説明

画像形成装置、その制御方法及びプログラム

【課題】 プロセス定義ファイルで指定された予約語が正しく変換されなかった場合でもプロセス定義ファイルを正しく処理する手段を提供することを目的とする。
【解決手段】 プロセス定義ファイルで指定された予約語が正しく変換されなかった場合に、ユーザに正しく変換できる予約語を予約語の代替値として選択させるか、任意の値を代替値として入力させるかして、予約語の値として代替値を用いてプロセス定義ファイルを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、その制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機にファクシミリ、スキャナ、プリンタ機能を統合した複合機が提案されている。これにより、複写機、ファクシミリなどを使った紙主体の事務処理と、パーソナルコンピュータ上で電子化された文書の処理とを、連携することができる。
【0003】
具体的には、紙文書をスキャンしてパーソナルコンピュータに転送したり、ファクシミリで受信した文書をプリントせずにイメージデータのままパーソナルコンピュータに送信したりすることができる。さらには、紙文書、ファクシミリ受信文書が電子化された後、多くの手続きや処理をも連携させ自動化することが望まれる。
【0004】
そのため、従来、予め複合機で設定すべき項目について所望の設定を記述したプロセス定義ファイルを用意しておき、そのプロセス定義ファイルを指定し、必要に応じて設定値を変更してから処理を行う技術が提案されている。例えば、従来の画像形成装置は、出力様式を設定するための出力設定データ(プロセス定義ファイル)を複数保存し、選択された出力設定データに従った出力様式で画像形成して出力することができる(例えば、特許文献1参照)。さらに、上記画像形成装置において、ひとつのプロセス定義ファイルを複数のユーザが個別にカスタマイズできる技術が提案されている。例えば、プロセス定義ファイルの一部に予め決められたキーワード(予約語)を設定しておき、プロセス定義ファイルの実行時に予約語をログインユーザに紐づけられた値に置換することで、ユーザに応じた動作を実現することができる(例えば、特許文献2参照)。このとき予約語に対応するユーザ情報は、ユーザ認証やユーザ情報を管理するディレクトリサービスを利用することで取得できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−83263号公報
【特許文献2】特開2009−177763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プロセス定義ファイルを実行するユーザによっては、予約語が正しく変換されない場合がある。例えば、プロセス定義ファイルに、ログインしているユーザの電子メールアドレスを示す予約語が設定されていたとしても、ディレクトリサービスにユーザ情報として電子メールアドレスが登録されていなければ、ブランクデータに変換されてしまう。また、プロセス定義ファイルを実行するユーザがゲストユーザだった場合、予約語はゲストユーザに紐づけられた値に変換されてしまう。このような場合に、従来の技術では、予約語の変換結果がユーザの望んだものではなかったとしてもプロセス定義ファイルをそのまま実行してしまったり、エラーとして終了させたりしていた。ユーザが望む結果を得るためには、プロセス定義ファイルに設定されている予約語をユーザが望む値に書き換えたうえで実行しなければならず、ユーザにとって不便であるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであり、プロセス定義ファイルの実行時に予約語が正しく変換されなかった場合のリカバリー手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、処理の組み合わせを定義したプロセス定義ファイルを実行する機能を有する画像形成装置であって、プロセス定義ファイルに指定された予約語をルールに基づいて前記画像形成装置にログインしているユーザに紐づけられた情報に変換する変換手段と、前記変換手段による変換時に正しい予約語に変換されたか否かを判別する第1判別手段と、前記第1判別手段により予約語が正しく変換されなかったと判別された場合に、ユーザに代替値の入力を促す入力手段と、前記変換手段によって変換された予約語または前記入力手段によって入力された代替値のいずれかを用いて、プロセス定義ファイルを実行する実行手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、プロセス定義ファイルの実行時に予約語が正しく変換されなかった場合のリカバリー手段が提供され、ユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態における画像処理システムの全体図である。
