説明

画像形成装置、画像形成方法、プログラム及び記録媒体

【課題】画像形成装置及び画像形成方法において、複雑な処理の指示を簡単にかつ正確に行うことである。
【解決手段】
入力部11で原稿などと共に地紋を付したコマンドカードを読み取り、画像情報を取得し(S101)、解析部12で、取得した画像情報を解析し(S102)。地紋があるか否かを確認し(S103)、地紋があるときは(S103:Yes)、地紋を解析し、指示情報を取得する(S104)。情報処理部13は、指示情報がある場合(S105:Yes)、指示に従い画像情報を処理する(S106)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置、画像形成方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューター(以下PCという)の普及及びその高性能化、低価格化により、原稿等の文書を電子データとして管理するなどの電子化が進んでいる。その原稿等を読み込み、電子化するための機器として、スキャナやプリンタ又はそれらの機能を一台に備えたデジタルコピー機などが普及している。また、ブロードバンド化によりネットワークが普及し、家庭内でもPCをネットワーク回線を介してスキャナと接続し、オフィス環境であれば同様にPCをデジタルコピー機等と接続して、原稿等の画像データの読み取りに活用している。
【0003】
これらのPCと共に使用する機器、特にオフィス用の機器は、多人数での共有が考慮されており、原稿等の読み込み時は基本的にネットワークを介して接続されたPCを指定し、読み取り後のデータは前記指定PCに送信される。上記機器には読み取り機能以外にも出力機能を備えたものもあり、ネットワークを介して接続されたPCから例えばプリンタとして使用可能である。また、スキャナとプリンタ機能を同時に使用することでコピー機としての機能を持たせたものもある。
【0004】
ところで、これらの機器の操作にはデータ(又は情報)の入出力が発生するため、近年、情報セキュリティマネジメント、いわゆるISMS(Information Security Management System)の観点から、上記操作はリスクありと見なされる。そのため、セキュリティ機能が強化されたものもある。例えば、認証機能を搭載し、パスワードやIDカードなどにより認証を行うことで操作可能になる、或いはプリンタなどの場合は、認証を行うことで印刷物が出力されるようにしている。
また、操作性に関しても、例えば視覚障害者用に音声でのナビゲーションを行なう機能や、色覚障害者用に色補正を行い色の区別が付きやすいように加工する機能などもある。
【0005】
上記機器がこのように多彩な機能に対応できるようになるにつれ、多数の機能の中から特定の機能を実行するための操作が複雑になるといったジレンマが発生している。
これを解決するためには、メニューの階層化など、よく使う機能を選び易いようにする工夫もあるが、例えば、両面印刷してステープラーで止める業務を行なう場合、そのための設定を毎回しなければならない。仮にそういった業務を定型業務として登録し、それを選択することで実行できるとしても、この作業が人手に依るときは、手順の説明にそれなりの時間を割く必要がある。
【0006】
これに対し、印刷情報にQRコードなどのコード化情報を付与し、読み取り及び印刷が行えるデジタル複合機によって読み取り、蓄積して、処理、印刷を行うことによって、入力を容易にして間違いが生ることを防止し、簡単手軽に処理情報が得られるようにした読み取り記録複合装置が知られている(特許文献1)。
また、印刷物にバーコードで情報を打ち込み、そのバーコードで示される情報のところにアクセスすることで、印刷された画像と同じ印刷結果が得られる印刷状態をプリンタによって忠実に再現できるようにした画像印刷方法が知られている(特許文献2)。更に、2次元バーコードと携帯電話を用いて、容易に設定条件を設定又は修正することができる印刷装置(特許文献3)も提案されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3に記載された読み取り記録複合装置及び画像印刷方法などはいずれもバーコードを用いるものであって、バーコードに打ち込んだ情報に基づき、情報処理の簡略化を図っている。しかし、バーコードは汚れや破損などに対して耐久性が少なく、一旦バーコードが損傷したり破損したりすると、読み取り情報も間違い易いため、却って手間がかかるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像形成装置及び画像形成方法において、地紋が記載されたコマンドカードを原稿とともに読み込むことで、汚れや破損に対して耐久性を持ち、複雑な処理を簡単にかつ正確に行うことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の発明は、画像情報と共に前記画像情報の処理のための指示を表す地紋を取り込む入力部と、前記地紋の指示を解析する解析部と、前記解析部で解析された前記指示に従って、前記画像情報の処理を行う情報処理部と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
