説明

画像区分をする方法、システム、及びコンピュータプログラム

本発明は、画像区分をする方法1に関するもので、そのステップ2においては、画像において区分されるべきと考えられる構造を表わす事前モデルがアクセスされる。好ましくは、前記画像は、医療診断画像を含む。更に好ましくは、前記医療診断画像は、DICOM形式で用意され、これによれば診断データの他に補足情報が記憶される。これらの場合、本発明による方法1は、有利にはステップ3に進み、ここでは前記補足情報が電子ファイル5から抽出され、該ファイルは、例えば適切な患者関連情報5a及び/又は適切な構造関連情報5bを含む。患者関連情報の例は、患者の年齢、性別、グループ等を含み、一方構造関連情報の例は、直腸、膀胱、肺等の構造、又は疑わしい/診断された患者の病変の解剖学的位置を含んでいても良い。本発明による方法1の代替実施例においては、補足情報は、ステップ7において人間のオペレータにより提供され、その場合、該オペレータはユーザインタフェース9を使用して適切な補足情報9a,9bを入力することができる。補足情報がロードされると、本発明による方法1はステップ4に進み、該ステップにおいて前記事前モデルは前記補足情報を使用して変更され、更なるモデルを生じる。ステップ6において、該方法1は、こうして得られた更なるモデルを使用して画像区分を実行し、ステップ8において、前記区分の結果は適切なビューア上で視覚化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像において区分されるべきと考えられる構造を表す事前モデルにアクセスするステップを有するような、画像区分をする方法に関する。
【0002】
本発明は、更に、画像において区分されるべきと考えられる構造を表す事前モデルにアクセスする入力部を有するような、画像区分をするシステムにも関する。
【0003】
本発明は、更に、画像区分を可能にするコンピュータプログラムであって、プロセッサに、画像において区分されるべきと考えられる構造を表す事前モデルにアクセスするステップを実行させる命令を有するようなコンピュータプログラムにも関する。
【背景技術】
【0004】
冒頭の段落に記載の方法の一実施例は、国際特許公開公報WO2005/008587A1から知られている。既知の方法は、モデルに基づく区分方法を使用して、画像、特に医療診断画像を区分するように構成され、該方法によれば、臓器モデルは、可撓性の面により表され、関心物体の境界に適合される。この目的のために、該既知の方法は、更に、臓器の形状特性、又は例えば諧調、諧調の方向及び輝度範囲等の臓器境界特性、又は臓器の組織特性のような臓器固有のデータを使用するように構成される。この場合、該形状モデルは、変更されていない形態で使用され、適切な画像区分アルゴリズムにより変形されるが、該アルゴリズムによれば、前記モデルを物体の境界に適合させるために臓器固有のデータが使用される。
【0005】
上記既知の方法の欠点は、該方法が、事前に構造化された事前モデル、特に形状モデルを使用し、該モデルは、多数の例示的な画像及びそれらの各画像区分の対応する結果に基づいて構築されることである。医療用途では、これらの例示的な区分は収集するのが困難であるため、これらは、典型的には正常な物体個体群の画像を表す。更に、前記事前に構造化された形状モデルは、人間の個体群の様々な形状及びサイズを有することができず、ほとんどの病変を表わすこともできない。両方の欠点は、特に特殊な画像に対して、劣った区分結果を導く。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、非常に広い範囲の物体に対してロバストである画像区分のための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、本発明による方法は、
- 補足情報にアクセスするステップと、
- 前記補足情報を使用して事前モデルを変更して、更なるモデルを発生するステップと、
を有する。
【0008】
本発明の技術的な手段は、補足情報を供給することにより、今回の場合の要件を満たして、事前モデルが容易に変更されるという洞察に基づく。事前モデルが、形状モデル、臓器の物理的な大きさを示す臓器サイズモデル、動作モデル、画像コントラスト、及び/又は外観モデル等を有しても良いことに留意されたい。本発明に関して、「変更する」という言葉は、アクセスされた事前モデルを修正/調整すること、又は異なる事前モデルにそらすことを指すと理解される。解剖学的データの病変のような異常を示す医療データを区分する場合、後者の可能性が有利である。
【0009】
本発明による方法の一実施例において、補足情報は、画像データから取り出される。
【0010】
好ましくは、DICOM(医療におけるデジタル画像通信)形式で記憶される医療画像に対して、患者の年齢、性別、体のサイズ等のような補足情報が、自動的に電子フォーマットで取り出され得る。本発明は、DICOM画像の操作に制限されず、デジタルデータ抽出の他の可能性は、画像アーカイブ通信システム(PACS)、病院情報システム(HIS)及び/若しくは放射線医学情報システム(RIS)ソース、又は画像データに隣接する補足情報へのアクセスを可能にする他のいかなる電子フォーマットも含む。本発明の技術的な手段は、データ処理の間における自動化のレベルの向上を保証する。代替として、補足情報は、人間のオペレータにより、対話的な態様、例えば適切なユーザインタフェースを使用して提供され得る。この補足情報は、例えば事前モデルの全体のサイズをスケーリングすることにより、区分されると考えられる解剖学的構造の予期されるサイズ及び/又は予期される形状に適合させるように使用される。代替として、事前に記憶された利用可能なモデルのセットとは異なる事前モデルが、アクセスされた事前モデル、例えば患者の予期又は診断される病変を表現する適切なモデルの代わりに選択され得る。代替として、事前モデルは、患者の所属する個体群を表わす他のモデルにより代替され得る。
