説明

画像形成装置、レンズアレイ、アレイ鏡、光学ユニット及び光源ユニット

【課題】複数の発光点から出射される光束を用いて画像を形成する画像形成装置、レンズアレイ、アレイ鏡、光学ユニット及び光源ユニットを提供する。
【解決手段】LEDから出射された光束を、アレイ鏡AMの反射鏡MRで一旦反射させることにより、レンズアレイLAYのレンズ部LSへの入射光の入射角を変更でき、これによりレンズ部LSのパワーの一部を反射鏡AMに負担させることで、レンズ部LSの曲率を弱めて設計の自由度や製造容易性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、レンズアレイ、アレイ鏡、光学ユニット及び光源ユニットに関し、特に複数の発光点から出射される光束を用いて画像を形成する画像形成装置、レンズアレイ、アレイ鏡、光学ユニット及び光源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
LEDアレイを用いて画像を形成するLEDプリンタが開発されている。かかるLEDプリンタにおいては、LEDアレイからの光線を感光体に導くために、LEDアレイの個々のLED毎にマイクロレンズを含む光学素子を設け、これらのマイクロレンズ等の光学素子により集光された光線を感光体ドラムに照射するように構成されたLEDプリンタヘッド、及び個々のLEDからの光をそれぞれの導波路を介してマイクロレンズに導きこれらのマイクロレンズにより集光された光線を感光体ドラムに照射するように構成されてなる。
【0003】
このとき、LEDの発光点間隔は一般的には数10μmと狭く、1つの発光点からの出射光をマイクロレンズで感光体に適切に集光させたい場合はLED、マイクロレンズ、感光体は各々近接させなければならないが、レンズと感光体を近接させることは出来るだけ避けたい。しかし、間隔を広げようとすると、今度は、集光に必要な開口数(NA)が不足し、暗く(露光不足と)なってしまうという問題がある。
【0004】
そこで特許文献1のLEDプリンタにおいては、LEDと感光体との間にロッドレンズ(又はセルフォックレンズ)を設け、集光に必要なNAを不足させることなく、また、レンズと感光体との間の距離をある程度確保し、LEDからの出射光を、ロッドレンズを介して収束光に変換し、感光体に集光させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−107661号公報
【特許文献2】特開2005−37891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる従来技術の構成では、収束光を感光体に入射させるため、ロッドレンズから感光体までの距離は依然として充分長い距離を確保できているとは言い難く、感光体に付着したトナーが飛散してレンズに付着し、集光性能に悪影響を及ぼす可能性がまだ高く、さらにレンズから感光体までの距離を長くしたいという課題があった。
【0007】
又、焦点深度が浅いので、光学素子の製造精度や組み立て精度を高める必要がありコスト高を招くと共に、温度変化による各部品の熱膨張・収縮に伴い光路長が変化し易いため、感光体上でデフォーカスが生じやすいという問題もある。
【0008】
従来技術は、ロッドレンズ自身が比較的高額であるため、コストが増大するという問題もある。また、ロッドレンズに代えて2枚玉のレンズを用いた場合も、レンズの数が多いことによるコスト増大という問題もある。このとき、コスト低減のために1枚玉の集光レンズを用いようとすると、先述したように、レンズから感光体までの距離が近くなってしまうか、距離を伸ばそうとすると暗くなってしまうという課題がある。また、1枚玉の集光レンズを用いる場合、部分的に倒立像になってしまうという課題もあった。こうしたことから、従来の当業者は1枚玉のレンズを用いるという発想に至ることがなかった。
【0009】
また、感光体は回転して用いられるため、当該感光体の回転の偏心によってマイクロレンズと感光体の間の距離が変化した場合に、感光体上のスポットが劣化してしまうというLEDプリンタ特有の問題もある。
【0010】
更に、特許文献1のロッドレンズを用いる例を含む多くの従来技術においては、光源の発光点間隔が数10μmと狭い状態で、発光点からの出射光を感光体へ集光するために必要なNAを得るために、隣り合う発光点の光路が重なり合う光学系がよく用いられている。このとき発光点の数が、レンズの数に比べて多くなる。この様な場合、各発光点の光路が重なり合うため複雑な光路となり、迷光対策が難しいという問題もあった。
【0011】
