説明

画像形成処理機器、画像形成注文システムおよびサーバーシステム

【課題】オンラインで注文を行った顧客の利便性を確保しつつ、悪戯目的の注文に効率良く対処しうる画像形成処理機器、その画像形成処理機器を備える画像形成注文システム、およびその画像形成注文システムに備えられるサーバーシステムを提供すること。
【解決手段】 サーバーシステム1にアップロードされた写真プリント作成の注文データを、ネットワークを介してダウンロード可能に構成したプリント処理機器32において、ダウンロードした前記注文データを保存する注文データ保存部302と、前記注文データをダウンロードした際、その注文データが有する注文者データと、そのダウンロード以前に注文データ保存部302に保存された注文データが有する注文者データの中から選択された注文者データと、を照合する照合手段306と、その照合の結果に基づいて通知を行う通知部305とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット等のネットワークを介して画像形成処理の注文データを受け付け、画像形成処理を行う画像形成処理機器、その画像形成処理機器を備える画像形成注文システム、およびその画像形成注文システムに備えられるサーバーシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、インターネット等のネットワークを経由して写真プリントの作成(画像形成処理の一例)の注文を行うシステム(以下、写真プリント注文システムと称する。)が徐々に浸透してきている。このシステムは、インターネット上にサーバーシステムを設置し、ネットワークでプリント注文を行う機能をサーバーシステムに搭載することで実現することができる。
【0003】
例えば、プリント注文を行いたい顧客は、パソコンを用いて上記サーバーシステムのホームページにアクセスする。そして、氏名や電話番号などの顧客情報を入力して会員登録し、写真プリントの作成を依頼したい画像データをパソコンからサーバーシステムへとアップロードする。顧客は、アップロードされた個々の画像について、プリント枚数やプリントサイズなどを設定する。また、写真プリントの作成を依頼する写真店や支払方法などを設定する。これらの設定が終わると、注文内容を確認し、OKであれば所定のボタンをクリックすることで、注文内容が確定する。確定した注文データは、サーバーシステム内に設定された所定の注文データ保存部に保存される。一方、写真店側では、同じくパソコン等を使用して、自分の写真店に対する注文データの有無を確認する。注文がある場合は、プリント処理機器により注文データのダウンロードを行い、写真プリントの作成を行う。仕上がりの写真プリントは、顧客が直接写真店を訪問するか、写真店から顧客の自宅へ写真プリントの発送を行うことで、仕上がり写真プリントの提供が行われる。
【0004】
かかる写真プリント注文システムは、撮影済みネガフィルムやデジタルカメラの記憶媒体などを写真店に持っていく必要がないため、顧客の利便性を高めることができる。しかしながら、かかる写真プリント注文システムの浸透に伴い、ネットワークの性質を利用した悪戯目的の注文が増える傾向にあった。即ち、顧客が写真店の店員に顔を見られたり、写真店がネガフィルム等を預かったりしないことを悪用し、オンラインでプリント注文だけを行って、仕上がり写真プリントを引き取らずに代金も支払わないという事例が増えてきた。上記において、注文者が偽名等を使って注文した場合、写真店側でその注文者を割り出すことは非常に困難であり、写真プリントの作成が無駄になって損害が生じていた。
【0005】
クレジットカードによる前払い方式によれば、悪戯目的の注文による損害を抑制できるが、全ての顧客に対して前払い方式を強いるのは好ましくなく、従来の後払い(現金払い)方式も存続させる必要があった。従来、写真店では、悪戯目的の注文を行った者のリストをメモ等に記録していたが、オペレータの負担となって作業性を阻害するものであった。また、かかる注文者は、注文の度に異なる偽名を用いたり、依頼する写真店を変更したりするため、上記方法では対策が困難であった。
【0006】
これに対して、下記特許文献1に開示されるシステムが公知である。このシステムは、ネットワークを経由して注文した顧客に対して、注文内容を認証するための二次端末を備えるものである。かかるシステムによれば、注文を行った者は、写真店などの店員の前で自ら二次端末に識別情報を入力する必要があるため、悪戯目的の注文を防ぐことができる。しかしながら、このシステムは、二次端末が設置された場所までの移動作業と識別情報の入力作業とを顧客に強いるものであり、オンラインで注文を行った顧客の利便性を著しく低下させるものであった。
