画像形成装置、その制御方法及びプログラム
【課題】携帯端末から無線通信を介して接続される際に、携帯端末におけるユーザが無線通信を確立する対象となる所望のデバイスを容易に確認可能な画像形成装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】本画像形成装置は、携帯端末から無線通信を確立するための探索要求を受信すると、当該探索要求を送信した携帯端末を所持するユーザがログイン中であれば、当該探索要求の応答として、画像形成装置のデバイス名に当該ユーザが画像形成装置にログイン中であることを示す情報を付加して送信し、ログイン中でなければ、上記応答として画像形成装置のデバイス名を送信する。
【解決手段】本画像形成装置は、携帯端末から無線通信を確立するための探索要求を受信すると、当該探索要求を送信した携帯端末を所持するユーザがログイン中であれば、当該探索要求の応答として、画像形成装置のデバイス名に当該ユーザが画像形成装置にログイン中であることを示す情報を付加して送信し、ログイン中でなければ、上記応答として画像形成装置のデバイス名を送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信可能な画像形成装置、その制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信可能な情報処理装置の発展は目覚しく、電話機能以外にも様々な機能を有する携帯端末が提案されている。このような携帯端末には、例えば、メール送受信機能、Webブラウズ機能、PDF文書や、Word(登録商標)文書やPower Point(登録商標)文書など、様々なフォーマットの文書を表示する機能などを搭載したものがある。
【0003】
携帯端末の多様化に伴い、当該携帯端末に格納された様々なフォーマットの文書を印刷したいという要望が増加し、携帯端末から直接印刷する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、携帯端末と画像形成装置とにケーブルで接続され、携帯端末から入力された印刷データを画像形成装置で印刷可能なデータフォーマットに変換し、当該画像形成装置に出力する携帯端末用プリンタケーブルが提案されている。また、特許文献2には、携帯端末に接続され、携帯端末に格納されているデータを受領し、当該データに従って印刷を実行する画像形成装置が提案されている。また、特許文献3には、携帯端末と印刷装置とを含み、携帯端末から出力されるデータを印刷装置で印刷するデータ印刷システムが提案されている。さらに、携帯端末と画像形成装置との間のデータ通信において、様々な形態の通信を利用する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−175432号公報
【特許文献2】特開2002−169665号公報
【特許文献3】特開2003−241911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、以下に記載する問題がある。例えば、携帯端末と画像形成装置との間のデータ通信において、Bluetooth(登録商標)通信等の無指向性無線通信を行う場合、まず、データを送る側(即ち、携帯端末)でBluetooth(登録商標)デバイスの探索が行われる。その後、携帯端末は、探索したデバイスをリスト表示し、ユーザによって選択されたデバイスとの接続を確立してから、データ転送を行う。
【0006】
ここで、リスト表示される情報は、各デバイスで任意に設定するデバイス名であり、デフォルトでは製品名であることが多い。即ち、携帯端末からBluetooth(登録商標)通信可能な範囲に複数の他のBluetooth(登録商標)通信可能なデバイスが存在する場合、リストに多数のデバイス名が表示されてしまう。したがって、ユーザは所望のデバイスのデバイス名を認識しておく必要があり、当該デバイス名が分からなければ所望のデバイスを選択することが困難であった。この問題を解決する方法として、一度探索を行うなど、目的のデバイスを特定してから登録しておき、次回からは登録されたデバイスを使うことが考えられる。しかし、登録されていないデバイスを接続するためには、何らかの手順が必要であり、ユーザにとっては煩わしいものであった。このように、現行の技術では、携帯端末からのデータを不特定のデバイスで印刷する使用方法が十分に考慮されていない。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、携帯端末から無線通信を介して接続される際に、携帯端末におけるユーザが無線通信を確立する対象となる所望のデバイスを容易に確認可能な画像形成装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば、携帯端末と無線通信を行う画像形成装置として実現できる。画像形成装置は、携帯端末を所持するユーザのアカウントと携帯端末の無線通信用のアドレスである無線通信アドレスとを紐付けて定義したテーブルを記憶する記憶手段と、携帯端末と無線通信を行うためにユーザを画像形成装置にログインさせるための認証を実行する認証手段と、認証手段による認証が成功すると、無線通信を開始する無線通信手段と、無線通信手段によって開始された無線通信を介して、携帯端末から無線通信を確立する対象のデバイスを探索するための探索要求と、携帯端末の無線通信アドレスとを受信する受信手段と、受信手段によって受信された無線通信アドレスと、記憶手段に記憶されたテーブルとを用いて、受信手段によって受信された探索要求が画像形成装置にログイン中のユーザが所持する携帯端末からの探索要求であるか否かを判定する判定手段と、判定手段によって探索要求が画像形成装置にログイン中のユーザが所持する携帯端末からの探索要求であると判定されると、探索要求の応答として、画像形成装置のデバイス名に当該ユーザがログイン中であることを示す情報を付加して送信し、判定手段によって探索要求が画像形成装置にログイン中のユーザが所持する携帯端末からの探索要求でないと判定されると、探索要求の応答として、画像形成装置のデバイス名を送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、例えば、携帯端末から無線通信を介して接続される際に、携帯端末におけるユーザが無線通信を確立する対象となる所望のデバイスを容易に確認可能な画像形成装置及びその制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る複合機100の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る近距離無線通信機能を実装した携帯端末200の構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成システムの構成例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る複合機100の表示部に表示される通信開始前画面の一例を示す図である。
【図5】携帯端末200の表示部に表示される画面例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る画像形成システム300における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る複合機100にログインしてから携帯端末200へBluetooth(登録商標)デバイス名が表示されるまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る複合機100に記憶されるユーザのログインアカウントと、アカウント所持者が所有する携帯端末200のBDアドレスを紐付けるテーブルを示す図である。
