画像形成装置、画像形成システムおよび制御プログラム
【課題】消費電力の削減を図りながら原稿を取り除く手間を省くことができる画像形成装置、画像形成システムおよび制御プログラムを提供する。
【解決手段】原稿を搬送する原稿搬送モータと、原稿搬送モータが搬送する原稿を読み取って読取画像を生成するスキャナ画像処理部と、読取画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、異常検出手段がプロッタ部の異常を検出した場合に、スキャナ画像処理部に対する電源供給を遮断するとともに、原稿搬送モータによる原稿の搬送速度を、スキャナ画像処理部による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くするシステム制御部と、を備える。
【解決手段】原稿を搬送する原稿搬送モータと、原稿搬送モータが搬送する原稿を読み取って読取画像を生成するスキャナ画像処理部と、読取画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、異常検出手段がプロッタ部の異常を検出した場合に、スキャナ画像処理部に対する電源供給を遮断するとともに、原稿搬送モータによる原稿の搬送速度を、スキャナ画像処理部による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くするシステム制御部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システムおよび制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複写機などの画像形成装置は、オフィス環境などにおいて欠くことのできない機器として広く普及している。近年、経費削減や環境保護の観点から、このような画像形成装置が消費する電力を削減する取り組みが盛んに行われるようになってきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、異常状態が発生すると、その異常状態発生時の動作状況情報をNVRAMに記憶して、消費電力を削減する異常時用省エネルギモードに移行するとともに、異常状態を解除する異常状態解除操作の有無を監視して、異常状態解除操作が行われると、NVRAMの動作状況情報に基づいて異常時用省エネルギモードから復帰するようにした画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置は、用紙ジャムや用紙切れ、トナー切れなどのプロッタ部の異常が発生すると、異常時用省エネルギモードに移行してエンジン制御部全体に対する通電を遮断し、プロッタ部だけでなくスキャナ部も停止させて、消費電力の削減を図るようにしている。このため、スキャナ部が原稿の読み取りを行っている間にプロッタ部に異常が発生した場合には、スキャナ部における原稿の搬送が途中で止まってしまい、オペレータが例えばジャムの除去など、プロッタ部における異常状態を解除した後に、途中で搬送が止まった原稿も取り除かなければならず、特に大判サイズの長尺原稿の読み取りを行っていた場合などには、この原稿を取り除く作業に手間がかかるといった問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、消費電力の削減を図りながら原稿を取り除く手間を省くことができる画像形成装置、画像形成システムおよび制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像形成装置は、原稿を搬送する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる画像形成システムは、スキャナ装置とプロッタ装置とが通信可能に接続された画像形成システムであって、前記スキャナ装置は、原稿を搬送する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、前記画像を前記画像形成装置に送信する第1の送信手段と、前記画像形成装置から送信された制御指令を受信する第1の受信手段と、を備え、前記プロッタ装置は、前記スキャナ装置から送信された前記画像を受信する第2の受信手段と、前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする制御指令を生成する制御手段と、前記制御指令を前記スキャナ装置に送信する第2の送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる画像形成システムは、スキャナ装置とプロッタ装置とが通信可能に接続された画像形成システムであって、前記スキャナ装置は、原稿を搬送する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、前記画像を前記画像形成装置に送信する第1の送信手段と、前記画像形成装置から送信された異常信号を受信する第1の受信手段と、前記第1の受信手段が前記異常信号を受信した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする制御手段と、を備え、前記プロッタ装置は、前記スキャナ装置から送信された前記画像を受信する第2の受信手段と、前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、異常信号を前記スキャナ装置に送信する第2の送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる制御プログラムは、原稿を搬送する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、制御手段と、を備えた画像形成装置において実行される制御プログラムであって、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする機能を、前記制御手段に実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プロッタ部の異常を検出した場合に、原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くするので、消費電力の削減を図りながら原稿を取り除く手間を省くことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態にかかるデジタル複写機の全体構成を模式的に示す側面図である。
【図2】図2は、実施の形態にかかるデジタル複写機のスキャナ部を上方から見下ろした様子を模式的に表す平面図である。
【図3】図3は、実施の形態にかかるデジタル複写機の電気的な回路構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態におけるシステム制御部の機能構成を示した機能ブロック図である。
【図5】図5は、原稿の読み取り条件と、原稿搬送速度設定部が設定する搬送速度との対応関係の一例を示す図である。
【図6】図6は、原稿の読み取り時における搬送速度と、切り換え後の搬送速度との対応関係の一例を示す図である。
【図7】図7は、実施の形態にかかるデジタル複写機における動作モードの遷移を示す状態遷移図である。
【図8】図8は、動作モードごとのデジタル複写機の各部に対する電源供給状態を纏めた図である。
【図9】図9は、プロッタ異常スキャナモードにおける原稿の搬送速度を、原稿読み取り時の搬送速度と同じ速度とした場合の原稿搬送モータによる消費電力と、原稿読み取り時の搬送速度よりも速い速度に切り換えた場合の原稿搬送モータによる消費電力とを対比して示す図である。
【図10】図10は、第1の実施の形態にかかるデジタル複写機において、スキャナモードによる原稿の読み取りと第1プリントモードによるプリント出力とを同時並行で実行する場合の動作の概要を示すフローチャートである。
【図11】図11は、第2の実施の形態におけるシステム制御部の機能構成を示した機能ブロック図である。
【図12】図12は、読み取りを中断した原稿の排出長および未挿入長を算出する方法の一例を説明する図である。
【図13】図13は、第2の実施の形態にかかるデジタル複写機において、スキャナモードによる原稿の読み取りと第1プリントモードによるプリント出力とを同時並行で実行する場合の動作の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成システムおよび制御プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、シートスルー方式のスキャナ部で原稿の画像を読み取り、プロッタ部で原稿の画像をロール紙に印刷する大判対応型のデジタル複写機に対して本発明を適用した例である。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態にかかるデジタル複写機の全体構成を模式的に示す側面図である。本実施の形態にかかるデジタル複写機は、図1に示すように、プロッタ部1とスキャナ部2とを備えている。
【0014】
プロッタ部1には、給紙部10が設けられている。給紙部10には、複数のロール紙(用紙)Pと、用紙Pを搬送する給紙ローラ11a,11b,12a,12b、13と、これら給紙ローラ11a,11b,12a,12b,13を駆動する給紙モータ14が配置されている。用紙Pは、給紙ローラ11a,11b,12a,12b,13で搬送された後、レジストモータ16で駆動されるレジストローラ15によりプラテン板17まで搬送される。
【0015】
プラテン板17には複数の貫通孔が設けられている。また、プラテン板17の下部には、プラテン板17上の用紙Pを吸引する図示しない吸引ファンが配置されている。レジストローラ15によりプラテン板17まで搬送された用紙Pは、プラテン板17に設けられた複数の貫通孔を介して吸引ファンによりプラテン板17上に吸いつけられて、その姿勢が保持される。
【0016】
プラテン板17の上部には、インクを吐出するためのヘッド18を搭載したキャリッジ19が配置されている。キャリッジ19は、用紙Pの搬送方向と直交する主走査方向(用紙Pの幅方向)に沿って往復移動する。また、キャリッジ19が停止している間に、レジストローラ15により用紙Pがヘッド18の印字ラインに相当する送り量分だけ搬送方向(副走査方向)に送られる。そして、キャリッジ19が、スキャナ部2から出力される画像データに基づいて、主走査方向に移動しながらヘッド18からプラテン板17上の用紙Pに向かってインクを吐出することで、用紙Pに画像を描画する。
【0017】
画像が描画された用紙Pは、それぞれ対をなす排紙ローラ20a,20bおよび21a,21bにより所定の位置まで搬送され、カッタ22でカットされて排出口23から排出される。なお、用紙Pの搬送経路には、図示を省略するが、搬送される用紙Pの状態を監視するための複数のセンサが設置されている。ジャムなどの用紙Pの搬送に関わる異常は、例えば、用紙Pの搬送中にこれら複数のセンサの状態を監視し、これらのセンサが本来あるべき反応を示さない場合に異常が発生したと判定することができる。
【0018】
スキャナ部2は、原稿台30に載置された原稿Gを原稿挿入口31からスキャナ部2の内部に取り込み、原稿搬送モータ33により駆動される原稿搬送ローラ32a,32bによって原稿Gを搬送しながら、その搬送経路に設けられた密着イメージセンサ(以下、CISという。)34により原稿の画像を読み取るシートスルー方式の画像読取装置である。
【0019】
原稿搬送ローラ32aは原稿Gの搬送経路におけるCIS34よりも上流側に配置され、原稿搬送ローラ32bは原稿Gの搬送経路におけるCIS34よりも下流側に配置されている。また、CIS34の画像読取面と対向する位置には、搬送される原稿GをCIS34の画像読取面に密着させる原稿押さえ板35が配置されている。
【0020】
原稿挿入口31の近傍には、挿入された原稿Gを検出する原稿挿入センサSe0と、原稿Gのサイズを検出する複数の原稿サイズセンサSe1〜Se4が設けられている。原稿挿入センサSe0は、図2に示すように、デジタル複写機の正面から見て略中央に配置され、原稿サイズセンサSe1〜Se4は、原稿挿入センサSe0からデジタル複写機の側面方向に向かって間隔をあけて順次配列されている。なお、図2は、スキャナ部2を上方から見下ろした様子を模式的に表す平面図である。
【0021】
また、原稿Gの搬送経路における原稿挿入センサSe0の下流側には、原稿Gの読み取りタイミングの基準となる信号を出力する原稿レジストセンサSe5が配置され、原稿Gをスキャナ部2の外部に排出する原稿排出口36の近傍には、原稿Gが排出されたことを検出する原稿排出センサSe6が配置されている。
【0022】
また、CIS34の画像読取面を開閉する原稿カバー37には、この原稿カバー37の開閉を検出するカバー開閉センサSe7が設けられている。また、原稿カバー37と一体に設けられた操作部7の近傍には、原稿Gの搬送を緊急停止させる緊急停止キーSe8が設けられている。なお、デジタル複写機のメインスイッチ8は、プロッタ部1を内蔵する筐体の外側に配置されている。
【0023】
原稿台30に載置された原稿Gは、原稿挿入口31からスキャナ部2の内部に取り込まれ、原稿搬送モータ33により駆動される原稿搬送ローラ32a,32bによってCIS34の画像読取面と対向する位置を通過するように搬送される。そして、原稿GがCIS34の画像読取面と対向する位置を通過する過程で、原稿Gの画像がCIS34によって光学的に読み取られる。画像の読み取りが終了した原稿Gは、原稿排出口36から排出される。
【0024】
このとき、原稿Gの挿入は原稿挿入センサSe0により検出され、原稿Gの排出は原稿排出センサSe6により検出される。また、原稿サイズセンサSe1〜Se4により原稿Gのサイズが検出される。また、原稿Gの先端が原稿レジストセンサSe5の位置に到達すると、原稿レジストセンサSe5からCIS34による原稿Gの読み取りタイミングの基準となる信号が出力される。また、原稿Gの読み取りを行っている間に発生するジャムなどの異常は、例えば、これらの各センサが本来あるべき反応を示さないことによって検知することができる。
【0025】
図3は、本実施の形態にかかるデジタル複写機の電気的な回路構成を示すブロック図であり、特にデジタル複写機の各部に対する電源の供給経路を示した図である。図中の実線の矢印が各部に対する電源の供給経路を示している。
【0026】
本実施の形態にかかるデジタル複写機は、図3に示すように、上述したプロッタ部1およびスキャナ部2に加え、システム制御部3と、システム制御部3により制御されるI/O部4と、外部I/F部5と、電源部6と、操作部7およびメインスイッチ8を備えている。
【0027】
