説明

画像形成制御装置、および画像形成制御プログラム

【課題】良好な網点画像を画像形成装置に形成させることができる画像形成制御装置と、コンピュータをそのような画像形成制御装置として動作させる画像形成制御プログラムを提供する。
【解決手段】画像データに基づいてその画像データが表わす画像を形成するプルーファ600に、画像データとして、網点構造を有する網点画像を表わす網点画像データを出力する出力部1400と、出力部1400が出力した網点画像データが表わす網点画像をプルーファ600が形成する際の画像形成条件を、網点画像の網点構造に応じた画像形成条件とする制御部1500とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに基づいてその画像データが表わす画像を形成する画像形成装置を制御する画像形成制御装置、および、コンピュータをそのような画像形成制御装置として動作させる画像形成制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物の画像(印刷画像)の多くは、原稿の画像が網点で表現された、網点構造を有する網点画像である。ここで、印刷で用いられる網点構造には、画像の濃さを網点数で表現したFMタイプの網点構造や、画像の濃さを、配列された網点の個々の大きさで表現したAMタイプの網点構造といった複数の種類がある。また、FMタイプには、個々の網点の形状や配置が互いに異なる様々な種類があり、AMタイプにも、単位長さあたりの網点配列の数である線数や、個々の網点の形状、および網点配列の角度が互いに異なる様々な種類がある。
【0003】
一方、印刷物には、例えば商用印刷物や新聞用印刷物等といった複数の種類があり、各印刷物の種類に適した網点構造があることが知られている。また、印刷システムを構成する各種装置の動作特性には網点構造に対する相性があり、印刷物の作成の際には、印刷物の種類や、印刷システムを構成する各種装置の動作特性等が総合的に勘案された適切な網点構造が使われることが望ましい。そこで、複数種類の網点構造について、各網点構造が適している印刷物の種類や印刷システム等を示すコメントを対応付けて予め登録しておき、印刷物の作成の際には、登録されている複数種類の網点構造を上記のコメントとともに所定の表示画面に表示し、望ましい網点構造を、各網点構造に対応するコメントに基づいてユーザに選ばせるという技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−236909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、印刷の工程には、本番の印刷に先立って、印刷物の試し刷り等を行って仕上がりを確認する校正(プルーフ)と称される工程が存在する。また、印刷作業が大掛かりであり手間も掛るため、このプルーフ用として、印刷物の印刷画像を手軽に再現するプルーファという専用プリンタが知られている。また、近年では、デジタル技術の進歩によって、例えば電子写真方式等が用いられた汎用プリンタでの画像形成における画質が向上し、このような汎用プリンタもプルーフに利用されるようになってきている。このようなプルーフで得られる、印刷画像を再現した画像をプルーフ画像と呼ぶ。
【0005】
ここで、精度の高いプルーフのためには、プルーフ画像の作成においては、例えば、上記の特許文献1に示す技術等によって適切に決められた印刷物の網点構造が忠実に再現されることが望ましい。ところが、この網点構造まで忠実に再現するとかえってプルーフ画像の画質等が印刷画像の画質等とは異なるものとなってしまい、その結果、プルーフ画像が、仕上がりの事前確認の役に立たないという問題がしばしば起きている。
【0006】
また、上記ではプルーフについての問題点を説明したが、ある網点構造を再現したときに画質等が変わってしまうという問題はプルーフに限らず、例えば、ある印刷システムで良好な画質が得られた画像を表わす画像データを、汎用プリンタ等といった他の画像形成装置に転用する場合等にも同様に生じる問題である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、良好な網点画像を画像形成装置に形成させることができる画像形成制御装置と、コンピュータをそのような画像形成制御装置として動作させる画像形成制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の画像形成制御装置は、画像データに基づいてその画像データが表わす画像を形成する画像形成装置を制御する画像形成制御装置において、
上記画像データとして、網点構造を有する網点画像を表わす網点画像データを出力する出力部と、
上記出力部が出力した網点画像データが表わす網点画像を上記画像形成装置が形成する際の画像形成条件を、その網点画像の網点構造に応じた画像形成条件とする制御部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
ここで、本発明の画像形成制御装置は、上記画像形成装置から独立したものでも良いし、上記画像形成装置と一体になったものでも良い。また、「網点画像を上記画像形成装置が形成する際の画像形成条件を、その網点画像の網点構造に応じた画像形成条件とする」とは、画像形成条件をコマンド等で画像形成装置に指示することによって間接的に実現することであっても良いし、画像形成条件を得るために画像形成装置の内部動作等を直接的に制御することであっても良い。
【0010】
前述したように、印刷物を作成する際には、印刷物の種類や、印刷システムを構成する各種装置の動作特性等が総合的に勘案されて適切な網点構造が決められることが多く、プルーフ画像は、その網点構造が忠実に再現されたものであることが求められる。一方で、このようなプルーフ画像の形成にプルーファとして使われる画像形成装置は、様々な種類の印刷システムで作成される、様々な網点構造を再現できることが商品価値の観点から望ましい。ところが、ある画像形成装置で印刷画像を再現してプルーフ画像を形成すると、印刷物の網点構造によってはプルーフ画像の画質が、印刷物の仕上がりについての事前確認の役に立たないまでに低下してしまうことがある。このような不具合を詳細に検討したところ、プルーフ画像の画質等は、画像形成装置での画像形成条件と網点構造との適合具合に左右されるということが分かった。
