説明

画像形成システム、画像形成装置及びプログラム

【課題】各々の画像形成装置が画像データを格納する格納場所を備えている場合において、いずれの画像形成装置を使用してもこの画像データに応じた画像を形成できるようにする。
【解決手段】クライアント装置20は、利用者を識別するユーザIDとこのユーザIDに対応付けられた画像データとを、複数の格納場所のうち予め設定された格納場所に送信する。各々の画像形成装置30は、クライアント装置20から送られてくるユーザIDと画像データとを対応付けて格納する格納場所を備える。利用者によりユーザIDが入力されると、画像形成装置30は、記憶部に記憶されたスプーラリストが示す複数の格納場所にアクセスして、入力されたユーザIDと対応付けて画像データが格納されている格納場所からこの画像データを取得し、取得した画像データに応じた画像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者によって指定された画像データをプリントサーバ装置に格納して、この画像データに対して複数の画像形成装置からアクセスできるようにする技術が知られている。例えば、特許文献1には、ユーザ端末から送信された印刷ジョブをプリントサーバに一時保留しておき、ユーザがプリンタに指紋等の認証情報を入力して認証に成功すると、プリンタが、入力された認証情報に対応する印刷ジョブをプリントサーバから取得し、印刷を実行する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−242851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、各々の画像形成装置が画像データを格納する格納場所を備えている場合において、いずれの画像形成装置を使用してもこの画像データに応じた画像を形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像形成システムは、利用者を識別する識別情報と前記識別情報に対応付けられた画像データとを、複数の格納場所のうち予め設定された格納場所に送信する送信装置と、複数の画像形成装置とを備え、各々の前記画像形成装置は、前記複数の格納場所を示す格納情報を記憶する第1の記憶部と、前記複数の格納場所に含まれる格納場所であって、前記送信装置から送信されてくる前記識別情報と前記画像データとを対応付けて格納する格納場所と、利用者により前記識別情報が入力されると、前記第1の記憶部に記憶された前記格納情報が示す複数の格納場所にアクセスして、当該識別情報と対応付けて画像データが格納されている格納場所から当該画像データを取得する取得部と、前記取得部により取得された画像データに応じた画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る画像形成システムは、請求項1に記載の構成において、前記送信装置と前記複数の画像形成装置とは、通信回線を介して互いに接続されており、各々の前記画像形成装置は、新たな画像形成装置が前記通信回線に接続されると、当該新たな画像形成装置の格納場所を示す格納情報を当該新たな画像形成装置から取得し、当該取得した格納情報を前記第1の記憶部に記憶させる記憶制御部を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る画像形成システムは、請求項1又は2に記載の構成において、各々の前記画像形成装置は、前記通信回線に接続されなくなった画像形成装置を検出する検出部を備え、前記記憶制御部は、前記検出部により検出された画像形成装置の格納場所を示す格納情報を前記第1の記憶部から削除することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る画像形成システムは、請求項1から3のいずれかに記載の構成において、前記画像形成装置が新たな通信回線に接続された場合、当該画像形成装置の前記記憶制御部は、当該新たな通信回線を介して接続された他の画像形成装置から、当該他の画像形成装置の格納場所を示す格納情報を取得し、当該取得した格納情報を前記第1の記憶部に記憶させることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る画像形成システムは、請求項1に記載の構成において、各々の前記画像形成装置は、前記入力された識別情報と、当該識別情報が入力されたときに前記取得部により画像データが取得された格納場所の履歴とを対応付けて記憶する第2の記憶部と、利用者により前記識別情報が入力されると、前記第2の記憶部において当該識別情報と対応付けて記憶された前記格納場所の履歴に応じて、各々の前記格納場所について画像データが取得された取得頻度を算出する算出部とを備え、前記取得部は、前記算出部により算出された取得頻度が高い順に前記格納場所にアクセスすることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る画像形成システムは、請求項5に記載の構成において、各々の前記画像形成装置は、前記取得部により複数の格納場所から画像データが取得された場合には、前記算出部により当該複数の格納場所について算出された取得頻度が高い順に、当該取得された画像データを識別する識別情報を並べて表示部に表示させる表示制御部を備え、前記画像形成部は、前記表示部に表示された前記識別情報に応じて、利用者により前記取得された画像データの中から画像データが選択されると、当該選択された画像データに応じた画像を形成することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る画像形成システムは、請求項1に記載の構成において、各々の前記画像形成装置は、前記取得部により、当該取得部と同一の前記画像形成装置内に備えられた内部の前記格納場所から第1の画像データが取得され、且つ、他の画像形成装置が備える外部の前記格納場所から第2の画像データが取得された場合には、当該第1の画像データを識別する識別情報を表示部の予め決められた位置に表示させ、当該第2の画像データを識別する識別情報を前記表示部の当該予め決められた位置以外の位置に表示させる表示制御部を備え、前記画像形成部は、前記表示部に表示された前記識別情報に応じて、利用者により前記取得された画像データの中から画像データが選択されると、当該選択された画像データに応じた画像を形成することