説明

画像形成システム

【課題】両面画像形成中にジャム発生等のため連続紙の掛け直しを行った後に画像形成を再開する場合でも、操作者に負担をかけずに用紙の無駄を低減する
【解決手段】連続紙Rの第1面に画像形成する第1エンジン130と、連続紙Rの第2面に画像形成する第2エンジン140とをタンデムに配置して印刷を行う画像形成システム100において、両面印刷ジョブに係る印刷を実行中にジャムが発生して両面印刷ジョブが中断し、その後印刷を再開する際に、掛け直された連続紙Rに対して第2エンジン140が片面印刷ジョブに係る印刷を開始するとともに、その開始された片面印刷ジョブに係るページ数が第1エンジン130と第2エンジン140との間にある搬送路上のページ数以下になった時点で、中断されている両面印刷ジョブに係る印刷を再開するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タンデムに配置した2台の画像形成装置によりそれぞれ連続紙の異なる面に画像を形成することにより両面画像形成を行う画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、片面印刷用の画像形成装置を2台タンデムに配置して画像形成システムを構成することが知られている。
そして、このような画像形成システムにて両面印刷を行う場合、第1画像形成装置で連続紙の表面に画像を形成した後、第1画像形成装置と第2画像形成装置との間にある用紙反転装置により連続紙の表裏を反転させて、第2画像形成装置にて連続紙の裏面に画像を形成することが広く行われている。
【0003】
ここで、このような画像形成システムにおいては、用紙反転のためもあり、第1画像形成装置と第2画像形成装置との間に無視できない長さの搬送路を設けることとなり、このため画像形成開始時に第1画像形成装置と第2画像形成装置とに用紙を掛け渡す際等に、用紙の無駄が生じていた。そして、このような用紙の無駄を削減するために様々な関連技術が既に提案されている。
例えば、特許文献1には、片面印刷を行う場合、印刷した用紙が1台目のプリンタの転写終了位置にある場合、1台目プリンタから印刷を行い、印刷した用紙が2台目のプリンタの転写終了位置にある場合、または印刷した用紙が転写終了位置にない場合には、2台目のプリンタから印刷を行うようにすることが提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、印刷開始時に、まず第1プリンタのみに用紙をセットして第1プリンタで連続紙のおもて面に印刷を開始し、第2プリンタに連続紙をローディングするのに適当な量を印刷した時点で、第1プリンタの印刷を停止し、第2プリンタに連続紙をセットして第2プリンタによる裏面の印刷を開始させることが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の画像形成システムで両面画像形成を実行中に連続紙のジャムが発生すると、ジャム部分を取り除いて連続紙を第1画像形成装置と第2画像形成装置との間に掛け直す必要がある。
そして、従来は、その掛け直した連続紙のうち、第1画像形成装置と第2画像形成装置間の用紙搬送路上であって第1プリンタの転写位置より搬送方向下流側にある部分には、第1画像形成装置による印刷ができないため、両面印刷ジョブの実行中にジャムが発生すると、リカバリ印刷の際にこの部分の用紙が無駄になってしまうという問題があった。
【0006】
この点、特許文献1には、上記問題を解消するための手段は記載されていない。
また、特許文献2に記載の技術を用いたとしても、第1プリンタにより適当な量を印刷した後で第2プリンタに連続紙をセットする場合、印刷済み用紙をセットする必要があるため、白紙をセットする場合と比べてより注意を要する作業となる。そして、万が一用紙が汚損や破損してしまうと、第1プリンタで最初から印刷をやり直さなければならず二度手間が生じてしまう。
さらに、オペレータは、第2プリンタに連続紙をセットするまでプリンタの側から離れることができず、ジャム発生時に第1プリンタと第2プリンタにはじめから連続紙をセットし直す場合と比べると、逆にオペレーションの効率が悪くなってしまうという問題もあった。
【0007】
そこで、この発明は、このような問題を解決し、画像形成装置を2台タンデムに配置した画像形成システムにおいて、両面画像形成中にジャム発生等のため連続紙の掛け直しを行った後に画像形成を再開する場合でも、操作者に負担をかけずに用紙の無駄を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、この発明による画像形成システムは、連続シートの第1面に画像形成する第1画像形成装置と、上記連続シートの第2面に画像形成する第2画像形成装置とをこの順でタンデムに配置した画像形成システムであって、上記第1画像形成装置及び第2画像形成装置が両面画像形成ジョブに係る画像形成を実行中にその両面画像形成ジョブが中断され、その後掛け直された連続シートに対して画像形成を再開する際に、上記両面画像形成ジョブの他に実行すべき片面画像形成ジョブがあれば、上記第2画像形成装置がその片面画像形成ジョブに係る画像形成を開始し、その開始した片面画像形成ジョブに係る画像形成に必要な残りシート長が上記第1画像形成装置と上記第2画像形成装置との間の連続シートの搬送路長以下になった場合に、上記第1画像形成装置が中断されている上記両面画像形成ジョブに係る画像形成を再開するようにしたものである。
【0009】
また、上記画像形成システムにおいて、上記第2画像形成装置が、その第2画像形成装置に供給される連続シートの第1面に画像形成済みか否かを検出する検出手段を備え、上記両面画像形成ジョブが中断され、その後掛け直された連続シートに対して画像形成を再開する際に、実行すべき片面画像形成ジョブがあった場合、上記第2画像形成装置は、上記検出手段が第1面に画像形成済みであることを検出すると、未画像形成部分が上記第2画像形成装置に供給されるまで紙送りを行い、その未印刷部分から上記片面画像形成ジョブに係る画像形成を開始するようにするとよい。
【0010】
また、上記画像形成システムにおいて、上記第2画像形成装置が、その第2画像形成装置に供給される連続シートの第1面に画像形成済みか否かを検出する検出手段と、上記両面画像形成ジョブが中断され、その後掛け直された連続シートに対して画像形成を再開する際に、上記検出手段が第1面に画像形成済みであることを検出すると、ユーザにその旨を通知する通知手段とを備えるようにするとよい。