第二の発明は、画像情報と共に前記画像情報の処理のための指示を表す地紋を取り込む入力工程と、前記地紋の指示を解析する解析工程と、前記解析部で解析された前記指示に従って、前記画像情報の処理を行う情報処理工程と、を有することを特徴とする画像形成方法である。
第三の発明は、コンピュータを、画像形成装置の入力部で取り込んだ画像情報の処理のための指示を表す地紋を解析する解析手段、及び、前記解析手段で解析された前記指示に従って、前記画像情報の処理を行う情報処理手段、として機能させるためのプログラムである。
第四の発明は、第三の発明であるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、原稿などと共に地紋が記載されたコマンドカードを読み込むことで、汚れや破損に対して耐久性を持ち、複雑な処理を簡単にかつ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の画像形成装置の第一の実施形態に係るMFPの構成を概略的に示す図である。
【図2】第一の実施形態に係わるMFPの処理動作の手順を示すフロー図である。
【図3】本発明の画像形成装置の第二の実施形態に係るMFPの構成を概略的に示す図である。
【図4】第二の実施形態に係わるMFPによりコマンドカードを作成する処理動作の手順を示すフロー図である。
【図5】第三の実施形態に係わるMFPの処理動作の手順を示すフロー図である。
【図6】第一の実施形態に係わるMFPの原稿に地紋が記載された場合の処理動作の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照して説明する。
本発明は、スキャナ、プリンタ、ファクシミリ、コピー機などの機能が一体となったMFP(Multi Function Peripheral)を実施形態として説明を行う。
【0013】
第一の実施形態
図1は、本発明の画像形成装置の第一の実施形態に係るMFPの構成を概略的に示す図である。
本実施形態に係るMFP1は原稿などを読み込み、画像情報などを取得するための入力部11と、読み取った情報を解析する解析部12と、解析した情報に基づいて、処理を実行する情報処理部13とで構成されている。
【0014】
MFP1は入力部11として、一般に原稿等を読み取るスキャナを備え、操作を指示するための操作パネルが最前面に配置されている。操作パネル上には、一部のボタンを除き、大半の操作用のボタンが電子的に表示され、ボタン操作によりメッセージが表示され、あるいは音声によるガイダンスなどがある。また、入力によって新たなボタンが配置された画面が表示され、複雑な指示を行う場合は、この画面を複数回切り替えつつ指示を入力する。また、スタートボタンを押すと、入力した指示に従って処理が開始される。
【0015】
本実施形態に係るMFP1の入力部11は、スキャナを介して原稿などと共に一般に地紋と言われるドットパターン(以下、地紋といい、その配置により所定の情報を表している)が記載されたカードから情報を読み取る(なお、本発明の入力部はスキャナに限定されず、要は外部から原稿などと共に地紋情報を取得できる手段一般をいう)。
入力部11によって得られた原稿等の画像情報とカード(以下、コマンドカードという。なお、説明の都合、ここでは「カード」の用語を用いるが、通常の意味で云うカードに限らず、要は、地紋が記載された記録媒体一般をいう)の地紋情報(地紋も画像であるが、原稿等の画像情報と区別するときは地紋情報という)は解析部12に送られ、解析部12によって解析されて、原稿等の画像情報とコマンドカードによる指示内容が得られる。
なお、一般にMFPには原稿等の用紙サイズを自動的に認識する機能があり、このようなMFPでは、原稿等とコマンドカードの組み合わせから、まず地紋等が記載されたコマンドカードの認識を行い、画像情報からそれを除外した上で原稿等の用紙サイズの検知を行なう。つまり、コマンドカードの全域に地紋が記載されている場合には、地紋を認識し、地紋の記載されている範囲を除外することで用紙サイズの検知を行う。