尚、特許文献2に示すように、ロッドレンズを用いる代わりに2枚玉のマイクロレンズを設ける場合もあるが、同様な問題を招く恐れがある。又、LEDからの出射光のNAが比較的大きい場合、レンズのみでは出射光を有効に露光光として使用することが困難であるという問題もある。更に、LEDの代わりにLDを用いたLDプリンタでも、同様な問題が生じうる。
【0012】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、複数の発光点から出射される光束を用いて画像を形成する画像形成装置、レンズアレイ、アレイ鏡、光学ユニット及び光源ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の画像形成装置は、
複数の発光点をアレイ状に配置してなるアレイ光源と、
前記複数の発光点に対応した複数の反射鏡を備えたアレイ鏡と、
前記発光点の数以上である単玉のレンズ部を備えたレンズアレイと、を有し、前記発光点から出射された光束の少なくとも一部を前記反射鏡で反射し、前記レンズ部を介して前記感光体上に露光することによって画像を形成する画像形成装置において、
前記発光点から出射した光束は、前記レンズ部を通過して平行光束又は略平行光束となり、前記感光体に入射することを特徴とする。
【0014】
本発明者は、鋭意研究の結果、上述の課題を全て解決し得る本発明に想い至った。即ち、本発明によれば、発光点から出射した光束は、レンズ部を通過して平行光束又は略平行光束となり、感光体に入射するので、レンズ部から感光体までの距離として、充分長い距離を確保することが可能となり、感光体に付着したトナーが飛散してレンズに付着することを防止でき、良好な集光性能を長時間維持することが可能となる。
【0015】
又、本発明によれば、光学素子の製造精度や組み立て精度を高める必要がなく、コストを低減でき、更に、温度変化による各部品の熱膨張・収縮に伴い光路長が変化したとしても、平行光束又は略平行光束を感光体上に照射するため、デフォーカスの問題が生じない。
【0016】
更に、感光体の回転の偏心によってレンズアレイと感光体の間の距離が変化した場合であっても、感光体上のスポットが劣化してしまうという問題も発生しない。
【0017】
一方、単玉のレンズ部を複数個有するレンズアレイにより、光源からの光束を平行光束に変換して感光体に照射することもできる。しかるに、光源からの光はある拡がり角を持っていることから、光源とレンズアレイを近づけることで光の利用効率を上げることができるが、その場合は光学設計の自由度が制限され光学素子の曲率が増大し、製造や組立に対する要求精度も高くなる。これに対し本発明によれば、発光点から出射された光束を、アレイ鏡の反射鏡で一旦反射させることにより、レンズアレイのレンズ部への入射光の入射角を変更でき、これによりレンズ部のパワーの一部を反射鏡に負担させることで、レンズ部の曲率を弱めて製造容易性を高めることができる。又、場合によっては、レンズ部の片側面を平面と出来、これにより更に製造容易性を高めることができる。
【0018】
加えて、発光点の数を、レンズの数に比べて同じか少なくするため、各発光点の光路が重なり合いにくくなり、迷光の問題も低減することが可能となる。
【0019】
請求項2に記載の画像形成装置は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記レンズ部と前記感光体の間の光路中に、光束の発散度を変更する光学素子を有さないことを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、前記レンズ部と前記感光体の間の光路中に、前記レンズ部以外の他の発散度を変更する光学素子を有さないため、構造をシンプルにすることが可能となると共に、各構成の配置の自由度を増加させることが可能となる。但し、発散度を変更しない光学素子は、レンズ部と感光体の間の光路中に配置してもよい。例えば、ミラー等の反射光学素子をレンズ部と感光体の間に配置してもよい。
【0021】
請求項3に記載の画像形成装置は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記アレイ光源の発光点の数と、前記アレイ鏡の反射鏡の数と、前記レンズアレイのレンズ部の数とは等しいことを特徴とする。
【0022】
請求項4に記載の画像形成装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記反射鏡は、前記発光点からの光束を入射したときに全反射することを特徴とする。
【0023】