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係る画像形成装置は、複数の格納場所を示す格納情報を記憶する記憶部と、送信装置から利用者を識別する識別情報と画像データとが送信されてくると、当該識別情報と当該画像データとを対応付けて格納する格納場所と、利用者により前記識別情報が入力されると、前記記憶部に記憶された前記格納情報が示す複数の格納場所にアクセスして、当該識別情報と対応付けて画像データが格納されている格納場所から当該画像データを取得する取得部と、前記取得部により取得された画像データに応じた画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9に係るプログラムは、複数の格納場所を示す格納情報を記憶する記憶部を備えるコンピュータに、送信装置から利用者を識別する識別情報と画像データとが送信されてくると、当該識別情報と当該画像データとを対応付けて格納場所に格納するステップと、利用者により前記識別情報が入力されると、前記記憶部に記憶された前記格納情報が示す複数の格納場所にアクセスして、当該識別情報と対応付けて画像データが格納されている格納場所から当該画像データを取得するステップと、前記取得された画像データに応じた画像を形成するよう画像形成部を制御するステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、各々の画像形成装置が画像データを格納する格納場所を備えている場合において、いずれの画像形成装置を使用してもこの画像データに応じた画像を形成することができる。
請求項2に係る発明によれば、通信回線に新たな画像形成装置が接続されたときに、この画像形成装置の格納場所からも画像データを取得することができる。
請求項3に係る発明によれば、ある画像形成装置が通信回線に接続されなくなったときに、この画像形成装置にアクセスしないようにすることができる。
請求項4に係る発明によれば、画像形成装置が新たな通信回線に接続されたときに、この画像形成装置が、新たな通信回線を介して接続された他の画像形成装置の格納場所から画像データを取得することができる。
請求項5に係る発明によれば、画像データの取得頻度とは無関係に決められた順序で複数の格納場所にアクセスする場合に比べて、この取得頻度が高い格納場所に格納された画像データを迅速に取得することができる。
請求項6に係る発明によれば、画像データの取得頻度とは無関係に決められた順序で画像データの識別情報を並べて表示する場合に比べて、利用者が、この取得頻度が高い格納場所から取得された画像データを選択しやすくなる。
請求項7に係る発明によれば、内部の格納場所から取得された画像データの識別情報を予め決められた位置に表示させない場合に比べて、利用者が内部の格納場所に格納された画像データを選択しやすくなる。
請求項8に係る発明によれば、自装置の格納場所と他の画像形成装置の格納場所とのいずれに画像データが格納された場合であっても、この画像データに応じた画像を形成することができる。
請求項9に係る発明によれば、自装置の格納場所と他の画像形成装置の格納場所とのいずれに画像データが格納された場合であっても、この画像データに応じた画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】画像形成システムの構成を示す模式図
【図2】クライアント装置のハードウェア構成を示す図
【図3】画像形成装置のハードウェア構成を示す図
【図4】認証情報の一例を示す図
【図5】スプーラリストの一例を示す図
【図6】画像形成システムの機能構成を示す図
【図7】画像形成システムの動作を示すシーケンスチャート
【図8】実施形態に係るプリントデータの一覧の一例を示す図
【図9】変形例に係るプリントデータの一例を示す図
【図10】変形例に係る履歴情報の一例を示す図
【図11】変形例に係る取得率の一例を示す図
【図12】変形例に係るプリントデータの一覧の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本実施形態に係る画像形成システム1の構成を示す模式図である。画像形成システム1は、クライアント装置20(送信装置の一例)と、画像形成装置30A、30B、30C及び30Dとを備える。なお、画像形成装置30A、30B、30C及び30Dを区別する必要がない場合には、符号の末尾に付された「A」、「B」、「C」、「D」という文字を省略して、「画像形成装置30」という。クライアント装置20は、画像形成装置30にプリントデータを送信する機能を有する。画像形成装置30、例えば電子写真方式のプリンタである。また、画像形成装置30は、クライアント装置20から送信されてきたプリントデータを格納する格納場所を備えている。
【0017】
図2は、クライアント装置20のハードウェア構成を示す図である。クライアント装置20は、CPU21、メモリ22、通信部23、記憶部24、操作部25及び表示部26を備えている。CPU21は、メモリ22に記憶されたプログラムを実行することにより、クライアント装置20の各部を制御する。通信部23は、通信回線2に接続される通信インターフェースである。CPU21は、通信部23により画像形成装置30と通信を行う。記憶部24は、ハードディスクなどの記憶装置である。この記憶部24には、プリンタドライバ42が記憶されている。このプリンタドライバ42は、画像形成装置30を制御する機能を有するプログラムである。操作部25は、例えばキーボードとマウスを備えている。操作部25は、クライアント装置20を操作するのに用いられる。表示部26は、液晶ディスプレイなどの表示装置である。表示部26は、画像データに応じた画像を表示する。
【0018】
プリンタドライバ42には、予め利用者のユーザIDとスプーラ情報とが設定されている。ユーザIDは、利用者を識別する識別情報である。スプーラ情報は、クライアント装置20から送信されたプリントデータを格納する格納場所を示す情報である。このスプーラ情報は、画像形成装置30A、30B、30C又は30Dのいずれかの格納場所を示す。例えば、スプーラ情報は、画像形成装置30に割り当てられたIP(Internet Protocol)アドレスや画像形成装置30の名前である。このプリンタドライバ42には、ユーザID「user001」と、画像形成装置30Cの格納場所を示すスプーラ情報「spoolerC」が設定されている。なお、プリンタドライバ42に設定されたスプーラ情報は、利用者の操作によって変更されてもよい。
