説明

画像形成処理装置及び画像形成処理方法

【課題】管理者の負担を軽減しつつ、ユーザの管理情報を個別に管理できる画像形成処理装置を提供する。
【解決手段】複数のユーザによる使用状況を管理する画像形成処理装置であって、前記ユーザごとに実行された画像形成処理の履歴を含む個別管理情報を前記ユーザごとに保持する保持手段と、前記ユーザごとに設定された猶予期間と、前記ユーザごとに画像形成処理が実行されていない期間として計測される不使用期間と、の差分を残余期間として前記ユーザごとに記録する記録手段と、前記ユーザごとに記録されている残余期間に基づいて、保持されている前記個別管理情報のうち、前記複数のユーザの少なくとも一部に係る個別管理情報を、削除の対象として決定する削除対象決定手段と、前記削除の対象として決定された個別管理情報の少なくとも一部を削除する削除処理手段と、を有する画像形成処理装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成処理装置及び画像形成処理方法に関し、特にユーザ管理情報の保持に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の機能を備えた画像形成処理装置が複数のユーザによって使用される場合、各ユーザによる当該画像形成処理装置の使用状況を管理するため、当該各ユーザの使用履歴を含む管理情報を、当該画像形成処理装置に備えられた記憶装置に保持させることがある。
【0003】
この場合、従来、例えば、特許文献1に記載のように、画像形成処理装置に備えられた不揮発性メモリに保持できるユーザの上限数は、当該画像形成処理装置の管理者が所定の入力装置を介して手動で設定していた。
【特許文献1】特開2004−318225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術においては、画像形成処理装置に保持されているユーザの数が、既に管理者によって設定された上限数に達している場合には、さらに新規のユーザについての管理情報を保持することができなかった。
【0005】
したがって、例えば、画像形成処理装置の使用頻度が低いユーザのみを管理の対象から除外する場合には、当該ユーザに係る管理情報を、管理者が手動で削除する必要があったため、管理者の負担が大きかった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであって、管理者の負担を軽減しつつ、ユーザの管理情報を個別に管理できる画像形成処理装置及び画像形成処理方法を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る画像形成処理装置は、複数のユーザによる使用状況を管理する画像形成処理装置であって、前記ユーザごとに実行された画像形成処理の履歴を含む個別管理情報を前記ユーザごとに保持する保持手段と、前記ユーザごとに設定された猶予期間と、前記ユーザごとに画像形成処理が実行されていない期間として計測される不使用期間と、の差分を残余期間として前記ユーザごとに記録する記録手段と、前記ユーザごとに記録されている残余期間に基づいて、保持されている前記個別管理情報のうち、前記複数のユーザの少なくとも一部に係る個別管理情報を、削除の対象として決定する削除対象決定手段と、前記削除の対象として決定された個別管理情報の少なくとも一部を削除する削除処理手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、前記記録手段は、前記ユーザごとに計測されている不使用期間のうち、実行された画像形成処理に係るユーザの不使用期間をリセットして、その計測を新たに開始することとしてもよい。
【0009】
また、前記削除対象決定手段は、実行された画像形成処理に係るユーザが、未だその個別管理情報が前記保持手段に保持されていない新規ユーザであるか否かを判断し、新規ユーザであると判断した場合に、前記削除の対象を決定する処理を行うこととしてもよい。
【0010】
また、前記削除対象決定手段は、記録されている前記残余期間が所定の閾値以下となった場合に、前記削除の対象を決定する処理を行うこととしてもよい。
【0011】
また、前記保持手段は、前記個別管理情報に含まれている画像形成処理の履歴以外の画像形成処理の履歴をまとめて非個別管理情報としてさらに保持し、前記削除の対象として決定された個別管理情報の一部は、前記非個別管理情報に含められることとしてもよい。
【0012】
また、前記削除の対象として決定された個別管理情報の少なくとも一部を、前記削除対象決定手段によって削除される前に、出力する手段をさらに有することとしてもよい。