【特許文献1】特開2001−215625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、オンラインで注文を行った顧客の利便性を確保しつつ、悪戯目的の注文に効率良く対処しうる画像形成処理機器、その画像形成処理機器を備える画像形成注文システム、およびその画像形成注文システムに備えられるサーバーシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係る画像形成処理機器は、サーバーシステムにアップロードされた画像形成処理の注文データを、ネットワークを介してダウンロード可能に構成した画像形成処理機器において、ダウンロードした前記注文データを保存する注文データ保存部と、前記注文データをダウンロードした際、その注文データが有する注文者データと、そのダウンロード以前に前記注文データ保存部に保存された注文データが有する注文者データの中から選択された注文者データと、を照合する照合手段と、前記照合の結果に基づいて通知を行う通知部とを備える。
【0009】
この構成による画像形成処理機器の作用効果を説明する。係る画像形成処理機器は、インターネット等のネットワークに接続された環境で用いられ、そのネットワーク上には画像形成処理の注文データがアップロードされるサーバーシステムが設置される。注文データには、画像情報を有する画像データの他に、注文者の氏名等の情報を有する注文者データなどが含まれる。画像形成処理機器は、その注文データをネットワークを介してダウンロードし、画像形成処理を行う。画像形成処理としては、写真プリントの作成、CD−R等の記録媒体への画像の記録またはネットワークへの再アップロード等が例示される。
【0010】
本発明の構成によれば、ダウンロードした注文データは注文データ保存部に保存される。そして、注文データをダウンロードした際、その注文データに含まれる注文者データと、そのダウンロード以前に注文データ保存部に保存された注文データが有する注文者データの中から選択された注文者データとが、照合手段により照合され、その照合の結果に基づいて通知部が通知を行う。これにより、オペレータは、悪戯目的の注文があった場合に、注文データ保存部に保存されている注文データが有する注文者データの中から、その悪戯に係る注文者データを選択しておくことで、以降の注文データのダウンロードのときに、その注文者が以前に悪戯目的の注文を行った者であるかどうかを判別することができる。その結果、オペレータは、悪戯目的の注文による処理を回避することができ、損害を未然に防ぐことができる。よって、顧客の利便性を確保しつつ、悪戯目的の注文に効率良く対処することができる。
【0011】
上記において、前記注文データ保存部に保存された注文データが有する注文者データの中から選択された注文者データを、リスト形式で保存する注文者データ保存部を備え、前記照合手段は、前記注文データをダウンロードした際に、その注文データに含まれる注文者データと、そのダウンロード以前に前記注文者データ保存部に保存された注文者データと、を照合するものが好ましい。
【0012】
この構成の画像形成処理機器によれば、悪戯目的の注文があった際に、注文データ保存部に保存された注文データが有する注文者データの中から、オペレータが選択した注文者データがリスト形式で保存されるため、管理が容易になるとともに他の写真店またはサーバーシステムとの注文者データのやりとりが簡便となる。また、注文データ保存部では、新しい注文を受けるたびに注文データが追加されるため、選択された注文者データを注文データ保存部とは別個の注文者データ保存部に保存することにより、注文データ保存部における注文データの追加・更新をほぼ制限なく行うことができる。かかる場合、照合手段による照合の対象となるのは、注文者データ保存部に保存された注文者データであり、注文データ保存部において注文データ(注文者データ)の追加・更新が行われている場合であっても、照合処理を問題なく実行することができる。
【0013】
上記において、前記照合手段は、照合する項目を任意に設定可能に構成されたものが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、照合手段による照合を応変に実行することができる。例えば、悪戯目的の注文者が偽名を用いる傾向にあれば、氏名の照合を行わずに電話番号やメールアドレスなど特定の項目のみを照合するように設定することができる。また、照合の結果、注文者の氏名が一致しても、IPアドレスが異なる場合は通知を行わないなど、項目間に優先順位を設けて照合を行うこともできる。
【0015】
また、本発明に係る画像形成注文システムは、ネットワーク上に設置され、アップロードされた画像形成処理の注文データを保存可能に構成されたサーバーシステムと、そのサーバーシステムにアップロードされた画像形成処理の注文データを、ネットワークを介してダウンロード可能に構成した上記いずれかの画像形成処理機器とを備える。
【0016】
