画像形成装置、プログラム、画像形成方法
【課題】簡単な構成で双方向色差を低減することができない。
【解決手段】第2黒色ヘッド4k2は、第1カラーヘッド4c1及び第2カラーヘッド4c2に対して副走査方向で用紙搬送方向下流側に1ノズル列幅相当分位置をずらして配置し、一方向の主走査で第1カラーヘッド4c1及び第2カラーヘッド4c2によって画像を形成した後、用紙10を1ライン分搬送し、他方向の主走査で第2黒色ヘッド4k2により、一方向の主走査で第1カラーヘッド4c1及び第2カラーヘッド4c2によって形成された画像上に黒色の液滴を吐出させて画像を形成して、画像を完成させる。
【解決手段】第2黒色ヘッド4k2は、第1カラーヘッド4c1及び第2カラーヘッド4c2に対して副走査方向で用紙搬送方向下流側に1ノズル列幅相当分位置をずらして配置し、一方向の主走査で第1カラーヘッド4c1及び第2カラーヘッド4c2によって画像を形成した後、用紙10を1ライン分搬送し、他方向の主走査で第2黒色ヘッド4k2により、一方向の主走査で第1カラーヘッド4c1及び第2カラーヘッド4c2によって形成された画像上に黒色の液滴を吐出させて画像を形成して、画像を完成させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置、プログラム、画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
シリアル型画像形成装置においては、記録ヘッドを搭載したキャリッジを主走査方向に移動走査し、被記録媒体である用紙を間歇的に搬送することで、用紙上に画像を形成する。このような画像形成装置において、1主走査(1スキャン)でカラー画像を形成しようとすると、キャリッジの往復動作で画像を形成する双方向印刷を行う場合に、液滴の着弾位置ずれによる色差(双方向色差)が発生し、また、解像度がノズルピッチに依存するためにドット密度が粗くなり、画質が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、従来から、カラー画像形成時にのみ黒色を高解像度とすることで高画質化を図るもの(特許文献1、2)、また、ノズル配列方向にカラーの液滴を吐出するノズルをずらして配置することにより、双方向印刷における着弾順を統一して双方向色差を低減しようとするもの(特許文献3)などが知られている。
【0006】
また、シリアル型画像形成装置としては、黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した黒色ノズル列と、カラーの液滴を吐出する複数のノズルを配列したカラーノズル列とを、黒色ノズル列はカラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に1ヘッド分(1ノズル列分)位置をずらして配置したものも知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−025614号公報
【特許文献2】特開2001−260423号公報
【特許文献3】特開2004−106392号公報
【特許文献4】特開2010−208164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した双方向色差を低減するヘッド配置としては、種々の配置が知られているが、最も単純な構成は、例えば、同じ色の液滴を吐出する複数のヘッドを備え、K、C、M、Y、M、C、Kの順で同じ主走査方向に逆順で配置し、往路と復路で異なるヘッドを使用し、常にYMCKの順で液滴を吐出することで各色の液滴の着弾順を往路と復路で同じにすることである。
【0009】
このような構成を採用すれば、双方向色差を低減し、また、先に着弾した色が支配的になることから、黒色を最後に着弾させてグレー品質を向上させることができる。しかしながら、このような構成にあって、ヘッド数が多くなるという課題がある。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単なヘッド配置で双方向色差を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した黒色ノズル列と、カラーの液滴を吐出する複数のノズルを配列したカラーノズル列と、を有する1又は複数のヘッドが搭載され、主走査方向に移動走査されるキャリッジと、
被記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、を備え、
前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置され、
先行の一方向への主走査で前記カラーノズル列による画像を形成した後、
前記被記録媒体を相対的に次の主走査位置に移動させ、
後行の他方向への主走査で、前記カラーノズル列で形成された画像上に前記黒色ノズル列による画像を形成させて、
1主走査領域分の画像を完成する制御をする制御手段を備えている
構成とした。
【0012】
ここで、前記黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した第1、第2の黒色ノズル列を有し、
前記第1の黒色ノズル列は前記カラーノズル列と副走査方向の位置を同じにして配置され、
前記第2の黒色ノズル列は前記カラーノズル列と副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置されている
構成とできる。
【0013】
また、前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置がずれて配置される部分と、前記カラーノズル列に対して副走査方向で同じ位置に配置される部分とを含む構成とできる。
【0014】
また、前記黒色ノズル列で形成する画像の密度が前記カラーノズル列で形成する画像の密度よりも高い構成とできる。
【0015】
本発明に係るプログラムは、
黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した黒色ノズル列と、カラーの液滴を吐出する複数のノズルを配列したカラーノズル列と、を有する1又は複数のヘッドが搭載され、主走査方向に移動走査されるキャリッジと、
被記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、を備え、
前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置された画像形成装置による画像形成動作を制御する処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
先行の一方向への主走査で前記カラーノズル列による画像を形成した後、
前記被記録媒体を相対的に次の主走査位置に移動させ、
後行の他方向への主走査で、前記カラーノズル列で形成された画像上に前記黒色ノズル列による画像を形成させ、
1主走査領域分の画像を完成する制御をする処理を行わせる
構成とした。
【0016】
本発明に係る画像形成方法は、
黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した黒色ノズル列と、カラーの液滴を吐出する複数のノズルを配列したカラーノズル列と、を有する1又は複数のヘッドが搭載され、主走査方向に移動走査されるキャリッジと、
被記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、を備え、
前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置された画像形成装置による画像形成方法であって、
先行の一方向への主走査で前記カラーノズル列による画像を形成した後、
前記被記録媒体を相対的に次の主走査位置に移動させ、
後行の他方向への主走査で、前記カラーノズル列で形成された画像上に前記黒色ノズル列による画像を形成させて、
1主走査領域分の画像を完成する
構成とした。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る画像形成装置、プログラム、画像形成方法によれば、黒色ノズル列は、カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置され、先行の一方向への主走査でカラーノズル列による画像を形成した後、被記録媒体を相対的に次の主走査位置に移動させ、後行の他方向への主走査で、カラーノズル列で形成された画像上に黒色ノズル列による画像を形成させ、1主走査領域分の画像を完成する構成としたので、簡単な構成で、常に黒色の液滴をカラーの液滴の後に打つことができ、双方向色差を低減し、グレー品質の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の機構部の要部平面説明図である。
