説明

画像形成システム及びそのサービス応答方法、画像形成装置及び制御装置、並びにプログラム

【課題】印刷制御装置と画像形成装置が同一ネットワーク上に接続された画像形成システムにおいて、ユーザにとって使用し易く、しかも多数のサービス機能を十分活用することができるシステム環境を実現することができる。
【解決手段】印刷制御装置と画像形成装置が同一ネットワーク上に接続されたシステムにおいて、印刷制御装置と画像形成装置が、自身の提供しているサービス機能を相互に確認し調停する。そして、ネットワーク上に送信されたサービス問い合わせパケットに対して、この調停を基に、印刷制御装置と画像形成装置のうち適切な装置のみが応答する。即ち、印刷制御装置201と画像形成装置207の機能データベースを各々で調整し適切に作成することにより、端末装置211から送信されたサービス問い合わせパケットに対して、印刷制御装置201と画像形成装置207の一方が応答するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続可能な画像形成装置などのデバイスを有する画像形成システム及びそのサービス応答方法、前記ネットワークに接続された画像形成装置とその制御装置、並びに前記画像形成装置及び前記制御装置の制御を実行するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ネットワークに接続された印刷制御装置は知られている。印刷制御装置は、画像形成装置にネットワークプリンタの機能を設ける場合や、予め画像形成装置が具備するネットワークプリンタの機能を拡張したり補強したりする目的で利用される。ネットワークプリンタの機能とは、ネットワークを通して外部装置から入力される画像信号に応じた画像をプリント出力する機能である。
【0003】
このような印刷制御装置を介してネットワークに接続可能な画像形成装置としては、例えば、特許文献1に開示されるもののほか、例えば図16に示すようなものがあった。
【0004】
図16は、従来の画像形成システムの接続形態を示す模式図である。
【0005】
この画像形成システムの接続形態は、ネットワーク5011上に端末装置5009と印刷制御装置5001が接続され、さらに印刷制御装置5001には、LAN5005及び専用転送路5006を介して画像形成装置5007が接続されたものとなっている。
【0006】
印刷制御装置5001は、コネクタ5002、5003と専用転送路5006用のインターフェース5004を備えている。コネクタ5002は、ネットワーク5011との低位レイヤレベルの接続を司るのNIC(Network Interface Card)用のコネクタである。コネクタ5003は、LAN5005との低位レイヤレベルの接続を司るNIC用のコネクタである。
【0007】
端末装置5009から印刷制御装置5001へのデータパケットは、ネットワーク5011を伝搬して、コネクタ5002を介して印刷制御装置5001へ取り込まれる。受信データが印刷データと判定された場合は、印刷制御装置5001でデータ処理され、LAN5005と専用転送路5006へ送信するため、コネクタ5003及び5004から送出される。LAN5005及び専用転送路5006上に送出されたデータパケットは、それぞれネットワークインターフェース5008、専用転送インターフェース5010を介して画像形成装置5007に取り込まれる。
【0008】
このデータパケットを受信した画像形成装置5007は、自身が有する印刷処理手順に則り、紙などの記録媒体への印刷処理を行う。印刷以外の処理においても、画像形成装置5007へ送信されるデータは、印刷制御装置5001が受信する。印刷制御装置5001が受信後に、画像形成装置5007へ送信するための必要な処理を行い、画像形成装置5007へ送信する。
【0009】
また、画像形成装置5007から送信されるデータは、印刷制御装置5001が受信する。印刷制御装置5001にて、ネットワーク5011上の端末装置5009へ送信するために必要な処理を行い、データを送信する。これは、画像形成装置が送信したパケットを、印刷制御装置が送信したものとして、ネットワーク上に送信するネットワークパケット転送技術(NAT/NAPT)を使用することにより、実現をしていた。
【0010】
このような従来システムとすることでユーザにとっては、画像形成装置や印刷制御装置を意識することなく、これら各装置を使用することが可能であるという利点があった。
【特許文献1】特開2002−312140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、近年の技術進歩により上記従来技術では対応できないケースが存在してきている。一例として、ネットワーク転送技術(NAT/NAPT)では対処できない技術が考えられる。具体的にはIPv6(Internet Protocol Version 6)やIPsec(IP Security Protocol)などの技術である。
【0012】
IPv6では、従来技術で使用していたネットワーク転送技術(NAT/NAPT)を使用することができなくなり、新しい仕組みを実現する必要がある。また、IPsecでは、端末装置と画像形成装置が鍵の交換を行い、ネットワークパケットの偽装が行われればたちまち通信を終了するような技術である。この技術は昨今のネットワークセキュリティーを考えた場合には非常に有用な技術である。しかし、上記従来の構成において、画像形成装置に印刷制御装置が接続された時には、画像形成装置と端末装置間でこのような技術を使用することができない。印刷制御装置に実装されているネットワークパケット転送技術は、これらの技術の前では、ネットワークパケットの偽装と判断されてしまうためである。
【0013】
IPv6やIPsec等の技術を実現可能とするためには、印刷制御装置と画像形成装置の接続形態を変更することが考えられる。しかしながら、単純に接続形態を変更しただけでは、これらのシステムをユーザが使用するときに、使用しにくいシステムとなってしまう。
【0014】
一例として、同一ネットワークに印刷制御装置と画像形成装置が接続されているシステムにおいて、ユーザが端末装置から、印刷制御装置が付属した画像形成装置に対して印刷操作を行う際に、次のような問題が生ずる。即ち、ユーザは、印刷制御装置及び画像形成装置のどちらのネットワークアドレスを指定してよいか迷うことになる。また、アプリケーションプログラムを使用したデバイス探索を行い、ネットワーク上のデバイスを検索した時などにも、印刷制御装置と画像形成装置の2つが検出されてしまい、ユーザは同様に混乱することが考えられる。
【0015】
本発明は上記従来の問題点に鑑み、以下のような画像形成システム及びそのサービス応答方法、画像形成装置及び制御装置、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【0016】