この構成による画像形成注文システムの作用効果を説明する。まず、インターネット等のネットワーク上に設置したサーバーシステムが、ネットワーク経由での画像形成処理の注文を受け付ける。注文者は、画像データを自分のコンピュータからサーバーシステムへとアップロードする。当該コンピュータは、パソコンでもよいし、PDAや携帯電話などのモバイル機器でもよい。画像データやその他のプリント処理に必要なデータは、注文データとしてサーバーシステムに保存される。一方、写真店側は、自分の写真店に対して注文があった場合、注文データをダウンロードして画像形成処理を行う。そして、本発明の画像形成注文システムによれば、上述のように注文データをダウンロードした際、その注文者が悪戯目的の注文を以前に行った者であるかどうかを照合することができ、その照合の結果に基づいて通知がなされるため、悪戯目的の注文による処理を回避して損害を未然に防ぐことができる。
【0017】
また、本発明に係るサーバーシステムは、上記の画像形成注文システムに備えられ、その画像形成注文システムが備える前記画像形成処理機器からアップロードされた注文者データを保存するサーバー用注文者データ保存部を備える。
【0018】
写真店が上記の画像形成処理機器からアップロードした注文者データを、サーバーシステムがサーバー用注文者データ保存部にて保存することにより、そのネットワークに接続された複数の写真店において上記注文者データを共有することができる。即ち、各写真店側でサーバーシステムにアップロードされた注文者データを閲覧したりダウンロードしたりすることで、或いはサーバーシステムから各写真店に注文者データを転送することで、悪戯目的の注文を行った注文者に関する情報を共有することができる。その結果、より効率的に悪戯目的の注文に対処することができ、損害の発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る画像形成注文システムの好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、写真プリント注文システム(前記画像形成注文システムに相当する。)の構成の概要を示す模式図である。通常、写真プリントの作成(前記画像形成処理に相当する。)を写真店に依頼する場合には、顧客が撮影済みネガフィルムやデジタルカメラにより画像が記録された記憶媒体を直接写真店に持ち込むことで行われる。これに対して、顧客が直接写真店を訪問しなくても写真プリントの作成を依頼できるオンラインの写真プリント注文システムが公知であり、本発明もこれに関するものである。
【0020】
<写真プリント注文システムの概要>
サーバーシステム1は、インターネット(前記ネットワークに相当する。)上に設置されており、写真プリント注文システムの中核を構成する。サーバーシステム1は、インターネット経由で写真プリントの作成注文を受け付ける機能を有し、その機能を実現するための、種々のソフトウェア及びハードウェアが搭載される。サーバーシステム1は、ハードウェア的には1台もしくは複数台のサーバー装置を備えている。好ましくは、負荷を分散させるために、機能に応じて複数のサーバー装置により構成することが好ましい。例えば、注文受付用のサーバー、データベースサーバー、Webサーバー等である。ネットワークは有線・無線を問うものではなく、種々の形態を採用することができる。
【0021】
上記サーバーシステム1に対して、顧客(注文者)はインターネットを介してアクセスすることができる。一般に、アクセスのためにパソコン2(コンピュータ)が使用されるが、PDAや携帯電話のようなモバイル機器によるアクセスも可能である。顧客がサーバーシステム1にアクセスして注文システムを利用するためには、予め会員登録を行っておく必要がある。会員登録の手順は公知のものを用いることができ、通常、顧客の氏名や住所、電話番号、メールアドレス等を登録する。顧客は、パソコン2を用いてサーバーシステム1のホームページにアクセスし、所定の注文ページを開いて画像データのアップロード等の所定の手順を踏むことで、写真プリントの注文を依頼することができる。
【0022】
プリント処理機器32(前記画像形成処理機器に相当する。)は、写真店3に1台もしくは複数台設置されており、各々パソコン30(コンピュータ)および写真処理装置31を備えている。写真店3は、パソコン30を用いてサーバーシステム1にアクセスすることができ、その写真店3に対して顧客から写真プリントの注文があった場合、インターネットを介して注文データのダウンロードを行うことができる。注文データには、画像データの他に、顧客の氏名などの注文者データが含まれている。写真店3がインターネットで写真プリントの注文を受けるためには、顧客の場合と同様に会員登録を行う必要がある。写真店3では、ダウンロードした画像データを用いて、写真処理装置31により写真プリントの作成処理を行うことができる。パソコン30と写真処理装置31とは通信ラインにより接続されており、写真処理装置31には公知の構造のものを利用することができる。なお、本実施形態において写真店という場合には、特定の形態の写真店に限定されるものではない。例えば、個人経営の形態でもよく、チェーン店の形態でもよい。また、写真専門店に限定されるものでもなく、写真店の規模についても特定のものに限定されるものではない。
【0023】
<サーバーシステムの構成>