【0011】
また、上記画像形成システムにおいて、上記第1画像形成装置に、上記両面画像形成ジョブが中断された場合、又はその後掛け直された連続シートに対して画像形成を再開する際に、その第1の画像形成装置が保持している実行すべき片面印刷ジョブを上記第2画像形成装置に転送する転送手段を設けるようにするとよい。
【0012】
また、上記画像形成システムにおいて、上記両面画像形成ジョブが中断され、その後掛け直された連続シートに対して画像形成を再開する際に、上記片面画像形成ジョブを上記第2画像形成装置に実行させるか否かを設定する設定手段と、上記設定手段が上記片面画像形成ジョブを実行させない旨の設定をしている場合、上記両面画像形成ジョブが中断され、その後掛け直された連続シートに対して画像形成を再開する際に、直ちに上記第1画像形成装置が中断されている上記両面画像形成ジョブに係る画像形成を再開するようにするとよい。
【0013】
また、上記画像形成システムにおいて、上記第1画像形成装置に、実行すべき片面印刷ジョブを受け付けた場合、上記設定手段が上記片面画像形成ジョブを実行させる旨の設定をしている場合には、その片面印刷ジョブをコピーして上記第2画像形成装置に転送する転送手段を設けるようにするとよい。
【発明の効果】
【0014】
この発明による画像形成システムによれば、画像形成装置を2台タンデムに配置した画像形成システムにおいて、両面画像形成中にジャム発生等のため連続紙の掛け直しを行った後に画像形成を再開する場合でも、操作者に負担をかけずに用紙の無駄を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の画像形成システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示した第1プリンタコントロールユニットが受信した印刷ジョブの蓄積状態を示す図である。
【図3】図1に示した画像形成システムの第1エンジンにてジャムが発生した状態と連続紙を掛け直した状態とを模式的に示す図である。
【図4】同じく第2エンジンにてジャムが発生した状態と連続紙を掛け直した状態とを模式的に示す図3と対応する図である。
【図5】ホスト装置から印刷ジョブを受信した場合に図1に示した画像形成システムにおける第1プリンタコントローラのCPUが実行する処理のフローチャートである。
【図6】両面印刷ジョブに係る印刷を実行する場合に図1に示した画像形成システムにおける第1プリンタコントローラのCPUが実行する処理のフローチャートである。
【図7】図6において第1エンジン側でジャムが発生した場合の処理の続きを示すフローチャートである。
【図8】図6において第2エンジン側でジャムが発生した場合の処理の続きを示すフローチャートである。
【図9】図7又は図8における処理の続きを示すフローチャートである。
【図10】図7又は図8における処理の続きを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、この発明の画像形成システムの一実施形態を、その画像形成システムにジョブを送信するホスト装置と共に示した概略構成図である。
図1に示すように、この画像形成システム100は、第1及び第2プリンタコントロールユニット110,120と第1及び第2エンジン130,140と用紙反転装置150とを備えている。これらのうち第1プリンタコントロールユニット110と第1エンジン130が第1画像形成装置を、第2プリンタコントロールユニット120と第2エンジン140が第2画像形成装置を構成する。
【0017】
第1プリンタコントロールユニット110は、第1プリンタコントローラ111、オペレータパネル113及びHDD(ハードディスクドライブ)114を備える。
このうち第1プリンタコントローラ111は、CPU,ROM,RAM等を備える制御手段であり、ホスト装置200からネットワーク300を介して送信される印刷ジョブを受信、解析及び展開するとともに、第1エンジン130による印刷ジョブの実行を制御する。また、オペレータパネル113の表示制御も行う。
【0018】
また、第1プリンタコントローラ111は、両面印刷ジョブに係る印刷を実行中にジャムが発生した場合に、両面印刷ジョブの再開に先立って片面印刷ジョブに係る印刷を第2画像形成装置が開始するか否かを設定するための片面印刷優先モード設定部112を含んでいる。
この片面印刷優先モード設定部112の設定は、オペレータによるオペレータパネル113からの設定やホスト装置200からの設定指示によりON又はOFFを任意に設定できるものとする。
【0019】
オペレータパネル113は、液晶ディスプレイ等による表示手段と、タッチパネルあるいはボタン等の操作手段とを備えるものであり、画像形成システム100の状態をオペレータに画面表示で通知したり、ユーザからの操作を受け付けたりする。
HDD114は、記憶手段であり、第1プリンタコントローラ111が印刷制御を行うために用いるプリンタコントローラソフトウェアや必要に応じて受信した印刷ジョブに係る印刷データ(展開した印刷データ及び未展開の印刷データなど)を保存する。
【0020】
また、第1エンジン130は、第1プリンタコントローラ111と専用インタフェースケーブルで接続され、画像形成部131、給紙部132及びマークセンサ133を備える。
このうち画像形成部131は、連続シートである連続紙Rの一つの面(おもて面)に、印刷ジョブに係る画像を形成する、感光体ドラム、書き込み部、現像部、転写ローラ等からなる電子写真方式の画像形成手段である。画像形成手段の連続紙搬送方向下流側には図示しない定着装置が設けられている。
給紙部132は、連続紙Rを載置し、画像形成部131へ供給する。この連続紙Rは、ミシン目で折り曲げるものでも、ロール紙でも、その他のタイプでもよい。
【0021】
マークセンサ133は、画像形成部131に供給される連続紙Rが画像形成済みであるか否かを検出するための検出手段である。連続紙Rのおもて面と裏面に対応して2つのマークセンサ133を設けている。
なお、画像形成部131(後述する画像形成部141も含む)においては、用紙に画像を形成する際、所要の画像に加え、その端部の所定の位置にマークを形成するようにしている。そして、マークセンサ133は、このマークの有無により、用紙の各面に画像が形成されているか否かを検出することができる。
【0022】
