在に配設して支持させてある。分離ローラ部140は分離ローラ141の両端部141a、141bにベアリング142a、142bが取り付けられていている。
【0026】
ステアリングローラ部150は、図10のように、ステアリングローラ151の前端部151aにベアリング152aが設けられている。そのベアリング152aが前加圧アーム153の長穴153aに取り付けられている。これにより、ステアリングローラ151はその前端部151a側がベアリング152aを介して前加圧アーム153の長穴153a沿って矢印Bの方向に移動可能である。前加圧アーム153は前側板110に対してスライド移動可能に配設してある。そして、この前加圧アーム153は加圧バネ154aにより矢印c方向(下方)にステアリングローラ151を加圧して、ベルト101にテンションを加えている。
【0027】
同様に後側板120側でも、図11のように、ステアリングローラ151の後端部151bにベアリング152bが設けられている。そのベアリング152bが後加圧アーム155の長穴155aに取り付けられている。これにより、ステアリングローラ151はその後端部151b側がベアリング152bを介して後加圧アーム155の長穴155aに沿って対して矢印Bの方向に移動可能である。後加圧アーム155は後側板120に対してスライド移動可能に配設してある。そして、この後加圧アーム155は加圧バネ154bにより矢印c方向(下方)にステアリングローラ151を加圧して、ベルト101にテンションを加えている。
【0028】
200はステアリング制御部であり、前ステアリングローラ支持部材(以下、第1支持部材と記す)210と、後ステアリングローラ支持部材(以下、第2支持部材と記す)220を有する。そして、この第1支持部材210と第2支持部材220の回動中心に配置される制御軸230がある。第1支持部材210は制御軸230の前端部に回動可能に支持され、第2支持部材220は制御軸230の後端部に固定されている。また、制御軸230にはステアリング検出フラグ231(図11)が設けられて、対向する検出センサ232により制御軸230の回転方向の位置を検出している。この検出センサ232の位置検出信号が制御回路部50に入力する。
【0029】
図12は図10の矢印X側から見た図である。図10〜図12において、ユニット100を矢印Y方向に下ろしてステアリング制御部200に装着する。これにより、ステアリングローラ151の前受け部151c(図12)は第1支持部材210のU溝211に装着される。また、ステアリングローラ151の後受け部151dは第2支持部材220のU溝221に装着される。
【0030】
図13はステアリング制御部200の前端部側を上方から見た図である。第1支持部材210にはギア212が形成され、入力ギア241と噛み合っている。また、入力ギア241はアイドラギア242を介して、ギア243aが形成された制御アーム243に噛み合っている。制御アーム243は制御軸230の前端部に固定されている。また、アイドラギア242は上下の位置関係で第1支持部材210のギア212とは噛み合っていない。
【0031】
以上の構成において、入力ギア241は、ステアリング駆動モータ401(図9、図21)により正回転又は逆回転駆動される。そうすると、第1支持部材210は入力ギア241と逆の方向に回転する。また、入力ギア241の回転によりアイドラギア242を介して制御アーム243が入力ギア241と同じ方向に回転する。制御アーム243は制御軸230に固定されていて、第2支持部材220をおなじ方向に回転する。
【0032】
これにより、第1支持部材210のU溝211に装着されているステアリングローラ前受け部151cと、第2支持部材220のU溝221に装着されているステアリングローラ後受け部151dとが互いに逆方向に移動することになる。
【0033】
図14は、ユニット100を支持する前パッド加圧板331と後パッド加圧板332を示した図である。定着パッド部160は、前パッド加圧板331の受部331aと後パッド加圧板332の受部332a(図示せず:前パッド加圧板と同形状)により支持される。また制御軸230はこの前パッド加圧板331と後パッド加圧板332にその両端がベアリングを介して回転自在に保持されている。
【0034】