【0011】
上記の本発明の画像形成制御装置によれば、例えば上記のプルーフ画像を画像形成装置に形成させるに当たっては、その画像形成装置での画像形成が、プルーフ画像の網点構造に応じた画像形成条件での画像形成となるように制御される。これにより、画像形成装置の画像形成条件を、プルーフ画像の網点構造に適合させることができるので、画質が良好なプルーフ画像を得ることができる。このように、上記の本発明の画像形成制御装置によれば、例えば画質が良好なプルーフ画像等といった、良好な網点画像を画像形成装置に形成させることができる。
【0012】
ここで、本発明の画像形成制御装置において、「上記画像形成装置が、網点画像データに基づいて変調された光で画像の形成面上を露光することによってその形成面上にその網点画像データが表わす網点画像を形成する露光型の画像形成装置であって、
上記制御部が、上記形成面の露光状態に影響するタイプの画像形成条件について、上記網点構造に応じた画像形成条件とするものである」という形態は典型的な形態である。
【0013】
また、本発明の画像形成制御装置において、「上記制御部が、上記網点構造と上記画像形成条件との対応関係を定義した対応テーブルを有し、上記画像形成装置における画像形成条件を、その対応テーブル上で上記網点画像の網点構造に対応した画像形成条件とするものである」という形態は好ましい形態である。
【0014】
この好ましい形態の画像形成制御装置によれば、上記対応テーブルを用いることにより、網点構造に応じた画像形成条件の設定を容易に行なうことができる。
【0015】
また、本発明の画像形成制御装置において、「網点構造を取得する取得部と、
非網点構造の画像を表わす画像データを、上記取得部で取得された網点構造を用いて上記網点画像データに変換する網点化部とを備え、
上記出力部が、上記網点化部で得られた網点画像データを出力するものであり、
上記制御部が、上記画像形成装置における画像形成条件を、上記取得部で取得された網点構造に応じた画像形成条件とするものである」という形態も好ましい形態である。
【0016】
この好ましい形態の画像形成制御装置によれば、上記取得部で所望の網点構造を取得し、その所望の網点構造を有した良好な網点画像を得ることができる。
【0017】
また、本発明の画像形成制御装置において、「上記網点画像の色が所定の目標色となるように、画像に、上記取得部で取得された網点構造に応じた色修正を施す色修正部を備えた」という形態も好ましい形態である。
【0018】
ここで、上記色修正部が色修正を施す画像は、網点画像であっても良く、あるいは、網点化される前の非網点画像であっても良い。
【0019】
画像形成装置が画像形成の際に出力する色は常に安定していることが望ましく、そのため、画像形成装置の出力色を所定の目標色に一致させる、いわゆるキャリブレーションが適宜に実行される。このようなキャリブレーションでは、画像形成装置で形成される画像の色と目標色との色差を打ち消すための修正量等が求められる。そして、画像形成装置での画像形成の前に、網点画像の色、あるいは、網点化される前の非網点画像の色が、その修正量を用いた色修正処理によって修正される。ここで、画像形成装置で形成される網点画像の色は、その網点画像が有する網点構造の影響を受けるので、上記の色修正処理は、その網点画像の網点構造に適した修正量を使った処理であることが望ましい。上記の好ましい形態の画像形成制御装置によれば、上記色修正部によって、画像形成装置に網点画像を形成させる前に、その網点画像の色、またはその網点画像に対応する非網点構造の画像の色をその網点画像の網点構造に適した修正量を使って修正することができる。
【0020】
また、上記目的を達成する本発明の画像形成制御プログラムは、コンピュータに組み込まれ、そのコンピュータを、画像データに基づいてその画像データが表わす画像を形成する画像形成装置を制御する画像形成制御装置として動作させる画像形成プログラムにおいて、
そのコンピュータ上で、
上記画像データとして、網点構造を有する網点画像を表わす網点画像データを出力する出力部と、
上記出力部が出力した網点画像データが表わす網点画像を上記画像形成装置が形成する際の画像形成条件を、その網点画像の網点構造に応じた画像形成条件とする制御部とを構築することを特徴とする。
【0021】
この本発明の画像形成制御プログラムによれば、良好な網点画像を画像形成装置に形成させることができる画像形成制御装置を容易に実現することができる。
【0022】
なお、本発明の画像形成制御プログラムについては、ここではその基本形態のみを示すのにとどめるが、これは単に重複を避けるためであり、本発明にいう画像形成制御プログラムには、前述した画像形成制御装置の各形態に対応する各種の形態が含まれる。
【発明の効果】
【0023】
以上、説明したように、本発明によれば、良好な網点画像を画像形成装置に形成させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態が適用される印刷−プルーフシステムの全体構成図である。
【0026】
カラースキャナ10では、原稿画像11が読み取られて、その読み取られた原稿画像11を表わすC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、およびK(ブラック)の4色の色分解画像データが生成される。このCMYKの画像データはワークステーション20に入力される。ワークステーション20では、オペレータによって、入力された画像データに基づく電子的な集版が行なわれ、印刷用の画像を表わす画像データが生成される。
【0027】
ワークステーション20では、印刷用の画像を表わす画像データが、網点画像を表わす網点画像データに変換される。この変換処理で得られた網点画像データは、フィルムプリンタ30に入力され、フィルムプリンタ30では、その入力された網点画像データに対応した、CMYK各版からなる印刷用フィルム原版が作成される。この印刷用フィルム原版からは刷版が作成され、その刷版が印刷機40に装着される。そして、刷版にインクが塗布され、その塗布されたインクが印刷用の用紙上に転移されて、用紙上に印刷画像41が印刷された印刷物が作成される。
【0028】
ここで、本実施形態では、印刷用の画像データを網点画像データに変換する網点化処理の際には、印刷物の種類、および、印刷システム300を構成するフィルムプリンタ30や印刷機40の動作特性等が総合的に勘案されて、上記のワークステーション20において、適切な網点構造を使った網点化処理が施される。