システム制御部3は、CPU301およびメモリ302を備えたマイクロコンピュータにより構成され、CPU301がメモリ302を利用しながら、デジタル複写機としての基本処理プログラムを実行することによって、プロッタ部1やスキャナ部2、I/O部4、外部I/F部5などのデジタル複写機の各部の動作を制御する。また、特に本実施の形態にかかるデジタル複写機では、プロッタ部1に異常が検出された場合のスキャナ部2の動作を制御するための制御プログラムがシステム制御部3のメモリ302に格納されている。CPU301がこの制御プログラムを実行することによって、システム制御部3には、図4に示すように、原稿搬送速度設定部311と、プロッタ異常判定部312と、影響有無判定部313と、電源制御部314と、原稿搬送速度切り換え部315の各機能構成が実現される。
【0028】
原稿搬送速度設定部311は、スキャナ部2による原稿Gの読み取り条件に応じて、原稿Gの読み取り時における搬送速度を設定する。図5は、原稿Gの読み取り条件と、原稿搬送速度設定部311が設定する搬送速度との対応関係の一例を示す図である。図5に示すように、原稿搬送速度設定部311は、一例として、カラー画像の読み取りの場合はモノクロ画像の読み取りの場合よりも原稿Gの搬送速度を遅く設定し、読み取り倍率が高い場合は低い場合よりも原稿Gの搬送速度を遅く設定する。
【0029】
プロッタ異常判定部312は、プロッタ部1の動作中にプロッタ部1に異常が発生したか否かを判定する。プロッタ部1の異常としては、用紙Pの搬送に関わる異常や、書込画像のデータ処理を実行する後述のASIC(Application Specific Integrated Circuit)に関する異常などがある。ASICは、用紙Pの種類等に応じて定まる書き込み有効期間を表す信号に基づいて書き込み画像のデータ処理を実行するが、書き込みタイミングになっても書き込み有効期間を表す信号が確定しない場合や、書き込み有効期間を表す信号が一定時間経過してもオフしない場合などが、ASICに関する異常に該当する。また、プロッタ部1の動作中にASICが所定の時間応答しないような場合も、ASICに関する異常に該当する。
【0030】
プロッタ異常判定部312は、用紙Pの搬送に関わる異常については、例えば、上述した用紙Pの搬送経路に設けられた複数のセンサの状態を監視し、これらのセンサが本来あるべき反応を示さない場合に異常が発生したと判定する。また、プロッタ異常判定部312は、ASICに関する異常については、書き込み有効期間を表す信号が確定しない、あるいは書き込み有効期間を表す信号がオフしないといった異常を知らせる信号をASICから取得することによって、異常が発生したと判定する。また、プロッタ異常判定部312は、プロッタ部1の動作中にASICとの間で所定の時間以上通信できない場合に、ASICに異常が発生したと判定する。
【0031】
影響有無判定部313は、プロッタ異常判定部312によりプロッタ部1に異常が発生したと判定された場合に、そのプロッタ部1の異常が、スキャナ部2での読み取りを通じて生成される原稿Gの画像(以下、読取画像という。)に影響を与えるか否かを判定する。具体的には、影響有無判定部313は、例えば、プロッタ異常判定部312が異常発生と判定したプロッタ部1の異常が、上述したASICに関する異常である場合に、プロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定する。
【0032】
電源制御部314は、電源部6に設けられた切り換えスイッチ602やスキャナ部2に設けられた切り換えスイッチ233,244、プロッタ部1に設けられた切り換えスイッチ130に電源切り換え信号(図3中の破線で示す矢印)を送り、これら切り換えスイッチ602,233,244,130のオン/オフを制御することで、デジタル複写機の各部に対する電源供給を制御する。この電源制御部314は、特に、プロッタ異常判定部312によりプロッタ部1に異常が発生したと判定されるとプロッタ部1に対する電源供給を遮断し、影響有無判定部313によりプロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定された場合には、さらに、スキャナ部2のうち、後述するスキャナ画像処理部210に対する電源供給を遮断し、後述するスキャナ制御部220のみに電源供給が行われるようにする。
【0033】
原稿搬送速度切り換え部315は、プロッタ異常判定部312によりプロッタ部1に異常が発生したと判定され、影響有無判定部313によりプロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定された場合に、原稿Gの搬送速度を、読み取り時における搬送速度よりも速い速度に切り換える。図6は、原稿Gの読み取り時における搬送速度と、切り換え後の搬送速度との対応関係の一例を示す図である。図6に示すように、原稿搬送速度設定部311は、プロッタ異常判定部312によりプロッタ部1に異常が発生したと判定され、影響有無判定部313によりプロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定された場合に、原稿Gの搬送速度を、原稿搬送速度設定部311により設定された速度よりも速い速度、例えば180mm/sに切り換える。なお、このときの原稿Gの搬送速度は、原稿Gに損傷を与えない程度の速度であって、原稿搬送速度設定部311により設定された原稿Gの読み取り時より速い速度であればよく、任意に変更することが可能である。
【0034】
図3に示す外部I/F部5には、外部装置、例えばパーソナルコンピュータやサーバ等が接続されている。外部I/F部5は、システム制御部3の制御のもとで外部装置と通信し、外部装置との間で画像データの送受信を行う。
【0035】
電源部6は、外部商用電源9を整流および電圧調整して必要な電圧・電流を生成するAC/DCコンバータ601と、システム制御部3の電源制御部314からの電源切り換え信号によってオン/オフが切り換えられる切り換えスイッチ602を備える。電源部6は、切り換えスイッチ602がオンされている場合に、AC/DCコンバータ601で生成された直流電源をプロッタ部1、スキャナ部2、システム制御部3、外部I/F部5、操作部7の各部に電源を供給し、切り換えスイッチ602がオフされると、上記各部への電源供給を遮断する。また、電源部6は、切り換えスイッチ602がオフされている場合であっても、システム制御部3の一部(少なくともCPU301)、外部I/F部5、操作部7の一部(主電源キー)に対しては、切り換えスイッチ602を介さずに、AC/DCコンバータ601で生成された直流電源を直接供給する。
【0036】
操作部7は、使用者がデジタル複写機を使用する際に操作する主電源キーや、使用者が直接コマンドを入力するためのキー(テンキー、コピースタートキー、モード設定キー等)を備えている。この操作部7から入力されたコマンドの処理は、システム制御部3で実行される。
【0037】
メインスイッチ8は、デジタル複写機の電源部6と外部商用電源9との接続/遮断を切り換えるスイッチである。
【0038】
プロッタ部1は、インクを吐出して画像を書き込む上述したヘッド18と、システム制御部3による制御のもとで、ヘッド18により書き込む画像のデータを処理する画像書込処理部110と、画像書込処理部110から出力された書込画像データを用紙Pに書き込むためにヘッド18を制御する書込制御部120を備える。画像書込処理部110には、書込画像のデータ処理を実行するASIC111および処理に必要なデータを格納するメモリ112が設けられている。
【0039】
スキャナ部2は、回路構成として、スキャナ画像処理部210(特許請求の範囲に記載の「原稿読取手段」に相当)と、スキャナ制御部220を備える。
【0040】
スキャナ画像処理部210は、スキャナ部2のうち、原稿Gの画像の読み取りおよび読み取った画像の処理を行う部分であり、原稿Gの画像を光学的に読み取る上述したCIS34と、読取制御部230と、読取画像処理部240を備える。なお、CIS34の照明にはLEDが好適である。
【0041】
読取制御部230には、AFE(アナログフロントエンド)231およびメモリ232が設けられており、CIS34によって読み取られたアナログ画像データをAFE231でデジタル画像データに変換して読取画像処理部240に出力する。また、読取制御部230には、システム制御部3の電源制御部314からの電源切り換え信号によってオン/オフが切り換えられる切り換えスイッチ233が設けられており、電源部6から読取制御部230内のAFE231およびメモリ232、CIS34への電源の供給と遮断を、この切り換えスイッチ233のオン/オフによって個別に切り換えられるようになっている。
【0042】
読取画像処理部240には、ASIC241、メモリ242、FPGA(Field Programmable Gate Array)243などが設けられており、CIS34によって読み取られた画像に対して所定の画像処理を実行して、読取画像としてプロッタ部1に出力する。また、読取画像処理部240にも、読取制御部230に設けられた切り換えスイッチ233と同様に、システム制御部3の電源制御部314からの電源切り換え信号によってオン/オフが切り換えられる切り換えスイッチ244が設けられており、電源部6から読取画像処理部240内のASIC241、メモリ242、FPGA243への電源の供給と遮断を、この切り換えスイッチ244のオン/オフによって個別に切り換えられるようになっている。
【0043】
スキャナ制御部220は、スキャナ部2のうち、原稿Gの搬送制御や異常検知などを行う部分であり、原稿Gを搬送するための上述した原稿搬送モータ33(特許請求の範囲に記載の「原稿搬送手段」に相当)と、この原稿搬送モータ33の駆動制御を行うモータドライバ221と、スキャナセンサ部222を備える。スキャナセンサ部222は、上述した原稿挿入センサSe0、原稿サイズセンサSe1〜Se4、原稿レジストセンサSe5、原稿排出センサSe6、カバー開閉センサSe7および緊急停止キーSe8の総称である。
【0044】
本実施の形態にかかるデジタル複写機では、以上のように、スキャナ部2のスキャナ画像処理部210に、システム制御部3からの電源切り換え信号によってオン/オフが切り換えられる切り換えスイッチ233,244を設け、この切り換えスイッチ233,244のオン/オフによって、スキャナ画像処理部210に含まれる各部に対する電源供給を、スキャナ制御部220から切り離して制御できるようにしている。つまり、電源部6に設けた切り換えスイッチ602がオンされていれば、スキャナ部2のスキャナ制御部220に対しては常に電源が供給されるが、スキャナ画像処理部210に対しては、切り換えスイッチ233,244がオンであれば電源が供給され、切り換えスイッチ233,244がオフされれば電源供給が遮断されることになる。
【0045】
なお、図3に例示した回路構成では、スキャナ画像処理部210の読取制御部230と読取画像処理部240とにそれぞれ切り換えスイッチ233,244を設けるようにしているが、これら切り換えスイッチ233,244を統合して1つのスイッチとしてもよい。また、これら切り換えスイッチ233,244は、スキャナ画像処理部210に対する電源供給を個別に(つまり、スキャナ制御部220から切り離して)切り換えるように設けられていればよく、スキャナ部2の外部、例えば電源部6などに設けるようにしてもよい。
【0046】
また、本実施の形態にかかるデジタル複写機では、以上のように、プロッタ部2に、システム制御部3からの電源切り換え信号によってオン/オフが切り換えられる切り換えスイッチ130を設け、この切り換えスイッチ130のオン/オフによって、プロッタ部1に対する電源供給を個別に制御できるようにしている。つまり、電源部6に設けた切り換えスイッチ602がオンされていれば、スキャナ部2やシステム制御部3、操作部7などに対して電源が供給されるが、プロッタ部1に対しては、さらに切り換えスイッチ130がオンであれば電源が供給され、切り換えスイッチ130がオフされれば電源供給が遮断されることになる。
【0047】
図7は、本実施の形態にかかるデジタル複写機における動作モードの遷移を示す状態遷移図であり、図8は、動作モードごとのデジタル複写機の各部に対する電源供給状態を纏めた図である。以下、図7および図8を参照しながら、本実施の形態にかかるデジタル複写機の動作モードの遷移と各部に対する電源供給の切り換え手順の概要について説明する。
【0048】
電源コードが接続され、メインスイッチ8がオフの状態となっているプラグインモード(M100)では、デジタル複写機の全てに対して電源(AC電源)の供給が遮断されている。この状態でメインスイッチ8がオンされると、デジタル複写機の各部に電源が供給されて、スキャナ部2の初期設定が実行される。
【0049】
スキャナ部2の初期設定が終了すると、スキャナ画像処理部210に設けられた切り換えスイッチ233,244がオンからオフに切り換えられる。これにより、スキャナ画像処理部210に対する電源供給が遮断され、コマンド待受状態であるスタンバイモード(M101)に移行する。
【0050】
スタンバイモード(M101)において、コマンドが何ら入力されることなく予め設定された時間が経過すると、自動的に起動トリガ待受状態であるスリープモード(M102)に移行する。このスリープモード(M102)では、システム制御部3の一部(CPU301)と外部I/F部5と操作部7の一部(主電源キー)に対してのみ電源が供給され、その他の電源は、電源部6に設けられた切り換えスイッチ602がオフされることで、遮断される。
【0051】
スリープモード(M102)において、操作部7の主電源キーが押下されると、スタンバイモード(M101)へ移行する。また、スリープモード(M102)において、外部I/F部5がパーソナルコンピュータ等の外部装置から印刷コマンドを受信すると、第2プリントモード(M104)に移行して印刷が行われる。この第2プリントモード(M104)では、プロッタ部1、システム制御部3、外部I/F部5に対しては電源が供給され、スキャナ部2に対する電源供給は遮断される。また、操作部7については主電源キーに対してのみ電源が供給され、それ以外の電源供給は遮断される。
【0052】
第2プリントモード(M104)において、プリントのコマンドが終了するとスリープモード(M102)に自動的に移行する。
【0053】
また、スタンバイモード(M101)において、スキャナ部2の原稿挿入センサSe0により原稿Gの挿入が検出されると、スキャナ画像処理部210に設けられた切り換えスイッチ233,244がオフからオンに切り換えられて、スキャナ画像処理部210に対して電源が供給される。そして、スキャナ部2に対する初期設定が実行され、初期設定が終了すると、原稿Gの読み取りを行うスキャナモード(M105)に移行する。このスキャナモード(M105)では、デジタル複写機の全てに対して電源が供給される。
【0054】
また、スタンバイモード(M101)においてコピーの実行を指示するコマンドが入力された場合には、スキャナモード(M105)で読み取りが行われた画像データの処理が終了した段階で逐次印刷を実行する第1プリントモード(M103)に移行する。この場合、原稿Gの読み取りおよび画像処理が終了した段階で、スキャナ画像処理部210に設けられた切り換えスイッチ233,244がオンからオフに切り換えられ、スキャナ画像処理部210に対する電源供給が遮断される。そして、第1プリントモード(M103)でのプリント出力が実行され、プリント出力が終了したらスタンバイモード(M101)に移行する。