図2は、図1に示すサーバーシステム1の機能の一例を示すブロック図である。送受信部10は、インターネット経由で送信されてきたデータを受信すると共に、インターネットへとデータを送出する機能を有する。データ処理部11は、送受信部10を介して受信されたデータ、および送受信部10を介して送信しようとするデータに関する種々の処理を行う。例えば、受信したデータの解析を行い、解析結果に基づいた処理を実行するものであり、ホームページ(Webページ)を要求された場合であれば、該当するホームページデータをデータベースから抽出して、要求元のコンピュータへと送り返す。
【0024】
認証システム12は、会員登録をされているか否かの認証を行う。顧客や写真店が本注文システムを利用するためには、最初に会員登録を行う必要があり、これによりIDとパスワードが付与される。顧客がプリント処理の注文や注文内容の確認を行う場合には、会員登録に基づく認証が必要とされる。また、写真店が注文内容の確認や注文データのダウンロードを行う場合にも認証が必要である。認証システムについては、公知のシステムを用いることができる。
【0025】
会員登録を行った顧客のデータは、顧客データベース13に保存される。会員登録を行った写真店のデータは、写真店データベース14に保存される。各データベース13、14は、データベース制御部15により制御される。顧客データや写真店データとしては、種々のデータを保存するようにできる。
【0026】
Webページ保存部16には、ホームページ(トップページ)をはじめとするWebページのデータを保存する。各ページに対応したURLを指定することで、指定されたWebページをパソコン2、30のモニター画面に表示させることができる。Webページのデータは、HTMLに基づいて記述される。
【0027】
注文者データ保存部17(前記サーバー用注文者データ保存部に相当する。)は、写真店3からアップロードされた注文者データを保存する機能を有する。写真店3からアップロードされる注文者データについては後述する。保存された注文者データは、会員登録されている写真店であれば、閲覧およびダウンロード可能に構成されている。また、配信先として予め登録されている写真店に対して、注文者データ保存部17に保存されている注文者データを配信するようにしてもよい。このとき、写真店データベース14に保存されている多数の写真店を予めグループ分けして登録しておき、アップロードした写真店と同じグループに属する他の写真店に対して配信することが好ましい。これにより、例えばチェーン店ごとに注文者データを共有することができ、管理が容易となる。
【0028】
注文データ保存部18(データベース)には、注文データが保存される。顧客がパソコン2を用いてプリント処理を依頼すると、その注文データがここに保存される。注文データには、画像データ(少なくとも1枚分のデータ)が含まれる。画像データは、顧客のパソコン2からサーバーシステム1に対してアップロードすることで保存可能である。注文データには、個々の画像データに対するプリント枚数やプリントサイズなど、写真プリントを作成するために必要なデータが含まれる。また、その他の補正データも必要に応じて設定され、例えば赤目補正を依頼したい画像があれば、その旨を指定する。注文データは、オーダー単位で管理される。
【0029】
注文データには、プリント処理を依頼した顧客に関する注文者データが含まれる。注文者データとしては、顧客の氏名や住所、電話番号、メールアドレス、IPアドレスなどが挙げられる。また、PDAや携帯電話によりアクセスされた場合は端末の識別番号も含まれる。注文者データは、注文データ保存部18に直接保存されるものに限られず、顧客データベース13に保存された顧客データと対応付けて保存されるものでもよい。
【0030】
注文データには、更に、プリント処理の依頼をどの写真店にするかという写真店データが付随する。顧客は、プリント注文を行う時に、自分の希望する写真店を指定できる。指定可能な写真店は会員登録されている店舗に限られる。仕上がりの写真プリントを写真店に直接取りに行く場合は、訪問するのに都合の良い写真店を指定できる。なお、写真店の指定については、1店舗だけでなく、複数指定できるようにすることが好ましい。例えば、優先順位を決めて複数指定し、基本的には第1優先の写真店でプリント処理が行われるようにし、第1優先の写真店でプリント処理ができない事情が生じた場合は、下位の優先順位の写真店でプリント処理を行うことができる。さらに、注文データとして、写真プリントの仕上がり日時(納期)を含ませることもできる。
【0031】
<プリント処理機器>
図3は、図1に示すプリント処理機器の機能の一例を示すブロック図である。プリント処理機器32は、上述のように写真店3に1台もしくは複数台設置されており、各々パソコン30および写真処理装置31を備えている。
【0032】
送受信部300は、インターネット経由で送信されてきたデータを受信するとともに、インターネットへとデータを送出する機能を有する。これにより、顧客から注文データがアップロードされたサーバーシステム1に対して、パソコン30にインストールされているブラウザの機能を用いてアクセスし、その注文データをダウンロードすることができる。