【0013】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る画像形成処理方法は、複数のユーザによって使用される画像形成処理装置においてユーザごとに実行された画像形成処理の履歴を含む個別管理情報を前記ユーザごとに保持する保持工程と、前記ユーザごとに設定された猶予期間と、前記ユーザごとに画像形成処理が実行されていない期間として計測される不使用期間と、の差分を残余期間として前記ユーザごとに記録する記録工程と、前記ユーザごとに記録されている残余期間に基づいて、保持されている前記個別管理情報のうち、前記複数のユーザの少なくとも一部に係る個別管理情報を、削除の対象として決定する削除対象決定工程と、前記削除の対象として決定された個別管理情報の少なくとも一部を削除する削除処理工程と、を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の一実施形態に係る画像形成処理装置について説明する。なお、本実施形態においては、画像形成処理装置が印刷処理を行う場合を例として説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成処理装置1の主な構成を示すブロック図である。図1に示すように、画像形成処理装置1は、制御部10と、記憶部20と、通信部30と、ユーザインタフェース部40と、出力部50と、を含んで構成されている。
【0015】
制御部10は、中央処理装置(Central Processing Unit;CPU)等によって実現され、記憶部20に格納されているプログラムに従って動作する。この制御部10が行う処理の具体的な内容については、後に詳しく述べる。
【0016】
記憶部20は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory;RAM)や、リードオンリーメモリ(Read Only Memory;ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ(Non−Volatile Memory;NVM)等によって実現できる。この記憶部20は、制御部10が実行するプログラム(ソフトウェア)を格納している。また、この記憶部20は、制御部10の処理の過程で利用される種々のデータを保持するワークメモリとしても動作する。
【0017】
通信部30は、ネットワークボード等によって実現できる。この通信部30は、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network;LAN)やインターネット等のネットワークに接続され、当該ネットワークに接続された他のコンピュータ等からデータを受け入れるとともに、当該受け入れたデータを制御部10に出力する。また、この通信部30は、制御部10から入力されるデータをネットワークを介して他のコンピュータ等に送信する。
【0018】
ユーザインタフェース部40は、タッチパネル等の操作パネル、液晶ディスプレイ等の表示装置、キーボード、マウス、タッチパッド等の入力装置等によって実現できる。このユーザインタフェース部40は、制御部10から入力される指示に従って、制御部10から入力されるデータに基づいた画面(例えば、ユーザに指示の入力を促す案内画面)を表示する。また、このユーザインタフェース部40は、ユーザから入力される指示を受け入れて、当該受け入れた指示を制御部10に出力する。
【0019】
出力部50は、プリンタ等の印刷装置、コピー機等の複写装置、ファクシミリ装置等により実現できる。この出力部50は、制御部10から受け入れたデータに基づいて、所定の媒体上に画像を形成し、当該画像が形成された媒体を出力する。
【0020】
次に、制御部10が行う処理の内容について詳しく説明する。図2は、制御部10によって行われる主な処理を示す機能ブロック図である。図2に示すように、制御部10は、指示受入部11と、ユーザ識別情報抽出部12と、画像形成用データ生成部13と、画像形成処理実行部14と、管理情報処理部15と、削除対象決定部16と、削除処理部17と、を含んでいる。
【0021】
管理情報処理部15は、記憶部20に保持されている管理情報の生成や更新を行う。図3には、この記憶部20が、その不揮発性メモリに保持している管理情報の一例を示す。図3に示すように、記憶部20は、管理情報として、ユーザごとに実行された画像形成処理の履歴を含む個別管理情報を当該登録ユーザごとに保持するとともに、当該個別管理情報に含まれている画像形成処理の履歴以外の画像形成処理の履歴をまとめて非個別管理情報としてさらに保持している。
【0022】
すなわち、この管理情報には、複数のユーザのうち、予め定められた所定数(図3に示す例では「3」)のユーザが登録されており、当該各登録ユーザを識別するユーザ識別情報「P」、「Q」、及び「R」と、当該登録ユーザごとに記録される残余期間「100」、「3」、及び「80」と、過去に当該登録ユーザごとに実行された画像形成処理の内容を表す履歴情報と、が互いに関連付けられた当該登録ユーザごとの個別管理情報が、個別管理情報群として含まれている。
