説明

画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法及び画像形成プログラム

【課題】データ退避を行う際に適切なデータ退避先を選択することが可能な画像形成装置、画像形成システム及び画像形成プログラムを提供する。
【解決手段】ジョブを受け付けるジョブ受付手段と、前記ジョブに関する画像データを受け付けるデータ受付手段と、前記ジョブに関する情報と、前記画像データとを記憶するジョブ記憶手段と、前記ジョブ受付手段が前記ジョブを受け付けたとき前記ジョブ記憶手段の残容量が所定値以下であった場合に、前記他の画像形成装置へ前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量を問い合わせる問合せ手段と、前記問合せ手段により取得した前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量に基づき、前記画像データを退避させる前記他の画像形成装置を選択するデータ退避制御手段と、選択された前記他の画像形成装置へ前記画像データを退避させるデータ退避手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の画像形成装置と接続されており、前記他の画像形成装置と連携して一つの処理を実行する連携機能を有する画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の画像形成装置を含む画像形成システムにおいて、複数の画像形成装置を連携させて一連の処理を実行する機器連携機能を有するものが知られている。この画像形成システムでは、画像形成装置において処理の実行に必要なメモリ残量が不足している場合、必要なメモリを確保するために、画像形成装置内に蓄積されたデータを他の機器に退避させる。例えば特許文献1には、画像形成装置において、PC等からのデータインにおいて、画像形成装置のメモリ不足を解消するという目的で、送信元のコンピュータ等にデータを退避することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の技術では、処理を実行する画像形成装置からデータを退避させる場合、一度特定の画像形成装置に対してデータ退避を実施する。そして、特定の画像形成装置へデータ退避ができない場合に、再度他の画像形成装置へデータの退避を実施する。このため、データ退避を実施する段階で、適切なデータの退避先を選択できないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決すべくなされたものであり、データ退避を行う際に適切なデータ退避先を選択することが可能な画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法及び画像形成プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成すべく以下の如き構成を採用した。
【0006】
本発明は、他の画像形成装置と接続されており、前記他の画像形成装置と連携して一つの処理を実行する連携機能を有する画像形成装置であって、ジョブを受け付けるジョブ受付手段と、前記ジョブに関する画像データを受け付けるデータ受付手段と、前記ジョブに関する情報と、前記画像データとを記憶するジョブ記憶手段と、前記ジョブ受付手段が前記ジョブを受け付けたとき前記ジョブ記憶手段の残容量が所定値以下であった場合に、前記他の画像形成装置へ前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量を問い合わせる問合せ手段と、前記問合せ手段により取得した前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量に基づき、前記画像データを退避させる前記他の画像形成装置を選択するデータ退避制御手段と、選択された前記他の画像形成装置へ前記画像データを退避させるデータ退避手段と、を有する。
【0007】
また本発明の画像形成装置において、前記他の画像形成装置は複数であって、前記複数の前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量を比較する比較手段を有し、前記データ退避制御手段は、前記比較手段による比較の結果、前記記憶手段の前記残容量が最も大きい前記他の画像形成装置を、前記画像データの退避先として選択する。
【0008】
また本発明の画像形成装置は、前記他の画像形成装置へ退避させた前記画像データを引き取るデータ引取手段を有する。
【0009】
また本発明の画像形成装置は、前記他の画像形成装置へ前記画像データを退避させる際に、前記画像データを分割するデータ分割手段を有する。
【0010】
また本発明の画像形成装置は、前記ジョブの優先順位を管理する優先順位管理手段を有し、前記データ退避手段による退避の対象となる画像データは、前記画像データに関する前記ジョブの優先度に基づき決定される。
【0011】
また本発明の画像形成装置は、前記複数の前記他の画像形成装置の前記記憶手段の前記残容量の一覧を表示させる表示手段を有する。
【0012】
また本発明の画像形成装置は、前記他の画像形成装置が使用可能な状態か否かを検知する使用可能検知手段を有し、前記画像データの退避先である他の画像形成装置が使用不可能な状態となったとき、前記データ引取手段は、前記他の画像形成装置から退避させた前記画像データを引き取り、前記データ退避手段は、引き取った前記画像データを前記他の画像形成装置とは別の他の画像形成装置へ退避させる。
【0013】
本発明は、他の画像形成装置と、前記他の画像形成装置と連携して一つの処理を実行する連携機能を有する画像形成装置と、が接続されて構成される画像形成システムであって、前記画像形成装置は、ジョブを受け付けるジョブ受付手段と、前記ジョブに関する画像データを受け付けるデータ受付手段と、前記ジョブに関する情報と、前記画像データとを記憶するジョブ記憶手段と、前記ジョブ受付手段が前記ジョブを受け付けたとき前記書部記憶手段の残容量が所定値以下であった場合に、前記他の画像形成装置へ前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量を問い合わせる問合せ手段と、前記問合せ手段により取得した前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量に基づき、前記画像データを退避させる前記他の画像形成装置を選択するデータ退避制御手段と、選択された前記他の画像形成装置へ前記画像データを退避させるデータ退避手段と、を有する。