【0029】
また、本実施形態では、大掛かりな作業でありコストもかかる上記の印刷システム300における印刷作業を行なう前に、印刷画像41を手軽に再現し、その再現で得られるプルーフ画像61によって印刷画像41が印刷されてなる印刷物の仕上がりを事前に確認するプルーフと呼ばれる処理が行なわれる。プルーフ画像61の作成は、パーソナルコンピュータ80とプルーファ600とで行なわれる。ここで、プルーファ600は、一般的なプリンタよりも、印刷画像41に近い画質の画像が得られるプルーフ専用のプリンタである。また、本実施形態では、このプルーファ600を他機種のプルーファと交換することが可能であるが、ここでは、本発明にいう「露光型の画像形成装置」の一例に相当するこのプルーファ600が備えられていることとする。このプルーファ600の詳細については後述する。
【0030】
ここで、パーソナルコンピュータ80が、本発明の画像形成制御装置の一実施形態として動作するものであり、このパーソナルコンピュータ80において、このプルーフ画像61を表わすプルーフ画像データが作成される。
【0031】
パーソナルコンピュータ80には、まず、印刷画像41を表わす、印刷用の画像を表わす画像データが、ワークステーション20から入力される。そして、その画像データに対して、分光測色計70を用いた後述のキャリブレーションで得られる、画像の色についての修正量をまとめたテーブル(修正テーブル)に基づく色修正処理が行なわれた後に、その処理済みの画像データに網点化処理が施されてプルーフ用の網点画像データが得られる。
【0032】
ここで、このパーソナルコンピュータ80では、上記のワークステーション20での網点化処理で使われた印刷用の網点構造と同じ網点構造がユーザの操作によって指定され、その網点構造の網点画像を表わす網点画像データが作成される。さらに、このパーソナルコンピュータ80では、その網点構造に応じた、プルーファ600での画像形成条件が求められる。そして、このパーソナルコンピュータ80は、プルーフ用の網点画像データをプルーファ600に出力するとともに、そのプルーファに、網点画像データが表わす網点画像を、上記の網点構造に応じた画像形成条件で形成させる。これにより、プルーファ600では、印刷画像41を再現したプルーフ画像61が形成され、所定の用紙上に記録される。
【0033】
ここで、以上に概要を説明した印刷−プルーフシステムにおける、本発明の一実施形態としての特徴は、パーソナルコンピュータ80の内部で実行される各種処理の内容にあるが、このパーソナルコンピュータ80について説明する前に、まず、このパーソナルコンピュータ80によって制御されるプルーファ600の詳細について説明する。
【0034】
図2は、図1では1つのブロックで示されているプルーファの内部構成を示す模式図である。
【0035】
この図2に示すプルーファ600は、6個の転写フィルムロール602を装填可能なローディングユニット601と、受像フィルムロール603と、記録ドラム604と、記録ヘッド605と、プリント画像排出口606と、画像トレイ607と、フィルム廃棄口608と、廃棄箱609とを備えている。また、各要素間には、複数の搬送ロール610が配置され、これら複数の搬送ロール610によって搬送路が形成されている。ここで、以下に説明する例では、ローディングユニット601には、CMYK4色それぞれに対応する4個の転写フィルムロール602が装填されていることを前提とする。
【0036】
このプルーファ600では、まず、受像フィルムロール603からプリント画像1枚分の受像フィルムが引出される。受像フィルムロール603の近傍には引出しロール611とカッタ612とが備えられており、受像フィルムは受像フィルムロール603から引出しロール611によって引出され、プリント画像1枚分の長さまで引出されたところでカッタ612によりカットされる。このプリント画像1枚分の受像フィルムは、搬送ロール610によって記録ドラム604まで運ばれ、この記録ドラム604の表面に真空密着によって巻き付けられる。
【0037】
次に、4個の転写フィルムロール602のうちの1つからプリント画像1枚分の転写フィルムが引出される。ローディングユニット601の近傍には、転写フィルムの引出し位置が設けられており、この引出し位置には転写フィルム用のカッタ612が配置されている。転写フィルムの引き出しの際には、ローディングユニット601が回転して、転写フィルムを引出される転写フィルムロール602が、この引出し位置まで移動する。各転写フィルムロール602の近傍には引出しロール611が配置されており、上記の引出し位置まで移動した転写フィルムロール602から、その転写フィルムロール602の近傍の引出しロール611によって転写フィルムが引出される。そして、その転写フィルムが、プリント画像1枚分の長さまで引出されたところでカッタ612によりカットされる。このプリント画像1枚分の転写フィルムは、搬送ロール610によって記録ドラム604まで運ばれ、この記録ドラム604上の受像フィルムの上に真空密着によって重ねられる。
【0038】
図3は、記録ドラムに受像フィルムと転写フィルムとが巻き付けられた様子を示す断面図である。
【0039】
この図3に示すように、記録ドラム604には、まず受像フィルム613が巻き付けられ、その上に、転写フィルム614が重ねられる。
【0040】
このように、記録ドラム604に受像フィルム613と転写フィルム614とが巻き付けられると、図2に示す記録ヘッド605から、網点画像データに基づいて変調されたレーザ光が転写フィルム614に照射される。ここで、網点画像データは、詳細には、上記の網点化処理の際にCMYK4色それぞれの版に分けて作られている。そして、レーザ光は、現在、記録ドラム604に巻きつけられている転写フィルム614の色に対応する版の網点画像データに基づいて変調されることとなる。また、このときには、記録ドラム604が回転し、さらに記録ヘッド605がレール605a上を移動する。これにより、転写フィルム614が、記録ヘッド605からのレーザ光で走査露光される。
【0041】
図4は、図2示す記録ドラム上の転写フィルムが、記録ヘッドからのレーザ光で走査露光される様子を示す模式図である。
【0042】