【0023】
この各個別管理情報に含まれる残余期間は、当該各個別管理情報に係る登録ユーザごとに設定された猶予期間と、当該登録ユーザごとに画像形成処理が実行されていない期間として計測される不使用期間と、の差分として記録される。すなわち、まず、管理情報処理部15は、画像形成処理装置1の管理者から、ユーザインタフェース部40を介して受け入れた指示に基づいて、当該登録ユーザごとに猶予期間を設定する。
【0024】
その後、管理情報処理部15は、登録ユーザごとに、その猶予期間が設定された後、当該登録ユーザに係る新たな画像形成処理が実行されない経過時間を、不使用期間として計測し始める。なお、この不使用期間の計測は、画像形成処理装置1に備えられたタイマー(図示せず)等を用いて行うことができる。
【0025】
また、管理情報処理部15は、所定のタイミングで(例えば、1時間おきに)、登録ユーザごとに、設定された猶予期間から、経時的に計測される不使用期間を除した時間を算出し、当該差分として算出された時間を、残余期間として記録する。すなわち、管理情報処理部15は、猶予期間の新たな設定後、登録ユーザごとに、その残余期間の減算を開始する。
【0026】
なお、図3に示す管理情報は、全ての登録ユーザについて同時に、互いに異なる猶予期間「100時間」、「3時間」、及び「80時間」がそれぞれ設定された直後に保持されているものであるため、各個別管理情報に記録されている各登録ユーザに係る残余期間は、当該各登録ユーザについて設定された猶予期間と同一値となっている。
【0027】
また、この図3に示す各個別管理情報の履歴情報には、過去に実行された各登録ユーザに係る画像形成処理において消費された、画像が形成される媒体の数の累積値が、当該媒体の種別ごとに記録されている。すなわち、例えば、登録ユーザのうちの1人については、過去に実行された当該登録ユーザに係る印刷処理において消費されたA4規格の用紙数「5」と、その他のA3規格、B4規格、及びレター規格の用紙については消費されていないことを表す値「0」と、が当該登録ユーザに係るユーザ識別情報及び残余期間に関連付けられて記録されている。
【0028】
また、図3に示す管理情報には、個別管理情報群に加えて、画像形成処理装置1において過去に実行された画像形成処理のうち、当該個別管理情報群に履歴が含まれている画像形成処理以外の画像形成処理に係る履歴が記録された非個別管理情報が含まれている。すなわち、この非個別管理情報の履歴情報には、過去に画像形成処理装置1における画像形成処理で消費された、画像が形成される媒体の数の累積値が、当該媒体の種別ごとに記録されている。したがって、画像形成処理装置1において過去の所定期間内に実行された画像形成処理の履歴の全てが、各個別管理情報と非個別管理情報とに分けて保持されていることとなる。
【0029】
そして、この非個別管理情報においては、複数のユーザの各々に割り当てられているユーザ識別情報のいずれとも異なるユーザ識別情報と、履歴情報と、が関連付けられて保持されている。具体的に、図3に示す管理情報に含まれる非個別管理情報においては、当該非個別管理情報であることを示すユーザ識別情報「Others」に、画像形成処理装置1において過去に実行された印刷処理において消費された総用紙数のうち、個別管理情報群に含まれている用紙数以外の用紙数として、A3規格用紙の消費数「100」、B4規格用紙の消費数「200」、A4規格用紙の消費数「300」、及びレター規格用紙の消費数「100」が関連付けられている。なお、非個別管理情報には残余期間は含まれていない。すなわち、非個別管理情報の履歴情報は、残余期間には関連付けられていない。
【0030】
次に、図3に示す管理情報が記憶部20に保持され、各登録ユーザについて残余期間の減算が開始されてから10時間の間、画像形成処理装置1において画像形成処理が全く実行されなかったとする。すなわち、この場合、全ての登録ユーザについて、一律10時間の不使用期間が経過したこととなる。
【0031】
図4には、この場合に記憶部20に保持される管理情報の一例を示す。図4に示すように、この管理情報に含まれる個別管理情報群のうち、経過した不使用期間より大きな猶予期間が設定されていた2人の登録ユーザに係る個別管理情報の各々においては、残余期間は、当該猶予期間から10時間を除した値、すなわち「90」及び「70」がそれぞれ記録されている。
【0032】
一方、個別管理情報群のうち、経過した不使用期間より小さな猶予期間が設定されていた1人の登録ユーザに係る個別管理情報においては、残余期間は、当該不使用期間が当該猶予期間を上回って当該残余期間が尽きたこと、すなわち、既に猶予期間が満了したことを示す値として、「0」が記録されている。
【0033】