例えばページ毎にミシン目が入った連続紙を用いる場合、連続紙の幅方向の両端にはプリンタエンジンの搬送部にセットするためのトラクタ穴が設けられている。通常この両端の部位は印刷禁止領域ではあるものの、微小な○(半径2mmほどの)等のマーク(以下、このマークを「Zマーク」という)を印刷することは可能である。そこで、このZマークを印刷済みであることを示すマークとして利用することができる。
そして例えば、連続紙RのあるページにZマークがある場合、それをマークセンサ133が読取って検知することによりセンサ値=1となるようにし、Zマークがなければセンサ値=0となるようにすることができる。
【0023】
次に、第2プリンタコントロールユニット120は、第2プリンタコントローラ111及びHDD(ハードディスクドライブ)122を備える。
このうち第2プリンタコントローラ121は、CPU,ROM,RAM等を備える制御手段であり、第1プリンタコントローラ111と専用インタフェースケーブルで接続され、第1プリンタコントローラ111から受信した印刷ジョブを解析及び展開するとともに、第2エンジン140による印刷ジョブの実行を制御する。
HDD122は、記憶手段であり、第2プリンタコントローラ121が印刷制御を行うために用いるプリンタコントローラソフトウェアや必要に応じて受信した印刷ジョブに係る印刷データ(展開した印刷データ及び未展開の印刷データなど)を保存する。
【0024】
なお、画像形成システム100においては、第2エンジン140に実行させる印刷ジョブ(両面印刷ジョブの裏面の画像形成に係るものも含む)も、第1プリンタコントローラ110がホスト装置200から受信して第2プリンタコントローラ121に転送する。また、ユーザからの操作受付やユーザに対する表示は第1プリンタコントロールユニット110が担当することとし、第2プリンタコントロールユニット120にはオペレータパネルは設けていない。そして、ユーザの操作や自動制御に従って第2エンジン140あるいは第2プリンタコントローラ121に動作を実行させる場合、そのために必要なデータや命令は第1プリンタコントローラ111から第2プリンタコントローラ121へ送信する。また、第2プリンタコントローラ121から第1プリンタコントローラ111に対し、ユーザへの通知や自動制御に必要なデータを能動的に送信する場合もある。なお、本実施例では第2プリンタコントロールユニット120にはオペレータパネルを設けていないが、第2プリンタコントロールユニット120側にもオペレータパネル有する構成であっても勿論構わない。その場合、一方のオペレータパネルからもう片方のオペレータパネルを遠隔制御させたり、同じ画面を表示させ、いずれからの入力も同じように受け入れる構成としてもよい。
【0025】
また、第2エンジン140は、第2プリンタコントローラ121と専用インタフェースケーブルで接続され、画像形成部141、排紙部142及びマークセンサ143を備える。
このうち画像形成部141は、連続シートである連続紙Rの一つの面(裏面)に、印刷ジョブに係る画像を形成する、感光体ドラム、書き込み部、現像部、転写ローラ等からなる電子写真方式の画像形成手段である。画像形成手段の連続紙搬送方向下流側には図示しない定着装置が設けられている。
この画像形成部141は、第1エンジン130の画像形成部131と同じ構造でよいが、画像形成部131による画像形成後に用紙反転装置150により表裏が反転された用紙が供給されるため、画像形成部131とは反対側の面に画像を形成することになる。
【0026】
排紙部142は、画像形成部141により画像が形成された用紙を排出して載置する場所である。
マークセンサ143は、画像形成部141に供給される連続紙Rが画像形成済みであるか否かを検出するための検出手段である。その機能は第1エンジン130におけるマークセンサ133と同様である。
【0027】
このような画像形成システム100においては、第1及び第2プリンタコントローラ111,121がそれぞれ、HDD114及び122に保存されているプリンタコントローラ用ソフトウェアを実行することにより、以下に説明するジャム発生時の動作を始めとして、協働して画像形成システム100の動作を制御することができる。
この実施形態において特徴的な点の一つは、両面印刷ジョブの実行中にジャムが発生した場合のリカバリ印刷(中断されたジョブの再開)に関する動作であるので、以下、この点について説明する。
【0028】
まず、画像形成システム100においては、第1プリンタコントローラ110は、ホスト装置200から送信されてくる印刷ジョブのうち、すぐに実行できないもの(又はすぐに実行する必要のないもの)を蓄積しておくことができる。
この蓄積のために、HDD114の記憶領域の一部に図2に示すような受信ボックスを設け、ホスト装置200よりネットワーク300を介して第1プリンタコントローラ111が受信した印刷ジョブは、受信順に受信ボックスに保存される。この印刷ジョブには、両面印刷ジョブの他に片面印刷ジョブもあるが、基本的には受信順に蓄積していけばよい。
【0029】
図2には、最初に両面印刷ジョブ(1)を受信後、次に両面印刷ジョブ(2)を受信し、その次に片面印刷ジョブ(1)を受信するといった具合に順番に矢印の順序でジョブが蓄積された状態を示している。
また、蓄積されたジョブを実行する場合、それが両面印刷ジョブであれば、おもて面の印刷は第1エンジン130が担当するが、裏面の印刷は第2エンジン140が担当するため、裏面の印刷実行に必要なデータは第2プリンタコントローラ121に転送する。これは、ジョブの実行を開始するタイミングあるいはその少し前に行ってもよいし、ジョブが蓄積された時点で行ってしまっても良い。後者の場合には、第2プリンタコントロールユニット121の側でも図2に示すような受信ボックスを設けてジョブを蓄積しておくことになる。また、ジョブのデータ全てをコピーして第2プリンタコントローラ121に転送してしまってもよい。
【0030】
片面印刷ジョブを実行する場合には、その実行を第1エンジン130が担当するのであれば、第2プリンタコントローラ121への転送は不要である。しかし、後述のように第2エンジン140に担当させる場合には、同様に印刷実行に必要なデータを第2プリンタコントローラ121に転送する。
【0031】
次に、この画像形成システム100における、両面印刷ジョブの実行中にジャムが発生した場合のリカバリ印刷の動作の概略を、図3及び図4を用いて説明する。
まず、図3に第1エンジン130においてジャムが発生した場合の例を示す。(a)がジャムが発生時の状態(a)であり、(b)が連続紙Rを掛け直した状態である。