【0055】
また、スキャナモード(M105)において、原稿Gの読み取りを行っている間にスキャナセンサ部222によりジャムなどの何らかの異常が検知された場合には、スキャナ画像処理部210に設けられた切り換えスイッチ233,244がオンからオフに切り換えられてスキャナ画像処理部210に対する電源供給が遮断され、スタンバイモード(M101)に移行する。
【0056】
本実施の形態にかかるデジタル複写機では、スキャナモード(M105)による原稿Gの読み取りと、第1プリントモード(M103)によるプリント出力とを同時並行で実行することが可能である。スキャナ部2で複数の原稿Gの読み取りおよび画像処理を行いながら、読み取りおよび画像処理が終了した原稿Gの読取画像から、プロッタ部1でプリント出力する場合がこれに該当する。この場合、第1プリントモード(M103)でのプリント出力中であっても、原稿Gの読み取りおよび画像処理も継続されているため、スキャナ画像処理部210に対する電源供給は遮断されない。
【0057】
この状態で、プロッタ部1に異常が発生すると、プロッタ部1に設けられた切り換えスイッチ130がオンからオフに切り換えられて、プロッタ部1に対する電源供給が遮断され、第1プリントモード(M103)によるプリント出力を終了する。そして、プロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えるか否かが判定され、プロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えないと判定された場合は、スキャナモード(M105)のみの動作モードに移行する。このときのスキャナモード(M105)は、プロッタ部1に対する電源供給は遮断した状態となる。
【0058】
一方、プロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定された場合は、プロッタ異常スキャナモード(M106)に遷移する。プロッタ異常スキャナモード(M106)では、スキャナ画像処理部210に設けられた切り換えスイッチ233,244がオンからオフに切り換えられ、スキャナ画像処理部210に対する電源供給が遮断される。また、プロッタ異常スキャナモード(M106)では、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送速度が、スキャナモード(M105)での読み取り時における搬送速度よりも速い速度に切り換えられる。ここでの原稿Gの搬送は、読み取りを中断した原稿Gを排出させるための搬送であり、搬送速度を速い速度に切り換えることで、原稿Gを素早く排出できるようにしている。読み取りを中断した原稿Gの排出が完了すると、スリープモード(M102)に移行する。
【0059】
以上のように、本実施の形態にかかるデジタル複写機では、スキャナモード(M105)による原稿Gの読み取りと、第1プリントモード(M103)によるプリント出力とを同時並行で実行している場合に、プロッタ部1に異常が発生し、そのプロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定されると、プロッタ異常スキャナモード(M106)に移行して、プロッタ部1に対する電源供給を遮断するだけでなく、スキャナ部2のスキャナ画像処理部210に対する電源供給を遮断するようにしている。したがって、消費電力を大幅に削減することができる。また、プロッタ異常スキャナモード(M106)では、スキャナ制御部220に対する電源供給は継続されるので、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送を継続させることができ、読み取りを中断した原稿Gを、人手によらず外部に排出することができる。
【0060】
また、プロッタ異常スキャナモード(M106)における原稿Gの搬送速度は、スキャナモード(M105)における原稿Gの読み取り時の搬送速度よりも速い速度に切り換えられるので、読み取りを中断した原稿Gを素早く排出できるとともに、原稿Gを排出する際の原稿搬送モータ33による消費電力も低減させることができる。
【0061】
図9は、プロッタ異常スキャナモード(M106)における原稿Gの搬送速度を、スキャナモード(M105)における原稿Gの読み取り時の搬送速度と同じ速度とした場合の原稿搬送モータ33による消費電力と、プロッタ異常スキャナモード(M106)における原稿Gの搬送速度を、スキャナモード(M105)における原稿Gの読み取り時の搬送速度よりも速い速度に切り換えた場合の原稿搬送モータ33による消費電力とを対比して示す図である。なお、図9に示す例では、スキャナモード(M105)における原稿Gの読み取り時の搬送速度が80mm/sであり、プロッタ部1に異常が発生した時点で、原稿Gの読み取りが終了していない部分の搬送方向における長さが540mmである場合を想定し、プロッタ異常スキャナモード(M106)における原稿Gの搬送速度が80mm/sのままである場合を図9(a)のグラフで示し、プロッタ異常スキャナモード(M106)における原稿Gの搬送速度を180mm/sに切り換えた場合を図9(b)のグラフで示している。
【0062】
図9(a)に示すように、プロッタ異常スキャナモード(M106)における原稿Gの搬送速度を80mm/sのままとした場合、原稿搬送モータ33により消費される平均電力は11.6Wであり、原稿Gの排出が完了するまでの搬送時間は6.75sとなる。したがって、原稿Gの排出に要する原稿搬送モータ33の消費電力量(積算電力)は、78.3Wsとなる。
【0063】
一方、プロッタ異常スキャナモード(M106)における原稿Gの搬送速度を180mm/sに切り換えた場合は、図9(b)に示すように、原稿搬送モータ33により消費される平均電力は14.7Wであり、原稿Gの排出が完了するまでの搬送時間は3.0sとなる。したがって、原稿Gの排出に要する原稿搬送モータ33の消費電力量(積算電力)は44.1Wsとなり、原稿Gの搬送速度が80mm/sの場合と比較して、原稿搬送モータ33による消費電力を低減できることが分かる。
【0064】
次に、本実施の形態にかかるデジタル複写機において、スキャナモード(M105)による原稿Gの読み取りと第1プリントモード(M103)によるプリント出力とを同時並行で実行する場合の動作の概要について、特にスキャナ部2に関わる動作を中心に、図10のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の動作は、システム制御部3による制御のもとで実行される。
【0065】
スタンバイモード(M101)において、オペレータがコピーの実行を指示するコマンドを入力して原稿Gをスキャナ部2に挿入し、原稿挿入センサSe0により原稿Gの挿入が検知されると、スキャナ画像処理部210に対して電源が供給され、スキャナモード(M105)に移行して、スキャナ部2による原稿Gの読み取りが開始される(ステップS101)。このとき、システム制御部3の原稿搬送速度設定部311により、原稿Gの読み取り条件に応じて、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送速度が設定される。
【0066】
次に、スキャナ部2により原稿Gが読み取られて読取画像が生成されると、第1プリントモード(M103)の動作が開始され、プロッタ部1によるプリント出力が行われる(ステップS102)。プロッタ部1によるプリント出力中は、システム制御部3のプロッタ異常判定部312によって、プロッタ部1に異常が発生したか否かが判定される(ステップS103)。
【0067】
ここで、プロッタ部1に異常が発生したと判定された場合には(ステップS103:Yes)、操作部7に異常状態(例えば、用紙ジャムの発生などの異常の内容と異常発生箇所)が表示されるとともに(ステップS104)、システム制御部3の電源制御部314によって、プロッタ部1に対する電源供給が遮断され、プロッタ部1によるプリント出力が停止される(ステップS105)。
【0068】
次に、システム制御部3の影響有無判定部313により、プロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えるか否かが判定され(ステップS106)、プロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えないと判定された場合には(ステップS106:No)、プロッタ部1によるプリント出力が停止された状態で、スキャナ部2による原稿Gの読み取りが継続される(ステップS107)。また、上記ステップS103の判定において、プロッタ部1に異常が発生していないと判定された場合(ステップS103:No)もステップS107に進み、スキャナ部2による原稿Gの読み取りが継続される。ただし、この場合には、プロッタ部1によるプリント出力も継続されている。
【0069】
その後、オペレータがスキャナ部2にセットした全ての原稿Gの排出が終了したか否かが判定される(ステップS108)。全ての原稿Gの排出が終了したか否かは、例えば、原稿挿入センサSe0と原稿排出センサSe6の双方がオフの状態となったか否かによって判定することができる。すなわち、原稿Gが排出されると原稿排出センサSe6がオンからオフに切り替わるが、次の原稿Gがセットされている場合には、先の原稿Gが排出されて原稿排出センサSe6がオフになる前に、次の原稿Gが挿入されて原稿挿入センサSe0がオンする。したがって、原稿挿入センサSe0と原稿排出センサSe6の双方がオフの状態となるのは、最後の原稿Gが排出された場合だけであり、原稿挿入センサSe0と原稿排出センサSe6の双方がオフの状態となったか否かにより、オペレータがスキャナ部2にセットした全ての原稿Gの排出が終了したか否かを判定することができる。
【0070】
ここで、オペレータがスキャナ部2にセットした全ての原稿Gの排出が終了していないと判定された場合には(ステップS108:No)、ステップS107に戻ってスキャナ部2による原稿Gの読み取りが継続される。一方、オペレータがスキャナ部2にセットした全ての原稿Gの排出が終了したと判定された場合には(ステップS108:Yes)、システム制御部3の電源制御部314によって、スキャナ画像処理部210に対する電源供給が遮断され(ステップS109)、一連の処理が終了する。
【0071】
上記ステップS106の判定において、プロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定された場合には(ステップS106:Yes)、まず、システム制御部3の電源制御部314によって、スキャナ画像処理部210に対する電源供給が遮断される(ステップS110)。そして、システム制御部3の原稿搬送速度切り換え部315により、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送速度が、原稿搬送速度設定部311によって設定された読み取り時の搬送速度よりも速い速度に切り換えられる(ステップS111)。そして、切り換え後の搬送速度で読み取りが中断した原稿Gが搬送され、排出される(原稿排出センサSe6オフ)と、原稿搬送モータ33の駆動が停止されて、一連の処理が終了する。
【0072】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施の形態にかかるデジタル複写機によれば、プロッタ部1に異常が発生した場合に、プロッタ部1だけでなくスキャナ部2のスキャナ画像処理部210に対する電源供給を遮断するので、消費電力を大幅に削減することができるとともに、原稿搬送モータ33による搬送速度を読み取り時よりも速い速度に切り換えて原稿Gの搬送を継続するので、読み取りを中断した原稿Gを、人手によらず素早く外部に排出することができ、原稿Gを取り除く手間を省くことができる。また、原稿Gの排出時の搬送速度を速めることで、原稿Gの排出に要する消費電力も低減させることができる。
【0073】
また、本実施の形態にかかるデジタル複写機では、上記のようなスキャナ部2に対する制御を、プロッタ部1に異常が発生し、且つ、そのプロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定された場合のみ実施するようにしているので、プロッタ部1に異常が発生してもそのプロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えない場合にはスキャナ部2による原稿Gの読み取り動作を継続させることができ、スキャナ部2の不要な動作停止を回避することができる。
【0074】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態に係るデジタル複写機について説明する。本実施の形態にかかるデジタル複写機は、プロッタ部1に異常が発生して、スキャナ部2のスキャナ画像処理部210に対する電源供給を遮断した際に、読み取りを中断した原稿Gの排出長(既に読み取りが終了した第1の部分の搬送方向における長さ)と、読み取りを中断した原稿Gの未挿入長(未だ読み取りが終了していない第2の部分の搬送方向における長さ)とを比較し、排出長が未挿入長よりも長い場合は、読み取りを中断した原稿Gを読み取り時と同一方向に搬送して外部に排出し、排出長が未挿入長よりも短い場合は、読み取りを中断した原稿Gを読み取り時とは逆方向に搬送して外部に排出するようにしたものである。なお、デジタル複写機の基本的な構成および処理の概要は上述した第1の実施の形態と同様であるため、以下、第1の実施の形態と同様の部分については同一の符号を付して重複した説明を省略し、本実施の形態において特徴的な部分についてのみ説明する。
【0075】
図11は、本実施の形態におけるシステム制御部3’の機能構成を示した機能ブロック図である。この図11に示す機能構成は、第1の実施の形態と同様に、CPU301がメモリ302に格納されている制御プログラムを実行することによってシステム制御部3’の機能として実現されるものであり、第1の実施の形態におけるシステム制御部3の機能構成(図4参照)に対して、比較部316と、搬送方向制御部317とが付加されている。
【0076】
比較部316は、プロッタ部1に異常が発生して、スキャナ部2のスキャナ画像処理部210に対する電源供給を遮断した際に、読み取りを中断した原稿Gについて、その時点で既に読み取りが終了した部分の搬送方向における長さである排出長L1と、その時点で未だ読み取りが終了していない部分の長さである未挿入長L2とをそれぞれ算出し、これら排出長L1と未挿入長L2とを比較する。
【0077】
図12は、比較部316が、上記の排出長L1および未挿入長L2を算出する方法の一例を説明する図である。
【0078】