【0033】
データ処理部301は、受信したデータの解析等を行い、その解析結果に応じた処理を行う機能を有する。例えば、受信したデータが、写真プリントの注文データである場合は後述するプリント処理を実行する。また、サーバーシステム1からプリント処理に関する電子メールが送信されてきた場合は、そのデータをメールフォルダ303に保存する。
【0034】
サーバーシステム1にアクセスして注文データをダウンロードした場合、その注文データは注文データ保存部302に保存される。保存されるデータは、既述したものと同じであり、画像データ等のプリント処理に必要なデータ、注文者データ及び写真店データなどである。
【0035】
注文者データ保存部304には、注文データ保存部302に保存されている注文者データの中から、オペレータが任意に選択した注文者データが保存される。オペレータは、注文者が仕上がり写真プリントの引き取りに応じないとか、代金を支払わないといった理由により、悪戯目的の注文であると判別できる注文者を選択し、注文者データ保存部304に保存することができる。オペレータは、注文データ保存部302に保存されている注文者データをモニター311に表示させ、キーボード316やマウス(不図示)等の入力手段により、注文者データ保存部304への保存を指示するだけでよい。係る選択された注文者データは、注文者データ保存部304にリスト形式で保存され、いわゆるブラックリストとして用いることができる。当該リストは、モニター311に表示可能に構成されている。注文者データ保存部304に注文者データを保存する際、その注文者が既に保存されている場合など、必要に応じてデータの更新、履歴の追加を行うことができる。なお、注文者データ保存部304に保存されている注文者データは、送受信部300からインターネットを介してサーバーシステム1にアップロードすることができる。アップロードされた注文者データは、サーバーシステム1の注文者データ保存部17に保存され、上述のように各写真店で共有することができる。
【0036】
照合手段306は、データ処理部301に備えられ、ダウンロードした注文データに含まれる注文者データと、そのダウンロード以前に注文者データ保存部304に保存された注文者データとの照合を行う機能を有する。これにより、注文を行った顧客が、注文者データ保存部304に保存されているか否か、即ち以前に悪戯目的の注文を行った者であるか否かを判別することができる。照合の結果、注文者が一致すると判断された場合は、通知部305によりオペレータに通知がなされる。
【0037】
照合手段306による照合は、注文者の氏名や電話番号等の各項目について行われるが、この照合の対象となる項目はオペレータが任意に設定可能に構成されている。即ち、照合の条件を厳しく設定したい場合は、1つの項目でも一致したときに通知するように設定できる。また、悪戯目的による注文の場合、氏名や住所、電話番号などをでたらめな内容で登録していることが多いため、照合の対象をIPアドレスや端末の識別番号などに限定することが好ましい。
【0038】
照合処理は、注文データをダウンロードする度に実行されるものでもよく、オペレータの指示により行われるものでもよい。前者であれば、全ての注文データが一律にチェックされるため、悪戯目的の注文によるプリント処理を比較的高い確率で回避することができる。また、後者であれば、例えば悪戯目的でないことが確実である注文に対して、照合処理を省略することができ、プリント処理を効率的に行うことができる。かかる場合において、悪戯目的であるとオペレータが注文の内容から判断できる場合は、パソコン30にて指示を与えるだけで照合が実行され、注文者を確認することができる。
【0039】
通知部305による通知の手段は、特に限定されるものではなく、例えば、警告音、警告ランプ、モニター表示およびそれらの組み合わせが挙げられる。また、オペレータが携帯するモバイル機器に対して、電子メールを送信することにより通知するものでも構わない。いずれの通知を行うかは、各写真店毎に任意に設定することができる。通知がなされたオペレータは、写真プリントの作成を行う前に、中止するか否かの判断を下すことができる。これにより、悪戯目的の注文に効率的に対処することができ、写真店の損害を未然に防止することができる。
【0040】
写真プリントの作成は、写真処理装置31により行われる。写真処理装置31としては、公知の構造のものを利用することができる。画像処理部310は、画像データに対して画像処理を施してプリント処理を行うのに適したデータに変換する機能を有する。例えば、色・濃度の補正処理や赤目補正等の特殊処理、データをプリントサイズにするための拡大処理等である。これらの処理には、注文データ保存部302に保存されている画像データや、プリント枚数およびプリントサイズに関するデータ、その他の補正データが用いられる。
【0041】