【図9】本実施形態に係る携帯端末200の表示部に表示されるBluetooth(登録商標)デバイスの探索結果画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
<画像形成装置の構成>
まず、図1を参照して、本実施形態における画像形成装置の構成について説明する。本実施形態では、画像形成装置の一例として複合機100を例に説明する。しかしながら、本発明は、携帯端末等との無線通信が可能な画像形成装置であれば適用することができる。複合機100は、中央処理装置であるCPU101と、ROM102と、ハードディスク103と、RAM104とを備える。ROM102は、システムバス118に接続される装置各部の駆動条件や管理データ等の各種情報を記憶する。RAM104は、複合機100が動作する上で必要なデータを記憶する。CPU101は、ROM102やハードディスク103等に記憶された制御プログラムに従って各種処理を実行する。
【0013】
複合機100は、更に、表示部106、操作部107、通信制御部108、印刷制御部110、画像メモリ113、画像処理部114、認証処理部115、及びI/O制御部116を備える。表示部106は、駆動条件、装置状態、あるいは入力情報などの各種情報を表示する。操作部107は、ユーザによる設定や命令等の入力操作を行うためのテンキーやスタートキー等のハードキーや、表示部106内にあるタッチパネル等によるソフトキーである。
【0014】
通信制御部108は、無線や有線のネットワークを経由して、イントラネット又はインターネットに接続して、画像データを含む文書データや制御コマンドの送受信を制御する。また、通信制御部108は、不図示の無線通信制御部を有し、携帯端末と無線通信可能に構成されている。通信方法としてはWi−FiやBluetooth(登録商標)等を含む。
【0015】
網制御装置109は、PSTNに接続し発着信の際に所定の回線制御を実行して回線接続又はその切断を制御する。複合機100は、画像データや制御信号を、内蔵するモデム装置により変復調し、網制御装置109を介してファクシミリ送受信を実行する。スキャナ111は、原稿に照射した光の画像に応じた反射光を光電変換して画像データを読み取り、印刷制御部110を介して画像データを送信、複写、又は保存する。
【0016】
画像処理部114は、送信する画像データをデータ圧縮して符号化する。また、画像処理部114は、受信した画像データを伸張して複合化したり、受信した画像データを印刷可能な画像データに変換したりする。また、画像処理部114は、保存する画像データを適切な又はユーザから指定されたフォーマット(例えば、PDFフォーマット等)に変換する。また、画像処理部114は、スキャナ111の光学応答特性やセンダのばらつき等に応じた画像補正処理を行う。さらに、画像処理部114は、プリンタ112の書き込み特性等に適した画像データに変換する画像最適化処理などを要求に応じて行う。
【0017】
認証処理部115は、ユーザやワークグループの認証に加えて、印刷ジョブ認証を行う。カードリーダ117は、NFCなどの短距離無線通信を用いて、非接触型ICカードとの間でコマンドやデータを授受し、I/O制御部116を介してユーザ情報等のデータを送信、又は通知する。カードリーダ117は、不図示のカードをかざす部分を備えている。システムバス118は、CPU101、ROM102、ハードディスク103、RAM104、表示部106、操作部107、通信制御部108、印刷制御部110、画像メモリ113、画像処理部114及びI/O制御部116を接続する。
【0018】
したがって、複合機100は、読み取り画像データを伝送するファクシミリ通信や、文書管理サーバコンピュータにデータ転送する転送機能と、読み取り画像データを印刷出力する複写機能とを備える。更に、複合機100は、受信画像データをファクシミリ受信する受信印刷機能と、クライアントコンピュータからの印刷データを受信して印刷する印刷機能とを備える。つまり、複合機100は、複写機としてだけではなく、ファクシミリ装置、プリンタ装置、スキャナ装置としても機能する。なお、プリンタ112には、電子写真方式以外にも、例えばインクジェット方式、サーマルヘッド方式、ドットインパクト方式など、その他の方式が適用されてもよい。
【0019】
<携帯端末の構成>
次に、図2を参照して、本実施形態に係る近距離無線機能を実装した携帯端末200の構成について説明する。なお、本実施形態では、以下の構成を例に記載するが、本発明は、情報通信を行うことが可能な機器であれば、様々な形態で適用可能なものであり、特に本実施形態に限定されるものではない。
【0020】
携帯端末200は、音声入力部201、音声出力部202、デジタル信号処理部203、RF入出力部204、制御部205、表示部206、操作部207、外部I/F部208、電源部209、近距離無線通信部210、アンテナ211、212、マイク213及びスピーカ214を備える。図2に示すように、制御部205には、デジタル信号処理部203、表示部206、操作部207、外部I/F部208、及び近距離無線通信部210が接続される。
【0021】
制御部205は、携帯端末200の機能を実現するための主要部であり、図示しないCPU、EEPROM、Flash、SRAM等で構成される。さらに本実施形態では、近距離無線通信部210との間でコマンドやデータの授受を行うための近距離無線モジュール215を含む。デジタル信号処理部203は、マイク213を接続した音声入力部201と、スピーカ214を接続した音声出力部202と、アンテナ212を接続したRF入出力部204とに接続される。また、デジタル信号処理部203は、デジタル音声信号のエンコード、及びデジタル音声信号へのデコード等を行う。
【0022】
音声入力部201は、マイク213からのアナログ音声信号をデジタル信号に変換する。音声出力部202は、スピーカ214を制御して、受信したデジタル音声信号を音声として出力させる。RF入出力部204は、高周波送受信を行う。近距離無線通信部210は、制御部205の近距離無線モジュール215と接続され、アンテナ211を介して外部装置との間でデータ等の授受を行う。近距離無線モジュール215は、制御部205の一部として組み込まれたものであり、近距離無線としてBluetooth(登録商標)通信の場合、コマンドのやり取りを行うことにより、通信機能を制御する。
【0023】
表示部206は、ユーザに対して情報の表示出力を行い、LCDドライバ、LCD表示デバイス等で構成される。操作部207は、ユーザインタフェースであり、ユーザが携帯端末200に対して情報を入力するために使用される。電源部209は、バッテリ電源から各ブロックに必要な電力を供給する。
【0024】
<画像形成システムの構成>
次に、図3を参照して、本実施形態に係る画像形成システム300の構成について説明する。画像形成システム300は、複合機100と、携帯端末200とによって構成される。図3に示すように、一般ユーザが使用する携帯端末200の一例として、携帯電話機を示している。しかしながら、本発明は、携帯電話機に限定されることなく、近距離通信が可能な他の携帯端末であってもよい。また、複合機100についても限定する意図はなく、プリンタ、FAXなどの他の画像形成装置であってもよい。また、400は、無線通信を示し、Wi−FiやBluetooth(登録商標)などの無線通信を含む。本実施形態では、Bluetooth(登録商標)通信を一例に説明する。
【0025】
<画面例>