排出長L1は、原稿Gの読み取り時における搬送速度と、原稿排出センサSe6がオフからオンに切り替わってから原稿Gの読み取りが中断されるまでの経過時間とに基づいて算出することができる。すなわち、原稿排出センサSe6は、原稿Gの先端が当該原稿排出センサSe6の位置を通過したときにオフからオンに切り替わるので、その後の読み取り中断までの間の経過時間に搬送速度を乗算した値が、排出長L1となる。例えば、原稿Gの読み取り時における搬送速度が80mm/s、上記の経過時間が3.86sであったとすると、排出長L1は、3.86s×80mm/s=308.8mmとなる。
【0079】
また、未挿入長L2は、読み取りを行っている原稿Gの全長L0と、原稿挿入センサSe0から原稿排出センサSe6までの距離L3と、排出長L1とから算出することができる。原稿Gの全長L0は、操作部7を用いたオペレータの設定入力により取得することができ、原稿挿入センサSe0から原稿排出センサSe6までの距離L3は、デジタル複写機に固有の既知の値である。また、排出長L1は上記のように算出できる。原稿Gの全長L0から、原稿挿入センサSe0から原稿排出センサSe6までの距離L3と、排出長L1とを除算した値が、未挿入長L2となる。例えば、原稿Gの全長L0が1189mm、原稿挿入センサSe0から原稿排出センサSe6までの距離L3が142.5mm、排出長L1が308.8mmであるとすると、未挿入長L2は、1189mm−142.5mm−308.8mm=737.7mmとなる。
【0080】
搬送方向制御部317は、比較部316による排出長L1と未挿入長L2との比較の結果に基づいて、読み取りが中断した原稿Gを排出する際の搬送方向を制御する。すなわち、比較部316による比較の結果、排出長L1が未挿入長L2よりも長い場合には、搬送方向制御部317は、読み取りが中断した原稿Gが、読み取り時と同一方向に搬送されて外部に排出されるように、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送方向を制御する。一方、比較部316による比較の結果、排出長L1が未挿入長L2よりも短い場合には、搬送方向制御部317は、読み取りが中断した原稿Gが、読み取り時とは逆方向に搬送されて外部に排出されるように、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送方向を制御する。
【0081】
図12を用いて説明した例の場合、排出長L1は308.8mm、未挿入長L2は737.7mmであり、排出長L1が未挿入長L2よりも短い。したがって、搬送方向制御部317は、読み取りが中断した原稿Gが、読み取り時とは逆方向に搬送されて外部に排出されるように、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送方向を制御する。
【0082】
図13は、本実施の形態にかかるデジタル複写機において、スキャナモード(M105)による原稿Gの読み取りと第1プリントモード(M103)によるプリント出力とを同時並行で実行する場合の動作の概要を示すフローチャートである。なお、図13のフローチャートにおいて、ステップS201〜ステップS210までの処理は、図10のフローチャートにおけるステップS101〜ステップS110までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0083】
本実施の形態にかかるデジタル複写機では、ステップS210において、システム制御部3’の電源制御部314によりスキャナ画像処理部210に対する電源供給が遮断されると、システム制御部3’の比較部316により、原稿Gの既に読み取りが終了した部分の搬送方向における長さである排出長L1と、未だ読み取りが終了していない部分の長さである未挿入長L2とが算出され、比較される(ステップS211)。
【0084】
ここで、排出長L1が未挿入長L2よりも長い場合は(ステップS211:Yes)、システム制御部3’の搬送方向制御部317により、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送方向が、読み取り時と同一方向に設定されるとともに、システム制御部3’の原稿搬送速度切り換え部315により、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送速度が、原稿搬送速度設定部311によって設定された読み取り時の搬送速度よりも速い速度に切り換えられる(ステップS212)。そして、切り換え後の搬送速度で読み取りが中断した原稿Gが読み取り時と同一方向に搬送される。そして、原稿Gが排出される(原稿排出センサSe6オフ)と、原稿搬送モータ33の駆動が停止されて、一連の処理が終了する。
【0085】
一方、排出長L1が未挿入長L2よりも短い場合は(ステップS211:No)、システム制御部3’の搬送方向制御部317により、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送方向が、読み取り時とは逆方向に設定されるとともに、システム制御部3’の原稿搬送速度切り換え部315により、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送速度が、原稿搬送速度設定部311によって設定された読み取り時の搬送速度よりも速い速度に切り換えられる(ステップS213)。そして、切り換え後の搬送速度で読み取りが中断した原稿Gが読み取り時とは逆方向に搬送される。そして、原稿Gが排出される(原稿排出センサSe6オフ)と、原稿搬送モータ33の駆動が停止されて、一連の処理が終了する。
【0086】
以上のように、本実施の形態にかかるデジタル複写機では、プロッタ部1に異常が発生して、スキャナ部2のスキャナ画像処理部210に対する電源供給を遮断した際に、読み取りを中断した原稿Gの排出長L1と、読み取りを中断した原稿Gの未挿入長L2とを比較し、排出長L1が未挿入長L2よりも長い場合は、読み取りを中断した原稿Gを読み取り時と同一方向に搬送して外部に排出し、排出長L1が未挿入長L2よりも短い場合は、読み取りを中断した原稿Gを読み取り時とは逆方向に搬送して外部に排出するようにしている。したがって、本実施の形態にかかるデジタル複写機によれば、読み取りを中断した原稿Gの排出を、第1の実施の形態よりも効率的に行うことができ、消費電力のさらなる削減を図ることができる。
【0087】
なお、上述した第1および第2の実施の形態にかかるデジタル複写機において、プロッタ部1に異常が検出された場合のスキャナ部2の上述した動作制御は、例えば、システム制御部3(システム制御部3’)のCPU301が、予め組み込まれて提供される制御プログラムを実行することによって実現される。また、第1および第2の実施の形態にかかるデジタル複写機で実行される制御プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0088】
さらに、第1および第2の実施の形態にかかるデジタル複写機で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、第1および第2の実施の形態にかかるデジタル複写機で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0089】
なお、本発明は上記の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。例えば、上記の実施の形態では、本発明をシートスルー方式のスキャナ部2で原稿Gの画像を読み取り、プロッタ部1で原稿Gの画像をロール紙(用紙)Pに印刷する大判対応型のデジタル複写機に適用した例について説明したが、本発明は、上記実施の形態で説明したデジタル複写機に限らず、原稿の画像の読み取りとプリント出力(用紙への読取画像の描画)を行うあらゆるタイプの画像形成装置に対して広く適用することができる。
【0090】
また、上記の実施の形態は、プロッタ部1とスキャナ部2とを含む単体の画像形成装置であるデジタル複写機に対して本発明を適用した例であるが、本発明は、プロッタ部1としての機能を独立させたプロッタ装置と、スキャナ部2としての機能を独立させたスキャナ装置とを備え、これらプロッタ装置とスキャナ装置とが通信可能に接続された画像形成システムに対しても有効に適用可能である。
【0091】
上記のような画像形成システムに本発明を適用した場合、スキャナ装置で生成された読取画像は通信によりプロッタ装置側に伝送されるので、スキャナ装置には読取画像をプロッタ装置に送信する機能(第1の送信手段)を設け、プロッタ装置にはスキャナ装置から読取画像を受信する機能(第2の受信手段)を設ける。
【0092】
また、システム制御部3(システム制御部3’)に相当する機能をプロッタ装置側に持たせる場合は、プロッタ装置側から原稿Gの搬送速度を制御するための制御指令を通信によりスキャナ装置側に伝送する必要があるので、プロッタ装置には原稿Gの搬送速度を制御するための制御指令をスキャナ装置に送信する機能(第2の送信手段)を設け、スキャナ装置にはプロッタ装置から制御指令を受信する機能(第1の受信手段)を設けるようにすればよい。
【0093】
一方、システム制御部3(システム制御部3’)に相当する機能をスキャナ装置側に持たせる場合は、プロッタ装置側から異常を知らせる異常信号を通信によりスキャナ装置側に伝送する必要があるので、プロッタ装置には異常を知らせる異常信号をスキャナ装置に送信する機能(第2の送信手段)を設け、スキャナ装置にはプロッタ装置から異常信号を受信する機能(第1の受信手段)を設けるようにすればよい。
【符号の説明】
【0094】
1 プロッタ部
2 スキャナ部
3 システム制御部(制御手段)
33 原稿搬送モータ(原稿搬送手段)
210 スキャナ画像処理部(原稿読取処理手段)
233,244 切り換えスイッチ
311 原稿搬送速度設定部
312 プロッタ異常判定部
313 影響有無判定部(判定手段)
314 電源制御部
315 原稿搬送速度切り換え部
316 比較部(比較手段)
317 搬送方向制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開2004−170560号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システムおよび制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複写機などの画像形成装置は、オフィス環境などにおいて欠くことのできない機器として広く普及している。近年、経費削減や環境保護の観点から、このような画像形成装置が消費する電力を削減する取り組みが盛んに行われるようになってきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、異常状態が発生すると、その異常状態発生時の動作状況情報をNVRAMに記憶して、消費電力を削減する異常時用省エネルギモードに移行するとともに、異常状態を解除する異常状態解除操作の有無を監視して、異常状態解除操作が行われると、NVRAMの動作状況情報に基づいて異常時用省エネルギモードから復帰するようにした画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置は、用紙ジャムや用紙切れ、トナー切れなどのプロッタ部の異常が発生すると、異常時用省エネルギモードに移行してエンジン制御部全体に対する通電を遮断し、プロッタ部だけでなくスキャナ部も停止させて、消費電力の削減を図るようにしている。このため、スキャナ部が原稿の読み取りを行っている間にプロッタ部に異常が発生した場合には、スキャナ部における原稿の搬送が途中で止まってしまい、オペレータが例えばジャムの除去など、プロッタ部における異常状態を解除した後に、途中で搬送が止まった原稿も取り除かなければならず、特に大判サイズの長尺原稿の読み取りを行っていた場合などには、この原稿を取り除く作業に手間がかかるといった問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、消費電力の削減を図りながら原稿を取り除く手間を省くことができる画像形成装置、画像形成システムおよび制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像形成装置は、原稿を搬送する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる画像形成システムは、スキャナ装置とプロッタ装置とが通信可能に接続された画像形成システムであって、前記スキャナ装置は、原稿を搬送する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、前記画像を前記画像形成装置に送信する第1の送信手段と、前記画像形成装置から送信された制御指令を受信する第1の受信手段と、を備え、前記プロッタ装置は、前記スキャナ装置から送信された前記画像を受信する第2の受信手段と、前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする制御指令を生成する制御手段と、前記制御指令を前記スキャナ装置に送信する第2の送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる画像形成システムは、スキャナ装置とプロッタ装置とが通信可能に接続された画像形成システムであって、前記スキャナ装置は、原稿を搬送する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、前記画像を前記画像形成装置に送信する第1の送信手段と、前記画像形成装置から送信された異常信号を受信する第1の受信手段と、前記第1の受信手段が前記異常信号を受信した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする制御手段と、を備え、前記プロッタ装置は、前記スキャナ装置から送信された前記画像を受信する第2の受信手段と、前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、異常信号を前記スキャナ装置に送信する第2の送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる制御プログラムは、原稿を搬送する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、制御手段と、を備えた画像形成装置において実行される制御プログラムであって、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする機能を、前記制御手段に実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プロッタ部の異常を検出した場合に、原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くするので、消費電力の削減を図りながら原稿を取り除く手間を省くことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態にかかるデジタル複写機の全体構成を模式的に示す側面図である。