【図2】同機構部の側面説明図である。
【図3】同じくヘッド構成の説明に供する平面説明図である。
【図4】同装置の制御部の概要を示すブロック説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態における画像形成動作の説明に供する説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態におけるヘッド構成の説明に供する説明図である。
【図7】本発明の第3実施形態におけるヘッド構成の説明に供する説明図である。
【図8】(a)は黒色ノズル列とカラーノズル列との副走査方向における配置例の第1例を説明する説明図、(b)は第1スキャン(1回目の主走査)から第3スキャン(3回目の主走査)までの画像形成の過程を説明する説明図である。
【図9】(a)は黒色ノズル列とカラーノズル列との副走査方向における配置例の第2例を説明する説明図、(b)は第1スキャン(1回目の主走査)から第3スキャン(3回目の主走査)までの画像形成の過程を説明する説明図である。
【図10】(a)は黒色ノズル列とカラーノズル列との副走査方向における配置例の第3例を説明する説明図、(b)は第1スキャン(1回目の主走査)から第3スキャン(3回目の主走査)までの画像形成の過程を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明を適用した画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の機構部の要部平面説明図、図2は同機構部の側面説明図である。
【0020】
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、左右の側板100L,100R間に横架した主ガイドロッド1及び図示しない従ガイド部材でキャリッジ3を摺動自在に保持し、主走査モータ5によって、駆動プーリ6と従動プーリ7間に渡したタイミングベルト8を介して主走査方向に移動走査する。
【0021】
キャリッジ3には、第1黒色ヘッド4k1、第2黒色ヘッド4k2、第1カラーヘッド4c1、第2カラーヘッド4c2を搭載している。なお、以下では、第1カラーヘッド4c1、第2カラーヘッド4c2を併せて「カラーヘッド4c」といい、各ヘッドを区別しないときは「ヘッド4」という。
【0022】
これらのヘッド4は、図3(透過状態の平面図)にも示すように、それぞれ液滴を吐出する複数のノズル4nを副走査方向(主走査方向と直交する方向)に配列した2つのノズル列Na、Nbを有している。
【0023】
そして、第1黒色ヘッド4k1は各ノズル列Na、Nbからいずれも黒色(K)の液滴を吐出し、第1カラーヘッド4c1のノズル列Naからはイエロー(Y)の液滴を吐出し、ノズル列Nbからはマゼンタ(M)の液滴を吐出し、第2カラーヘッド4c2のノズル列Naからはシアン(C)の液滴を吐出し、ノズル列Nbは空きノズル列(あるいは、定着処理液を吐出するノズル列)としている。また、第2黒色ヘッド4k2は各ノズル列Na、Nbからいずれも黒色(K)の液滴を吐出する。
【0024】
これにより、第1黒色ヘッド4k1、第2黒色ヘッド4k2のノズル密度は、いずれも、カラーの液滴を吐出する第1、第2カラーヘッド4c1、4c2のノズル密度の2倍になる。
【0025】
ここで、第1黒色ヘッド4k1、第1カラーヘッド4c1、第2カラーヘッド4c2は、副走査方向位置を同じにして主走査方向に並べて配置している。第2黒色ヘッド4k2は、第1黒色ヘッド4k1、第1カラーヘッド4c1及び第2カラーヘッド4c2に対して副走査方向で用紙搬送方向下流側に1ノズル列幅相当分位置をずらして配置している。つまり、この実施形態では、第2黒色ヘッド4k2が本発明でいう「黒色ノズル列」、第1、第2カラーヘッド4c1、4c2が同じく「カラーノズル列」に相当する。
【0026】
一方、用紙を搬送するために、用紙を静電吸着して記録ヘッド4に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト12を備えている。この搬送ベルト12は、無端状ベルトであり、搬送ローラ13とテンションローラ14との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成し、周回移動しながら帯電ローラ15によって帯電(電荷付与)される。
【0027】
また、搬送ベルト12は、副走査モータ16によってタイミングベルト17及びタイミングプーリ18を介して搬送ローラ13が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0028】
さらに、キャリッジ3の主走査方向の一方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4の維持回復を行う維持回復機構20が配置され、他方側には搬送ベルト12の側方にヘッド4から空吐出を行う空吐出受け21がそれぞれ配置されている。
【0029】
なお、維持回復機構20は、例えば記録ヘッド4のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングする4個のキャップ部材31、ノズル面を払拭するワイパ部材32、画像形成に寄与しない液滴(空吐出滴)を受ける空吐出受け33などで構成されている。
【0030】
また、キャリッジ3の主走査方向に沿って両側板間に、所定のパターン(位置識別部、目盛り、スリットなどともいう。以下「スリット」という。)を形成したエンコーダスケール23を張装し、キャリッジ23にはエンコーダスケール23のスリットを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ24を設け、これらのエンコーダスケール23とエンコーダセンサ24によってキャリッジ23の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)27を構成している。
【0031】
また、搬送ローラ13の軸にはエンコーダスケール(コードホイール)25を取り付け、このエンコーダスケール25に形成したパターン(スリット)を検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ26を設けて、これらのエンコーダスケール25とエンコーダセンサ26によって搬送ベルト12の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)28を構成している。
【0032】
このように構成したこの画像形成装置においては、図示しない給紙トレイから用紙10が帯電された搬送ベルト12上に給紙されて吸着され、搬送ベルト12の周回移動によって用紙10が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ3を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド4を駆動することにより、停止している用紙10にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙10の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙10を排紙トレイに排紙する。
【0033】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図4を参照して説明する。なお、同図は同制御部のブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501に本発明に係るキャリッジ移動、用紙搬送、滴吐出に係わる制御(処理)を実行させる本発明に係るプログラムを含む各種プログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505などを備えている。
【0034】