【0011】
本発明の方法の更なる実施例において、該方法は、更なるモデルを使用する画像区分を実行するステップを更に有する。
【0012】
この技術的な手段によると、ロバストな画像区分方法が可能にされ、該方法は、非常に様々な個体群に対して信頼できる区分結果を提供し、年齢固有のものであり、病変を示す特殊な形状に対処することができる。
【0013】
本発明によるシステムにおいて、入力部は、補足情報にアクセスするように更に構成され、該システムは、補足情報を使用して事前モデルを変更し、更なるモデルを発生する処理ユニットを更に有する。本発明によるシステムの更に有利な実施例は、請求項7及び8において付与される。本発明によるシステムは、図2を参照してより詳細に記載されるであろう。
【0014】
本発明による画像区分を可能にするコンピュータプログラムは、プロセッサに
- 補足情報にアクセスするステップと、
- 前記補足情報を使用して事前モデルを変更して、更なるモデルを発生するステップと
を実行させる更なる命令を含む。
【0015】
本発明によるコンピュータプログラムの更に有利な実施例は、請求項10及び11において付与される。本発明によるコンピュータプログラムは、自動のロバストな画像区分を可能にする手段を提供し、該手段により、非常に様々な構造、より詳細には、非常に様々な患者群及び健康状態に対して正確な結果が得られる。本発明によるコンピュータプログラムの更なる利点は、図3を参照して論じられるであろう。
【0016】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の図面を参照して論じられるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明による方法の一実施例の概略図を表す。本発明の方法1のステップ2において、画像の区分されるべきと考えられる構造を表現する事前モデルがアクセスされる。好ましくは、前記画像は、医療診断画像を含む。更に好ましくは、前記医療診断画像は、DICOM形式で用意され、これにより、補足情報が診断データに加えて記憶される。代替として、診断画像は、例えばPACS/HIS/RISソースからの補足情報を有するいかなる他の電子フォーマットで記憶されても良い。これらの場合において、本発明による方法1は、都合よくステップ3に進み、ここで補足情報が、電子ファイル5から抽出され、該情報は、例えば適切な患者関連情報5a及び/又は適切な構造関連情報5bを含む。前記患者関連情報5aの例は、患者の年齢、性別、グループ等を含み、一方構造関連情報の例は、直腸、膀胱、肺等のような構造、又は患者の疑わしい/診断された病変の解剖学的位置を含んでもよい。本発明による方法1の代替の実施例において、補足情報は、ステップ7において人間のオペレータにより提供され、該オペレータは、ユーザインタフェース9を使用して、適切な補足情報9a,9bを入力することができる。補足情報がロードされるとき、本発明による方法1は、ステップ4に進み、ここで事前モデルは、補足情報を使用して変更して、更なるモデルを発生させる。本発明の文脈における変更するプロセスは、リサイズのように初期の事前モデルを更新するとして、又は代替として、区分されると考えられる構造において検出(若しくは事前の臨床検査から疑われる)異常若しくはある患者群を表す事前モデルを選択するように、異なる事前モデルにそらすとして理解されなければならない。ステップ6において、方法1は、こうして得られた更なるモデルを使用して画像区分を実行し、ステップ8において、前記区分の結果が、適切なビューア上に可視化され得る。
【0018】
図2は、本発明によるシステムの一実施例の概略図を示す。本発明による画像区分のためのシステム10は、画像15において区分されるべきと考えられる構造を表現する事前モデル11にアクセスするための入力部14を備えるコンピュータ12を有する。入力部14は、更に、補足情報13にアクセスするように構成され、処理ユニット16は、補足情報に従って事前モデル11を変更するように構成される。図1を参照して説明されているように、補足情報13は、画像15から直接ロードされ得るか、又は代替として、人間のオペレータが該情報を提供したというイベントに基づいてユーザインタフェースからロードされ得る。好ましくは、システム10は、適切な装置、特に画像15を提供するように構成される医療診断装置18を更に有する。
【0019】