この図4には、記録ドラム604と、その記録ドラム604に上記の受像フィルム613に重ねて巻き付けられた転写フィルム614と、レーザ光Lzを発する、記録ヘッド605内のレーザ605bが示されている。上記のように、このレーザ605bからレーザ光Lzが照射される際には、記録ドラム604が主走査方向D1に回転し、記録ヘッド605が副走査方向D2に移動する。これにより、転写フィルム614の記録ヘッド605側の面がレーザ光Lzで走査露光される。このレーザ光Lzによる走査露光により、記録ドラム604上で次のような画像形成が行なわれる。
【0043】
図5は、画像形成の様子を示す模式図である。
【0044】
この図5のパート(a)には、受像フィルム613および転写フィルム614それぞれの部分断面図が示されている。ここに示すように、受像フィルム613は、ベース613aと受像層613bとからなる2層構造を有し、転写フィルム614は、ベース614aと光熱変換層614bと色材層614cとからなる3層構造を有する。
【0045】
図5のパート(b)には、記録ドラム604上に受像フィルム613および転写フィルム614が重ねられ、転写フィルム614にレーザ光Lzが照射されている様子が示されている。ここに示すように、受像フィルム613は、ベース613aが記録ドラム604の表面に密着するように記録ドラム604に巻き付けられ、転写フィルム614は、色材層614cが受像フィルム613の受像層613bに密着するように受像フィルム613に重ねられる。このとき、レーザ光Lzは、転写フィルム614のベース614aを透過して光熱変換層614bに照射される。この光熱変換層614bの、レーザ光Lzが照射された部分には光熱変換によって熱が発生し、その熱が色材層614cの一部を加熱する。
【0046】
図5のパート(c)には、受像フィルム613の受像層613b上に、転写フィルム614の色材層614cから色材の一部614c_1が転写される様子が示されている。上記のように光熱変換層614bで局所的に発生した熱で色材層614cの一部614c_1が加熱されると、その一部614c_1が粘着性を持つようになり受像層613b上に付着する。
【0047】
ここで、上述したように、転写フィルム614の色材層614cの色に対応する版の網点画像データに基づいて変調されたレーザ光Lzでその転写フィルム614が走査露光されると、転写フィルム614の、その版の網点画像データが表わす画像に相当する部分の色材が加熱され、受像層613b上に付着することとなる。そして、走査露光の後に、図5のパート(c)に示すように、転写フィルム614が受像フィルム613から剥がされると、受像層613b上に、上記の画像の形に色材が残る。つまり、受像層613b上に、その色材の色に対応する版の画像が転写されることとなる。
【0048】
一方、剥がされた転写フィルム614は、廃棄フィルムとして、図2に示すフィルム廃棄口608に向けて、搬送ロール610によって搬送され、フィルム廃棄口608から、廃棄箱609へ廃棄される。
【0049】
ある色についての画像の転写が終了すると、図2に示すローディングユニット601が回転して、次の色の転写フィルムロール602が引出し位置まで移動する。そして、その色についての画像の転写が行なわれる。本実施形態では、CMYK4色それぞれの版の画像が受像層613b上に順次に転写されることにより、この受像層613b上にカラーの画像が形成される。
【0050】
一連の画像形成が終了すると、受像フィルム613が記録ドラム604から剥がされ、プリント画像排出口606へ向けて、搬送ロール610によって搬送され、このプリント画像排出口606から画像トレイ607に排出される。
【0051】
ここで、以上、図2〜図5を参照して説明したプルーファ600では、記録ドラム604の主走査方向D1への回転速度が変更可能となっている。この回転速度を上げると、露光時間が短縮される反面、露光の精度が低下し、一方、回転速度を下げると、露光時間が長くなる反面、露光の精度は向上する。
【0052】
また、このプルーファ600では、記録ヘッド605内のレーザ605bが出力するレーザ光の強度も変更可能となっている。これにより、例えば、記録ドラム604の回転速度が速い場合にはレーザ光の強度を上げ、記録ドラム604の回転速度が遅い場合にはレーザ光の強度を下げることにより、記録ドラム604の回転速度の遅速に関わらず、上記の転写フィルム上に単位時間当たりに照射されるレーザ光の強度の合計をほぼ一定に保ち、レーザ光による露光状態の安定化を図ることができる。
【0053】
このプルーファ600では、これら記録ドラム604の回転速度とレーザ光の強度とからなる露光条件が、画像形成条件として受け付けられる。ここで、この露光条件が、本発明にいう「露光状態に影響するタイプの画像形成条件」の一例に相当する。
【0054】
次に、図1のパーソナルコンピュータ80に注目して説明する。
【0055】
図6は、図1に1つのブロックで示すパーソナルコンピュータの外観斜視図、図7は、そのパーソナルコンピュータのハードウェア構成図である。また、図6には、図1に示す分光測色計70の外観も示されており、以下では、この分光測色計70を使ったキャリブレーションについても説明する。
【0056】
図6に示すように、分光測色計70は、測色対象の画像Pが乗せられる台を有しており、この台におかれた画像を測色して、システムに非依存なXYZ色空間で色を定義した測色値を取得する。また、この分光測色計70は、パーソナルコンピュータ80にケーブル75で接続されており、測色によって得られた測色値はこのケーブル75を介してパーソナルコンピュータ80に送られる。
【0057】
キャリブレーション時には、一連の色を有する一連のカラーパッチからなるカラーチャートが図1のプルーファ600で作成され、そのカラーチャートが分光測色計70で測色される。この測色で得られる測色値はパーソナルコンピュータ80に送られ、パーソナルコンピュータ80において、測色値が表わす色と所定の目標色との間の差が求められる。そして、その差から、プルーファ600で出力される色を上記の目標色に一致させるための修正量が、カラーチャートの一連のカラーパッチそれぞれについて求められ、それらの修正量をテーブル形式にまとめた修正テーブルが作られる。
【0058】