請求項5に記載の画像形成装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記反射鏡には、反射コートが成膜されていることを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の画像形成装置は、請求項1〜5のいずれかの画像形成装置において、前記反射鏡又は前記レンズ部には、絞りが形成されていることを特徴とする。この構成により、別個に絞りを設ける必要がなく部品点数が削減される。「絞り」としては、例えば反射鏡又はレンズ部の光学面において形成される段差、粗度を大きくした部位、変曲点を持つ部位、遮光膜などがある。
【0025】
請求項7に記載の画像形成装置は、請求項1〜6のいずれかの画像形成装置において、前記発光点と前記レンズ部との間に、前記レンズ部とは別体の絞りが設けられていることを特徴とする。この構成により、万一、迷光が発生したとしても、となりの迷光が光路に入り込んでくるリスクを低減することが可能となる。「絞り」としては、平板状の絞りや、鏡筒状の絞りや、光学フィルターや、液晶装置等を用いることができる。
【0026】
請求項8に記載の画像形成装置は、請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記発光点のうち、或る発光点から出射された光束と、前記或る発光点の隣の発光点から出射された光束とが交じり合うことを防止する遮蔽部材が形成されていることを特徴とする。この構成により、迷光の発生を確実に抑制できる。尚、「或る発光点から出射された光束と、前記或る発光点の隣の発光点から出射された光束とが交じり合う」とは、例えば或る発光点から出射された光束が感光体上に露光した場合において、その露光範囲の少なくとも一部に、隣の発光点から出射された光束が重ねて露光することをいう。即ち、遮蔽部材とは、2つの光束の少なくとも一方を遮光して交じり合わないように機能するものをいう。
【0027】
請求項9に記載の画像形成装置は、請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記発光点はLD(レーザダイオード)又はLED(発光ダイオード)であることを特徴とする。
【0028】
請求項10に記載の画像形成装置は、請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記レンズアレイの出射側面は平面となっていることを特徴とする。これによりレンズアレイの設計・製造を容易に行える。また、万一、レンズアレイにトナー等が付着した際においても、拭き掃除が容易であり、メンテナンスの利便性を向上させることが可能となることもプリンタ用の光学素子として大きな利点である。
【0029】
請求項11に記載の光学ユニットは、
複数の発光点をアレイ状に配置してなるアレイ光源と、
前記複数の発光点に対応した複数の反射鏡を備えたアレイ鏡と、
前記発光点の数以上である単玉のレンズ部を備えたレンズアレイと、を有し、前記発光点から出射された光束の少なくとも一部を前記反射鏡で反射し、前記レンズ部を介して前記感光体上に露光することによって画像を形成する画像形成装置において用いられる光学ユニットであって、
前記光学ユニットは、前記アレイ鏡と前記レンズアレイとを有し、
前記発光点から出射した光束は、少なくとも一部が前記アレイ鏡によって反射され、前記レンズ部を通過して平行光束又は略平行光束となることを特徴とする。
【0030】
本発明による光学ユニットによって、請求項1の画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
【0031】
請求項12に記載のアレイ鏡は、請求項11に記載の光学ユニットで用いられることを特徴とする。
【0032】
請求項13に記載のアレイ鏡は、請求項12に記載のアレイ鏡において、射出成形によって形成されていることを特徴とする。これにより、複数の反射鏡が微細であっても精度良く大量生産を行える。
【0033】
請求項14に記載のレンズアレイは、請求項11に記載の光学ユニットで用いられることを特徴とする。
【0034】
請求項15に記載の光源ユニットは、
複数の発光点をアレイ状に配置してなるアレイ光源と、
前記複数の発光点に対応した複数の反射鏡を備えたアレイ鏡と、
前記発光点の数以上である単玉のレンズ部を備えたレンズアレイと、を有し、前記発光点から出射された光束の少なくとも一部を前記反射鏡で反射し、前記レンズ部を介して前記感光体上に露光することによって画像を形成する画像形成装置において用いられる光源ユニットであって、
前記光源ユニットは、前記アレイ光源と前記アレイ鏡と前記レンズアレイとを有し、