また、各ヘッド4を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ3側に設けた各ヘッド4を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ3を移動走査する主走査モータ5、搬送ベルト12を周回移動させる副走査モータ16を駆動するためのモータ駆動部510と、帯電ローラ15にACバイアスを供給するACバイアス供給部512などを備えている。
【0035】
また、I/O部513は、主走査エンコーダ27のエンコーダセンサ24、副走査エンコーダ28のエンコーダセンサ26、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0036】
ここで、CPU501は、主走査エンコーダ27を構成するエンコーダセンサ24からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて主走査モータ5に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介して主走査モータ5を駆動する。同様に、副走査エンコーダ28を構成するエンコーダセンサ25からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて副走査モータ16対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部211を介して副走査モータ16を駆動する。
【0037】
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。さらに、この制御部500には、現在時刻(年月日時刻)を計時する計時手段であるリアルタイムクロック(RTC)520を備えている。
【0038】
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0039】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508カラーノズル列ドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0040】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0041】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド4の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド4の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド24を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など滴量の異なる液滴を吐出させて大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0042】
また、CPU501は、ROM502に格納されたプログラムによって、各部を制御して、キャリッジ3の1走査で1ノズル列幅相当分の画像を形成するとき、現走査で第1、第2カラーヘッド4c1、4c2の各ノズル列から1ノズル列幅相当分の画像に対応する液滴を吐出させる処理、用紙10を相対的に次の主走査位置に移動させる処理、次の主走査で第2黒色ヘッド4k2の各ノズル列から1ノズル列幅相当分の画像に対応する液滴を吐出させて、1ノズル列分の画像を形成する処理を行う。
【0043】
次に、本発明の第1実施形態における画像形成動作ついて図5を参照して説明する。
まず、図5において、キャリッジ3の往路を右方向、復路を左方向、用紙送り方向を下から上に向かう方向(ヘッドは相対的に上から下方向に向かう)とする。また、キャリッジ3の1回の主走査に対応する領域を「1主走査領域」、これに対応する媒体上の領域を「1ライン分」といい、1主走査領域、1ラインの副走査方向の幅はノズル列幅に相当する。
【0044】
まず、キャリッジ3を往路方向に主走査移動させ、カラーヘッド4cを駆動してカラーの液滴を吐出させ、カラーの液滴によって第1ラインに1ライン分の画像を形成する。このとき、第2黒色ヘッド4k2は媒体搬送方向下流側に配置されているので使用しない。
【0045】
そして、第1ラインに1ライン分のカラーヘッド4cによる画像形成後、用紙10を1ライン分搬送する。これにより、カラーヘッド4cは第2ラインの領域に移動し、第2黒色ヘッド4k2は第1ラインの領域に移動する。
【0046】
そこで、キャリッジ3を復路方向に主走査移動させ、第2黒色ヘッド4k2を駆動して黒色の液滴を吐出させ、第1ラインの領域に形成されているカラーヘッド4cによる画像上に、黒色の液滴によって画像を形成する。これにより、第1ラインの1ライン分(1種走査領域)の全体の画像が完成される。
【0047】
それとともに、カラーヘッド4cを駆動してカラーの液滴を吐出させ、カラーの液滴によって第2ラインに1ライン分の画像を形成する。
【0048】
そして、1ライン分の画像形成後、用紙10を1ライン分搬送する。これにより、カラーヘッド4cは第3ラインの領域に移動し、第2黒色ヘッド4k2は第2ラインの領域に移動する。
【0049】
そこで、キャリッジ3を往路方向に主走査移動させ、第2黒色ヘッド4k2を駆動して黒色の液滴を吐出させ、第2ラインの領域に形成されているカラーヘッド4cによる画像上に、黒色の液滴によって画像を形成する。これにより、第2ラインの1ライン分全体の画像が完成される。
【0050】
それとともに、カラーヘッド4cを駆動してカラーの液滴を吐出させ、カラーの液滴によって第3ラインに1ライン分の画像を形成する。
【0051】
このようにして、先行する一方向の主走査でカラーヘッド4cによって形成された画像上に、後行する他方向の主走査で黒色ヘッド4k2によって黒色の液滴を吐出させて画像を形成することで、画像を完成する。上記の例では、第1ラインと第2ラインでは、第1ラインの主走査が先行する一方向の主走査で、第2ラインの主走査が後行の他方向の主走査になる。また、第2ラインと第3ラインでは、第2ラインの主走査が先行する一方向の主走査で、第3ラインの主走査が後行の他方向の主走査になる。つまり、「一方向」、「他方向」は、反対の関係にある走査方向を意味し、往路、復路に対応するものではない。
【0052】
これにより、常に黒色ヘッドによる黒色の液滴が最後に打ち込まれることになり、液体の浸透特性上、後に着弾した液滴が先に着弾した液滴を通り越すために、先に着弾した色が支配的になるので、グレーの双方向色差を低減して品質を向上することができる。
【0053】
また、黒色ノズル列の位置或いは往路と復路の合間での停止時間を調整することによって、カラーと黒色の着弾時間を変えることができ、グレーの濃度・カラー背景の黒滲みを制御することができる。これは、上述したように、先に着弾した色が支配的になるが、乾燥した場合は別であり、先に打ち込んだカラーの液滴の乾燥時間を変えることで浸透特性を変えることができることによる。
【0054】
また、上述したように、黒色ヘッド(黒色ノズル列)による解像度をカラーヘッド(カラーノズル列)による解像度より高くすることで、1スキャンによって画像を形成する場合、黒画像の画像品質が向上するとともに、グレー表現(黒と黒以外の色剤でグレーを表現する場合)において、ドットを細かく配置できるため、粒状度を低くできる。
【0055】
次に、本発明の第2実施形態について図6を参照して説明する。なお、図6は同実施形態におけるヘッド配置を説明する模式的説明図である。
本実施形態では、前記第1実施形態における第1黒色ヘッド4k1を搭載せず、1つの黒色ヘッド4kを搭載し、この黒色ヘッド4kをカラーヘッド4cに対して副走査方向で用紙搬送方向下流側に1ノズル列幅相当分位置をずらして配置している。
【0056】
このように構成しても前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができるとともにヘッド数が減ることでキャリッジ重量を低減できる。
【0057】
次に、本発明の第3実施形態について図7を参照して説明する。なお、図7は同実施形態におけるヘッド配置を説明する模式的説明図である。
本実施形態では、前記第1実施形態における第1黒色ヘッド4k1と第2黒色ヘッド4k2とを合わせた1つの黒色ヘッド44kを搭載し、この黒色ヘッド44kは、カラーヘッド4cと副走査位置を同じくするノズル列部分44k1と、カラーヘッド4cに対して副走査方向で用紙搬送方向下流側に1ノズル列幅相当分位置をずらしたノズル列部分44k2とを有している。
【0058】