図15は、ユニット100を、前パッド加圧板331と後パッド加圧板332に装着した状態の前パッド加圧板331側を示す図である。この状態においては、第1支持部材210のU溝211にステアリングローラ151の前受け部151cが装着されている。制御アーム243には位置決め穴243cが設けられ、同様の穴(図示せず)が第1支持部材210と、前パッド加圧板331にも設けられている。制御アーム243の位置決め穴243cと、第1支持部材210の穴と、前パッド加圧板331の穴を一致させることで、前パッド加圧アーム331に対する第1支持部材210と制御アーム243の位相を合わせることが出来る。また、入力ギア241、アイドラギア242も前パッド加圧板331に取り付けられている。
【0035】
図16は、定着ローラ80にユニット100を加圧する加圧機構300を示す図である。加圧機構300は図示していない定着フレームに取り付けられた回動軸301を中心に上下方向に揺動可能である。そして、この加圧機構300は、カム軸303を中心に回転駆動される加圧カム304により上下動される。すなわち、加圧カム304により加圧機構側のコロ305が持ち上げられることにより、加圧機構300が矢印U方向に揺動して定着ローラ80に対してユニット100が圧接する構成となっている。また、加圧カム304によりコロ305が持ち下げられることにより、加圧機構300が矢印U方向とは逆方向に揺動して定着ローラ80に対してユニット100が離脱する構成となっている。ユニット100の後側(奥側)も同様の構成である。カム軸303すなわち加圧カム304は不図示の手動ハンドルにより回転操作される。あるいは、制御回路部50で制御される半回転クラッチ機構52(図9)により回転される。
【0036】
図17は図16の矢印K側から見た図である。加圧カム304は前加圧板311を持ち上げる。前加圧板311にはパッド加圧バネ312、分離加圧バネ313が設けられている。パッド加圧バネ312は前パッド加圧板331を矢印F方向に持ち上げ、分離加圧バネ313は前分離加圧板321を矢印F方向に持ち上げる。本構成は後パッド加圧板332側も同様の構成からなっている。
【0037】
図18の(a)は定着装置5の前端部側を上方から見た図、(b)は正面から見た図、(c)は(a)をA−Aで切断した断面図である。分離ローラ141の端部141aには加圧ベアリング143が取り付けてある。加圧ベアリング143は前分離加圧板321の斜面321aと当接している。奥側も同様の構成であり、これにより分離ローラ141は定着ローラ80に対して前分離加圧板321の斜面321aとは垂直の矢印J方向に加圧される。前パッド加圧板331は溝331aを有し、これにパッドホルダー161が嵌合している。この構成は奥側も同様である。これによりパッド部160は定着ローラ80に対して矢印K方向に加圧している。
【0038】
このような加圧機構300により定着ローラ80に対して定着パッド160は加圧されているが、前パッド加圧板331と後パッド加圧板332が各々独立していることで定着パッド160の加圧を前奥各々適正に加圧することが出来る。制御軸230は前パッド加圧板331と後パッド加圧板332にベアリングにより取り付けられていて完全には固定されていないので前パッド加圧板331、後パッド加圧板332の位置を制約することがない。
【0039】
図19はユニット100が定着ローラ80から離間している状態を示している。加圧機構300は加圧カム304がカム軸303を中心に回転することで前加圧板331をV方向に移動させる。これによりユニット100は定着ローラ80から離間することとなる。たとえば、定着装置5でジャムが発生した場合など定着ローラ80と定着ベルトユニット100が離間しているとジャム処理が容易に行える。
【0040】
図20は上記定着ローラ80からユニット100が離間している状態の前パッド加圧板311部の状態を示している(図15とおなじ状態)。前パッド加圧板311には入力ギア241、アイドラギア242、制御アーム243が取り付けられ、前パッド加圧板331、後パッド加圧板332に制御軸230が保持されている。そして、前加圧板311、後加圧板312が回動して前パッド加圧板331、後パッド加圧板332も同様に回動してもステアリング制御部200も同様に回動する。これにより、ユニット100が定着ローラ80から離間しても同様にステアリングローラ部150の制御を行うことが出来る。ここで、入力ギア241の回転中心は回動軸301と同軸となっている。これにより前パッド加圧板311が回動してもこの入力ギアの位置は移動しない。