【図2】図2は、実施の形態にかかるデジタル複写機のスキャナ部を上方から見下ろした様子を模式的に表す平面図である。
【図3】図3は、実施の形態にかかるデジタル複写機の電気的な回路構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態におけるシステム制御部の機能構成を示した機能ブロック図である。
【図5】図5は、原稿の読み取り条件と、原稿搬送速度設定部が設定する搬送速度との対応関係の一例を示す図である。
【図6】図6は、原稿の読み取り時における搬送速度と、切り換え後の搬送速度との対応関係の一例を示す図である。
【図7】図7は、実施の形態にかかるデジタル複写機における動作モードの遷移を示す状態遷移図である。
【図8】図8は、動作モードごとのデジタル複写機の各部に対する電源供給状態を纏めた図である。
【図9】図9は、プロッタ異常スキャナモードにおける原稿の搬送速度を、原稿読み取り時の搬送速度と同じ速度とした場合の原稿搬送モータによる消費電力と、原稿読み取り時の搬送速度よりも速い速度に切り換えた場合の原稿搬送モータによる消費電力とを対比して示す図である。
【図10】図10は、第1の実施の形態にかかるデジタル複写機において、スキャナモードによる原稿の読み取りと第1プリントモードによるプリント出力とを同時並行で実行する場合の動作の概要を示すフローチャートである。
【図11】図11は、第2の実施の形態におけるシステム制御部の機能構成を示した機能ブロック図である。
【図12】図12は、読み取りを中断した原稿の排出長および未挿入長を算出する方法の一例を説明する図である。
【図13】図13は、第2の実施の形態にかかるデジタル複写機において、スキャナモードによる原稿の読み取りと第1プリントモードによるプリント出力とを同時並行で実行する場合の動作の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成システムおよび制御プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、シートスルー方式のスキャナ部で原稿の画像を読み取り、プロッタ部で原稿の画像をロール紙に印刷する大判対応型のデジタル複写機に対して本発明を適用した例である。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態にかかるデジタル複写機の全体構成を模式的に示す側面図である。本実施の形態にかかるデジタル複写機は、図1に示すように、プロッタ部1とスキャナ部2とを備えている。
【0014】
プロッタ部1には、給紙部10が設けられている。給紙部10には、複数のロール紙(用紙)Pと、用紙Pを搬送する給紙ローラ11a,11b,12a,12b、13と、これら給紙ローラ11a,11b,12a,12b,13を駆動する給紙モータ14が配置されている。用紙Pは、給紙ローラ11a,11b,12a,12b,13で搬送された後、レジストモータ16で駆動されるレジストローラ15によりプラテン板17まで搬送される。
【0015】
プラテン板17には複数の貫通孔が設けられている。また、プラテン板17の下部には、プラテン板17上の用紙Pを吸引する図示しない吸引ファンが配置されている。レジストローラ15によりプラテン板17まで搬送された用紙Pは、プラテン板17に設けられた複数の貫通孔を介して吸引ファンによりプラテン板17上に吸いつけられて、その姿勢が保持される。
【0016】
プラテン板17の上部には、インクを吐出するためのヘッド18を搭載したキャリッジ19が配置されている。キャリッジ19は、用紙Pの搬送方向と直交する主走査方向(用紙Pの幅方向)に沿って往復移動する。また、キャリッジ19が停止している間に、レジストローラ15により用紙Pがヘッド18の印字ラインに相当する送り量分だけ搬送方向(副走査方向)に送られる。そして、キャリッジ19が、スキャナ部2から出力される画像データに基づいて、主走査方向に移動しながらヘッド18からプラテン板17上の用紙Pに向かってインクを吐出することで、用紙Pに画像を描画する。
【0017】
画像が描画された用紙Pは、それぞれ対をなす排紙ローラ20a,20bおよび21a,21bにより所定の位置まで搬送され、カッタ22でカットされて排出口23から排出される。なお、用紙Pの搬送経路には、図示を省略するが、搬送される用紙Pの状態を監視するための複数のセンサが設置されている。ジャムなどの用紙Pの搬送に関わる異常は、例えば、用紙Pの搬送中にこれら複数のセンサの状態を監視し、これらのセンサが本来あるべき反応を示さない場合に異常が発生したと判定することができる。
【0018】
スキャナ部2は、原稿台30に載置された原稿Gを原稿挿入口31からスキャナ部2の内部に取り込み、原稿搬送モータ33により駆動される原稿搬送ローラ32a,32bによって原稿Gを搬送しながら、その搬送経路に設けられた密着イメージセンサ(以下、CISという。)34により原稿の画像を読み取るシートスルー方式の画像読取装置である。
【0019】
原稿搬送ローラ32aは原稿Gの搬送経路におけるCIS34よりも上流側に配置され、原稿搬送ローラ32bは原稿Gの搬送経路におけるCIS34よりも下流側に配置されている。また、CIS34の画像読取面と対向する位置には、搬送される原稿GをCIS34の画像読取面に密着させる原稿押さえ板35が配置されている。
【0020】
原稿挿入口31の近傍には、挿入された原稿Gを検出する原稿挿入センサSe0と、原稿Gのサイズを検出する複数の原稿サイズセンサSe1〜Se4が設けられている。原稿挿入センサSe0は、図2に示すように、デジタル複写機の正面から見て略中央に配置され、原稿サイズセンサSe1〜Se4は、原稿挿入センサSe0からデジタル複写機の側面方向に向かって間隔をあけて順次配列されている。なお、図2は、スキャナ部2を上方から見下ろした様子を模式的に表す平面図である。
【0021】
また、原稿Gの搬送経路における原稿挿入センサSe0の下流側には、原稿Gの読み取りタイミングの基準となる信号を出力する原稿レジストセンサSe5が配置され、原稿Gをスキャナ部2の外部に排出する原稿排出口36の近傍には、原稿Gが排出されたことを検出する原稿排出センサSe6が配置されている。
【0022】
また、CIS34の画像読取面を開閉する原稿カバー37には、この原稿カバー37の開閉を検出するカバー開閉センサSe7が設けられている。また、原稿カバー37と一体に設けられた操作部7の近傍には、原稿Gの搬送を緊急停止させる緊急停止キーSe8が設けられている。なお、デジタル複写機のメインスイッチ8は、プロッタ部1を内蔵する筐体の外側に配置されている。
【0023】
原稿台30に載置された原稿Gは、原稿挿入口31からスキャナ部2の内部に取り込まれ、原稿搬送モータ33により駆動される原稿搬送ローラ32a,32bによってCIS34の画像読取面と対向する位置を通過するように搬送される。そして、原稿GがCIS34の画像読取面と対向する位置を通過する過程で、原稿Gの画像がCIS34によって光学的に読み取られる。画像の読み取りが終了した原稿Gは、原稿排出口36から排出される。
【0024】
このとき、原稿Gの挿入は原稿挿入センサSe0により検出され、原稿Gの排出は原稿排出センサSe6により検出される。また、原稿サイズセンサSe1〜Se4により原稿Gのサイズが検出される。また、原稿Gの先端が原稿レジストセンサSe5の位置に到達すると、原稿レジストセンサSe5からCIS34による原稿Gの読み取りタイミングの基準となる信号が出力される。また、原稿Gの読み取りを行っている間に発生するジャムなどの異常は、例えば、これらの各センサが本来あるべき反応を示さないことによって検知することができる。
【0025】
図3は、本実施の形態にかかるデジタル複写機の電気的な回路構成を示すブロック図であり、特にデジタル複写機の各部に対する電源の供給経路を示した図である。図中の実線の矢印が各部に対する電源の供給経路を示している。
【0026】
本実施の形態にかかるデジタル複写機は、図3に示すように、上述したプロッタ部1およびスキャナ部2に加え、システム制御部3と、システム制御部3により制御されるI/O部4と、外部I/F部5と、電源部6と、操作部7およびメインスイッチ8を備えている。
【0027】
システム制御部3は、CPU301およびメモリ302を備えたマイクロコンピュータにより構成され、CPU301がメモリ302を利用しながら、デジタル複写機としての基本処理プログラムを実行することによって、プロッタ部1やスキャナ部2、I/O部4、外部I/F部5などのデジタル複写機の各部の動作を制御する。また、特に本実施の形態にかかるデジタル複写機では、プロッタ部1に異常が検出された場合のスキャナ部2の動作を制御するための制御プログラムがシステム制御部3のメモリ302に格納されている。CPU301がこの制御プログラムを実行することによって、システム制御部3には、図4に示すように、原稿搬送速度設定部311と、プロッタ異常判定部312と、影響有無判定部313と、電源制御部314と、原稿搬送速度切り換え部315の各機能構成が実現される。
【0028】
原稿搬送速度設定部311は、スキャナ部2による原稿Gの読み取り条件に応じて、原稿Gの読み取り時における搬送速度を設定する。図5は、原稿Gの読み取り条件と、原稿搬送速度設定部311が設定する搬送速度との対応関係の一例を示す図である。図5に示すように、原稿搬送速度設定部311は、一例として、カラー画像の読み取りの場合はモノクロ画像の読み取りの場合よりも原稿Gの搬送速度を遅く設定し、読み取り倍率が高い場合は低い場合よりも原稿Gの搬送速度を遅く設定する。
【0029】
プロッタ異常判定部312は、プロッタ部1の動作中にプロッタ部1に異常が発生したか否かを判定する。プロッタ部1の異常としては、用紙Pの搬送に関わる異常や、書込画像のデータ処理を実行する後述のASIC(Application Specific Integrated Circuit)に関する異常などがある。ASICは、用紙Pの種類等に応じて定まる書き込み有効期間を表す信号に基づいて書き込み画像のデータ処理を実行するが、書き込みタイミングになっても書き込み有効期間を表す信号が確定しない場合や、書き込み有効期間を表す信号が一定時間経過してもオフしない場合などが、ASICに関する異常に該当する。また、プロッタ部1の動作中にASICが所定の時間応答しないような場合も、ASICに関する異常に該当する。
【0030】
プロッタ異常判定部312は、用紙Pの搬送に関わる異常については、例えば、上述した用紙Pの搬送経路に設けられた複数のセンサの状態を監視し、これらのセンサが本来あるべき反応を示さない場合に異常が発生したと判定する。また、プロッタ異常判定部312は、ASICに関する異常については、書き込み有効期間を表す信号が確定しない、あるいは書き込み有効期間を表す信号がオフしないといった異常を知らせる信号をASICから取得することによって、異常が発生したと判定する。また、プロッタ異常判定部312は、プロッタ部1の動作中にASICとの間で所定の時間以上通信できない場合に、ASICに異常が発生したと判定する。
【0031】
影響有無判定部313は、プロッタ異常判定部312によりプロッタ部1に異常が発生したと判定された場合に、そのプロッタ部1の異常が、スキャナ部2での読み取りを通じて生成される原稿Gの画像(以下、読取画像という。)に影響を与えるか否かを判定する。具体的には、影響有無判定部313は、例えば、プロッタ異常判定部312が異常発生と判定したプロッタ部1の異常が、上述したASICに関する異常である場合に、プロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定する。
【0032】
電源制御部314は、電源部6に設けられた切り換えスイッチ602やスキャナ部2に設けられた切り換えスイッチ233,244、プロッタ部1に設けられた切り換えスイッチ130に電源切り換え信号(図3中の破線で示す矢印)を送り、これら切り換えスイッチ602,233,244,130のオン/オフを制御することで、デジタル複写機の各部に対する電源供給を制御する。この電源制御部314は、特に、プロッタ異常判定部312によりプロッタ部1に異常が発生したと判定されるとプロッタ部1に対する電源供給を遮断し、影響有無判定部313によりプロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定された場合には、さらに、スキャナ部2のうち、後述するスキャナ画像処理部210に対する電源供給を遮断し、後述するスキャナ制御部220のみに電源供給が行われるようにする。
【0033】
原稿搬送速度切り換え部315は、プロッタ異常判定部312によりプロッタ部1に異常が発生したと判定され、影響有無判定部313によりプロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定された場合に、原稿Gの搬送速度を、読み取り時における搬送速度よりも速い速度に切り換える。図6は、原稿Gの読み取り時における搬送速度と、切り換え後の搬送速度との対応関係の一例を示す図である。図6に示すように、原稿搬送速度設定部311は、プロッタ異常判定部312によりプロッタ部1に異常が発生したと判定され、影響有無判定部313によりプロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定された場合に、原稿Gの搬送速度を、原稿搬送速度設定部311により設定された速度よりも速い速度、例えば180mm/sに切り換える。なお、このときの原稿Gの搬送速度は、原稿Gに損傷を与えない程度の速度であって、原稿搬送速度設定部311により設定された原稿Gの読み取り時より速い速度であればよく、任意に変更することが可能である。
【0034】
図3に示す外部I/F部5には、外部装置、例えばパーソナルコンピュータやサーバ等が接続されている。外部I/F部5は、システム制御部3の制御のもとで外部装置と通信し、外部装置との間で画像データの送受信を行う。
【0035】
電源部6は、外部商用電源9を整流および電圧調整して必要な電圧・電流を生成するAC/DCコンバータ601と、システム制御部3の電源制御部314からの電源切り換え信号によってオン/オフが切り換えられる切り換えスイッチ602を備える。電源部6は、切り換えスイッチ602がオンされている場合に、AC/DCコンバータ601で生成された直流電源をプロッタ部1、スキャナ部2、システム制御部3、外部I/F部5、操作部7の各部に電源を供給し、切り換えスイッチ602がオフされると、上記各部への電源供給を遮断する。また、電源部6は、切り換えスイッチ602がオフされている場合であっても、システム制御部3の一部(少なくともCPU301)、外部I/F部5、操作部7の一部(主電源キー)に対しては、切り換えスイッチ602を介さずに、AC/DCコンバータ601で生成された直流電源を直接供給する。
【0036】
操作部7は、使用者がデジタル複写機を使用する際に操作する主電源キーや、使用者が直接コマンドを入力するためのキー(テンキー、コピースタートキー、モード設定キー等)を備えている。この操作部7から入力されたコマンドの処理は、システム制御部3で実行される。