【0032】
図においては、説明の便宜上、連続紙Rのおもて面(S面)と裏面(D面)双方の状態が分かり易いように両面の状態を別々に図示している。また、連続紙のうち実線ハッチングの部分は印刷済みページを表わしており、このページには併せて黒塗りの楕円形状で表わされるZマークも印刷される。また、破線ハッチングの部分は、片面印刷優先モードを使用しない場合(従来のような動作を行った場合)に片面印刷優先モードを使用した場合と比べて余分に無駄になる未印刷のページを示す。
【0033】
両面印刷実行中に、第1エンジン130においてジャムが発生すると、例えば図3(a)の破線Aで囲まれた部分(Sm−1,S,Sm+1及びDm−1,D,Dm+1)にある連続紙Rの3ページ分が、シワ等により印刷できない状態となってしまう(S及びDが、画像形成部131の位置にあるとする)。そしてこのため、破線Aで囲まれた部分を除去し、連続紙Rを第1エンジン130と第2エンジン140に掛け直した後にリカバリ印刷を実行する必要がある。
【0034】
具体的には、例えばオペレータが破線Aで囲まれた部分をミシン目に沿って切り取った上で、第1エンジン130の画像形成部131から取り除き、その後、連続紙Rの破線Aで囲まれた部分より搬送方向下流側を、第2エンジン140にて紙送りを行って、第2エンジン140の排紙部142から取り出して回収する。そして、破線Aで囲まれた部分の搬送方向上流側にある未印刷の連続紙Rは、新たに第1エンジン130の画像形成部131にセットし直す。そしてさらに、オペレータパネル113に設けられた図示しないフィードスイッチを押し、用紙反転装置150を通して第2エンジン140へ到達するのに足りる長さの連続紙Rを繰り出した後、それを手動で第2エンジン140にセットすればよい。
【0035】
このようにして、ジャム発生後に連続紙Rを第1エンジン130と第2エンジン140に掛け直すと(b)の状態になる。つまり、第1エンジン130と第2エンジン140に共に未印刷の用紙が掛け直されることになる。(b)に示すS等は、(a)に示したジャム箇所の用紙が切り離されずに送られたとした場合に(b)の時点で到達する位置を示す。
そして、この状態でただちに両面印刷ジョブのリカバリ印刷を開始すると、第1エンジン130がおもて面の印刷を行いつつ用紙を送り、最初におもて面に印刷が行われた箇所が第2エンジン140の画像形成部141に到達した時点で、第2エンジン140が裏面の印刷を開始する。
【0036】
従って、連続紙Rのうち除去した箇所から、掛け直し時に第1エンジン130で印刷の可能な箇所までのページには、印刷は行われず、単に用紙送りされるだけであり、この部分は無駄紙となる。
しかし、画像形成システム100においては、片面印刷優先モードを使用する場合、両面印刷ジョブのリカバリ印刷を行う際に、他に実行すべき片面印刷ジョブがあれば、第2エンジン140に、先にその片面印刷ジョブを実行させる。
【0037】
従って、片面印刷ジョブが十分な量の印刷を行うものである場合には、第2エンジン140の転写位置よりも搬送方向上流側の位置の用紙を、有効に活用することができる。すなわち、図3(b)で斜線ハッチングを付した符号Bで示す箇所の用紙は、片面印刷優先モードを使用しない場合には無駄紙となるところ、片面印刷優先モードを使用する場合には有効に活用できる、ということになる。
【0038】
また、片面印刷優先モードにおいてリカバリ印刷を行う際に片面印刷ジョブを実行させた場合、リカバリ印刷は、片面印刷ジョブに係る印刷に必要な残りページ数が、第1エンジン130の画像形成部131と第2エンジン140の画像形成部141との間の連続紙Rの搬送路長と対応するページ数以下になった時点で、第1エンジン130が開始する。
この時点でリカバリ印刷を開始すると、ちょうど片面印刷ジョブに係る印刷が終わる時点で、第1エンジン130がおもて面に画像を形成したページが第2エンジン140に到達し、片面印刷ジョブの完了後、用紙を無駄にすることなくリカバリ印刷に移行することができる。
【0039】
次に、図4に第2エンジン140においてジャムが発生した場合の例を、図3と同様に示す。
両面印刷実行中に、第2エンジン140においてジャムが発生すると、例えば図4(a)の破線Cで囲まれた部分(Sn−1,S,Sn+1及びDn−1,D,Dn+1)にある連続紙Rの3ページ分が、シワ等により印刷できない状態となってしまう(S及びDが、画像形成部141の位置にあるとする)。そしてこのため、破線Cで囲まれた部分を除去し、連続紙Rを第2エンジン140に掛け直した後にリカバリ印刷を実行する必要がある。
【0040】
具体的には、例えばオペレータが破線Cで囲まれた部分をミシン目に沿って切り取った上で、第2エンジン140の画像形成部141から取り除き、その後、連続紙Rの破線Cで囲まれた部分より搬送方向上流側を、第1エンジン130にて紙送りを行って、第2エンジン140へ到達するのに足りる長さの連続紙Rを繰り出した後、それを手動で第2エンジン140にセットすればよい。
ただしこのとき、既に第1エンジン130においておもて面に印刷がなされたページを第2エンジン140にセットする場合と、おもて面に印刷がなされたページは破棄して未印刷の用紙を第2エンジン140にセットする場合とがある。
【0041】
後者の場合は掛け直し後は結果的に上述の図3(b)の例と同じ状態になる(ただしS等のページは除く)が、前者の場合には、掛け直し後の用紙の状態は、図4(b)に示すようになる。図4(b)に示すS等は、図4(a)に示したジャム箇所の用紙が切り離されずに送られたとした場合に図4(b)の時点で到達する位置を示す。
そして、この状態でただちに両面印刷ジョブのリカバリ印刷を開始すると、図3の例の場合と同様、連続紙Rのうち除去した箇所から、掛け直し時に第1エンジン130で印刷の可能な箇所までのページには、画像は形成されず、単に用紙送りされるだけとなる。
【0042】
また、片面印刷優先モードを使用する場合、図3の例の場合と同様、両面印刷ジョブのリカバリ印刷を行う際に、他に実行すべき片面印刷ジョブがあれば、第2エンジン140に、先にその片面印刷ジョブを実行させる。ただし、図4の例では、直ちに片面印刷ジョブを開始したのでは、おもて面に印刷がなされたページの裏面に印刷を行ってしまうことになる。