【図2】本発明の実施形態におけるMFP102の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態におけるMFP102のソフトウェア構成図である。
【図4】本発明の実施形態における管理者PC101/業務サーバ103の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態におけるプロセス定義ファイルの記述例である。
【図6】本発明の実施形態における画像処理システムの全体の動作を概念的に説明する図である。
【図7】本発明の実施形態における代替プロセス定義ファイルの記述例である。
【図8】本発明の実施形態におけるMFP102の操作部の例である。
【図9】本発明の実施形態におけるMFP102の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施例に係る画像処理装置について説明する。
【0013】
図1は、第1の実施形態における画像処理システムの全体図である。LAN110には、管理者PC101、MFP102、業務サーバ103および管理サーバ104が互いに通信可能に接続されている。管理者PC101はユーザがプロセス定義ファイルを作成してMFP102に送信するために使用する。MFP102は基本的なコピー機能に加えて、スキャン機能、プリント機能、FAX送受信機能、電子メール送受信機能等を1台で有する複合機である。プロセス定義ファイルの定義に従って、複合機の機能を組み合わせて実行する。業務サーバ103はMFP102よりスキャンした文書データを受け取り、その後の業務を実行するサーバである。管理サーバ104はLAN110に接続するMFPのユーザ認証やユーザ情報などを管理するディレクトリサービスを提供するサーバである。
【0014】
図2は、MFP102の構成を示すブロック図である。CPU211を含む制御部210は、MFP102全体の動作を制御する。CPU211は、ROM212に記憶された制御プログラムを読み出して読取制御や送信制御などの各種制御処理を実行する。RAM213は、CPU211の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。HDD214は、画像データや各種プログラムを記憶する。操作部I/F215は、操作部219と制御部210とを接続する。操作部219には、タッチパネル機能を有する液晶表示部やキーボードなどが備えられている。プリンタI/F216は、プリンタ220と制御部210とを接続する。プリンタ220で印刷すべき画像データはプリンタI/F216を介して制御部210からプリンタ220に転送され、プリンタ220において記録媒体上に印刷される。スキャナI/F217は、スキャナ221と制御部210とを接続する。スキャナ221は、原稿上の画像を読み取って画像データを生成し、スキャナI/F217を介して制御部210に入力する。ネットワークI/F218は、制御部210(MFP102)をLAN110に接続する。ネットワークI/F218は、LAN110上の外部装置(例えば、管理者PC101)からプロセス定義ファイルを受信したり、LAN110上の外部装置(例えば、業務サーバ103)に対して画像データを送信したりする。
【0015】
図3は、MFP102のROM212に格納された各制御プログラムをCPU211が実行することにより実現されるソフトウェア構成図である。プロセス定義ファイル管理部301は、MFP102が管理者PC101から受信したプロセス定義ファイルやMFP102で作成したプロセス定義ファイルを管理する。また、プロセス定義ファイルから派生した代替プロセス定義ファイルも一緒に管理する。代替プロセス定義ファイルとは、プロセス定義ファイルを実行した際に生成されるファイルで、プロセス定義ファイルを複製して生成される。オリジナルのプロセス定義ファイルとの違いは、実行時に変換できなかった予約語が実際に使われた値に置換されている点である。また、プロセス定義ファイルは、複数のユーザが使用できる共用プロセス定義ファイルと、1ユーザだけが使用できる個人用プロセス定義ファイルに分けられる。プロセス定義ファイル管理部301は、共用プロセス定義ファイルやユーザ毎の個人用プロセス定義ファイルをHDD214に保存して管理する。プロセス定義ファイル処理部302は、プロセス定義ファイルにかかる処理を実行する。具体的には、プロセス定義ファイルに定義された処理情報を読み取り、MFPの機能(スキャンや印刷)を実行する。 予約語変換管理部303は、予約語を変換するための手段を管理する。具体的には、プロセス定義ファイルに予約語が指定されていた場合、プロセス定義ファイルの処理を実行する前に予約語を実値に変換する。ユーザ認証管理部304は、ユーザを認証するためのデータと手段を管理する。ユーザを認証するための手段は、IDカードを読み取って認証情報を入力する方法や、生体情報を用いて認証を行う方法などいずれの方法を採用しても良い。ユーザ認証管理部304は管理サーバ104のディレクトリサービスを利用して認証を行う。代替プロセス定義ファイル作成部305は、プロセス定義ファイルの実行時に、オリジナルのプロセス定義ファイルをもとに代替プロセス定義ファイルの作成を行う。