さらに、この図4に示す管理情報が記憶部20に保持されているときに、当該管理情報に登録されている3人のユーザ以外の新たなユーザに係る画像形成処理が実行されるとする。この場合、まず、指示受入部11は、通信部30を介して、新たなユーザに係る画像形成処理の指示を受け入れる。すなわち、指示受入部11は、通信部30がLANを介して新たなユーザが所有するコンピュータから受け入れた印刷ジョブを、当該通信部30から受け入れる。そして、この指示受入部11は、受け入れた印刷ジョブを、ユーザ識別情報抽出部12と、画像形成用データ生成部13と、に出力する。
【0034】
ユーザ識別情報抽出部12は、指示受入部11から受け入れた画像形成処理の指示から、当該指示に関連付けられたユーザ識別情報を抽出する。すなわち、このユーザ識別情報抽出部12は、受け入れた印刷ジョブから、当該印刷ジョブのヘッダ情報に含まれている、新たなユーザを特定するユーザ識別情報「S」を抽出する。そして、このユーザ識別情報抽出部12は、抽出したユーザ識別情報を管理情報処理部15に出力する。
【0035】
ユーザ識別情報抽出部12によって抽出されたユーザ識別情報を受け入れた管理情報処理部15は、記憶部20に保持されている管理情報を参照して、当該抽出されたユーザ識別情報と同一のユーザ識別情報が、既に当該管理情報の個別管理情報に含まれているか否かを判断することによって、当該抽出されたユーザ識別情報が新規のユーザに係るものであるか否かを判断する。
【0036】
すなわち、この場合、管理情報処理部15は、抽出されたユーザ識別情報「S」は、図4に示す管理情報の各個別管理情報に含まれる3つのユーザ識別情報「P」、「Q」、及び「R」のいずれとも異なると判断し、当該抽出されたユーザ識別情報「S」が新規ユーザに係るものであると判断する。
【0037】
また、管理情報処理部15は、個別管理情報が保持されているユーザの数が予め定められた上限値に到達しているか否かを判断する。すなわち、管理情報処理部15は、記憶部20に保持されている、登録可能なユーザ数の上限値「3」と、個別管理情報群に含まれているユーザ識別情報の数「3」と、を参照して、既に当該上限数の登録ユーザの個別管理情報が保持されていると判断する。
【0038】
そこで、この管理情報処理部15は、新たなユーザに係る個別管理情報を不揮発性メモリに優先的に保持するため、既に保持されている各個別管理情報のうち、少なくとも一部を削除対象として決定するよう、削除対象決定部16に指示する。
【0039】
管理情報処理部15からの指示を受け入れた削除対象決定部16は、個別管理情報群に含まれる残余期間を参照して、当該残余期間に基づいて、既に個別管理情報が保持されている登録ユーザのうち、少なくとも一部の登録ユーザに係る個別管理情報を、削除の対象として決定する。
【0040】
すなわち、削除対象決定部16は、図4に示す各個別管理情報に係る残余期間のうち、1人の登録ユーザに係る残余期間が「0」となっており、3人の登録ユーザに係る残余期間のうち最小値となっているため、当該残余期間が最小の登録ユーザに係るユーザ識別情報「Q」に関連付けられている個別管理情報を削除の対象として決定する。そして、この削除対象決定部16は、削除対象として決定した1つの個別管理情報について削除処理を行うよう削除処理部17に指示する。
【0041】
削除対象決定部16からの指示を受け入れた削除処理部17は、削除対象として決定された個別管理情報の少なくとも一部を削除する処理を行う。すなわち、削除対象決定部16は、管理情報に含まれる個別管理情報群のうち、削除対象として決定された個別管理情報の一部を非個別管理情報に含めるとともに、その他の部分を削除する処理を行う。具体的に、この削除対象決定部16は、図4に示す個別管理情報群のうち、ユーザ識別情報「Q」に関連付けられた個別管理情報の履歴情報を非個別管理情報に含めるとともに、当該ユーザ識別情報「Q」に関連付けられた個別管理情報のユーザ識別情報及び残余期間を削除する。
【0042】
図5は、この削除処理の後に記憶部20に保持される管理情報の一例を示す。図5に示すように、管理情報に含まれる個別管理情報群からは、削除対象として決定された個別管理情報が全て削除されている。
【0043】
一方、この図5に示す非個別管理情報の履歴情報においては、図4に示す、削除処理前の個別管理情報群において、削除対象となった個別管理情報の履歴情報に記録されていたA4規格用紙の消費枚数「3」と、当該図4に示す非個別管理情報の履歴情報に記録されていたA4規格用紙の消費枚数「300」と、が合算された値「303」が、A4規格用紙の消費枚数として記録されている。
【0044】
すなわち、非個別管理情報には、過去に個別管理情報が保持されて登録されていたユーザであって、当該登録された後に、当該個別管理情報が削除されたユーザに係る履歴が含まれることとなる。
【0045】
このように、削除対象の個別管理情報が削除された結果、記憶部20の不揮発性メモリには、当該削除対象となった個別管理情報に代えて、新たなユーザに係る個別管理情報を新たに保持することが可能となる。
【0046】