即ち、同一のネットワーク上に存在する印刷制御装置と画像形成装置の接続形態において、ユーザにとって使い易いシステム環境を実現することができる接続形態を提供する。そして、例えばIPv6やIPsec等の技術にも柔軟に対応することができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明は、ネットワーク上に接続された画像形成装置と、該ネットワークを介して処理される画像形成に関するサービス機能の実行を制御する制御装置とを有する画像形成システムであって、前記制御装置及び前記画像形成装置は、提供するサービス機能をリストとして管理する管理手段と、前記管理手段により管理されている前記リストを相互に送信し合う送信手段と、前記送信手段により送信された前記リストを受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記リストに記載されたサービス機能と前記管理手段で管理されているサービス機能とを比較して、前記管理手段で管理されている機能を提供するか否かを設定する設定手段と、前記ネットワーク上に送信された前記制御装置及び前記画像形成装置に対するデータに対して、前記設定手段による設定に従って応答する応答手段とを、それぞれ備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、ネットワーク上に接続された画像形成装置と、該ネットワークを介して処理される画像形成に関するサービス機能の実行を制御する制御装置とを有する画像形成システムのサービス応答方法であって、前記制御装置及び前記画像形成装置が提供するサービス機能をリストとして管理する管理工程と、前記管理工程により管理された前記リストを前記制御装置及び前記画像形成装置が相互に送信し合う送信工程と、前記送信工程により送信された前記リストを受信する受信工程と、前記受信工程により受信した前記リストに記載されたサービス機能と前記管理工程で管理されているサービス機能とを比較して、前記管理工程で管理された機能を提供するか否かを設定する設定工程と、前記ネットワーク上に送信された前記制御装置及び前記画像形成装置に対するデータに対して、前記設定工程による設定に従って応答する応答工程とを、有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、ネットワークを介して処理される画像形成に関するサービス機能の実行を制御する制御装置と通信が可能になるように接続され、前記ネットワーク上の画像形成装置であって、提供するサービス機能をリストとして管理する管理手段と、前記管理手段で管理されているリストを前記制御装置に送信する送信手段と、前記制御装置から送信された提供するサービス機能に関するリストを受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記リストに記載されたサービス機能と前記管理手段で管理されているサービス機能とを比較して、前記管理手段で管理されている機能を提供するか否かを設定する設定手段と、前記ネットワーク上に送信された前記制御装置及び前記画像形成装置に対するデータに対して、前記設定手段による設定に従って応答する応答手段とを、備えたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、ネットワーク上に接続された画像形成装置に通信が可能になるように接続され、前記ネットワークを介して処理される画像形成に関するサービス機能の実行を制御する制御装置であって、提供するサービス機能をリストとして管理する管理手段と、前記管理手段で管理されているリストを前記画像形成装置に送信する送信手段と、前記画像形成装置から送信された提供するサービス機能に関するリストを受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記リストに記載されたサービス機能と前記管理手段で管理されているサービス機能とを比較して、前記管理手段で管理されている機能を提供するか否かを設定する設定手段と、前記ネットワーク上に送信された前記制御装置及び前記画像形成装置に対するデータに対して、前記設定手段による設定に従って応答する応答手段とを、を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、ネットワークを介して処理される画像形成に関するサービス機能の実行を制御する制御装置と通信が可能になるように接続され、前記ネットワーク上の画像形成装置を制御するための、コンピュータで読み取り可能なプログラムであって、提供するサービス機能をリストとして管理する管理ステップと、前記管理されているリストを前記制御装置に送信する送信ステップと、前記制御装置から送信された提供するサービス機能に関するリストを受信する受信ステップと、前記受信ステップにより受信した前記リストに記載されたサービス機能と前記管理ステップで管理したサービス機能とを比較して、前記管理ステップで管理された機能を提供するか否かを設定する設定ステップと、前記ネットワーク上に送信された前記制御装置及び前記画像形成装置に対するデータに対して、前記設定ステップによる設定に従って応答する応答ステップとを、備えたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、ネットワーク上に接続された画像形成装置に通信が可能になるように接続され、前記ネットワークを介して処理される画像形成に関するサービス機能の実行を制御する制御装置を制御するための、コンピュータで読み取り可能なプログラムであって、提供するサービス機能をリストとして管理する管理ステップと、前記管理されているリストを前記画像形成装置に送信する送信ステップと、前記画像形成装置から送信された提供するサービス機能に関するリストを受信する受信ステップと、前記受信ステップにより受信した前記リストに記載されたサービス機能と前記管理ステップで管理されたサービス機能とを比較して、前記管理ステップで管理されている機能を提供するか否かを設定する設定ステップと、前記ネットワーク上に送信された前記制御装置及び前記画像形成装置に対するデータに対して、前記設定ステップによる設定に従って応答する応答ステップとを、備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、印刷制御装置と画像形成装置の接続形態において、ユーザにとって使い易いシステム環境を実現可能な接続形態を提供することができ、例えばIPv6やIPsec等の技術にも柔軟に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
<画像形成システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成システムの接続形態を示す模式図である。
【0026】
この画像形成システムの接続形態は、ネットワーク212上に端末装置211と印刷制御装置201と画像形成装置207が接続され、さらに印刷制御装置5001と画像形成装置207とが専用転送路206を介して接続されたものとなっている。
【0027】