【0019】
図3は、画像形成装置30のハードウェア構成を示す図である。画像形成装置30は、制御部31、通信部32、記憶部33、UI(User Interface)部34、画像形成部35及びカード読取部36を備えている。制御部31は、CPU37とメモリ38を備えている。CPU37は、メモリ38に記憶されたプログラムを実行することにより、画像形成装置30の各部を制御する。通信部32は、通信回線2に接続される通信インターフェースである。制御部31は、通信部32によりクライアント装置20又は他の画像形成装置30と通信を行う。記憶部33(第1の記憶部の一例)は、ハードディスクなどの記憶装置である。この記憶部33は、クライアント装置20から送信されてきたプリントデータを格納する格納場所である。また、記憶部33には、認証情報41とスプーラリスト43(格納情報の一例)とが記憶されている。
【0020】
図4は、認証情報41の一例を示す図である。認証情報41には、ユーザIDとパスワードとが含まれている。ユーザIDは、利用者を識別する識別情報である。パスワードは、利用者が本人であることを確認するために用いられる情報である。このパスワードは、利用者により設定される。
【0021】
図5は、スプーラリスト43の一例を示す図である。このスプーラリスト43は、例えば管理者により作成される。スプーラリスト43には、画像形成システム1に含まれる全画像形成装置30の格納場所を示すスプーラ情報が記載される。上述したように、画像形成システム1には、画像形成装置30A、30B、30C及び30Dが含まれている。したがって、図5に示すスプーラリスト43には、画像形成装置30Aの格納場所を示すスプーラ情報「spoolerA」と、画像形成装置30Bの格納場所を示すスプーラ情報「spoolerB」と、画像形成装置30Cの格納場所を示すスプーラ情報「spoolerC」と、画像形成装置30Dの格納場所を示すスプーラ情報「spoolerD」とが記載されている。
【0022】
図3に示すUI部34は、例えばタッチスクリーンとキーとを備えている。UI部34は、画像形成装置30を操作するのに用いられる。画像形成部35は、画像データに応じた画像を用紙に形成する。カード読取部36は、IC(integrated circuit)カードに記憶された情報を非接触で読み取る。ICカードは、利用者の認証を行うために予めその利用者に渡されている。このICカードには、上述した認証情報41に含まれる利用者のユーザID「user001」とパスワード「1234」が記憶されている。
【0023】
図6は、画像形成システム1の機能構成を示す図である。この画像形成システム1では、一の画像形成装置30と他の画像形成装置30とが互いに同じ機能を有している。格納場所101は、記憶部33に設けられる。取得部102は、CPU37がプログラムを実行することにより実現される。クライアント装置20は、利用者を識別するユーザIDとこのユーザIDに対応付けられた画像データとを、複数の格納場所101のうち予め設定された格納場所101に送信する。格納場所101は、クライアント装置20から送信されてきたユーザIDと画像データとを対応付けて格納する。取得部102は、利用者によりカード読取部36を用いてユーザIDが入力されると、記憶部33に記憶されたスプーラリスト43が示す複数の格納場所にアクセスして、入力されたユーザIDと対応付けて画像データが格納されている格納場所からこの画像データを取得する。画像形成部35は、取得部102により取得された画像データに応じた画像を形成する。
【0024】
図7は、画像形成システム1の動作を示すシーケンスチャートである。利用者は、クライアント装置20の操作部25を用いて、画像データを指定し、画像形成を指示する。CPU21は、プリンタドライバ42を実行し、利用者により指定された画像データと、利用者のユーザIDとを含むプリントデータを生成する。ここでは、利用者により画像データD1が指定された場合を想定する。上述したように、プリンタドライバ42には、利用者のユーザID「user001」が設定されている。この場合、プリントデータには、画像データD1とユーザID「user001」とが含まれる。
【0025】
プリントデータを生成すると、CPU21は、通信部23により、プリンタドライバ42に設定されたスプーラ情報が示す格納場所にこのプリントデータを送信する(ステップS11)。上述したように、プリンタドライバ42には、スプーラ情報「spoolerC」が設定されている。この場合、プリントデータは、画像形成装置30Cに送信される。
【0026】
クライアント装置20からプリントデータが送信されてくると、画像形成装置30Cの制御部31Cは、通信部32Cによりこのプリントデータを受信する。プリントデータを受信すると、制御部31Cは、受信したプリントデータを記憶部33Cに記憶させる(ステップS12)。上述した例では、画像データD1とユーザID「user001」とを含むプリントデータがクライアント装置20から送信されてくる。この場合、記憶部33Cには、この画像データD1とユーザID「user001」とを含むプリントデータが記憶される。つまり、記憶部33Cは、画像データD1とユーザID「user001」とを対応付けて格納する。
【0027】
利用者は、クライアント装置20において画像形成を指示した後、画像形成装置30A、30B、30C、30Dのいずれかがある場所に移動する。例えば、利用者は、自分が普段使っている画像形成装置30がある場所に移動してもよいし、普段使っている画像形成装置30が他の利用者によって使用中である場合には、その近くにある画像形成装置30がある場所に移動してもよい。また、利用者は、自分が今いる場所から最も近い画像形成装置30がある場所に移動してもよい。つまり、利用者は、画像形成装置30A、30B、30C又は30Dのうちいずれか1つを使用するべく、その画像形成装置がある場所へと移動する。ここでは、利用者が画像形成装置30Dに移動した場合を想定する。
【0028】
画像形成装置30のUI部34には認証画面が表示されており、認証を行わないと、画像形成装置30の操作を受け付けないようになっている。利用者は、画像形成装置30Dに移動すると、自分のICカードをカード読取部36Dにかざして認証を行う。ICカードが近づけられると、カード読取部36Dは、このICカードに記憶されたユーザIDとパスワードを読み取る(ステップS13)。ICカードからこれらの情報を読み取ると、カード読取部36Dは、読み取った情報を制御部31Dに入力する。上述したように、ICカードには、ユーザID「user001」とパスワード「1234」が記憶されている。この場合、制御部31Dには、このユーザID「user001」とパスワード「1234」が入力される。