【0041】
図21はステアリング駆動部400を示している図で、図示していない定着フレームに固定されている。ステアリング駆動モータ(正逆転モータ)401には出力ギア402が取り付けられ、減速ギア403a、403b、403c、403d、が軸403e、403fを中心に出力ギア402の駆動を伝達している。中継ギア404aは減速ギア403dと噛み合っていて且つ軸404cに固定されている。中継ギア404bも軸404cに固定されているので中継ギア404aが回転すると中継ギア404bも同様に回転する。中継ギア404bはステアリング制御部200の入力ギア241と噛み合っている。これによりステアリング駆動モータ401が回転すると、入力ギア241が回転し、第1支持部材210、第2支持部材220が各々逆方向に回転する。
【0042】
入力ギア241の回転中心の回動軸301はステアリング駆動部400と同様に定着フレーム(図示せず)に取り付けられているので、加圧機構300により前パッド加圧板311が移動してもステアリング駆動部400の駆動を伝達することが出来る。ステアリング駆動部400は前側、後側に対しては制御軸230のみが配置されているため、ベルト寄り制御装置の小型化を実現するのに有効な構成となっている。
【0043】
図22・図23において、S1とS2はユニット100の手前側と奥側に配設した第1と第2の2つのベルト寄り検出センサ(ベルトの片寄り検出手段)である。これらのセンサS1・S2は、例えば、送光素子と受光素子を組にした光検知式センサ(フォト・センサ)である。すなわち、ベルト101の回転状態時において、ベルト101が幅方向手前側または奥側に所定以上に寄り移動したとき、寄り側のベルト端部でその側のセンサの光路が遮断される関係構成にして配設してある。各センサS1・S2は光路開放状態でオン、光路遮断状態でオフとする。各センサS1・S2のオン・オフ信号が制御回路部50に入力する。
【0044】
そして、第1又は第2のセンサS1・S2がベルトの片寄りを検出すると、ステアリング制御部200によりステアリングローラ151の両端を各々逆方向に移動させ、片寄りが検出された方向と逆の方向にベルト101を移動させることで寄りを修正する。
【0045】
すなわち、ベルト101が幅方向手前側に寄り移動して、第1センサS1がオンからオフになると、制御回路部50はベルト101が幅方向手前側に寄り過ぎたと判断する。そして、ステアリング駆動モータ401を正転駆動させて、ベルト101を幅方向奥側に戻し移動させる方向にステアリングローラ151を変位させる。そして第1センサS1がオフからオンに復帰したらモータ401の駆動を停止させる。
【0046】
また、ベルト101が幅方向奥側に寄り移動して、第2センサS2がオンからオフになると、制御回路部50はベルト101が幅方向奥側に寄り過ぎたと判断する。そして、ステアリング駆動モータ401を逆転駆動させて、ベルト101を幅方向手前側に戻し移動させる方向にステアリングローラ151を変位させる。そして第2センサS2がオフからオンに復帰したらモータ401の駆動を停止させる。
【0047】
すなわち、第1または第2のセンサS1・S2がオフされたら、制御回路部50はステアリング駆動部400のステアリング駆動モータ401を正転駆動または逆転駆動する。これにより、前述のように、ステアリングローラ151の前端部151aと後端部151bがステアリング制御部200の第1支持部210と第2支持部220により互いに逆方向に移動される。その結果、該ステアリングローラ151の、他のベルト張架部材である、インレットローラ131・分離ローラ141に対する姿勢が変位する(並行度やねじれが変化する)。これによりベルト101の幅方向の寄り移動が所定の移動領域幅内に納められる。
【0048】
ステアリングローラ151の端部を変位させることは、ベルト101に張力の働く方向に一方の端部を移動させ、同時に逆の端部を張力が緩まる方向に働くように動かすことである。本実施例では、ステアリングローラ151を揺動させて、一方の端部を分離ローラ141から遠ざける方向に動かしてベルト張力を働かせ、逆端部を反対方向のベルト張力が緩まる方向へ動かすことである。ベルト101を幅方向奥側に寄らせたい場合は、ステアリングローラ151の前端部151aを分離ローラ141から遠ざける方向に動かしてベルト張力を働かせ、逆端部を反対方向のベルト張力が緩まる方向へ動かすように制御する。逆に、ベルト101を幅方向手前側に寄らせたい場合は、ステアリングローラ151の後端部151bを分離ローラ141から遠ざける方向に動かしてベルト張力を働かせ、逆端部を反対方向のベルト張力が緩まる方向へ動かすように制御する。