【0016】
原稿などの画像情報は解析部12で解析した後、情報処理部13で必要な処理を行い、例えばプリンタにより紙等に印刷するか、FAXにより指定のアドレスに送信するか、又はネットワーク回線を通して画像情報を指定のアドレスに送信するなど、指定により様々な形態で出力される。
【0017】
図2は、第一の実施形態のMFP1の上記処理動作の手順を示すフロー図である。
図2において、まず、入力部11のスキャナなどで原稿などと共に地紋を記したコマンドカードを読み取り、画像情報(地紋情報を含む)を取得し(S101)、解析部12で、取得した画像情報(地紋情報を含む)を解析する(S102)。その際に、コマンドカードがあるか否か、つまり地紋の記載があるか否かを確認し(S103)、地紋がある場合は(S103:Yes)、地紋を解析し、指示情報を取得する(S104)。情報処理部13で指示情報があると判断した場合(S105:Yes)、地紋情報による指示に従い画像情報(原稿などの画像情報)を処理する(S106)。一方、指示情報がないと判断した場合(S105:No)、指示がないため、予め定義された処理を実行する(S107)。
【0018】
本実施形態で使用する地紋は、バーコード等に比べ障害耐久性に優れ、部分的に、あるいはそのドットデータの半数近くを切除したとしても情報を保持することができる。地紋の情報量は印刷する面積と比例し、耐久性と情報量は相反する関係にあるため、地紋に大量の情報を格納する場合は耐久性が落ちる。ただ、指示の種類とパラメーターに関する情報であれば、情報量は一般にそれ程多くはなく、また、地紋の情報が増えないように設計することで、耐久性を確保しつつ業務などでの使用に支障をきたさないようにすることができ、例えば、カードに傷がついたり、折ってしまったり、或いは、汚してしまったりするなどの障害への耐性を得ることができる。
従って、バーコードではバーコード部分にダメージが生じた場合、読み取りに支障をきたす確率は高いが、地紋はバーコードと異なり、目視による情報の解析はほぼ不可能でありセキュリティを保持することができる。
【0019】
本実施形態に係るMFP1は上記利点を有する他、以下で示すような利点を有する。
即ち、従来のMFPを操作する場合、スキャナやコピーなどの指定に加え、コピーであれば用紙サイズや片面・両面などの指定、濃度や枚数、複数ページ分を1ページに集約すること、ステープラーや穴あけの指定など、多数の指定(設定)があり、これらを適宜組み合わせることも可能であるが、それぞれの設定は大抵の場合、その設定ごとに入力を行なう必要がある。
例えば、両面コピーしてステープラーで止めるといった定型業務がある場合、その都度その設定をする必要があり、手間が掛かる問題がある。
【0020】
しかし、本実施形態のMFP1では、設定情報を表す地紋が記載されたコマンドカードを用いるため、その設定は地紋が記載されたコマンドカードと共に原稿などの画像をMFP1のスキャナ部分に設置し、スタートボタンを押すだけとなる。使用者の手間は、適切なコマンドカードを探し出し、それを設置することのみであるため、その設定操作は大幅に簡略化できる。
【0021】
また、地紋が記載されたコマンドカードは、定型業務をマニュアル化する場合にも役に立つ。つまり、どのような定型業務もどのコマンドカードを選ぶかということに集約でき、他人に指示を出す場合でも、使用するコマンドカードを伝えるだけで、いちいち細部の設定まで指定する必要が無くなる。そのため、定型業務の作業の高速化、効率化のほか、作業ミスも低減できる。
【0022】
バーコード等を利用している場合は、バーコード部分を避けて記載、あるいはシールなどを添付する必要があり、取り扱いに注意を要するが、本実施形態のMFP1では、コマンドカードを指定する際に、コマンドカード自体に名称や処理動作の内容を記載、あるいは番号を付すなどして管理を行なえば、効率よくコマンドカードを指定することができる。そのため、指定ミスを削減することができる。
また、コマンドカードを用いる場合、地紋上へメモ書きを行なっても、意図的に全面を塗りつぶす等でなければ読み取りに支障は無いため。その取り扱いが非常に楽である。そこで、その特性を活かし、コマンドカードに業務に合わせた注意書きを付けるか、又は指示内容そのものを記載しておき、それを渡すことで従来無かった業務の指示が可能になる。
【0023】
