説明

画像形成システム

【課題】表示に必要なサムネイルデータを揃えることを可能にすると共に、サムネイルデータの転送効率を向上させること。
【解決手段】直列に接続された複数の画像形成装置の何れか又は全部を用いて、用紙に対して印刷処理する直列タンデム方式の画像形成システムであって、複数の画像形成装置の何れか又は全部のぞれぞれで、印刷用画像データ及び該印刷用画像データに対応するサムネイルデータを分担して記憶し、複数の画像形成装置のうち何れかの画像形成装置の表示部でサムネイルデータを表示する際、何れかの画像形成装置とは異なる他の画像形成装置で記憶されたサムネイルデータを、他の画像形成装置から何れかの画像形成装置に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2台の画像形成装置を接続して構成される画像形成システムが知られている。この画像形成システムによれば、両面印刷の場合、例えば第1の画像形成装置により用紙の表面を印刷し、第2の画像形成装置により用紙の裏面を印刷する印刷処理を実行することができる。用紙の表裏の印刷をそれぞれの画像形成装置で分担して行うことにより、1台の画像形成装置で両面印刷する場合と比較して、生産性を向上させることができる。なお、こうした画像形成システムは、一般に、高生産性を追及するPP(Production Print)機に適用される。
【0003】
特許文献1には、2台の画像形成装置を接続して構成される画像形成システムが開示されている。この画像形成システムによれば、フォントパターンや書式等のリソース情報を変更する際に発生していた白紙ページ等の無駄紙をなくすことができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−348384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像形成装置と外部端末とがネットワークで接続されている場合であって、外部端末にて作成した文書や画像を画像形成装置により印刷しようとする場合、外部端末は、文書や画像の出力イメージをPDL(Page Description Language)データに変換して、変換したPDLデータを画像形成装置に送信する。画像形成装置は、PDLデータを受信すると、PDLデータをビットマップデータに変換する処理を行う。PDLからビットマップへの変換処理又は変換処理を行うハードウェアをRIP(Raster Image Processor)という。
【0006】
RIP後のビットマップデータ(特にカラーのビットマップデータ)は、データサイズが大きいことが知られている。よって、例えば、第1の画像形成装置により受信したPDLデータを第1の画像形成装置でRIPし、RIP後のビットマップデータを第1の画像形成装置から第2の画像形成装置に転送するとした場合、システム全体のパフォーマンスが低下する。そこで、通常、第1の画像形成装置により受信したPDLデータのうち、例えば表面のPDLデータは第1の画像形成装置でRIPし、裏面のPDLデータはRIPせずにPDLデータのまま第1の画像形成装置から第2の画像形成装置に転送する。そして、第2の画像形成装置で裏面のPDLデータがRIPされる。
【0007】
また、第1の画像形成装置及び第2の画像形成装置は、RIPを行う際、RIPと同時にサムネイルデータを生成する。サムネイルデータとは、印刷用画像データを縮小等して生成される参照用の画像データをいう。サムネイルデータの生成は、第1の画像形成装置及び第2の画像形成装置のそれぞれで分担して実施される。これにより、何れか一つの画像形成装置で一括してサムネイルデータを生成するよりも、生成に係るサムネイルデータのデータ量が少なくなるので、サムネイルデータを生成する処理速度が速くなり処理の効率が向上する。
【0008】
また、生成されたサムネイルデータは、第1の画像形成装置及び第2の画像形成装置でそれぞれ別々に記憶される。例えば、第1の画像形成装置では表面のサムネイルデータ、第2の画像形成装置では裏面のサムネイルデータがそれぞれ均等にバランスよく記憶される。これにより、何れか一方の画像形成装置に、記憶するサムネイルデータのデータ量が偏ってしまい、サムネイルデータの記憶処理の実行に係るCPUの負荷が増加するのを防ぐことができる。
【0009】
ところで、サムネイルデータを第1の画像形成装置及び第2の画像形成装置で別々に記憶する構成において、例えば、ユーザより第1の画像形成装置の表示部で用紙の表面ページ及び裏面ページのサムネイルデータを一覧表示する指示があったとする。この場合、第1の画像形成装置には裏面のサムネイルデータは記憶されていないため、表示に必要なサムネイルデータのうち、裏面のサムネイルデータが揃わないこととなる。そうすると、第1の画像形成装置では、裏面のサムネイルデータを表示できないという問題があった。
また、第1の画像形成装置において、表示に必要なサムネイルデータを揃えるためには、第2の画像形成装置から裏面のサムネイルデータを受信する必要がある。このとき、第2の画像形成装置から第1の画像形成装置へのサムネイルデータの転送に時間を要すると、サムネイルデータを表示するまでの時間も要する。このため、サムネイルデータの転送効率を向上させる必要があった。
【0010】
本発明の課題は、表示に必要なサムネイルデータを揃えることを可能にすると共に、サムネイルデータの転送効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の画像形成システムは、
直列に接続された複数の画像形成装置の何れか又は全部を用いて、用紙に対して印刷処理する直列タンデム方式の画像形成システムであって、
前記複数の画像形成装置の何れか又は全部のぞれぞれで、印刷用画像データ及び該印刷用画像データに対応するサムネイルデータを分担して記憶し、前記複数の画像形成装置のうち何れかの画像形成装置の表示部でサムネイルデータを表示する際、前記何れかの画像形成装置とは異なる他の画像形成装置で記憶されたサムネイルデータを、前記他の画像形成装置から前記何れかの画像形成装置に転送する。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記何れかの画像形成装置の表示部でサムネイルデータを表示する際、該表示に必要なサムネイルデータのうち、前記他の画像形成装置で記憶されたサムネイルデータを前記他の画像形成装置から前記何れかの画像形成装置へ転送する。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成システムにおいて、
前記何れかの画像形成装置は、第1のコントローラと、第1の制御部と、第1の通信部と、第1の記憶部と、表示部と、を備え、
前記第1のコントローラは、PDLデータを受信し、該受信したPDLデータから印刷用画像データを生成し、該生成した印刷用画像データを前記第1の制御部に送信し、