【0049】
(3)ステアリングローラ151の構成
図1は、ステアリングローラ151の構成と、ステアリング動作によるベルト101の幅方向の移動領域を示す図である。
【0050】
Dはステアリングローラ151のベルト懸回ローラ部の幅寸法(ローラ部長さ寸法)である。aとbはこのローラ部の前端部と後端部である。
【0051】
Eはベルト101の幅寸法(ベルト101の回転方向Cに直交する方向の寸法)である。101aと101bはベルト101の前端部と後端部である。ローラ部幅寸法Dはベルト幅寸法Eよりも大きい設定である。
【0052】
Fはステアリング動作によるベルト101のローラ部幅方向(長手方向)に沿う所定の移動領域幅である。ローラ部幅寸法Dはこの所定の移動領域幅Fよりも大きい設定である。ベルト101の回転状態における幅方向への寄り移動は、前記のステアリング制御により、この所定の移動領域幅F内に納められる。cとdは移動領域幅Fにおいてベルト101の前端部101aと後端部101bとがそれぞれが最も外側に移動する境界である。eとfは移動領域幅Fにおいてベルト101の前端部101aと後端部101bとがそれぞれが最も内側に移動する境界である。
【0053】
Gはベルト移動範囲F内で寄り移動するベルト101の内面とは当接するが、ベルトコバ部とは当接しないローラ部領域(境界e−f間領域)である。
【0054】
HaとHbはベルト移動範囲F内で寄り移動するベルト101のコバ部が当接する、前ローラ部領域(境界c−e間領域)と後ローラ部領域(境界d−f間領域)である。
【0055】
本実施例においては、ステアリングローラ151のローラ部について、ローラ部領域Gの、前境界eよりも少し内側の境界部gと、後境界fよりも少し内側の境界部hとの間のローラ部151gを第1領域とする。また、境界部gよりも外側の、前ローラ部領域Haを含む前ローラ部151eと、境界部hよりも外側の、後ローラ部領域Hbを含む後ローラ部151fと、を第2領域とする。
【0056】
すなわち、ローラ部の第1領域151gは、ベルト移動範囲F内で、ベルト内面と当接しベルトコバ部とは当接しない領域であり、第2領域151eと151fはベルトコバ部101a・101bが当接する領域Ha・Hbを全て含む領域である。
【0057】
ステアリングローラ151とベルト101のグリップ力が十分でないと、ステアリングローラ151とベルト101が滑りやすくなる。そのため、ステアリングローラ151の表層には高摩擦な弾性皮膜層としてシリコン、フッ素、ウレタン系のゴム材料の使用が考えられ、これらの材料の引張り強さは50MPa(JIS)以下となる。
【0058】
一方、ローラ部の第1領域151gの表層の引張り強さを50MPaより大きい材料を用いてローラ表面を粗し高い動摩擦係数を得ようとすると、ベルト破れなどの弊害が確認された。
【0059】
また、ベルト101としては、樹脂材料であるポリイミドを使用し、その引張強さは80MPa程度である。そのため、ベルトコバ部101a・101bによるステアリングローラ表層の磨耗を低減させるためには、ベルトコバ部101a・101bと当接する領域Ha・Hbを含む第2領域部151e・151fではこれ以上の強さを有する材料が必要である。一般的な金属材料として最も柔らかい材料であるアルミニウムの引張強さが100MPaである。
【0060】
ここで、上記の引張り強さ(MPa)はJISで定められた引張試験方法による引張り強さである。この引張り強さは、硬度と相関があり、物体の強さを表す指標として利用されるパラメータである。硬度で表現すると、ゴムや樹脂で測定規格そのものが異なるし単位も違いパラメータ比較が困難である。そのため本発明では、材料の強度を表す指標としてよく利用され、硬さとも相関のある引張り強さ(MPa:JIS)とベルトとの摩擦量で材料を規定する。
【0061】
1)第1の実施形態