一方、画像形成用データ生成部13は、指示受入部11から受け入れた画像形成処理の指示に基づいて、画像形成処理実行部14が当該画像形成処理を実行する上で処理可能な適切な画像形成用データを生成する。すなわち、この画像形成用データ生成部13は、受け入れた印刷ジョブが、媒体に形成すべき画像に係るベクタデータを含んでいる場合には、ラスタライズ処理を行い、当該ベクタデータに基づいて、ビットマップデータからなる印刷データを画像形成用データとして生成する。そして、この画像形成用データ生成部13は、生成した画像形成用データを画像形成処理実行部14に出力する。
【0047】
画像形成処理実行部14は、画像形成用データ生成部13から受け入れた画像形成用データに基づいて、画像形成処理を実行する。すなわち、この画像形成処理実行部14は、受け入れた印刷データに基づいて、印刷ジョブの指定する所定の規格の媒体上に、当該印刷ジョブの指定する画像を形成するよう、出力部50に命令する。
【0048】
画像形成処理実行部14から命令を受け入れた出力部50は、当該命令に従って、指定された規格の媒体上に画像を形成し、当該画像が形成された媒体を出力する。すなわち、新たなユーザに係る印刷ジョブが、所定の画像が形成されたA4規格の用紙を5枚出力するよう指示するものである場合には、この出力部50のプリンタ装置は、当該印刷ジョブに従って、5枚のA4規格用紙の各々に所定の画像を印刷し、当該画像が印刷された5枚の用紙を出力する。
【0049】
そして、画像形成処理実行部14は、出力部50によって実行された画像形成処理の結果を管理情報処理部15に出力する。すなわち、この画像形成処理実行部14は、出力部50による印刷処理において、A4規格の用紙が5枚出力された旨を管理情報処理部15に出力する。
【0050】
管理情報処理部15は、画像形成処理実行部14から受け入れた画像形成処理の結果に基づいて、記憶部20に保持されている個別管理情報群を更新する。すなわち、この管理情報処理部15は、図5に示すように、新たな印刷ジョブに係るユーザ識別情報「S」と、当該印刷ジョブに基づく印刷処理において消費されたA4規格の用紙の数「5」を含む履歴情報と、が関連付けられた新たな個別管理情報を、個別管理情報群に追加する。
【0051】
また、この新たな登録ユーザについては、新たに残余期間の記録が開始される。すなわち、管理情報処理部15は、新たな登録ユーザに係る猶予期間を新たに設定するとともに、当該新たな登録ユーザに係る不使用期間の計測を新たに開始する。この結果、図5に示す個別管理情報群のうち、新たな登録ユーザに係るユーザ識別情報「S」及びその履歴情報には、設定された猶予期間と同一の残余期間「100」がまず記録される。
【0052】
なお、図5に示すように、画像形成処理装置1において新たな画像形成処理が実行された場合であっても、当該新たに実行された画像形成処理に係るユーザ以外の登録ユーザに係る残余期間は計測され続ける。この結果、3人の登録ユーザのうち新たな登録ユーザに係る不使用期間と、その他の登録ユーザに係る不使用期間と、は互いに異なる値となる。
【0053】
このように、各登録ユーザに係る不使用期間は、当該各登録ユーザに係る画像形成処理が新たに実行された場合にのみ、リセットされて、新たにゼロから計測され始める。すなわち、各登録ユーザに係る不使用期間の計測を開始するタイミングは、当該各登録ユーザに係る画像形成処理が新たに実行されるタイミングであって、当該登録ユーザごとに決定される。したがって、残余期間は、登録ユーザごとに互いに独立して別個に記録される。
【0054】
次に、図5に示す管理情報が記憶部20に保持され、3人の登録ユーザの各々の残余期間の減算が開始されてからさらに10時間が経過した後、当該登録ユーザのうち1人の登録ユーザに係る画像形成処理が新たに実行されるとする。なお、この新たな画像形成処理が実行される時点では、3人の登録ユーザの各々に係る残余期間は、いずれも残っているとする。
【0055】
この場合、指示受入部11は、通信部30から受け入れた印刷ジョブをユーザ識別情報抽出部12に出力し、ユーザ識別情報抽出部12は、当該印刷ジョブから、既に登録されているユーザの1人を特定するユーザ識別情報「P」を抽出し、当該抽出したユーザ識別情報「P」を管理情報処理部15に出力する。
【0056】
管理情報処理部15は、記憶部20に保持されている個別管理情報群を参照して、抽出されたユーザ識別情報「P」が、既に当該個別管理情報群に含まれていると判断し、新たな画像形成処理が登録ユーザに係るものであると判断する。
【0057】
一方、画像形成用データ生成部13は、新たな印刷ジョブに係る印刷データをラスタライズし、画像形成処理実行部14は、当該ラスタライズされた印刷データに基づいて、画像形成処理を実行する。
【0058】
そして、管理情報処理部15は、この登録ユーザに係るユーザ識別情報「P」と、新たな印刷ジョブに基づく印刷結果と、関連付けて、当該登録ユーザに係る個別管理情報の履歴情報を更新する。