前記第1の制御部は、前記第1のコントローラから送信された印刷用画像データを受信し、該受信した印刷用画像データに基づいてサムネイルデータを生成し、該生成したサムネイルデータを前記第1の記憶部に記憶し、一方で、前記第1の通信部によりサムネイルデータを受信し、前記記憶したサムネイルデータ及び前記受信したサムネイルデータを前記表示部に表示する制御を行い、
前記他の画像形成装置は、第2のコントローラと、第2の制御部と、第2の通信部と、第2の記憶部と、を備え、
前記第2のコントローラは、PDLデータを受信し、該受信したPDLデータから印刷用画像データを生成し、該生成した印刷用画像データを前記第2の制御部に送信し、
前記第2の制御部は、前記第2のコントローラから送信された印刷用画像データを受信し、該受信した印刷用画像データに基づいてサムネイルデータを生成し、該生成したサムネイルデータを前記第2の記憶部に記憶し、該記憶したサムネイルデータを前記第2の通信部により前記第1の通信部に転送する制御を行う。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成システムにおいて、
前記第1のコントローラは、用紙の表面に係るPDLデータを受信し、該受信したPDLデータから表面の印刷用画像データを生成し、該生成した印刷用画像データを前記第1の制御部に送信し、
前記第1の制御部は、前記第1のコントローラから送信された表面の印刷用画像データを受信し、該受信した印刷用画像データに基づいて表面のサムネイルデータを生成し、該生成した表面のサムネイルデータを前記第1の記憶部に記憶し、一方で、前記第1の通信部により裏面のサムネイルデータを受信し、前記記憶した表面のサムネイルデータ及び前記受信した裏面のサムネイルデータを前記表示部に表示する制御を行い、
前記第2のコントローラは、用紙の裏面に係るPDLデータを受信し、該受信したPDLデータから裏面の印刷用画像データを生成し、該生成した裏面の印刷用画像データを前記第2の制御部に送信し、
前記第2の制御部は、前記第2のコントローラから送信された裏面の印刷用画像データを受信し、該受信した裏面の印刷用画像データに基づいて裏面のサムネイルデータを生成し、該生成した裏面のサムネイルデータを前記第2の記憶部に記憶し、該記憶した裏面のサムネイルデータを前記第2の通信部により前記第1の通信部に転送する制御を行う。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の画像形成システムにおいて、
前記何れかの画像形成装置は、
前記受信したサムネイルデータを一時記憶するサムネイル一時記憶部を備え、
前記第1の制御部は、
前記何れかの画像形成装置において前記第1の記憶部へのアクセス処理が実行されているか否かを判別し、前記第1の記憶部へのアクセス処理が実行されていないときに、前記サムネイル一時記憶部に記憶されたサムネイルデータを前記第1の記憶部に記憶する。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項3から5のいずれか一項に記載の画像形成システムにおいて、
前記何れかの画像形成装置は、
前記サムネイルデータのデータサイズと、前記表示部に表示される表示画面とが関連付けられたサムネイル管理表を記憶するサムネイル管理表記憶部を備え、
前記第1の制御部は、
前記表示画面の画面遷移が実行される場合、前記サムネイル管理表記憶部に記憶されたサムネイル管理表に基づいて、画面遷移前の表示画面に含まれるサムネイルデータのデータサイズと、画面遷移後の表示画面に含まれるサムネイルデータのデータサイズとが一致するか否かを判別し、一致する場合、該一致するサムネイルデータに係るジョブが同じであり、且つ、該一致するサムネイルデータのページ番号がそれぞれ同じであるとき、該一致するサムネイルデータを前記第1の通信部により受信しない。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項3から6のいずれか一項に記載の画像形成システムにおいて、
前記第1の制御部は、
前記記憶したサムネイルデータと前記受信したサムネイルデータとをページ順に配列し、該配列したサムネイルデータを前記表示部に表示する制御を行う。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、表示に必要なサムネイルデータを揃えることが可能になると共に、サムネイルデータの転送効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】画像形成システムの全体構成及び内部構成を示す図である。
【図2】画像形成システムの機能ブロック図である。
【図3】サムネイルデータ記憶処理の流れを示す図である。
【図4】ページ編集表示画面を示す図である。
【図5】ジョブリスト表示画面を示す図である。
【図6】チケット編集表示画面を示す図である。
【図7】虫眼鏡ボタンが押下されたときの表示画面を示す図である。
【図8】サムネイルデータ受信処理の流れを示す図である。
【図9】表示単位毎の受信処理の流れを示す図である。
【図10】偶数ページのサムネイルデータ記憶処理の流れを示す図である。
【図11】記憶部への記憶処理の流れを示す図である。
【図12】サムネイル管理表を示す図である。
【図13】画面遷移処理の流れを示す図である。
【図14】4台の画像形成装置が直列に接続された画像形成システムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態における画像形成システムにおいて、図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施形態に係る画像形成システムは本願発明の一例であり、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0021】
[第1の実施の形態]
図1に、本実施の形態における画像形成装置1の全体構成及び内部構成を示す。
画像形成システム100は、第1の画像形成装置1及び第2の画像形成装置2を備え、各装置は直列に接続されて構成される。画像形成システム100は、直列タンデム方式の画像形成システムである。
【0022】
また、第1の画像形成装置1と第2の画像形成装置2の間には、反転機構R1が設けられる。反転機構R1は、第1の画像形成装置1の内部に備えてもよく(図示省略)、第1の画像形成装置1と第2の画像形成装置2を連結する中間処理装置内に備えてもよい。なお、反転機構R1が不要の場合は、第1の画像形成装置1と第2の画像形成装置2を直接又は中間処理装置を介して連結すればよい。また、第2の画像形成装置2は、排紙トレイ3を備える。また、矢印は、用紙の搬送経路又は中間転写ベルトの回転方向を示す。
【0023】
図1に示すように、例えば画像形成システム100は、両面印刷する場合、給紙部11Aから用紙Sを給紙し、第1の画像形成装置1により用紙Sの表面を印刷する。その後、画像形成システム100は、反転機構R1により用紙を反転させて、用紙を第2の画像形成装置2に搬送する。そして、画像形成システム100は、第2の画像形成装置2により用紙Sの裏面を印刷する。画像形成システム100は、用紙Sの裏面を印刷した後、用紙Sを排紙トレイ3に排出する。