次に、図4及び図5を参照して、複合機100の表示部106、又は、携帯端末200の表示部206に表示される一般的な画面について説明する。図4は、複合機の表示部106に表示される画面400示す。画面400には、複合機100と携帯端末200とが通信を開始するための通信開始ボタン401が含まれる。通信開始ボタン401を押下することにより、複合機100がBluetooth(登録商標)通信可能な状態となる。
【0026】
図5は、携帯端末200の表示部206に表示される画面500、510を示す。画面500は、携帯端末200内に保存された文書を、Bluetooth(登録商標)通信を使って複合機100に送る際のメニューを選択する画面例である。画面500の場合、メニューより「Send Memo」を選択することにより無線通信が開始される。
【0027】
画面510は、携帯端末200内に保存された文書を、Bluetooth(登録商標)通信を使って複合機100に送る際に探索して発見されたデバイスを表示する画面例である。画面510は、例えば、画面500により「Send Memo」が選択された後に、携帯端末200によってBluetooth(登録商標)通信を行うためのデバイスが探索された結果となる。画面510の場合、複数のBluetooth(登録商標)デバイスが発見された場合の画面例であり、所望のBluetooth(登録商標)デバイスを選択することにより、所望の複合機100から印刷が実行されることになる。
【0028】
しかしながら、画面510に示すように、一般的には探索して発見されたデバイスのデバイス名のみがリスト表示される。これでは、ユーザは、所望のデバイスのデバイス名を認識しておく必要があり、認識していない場合はどれが所望のデバイスであるかが特定できない。したがって、本実施形態では、上述のようなリスト表示の際にユーザが所望のデバイスを容易に確認できるように画像形成装置を構成する。具体的な制御については以下に詳細に記載する。
【0029】
<処理手順>
次に、図6を参照して、本実施形態に係る複合機100と携帯端末200との間における処理手順について説明する。以下で説明する処理は、複合機100のCPU101、又は、携帯端末200の制御部205によって制御される。なお、携帯端末200に保存された印刷データを複合機100で印刷するユーザは、携帯端末200を持って複合機100の前に赴き、複合機100のBluetooth(登録商標)通信機能を利用するために複合機100にログインする。
【0030】
ユーザがログインを開始すると、S601において、CPU101は、認証処理部115によって当該ユーザの認証を行い、認証が成功すると当該ユーザを複合機100にログインさせる。これは、操作部107によるパスワード入力でも、カードリーダ117によるカード認証であってもよい。さらに、CPU101は、認証処理後、複合機100の表示部106に画面400を表示させる。CPU101は、表示部106に表示された画面400を介して、通信開始ボタン401が押下されたことを検知する。続いて、S602において、CPU101は、無線通信手段として機能する通信制御部108の制御によってBluetooth(登録商標)通信を開始させる。
【0031】
次に、ユーザの操作に応じて、携帯端末200の制御部205は、携帯端末200に保存された印刷データを特定すべく、S603において、アプリケーションを起動する。なお、印刷データ専用のアプリケーションを起動せずに、携帯端末200のメニューから一覧を表示して特定できる仕組みを有する携帯端末200の場合には、アプリケーションを起動する必要はない。
【0032】
次に、S604において、ユーザの操作に応じて、制御部205は、Bluetooth(登録商標)通信の対象となる文書をユーザ操作に応じて特定する。ユーザによって選択された文書が特定されると、制御部205は、近距離無線通信部210によってBluetooth(登録商標)通信を開始させる。
【0033】
次に、S605において、制御部205は、通信可能な距離にあるBluetooth(登録商標)デバイスを探索する。そして、探索されたBluetooth(登録商標)デバイスのうちのどのBluetooth(登録商標)デバイスと接続するかを決定するために、表示部206に画面510のようなデバイス名の一覧を表示し、ユーザに選択を促す。ここで、本実施形態では、図9に示す画面900のように、ユーザがログインしている複合機100のBluetooth(登録商標)名にログインしていることを示す文字列が付加される。したがって、ユーザは、図9に示すように、当該ユーザがログインしているデバイスが一目で確認できるため、容易に所望のデバイスを探し出すことができる。なお、デバイス名の表示方法についての詳細は、図7及び図8を用いて後述する。
【0034】
S606において、制御部205は、表示部206に表示されたリストの中からユーザ操作に応じて所望の複合機を選択する。さらに、制御部205は、選択されたBluetooth(登録商標)デバイスを特定し、近距離無線通信部210によって当該デバイスに対する接続を開始する。次に、S607において、制御部205は、近距離無線通信部210から複合機100へデータを送信する。S608において、複合機100のCPU101は、S607で携帯端末200から送信されたデータを受信すると、表示部106に画面を表示し、必要に応じて印刷設定を行い、印刷を開始する。その後、S609において、CPU101は、印刷の終了を検知すると処理を終了する。
【0035】
<デバイス名の表示方法>
次に、図7及び図8を参照して、本発明の特徴である、携帯端末200へのBluetooth(登録商標)デバイス名の表示方法について更に詳しく説明する。図7は、Bluetooth(登録商標)デバイス名の表示制御における複合機100の処理手順を示すフローチャートである。なお、以下で説明する処理は、複合機のCPU101が、ROM等のメモリに記憶されたプログラムを実行することによって実行される。本フローチャートは、ユーザが複合機100に対して自身のアカウントを登録することにより開始される。なお、ユーザは、自身のアカウントを登録する際に、自身が所持している携帯端末200のBluetooth(登録商標)デバイス・アドレス(以下では、BDアドレスと称する。)も登録する。なお、BDアドレスは、携帯端末における無線通信用の無線通信アドレスを示し、各携帯端末において固有のアドレスである。
【0036】
ユーザが予め複合機100を利用するためのユーザアカウントを登録すると、S701において、CPU101は、ユーザのログインアカウントと、携帯端末のBDアドレスとを紐付けて定義したテーブルをハードディスク103に格納する。図8にS701で格納されるテーブルの一例を示す。図8に示すテーブル800は、ユーザアカウントと、アカウント所持者の携帯端末200のBDアドレスとを紐付けて定義したテーブルであり、ハードディスク103等に記憶される。なお、上記テーブルは、ユーザによるアカウント登録が発生すると更新される。
【0037】
次に、ユーザが複合機100へのログイン処理を開始すると、S702において、CPU101は、認証処理部115によって認証処理を実行し、認証が成功すると、当該ユーザをログインさせ、表示部106に画面400を表示させる。続いて、S703において、CPU101は、通信開始ボタン401が押下されたことを検知すると、無線通信手段として機能する通信制御部108によってBluetooth(登録商標)通信を開始する。ここで、複合機100は、他のBluetooth(登録商標)デバイスからの探索要求を受信可能な状態となる。その後、S704において、CPU101は、S703で開始したBluetooth(登録商標)通信を介して、携帯端末200からの探索要求を受信する。
【0038】