【0059】
図6には、この場合に記憶部20に保持される更新後の管理情報の一例を示す。図6に示すように、管理情報に含まれる個別管理情報群のうち、新たな印刷処理に係るユーザ識別情報「P」に関連付けられている履歴情報に、当該新たな印刷処理において消費されたA3規格の用紙の数「3」及びレター用紙の数「5」がそれぞれ追加されている。
【0060】
また、管理情報処理部15は、3人の登録ユーザに係る残余期間のうち、新たな画像形成処理に係る登録ユーザに係る残余期間のみをリセットする。すなわち、管理情報処理部15は、新たな画像形成処理に係る登録ユーザに猶予期間を新たに設定するとともに、その不使用期間の計測を新たに開始する。
【0061】
このため、図6に示す個別管理情報群においては、新たな印刷ジョブに含まれていたユーザ識別情報「P」に関連付けられている残余期間のみが、新たに設定された猶予期間と同一の期間となっている。
【0062】
この結果、図6に示す個別管理情報群が記憶部20に保持されている時点では、ユーザ識別情報「P」が割り当てられている登録ユーザに係る不使用期間はゼロであり、ユーザ識別情報「R」が割り当てられている登録ユーザに係る不使用期間は20時間であり、ユーザ識別情報「S」が割り当てられている登録ユーザに係る不使用期間は10時間であって、互いに異なっている。
【0063】
次に、制御部10が行う処理の流れについて説明する。図7は、制御部10が残余期間に基づいて行う個別管理情報の更新処理の一例について、その主な処理の流れを示すフロー図である。
【0064】
図7に示すように、まず、管理情報処理部15は、ユーザインタフェース部40を介して管理者から受け入れた指示に基づいて、各登録ユーザの猶予期間を設定する(S100)。そして、管理情報処理部15は、この猶予期間の新たな設定の後、各登録ユーザの不使用期間の計測を開始する(S101)。
【0065】
また、管理情報処理部15は、設定された猶予期間と経時的に計測される不使用期間との差分として残余期間の記録を開始する(S102)。その後、この管理情報処理部15は、減算されていく残余期間を監視する。すなわち、管理情報処理部15は、所定のタイミングで、各個別管理情報に含まれる残余期間を参照して、残余期間がゼロとなっている登録ユーザがいるか否かを判断する(S103)。
【0066】
そして、管理情報処理部15は、いずれの登録ユーザに係る残余期間もゼロでないと判断した場合(処理S103においてNo)には、そのままさらに不使用期間の計測(S101)及び残余期間の記録(S102)を継続する。
【0067】
また、管理情報処理部15は、処理S103において、少なくとも一部の登録ユーザに係る残余期間がゼロであると判断した場合(処理S103においてYes)には、削除の対象とする個別管理情報を決定するよう削除対象決定部16に指示する。
【0068】
この場合、削除対象決定部16は、その残余期間がゼロとなっている登録ユーザに係る個別管理情報を削除の対象として決定する(S104)。そして、削除処理部17は、この削除の対象として決定された個別管理情報のうち、履歴情報を非個別管理情報に含めるとともに、当該履歴情報以外の情報を削除する(S105)。
【0069】
この結果、削除対象となった個別管理情報に係る登録ユーザは管理対象から外され、記憶部20に保持される個別管理情報は、削除対象とならなかった個別管理情報のみを含むよう更新される(S106)。
【0070】
図8は、制御部10が、新規ユーザに係る画像形成処理の実行に伴って行う管理情報の更新処理の一例について、その主な処理の流れを示すフロー図である。この場合、まず、指示受入部11は、通信部30から新規ユーザに係る印刷ジョブを受け入れる(S200)。そして、ユーザ識別情報抽出部12は、この受け入れられた印刷ジョブに含まれる新規ユーザに係るユーザ識別情報を抽出し(S201)、当該抽出されたユーザ識別情報を管理情報処理部15に出力する。
【0071】
管理情報処理部15は、記憶部20の不揮発性メモリに既に保持されている管理情報を参照して、個別管理情報に含まれるユーザ識別情報のいずれかが抽出されたユーザ識別情報と一致するか否かの判断に基づいて、当該抽出されたユーザ識別情報が新規ユーザに係るものか否かを判断する(S202)。
【0072】
そして、管理情報処理部15は、既に保持されている個別管理情報に含まれるユーザ識別情報のいずれかが抽出されたユーザ識別情報と一致する場合には、当該抽出されたユーザ識別情報は新規ユーザに係るものではないと判断する(処理S202においてNo)。
【0073】
この場合、画像形成用データ生成部13は、印刷ジョブに含まれる印刷データをラスタライズし、画像形成処理実行部14は、当該ラスタライズされた印刷データに基づいて、出力部50に印刷処理を実行させる(S206)。
【0074】