このように構成しても、黒色ヘッド44kのノズル列部分44k2を使用することで、前記第1実施形態と同様の動作を行って前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
次に、上記実施形態を含め本発明における黒色ノズル列とカラーノズル列との副走査方向における配置例(ヘッド構成例)の異なる例について図8ないし図10を参照して説明する。なお、各図(a)はノズル列の配置関係を説明する説明図、各図(b)は第1スキャン(1回目の主走査)から第3スキャン(3回目の主走査)までの画像形成の過程を説明する説明図である。また、ノズル列は6ノズルとして説明する。
【0060】
図8に示す第1例は、前記各実施形態でも説明したように、黒色ノズル列Bkをカラーノズル列Cに対して、1ノズル列分(ここでは、6ノズル相当分)副走査方向下流側にずらして配置した例である。この第1例では、被記録媒体の搬送量は各スキャンで6ノズル相当分となる。
【0061】
つまり、第1スキャン(一方向のスキャン)でカラーノズル列Cを使用して6ノズル分のカラーのみの画像を完成する。その後、被記録媒体を6ノズル分搬送し、第2スキャン(他方向へのスキャン)では、第1スキャンで完成されたカラーのみの画像上に黒色ノズル列Bkを使用して黒色の液滴を吐出して画像を完成させるとともに、カラーノズル列Cを使用して次の6ノズル分のカラーのみの画像を完成する。その後、被記録媒体を6ノズル分搬送し、第3スキャン(一方向へのスキャン)では、第2スキャンで完成されたカラーのみの画像上に黒色ノズル列Bkを使用して黒色(K)の液滴を吐出して画像を完成させるとともに、カラーノズル列Cを使用して次の6ノズル分のカラーのみの画像を完成する
【0062】
図9に示す第2例は、黒色ノズル列Bkをカラーノズル列Cに対して、2ノズル相当分副走査方向下流側にずらして配置した例である。この第2例では、被記録媒体の搬送量は6ノズル相当分→4ノズル相当分→6ノズル相当分→4ノズル相当分となる。
【0063】
つまり、第1スキャン(一方向のスキャン)でカラーノズル列Cを使用して6ノズル分のカラーのみの画像を完成する。その後、被記録媒体を6ノズル分搬送し、第2スキャン(他方向へのスキャン)では、第1スキャンで完成されたカラーのみの画像上に黒色ノズル列Bkの6ノズルを使用して黒色の液滴を吐出して画像を完成させるとともに、カラーノズル列Cの内の黒色ノズル列Bkと重複していない(主走査方向で重ならない)4ノズルを使用して、4ノズル分のカラーのみの画像を完成する。その後、被記録媒体を4ノズル分搬送し、第3スキャン(一方向へのスキャン)では、第2スキャンで完成された4ノズル列分のカラーのみの画像上に黒色ノズル列Bkの内のカラーノズル列Cと重複していない(主走査方向で重ならない)4ノズルを使用して、黒色の液滴を吐出して4ノズル列分の画像を完成させるとともに、カラーノズル列Cを使用して次の6ノズル分のカラーのみの画像を完成する
【0064】
図10に示す第3例は、黒色ノズル列Bkをカラーノズル列Cに対して、5ノズル相当分副走査方向下流側にずらして配置した例である。この第3例では、被記録媒体の搬送量は6ノズル相当分→1ノズル相当分→6ノズル相当分→1ノズル相当分となる。
【0065】
つまり、第1スキャン(一方向のスキャン)でカラーノズル列Cを使用して6ノズル分のカラーのみの画像を完成する。その後、被記録媒体を6ノズル分搬送し、第2スキャン(他方向へのスキャン)では、第1スキャンで完成されたカラーのみの画像上に黒色ノズル列Bkの6ノズルを使用して黒色の液滴を吐出して画像を完成させるとともに、カラーノズル列Cの内の黒色ノズル列Bkと重複していない(主走査方向で重ならない)1ノズルを使用して、1ノズル分のカラーのみの画像を完成する。その後、被記録媒体を1ノズル分搬送し、第3スキャン(一方向へのスキャン)では、第2スキャンで完成された1ノズル列分のカラーのみの画像上に黒色ノズル列Bkの内のカラーノズル列Cと重複していない(主走査方向で重ならない)1ノズルを使用して、黒色の液滴を吐出して1ノズル列分の画像を完成させるとともに、カラーノズル列Cを使用して次の6ノズル分のカラーのみの画像を完成する
【0066】
このように、黒色ノズル列とカラーノズル列との副走査方向におけるずらし量は、1ノズル列の内の1ノズル相当分ないし全ノズル相当分の範囲で選択することができる。
【0067】
なお、上記各実施形態では黒色ノズル列及びカラーノズル列はそれぞれ黒色ヘッド、複数のカラーヘッドで構成したが、ノズル列の位置関係を前述したとおりとすれば、すべてを1つのヘッドとして構成することもできる。
【0068】
また、上述した画像形成に関する処理はプログラムによってコンピュータに行なわせており、このプログラムは、記憶媒体に記憶して提供することができ、或はインターネットネットなどのネットワークを通じてダウンロードすることで提供される。また、上記実施形態で説明した画像形成装置とホスト側(情報処理装置)とを組みあせて画像形成システムを構成することもできる。
【符号の説明】
【0069】
1 ガイドロッド
3 キャリッジ
4k1 第1黒色ヘッド
4k2 第2黒色ヘッド(黒色ノズル列)
4c1 第1カラーヘッド(カラーノズル列)
4c2 第2カラーヘッド(カラーノズル列)
500 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置、プログラム、画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
シリアル型画像形成装置においては、記録ヘッドを搭載したキャリッジを主走査方向に移動走査し、被記録媒体である用紙を間歇的に搬送することで、用紙上に画像を形成する。このような画像形成装置において、1主走査(1スキャン)でカラー画像を形成しようとすると、キャリッジの往復動作で画像を形成する双方向印刷を行う場合に、液滴の着弾位置ずれによる色差(双方向色差)が発生し、また、解像度がノズルピッチに依存するためにドット密度が粗くなり、画質が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、従来から、カラー画像形成時にのみ黒色を高解像度とすることで高画質化を図るもの(特許文献1、2)、また、ノズル配列方向にカラーの液滴を吐出するノズルをずらして配置することにより、双方向印刷における着弾順を統一して双方向色差を低減しようとするもの(特許文献3)などが知られている。
【0006】
また、シリアル型画像形成装置としては、黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した黒色ノズル列と、カラーの液滴を吐出する複数のノズルを配列したカラーノズル列とを、黒色ノズル列はカラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に1ヘッド分(1ノズル列分)位置をずらして配置したものも知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−025614号公報
【特許文献2】特開2001−260423号公報
【特許文献3】特開2004−106392号公報
【特許文献4】特開2010−208164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した双方向色差を低減するヘッド配置としては、種々の配置が知られているが、最も単純な構成は、例えば、同じ色の液滴を吐出する複数のヘッドを備え、K、C、M、Y、M、C、Kの順で同じ主走査方向に逆順で配置し、往路と復路で異なるヘッドを使用し、常にYMCKの順で液滴を吐出することで各色の液滴の着弾順を往路と復路で同じにすることである。
【0009】
このような構成を採用すれば、双方向色差を低減し、また、先に着弾した色が支配的になることから、黒色を最後に着弾させてグレー品質を向上させることができる。しかしながら、このような構成にあって、ヘッド数が多くなるという課題がある。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単なヘッド配置で双方向色差を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した黒色ノズル列と、カラーの液滴を吐出する複数のノズルを配列したカラーノズル列と、を有する1又は複数のヘッドが搭載され、主走査方向に移動走査されるキャリッジと、
被記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、を備え、