写真処理装置31は、インターネット経由で取得した画像データのみならず、写真処理装置31に設けられた画像入力部314から入力された画像データも処理することができる。画像入力部314では、フィルムスキャナやデジタルカメラ等の記憶媒体から画像データを取得することができる。画像データ保存部315には、画像入力部314から取得した画像データが保存される。
【0042】
モニター311には、画像データやプリント処理を行うための必要な画面を表示させることができ、オペレータは、キーボード316やテンキー等の入力手段を介して画像処理作業を行うことができる。露光エンジン312は、画像処理部310で画像処理された画像データを用いて、写真感光材料に画像を焼付露光する機能を有する。露光エンジン312としては、レーザーエンジン、PLZTエンジン、CRTエンジン等を適宜に用いることができる。画像が焼付露光された写真感光材料は、現像・乾燥処理部313において現像処理及び乾燥処理が施される。この処理が終了した後、仕上がり写真プリントとして装置外部に排出される。
【0043】
<システムの利用手順>
次に図1に示す写真プリント注文システムの利用手順を説明する。まず、図4により顧客がプリント処理を注文するまでの手順を説明する。まず、顧客は自分のパソコン2を用いて、ホームページにアクセスする(#1)。インターネットによるプリント処理を依頼するためには、会員登録が必要である。会員登録が済んでいなければ(#2)、会員登録の手続を行う(#3)。会員登録を行うと、顧客データは顧客データベース13に保存される。会員登録を行うと、IDとパスワードが付与される。
【0044】
会員登録が終了すると、認証手続を行う(#4)。認証に際して、付与されたIDとパスワードを入力する。認証が終了すれば、その個人に対して与えられた専用のWebページへと入ることができ、プリント注文も行うことができる。プリント注文を行う場合には(#5)、パソコン2から画像データのアップロードを行う(#6)。アップロードするための画像データは、予めパソコン2の中に保存させておく。画像データのアップロードは、公知の方法で行うことができる。画像データをアップロードすると、所定のWebページへと保存され、アルバムの形態で画像を確認することができる。
【0045】
次に、アップロードした画像に関してプリントデータの設定を行う(#7)。プリントデータとしては、プリント枚数やプリントサイズの指定である。必要に応じて、赤目補正、逆光補正等の特殊補正についても設定することができる。次に、プリント処理を依頼する写真店を設定する(#8)。写真店は、会員登録されている写真店であれば、どこでも指定可能である。なお、写真店の指定は1つだけでなく、予備的に複数指定することが可能である。例えば、優先順位が1位の写真店でプリント処理が行えない事情が生じた場合に、優先順位が下位の写真店で処理可能にすることができる。
【0046】
次に、料金支払いの設定を行う(#9)。支払い方式は、クレジットカード、代引き、店頭支払い等を設定することができる。必要な項目を入力し終わると、確認のページに移行して注文内容の確認を行う(#10)。注文内容に訂正事項があれば、ステップ#6に戻り、必要な訂正を行う。注文内容がOKであれば、確認ボタンをクリックし、注文内容を確定させる(#11)。確定された注文データは、注文データ保存部18に保存される(#12)。
【0047】
<プリント処理を行うまでの手順>
次に、写真店3で注文データをダウンロードして、写真プリントを作成するまでの手順を図5のフローチャートにより説明する。まず、写真店3では、パソコン30を用いてホームページにアクセスする(#20)。次に、認証手続を行った後、その写真店3に対して与えられた専用のページに移行する(#21)。写真店3では、専用のページで注文の有無を確認することができ、例えば、注文がオーダー単位でリスト表示される。リスト表示には、プリント処理が完了したか否かの表示もされる。写真店3は、プリント処理が未処理の注文データがあれば、これをダウンロードする(#22、23)。ダウンロードした注文データは、注文データ保存部302に保存される(#24)。
【0048】
注文データがダウンロードされると、注文データに含まれる注文者データと、そのダウンロード以前に注文者データ保存部304に保存された注文者データとの照合が行われる(#25)。照合の結果、注文者が一致すると判断された場合には、その旨が通知部によりオペレータに通知される(#26、27)。オペレータは、プリント処理を続行するか否かを判断し、注文者が悪戯目的であると判断した場合にはプリント処理を中止することができる(#28、29)。
【0049】
プリント処理を続行すると判断した場合には、既に説明したように、注文データを用いて、画像処理、プリント処理(画像の焼付露光)、現像処理・乾燥処理を施した後、写真プリントを完成する(#30〜#33)。仕上がりの写真プリントは袋詰にされ、顧客が写真店に直接取りに来る場合は、袋詰した状態で保管される。また、宅配で配送を希望する顧客に対しては、配送のための作業を行う。
【0050】