そして、管理情報処理部15は、この印刷ジョブに基づく印刷処理の結果を、当該印刷ジョブに含まれていたユーザ識別情報に関連付けられている履歴情報に反映させることにより、管理情報を更新する(S207)。
【0075】
また、管理情報処理部15は、処理S202において、既に保持されている個別管理情報に含まれるユーザ識別情報のいずれもが抽出されたユーザ識別情報と一致しない場合には、当該抽出されたユーザ識別情報は、未だその個別管理情報が保持されていない新規ユーザに係るものであると判断する(処理S202においてYes)。
【0076】
この場合、管理情報処理部15は、削除対象決定部16に対して、管理情報に含まれる個別管理情報群のうち、少なくとも一部の登録ユーザに係る個別管理情報を削除の対象として決定するよう指示する。
【0077】
管理情報処理部15から指示を受けた削除対象決定部16は、不揮発性メモリに保持されている各個別管理情報に記録されている残余期間を参照して、その残余期間が最も小さい登録ユーザに係る個別管理情報(残余期間が尽きている登録ユーザに係るものに限られない)を削除の対象として決定する(S203)。
【0078】
この決定結果に基づいて、削除処理部17は、削除対象に決定された個別管理情報のうち、ユーザ識別情報及び残余期間を削除するとともに、その他の履歴情報を非個別管理情報に含める削除処理を行う(S204)。そして、管理情報処理部15は、不揮発性メモリに、新規ユーザに係る個別管理情報を保持するための領域を確保する(S205)。また、画像形成用データ生成部13はラスタライズされた印刷データを生成し、画像形成処理実行部14は、当該印刷データに基づいて印刷処理を実行する(S206)。
【0079】
そして、管理情報処理部15は、新規ユーザに係るユーザ識別情報と、当該新規ユーザに新たに設定された猶予期間に基づく残余期間と、実行された印刷処理の結果を表す履歴情報と、を関連付けた新たな個別管理情報を不揮発性メモリに保持させることにより、管理情報を更新する(S207)。
【0080】
なお、本発明に係る画像形成処理装置1は、上述の例に限られない。すなわち、削除対象決定部16が削除対象を決定するタイミングは、1又は複数の登録ユーザに係る残余期間が尽きたタイミングに限られず、例えば、1又は複数の登録ユーザに係る残余期間が、予め定められた閾値以下となったタイミングであってもよい。
【0081】
また、例えば、管理情報処理部15は、1又は複数の登録ユーザに係る残余期間が尽きた場合であっても、その後、登録ユーザ以外の新たなユーザに係る画像形成処理が実行されるまで個別管理情報の更新処理を行わないこととしてもよい。そして、例えば、複数の登録ユーザに係る残余期間がゼロとなっている場合には、削除対象決定部16は、例えば、新たなユーザに係る画像形成処理の指示が受け入れられたときに、予め定められた所定のルールに従って、当該複数の登録ユーザの少なくとも一部に係る個別管理情報を削除の対象を決定することとしてもよい。すなわち、この削除対象決定部16は、例えば、残余期間が尽きている複数の登録ユーザのうち、設定された猶予期間が小さいユーザや、登録された時期が最も早いユーザに係る個別管理情報を優先的に削除対象として決定してもよいし、残余期間が尽きている各登録ユーザに係る履歴情報やユーザ識別情報の情報量等が所定の条件を満たすか否かの判断等に基づいて削除対象を決定してもよい。
【0082】
また、各登録ユーザに係る猶予期間は、管理者からの指示に基づいて設定されるものに限られず、例えば、新たな登録ユーザに対しては予め定められた所定の値が設定されてもよいし、複数のユーザの各々について予め定められた期間が設定されてもよいし、印刷ジョブから抽出される猶予期間が設定されてもよい。また、設定される猶予期間は、全ての登録ユーザの間で互いに異なってもよいし、登録ユーザの一部のみの間で互いに異なってもよいし、全ての登録ユーザについて同一であってもよい。
【0083】
また、削除処理部17は、削除対象となった個別管理情報を削除する処理を実行する前に、当該削除対象となった個別管理情報の少なくとも一部を、通信部30に、画像形成処理装置1の管理者や、当該削除対象となった個別管理情報に係るユーザに対して通知させ、出力部50に出力させ、又はユーザインタフェース部40に表示させることとしてもよい。