また、コマンドカードの両面に地紋を記載した上で点字などを記載することで、視覚障害者であってもコマンドカードの取り扱いが可能となるが、これも記載位置の制限は無くなる。
【0024】
なお、原稿等に地紋が記載されていた場合に、データ解析などにおいてその部分を除外してしまうことがないように、地紋で表現されるデータは一定のパターンから開始されるようにすることが好ましい。例えば先頭の数バイトにASCIIコードにより特定のアルファベット数文字を配置し、その後に指示内容を表すデータを続けるなどである。また、公知のパリティやチェックサムと称するエラー検知手法も流用可能であり、パリティやチェックサムがなければコマンドカードで用いられる地紋ではないということで判定できる。
【0025】
ところで、本実施形態において、複数のコマンドカードが入力された場合、まず解析部12において複数のコマンドカードが認識され、複数の指示内容を得ることができる。その場合、その指示内容が全て実行可能のものであれば、そのまま情報処理部13で処理を実施すればよいが、相反する機能が指示された場合、例えば、片面コピーと両面コピーを同時に指示された場合などにおいては、いずれかを選ばなければならない。
【0026】
一般に、MFPには相反する機能を受け付けない、あるいはどちらを優先的に受け付けるかなどを判断する機能があり、基本的にはその機能に従って排他処理を行なうが、その場合でも、例えば、用紙サイズがA3とB5など異なるサイズの指示がされた場合など、どちらか一方を選ぶ必要がある場合には、優先順位をつけて一方を選ぶようにすることが好ましい。
【0027】
優先度を付与する手段としては、一般のMFPでは、スキャナ部左上あるいは左端中央などに原稿をセットするように設計されているものが多いことに鑑み、より左に設置されたコマンドカードを優先して処理をするなど、コマンドカードの位置をもとに優先順位をつけることができる。
このように処理に優先度を付すことにより、選択を要する処理動作を容易に実施することができるが、時にはユーザーの意図と異なる結果になる可能性もある。そのため、操作パネルに指示の重複があった旨を表示し、処理を中断、あるいはユーザーにどちらを選択するかを問い合わせ、そこでの入力に従うなどの措置を講じてもよい。
【0028】
第二の実施形態
次に、MFP1によりコマンドカードを作成する例を説明する。
図3は、本発明の画像形成装置の第二の実施形態に係るMFP1の構成を概略的に示す図である。
図3に示すように、本MFP1は、図1の第一の実施形態の構成にコマンドカード作成のための出力部14を追加した構成である。このコマンドカード作成のための出力部14により、指定された指示をコマンドカードとして出力する。コマンドカードは形状に関して特に制約がないため、通常の用紙に印刷可能であるが、繰り返し使用するのであれば、ある程度耐久性をもった紙を使用するか、厚紙やプラスチック板などに貼り付けるなどの加工をすることが好ましい。
【0029】
コマンドカードの指示内容の設定に関しては以下の二通りの方法がある。
第一の方法は、入力部11の操作パネル等から設定を入力し、同じく操作パネルからコマンドカード作成の指示を出す方法であり、第二の方法は、コマンドカードの作成を指示するコマンドカードにより作成する方法である。
また、後者のコマンドカードの作成を指示するコマンドカードにより作成する方法にはさらに三通りの指定方法がある。即ち、(i)指示内容をコマンドカードの組み合わせにより設定する方法、(ii)操作パネル上から設定する方法、(iii)コマンドカード及び操作パネルの組み合わせにより指示する方法がある。
【0030】
操作の簡略化という観点からは、コマンドカードのみでの運用が理想的ではあるが、実際の環境では、コマンドカードの紛失、再作成、これまでコマンドカードで指示したことのない設定など、コマンドカードのみでの指示ができない場合もあり、コマンドカードと操作パネルの双方から設定可能である第三の方法が望ましい。
【0031】
また、第三の方法では、複数のコマンドカードの指示内容をまとめて1つのコマンドカードに集約することも可能であり、定型業務などに特化した作業の指示に対応することができる。例えば、両面印刷と用紙サイズA3のコマンドカードを上記方法により集約して1つのコマンドカードにすることで、用紙サイズA3の両面コピーが1枚のコマンドカードで可能となる。
【0032】
コマンドカードの作成に当たっては、指示内容や設定同士の整合性をとる必要があり、操作パネルとコマンドカードのそれぞれの指示が相反する場合は、どちらを優先すべきかなどを予め設定しておき、作成するコマンドカードの指示内容が妥当となるようにすることが好ましい。