ここで、探索要求とは、携帯端末200がBluetooth(登録商標)通信を確立する対象のデバイスを探索するための要求である。なお、Bluetooth(登録商標)通信が無指向性の無線通信であるため、当該探索要求は、携帯端末200を中心にBluetooth(登録商標)通信の通信範囲に位置するBluetooth(登録商標)通信可能な全てのデバイスによって受信される。探索要求を受信すると、S705において、ログインアカウントとBDアドレスとの紐付けテーブル800を参照する。
【0039】
次に、S706において、CPU101は、探索要求の送信元である携帯端末200が、現在複合機100にログインしているユーザが所持する携帯端末200であるか否かを判定する。判定方法としては、携帯端末200からの探索要求には携帯端末200のBDアドレスが含まれるため、当該BDアドレスを検索キーとして、テーブル800に同一のBDアドレスが定義されているか検索する。さらに、テーブル800から同一のBDアドレスが検索されると、当該BDアドレスに紐付けられているアカウントが現在ログイン中であるかを否かを判定する。なお、ここでの判定は、例えば、S702において認証処理部115によって認証されたユーザのアカウントと、当該BDアドレスに紐付けられているアカウントとが同一であるか否かを判定する。ここで、ログインしているユーザが所持する携帯端末200からの探索要求であると判定するとS707に進み、ログインしているユーザが所持する携帯端末200からの探索要求でないと判定するとS708に進む。
【0040】
S707において、CPU101は、複合機100のBluetooth(登録商標)名にログインしていることを示す文字列、例えば「ログイン中」の文字列をデフォルトのBluetooth(登録商標)名に付加し、探索要求の応答として携帯端末200に送信する。一方、S708において、CPU101は、通常のBluetooth(登録商標)名を探索要求の応答として携帯端末200に送信する。以後は図6のS606の処理に繋がる。
【0041】
したがって、画面900に示すように、探索要求によって探索されたデバイスのデバイス名が一覧表示される際に、ユーザがログインしている複合機のデバイス名に、ログインしていることを示す文字列が付加されることとなる。このため、ユーザはBluetooth(登録商標)デバイス探索において、当該ユーザがログインしているデバイスを一目で確認できるため、容易にログインしているデバイスを選択することが可能となる。
【0042】
なお、上記実施形態は様々な変形が可能である。例えば、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、上記実施形態では、携帯端末200と複合機100との通信に特化して説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、複合機100同士の通信や、携帯端末200同士の通信や、携帯端末200とカーナビゲーションシステムとの通信等にも適用できる。また、本発明は、パソコンなどの情報処理装置と複合機との通信において用いられてもよい。即ち、複数の同種の情報処理装置が無線通信の接続先の候補として探索されるような如何なる状況においても本発明は有効であり、通信対象となる情報処理装置の識別を容易にするという効果を奏する。
【0043】
<他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信可能な画像形成装置、その制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信可能な情報処理装置の発展は目覚しく、電話機能以外にも様々な機能を有する携帯端末が提案されている。このような携帯端末には、例えば、メール送受信機能、Webブラウズ機能、PDF文書や、Word(登録商標)文書やPower Point(登録商標)文書など、様々なフォーマットの文書を表示する機能などを搭載したものがある。
【0003】
携帯端末の多様化に伴い、当該携帯端末に格納された様々なフォーマットの文書を印刷したいという要望が増加し、携帯端末から直接印刷する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、携帯端末と画像形成装置とにケーブルで接続され、携帯端末から入力された印刷データを画像形成装置で印刷可能なデータフォーマットに変換し、当該画像形成装置に出力する携帯端末用プリンタケーブルが提案されている。また、特許文献2には、携帯端末に接続され、携帯端末に格納されているデータを受領し、当該データに従って印刷を実行する画像形成装置が提案されている。また、特許文献3には、携帯端末と印刷装置とを含み、携帯端末から出力されるデータを印刷装置で印刷するデータ印刷システムが提案されている。さらに、携帯端末と画像形成装置との間のデータ通信において、様々な形態の通信を利用する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−175432号公報
【特許文献2】特開2002−169665号公報
【特許文献3】特開2003−241911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、以下に記載する問題がある。例えば、携帯端末と画像形成装置との間のデータ通信において、Bluetooth(登録商標)通信等の無指向性無線通信を行う場合、まず、データを送る側(即ち、携帯端末)でBluetooth(登録商標)デバイスの探索が行われる。その後、携帯端末は、探索したデバイスをリスト表示し、ユーザによって選択されたデバイスとの接続を確立してから、データ転送を行う。
【0006】
ここで、リスト表示される情報は、各デバイスで任意に設定するデバイス名であり、デフォルトでは製品名であることが多い。即ち、携帯端末からBluetooth(登録商標)通信可能な範囲に複数の他のBluetooth(登録商標)通信可能なデバイスが存在する場合、リストに多数のデバイス名が表示されてしまう。したがって、ユーザは所望のデバイスのデバイス名を認識しておく必要があり、当該デバイス名が分からなければ所望のデバイスを選択することが困難であった。この問題を解決する方法として、一度探索を行うなど、目的のデバイスを特定してから登録しておき、次回からは登録されたデバイスを使うことが考えられる。しかし、登録されていないデバイスを接続するためには、何らかの手順が必要であり、ユーザにとっては煩わしいものであった。このように、現行の技術では、携帯端末からのデータを不特定のデバイスで印刷する使用方法が十分に考慮されていない。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、携帯端末から無線通信を介して接続される際に、携帯端末におけるユーザが無線通信を確立する対象となる所望のデバイスを容易に確認可能な画像形成装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば、携帯端末と無線通信を行う画像形成装置として実現できる。