印刷制御装置201は、コネクタ202、203及び204を備えている。コネクタ202は、ネットワーク212との低位レイヤレベルの接続を司るNIC用のコネクタである。コネクタ203は、図16に示したコネクタ5002に相当するが、本実施の形態では使用されない。コネクタ204は、専用転送路206用のインターフェースとなる。
【0028】
本実施の形態における画像形成システムの接続形態では、特に、画像形成装置207がネットワーク212と信号線210を介して接続されている点に特徴がある。ネットワーク212上のデータは、信号線210を通ってネットワークインターフェース208から画像形成装置207へ取り込まれる。また、印刷制御装置201のコネクタ204から専用伝送路206へ送出された印刷データは、コネクタ209を介して画像形成装置207内へ取り込まれるようになっている。
【0029】
<印刷制御装置の構成>
図2は、図1中の印刷制御装置201の概略構成例を示すブロック図である。
【0030】
この印刷制御装置201は、コネクタ202に接続されるNIC部101を備えている。
【0031】
NIC部101は、LANとの低位レイヤレベルの接続を司る第1のネットワークインターフェースとしての機能を有する。NIC部101の出力側には、RIP処理部102及びハードディスクドライブ(HDD)部105が接続されている。RIP処理部102は、受信したPDL等の印刷言語或いは特定の(JBIGなどで圧縮された)データフォーマットをラスタイメージ化する機能を有する。HDD部105は、NIC部101で受信した印刷データを一時的に保管(スプール)しておく、又はRIP後の圧縮データを一時的に保管しておくための記憶部である。第1メモリ部106は、RIP部102が画像展開処理に利用するためのメモリである。
【0032】
RIP処理部102によってラスタイメージ化されたデータはエンコード部103に入力され、エンコード部103は、そのデータを、画像形成装置207がサポートする形式の印刷データ或いはデータフォーマットに変換する。
【0033】
また、印刷制御装置201は、NIC部104及びイメージインターフェースボード部111を備えている。NIC部104は、低位レイヤレベルの接続を司る第2のネットワークインターフェースとして機能し、コネクタ203はこのインターフェースのためのコネクタである。また、エンコード部103から出力されたデータは、イメージインターフェースボード部111を介してコネクタ202へ出力される。
【0034】
さらに、印刷制御装置201は、CPU部107、第2メモリ部108、操作部109、及び表示部110を備えている。CPU部107は、印刷制御装置全体の制御を司り、第2メモリ部108はCPU部107がデータ一時保存領域として利用する。また、第2メモリ部108には、本実施の形態の特徴を成す機能データベース(後述する図12及び図13、管理手段)が格納されている。
【0035】
操作部109は、ボタンやキー等を有し、本印刷制御装置のオペレーションを行う。表示部110は、オペレータに画像や文字によって情報を伝えるタッチパネル等から成り、操作パネルとして操作部109と一体的に構成されている。
【0036】
前記イメージインターフェースボード部111とコネクタ204を使用して専用伝送路206が作成され、印刷制御装置201から画像形成装置207へ転送する画像データは、この伝送路206を介して転送される。
【0037】
端末装置211から印刷制御装置201へのデータパケットは、ネットワーク212を伝搬され、コネクタ202を介して印刷制御装置201へ取り込まれる。印刷制御装置201の内部においてはNIC部101によってデータパケットの受信処理が行われる。NIC部101で受信したデータパケットは、TCP/IPプロトコルに準じたデータパケットである場合、パケットのヘッダ情報部に宛先ポート番号が含まれている。
【0038】
宛先ポート番号は、パケットを受け取った装置のどのプログラム/プロセスにデータを送るべきかを示す情報であるため、通信プロトコルやプログラム毎に異なるポート番号が割り振られている。
【0039】
例えば、
FTP(File Transfer Protocol)=Port21
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)=Port25
SNMP=Port161
そのため、受信したデータパケットのヘッダに含まれるポート番号を調査し、印刷処理に対応するポート番号かどうかを判定することによって、そのパケットが印刷データであるのか、或いは制御データ等の他のデータであるのかを判定することが可能である。
【0040】
従って、NIC部101は、受信したデータパケットのヘッダから宛先ポート番号を抽出し、宛先ポート番号に基づいてデータパケットが印刷データであるのか、或いは制御データであるのかを判定する。
【0041】
もしここで印刷データと判定された場合は、CPU部107の制御により、必要に応じてHDD部105へ受信データの書き込みが行われる。これは、データの転送速度を向上させること等を目的として一般的に行われているキューイング(スプール)である。HDD部105に記憶されたデータは、CPU部107の指示によってRIP処理部102から読み出される。一方、キューイングが行われなかった印刷データは、CPU部107の指示によって、直接RIP処理部102へ転送される。
【0042】
こうしてRIP処理部102へ送られた印刷データは、RIP処理部102でラスタイメージ化処理が行われる。続いてエンコード部103において、予め設定されている画像形成装置207が解釈可能なデータ形式と、受信したデータの形式とに基づいて、画像形成装置207が解釈可能なデータ形式へのエンコードが行われる。前記の予め設定されているデータ形式のほかに、例えば、通信によって画像形成装置207から取得したデータ形式や、操作部109から指定されたデータ形式等であっても構わない。
【0043】
このエンコード処理は必要に応じて行われるため、受信した印刷データの形式がそのままでも画像形成装置207で解釈可能な場合など、エンコードの必要がなければスキップしても良い。エンコード後のデータは画像形成装置が解釈可能な形式である必要があり、例えばその形式は特定の印刷言語形式や、又はJBIG等特定の方法で圧縮されたデータフォーマット等、画像形成装置207が内蔵する解釈手段の能力によって変化する。
【0044】
こうして必要に応じてエンコードされたデータは、ネットワーク212へ送信するためにNIC部101によって再びデータパケット化される。そして、コネクタ202から送出され、ネットワーク212及びネットワークインターフェース208を介して画像形成装置207へ送られる。
【0045】
このデータパケットを受信した画像形成装置207は、自身が有する印刷処理手順に則り、紙などの記録媒体への印刷処理を行う。他のデータ転送方法としては、エンコード部103からIボード部111へ転送され、このデータがコネクタ204を通り、専用伝送路206を流れ、コネクタ209を介して画像形成装置207へ送られる。
【0046】
画像形成装置207から、端末装置211へリーダ部103からスキャンした画像データを送信する場合、ネットワークインターフェース208よりデータパケットがネットワーク212に送出され、端末装置211にデータパケットが到達する。