【0014】
本発明は、他の画像形成装置と接続されており、前記他の画像形成装置と連携して一つの処理を実行する連携機能を有する画像形成装置による画像形成方法であって、ジョブを受け付けるジョブ受付手順と、前記ジョブに関する画像データを受け付けるデータ受付手順と、前記ジョブに関する情報と、前記画像データとをジョブ記憶手段に記憶させるジョブ記憶手順と、前記ジョブ受付手段が前記ジョブを受け付けたとき前記ジョブ記憶手段の残容量が所定値以下であった場合に、前記他の画像形成装置へ前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量を問い合わせる問合せ手順と、前記問合せ手順において取得した前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量に基づき、前記画像データを退避させる前記他の画像形成装置を選択するデータ退避制御手順と、選択された前記他の画像形成装置へ前記画像データを退避させるデータ退避手順と、を有する。
【0015】
本発明は、他の画像形成装置と接続されており、前記他の画像形成装置と連携して一つの処理を実行する連携機能を有する画像形成装置おいて実行される画像形成プログラムであって、前記画像形成装置に、ジョブを受け付けるジョブ受付ステップと、前記ジョブに関する画像データを受け付けるデータ受付ステップと、前記ジョブに関する情報と、前記画像データとをジョブ記憶手段に記憶させるジョブ記憶ステップと、前記ジョブ受付手段が前記ジョブを受け付けたとき前記ジョブ記憶手段の残容量が所定値以下であった場合に、前記他の画像形成装置へ前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量を問い合わせる問合せステップと、前記問合せステップにおいて取得した前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量に基づき、前記画像データを退避させる前記他の画像形成装置を選択するデータ退避制御ステップと、選択された前記他の画像形成装置へ前記画像データを退避させるデータ退避ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、データ退避を行う際に適切なデータ退避先を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】画像形成システムにおける機器連携を説明する図である。
【図2】第一の実施形態の画像形成システムのシステム構成の例を示す図である。
【図3】第一の実施形態の画像形成システム100における画像データの退避を説明する図である。
【図4】第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図5】第一の実施形態の画像形成装置の機能構成を説明する図である。
【図6】第一の実施形態の画像形成システムの動作を説明する第一のフローチャートである。
【図7】第一の実施形態の画像形成システムの動作を説明する第二のフローチャートである。
【図8】第一の実施形態の画像形成システムの動作を説明する第三のフローチャートである。
【図9】各画像形成装置の残容量の一覧を表示する動作を説明するフローチャートである。
【図10】連携先となり得る画像形成装置とそれぞれのメモリの残容量とが表示された画面の一例を示す図である。
【図11】第二の実施形態の画像形成システムの動作を説明するフローチャートである。
【図12】第三の実施形態の画像形成システムを説明する図である。
【図13】第三の実施形態の画像形成システムの動作を説明する第一のフローチャートである。
【図14】第三の実施形態の画像形成システムの動作を説明する第二のフローチャートである。
【図15】第四の実施形態の画像形成システムを説明する図である。
【図16】第四の実施形態の画像形成システムの動作を説明するフローチャートである。
【図17】第五の実施形態の画像形成システムを説明する図である。
【図18】第五の実施形態の画像形成システム100の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明では、画像形成システムに含まれる各画像形成装置のメモリ残量を比較し、比較結果に基づきデータの退避先となる画像形成装置を選択する。
【0019】
以下に本発明の実施形態の説明に先立ち、画像形成システムにおける機器連携について説明する。図1は、画像形成システムにおける機器連携を説明する図である。
【0020】
機器連携とは、複数の画像形成装置を利用し、一連の処理を実行する機能である。図1に示す画像形成システム10には、画像形成装置11、12、13が含まれる。図1では、画像形成装置11から入力された画像データを画像形成装置12で加工して画像形成装置13で出力する場合を示している。
【0021】
画像形成装置11では、操作画面においてユーザが処理フローの入力設定が行われると、画像形成装置11の操作部に連携可能な画像形成装置の一覧として画像形成装置12、13が表示される。またこのとき、画像形成装置12、13において使用可能な機能も表示される。
【0022】
画像形成装置11の操作部において、画像形成装置12での画像加工、画像形成装置13での仕上がりが設定されると、画像形成装置11で読み取った原稿の画像データが、画像形成装置12に転送され、画像加工処理が行われる。続いて画像データは画像形成装置13へ転送され、印刷処理および仕上げ処理が行われる。機器連携には、その他にも画像形成装置11で入力設を行い、画像形成装置12、13に蓄積された電子文書を原稿の画像データとして使用することもできる。またが画像形成装置11から入力された画像データを画像形成装置12、13のFAX機能等を利用して公衆回線への出力をすることも可能である。
【0023】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図2は、第一の実施形態の画像形成システムのシステム構成の例を示す図である。本実施形態の画像形成システム100は、画像形成装置200、300、400がネットワークNを介して接続されて構成されている。
【0024】
図3は、第一の実施形態の画像形成システム100における画像データの退避を説明する図である。
【0025】