第1の実施形態では、ステアリングローラ151のローラ部に関して、ローラ表面のベルトの幅方向端縁と摺動可能な端部領域の引張強さを中央領域よりも大きくした。より具体的には、第1領域151gの表層は、引張強さが50MPa以下で、第2領域151e・151fの表層は引張強さが100MPa以上となるような材料で形成される。
【0062】
また、ベルト101とステアリングローラ151の端部領域との動摩擦係数をベルト101とステアリングローラ151の中央領域との動摩擦係数よりも小さくした。すなわち、第1領域151gの表層とベルト内面の動摩擦係数をμ1、第2領域151e・151fの表層とベルト内面の動摩擦係数をμ2とすると、以下の関係式が成り立つ。
【0063】
μ1>μ2
この第1の実施形態では、ベルト101はポリイミド樹脂のベルトにフッ素樹脂を塗布して構成されている。
【0064】
この構成により、ステアリングによるベルトの追従性を犠牲にせずにベルトのステアリング動作に伴うローラ削れによる削れ粉などの異物を要因とした画像不良の発生を低減することができる。
【0065】
図2は、具体的に、この第1の実施形態におけるステアリングローラ151の縦断面模型図である。このローラ151の第1領域151fの表層iにはシリコンゴム(ZB2511R)を用いている。第2領域151e・151fの表層jにはステアリングローラの芯金kであるステンレス(SUS303−B)を用いて表層を形成した。
【0066】
上記の各材料において、JISで定められた測定方法によるシリコンゴムの引張強さは約10MPaである。ステンレスの引張強さは約600MPaである。ベルト内面と、ローラ各部151f、151e・151fとの動摩擦係数は、μ1>μ2となる。
【0067】
2)第2の実施形態
第2の実施形態では、ステアリングローラ151は表面に弾性皮膜層を備えている。すなわち、ステアリングローラ151のローラ部に関して、第1領域151gの表層iを樹脂、あるいはゴムを材料とした高摩擦な弾性皮膜層で形成した。
【0068】
また、ステアリングローラ151のベルトの幅方向端縁と摺動可能な領域は金属あるいはセラミクスにより形成した。すなわち、第2領域151e・151fの表層jを金属、あるいはセラミックス材料により形成した。その金属、あるいはセラミックス材料は、JIS Z 2244で定められた試験方法で測定されるビッカース硬度が100以上のものにしている。
【0069】
一般的な金属材料であるアルミニウム合金のビッカース硬度は100以上である。ステンレス材のビッカース硬度は200位である。セラミックス材料のビッカース硬度は1000以上である。
【0070】
この構成によっても、ベルトコバ部による磨耗を低減し、ステアリングによるベルトの追従性を犠牲にせずにベルトのステアリング動作に伴うローラ削れによる削れ粉などの異物を要因とした画像不良の発生を低減することができる。
【0071】
3)第3の実施形態
図3はこの第3の実施形態におけるステアリングローラ151の縦断面模型図である。このローラ151の第1領域151fの表層iは、樹脂、あるいはゴムを材料とした高摩擦な弾性皮膜層で形成した。また、第2領域151e・151fの表層mを金属のメッキ処理により形成する。
【0072】
この第3の実施形態も、第1領域151gの表層と、第2領域151e・151fの表層を、第1または第2の実施形態と同様の関係構成にして、ベルトコバ部による磨耗を低減できる。すなわち、ステアリングによるベルトの追従性を犠牲にせずにベルトのステアリング動作に伴うローラ削れによる削れ粉などの異物を要因とした画像不良の発生を低減することができる。
【0073】
4)第4の実施形態
図4はこの第4の実施形態におけるステアリングローラ151の縦断面模型図である。このローラ151の第1領域151fの表層iは、樹脂、あるいはゴムを材料とした高摩擦な弾性皮膜層で形成する。また、第2領域151e・151fの表層nを、JIS Z 2244で定められた試験方法で測定されるビッカース硬度が100以上の金属、あるいはメッキ処理により形成される、リングあるいはローラ形状の部材を配置することで構成する。
【0074】
この第4の実施形態も、第1領域151gの表層と、第2領域151e・151fの表層が、第1または第2の実施形態と同様の関係構成にして、ベルトコバ部による磨耗を低減できる。すなわち、ステアリングによるベルトの追従性を犠牲にせずにベルトのステアリング動作に伴うローラ削れによる削れ粉などの異物を要因とした画像不良の発生を低減することができる。