前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置され、
先行の一方向への主走査で前記カラーノズル列による画像を形成した後、
前記被記録媒体を相対的に次の主走査位置に移動させ、
後行の他方向への主走査で、前記カラーノズル列で形成された画像上に前記黒色ノズル列による画像を形成させて、
1主走査領域分の画像を完成する制御をする制御手段を備えている
構成とした。
【0012】
ここで、前記黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した第1、第2の黒色ノズル列を有し、
前記第1の黒色ノズル列は前記カラーノズル列と副走査方向の位置を同じにして配置され、
前記第2の黒色ノズル列は前記カラーノズル列と副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置されている
構成とできる。
【0013】
また、前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置がずれて配置される部分と、前記カラーノズル列に対して副走査方向で同じ位置に配置される部分とを含む構成とできる。
【0014】
また、前記黒色ノズル列で形成する画像の密度が前記カラーノズル列で形成する画像の密度よりも高い構成とできる。
【0015】
本発明に係るプログラムは、
黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した黒色ノズル列と、カラーの液滴を吐出する複数のノズルを配列したカラーノズル列と、を有する1又は複数のヘッドが搭載され、主走査方向に移動走査されるキャリッジと、
被記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、を備え、
前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置された画像形成装置による画像形成動作を制御する処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
先行の一方向への主走査で前記カラーノズル列による画像を形成した後、
前記被記録媒体を相対的に次の主走査位置に移動させ、
後行の他方向への主走査で、前記カラーノズル列で形成された画像上に前記黒色ノズル列による画像を形成させ、
1主走査領域分の画像を完成する制御をする処理を行わせる
構成とした。
【0016】
本発明に係る画像形成方法は、
黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した黒色ノズル列と、カラーの液滴を吐出する複数のノズルを配列したカラーノズル列と、を有する1又は複数のヘッドが搭載され、主走査方向に移動走査されるキャリッジと、
被記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、を備え、
前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置された画像形成装置による画像形成方法であって、
先行の一方向への主走査で前記カラーノズル列による画像を形成した後、
前記被記録媒体を相対的に次の主走査位置に移動させ、
後行の他方向への主走査で、前記カラーノズル列で形成された画像上に前記黒色ノズル列による画像を形成させて、
1主走査領域分の画像を完成する
構成とした。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る画像形成装置、プログラム、画像形成方法によれば、黒色ノズル列は、カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置され、先行の一方向への主走査でカラーノズル列による画像を形成した後、被記録媒体を相対的に次の主走査位置に移動させ、後行の他方向への主走査で、カラーノズル列で形成された画像上に黒色ノズル列による画像を形成させ、1主走査領域分の画像を完成する構成としたので、簡単な構成で、常に黒色の液滴をカラーの液滴の後に打つことができ、双方向色差を低減し、グレー品質の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の機構部の要部平面説明図である。
【図2】同機構部の側面説明図である。
【図3】同じくヘッド構成の説明に供する平面説明図である。
【図4】同装置の制御部の概要を示すブロック説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態における画像形成動作の説明に供する説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態におけるヘッド構成の説明に供する説明図である。
【図7】本発明の第3実施形態におけるヘッド構成の説明に供する説明図である。
【図8】(a)は黒色ノズル列とカラーノズル列との副走査方向における配置例の第1例を説明する説明図、(b)は第1スキャン(1回目の主走査)から第3スキャン(3回目の主走査)までの画像形成の過程を説明する説明図である。
【図9】(a)は黒色ノズル列とカラーノズル列との副走査方向における配置例の第2例を説明する説明図、(b)は第1スキャン(1回目の主走査)から第3スキャン(3回目の主走査)までの画像形成の過程を説明する説明図である。
【図10】(a)は黒色ノズル列とカラーノズル列との副走査方向における配置例の第3例を説明する説明図、(b)は第1スキャン(1回目の主走査)から第3スキャン(3回目の主走査)までの画像形成の過程を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明を適用した画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の機構部の要部平面説明図、図2は同機構部の側面説明図である。
【0020】
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、左右の側板100L,100R間に横架した主ガイドロッド1及び図示しない従ガイド部材でキャリッジ3を摺動自在に保持し、主走査モータ5によって、駆動プーリ6と従動プーリ7間に渡したタイミングベルト8を介して主走査方向に移動走査する。
【0021】
キャリッジ3には、第1黒色ヘッド4k1、第2黒色ヘッド4k2、第1カラーヘッド4c1、第2カラーヘッド4c2を搭載している。なお、以下では、第1カラーヘッド4c1、第2カラーヘッド4c2を併せて「カラーヘッド4c」といい、各ヘッドを区別しないときは「ヘッド4」という。
【0022】
これらのヘッド4は、図3(透過状態の平面図)にも示すように、それぞれ液滴を吐出する複数のノズル4nを副走査方向(主走査方向と直交する方向)に配列した2つのノズル列Na、Nbを有している。
【0023】
そして、第1黒色ヘッド4k1は各ノズル列Na、Nbからいずれも黒色(K)の液滴を吐出し、第1カラーヘッド4c1のノズル列Naからはイエロー(Y)の液滴を吐出し、ノズル列Nbからはマゼンタ(M)の液滴を吐出し、第2カラーヘッド4c2のノズル列Naからはシアン(C)の液滴を吐出し、ノズル列Nbは空きノズル列(あるいは、定着処理液を吐出するノズル列)としている。また、第2黒色ヘッド4k2は各ノズル列Na、Nbからいずれも黒色(K)の液滴を吐出する。
【0024】
これにより、第1黒色ヘッド4k1、第2黒色ヘッド4k2のノズル密度は、いずれも、カラーの液滴を吐出する第1、第2カラーヘッド4c1、4c2のノズル密度の2倍になる。
【0025】
ここで、第1黒色ヘッド4k1、第1カラーヘッド4c1、第2カラーヘッド4c2は、副走査方向位置を同じにして主走査方向に並べて配置している。第2黒色ヘッド4k2は、第1黒色ヘッド4k1、第1カラーヘッド4c1及び第2カラーヘッド4c2に対して副走査方向で用紙搬送方向下流側に1ノズル列幅相当分位置をずらして配置している。つまり、この実施形態では、第2黒色ヘッド4k2が本発明でいう「黒色ノズル列」、第1、第2カラーヘッド4c1、4c2が同じく「カラーノズル列」に相当する。
【0026】
一方、用紙を搬送するために、用紙を静電吸着して記録ヘッド4に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト12を備えている。この搬送ベルト12は、無端状ベルトであり、搬送ローラ13とテンションローラ14との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成し、周回移動しながら帯電ローラ15によって帯電(電荷付与)される。