【0029】
ユーザIDとパスワードが入力されると、制御部31Dは、入力されたユーザID及びパスワードと、記憶部33Dに記憶された認証情報41に含まれるユーザID及びパスワードとを照合して、画像形成装置30Dの利用者が正当な利用者であるか否かを判断する(ステップS14)。入力されたユーザID及びパスワードが認証情報41に含まれていない場合、制御部31Dは、画像形成装置30Dの利用者が正当な利用者ではないと判断する(ステップS14:NO)。この場合、制御部31Dは、例えば認証に失敗したことを示すメッセージをUI部34Dに表示させて、この処理を終了する。一方、図4に示す認証情報41には、入力されたユーザID「user001」とパスワード「1234」が含まれている。この場合、制御部31Dは、画像形成装置30Dの利用者が正当な利用者であると判断する(ステップS14:YES)。
【0030】
画像形成装置30Dの利用者が正当な利用者である場合、制御部31Dは、記憶部33Dに記憶されたスプーラリスト43のスプーラ情報が示す全ての格納場所にアクセスし、利用者のユーザIDを含むプリントデータを取得する(ステップS15)。図5に示すスプーラリスト43には、スプーラ情報「spoolerA」、「spoolerB」、「spoolerC」及び「spoolerD」が記載されている。この場合、制御部31Dは、画像形成装置30A、30B及び30Cと自装置の記憶部33Dとにアクセスする。具体的には、制御部31Dは、記憶部33Dにアクセスして、ユーザID「user001」を含むプリントデータが記憶されているか否かを判断する。記憶部33Dにこのプリントデータが記憶されている場合、制御部31Dは、記憶部33Dからこのプリントデータを全て読み出す。また、制御部31Dは、通信部32Dにより、画像形成装置30A、30B及び30CにユーザID「user001」を通知し、このユーザIDを含むプリントデータを要求する。画像形成装置30A、30B及び30Cは、この要求に応じて、通知されたユーザIDを含むプリントデータを画像形成装置30Bに送信する。具体的には、制御部31Aは、記憶部33Aにおいて、通知されたユーザIDを含むプリントデータが記憶されているか否かを判断する。記憶部33Aにこのプリントデータが記憶されている場合、制御部31Aは、記憶部33Aからこのプリントデータを全て読み出す。そして、制御部31Aは、通信部32Aにより、読み出したプリントデータを画像形成装置30Dに送信する。画像形成装置30B及び30Cにおいても、同様の処理が行われる。上述したステップS12では、ユーザID「user001」と画像データD1を含むプリントデータが記憶部33Cに格納されている。この場合、このプリントデータが画像形成装置30Cから送信されてくる。画像形成装置30Cからプリントデータが送信されてくると、制御部31Dは、通信部32Dによりこのプリントデータを受信する。
【0031】
プリントデータを取得すると、制御部31Dは、取得したプリントデータの一覧をUI部34Dに表示させる(ステップS16)。図8は、UI部34Dに表示されるプリントデータの一覧の一例を示す図である。このプリントデータの一覧には、ステップS15において取得されたプリントデータを識別する識別情報が表示される。図8に示すプリントデータの一覧には、画像形成装置30Cから取得したプリントデータに含まれるユーザID「user001」と画像データD1のファイル名とが表示されている。利用者は、UI部34Dを用いて、このプリントデータの一覧からプリントデータを選択し、「プリント」ボタン51を押す。「プリント」ボタン51が押されると、制御部31Dは、選択されたプリントデータから画像データを抽出し、画像形成部35Dに抽出した画像データに応じた画像を形成させる(ステップS17)。例えば、図8に示すプリントデータ一覧において、ユーザID「user001」及び画像データD1のファイル名が表示された領域が選択され、「プリント」ボタン51が押された場合、制御部31Dは、画像形成装置30Cから受信したプリントデータから画像データD1を抽出する。画像形成部35Dは、抽出された画像データD1に応じた画像を用紙に形成して出力する。
【0032】
以上のように、本実施形態では、各々の画像形成装置30が画像データを格納する格納場所を備えている場合において、いずれの画像形成装置30を使用してもこの画像データに応じた画像が形成される。
【0033】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、以下のように変形してもよい。また、以下の変形例を相互に組み合わせてもよい。
【0034】
(変形例1)
上述したステップS15において、制御部31Dは、まず最初に同一の装置内に備えられた記憶部33D(内部の格納場所の一例)にアクセスし、その後、通信部32Dにより外部の画像形成装置30A、30B及び30Cの格納場所(外部の格納場所の一例)にアクセスしてもよい。ここでは、ユーザID「user001」と画像データD1を含む第1のプリントデータを画像形成装置30Cの記憶部33Cが格納しており、ユーザID「user001」と画像データD2を含む第2のプリントデータを記憶部33Dが格納している場合を想定する。この場合、制御部31Dは、まず記憶部33Dにアクセスして第2のプリントデータを取得する。第2のプリントデータを取得すると、制御部31D(表示制御部の一例)は、この第2のプリントデータに応じたプリントデータの一覧をUI部34D(表示部の一例)に表示させる。図9(a)は、このときに表示されるプリントデータの一覧の一例を示す図である。このプリントデータの一覧には、第2のプリントデータに含まれるユーザID「user001」と画像データD2のファイル名とが表示されている。利用者は、このプリントデータの一覧が表示された時点で、第2のプリントデータを選択して、「プリント」ボタン51を押してもよい。
【0035】