【0075】
次に、上記の第1〜第4の実施形態のステアリングローラ構成における効果を説明する。
【0076】
ステアリングローラ151とベルト101のグリップ力を高めるための従来例として、ステアリングローラ151として、図5のように、ローラ部全幅Dにわたってシリコンゴム(ZB2511R)の表層iを形成したものを用いた。ベルト101として、ポリイミド樹脂にフッ素樹脂を塗布したものを用いた。そして、このステアリングローラ151とベルト101を、ステアリングで寄り制御を行う画像形成装置のベルト定着器に適用し耐久試験を行った。
【0077】
その結果、第2領域151e・151fの表層に、ベルトコバ部との摺擦による磨耗痕がみられた。加圧パッドとベルトとの間にはシリコンゴムの削れ粉が見られ、加圧パッドの定着ローラへの加圧力を測定したところ、図6のような圧力分布が見られた。
【0078】
図6は、x軸にローラ軸方向(幅方向)の位置、y軸に加圧力を示している。また、601は理想的な加圧力分布であり、602は耐久試験後に測定された加圧力分布である。603はステアリングローラの手前側端部位置、604は中央位置、605は奥側端部位置である。図6によれば、定着ローラと加圧パッドによるニップ両側端部の加圧力がおおよそ25%以上上昇し圧力異常となっている。これは、ステアリングローラの削れ粉がベルトにより搬送され、加圧パッドと定着ベルト間へ侵入することが画像不良を誘発する要因になっていると考えられる。
【0079】
第1の実施形態に基づき、ステアリングローラ151のローラ部の第1領域151gの表層iには引張強さが約15MPaであるシリコンゴム(ZB2511R)を用いた。第2領域151e・151fの表層jには、ステアリングローラの芯金kで引張強さが約600MPaであるステンレス(SUS303−B)を用いた。ベルト101には、ポリイミド樹脂にフッ素樹脂を塗布したものを用いた。
【0080】
上記のように形成したステアリングローラ151を、ステアリングで寄り制御を行う画像形成装置のベルト定着器に適用し耐久試験を行った。その結果、第2領域151e・151fの表層jには削れ痕はほぼ見られず、また従来の構成により発生していた画像不良も改善した。
【0081】
加圧パッドの定着ローラへの加圧力を測定したところ、図7のような圧分布が見られた。図7はx軸にローラ軸方向の位置、y軸に加圧力を示している。また、601は理想的な加圧力分布であり、607は耐久試験後に測定された加圧力分布である。図7によれば、定着ローラと加圧パッドによるニップ両側端部の加圧力の変動がおおよそ10%以内とおり、ステアリングローラ削れ粉の加圧パッドと定着ベルト間への侵入量の減少が見られる。
【0082】
また、第2、第3、第4の実施形態の構成のステアリングローラにおいても同様の効果が得られた。
【0083】
上記のような構成のベルト方式の画像加熱装置により、ベルト端部のコバによるステアリングローラの磨耗を減少させて、削り粉の発生を抑えることができる。これにより、削れ粉などの異物がベルトとローラの間に侵入することにより発生する画像不良を減少させることが出来る。
【0084】
(4)画像形成装置
図24は上述したベルト方式の定着装置5を具備させた画像形成装置の一例の概略構成模型図である。図25はこの画像形成装置の画像形成ステーション部分の拡大図である。
【0085】
本例の画像形成装置は、電子写真プロセスを用いた、複数の光走査手段を有する、4ドラムタンデムタイプのレーザビームプリンタである。このプリンタ自体は公知に属するからその説明は簡単にとどめる。
【0086】
このプリンタは、プリンタ本体Aの上面側に配設したリーダ部Bでカラー原稿の画像情報をCCD等の光電変換素子で色分解読取り処理する。Cはリーダ部Bの原稿台カラスB1に対する自動原稿給送装置または原稿圧着板である。リーダ部Bでの各色分解読取り画像情報に対応して変調されたレーザ光La,Lb,Lc,Ldを複数の光走査手段を有するレーザ走査部Dから出力させる。
【0087】