【0027】
また、搬送ベルト12は、副走査モータ16によってタイミングベルト17及びタイミングプーリ18を介して搬送ローラ13が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0028】
さらに、キャリッジ3の主走査方向の一方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4の維持回復を行う維持回復機構20が配置され、他方側には搬送ベルト12の側方にヘッド4から空吐出を行う空吐出受け21がそれぞれ配置されている。
【0029】
なお、維持回復機構20は、例えば記録ヘッド4のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングする4個のキャップ部材31、ノズル面を払拭するワイパ部材32、画像形成に寄与しない液滴(空吐出滴)を受ける空吐出受け33などで構成されている。
【0030】
また、キャリッジ3の主走査方向に沿って両側板間に、所定のパターン(位置識別部、目盛り、スリットなどともいう。以下「スリット」という。)を形成したエンコーダスケール23を張装し、キャリッジ23にはエンコーダスケール23のスリットを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ24を設け、これらのエンコーダスケール23とエンコーダセンサ24によってキャリッジ23の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)27を構成している。
【0031】
また、搬送ローラ13の軸にはエンコーダスケール(コードホイール)25を取り付け、このエンコーダスケール25に形成したパターン(スリット)を検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ26を設けて、これらのエンコーダスケール25とエンコーダセンサ26によって搬送ベルト12の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)28を構成している。
【0032】
このように構成したこの画像形成装置においては、図示しない給紙トレイから用紙10が帯電された搬送ベルト12上に給紙されて吸着され、搬送ベルト12の周回移動によって用紙10が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ3を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド4を駆動することにより、停止している用紙10にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙10の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙10を排紙トレイに排紙する。
【0033】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図4を参照して説明する。なお、同図は同制御部のブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501に本発明に係るキャリッジ移動、用紙搬送、滴吐出に係わる制御(処理)を実行させる本発明に係るプログラムを含む各種プログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505などを備えている。
【0034】
また、各ヘッド4を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ3側に設けた各ヘッド4を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ3を移動走査する主走査モータ5、搬送ベルト12を周回移動させる副走査モータ16を駆動するためのモータ駆動部510と、帯電ローラ15にACバイアスを供給するACバイアス供給部512などを備えている。
【0035】
また、I/O部513は、主走査エンコーダ27のエンコーダセンサ24、副走査エンコーダ28のエンコーダセンサ26、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0036】
ここで、CPU501は、主走査エンコーダ27を構成するエンコーダセンサ24からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて主走査モータ5に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介して主走査モータ5を駆動する。同様に、副走査エンコーダ28を構成するエンコーダセンサ25からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて副走査モータ16対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部211を介して副走査モータ16を駆動する。
【0037】
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。さらに、この制御部500には、現在時刻(年月日時刻)を計時する計時手段であるリアルタイムクロック(RTC)520を備えている。
【0038】
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0039】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508カラーノズル列ドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0040】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0041】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド4の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド4の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド24を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など滴量の異なる液滴を吐出させて大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0042】
また、CPU501は、ROM502に格納されたプログラムによって、各部を制御して、キャリッジ3の1走査で1ノズル列幅相当分の画像を形成するとき、現走査で第1、第2カラーヘッド4c1、4c2の各ノズル列から1ノズル列幅相当分の画像に対応する液滴を吐出させる処理、用紙10を相対的に次の主走査位置に移動させる処理、次の主走査で第2黒色ヘッド4k2の各ノズル列から1ノズル列幅相当分の画像に対応する液滴を吐出させて、1ノズル列分の画像を形成する処理を行う。
【0043】
次に、本発明の第1実施形態における画像形成動作ついて図5を参照して説明する。
まず、図5において、キャリッジ3の往路を右方向、復路を左方向、用紙送り方向を下から上に向かう方向(ヘッドは相対的に上から下方向に向かう)とする。また、キャリッジ3の1回の主走査に対応する領域を「1主走査領域」、これに対応する媒体上の領域を「1ライン分」といい、1主走査領域、1ラインの副走査方向の幅はノズル列幅に相当する。
【0044】
まず、キャリッジ3を往路方向に主走査移動させ、カラーヘッド4cを駆動してカラーの液滴を吐出させ、カラーの液滴によって第1ラインに1ライン分の画像を形成する。このとき、第2黒色ヘッド4k2は媒体搬送方向下流側に配置されているので使用しない。
【0045】
そして、第1ラインに1ライン分のカラーヘッド4cによる画像形成後、用紙10を1ライン分搬送する。これにより、カラーヘッド4cは第2ラインの領域に移動し、第2黒色ヘッド4k2は第1ラインの領域に移動する。
【0046】