記憶部33Dにアクセスした後、制御部31Dは、通信部32Dにより画像形成装置30A、30B及び30Cにアクセスして、画像形成装置30Cから第1のプリントデータを取得する。第1のプリントデータを取得すると、制御部31Dは、UI部34Dに表示されているプリントデータの一覧に、取得した第1のプリントデータの識別情報を追加する。図9(b)は、このときに表示されるプリントデータの一覧の一例を示す図である。このプリントデータの一覧には、図9(a)に示す第2のプリントデータの識別情報に加えて、第1のプリントデータに含まれるユーザID「user001」と画像データD1のファイル名とが表示されている。このプリントデータの一覧では、常に、記憶部33Dから取得されたプリントデータの識別情報が一番上に表示される。したがって、第1のプリントデータの識別情報は、第2のプリントデータの識別情報の下に表示される。このように、この変形例に係るプリントデータの一覧では、記憶部33Dから取得されたプリントデータの識別情報は、予め決められた位置に表示される。この位置は、UI部34Dの一番上に限らず、例えば中央であってもよいが、利用者が選択しやすいような位置であることが好ましい。
【0036】
この変形例によれば、同一装置内に格納されたプリントデータが迅速に取得される。また、図9(a)に示すプリントデータの一覧が表示された時点で、同一装置内の格納場所から取得されたプリントデータの選択を受け付け、画像の形成を開始することが可能になる。さらに、同一装置内の格納場所から取得されたプリントデータの識別情報は、常に予め決められた位置に表示されるため、利用者がこのプリントデータを選択しやすくなる。また、上述した第1のプリントデータと第2のプリントデータは、異なる格納場所から取得されたものであるが、図9(b)に示すように、第1のプリントデータの識別情報と第2のプリントデータの識別情報とは並べて表示される。これにより、第1のプリントデータと第2のプリントデータがあたかも同じ格納場所に格納されているように見える。
【0037】
(変形例2)
上述したように、クライアント装置20のプリンタドライバ42には、予めプリントデータの格納場所を示すスプーラ情報が設定されている。この場合、同一のクライアント装置20から送信されたプリントデータは、このスプーラ情報が変更されない限り、毎回同じ格納場所に格納されることになる。そこで、制御部31Dは、上述したステップS15において、利用者のプリントデータが取得された取得頻度の高い順に格納装置にアクセスしてもよい。
【0038】
この場合、記憶部33D(第2の記憶部の一例)には、プリントデータが取得された格納場所の履歴を利用者毎に示す履歴情報44が記憶される。図10は、履歴情報44の一例を示す図である。この履歴情報44には、画像形成装置30Dにおいて行われた過去の処理において、プリントデータが取得された取得時刻と、利用者により入力されたユーザIDと、このプリントデータが取得された格納場所を示すスプーラ情報とが対応付けて記載されている。制御部31Dは、ステップS13においてユーザIDが入力されると、記憶部33Dに記憶された履歴情報44からこのユーザIDを含む履歴情報44を抽出する。例えば、ユーザID「user001」が入力された場合、制御部31Dは、図10に示す履歴情報44からユーザID「user001」を含む履歴情報44を抽出する。
【0039】
次に、制御部31D(算出部の一例)は、抽出した履歴情報44に基づき、各画像形成装置30の格納場所についてプリントデータが取得された取得率(取得頻度の一例)を算出する。例えば、ユーザIDが「user001」である利用者のプリントデータが計100回取得され、そのうち、このプリントデータが画像形成装置30Cの格納場所から取得された回数が90回である場合を想定する。この場合、抽出した履歴情報44には、計100個のスプーラ情報が含まれ、このうち、「spoolerC」というスプーラ情報が90個含まれる。この場合、画像形成装置30Cの格納場所の取得率は、90/100×100=90%となる。他の格納場所の取得率についても、同様の方法で算出される。格納場所の取得率を算出すると、制御部31Dは、算出した格納場所の取得率を、その格納場所を示すスプーラ情報と対応付けて記憶部33Dに記憶させる。これにより、図11に示すような取得率が記憶部33Dに記憶される。
【0040】
格納場所の取得率を算出すると、制御部31Dは、ステップS15においてこの取得率が高い順に格納場所にアクセスする。図11に示す例では、画像形成装置30Aの格納場所の取得率が「2%」であり、画像形成装置30Bの格納場所の取得率が「0%」であり、画像形成装置30Cの格納場所の取得率が「90%」であり、画像形成装置30Dの格納場所の取得率が「8%」である。この場合、制御部31Dは、まず取得率が最も高い画像形成装置30Cの格納場所にアクセスし、次に2番目に取得率が高い画像形成装置30Dの格納場所にアクセスし、次に3番目に取得率が高い画像形成装置30Aの格納場所にアクセスし、最後に最も取得率が低い画像形成装置30Bの格納場所にアクセスする。これにより、取得率の高い格納場所に格納されたプリントデータが迅速に取得される。
【0041】
また、制御部31D(表示制御部の一例)は、ステップS15において複数の格納場所からプリントデータが取得された場合には、ステップS16において、この複数の格納場所について算出された取得率が高い順にプリントデータの識別情報を並べて表示させてもよい。ここでは、ステップS15において、ユーザID「user001」と画像データD1を含む第1のプリントデータが画像形成装置30Cの格納場所から取得され、ユーザID「user001」と画像データD2を含む第2のプリントデータが画像形成装置30Dの格納場所から取得され、ユーザID「user001」と画像データD3を含む第3のプリントデータが画像形成装置30Aの格納場所から取得された場合を想定する。図11に示す例では、画像形成装置30Aの格納場所の取得率が「2%」であり、画像形成装置30Cの格納場所の取得率が「90%」であり、画像形成装置30Dの格納場所の取得率が「8%」である。この場合、制御部31Dは、図12に示すように、プリントデータの一覧の一番上に、最も取得率が高い画像形成装置30Cの格納場所から取得された第1のプリントデータの識別情報(ユーザID「user001」と画像データD1のファイル名)を表示させ、その下に、2番目に取得率が高い画像形成装置30Dの格納場所から取得された第2のプリントデータの識別情報(ユーザID「user001」と画像データD2のファイル名)を表示させ、一番下に、最も取得率が低い画像形成装置30Aの格納場所から取得された第3のプリントデータの識別情報ユーザID「user001」と画像データD3のファイル名)を表示させる。これにより、利用者が取得率の高い格納場所から取得されたプリントデータを選択しやすくなる。