【0024】
第1の画像形成装置1は、給紙部11A、画像形成部12A、定着部13A、操作表示部14、スキャナ部15、反転機構R1等を備えて構成される。
【0025】
給紙部11Aは、複数の用紙Sを収納する給紙トレイを2段構成(上段、下段)により備える。給紙部11Aは、各給紙トレイに紙種やサイズ等が異なる用紙を分けて収納することができる。給紙部11Aは、給紙の指示がなされた場合、2段構成の給紙トレイのうち、何れかの給紙トレイから適切な用紙を給紙して、用紙を所定の搬送路により画像形成部12Aに搬送する。
【0026】
画像形成部12Aは、YMCK各色の感光体ドラムを備えて構成される。また、画像形成部12Aは、YMCK各色のトナー画像を担持する中間転写ベルトを備える。中間転写ベルトは、矢印A方向に回転し、転写されたYMCK各色の画像を担持する。画像形成部12Aの詳細動作については後述する。
【0027】
定着部13Aは、加熱ローラ及び加圧ローラ等を備えて構成される。定着部13Aは、画像形成部12Aから搬送されてきた用紙Sを加熱及び加圧して、用紙Sに画像を定着させる。
【0028】
両面印刷の場合、反転機構R1は、定着部13Aから搬送されてきた用紙Sの表裏を反転させて、用紙Sを第2の画像形成装置2に搬送する。一方、片面印刷の場合、反転機構R1は、用紙Sを反転させずに第2の画像形成装置2に搬送する。或いは、片面印刷の場合、第2の画像形成装置2のみが動作し、第1の画像形成装置1は動作しない。
【0029】
操作表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ等を備えて構成される。また、ディスプレイ上には、透明電極を格子状に配置した感圧式のタッチパネルを供えて構成される。操作表示部14は、各種の設定画面を表示し、また、ユーザによるディスプレイ上のタッチ操作を受け付ける。
【0030】
スキャナ部15は、自動原稿搬送部(ADF)、プラテンガラス、光学系等を備えて構成される。スキャナ部15は、ADF又はプラテンガラスに載置された原稿を光学系により読み取る。
【0031】
第2の画像形成装置2は、給紙部21A、画像形成部22A、定着部23A等を備えて構成される。各部の動作については、第1の画像形成装置1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
第2の画像形成装置2は、第1の画像形成装置1から搬送されてきた用紙Sについて、両面印刷の場合は印刷動作を行い、片面印刷の場合は印刷動作を行わずに排紙トレイ3に用紙Sを排出する。
【0032】
図2に、画像形成システム100の機能ブロック図を示す。
画像形成システム100は、第1の画像形成装置1及び第2の画像形成装置2を備えて構成される。また、画像形成システム100は、ネットワークNを介して外部端末PCと接続されて構成される。
【0033】
第1の画像形成装置1は、第1の制御部10、第1のコントローラ11、第1のサムネイル生成部12、サムネイル一時記憶部13、操作表示部14、スキャナ部15、画像処理部16、第1の記憶部17、画像形成部12A、通信部19を備えて構成される。
【0034】
第1の制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えて構成される。CPUは、ROMに記憶されている各種プログラムをRAMに展開し、RAMに展開した各種プログラムとの協働により、第1の画像形成装置1の動作を統括的に制御する。
【0035】
第1のコントローラ11は、ネットワークNを介して、外部端末PCから送信されるPDLデータを受信する。第1のコントローラ11は、受信したPDLデータをRIPしてビットマップデータ、すなわち印刷用画像データに変換し、変換した印刷用画像データを第1のサムネイル生成部12及び画像処理部16に出力する。なお、印刷用画像データは、カラーの場合、Y色データ、M色データ、C色データ、K色データの複数色から構成されるYMCK画像データである。
【0036】
第1のサムネイル生成部12は、第1のコントローラ11から送信される印刷用画像データを受信した場合、受信した印刷用画像データを縮小等して、該印刷用画像データに対応するサムネイルデータを生成する。具体的には、第1のサムネイル生成部12は、印刷用画像データに対して、間引き処理、合成処理、色変換処理等を行う。なお、間引き処理及び合成処理は、縮小処理に該当する。また、色変換処理は、操作表示部14にサムネイルデータを表示するため、印刷用画像データ(YMCK画像データ)から表示用画像データ(RGB画像データ)に変換される。
【0037】
サムネイル一時記憶部13は、サムネイルデータを一時的に記憶するためのメモリであり、キャッシュメモリとして機能する。サムネイル一時記憶部13のデータ構造としては、FIFO(First In First Out)であってもよいし、LIFO(Last In First Out)であってもよい。
【0038】
操作表示部14は、LCD又は有機ディスプレイ等を備えて構成され、サムネイルデータをプレビュー表示し、又は各種設定画面を表示する。また、操作表示部14は、各種キーやタッチパネル等を備えて構成され、ユーザからの操作を受け付ける。操作表示部14は、ユーザからの操作を受け付けた場合、操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部10に出力する。
【0039】
スキャナ部15は、自動原稿搬送部(ADF)、プラテンガラス、CCD等の光学系を備えて構成される。スキャナ部15は、ADF又はプラテンガラスに載置された原稿を光学系により読み取り、アナログの画像データを生成する。また、スキャナ部15は、生成したアナログの画像データをA/D変換し、R色、G色、B色の3色から構成されるRGB画像データを生成する。また、スキャナ部15は、生成したRGB画像データを画像処理部16に出力する。
【0040】
画像処理部16は、シェーディング補正部、色変換処理部、圧縮/伸長処理部等の各種画像処理部を備えて構成される。シェーディング補正部は、スキャナ部15からのRGB画像データに対し、R色、G色、B色ごとに輝度ムラを補正する。また、色変換処理部は、スキャナ部15からのRGB画像データをYMCK画像データ、すなわち印刷用画像データに変換する。また、圧縮/伸長処理部は、印刷用画像データをY色、M色、C色、K色ごとに圧縮又は伸長処理する。
画像処理部16は、各種画像処理した印刷用画像データを第1の記憶部17に出力する。
【0041】
第1の記憶部17は、第1のサムネイル生成部12により生成されたサムネイルデータ及び各種画像処理された印刷用画像データを記憶する。また、印刷処理時において、第1の記憶部17は、記憶している印刷用画像データを画像形成部12Aに出力する。
【0042】