そこで、第2エンジン140は、マークセンサ143により連続紙Rのおもて面に印刷がなされているか否かを検出し、おもて面に印刷がなされている場合には裏面に印刷を行わずに紙送りを行い、おもて面に印刷がなされていないページから、片面印刷ジョブに係る印刷を開始する。リカバリ印刷の開始タイミングについては、図3の例の場合と同様である。
【0043】
このような動作により、図4(b)で斜線ハッチングを付した符号Dで示す箇所の用紙は、片面印刷優先モードを使用しない場合には無駄紙となるところ、片面印刷優先モードを使用する場合には片面印刷ジョブの実行により有効に活用できる、ということになる。符号Eで示す箇所については、片面印刷優先モードを使用してもしなくても無駄になるが、これはやむを得ない。
【0044】
次に、上述した印刷動作を実行するために第1プリンタコントローラ111及び第2プリンタコントローラ121が実行する処理について説明する。
まず、図5に、ホスト装置1から印刷ジョブを受信した場合に画像形成システム3における第1プリンタコントローラ111のCPUが実行する処理のフローチャートを示す。
【0045】
第1プリンタコントローラ111のCPUは、ホスト装置200から印刷ジョブを受信した場合に、図5のフローチャートに示す処理を開始する。
そしてまず、ホスト装置200からネットワーク300を介して印刷ジョブのデータを受信して図2に示した受信ボックスに蓄積する(S101)。その後、その受信した印刷ジョブが片面印刷ジョブか否か判断する(S102)。そして、片面印刷ジョブでなければ(S102のNo方向)、すなわち両面印刷ジョブであれば、そのまま処理を終了する。
【0046】
一方、片面印刷ジョブであれば(S102のYes方向)、片面印刷優先モード設定部112にアクセスして、片面印刷優先モードの設定がONか否か判断する(S103)。そして、その設定がONとなっている場合(S103のYes方向)、ステップS101で保存した片面印刷ジョブのコピーを第2プリンタコントローラ121に転送する(S104)。一方、片面印刷優先モードの設定がOFFの場合(S103のNo方向)、そのまま処理を終了する。
以上の処理により、受信したジョブを受信ボックスに蓄積すると共に、片面印刷優先モードの設定がONの場合に、第2エンジン140での片面印刷ジョブの実行に備え、実行に必要な片面印刷ジョブのデータを第2プリンタコントローラ121に転送することができる。
【0047】
次に、図6乃至図10に、両面印刷ジョブを実行する場合に第1プリンタコントローラ111及び第2プリンタコントローラ121が実行する処理のフローチャートを示す。
第1プリンタコントローラ111のCPUは、図2に示した受信ボックスに両面印刷ジョブが蓄積され、そのジョブの実行を開始できる状態になる(より優先度の高いジョブの実行が全て終了する)と、図6のフローチャートに示す処理を開始する。
【0048】
そして、その両面印刷ジョブの印刷処理を実行する(S201)。より具体的には、両面印刷ジョブに係る印刷データのうち第2エンジン140で印刷を行う必要のある裏面のデータをコピーして第2プリンタコントローラ121に転送すると共に、おもて面のページ展開処理を行ってその展開後の画像データを第1エンジン130に供給し、第1エンジン130に、その画像データに基づく画像を連続紙Rのおもて面に形成させる。また、第2プリンタコントローラ121には、転送した裏面のデータに基づき第2エンジン140を制御させ、連続紙Rの裏面に、おもて面の画像と位置合わせして画像を形成させる。以上を両面印刷ジョブにより規定される全ページ分行うと、両面印刷ジョブの終了となる。
【0049】
第1プリンタコントローラ111のCPUは、上記の両面印刷ジョブの実行中、S202とS203の処理を繰り返し行っており、用紙ジャムが発生せずに(S203のNo方向)、両面印刷ジョブに係る印刷が完了すると(S202のYes方向)、処理を終了する。なお、印刷が完了したタイミングで、第1プリンタコントローラ110及び第2プリンタコントローラ130は、それぞれ完了した両面印刷ジョブのデータを破棄する。
【0050】
一方、印刷途中で用紙ジャムが発生した場合には、第1エンジン130側でジャムが発生すると図7のステップS210に進み、第2エンジン140側でジャムが発生すると図8のステップS220に進む。
これらのうち、第1エンジン130側でジャムが発生した場合の処理についてまず説明する。
この場合、まず実行中のジョブを中断すると共に、オペレータパネル113に用紙ジャムが発生した旨を知らせるメッセージを表示する(S210)。そして、片面印刷優先モードの設定がONか否か判断する(S211)。
【0051】
ここで片面印刷優先モードの設定がONになっている場合、ステップS212に進んで受信ボックスに蓄積されたジョブの中に片面印刷ジョブが存在するか否か判断する。片面印刷ジョブが存在する場合は(S212のYes方向)、その片面印刷ジョブをリカバリ印刷に先立って第2エンジン140に実行させるべく、ステップS213に進む。なお、片面印刷優先モードの設定がONになっている場合には、片面印刷ジョブが存在すれば、そのジョブは図5のステップS104の処理で第2プリンタコントローラ120に転送されているはずである。
【0052】
次に、ステップS213においては、第1プリンタコントローラ111のCPUは、第2プリンタコントローラ121にステップS212で確認した片面印刷ジョブの実行準備を指示すると共に、オペレータに対し、両面印刷ジョブのリカバリ印刷前に片面印刷ジョブを実行する旨の通知を行う。
この通知方法としては、オペレータパネル113への表示、第1プリンタコントローラ111からホスト装置200へのメール送信による通知、および片面印刷を優先する旨を知らせる1ページの文書を第2エンジン140にて印刷させる(第2プリンタコントローラ121にこの印刷を指示する)こと等が考えられる。
また、ジョブの実行準備を指示された第2プリンタコントローラ121は、そのジョブに係る画像データの展開等、ジョブの実行準備の処理を行う。
【0053】