前記アレイ光源の発光点から出射した光束は、少なくとも一部が前記アレイ鏡によって反射され、前記レンズ部を通過して平行光束又は略平行光束となることを特徴とする。
【0035】
本発明による光源ユニットによって、請求項1の画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
【0036】
アレイ鏡の素材としては、ガラスや、環状ポリオレフィン等の熱可塑性の樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、UV硬化性樹脂、シリコンなどがある。シリコンの場合、エッチングなどでレンズ部を形成してもよい。環状ポリオレフィン等の熱可塑性の樹脂を用いる場合、射出成形により製造できるため、製造コストを大幅に低減させることができる。
【0037】
但し、ナノインプリント成形や半導体のような露光装置による製造、また金属製の薄板をプレス成形することでアレイ鏡を製造しても良い。また、レンズアレイとアレイ鏡とを一体成形し、レンズアレイとアレイ鏡とを一体化した光学ユニットとしてもよい。または、レンズアレイとアレイ鏡とを別々に製造し、後で、接着や嵌合によりレンズアレイとアレイ鏡とを一体化した光学ユニットとしてもよい。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、複数の発光点から出射される光束を用いて画像を形成する画像形成装置、レンズアレイ、アレイ鏡、光学ユニット及び光源ユニットにおいて、アレイ鏡の反射鏡とレンズアレイのレンズ部とでパワーを分担して、平行光束又は略平行光束を出射できるので、レンズ部から感光体までの距離として、充分長い距離を確保することが可能となり、感光体に付着したトナーが飛散してレンズ部に付着することを防止でき、良好な集光性能を長時間維持することが可能となる。また、光学素子の製造精度や組み立て精度を高める必要がなく、コストを低減でき、更に、温度変化による各部品の熱膨張・収縮に伴い光路長が変化したとしても、平行光を感光体上に照射するため、デフォーカスの問題が生じることを防止できる。加えて、アレイ鏡やレンズアレイ自身のコストを低減することも可能となる。また、感光体の回転の偏心によってマイクロレンズと感光体の間の距離が変化した場合であっても、感光体上のスポットが劣化してしまうという問題も発生しない。加えて、各発光点の光路が重なり合いにくくなり、迷光の問題も低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施の形態の画像形成装置の概略図である。
【図2】本実施の形態のアレイ鏡を含む光源ユニットの斜視図である。
【図3】LEDアレイとアレイ鏡とレンズアレイの断面図である。
【図4】アレイ鏡の製造工程を示す図である。
【図5】変形例にかかるLEDアレイLAYとマイクロレンズアレイMLYの関係を示す図である。
【図6】両凸レンズタイプのレンズアレイとアレイ鏡とからなる光学系の一例を拡大して示す断面図である。
【図7】片面が平面であって、別の片面が凸レンズタイプのレンズアレイとアレイ鏡とからなる光学系の一例を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態の画像形成装置の概略図である。図2は、本実施の形態のアレイ鏡とレンズアレイを含む光源ユニットの斜視図である。図3は、LEDアレイとアレイ鏡とレンズアレイの断面図である。ここで、LEDアレイLAYとアレイ鏡AMとレンズアレイMLYとで光源ユニットを構成し、アレイ鏡AMとレンズアレイMLYとで光学ユニットを構成する。
【0041】
図2、3において、アレイ光源であるLEDアレイLAYは、数10μmの間隔で複数のLEDを発光点としてアレイ状に並べて形成している。LEDアレイLAYに対向してマイクロレンズアレイMLYが配置されている。マイクロレンズアレイMLYは、各LEDに1対1に対応して近接配置された単玉のレンズ部LSを有しており、単一の(即ち屈折率が等しい)樹脂の射出成形やインプリント技術で形成できる。ここでは、LEDとレンズ部LSとは1列に配置されているが、千鳥状に配置されても良い。また、複数列を有するレンズアレイとしてもよい。LEDアレイLAYと、マイクロレンズアレイMLYとの間には、対になったLEDとレンズ部LSとに対し光軸を一致させてなる反射鏡MRを有するアレイ鏡AMが配置されている。LEDアレイLAYとアレイ鏡AMとマイクロレンズアレイMLYとは、図2に示す筐体BX内に保持されて光源ユニットOPUを構成している。
【0042】