【0037】
メインスイッチ8は、デジタル複写機の電源部6と外部商用電源9との接続/遮断を切り換えるスイッチである。
【0038】
プロッタ部1は、インクを吐出して画像を書き込む上述したヘッド18と、システム制御部3による制御のもとで、ヘッド18により書き込む画像のデータを処理する画像書込処理部110と、画像書込処理部110から出力された書込画像データを用紙Pに書き込むためにヘッド18を制御する書込制御部120を備える。画像書込処理部110には、書込画像のデータ処理を実行するASIC111および処理に必要なデータを格納するメモリ112が設けられている。
【0039】
スキャナ部2は、回路構成として、スキャナ画像処理部210(特許請求の範囲に記載の「原稿読取手段」に相当)と、スキャナ制御部220を備える。
【0040】
スキャナ画像処理部210は、スキャナ部2のうち、原稿Gの画像の読み取りおよび読み取った画像の処理を行う部分であり、原稿Gの画像を光学的に読み取る上述したCIS34と、読取制御部230と、読取画像処理部240を備える。なお、CIS34の照明にはLEDが好適である。
【0041】
読取制御部230には、AFE(アナログフロントエンド)231およびメモリ232が設けられており、CIS34によって読み取られたアナログ画像データをAFE231でデジタル画像データに変換して読取画像処理部240に出力する。また、読取制御部230には、システム制御部3の電源制御部314からの電源切り換え信号によってオン/オフが切り換えられる切り換えスイッチ233が設けられており、電源部6から読取制御部230内のAFE231およびメモリ232、CIS34への電源の供給と遮断を、この切り換えスイッチ233のオン/オフによって個別に切り換えられるようになっている。
【0042】
読取画像処理部240には、ASIC241、メモリ242、FPGA(Field Programmable Gate Array)243などが設けられており、CIS34によって読み取られた画像に対して所定の画像処理を実行して、読取画像としてプロッタ部1に出力する。また、読取画像処理部240にも、読取制御部230に設けられた切り換えスイッチ233と同様に、システム制御部3の電源制御部314からの電源切り換え信号によってオン/オフが切り換えられる切り換えスイッチ244が設けられており、電源部6から読取画像処理部240内のASIC241、メモリ242、FPGA243への電源の供給と遮断を、この切り換えスイッチ244のオン/オフによって個別に切り換えられるようになっている。
【0043】
スキャナ制御部220は、スキャナ部2のうち、原稿Gの搬送制御や異常検知などを行う部分であり、原稿Gを搬送するための上述した原稿搬送モータ33(特許請求の範囲に記載の「原稿搬送手段」に相当)と、この原稿搬送モータ33の駆動制御を行うモータドライバ221と、スキャナセンサ部222を備える。スキャナセンサ部222は、上述した原稿挿入センサSe0、原稿サイズセンサSe1〜Se4、原稿レジストセンサSe5、原稿排出センサSe6、カバー開閉センサSe7および緊急停止キーSe8の総称である。
【0044】
本実施の形態にかかるデジタル複写機では、以上のように、スキャナ部2のスキャナ画像処理部210に、システム制御部3からの電源切り換え信号によってオン/オフが切り換えられる切り換えスイッチ233,244を設け、この切り換えスイッチ233,244のオン/オフによって、スキャナ画像処理部210に含まれる各部に対する電源供給を、スキャナ制御部220から切り離して制御できるようにしている。つまり、電源部6に設けた切り換えスイッチ602がオンされていれば、スキャナ部2のスキャナ制御部220に対しては常に電源が供給されるが、スキャナ画像処理部210に対しては、切り換えスイッチ233,244がオンであれば電源が供給され、切り換えスイッチ233,244がオフされれば電源供給が遮断されることになる。
【0045】
なお、図3に例示した回路構成では、スキャナ画像処理部210の読取制御部230と読取画像処理部240とにそれぞれ切り換えスイッチ233,244を設けるようにしているが、これら切り換えスイッチ233,244を統合して1つのスイッチとしてもよい。また、これら切り換えスイッチ233,244は、スキャナ画像処理部210に対する電源供給を個別に(つまり、スキャナ制御部220から切り離して)切り換えるように設けられていればよく、スキャナ部2の外部、例えば電源部6などに設けるようにしてもよい。
【0046】
また、本実施の形態にかかるデジタル複写機では、以上のように、プロッタ部2に、システム制御部3からの電源切り換え信号によってオン/オフが切り換えられる切り換えスイッチ130を設け、この切り換えスイッチ130のオン/オフによって、プロッタ部1に対する電源供給を個別に制御できるようにしている。つまり、電源部6に設けた切り換えスイッチ602がオンされていれば、スキャナ部2やシステム制御部3、操作部7などに対して電源が供給されるが、プロッタ部1に対しては、さらに切り換えスイッチ130がオンであれば電源が供給され、切り換えスイッチ130がオフされれば電源供給が遮断されることになる。
【0047】
図7は、本実施の形態にかかるデジタル複写機における動作モードの遷移を示す状態遷移図であり、図8は、動作モードごとのデジタル複写機の各部に対する電源供給状態を纏めた図である。以下、図7および図8を参照しながら、本実施の形態にかかるデジタル複写機の動作モードの遷移と各部に対する電源供給の切り換え手順の概要について説明する。
【0048】
電源コードが接続され、メインスイッチ8がオフの状態となっているプラグインモード(M100)では、デジタル複写機の全てに対して電源(AC電源)の供給が遮断されている。この状態でメインスイッチ8がオンされると、デジタル複写機の各部に電源が供給されて、スキャナ部2の初期設定が実行される。
【0049】
スキャナ部2の初期設定が終了すると、スキャナ画像処理部210に設けられた切り換えスイッチ233,244がオンからオフに切り換えられる。これにより、スキャナ画像処理部210に対する電源供給が遮断され、コマンド待受状態であるスタンバイモード(M101)に移行する。
【0050】
スタンバイモード(M101)において、コマンドが何ら入力されることなく予め設定された時間が経過すると、自動的に起動トリガ待受状態であるスリープモード(M102)に移行する。このスリープモード(M102)では、システム制御部3の一部(CPU301)と外部I/F部5と操作部7の一部(主電源キー)に対してのみ電源が供給され、その他の電源は、電源部6に設けられた切り換えスイッチ602がオフされることで、遮断される。
【0051】
スリープモード(M102)において、操作部7の主電源キーが押下されると、スタンバイモード(M101)へ移行する。また、スリープモード(M102)において、外部I/F部5がパーソナルコンピュータ等の外部装置から印刷コマンドを受信すると、第2プリントモード(M104)に移行して印刷が行われる。この第2プリントモード(M104)では、プロッタ部1、システム制御部3、外部I/F部5に対しては電源が供給され、スキャナ部2に対する電源供給は遮断される。また、操作部7については主電源キーに対してのみ電源が供給され、それ以外の電源供給は遮断される。
【0052】
第2プリントモード(M104)において、プリントのコマンドが終了するとスリープモード(M102)に自動的に移行する。
【0053】
また、スタンバイモード(M101)において、スキャナ部2の原稿挿入センサSe0により原稿Gの挿入が検出されると、スキャナ画像処理部210に設けられた切り換えスイッチ233,244がオフからオンに切り換えられて、スキャナ画像処理部210に対して電源が供給される。そして、スキャナ部2に対する初期設定が実行され、初期設定が終了すると、原稿Gの読み取りを行うスキャナモード(M105)に移行する。このスキャナモード(M105)では、デジタル複写機の全てに対して電源が供給される。
【0054】
また、スタンバイモード(M101)においてコピーの実行を指示するコマンドが入力された場合には、スキャナモード(M105)で読み取りが行われた画像データの処理が終了した段階で逐次印刷を実行する第1プリントモード(M103)に移行する。この場合、原稿Gの読み取りおよび画像処理が終了した段階で、スキャナ画像処理部210に設けられた切り換えスイッチ233,244がオンからオフに切り換えられ、スキャナ画像処理部210に対する電源供給が遮断される。そして、第1プリントモード(M103)でのプリント出力が実行され、プリント出力が終了したらスタンバイモード(M101)に移行する。
【0055】
また、スキャナモード(M105)において、原稿Gの読み取りを行っている間にスキャナセンサ部222によりジャムなどの何らかの異常が検知された場合には、スキャナ画像処理部210に設けられた切り換えスイッチ233,244がオンからオフに切り換えられてスキャナ画像処理部210に対する電源供給が遮断され、スタンバイモード(M101)に移行する。
【0056】
本実施の形態にかかるデジタル複写機では、スキャナモード(M105)による原稿Gの読み取りと、第1プリントモード(M103)によるプリント出力とを同時並行で実行することが可能である。スキャナ部2で複数の原稿Gの読み取りおよび画像処理を行いながら、読み取りおよび画像処理が終了した原稿Gの読取画像から、プロッタ部1でプリント出力する場合がこれに該当する。この場合、第1プリントモード(M103)でのプリント出力中であっても、原稿Gの読み取りおよび画像処理も継続されているため、スキャナ画像処理部210に対する電源供給は遮断されない。
【0057】
この状態で、プロッタ部1に異常が発生すると、プロッタ部1に設けられた切り換えスイッチ130がオンからオフに切り換えられて、プロッタ部1に対する電源供給が遮断され、第1プリントモード(M103)によるプリント出力を終了する。そして、プロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えるか否かが判定され、プロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えないと判定された場合は、スキャナモード(M105)のみの動作モードに移行する。このときのスキャナモード(M105)は、プロッタ部1に対する電源供給は遮断した状態となる。
【0058】
一方、プロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定された場合は、プロッタ異常スキャナモード(M106)に遷移する。プロッタ異常スキャナモード(M106)では、スキャナ画像処理部210に設けられた切り換えスイッチ233,244がオンからオフに切り換えられ、スキャナ画像処理部210に対する電源供給が遮断される。また、プロッタ異常スキャナモード(M106)では、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送速度が、スキャナモード(M105)での読み取り時における搬送速度よりも速い速度に切り換えられる。ここでの原稿Gの搬送は、読み取りを中断した原稿Gを排出させるための搬送であり、搬送速度を速い速度に切り換えることで、原稿Gを素早く排出できるようにしている。読み取りを中断した原稿Gの排出が完了すると、スリープモード(M102)に移行する。
【0059】
以上のように、本実施の形態にかかるデジタル複写機では、スキャナモード(M105)による原稿Gの読み取りと、第1プリントモード(M103)によるプリント出力とを同時並行で実行している場合に、プロッタ部1に異常が発生し、そのプロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定されると、プロッタ異常スキャナモード(M106)に移行して、プロッタ部1に対する電源供給を遮断するだけでなく、スキャナ部2のスキャナ画像処理部210に対する電源供給を遮断するようにしている。したがって、消費電力を大幅に削減することができる。また、プロッタ異常スキャナモード(M106)では、スキャナ制御部220に対する電源供給は継続されるので、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送を継続させることができ、読み取りを中断した原稿Gを、人手によらず外部に排出することができる。
【0060】
また、プロッタ異常スキャナモード(M106)における原稿Gの搬送速度は、スキャナモード(M105)における原稿Gの読み取り時の搬送速度よりも速い速度に切り換えられるので、読み取りを中断した原稿Gを素早く排出できるとともに、原稿Gを排出する際の原稿搬送モータ33による消費電力も低減させることができる。
【0061】
図9は、プロッタ異常スキャナモード(M106)における原稿Gの搬送速度を、スキャナモード(M105)における原稿Gの読み取り時の搬送速度と同じ速度とした場合の原稿搬送モータ33による消費電力と、プロッタ異常スキャナモード(M106)における原稿Gの搬送速度を、スキャナモード(M105)における原稿Gの読み取り時の搬送速度よりも速い速度に切り換えた場合の原稿搬送モータ33による消費電力とを対比して示す図である。なお、図9に示す例では、スキャナモード(M105)における原稿Gの読み取り時の搬送速度が80mm/sであり、プロッタ部1に異常が発生した時点で、原稿Gの読み取りが終了していない部分の搬送方向における長さが540mmである場合を想定し、プロッタ異常スキャナモード(M106)における原稿Gの搬送速度が80mm/sのままである場合を図9(a)のグラフで示し、プロッタ異常スキャナモード(M106)における原稿Gの搬送速度を180mm/sに切り換えた場合を図9(b)のグラフで示している。
【0062】
図9(a)に示すように、プロッタ異常スキャナモード(M106)における原稿Gの搬送速度を80mm/sのままとした場合、原稿搬送モータ33により消費される平均電力は11.6Wであり、原稿Gの排出が完了するまでの搬送時間は6.75sとなる。したがって、原稿Gの排出に要する原稿搬送モータ33の消費電力量(積算電力)は、78.3Wsとなる。
【0063】
一方、プロッタ異常スキャナモード(M106)における原稿Gの搬送速度を180mm/sに切り換えた場合は、図9(b)に示すように、原稿搬送モータ33により消費される平均電力は14.7Wであり、原稿Gの排出が完了するまでの搬送時間は3.0sとなる。したがって、原稿Gの排出に要する原稿搬送モータ33の消費電力量(積算電力)は44.1Wsとなり、原稿Gの搬送速度が80mm/sの場合と比較して、原稿搬送モータ33による消費電力を低減できることが分かる。
【0064】
次に、本実施の形態にかかるデジタル複写機において、スキャナモード(M105)による原稿Gの読み取りと第1プリントモード(M103)によるプリント出力とを同時並行で実行する場合の動作の概要について、特にスキャナ部2に関わる動作を中心に、図10のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の動作は、システム制御部3による制御のもとで実行される。