本実施形態の画像形成システム100では、画像形成装置200において画像データを保持するためのメモリ残量が不足したとき、画像形成装置300、400のメモリ残量に基づき画像データの退避先となる画像形成装置を選択する。次に画像形成装置200は、選択された画像形成装置(図3では、画像形成装置300)へ、画像データを一旦退避させる。そして画像形成装置200は、メモリ容量に空きができると、画像データを画像形成装置300から引き取る。
【0026】
以下に画像形成システム100を構成する画像形成装置の一例として、画像形成装置200について説明する。図4は、第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0027】
画像形成装置200は、それぞれバスBで相互に接続されているスキャン装置21、プロッタ装置22、ドライバ23、HDD(Hard disk drive)24、メモリ装置25、演算処理装置(Central Processing Unit)26、インターフェース装置27、操作パネル28で構成される。
【0028】
スキャン装置21はスキャナ、スキャナエンジン、エンジン制御部等で構成され、原稿をスキャンして文書データとするために用いられる。プロッタ装置22はプロッタ、プロッタエンジン、エンジン制御部等で構成され、文書データを印刷するために用いられる。操作パネル28は、表示機能を有するタッチパネル等で実現され、画像形成装置200を操作するための操作画面が表示される。また操作パネル28は、画像形成装置200による処理の進捗の案内画面等が表示される。
【0029】
インターフェース装置27は、モデム、LAN(Local Area Network)カードなどで構成されており、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0030】
本発明の画像処理制御プログラムは、画像形成装置200を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。画像処理制御プログラムは例えば記録媒体29の配布やネットワークからのダウンロードなどによって提供される。画像処理制御プログラムを記録した記録媒体29は、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0031】
また、画像処理制御プログラムを記録した記録媒体29がドライバ23にセットされると、画像処理制御プログラムは記録媒体29からドライバ23を介してHDD24にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた画像処理制御プログラムは、インターフェース装置27を介してHDD24にインストールされる。
【0032】
HDD24は、インストールされた画像処理制御プログラムを格納すると共に、必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置25は、コンピュータの起動時にHDD24から画像処理制御プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置26はメモリ装置25に格納された画像処理制御プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0033】
図5は、第一の実施形態の画像形成装置の機能構成を説明する図である。本実施形態の画像形成装置200は、ジョブ受付部210、データ受付部211、ジョブ記憶部212、ジョブ記憶残量計測部213、連携先リスト保持部214、連携先メモリ残量問合せ部215、データ退避制御部216、データ退避部217、データ引取部218、連携先メモリ残量表示部219、データ分割部220、ジョブ管理部221、ジョブ優先順位管理部222、連携先使用不可検知部223を有する。
【0034】
ジョブ受付部210は、操作パネル28によるスタート操作又は通信回線からジョブ投入を受け付ける。データ受付部211は、スキャナ装置21により画像データを読み取った場合又は通信回線より画像データを受け取ったとき、画像データを受け付ける。
【0035】
ジョブ記憶部212は、画像形成装置200の有するメモリに設けられた記憶領域であり、ジョブ受付部210から受け取ったジョブ情報と、データ受付部211が受け付けた画像データとを記憶する。本実施形態では、ジョブ記憶部212は、例えばHDD24内に設けられていても良い。
【0036】
ジョブ記憶残量計測部213は、ジョブ記憶部211の残量を計測する。
【0037】
連携先リスト保持部214は、連携先となり得る画像形成装置のリストを保持する。本実施形態において連携先となり得る画像形成装置とは、画像形成システム100を構成する画像形成装置300、400である。尚以下の説明では、連携先となる画像形成装置を連携装置と呼ぶ。
【0038】
連携先メモリ残量問合せ部215は、連携先リスト保持部214に保持されたリストに載っている各画像形成装置の有するジョブ記憶部(メモリ)の残容量を、通信回線を通して問い合わせ、各画像形成装置のジョブ記憶部の残容量を取得する。
【0039】
データ退避制御部216は、ジョブ記憶残量計測部213でジョブ記憶部212の残量を受け付ける。そしてデータ退避制御部216は、ジョブ記憶部212の残容量が閾値以下になったとき、画像データの退避先となる連携装置を選択する。データ退避制御部216の詳細は後述する。
【0040】
データ退避部217は、データ退避制御部216により選択された連携装置へ画像データを転送して退避させる。またデータ退避部217は、画像データの退避先である連携装置の情報を、データ退避制御部216を介してジョブ記憶部212へ記憶させる。連携装置の情報とは、例えば連携装置を特定するための識別情報や連携装置のメモリの残容量、連携装置に搭載された機能等であっても良い。
【0041】
データ引取部218は、ジョブが実行されたことを示す通知を受けると、通信回線を通して連携装置から退避した画像データを引き取る。尚ジョブの実行は、ジョブ優先順位管理部222により管理されており、優先順位の高いジョブから実行される。
【0042】
連携先メモリ残量表示部219は、連携先メモリ残量問合せ部215により取得した各画像形成装置のメモリ残量を操作パネル28に表示させる。
【0043】
データ分割部220は、データ退避部217により画像データを退避する際に、画像データを分割する。分割された画像データは、例えば複数の異なる連携装置に退避される。
【0044】