又、図3に示すように、反射鏡MRの光軸方向断面は、放物線状(又は段付き形状でもよい)となっており、LEDに近い側であってLEDから出射された光束を反射する反射部MR1と、LEDから遠い側であってLEDから出射された光束を反射しない絞り部MR2とを有する。絞り部MR2は、面荒しや遮光膜を形成して光束の反射を抑えるようになっているが、それらを設ける代わりに、反射光をレンズ部LSに入射させない段差や変曲点など設ける形状としても良い。反射鏡MRは、アルミ蒸着等により反射コートが施されて反射率が高くなっているが、全反射条件を満たす形状とされても良い。絞りは、レンズ部LSに設けても良いし、各LEDとレンズ部LSの間、又はレンズ部LSと感光体との間に別体の絞りを設けてもよい。尚、反射鏡MRの光軸方向長さΔ=10μm〜60μmが好ましい。
【0043】
図3のような、両凸レンズタイプのレンズアレイとアレイ鏡とからなる光学系の一例を、より正確に表したものが図6である。図6に示すようなレンズアレイであれば、ガラスや樹脂製の平板状の光学素子OEの両面に樹脂等で凸面CVを設け、その後平板状の光学素子ごと切断することによって成形することが可能である。また、アレイ鏡AMの反射鏡MRは、図3においては光軸方向に進むにつれてカーブが緩やかになっていく(光源に近づくに連れて接線の光軸に対する傾きが穏やかになる)形状となっているが、図6に示すような、光軸方向に進むにつれてカーブが急になっていく形状としてもよい。
【0044】
アレイ鏡AMは、LEDから発生した光束が、隣のレンズ部LSに侵入することがないように遮蔽する遮蔽部材としても機能する。アレイ鏡AMを着色した素材から形成しても良い。
【0045】
図4は、本実施の形態にかかるアレイ鏡の成形工程(射出成形)を示す図である。上型MD1は、その下面に反射鏡MRの形状に対応した円錐形状の突起Pを形成している。上型MD1の突起Pを、下型MD2の平面状の底面に当接させ、形成されたキャビティ内に溶融した樹脂を充填して固化した後、離型させることで、アレイ鏡AMを得ることができる。この後、必要に応じて、絞り部MR2にマスキングを行ってアルミ蒸着処理を行うことができる。
【0046】
LEDアレイLAYの各LEDから出射された発散光の一部は直接的に、残りは間接的に反射鏡AMで反射され、マイクロレンズアレイMLYの各レンズ部LSに入射し、略平行光束に変換されて出射するようになっている。各レンズ部LSからの出射光は、光束の発散度を変更する光学素子を介さず、感光体201a(又は201b、201c、201d)上に結像され、その上に各LEDに対応した像MGが形成されることとなる。(図2では、理解を助けるために感光体が平面として描かれているが、実際は図1にあるような円柱状の形状である)本実施の形態によれば、発光点である複数のLEDから出射した光束は、それに対応した各レンズ部LSを通過してそれぞれ略平行光束となり、光束の発散度を変更する他の光学素子を介することなく、図2に示す感光体201a(又は201b、201c、201d)に入射するので、焦点位置や焦点深度に対する要求が緩和され、レンズ部LSから感光体201aまでの距離に関係なく、高画質な画像を形成することができ、それらの組立に対する要求精度も低く抑えられ、温度変化によるデフォーカスにも強くなる。又、発光点であるLEDとレンズ部LSの間の光路長が、レンズ部LSと感光体201aの間の距離に比べて短いので、感光体201aのトナーがレンズ部LSに付着することをより確実に防止すると共に、隣の発光点からの迷光がレンズ部LSに混入することをより確実に防止することが可能となる。
【0047】
更に、LEDから出射された光束を、アレイ鏡AMの反射鏡MRで一旦反射させることにより、レンズアレイLAYのレンズ部LSへの入射光の入射角を変更でき、これによりレンズ部LSのパワーの一部を反射鏡AMに負担させることで、レンズ部LSの曲率を弱めて設計の自由度や製造容易性を高めることができる。
【0048】
次に、本実施の形態の画像形成装置を、図1を用いて詳細に説明する。図1において、本体には、カラー画像形成に必要なイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーに対応した4つの感光体201a、201b、201c、201dを縦に並べて配置している。さらに、縦に長く張った中間転写ベルト202を、感光体201a、201b、201c、201dに接触するように並置している。各感光体201a、201b、201c、201dの中間転写ベルト202の反対側には、各感光体201a、201b、201c、201dの表面を露光し静電潜像を形成する4つの光源ユニットOPU、及び静電潜像をトナーで可視化する現像器205a、205b、205c、205dを縦方向に積層して配置している。