すなわち、この場合、削除される予定の個別管理情報が、電子メール等によって管理者やユーザに通知され、所定の用紙に印刷され、又は操作パネルの画面に表示されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成処理装置の主な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る制御部によって行われる主な処理を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る管理情報の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る管理情報の他の例を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る管理情報のさらに他の例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る管理情報のさらに他の例を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る制御部が行う個別管理情報の更新処理の一例について、その主な処理の流れを示すフロー図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る制御部が行う管理情報の更新処理の一例について、その主な処理の流れを示すフロー図である。
【符号の説明】
【0085】
1 画像形成処理装置、10 制御部、11 指示受入部、12 ユーザ識別情報抽出部、13 画像形成用データ生成部、14 画像形成処理実行部、15 管理情報処理部、16 削除対象決定部、17 削除処理部、20 記憶部、30 通信部、40 ユーザインタフェース部、50 出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザによる使用状況を管理する画像形成処理装置であって、
前記ユーザごとに実行された画像形成処理の履歴を含む個別管理情報を前記ユーザごとに保持する保持手段と、
前記ユーザごとに設定された猶予期間と、前記ユーザごとに画像形成処理が実行されていない期間として計測される不使用期間と、の差分を残余期間として前記ユーザごとに記録する記録手段と、
前記ユーザごとに記録されている残余期間に基づいて、保持されている前記個別管理情報のうち、前記複数のユーザの少なくとも一部に係る個別管理情報を、削除の対象として決定する削除対象決定手段と、
前記削除の対象として決定された個別管理情報の少なくとも一部を削除する削除処理手段と、
を有することを特徴とする画像形成処理装置。
【請求項2】
前記記録手段は、前記ユーザごとに計測されている不使用期間のうち、実行された画像形成処理に係るユーザの不使用期間をリセットして、その計測を新たに開始する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成処理装置。
【請求項3】
前記削除対象決定手段は、実行された画像形成処理に係るユーザが、未だその個別管理情報が前記保持手段に保持されていない新規ユーザであるか否かを判断し、新規ユーザであると判断した場合に、前記削除の対象を決定する処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成処理装置。
【請求項4】
前記削除対象決定手段は、記録されている前記残余期間が所定の閾値以下となった場合に、前記削除の対象を決定する処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成処理装置。
【請求項5】
前記保持手段は、前記個別管理情報に含まれている画像形成処理の履歴以外の画像形成処理の履歴をまとめて非個別管理情報としてさらに保持し、
前記削除の対象として決定された個別管理情報の一部は、前記非個別管理情報に含められる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成処理装置。
【請求項6】
前記削除の対象として決定された個別管理情報の少なくとも一部を、前記削除対象決定手段によって削除される前に、出力する手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成処理装置。
【請求項7】
複数のユーザによって使用される画像形成処理装置においてユーザごとに実行された画像形成処理の履歴を含む個別管理情報を前記ユーザごとに保持する保持工程と、
前記ユーザごとに設定された猶予期間と、前記ユーザごとに画像形成処理が実行されていない期間として計測される不使用期間と、の差分を残余期間として前記ユーザごとに記録する記録工程と、
前記ユーザごとに記録されている残余期間に基づいて、保持されている前記個別管理情報のうち、前記複数のユーザの少なくとも一部に係る個別管理情報を、削除の対象として決定する削除対象決定工程と、
前記削除の対象として決定された個別管理情報の少なくとも一部を削除する削除処理工程と、
を有することを特徴とする画像形成処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−185809(P2007−185809A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4095(P2006−4095)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】