そこで、キャリッジ3を復路方向に主走査移動させ、第2黒色ヘッド4k2を駆動して黒色の液滴を吐出させ、第1ラインの領域に形成されているカラーヘッド4cによる画像上に、黒色の液滴によって画像を形成する。これにより、第1ラインの1ライン分(1種走査領域)の全体の画像が完成される。
【0047】
それとともに、カラーヘッド4cを駆動してカラーの液滴を吐出させ、カラーの液滴によって第2ラインに1ライン分の画像を形成する。
【0048】
そして、1ライン分の画像形成後、用紙10を1ライン分搬送する。これにより、カラーヘッド4cは第3ラインの領域に移動し、第2黒色ヘッド4k2は第2ラインの領域に移動する。
【0049】
そこで、キャリッジ3を往路方向に主走査移動させ、第2黒色ヘッド4k2を駆動して黒色の液滴を吐出させ、第2ラインの領域に形成されているカラーヘッド4cによる画像上に、黒色の液滴によって画像を形成する。これにより、第2ラインの1ライン分全体の画像が完成される。
【0050】
それとともに、カラーヘッド4cを駆動してカラーの液滴を吐出させ、カラーの液滴によって第3ラインに1ライン分の画像を形成する。
【0051】
このようにして、先行する一方向の主走査でカラーヘッド4cによって形成された画像上に、後行する他方向の主走査で黒色ヘッド4k2によって黒色の液滴を吐出させて画像を形成することで、画像を完成する。上記の例では、第1ラインと第2ラインでは、第1ラインの主走査が先行する一方向の主走査で、第2ラインの主走査が後行の他方向の主走査になる。また、第2ラインと第3ラインでは、第2ラインの主走査が先行する一方向の主走査で、第3ラインの主走査が後行の他方向の主走査になる。つまり、「一方向」、「他方向」は、反対の関係にある走査方向を意味し、往路、復路に対応するものではない。
【0052】
これにより、常に黒色ヘッドによる黒色の液滴が最後に打ち込まれることになり、液体の浸透特性上、後に着弾した液滴が先に着弾した液滴を通り越すために、先に着弾した色が支配的になるので、グレーの双方向色差を低減して品質を向上することができる。
【0053】
また、黒色ノズル列の位置或いは往路と復路の合間での停止時間を調整することによって、カラーと黒色の着弾時間を変えることができ、グレーの濃度・カラー背景の黒滲みを制御することができる。これは、上述したように、先に着弾した色が支配的になるが、乾燥した場合は別であり、先に打ち込んだカラーの液滴の乾燥時間を変えることで浸透特性を変えることができることによる。
【0054】
また、上述したように、黒色ヘッド(黒色ノズル列)による解像度をカラーヘッド(カラーノズル列)による解像度より高くすることで、1スキャンによって画像を形成する場合、黒画像の画像品質が向上するとともに、グレー表現(黒と黒以外の色剤でグレーを表現する場合)において、ドットを細かく配置できるため、粒状度を低くできる。
【0055】
次に、本発明の第2実施形態について図6を参照して説明する。なお、図6は同実施形態におけるヘッド配置を説明する模式的説明図である。
本実施形態では、前記第1実施形態における第1黒色ヘッド4k1を搭載せず、1つの黒色ヘッド4kを搭載し、この黒色ヘッド4kをカラーヘッド4cに対して副走査方向で用紙搬送方向下流側に1ノズル列幅相当分位置をずらして配置している。
【0056】
このように構成しても前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができるとともにヘッド数が減ることでキャリッジ重量を低減できる。
【0057】
次に、本発明の第3実施形態について図7を参照して説明する。なお、図7は同実施形態におけるヘッド配置を説明する模式的説明図である。
本実施形態では、前記第1実施形態における第1黒色ヘッド4k1と第2黒色ヘッド4k2とを合わせた1つの黒色ヘッド44kを搭載し、この黒色ヘッド44kは、カラーヘッド4cと副走査位置を同じくするノズル列部分44k1と、カラーヘッド4cに対して副走査方向で用紙搬送方向下流側に1ノズル列幅相当分位置をずらしたノズル列部分44k2とを有している。
【0058】
このように構成しても、黒色ヘッド44kのノズル列部分44k2を使用することで、前記第1実施形態と同様の動作を行って前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
次に、上記実施形態を含め本発明における黒色ノズル列とカラーノズル列との副走査方向における配置例(ヘッド構成例)の異なる例について図8ないし図10を参照して説明する。なお、各図(a)はノズル列の配置関係を説明する説明図、各図(b)は第1スキャン(1回目の主走査)から第3スキャン(3回目の主走査)までの画像形成の過程を説明する説明図である。また、ノズル列は6ノズルとして説明する。
【0060】
図8に示す第1例は、前記各実施形態でも説明したように、黒色ノズル列Bkをカラーノズル列Cに対して、1ノズル列分(ここでは、6ノズル相当分)副走査方向下流側にずらして配置した例である。この第1例では、被記録媒体の搬送量は各スキャンで6ノズル相当分となる。
【0061】
つまり、第1スキャン(一方向のスキャン)でカラーノズル列Cを使用して6ノズル分のカラーのみの画像を完成する。その後、被記録媒体を6ノズル分搬送し、第2スキャン(他方向へのスキャン)では、第1スキャンで完成されたカラーのみの画像上に黒色ノズル列Bkを使用して黒色の液滴を吐出して画像を完成させるとともに、カラーノズル列Cを使用して次の6ノズル分のカラーのみの画像を完成する。その後、被記録媒体を6ノズル分搬送し、第3スキャン(一方向へのスキャン)では、第2スキャンで完成されたカラーのみの画像上に黒色ノズル列Bkを使用して黒色(K)の液滴を吐出して画像を完成させるとともに、カラーノズル列Cを使用して次の6ノズル分のカラーのみの画像を完成する
【0062】
図9に示す第2例は、黒色ノズル列Bkをカラーノズル列Cに対して、2ノズル相当分副走査方向下流側にずらして配置した例である。この第2例では、被記録媒体の搬送量は6ノズル相当分→4ノズル相当分→6ノズル相当分→4ノズル相当分となる。
【0063】
つまり、第1スキャン(一方向のスキャン)でカラーノズル列Cを使用して6ノズル分のカラーのみの画像を完成する。その後、被記録媒体を6ノズル分搬送し、第2スキャン(他方向へのスキャン)では、第1スキャンで完成されたカラーのみの画像上に黒色ノズル列Bkの6ノズルを使用して黒色の液滴を吐出して画像を完成させるとともに、カラーノズル列Cの内の黒色ノズル列Bkと重複していない(主走査方向で重ならない)4ノズルを使用して、4ノズル分のカラーのみの画像を完成する。その後、被記録媒体を4ノズル分搬送し、第3スキャン(一方向へのスキャン)では、第2スキャンで完成された4ノズル列分のカラーのみの画像上に黒色ノズル列Bkの内のカラーノズル列Cと重複していない(主走査方向で重ならない)4ノズルを使用して、黒色の液滴を吐出して4ノズル列分の画像を完成させるとともに、カラーノズル列Cを使用して次の6ノズル分のカラーのみの画像を完成する
【0064】
図10に示す第3例は、黒色ノズル列Bkをカラーノズル列Cに対して、5ノズル相当分副走査方向下流側にずらして配置した例である。この第3例では、被記録媒体の搬送量は6ノズル相当分→1ノズル相当分→6ノズル相当分→1ノズル相当分となる。
【0065】
つまり、第1スキャン(一方向のスキャン)でカラーノズル列Cを使用して6ノズル分のカラーのみの画像を完成する。その後、被記録媒体を6ノズル分搬送し、第2スキャン(他方向へのスキャン)では、第1スキャンで完成されたカラーのみの画像上に黒色ノズル列Bkの6ノズルを使用して黒色の液滴を吐出して画像を完成させるとともに、カラーノズル列Cの内の黒色ノズル列Bkと重複していない(主走査方向で重ならない)1ノズルを使用して、1ノズル分のカラーのみの画像を完成する。その後、被記録媒体を1ノズル分搬送し、第3スキャン(一方向へのスキャン)では、第2スキャンで完成された1ノズル列分のカラーのみの画像上に黒色ノズル列Bkの内のカラーノズル列Cと重複していない(主走査方向で重ならない)1ノズルを使用して、黒色の液滴を吐出して1ノズル列分の画像を完成させるとともに、カラーノズル列Cを使用して次の6ノズル分のカラーのみの画像を完成する
【0066】
このように、黒色ノズル列とカラーノズル列との副走査方向におけるずらし量は、1ノズル列の内の1ノズル相当分ないし全ノズル相当分の範囲で選択することができる。
【0067】
なお、上記各実施形態では黒色ノズル列及びカラーノズル列はそれぞれ黒色ヘッド、複数のカラーヘッドで構成したが、ノズル列の位置関係を前述したとおりとすれば、すべてを1つのヘッドとして構成することもできる。