【0042】
(変形例3)
通信回線2には、新たな画像形成装置30Eが接続される場合がある。この場合、画像形成装置30A、30B、30C及び30Dは、新たな画像形成装置30Eが接続されたことを検出し、この画像形成装置30Eの格納場所を示す格納情報をスプーラリスト43に追加してもよい。具体的には、制御部31Aは、通信部32Aにより新たな画像形成装置30Eが接続されたことを検出する。新たな画像形成装置30Eが接続されたことを検出すると、制御部31Aは、通信部32Aにより、この画像形成装置30Eにスプーラ情報を要求する。画像形成装置30B、30C及び30Dにおいても、同様の処理が行われる。制御部31Eは、この要求に応じて、画像形成装置30Eの格納場所を示すスプーラ情報を通信部32Eにより画像形成装置30A、30B、30C及び30Dに送信する。画像形成装置30Eからスプーラ情報が送信されてくると、制御部31Aは、通信部32Aによりこのスプーラ情報を受信する。そして、制御部31Aは、受信したスプーラ情報を記憶部33Aに記憶されたスプーラリスト43に追加する。つまり、制御部31A(記憶制御部の一例)は、画像形成装置30Eから取得したスプーラ情報を記憶部33Aに記憶させる。画像形成装置30B、30C及び30Dにおいても、同様の処理が行われる。これにより、画像形成装置30Eの格納場所からも利用者のプリントデータが取得される。
【0043】
また、この場合、制御部31Eも、通信部32Eにより、画像形成装置30A、30B、30C及び30Dにスプーラ情報を要求する。制御部31Aは、この要求に応じて、画像形成装置30Aの格納場所を示すスプーラ情報を通信部32Aにより画像形成装置30Eに送信する。画像形成装置30B、30C及び30Dにおいても、同様の処理が行われる。画像形成装置30A、30B、30C及び30Dからスプーラ情報が送信されてくると、制御部31Eは、通信部32Eによりこれらのスプーラ情報を受信する。そして、制御部31Eは、受信したスプーラ情報を用いてスプーラリスト43を作成し、記憶部33Eに記憶させる。あるいは、制御部31Eは、通信部32Eにより、画像形成装置30A、30B、30C又は30Dのいずれかにスプーラリスト43を要求し、この要求に応じて送信されてきたスプーラリスト43を受信して記憶部33Eに記憶させてもよい。これにより、画像形成装置30Eにおいても、通信回線2を介して新たに接続された画像形成装置30A、30B、30C及び30Dの格納場所から利用者のプリントデータを取得できるようになる。
【0044】
(変形例4)
画像形成装置30は、修理や撤去などにより、通信回線2から外される場合がある。この場合、他の画像形成装置30は、通信回線2に接続されなくなった画像形成装置30を検出し、検出した画像形成装置30のスプーラ情報をスプーラリスト43から削除してもよい。具体的には、制御部31は、通信部32により、定期的に他の画像形成装置30にアクセスが可能であるかを確認する情報を送信する。他の画像形成装置30から応答があった場合、制御部31は、この画像形成装置30が通信回線2に接続されていると判断する。一方、例えば画像形成装置30Aから応答がない場合には、画像形成装置30Aが通信回線2から外されているか、画像形成装置30Aの電源が切られている可能性がある。この場合、画像形成装置30B、30C及び30Dは、画像形成装置30Aが通信回線2から外されているかを確認する。具体的には、制御部31Bは、通信部32Bにより、予め決められた時間間隔で、再び画像形成装置30Aにアクセスが可能であるかを確認する情報を送信する。この処理を連続して決められた回数繰り返し、いずれも応答がない場合、制御部31Bは、画像形成装置30Aが通信回線2から外されていると判断する。このようにして、制御部31B(検出部の一例)は、通信回線2に接続されなくなった画像形成装置30Aを検出する。画像形成装置30C及び30Dにおいても、同様の処理が行われる。通信回線2に接続されなくなった画像形成装置30Aを検出すると、制御部31Bは、検出した画像形成装置30Aの格納場所を示すスプーラ情報「spoolerA」をスプーラリスト43から削除する。スプーラリスト43からスプーラ情報「spoolerA」が削除された後、画像形成装置30Bは、この画像形成装置30Aへのアクセスを行わない。画像形成装置30C及び30Dにおいても、同様の処理が行われる。
【0045】
なお、例えば画像形成装置30Aが修理のために通信回線2から外されている場合には、修理が終わると、画像形成装置30Aは再び通信回線2に接続されることになる。この場合には、上述した変形例3で説明した処理が行われて、画像形成装置30Aの記憶部33Aには、再び図5に示すようなスプーラリスト43が記憶される。また、画像形成装置30B、30C及び30Dのスプーラリスト43には、それぞれ画像形成装置30Aの格納場所を示すスプーラ情報「spoolerA」が追加される。これにより、画像形成装置30Aと画像形成装置30B、30C及び30Dとの間で、再びプリントデータのやり取りができるようになる。
【0046】
(変形例5)
上述した実施形態では、プリンタドライバ42に単一の格納場所を示すスプーラ情報が設定されていたが、複数の格納場所を示すスプーラ情報が設定されていてもよい。例えば、プリンタドライバ42には、プライマリスプーラ情報と、セカンダリスプーラ情報とが設定されていてもよい。プライマリスプーラ情報は、最も優先度が高い格納場所を示す情報である。セカンダリスプーラ情報は、2番目に優先度が高い格納場所を示す情報である。ここでは、プリンタドライバ42に、プライマリスプーラ情報「spoolerC」とセカンダリスプーラ情報「spoolerD」とが設定されている場合を想定する。この場合、CPU21は、プリントデータを送信する前に、通信部23により、プライマリスプーラ情報「spoolerC」が示す画像形成装置30Cにまずテスト用のメッセージを送信する。このメッセージに応じて画像形成装置30Cから返答があった場合、CPU21は、画像形成装置30Cと正常に通信できると判断する。この場合、CPU21は、通信部23により画像形成装置30Cにプリントデータを送信する。一方、画像形成装置30Cから決められた時間内に返答がなかった場合、CPU21は、画像形成装置30Cと正常に通信ができないと判断する。例えば、画像形成装置30Cに障害が発生していたり、クライアント装置20と画像形成装置30Cとの間の通信回線2に障害が発生していたりする場合には、画像形成装置30Cから返答は得られない。この場合、CPU21は、通信部23により、セカンダリスプーラ情報「spoolerD」が画像形成装置30Dにテスト用のメッセージを送信し、このメッセージに応じて画像形成装置30Dから決められた時間内に返答があった場合には、画像形成装置30Dにプリントデータを送信する。