【0016】
図4は、管理者PC101の構成を示すブロック図である。なお、業務サーバ103と管理サーバ104は、管理者PC101と同様の構成を有しているため、ここで合わせて説明する。CPU411を含む制御部410は、管理者PC101全体の動作を制御する。CPU411は、ROM412に記憶された制御プログラムを読み出して各種制御処理を実行する。RAM413は、CPU411の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。HDD414は、画像データや各種プログラム、或いは後述する各種情報テーブルを記憶する。表示部I/F415は、表示部418と制御部410とを接続する。キーボードI/F416は、キーボード419と制御部410とを接続する。CPU411は、キーボード419を介したユーザからの指示を認識し、認識した指示に応じて表示部418に表示する画面を遷移させる。ネットワークI/F417は、制御部410(管理者PC101)をLAN110に接続する。ネットワークI/F417は、LAN110上の他の装置との間で各種情報を送受信する。
【0017】
図5は予約語が含まれた共用プロセス定義ファイル(500)の具体的な記述例を示す図である。ここではXMLの形式で記述された例を示すが、他の形式でプロセス定義ファイルを記述するようにしても構わない。タグ501(Processタグ)は、本ファイルがプロセス定義ファイルであることを定義している。プロセス定義ファイルに関する各項目はProcessタグの子要素として記述される。また、Processタグの属性として、プロセス定義ファイルを一意に示すプロセスID(0001)や、プロセスの名称(受注書をサーバに格納)を定義している。また、属性「user=”common”」は、本ファイルが共用プロセス定義ファイルであることを定義している。タグ502(Scanタグ)は、紙文書をスキャンする処理を定義している。タグ502の子要素であるタグ503(Settingタグ)は、親タグで定義された処理についての設定を定義している。タグ503ではスキャンの読み取りをグレイスケールで行うと定義している。Settingタグは設定する項目ごとに繰り返し定義する。タグ504(Sendタグ)は、スキャンした画像データを外部装置に送信する処理を定義している。タグ504の属性(type)は、外部装置に送信する方法(ここではSMBプロトコル)を定義している。タグ504の子要素であるタグ505(Settingタグ)は、送信するアドレスを定義している。タグ505の値として「¥¥server¥order¥incoming¥%loginname%」と定義されているが、「%loginname%」は予約語である。本実施例では「%」で囲まれた任意の文字列を予約語として定義する。「%loginname%」はMFPにログインしているユーザのログイン名を意味する予約語である。プロセス定義ファイルの実行時に「%loginname%」は、MFPにログインしているユーザのログイン名に変換される。同じくタグ504の子要素であるタグ506とタグ507は、インデックスファイルに出力する項目を定義している。インデックスファイルとは、文書データの属性や追加情報などを記載したファイルのことで、文書データと共に外部装置に送られる。タグ506の値にはMFPにログインしているユーザの電子メールアドレスを意味する予約語「%email%」が使われている。また、タグ507の値にはMFPにログインしているユーザのFAX番号を意味する予約語「%fax%」が使われている。
【0018】
次に図6で、プロセス定義ファイル500の実行を例に、画像処理システムの全体の動作を概念的に説明する。まず初めに、ユーザは管理者PC101を操作して、プロセス定義ファイル500を作成する。プロセス定義ファイル500には、MFP102が備える複数の機能を利用して一連の処理を実行するための定義が記述される。ユーザは、管理者PC101に表示されたプロセス定義ファイル作成画面を介して様々な処理内容(原稿スキャンパラメータや送信設定など)を入力する。プロセス定義ファイルの作成が完了すると、作成されたプロセス定義ファイル500は、LAN110を介してMFP102に送信される(ステップS601)。プロセス定義ファイル500を受信したMFP102は、受信したプロセス定義ファイル500を記憶装置に保持しておく。その後、ユーザがMFP102の操作部219よりプロセス定義ファイル500の実行を指示すると、MFP102は、プロセス定義ファイル500にしたがって処理を開始する(ステップS602)。まずMFP102はプロセス定義ファイル510の実行に必要な予約語の変換を行う。ユーザ情報に紐づいた予約語の値を取得する場合は、管理サーバ104のディレクトリサービスよりユーザ情報を取得する(ステップS603)。