画像形成装置は、携帯端末を所持するユーザのアカウントと携帯端末の無線通信用のアドレスである無線通信アドレスとを紐付けて定義したテーブルを記憶する記憶手段と、携帯端末と無線通信を行うためにユーザを画像形成装置にログインさせるための認証を実行する認証手段と、認証手段による認証が成功すると、無線通信を開始する無線通信手段と、無線通信手段によって開始された無線通信を介して、携帯端末から無線通信を確立する対象のデバイスを探索するための探索要求と、携帯端末の無線通信アドレスとを受信する受信手段と、受信手段によって受信された無線通信アドレスと、記憶手段に記憶されたテーブルとを用いて、受信手段によって受信された探索要求が画像形成装置にログイン中のユーザが所持する携帯端末からの探索要求であるか否かを判定する判定手段と、判定手段によって探索要求が画像形成装置にログイン中のユーザが所持する携帯端末からの探索要求であると判定されると、探索要求の応答として、画像形成装置のデバイス名に当該ユーザがログイン中であることを示す情報を付加して送信し、判定手段によって探索要求が画像形成装置にログイン中のユーザが所持する携帯端末からの探索要求でないと判定されると、探索要求の応答として、画像形成装置のデバイス名を送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、例えば、携帯端末から無線通信を介して接続される際に、携帯端末におけるユーザが無線通信を確立する対象となる所望のデバイスを容易に確認可能な画像形成装置及びその制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る複合機100の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る近距離無線通信機能を実装した携帯端末200の構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成システムの構成例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る複合機100の表示部に表示される通信開始前画面の一例を示す図である。
【図5】携帯端末200の表示部に表示される画面例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る画像形成システム300における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る複合機100にログインしてから携帯端末200へBluetooth(登録商標)デバイス名が表示されるまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る複合機100に記憶されるユーザのログインアカウントと、アカウント所持者が所有する携帯端末200のBDアドレスを紐付けるテーブルを示す図である。
【図9】本実施形態に係る携帯端末200の表示部に表示されるBluetooth(登録商標)デバイスの探索結果画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
<画像形成装置の構成>
まず、図1を参照して、本実施形態における画像形成装置の構成について説明する。本実施形態では、画像形成装置の一例として複合機100を例に説明する。しかしながら、本発明は、携帯端末等との無線通信が可能な画像形成装置であれば適用することができる。複合機100は、中央処理装置であるCPU101と、ROM102と、ハードディスク103と、RAM104とを備える。ROM102は、システムバス118に接続される装置各部の駆動条件や管理データ等の各種情報を記憶する。RAM104は、複合機100が動作する上で必要なデータを記憶する。CPU101は、ROM102やハードディスク103等に記憶された制御プログラムに従って各種処理を実行する。
【0013】
複合機100は、更に、表示部106、操作部107、通信制御部108、印刷制御部110、画像メモリ113、画像処理部114、認証処理部115、及びI/O制御部116を備える。表示部106は、駆動条件、装置状態、あるいは入力情報などの各種情報を表示する。操作部107は、ユーザによる設定や命令等の入力操作を行うためのテンキーやスタートキー等のハードキーや、表示部106内にあるタッチパネル等によるソフトキーである。
【0014】
通信制御部108は、無線や有線のネットワークを経由して、イントラネット又はインターネットに接続して、画像データを含む文書データや制御コマンドの送受信を制御する。また、通信制御部108は、不図示の無線通信制御部を有し、携帯端末と無線通信可能に構成されている。通信方法としてはWi−FiやBluetooth(登録商標)等を含む。
【0015】
網制御装置109は、PSTNに接続し発着信の際に所定の回線制御を実行して回線接続又はその切断を制御する。複合機100は、画像データや制御信号を、内蔵するモデム装置により変復調し、網制御装置109を介してファクシミリ送受信を実行する。スキャナ111は、原稿に照射した光の画像に応じた反射光を光電変換して画像データを読み取り、印刷制御部110を介して画像データを送信、複写、又は保存する。
【0016】
画像処理部114は、送信する画像データをデータ圧縮して符号化する。また、画像処理部114は、受信した画像データを伸張して複合化したり、受信した画像データを印刷可能な画像データに変換したりする。また、画像処理部114は、保存する画像データを適切な又はユーザから指定されたフォーマット(例えば、PDFフォーマット等)に変換する。また、画像処理部114は、スキャナ111の光学応答特性やセンダのばらつき等に応じた画像補正処理を行う。さらに、画像処理部114は、プリンタ112の書き込み特性等に適した画像データに変換する画像最適化処理などを要求に応じて行う。
【0017】
認証処理部115は、ユーザやワークグループの認証に加えて、印刷ジョブ認証を行う。カードリーダ117は、NFCなどの短距離無線通信を用いて、非接触型ICカードとの間でコマンドやデータを授受し、I/O制御部116を介してユーザ情報等のデータを送信、又は通知する。カードリーダ117は、不図示のカードをかざす部分を備えている。システムバス118は、CPU101、ROM102、ハードディスク103、RAM104、表示部106、操作部107、通信制御部108、印刷制御部110、画像メモリ113、画像処理部114及びI/O制御部116を接続する。
【0018】
したがって、複合機100は、読み取り画像データを伝送するファクシミリ通信や、文書管理サーバコンピュータにデータ転送する転送機能と、読み取り画像データを印刷出力する複写機能とを備える。更に、複合機100は、受信画像データをファクシミリ受信する受信印刷機能と、クライアントコンピュータからの印刷データを受信して印刷する印刷機能とを備える。つまり、複合機100は、複写機としてだけではなく、ファクシミリ装置、プリンタ装置、スキャナ装置としても機能する。なお、プリンタ112には、電子写真方式以外にも、例えばインクジェット方式、サーマルヘッド方式、ドットインパクト方式など、その他の方式が適用されてもよい。
【0019】
<携帯端末の構成>
次に、図2を参照して、本実施形態に係る近距離無線機能を実装した携帯端末200の構成について説明する。なお、本実施形態では、以下の構成を例に記載するが、本発明は、情報通信を行うことが可能な機器であれば、様々な形態で適用可能なものであり、特に本実施形態に限定されるものではない。
【0020】
携帯端末200は、音声入力部201、音声出力部202、デジタル信号処理部203、RF入出力部204、制御部205、表示部206、操作部207、外部I/F部208、電源部209、近距離無線通信部210、アンテナ211、212、マイク213及びスピーカ214を備える。図2に示すように、制御部205には、デジタル信号処理部203、表示部206、操作部207、外部I/F部208、及び近距離無線通信部210が接続される。
【0021】