【0047】
(変形例6)
上述した実施形態では、プリントデータは、複数の格納場所のいずれか1つだけに格納されていた。しかしながら、同一のプリントデータが、複数の格納場所に格納されるように構成してもよい。例えば、クライアント装置20が、複数の格納場所にプリントデータを送信してもよい。ここでは、上述した変形例5のように、プリンタドライバ42に、プライマリスプーラ情報「spoolerC」とセカンダリスプーラ情報「spoolerD」とが設定されている場合を想定する。この場合、クライアント装置20は、画像形成装置30Cにプリントデータを送信するときに、そのプリントデータを画像形成装置30Dにも送信する。このように、画像形成装置30Dにもプリントデータを送信しておけば、例えば画像形成装置30Cの電源がオフになっている場合など、画像形成装置30Cから利用者のプリントデータを取得できない場合であっても、画像形成装置30Dからこのプリントデータが取得される。
【0048】
また、クライアント装置20からプリントデータを受信した画像形成装置30が、プリントデータを複製して、複製したプリントデータを他の格納場所に送信してもよい。この場合、各画像形成装置30には、複製先となる格納場所が予め設定されている。ここでは、画像形成装置30Cに、複製先となる格納場所として画像形成装置30Dが設定されている場合を想定する。この場合、クライアント装置20からプリントデータを受信すると、画像形成装置30Cは、そのプリントデータを複製して、複製したプリントデータを画像形成装置30Dに送信する。このように、画像形成装置30Dに複製したプリントデータを送信しておけば、例えば画像形成装置30Cの電源がオフになっている場合など、画像形成装置30Cから利用者のプリントデータを取得できない場合であっても、画像形成装置30Dからこのプリントデータが取得される。
また、画像形成装置30Cは、画像形成装置30Dによりプリントデータが取得されると、画像形成装置30Dに対して、そのプリントデータの削除を指示する情報を送信してもよい。この情報を受信すると、画像形成装置30Dの制御部31Dは、指示されたプリントデータを記憶部33Dから削除する。
【0049】
(変形例7)
上述した実施形態では、画像形成装置30が利用者の認証を行っていた。しかしながら、画像形成システム1に認証サーバ装置を設け、この認証サーバ装置が利用者の認証を行ってもよい。この場合、認証情報41は、認証サーバ装置の記憶部に記憶される。画像形成装置30の制御部31は、利用者によりユーザIDとパスワードが入力されると、入力されたユーザIDとパスワードを通信部32により認証サーバ装置に送信して、利用者の認証を要求する。認証サーバ装置は、この要求に応じて、画像形成装置30から送信されてきたユーザID及びパスワードと、記憶部に記憶されている認証情報41に含まれるユーザID及びパスワードを照合して、画像形成装置30の利用者が正当な利用者であるか否かを判断する。画像形成装置30の利用者が正当な利用者である場合、認証サーバ装置は、認証に成功したことを示す情報を画像形成装置30に送信する。認証サーバ装置から認証に成功したことを示す情報を受信すると、制御部31は、上述したステップS15に進む。なお、この場合、制御部31は、上述したステップS14の処理を行う必要はない。
【0050】
(変形例8)
画像形成システム1が備えるクライアント装置20又は画像形成装置30の台数は、図1に示した台数に限らない。例えば、利用者の数に応じて、この台数を増やしてもよいし、減らしてもよい。
【0051】
(変形例9)
利用者の認証は、ICカードを使用せずに行われてもよい。例えば、利用者が、画像形成装置30のUI部34を用いて、自分のユーザIDとパスワードを入力してもよい。また、ユーザIDとパスワードに代えて、指紋などの生体情報が用いられてもよい。この場合、画像形成装置30には、この生体情報を読み取る装置が設けられる。
【0052】
(変形例10)
画像形成装置30は、電子写真方式以外の方式で画像を形成するプリンタであってもよい。また、画像形成装置30は、白黒の画像を形成するものであってもよいし、カラーの画像を形成するものであってもよい。さらに、画像形成装置30は、コピー機能やスキャン機能を備えていてもよい。
【0053】
(変形例11)
CPU21又は37において実行されるプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、メモリなどの記録媒体に記録した状態で提供され、クライアント装置20又は画像形成装置30にインストールされてもよい。また、このプログラムは、インターネット等の通信回線を介して、クライアント装置20又は画像形成装置30にダウンロードされてもよい。
【0054】
(変形例12)
上述した実施形態では、ステップS15でプリントデータを取得した後、プリントデータの一覧を表示していた。しかしながら、画像形成装置30は、プリントデータを取得する前に、そのプリントデータの識別情報だけを取得し、プリントデータの一覧を表示してもよい。この場合、画像形成装置30は、利用者によりこのプリントデータの一覧からプリントデータが選択されると、選択されたプリントデータをその格納場所から取得する。
また、画像形成装置30は、ステップS15でプリントデータを取得すると、プリントデータの一覧の表示を行わずに、取得したプリントデータに応じた画像の形成を行ってもよい。この場合、利用者は、プリントデータの選択を行う必要がない。
【0055】
(変形例13)
上述した実施形態では、スプーラリスト43には、画像形成システム1に含まれる全画像形成装置30の格納場所を示すスプーラ情報が記載されていた。しかしながら、このスプーラ情報は、適宜設定されてもよい。例えば、スプーラリスト43には、予め決められた画像形成装置30の格納場所を示すスプーラ情報だけが記載されていてもよい。あるいは、スプーラリスト43には、同一のサブネットに属する画像形成装置30の格納場所を示すスプーラ情報だけが記載されてもよい。例えば、画像形成装置30A、30B及び30Cが同一のサブネットに属している場合には、スプーラリスト43には、画像形成装置30A、30B及び30Cの格納場所を示すスプーラ情報が記載される。この場合、画像形成装置30A、30B及び30Cの間で格納場所が共有される。