ここで、本実施形態では、このような修正テーブルを求めるキャリブレーションが、様々な網点構造について行なわれる。即ち、上記のカラーチャートを様々な網点構造で表現した、複数種類の網点画像を用意し、それら複数種類の網点画像のカラーチャートそれぞれについて、上記のようなキャリブレーションが行なわれることにより、各網点構造に適した修正テーブルが求められる。
【0059】
このパーソナルコンピュータ80は、図6に示すように、外観構成上、本体装置81、その本体装置81からの指示に応じて表示画面82a上に画像を表示する画像を表示する画像表示装置82、キー操作に応じた各種の情報を本体装置81に入力するキーボード83、および、表示画面82a上の任意の位置を指定することにより、その位置に表示された、例えばアイコン等に応じた指示を本体装置81に入力するマウス84を備えている。また、本体装置81は、フレキシブルディスク(FD)を装填するためのFD装填口81a、およびCD−ROMを装填するためのCD−ROM装填口81bを有している。
【0060】
本体装置81の内部には、図7に示すように、各種プログラムを実行するCPU811、ハードディスク装置813に格納されたプログラムが読み出されCPU811での実行のために展開される主メモリ812、各種プログラムやデータ等が保存されたハードディスク装置813、フレキシブルディスク100が装填され、その装填されたフレキシブルディスク100をアクセスするFDドライブ814、CD−ROM101やCD−Rが装填され、その装填されたCD−ROM101等をアクセスするCDドライブ815、分光測色計70(図1,図6参照)と接続され、分光測色計70から測色値を受け取るI/Oインタフェース816が内蔵されており、これらの各種要素、画像表示装置82、キーボード83、マウス84は、バス85を介して相互に接続されている。
【0061】
CD−ROM101には、このパーソナルコンピュータ80を本発明の画像形成制御装置の一実施形態として動作させる、本発明の画像形成制御プログラムの一実施形態が記憶されており、そのCD−ROM101に記憶されたプログラムがこのパーソナルコンピュータ80にアップロードされてハードディスク装置813に記憶される。そして、そのプログラムが実行されることによってパーソナルコンピュータ80は本発明の画像形成制御装置の一実施形態として動作する。
【0062】
続いて、本発明の画像形成制御プログラムの一実施形態について説明する。
【0063】
図8は、本発明の画像形成制御プログラムの一実施形態が記憶されたCD−ROMを示す概念図である。
【0064】
この図8には、本発明の画像形成制御プログラムの一実施形態である画像形成制御プログラム900が記憶されたCD−ROM101が示されている。
【0065】
この画像形成制御プログラム900は、網点構造取得部910、色修正部920、網点化部930、出力部940、および制御部950とで構成されている。
【0066】
これら画像形成制御プログラム900の各部の詳細については、本発明の画像形成制御装置の一実施形態の各部の作用と併せて後述する。
【0067】
次に、本発明の画像形成制御装置の一実施形態について説明する。
【0068】
図9は、本発明の画像形成制御装置の一実施形態の機能ブロック図である。
【0069】
この図9には、本発明の画像形成制御装置の一実施形態である画像形成制御装置1000の他に、図1にも示すプルーファ600が示されている。
【0070】
この図9に示す画像形成制御装置1000は、網点構造取得部1100、色修正部1200、網点化部1300、出力部1400、および制御部1500を備えている。ここで、網点構造取得部1100、色修正部1200、網点化部1300、出力部1400、および制御部1500は、それぞれ本発明にいう取得部、色修正部、網点化部、出力部、および制御部の各一例に相当する。
【0071】
図8に示す画像形成制御プログラム900を図1、図6、および図7に示すパーソナルコンピュータ80にインストールすると、画像形成制御プログラム900の網点構造取得部910は図9に示す網点構造取得部1100を構築し、同様に、色修正部920は色修正部1200を構築し、網点化部930は網点化部1300を構築し、出力部940は出力部1400を構築し、制御部950は制御部950を構築する。
【0072】
網点構造取得部1100では、印刷用の画像を表わす画像データに網点化処理を施す際に使われる網点構造が、次のような入力画面に対するユーザの操作によって入力される。
【0073】
図10は、網点構造入力画面を示す図である。
【0074】
この図10に示す網点構造入力画面1600は、解像度入力部1610と、網点構造入力部1620と、出力先入力部1630と、OKボタン1640と、キャンセルボタン1650とを備えている。
【0075】
解像度入力部1610では、網点画像の解像度が、プルダウンメニュー1611に対する操作によって入力される。
【0076】
網点構造入力部1620は、構造選択ボタン1621と、構造表示部1622と、角度修正部1623とを備えている。
【0077】
構造選択ボタン1621がクリックされると、次のような選択画面が表示される。
【0078】
図11は、構造選択画面を示す図である。
【0079】
この図11に示すように、構造選択画面1700は、第1選択部1710と、第2選択部1720と、戻るボタン1730と、キャンセルボタン1740とを備えている。
【0080】
第1選択部1710では、網点のタイプとして、画像の濃さを網点数で表現するFMタイプと、画像の濃さを配列された網点の個々の大きさで表現するAMタイプとの2タイプのうちの1つが、プルダウンメニュー1711に対する操作によって入力される。
【0081】
第2選択部1720では、第1選択部1710においてAMタイプが入力された場合には、単位長さあたりの網点配列の数である線数と、個々の網点の形状と、網点配列の角度との組合せが複数種類表示される。ここで、網点配列の角度については、CMYK4色それぞれの網点配列の角度の組合せが、その組合せに付された名称(角度セット)と共に表示される。そして、これら表示されている複数種類の組合せのうち、いずれかの組合せを示す行にカーソルを合わせてクリックすることにより、その行に示されている組合せが選択される。また、第1選択部1710においてFMタイプが入力された場合には、網点の形状が複数種類表示され、それら複数種類の形状のうち、いずれかの形状を示す行にカーソルを合わせてクリックすることにより、その行に示されている形状が選択される。