画像形成部12Aは、YMCK各色の感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、分離装置、クリーニング装置等を備えて構成される。具体的には、画像形成部12Aは、まず帯電装置により、感光体ドラムを帯電する。次いで、露光装置により、印刷用画像データに基づいて感光体ドラムを露光する。次いで、現像装置により、トナー像を感光体ドラムに現像する。次いで、給紙部11Aから給紙されて搬送されてきた用紙Sに中間転写ベルトを介して画像を形成し、その後、用紙Sを定着部13Aに搬送する。
定着部13Aは、用紙Sに画像を定着する。そして、搬送ローラ等により、定着後の用紙が排紙トレイに排紙される。
【0043】
通信部19は、NIC(Network Interface Card)等を備えて構成される。通信部19は、第1の画像形成装置1と第2の画像形成装置2との間で各種データの送受信を行う。
【0044】
第2の画像形成装置2は、第2の制御部20、第2のコントローラ21、第2のサムネイル生成部22、画像処理部23、第2の記憶部24、画像形成部22A、通信部26を備えて構成される。
上記の各部は、第1の画像形成装置1と同様の構成及び動作であるため、ここでの説明は省略する。
【0045】
次に、画像形成システム100の動作について説明する。
先ず、図3を参照して、サムネイルデータ記憶処理を説明する。サムネイルデータ記憶処理は、第1の画像形成装置1及び第2の画像形成装置2のそれぞれにおいて、受信した印刷用画像データに対応するサムネイルデータを生成し、生成したサムネイルデータをそれぞれの装置の記憶部に記憶する処理である。
【0046】
なお、本処理の前提として、予め、外部端末PCから用紙の表裏を印刷するジョブが送信され、第1のコントローラ11及び第2のコントローラ21によりPDLデータがRIPされて印刷用画像データに変換されているものとする。また、第1の画像形成装置1及び第2の画像形成装置2の両方を使用して、用紙の表裏が印刷処理されるものとする。印刷処理は、給紙部11A(又は給紙部21A)から用紙Sを給紙して定着部13A(又は定着部23A)により用紙に画像が定着されるまでの一連の処理のことをいう。
以下、図3を参照して、第1の画像形成装置1及び第2の画像形成装置2のそれぞれで実行されるサムネイルデータ記憶処理について説明する。先ず、第1の画像形成装置1で実行されるサムネイルデータ記憶処理について説明する。
【0047】
例えば、奇数ページの印刷用画像データが第1のサムネイル生成部12により受信開始されたことをトリガとして、第1の画像形成装置においてサムネイルデータ記憶処理が実行される。なお、「奇数ページ」とは用紙の表面を意味するものとし、後述する「偶数ページ」とは用紙の裏面を意味するものとする。
【0048】
先ず、第1のコントローラ11によりRIPされた奇数ページの印刷用画像データが第1のサムネイル生成部12により受信される(ステップS1)。そして、第1のサムネイル生成部12により、奇数ページの印刷用画像データが縮小等されることで奇数ページのサムネイルデータが生成される(ステップS2)。そして、奇数ページのサムネイルデータが第1の記憶部17に記憶される(ステップS3)。ステップS3の実行後、サムネイルデータ記憶処理は終了される。
【0049】
次に、第2の画像形成装置2において実行されるサムネイルデータ記憶処理について説明する。
【0050】
例えば、偶数ページの印刷用画像データが第2のサムネイル生成部22により受信開始されたことをトリガとして、第2の画像形成装置においてサムネイルデータ記憶処理が実行される。
【0051】
先ず、第2のコントローラ21によりRIPされた偶数ページの印刷用画像データが第2のサムネイル生成部22により受信される(ステップS4)。そして、第2のサムネイル生成部22により偶数ページの印刷用画像データが縮小等されることで偶数ページのサムネイルデータが生成される(ステップS5)。そして、偶数ページのサムネイルデータが第2の記憶部24に記憶される(ステップS6)。ステップS6の実行後、サムネイルデータ記憶処理は終了される。
【0052】
次に、ユーザから操作表示部14を介してサムネイルデータを含む表示画面を表示する要求指示があった場合の動作について説明する。以下、サムネイルデータを含む表示画面の例として、ページ編集表示画面H1、ジョブリスト表示画面H2及びチケット編集表示画面H3について説明する。
【0053】
図4に示すページ編集表示画面H1は、サイズの小さいサムネイルデータ(以下、小サイズのサムネイルデータG1)を複数ページ分(例えば、30ページ分)、一括表示する画面である。
【0054】
図5に示すジョブリスト表示画面H2は、各ジョブの開始ページ(1ページ目)であって、サイズの極めて小さいサムネイルデータ(以下、極小サイズのサムネイルデータG2)及びサイズが中サイズであるサムネイルデータ(以下、中サイズのサムネイルデータG3)を表示する画面である。各ジョブには、サムネイルデータ、ファイル名、ユーザ名などの情報が含まれており、極小サイズのサムネイルデータG2は、各ジョブのファイル名等と関連付けて表示される。また、中サイズのサムネイルデータG3は、ユーザにより選択されたジョブの開始ページのサムネイルデータが表示される。
【0055】
図6に示すチケット編集表示画面H3は、中サイズのサムネイルデータG3及び虫眼鏡ボタンB1を表示する画面である。虫眼鏡ボタンB1は、サイズが大サイズのサムネイルデータ(以下、大サイズのサムネイルデータG4)を表示するためのボタンである。ジョブチケット編集表示画面H3において、ユーザにより虫眼鏡ボタンB1が押下されると、図7に示す拡大プレビュー画面Pが表示され、拡大プレビュー画面Pには大サイズのサムネイル画像G4が表示される。
【0056】
次に、図8を参照して、サムネイルデータ受信処理を説明する。サムネイルデータ受信処理は、ユーザからサムネイルデータを含む表示画面を操作表示部14に表示する要求指示があった場合、第2の画像形成装置2から偶数ページのサムネイルデータを受信する処理である。
以下、ユーザから操作表示部14を介してページ編集表示画面H1を表示する要求指示があった場合のサムネイルデータ受信処理を説明する。なお、ページ編集表示画面H1では、奇数ページのサムネイルデータ15ページ分及び偶数ページのサムネイルデータ15ページ分、すなわち計30ページ分の小サイズのサムネイルデータが表示に必要なサムネイルデータであるものとする。
【0057】
サムネイルデータ受信処理は、ユーザにより操作表示部14を介してページ編集表示画面H1を表示する要求指示が操作表示部14を介して受け付けられたことをトリガとして実行される。
【0058】
先ず、現在の表示処理の開始ページ番号が設定される(ステップS11)。現在の表示処理とは、ページ編集表示画面H1を操作表示部14に表示する処理のことである。具体的には、ページ編集表示画面H1において、開始ページ数を示す「1」が開始ページ番号として設定される。
【0059】