ジョブ管理部221は、ジョブ受付部210がジョブを受け取った際にジョブ記憶部212の残容量が閾値以下であるか否かを判断する。そしてジョブ管理部221は、ジョブ記憶部212の残容量が閾値以下であるとき、ジョブ受付部210が受け付けたジョブ情報のみをジョブ記憶部212に格納し、データ受付部211に対して画像データの受け付けを拒否させる。またジョブ管理部221は、データ受付部211による画像データの受付を拒否させたことをジョブ記憶部212へ記憶させる。
【0045】
ジョブ優先順位管理部222は、ジョブの優先順位を管理し、優先順位に従ってジョブを実行する。またジョブ優先順位管理部222は、ジョブを実行するとデータ引取部218へ画像データの引取要求を通知する。
【0046】
連携先使用不可検知部223は、画像データの退避先である連携装置の情報を受け付け、その連携装置が使用不可になったことを、通信回線を通して検知し、データ引取部218へ画像データの引取要求を通知する。
【0047】
ここで本実施形態のデータ退避制御部216について説明する。本実施形態のデータ退避制御部216は、ジョブ記憶残量計測部213からジョブ記憶部212の残容量を取得する。そしてジョブ記憶部212の残容量が閾値以下になると、連携先メモリ残量問合せ部215により取得した他の画像形成装置のジョブ記憶部の残容量を取得する。ここで取得される残容量は、画像形成装置300のジョブ記憶部の残容量と、画像形成装置400のジョブ記憶部の残容量である。
【0048】
続いてデータ退避制御部216は、取得した画像形成装置300の残容量と画像形成装置400の残容量とを比較し、残容量が大きい方の画像形成装置を連携装置として選択する。
【0049】
本実施形態では、このように、ジョブ記憶部の残容量が大きい画像形成装置を連携装置として選択するため、画像データの退避先のメモリ不足により画像データが退避できないという事態を抑制できる。
【0050】
以下に、本実施形態の画像形成システム100の動作を説明する。図6は、第一の実施形態の画像形成システムの動作を説明する第一のフローチャートである。図6の例では、画像形成装置200が通信回線を介してファックス受信した場合の画像形成装置200の動作を示している。
【0051】
本実施形態の画像形成システム100において、ジョブ受付部210がFAX受信のジョブを受け付けると(ステップS601)、ジョブ管理部221は、ジョブ記憶残量計測部213による計測結果からジョブ記憶部212の残容量が閾値以下であるか否かを判断する(ステップS602)。尚ここでの閾値とは、画像形成システム100の管理者によって予め設定された値である。閾値は、例えばA4サイズの原稿3枚分の画像データの容量に設定されていても良いし、A4サイズの原稿1枚分の画像データの容量に設定されていても良い。
【0052】
ステップS602において、ジョブ記憶部212の残容量が閾値より大きい場合、ジョブ管理部221は、ジョブ受付部120により受け付けたFAX受信のジョブ情報をジョブ記憶部212へ記憶させる。またジョブ管理部221は、データ受付部211により受信した画像データを受け付け、この画像データをジョブ記憶部212に記憶させる(ステップS603)。
【0053】
ステップS602において、ジョブ記憶部212の残容量が閾値以下の場合、ジョブ管理部221は、ジョブ受付部120により受け付けたFAX受信のジョブ情報をジョブ記憶部212へ記憶させ、データ受付部211に画像データの受付を拒否させる。続いてデータ退避制御部216は、連携先メモリ残量問合せ部215に連携先となる画像形成装置300、400の残容量の問い合わせを行わせる(ステップS604)。
【0054】
データ退避制御部216は、画像形成装置300、400からそれぞれのジョブ記憶部の残容量を取得すると、2つの残容量を比較し、残容量が大きい方の画像形成装置を連携装置として選択する(ステップS605)。続いてデータ退避制御部216は、連携装置へ画像データの退避が可能か否かを判断する(ステップS606)。具体的にはデータ退避御部216は、連携装置のジョブ記憶部の残容量が退避対象の画像データよりも大きいか否かを判断する。そしてデータ退避制御部216は、残容量が退避対象の画像データよりも大きい場合に画像データの退避が可能と判断し、残容量が退避対象の画像データよりも小さい場合に画像データの退避が不可能と判断する。
【0055】
ステップS606において、画像データの退避が可能であった場合、データ退避部217は、データ受付部211により受付が拒否された画像データを連携装置へ転送し、退避させる(ステップS607)。このときデータ退避制御部216は、データ退避部217により画像データを退避させた連携装置の情報を取得し、ジョブ記憶部212へ記憶させる。
【0056】
ステップS606において、画像データの退避が不可能であった場合、データ退避制御部216は、ジョブ管理部212にメモリフルであることを通知する。ジョブ管理部212は、この通知を受けてジョブをキャンセルする(ステップS608)。
【0057】
尚本実施形態の画像形成装置200では、画像データを退避させるために、データ受付部211により受付が拒否された画像データを一時的に保持しておくメモリ領域が設けられていることが好ましい。
【0058】
また図6の例では、データ受付部211により受付が拒否された画像データを退避対象の画像データとして説明したが、これに限定されない。本実施形態では、例えば画像形成装置200において既にジョブ記憶部212に記憶された画像データを退避対象の画像データとしても良い。この場合、ジョブ記憶部212に記憶された画像データを連携装置へ退避させてから、データ受付部211により画像データの受付を行いジョブ記憶部212へ受け付けた画像データを記憶しても良い。
【0059】
また図6の例では、受け付けたジョブの種類をFAX受信のジョブとしたが、これに限定されない。図6で説明した処理は、例えばジョブの種類が、画像データの印刷やFAX送信等であっても良い。
【0060】
次に、図7を参照して連携装置側の動作を説明する。図7は、第一の実施形態の画像形成システムの動作を説明する第二のフローチャートである。図7では、連携装置として選択された画像形成装置の動作を示している。本実施形態では、画像形成装置300が連携装置として選択されたものとして説明する。
【0061】
画像形成装置300は、画像形成装置200の連携先メモリ残量問合せ部215からジョブ記憶部の残量の有無の問い合わせを受けると(ステップS701)、自身のジョブ記憶部の残量の有無を判断する(ステップS702)。尚本実施形態では、連携先メモリ残量問合せ部215からの問い合わせに、画像データの退避に必要な容量の情報が含まれていることが好ましい。画像形成装置300は、この問い合わせを受けて、退避対象の画像データの受け入れに必要な残容量の有無を判断する。