予約語が正しく変換できない場合は、あらかじめ定義されている全ての予約語のうち正しく変換できる予約語を、変換できない予約語の代替値候補として画面に表示する。ユーザは、画面に表示された代替値候補から実際に使用する値を選択するか、代替値候補に適切な値がない場合は任意の値を画面から入力する。また、代替値候補の一部を変更して使うこともできる。例えばファクス番号を示す「%fax%」がブランクで変換されてしまった場合、ファクス番号と電話番号が同じであれば電話番号を示す「%tel%」の値を代替値として使用すればよい。ファクス番号と電話番号が違っていたとしても、市外局番など途中までが同じ番号なら、「%tel%」の値を選択(コピー)したうえで、違う部分のみ編集すればよい。代替値候補に利用できる値がない場合は、ファクス番号を代替値として全桁入力すればよい。プロセス定義ファイル500内の予約語がすべて実値に変換されたら、MFP102はプロセス定義ファイル500の定義に従い、紙文書をスキャンしたのち、業務サーバ103へ文書データ620とインデックスファイル630を送信する(ステップS604)。ここで、プロセス定義ファイル500の実行時に予約語を代替値で実行した場合は、プロセス定義ファイル500をもとに代替プロセス定義ファイル610を実行したユーザの個人用プロセス定義ファイルとして作成する(ステップS605)。文書データ620とインデックスファイル630を受信した業務サーバ103は、業務において必要な処理を継続する。
【0019】
図7に代替プロセス定義ファイル610の具体的な記述例を示す。なお、タグ701〜タグ707は、タグ501〜タグ507とほぼ同一の内容のため、差分がある箇所についてのみ説明を行う。タグ701(Processタグ)は、タグ501と比較すると、属性がふたつ追加されている。Processタグの属性「src」は、代替プロセス定義ファイル610の元となったプロセス定義ファイルのプロセスIDが「0001」であることを示す。なお、プロセスID「0001」はプロセス定義ファイル500である。また、Processタグの属性「user=”ABC”」は、代替プロセス定義ファイル610が、ユーザ「ABC」の個人用プロセス定義ファイルであることを示す。タグ702〜タグ706は、タグ502〜タグ706と同一の記述である。タグ707(Settingタグ)は、タグ507と比較すると、予約語「%fax%」が「03−1234−5678」という値に代わっている。これはプロセス定義ファイル500を実行する際に、予約語「%fax」の代替値として「03−1234−5678」という値を使用したことを示している。なお、図7ではプロセス定義ファイルの実行時に正しく変換された予約語は、代替プロセス定義ファイルでも予約語のままとなっているが、予約語ではなく変換後の値を記載するようにしてもよい。
【0020】
図8でMFP102の操作部219にプロセス定義ファイルがどのように表示されるかを説明する。図8(A)は、共有プロセス定義ファイルの表示例である。ボタン801、802は、共用プロセス定義ファイルと個人用プロセス定義ファイルの表示を切り替えるためのボタンである。図8(A)では、ボタン801が選択状態になっており、操作部219に共用プロセス定義ファイルが表示されている。ボタン803、804、805は、それぞれ共有プロセス定義ファイルである。ボタン803はプロセス定義ファイル500の具体的な表示例である。プロセス定義ファイル処理部302は、ユーザのボタン押下を検知すると、プロセス定義ファイルの実行を開始する。ラベル806は、現在MFP102にログインしているユーザのIDを表示している。図8(A)では、ラベル806の表示により、ユーザ「ABC」がMFP102にログインしていることが識別できる。
【0021】
ボタン807は、ログインしているユーザがMFP102からログアウトするためのボタンである。
【0022】
図8(B)は、個人用プロセス定義ファイルの表示例である。図8(B)では、ボタン802が選択状態になっており、操作部219にMFP102にログインしているユーザの個人用プロセス定義ファイルが表示されている。ボタン811、812はユーザ「ABC」の個人用プロセス定義ファイルである。ユーザ「ABC」以外のユーザがMFP102にログインした場合は、ログインしたユーザの個人用プロセス定義ファイルが表示される。個人用プロセス定義ファイルをまったく保有していないユーザの場合には、ボタンがひとつも表示されない。
【0023】
図8(C)は、代替プロセス定義ファイルが生成された後の個人用プロセス定義ファイルの表示例である。具体的には、プロセス定義ファイル500(ボタン803)を、ユーザ「ABC」が予約語を代替値に置き換えて実行した結果、代替プロセス定義ファイル610(ボタン813)が生成された状態である。このように、代替プロセス定義ファイルであっても、通常の個人用プロセス定義ファイルと同じように表示できる。ユーザ「ABC」は次回よりボタン803(プロセス定義ファイル500)の代わりに、ボタン813(代替プロセス定義ファイル610)を実行することができる。