写真店3において、プリント処理が終了した場合は、その旨をサーバーシステム1に伝達する。サーバーシステム1では、処理が終了した注文データについては処理済みを表すデータを付与する。これにより、その注文データについては、プリント処理が完了したことを認識可能となる。
【0051】
<別実施形態>
(1)前述の実施形態では、プリント処理機器32が、ダウンロードした注文データを保存する注文データ保存部302と、オペレータが選択した注文者データを保存する注文者データ保存部304とを備える例を示したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、注文データ保存部302において、注文データに含まれる注文者データの中から、オペレータが選択した注文者データに対してフラグが付加され、そのフラグが付加された注文者データを照合手段306による照合の対象とする構成でもよい。この構成によれば、注文データをダウンロードした際、その注文データに含まれる注文者データと、そのダウンロード以前に注文データ保存部302に保存された注文データが有する注文者データの中で、フラグが付加された注文者データとの照合が行われる。
【0052】
(2)前述の実施形態では、画像形成処理として写真プリントを作成する例を示したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、プリント処理機器において画像処理を施した画像データを、CD−R等の記録媒体に記録するものでもよく、またはネットワークへ再アップロードするものでもよい。上記の記録媒体は、写真プリントと同様に顧客に提供される。また、再アップロードされた画像データは、注文者が縦覧できたり、ダウンロードできたりすることで顧客に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】写真プリント注文システムの構成の概要を示す模式図
【図2】サーバーシステムの機能を説明するブロック図
【図3】プリント注文受付システムの機能を説明するブロック図
【図4】顧客がプリント処理を注文する場合の手順を示すフローチャート
【図5】プリント処理を行う時の手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0054】
1 サーバーシステム
2 パソコン
3 写真店
10 送受信部
11 データ処理部
17 注文者データ保存部
18 注文データ保存部
30 パソコン
31 写真処理装置
32 プリント処理機器
300 送受信部
301 データ処理部
302 注文データ保存部
304 注文者データ保存部
305 通知部
306 照合手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバーシステムにアップロードされた画像形成処理の注文データを、ネットワークを介してダウンロード可能に構成した画像形成処理機器において、
ダウンロードした前記注文データを保存する注文データ保存部と、
前記注文データをダウンロードした際、その注文データが有する注文者データと、そのダウンロード以前に前記注文データ保存部に保存された注文データが有する注文者データの中から選択された注文者データと、を照合する照合手段と、
前記照合の結果に基づいて通知を行う通知部と、を備えることを特徴とする画像形成処理機器。
【請求項2】
前記注文データ保存部に保存された注文データが有する注文者データの中から選択された注文者データを、リスト形式で保存する注文者データ保存部を備え、
前記照合手段は、前記注文データをダウンロードした際に、その注文データに含まれる注文者データと、そのダウンロード以前に前記注文者データ保存部に保存された注文者データと、を照合する請求項1に記載の画像形成処理機器。
【請求項3】
前記照合手段は、照合する項目を任意に設定可能に構成された請求項1又は2に記載の画像形成処理機器。
【請求項4】
ネットワーク上に設置され、アップロードされた画像形成処理の注文データを保存可能に構成されたサーバーシステムと、
そのサーバーシステムにアップロードされた画像形成処理の注文データを、ネットワークを介してダウンロード可能に構成した請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成処理機器と、を備える画像形成注文システム。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成注文システムに備えられ、その画像形成注文システムが備える前記画像形成処理機器からアップロードされた注文者データを保存するサーバー用注文者データ保存部を備えるサーバーシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−4172(P2006−4172A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179750(P2004−179750)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】