【0033】
図4は、第二の実施形態に係るMFP1によりコマンドカードを作成するための処理動作の手順を示すフロー図である。
即ち、入力部11で原稿などと共にカードを読み取り、画像情報を得る(S201)。次に、解析部12で取得した画像情報を解析し(S202)、カード(地紋記載)があるか否かを判断する(S203)。カード(地紋記載)があれば(S203:Yes)、地紋を解析し、指示情報を取得する(S204)。次に、情報処理部13でカード作成指示情報があるか否かを判断する(S205)。カード作成指示情報がなければ(S205:No)、通常の動作で処理を実行する(S206)。カード作成指示情報があれば(S205:Yes)、出力部14で、まず、他のカードによる指示があるか否かを確認する(S207)。他のカードによる指示がなければ(S207:No)、操作パネルなどからの入力により設定された指示を元にカードを出力する(S209)。一方、他のカードによる指示がある場合(S207:Yes)、該他のカードの指示内容を組み合わせて1つのカードとして出力する(S208)。
【0034】
第三の実施形態
次に、上述第一の実施形態のMFP1に、コマンドカードによる認証機能を備えた第三の実施形態について説明する。
セキュリティ面への関心の高まりから、MFP1に認証機能が搭載されることも珍しくはない。例えば、ユーザー登録を行い、使用時にユーザー名とパスワードを入力することで操作や出力が可能となるようにしている。
【0035】
これに対し、第三の実施形態では、ユーザー名の入力の代わりにコマンドカードを使用することができるようにしている。即ち、解析部12はコマンドカードの有無を検出する検出機能を有し、検出したコマンドカードが予め使用許可されたユーザーを特定するID情報、例えばユーザー名が地紋として記載されたコマンドカードでない場合は処理を中断する。
コマンドカードがあった場合の処理は、続いてパスワードの入力を促す、或いはそのまま処理を実行してもよい。ただ、そのまま処理を実行する場合は、操作は簡略化されるが、コマンドカードが複製されて使用される恐れがある点からセキュリティ面で問題になる可能性がある。そこで、例えば、社員証など、容易に複製できないものに地紋印刷を施して利用することでセキュリティ面の不足を補うこともできる。
【0036】
図5は、本発明の画像形成装置の第三の実施形態に係るMFP1の処理動作の手順を示すフロー図である。
図5に示すように、入力部11で原稿などと共にカードを読み取り、画像情報を取得し(S301)、解析部12で取得した画像情報を解析し(S302)、カード(地紋記載)があるか否かを確認する(S303)。カード(地紋記載)があれば(S303:Yes)、地紋を解析し、指示情報を取得する(S304)。次に、ユーザーIDカードがあるか否かを確認し(S305)、ユーザーIDカードがなければ(S305:No)、操作を終了させる。ユーザーIDカードがあれば(S305:Yes)、操作を継続させ、情報処理部13及び出力部14での処理を実行する。
【0037】
次に、前記第一の実施形態のMFP1で地紋が記載された原稿などを読み取った場合の処理動作について説明する。
例えば、両面の印刷物をコピーするときに、両面かつ左開きになるようにステープラーで止めていないと読解が困難なものを配布する場合、配布先でも前記同様な設定でコピーできるようにするのが望ましい。そこで、用紙の端など、印刷内容に被らない部分に前記設定を指示内容として地紋印刷を行なう。解析部12ではその地紋の内容を解釈し、その設定に従ってコピー等の処理を実施する。この時、この地紋もそのままコピーするかあるいは除去する。また、原稿に記載する場合は、例えば、コマンドカードの指示などの指示及び設定は制限するのが望ましい。
【0038】
図6は、上記MFP1の処理動作の手順を示すフロー図である。
図6において、入力部11で原稿などを読み取って画像情報を取得し(S401)、解析部12で画像情報を解析し(S402)、画像情報に地紋が記載されているか否かを確認する(S403)。地紋がなければ(S403:No)、処理は情報処理部13に移行する。地紋が記載されていれば(S403:Yes)、地紋を解析し、指示情報を取得し(S404)、情報処理部13で処理した後、出力部14で上記地紋をそのままコピーする処理を実行する。
【0039】