プリンタは、マゼンタ,シアン,イエロー,ブラックの各色の画像を形成する4つの画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pdを有する。この各画像形成ステーションにおいて、感光ドラム1a,1b,1c,1dに上記レーザ走査部Dから出力されるレーザ光La,Lb,Lc,Ldで走査露光する工程を含む電子写真プロセスが実行される。これにより、上記各色のトナー画像が各画像形成ステーションの感光ドラム上に形成される。そしてその各画像形成ステーションの感光ドラム上に形成されたマゼンタ,シアン,イエロー,ブラックの各色のトナー画像を転写部3の転写ベルト31上に保持されて搬送される紙等の記録材Pへ順次に重畳転写させる構成となっている。
【0088】
マゼンタ,シアン,イエロー,ブラックの各色の画像を形成する各画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pdには、それぞれ感光ドラム1a,1b,1c,1dが配置されており、各感光ドラムは矢印方向に回転自在となっている。各感光ドラム1a,1b,1c,1dの周囲には、帯電器12a,12b,12c,12d、現像装置2a,2b,2c,2d、そして、クリーナ4a,4b,4c,4dが上記感光ドラムの回転方向に沿って順次配設されている。各感光ドラムの下方には、転写部3が配設されている。転写部3は、各画像形成ステーションに共通の記録材搬送手段たる転写ベルト31及び転写用帯電器3a,3b,3c,3dを有している。転写ベルト31はエンドレスベルトであり、駆動ローラ32とターンローラ33・34の3本のローラ間に懸回張設されている。
【0089】
E1,E2はプリンタ本体A内に配設の第1または第2の給紙カセットである。上記の給紙カセットE1またはE2から記録材供給手段により1枚分離給紙された記録材Pは、転写ベルト31上に支持されて各画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pdへ順次に搬送される。その記録材Pに上記の各感光ドラム上に形成された各色のトナー画像を順次に重畳転写される。
【0090】
この転写工程が終了すると、記録紙Pは転写ベルト31から分離されて定着装置5へと搬送される。定着装置5で記録紙Pに転写されたトナー像は熱と圧力により記録紙P上に定着され、フルカラー画像形成物として排紙処理装置Fに搬送される。排紙処理装置Fでは記録紙Pを排紙トレイ62上の搬送ローラ61で排出し、排紙トレイは下方に移動することで多数枚の排紙積載が可能となっている。また、排紙処理装置Fでは多数枚の記録紙Pをスティップルしたりする処理も可能である。
【0091】
両面コピーモードのときは、定着装置5を出た片面側コピー済みの記録紙Pは反転再搬送機構G側に進路変更される。そして、この反転再搬送機構Gで反転されて転写ベルト31に再給紙されることで、記録紙Pの他方の面側にトナー画像が転写形成され、定着装置5に再び導入されて、両面コピーが排紙処理装置Fに搬送される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】ステアリングローラ151の構成と、ステアリング動作によるベルトの幅方向の移動領域を示す図
【図2】第1の実施形態におけるステアリングローラの縦断面模型図
【図3】第3の実施形態におけるステアリングローラの縦断面模型図
【図4】第4の実施形態におけるステアリングローラの縦断面模型図
【図5】比較例(従来例)におけるステアリングローラの縦断面模型図
【図6】従来の構成による加圧力分布の図
【図7】第1の実施形態の定着ベルトユニットによる耐久試験後の加圧力分布の図
【図8】ベルト方式の定着装置の拡大横断面模型図
【図9】制御系統のブロック図
【図10】定着ベルトユニット(定着ベルトは図示せず)を前側から見た斜視模型図
【図11】定着ベルトユニット(定着ベルトは図示せず)を奥側から見た斜視模型図
【図12】図10の矢印X側から見た、途中部分省略の正面図
【図13】ステアリング制御部の前端部側を上方から見た図
【図14】定着ベルトユニットを支持する前パッド加圧板と後パッド加圧板を示した図
【図15】定着ベルトユニットを前パッド加圧板、後パッド加圧板に装着した状態の前パッド加圧板側を示す図
【図16】定着ローラに定着ベルトユニットを加圧する加圧機構を示す図
【図17】図16の矢印K側から見た図
【図18】加圧機構の説明図
【図19】定着ベルトユニットが定着ローラから離間している状態を示している図