【0062】
ステップS702において、画像形成装置300に退避対象の画像データの受け入れに必要な残容量が不足している場合、画像形成装置300はその旨を画像形成装置200へ通知する(ステップS703)。
【0063】
ステップS702において、画像形成装置300に退避対象の画像データの受け入れに必要な残容量が有る場合、画像形成装置300はその旨を画像形成装置200へ通知する(ステップS704)。続いて画像形成装置300は、画像形成装置200から退避対象の画像データを受信する(ステップS705)。そして画像形成装置300は、受信した画像データをジョブ記憶部に保存する(ステップS706)。
【0064】
次に、図8を参照して、連携装置へ退避させた画像データを画像形成装置200が引き取る際の動作を説明する。図8は、第一の実施形態の画像形成システムの動作を説明する第三のフローチャートである。図8では、連携装置として選択された画像形成装置300へ退避させた画像データを画像形成装置200が引き取って印刷する処理を示している。
【0065】
画像形成装置200において、ジョブ優先順位管理部222は、ジョブの優先順位に従ってジョブ記憶部212に記憶されたジョブを実行する。ジョブが実行されると、ジョブ記憶部212から実行済みのジョブに関するデータが消去されるため、ジョブ記憶部212の残容量が大きくなる(ステップS801)。
【0066】
ジョブ優先順位管理部222は、ジョブを実行するとデータ引取部218へ画像データの引取要求を通知する。データ引取部218は、この通知を受けて、画像形成装置300へ退避させた画像データの引取を要求する(ステップS802)。
【0067】
画像形成装置300は、この要求を受けて、画像形成装置200から受信した画像データを画像形成装置200へ送信する。データ引取部218は、この画像データを受け取り(ステップS803)、ジョブ記憶部212へ保存する(ステップS804)。続いて画像形成装置200は、ジョブ優先順位管理部222により退避対象の画像データに関するジョブを実行し、画像データを印刷する(ステップS805)。
【0068】
以上のように本実施形態では、画像データの退避先を選択する際に、画像形成システム100に含まれる複数の画像形成装置のそれぞれの残容量を比較してから画像データの退避先を選択する。よって本実施形態では、画像データを退避させる際に適切な退避先を選択することができる。
【0069】
また本実施形態の画像形成システム100では、画像形成装置200において、ジョブの実行に必要なメモリ(ジョブ記憶部212)の残容量が不足した場合に、一旦画像データを他の画像形成装置へ退避させる。そしてメモリの残容量が、ジョブの実行に必要な容量となったとき、退避させた画像データを引き取ってジョブを実行することができる。
【0070】
尚本実施形態の画像形成システム100では、画像データの退避先となり得る画像形成装置は画像形成装置300、400の2台であるが、退避先となり得る画像形成装置の台数は任意であって良い。例えば退避先となり得る画像形成装置が3台であった場合は、3台の画像形成装置のうちメモリの残容量が最も大きい画像形成装置が画像データの退避先として選択されることが好ましい。
【0071】
また本実施形態の画像形成装置200は、画像データの退避先となり得る画像形成装置及び各画像形成装置のメモリの残容量を操作パネル28へ表示させることができる。
【0072】
図9は、各画像形成装置の残容量の一覧を表示する動作を説明するフローチャートである。本実施形態の画像形成装置200において、連携先メモリ残量問合せ部215は、連携先リスト保持部214に保持されたリストに従い、残容量の問合せを行う(ステップS901)。続いて連携先メモリ残量問合せ部215は、リストされた全ての連携先となり得る画像形成装置への残容量の問合せを行ったか否かを判断する(ステップS902)。
【0073】
ステップS902において全ての画像形成装置へ残容量の問合せが完了すると、連携先メモリ残量表示部219は、連携先となり得る画像形成装置と、それぞれのメモリの残容量とを操作パネル28へ表示させる(ステップS903)。
【0074】
図10は、連携先となり得る画像形成装置とそれぞれのメモリの残容量とが表示された画面の一例を示す図である。図10に示す画面90には、連携先となり得る3台の画像形成装置と、それぞれのメモリの残容量とが表示されている。本実施形態の画像形成システム100では、操作パネル28において画面90から画像データの退避先となる連携装置が手動で選択されても良い。
【0075】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態では、退避対象となる画像データをジョブの優先順位に応じて決定する点のみ第一の実施形態と相違する。したがって以下の本発明の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0076】
図11は、第二の実施形態の画像形成システムの動作を説明するフローチャートである。
【0077】
図11のステップS111〜ステップS113までの処理は、図6のステップS601からステップS603までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0078】
ステップS112において、ジョブ記憶部212の残容量が閾値以下の場合、ジョブ管理部221は、ジョブ優先順位管理部222によりジョブ受付部210により受け付けたジョブの優先度を確認する(ステップS114)。
【0079】
ここでジョブの優先順位について説明する。本実施形態の画像形成装置200では、ジョブの優先順位は画像形成システム100の管理者により予め設定されている。本実施形態では、例えば機能毎に優先順位を設定しても良い。具体的には例えば、優先順位が高い順に、FAXに関わるジョブ、コピーに関するジョブ、印刷に関するジョブと設定しても良い。またジョブの優先順位は、画像形成装置200のユーザにより設定されても良い。
【0080】
続いてジョブ優先順位管理部222は、ステップS114で確認したジョブの優先度が高か否かを判断する(ステップS115)。ステップS115においてジョブの優先度が高くない場合、データ退避制御部216は、ジョブ受付部210により受け付けたジョブに関する画像データをデータ退避部217により連携装置へ退避させる(ステップS116)。