【0065】
スタンバイモード(M101)において、オペレータがコピーの実行を指示するコマンドを入力して原稿Gをスキャナ部2に挿入し、原稿挿入センサSe0により原稿Gの挿入が検知されると、スキャナ画像処理部210に対して電源が供給され、スキャナモード(M105)に移行して、スキャナ部2による原稿Gの読み取りが開始される(ステップS101)。このとき、システム制御部3の原稿搬送速度設定部311により、原稿Gの読み取り条件に応じて、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送速度が設定される。
【0066】
次に、スキャナ部2により原稿Gが読み取られて読取画像が生成されると、第1プリントモード(M103)の動作が開始され、プロッタ部1によるプリント出力が行われる(ステップS102)。プロッタ部1によるプリント出力中は、システム制御部3のプロッタ異常判定部312によって、プロッタ部1に異常が発生したか否かが判定される(ステップS103)。
【0067】
ここで、プロッタ部1に異常が発生したと判定された場合には(ステップS103:Yes)、操作部7に異常状態(例えば、用紙ジャムの発生などの異常の内容と異常発生箇所)が表示されるとともに(ステップS104)、システム制御部3の電源制御部314によって、プロッタ部1に対する電源供給が遮断され、プロッタ部1によるプリント出力が停止される(ステップS105)。
【0068】
次に、システム制御部3の影響有無判定部313により、プロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えるか否かが判定され(ステップS106)、プロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えないと判定された場合には(ステップS106:No)、プロッタ部1によるプリント出力が停止された状態で、スキャナ部2による原稿Gの読み取りが継続される(ステップS107)。また、上記ステップS103の判定において、プロッタ部1に異常が発生していないと判定された場合(ステップS103:No)もステップS107に進み、スキャナ部2による原稿Gの読み取りが継続される。ただし、この場合には、プロッタ部1によるプリント出力も継続されている。
【0069】
その後、オペレータがスキャナ部2にセットした全ての原稿Gの排出が終了したか否かが判定される(ステップS108)。全ての原稿Gの排出が終了したか否かは、例えば、原稿挿入センサSe0と原稿排出センサSe6の双方がオフの状態となったか否かによって判定することができる。すなわち、原稿Gが排出されると原稿排出センサSe6がオンからオフに切り替わるが、次の原稿Gがセットされている場合には、先の原稿Gが排出されて原稿排出センサSe6がオフになる前に、次の原稿Gが挿入されて原稿挿入センサSe0がオンする。したがって、原稿挿入センサSe0と原稿排出センサSe6の双方がオフの状態となるのは、最後の原稿Gが排出された場合だけであり、原稿挿入センサSe0と原稿排出センサSe6の双方がオフの状態となったか否かにより、オペレータがスキャナ部2にセットした全ての原稿Gの排出が終了したか否かを判定することができる。
【0070】
ここで、オペレータがスキャナ部2にセットした全ての原稿Gの排出が終了していないと判定された場合には(ステップS108:No)、ステップS107に戻ってスキャナ部2による原稿Gの読み取りが継続される。一方、オペレータがスキャナ部2にセットした全ての原稿Gの排出が終了したと判定された場合には(ステップS108:Yes)、システム制御部3の電源制御部314によって、スキャナ画像処理部210に対する電源供給が遮断され(ステップS109)、一連の処理が終了する。
【0071】
上記ステップS106の判定において、プロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定された場合には(ステップS106:Yes)、まず、システム制御部3の電源制御部314によって、スキャナ画像処理部210に対する電源供給が遮断される(ステップS110)。そして、システム制御部3の原稿搬送速度切り換え部315により、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送速度が、原稿搬送速度設定部311によって設定された読み取り時の搬送速度よりも速い速度に切り換えられる(ステップS111)。そして、切り換え後の搬送速度で読み取りが中断した原稿Gが搬送され、排出される(原稿排出センサSe6オフ)と、原稿搬送モータ33の駆動が停止されて、一連の処理が終了する。
【0072】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施の形態にかかるデジタル複写機によれば、プロッタ部1に異常が発生した場合に、プロッタ部1だけでなくスキャナ部2のスキャナ画像処理部210に対する電源供給を遮断するので、消費電力を大幅に削減することができるとともに、原稿搬送モータ33による搬送速度を読み取り時よりも速い速度に切り換えて原稿Gの搬送を継続するので、読み取りを中断した原稿Gを、人手によらず素早く外部に排出することができ、原稿Gを取り除く手間を省くことができる。また、原稿Gの排出時の搬送速度を速めることで、原稿Gの排出に要する消費電力も低減させることができる。
【0073】
また、本実施の形態にかかるデジタル複写機では、上記のようなスキャナ部2に対する制御を、プロッタ部1に異常が発生し、且つ、そのプロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えると判定された場合のみ実施するようにしているので、プロッタ部1に異常が発生してもそのプロッタ部1の異常が読取画像に影響を与えない場合にはスキャナ部2による原稿Gの読み取り動作を継続させることができ、スキャナ部2の不要な動作停止を回避することができる。
【0074】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態に係るデジタル複写機について説明する。本実施の形態にかかるデジタル複写機は、プロッタ部1に異常が発生して、スキャナ部2のスキャナ画像処理部210に対する電源供給を遮断した際に、読み取りを中断した原稿Gの排出長(既に読み取りが終了した第1の部分の搬送方向における長さ)と、読み取りを中断した原稿Gの未挿入長(未だ読み取りが終了していない第2の部分の搬送方向における長さ)とを比較し、排出長が未挿入長よりも長い場合は、読み取りを中断した原稿Gを読み取り時と同一方向に搬送して外部に排出し、排出長が未挿入長よりも短い場合は、読み取りを中断した原稿Gを読み取り時とは逆方向に搬送して外部に排出するようにしたものである。なお、デジタル複写機の基本的な構成および処理の概要は上述した第1の実施の形態と同様であるため、以下、第1の実施の形態と同様の部分については同一の符号を付して重複した説明を省略し、本実施の形態において特徴的な部分についてのみ説明する。
【0075】
図11は、本実施の形態におけるシステム制御部3’の機能構成を示した機能ブロック図である。この図11に示す機能構成は、第1の実施の形態と同様に、CPU301がメモリ302に格納されている制御プログラムを実行することによってシステム制御部3’の機能として実現されるものであり、第1の実施の形態におけるシステム制御部3の機能構成(図4参照)に対して、比較部316と、搬送方向制御部317とが付加されている。
【0076】
比較部316は、プロッタ部1に異常が発生して、スキャナ部2のスキャナ画像処理部210に対する電源供給を遮断した際に、読み取りを中断した原稿Gについて、その時点で既に読み取りが終了した部分の搬送方向における長さである排出長L1と、その時点で未だ読み取りが終了していない部分の長さである未挿入長L2とをそれぞれ算出し、これら排出長L1と未挿入長L2とを比較する。
【0077】
図12は、比較部316が、上記の排出長L1および未挿入長L2を算出する方法の一例を説明する図である。
【0078】
排出長L1は、原稿Gの読み取り時における搬送速度と、原稿排出センサSe6がオフからオンに切り替わってから原稿Gの読み取りが中断されるまでの経過時間とに基づいて算出することができる。すなわち、原稿排出センサSe6は、原稿Gの先端が当該原稿排出センサSe6の位置を通過したときにオフからオンに切り替わるので、その後の読み取り中断までの間の経過時間に搬送速度を乗算した値が、排出長L1となる。例えば、原稿Gの読み取り時における搬送速度が80mm/s、上記の経過時間が3.86sであったとすると、排出長L1は、3.86s×80mm/s=308.8mmとなる。
【0079】
また、未挿入長L2は、読み取りを行っている原稿Gの全長L0と、原稿挿入センサSe0から原稿排出センサSe6までの距離L3と、排出長L1とから算出することができる。原稿Gの全長L0は、操作部7を用いたオペレータの設定入力により取得することができ、原稿挿入センサSe0から原稿排出センサSe6までの距離L3は、デジタル複写機に固有の既知の値である。また、排出長L1は上記のように算出できる。原稿Gの全長L0から、原稿挿入センサSe0から原稿排出センサSe6までの距離L3と、排出長L1とを除算した値が、未挿入長L2となる。例えば、原稿Gの全長L0が1189mm、原稿挿入センサSe0から原稿排出センサSe6までの距離L3が142.5mm、排出長L1が308.8mmであるとすると、未挿入長L2は、1189mm−142.5mm−308.8mm=737.7mmとなる。
【0080】
搬送方向制御部317は、比較部316による排出長L1と未挿入長L2との比較の結果に基づいて、読み取りが中断した原稿Gを排出する際の搬送方向を制御する。すなわち、比較部316による比較の結果、排出長L1が未挿入長L2よりも長い場合には、搬送方向制御部317は、読み取りが中断した原稿Gが、読み取り時と同一方向に搬送されて外部に排出されるように、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送方向を制御する。一方、比較部316による比較の結果、排出長L1が未挿入長L2よりも短い場合には、搬送方向制御部317は、読み取りが中断した原稿Gが、読み取り時とは逆方向に搬送されて外部に排出されるように、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送方向を制御する。
【0081】
図12を用いて説明した例の場合、排出長L1は308.8mm、未挿入長L2は737.7mmであり、排出長L1が未挿入長L2よりも短い。したがって、搬送方向制御部317は、読み取りが中断した原稿Gが、読み取り時とは逆方向に搬送されて外部に排出されるように、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送方向を制御する。
【0082】
図13は、本実施の形態にかかるデジタル複写機において、スキャナモード(M105)による原稿Gの読み取りと第1プリントモード(M103)によるプリント出力とを同時並行で実行する場合の動作の概要を示すフローチャートである。なお、図13のフローチャートにおいて、ステップS201〜ステップS210までの処理は、図10のフローチャートにおけるステップS101〜ステップS110までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0083】
本実施の形態にかかるデジタル複写機では、ステップS210において、システム制御部3’の電源制御部314によりスキャナ画像処理部210に対する電源供給が遮断されると、システム制御部3’の比較部316により、原稿Gの既に読み取りが終了した部分の搬送方向における長さである排出長L1と、未だ読み取りが終了していない部分の長さである未挿入長L2とが算出され、比較される(ステップS211)。
【0084】
ここで、排出長L1が未挿入長L2よりも長い場合は(ステップS211:Yes)、システム制御部3’の搬送方向制御部317により、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送方向が、読み取り時と同一方向に設定されるとともに、システム制御部3’の原稿搬送速度切り換え部315により、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送速度が、原稿搬送速度設定部311によって設定された読み取り時の搬送速度よりも速い速度に切り換えられる(ステップS212)。そして、切り換え後の搬送速度で読み取りが中断した原稿Gが読み取り時と同一方向に搬送される。そして、原稿Gが排出される(原稿排出センサSe6オフ)と、原稿搬送モータ33の駆動が停止されて、一連の処理が終了する。
【0085】
一方、排出長L1が未挿入長L2よりも短い場合は(ステップS211:No)、システム制御部3’の搬送方向制御部317により、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送方向が、読み取り時とは逆方向に設定されるとともに、システム制御部3’の原稿搬送速度切り換え部315により、原稿搬送モータ33による原稿Gの搬送速度が、原稿搬送速度設定部311によって設定された読み取り時の搬送速度よりも速い速度に切り換えられる(ステップS213)。そして、切り換え後の搬送速度で読み取りが中断した原稿Gが読み取り時とは逆方向に搬送される。そして、原稿Gが排出される(原稿排出センサSe6オフ)と、原稿搬送モータ33の駆動が停止されて、一連の処理が終了する。
【0086】
以上のように、本実施の形態にかかるデジタル複写機では、プロッタ部1に異常が発生して、スキャナ部2のスキャナ画像処理部210に対する電源供給を遮断した際に、読み取りを中断した原稿Gの排出長L1と、読み取りを中断した原稿Gの未挿入長L2とを比較し、排出長L1が未挿入長L2よりも長い場合は、読み取りを中断した原稿Gを読み取り時と同一方向に搬送して外部に排出し、排出長L1が未挿入長L2よりも短い場合は、読み取りを中断した原稿Gを読み取り時とは逆方向に搬送して外部に排出するようにしている。したがって、本実施の形態にかかるデジタル複写機によれば、読み取りを中断した原稿Gの排出を、第1の実施の形態よりも効率的に行うことができ、消費電力のさらなる削減を図ることができる。
【0087】
なお、上述した第1および第2の実施の形態にかかるデジタル複写機において、プロッタ部1に異常が検出された場合のスキャナ部2の上述した動作制御は、例えば、システム制御部3(システム制御部3’)のCPU301が、予め組み込まれて提供される制御プログラムを実行することによって実現される。また、第1および第2の実施の形態にかかるデジタル複写機で実行される制御プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0088】