【図20】定着ローラから定着ベルトユニットが離間している状態の前パッド加圧板部の状態を示している図
【図21】ステアリング駆動部を示している図
【図22】ステアリング動作の説明図(その1)
【図23】ステアリング動作の説明図(その2)
【図24】本発明に従うベルト方式の定着装置を具備させた画像形成装置の一例の概略構成模型図
【図25】画像形成装置の画像形成ステーション部分の拡大図
【符号の説明】
【0093】
80:定着ローラ、100:定着ベルトユニット、150:ステアリングローラ部、151:ステアリングローラ(ベルト寄り制御部材)、151g:第1領域(ローラ部のベルト内面と当接しベルトコバ部と当接しない領域)、151e・151f:第2領域(ベルトコバが当接する部分を全て含む領域)、200:ステアリング駆動部、300:加圧機構、400:ステアリング駆動部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材上の画像を加熱するためのエンドレスベルトと、このベルトをその幅方向に揺動させる変位可能なベルト懸架ローラと、を有する画像加熱装置において、
ベルト懸架ローラ表面のベルトの幅方向端縁と摺動可能な端部領域の引張強さを中央領域よりも大きくしたことを特徴とする画像加熱装置。
【請求項2】
前記ベルト懸架ローラの端部領域の引張強さを100MPa以上とし、中央領域の引張強さを50MPa以下としたことを特徴とする請求項1の画像加熱装置。
【請求項3】
前記ベルトと前記ベルト懸架ローラの端部領域との動摩擦係数を前記ベルトと前記ベルト懸架ローラの中央領域との動摩擦係数よりも小さくしたことを特徴とする請求項1又は2の画像加熱装置。
【請求項4】
記録材上の画像を加熱するためのエンドレスベルトと、このベルトをその幅方向に揺動させるべく変位可能に設けられ表面に弾性皮膜層を備えたベルト懸架ローラと、を有する画像加熱装置において、
ベルト懸架ローラのベルトの幅方向端縁と摺動可能な領域は金属あるいはセラミクスにより形成されていることを特徴とする画像加熱装置。
【請求項5】
前記金属もしくはセラミクスのビッカース硬度は100以上であることを特徴とする請求項4の画像加熱装置。
【請求項1】
記録材上の画像を加熱するためのエンドレスベルトと、このベルトをその幅方向に揺動させる変位可能なベルト懸架ローラと、を有する画像加熱装置において、
ベルト懸架ローラ表面のベルトの幅方向端縁と摺動可能な端部領域の引張強さを中央領域よりも大きくしたことを特徴とする画像加熱装置。
【請求項2】
前記ベルト懸架ローラの端部領域の引張強さを100MPa以上とし、中央領域の引張強さを50MPa以下としたことを特徴とする請求項1の画像加熱装置。
【請求項3】
前記ベルトと前記ベルト懸架ローラの端部領域との動摩擦係数を前記ベルトと前記ベルト懸架ローラの中央領域との動摩擦係数よりも小さくしたことを特徴とする請求項1又は2の画像加熱装置。
【請求項4】
記録材上の画像を加熱するためのエンドレスベルトと、このベルトをその幅方向に揺動させるべく変位可能に設けられ表面に弾性皮膜層を備えたベルト懸架ローラと、を有する画像加熱装置において、
ベルト懸架ローラのベルトの幅方向端縁と摺動可能な領域は金属あるいはセラミクスにより形成されていることを特徴とする画像加熱装置。
【請求項5】
前記金属もしくはセラミクスのビッカース硬度は100以上であることを特徴とする請求項4の画像加熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
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【図9】
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【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2007−139809(P2007−139809A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323483(P2005−323483)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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