【0047】
<画像形成装置の構成>
図3は、画像形成装置207の構成を示すブロック図である。
【0048】
図3に示すように、本実施形態の画像形成装置は、画像形成装置本体301と画像入出力制御部305で構成される。画像形成装置本体301は、操作部302、リーダ部303、及びプリンタ部304から構成される。操作部302は、画像形成装置本体301及び画像入出力制御部305を操作するために使用し、操作用の表示パネルも一体的に取り付けられている。操作画面リーダ部303は、原稿の画像を読み取り、原稿画像に応じた画像データをプリンタ部304及び画像入出力制御部305へ出力する。プリンタ部304は、リーダ部303及び画像入出力制御部305からの画像データに応じた画像を記録紙上に記録する。
【0049】
画像入出力制御部305は、リーダ部303に接続されており、インターフェース部306、画像メモリ307、制御部308、及びハードディスク(HDD)309から構成される。インターフェース部306には、ネットワークインターフェース208及びコネクタ209が接続されている。なお、ハードディスク(HDD)309には、例えばアドレス帳、操作履歴、ユーザ設定、ID設定、ネットワーク設定などの、画像形成装置207の設定情報が保存されている。さらに、ハードディスク(HDD)309には、本実施の形態の特徴を成す機能データベース(後述する図7〜図9、管理手段)が格納されている。
【0050】
インターフェース部306は、印刷制御装置201およびネットワーク212上の端末装置211と制御部308との間のインターフェースである。このインターフェース部306は、印刷制御装置201から転送された画像を表すコードデータをコネクタ209で受信し、受信したデータをプリンタ部304で記録できる画像データに展開して制御部308に渡す。またインターフェース部306は、端末装置211より転送された画像データを表すコードデータを、イーサネット(登録商標)等のネットワークインターフェース208で受信する。そして、受信したデータをプリンタ部304で記録できるデータに展開する必要があれば展開して、制御部308に渡す。尚、コネクタ209はイーサネット(登録商標)等のネットワークインターフェースであって、印刷制御装置201とネットワークを介して接続される構成であっても良い。また、パラレルインターフェースや、USBインターフェース等のインターフェースであって、印刷制御装置201とインターフェースケーブル等を介して直接接続される構成であっても良い。また、1本とは限らず多数のケーブルを使用しても構わない。
【0051】
制御部308は、CPU、ROM、RAM等により構成される。この制御部308のCPUがROM又は他の記憶媒体に格納されたプログラムをRAM上にロードして実行し、リーダ部303、インターフェース部306、及び画像メモリ307等のそれぞれの間のデータの流れを制御する。なお、HDD309の代わりに、電源を落としてもデータが消去されないその他の不揮発性メモリを設けて、該不揮発性メモリにデータを保存しておく構成であっても良い。
【0052】
<画像形成装置側の起動時フロー>
次に、画像形成装置207側の起動時の処理について、図4〜図9等を参照して説明する。
【0053】
図4は、本実施の形態における画像形成装置207側の起動時の処理を示すフローチャートである。図5は、画像形成装置207における操作部302に表示される、印刷制御装置201の接続設定の一例を示す画面図である。図6は、画像形成装置207における操作部302に表示される、印刷制御装置201の情報設定の一例を示す画面図である。
【0054】
画像形成装置207の電源を入れると、S501へ遷移する。S501では、画像形成装置207に印刷制御装置201が接続されているかを確認する。これは、図5で示されている画面601により設定する。
【0055】
図5の画面601において、「接続する」ボタン602を押下することによって、画像形成装置207に印刷制御装置201を接続する設定となる。「接続しない」ボタン603を押下することによって、印刷制御装置201を接続しない設定となる。
【0056】
なお、この画面601を使用せずに印刷制御装置201の接続を検知する方法をとっても良い。また、画面601のようにソフトウェアで制御せずに、ハードウェアで印刷制御装置201の接続を設定する方法をとっても構わない。印刷制御装置201の接続設定を行っていると、印刷制御装置201の接続可否情報を格納している変数が変更される。この画面を閉じるためには、「閉じる」ボタン604を押下する。
【0057】
図4のS501ではこの変数を確認し、S502へ遷移する。S502ではこの変数の値を確認し、もし印刷制御装置201が接続されている場合は、S503へ遷移する。もし、印刷制御装置201が接続されていない場合は、S510へ遷移し、画像形成装置207の単体正常起動が行われる。印刷制御装置201が接続されている場合はS503へ遷移し、印刷制御装置201の情報変数を確認する。この印刷制御装置201の情報変数とは、画像形成装置207と一対一に接続される印刷制御装置201と特定するための情報である。この値は、印刷制御装置201のネットワークアドレス(IPアドレス等)、物理アドレス、名称等の、印刷制御装置201を特定するための値であり、図6の印刷制御装置接続情報画面701(決定手段)により、設定される。
【0058】
図6の画面701において、入力エリア702に現在入力されている値が表示され、「入力」ボタン703を押下することにより、値入力用のソフトウェアキーボード画面が開き、印刷制御装置201の情報を入力する。このボタン703を使用しないで、入力エリア702を選択した後、ハードウェアのキーボードで入力するようにしても構わない。この入力が終了したら、「閉じる」ボタン704を押下する。
【0059】
この画面701にて、印刷制御装置201の接続情報を入力すると、印刷制御装置201の情報変数にこの入力値が格納される。このとき、入力値がネットワークアドレスか、物理アドレスか、名称かを選択するボタンやフォームを用意しても良い。
【0060】
図4のS503では、この値を参照取得する。印刷制御装置201の情報変数を取得した後、S504へ遷移し、画像形成装置207の機能データベースをチェックする。この機能データベースの内容を図7に示す。図7は、画像形成装置207側に設定された機能データベースの内容の一例を示すテーブル図である。この機能データベースは、図3に示す例えばHDD309に格納されているものとする。
【0061】
図7において、801の列は画像形成装置207の提供サービスを表している。802、803、804の列では、印刷制御装置201が接続されているかによって、提供サービスのプライオリティが変わることを表している。そのうち、803の列は、印刷制御装置201が接続されていない時のプライオリティであり、804の列は印刷制御装置201が接続されている時のプライオリティである。805〜808の行は各サービスが印刷制御装置201が有るときと無いときのプライオリティの値(プライオリティデータ)を表している。