制御部205は、携帯端末200の機能を実現するための主要部であり、図示しないCPU、EEPROM、Flash、SRAM等で構成される。さらに本実施形態では、近距離無線通信部210との間でコマンドやデータの授受を行うための近距離無線モジュール215を含む。デジタル信号処理部203は、マイク213を接続した音声入力部201と、スピーカ214を接続した音声出力部202と、アンテナ212を接続したRF入出力部204とに接続される。また、デジタル信号処理部203は、デジタル音声信号のエンコード、及びデジタル音声信号へのデコード等を行う。
【0022】
音声入力部201は、マイク213からのアナログ音声信号をデジタル信号に変換する。音声出力部202は、スピーカ214を制御して、受信したデジタル音声信号を音声として出力させる。RF入出力部204は、高周波送受信を行う。近距離無線通信部210は、制御部205の近距離無線モジュール215と接続され、アンテナ211を介して外部装置との間でデータ等の授受を行う。近距離無線モジュール215は、制御部205の一部として組み込まれたものであり、近距離無線としてBluetooth(登録商標)通信の場合、コマンドのやり取りを行うことにより、通信機能を制御する。
【0023】
表示部206は、ユーザに対して情報の表示出力を行い、LCDドライバ、LCD表示デバイス等で構成される。操作部207は、ユーザインタフェースであり、ユーザが携帯端末200に対して情報を入力するために使用される。電源部209は、バッテリ電源から各ブロックに必要な電力を供給する。
【0024】
<画像形成システムの構成>
次に、図3を参照して、本実施形態に係る画像形成システム300の構成について説明する。画像形成システム300は、複合機100と、携帯端末200とによって構成される。図3に示すように、一般ユーザが使用する携帯端末200の一例として、携帯電話機を示している。しかしながら、本発明は、携帯電話機に限定されることなく、近距離通信が可能な他の携帯端末であってもよい。また、複合機100についても限定する意図はなく、プリンタ、FAXなどの他の画像形成装置であってもよい。また、400は、無線通信を示し、Wi−FiやBluetooth(登録商標)などの無線通信を含む。本実施形態では、Bluetooth(登録商標)通信を一例に説明する。
【0025】
<画面例>
次に、図4及び図5を参照して、複合機100の表示部106、又は、携帯端末200の表示部206に表示される一般的な画面について説明する。図4は、複合機の表示部106に表示される画面400示す。画面400には、複合機100と携帯端末200とが通信を開始するための通信開始ボタン401が含まれる。通信開始ボタン401を押下することにより、複合機100がBluetooth(登録商標)通信可能な状態となる。
【0026】
図5は、携帯端末200の表示部206に表示される画面500、510を示す。画面500は、携帯端末200内に保存された文書を、Bluetooth(登録商標)通信を使って複合機100に送る際のメニューを選択する画面例である。画面500の場合、メニューより「Send Memo」を選択することにより無線通信が開始される。
【0027】
画面510は、携帯端末200内に保存された文書を、Bluetooth(登録商標)通信を使って複合機100に送る際に探索して発見されたデバイスを表示する画面例である。画面510は、例えば、画面500により「Send Memo」が選択された後に、携帯端末200によってBluetooth(登録商標)通信を行うためのデバイスが探索された結果となる。画面510の場合、複数のBluetooth(登録商標)デバイスが発見された場合の画面例であり、所望のBluetooth(登録商標)デバイスを選択することにより、所望の複合機100から印刷が実行されることになる。
【0028】
しかしながら、画面510に示すように、一般的には探索して発見されたデバイスのデバイス名のみがリスト表示される。これでは、ユーザは、所望のデバイスのデバイス名を認識しておく必要があり、認識していない場合はどれが所望のデバイスであるかが特定できない。したがって、本実施形態では、上述のようなリスト表示の際にユーザが所望のデバイスを容易に確認できるように画像形成装置を構成する。具体的な制御については以下に詳細に記載する。
【0029】
<処理手順>
次に、図6を参照して、本実施形態に係る複合機100と携帯端末200との間における処理手順について説明する。以下で説明する処理は、複合機100のCPU101、又は、携帯端末200の制御部205によって制御される。なお、携帯端末200に保存された印刷データを複合機100で印刷するユーザは、携帯端末200を持って複合機100の前に赴き、複合機100のBluetooth(登録商標)通信機能を利用するために複合機100にログインする。
【0030】
ユーザがログインを開始すると、S601において、CPU101は、認証処理部115によって当該ユーザの認証を行い、認証が成功すると当該ユーザを複合機100にログインさせる。これは、操作部107によるパスワード入力でも、カードリーダ117によるカード認証であってもよい。さらに、CPU101は、認証処理後、複合機100の表示部106に画面400を表示させる。CPU101は、表示部106に表示された画面400を介して、通信開始ボタン401が押下されたことを検知する。続いて、S602において、CPU101は、無線通信手段として機能する通信制御部108の制御によってBluetooth(登録商標)通信を開始させる。
【0031】
次に、ユーザの操作に応じて、携帯端末200の制御部205は、携帯端末200に保存された印刷データを特定すべく、S603において、アプリケーションを起動する。なお、印刷データ専用のアプリケーションを起動せずに、携帯端末200のメニューから一覧を表示して特定できる仕組みを有する携帯端末200の場合には、アプリケーションを起動する必要はない。
【0032】
次に、S604において、ユーザの操作に応じて、制御部205は、Bluetooth(登録商標)通信の対象となる文書をユーザ操作に応じて特定する。ユーザによって選択された文書が特定されると、制御部205は、近距離無線通信部210によってBluetooth(登録商標)通信を開始させる。
【0033】
次に、S605において、制御部205は、通信可能な距離にあるBluetooth(登録商標)デバイスを探索する。そして、探索されたBluetooth(登録商標)デバイスのうちのどのBluetooth(登録商標)デバイスと接続するかを決定するために、表示部206に画面510のようなデバイス名の一覧を表示し、ユーザに選択を促す。ここで、本実施形態では、図9に示す画面900のように、ユーザがログインしている複合機100のBluetooth(登録商標)名にログインしていることを示す文字列が付加される。したがって、ユーザは、図9に示すように、当該ユーザがログインしているデバイスが一目で確認できるため、容易に所望のデバイスを探し出すことができる。なお、デバイス名の表示方法についての詳細は、図7及び図8を用いて後述する。
【0034】
S606において、制御部205は、表示部206に表示されたリストの中からユーザ操作に応じて所望の複合機を選択する。さらに、制御部205は、選択されたBluetooth(登録商標)デバイスを特定し、近距離無線通信部210によって当該デバイスに対する接続を開始する。次に、S607において、制御部205は、近距離無線通信部210から複合機100へデータを送信する。S608において、複合機100のCPU101は、S607で携帯端末200から送信されたデータを受信すると、表示部106に画面を表示し、必要に応じて印刷設定を行い、印刷を開始する。その後、S609において、CPU101は、印刷の終了を検知すると処理を終了する。
【0035】
<デバイス名の表示方法>