【0081】
ステップS115においてジョブの優先度が高い場合、データ退避制御部216は、優先度の低いジョブに関する画像データをジョブ記憶部212から読み出して、連携装置へ退避させる(ステップS117)。続いてデータ退避制御部216は、データ受付部211により、ジョブ受付部210により受け付けたジョブに関する画像データを受け付け、ジョブ記憶部212へ保存する(ステップS118)。
【0082】
尚本実施形態におけるジョブの優先度の高低は、予め決められていても良い。本実施形態では、例えばFAXに関するジョブとコピーに関するジョブは、優先度が高いジョブと判断され、それ以外の機能に関するジョブは優先度が低いジョブと判断されるように、設定されていても良い。
【0083】
本実施形態では、以上のようにして退避対象となる画像データを選択することで、優先度の高いジョブに関する画像データを自機に保存することができる。
【0084】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第三の実施形態について説明する。本発明の第三の実施形態は、画像データを分割して退避させる点のみ第一の実施形態と相違する。よって以下の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0085】
図12は、第三の実施形態の画像形成システムを説明する図である。本実施形態の画像形成システム100Aは、画像形成装置200、300、400、500を有する。
【0086】
図12は、例えば画像形成装置200において、あるジョブの投入により原稿用紙5枚分の画像データが入力された場合を示している。本実施形態では、例えば画像形成装置200に入力された5枚分の画像データを3つに分割し、分割された画像データを連携先となり得る画像形成装置300、400、500へ退避させる。
【0087】
以下に図13を参照して本実施形態の画像形成システム100Aの動作を説明する。図13は、第三の実施形態の画像形成システムの動作を説明する第一のフローチャートである。
【0088】
図13のステップS1301からステップS1304までの処理は、図6のステップS601〜ステップS604までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0089】
ステップS1304において、連携先メモリ残量問合せ部215により問い合わせを受けた画像形成装置300は、ジョブ記憶部に残容量があるか否かを判断する(ステップS1305)。
【0090】
ステップS1305においてジョブ記憶部に残容量がある場合、データ退避部217は、画像形成装置300へ画像データを転送する(ステップS1306)。このときデータ退避部217は、画像形成装置300のジョブ記憶部の残容量に対応したサイズの画像データを転送する。ステップS1305においてジョブ記憶部に残容量がない場合、後述するステップS1307へ進む。
【0091】
続いてデータ退避制御部216は、退避対象の画像データにおいて転送されていない画像データが存在するか否かを判断する(ステップS1307)。ステップS1307において、転送されていない画像データが存在しない場合、画像形成装置200は画像データの退避処理を終了する。
【0092】
ステップS1307において転送されていない画像データが存在する場合、データ退避制御部216は、連携先リスト保持部214へ問い合わせて画像形成装置300以外に連携先となり得る画像形成装置があるか否かを判断する(ステップS1308)。ステップS1318において連携先となり得る画像形成装置がない場合、ジョブ管理部221はメモリフルとしてジョブをキャンセルする(ステップS1309)。
【0093】
ステップS1308において連携先となり得る画像形成装置がある場合、画像形成装置200はステップS1304からの処理を繰り返す。
【0094】
本実施形態では、以上の処理を実行することにより、退避対象の画像データ全てを1台の連携装置に記憶できなかった場合でも、退避対象の画像データを分割して複数台の連携装置へ画像データを退避させることができる。
【0095】
次に、図14を参照して連携装置が複数台ある場合の画像データの引き取りについて説明する。図14は、第三の実施形態の画像形成システムの動作を説明する第二のフローチャートである。図14では、複数台の連携装置に分割されて退避させた画像データをすべと引き取り、印刷処理を行う例を示している。
【0096】
図14のステップS1401からステップS1404までの処理は、図8のステップS801からステップS804までの処理と同様であるから説明を省略する。ステップS1404に続いてデータ引取部218は、他の画像形成装置に退避させた画像データがあるか否かを判断する(ステップS1405)。
【0097】
本実施形態では、退避対象の画像データを分割して複数台の連携装置に退避させた場合、画像データを退避された連携装置の情報がジョブ記憶部212へ記憶される。データ引取部218は、ジョブ記憶部212に記憶された連携装置の情報に基づき、他に画像データを退避させた画像形成装置があるか否かを判断する。ここで言う他の連携装置とは、画像形成装置400、500である。
【0098】
ステップS1405において、画像データを退避させた他の連携装置がある場合、データ引取部218はステップS1402へ戻り、ステップS1402からの処理を繰り返す。
【0099】
ステップS1405において画像データを退避させた他の連携装置がない場合、データ引取部218は、退避させた画像データ全てを引き取ったことになる。データ引取部218は、引き取った画像データを結合する(ステップS1406)。続いてジョブが実行されて画像データが印刷される(ステップS1407)。
【0100】
以上のように本実施形態では、退避対象の画像データを複数台の連携装置へ退避させることができる。
【0101】
(第四の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第四の実施形態について説明する。本発明の第四の実施形態では、連携装置のジョブ記憶部に残容量が存在しない場合にジョブのみを連携先へ投入する。以下の本発明の第四の実施形態では、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0102】
図15は、第四の実施形態の画像形成システムを説明する図である。図15に示す画像形成システム100Bでは、画像形成装置200が画像形成装置300と連携して画像形成装置200に入力された画像データを画像形成装置300からFAX送信する場合を示している。