さらに、第1および第2の実施の形態にかかるデジタル複写機で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、第1および第2の実施の形態にかかるデジタル複写機で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0089】
なお、本発明は上記の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。例えば、上記の実施の形態では、本発明をシートスルー方式のスキャナ部2で原稿Gの画像を読み取り、プロッタ部1で原稿Gの画像をロール紙(用紙)Pに印刷する大判対応型のデジタル複写機に適用した例について説明したが、本発明は、上記実施の形態で説明したデジタル複写機に限らず、原稿の画像の読み取りとプリント出力(用紙への読取画像の描画)を行うあらゆるタイプの画像形成装置に対して広く適用することができる。
【0090】
また、上記の実施の形態は、プロッタ部1とスキャナ部2とを含む単体の画像形成装置であるデジタル複写機に対して本発明を適用した例であるが、本発明は、プロッタ部1としての機能を独立させたプロッタ装置と、スキャナ部2としての機能を独立させたスキャナ装置とを備え、これらプロッタ装置とスキャナ装置とが通信可能に接続された画像形成システムに対しても有効に適用可能である。
【0091】
上記のような画像形成システムに本発明を適用した場合、スキャナ装置で生成された読取画像は通信によりプロッタ装置側に伝送されるので、スキャナ装置には読取画像をプロッタ装置に送信する機能(第1の送信手段)を設け、プロッタ装置にはスキャナ装置から読取画像を受信する機能(第2の受信手段)を設ける。
【0092】
また、システム制御部3(システム制御部3’)に相当する機能をプロッタ装置側に持たせる場合は、プロッタ装置側から原稿Gの搬送速度を制御するための制御指令を通信によりスキャナ装置側に伝送する必要があるので、プロッタ装置には原稿Gの搬送速度を制御するための制御指令をスキャナ装置に送信する機能(第2の送信手段)を設け、スキャナ装置にはプロッタ装置から制御指令を受信する機能(第1の受信手段)を設けるようにすればよい。
【0093】
一方、システム制御部3(システム制御部3’)に相当する機能をスキャナ装置側に持たせる場合は、プロッタ装置側から異常を知らせる異常信号を通信によりスキャナ装置側に伝送する必要があるので、プロッタ装置には異常を知らせる異常信号をスキャナ装置に送信する機能(第2の送信手段)を設け、スキャナ装置にはプロッタ装置から異常信号を受信する機能(第1の受信手段)を設けるようにすればよい。
【符号の説明】
【0094】
1 プロッタ部
2 スキャナ部
3 システム制御部(制御手段)
33 原稿搬送モータ(原稿搬送手段)
210 スキャナ画像処理部(原稿読取処理手段)
233,244 切り換えスイッチ
311 原稿搬送速度設定部
312 プロッタ異常判定部
313 影響有無判定部(判定手段)
314 電源制御部
315 原稿搬送速度切り換え部
316 比較部(比較手段)
317 搬送方向制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開2004−170560号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送する原稿搬送手段と、
前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、
前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、
前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記プロッタ部の異常が前記画像に影響を与えるか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出し、且つ、検出された前記プロッタ部の異常が前記画像に影響を与えると前記判定手段が判定した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記原稿読取手段に対する電源供給が遮断されて読み取りが中断した原稿について、既に読み取りが終了した第1の部分の搬送方向における長さと、未だ読み取りが終了していない第2の部分の搬送方向における長さとを比較する比較手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1の部分の搬送方向における長さが前記第2の部分の搬送方向における長さより長い場合は、前記原稿搬送手段による原稿の搬送方向を前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送方向と同一方向とし、前記第1の部分の搬送方向における長さが前記第2の部分の搬送方向における長さより短い場合は、前記原稿搬送手段による原稿の搬送方向が前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送方向と逆方向とするように、前記原稿搬送手段による原稿の搬送方向を制御しながら、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記プロッタ部に対する電源供給も遮断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、原稿の読み取り条件に応じて設定するとともに、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記設定した搬送速度よりも速くすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記原稿読取手段に対する電源供給状態を独立して切り換えるスイッチをさらに備え、
前記制御手段は、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記スイッチをオフすることで前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
スキャナ装置とプロッタ装置とが通信可能に接続された画像形成システムであって、
前記スキャナ装置は、
原稿を搬送する原稿搬送手段と、
前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、
前記画像を前記画像形成装置に送信する第1の送信手段と、
前記画像形成装置から送信された制御指令を受信する第1の受信手段と、を備え、
前記プロッタ装置は、
前記スキャナ装置から送信された前記画像を受信する第2の受信手段と、
前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、
前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする制御指令を生成する制御手段と、
前記制御指令を前記スキャナ装置に送信する第2の送信手段と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
スキャナ装置とプロッタ装置とが通信可能に接続された画像形成システムであって、
前記スキャナ装置は、
原稿を搬送する原稿搬送手段と、
前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、
前記画像を前記画像形成装置に送信する第1の送信手段と、
前記画像形成装置から送信された異常信号を受信する第1の受信手段と、
前記第1の受信手段が前記異常信号を受信した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする制御手段と、を備え、
前記プロッタ装置は、
前記スキャナ装置から送信された前記画像を受信する第2の受信手段と、
前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、
前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、異常信号を前記スキャナ装置に送信する第2の送信手段と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
原稿を搬送する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、制御手段と、を備えた画像形成装置において実行される制御プログラムであって、
前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする機能を、前記制御手段に実現させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項1】
原稿を搬送する原稿搬送手段と、
前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、
前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、
前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記プロッタ部の異常が前記画像に影響を与えるか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出し、且つ、検出された前記プロッタ部の異常が前記画像に影響を与えると前記判定手段が判定した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記原稿読取手段に対する電源供給が遮断されて読み取りが中断した原稿について、既に読み取りが終了した第1の部分の搬送方向における長さと、未だ読み取りが終了していない第2の部分の搬送方向における長さとを比較する比較手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1の部分の搬送方向における長さが前記第2の部分の搬送方向における長さより長い場合は、前記原稿搬送手段による原稿の搬送方向を前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送方向と同一方向とし、前記第1の部分の搬送方向における長さが前記第2の部分の搬送方向における長さより短い場合は、前記原稿搬送手段による原稿の搬送方向が前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送方向と逆方向とするように、前記原稿搬送手段による原稿の搬送方向を制御しながら、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記プロッタ部に対する電源供給も遮断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、原稿の読み取り条件に応じて設定するとともに、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記設定した搬送速度よりも速くすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記原稿読取手段に対する電源供給状態を独立して切り換えるスイッチをさらに備え、
前記制御手段は、前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記スイッチをオフすることで前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
スキャナ装置とプロッタ装置とが通信可能に接続された画像形成システムであって、
前記スキャナ装置は、
原稿を搬送する原稿搬送手段と、
前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、
前記画像を前記画像形成装置に送信する第1の送信手段と、
前記画像形成装置から送信された制御指令を受信する第1の受信手段と、を備え、
前記プロッタ装置は、
前記スキャナ装置から送信された前記画像を受信する第2の受信手段と、
前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、
前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする制御指令を生成する制御手段と、
前記制御指令を前記スキャナ装置に送信する第2の送信手段と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
スキャナ装置とプロッタ装置とが通信可能に接続された画像形成システムであって、
前記スキャナ装置は、
原稿を搬送する原稿搬送手段と、
前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、
前記画像を前記画像形成装置に送信する第1の送信手段と、
前記画像形成装置から送信された異常信号を受信する第1の受信手段と、
前記第1の受信手段が前記異常信号を受信した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする制御手段と、を備え、
前記プロッタ装置は、
前記スキャナ装置から送信された前記画像を受信する第2の受信手段と、
前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、
前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、異常信号を前記スキャナ装置に送信する第2の送信手段と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
原稿を搬送する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段が搬送する原稿を読み取って、前記原稿の画像を生成する原稿読取手段と、前記画像を記録媒体上に描画するプロッタ部と、前記プロッタ部の異常を検出する異常検出手段と、制御手段と、を備えた画像形成装置において実行される制御プログラムであって、
前記異常検出手段が前記プロッタ部の異常を検出した場合に、前記原稿読取手段に対する電源供給を遮断するとともに、前記原稿搬送手段による原稿の搬送速度を、前記原稿読取手段による原稿の読み取りを行うときの搬送速度よりも速くする機能を、前記制御手段に実現させることを特徴とする制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−169846(P2012−169846A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28929(P2011−28929)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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