図3は、本発明によるコンピュータプログラムのフローチャートの概略図を示す。本発明のコンピュータプログラム30の命令32は、適切なプロセッサ(図示略)に、画像において区分されると考えられる構造を表現する事前モデルにアクセスさせる。好ましくは、画像は、医療診断画像を含む。更に好ましくは、医療診断画像は、DICOM形式で用意され、該形式により、補足情報が診断情報に加えて記憶される。代替として、診断画像は、例えばPACS/HIS/RISソースからの補足情報を有するいかなる他の電子フォーマットで記憶されても良い。これらの場合において、本発明によるコンピュータプログラム30は、プロセッサに対して、電子ファイル35から補足情報を抽出させる命令33を都合よく有する。補足情報は、例えば適切な患者関連情報35a及び/又は適切な構造関連情報35bを有する。患者関連情報の例は、患者の年齢、性別、グループ等を含み、一方構造関連情報の例は、直腸、膀胱、肺等のような構造の解剖学的位置を含み得る。本発明によるコンピュータプログラム30の代替の実施例において、コンピュータプログラムは、適切なユーザインタフェース39を使用して補足情報39a、39bを受信するようにさせる命令37を含む。補足情報がロードされるとき、本発明によるコンピュータプログラム30は、更なるステップに進み、命令34により、事前モデルは、補足情報を使用して変更して、更なるモデルを発生する。本発明の文脈において、変更するプロセスは、リサイズのような事前モデルの更新として、又は区分されると考えられる構造において検出される異常若しくはある患者グループを表現するモデルを選択するように、異なるモデルにそらすとして理解されなければならない。更なる命令36を使用して、コンピュータプログラム30は、こうして得られた更なるモデルを使用して画像区分を実行する。好ましくは、コンピュータプログラム30は、プロセッサに対して、適切なビューア上に前記区分の結果を可視化させる命令38を更に有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明による方法の一実施例の概略図を示す。
【図2】図2は、本発明によるシステムの一実施例の概略図を示す。
【図3】図3は、本発明によるコンピュータプログラムのフローチャートの概略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像区分をする方法であって、
画像において区分されるべきと考えられる構造を表す事前モデルにアクセスするステップと、
補足情報にアクセスするステップと、
前記補足情報を使用して前記事前モデルを変更し、更なるモデルを発生するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記補足情報が画像データから取り出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
画像に対して、医療画像が選択され、前記補足情報のために患者関連情報を選択するステップを更に有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
画像に対して、医療画像が選択され、前記補足情報のために構造関連情報を選択するステップを更に有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記更なるモデルを使用して画像区分を実行するステップを更に有する請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
i.画像において区分されるべきと考えられる構造を表す事前モデルにアクセスし、
ii.補足情報にアクセスする、
ための入力部と、
前記補足情報を使用して前記事前モデルを変更し、更なるモデルを発生するプロセッサユニットと、
を有する画像区分をするシステム。
【請求項7】
前記入力部が、更に、区分されるべきと考えられる画像にアクセスするように構成され、前記プロセッサユニットが、更に、前記画像から前記補足情報を取り出すように構成される請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサユニットが、更に、前記更なるモデルを使用して前記画像を区分するように構成される請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
画像区分を可能にするコンピュータプログラムであって、プロセッサに、
画像において区分されるべきと考えられる構造を表す事前モデルにアクセスするステップと、
補足情報にアクセスするステップと、
前記補足情報を使用して前記事前モデルを変更し、更なるモデルを発生するステップと、
を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項10】
画像データにアクセスし、該画像データから前記補足情報を取り出す命令を更に有する請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記更なるモデルを使用して画像区分を実行する命令を更に有する請求項10に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−509261(P2009−509261A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531824(P2008−531824)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053141
【国際公開番号】WO2007/034346
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】