【0103】
本実施形態の画像形成システム100Bでは、例えば連携装置である画像形成装置300のジョブ記憶部に残容量がない場合、画像データは送信せずにジョブのみを画像形成装置300へ投入する。
【0104】
以下に図16を参照して本実施形態の画像形成システム100Bの動作を説明する。図16は、第四の実施形態の画像形成システムの動作を説明するフローチャートである。
【0105】
画像形成装置200において、FAX送信の操作がなされると(ステップS1601)、連携先メモリ残量問合せ部215は、連携先となる画像形成装置300へメモリの残容量を問い合わせる(ステップS1602)。尚本実施形態の画像形成システム100Bでは、画像形成装置300のみがFAX機能を有するものとしたため、画像形成装置300が連携装置となる。画像形成システム100Bに、FAX機能を有する画像形成装置が複数台あった場合には、FAX機能を有する画像形成装置のうちメモリの残容量が一番大きい画像形成装置が連携装置となる。
【0106】
続いてデータ退避制御部216は、連携装置のメモリの残容量があるか否かを判断する(ステップS1603)。ステップS1603において連携装置のメモリの残容量がある場合、データ退避制御部216は連携装置へジョブの実行が指示されたことを通知し、データ退避部217に
より画像データを連携装置へ転送する(ステップS1604)。
【0107】
ステップS1603において連携装置のメモリの残容量がない場合、データ退避制御部216は、連携装置へジョブの実行が指示されたことを通知し、画像データは画像形成装置200のジョブ記憶部212に保存する(ステップS1605)。
【0108】
本実施形態では、連携装置である画像形成装置300のメモリに画像データを保存できる空き容量ができた場合に、画像形成装置200が画像データを画像形成装置300へ転送する。
【0109】
以上のように本実施形態では、FAX機能の実行に関しては、連携装置のメモリの残容量が不足する場合は画像データを画像形成装置200に保存する。
【0110】
(第五の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第五の実施形態について説明する。本発明の第五の実施形態では、画像データを退避させた画像形成装置が使用不可となる場合を考慮した。以下に本発明の第五の実施形態の説明では、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0111】
図17は、第五の実施形態の画像形成システムを説明する図である。図17では、画像形成システム100Cにおいて、画像形成装置200から画像形成装置300へ画像データを退避させた状態で、画像形成装置300がシャットダウンされる場合を示している。図17に示す場合では、画像形成装置200は画像形成装置300から退避させた画像データを一旦引き取り、画像形成装置400へ再度画像データを退避させる。
【0112】
以下に図18を参照して本実施形態の画像形成システム100Cの動作を説明する。図18は、第五の実施形態の画像形成システム100の動作を説明するフローチャートである。
【0113】
画像形成システム100Cにおいて、画像形成装置300がシャットダウンされると、画像形成装置200の連携先使用不可検知部223は、画像形成装置300からシャットダウン通知を受ける(ステップS1801)。続いて画像形成装置200は、連携先メモリ残量問合せ部215により、画像形成装置300以外の連携装置となり得る画像形成装置400へメモリの残容量を問い合わせる(ステップS1802)。
【0114】
続いてデータ退避制御部216は、画像形成装置400のメモリの残容量があるか否かを判断する(ステップS1803)。ステップS1803においてメモリの残容量がある場合、データ退避制御部216は、画像形成装置300に対して退避させた画像データの引き取り要求を行う(ステップS1804)。
【0115】
続いて画像形成装置200は、データ引取部218により、画像形成装置300に退避させた画像データを画像形成装置300から引き取る(ステップS1805)。続いて画像形成装置200は、データ退避部217により、引き取った画像データを画像形成装置400へ転送する(ステップS1806)。
【0116】
まだステップS1803において、画像形成装置400のメモリの残容量がない場合、データ退避制御部216は、連携先リスト保持部214を参照して他に連携先となり得る画像形成装置が存在するか否かを判断する(ステップS1807)。ステップS1807において、他に連携先となり得る画像形成装置が存在する場合、ステップS1802へ戻る。ステップS1807において該当する画像形成装置が存在しない場合、画像形成装置200は処理を終了する。
【0117】
以上のように本実施形態では、画像データを退避させた連携装置がシャットダウンされる場合には、退避させた画像データを他の連携装置へ転送する。したがって、画像データの退避先である連携装置が使用不可の状態となっても退避対象の画像データを引き取ることができる。
【0118】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0119】
100、100A、100B、100C 画像形成システム
200、300、400 画像形成装置
210 ジョブ受付部
211 データ受付部
212 ジョブ記憶部
213 ジョブ記憶残量計測部
214 連携先リスト保持部
215 連携先メモリ残量問合せ部
216 データ退避制御部
217 データ退避部
218 データ引取部
219 連携先メモリ残量表示部
220 データ分割部
221 ジョブ管理部
222 ジョブ優先順位管理部
223 連携先使用不可検知部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0120】
【特許文献1】特開2008−167122号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の画像形成装置と接続されており、前記他の画像形成装置と連携して一つの処理を実行する連携機能を有する画像形成装置であって、
ジョブを受け付けるジョブ受付手段と、
前記ジョブに関する画像データを受け付けるデータ受付手段と、
前記ジョブに関する情報と、前記画像データとを記憶するジョブ記憶手段と、