次に、図7及び図8を参照して、本発明の特徴である、携帯端末200へのBluetooth(登録商標)デバイス名の表示方法について更に詳しく説明する。図7は、Bluetooth(登録商標)デバイス名の表示制御における複合機100の処理手順を示すフローチャートである。なお、以下で説明する処理は、複合機のCPU101が、ROM等のメモリに記憶されたプログラムを実行することによって実行される。本フローチャートは、ユーザが複合機100に対して自身のアカウントを登録することにより開始される。なお、ユーザは、自身のアカウントを登録する際に、自身が所持している携帯端末200のBluetooth(登録商標)デバイス・アドレス(以下では、BDアドレスと称する。)も登録する。なお、BDアドレスは、携帯端末における無線通信用の無線通信アドレスを示し、各携帯端末において固有のアドレスである。
【0036】
ユーザが予め複合機100を利用するためのユーザアカウントを登録すると、S701において、CPU101は、ユーザのログインアカウントと、携帯端末のBDアドレスとを紐付けて定義したテーブルをハードディスク103に格納する。図8にS701で格納されるテーブルの一例を示す。図8に示すテーブル800は、ユーザアカウントと、アカウント所持者の携帯端末200のBDアドレスとを紐付けて定義したテーブルであり、ハードディスク103等に記憶される。なお、上記テーブルは、ユーザによるアカウント登録が発生すると更新される。
【0037】
次に、ユーザが複合機100へのログイン処理を開始すると、S702において、CPU101は、認証処理部115によって認証処理を実行し、認証が成功すると、当該ユーザをログインさせ、表示部106に画面400を表示させる。続いて、S703において、CPU101は、通信開始ボタン401が押下されたことを検知すると、無線通信手段として機能する通信制御部108によってBluetooth(登録商標)通信を開始する。ここで、複合機100は、他のBluetooth(登録商標)デバイスからの探索要求を受信可能な状態となる。その後、S704において、CPU101は、S703で開始したBluetooth(登録商標)通信を介して、携帯端末200からの探索要求を受信する。
【0038】
ここで、探索要求とは、携帯端末200がBluetooth(登録商標)通信を確立する対象のデバイスを探索するための要求である。なお、Bluetooth(登録商標)通信が無指向性の無線通信であるため、当該探索要求は、携帯端末200を中心にBluetooth(登録商標)通信の通信範囲に位置するBluetooth(登録商標)通信可能な全てのデバイスによって受信される。探索要求を受信すると、S705において、ログインアカウントとBDアドレスとの紐付けテーブル800を参照する。
【0039】
次に、S706において、CPU101は、探索要求の送信元である携帯端末200が、現在複合機100にログインしているユーザが所持する携帯端末200であるか否かを判定する。判定方法としては、携帯端末200からの探索要求には携帯端末200のBDアドレスが含まれるため、当該BDアドレスを検索キーとして、テーブル800に同一のBDアドレスが定義されているか検索する。さらに、テーブル800から同一のBDアドレスが検索されると、当該BDアドレスに紐付けられているアカウントが現在ログイン中であるかを否かを判定する。なお、ここでの判定は、例えば、S702において認証処理部115によって認証されたユーザのアカウントと、当該BDアドレスに紐付けられているアカウントとが同一であるか否かを判定する。ここで、ログインしているユーザが所持する携帯端末200からの探索要求であると判定するとS707に進み、ログインしているユーザが所持する携帯端末200からの探索要求でないと判定するとS708に進む。
【0040】
S707において、CPU101は、複合機100のBluetooth(登録商標)名にログインしていることを示す文字列、例えば「ログイン中」の文字列をデフォルトのBluetooth(登録商標)名に付加し、探索要求の応答として携帯端末200に送信する。一方、S708において、CPU101は、通常のBluetooth(登録商標)名を探索要求の応答として携帯端末200に送信する。以後は図6のS606の処理に繋がる。
【0041】
したがって、画面900に示すように、探索要求によって探索されたデバイスのデバイス名が一覧表示される際に、ユーザがログインしている複合機のデバイス名に、ログインしていることを示す文字列が付加されることとなる。このため、ユーザはBluetooth(登録商標)デバイス探索において、当該ユーザがログインしているデバイスを一目で確認できるため、容易にログインしているデバイスを選択することが可能となる。
【0042】
なお、上記実施形態は様々な変形が可能である。例えば、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、上記実施形態では、携帯端末200と複合機100との通信に特化して説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、複合機100同士の通信や、携帯端末200同士の通信や、携帯端末200とカーナビゲーションシステムとの通信等にも適用できる。また、本発明は、パソコンなどの情報処理装置と複合機との通信において用いられてもよい。即ち、複数の同種の情報処理装置が無線通信の接続先の候補として探索されるような如何なる状況においても本発明は有効であり、通信対象となる情報処理装置の識別を容易にするという効果を奏する。
【0043】
<他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と無線通信を行う画像形成装置であって、
前記携帯端末を所持するユーザのアカウントと該携帯端末の無線通信用のアドレスである無線通信アドレスとを紐付けて定義したテーブルを記憶する記憶手段と、
前記携帯端末と無線通信を行うためにユーザを前記画像形成装置にログインさせるための認証を実行する認証手段と、
前記認証手段による認証が成功すると、無線通信を開始する無線通信手段と、
前記無線通信手段によって開始された無線通信を介して、前記携帯端末から無線通信を確立する対象のデバイスを探索するための探索要求と、該携帯端末の無線通信アドレスとを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記無線通信アドレスと、前記記憶手段に記憶された前記テーブルとを用いて、前記受信手段によって受信された前記探索要求が前記画像形成装置にログイン中のユーザが所持する前記携帯端末からの探索要求であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記探索要求が前記画像形成装置にログイン中のユーザが所持する前記携帯端末からの探索要求であると判定されると、前記探索要求の応答として、前記画像形成装置のデバイス名に当該ユーザがログイン中であることを示す情報を付加して送信し、前記判定手段によって前記探索要求が前記画像形成装置にログイン中のユーザが所持する前記携帯端末からの探索要求でないと判定されると、前記探索要求の応答として、前記画像形成装置のデバイス名を送信する送信手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記受信手段によって受信された無線通信アドレスを検索キーとして、前記記憶手段に記憶された前記テーブルの無線通信アドレスを検索する検索手段を備え、