ステップS1の実行後、現在の表示処理の表示単位数が設定される(ステップS12)。表示単位数とは、操作表示部14に表示されるサムネイルデータのページ数である。ページ編集表示画面H1が操作表示部14に表示される場合、表示単位数は「30」に設定される。
【0060】
ステップS12の実行後、表示単位毎の受信処理が実行される(ステップS13)。表示単位毎の受信処理とは、操作表示部14に表示するために必要なサムネイルデータのうち、偶数ページのサムネイルデータを第2の画像形成装置2から受信する処理である。
【0061】
ステップS13の実行後、全てのページについて完了したか否かが判別される(ステップS14)。具体的には、全てのページ、すなわち偶数ページ15ページ分のサムネイルデータの受信が完了したか否かが判別される。
【0062】
ステップS14において、全てのページについて完了していないと判別された場合(ステップS14;NO)、ステップS13に移行される。ステップS14において、全てのページについて完了したと判別された場合(ステップS14;YES)、サムネイルデータが表示される(ステップS15)。具体的には、奇数ページのサムネイルデータ及び偶数ページのサムネイルデータを含むページ編集表示画面(図4参照)が操作表示部14に表示される。ここで、奇数ページのサムネイルデータは、第1の記憶部17から読み出されて表示される。偶数ページのサムネイルデータは、サムネイルデータ記憶処理(図9参照)及び記憶部への記憶処理(図10参照)においてサムネイル一時記憶部13又は第1の記憶部17に記憶されたサムネイルデータが読み出されて表示される。また、奇数ページ及び偶数ページのサムネイルデータは、ページ順序が配列され、該配列された順序で操作表示部14に表示される。
【0063】
次に、図9を参照して、サムネイルデータ受信処理におけるステップS13の表示単位毎の受信処理について説明する。
【0064】
先ず、CurPage=開始ページ番号、MaxPage=表示単位数に設定される(ステップS21)。ここでは、CurPage=「1」、MaxPage=「30」に設定される。
【0065】
そして、CurPageは奇数ページであるか否かが判別される(ステップS22)。ステップS22において、CurPageは奇数ページでないと判別された場合(ステップS22;NO)、後述するステップS24に移行される。ステップS22において、CurPageは奇数ページであると判別された場合(ステップS22;YES)、CurPageが1増加される(ステップS23)。具体的には、CurPage=1から1増加されてCurPage--=2となる。
【0066】
ステップS23の実行後、サムネイルデータがないか否かが判別される(ステップS24)。例えば、CurPage=2、すなわちページ番号2である場合、ページ番号2のサムネイルデータがサムネイル一時記憶部13又は第1の記憶部17に記憶されているか否かが判別される。
【0067】
ステップS24において、サムネイルデータがあると判別された場合(ステップS24;NO)、表示単位毎の受信処理は終了され、サムネイルデータ受信処理のステップS14に移行される。
【0068】
ステップS24において、サムネイルデータがないと判別された場合(ステップS24;YES)、偶数ページのサムネイルデータをサムネイル一時記憶部13又は第1の記憶部17へ記憶する偶数ページのサムネイルデータ記憶処理が実行される(ステップS25)。
【0069】
ステップS25の実行後、CurPageが2増加される(ステップS26)。例えば、CurPage=2であった場合は、2増加されてCurPage=4となる。そして、MaxPageから2を引く演算が実行される(ステップS27)。具体的には、「MaxPage−受信されたサムネイルデータのページ番号」の演算が実行される。例えば、受信されたサムネイルデータのページ番号が2であった場合、30−2=28の演算が実行される。
【0070】
ステップS27の実行後、MaxPageが0以下か否かが判別される(ステップS28)。ステップS28において、MaxPageが0以下でないと判別された場合(ステップS28;NO)、ステップS25に移行される。ステップS28において、MaxPageが0以下であると判別された場合(ステップS28;YES)、表示単位毎の受信処理は終了され、サムネイルデータ受信処理のステップS14に移行される。
【0071】
次に、図10を参照してステップS25で実行される偶数ページのサムネイルデータ記憶処理について説明する。
先ず、偶数ページのサムネイルデータが受信される(ステップS31)。例えば、ページ番号2のサムネイルデータが記憶されていない場合、ページ番号2のサムネイルデータを送信する指令が第1の画像形成装置から第2の画像形成装置2に送信される。そして、ページ番号2のサムネイルデータを送信する指令が第2の画像形成装置2により受信されると、第2の画像形成装置2において、第2の記憶部24からページ番号2のサムネイルデータが読み出され、読み出されたページ番号2のサムネイルデータが第1の画像形成装置1に送信、すなわち転送される。そして、第2の画像形成装置2から送信されたページ番号2のサムネイルデータが第1の画像形成装置1により受信される。
【0072】
ステップS31の実行後、サムネイルデータがサムネイル一時記憶部に記憶される(ステップS32)。そして、記憶部への記憶処理が実行される(ステップS33)。記憶部への記憶処理は、サムネイル一時記憶部13に記憶されたサムネイルデータを第1の記憶部17へ記憶する処理である。ここで、偶数ページのサムネイルデータ記憶処理と、記憶部への記憶処理とは、それぞれ独立した1つの処理、すなわちプロセスとして実行される。また、各プロセス間ではデータ通信が行われる。本ステップでは、具体的には、非同期メッセージが生成され、生成された非同期メッセージが記憶部への記憶処理を示すプロセスへ送信される。非同期メッセージは、サムネイルデータを第1の記憶部17へ記憶させる処理を実行するためのメッセージである。ステップS33の実行後、サムネイルデータ記憶処理は終了され、表示単位毎の受信処理のステップS26に移行される。
【0073】
次に、図11を参照して、記憶部への記憶処理について説明する。
先ず、非同期メッセージを受信したか否かが判別される(ステップS41)。ステップS41において、非同期メッセージを受信していないと判別された場合(ステップS41;NO)、記憶部への記憶処理は終了され、表示単位毎の受信処理のステップS26に移行される。
【0074】