【0082】
ここで、上述したように、図1に示す印刷−プルーフシステムでは、印刷画像41の網点構造と同じ網点構造のプルーフ画像61が形成される。このため、この図11の構造選択画面1700では、ユーザは、印刷画像41の網点タイプと同じ網点タイプ、および印刷画像41の線数や形状や角度それぞれと同じ線数や形状や角度を選択することとなる。
【0083】
以上の選択操作をやり直す場合には、キャンセルボタン1740がクリックされて2つの選択画面の選択内容がキャンセルされる。また、2つの選択画面の選択内容で良い場合には、戻るボタン1730がクリックされて図10の網点構造入力画面1600に戻る。
【0084】
図10の網点構造入力画面1600では、図11の構造選択画面1700で選択された網点タイプや線数や形状が、上記の解像度入力部1610で入力された解像度と共に構造表示部1622に表示される。
【0085】
また、AMタイプの網点構造の場合、図11の構造選択画面1700で選択された網点配列の角度については、図10の角度修正部1623が有する表示部1623aに表示される。そして、この表示部1623aに表示されたCMYK4色それぞれについての角度のうち修正すべき角度がある場合には、まず、角度を修正すべき色に対応するチェックボックス1623cが操作される。その後に、修正角度が、修正角度入力用のプルダウンメニュー1623bに対する操作によって入力される。入力された修正角度は、表示部1623aの表示内容に反映される。
【0086】
また、図10の出力先入力部1630では、図1の印刷−プルーフシステムを構成するプルーファの機種がプルダウンメニュー1631に対する操作によって入力される。尚、ここでは、この出力先入力部1630で、図2〜図5を参照して説明したプルーファ600を示す機種名(FP)が入力されたことを前提として説明を続ける。
【0087】
以上に説明した、図10の網点構造入力画面1600での入力操作を再度やり直す場合には、キャンセルボタン1650がクリックされて入力内容がキャンセルされる。また、現在表示されている入力内容で良い場合には、OKボタン1640がクリックされて入力内容が承認される。そして、網点構造入力画面1600で入力内容が承認されると、図9の網点構造取得部1100から、色修正部1200と制御部1500には、入力された網点構造およびプルーファの機種を示す情報が渡され、網点化部1300には、入力された網点構造を示す情報が渡される。
【0088】
色修正部1200には、印刷用の画像を表わす画像データが入力される。そして、この色修正部1200は、その画像データに対して、網点構造入力画面1600から渡された情報に基づいて、その情報が示す機種および網点構造に適した色修正処理を次のように施す。
【0089】
上述したように、本実施形態では、キャリブレーションにより、様々な種類の網点構造それぞれについて、網点構造に適した修正量をテーブル形式でまとめた修正テーブルが求めらる。ここで、本実施形態では、各網点構造には以下に説明する対応テーブルに従って番号が振られており、各網点構造に振られた番号が、その網点構造に適した修正テーブルの識別番号として使われる。
【0090】
図12は、網点構造と修正テーブルの識別番号との対応関係を定義した対応テーブルの一例を示す図である。
【0091】
この図12に示す対応テーブル1800では、複数種類の網点構造が、図中で縦向きに並べられ、各網点構造には、その並びに対して昇順となるように修正テーブルの識別番号が振られている。そして、各網点構造に振られた識別番号は、その識別番号が振られた網点構造のカラーチャートを使って行なわれたキャリブレーションで得られる修正テーブルの識別番号として使われる。
【0092】
本実施形態では、このような対応テーブルが、図1の印刷−プルーフシステムに組み込まれる可能性のある複数の機種のプルーファそれぞれについて求められる。そして、この対応テーブルと各修正テーブルとからなるテーブルセットが、複数の機種分だけ、各機種で識別できるように所定のメモリに保管されている。
【0093】
色修正部1200は、まず、網点構造取得部1100から渡された情報が示すプルーファの機種に対応するテーブルセットを検索する。そして、その検索されたテーブルセットに含まれる対応テーブルを読み出す。さらに、色修正部1200は、その対応テーブル上で、網点構造取得部1100から渡された情報が示す網点構造に振られた識別番号を求め、その識別番号が対応する修正テーブルを読み出す。そして、色修正部1200は、その読み出した修正テーブル中の修正量を使った色修正処理を、上記の印刷用の画像を表わす画像データに施す。その色修正処理済みの画像データは、網点化部1300に渡される。
【0094】
網点化部1300は、上記の色修正処理済みの画像データに対して、網点構造取得部1100から渡された情報が示す網点構造を使った網点化処理を施す。これにより、上記の色修正処理済みの画像データが表わす画像をその網点構造で表現した網点画像を表わす網点画像データが作成される。
【0095】
その作成された網点画像データは出力部1400に渡され、その出力部1400からプルーファ600に出力される。
【0096】
そして、制御部1500は、プルーファ600に出力された網点画像データが表わす網点画像が、網点構造取得部1100から渡された情報が示すプルーファの機種と網点構造とに適した画像形成条件で形成されるように、プルーファ600を次のように制御する。
【0097】
本実施形態では、網点構造と画像形成条件との対応関係を定義した、以下に一例を示す対応テーブルが、図1の印刷−プルーフシステムに組み込まれる可能性のある複数の機種のプルーファそれぞれについて予め求められている。
【0098】
図13は、網点構造と画像形成条件との対応関係を定義した対応テーブルの一例を示す図である。
【0099】
この図13に示す対応テーブル1900は、図2〜図5に示すプルーファ600について、網点構造と画像形成条件との対応関係を定義したものである。上述したように、このプルーファ600では、記録ドラム604の回転速度とレーザ光の強度とからなる露光条件が画像形成条件として受け付けられる。このため、この対応テーブル1900では、網点構造に、画像形成条件として上記の露光条件が対応付けられている。
【0100】