前記検索手段によって、前記受信手段によって受信された前記無線通信アドレスが前記テーブルから検索されると、当該無線通信アドレスに紐付けられたアカウントが前記認証手段によって認証されたアカウントであるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記携帯端末を所持するユーザのアカウントと該携帯端末の前記無線通信アドレスとを紐付けて前記テーブルに登録する登録手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ユーザがログイン中であることを示す前記情報は、該ユーザがログイン中であることを示す文字列であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記無線通信は、Bluetooth(登録商標)通信であり、
前記無線通信アドレスは、Bluetooth(登録商標)通信において固有のBluetooth(登録商標)デバイス・アドレスであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
携帯端末を所持するユーザのアカウントと該携帯端末の無線通信用のアドレスである無線通信アドレスとを紐付けて定義したテーブルを記憶する記憶手段を備え、前記携帯端末と無線通信を行う画像形成装置の制御方法であって、
認証手段が、前記携帯端末と無線通信を行うためにユーザを前記画像形成装置にログインさせるための認証を実行する認証ステップと、
無線通信手段が、前記認証ステップによる認証が成功すると、無線通信を開始する無線通信ステップと、
受信手段が、前記無線通信ステップにおいて開始された無線通信を介して、前記携帯端末から無線通信を確立する対象のデバイスを探索するための探索要求と、該携帯端末の無線通信アドレスとを受信する受信ステップと、
判定手段と、前記受信ステップにおいて受信された前記無線通信アドレスと、前記記憶手段に記憶された前記テーブルとを用いて、前記受信ステップにおいて受信された前記探索要求が前記画像形成装置にログイン中のユーザが所持する前記携帯端末からの探索要求であるか否かを判定する判定ステップと、
送信手段が、前記判定ステップにおいて前記探索要求が前記画像形成装置にログイン中のユーザが所持する前記携帯端末からの探索要求であると判定されると、前記探索要求の応答として、前記画像形成装置のデバイス名に当該ユーザがログイン中であることを示す情報を付加して送信し、前記判定ステップにおいて前記探索要求が前記画像形成装置にログイン中のユーザが所持する前記携帯端末からの探索要求でないと判定されると、前記探索要求の応答として、前記画像形成装置のデバイス名を送信する送信ステップと
を実行することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
携帯端末と無線通信を行う画像形成装置であって、
前記携帯端末を所持するユーザのアカウントと該携帯端末の無線通信用のアドレスである無線通信アドレスとを紐付けて定義したテーブルを記憶する記憶手段と、
前記携帯端末と無線通信を行うためにユーザを前記画像形成装置にログインさせるための認証を実行する認証手段と、
前記認証手段による認証が成功すると、無線通信を開始する無線通信手段と、
前記無線通信手段によって開始された無線通信を介して、前記携帯端末から無線通信を確立する対象のデバイスを探索するための探索要求と、該携帯端末の無線通信アドレスとを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記無線通信アドレスと、前記記憶手段に記憶された前記テーブルとを用いて、前記受信手段によって受信された前記探索要求が前記画像形成装置にログイン中のユーザが所持する前記携帯端末からの探索要求であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記探索要求が前記画像形成装置にログイン中のユーザが所持する前記携帯端末からの探索要求であると判定されると、前記探索要求の応答として、前記画像形成装置のデバイス名に当該ユーザがログイン中であることを示す情報を付加して送信し、前記判定手段によって前記探索要求が前記画像形成装置にログイン中のユーザが所持する前記携帯端末からの探索要求でないと判定されると、前記探索要求の応答として、前記画像形成装置のデバイス名を送信する送信手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記受信手段によって受信された無線通信アドレスを検索キーとして、前記記憶手段に記憶された前記テーブルの無線通信アドレスを検索する検索手段を備え、
前記検索手段によって、前記受信手段によって受信された前記無線通信アドレスが前記テーブルから検索されると、当該無線通信アドレスに紐付けられたアカウントが前記認証手段によって認証されたアカウントであるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記携帯端末を所持するユーザのアカウントと該携帯端末の前記無線通信アドレスとを紐付けて前記テーブルに登録する登録手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ユーザがログイン中であることを示す前記情報は、該ユーザがログイン中であることを示す文字列であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記無線通信は、Bluetooth(登録商標)通信であり、
前記無線通信アドレスは、Bluetooth(登録商標)通信において固有のBluetooth(登録商標)デバイス・アドレスであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
携帯端末を所持するユーザのアカウントと該携帯端末の無線通信用のアドレスである無線通信アドレスとを紐付けて定義したテーブルを記憶する記憶手段を備え、前記携帯端末と無線通信を行う画像形成装置の制御方法であって、
認証手段が、前記携帯端末と無線通信を行うためにユーザを前記画像形成装置にログインさせるための認証を実行する認証ステップと、
無線通信手段が、前記認証ステップによる認証が成功すると、無線通信を開始する無線通信ステップと、
受信手段が、前記無線通信ステップにおいて開始された無線通信を介して、前記携帯端末から無線通信を確立する対象のデバイスを探索するための探索要求と、該携帯端末の無線通信アドレスとを受信する受信ステップと、
判定手段と、前記受信ステップにおいて受信された前記無線通信アドレスと、前記記憶手段に記憶された前記テーブルとを用いて、前記受信ステップにおいて受信された前記探索要求が前記画像形成装置にログイン中のユーザが所持する前記携帯端末からの探索要求であるか否かを判定する判定ステップと、
送信手段が、前記判定ステップにおいて前記探索要求が前記画像形成装置にログイン中のユーザが所持する前記携帯端末からの探索要求であると判定されると、前記探索要求の応答として、前記画像形成装置のデバイス名に当該ユーザがログイン中であることを示す情報を付加して送信し、前記判定ステップにおいて前記探索要求が前記画像形成装置にログイン中のユーザが所持する前記携帯端末からの探索要求でないと判定されると、前記探索要求の応答として、前記画像形成装置のデバイス名を送信する送信ステップと
を実行することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−255517(P2011−255517A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129354(P2010−129354)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]