【0024】
以下で、本実施形態におけるMFP102のプロセス定義ファイル実行処理を図9のフローチャートを用いて説明する。図9のフローチャートに示す各動作は、MFP102のCPU211が制御プログラムを実行することにより実現される。ステップS901で、プロセス定義ファイル処理部302は、ユーザが実行を指示したプロセス定義ファイルを、HDD214からRAM213に読み出す。次に、プロセス定義ファイル処理部302は、ステップS901で読みだしたプロセス定義ファイルからファイル内に記載された予約語を抽出する。ステップS903で、プロセス定義ファイル処理部302は、未変換の予約語が存在するか否かを判断する。未変換の予約語が存在する場合はステップS904に進み、未変換の予約語が存在しない場合はステップS910に進む。ステップS904で、予約語変換管理部303はステップS903で抽出した予約語を先頭から順に実値に変換する。このとき、ユーザ情報に紐づいた予約語の値は、管理サーバ104のディレクトリサービスが提供するユーザ情報より取得する。指定された予約語に対応する情報がユーザ情報に定義されていない場合や、ゲストユーザの場合は正しく予約語が取得できなかったとみなし、いったんブランクに変換される。ステップS905で、プロセス定義ファイル処理部302は、ステップS904で予約語が正しく変換されたか否かを判断する。予約語が正しく変換された場合はステップS903に戻り、予約語が正しく変換されなかった場合はステップS906へ進む。ステップS906で、プロセス定義ファイル管理部301は、実行しているプロセス定義ファイルの代替プロセス定義ファイルが存在するか否かを判断する。プロセス定義ファイル管理部301は、実行しているプロセス定義ファイルのプロセスIDとMFP102にログインしているユーザのユーザIDをキーに代替プロセス定義ファイルを検索する。代替プロセス定義ファイルが存在する場合はステップS913に進み、代替プロセス定義ファイルが存在しない場合はステップS907に進む。ステップS907で、予約語変換管理部303は、あらかじめ定義されている全ての予約語の変換を試み、正しく変換できた予約語の情報を代替値候補として保持する。このとき、ユーザ情報に紐づいた予約語の値は、管理サーバ104のディレクトリサービスが提供するユーザ情報より取得する。ステップS908で、プロセス定義ファイル処理部302は、ステップS904で正しく変換できなかった予約語の代替値の入力画面を表示する。代替値の入力画面には、ステップS907で取得した代替値候補を一覧で表示する。ユーザは、代替値候補の一覧から代替値を選択するか、代替値候補の値を一部変更して入力するか、一から値を入力するか、いずれかの方法をもって代替値の入力を行う。ステップS909で、プロセス定義ファイル処理部302は、ユーザが選択または入力した代替値をステップS904で正しく変換できなかった予約語の値として保持して、ステップS903へ戻る。ステップS910で、プロセス定義ファイル処理部302は、プロセス定義ファイルに定義された処理情報に従って、MFPの機能(スキャンやファイル送信など)を実行する。このとき、プロセス定義ファイルに記載された予約語は、ステップS904やステップS909で決められた値に変換されたうえで使用される。ステップS911で、プロセス定義ファイル処理部302は、ステップS910でプロセス定義ファイルを実行する際に予約語の値として代替値を使用したか否かを判断する。代替値を使用した場合はステップS912に進み、代替値を使用していない場合は処理を終了する。ステップS912で、プロセス定義ファイル管理部301は、ステップS911で実行したプロセス定義ファイルをもとに、プロセス定義ファイルを実行したユーザの個人用プロセス定義ファイルとして、代替プロセス定義ファイルを作成する。ステップS913で、プロセス定義ファイル処理部302は、ステップS906で検索した代替プロセス定義ファイルを読み込み、定義された処理情報に従って、MFPの機能(スキャンやファイル送信など)を実行する。
【0025】
以上、第1の実施形態において説明した手順により、プロセス定義ファイルに指定された予約語が正しく変換できなかった場合に、ユーザに代替値を選択・入力させることによって、プロセス定義ファイルの実行を完了することができる。また、一度代替値を入力したプロセス定義ファイルであれば、次回からは代替プロセス定義ファイルが自動的に実行されるため、ユーザの利便性が向上する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理の組み合わせを定義したプロセス定義ファイルを実行する機能を有する画像形成装置であって、
プロセス定義ファイルに指定された予約語をルールに基づいて前記画像形成装置にログインしているユーザに紐づけられた情報に変換する変換手段と、
前記変換手段による変換時に正しい予約語に変換されたか否かを判別する第1判別手段と、