ここで、この対応テーブル1800では、記録ドラム604の回転速度については、FMタイプの網点構造には、AMタイプの網点構造に対応付けられた回転速度よりも遅い回転速度が対応付けられている。これは、FMタイプの網点構造の方が、AMタイプの網点構造よりも個々の網点が微細であって露光時の精度を高める必要があり、上記のプルーファ600では、記録ドラム604の回転速度を下げることで露光の精度を高められるからである。また、この対応テーブル1800では、回転速度が速いときには強度の強いレーザ光で露光され、回転速度が遅いときには強度の弱いレーザ光で露光されて、単位時間当たりに露光されるレーザ光の強度の合計がほぼ一定に保たれ、画質が安定するように、各網点構造にレーザ光の強度が対応付けられている。
【0101】
また、AMタイプの網点構造については、図13の対応テーブル1900中に示すように、線数の高い網点構造ほど、記録ドラム604の回転速度として遅い回転速度が対応付けられている。これは、線数の高い網点構造ほど、AMタイプにおける個々の網点が微細であって露光時の精度を高める必要があるからである。そして、レーザ光の強度は、この回転速度に応じた強度となるようにAMタイプの各網点構造にレーザ光の強度が対応付けられている。
【0102】
本実施形態では、このような露光条件についての対応テーブルが、図1の印刷−プルーフシステムに組み込まれる可能性のある複数の機種のプルーファそれぞれについて求められる。そして、それら複数の機種分だけ、各機種で識別できるように所定のメモリに保管されている。図9の制御部1500には、このメモリの、露光条件についての対応テーブルが保管されている保管領域が含まれる。
【0103】
制御部1500は、まず、網点構造取得部1100から渡された情報が示すプルーファの機種に対応する対応テーブルを読み出す。さらに、制御部1500は、その対応テーブル上で、網点構造取得部1100から渡された情報が示す網点構造に対応する露光条件を求める。そして、制御部1500は、プルーファ600を、その露光条件で画像を形成するように制御する。これにより、プルーファ600は、出力部1400が出力した網点画像データが表わす網点画像であるプルーフ画像61(図1参照)を、そのプルーフ画像61が有する網点構造に応じた露光条件で形成するので、高画質なプルーフ画像61が得られる。
【0104】
尚、上記では、本発明にいう画像形成装置の一例として、露光タイプのプルーファを例示し、本発明にいう制御部の一例として、そのようなタイプのプルーファに、画像形成条件として、網点構造に応じた露光条件を伝える制御部1500を例示したが、本発明はこれに限るものではない。本発明の画像形成装置は、例えば、以下に説明するようなタイプのプルーファ等であっても良く、本発明の制御部は、そのようなプルーファに、プルーファのタイプに応じた画像形成条件を伝えるもの等であっても良い。
【0105】
印刷の分野では、例えば、ある画像上にK色の別の画像を重ねて形成する、いわゆる墨ノセ処理という画像形成が行なわれることがあるが、その墨ノセ処理の際には、そのK色の画像を透かして下地の画像がどの程度見えるかが墨ノセレベルとして決められる。プルーファの中には、この墨ノセレベルを画像形成条件として受け付けるタイプのものがある。ここで、例えば、プルーファでの画像形成における網点構造がFMタイプや高線数のAMタイプである場合には、個々の網点が微細であるために、上記の墨ノセレベルを細かな精度で指定することができる。一方、網点構造が低線数のAMタイプである場合には、墨ノセレベル指定の精度は粗くなってしまう。このように、墨ノセレベルの指定方法は、網点構造によって異なったものとなり、結果的に、プルーファに伝える墨ノセレベルも網点構造に応じて異なったものとなる。
【0106】
図1に示すような印刷−プルーフシステムに、プルーファとして、このような墨ノセレベルを画像形成条件として受け付けるタイプのプルーファが組み込まれる場合には、網点構造と墨ノセレベルの指定方法との対応関係を定義した対応テーブルが必要となり、制御部に含まれる、所定のメモリにおける対応テーブルの保管領域には、上記のような墨ノセレベルの指定方法についての対応テーブルが保管されることとなる。その制御部において、その対応テーブルに基づいて網点構造に応じた指定方法を決定し、その指定方法で墨ノセレベルを求める。そして、制御部は、求めた墨ノセレベルをプルーファに伝える。これにより、プルーファにおいて、網点構造に応じた適切な墨ノセ処理が行なわれ、高画質なプルーフ画像が形成されることとなる。
【0107】
また、プルーファの中には、露光タイプ以外にも、インクの細かな粒子を用紙に吹き付けるインクジェットタイプのプルーファもある。このようなタイプのプルーファは、インク粒子の大きさや、インクを射出するインクノズルの用紙に対する相対速度等からなるインクの吹付け条件を画像形成条件として受け付ける。このようなインクの吹付け条件は、露光条件と同様に、網点構造に適した条件がある。
【0108】
図1に示すような印刷−プルーフシステムに、プルーファとして、このようなインクジェットタイプのプルーファが組み込まれる場合には、網点構造とインクの吹付け条件との対応関係を定義した対応テーブルが必要となり、制御部に含まれる、所定のメモリにおける対応テーブルの保管領域には、上記のようなインクの吹付け条件についての対応テーブルが保管されることとなる。その制御部において、その対応テーブルに基づいて網点構造に応じたインクの吹付け条件が求められ、その求められたインクの吹付け条件がプルーファに伝えられる。これにより、プルーファにおいて、網点構造に応じた適切なインクの吹付けが行なわれ、高画質なプルーフ画像が形成されることとなる。
【0109】
また、上記では、本発明にいう色修正部の一例として、網点化処理の前の、非網点画像の色を修正する色修正部1200を例示したが、本発明はこれに限るものでは無く、例えば、網点化処理の後の網点画像の色を修正するものであっても良く、あるいは、網点化処理を行いながら、同時に色を修正するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の一実施形態が適用される印刷−プルーフシステムの全体構成図である。
【図2】図1では1つのブロックで示されているプルーファの内部構成を示す模式図である。
【図3】記録ドラムに受像フィルムと転写フィルムとが巻き付けられた様子を示す断面図である。