ステップS41において、非同期メッセージを受信したと判別された場合(ステップS41;YES)、記憶部が利用可能か否かが判別される(ステップS42)。具体的には、第1の画像形成装置1において第1の記憶部17へのアクセス処理、すなわち、第1の記憶部17へデータを書き込む処理や第1の記憶部17からデータを読み出す処理が実行されているタイミングであるか否かが判別される。例えば、印刷処理において、第1の記憶部17から印刷用画像データを読み出す処理が実行されているタイミングである場合は、本ステップはNOと判別される。一方、第1の記憶部17へのアクセス処理が実行されていないタイミング(例えば、第1の画像形成装置1において印刷処理が実行されていない時)である場合は、本ステップはYESと判別される。これは、第1の記憶部17へのアクセス処理が実行されている場合において、第1の記憶部17へ偶数ページのサムネイルデータを記憶させる処理を実行すると、CPUに負荷がかかり、第1の記憶部17へのアクセス処理の処理速度が遅くなってしまうことを防ぐためである。
【0075】
ステップS42において、記憶部が利用可能でないと判別された場合(ステップS42;NO)、ステップS42に移行される。ステップS42において、記憶部が利用可能であると判別された場合(ステップS42;YES)、サムネイル一時記憶部に記憶されたサムネイルデータが記憶部に記憶される(ステップS43)。例えば、ページ番号2のサムネイルデータがサムネイル一時記憶部13に記憶されており、ステップS42;YESであった場合、ページ番号2のサムネイルデータが第1の記憶部17に記憶される。ステップS43の実行後、ステップS41に移行される。
【0076】
なお、サムネイルデータが第1の記憶部17に記憶されない場合は、サムネイルデータはサムネイル一時記憶部13に記憶されたままとなる。例えば、印刷処理において、第1の記憶部17へのアクセス処理が実行されている場合は、ステップS41;NOとなる。この場合、サムネイルデータは第1の記憶部17に記憶されず、サムネイル一時記憶部13に記憶されたままとなる。
【0077】
また、上述の説明においては、ユーザから操作表示部14を介してページ編集表示画面H1を表示する要求指示があった場合における動作について説明したが、例えば、ユーザからジョブリスト表示画面H2(図5参照)又はジョブチケット編集表示画面H3(図6参照)を表示する要求指示があった場合は、サムネイルデータ受信処理のステップS13、S14は実行されないこととなる。
ここで、ジョブリスト表示画面H2又はジョブチケット編集表示画面H3では、ジョブの最初のページ、すなわち1ページ目のサムネイルデータしか含まない。このため、ユーザからジョブリスト表示画面H2又はジョブチケット編集表示画面H3を表示する要求指示があった場合、ステップS12において、表示単位数=1に設定される。この場合、ステップS13、S14は実行されず、ステップS15が実行されてサムネイルデータ受信処理が終了される。すなわち、サムネイルデータの受信及び記憶は実行されないこととなる。
【0078】
また、ユーザからジョブリスト表示画面H2又はジョブチケット編集表示画面H3を表示する要求指示があった場合であっても、ページ送りボタンがユーザにより押下された場合は、図8〜図10に示す処理と同様の処理が実行される。ページ送りボタンとは、サムネイルデータのページ番号を指定するためのボタンである。
例えば、ジョブチケット編集表示画面H3(図6参照)において、ページ番号2のサムネイルデータを表示するために、ユーザによりページ送りボタンB2が押下されると、図8〜図10に示す処理と同様の処理が実行される。その後、さらにページ番号4のサムネイルデータを表示するためにユーザによりページ送りボタンB2が押下されると、再度、図8〜図10に示す処理と同様の処理が実行される。すなわち、ユーザによるページ送りボタンB2の押下に応じて、図8〜図10に示す処理が繰り返し実行される。
【0079】
また、本実施の形態では、「奇数ページ」及び「偶数ページ」を判断材料として処理の分担を行うものとしているが、これに限られない。すなわち、本実施の形態では、偶数ページのサムネイルデータを生成した第2の画像形成装置2は第1の画像形成装置1にサムネイルデータを送信するように制御されるが、これに限られない。例えば、画像形成装置固有の情報として設定されている「上流/下流」、「マスター/スレーブ」等を判断材料として、下流又はスレーブの情報を有する画像形成装置は、生成したサムネイルデータを上流又はマスターの画像形成装置に送信するとしてもよい。
【0080】
以上、本実施の形態によれば、第1の画像形成装置1の操作表示部14でサムネイルデータを表示する際、表示に必要なサムネイルデータのうち、第2の画像形成装置2で記憶されたサムネイルデータを、第2画像形成装置2から第1の画像形成装置1へ転送するので、第1の画像形成装置1において、表示に必要なサムネイルデータを揃えることが可能となる。このため、第1の画像形成装置1において、表示に必要なサムネイルデータを処理することが可能となり、サムネイルデータを操作表示部14に表示することができる。
また、第2の画像形成装置から第1の画像形成装置へサムネイルデータのみを転送するので、印刷用画像データ及びサムネイルデータを転送する場合よりも転送に係るデータ量を少なくすることができる。これにより、印刷用画像データ及びサムネイルデータを転送する場合よりも転送負荷が軽減されて高速のデータ転送が可能となるので、サムネイルデータの転送効率を向上させることができる。
また、第2の画像形成装置2から転送されたサムネイルデータを第1の画像形成装置1で受信する際、表示毎の受信処理のステップS25〜S28に示した処理が実行されるので、表示に必要なサムネイルデータを一括して受信し、一括受信したサムネイルデータを操作表示部14に表示する。これにより、例えば、サムネイルデータを受信して操作表示部14に表示させる処理を1ページ分ずつ実行する場合よりも、迅速な処理を実行することができるので、サムネイルデータの転送効率を向上させることができる。
【0081】
また、第1の記憶部17へのアクセス処理が実行されていないタイミングで、第2の画像形成装置2から受信された偶数ページのサムネイルデータを第1の記憶部17に記憶する。このため、第1の記憶部へのアクセス処理と第1の記憶部17へ偶数ページのサムネイルデータを記憶させる処理とが同時に並列処理されることはないので、並列処理が実行される場合よりもCPUの負荷を軽減でき、第1の記憶部へのアクセス処理の処理速度が低下することを防ぐことができる。
【0082】
また、第2の画像形成装置から第1の画像形成装置に送信された裏面のサムネイルデータは、第1の画像形成装置のサムネイル一時記憶部13及び第1の記憶部17の少なくとも1つに記憶される。このため、再度、サムネイルデータを表示する際、サムネイル一時記憶部13及び第1の記憶部17の少なくとも1つからサムネイルデータを読み出して表示することができるので、第2の画像形成装置2からサムネイルデータを受信する動作を省略することができる。
また、表示に必要なサムネイルデータがサムネイル一時記憶部13及び第1の記憶部17の少なくとも1つに記憶されるので、再度、サムネイルデータを表示する際、サムネイル一時記憶部13及び第1の記憶部17の少なくとも1つに記憶されたサムネイルデータを読み出して表示することで、サムネイルデータを欠けることなく正確に表示することができる。
【0083】