【符号の説明】
【0056】
1…画像形成システム、2…通信回線、20…クライアント装置、30…画像形成装置、31…制御部、32…通信部、33…記憶部、34…UI部、35…画像形成部、36…カード読取部、37…CPU、38…メモリ、101…格納場所、102…取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を識別する識別情報と前記識別情報に対応付けられた画像データとを、複数の格納場所のうち予め設定された格納場所に送信する送信装置と、
複数の画像形成装置とを備え、
各々の前記画像形成装置は、
前記複数の格納場所を示す格納情報を記憶する第1の記憶部と、
前記複数の格納場所に含まれる格納場所であって、前記送信装置から送信されてくる前記識別情報と前記画像データとを対応付けて格納する格納場所と、
利用者により前記識別情報が入力されると、前記第1の記憶部に記憶された前記格納情報が示す複数の格納場所にアクセスして、当該識別情報と対応付けて画像データが格納されている格納場所から当該画像データを取得する取得部と、
前記取得部により取得された画像データに応じた画像を形成する画像形成部とを備える
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記送信装置と前記複数の画像形成装置とは、通信回線を介して互いに接続されており、
各々の前記画像形成装置は、
新たな画像形成装置が前記通信回線に接続されると、当該新たな画像形成装置の格納場所を示す格納情報を当該新たな画像形成装置から取得し、当該取得した格納情報を前記第1の記憶部に記憶させる記憶制御部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
各々の前記画像形成装置は、
前記通信回線に接続されなくなった画像形成装置を検出する検出部を備え、
前記記憶制御部は、前記検出部により検出された画像形成装置の格納場所を示す格納情報を前記第1の記憶部から削除する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記画像形成装置が新たな通信回線に接続された場合、当該画像形成装置の前記記憶制御部は、当該新たな通信回線を介して接続された他の画像形成装置から、当該他の画像形成装置の格納場所を示す格納情報を取得し、当該取得した格納情報を前記第1の記憶部に記憶させる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項5】
各々の前記画像形成装置は、
前記入力された識別情報と、当該識別情報が入力されたときに前記取得部により画像データが取得された格納場所の履歴とを対応付けて記憶する第2の記憶部と、
利用者により前記識別情報が入力されると、前記第2の記憶部において当該識別情報と対応付けて記憶された前記格納場所の履歴に応じて、各々の前記格納場所について画像データが取得された取得頻度を算出する算出部とを備え、
前記取得部は、前記算出部により算出された取得頻度が高い順に前記格納場所にアクセスする
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項6】
各々の前記画像形成装置は、
前記取得部により複数の格納場所から画像データが取得された場合には、前記算出部により当該複数の格納場所について算出された取得頻度が高い順に、当該取得された画像データを識別する識別情報を並べて表示部に表示させる表示制御部を備え、
前記画像形成部は、前記表示部に表示された前記識別情報に応じて、利用者により前記取得された画像データの中から画像データが選択されると、当該選択された画像データに応じた画像を形成する
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
各々の前記画像形成装置は、
前記取得部により、当該取得部と同一の前記画像形成装置内に備えられた内部の前記格納場所から第1の画像データが取得され、且つ、他の画像形成装置が備える外部の前記格納場所から第2の画像データが取得された場合には、当該第1の画像データを識別する識別情報を表示部の予め決められた位置に表示させ、当該第2の画像データを識別する識別情報を前記表示部の当該予め決められた位置以外の位置に表示させる表示制御部を備え、
前記画像形成部は、前記表示部に表示された前記識別情報に応じて、利用者により前記取得された画像データの中から画像データが選択されると、当該選択された画像データに応じた画像を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項8】
複数の格納場所を示す格納情報を記憶する記憶部と、
送信装置から利用者を識別する識別情報と画像データとが送信されてくると、当該識別情報と当該画像データとを対応付けて格納する格納場所と、
利用者により前記識別情報が入力されると、前記記憶部に記憶された前記格納情報が示す複数の格納場所にアクセスして、当該識別情報と対応付けて画像データが格納されている格納場所から当該画像データを取得する取得部と、
前記取得部により取得された画像データに応じた画像を形成する画像形成部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
複数の格納場所を示す格納情報を記憶する記憶部を備えるコンピュータに、
送信装置から利用者を識別する識別情報と画像データとが送信されてくると、当該識別情報と当該画像データとを対応付けて格納場所に格納するステップと、
利用者により前記識別情報が入力されると、前記記憶部に記憶された前記格納情報が示す複数の格納場所にアクセスして、当該識別情報と対応付けて画像データが格納されている格納場所から当該画像データを取得するステップと、
前記取得された画像データに応じた画像を形成するよう画像形成部を制御するステップと
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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