【図4】図2示す記録ドラム上の転写フィルムが、記録ヘッドからのレーザ光で走査露光される様子を示す模式図である。
【図5】画像形成の様子を示す模式図である。
【図6】図1に1つのブロックで示すパーソナルコンピュータの外観斜視図である。
【図7】パーソナルコンピュータのハードウェア構成図である。
【図8】本発明の画像形成制御プログラムの一実施形態が記憶されたCD−ROMを示す概念図である。
【図9】本発明の画像形成制御装置の一実施形態の機能ブロック図である。
【図10】網点構造入力画面を示す図である。
【図11】構造選択画面を示す図である。
【図12】網点構造と修正テーブルの識別番号との対応関係を定義した対応テーブルの一例を示す図である。
【図13】網点構造と画像形成条件との対応関係を定義した対応テーブルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0111】
10 カラースキャナ
11 原稿画像
20 ワークステーション
30 フィルムプリンタ
40 印刷機
41 印刷画像
61 プルーフ画像
70 分光測色計
75 ケーブル
80 パーソナルコンピュータ
81 本体装置
81a FD装填口
81b CD−ROM装填口
811 CPU
812 主メモリ
813 ハードディスク装置
814 FDドライブ
815 CDドライブ
816 I/Oインタフェース
82 画像表示装置
82a 表示画面
83 キーボード
84 マウス
85 バス
100 フレキシブルディスク
101 CD−ROM
300 印刷システム
600 プルーファ
601 ローディングユニット
602 転写フィルムロール
603 受像フィルムロール
604 記録ドラム
605 記録ヘッド
605a レール
605b レーザ
606 プリント画像排出口
607 画像トレイ
608 フィルム廃棄口
609 廃棄箱
610 搬送ロール
611 引出しロール
612 カッタ
613 受像フィルム
613a ベース
613b 受像層
614 転写フィルム
614a ベース
614b 光熱変換層
614c 色材層
614c_1 色材の一部
900 画像形成制御プログラム
910 網点構造取得部
920 色修正部
930 網点化部
940 出力部
950 制御部
1000 画像形成制御装置
1100 網点構造取得部
1200 色修正部
1300 網点化部
1400 出力部
1500 制御部
1600 網点構造入力画面
1610 解像度入力部
1611 プルダウンメニュー
1620 網点構造入力部
1621 構造選択ボタン
1622 構造表示部
1623 角度修正部
1623a 表示部
1623b プルダウンメニュー
1623c チェックボックス
1630 出力先入力部
1640 OKボタン
1650 キャンセルボタン
1700 構造選択画面
1710 第1選択部
1711 プルダウンメニュー
1720 第2選択部
1730 戻るボタン
1740 キャンセルボタン
1800,1900 対応テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて該画像データが表わす画像を形成する画像形成装置を制御する画像形成制御装置において、
前記画像データとして、網点構造を有する網点画像を表わす網点画像データを出力する出力部と、
前記出力部が出力した網点画像データが表わす網点画像を前記画像形成装置が形成する際の画像形成条件を、該網点画像の網点構造に応じた画像形成条件とする制御部とを備えたことを特徴とする画像形成制御装置。
【請求項2】
前記画像形成装置が、網点画像データに基づいて変調された光で画像の形成面上を露光することによって該形成面上に該網点画像データが表わす網点画像を形成する露光型の画像形成装置であって、
前記制御部が、前記形成面の露光状態に影響するタイプの画像形成条件について、前記網点構造に応じた画像形成条件とするものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成制御装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記網点構造と前記画像形成条件との対応関係を定義した対応テーブルを有し、前記画像形成装置における画像形成条件を、該対応テーブル上で前記網点画像の網点構造に対応した画像形成条件とするものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成制御装置。
【請求項4】
網点構造を取得する取得部と、
非網点構造の画像を表わす画像データを、前記取得部で取得された網点構造を用いて前記網点画像データに変換する網点化部とを備え、
前記出力部が、前記網点化部で得られた網点画像データを出力するものであり、
前記制御部が、前記画像形成装置における画像形成条件を、前記取得部で取得された網点構造に応じた画像形成条件とするものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成制御装置。
【請求項5】
前記網点画像の色が所定の目標色となるように、画像に、前記取得部で取得された網点構造に応じた色修正を施す色修正部を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成制御装置。
【請求項6】
コンピュータに組み込まれ、該コンピュータを、画像データに基づいて該画像データが表わす画像を形成する画像形成装置を制御する画像形成制御装置として動作させる画像形成プログラムにおいて、
該コンピュータ上で、
前記画像データとして、網点構造を有する網点画像を表わす網点画像データを出力する出力部と、
前記出力部が出力した網点画像データが表わす網点画像を前記画像形成装置が形成する際の画像形成条件を、該網点画像の網点構造に応じた画像形成条件とする制御部とを構築することを特徴とする画像形成制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−24914(P2007−24914A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202409(P2005−202409)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】