【0068】
また、上述した画像形成に関する処理はプログラムによってコンピュータに行なわせており、このプログラムは、記憶媒体に記憶して提供することができ、或はインターネットネットなどのネットワークを通じてダウンロードすることで提供される。また、上記実施形態で説明した画像形成装置とホスト側(情報処理装置)とを組みあせて画像形成システムを構成することもできる。
【符号の説明】
【0069】
1 ガイドロッド
3 キャリッジ
4k1 第1黒色ヘッド
4k2 第2黒色ヘッド(黒色ノズル列)
4c1 第1カラーヘッド(カラーノズル列)
4c2 第2カラーヘッド(カラーノズル列)
500 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した黒色ノズル列と、カラーの液滴を吐出する複数のノズルを配列したカラーノズル列と、を有する1又は複数のヘッドが搭載され、主走査方向に移動走査されるキャリッジと、
被記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、を備え、
前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置され、
先行の一方向への主走査で前記カラーノズル列による画像を形成した後、
前記被記録媒体を相対的に次の主走査位置に移動させ、
後行の他方向への主走査で、前記カラーノズル列で形成された画像上に前記黒色ノズル列による画像を形成させて、
1走査領域分の画像を完成する制御をする制御手段を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した第1、第2の黒色ノズル列を有し、
前記第1の黒色ノズル列は前記カラーノズル列と副走査方向の位置を同じにして配置され、
前記第2の黒色ノズル列は前記カラーノズル列と副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置がずれて配置される部分と、前記カラーノズル列に対して副走査方向で同じ位置に配置される部分とを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記黒色ノズル列で形成する画像の密度が前記カラーノズル列で形成する画像の密度よりも高いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した黒色ノズル列と、カラーの液滴を吐出する複数のノズルを配列したカラーノズル列と、を有する1又は複数のヘッドが搭載され、主走査方向に移動走査されるキャリッジと、
被記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、を備え、
前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置された画像形成装置による画像形成動作を制御する処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
先行の一方向への主走査で前記カラーノズル列による画像を形成した後、
前記被記録媒体を相対的に次の主走査位置に移動させ、
後行の他方向への主走査で、前記カラーノズル列で形成された画像上に前記黒色ノズル列による画像を形成させて、
1主走査領域分の画像を完成する制御をする処理を行わせる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した黒色ノズル列と、カラーの液滴を吐出する複数のノズルを配列したカラーノズル列と、を有する1又は複数のヘッドが搭載され、主走査方向に移動走査されるキャリッジと、
被記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、を備え、
前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置された画像形成装置による画像形成方法であって、
先行の一方向への主走査で前記カラーノズル列による画像を形成した後、
前記被記録媒体を相対的に次の主走査位置に移動させ、
後行の他方向への主走査で、前記カラーノズル列で形成された画像上に前記黒色ノズル列による画像を形成させて、
1主走査領域分の画像を完成する
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した黒色ノズル列と、カラーの液滴を吐出する複数のノズルを配列したカラーノズル列と、を有する1又は複数のヘッドが搭載され、主走査方向に移動走査されるキャリッジと、
被記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、を備え、
前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置され、
先行の一方向への主走査で前記カラーノズル列による画像を形成した後、
前記被記録媒体を相対的に次の主走査位置に移動させ、
後行の他方向への主走査で、前記カラーノズル列で形成された画像上に前記黒色ノズル列による画像を形成させて、
1走査領域分の画像を完成する制御をする制御手段を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した第1、第2の黒色ノズル列を有し、
前記第1の黒色ノズル列は前記カラーノズル列と副走査方向の位置を同じにして配置され、
前記第2の黒色ノズル列は前記カラーノズル列と副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置がずれて配置される部分と、前記カラーノズル列に対して副走査方向で同じ位置に配置される部分とを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記黒色ノズル列で形成する画像の密度が前記カラーノズル列で形成する画像の密度よりも高いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した黒色ノズル列と、カラーの液滴を吐出する複数のノズルを配列したカラーノズル列と、を有する1又は複数のヘッドが搭載され、主走査方向に移動走査されるキャリッジと、
被記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、を備え、
前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置された画像形成装置による画像形成動作を制御する処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
先行の一方向への主走査で前記カラーノズル列による画像を形成した後、
前記被記録媒体を相対的に次の主走査位置に移動させ、
後行の他方向への主走査で、前記カラーノズル列で形成された画像上に前記黒色ノズル列による画像を形成させて、
1主走査領域分の画像を完成する制御をする処理を行わせる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
黒色の液滴を吐出する複数のノズルを配列した黒色ノズル列と、カラーの液滴を吐出する複数のノズルを配列したカラーノズル列と、を有する1又は複数のヘッドが搭載され、主走査方向に移動走査されるキャリッジと、
被記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、を備え、
前記黒色ノズル列は、前記カラーノズル列に対して副走査方向で媒体搬送方向下流側に位置をずらして配置された画像形成装置による画像形成方法であって、
先行の一方向への主走査で前記カラーノズル列による画像を形成した後、
前記被記録媒体を相対的に次の主走査位置に移動させ、
後行の他方向への主走査で、前記カラーノズル列で形成された画像上に前記黒色ノズル列による画像を形成させて、
1主走査領域分の画像を完成する
ことを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−187900(P2012−187900A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55436(P2011−55436)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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