【0049】
各感光体201a(201b、201c、201d)の周りには、感光体201を帯電する帯電器(図示せず)、光源ユニットOPU、現像器205a(205b、205c、205d)、中間転写ベルト202、感光体201a(201b、201c、201d)表面を除電するイレーズランプ(図示せず)、残留トナーをクリーニングする感光体クリーナ(図示せず)を設けている。中間転写ベルト202の外周には、各色のトナー画像の位置ずれを検出する画像センサ211、トナーを帯電するトナー帯電器212、中間転写ベルト202上のトナー画像を用紙に転写する転写器213、用紙を中間転写ベルト202から剥離する用紙除電器214、中間転写ベルト202上のトナーをクリーニングする中間転写ベルトクリーナ215を設けている。さらに、用紙の搬送経路上には、用紙カセット216、給紙機構217、定着器219を配置している。
【0050】
次に、上記画像形成装置の印字シーケンスについて説明する。最初にコントローラ(不図示)へプリント命令が送られると、中間転写ベルト202、感光体201a、201b、201c、201dの駆動及び帯電が開始される。引き続き、中間転写ベルト202に最上流部で接触する感光体201aを光源ユニットOPUで画像露光し、静電潜像を現像器205aで現像するとともに、中間転写ベルト202上へトナー画像を転写する。ほぼ同時に直下にある感光体201bでも光源ユニットOPUで画像露光を行い、現像、転写を行う。この感光体201bの露光は、感光体201bに形成する画像が、先に感光体201aで形成された画像と正確に重なるようなタイミングで開始される。このプロセスで中間転写ベルト202上に2色のトナー画像を重ねた画像が形成される。同様に、3色目、4色目の感光体201c、201dで光源ユニットOPUを用いて露光、現像、転写を行い、中間転写ベルト202上で各色トナー画像を重ねたフルカラー画像を形成する。中間転写ベルト202上のフルカラー画像は、転写器213によって用紙等、記録媒体に転写し、定着器219で定着する。
【0051】
上記画像形成装置では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーに対応した4つの感光体を用いて同時に画像を形成する同時印字方式を採用している。さらに、各感光体201で形成された各色トナー画像を中間転写ベルト202上に重ねた後、一括して最終記録媒体である用紙等に転写するために、装置全体を小型化できる。
【0052】
図5は、変形例にかかるLEDアレイLAYとアレイ鏡AMとマイクロレンズアレイMLYの関係を示す図である。アレイ鏡AMを設けることで、マイクロレンズアレイMLYの設計の自由度が向上したので、本実施の形態ではレンズ部LSの出射側面を平面としている。即ち、マイクロレンズアレイMLYの片側を面一の平面としている。これにより、レンズ部LSの入射側面の光軸と出射側面の光軸との偏心を考慮する必要がなく、より容易にマイクロレンズアレイMLYを製造できる。又、飛散したトナーが、マイクロレンズアレイMLYに付着した場合でも、平面であるから清掃を容易に行うことが出来、メンテナンス性が高まる。
【0053】
図5のような、片面が平面であって、別の片面が凸レンズタイプのレンズアレイとアレイ鏡とからなる光学系の一例を、より正確に表したものが図7である。図7に示すようなレンズアレイであれば、ガラスや樹脂製の平板状の光学素子OEの片面に樹脂等で凸面CVを設け、その後平板状の光学素子ごと切断することによって成形することが可能である。また、アレイ鏡AMの反射鏡MRは、図5においては光軸方向に進むにつれてカーブが緩やかになっていく(光源に近づくに連れて接線の光軸に対する傾きが穏やかになる)形状となっているが、図7に示すような、光軸方向に進むにつれてカーブが急になっていく形状としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、複数の発光点から出射される光束を用いて画像を形成する画像形成装置及びアレイ鏡を提供することができるが、LEDの代わりにLDを用いても良い。
【符号の説明】
【0055】
201a〜201d 感光体
202 中間転写ベルト
205a 現像器
211 画像センサ
212 トナー帯電器
213 転写器
214 用紙除電器
215 中間転写ベルトクリーナ
216 用紙カセット
217 給紙機構
219 定着器
AM アレイ鏡
BX 筐体
LAY レンズアレイ
LED 発光ダイオード
LS レンズ部
MG 像
MR 反射鏡
MLY マイクロレンズアレイ