また、ページ順に配列された状態でサムネイルデータが操作表示部14に表示されるので、ユーザは違和感なくサムネイルデータを参照することができる。
【0084】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、ユーザの指示に基づいて表示画面の画面遷移が発生した場合における画像形成システム101の動作について説明する。
【0085】
第2の画像形成システム101の全体構成及び内部構成については、図1で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、以下の説明においては便宜上、図1におけるシステム全体の符号を101とし、各部の符号を同一としたものを第2の画像形成システム101とする。
【0086】
また、画像形成システム101における機能ブロック図についても図2と同様であるので、ここでの説明は省略する。図12及び図13を参照して、画面遷移処理について説明する。
【0087】
予め、図12に示すサムネイル管理表K1が第1の画像形成装置1の記憶部17に記憶されているものとする。サムネイル管理表K1は、上述のページ編集表示画面H1(図4参照)、ジョブリスト表示画面H2(図5参照)、ジョブチケット編集表示画面H3(図6参照)の各画面と、各画面で表示される複数サイズのサムネイルデータ(極小サイズのサムネイルデータG1、小サイズのサムネイルデータG2、中サイズのサムネイルデータG3、大サイズのサムネイルデータG4)とが関連付けられた表である。
【0088】
また、予め、外部端末PCから用紙の表裏を印刷するジョブが送信され、第1のコントローラ11及び第2のコントローラ21によりPDLデータがRIPされて印刷用画像データに変換されているものとする。また、第1の画像形成装置1及び第2の画像形成装置2の両方を使用して、用紙の表裏が印刷処理されるものとする。
【0089】
また、予めユーザのジョブリスト表示画面H2を表示する要求指令によりサムネイルデータ受信処理が実行され、ジョブリスト表示画面H2が操作表示部14に表示されているものとする。また、本実施の形態では、画面遷移の一例として、ジョブリスト表示画面H2からジョブチケット編集表示画面H3への画面遷移の例について説明する。
【0090】
例えば、ジョブリスト表示画面H2において、チケット編集表示画面H3への遷移を実行するためのチケット編集ボタンB3(図5参照)がユーザにより押下されたことをトリガとして、図13に示す画面遷移処理が実行される。
【0091】
先ず、サムネイル管理表K1が参照され、遷移前と遷移後とで重なりあうサムネイルデータがあるか否かが判別される(ステップS51)。具体的には、サムネイル管理表K1が参照され、ジョブリスト表示画面H2で表示されるサムネイルデータ(中サイズのサムネイルデータG3及び極小サイズのサムネイルデータG2)と、ジョブチケット編集表示画面H3で表示されるサムネイルデータ(中サイズのサムネイルデータG3)とが比較され、データサイズが一致するサムネイルデータがあるか否かが判別される。この場合、中サイズのサムネイルデータG3が一致するサムネイルデータ、すなわち重なりあうサムネイルデータと判別される。
【0092】
ステップS51において、遷移前と遷移後とで重なりあうサムネイルデータがないと判別された場合(ステップS51;NO)、画面遷移処理は終了される。ステップS51において、遷移前と遷移後とで重なりあうサムネイルデータがあると判別された場合(ステップS51;YES)、転送中処理があるか否かが判別される(ステップ52)。具体的には、第2の画像形成装置2から第1の画像形成装置へサムネイルデータの送信、すなわちサムネイルデータの転送が実行されているか否かが判別される。例えば、ジョブリスト表示画面H2からジョブチケット編集表示画面H3への画面遷移において、ジョブチケット編集表示画面H3で表示される中サイズのサムネイルデータG3に係るジョブ、すなわちジョブチケット編集表示画面H3で表示される中サイズのサムネイルデータG3を含むジョブと、ジョブリスト表示画面H2で表示される中サイズのサムネイルデータG3に係るジョブ、すなわちジョブリスト表示画面H2で表示される中サイズのサムネイルデータG3を含むジョブとが同一ジョブであって、且つ、ページ番号が同一である場合、中サイズのサムネイルデータG3はジョブチケット編集表示画面H3を表示する際、既に第1の画像形成装置1の記憶部17に記憶されている。このため、第1の画像形成装置1は第2の画像形成装置2から中サイズのサムネイルデータG3を受信する必要はない。この場合、サムネイルデータの受信は実行されないので、本ステップではNOと判別される。
【0093】
ステップS52で転送中処理ありと判別される場合は、重なりあうサムネイルデータのうち、第2の画像形成装置2からサムネイルデータを受信する必要がある場合である。例えば、ジョブチケット編集表示画面H3のページ送りボタンB2がユーザにより押下されると、2ページ目の中サイズのサムネイルデータを表示するために、第1の画像形成装置1は2ページ目の中サイズのサムネイルデータを第2の画像形成装置2から受信する必要がある。この場合、本ステップではYESと判別される。
【0094】
ステップS52において、転送中処理なしと判別された場合(ステップS52;NO)、画面遷移処理は終了される。ステップS52において、転送中処理ありと判別された場合(ステップS52;YES)、ジョブに含まれるジョブ情報が参照され、現在と同じジョブであるか否かが判別される(ステップS53)。ステップS53において、現在と同じジョブでないと判別された場合(ステップS53;NO)、画面遷移処理は終了される。ステップS53において、現在と同じジョブと判別された場合(ステップS53;YES)、表示単位の転送が継続される(ステップS54)。例えば、2ページ目の中サイズのサムネイルデータの転送が継続される。ステップS54の実行後、画面遷移処理は終了される。
【0095】
以上、本実施の形態によれば、ジョブチケット編集表示画面H3を表示する際、中サイズのサムネイルデータG3が既に第1の画像形成装置1の記憶部17に記憶されている場合、第1の画像形成装置1において中サイズのサムネイルデータG3の受信は実行されない。このため、サムネイルデータの無駄な転送が実行されることを防ぐことができる。
【0096】
なお、上記説明してきた画像形成システム100は、2台の画像形成装置1、2を直列に接続して構成されるとしたがこれに限らず、複数台の画像形成装置を直列に接続して構成されるとしてもよい。
図14に、4台の画像形成装置1〜4を直列に接続して構成される画像形成システム102を示す。画像形成システム102では、例えば第1の画像形成装置において用紙の表面左側を印刷し、第2の画像形成装置2において用紙の表面右側を印刷し、その後反転機構R1により用紙を反転させ、第3の画像形成装置3において用紙の裏面左側を印刷し、第4の画像形成装置4において用紙の裏面右側を印刷する。本発明によれば、こうした構成の直列タンデム方式の画像形成システムにおいても、それぞれの画像形成装置で生成したサムネイルデータを何れか一の画像形成装置(例えば、第1の画像形成装置1)に転送することで、サムネイルデータを第1の画像形成装置1の操作表示部14に表示することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 第1の画像形成装置