【0062】
本実施の形態でのプライオリティは、「1」はサービスを提供する、「2」は調整によりサービスを提供する、「3」はサービスの提供なし、と設定している。この他の形態としては、単にサービスを提供するかしないかのみによりプライオリティを設定する等が考えられる。
【0063】
印刷サービスについての805の行について説明する。印刷サービスは、印刷制御装置201が接続されていないときにはサービスを提供するが、印刷制御装置201が接続されているときはサービスを提供しないということになる。その他に、図7に示すように、806の行のスキャンサービス、807の行のWebサービス、808の行のSNMP/MIBサービスにおいても、印刷制御装置201の接続如何に応じて、それぞれプライオリティが設定されている。
【0064】
図4のS504では、図7に示した機能データベースをチェックし、各提供サービス毎のプライオリティの値を取得しておく。その値の取得が終了すると、S505に遷移する。S505では、S503で取得した印刷制御装置201の情報により、印刷制御装置201との通信を実行する。もし通信ができなければS507に遷移し、S504で取得した機能プライオリティに応じた状態で起動する。
【0065】
その後、いくらかの待ち時間を経て、S505へ遷移し、再度印刷制御装置201との接続を行う。印刷制御装置201と通信ができるまでこのループは続けられ、もし印刷制御装置201が起動していなければ、機能制限状態で起動する。
【0066】
なお、他の形態としては、印刷制御装置201が起動していない場合は、印刷制御装置201が接続されていないものとし、印刷制御装置201の接続が無い時のプライオリティ(図7の803)で起動することも考えられる。
【0067】
S505にて印刷制御装置201と通信が成立した場合は、S506へ遷移する。S505での通信確認方法は、S503で取得した印刷制御装置201の情報により、通信方法を変更する。一例として、ネットワークアドレスの入力時にIPアドレスを設定した場合は、Pingのパケットを送信した後、このパケットに応答したかどうかを確認することで、通信ができたかどうかを確認することができる。
【0068】
通信が確認できると、S506に遷移し、印刷制御装置201の機能をチェックする。画像形成装置207と印刷制御装置201がお互いのサービスとプライオリティを交換する。
【0069】
画像形成装置207は、図7の機能データベースから、列803の印刷制御装置201が有るときのプライオリティを抜粋し、図8に示すような、プライオリティリストが記述された、サービス機能提供用のデータベースを作成する。図8は、画像形成装置207に設定された機能データベースの内容の一例を示すテーブル図である。この機能データベースのプライオリティリストを印刷制御装置201に送信する。また、印刷制御装置201から機能データベースのプライオリティリスト(図12を用いて後述する)を受信する。
【0070】
プライオリティリストの交換が終了すると、S508へ遷移し、画像形成装置207の機能データベースの更新を行う。機能データベースを更新した結果を図9に示す。図9は、画像形成装置207に設定された機能データベースの内容の一例を示すテーブル図である。
【0071】
この機能データベースの更新の方法は、一方が提供可能で、他方が提供できないサービス機能は、そのまま機能データベースに追加される。両方が同じサービス機能を提供可能な場合(提供するサービス機能が競合した場合)は、付加されているプライオリティ(優先度)を比べて高い方がサービスを提供する。そして、サービス機能を提供しない方のプライオリティを「3」へ変更し、サービス機能を提供する方のプライオリティを「1」へ変更する。もしプライオリティが同じである場合は、本実施の形態では、画像形成装置207が常にサービスを提供するものとしている。他の方法としては、プライオリティが同じである場合は、印刷制御装置201及び画像形成装置207のどちらもサービス機能を提供することができるようにしても良い。また、印刷制御装置201及び画像形成装置207のどちらのプライオリティも「3」の場合はどちらもサービス機能を提供しない。本実施の形態では、上記の更新の方法に従って、図8と図12の機能データベースにおけるプライオリティを比較し、以下のようにプライオリティを調整する。
【0072】
印刷サービスにおいて、画像形成装置207のプライオリティは「3」であり(図7の805及び図8参照)、印刷制御装置201のプライオリティは「1」である(図12の1003参照)。よって、画像形成装置207は、図9の1103のようにプライオリティを「3」に更新し、印刷サービスに対しては応答しない。
【0073】
また、スキャンサービスに関しては、画像形成装置207のプライオリティは「2」であり(図7の806及び図8参照)、印刷制御装置201のプライオリティは「2」である(図12の1004参照)。その結果、画像形成装置207がスキャンサービスに応答するようになる。よって、画像形成装置207のプライオリティが図9の1104のように「1」に更新する。Webサービスに関しては、画像形成装置207のみしか存在しないため、図9の1105に示すように、プライオリティが「1」となる。
【0074】
以下同様に、メディア選択に関しては、図12の1005に示すように、印刷制御装置201のみに存在するため、画像形成装置207において、図9の1106に示すように、プライオリティが「3」となる。SNMP/MIBに関しては、図7と図12の機能データベースにおける808の行と1006行を比較して、図9の1107に示すように、プライオリティが「1」となる。なお、ここで、プライオリティが「3」のサーバ機能はリストから削除しても良い。
【0075】
図4のS508にて機能データベースを更新した後、S509へ遷移し、印刷制御機能付き起動モードで画像形成装置207を正常起動する。
【0076】
<印刷制御装置201側の起動時フロー>
次に、印刷制御装置201側の起動時の処理について、図10〜図12等を参照して説明する。
【0077】
図10は、本実施の形態に係る印刷制御装置201側の起動時の処理を示すフローチャートである。図11は、印刷制御装置201の表示部110に表示される画像形成装置接続情報画面の一例を示す画面図である。図12は、印刷制御装置201に設定された機能データベースの内容の一例を示すテーブル図である。
【0078】
印刷制御装置201の電源を入れると、図10のS1201へ遷移する。S1201では、画像形成装置207の情報変数を確認する。この画像形成装置207の情報変数とは、印刷制御装置201と一対一に接続される画像形成装置207と特定するための情報である。この値は画像形成装置207のネットワークアドレス(IPアドレス等)、物理アドレス、名称等の、画像形成装置207を特定するための値である。この値は、図11に示すような画像形成装置接続情報画面1401により設定される。
【0079】