そして、続くステップS214において、第1プリンタコントローラ111のCPUは、オペレータによる連続紙Rの掛け直し処理が終了し、オンライン印刷可能か否か(オンライン状態になったか否か)判断する。印刷可能かどうかの判断は、第1及び第2プリンタコントローラ111,121で、各種エンジン内センサ及びコントローラの制御でエラーが無い状態であるかで判断する。オンライン印刷可能でない場合は(S214のNo方向)、ステップS214に戻ってオンライン印刷が可能になるまでこの処理を繰り返し、オンライン印刷が可能になると(S214のYes方向)、ステップS215に進んで、マークセンサ133及び143の値がZS1=ZD1=ZS2=ZD2=0となっているか否か判断する。なお、マークセンサ133は画像形成部131の転写位置よりも上流側に配置されており、適切なリカバリ処理が行われている場合、マークセンサ133は、未印刷の連続紙Rと対向する。しかしながら、万一、リカバリ処理時に連続紙Rが搬送方向で前後してしまっていると正常にリカバリ印刷を再開できなくなるので、転写位置に対して上流側の連続紙Rが未印刷(ページ)であるかを検知可能なように配置する。
【0054】
なお、ZS1及びZD1はそれぞれ、第1エンジン130側に掛け直された連続紙Rのおもて面及び裏面をマークセンサ133で読取った場合の値であり、ZS2及びZD2はそれぞれ、第2エンジン140側に掛け直された連続紙Rの表面及び裏面をマークセンサ143で読取った場合の値である。また、値が0であるのは、Zマークを検出していないことを示す。すなわち、ZS1=ZD1=ZS2=ZD2=0は、図3の(b)に示したように未印刷の連続紙Rで掛け直しが行われたことを意味している。
【0055】
そして、第1エンジン130と第2エンジン140に未印刷の連続紙Rで掛け直しが行われていない場合は(S215のNo方向)、オペレータパネル113に「正しく用紙の掛け直しを行って下さい」とメッセージ表示を行った上で(S216)、ステップS214に戻る。一方、未印刷の連続紙Rで掛け直しが行われた場合は(S215のYes方向)、ステップS217に進む。
【0056】
そして、続くステップS217においては、実行準備を指示した片面印刷ジョブのページ数が、第1エンジン130の画像形成部131と第2エンジン140の画像形成部141との間の搬送路上にある未印刷の連続紙Rのページ数P以下であるか否か判断する。ここで、Pの値は、画像形成システム100の構造に応じて予め一意に定められる値である。また、ステップS213で印刷による通知を行うことにした場合には、片面印刷ジョブのページ数にその通知のためのページ数も加えて比較する。
そして、ステップS217でYesである場合は、第2エンジン140にて行う片面印刷ジョブと、中断した両面印刷ジョブのリカバリ印刷とを同時実行しても不都合は生じないことがわかる。
【0057】
そこで、図9のステップS230に進み、第2プリンタコントローラ120に、ステップS213で実行準備させた片面印刷ジョブの実行を指示すると共に、中断している両面印刷ジョブのリカバリ印刷を開始(中断時点の続きから再開)する。そして、印刷が完了するまで待機して(S231のNo方向)、印刷完了すると(S231のYes方向)、処理を終了する。
リカバリ印刷については、第2プリンタコントローラ121にも、適切なタイミングで両面印刷ジョブに関する印刷を開始させる。ステップS213で印刷による通知を行うことにした場合には、ステップS230で第2プリンタコントローラ120にその実行も指示する。
【0058】
一方、図7のステップS217でNoである場合には、第2エンジン140にて行う片面印刷ジョブと、中断した両面印刷ジョブのリカバリ印刷とを同時実行してしまうと、第2エンジン140にて片面印刷ジョブが完了しないうちに、第1エンジン130にておもて面に両面印刷ジョブに係る印刷を行った連続紙Rが第2エンジン140に到達してしまい、不都合があることがわかる。
【0059】
そこで、図10のステップS241に進み、まず第2プリンタコントローラ120に、ステップS213で実行準備させた片面印刷ジョブの実行を指示する。ステップS213で印刷による通知を行うことにした場合には、その実行も指示する。
その後、ステップS242にて、片面印刷ジョブの未印刷ページ数≦Pとなったか否か判断する。この判断は、1ページ分の印刷(あるいは用紙搬送)が完了する度に行い、この判断のために、第1プリンタコントローラ110のCPUは第2プリンタコントローラ120から随時ジョブの進行状況の通知を受ける。
【0060】
そして、ステップS242の判断がYesになるまで待機し、Yesになると、中断している両面印刷ジョブのリカバリ印刷を開始する(S243)。このタイミングでリカバリ印刷を開始すれば、第2エンジン140にてちょうど片面印刷ジョブが完了するタイミングで、第1エンジン130にておもて面に両面印刷ジョブに係る印刷を行った連続紙Rが第2エンジン140に到達し、第2エンジン140で裏面の印刷を行うことができる。
そして、印刷が完了するまで待機して(S244のNo方向)、印刷完了すると(S244のYes方向)、処理を終了する。
【0061】
次に、図7のステップS211又はS212の判断がNoになる場合の処理について説明する。
ジャムが発生したが片面印刷優先モードの設定がONになっていない場合(S211のNo方向)や、ONになっていても受信ボックスに片面印刷ジョブが存在しない場合(S212のNo方向)、片面印刷ジョブを実行せずに、中断した両面印刷ジョブのリカバリ印刷を行うべく、図6のステップS204に進む。
【0062】
この処理では、まずオペレータによる連続紙Rの掛け直し処理が終了し、オンライン印刷可能となるまで待機し(S204のNo方向)、オンライン印刷が可能になると(S204のYes方向)、掛け直し後の連続紙Rに対し、ステップS210で中断した両面印刷ジョブの実行のリカバリ印刷を開始する(S205)。第2プリンタコントローラ121にも、同様にジョブの実行を再開させる。その後は、ステップS202に戻って処理を繰り返す。
【0063】
次に、図6のステップS203で、第2エンジン140側でジャムが発生したと判断した場合の処理について説明する。
この場合、処理は図8のステップS220に進むが、図8に示す処理は、図7に示した処理と概ね同様であり、ステップS225乃至S228の処理が異なるのみである。
すなわち、まずステップS220乃至S224の処理で、図7のステップS210乃至S214の場合と同様、片面印刷優先モードの設定がONでかつ受信ボックスに片面印刷ジョブが存在すれば、第2プリンタコントローラ121に片面印刷ジョブの実行準備を指示し、また、用紙の掛け直しが完了するまで待機する。
【0064】
次のステップS225では、マークセンサ133及び143の値がZS1=ZD1=ZD2=0となっているか否か判断し、これがNoであれば、オペレータパネル113に「正しく用紙の掛け直しを行って下さい」とメッセージ表示を行った上で(S226)、ステップS224に戻る。