2 第2の画像形成装置
10 第1の制御部
11 第1のコントローラ
12 第1のサムネイル生成部
13 サムネイル一時記憶部
14 操作表示部
15 スキャナ部
16 画像処理部
17 第1の記憶部
12A 画像形成部
19 通信部
20 第2の制御部
21 第2のコントローラ
22 第2のサムネイル生成部
23 画像処理部
24 第2の記憶部
22A 画像形成部
100,101,102 画像形成システム
B1 虫眼鏡ボタン
B2 ページ送りボタン
B3 チケット編集ボタン
H1 ページ編集表示画面
H2 ジョブリスト表示画面
H3 ジョブチケット編集表示画面
K1 サムネイル管理表
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された複数の画像形成装置の何れか又は全部を用いて、用紙に対して印刷処理する直列タンデム方式の画像形成システムであって、
前記複数の画像形成装置の何れか又は全部のぞれぞれで、印刷用画像データ及び該印刷用画像データに対応するサムネイルデータを分担して記憶し、前記複数の画像形成装置のうち何れかの画像形成装置の表示部でサムネイルデータを表示する際、前記何れかの画像形成装置とは異なる他の画像形成装置で記憶されたサムネイルデータを、前記他の画像形成装置から前記何れかの画像形成装置に転送する画像形成システム。
【請求項2】
前記何れかの画像形成装置の表示部でサムネイルデータを表示する際、該表示に必要なサムネイルデータのうち、前記他の画像形成装置で記憶されたサムネイルデータを前記他の画像形成装置から前記何れかの画像形成装置へ転送する請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記何れかの画像形成装置は、第1のコントローラと、第1の制御部と、第1の通信部と、第1の記憶部と、表示部と、を備え、
前記第1のコントローラは、PDLデータを受信し、該受信したPDLデータから印刷用画像データを生成し、該生成した印刷用画像データを前記第1の制御部に送信し、
前記第1の制御部は、前記第1のコントローラから送信された印刷用画像データを受信し、該受信した印刷用画像データに基づいてサムネイルデータを生成し、該生成したサムネイルデータを前記第1の記憶部に記憶し、一方で、前記第1の通信部によりサムネイルデータを受信し、前記記憶したサムネイルデータ及び前記受信したサムネイルデータを前記表示部に表示する制御を行い、
前記他の画像形成装置は、第2のコントローラと、第2の制御部と、第2の通信部と、第2の記憶部と、を備え、
前記第2のコントローラは、PDLデータを受信し、該受信したPDLデータから印刷用画像データを生成し、該生成した印刷用画像データを前記第2の制御部に送信し、
前記第2の制御部は、前記第2のコントローラから送信された印刷用画像データを受信し、該受信した印刷用画像データに基づいてサムネイルデータを生成し、該生成したサムネイルデータを前記第2の記憶部に記憶し、該記憶したサムネイルデータを前記第2の通信部により前記第1の通信部に転送する制御を行う請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記第1のコントローラは、用紙の表面に係るPDLデータを受信し、該受信したPDLデータから表面の印刷用画像データを生成し、該生成した印刷用画像データを前記第1の制御部に送信し、
前記第1の制御部は、前記第1のコントローラから送信された表面の印刷用画像データを受信し、該受信した印刷用画像データに基づいて表面のサムネイルデータを生成し、該生成した表面のサムネイルデータを前記第1の記憶部に記憶し、一方で、前記第1の通信部により裏面のサムネイルデータを受信し、前記記憶した表面のサムネイルデータ及び前記受信した裏面のサムネイルデータを前記表示部に表示する制御を行い、
前記第2のコントローラは、用紙の裏面に係るPDLデータを受信し、該受信したPDLデータから裏面の印刷用画像データを生成し、該生成した裏面の印刷用画像データを前記第2の制御部に送信し、
前記第2の制御部は、前記第2のコントローラから送信された裏面の印刷用画像データを受信し、該受信した裏面の印刷用画像データに基づいて裏面のサムネイルデータを生成し、該生成した裏面のサムネイルデータを前記第2の記憶部に記憶し、該記憶した裏面のサムネイルデータを前記第2の通信部により前記第1の通信部に転送する制御を行う請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記何れかの画像形成装置は、
前記受信したサムネイルデータを一時記憶するサムネイル一時記憶部を備え、
前記第1の制御部は、
前記何れかの画像形成装置において前記第1の記憶部へのアクセス処理が実行されているか否かを判別し、前記第1の記憶部へのアクセス処理が実行されていないときに、前記サムネイル一時記憶部に記憶されたサムネイルデータを前記第1の記憶部に記憶する請求項3又は4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記何れかの画像形成装置は、
前記サムネイルデータのデータサイズと、前記表示部に表示される表示画面とが関連付けられたサムネイル管理表を記憶するサムネイル管理表記憶部を備え、
前記第1の制御部は、
前記表示画面の画面遷移が実行される場合、前記サムネイル管理表記憶部に記憶されたサムネイル管理表に基づいて、画面遷移前の表示画面に含まれるサムネイルデータのデータサイズと、画面遷移後の表示画面に含まれるサムネイルデータのデータサイズとが一致するか否かを判別し、一致する場合、該一致するサムネイルデータに係るジョブが同じであり、且つ、該一致するサムネイルデータのページ番号がそれぞれ同じであるとき、該一致するサムネイルデータを前記第1の通信部により受信しない請求項3から5のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記第1の制御部は、
前記記憶したサムネイルデータと前記受信したサムネイルデータとをページ順に配列し、該配列したサムネイルデータを前記表示部に表示する制御を行う請求項3から6のいずれか一項に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−101400(P2012−101400A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250488(P2010−250488)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】