図11の画面1401において、入力エリア1402に現在入力されている値が表示され、入力ボタン1403を押下することにより、値入力用のソフトウェアキーボード画面が開き、画像形成装置207の情報を入力する。このボタン1403を使用しないで、入力エリア1402を選択後、ハードウェアのキーボードで入力するようにしても構わない。
【0080】
この入力が終了したら、「閉じる」ボタン1404を押下する。画面1401にて、画像形成装置207の接続情報を入力すると、画像形成装置207の情報変数にこの入力値が格納される。このとき、入力値がネットワークアドレス、物理アドレス、或いは名称であるかを選択するボタンやフォームを用意しても良い。
【0081】
図10のS1201では、この値を参照取得する。画像形成装置207の情報変数を取得した後、S1202へ遷移し、図12に示した印刷制御装置201の機能データベースをチェックする。
【0082】
図12において、1001の列は印刷制御装置201が提供するサービス機能を表している。1002の列は印刷制御装置201の各サービス機能におけるプライオリティを表している。1003〜1006の行は各サービス機能のプライオリティの値を入力している。このプライオリティ「1」〜「3」の設定内容は、図7に示した画像形成装置207側のプライオリティと同じである。
【0083】
印刷サービスについての1003の行について説明する。印刷サービスは、機能を提供しないということになる。その他に、図12に示すように、1004の行のスキャンサービス、1005の行のメディア取得サービス、1006の行のSNMP/MIBサービスにおいても、それぞれプライオリティが設定されている。
【0084】
図10のS1202では、図12の機能データベースをチェックし、各提供サービス毎のプライオリティの値を取得しておく。その値の取得が終了すると、S1203に遷移する。S1203では、S1201で取得した画像形成装置207の情報により、画像形成装置207との通信を実行する。S1204へ遷移し、もし通信ができなければS1206に遷移し、S1202で取得したプライオリティに応じた状態で起動する。
【0085】
その後、いくらかの待ち時間を経て、S1203へ遷移し、再度画像形成装置207との接続を行う。画像形成装置207と通信ができるまでこのループは続けられ、もし画像形成装置207が起動していなければ、機能制限状態で起動する。
【0086】
S1204にて印刷制御装置201と通信が成立した場合は、S1205へ遷移する。S1205での通信確認方法は、S1201で取得した画像形成装置207の情報により、通信方法を変更する。通信が確認できると、S1206に遷移し、画像形成装置207の機能をチェックする。画像形成装置207と印刷制御装置201がお互いのサービスとプライオリティを交換する。
【0087】
印刷制御装置201は、図12の機能データベースにおけるプライオリティリストを画像形成装置207へ送信する。また、画像形成装置207から、図8に示す機能データベースのプライオリティリストを受信する。プライオリティリストの交換が終了すると、S1207へ遷移し、印刷制御装置201の機能データベースの更新を行う。機能データベースを更新した結果を図13に示す。図13は、印刷制御装置に設定された機能データベースの内容の一例を示すテーブル図である。
【0088】
この機能データベースの更新の方法は、前述した画像形成装置207での説明と同様である。本実施の形態では、上記の更新の方法に従って、図8と図12の機能データベースにおけるプライオリティを比較し、以下のようにプライオリティを調整する。
【0089】
印刷サービスにおいて、画像形成装置207のプライオリティは「3」であり(図7の805及び図8参照)、印刷制御装置201のプライオリティは「1」である(図12の1003参照)。よって、印刷制御装置201は、図13の1301のようにプライオリティを「1」に更新し、印刷サービスに対しては応答する。
【0090】
また、スキャンサービスに関しては、画像形成装置207のプライオリティは「2」であり(図7の806及び図8参照)、印刷制御装置201のプライオリティは「2」である(図12の1004参照)。その結果、画像形成装置207がスキャンサービスに応答するようになる。よって、印刷制御装置201のプライオリティが図13の1302のように「3」に更新する。Webサービスに関しては、画像形成装置207のみしか存在しないため、図13の1303に示すように、プライオリティが「3」となる。
【0091】
以下同様に、メディア選択に関しては、図12の1005に示すように、印刷制御装置201のみに存在するため、画像形成装置207において、図13の1304に示すように、プライオリティが「1」となる。SNMP/MIBに関しては、図7と図12の機能データベースにおける808の行と1006行を比較して、図13の1305に示すように、プライオリティが「3」となる。なお、ここで、プライオリティが「3」のサーバ機能はリストから削除しても良い。
【0092】
図10のS1207にて機能データベースを更新した後、S1308へ遷移し、印刷制御装置201を正常起動する。
【0093】
<サービス問い合わせパケット受信時のフロー>
次に、上記のように起動した画像形成装置207及び印刷制御装置201において、提供できるサービス機能について端末装置211から問い合わせがあった場合の処理について、図14等を参照して説明する。
【0094】
図14は、画像形成装置207及び印刷制御装置201における、本実施の形態に係るサービス問い合わせパケット受信時の処理を示すフローチャートである。このフローの各ステップは、画像形成装置207及び印刷制御装置201が備えるCPUによって実行される。
【0095】
まずS1501にて、画像形成装置207と印刷制御装置201は、端末装置211から送信されたサービス問い合わせパケットを受信したことを検知すると、このパケットが何のサービス機能への問い合わせかを判断する。この判断には、TCPプロトコルのポート情報を利用する。パケットのデータ構造を全て確認し、サービスの検知をする方法や、ネットワーク層のプロトコルで判断する方法で実装しても構わない。
【0096】
サービス機能の判断が終了するとS1502へ遷移し、機能データベースを確認する。機能データベースは、起動時に作成した、図9の画像形成装置207用や図13の印刷制御装置201用を使用する。この機能データベースを確認し、S1503へ遷移する。S1503では、機能データベース上のプライオリティの値を確認し、自身が返信してよいかどうかを判断する。もしこの機能データベースに存在しないサービス機能の場合は、応答を返さないようにしても良いし、無条件に応答をしても構わない。
【0097】
応答可能な場合はS1504へ遷移し、受信したパケットに対して、応答を返す。このことにより、サービス問い合わせに応答することとなる。また、応答が可能でない場合は、S1505へ遷移し、このパケットに応答はしない。その他の形態として、プライオリティが「3」のサービス機能に関しては、サービス自体を終了しても構わない。また、印刷制御装置201は、プライオリティに関わらず画像形成装置207からのサービスの問い合わせに応答しても良いし、画像形成装置207はプライオリティに関わらず、印刷制御装置201からのサービスの問い合わせに対応して応答するとしても良い。