第2エンジン140でジャムが発生した場合、図4を用いて説明したように、第2エンジン140には、おもて面に印刷がなされた用紙がセットされる場合もあるため、ステップS225ではZS2=0であることは要求しない点が、図7のステップS215の場合と異なる。
【0065】
また、ステップS225でYESであれば、ステップS227で、マークセンサ143の値がZS2=0となっているか否か判断する。すなわち、第2エンジン140に掛け直された連続紙Rのおもて面が未印刷か否か判断する。
そして、これがNo、すなわち未印刷でない場合は、連続紙Rの搬送をスタートさせて(S228)ステップS227に戻り、第2エンジン140にセットされた連続紙Rが未印刷のページとなるまで紙送りを行う。
【0066】
この処理を行うことにより、おもて面が印刷済みの連続紙Rが第2エンジン140に掛け直された場合でも、その裏面に片面印刷ジョブに係る印刷を行ってしまうことを防止できる。
そして、ステップS227でYesとなると、処理はステップS229に進み、図7のステップS217の場合と同様、実行準備を指示した片面印刷ジョブのページ数と、搬送路上にある連続紙Rのページ数Pとの大小関係に応じて、図9のステップS230あるいは図10のステップS241に進む。
これらの図9及び図10の処理については、図7のステップS217から進んだ場合と同じ処理である。
【0067】
以上説明してきた画像形成システム100によれば、両面印刷ジョブに係る印刷を実行中に連続紙Rのジャムが第1エンジン130又は第2エンジン140の何れかで発生して両面印刷ジョブが中断し、その後その両面印刷ジョブを再開する際に、片面印刷優先モードの設定がONでかつ受信ボックスに片面印刷ジョブが存在すれば、掛け直された連続紙Rに対して、両面印刷ジョブに先立って第2エンジン140に片面印刷ジョブに係る印刷を開始させることができる。
また、第2エンジン140が実行を開始した片面印刷ジョブに係るページ数が第1エンジン130と第2エンジン140との間にある搬送路上のページ数P以下になった場合に、中断されている両面印刷ジョブに係る印刷を再開することができる。
【0068】
従って、中断した両面印刷ジョブに係るリカバリ印刷を行う場合でも、第1エンジン130と第2エンジン140との間にある搬送路上の連続紙Rを無駄にすることなく活用できるため、無駄な白紙用紙の出力を低減することができる。
なお、一般的にタンデムに配置した画像形成システム100における印刷は、大量印刷を想定しているため、片面印刷ジョブに係るページ数は通常搬送路間にある白紙ページ数よりも大きい場合が多いと考えられるが、もし片面印刷ジョブに係るページ数が搬送路間にある白紙ページ数よりも小さい場合であっても、その片面印刷ジョブのページ数の分だけは、無駄な白紙送りを削減し、白紙用紙の無駄を削減することができる。
【0069】
また、連続紙Rを掛け直す際に、オペレータが未印刷の用紙を第1エンジン130と第2エンジン140に掛け直すだけで、上述の無駄削減の効果を得ることができる。従って、背景技術の項で説明したような、まず第1プリンタのみに用紙をセットして第1プリンタで連続紙のおもて面に印刷を開始し、第2プリンタに連続紙をローディングするのに適当な量を印刷した時点で、第1プリンタの印刷を停止し、第2プリンタに連続紙をセットする構成と比べ、掛け直しの作業を簡単なものとしつつ、用紙の無駄を削減することができる。
【0070】
さらに、一度第1エンジン130と第2エンジン140に連続紙Rの掛け直しを行えば、リカバリ印刷に際して第1エンジン130で表面印刷が終わるのを待っておく必要がなく、その場を離れることも可能なためオペレーション効率を向上させることができる。従って、オペレータに負担をかけずに、無駄な白紙用紙の出力を低減することができる。
【0071】
また、第2エンジン140でジャムが生じた場合には、掛け直された用紙に対して、第2エンジン140において用紙のおもて面に印刷済みであるか否か検出し、印刷済みであれば未印刷部分が供給されるまで紙送りを行ってから片面印刷ジョブを開始させるようにしているため、連続紙Rから印刷済の部分を取り除かずに掛け直しを行っても、片面印刷ジョブの実行に不具合が生じることがない。
【0072】
また、片面印刷優先モードの設定をOFFに設定することもできるため、両面印刷ジョブに係る印刷出力の間に片面印刷ジョブに係る印刷出力が挟まってしまうと不具合がある場合にまで、リカバリ印刷時に片面印刷ジョブを実行しないようにすることができる。
また、片面印刷優先モードの設定がONの場合には、第1プリンタコントローラ111が受信した片面印刷ジョブを予め第2プリンタコントローラ121に転送するようにしているため、リカバリ印刷の際に第2エンジン140で片面印刷ジョブを実行させる必要が生じた場合でも、速やかにその実行を開始させることができる。
【0073】
このとき、片面印刷ジョブをコピーして転送しておけば、リカバリ印刷が不要な場合には、第1エンジン130で片面印刷ジョブを実行させることもできる。なおこの場合、第1エンジン120及び第2エンジン140のいずれか一方で片面印刷ジョブの実行が完了した時点で、第1プリンタコントローラ111と第2プリンタコントローラ121の双方から、その完了した片面印刷ジョブのデータを消去する。
【0074】
また、片面印刷ジョブの転送は、両面印刷ジョブの実行が中断されたり、リカバリ印刷を開始したりする際に、第2エンジン140で片面印刷ジョブを実行させる必要が生じた時点で行うようにしてもよい。このようにすれば、不要な場合にまで片面印刷ジョブのデータを送ってしまうことがなく、第2プリンタコントローラ121における受信ボックスの容量を低減することができる。またこの場合、第1エンジン130でそのジョブを実行させることはないと考えられるため、転送時点で第1プリンタコントローラ111の受信ボックスから転送に係るジョブのデータを削除してしまってよい。
【0075】
以上で実施形態の説明を終了するが、この発明において、装置及びシステムの構成や、具体的な処理内容等が上述したものに限られないことはもちろんである。
例えば、上述した実施形態においては、第1プリンタコントローラ111がホスト装置200からジョブのデータを受信し、図6乃至図10に示した両面印刷ジョブの実行及びリカバリ印刷に係る処理においても主導的な役割を果たす例について説明したが、これに限られることはない、第2プリンタコントローラ121がその役割を果たしてもよいし、第1プリンタコントローラ111と第2プリンタコントローラ121の双方を制御下に置くコントローラを別に設けて、又は第1エンジン130と第2エンジン140の双方を制御するコントローラを設けて、そのコントローラが同様な役割を果たすようにしてもよい。