前記ジョブ受付手段が前記ジョブを受け付けたとき前記ジョブ記憶手段の残容量が所定値以下であった場合に、前記他の画像形成装置へ前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量を問い合わせる問合せ手段と、
前記問合せ手段により取得した前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量に基づき、前記画像データを退避させる前記他の画像形成装置を選択するデータ退避制御手段と、
選択された前記他の画像形成装置へ前記画像データを退避させるデータ退避手段と、を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記他の画像形成装置は複数であって、
前記複数の前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量を比較する比較手段を有し、
前記データ退避制御手段は、
前記比較手段による比較の結果、前記記憶手段の前記残容量が最も大きい前記他の画像形成装置を、前記画像データの退避先として選択する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記他の画像形成装置へ退避させた前記画像データを引き取るデータ引取手段を有する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記他の画像形成装置へ前記画像データを退避させる際に、前記画像データを分割するデータ分割手段を有する請求項1ないし3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ジョブの優先順位を管理する優先順位管理手段を有し、
前記データ退避手段による退避の対象となる画像データは、前記画像データに関する前記ジョブの優先度に基づき決定される請求項1ないし4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数の前記他の画像形成装置の前記記憶手段の前記残容量の一覧を表示させる表示手段を有する請求項1ないし5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記他の画像形成装置が使用可能な状態か否かを検知する使用可能検知手段を有し、
前記画像データの退避先である他の画像形成装置が使用不可能な状態となったとき、前記データ引取手段は、前記他の画像形成装置から退避させた前記画像データを引き取り、
前記データ退避手段は、引き取った前記画像データを前記他の画像形成装置とは別の他の画像形成装置へ退避させる請求項3ないし6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
他の画像形成装置と、前記他の画像形成装置と連携して一つの処理を実行する連携機能を有する画像形成装置と、が接続されて構成される画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
ジョブを受け付けるジョブ受付手段と、
前記ジョブに関する画像データを受け付けるデータ受付手段と、
前記ジョブに関する情報と、前記画像データとを記憶するジョブ記憶手段と、
前記ジョブ受付手段が前記ジョブを受け付けたとき前記書部記憶手段の残容量が所定値以下であった場合に、前記他の画像形成装置へ前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量を問い合わせる問合せ手段と、
前記問合せ手段により取得した前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量に基づき、前記画像データを退避させる前記他の画像形成装置を選択するデータ退避制御手段と、
選択された前記他の画像形成装置へ前記画像データを退避させるデータ退避手段と、を有する画像形成システム。
【請求項9】
他の画像形成装置と接続されており、前記他の画像形成装置と連携して一つの処理を実行する連携機能を有する画像形成装置による画像形成方法であって、
ジョブを受け付けるジョブ受付手順と、
前記ジョブに関する画像データを受け付けるデータ受付手順と、
前記ジョブに関する情報と、前記画像データとをジョブ記憶手段に記憶させるジョブ記憶手順と、
前記ジョブ受付手段が前記ジョブを受け付けたとき前記ジョブ記憶手段の残容量が所定値以下であった場合に、前記他の画像形成装置へ前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量を問い合わせる問合せ手順と、
前記問合せ手順において取得した前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量に基づき、前記画像データを退避させる前記他の画像形成装置を選択するデータ退避制御手順と、
選択された前記他の画像形成装置へ前記画像データを退避させるデータ退避手順と、を有する画像形成装置。
【請求項10】
他の画像形成装置と接続されており、前記他の画像形成装置と連携して一つの処理を実行する連携機能を有する画像形成装置おいて実行される画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置に、
ジョブを受け付けるジョブ受付ステップと、
前記ジョブに関する画像データを受け付けるデータ受付ステップと、
前記ジョブに関する情報と、前記画像データとをジョブ記憶手段に記憶させるジョブ記憶ステップと、
前記ジョブ受付手段が前記ジョブを受け付けたとき前記ジョブ記憶手段の残容量が所定値以下であった場合に、前記他の画像形成装置へ前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量を問い合わせる問合せステップと、
前記問合せステップにおいて取得した前記他の画像形成装置の記憶手段の残容量に基づき、前記画像データを退避させる前記他の画像形成装置を選択するデータ退避制御ステップと、
選択された前記他の画像形成装置へ前記画像データを退避させるデータ退避ステップと、を実行させる画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−176504(P2012−176504A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39596(P2011−39596)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】