OPU 光源ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光点をアレイ状に配置してなるアレイ光源と、
前記複数の発光点に対応した複数の反射鏡を備えたアレイ鏡と、
前記発光点の数以上である単玉のレンズ部を備えたレンズアレイと、を有し、前記発光点から出射された光束の少なくとも一部を前記反射鏡で反射し、前記レンズ部を介して前記感光体上に露光することによって画像を形成する画像形成装置において、
前記発光点から出射した光束は、前記レンズ部を通過して平行光束又は略平行光束となり、前記感光体に入射することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記レンズ部と前記感光体の間の光路中に、光束の発散度を変更する光学素子を有さないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記アレイ光源の発光点の数と、前記アレイ鏡の反射鏡の数と、前記レンズアレイのレンズ部の数とは等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記反射鏡は、前記発光点からの光束を入射したときに全反射することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記反射鏡には、反射コートが成膜されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記反射鏡又は前記レンズ部には、絞りが形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記発光点と前記レンズ部との間に、前記レンズ部とは別体の絞りが設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記発光点のうち、或る発光点から出射された光束と、前記或る発光点の隣の発光点から出射された光束とが交じり合うことを防止する遮蔽部材が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記発光点はLD又はLEDであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記レンズアレイの出射側面は平面となっていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
複数の発光点をアレイ状に配置してなるアレイ光源と、
前記複数の発光点に対応した複数の反射鏡を備えたアレイ鏡と、
前記発光点の数以上である単玉のレンズ部を備えたレンズアレイと、を有し、前記発光点から出射された光束の少なくとも一部を前記反射鏡で反射し、前記レンズ部を介して前記感光体上に露光することによって画像を形成する画像形成装置において用いられる光学ユニットであって、
前記光学ユニットは、前記アレイ鏡と前記レンズアレイとを有し、
前記発光点から出射した光束は、少なくとも一部が前記アレイ鏡によって反射され、前記レンズ部を通過して平行光束又は略平行光束となることを特徴とする光学ユニット。
【請求項12】
請求項11に記載の光学ユニットで用いられることを特徴とするアレイ鏡。
【請求項13】
射出成形によって形成されていることを特徴とする請求項12に記載のアレイ鏡。
【請求項14】
請求項11に記載の光学ユニットで用いられることを特徴とするレンズアレイ。
【請求項15】
複数の発光点をアレイ状に配置してなるアレイ光源と、
前記複数の発光点に対応した複数の反射鏡を備えたアレイ鏡と、
前記発光点の数以上である単玉のレンズ部を備えたレンズアレイと、を有し、前記発光点から出射された光束の少なくとも一部を前記反射鏡で反射し、前記レンズ部を介して前記感光体上に露光することによって画像を形成する画像形成装置において用いられる光源ユニットであって、
前記光源ユニットは、前記アレイ光源と前記アレイ鏡と前記レンズアレイとを有し、
前記アレイ光源の発光点から出射した光束は、少なくとも一部が前記アレイ鏡によって反射され、前記レンズ部を通過して平行光束又は略平行光束となることを特徴とする光源ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−43612(P2011−43612A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190929(P2009−190929)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】