【0076】
また、図7のステップS217及び図8のステップS219において、片面印刷ジョブのページ数がP以下の場合、さらに続けて別の片面印刷ジョブを、リカバリ印刷に先立って実行するようにしてもよい。このことにより、初めに実行する片面印刷ジョブのページ数とPとの差分に当たる用紙も、無駄にしないようにできるためである。
また、図8のステップS227でNOになる場合に、ユーザにその旨を通知して処理を中断し、ステップS226の場合と同様に用紙の掛け直しを捉すようにしてもよい。
【0077】
また、この発明は、紙以外の樹脂や繊維等からなる連続シートに画像を形成する画像形成システムや、電子写真方式以外の印刷あるいは印刷以外の手法で画像を形成する画像形成システムにも適用可能であることは、もちろんである。
また、以上説明してきた実施形態及び変形例は、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明してきたように、この発明の画像形成システムによれば、画像形成装置を2台タンデムに配置した画像形成システムにおいて、両面画像形成中にジャム発生等のため連続紙の掛け直しを行った後に画像形成を再開する場合でも、操作者に負担をかけずに用紙の無駄を低減することができる。
従って、この発明を適用することにより、オペレーション効率がよく、かつ省資源の可能な画像形成システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0079】
100:画像形成システム、110:第1プリンタコントロールユニット、111:第1プリンタコントローラ、112:片面印刷優先モード設定部、113:オペレータパネル、114,122:HDD、120:第2プリンタコントロールユニット、121:第2プリンタコントローラ、130:第1エンジン、131,141:画像形成部、132:給紙部、133,143:マークセンサ、140:第2エンジン、142:排紙部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2010−674号公報
【特許文献2】特開平7−237336号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続シートの第1面に画像形成する第1画像形成装置と、前記連続シートの第2面に画像形成する第2画像形成装置とをこの順でタンデムに配置した画像形成システムであって、
前記第1画像形成装置及び第2画像形成装置が両面画像形成ジョブに係る画像形成を実行中に該両面画像形成ジョブが中断され、その後掛け直された連続シートに対して画像形成を再開する際に、前記両面画像形成ジョブの他に実行すべき片面画像形成ジョブがあれば、前記第2画像形成装置が該片面画像形成ジョブに係る画像形成を開始し、該開始した片面画像形成ジョブに係る画像形成に必要な残りシート長が前記第1画像形成装置と前記第2画像形成装置との間の連続シートの搬送路長以下になった場合に、前記第1画像形成装置が中断されている前記両面画像形成ジョブに係る画像形成を再開することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成システムであって、
前記第2画像形成装置が、該第2画像形成装置に供給される連続シートの第1面に画像形成済みか否かを検出する検出手段を備え、
前記両面画像形成ジョブが中断され、その後掛け直された連続シートに対して画像形成を再開する際に、実行すべき片面画像形成ジョブがあった場合、前記第2画像形成装置は、前記検出手段が第1面に画像形成済みであることを検出すると、未画像形成部分が前記第2画像形成装置に供給されるまで紙送りを行い、その未印刷部分から前記片面画像形成ジョブに係る画像形成を開始することを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成システムであって、
前記第2画像形成装置が、
該第2画像形成装置に供給される連続シートの第1面に画像形成済みか否かを検出する検出手段と、
前記両面画像形成ジョブが中断され、その後掛け直された連続シートに対して画像形成を再開する際に、前記検出手段が第1面に画像形成済みであることを検出すると、ユーザにその旨を通知する通知手段とを備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項記載の画像形成システムであって、
前記第1画像形成装置に、前記両面画像形成ジョブが中断された場合、又はその後掛け直された連続シートに対して画像形成を再開する際に、当該第1の画像形成装置が保持している実行すべき片面印刷ジョブを前記第2画像形成装置に転送する転送手段を設けたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項記載の画像形成システムであって、
前記両面画像形成ジョブが中断され、その後掛け直された連続シートに対して画像形成を再開する際に、前記片面画像形成ジョブを前記第2画像形成装置に実行させるか否かを設定する設定手段と、
前記設定手段が前記片面画像形成ジョブを実行させない旨の設定をしている場合、前記両面画像形成ジョブが中断され、その後掛け直された連続シートに対して画像形成を再開する際に、直ちに前記第1画像形成装置が中断されている前記両面画像形成ジョブに係る画像形成を再開することを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項5記載の画像形成システムであって、
前記第1画像形成装置に、実行すべき片面印刷ジョブを受け付けた場合、前記設定手段が前記片面画像形成ジョブを実行させる旨の設定をしている場合には、該片面印刷ジョブをコピーして前記第2画像形成装置に転送する転送手段を設けたことを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−116153(P2012−116153A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270111(P2010−270111)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】