【0098】
<本実施の形態に係る利点>
本実施の形態によれば、印刷制御装置と画像形成装置が同一ネットワーク上に接続されたシステムにおいて、印刷制御装置と画像形成装置が、自身の提供しているサービス機能を相互に確認し調停する。そして、ネットワーク上に送信されたサービス問い合わせパケットに対して、この調停を基に、印刷制御装置と画像形成装置のうち適切な装置のみが応答する。即ち、上述したように、機能データベースを、印刷制御装置201と画像形成装置207で調整して適切に作成することにより、端末装置211からのサービス問い合わせパケットに対して印刷制御装置201と画像形成装置207のいずれか一方が応答する。
【0099】
これにより、ユーザにとって使用し易いシステム環境を実現することができる。例えば、ユーザが端末装置211から、印刷制御装置201が付属した画像形成装置207に対して印刷操作を行う際に、印刷制御装置201及び画像形成装置207のどちらのネットワークアドレスを指定してよいか迷うこともない。また、アプリケーションプログラムを使用したデバイス探索を行い、ネットワーク上のデバイスを検索した時などにも、印刷制御装置201と画像形成装置207の2つが検出されて、ユーザが混乱することも回避することができる。
【0100】
また、印刷制御装置201と画像形成装置207の機能が、接続形態を変更することにより新規技術に柔軟に対応することが可能となり、多数のサービス機能に対応することが可能なシステムを提供することができる。
【0101】
このように、ユーザにとって使用し易く、しかも多数のサービス機能を十分活用することができるシステム環境を実現することができる。
【0102】
<接続形態の変形例>
次に、印刷制御装置201と画像形成装置207との接続形態は、上記した実施の形態の接続形態に限定されず、種々の変形が可能である。その変形例としては例えば図15(a),(b),(c)に示すようなものがある。
【0103】
図15(a),(b),(c)は、本実施の形態に係る画像形成システムの接続形態の変形例を示す模式図である。
【0104】
図15(a)に示す画像形成システムは、図1に示した接続形態から専用伝送路206を取り除いた構成となる。印刷制御装置201からのデータ転送は、ネットワーク212を経由する。この接続形態は、データの受信及び送信をコネクタ202で行うためネットワークトラフィックが増大するものの、専用伝送路206を使用しないことによるコストダウンが考えられる。
【0105】
図15(b)に示す画像形成システムは、図1に示した接続形態から、専用伝送路206を取り除き、コネクタ203をネットワーク212に接続した構成となる。専用伝送路206を取り除いたことでコストダウンができるのは、図15(a)の接続形態と同じである。この接続形態では、コネクタ202と203が同一のネットワーク212に接続されるため、コネクタ202と203からは同じデータが受信できてしまう。そのため、一方を画像形成装置207との専用データ転送用とし、他方をその他の通信全般に使用する。
【0106】
図15(c)に示す画像形成システムは、図1に示した接続形態から、コネクタ203をネットワーク212に接続した構成となる。データ転送をネットワーク212と専用伝送路206で行うことで、処理の分散化が図られる。
【0107】
なお、本実施の形態では、印刷制御装置201と画像形成装置207が一対一で接続されるケースについて説明したが、他の実施の形態として印刷制御装置201と画像形成装置207が1対多、多対1、多対多で接続されるケースでも適用可能である。
【0108】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0109】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0110】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。又は、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしても良い。
【0111】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0112】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行う場合である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】実施の形態に係る画像形成システムの接続形態を示す模式図である。
【図2】図1中の印刷制御装置の概略構成例を示すブロック図である。
【図3】画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態における画像形成装置側の起動時の処理を示すフローチャートである。
【図5】画像形成装置における操作部に表示される、印刷制御装置の接続設定の一例を示す画面図である。
【図6】画像形成装置における操作部に表示される、印刷制御装置の情報設定の一例を示す画面図である。
【図7】画像形成装置に設定された機能データベースの内容の一例を示すテーブル図である。
【図8】画像形成装置に設定された機能データベースの内容の一例を示すテーブル図である。
【図9】画像形成装置に設定された機能データベースの内容の一例を示すテーブル図である。
【図10】実施の形態に係る印刷制御装置側の起動時の処理を示すフローチャートである。
【図11】印刷制御装置の表示部に表示される画像形成装置接続情報画面の一例を示す画面図である。
【図12】印刷制御装置に設定された機能データベースの内容の一例を示すテーブル図である。
【図13】印刷制御装置に設定された機能データベースの内容の一例を示すテーブル図である。
【図14】実施の形態に係るサービス問い合わせパケット受信時の処理を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態に係る画像形成システムの接続形態の変形例を示す模式図である。
【図16】従来の画像形成システムの接続形態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0114】
101,104 NIC部
107 CPU部
108 第2メモリ部
109 操作部
110 表示部
201 印刷制御装置
206 専用伝送路
207 画像形成装置
210 信号線
211 端末装置
212 ネットワーク
302 操作部
306 インターフェース部
308 制御部
309 HDD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上に接続された画像形成装置と、該ネットワークを介して処理される画像形成に関するサービス機能の実行を制御する制御装置とを有する画像形成システムであって、
前記制御装置及び前記画像形成装置は、