前記第1判別手段により予約語が正しく変換されなかったと判別された場合に、ユーザに代替値の入力を促す入力手段と、
前記変換手段によって変換された予約語または前記入力手段によって入力された代替値のいずれかを用いて、プロセス定義ファイルを実行する実行手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
プロセス定義ファイルの実行終了後に、プロセス定義ファイルに記述された予約語を前記入力手段によって入力された代替値で置き換えることによって代替プロセス定義ファイルを作成する作成手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記作成手段により作成された代替プロセス定義ファイルと、代替プロセス定義ファイルの作成元であるプロセス定義ファイルを関連づけて管理する管理手段と、
前記第1判別手段により予約語が正しく変換されなかったと判別された場合に、実行しているプロセス定義ファイルに関連づけられた代替プロセス定義ファイルが存在するか否かを判別する第2判別手段と、
前記第2判別手段により代替プロセス定義ファイルが存在すると判別された場合に、プロセス定義ファイルの代わりに代替プロセス定義ファイルを実行する代替実行手段
を有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記作成手段で作成された代替プロセス定義ファイルは、プロセス定義ファイルを実行したユーザの個人用プロセス定義ファイルであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記入力手段は、前記画像形成装置に定義されたすべての予約語のうち、前記画像形成装置にログインしているユーザに紐づけられた情報に正しく変換できる予約語を代替値候補として表示することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
処理の組み合わせを定義したプロセス定義ファイルを実行する機能を有する画像形成装置の制御方法であって、
プロセス定義ファイルに指定された予約語をルールに基づいて前記画像形成装置にログインしているユーザに紐づけられた情報に変換する変換ステップと、
前記変換ステップによる変換時に正しい予約語に変換されたか否かを判別する第1判別ステップと、
前記第1判別ステップにより予約語が正しく変換されなかったと判別された場合に、ユーザに代替値の入力を促す入力ステップと、
前記変換ステップによって変換された予約語または前記入力ステップによって入力された代替値のいずれかを用いて、プロセス定義ファイルを実行する実行ステップと
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項7】
プロセス定義ファイルの実行終了後に、プロセス定義ファイルに記述された予約語を前記入力ステップによって入力された代替値で置き換えることによって代替プロセス定義ファイルを作成する作成ステップを有することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項8】
前記作成ステップにより作成された代替プロセス定義ファイルと、代替プロセス定義ファイルの作成元であるプロセス定義ファイルを関連づけて管理する管理ステップと、
前記第1判別ステップにより予約語が正しく変換されなかったと判別された場合に、実行しているプロセス定義ファイルに関連づけられた代替プロセス定義ファイルが存在するか否かを判別する第2判別ステップと、
前記第2判別ステップにより代替プロセス定義ファイルが存在すると判別された場合に、プロセス定義ファイルの代わりに代替プロセス定義ファイルを実行する代替実行ステップを有することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項9】
前記作成ステップで作成された代替プロセス定義ファイルは、プロセス定義ファイルを実行したユーザの個人用プロセス定義ファイルであることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
前記入力ステップは、前記画像形成装置に定義されたすべての予約語のうち、前記画像形成装置にログインしているユーザに紐づけられた情報に正しく変換できる予約語を代替値候補として表示することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項11】
請求項6乃至10のいずれかに記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−85069(P2013−85069A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222821(P2011−222821)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】