以上、本発明の画像形成装置について説明したが、本発明の上記画像形成装置における動作処理、つまり、入力部11で読みとった或いは入力部11に入力された原稿などの画像データ、及びコマンドカードの地紋の解析を行う解析部12および、解析部12で解析された地紋が表す指示に従い上記原稿画像などの画像データの処理を行う情報処理部13は、周知のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを、MFP1に搭載されたコンピュータで動作させることにより、その機能実現手段として実現することができる。
【符号の説明】
【0040】
1・・・MFP、11・・・入力部、12・・・解析部、13・・・情報処理部、14・・・出力部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2007−81650号公報
【特許文献2】特開2007−283723号公報
【特許文献3】特開2006−327017号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報と共に前記画像情報の処理のための指示を表す地紋を取り込む入力部と、
前記地紋の指示を解析する解析部と、
前記解析部で解析された前記指示に従って、前記画像情報の処理を行う情報処理部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記解析部は、前記入力部で読み込んだ複数の地紋から指示の内容を解析し、
前記情報処理部は、前記複数の指示に従って、前記入力部で取り込んだ画像情報を処理することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載された画像形成装置において、
前記複数の指示の優先度を付与する手段、及び付与された優先度に従い前記画像情報を処理することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された画像形成装置において、
入力された指示情報に従って前記指示情報を表す地紋を印刷する機能を有する地紋出力部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記入力部で取り込んだ地紋を印刷する機能を有する地紋出力部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記解析部が地紋の有無を検出する機能を有し、地紋を検出したとき、その地紋情報から使用許可されたユーザーが特定できないときその処理を中断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像情報と共に前記画像情報の処理のための指示を表す地紋を取り込む入力工程と、
前記地紋の指示を解析する解析工程と、
前記解析部で解析された前記指示に従って、前記画像情報の処理を行う情報処理工程と、を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
請求項7に記載された画像形成方法において、
前記解析工程では、前記入力部で読み込んだ複数の地紋から指示の内容を解析し、
前記情報処理工程では、前記複数の指示に従って、前記入力部で取り込んだ画像情報を処理することを特徴とする画像形成方法。
【請求項9】
請求項8に記載された画像形成方法において、
前記複数の指示の優先度を付与する工程、及び付与された優先度に従い前記画像情報を処理する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれかに記載された画像形成方法において、
入力された指示情報に従って前記指示情報を表す地紋を印刷する出力工程を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれかに記載された画像形成方法において、
前記入力部で取り込んだ地紋を印刷する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項12】
コンピュータを、画像形成装置の入力部で取り込んだ画像情報の処理のための指示を表す地紋を解析する解析手段、及び、
前記解析手段で解析された前記指示に従って、前記画像情報の処理を行う情報処理手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−151602(P2011−151602A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11057(P2010−11057)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】