提供するサービス機能をリストとして管理する管理手段と、
前記管理手段により管理されている前記リストを相互に送信し合う送信手段と、
前記送信手段により送信された前記リストを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記リストに記載されたサービス機能と前記管理手段で管理されているサービス機能とを比較して、前記管理手段で管理されている機能を提供するか否かを設定する設定手段と、
前記ネットワーク上に送信された前記制御装置及び前記画像形成装置に対するデータに対して、前記設定手段による設定に従って応答する応答手段とを、
それぞれ備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記制御装置と前記画像形成装置とを前記ネットワークを介さずに通信が可能になるように接続するための接続手段と、
前記接続手段によって接続された前記制御装置と前記画像形成装置を一対一に決定するための決定手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記管理手段によって作成された前記リストに記述されたサービス機能には優先度が付加され、前記設定手段は、前記優先度に基づいて、前記管理手段で管理されている機能を提供するか否かを設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記設定手段は、前記受信手段により受信した前記リストに記載されたサービス機能と前記管理手段で管理されているサービス機能が競合した場合、当該サービス機能に対する優先度を比較することを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
ネットワーク上に接続された画像形成装置と、該ネットワークを介して処理される画像形成に関するサービス機能の実行を制御する制御装置とを有する画像形成システムのサービス応答方法であって、
前記制御装置及び前記画像形成装置が提供するサービス機能をリストとして管理する管理工程と、
前記管理工程により管理された前記リストを前記制御装置及び前記画像形成装置が相互に送信し合う送信工程と、
前記送信工程により送信された前記リストを受信する受信工程と、
前記受信工程により受信した前記リストに記載されたサービス機能と前記管理工程で管理されているサービス機能とを比較して、前記管理工程で管理された機能を提供するか否かを設定する設定工程と、
前記ネットワーク上に送信された前記制御装置及び前記画像形成装置に対するデータに対して、前記設定工程による設定に従って応答する応答工程とを、
有することを特徴とする画像形成システムのサービス応答方法。
【請求項6】
ネットワークを介して処理される画像形成に関するサービス機能の実行を制御する制御装置と通信が可能になるように接続され、前記ネットワーク上の画像形成装置であって、
提供するサービス機能をリストとして管理する管理手段と、
前記管理手段で管理されているリストを前記制御装置に送信する送信手段と、
前記制御装置から送信された提供するサービス機能に関するリストを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記リストに記載されたサービス機能と前記管理手段で管理されているサービス機能とを比較して、前記管理手段で管理されている機能を提供するか否かを設定する設定手段と、
前記ネットワーク上に送信された前記制御装置及び前記画像形成装置に対するデータに対して、前記設定手段による設定に従って応答する応答手段とを、
備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
ネットワーク上に接続された画像形成装置に通信が可能になるように接続され、前記ネットワークを介して処理される画像形成に関するサービス機能の実行を制御する制御装置であって、
提供するサービス機能をリストとして管理する管理手段と、
前記管理手段で管理されているリストを前記画像形成装置に送信する送信手段と、
前記画像形成装置から送信された提供するサービス機能に関するリストを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記リストに記載されたサービス機能と前記管理手段で管理されているサービス機能とを比較して、前記管理手段で管理されている機能を提供するか否かを設定する設定手段と、
前記ネットワーク上に送信された前記制御装置及び前記画像形成装置に対するデータに対して、前記設定手段による設定に従って応答する応答手段とを、
を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項8】
ネットワークを介して処理される画像形成に関するサービス機能の実行を制御する制御装置と通信が可能になるように接続され、前記ネットワーク上の画像形成装置を制御するための、コンピュータで読み取り可能なプログラムであって、
提供するサービス機能をリストとして管理する管理ステップと、
前記管理されているリストを前記制御装置に送信する送信ステップと、
前記制御装置から送信された提供するサービス機能に関するリストを受信する受信ステップと、
前記受信ステップにより受信した前記リストに記載されたサービス機能と前記管理ステップで管理したサービス機能とを比較して、前記管理ステップで管理された機能を提供するか否かを設定する設定ステップと、
前記ネットワーク上に送信された前記制御装置及び前記画像形成装置に対するデータに対して、前記設定ステップによる設定に従って応答する応答ステップとを、
備えたことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
ネットワーク上に接続された画像形成装置に通信が可能になるように接続され、前記ネットワークを介して処理される画像形成に関するサービス機能の実行を制御する制御装置を制御するための、コンピュータで読み取り可能なプログラムであって、
提供するサービス機能をリストとして管理する管理ステップと、
前記管理されているリストを前記画像形成装置に送信する送信ステップと、
前記画像形成装置から送信された提供するサービス機能に関するリストを受信する受信ステップと、
前記受信ステップにより受信した前記リストに記載されたサービス機能と前記管理ステップで管理されたサービス機能とを比較して、前記管理ステップで管理されている機能を提供するか否かを設定する設定ステップと、
前記ネットワーク上に送信された前記制御装置及び前記画像形成装置に対するデータに対して、前記設定ステップによる設定に従って応答する応答ステップとを、
備えたことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−20810(P2009−20810A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184476(P2007−184476)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】